JP2013190257A - 放射性物質の固定化材、および放射性汚染物の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、低温域で放射性汚染物を大量かつ容易に処理できる処理材等を提供する。
【解決手段】 本発明は、(A)石炭灰、およびスラグから選ばれる少なくとも1種以上のフィラーと、(B)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、および珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ活性剤と、(C)水とを含む、放射性物質の固定化材等を提供する。また、本発明は、前記固定化材/放射性汚染物の質量比が0.1〜15となるように混合して放射性物質を固定化する、放射性汚染物の処理方法等も提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射性セシウム等の放射性物質を固定化できる材料と、該材料を用いて放射性汚染物、特に低レベルの放射性汚染物を処理する方法に関する。
ここで、低レベルの放射性汚染物とは、使用済み核燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いたものをいい、例えば、放射性物質を含む、土壌(以下「汚染土」という。)、灰(以下「汚染灰」という。)、およびダスト(以下「汚染ダスト」という。)などの放射性汚染物が挙げられる。
福島第一原子力発電所の事故により、膨大な量の放射性物質が福島県を中心に広い範囲に拡散した。この放射性物質の中でも放射性セシウム(セシウム137)は、半減期が30年と長く残存量が多いため、長期の放射線被爆による住民の健康被害や農林畜産物の汚染が懸念されている。したがって、かかる状況に対応するため、迅速かつ広範囲にわたる除染作業が必要とされている。しかし、除染に伴い大量に集積する汚染土の保管場所や搬出先の確保、および汚染土を移送する際の飛散防止が難しく、除染等による汚染土の処理には多くの課題がある。
また、前記発電所から遠く離れた首都圏内の焼却場でも、放射性物質を含む下水汚泥等の焼却により放射性物質が濃縮された汚染灰が、日々大量に発生している。しかし、放射線量が1kg当たり8千ベクレルを超える放射性汚染物は受け入れ先の確保が難しいため、現在、汚染灰は焼却場に保管されたままである。
また、放射性汚染物から放射性物質を分離して、問題のないレベルになった非汚染物を原位置に埋め戻したり、処分場に埋め立てたりすることも考えられる。該分離手段として、例えば、重金属の分離・回収に有用な塩化揮発法等の適用が考えられる。しかし、該手段では、放射性物質が濃縮した汚染物(ダスト)のさらなる処理が、最終課題として残る。
従来、天然粘土鉱物を含む膨張性ベントナイトや多孔質ゼオライトが、地層における放射性廃棄物の処理や、放射性物質の濾過等に用いられてきた。
ところで、最近、前記事故で生じた汚染土を調べたところ、汚染土中の天然粘土鉱物が放射性セシウムを強く吸着して固定化し、セシウムは地表に長く留まることが確認できたため、セシウムの地中への移行や農作物による吸収は遅いと予想されている。かかるセシウムの固定化メカニズムは、層状構造を有する粘土鉱物の、層間の陰イオンサイトに存在するカリウム等の陽イオンに対し、より結合力の強いセシウムイオンがイオン交換して固定化するとされている。したがって、天然粘土鉱物を用いて、汚染土中のセシウムを固定化することも考えられる。
しかし、天然粘土鉱物は希少資源であり、大量に使用すると資源の枯渇が懸念されるほか、比較的高価なため汚染土の処理材として大量に消費する用途には、経済的理由からも適さない。
そこで、特許文献1では、廃棄物である石炭灰を用いた放射性セシウムの捕集方法が提案されている。具体的には該方法は、石炭灰を単位長さ当りの気孔数が10〜30個になる多孔性板状捕集材等に加工した捕集材を利用して、気相のセシウム化合物と700〜1300℃で反応させ、セシウムアルミノシリケート化合物の形態に放射性セシウムを固定するセシウムの捕集方法である。しかし、該方法は700〜1300℃の高温域で行うため、放射性汚染物の大量処理には不適切である。
また、特許文献2では、モノリス内の化学結合形成により、該モノリス中への放射性廃棄物等の封入を含んでなる、安定なモノリスの製造法であって、該廃棄物はジオポリマー(アルミノシリケートを主成分とする無機ポリマー)の前駆体を含むものが提案されている(請求項1、5、9)。そして、最適な結果は80℃で達成されると記載されている(段落0022)。しかし、前記方法は80℃の加熱を必要とするから、放射性汚染物の大量処理にはまだ十分とはいえない。
したがって、低温域で大量の放射性汚染物を容易に処理できる手段が望まれている。
特開平09−132408号公報 特表2008−536105号公報
そこで、本発明は、低温域で放射性汚染物を大量かつ容易に処理できる処理材を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的にかなう処理材を鋭意検討した結果、特定のフィラーと特定のアルカリ活性剤を含むジオポリマーは、放射性物質の固定化材として優れていることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1](A)石炭灰、およびスラグから選ばれる少なくとも1種以上のフィラーと、(B)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、および珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ活性剤と、(C)水とを含む、放射性物質の固定化材。
