実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、
基板上に磁気記録層を形成して加工前の磁気記録媒体を形成する工程、
磁気記録層上に剥離層を形成する工程、
剥離層上にマスク層を形成する工程、
マスク層上にレジスト層を形成する工程、
レジスト層上へ凹凸パターンを形成する工程、
凹凸パターンをマスク層へ転写する工程、
凹凸パターンを剥離層へ転写する工程、
凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程、及び
剥離層を除去すると共に、剥離層上に残存する層を剥離して、パターン加工された磁気記録媒体を得る工程を含む。
剥離工程では、剥離層を溶解可能な第1の溶媒を含む第1の相、及び該第1の溶媒と分離する性質を持つ第2の溶媒を含む第2の相を有する相分離剥離液を用意し、まず、その第1の相に、磁気記録層上に残存する剥離層、マスク層、及びレジスト層と共にパターン加工された磁気記録媒体を浸漬し、剥離層を除去し、かつ剥離層上に設けられたマスク層、及びレジスト層を剥離する。その後、パターン加工された磁気記録媒体を第2の相に移動せしめ、剥離層及び剥離層上に残存する層を含む第1の相から分離させる。
実施形態によれば、相分離剥離液は分離した少なくとも2種類以上の溶媒を含む。また、剥離層は分離した剥離液のいずれかに可溶なものから選択される。さらに、分離した溶液界面に対してパターン加工された磁気記録媒体を通過させることで、一方の溶媒により物理的に剥離層をパターン加工された磁気記録層上から掻き取るように除去することができる。
実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法によれば、2種類以上に分離した溶媒を含む相分離剥離液を用いることにより、磁気記録媒体の磁気記録層上から除去したマスク層に起因するダストを第1の相中に留め、これにより、第2の相に移動した磁気記録媒体へのダストの再付着を抑制することができるため、媒体のHDI特性の改善が可能となる。ブラシなどによる物理的な洗浄では媒体上の洗浄傷が大きくなるが、溶媒による物理的な剥離では洗浄傷を極めて少なくし得る。また、分離した溶液界面による物理的な剥離を行なうことで、剥離層を完全に溶解しなくても磁気記録層上から剥離が可能であるため、剥離層の厚さを薄くすることができる。さらに、剥離層厚の位置による差異は、剥離後のパターンの面内ムラを生じる要因となるが、剥離層の溶解と物理的な除去によりパターンの面内ムラは小さくなる。
剥離層は、第1の溶媒に可溶であり、かつ第2の溶媒に難溶である材料を選択することができる。
相分離剥離液は、酸溶媒、アルカリ溶媒、有機溶媒のいずれか1つを含むことができる。
記レジスト層は、少なくとも2種類の異なるポリマー鎖を有する自己組織化膜であり得る。
レジスト層の凹凸パターンは、ナノインプリントにより形成することができる。
マスク層とレジスト層の間にパターン転写層をさらに設けることができる。
また、実施形態によれば、上記方法により作成された磁気記録媒体が提供される。
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、以下の2通りの方法を含む。
図1に、第1の実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の製造方法の一例を示す。
第1の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、図1(a)に示すように、基板1上に磁気記録層2を形成し、加工前の磁気記録媒体を得る工程、磁気記録層2上に剥離層3を形成する工程、剥離層3上にマスク層4を形成する工程、マスク層4上にレジスト層5を形成する工程、図1(b)に示すように、レジスト層5に凹凸パターンを設ける工程、図1(c)に示すように、凹凸パターンをマスク層4へ転写する工程、図1(d)に示すように、凹凸パターンを剥離層3へ転写する工程、図1(e)に示すように、凹凸パターンを磁気記録層2へ転写する工程、相分離剥離液のうち剥離層3を溶解可能な第1の相に、パターン加工された磁気記録層2と基板1を含む磁気記録媒体を、磁気記録層2上に残存する剥離層3,マスク層4,レジスト層5と共に浸漬して剥離層3を溶解すると共に、残存している層4,5を剥離する工程、及び磁気記録媒体を第2の相に移動して、磁気記録媒体を剥離層3及び剥離された層4,5と分離して、図1(f)に示すように、パターン加工された磁気記録媒体を得る工程を含む。さらに、図1(g)に示すように、磁気記録層2上に保護層6を形成することができる。
図2に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
第2の実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の製造方法は、図2(a)に示すように、磁気記録層2上に剥離層3を形成する前に追加のマスク層として第1のマスク層7を形成する工程をさらに含み、第1のマスク層7上に剥離層3を形成する工程、剥離層3上に第2のマスク層4を形成する工程、第2のマスク層4上にレジスト層5を形成する工程、図2(b)に示すように、レジスト層5に凹凸パターンを設ける工程、図2(c)に示すように、凹凸パターンを第2のマスク層4へ転写する工程、図2(d)に示すように、凹凸パターンを剥離層3へ転写する工程、図2(e)に示すように、凹凸パターンを第1のマスク層7へ転写する工程、凹凸パターンを磁気記録層2へ転写する工程、相分離剥離液のうち剥離層3を溶解可能な第1の相に、パターン加工された磁気記録層2と基板1を含む磁気記録媒体を、磁気記録層2上に残存する第1のマスク層7,剥離層3,第2のマスク層4,レジスト層5と共に浸漬して剥離層を溶解すると共に、剥離層3上に残存している層4,5,6を剥離する工程、及び第1のマスク層7が設けられた磁気記録媒体を第1の相に移動して、基板を剥離層3及び剥離された層4,5,6と分離して、図2(f)に示すように、マスク層7が設けられた磁気記録媒体を得る工程を含む。さらに、図1(g)に示すように、ドライエッチングもしくはウェットエッチングにより第1のマスク層を除去し、を磁気記録層2上に保護層6を形成することができる。
第2の実施形態において、第1のマスク層7は第2のマスク層4とのエッチング選択比を大きくできる材料から選択され得る。
さらに、実施形態にかかる垂直磁気記録媒体は、第1ないし第2の実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の製造方法を用いて作成され得る。
レジスト層に凹凸パターンを設ける方法として、例えばエネルギー線を用いたリソグラフィー、ナノインプリント、あるいは少なくとも2種類以上のポリマー鎖を有するブロックコポリマーからなる自己組織化膜を用いたパターニング等が挙げられる。
図3に、自己組織化リソグラフィーによる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
自己組織化膜を用いる場合は、図1(a)に示すようにマスク層4の上にレジスト層5を形成し、及び図1(b)に示すようにフォトリソグラフィーにより凹凸パターンを転写する代わりに、図3(a)に示すように2種類以上のポリマー鎖を有するブロックコポリマーからなる自己組織化層8を形成し、図3(b)に示すように、例えば,熱アニールを行うことにより、自己組織化層8にミクロ相分離構造11,12を形成した後、図3(c)に示すように1種のポリマー相12を選択的に除去し、残存したポリマー11をマスクとすることで凹凸パターンを転写すること以外は、図3(d)ないし(h)の工程と、図1(c)ないし(g)の工程は同様である。
図4に、ナノインプリントによる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
ナノインプリントを用いる場合は、図1(a)と同様に図4(a)に示すようにマスク層4の上にレジスト層5を形成した後、図1(b)に示すようにフォトリソグラフィーにより凹凸パターンを転写する代わりに、図4(b)に示すようにスタンパーをレジスト層5上に適用して加圧することにより、図4(c)に示すように凹凸パターンを転写し、図4(d)に示すように凸パターン間のレジスト残渣を例えばドライエッチングにより除去すること以外は、図4(e)ないし図4(i)の工程と、図1(c)ないし(g)の工程は同様である。
以下に、実施形態に用いられる各工程について示す。
垂直磁気記録層形成工程
まず、基板上に垂直磁気記録層を形成し、垂直磁気記録媒体を得る。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凹凸は小さいことが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。ガラス基板には、ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラスや、リチウム系ガラスに代表される結晶化ガラスを用いることができる。また、セラミックス基板にはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
基板上にはコバルトを主成分とした垂直磁気記録層を有する磁気記録層が形成される。ここで、基板と垂直磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。軟磁性裏打ち層には例えばFe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス
材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、その合金、その酸化物、及びその窒化物などを用いることができ、例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの層は複数で構成されても構わない。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含有することで、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiO2な、CoCrPtSiO2などの合金を用いることが可能である。垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために5nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好
ましい。5nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある
。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向が
ある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。カーボンはsp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp2結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などが挙げられる。以上により、基板上に垂直磁気記録媒体が形成される。
剥離層形成工程
続いて、磁気記録層上に剥離層を形成する。剥離層はウェットエッチングにより剥離され、最終的にはマスク材料を磁気記録層上から除去する役割を果たす。前述のごとく、剥離層は相分離剥離液の少なくとも2種類以上の溶媒のいずれかに可溶であればよく、溶媒との種類を考慮して選定できる。
剥離層は種々の無機材料あるいは高分子材料の群から選定できる。剥離層に使用可能な無機材料として、例えば、C元素、及びMo、W、Zn、Co、Ge、Al、Cu、Au、Ni、及びCrなどの金属から選択することが可能であり、これらの無機材料は、酸溶液もしくはアルカリ溶液を用いて剥離できる。
また、剥離層に使用可能な高分子材料としては、例えば汎用レジスト材料に代表されるノボラック樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、メチルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシスチレン、ポリアクリル酸、ポリアリリック酸、ポリアミック酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、マレイン酸、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアミドアミン、ポリメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルセルロースなどが挙げられる。これらのレジスト材料は有機溶媒もしくは水を用いて剥離できる。なお、これらの材料はエッチング耐性を向上させるために、金属を含有するコンポジット材料でもよい。
金属材料からなる剥離層は、例えば、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD)などにより形成できる。また、高分子材料をはじめとする剥離層は、高分子材料を溶媒で溶解した前駆体溶液をスピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法などの方法により塗布することで形成できる。
剥離層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においてプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを変更することで適宜調整が可能である。また、高分子材料を用いる場合は、高分子剥離層前駆体溶液の濃度や成膜時に設定する基板回転数、塗布時間などのパラメータで適宜変えることができる。凹凸パターンの転写においては、剥離が可能かつ凹凸の倒壊が生じないように、パターン寸法に応じて剥離層の厚さを調整することもできる。
マスク層形成工程
剥離層上部には凹凸パターンを転写するためのマスク層を形成する。
このマスク層は磁気記録層の加工における主マスクとなるため、エッチング選択比を維持できるような材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、例えば、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Auなどが挙げられ、これらの化合物もしくは合金からなる材料をマスク層へ適用することもできる。この場合は、マスク層の上に形成されるレジスト層の凹凸パターンに対してエッチング選択比を確保し得るマスク材料とその膜厚を適切に決定すればよい。
マスク層は、剥離層と同様に、物理的気相成長法や化学的気相成長法により形成することができる。
また、マスク層の厚さは、剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凹凸パターン寸法を考慮して決定することができる。第1のマスク層の厚さは、マスク層成膜の際には、例えばプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、及び成膜時間などのパラメータを変えることで調整できる。
このマスク層上部に形成される凹凸パターンの転写均一性は、マスク層の表面ラスネスに依存することころが大きい。従って、第1のマスク層においてはその表面ラフネスに依存するところが大きいため、結晶質よりも非晶質の材料にすることでラフネスを低減することができる。
さらに、マスク層は、エッチング可能な第1の層および第1の層とは異なる材料から構成される転写層からなる多層体で構成することが可能である。この場合は、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を最適に選択しておくとよい。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi2、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO2、Si3N4、SiCなどで置き換えた構成でも良い。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO2、Al/TiN、Cr/Al2O3、Cr/Ni、Cr/MoSi2、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。
マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択しても構わない。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによる凸部パターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定するのが好ましい。
レジスト層形成工程
次に、マスク層上に凹凸パターン形成用のレジスト層を形成する。
レジスト層に微細な凹凸パターンを形成するために、例えば、ノボラック樹脂などに代表される紫外線・電子線露光用レジストや、熱や紫外線照射による硬化作用を有するナノインプリント用レジストや、高分子の自己組織化膜などを適用することが可能である。
露光あるいはナノインプリントを行う場合に用いるレジスト層は、前述の剥離層と同様に前駆体溶液の塗布を行うことで形成できる。この場合は、パターンピッチや下層のマスク層へのエッチング選択比を勘案してレジスト層の厚さを決定すればよい。また、レジスト層は1層ではなく、転写工程に合わせて、例えば感度の異なるレジスト層を多層構造にすることができる。レジスト材料の種類には何ら限定はなく、主鎖切断型、化学増幅型、架橋型などの各種レジスト材料を用いることが可能である。
また、マスク層上部に凹凸パターン形成用の自己組織化層を形成し、これを凹凸パターンに転写することも可能である。自己組織化膜は少なくとも異なる2つのポリマー鎖を有するジブロックコポリマーに代表され、その基本構造は(ブロックA)−(ブロックB)のように化学的特性が相互に異なるポリマー同士の末端が共有結合しているものである。自己組織化膜はジブロックコポリマーに限定されるわけではなく、他にもトリブロックコポリマーやランダムコポリマーを使用することができる。
ポリマーブロックを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチルアクリル酸、ポリプロピルアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリラクチド、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリアクリルアミドなどが挙げられ、これらの中から異なる2種類以上のポリマーを用いてブロックコポリマーを構成することができる。
ブロックコポリマーを用いた自己組織化膜はスピンコーティング法などによりマスク層上に成膜できる。この場合は、各相を構成するポリマー同士が相溶となるような溶媒を選択し、これを溶解させた溶液を塗布液として用いる。
具体的な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテルなどを選択できる。
