JP2013211096A - リチウム二次電池用正極およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極およびそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の内部短絡に対して高度な安全性を確保し、かつ、高出力、高容量の電池特性に優れたリチウム二次電池用正極と、このリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】電極の合剤密度が2.0g/cm以上であり、前記集電箔が凹み部分を有し、
集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとし、近似直線から深さが0.8μmとなった平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとし、単位長さあたりの凹み部分の割合をΔL/Lとしたとき、ΔL/Lが5%以下である正極を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池等に用いられるリチウム二次電池用正極と、このリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池に関するものである。
近年、電子機器の小型軽量化や高機能化に伴い、これらに用いるリチウム二次電池の開発が進められている。これらリチウム二次電池は通常、電子を蓄えたり放出できる機能を有するエネルギー密度の高い活物質と非水溶媒を用いた非水電解質が使用されており安全性の向上が求められている。
従来、このような現象を防ぐために、PTCやヒューズを含む外部回路を用いて通電を防止する方法や、セパレータのシャットダウン機能を利用して電池の放電電流を抑制する機構により、電池の安全性を確保してきた。
しかしながら近年の電池の高容量化、高出力化、大型化に伴い、内部短絡時は従来の電池とは比較にならないような局所的に極めて大電流が流れるために従来よりも信頼性の高い安全機構が求められている。
内部短絡は外部回路による電池の保護の効果が小さいため電池内部での安全性の向上が求められている。
また電池性能の向上も引き続き求められ続けており高容量化や高出力化について活物質、導電材、結着剤を含めて活発に研究が行われている。
以下に、例としてリチウム二次電池について説明するが、本発明のリチウム二次電池は、導電材の効果が損なわれない限り、その種類が限定されるものではない。
リチウム二次電池の中で、リチウム二次電池ないしリチウムイオン二次電池と呼ばれる二次電池は、エネルギー密度及び出力密度等に優れ、小型化・軽量化が可能であるため、ノート型パソコン、携帯電話及びハンディビデオカメラなどの携帯機器やハイブリッド電気自動車用の電源として使用されており、さらに高性能化の研究が盛んである。
リチウム二次電池の正極活物質には、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物が用いられる。より具体的には、正極活物質には通常スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物や、層状構造を有するリチウムコバルト酸化物等のリチウム遷移金属酸化物が用いられる。
これらの正極活物質は、活物質の高い動作電位のため、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルチルカーボネート(DEC)に代表される可燃性の非水電解液と組み合わせて電池として用いられる。
このような電池は、内部短絡が発生すると、短絡点に大電流が流れることで局所的に異常発熱を生じて発火や電池破壊の恐れがあった。
従来、このような現象を防止するため、電気回路にヒューズやPTC素子を用いて大電流の通電の防止や、電池内部のガス圧力を下げるための安全弁が使用されていた。また、電池内での異常な大電流に対してはシャットダウン機構と呼ばれる、ある特定温度で作動して電池の放電電流を減少させる作用のあるセパレータを用いていた。
近年、電子機器のさらなる軽量化や、長時間作動等の高性能化の要求により、リチウム二次電池にもより一層の高容量化、高出力化が求められている。
電池の高容量化とは、電池の正極を作成する際に、正極活物質、導電材および結着剤を極板にできるだけ密に詰め込むことである。
電池の高出力化とは、従来より高い電流で電池を充放電させても、分極が少なく、高い容量を引き出せるようにすることであり、これには導電材が正極の中で有効な導電パスを形成し、活物質本来の性能を十分に引き出すことが重要である。
しかしながら、このような高容量電池は電池内での内部短絡時発生を生じるおそれを高くする。また、電池の高出力化が進むと内部短絡時の短絡電流が大きくなり、異常発熱量が増えることで、セパレータのシャットダウン機構が働く前に発火や電池破壊をおこすおそれが高くなる。
本出願人は、特許文献1のとおり、レート・出力特性といった負荷特性の向上を図りつつ粉体物性の改善を図るという課題を解決するために、嵩密度の向上や比表面積の最適化をはかるべく鋭意検討を重ねた結果、B、Biから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有する化合物と、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有する化合物をそれぞれ1種以上、規定の割合で併用添加した後、焼成することにより、前述の改善効果を損なうことなく、取り扱いや正極調製の容易なリチウム含有遷移金属系化合物粉体を得ることができ、リチウム二次電池正極材料として、優れた粉体物性と高い負荷特性、耐高電圧性、高安全性を示し、低コスト化が可能なリチウム遷移金属系化合物粉体を得ることができること、また、このようなリチウム遷移金属系化合物粉体は、表面増強ラマン分光スペクトルにおいて特長的なピークを有することを見出した。
特許文献2には、集電体の表面に導電性基体より高い抵抗値を有する抵抗体層を導入することで、電池の内部短絡時に流れる短絡電流が抑制されるリチウム二次電池用電極を作成できることが記載されている。
特許文献3には、活物質とこれに接触する電子伝導性材料に温度上昇とともに抵抗が上昇する特性を持つ材料を使用した電極とすることで安全性を向上したリチウム二次電池用正極を作成できることが記載されており、電子伝導性材料にカーボンとポリエチレンの混合物が提案されている。
