JP2013190072A - 変速機の制御装置および制御方法 - Google Patents

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【課題】車両の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生を抑制する。
【解決手段】変速ECUの解放制御モジュールは、自動変速機のクラッチやブレーキの少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、当該解放側要素への油圧を生成するリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定する解放制御モジュールを有し、解放制御モジュールは、アクセルオン状態で変速段をダウンシフトさせる場合、解放側要素への油圧を入力自動変速機の入力軸の回転変化を生じさせるための第1〜第3の勾配で低下させる際に、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定する(ステップS300〜S360)。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両に搭載されると共に、油圧制御装置からの油圧により作動する複数の係合要素を選択的に係合させて複数の変速段を形成する変速機の制御装置および制御方法に関する。
従来、この種の変速機の制御装置として、パワーオン(アクセルオン)状態で複数の摩擦係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトする際に、パワーオン(アクセルオン)状態で複数の摩擦係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトする際に、待機制御、初期変速制御、イナーシャ相制御、フィードバック制御および完了制御を順番に実行するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置は、解放側要素への油圧の指令値を比較的急な勾配でスイープダウンさせる初期変速制御の実行中に、出力回転数に対する入力回転数の変化量が変速開始判定回転数を上回ると、解放側要素への油圧の指令値を比較的低い勾配でスイープダウンさせるイナーシャ相制御を開始する。パワーオン状態において、イナーシャ相制御は、出力回転数に対する入力回転数の変化量が変速開始(回転変化開始)から変速完了までの全回転数変化量のaF%になるまで行なわれ、その後、出力回転数に対する入力回転数の変化量が当該全回転数変化量の近傍になるまで入力軸の回転数変化量が所定変化量となるようにフィードバック制御によって解放側要素への油圧の指令値が設定される。
特開平11−141674号公報
ところで、車両が登坂路を走行している場合、アクセルオン状態であっても駆動力が不足することにより車速が低下することがある。そして、このような場合には、車速の低下に伴ってアクセルオン状態で変速段がダウンシフトされることがあるが、解放側要素への油圧指令値の設定の仕方によっては、変速機の入力回転数が急増し、変速段のダウンシフトに際してショックを発生させてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、車両の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生を抑制することを主目的とする。
本発明の変速機の制御装置および制御方法は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明による変速機の制御装置は、
車両に搭載されると共に、油圧制御装置からの油圧により作動する複数の係合要素を選択的に係合させて複数の変速段を形成する変速機の制御装置において、
前記車両の走行路の路面勾配を取得する路面勾配取得手段と、
前記複数の係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、前記解放側要素への油圧を生成する前記油圧制御装置への油圧指令値を設定する解放制御手段とを備え、
前記解放制御手段は、アクセルオン状態で前記変速段をダウンシフトさせる場合、前記解放側要素への油圧を所定の油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする。
この変速機の制御装置は、複数の係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、解放側要素への油圧を生成する油圧制御装置への油圧指令値を設定する解放制御手段を備える。そして、解放制御手段は、アクセルオン状態で変速段をダウンシフトさせる場合、解放側要素への油圧を所定の油圧勾配で低下させる際に、路面勾配が登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値を設定する。これにより、車両の登坂走行中にアクセルオン状態で車速が低下するのに伴って変速段がダウンシフトされる場合に、解放側要素への油圧を緩やかに低下させ、それにより変速機の入力回転数の変化を緩やかにすることができる。この結果、この制御装置によれば、車両の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生を良好に抑制することが可能となる。
また、前記解放制御手段は、前記解放側要素への油圧を前記変速機の入力部材の回転変化を生じさせるための油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定するものであってもよい。
更に、前記解放制御手段は、前記車両の車速が所定車速以下であることを条件に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定するものであってもよい。すなわち、登坂走行中にアクセルオン状態で変速段がダウンシフトされる際には、車速が低いほど、解放側要素への油圧の減少に起因した変速機の入力回転数の変化によるショックが顕在化し易く、車速が比較的高ければ、当該ショックは顕在化し難くなる。従って、車両の車速が所定車速以下であることを条件に、路面勾配が登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値を設定すれば、必要以上に解放側要素への油圧の勾配を緩やかにすることで変速レスポンスが悪化するのを良好に抑制することが可能となる。