自己組織化膜の膜厚は、これらの溶媒を用いた際の塗布液の濃度や成膜時に設定する各種パラメータを用いて変更することができる。
自己組織化膜は熱などのエネルギーが付与されることでポリマー同士が相分離し、膜内部にミクロ相分離構造が形成される。ミクロ相分離構造は、自己組織化膜を構成するポリマーの分子量などにより異なる様相を呈し、例えばジブロックコポリマーにおいてはポリマーAの海状(マトリックス)パターンにポリマーBの島状ドットあるいはシリンダー構造が形成される他、ポリマーAおよびBが積層となるラメラ構造や、海島パターンが逆転したスフィア構造が形成され得る。このパターンにおける一方のポリマー相を選択的に除去することにより、自己組織化膜の凹凸を形成することができる。
自己組織化膜のミクロ相分離構造を形成する際には外部からエネルギーを付与する。エネルギーの付与は、熱を用いたアニールや、あるいは溶媒雰囲気中に試料を曝露する、いわゆる溶媒アニール等によって行うことができる。熱アニールを行う際は、自己組織化膜の配列精度を劣化させることなく、かつ例えば剥離層として使用され得る高分子層を分解させないように温度を適切に設定しておくことができる。
なお、自己組織化パターンの配列精度を向上させるため、マスク層上部を化学的に修飾することができる。具体的にはブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマー相をマスク表面に修飾しておくことで、ブロックコポリマーの配列を改善できる。この場合は、ポリマーの塗布・アニール・リンスにより分子レベルでの表面修飾が可能である。この上に前述のブロックコポリマー溶液を塗布することで、面内均一性の良いパターンを得ることが可能となる。
これらのレジスト層における凹凸パターン転写が困難となる場合は、前記マスク層とレジスト層との間にパターン転写層を挿入することができる。この場合は、レジスト層とマスク層とのエッチング選択比が確保できる材料を選定することができる。
レジスト層パターニング工程
エッチングによりレジスト層に凹凸パターンを形成する。
まず、凹凸パターンをレジスト層へ転写するために、エネルギー線を用いた露光を行うことができる。露光方法としては、KrF、ArFをはじめとした紫外線露光や電子線露光、荷電粒子線露光、及びX線露光などを適用することができる。露光マスクを介した照射の他、干渉露光、縮小投影露光、直接露光などを行なうことができる。
まず、微細パターンを電子線露光により形成する例を説明する。電子線描画装置は電子線の照射方向と直交する2軸方向においてステージの移動機構を有するx−y描画装置と,1軸移動機構に回転機構を加えたx−θ描画装置が挙げられる。x−y描画装置を用いる場合は,描画フィールド間のつなぎ精度を悪化させないようにステージを連続して駆動させることができる。また,円心パターンを描画する場合はステージを継続して回転するx−θ描画装置を用いることができる。
また、同心円パターンを形成する際には、ステージ駆動系とともに電子線に対して偏向を加えることができる。この場合は、描画パターンに対応した偏向信号を独立に制御するために、信号源と呼ばれる情報処理装置を使用する。信号源では電子線の偏向ピッチや偏向感度、描画ステージの送り量などを独立に制御することが可能である。これにより、基板1回転毎に電子線に対して偏向信号を送信することで、描画パターンを同心円形状にできる。
次いで、成膜したレジスト膜に対して露光、現像を行うことでレジスト膜をパターニングする。レジスト膜に対する有機現像液としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチルのようなエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルアセテートのようなケトン系溶剤、アニソール、キシレン、トルエン、テトラリンなどの芳香族系溶剤、及びエタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などを用いることができる。また、アルカリ現像液としてはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドなどを用いることが可能である。次いで、湿式リンスを行いレジスト膜上の現像液を除去する。ここで用いるリンス液は現像液と相溶の関係にあることが望ましく、代表的なものとしてイソプロピルアルコールなどが挙げられる。現像およびリンスにおいては、液温、粘度、混合比など溶液に関するパラメータに加え、現像時間を調整することで所望のパターン寸法を得る。
なお、分離した溶媒を用いた相分離剥離液は現像工程でも適用可能である。この場合は、露光後のレジストパターンが一方の溶媒に対して可溶となればよい。現像後のダストは一方の溶媒に留まるため、これにより現像後のダストの再付着を抑制でき、パターンの平坦性と均一性を両立可能となる。例えば、後述のナノインプリントスタンパーをマスター原盤から作製する場合は、マスター原盤上のレジストパターンを現像する際に上記の如く相分離剥離液を用いることでダストが少ないスタンパーが得られる。
レジスト膜上のリンス液を乾燥することで所望のレジスト凹凸パターンが得られる。乾燥方法としては、N2のような不活性ガスを直接試料に吹き付ける方法や、リンス液の沸点よりも高い温度で基板を加熱することでリンス液を揮発させる加熱乾燥の他、スピン乾燥、超臨界乾燥などを適用することができる。上記のようにして、レジスト膜の凹凸パターンを電子線露光により得ることができる。
また、凹凸パターンをレジスト層へ転写する方法として、レジスト層として自己組織化層を形成し、エッチングにより凹凸パターンを形成することができる。
図示するように、この製造工程は、マスク層上にレジスト層を形成する工程の代わりに、マスク層上にレジスト層の1種として少なくとも2種類の異なるポリマー鎖を有する自己組織化層を形成する工程を行い、レジスト層に凹凸パターンを設ける工程の代わりに、自己組織化層を相分離させ、片方のポリマー層を選択的に除去する工程を行うこと以外は、図1と同様である。
凹凸パターンは、ブロックコポリマーにおける相を選択的に除去したものである。例えば、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンの系からなるジブロックコポリマーでは、分子量を適切に設定することで海状ポリスチレン中に島状ポリジメチルシロキサンのパターンが形成される。これをエッチングし、片方のポリマー層例えば海状ポリスチレンを選択的に除去することで、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンのドット状凹凸パターンが得られる。
自己組織化層の凹凸をエッチングで形成する場合、薬液中に試料を浸漬するウェットエッチングの他、活性種による化学反応を用いたドライエッチングを適用できる。微細パターンの幅寸法に対し、厚さ方向へのパターニングを高精細に行う際は、幅方向へのエッチングを抑制可能なドライエッチングを適用することができる。
ポリマー相のドライエッチングでは活性ガス種を適切に選択することで、エッチング選択比を維持したままパターニングすることが可能である。一般的に、ベンゼン環のようにCおよびHを多く含む材料はエッチング耐性が高く、凹凸加工用マスクとしては好適である。ブロックコポリマーのように、互いに異なる組成のポリマーを適切に組み合わせた場合はエッチング選択比を大きくできるため、前記凹凸パターンを形成することができる。例えば、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンにおいては、ポリジメチルシロキサンはCF4などのフッ素系ガスで、ポリスチレンはO2ガスを用いることで容易に除去可能であり、両者の間でエッチング選択比を確保することができる。
自己組織化パターンを下層マスクへ直接転写するのが困難な場合は、自己組織化膜と金属マスク層との間に別途転写層を設けることができる。例えば、ブロックコポリマーの片方の層を除去できるエッチングガスを用いることが可能なマスク材料を転写層として用いることができる。ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンを一例とした場合、ポリスチレンはO2エッチングが可能であるため、カーボン膜を転写層とすればO2のみでポリマーおよび転写層を一括でエッチングすることができる。海状ポリマーがポリジメチルシロキサンの場合はCF4ガスを用い、転写層をSiにすれば同様にエッチングが可能である。以上により、自己組織化膜の相分離パターンを凹凸形状に加工することができる。
各層自己組織化膜とのエッチング選択比を確保困難である場合は、マスク層上に更にパターン転写層を形成することができる。この場合も、上層の自己組織化膜がエッチング可能であるような材料を選定し、転写層へ適用することができる。
また、凹凸パターンをレジスト層へ転写する方法として、ナノインプリントリソグラフィーによる凹凸パターン形成も使用可能である。
ナノインプリントは、微細凹凸パターンが表面に形成されたスタンパを転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、広範に渡るレジストパターンを一括転写できる。したがって、短時間の処理によるスループットの改善が大きく期待されている。
ナノインプリントスタンパは、リソグラフィーなどで形成された微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤から取得することが可能であり、多くの場合は、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO2、SiC、SiOC、Si3N4などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いても良い。また、基板の3次元的な形状に関する限定は何ら無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。