特許文献4には、合剤と集電箔との密着性を向上することにより、内部短絡のような極板が破壊されるような過酷な条件においても、集電体の露出を最小限に抑制することにより安全性を高める電極が提案されている。
特許文献5、特許文献6および特許文献7には、単純に異なる活物質を集電体に積層し高容量でサイクル特性がよく、内部特性が低減されてハイレート特性が高い正極であることが提案されている。
特開2008−270161号公報 特開平10−199574号公報 特開平10−30566号公報 特開2007−59387号公報 特開平11−25955号公報 特開2003−17037号公報 特開2010−135272号公報
前述の如く、最近のリチウム二次電池にはさらなる高容量化、高出力化、大型化を達成しつつ、さらなる高安全化も求められている。ここで、高容量化、高出力化、大型化を達成しようとした場合、電池の短絡や誤使用による内部短絡時に短絡発生時に、異常な発熱を生じて発火や電池破壊の恐れがあった。 逆に内部短絡に対する安全性を高めようとすると容量、出力が低下する傾向があった。
より具体的には、前述の特許文献に記載の発明に関する従来技術の問題点は以下のとおりである。
特許文献1のような正極活物質は、正極としたときに電子抵抗が高くなり導電パス維持が重要となるため、サイクル特性のさらなる向上が望まれていた。
特許文献2のような高抵抗層を集電箔表面に形成し短絡電流を低減する方法は、体積容量密度低下を引き起こす。また構造が複雑になるため高コスト化が問題となる。
特許文献3のような熱応答性の物質を活物質層に組み込む方法は体積容量密度低下、出力低下、高コスト化が問題となる。また局所的に高速な発熱に対して安全性が不十分である。
特許文献4のように、積極的に活物質を集電体と密着させ、異常時に活物質の脱離を抑制する試みは内部短絡に対する安全性が不十分である。
特許文献5、特許文献6、特許文献7のように、単純に異なる活物質を積層した電極では、電池性能が向上しても、極板の凹み部分を低減するような工夫がなされておらず、局所的に高速な発熱に対して安全性が不十分である。
これに対し、特許文献1のような正極活物質に対し、活物質を小粒径化し集電体との密着度を制御することで、高出力な活物質層と集電箔体表面に高抵抗界面が低コストで得られる。さらに、その活物質層の上に、他の電池特性に優れた正極活物質層を積層することで、従来の電池特性に内部短絡に対して高度な安全性を付与できる。
また、本発明は、前述の課題を克服するため、電池の内部短絡に対して高度な安全性を確保し、かつ、高出力、高容量の電池特性に優れたリチウム二次電池用正極と、このリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、リチウム二次電池の高容量化を達成しつつ、高安全化の両方の要求を満たすために、正極の合剤密度を向上させつつ、正極集電箔の凹部の量を調整することにより、正極の高容量化および高安全化を達成できることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を正極活物質、導電材およびバインダーを含んでなる電極の合剤を、集電箔上に含有してなるリチウム二次電池用正極であって、
電極の合剤密度が2.0g/cm以上であり、
前記集電箔が凹み部分を有し、
集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとし、近似直線から深さが0.8μmとなった平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとし、単位長さあたりの凹み部分の割合をΔL/Lとしたとき、ΔL/Lが5%以下であることを特徴とする
リチウム二次電池用正極。
(2)凹み部分の平均深さが、0.8μm以下であることを特徴とする
(1)に記載のリチウム二次電池用正極。
(3)正極活物質のメジアン径が0.1〜5μmであることを特徴とする
(1)または(2)に記載のリチウム二次電池用正極
(4)粒径が5μm以上の正極活物質の体積割合が10体積%以下であることを特徴とする
(1)〜(3)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(5)正極活物質が、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有するリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、
該主成分原料に、焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤の少なくとも1種以上を、
主成分原料中の遷移金属元素の合計モル量に対して0.01モル%以上、2モル%未満の割合で添加した後、
焼成されたものであることを特徴とする
(1)〜(4)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(6)正極合材中の導電材の含有量が、15質量%以下であることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(7)前記集電体上に、第1の正極活物質を含有する第1の正極合剤層と、
第1の正極活物質よりも粒径の大きい第2の正極活物質を含有する第2の正極合剤層とが順次積層形成されていることを特徴とする
(1)〜(6)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(8)第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)のメジアン径が6μm以上、20μm以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(9)第1および第2の正極活物質が、層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を主成分としたことを特徴とする
(1)〜(8)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
(10)(1)〜(9)のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池。
(11)5時間率電流で定電流放電試験をしたときの容量が500mAh以上であることを特徴とする(10)に記載のリチウム二次電池。