また、前記解放制御手段は、アクセルペダルの踏み込み状態から運転者が前記変速段のダウンシフトを意図していないと判断される場合に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定するものであってもよい。すなわち、アクセルオン状態での変速段のダウンシフトが運転者の意図したものである場合、解放側要素への油圧の減少に起因した変速機の入力回転数の変化によるショックが生じたとしても、運転者に違和感を与えるおそれは少ない。従って、アクセルペダルの踏み込み状態から運転者が変速段のダウンシフトを意図していないと判断される場合に、路面勾配が登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値を設定すれば、必要以上に解放側要素への油圧の勾配を緩やかにすることで変速レスポンスが悪化するのをより一層良好に抑制することができる。
更に、前記解放制御手段は、アクセルオン状態での前記変速段のダウンシフトパターンに応じて、前記解放側要素への油圧の勾配を緩やかにする度合を変更するものであってもよい。これにより、車両の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生をより一層良好に抑制することが可能となる。
本発明による変速機の制御方法は、
車両に搭載されると共に、油圧制御装置からの油圧により作動する複数の係合要素を選択的に係合させて複数の変速段を形成する変速機の制御方法において、
(a)前記車両の走行路の路面勾配を取得するステップと、
(b)前記複数の係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、前記解放側要素への油圧を生成する前記油圧制御装置への油圧指令値を設定するステップとを含み、
ステップ(b)は、アクセルオン状態で前記変速段をダウンシフトさせる場合、前記解放側要素への油圧を所定の油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする。
この方法によれば、車両の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生を良好に抑制することが可能となる。
本発明による制御装置により制御される自動変速機25を含む動力伝達装置20を搭載した自動車10の概略構成図である。 動力伝達装置20を示す概略構成図である。 自動変速機25の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を示す作動表である。 油圧制御装置50を示す系統図である。 本発明による制御装置である変速ECU21により実行される解放制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 解放制御ルーチンが実行された際に各種パラメータが変化する様子を例示するタイムチャートである。 図5の解放制御ルーチンに含まれる補正係数設定処理の一例を示すフローチャートである。 補正係数設定マップの一例を示す説明図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明による制御装置により制御される自動変速機25を含む動力伝達装置20を搭載した自動車10の概略構成図である。同図に示す自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する原動機としてのエンジン(内燃機関)12や、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)16、エンジン12に接続されると共にエンジン12からの動力を左右の駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20等を含む。動力伝達装置20は、トランスミッションケース22や、流体伝動装置(トルクコンバータ)23、自動変速機25、油圧制御装置50、これらを制御する本発明による制御装置としての変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有する。
エンジンECU14は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。図1に示すように、エンジンECU14には、アクセルペダル91の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや、車速センサ97からの車速V、クランクシャフトの回転位置を検出する図示しないクランクシャフトポジションセンサといった各種センサ等からの信号、ブレーキECU16や変速ECU21からの信号等が入力され、エンジンECU14は、これらの信号に基づいて何れも図示しない電子制御式のスロットルバルブや燃料噴射弁および点火プラグ等を制御する。更に、エンジンECU14は、クランクシャフトポジションセンサにより検出されるクランクシャフトの回転位置に基づいてエンジン12の回転数Neを算出すると共に、例えば回転数Neや図示しないエアフローメータにより検出されるエンジン12の吸入空気量あるいはスロットルバルブのスロットル開度THR、予め定められたマップあるいは計算式に基づいてエンジン12から出力されているトルクの推定値である推定エンジントルクTeestを算出する。
ブレーキECU16も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。図1に示すように、ブレーキECU16には、ブレーキペダル93が踏み込まれたときにマスタシリンダ圧センサ94により検出されるマスタシリンダ圧Pmcや、車速センサ97からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14や変速ECU21からの信号等が入力され、ブレーキECU16は、これらの信号に基づいて図示しないブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等を制御する。