上記の如くレジスト層の形成と電子線露光による描画を行い、現像・リンスを経て凹凸を有するレジストパターンがマスター原盤上に形成される。このレジスト凹凸パターンをエッチングによりマスク層あるいは基板側へエッチングにより転写することで、基板側からマスク層、あるいは基板の凹凸パターンを具備したマスター原盤が得られる。
マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパの作製方法を説明する。まず、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、凹凸パターンの表面にNi薄膜を成膜する。電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、Ni薄膜は凹凸パターンの表ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。なお、この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なってもよく、NiP、NiBなどを形成することができる。
続いて、マスター原盤をスルファミン酸Ni浴に浸漬・通電し、電鋳を行う。めっき後の膜厚、すなわちスタンパの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。
このようにして得られたスタンパを基板上から離型する。離型後のスタンパーの凹凸表面にレジスト層が残存している場合は、エッチングを行うことで残渣を除去し、凹凸パターンを露出させればよい。最後に、円形、矩形などの所望の形状に加工することで、ナノインプリント用スタンパーが得られる。
得られたスタンパーを用いて、凹凸パターンをレジスト層へ転写する。この際、スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを電鋳することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。ここでは、樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用すれば良く、さらにインプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することが好ましい。射出成型を行った後、Niスタンパー上から剥離することで凹凸を有する樹脂スタンパーが得られる。
この樹脂スタンパーを用い、金属マスク層上のレジスト層へ凹凸パターンを転写する。レジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとしたレジスト材料を用いることが可能であり、イソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
これらのレジスト材料を、上記のような磁気記録層および金属マスク層を有する試料上に塗布し、レジスト層を形成する。次いで、レジスト層に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパーをインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパーがレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層を硬化させ、次いで樹脂スタンパーを離型すればレジスト層の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパーの離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー凹凸表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておくことができる。
レジスト層の凹部はレジスト材料が残渣として存在しているため、これをエッチングにより除去する。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2エッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチャントを適宜変更しても構わない。以上のようにして、ナノインプリントにより磁気記録媒体上へ凹凸パターンを形成できる。
マスク層パターニング工程
引き続き、レジスト層の凹凸パターンをマスク層へ転写する。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
前述のレジスト層の場合と同様に、凹凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することができる。ドライエッチングで使用され得るプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凹凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするために金属材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF4、C2F6、C3F6、C3F8、C5F8、C4F8、ClF3、CCl3F5、C2ClF5、CCBrF3、CHF3、NF3、CH2F2などのフッ素系ガスや、Cl2、BCl3、CCl4、SiCl4などの塩素系ガスがあげられる。その他、H2、N2、Br2、HBr、NH3、CO、C2H4、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、エッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得る場合は、ウェットエッチングによりパターニングを行なう
ことができる。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行なうことができる。
マスク層はレジスト層との組み合わせにより多様な構成となり得るが、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にできる。
剥離層パターニング工程
続いて、凹凸パターンを剥離層へ転写する。
マスク層の場合と同様に、エッチングにより凹凸パターンを転写することができるが、ウェットエッチングを行うと剥離層が溶解されてしまうため、マスク層が倒壊し得る。したがって、ドライエッチングによりパターン転写を行うことができる。
化学的に活性なガスを用いてドライエッチングを行う場合は、特に、高分子剥離層表面の改質を少なくすることがプロセス上重要となる。エッチングにより表面が改質されるとプラズマやエッチング溶液に対する剥離性が低下する。例えば、Siマスクの除去と同様にフッ素系ガスを用いたドライエッチングを行うと、高分子剥離層の表面がエッチングガスによって改質され、有機溶媒および水に対して難溶となるため、マスクの剥離性が著しく劣化する。この場合はエッチングガスを適切に選べば良く、例えば、O2ガスを用いたドライエッチングを行うことで剥離性の劣化を避けることができる。
剥離層と磁気記録層のパターニングでは、各層を別個にエッチングしてもよいが、イオンミリングなどの方法により両者を一括で加工することができる。
磁気記録層パターニング工程
次に、凹凸パターンを剥離層下部の磁気記録層へ転写する。
磁気的な孤立ドットを形成するためには、上記の反応性イオンエッチングやミリング法を適用して凹凸パターンを設けるのが代表的な方法である。この場合は、エッチングガスにCOやNH3を適用する方法や、Arなどの不活性ガスを用いたイオンミリングによりパターニングすることができる。
イオンミリングにより磁気記録層へ凹凸を転写する場合、エッチング、ミリングによりマスク側壁に向かって飛散する副生成物いわゆるリデポ成分を抑制する必要がある。このリデポ成分は、凸パターンの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋めることになるため、分断された磁気記録層パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることが重要である。また、剥離層下部の磁気記録層のエッチング時に生じたリデポ成分が剥離層側面を被覆すると、剥離層が剥離溶液に対して曝露されなくなってしまい、剥離性が劣化することになるため、やはりリデポ成分は少ないことが望ましい。
磁気記録層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更することができる。
剥離工程
続いて、磁気記録層上のマスクパターンを剥離層ごと除去することで、凹凸パターンを有する磁気記録層を得る。
上述のように、剥離層は金属あるいは高分子材料から構成されており、これを溶解可能な酸・アルカリ・有機溶媒を用いたウェット剥離で除去可能である。
種々の溶媒は、その組み合わせにより相溶および難溶の関係が成立するが、ここでは互いに難溶で分離する溶媒を用いる。
溶媒それぞれが溶解あるいは分離のし易さを表す指標として溶解度パラメータがある。溶解度パラメータは溶媒固有の値であり、それぞれの値の差が大きいほどその溶媒は分離し易いことを示す。例えば、溶解度パラメータが低いヘキサン(7.3)やキシレン(8.8)は、溶解度パラメータの大きい水(23.4)と容易に分離することになる。2層に分離する溶媒の組み合わせとしては、水−アニソール、水−シクロヘキサン、水−トルエン、水−酢酸アミルなどが挙げられており、これを剥離溶液として用いることができる。