[2](B)アルカリ活性剤/(A)フィラーの質量比が0.05〜1である、前記[1]に記載の放射性物質の固定化材。
[3](B)アルカリ活性剤中のアルカリ金属/(C)水のモル比が0.1以上である、前記[1]または[2]に記載の放射性物質の固定化材。
[4]前記固定化材/放射性汚染物の質量比が0.1〜15となるように混合して放射性物質を固定化する、放射性汚染物の処理方法。
[5]前記放射性汚染物が、汚染ダスト、汚染土、および汚染灰から選ばれる少なくとも1種以上である、前記[4]に記載の放射性汚染物の処理方法。
本発明に係る放射性物質の固定化材と放射性汚染物の処理方法は、低温域でも放射性物質を大量かつ容易に固定化処理でき、また、石炭灰やスラグの有効利用を図ることができる。
本発明は、前記のとおり、(A)石炭灰、およびスラグから選ばれる少なくとも1種以上のフィラーと、(B)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、および珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ活性剤と、(C)水とを含む放射性物質の固定化材、および該固定化材を用いた放射性汚染物の処理方法である。
以下、本発明について、固定化材と処理方法に分けて説明する。なお、%は特に示さない限り質量%である。
1.放射性物質の固定化材
(1)石炭灰
石炭灰は、フライアッシュ、クリンカアッシュ、これらの混合物、およびこれらの粉砕物等が挙げられる。フライアッシュは、燃焼ガス中を浮遊する石炭灰の溶融粒子が温度低下によりボイラー出口付近で固化して生成したガラス状球形粒子を回収したものであり、クリンカアッシュは、赤熱状態の石炭灰がボイラ底部の水槽に落下して固化した塊状物を破砕して粒度を調整したものある。
フライアッシュやクリンカアッシュ等の石炭灰は、ジオポリマーにおいて活性度の高いフィラーとして機能するほか、主成分であるSiOやAlがアルカリ活性剤により溶出して、ジオポリマーの構成元素であるSiやAlの供給源として機能する。これらの中でも、フライアッシュは前記機能が高いため好ましく、JIS A 6201に規定するI種〜IV種のフライアッシュが使用できる。
該フライアッシュ中のSiOの含有率は40%以上が好ましく、45〜65%がより好ましく、50〜60%がさらに好ましい。該値が40%未満では、SiOの供給量が少なく、フライアッシュの活性が十分でない。また、フライアッシュ中のAlの含有率は10%以上が好ましく、15〜35%がより好ましく、20〜30%がさらに好ましい。該値が10%未満では、Alの供給量が少なく、フライアッシュの活性が十分でない。
石炭灰のブレーン比表面積は1500cm/g以上が好ましく、2500cm/g以上がより好ましく、3000cm/g以上がさらに好ましく、3500cm/g以上が特に好ましい。該値が1500cm/g未満では、SiOやAlの溶出が遅い傾向にある。
(2)スラグ
スラグは、高炉スラグ、製鋼スラグ、下水汚泥溶融スラグ、および石炭ガス化溶融スラグ等から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。スラグは、石炭灰と同様に、ジオポリマーにおいて活性度の高いフィラーとして機能するほか、SiやAlの供給源として機能する。これらのスラグの中でも、高炉スラグおよび石炭ガス化溶融スラグは、前記機能が高いため好ましい。
高炉スラグ中のSiOの含有率は20%以上が好ましく、25〜45%がより好ましく、30〜40%がさらに好ましい。該値が20%未満では、SiOの供給量が少なく、高炉スラグの活性が十分でない。また、高炉スラグ中のAlの含有率は10%以上が好ましく、12〜25%がより好ましく、14〜20%がさらに好ましい。該値が10%未満では、Alの供給量が少なく、高炉スラグの活性が十分でない。
また、石炭ガス化溶融スラグ中のSiOの含有率は40%以上が好ましく、45〜65%がより好ましく、50〜60%がさらに好ましい。該値が40%未満では、SiOの供給量が少なく、石炭ガス化溶融スラグの活性が十分でない。また、石炭ガス化溶融スラグ中のAlの含有率は10%以上が好ましく、15〜35%がより好ましく、20〜30%がさらに好ましい。該値が10%未満では、Alの供給量が少なく、石炭ガス化溶融スラグの活性が十分でない。
高炉スラグの塩基度は1.4以上が好ましく、1.6以上がより好ましく、1.8以上がさらに好ましい。該値が1.4未満では高炉スラグの活性が低い傾向にある。なお、塩基度は、通常、蛍光X線分析による、CaO、MgO、Al、およびSiOの各成分の分析値(質量%)に基づき下記式により算出する。
塩基度=(CaO+MgO+Al)/SiO
また、高炉スラグのガラス化率は98〜100%が好ましい。該値が98%未満では高炉スラグの活性が低い傾向にある。なお、ガラス化率は、通常、偏光顕微鏡を用いて高炉スラグ中の結晶化部分とガラス化部分をポイントでカウントし、全ポイント数に対するガラス化部分のポイント数の割合で表わす。
スラグのブレーン比表面積は、2000〜8000cm/gが好ましく、2500〜6000cm/gがより好ましく、3500〜5500cm/gがさらに好ましい。該値が2000cm/g未満では、SiOやAlの溶出が遅く、8000cm/gを超えるとコスト高になる。
(3)アルカリ活性剤
本発明に用いるアルカリ活性剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、および珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。これらの中で、水酸化ナトリウムと珪酸ナトリウムの組合せは、ジオポリマーの圧縮強度が高く、低コストであるため好ましい。