変速ECU21も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を備える。図1に示すように、変速ECU21には、アクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや、複数のシフトレンジの中から所望のシフトレンジを選択するためのシフトレバー95の操作位置を検出するシフトレンジセンサ96からのシフトレンジSR、車速センサ97からの車速V、自動変速機25の入力回転数(タービンランナ23bまたは自動変速機25の入力軸26の回転数)Ninを検出する入力回転数センサ98、自動変速機25の出力回転数(出力軸27の回転数)Noutを検出する出力回転数センサ99といった各種センサ等からの信号、エンジンECU14やブレーキECU16からの信号等が入力され、変速ECU21は、これらの信号に基づいて流体伝動装置23や自動変速機25、すなわち油圧制御装置50を制御する。
動力伝達装置20の流体伝動装置23は、図2に示すように、エンジン12のクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23aと、自動変速機25の入力軸(入力部材)26に接続された出力側のタービンランナ23bと、ロックアップクラッチ23cとを含むものである。オイルポンプ24は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ23aに接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されている。エンジン12からの動力により外歯ギヤを回転させれば、オイルポンプ24によりオイルパン(図示省略)に貯留されている作動油(ATF)が吸引されて油圧制御装置50へと圧送される。
自動変速機25は、6段変速式の変速機として構成されており、図2に示すように、シングルピニオン式遊星歯車機構30と、ラビニヨ式遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための3つのクラッチC1,C2およびC3、2つのブレーキB1およびB2並びにワンウェイクラッチF1とを含む。シングルピニオン式遊星歯車機構30は、トランスミッションケース22に固定された外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置されると共に入力軸26に接続された内歯歯車であるリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリヤ34とを有する。
ラビニヨ式遊星歯車機構35は、外歯歯車である2つのサンギヤ36a,36bと、自動変速機25の出力軸(出力部材)27に固定された内歯歯車であるリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリヤ39とを有する。また、自動変速機25の出力軸27は、ギヤ機構28および差動機構29を介して駆動輪DWに接続される。
クラッチC1は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36aとを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)である。クラッチC2は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26とラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリヤ39とを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC3は、ピストン、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリヤ34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bとを締結すると共に両者の締結を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。
ブレーキB1は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。ブレーキB2は、油圧サーボを含むバンドブレーキあるいは多板摩擦式ブレーキとして構成されており、ラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリヤ39をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリヤ39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。
これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置50による作動油の給排を受けて動作する。図3に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2を図3の作動表に示す状態とすることで前進1〜6速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。なお、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
図4は、油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ24に接続されるものであり、流体伝動装置23や自動変速機25により要求される油圧を生成すると共に、各種軸受などの潤滑部分に作動油を供給する。油圧制御装置50は、図示しないバルブボディや、オイルポンプ24からの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51、シフトレバー95の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLの供給先を切り替えるマニュアルバルブ52、アプライコントロールバルブ53、それぞれマニュアルバルブ52等(プライマリレギュレータバルブ51)から供給される元圧としてのライン圧PLを調圧して対応するクラッチ等への油圧を生成する調圧バルブとしての第1リニアソレノイドバルブSL1、第2リニアソレノイドバルブSL2、第3リニアソレノイドバルブSL3および第4リニアソレノイドバルブSL4等を含む