図5に、実施形態に使用される相分離剥離液の一例を表す模式図を示す。
図示するように、容器16に収容された、2相に分離する相分離剥離液15は、その比重により上相14・下相13のどちらに分離するかが決定される。ここでは便宜上、下相13に剥離層を溶解可能な第1の溶媒と上相14に分離した第2の溶媒を用いた場合について説明する。前述のように、溶媒を分離するためには溶解度パラメータの差が大きければよく、一方の溶媒として水を用いるのが好適である。一例として、水とアニソールを用いた例においては、アニソールの比重は水のそれよりも小さいため、第1の溶媒を水、第2の溶媒をアニソールとしてそれぞれが分離することになる。
図6(a)ないし図6(e)に、実施形態にかかる剥離工程の一例を表す模式図を示す。
ここでは、水溶性レジストを剥離層として適用した場合について説明する。
図6(a)に示すように、相分離剥離液15に試料17を浸漬すると、上相14の第2の溶媒ではレジストが溶解されないが、図6(b)に示すように、第1の溶媒に浸漬すると水溶性レジストが水によって溶解される。また、図6(c)に示すように、試料17を第2の溶媒に引き上げようとすると、第1の溶媒は試料17と共に引き上げられるが、疎水性である第2の溶媒とは相溶でないために下相13へ戻ろうとする。
図7(a)ないし(d)に試料17を第2の溶媒に引き上げる様子を表す図を示す。
このとき、図7(a)に示すように、試料17を下相13に浸漬した後、上相14の第2の溶媒に引き上げると、図7(b)に示すように下相13へ戻る第1の溶媒は試料17上の剥離層3を溶解し、かつ図7(c)に示すように剥離層3の上に設けられたマスク層4及びレジスト層5ごと下相13に戻ろうとするため、試料17上から物理的にマスク層を剥離する効果を発現する。剥離されたマスク層などのダスト18は親水性の第1の溶媒とともに下相13にのみ留まり、図6(d)及び図7(d)に示すように疎水性の第2の溶媒には遊離しない。したがって、試料17の引き上げに伴うダスト18の再付着は第2の溶媒では起こりえず、結果として、図6(e)に示すように、平坦性の良い媒体が得られることになる。また、分離した溶媒に対して磁気記録層が難溶であれば、記録層からの溶出は極めて少なくなるため、磁気特性の劣化を抑えることもできる。さらに、水を有機溶媒と混合する場合は、有機溶媒のみを用いる従来例に対して使用量を削減でき、コスト低減につながる。
溶液界面の通過は複数回に渡っても構わず、これにより媒体表面が清浄化される。
上記では第1の溶媒で剥離層を溶解し、第2の溶媒で試料表面の洗浄を実現し得るが、溶媒の上下が逆転していても構わない。
上相で第1の溶媒により剥離層を溶解し、下相で第2の溶媒により洗浄を行なうことも可能である。ただし、ダストは上層側の第2の溶媒に遊離しているため、試料を引き上げる前にあらかじめ第2の溶媒を排出しておくことが望ましい。
第1の溶媒は水に限定されるわけではなく、剥離層を溶解しかつ第2の溶媒と分離するような水溶液であってもよい。溶媒が水を含むもので溶解が促進されてしまう場合は脱水剤を添加することができる。具体的な脱水剤としては無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムなどが挙げられる。脱水剤を添加した溶液をろ過すれば、水が極めて少ない清浄な溶媒として使用することが可能となる。
分離した溶媒でダストとなり得る析出が生じた場合は、適宜ろ過するとよい。
また、分離する溶媒であれば2種類に限定されるわけではなく、多種の溶媒を適用しても構わない。
図8(a)ないし(c)に、剥離液の相分離状態の一例を表す模式図を示す。
実施形態に使用される剥離液中の極性の異なる2種類の溶媒は、その容器の表面性により分離の様相が異なる。例えば、図8(a),図8(b)に示すように、PTFEのような疎水性表面では第1の溶媒である例えば水は球状に近づくが、より好ましくは図8(c)に示すように、試料を引き上げる方向に対して直交するような分離界面が形成されているとよい。
保護層形成工程
最後に、凹凸を有する磁気記録層パターン上にカーボン系保護層と図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凹凸パターンが設けられた磁気記録媒体を得る。
カーボン保護層にはsp3結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。また、その膜厚は被覆性を維持するために2nm以上、信号S/Nを維持するために10nm以下にすることが望ましい。また、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図9に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
磁気記録層の凸パターンは図に示すように、ディジタル信号の1と0に相当するデータを記録する記録ビット領域111’と、磁気ヘッドの位置決め信号となるプリアンブルアドレスパターン112、バーストパターン113からなる、いわゆるサーボ領域114とに大別され、これを面内パターンとして形成できる。また、図示しているサーボ領域のパターンは矩形状でなくてもよく、例えば全サーボパターンをドット形状で置き換えても良い。
さらに、図10のようにサーボに加えデータ領域も全てドットパターン19で構成することも可能である。1ビットの情報は1つの磁性ドットあるいは複数の磁性ドットで構成され得る。
剥離工程に使用可能な洗浄装置
このような剥離方法を実現するための洗浄装置を構成できる。
図11に実施形態に適用可能な洗浄装置の構成の一例を示す。
この装置は第1の溶媒202および第2の溶媒201の送液弁206,205、第1および第2の溶媒の送液配管208,207、第1および第2の溶媒の貯留容器210,209、第1および第2の溶媒の加圧配管212,211ならびに第1および第2の溶媒の加圧ユニット214,213を具備した送液系を具備する。また、第1および第2の溶媒の廃液弁228,229、廃液配管215,221を具備し、これを用いて溶液を本体容器から排出する。さらに、第1および第2の廃液の廃液容器216,222、第1および第2の廃液の送液配管217,223、第1および第2の廃液のフィルタユニット218,224を具備し、これを用いて廃液を送液するとともに、第1および第2の廃液送液配管219,225ならびに送液弁226,227を経て廃液を本体へ循環する廃液系を具備する。廃液送液では、本体と独立して設けられた加圧ユニットを用いる。
本体容器204は溶媒の水位を逐次モニタリングできる水位センサ203を具備する。このセンサは2種類あり、溶媒の冠水を防ぐセンサと、溶媒の分離界面を計測するセンサとが設けられる。
装置は剥離溶液を充填できる容器を基に第1および第2の溶媒の送液弁206,205があり、それぞれが送液配管208,207へ接続される。送液配管は溶媒の貯留容器210,209と接続されており、この容器から新しい溶媒を追加できる。溶媒を追加する際には貯留容器210,209に接続された加圧ユニット214,213を用いる。このユニットは図示しない電子制御系およびガス送圧系から構成されており、例えばN2のような不活性ガスを加圧配管から送ることで溶媒を加圧し、送液配管208,207を経て溶媒が本体容器へ送られる。本体容器に設けられた送液弁は電子的あるいは手動操作による開閉がなされ、これにより本体容器へ溶媒を追加することが可能である。溶媒の貯留容器210,209には安全弁が設けられており、貯留容器内の圧力を随時大気圧に戻すことができる。
また、溶媒を本体容器204から排出する際には、本体容器底面に設けられた第1および第2の廃液弁228,229ならびに廃液配管215,221を通じて溶媒を排出する。廃液は独立して設けられた第1および第2の廃液容器216,222に一時的に貯留され、上記の加圧と同様の方法により廃液配管217,223へ送られる。廃液配管217,223にはフィルタユニット218,224が接続されており、このユニットにおいて廃液中のダストがろ過されることになる。なお、このフィルタユニット218,224では溶液のろ過がなされるために、各溶媒との親和性の高いフィルタを用いることが好ましい。また、フィルタ後段のフィルタ孔サイズはフィルタ前段のそれよりも小さいことが望ましく、より効率的にダストを収集可能である。
フィルタ後段に送られたろ過済みの廃液は、配管と接続された送液弁226,227を介して再び本体容器へと戻る。これにより、清浄化した廃液を循環させ、剥離溶媒として再利用することが可能である。なお、第1および第2の廃液をそれぞれ別個に回収する方法の他、本体容器内の廃液を一時貯留容器に保管し、次いでそれぞれを分離してもよい。また、廃液は一方のもののみを循環させることもできる。
本体容器には水位を計測するためのセンサが設けられる。該センサは図示しない電子制御系と接続され、溶媒の全水位と分離界面の水位を逐次計測する役割を果たす。センサの種類に限定はないが、検出と扱いが比較的容易である光学式センサが好適である。
図12に実施形態に適用可能な洗浄装置の構成の他の一例を示す。
さらに、図12のように本体容器204中には各溶媒中に遊離したダストの移動を阻害するためのフィルタ234を設置することができる。234はフィルタとその支持部材が一体化したフィルタユニットである。溶解度パラメータの差が小さいような溶媒を用いる場合は、分離溶媒界面が不明瞭となるが、このフィルタを用いること分離溶媒界面の移動に伴うダストの移動を少なくし、試料への再付着を抑制できる。