(B)アルカリ活性剤/(A)フィラーの質量比は0.05〜1が好ましく、0.1〜0.9がより好ましく、0.3〜0.8がさらに好ましく、0.46〜0.7が特に好ましい。該比が0.05〜1の範囲でジオポリマーの強度発現性が良好になる。
(4)水
本発明で用いる水は、限定されず、水道水、再生水、海水等が挙げられる。
また、(B)アルカリ活性剤中のアルカリ金属/(C)水のモル比は、0.10以上が好ましく、0.15〜0.50がより好ましく、0.20〜0.45がさらに好ましく、0.24〜0.40が特に好ましい。該比が0.10未満ではジオポリマーの強度発現性が不十分になる。
また、アルカリ活性剤のpHは9以上が好ましく、10以上がより好ましく、11以上がさらに好ましく、12以上が特に好ましい。該値が9以上であれば、フィラーの活性が高まる。
(5)その他の構成成分
本発明の放射性物質の固定化材は、ジオポリマーの強度をより高めるために、シリケートアニオンやアルミネートアニオンを架橋する成分を含んでもよい。該成分は、2価以上の金属が好ましく、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、および鉄等の塩、水酸化物、および酸化物などが挙げられ、具体的には、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、(ポリ)塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、酸化第一鉄、酸化第二鉄、硫酸第一鉄、および硫酸第二鉄等から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。
また、本発明の放射性物質の固定化材は、ジオポリマーの強度が低下しない範囲で、さらに、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等を含んでもよい。
2.放射性汚染物の処理方法
該処理方法は、固定化材と放射性汚染物を混練した後、必要に応じて養生して硬化させ、得られたジオポリマー硬化体を保管するものである。固定化材/放射性汚染物の質量比は、放射性汚染物の性状等にも拠るが、通常、0.1〜15が好ましく、0.5〜10がより好ましい。
また、本発明における処理対象物は、使用済み燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いた、低レベルの放射性汚染物であり、例えば、汚染ダスト、汚染土、および汚染灰等である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.模擬汚染ダストの調製
ブレーン比表面積が2000cm/gのクリンカダストに塩化セシウム(試薬1級)を混合して、セシウムの含有率が100ppmの模擬汚染ダストを調製した。ここで、クリンカダストとは、セメントキルンの窯尻からボトムサイクロンに至るまでの排ガスの流路から、排ガスの一部を抽気し冷却して得たダストであり、アルカリ金属、特にカリウムを比較的多く含む点に特徴がある。用いたクリンカダストの主な化学組成を以下に示す。
SiO;8.9%、Al;3.8%、Fe;2.1%、CaO;56.5%、SO;10.3%、NaO;0.77%、KO;9.3%、Cl;5.8%
2.セシウムの固定化試験等
表1に示す配合に従い、クリンカダストを含むスラリーを調製した後、30℃で24時間養生してジオポリマー硬化体を作製した。次に、該硬化体の圧縮強度をJIS A 1108に準じて測定し、また、該硬化体からのセシウムの溶出量を環境庁告示46号に準じて測定した。また、比較のために、普通ポルトランドセメントを用いて、蒸気養生(60℃で8時間)して作製したセメント硬化体からのセシウムの溶出量等を前記と同様にして測定した。これらの結果を表1に示す。
なお、試験に用いた粉体のブレーン比表面積は、フライアッシュが3100cm/g、高炉スラグが4000cm/gであった。
Figure 2013190257
表1に示すように、セシウムの溶出率は、セメント硬化体では1.2%(比較例1)と2.3%(比較例2)であるのに対し、本発明の固定化材では検出限界以下(0.02mg/l未満)であった。したがって、本発明の固定化材は、カリウム等の塩類を多く含む放射性汚染物に対しても、セシウムの固定化能が高いことがわかる。

Claims (5)

  1. (A)石炭灰、およびスラグから選ばれる少なくとも1種以上のフィラーと、(B)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、および珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ活性剤と、(C)水とを含む、放射性物質の固定化材。
  2. (B)アルカリ活性剤/(A)フィラーの質量比が0.05〜1である、請求項1に記載の放射性物質の固定化材。
  3. (B)アルカリ活性剤中のアルカリ金属/(C)水のモル比が0.1以上である、請求項1または2に記載の放射性物質の固定化材。
  4. 前記固定化材/放射性汚染物の質量比が0.1〜15となるように混合して放射性物質を固定化する、放射性汚染物の処理方法。
  5. 前記放射性汚染物が、汚染ダスト、汚染土、および汚染灰から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項4に記載の放射性汚染物の処理方法。
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