プライマリレギュレータバルブ51は、変速ECU21により制御されてオイルポンプ24側(例えばライン圧PLを調圧して一定の油圧を出力するモジュレータバルブ)からの作動油をアクセル開度Accあるいは図示しないスロットルバルブの開度に応じて調圧するリニアソレノイドバルブSLTからの油圧により駆動される。マニュアルバルブ52は、シフトレバー95と連動して軸方向に摺動可能なスプールや、ライン圧PLが供給される入力ポート、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の入力ポートと油路を介して連通するドライブレンジ出力ポート、リバースレンジ出力ポート等を有する(何れも図示省略)。運転者によりドライブレンジやスポーツレンジといった前進走行シフトレンジが選択されているときには、マニュアルバルブ52のドライブレンジ出力ポートを介して、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧(ドライブレンジ圧)PLが第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4に元圧として供給される。また、運転者によりリバースレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがリバースレンジ出力ポートのみと連通され、パーキングレンジやニュートラルレンジの選択時には、マニュアルバルブ52の入力ポートとドライブレンジ出力ポートおよびリバースレンジ出力ポートとの連通が遮断される。
アプライコントロールバルブ53は、第3リニアソレノイドバルブSL3からの油圧をクラッチC3に供給する第1状態と、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLをクラッチC3に供給すると共にマニュアルバルブ52のリバースレンジ出力ポートからのライン圧PL(リバースレンジ圧)をブレーキB2に供給する第2状態と、マニュアルバルブ52のリバースレンジ出力ポートからのライン圧PL(リバースレンジ圧)をクラッチC3とブレーキB2とに供給する第3状態と、第3リニアソレノイドバルブSL3からの油圧をブレーキB2に供給する第4状態とを選択的に形成可能なスプールバルブである。
第1リニアソレノイドバルブSL1は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC1への油圧Psl1を生成可能な常閉型リニアソレノイドバルブである。第2リニアソレノイドバルブSL2は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC2への油圧Psl2を生成可能な常閉型リニアソレノイドバルブである。第3リニアソレノイドバルブSL3は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC3あるいはブレーキB2への油圧Psl3を生成可能な常閉型リニアソレノイドバルブである。第4リニアソレノイドバルブSL4は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してブレーキB1への油圧Psl4を生成可能な常閉型リニアソレノイドバルブである。すなわち、自動変速機25の摩擦係合要素であるクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2への油圧は、それぞれに対応する第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4により直接制御(設定)される。
上述の第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4(それぞれに印加される電流)は、変速ECU21により制御される。すなわち、変速ECU21は、変速段の変更すなわちアップシフトまたはダウンシフトに際して、予め定められた図示しない変速線図から取得されるアクセル開度Acc(あるいはスロットルバルブの開度)および車速Vに対応した目標変速段Gtagが形成されるように、変速段の変更に伴って係合されるクラッチまたはブレーキ(係合側要素)に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つへの油圧指令値(係合圧指令値)を設定する。また、変速ECU21は、変速段の変更すなわちアップシフトまたはダウンシフトに際して、当該変速段の変更に伴って解放されるクラッチまたはブレーキ(解放側要素)に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つへの油圧指令値(解放圧指令値)を設定する。更に、変速ECU21は、変速段の変更中や変速完了後に、係合されているクラッチやブレーキ(係合側要素)に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つまたは2つへの油圧指令値(保持圧指令値)を設定する。そして、変速ECU21は、設定した油圧指令値に基づいて、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4への電流を設定する図示しない駆動回路を制御する。このため、変速ECU21には、CPUやROM,RAMといったハードウエアと、ROMにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの協働により、図1に示すように、上記係合側要素への油圧指令値(係合圧指令値および保持圧指令値)を設定する係合制御モジュール211と、上記解放側要素への油圧指令値(解放圧指令値)を設定する解放制御モジュール212とが機能ブロックとして構築される。