本体容器204内へフィルタ234を設置する際は、種々の組み合わせを適用できる。例えば、各溶媒との親和性が高いものや低いものでもよく、あるいは両者を組み合わせることも可能である。また、フィルタ内部の孔サイズはダストのろ過が十分に行なえるサイズが好ましい。このフィルタには試料が上下動できるようなスペースがあり、この部分のみで各溶媒も上下動する。その他の部分の溶媒はフィルタによって上下動が阻害されるため、ダストの移動が極めて少なくなる。
本体容器204に分離溶媒を充填した後、試料を浸漬することで剥離を行なうことができる。図11のように、試料は把持用ジグ233に装荷され、稼働ユニット231による上下動を行なうことで溶媒界面を通過する。前述のように、各溶媒中を往復することで剥離層の溶解と、溶媒による物理的なマスク剥離がなされ、磁気記録層上から各層を除去できる。
試料の稼働ユニット231は電子的もしくは手動操作により制御可能である。この稼働ユニット231には試料を把持するためのジグ233が設けられており、溶媒中へ伸展する機構232を有する。
図13は、図11に示す洗浄装置の動作の一部を表す図を示す。
図14は、図11に示す洗浄装置の動作の他の一部を表す図を示す。
図13、図14のように各溶媒中で試料を上下動することで往復し、前述のごとく剥離を行なうことができる。
把持用ジグ233は同様のものを複数設けた上、稼働ユニット231に接続することもできる。これにより、本体容器204中の溶媒に対して複数の試料を浸漬することが可能であり、処理枚数を増やすこともできる。
図15は、洗浄装置に試料を導入するための機構の一例を表す図である。
図16は、洗浄装置に試料を導入するための機構の他の一例を表す図である。
図17は、洗浄装置に試料を導入するための機構のさらに他の一例を表す図である。
また、試料の把持では種々の方法を適用し得る。例えば、図15のように試料を浸漬する方法や、図16のように試料のパターン面が溶媒表面に対向配置するように角度を変えて浸漬する方法もある。パターン面と溶媒との対向に当たっては、自由に角度を設けることができる。さらに、図17のように複数の試料を把持用ジグに固定し、これを溶媒中で回転させる機構を用いることができる。以上のようにして、装置を用いた剥離を行なうことが可能となる。人為的な方法と比較して試料の上下動の速度が均一化されるため、より剥離ムラが抑制された媒体を得ることができる。また、複数試料を処理可能であるため、製造コストが低減されることになる。
実施例
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
実施例1
まず、2.5インチ径ドーナツ基板上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。
ガス圧力は0.7Paとし、投入電力は500Wに設定し、基板側から10nm厚NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
続いて、磁気記録層上に剥離層を形成した。剥離層にはMo金属膜を用い、DCスパッタ法により3nm厚となるように成膜した。ここでは、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして成膜を行った。
引き続き、剥離層上にマスク層を形成した。ここではレジスト層の凹凸パターンを高精細に転写するために2層のマスクを用いることとし、基板側から30nm厚C、5nm厚Siを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.3Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次いで,パターニング用の主鎖切断型電子線ポジレジストを成膜した。電子線レジストとして日本ゼオン株式会社製のZEP−520Aを用い,アニソール(SP値:9.3)を溶媒として重量比1:3で希釈した溶液に調製した後、回転数を2500rpmに設定し基板上にスピンコートした。試料は真空ホットプレートを用いて180℃に保持した下、180秒間プリベークすることで電子線レジストを硬化させた。
次いで、ZrO熱電界放出型電子源を有し、加速電圧100kV・ビーム径3nm径のビームを具備した電子線描画装置を用い、電子線レジストにパターン描画を行った。電子線描画装置は、描画パターンを形成するための信号と、試料ステージの一方向移動機構と回転機構とを具備した、いわゆるx−θ型描画装置である。試料の描画では電子線を偏向するための信号を同期させるとともに、半径方向に対してステージを移動させている。ここで、描画線速度0.15m/s、ビーム電流値13nA、半径方向への送り量を5nmとして、電子線レジストにピッチ20nmを有するドット/スペースパターンおよびライン/スペースパターンの潜像を形成した。
これを現像することで、10nm径ドット/10nmスペース、10nm幅ライン/10nm幅スペースの凹凸パターンを解像できる。現像液には100%酢酸ノルマルアミルを成分とした有機現像液を用い,20秒間浸漬することで電子線レジストの現像を行った。
なお、ここでも剥離層の剥離と同様にして2相分離溶媒を用いることも可能であった。具体的には、第1の溶媒に水を用い、第2の溶媒に100%酢酸ノルマルアミルを用い、2層に分離した溶媒で現像を行なった。溶液は各400mLずつ用いた。まず、第2の溶媒である上層の酢酸ノルマルアミル中に試料を20秒間保持し、次いで溶液界面を通過して第1の溶媒である下層の水へ試料を移動させた。溶液界面における溶媒の移動に伴い、試料表面のマスクは均一に剥離され、かつダストは第2の溶媒に遊離しているため再付着することはなかった。試料を引き上げる際には第2の溶媒を廃棄し、第1の溶媒のみとなった容器中から試料を回収した。次いで、イソプロピルアルコールに20秒間浸漬してリンスを行い,N2の直接ブローにより試料表面を乾燥させた。
引き続き、レジスト層の凹凸パターンをマスク層へ転写した。パターン転写では、CF4ガスおよびO2ガスを用いた誘導結合型プラズマエッチングを適用した。まず、レジスト下部のSi膜を除去するためCF4ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力10Wとし、40秒間エッチングすることでレジストパターンを転写した。続いて、C膜をエッチングするためO2ガスを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力20Wとし、65秒間エッチングすることでパターンを転写した。
次に、剥離層および磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。前述のように剥離層と磁気記録層への凹凸パターン転写では異なるエッチング工程を経てもよいが、同一の工程によるものでも構わない。ここではArイオンによるミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Paとし、120秒間ミリングを行い、3nm厚Mo剥離層、3nm厚Pd保護層および5nm厚CoPt磁性膜に凹凸パターンを転写した。
続いて、マスクパターンを剥離するためにウェット剥離を行なった。前述のごとく、ここではMoを溶解する過酸化水素水を第1の溶媒とし、アニソールを第2の溶媒とした2層分離剥離液を調製した。過酸化水素水の濃度0.5重量%とした。まず、第1の溶媒に3分間浸漬した後、溶媒界面を通過するように試料を複数回上下し、Mo層を溶解するとともに磁気記録層上から剥離した。試料の引き上げの際には第2の溶媒であるアニソールを容器から排出し、ダストの再付着を抑制した上で試料を回収した。
最後に、2nm厚DLC膜を成膜した後、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例2
実施例2は、レジスト層としてZEP−520Aを用い、電子線描画によりパターニングする代わりに、自己組織化膜を用いてミクロ相分離構造を形成せしめ、ミクロ相分離パターンを基にエッチングを行い、自己組織化膜とのパターンの転写を良好にするため、マスク層との間にカーボン膜を挿入すること以外は実施例1と同様である。
まず、Siマスク上にパターン転写用カーボン膜を3nm厚で成膜した。ここではDCスパッタ法により、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして成膜を行った。
続いて、ブロックコポリマー溶液を転写層上に塗布した。ブロックコポリマー溶液にはポリスチレンとポリジメチルシロキサンからなるブロック共重合体を塗布溶媒に溶解したものを用いた。ポリスチレンとポリジメチルシロキサンの分子量はそれぞれ11700、2900である。また、溶媒にはアニソールを用い、濃度1.5重量%でポリマー溶液の調製を行った。この溶液をマスク上に回転数5000rpmでスピンコーティングし、単層自己組織化膜を成膜した。さらに、自己組織化膜内部にポリジメチルシロキサンからなるドットパターンと、ポリスチレンからなるマトリックスをミクロ相分離させるため、熱アニールを行った。熱アニールでは真空加熱炉を用い、炉内圧力0.2Paの減圧雰囲気下で170℃・12時間のアニールを行い、自己組織化膜内部に20nmピッチドットのミクロ相分離構造を形成した。