本発明によれば、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を正極活物質、導電材およびバインダーを含んでなる電極の合剤を、集電箔上に含有してなるリチウム二次電池用正極であって、
電極の合剤密度が2.0g/cm以上であり、
前記集電箔が凹み部分を有し、
集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとし、近似直線から深さが0.8μmとなった平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとし、単位長さあたりの凹み部分の割合をΔL/Lとしたとき、ΔL/Lが5%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極、これを用いたリチウム二次電池用正極の性能の向上、ひいてはそのリチウム二次電池の高性能化を達成することができ、特に、このリチウム二次電池用正極をリチウム二次電池の正極として用いる場合において、従来困難とされていたリチウム二次電池の高容量化と高出力化と高安全化を同時に達成することが可能となる。
ΔL/Lの算出方法の模式図
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に特定はされない。
[リチウム二次電池]
本発明におけるリチウム二次電池とは、主に電子機器等に用いられる小型のリチウム二次電池や、最近研究が盛んになってきている自動車用のリチウム二次電池などがある。
前述の如く、これらのリチウム二次電池に用いられる正極には、通常、電子を蓄えたり放出できる機能を有する活物質が必要であるが、その活物質は電子伝導性が必ずしも高くなかったり、使用中に電子伝導性の低下が生じるため、活物質単独だけではうまく機能しない場合が多い。そこで、活物質同士の間や活物質と集電箔との間の導電パスをとるため、電子伝達機能を有する導電材を結着材を溶媒中で混合して電極合剤スラリーとし、集電
箔上に塗布して正極を製造するのが一般的である。
本発明の正極は、前述の構成にすることにより、電池としたときの特性、特には高容量化および高安全化された高性能の正極ひいてはリチウム二次電池を提供する。
[リチウム二次電池用正極]
本発明のリチウム二次電池用正極は、前述のとおり、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を正極活物質、導電材およびバインダーを含んでなる電極の合剤を、集電箔上に含有してなるリチウム二次電池用正極であって、
電極の合剤密度が2.0g/cm以上であり、
前記集電箔が凹部を有し、
集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとし、近似直線から深さが0.8μmとなった平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとし、単位長さあたりの凹み部分の割合をΔL/Lとしたとき、ΔL/Lが5%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極であり、好適な性能を得ることができる。
〈集電箔の表面部分と凹み部分〉
本願明細書では、集電箔の表面とは、電極の合剤と集電体の界面であり、集電体が傷などにより凹み部分を有していない面を意味する。なお、集電体が合剤を担持しない露出部を有する場合、集電箔の表面の近似曲線の長さLには含めない。
また、本願明細書では集電箔の凹み部分とは、例えば、電極の合剤を集電箔へ塗布する前についている傷、電極の合剤が集電箔に塗布された際にできた傷、電極の合剤をプレスした際に正極活物質が集電箔に食い込むことなどによりできた傷などが挙げられる。
〈集電箔の単位長さあたりの凹み部分の割合ΔL/L〉
集電箔の単位長さあたりの凹み部分の割合ΔL/Lは、例えば、以下の方法で求められる。
まず、正極の合剤と集電箔を電極面に垂直に同時に切断した断面を拡大して観察する。拡大断面において、集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとする。近似直線から凹部の深さが0.8μmである平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとすると、単位長さあたりの凹み部分の割合はΔL/Lで求めることができる。
また、別の方法としては、以下のとおり求められる。
正極の電極面から溶剤などを使用し、合剤を正極の集電箔表面から除去する。集電箔の表面を表面粗さ計により断面の形状を観察する。 集電箔表面のうち凹み部を形成しない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとする。近似直線から凹部の深さが0.8μmに平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとすると、単位長さあたりの凹み部分の割合はΔL/Lで求めることができる。
本願発明においては、ΔL/Lが5%以下であることを特徴としており、凹の量が短絡電流の絞込みへの寄与が大きい点から、通常5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。下限としては、安全性向上のため、低ければ低いほど良く、特に制限されないため、0%以上である。
本願発明においては、凹み部分の深さが短絡電流の絞込みへの寄与が大きい点から凹み部分の平均深さとしては、通常0.8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。下限としては、特に制限されないが、電極の剥離強度が向上するため、好ましくは0.01μm以上、特に好ましくは0.02μm以上である。
正極活物質層は、通常、導電材と正極活物質と結着剤と更に必要に応じて用いられる増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電箔に圧着するか、或いはこれらの材料を通常、有機溶媒などの液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電箔に塗布、乾燥することによって作製される。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