更に、実施例の変速ECU21には、CPUやROM,RAMといったハードウエアと、ROMにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの協働により、図1に示すように、自動車10の走行中に所定時間おきに走行路の路面勾配を導出(推定)する路面勾配推定モジュール213が構築されている。路面勾配推定モジュール213は、所定時間おきにエンジンECU14からエンジン12の回転数Neや推定エンジントルクTeestを入力し、当該推定エンジントルクTeestや流体伝動装置23のトルク比、現変速段(変速中は変速前の変速段)のギヤ比G、ギヤ損失Loss等に基づいて出力軸27に出力される出力トルクToutを算出する。ここで、出力トルクToutは、例えば入力トルクTin(入力軸26に付与されるトルク=推定エンジントルクTeest×流体伝動装置23のトルク比)とギヤ比Gとの積からギヤ損失Lossを減じることにより得られる。また、流体伝動装置23のトルク比は、エンジン回転数Ne(流体伝動装置23の入力回転数)と入力回転数センサ98により検出される入力回転数Ninとから算出される速度比に対応した値が予め定められた図示しないマップから導出される。更に、路面勾配推定モジュール213は、算出した出力トルクToutや車重、走行抵抗、デファレンシャルギヤ比、タイヤ径等に基づいて、出力軸27に出力トルクToutが出力された状態で自動車10が平坦路を走行している際の出力軸27の加速度である基準加速度αrefを算出すると共に、出力回転数センサ99からの出力回転数Noutに基づいて出力回転数Noutの上記所定時間あたりの変化量を出力軸27の実加速度αとして算出する。ここで、自動車10の路面勾配は、実加速度αと基準加速度αrefとから、路面勾配=arcsin({α−αref}/g(重力加速度)) として得ることができる。これを踏まえて、路面勾配推定モジュール213は、実加速度αと基準加速度αrefとの偏差(=α−αref)を路面勾配θとして算出し、図示しないRAMに格納する。
次に、アクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際に解放されるクラッチまたはブレーキ(以下、「解放側要素」という)に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4(以下、リニアソレノイドバルブSL(i)という。ただし、“i”は、値1,2,3または4の何れかであり、i=1は、第1リニアソレノイドバルブSL1を示す。以下、同様。)の何れか1つへの油圧指令値(解放圧指令値)Psl(i)*を設定する手順について説明する。
図5は、アクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際に変速ECU21の解放制御モジュール212により実行される解放制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図6は、図5の解放制御ルーチンが実行された際に、自動変速機25の入力回転数Ninや油圧指令値Psl(i)*が変化する様子を例示するタイムチャートである。なお、ダウンシフトに際して何れかのクラッチまたはブレーキの解放と同時に他のクラッチまたはブレーキが係合される場合には、解放制御ルーチンと並行して当該他のクラッチまたはブレーキを係合するための図示しない係合制御ルーチンが変速ECU21の係合制御モジュール211により実行される。なお、図6には、当該係合制御ルーチンにより係合されるクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブへの油圧指令値を二点鎖線で示す。
図5の解放制御ルーチンは、変速ECU21の解放制御モジュール212(図示しないCPU)により、運転者のアクセルペダル91の踏み込みに応じて変速段をダウンシフトすべきと判断されてから例えば所定の遅れ時間が経過した段階で開始される。アクセルオン状態での変速段のダウンシフトに際して、解放制御モジュール212は、まず、待機制御により解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定する(ステップS10)。待機制御は、例えば、エンジンECU14から送信される推定エンジントルクTeestや、流体伝動装置23の速度比に対応したトルク比、解放側要素のトルク分担に基づいて解放側トルクを求め、解放側要素への油圧が解放側トルクに応じた目標圧(待機係合圧)になるように解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定するものである。なお、実施例の待機制御は、予め定められた図示しないマップから解放側トルクに対応した油圧指令値Psl(i)*を導出・設定するものとされる。ステップS10の待機制御は、ステップS20にて、その開始(図6における時刻t0)から例えば自動変速機25の入力トルクTinに応じて定められる待機時間が経過したと判断されるまで(図6における時刻t1まで)実行される。
次いで、変速ECU21の解放制御モジュール212は、以後の処理において用いられる補正係数kを設定するための補正係数設定処理(ステップS30)を実行し、当該補正係数設定処理の実行後、初期変速制御により油圧指令値Psl(i)*を設定する(ステップS40)。初期変速制御は、自動変速機25の入力軸26の回転変化が開始されるように、例えば、解放側要素への油圧が予め定められた第1の目標油圧まで第1の勾配で減少するように解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定するものである。実施例の初期変速制御の実行中、油圧指令値Psl(i)*は、当該油圧指令値Psl(i)*の単位時間あたりの変化量が上記第1の勾配にステップS30にて設定された補正係数kを乗じた値となるように所定時間おきに設定される。なお、第1の目標圧は、上述のように求められる解放側トルクに基づいてタイアップ度合やドライブフィーリング等を考慮して定められる。そして、ステップS40の初期変速制御は、ステップS50にて、入力軸26の入力回転加速度dNin(入力回転数Ninの単位時間あたりの変化量)が所定値に達し、入力軸26の回転変化が開始されたとみなされるまで(図6における時刻t2まで)実行される。