続いて、相分離パターンを基にエッチングにより凹凸パターンを形成した。エッチングでは誘導結合プラズマ型リアクティブイオンエッチングにより行った。プロセスガス圧力は0.1Pa、ガス流量は5sccmとした。まず、自己組織化膜の表層のポリジメチルシロキサンを除去するため、CF4ガスをエッチャントとし、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wで7秒のエッチングを行った。次いで、マトリックスのポリスチレンおよびポリマー層下部のC転写層に凹凸パターンを転写するため、O2ガスをエッチャントとしてアンテナ電力100W、バイアス電力5Wで110秒エッチングを行った。ポリスチレンの除去に用いるO2エッチャントは、下層のCマスクもエッチングするため、Si金属マスク層がストッパ層となりエッチングが終了する。続いてCF4エッチャントおよびO2エッチャントを用いたプラズマエッチングにより、下層のC/Si層へ凹凸パターンを転写することで、カーボンマスクに自己組織化膜の凹凸パターンを得た。
以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例3
実施例3は、レジスト層としてZEP−520Aを用い、電子線描画により凹凸パターン形成する代わりに、レジスト層としてナノインプリント用レジストを用い、さらにナノインプリントスタンパによる凹凸パターン形成を行うこと以外は実施例1と同様である。
まず、ナノインプリントスタンパを作製するべく、マスター原盤を作製した。基板には汎用の6インチSiウェーハを用い、実施例1と同様にカーボンマスク層/Siマスク層を形成した。次いで、電子線レジスト層を形成した後、電子線描画を行い20nmピッチドットパターンを形成した。なお、ここでも実施例1と同様に相分離剥離液を用い、マスター原盤上の電子線レジストを現像した。剥離液には、第1の溶媒として水、第2の溶媒として酢酸イソアミルを用いた。
このマスター原盤を用いてナノインプリント用スタンパーを作製した。まず、凹凸パターンに対して導電化処理を行なうため、Ni膜をDCスパッタ法にて成膜した。到達真空度8.0×10−4Pa、Arガス圧力1.0Pa、DC投入電力200Wの条件下で、5nm厚Ni膜を凹凸パターンに被覆させた。導電膜形成法としてはスパッタ法のほかに蒸着法、または無電解メッキ法によるNi−P合金やNi−B合金にて代用する事もできる。また、スタンパーの剥離を容易に行なうために、導電膜形成後に表面を酸化させてもよい。続いて、電鋳法により凹凸パターンに沿ってNi膜を形成する。電鋳液には昭和化学(株)製の高濃度スルファミン酸ニッケルメッキ液(NS−169)を使用した。スルファミン酸ニッケル:600g/L、ホウ酸40g/L、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤0.15g/L、液温55℃、pH3.8〜4.0、通電電流密度20A/dm2の電鋳条件にて、300μm厚となるNiスタンパーを作製した。このNiスタンパーをマスター原盤から離型処理することで、凹凸パターンを有するナノインプリント用スタンパーが得られる。離型後のスタンパー凹凸に残渣やパーティクルがある場合は、必要に応じてエッチングを行なうことで、これらを除去しスタンパーを清浄化できる。
最後に、電鋳したNi板を2.5インチ径の円盤状に打ち抜き加工し、Niスタンパーを得た。このNiスタンパーを射出成型処理し、樹脂スタンパーを複製した。樹脂材料には、日本ゼオン(株)製環状オレフィンポリマー(ZEONOR 1060R)を用いた。
上記のように得られた樹脂スタンパーを用いて、レジスト層へ凹凸パターンを形成した。
まず、試料上へ紫外線硬化レジストを40nm厚でスピンコートし、これをレジスト層とした。続いて、レジスト層に前記樹脂スタンパーをインプリントし、紫外線を照射させることにより(紫外線硬化樹脂層を樹脂スタンパーで押下した状態で紫外線を照射)、レジスト層を硬化させる。硬化したレジスト層から樹脂スタンパーを離型することで所望の20nmピッチドットパターンを得た。
凹凸パターンの溝部にはインプリントに伴うレジスト残渣があるため、これをエッチングにより除去した。レジストの残渣除去は、O2エッチャントによるプラズマエッチングにより行なった。O2ガス流量20sccm、圧力0.1Pa、投入電力100W、バイアス電力20Wとし、8秒間のエッチングを行なうことでレジスト残渣を除去した。以上のようにして、磁気記録層を有する試料上へレジスト層の凹凸パターンを形成した。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例4
実施例4は、第2の溶媒としてフェネトール(SP値:9.3)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとフェネトール400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例5
実施例5は、第2の溶媒としてシクロヘキサン(SP値:8.2)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例6
実施例6は、第2の溶媒としてメチルシクロヘキサン(SP値:8.6)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとメチルシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例7
実施例7は、第2の溶媒としてマロン酸ジエチル(SP値:9.1)第1の溶媒として過酸化水素水を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとマロン酸ジエチル400mLを混合・分離し、剥離液とした。マロン酸ジエチルは比重が1よりも大きいため、第1の溶媒として下相に分離する。試料の引き上げの際には第2の溶媒にダストが遊離しないため、第2の溶媒を排出することなく試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例8
実施例8は、第2の溶媒としてキシレン(SP値:8.8)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとキシレン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例9
実施例9は、第2の溶媒として酢酸イソアミル(SP値:8.45)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLと酢酸イソアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例10
実施例10は、第2の溶媒として酢酸ノルマルアミル(SP値:8.6)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLと酢酸ノルマルアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例11
実施例11は、第2の溶媒としてトルエン(SP値:8.8)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとトルエン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例12
実施例12は、第2の溶媒としてヘキサン(SP値:7.3)を用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.5重量%過酸化水素水400mLとヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例13
実施例13は、剥離層にAlBN合金を用い、第1の溶媒として水酸化ナトリウム溶液、第2の溶媒としてアニソールを用いること以外は第1の実施例と同様である。
剥離層のAlBN合金の成膜では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.3Pa,投入電力500Wとして3nm厚となるようにスパッタ成膜した。
剥離層および磁気記録層へのパターン転写はイオンミリング法により行なった。ここでは、Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Paとし、130秒間ミリングを行い、3nm厚AlBN剥離層、3nm厚Pd保護層および5nm厚CoPt磁性膜に凹凸パターンを転写した。
続いて、マスクパターンを剥離するためにウェット剥離を行なった。前述のごとく、ここではAlBNを溶解する水酸化ナトリウム溶液を第1の溶媒とし、アニソールを第2の溶媒とした2相分離剥離液を調製した。過酸化水素水の濃度は濃度0.01重量%とした。まず、第1の溶媒に3分間浸漬した後、溶媒界面を通過するように試料を複数回上下し、AlBN層を溶解するとともに磁気記録層上から剥離した。試料の引き上げの際には第2の溶媒であるアニソールに試料を移動し、ダストの再付着を抑制した上で試料を回収した。
以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例14
実施例14は、第2の溶媒としてフェネトールを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとフェネトール400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例15
実施例15は、第2の溶媒としてシクロヘキサンを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例16
実施例16は、第2の溶媒としてメチルシクロヘキサンを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとメチルシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例17