入力回転加速度dNinが所定値に達すると、変速ECU21の解放制御モジュール212は、イナーシャ相制御により油圧指令値Psl(i)*を設定する(ステップS60)。イナーシャ相制御は、解放側要素への油圧が予め定められた比較的小さい第2の勾配(実施例では、上記第1の勾配よりも小さい値とされる)で減少するように解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定するものである。実施例のイナーシャ相制御の実行中、油圧指令値Psl(i)*は、当該油圧指令値Psl(i)*の単位時間あたりの変化量が上記第2の勾配にステップS30にて設定された補正係数kを乗じた値となるように所定時間おきに設定される。そして、ステップS60のイナーシャ相制御は、ステップS70にて、例えば入力軸回転数Ninと出力軸回転数Noutとから算出される変速比がダウンシフト後の目標変速段のギヤ比に概ね一致したとみなされるまで(図6における時刻t3まで)実行される。
そして、イナーシャ相制御の完了後、変速ECU21の解放制御モジュール212は、完了制御により油圧指令値Psl(i)*を設定する(ステップS80)。完了制御は、解放側要素への油圧が予め定められた第3の勾配で値0まで減少するように解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*を設定するものである。実施例の完了制御の実行中、油圧指令値Psl(i)*は、当該油圧指令値Psl(i)*の単位時間あたりの変化量が上記第3の勾配にステップS30にて設定された補正係数kを乗じた値となるように所定時間おきに設定される。そして、ステップS80の完了制御は、ステップS90にて、その開始から所定時間が経過したと判断されるまで実行され、当該所定時間が経過した段階で、アクセルオン状態での変速段のダウンシフトが完了する。
なお、イナーシャ相制御は、入力軸26の回転変化量に基づく変速進行度Sprが予め定められた閾値に達するまで実行されてもよく、イナーシャ相制御の完了後、解放側要素に対応したリニアソレノイドバルブSL(i)への油圧指令値Psl(i)*は、入力回転加速度dNinが目標回転加速度dNtagになるようにするフィードバック制御によって設定されてもよい。この場合、回転変化率制御は、例えば、変速進行度Sprがダウンシフトの実質的完了を示す終了閾値(例えば90%)に達するまで実行されるとよい。
引き続き、図7を参照しながら、図5のステップS30における補正係数設定処理について詳細に説明する。図7は、ステップS30における補正係数設定処理を示すフローチャートである。
補正係数設定処理の開始に際して、変速ECU21の解放制御モジュール212(変速ECU21の図示しないCPU)は、車速センサ97からの車速V、アクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Acc、現変速段G、目標変速段Gtag、路面勾配θといった補正係数の設定に必要なデータを入力する(ステップS300)。ステップS300にて入力される現変速段Gおよび目標変速段Gtagは、上述の変速線図から現変速段Gよりもダウンシフト側の目標変速段Gtagが設定された時点で、変速ECU21のRAMに格納されたものである。また、ステップS300にて入力される路面勾配θは、変速ECU21の路面勾配推定モジュール213によって上述のように別途導出されてRAMに格納されるものである。
ステップS300のデータ入力処理の後、解放制御モジュール212は、入力した路面勾配θが登り勾配として予め定められた基準勾配θrefを上回っているか否かを判定し(ステップS310)、路面勾配θが基準勾配θrefを上回っていると判断した場合、更に、ステップS300にて入力した車速Vが予め定められた基準車速Vref以下であるか否かを判定する(ステップS320)。また、解放制御モジュール212は、車速Vが基準車速Vref以下であれば、ステップS300にて入力したアクセル開度Accが予め定められた基準開度Accref以下であるか否かを判定し(ステップS330)、アクセル開度Accが基準開度Accref以下であると判断した場合、更に、運転者によるアクセルペダル91の踏み込み加速度を示すアクセル開度変化率ΔAccを算出する(ステップS340)。アクセル開度変化率ΔAccは、例えば所定時間あたりのアクセル開度Accの変化量を当該所定時間で除することにより算出される。そして、解放制御モジュール212は、算出したアクセル開度変化率ΔAccが予め定められた基準変化率ΔAccref(比較的小さい正の値)以下である否かを判定する(ステップS350)。ステップS330,S350にて閾値として用いられる基準開度Accrefや基準変化率ΔAccrefは、運転者によるアクセルペダル91の踏み込み状態が変速段のダウンシフトを生じさせないとみなされる状態、すなわち運転者が変速段のダウンシフトを意図していないと判断されるときのアクセル開度Accやアクセルペダル91の踏み込み加速度に基づいて予め定められる。
ステップS350にてアクセル開度変化率ΔAccが基準変化率ΔAccref以下であると判断した場合、解放制御モジュール212は、現変速段Gおよび目標変速段Gtagすなわち変速段のダウンシフトパターンに対応した補正係数設定マップからステップS300にて入力した路面勾配θに対応した補正係数kを導出・設定し(ステップS360)、図7の補正係数設定処理を終了させる。図8に補正係数設定マップの一例を示す。補正係数設定マップは、第6速から第5速へのダウンシフト、第5速から第4速へのダウンシフト、第6速から第4速へのダウンシフトといったように変速前の変速段と変速後の変速段とをパターン化したダウンシフトパターンごとに用意されて変速ECU21のROMに格納されており、図8に示すように、路面勾配θが上記基準勾配θrefを上回っている場合に値1未満の正の範囲内で当該路面勾配θが登り勾配として大きいほど補正係数kを小さくするように予め作成されている。これに対して、ステップS310,S320,S330およびS350の何れかにおいて否定判断を行った場合、解放制御モジュール212は、補正係数kを値1に設定し(ステップS370)、図7の補正係数設定処理を終了させる。なお、上述の基準勾配θref、基準車速Vref、アクセル開度Accの基準開度Accrefおよび基準変化率ΔAccrefは、それぞれ予め定められた一定値であってもよく、現変速段Gおよび目標変速段Gtagすなわち変速段のダウンシフトパターンに応じて変更されてもよい。
上述のようにしてステップS30の補正係数設定処理が実行されることにより、アクセルオン状態での変速段のダウンシフトに際しては、路面勾配θが基準勾配θrefを上回っており、自動車10の車速Vが基準車速Vref以下であり、かつ、アクセル開度Accが基準開度Accref以下であると共にアクセル開度変化率ΔAccが基準変化率ΔAccref以下であって運転者によるアクセルペダル91の踏み込み状態が変速段のダウンシフトを生じさせないとみなされる場合に、値1未満の正の範囲内で路面勾配θが登り勾配として大きいほど補正係数kが小さく設定されることになる。そして、路面勾配θに応じて補正係数kが値1未満に設定されると、ステップS40の初期変速制御、ステップS60のイナーシャ相制御およびステップS80の完了制御によって解放側要素への油圧を入力軸26の回転変化を生じさせるための第1〜第3の勾配で低下させる際に、路面勾配θが登り勾配として大きいほど例えば平坦路の走行時(図6における破線参照)に比べて解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるようにPsl(i)*が設定されることになる。これにより、例えば自動車10が比較的緩い登坂路を走行している際に運転者によりアクセルペダル91が緩く踏み込まれ、アクセルペダル91が踏み込まれているにも拘わらず駆動力が不足して車速Vが低下し、それによりアクセルオン状態で変速段がダウンシフトされるような場合に、平坦路の走行時(図6における破線参照)に比べて、図6において実線で示すように自動変速機25の入力回転数Ninの変化を緩やかにすることが可能となる。
以上説明したように、自動変速機25の制御装置である変速ECU21は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、当該解放側要素への油圧を生成する第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4(油圧制御装置50)への油圧指令値Psl(i)*を設定する解放制御モジュール212を含む。そして、解放制御モジュール212は、アクセルオン状態で変速段をダウンシフトさせる場合、解放側要素への油圧を入力軸26の回転変化を生じさせるための第1〜第3の勾配で低下させる際に、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定する(図2のステップS30〜S90、図7のステップS300〜S360)。これにより、自動車10の登坂走行中にアクセルオン状態で車速Vが低下するのに伴って変速段がダウンシフトされる場合に、解放側要素への油圧を緩やかに低下させ、それにより自動変速機25の入力回転数Ninの変化を緩やかにすることができる。この結果、自動車10の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生を良好に抑制することが可能となる。
また、解放制御モジュール212は、自動車10の車速Vが基準車速Vref以下であることを条件に(図7のステップS320)、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定する。すなわち、登坂走行中にアクセルオン状態で変速段がダウンシフトされる際には、車速Vが低いほど、解放側要素への油圧の減少(急減)に起因した自動変速機25の入力回転数Ninの変化によるショックが顕在化し易く、車速Vが比較的高ければ、当該ショックは顕在化し難くなる。従って、自動車10の車速Vが所定車速V以下であることを条件に、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定すれば、必要以上に解放側要素への油圧の勾配を緩やかにすることで変速レスポンスが悪化するのを良好に抑制することができる。
更に、解放制御モジュール212は、アクセル開度Accが基準開度Accref以下であると共にアクセル開度変化率ΔAccが基準変化率ΔAccref以下であってアクセルペダル91の踏み込み状態から運転者が変速段のダウンシフトを意図していないと判断されることを条件に(図7のステップS330〜S350)、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定する。すなわち、アクセルオン状態での変速段のダウンシフトが運転者の意図したものである場合、解放側要素への油圧の減少に起因した自動変速機25の入力回転数Ninの変化によるショックが生じたとしても、運転者に違和感を与えるおそれは少ない。従って、アクセルペダル91の踏み込み状態から運転者が前記変速段のダウンシフトを意図していないと判断されることを条件に、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように油圧指令値Psl(i)*を設定すれば、必要以上に解放側要素への油圧の勾配を緩やかにすることで変速レスポンスが悪化するのをより一層良好に抑制することができる。なお、ステップS30の補正係数設定処理では、アクセル開度Accの代わりに図示しないスロットルバルブの開度に基づいて運転者が変速段のダウンシフトを意図しているか否か(運転者によるアクセルペダル91の踏み込み状態が変速段のダウンシフトを生じさせないとみなされるか否か)を判定してもよい。
更に、上記実施例では、補正係数kを設定するための補正係数設定マップが変速段のダウンシフトパターンごとに用意されており、アクセルオン状態での変速段のダウンシフトパターンに応じて解放側要素への油圧の勾配を緩やかにする度合を変更することができる。これにより、自動車10の登坂走行中にアクセルオン状態で変速段をダウンシフトする際のショックの発生をより一層良好に抑制することが可能となる。