実施例17は、第2の溶媒としてマロン酸ジエチル、第1の溶媒として水酸化ナトリウム水溶液を用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとマロン酸ジエチル400mLを混合・分離し、剥離液とした。マロン酸ジエチルは比重が1よりも大きいため、第1の溶媒として下相に分離する。試料の引き上げの際には第2の溶媒にダストが遊離しないため、第2の溶媒を排出することなく試料を回収した。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例18
実施例18は、第2の溶媒としてキシレンを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとキシレン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例19
実施例19は、第2の溶媒として酢酸イソアミルを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLと酢酸イソアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例20
実施例20は、第2の溶媒として酢酸ノルマルアミルを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLと酢酸ノルマルアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例21
実施例21は、第2の溶媒としてトルエンを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとトルエン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例22
実施例22は、第2の溶媒としてヘキサンを用いること以外は第13の実施例と同様である。
剥離プロセスでは0.01重量%水酸化ナトリウム水溶液400mLとヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。以降、実施例13と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例23
実施例23は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてアニソールを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPMMAを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとアニソール400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例24
実施例24は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてフェネトールを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPMMAを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとフェネトール400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例25
実施例25は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてシクロヘキサンを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPVAを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例26
実施例26は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてメチルシクロヘキサンを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPVAを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとメチルシクロヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例27
実施例27は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてマロン酸ジエチルを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPMMAを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとマロン酸ジエチル400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、試料の引き上げの際には第2の溶媒にダストが遊離しないため、第2の溶媒を排出することなく試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例28
実施例28は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてキシレンを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPEを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとキシレン400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例29
実施例29は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒として酢酸イソアミルを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPSを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLと酢酸イソアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例30
実施例30は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒として酢酸ノルマルアミルを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPSを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLと酢酸ノルマルアミル400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例31
実施例31は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてトルエンを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPSを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとトルエン400mLを混合・分離し、剥離液とした。第1の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
実施例32
実施例32は、剥離層に有機レジストを用い、第1の溶媒としてヘキサンを用い、かつ第2の溶媒として水を使用すること以外は第1の実施例と同様である。剥離層にはPSを選定し、3nm厚となるように磁気記録層上に形成した。
剥離プロセスでは純水400mLとヘキサン400mLを混合・分離し、剥離液とした。第2の溶媒で剥離を行なった後、該溶媒を容器から排出し、ダストの再付着を低減した状態で試料を回収した。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスすることができた。
比較例1
比較例1は、剥離溶液を過酸化水素水のみとすること以外は第1の実施例と同様である。剥離プロセスでは過酸化水素水400mLを剥離液とした。以降、実施例1と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスできず、15nm浮上に留まることがわかった。
比較例2
比較例1は、剥離溶液を水酸化ナトリウム水溶液のみとすること以外は第13の実施例と同様である。剥離プロセスでは水酸化ナトリウム水溶液400mLを剥離液とした。以降、実施例13と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスできず、12nm浮上に留まることがわかった。
比較例3
比較例1は、剥離溶液をアニソールのみとすること以外は第23の実施例と同様である。剥離プロセスではアニソール400mLを剥離液とした。以降、実施例23と同様にして凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体をグライドハイトテスターで測定し、浮上試験を行なった。その結果、リードライト評価を行なうために必要な規準である9nmをパスできず、14nm浮上に留まることがわかった。
下記、表1-1,表1−2に、実施例1ないし32,及び比較例1ないし3について、相分離剥離液に使用された溶媒と剥離層についてまとめたものを示す。
実施形態によれば、媒体の平坦性が良好となり、かつ面内均一性が改善される。これにより磁気記録層表面に凹凸パターンを形成する際に発生するダストの付着を抑制し、浮上特性が良好な磁気記録媒体が得られる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。