なお、上記実施例は、初期変速制御、イナーシャ相制御および完了制御において同一の補正係数kを用いるものとして説明されたが、これに限られるものではない。すなわち、補正係数kは、路面勾配θが登り勾配として大きいほど解放側要素への油圧の勾配が緩やかにするものであれば、初期変速制御、イナーシャ相制御および完了制御ごとに定められてもよい。また、路面勾配θは、路面勾配推定モジュール213により取得(推定)されるものに限られず、自動車10に勾配センサが搭載されている場合には、当該勾配センサにより検出されてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、自動車10に搭載されると共に油圧制御装置50からの油圧により作動するクラッチC1〜C3およびブレーキB1,B2を選択的に係合させて複数の変速段を形成する自動変速機25を制御する変速ECU21が「制御装置」に相当し、自動車10の走行路の路面勾配θを取得する路面勾配推定モジュール213が「路面勾配取得手段」に相当し、図2のステップS30〜S90や図7のステップS300〜S360を実行する解放制御モジュール212が「解放制御手段」に相当する。ただし、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、変速機の製造産業において利用可能である。
10 自動車、12 エンジン、14 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、16 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、20 動力伝達装置、21 変速用電子制御ユニット(変速ECU)、22 トランスミッションケース、23 流体伝動装置、23a ポンプインペラ、23b タービンランナ、23c ロックアップクラッチ、24 オイルポンプ、25 自動変速機、26 入力軸、27 出力軸、28 ギヤ機構、29 差動機構、30 シングルピニオン式遊星歯車機構、31,36a,36b サンギヤ、32,37 リングギヤ,33 ピニオンギヤ、34,39 キャリヤ、35 ラビニヨ式遊星歯車機構、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、50 油圧制御装置、51 プライマリレギュレータバルブ、52 マニュアルバルブ、53 アプライコントロールバルブ、91 アクセルペダル、92 アクセルペダルポジションセンサ、93 ブレーキペダル、94 マスタシリンダ圧センサ、95 シフトレバー、96 シフトレンジセンサ、97 車速センサ、98 入力回転数センサ、99 出力回転数センサ、211 係合制御モジュール、212 解放制御モジュール、213 路面勾配推定モジュール、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ、SL1 第1リニアソレノイドバルブ、SL2 第2リニアソレノイドバルブ、SL3 第3リニアソレノイドバルブ、SL4 第4リニアソレノイドバルブ、SLT リニアソレノイドバルブ。

Claims (6)

  1. 車両に搭載されると共に、油圧制御装置からの油圧により作動する複数の係合要素を選択的に係合させて複数の変速段を形成する変速機の制御装置において、
    前記車両の走行路の路面勾配を取得する路面勾配取得手段と、
    前記複数の係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、前記解放側要素への油圧を生成する前記油圧制御装置への油圧指令値を設定する解放制御手段とを備え、
    前記解放制御手段は、アクセルオン状態で前記変速段をダウンシフトさせる場合、前記解放側要素への油圧を所定の油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の変速機の制御装置において、
    前記解放制御手段は、前記解放側要素への油圧を前記変速機の入力部材の回転変化を生じさせるための油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする変速機の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の変速機の制御装置において、
    前記解放制御手段は、前記車両の車速が所定車速以下であることを条件に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする変速機の制御装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の変速機の制御装置において、
    前記解放制御手段は、アクセルペダルの踏み込み状態から運転者が前記変速段のダウンシフトを意図していないと判断される場合に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする変速機の制御装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の変速機の制御装置において、
    前記解放制御手段は、アクセルオン状態での前記変速段のダウンシフトパターンに応じて、前記解放側要素への油圧の勾配を緩やかにする度合を変更することを特徴とする変速機の制御装置。
  6. 車両に搭載されると共に、油圧制御装置からの油圧により作動する複数の係合要素を選択的に係合させて複数の変速段を形成する変速機の制御方法において、
    (a)前記車両の走行路の路面勾配を取得するステップと、
    (b)前記複数の係合要素の中の少なくとも何れか一つである解放側要素を係合状態から解放状態へと切り替えて変速段をダウンシフトさせる際に、前記解放側要素への油圧を生成する前記油圧制御装置への油圧指令値を設定するステップとを含み、
    ステップ(b)は、アクセルオン状態で前記変速段をダウンシフトさせる場合、前記解放側要素への油圧を所定の油圧勾配で低下させる際に、前記路面勾配が登り勾配として大きいほど前記解放側要素への油圧の勾配が緩やかになるように前記油圧指令値を設定することを特徴とする変速機の制御方法。
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