本願の電極の合剤密度としては、2.0g/cm以上であることを特徴としており、容量密度を高くする点から、好ましくは2.0g/cm以上、特に好ましくは2.5g/cm以上である。上限としては、特に制限されないが、正極板内に電解液を保持しリチウムイオン供給するための空間が必要である点から、好ましくは3.6g/cm以下、さらに好ましくは3.5g/cm以下、特に好ましくは3.4g/cm以下である。
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
[活物質]
<リチウム遷移金属系化合物粉体>
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体(以下「正極活物質」と称す場合がある。)は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有する遷移金属化合物を主成分とし、該主成分原料に焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤の少なくとも1種以上を、主成分原料中の遷移金属元素の合計モル量に対して0.01モル%以上、2モル%未満の割合で添加した後、焼成されたものであることが好ましい。
〈リチウム遷移金属系化合物〉
本発明において、「リチウム遷移金属系化合物」とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiSやMoSなどの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MeMo(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPOなどが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、CoLiVOなどが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiNi1−xCo、LiNi1−x−yCoMn、LiNi0.5Mn0.5、Li1.2Cr0.4Mn0.4、Li1.2Cr0.4Ti0.4、LiMnOなどが挙げられる。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、リチウムイオン拡散の点からオリビン構造、スピネル構造、層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるものが好ましい。中でも層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるものが特に好ましい。
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sn,Sb,Te,Ba,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,Bi,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Lu,N,F,P,S,Cl,Br,Iの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、或いは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
〈焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤〉
本発明において、「焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤」とは、高温焼成時における正極活物質の一次粒子間又は二次粒子間の焼結を抑制するなどして、活物質粒子の成長を抑制し、高結晶化を図りつつ、微細で多数空隙を有する粉体性状を得る効果があるものをいう。
例えば、本発明に好適な後述の組成式(I)で規定する組成領域のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を製造する場合、固体粉末原料の集合体を970℃以上の温度で焼成することにより、結晶性が高度に発達し、電池性能にとって好ましい結晶構造の正極活物質を得ることができる。しかし、一方では粒成長、焼結も著しく進行しやすくなるため、電池性能にとって好ましくない粉体性状となってしまう。つまり、双方を両立して改善することが極めて困難な状況となるが、「焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤」を添加して焼成することにより、このトレードオフの関係を克服することが可能となる。
本発明において、焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤として添加する特定の化合物が、焼成時の粒成長や焼結を抑制する効果を発現する機構は明らかではないが、実施例として原子価が5価又は6価をとり得る金属元素から構成される化合物が共通して効果を発現することから、これらが、リチウム遷移金属系化合物を構成するカチオン元素のいずれとも異なる、5〜7価といった高価数状態を安定にとり得るものであり、固相反応によって殆ど固溶しない結果、リチウム遷移金属系化合物粒子の表面又は粒界に偏在することになる。そのため、正極材活物質粒子同士の接触による物質移動が阻害され、粒子の成長や焼結が抑制されたものと推察している。
添加剤の種類としては、前記効果を発現するものであればその種類に格別の制限はないが、高価数状態が安定なMo、W、Nb、Ta、Reといった元素から選ばれる元素を含有する化合物が好ましく、これらの元素を適宜2種以上組合せて用いても良い。通常これらの元素を含有する添加剤は酸化物材料が用いられる。
添加剤としての例示化合物としては、MoO、MoO、MoO、MoO、Mo、Mo、LiMoO、WO、WO、WO、WO、W、W、W1849、W2058、W2470,W2573、W40118、LiWO、NbO、NbO、NbO、Nb、NbO、NbO、LiNbO、TaO、TaO、Ta、LiTaO、ReO、ReO、Reなどが挙げられ、好ましくはMoO、LiMoO、WO、LiWO、LiNbO、Ta、LiTaO、ReOが挙げられ、特に好ましくはWO、LiWO、ReOが挙げられる。
これらの添加剤の添加量の範囲としては、主成分原料を構成する遷移金属元素の合計モル量に対して、通常0.01モル%以上、好ましくは0.03モル%以上、より好ましくは0.04モル%以上、特に好ましくは0.05モル%以上、通常2モル%未満、好ましくは1.8モル%以下、さらに好ましくは1.5モル%以下、特に好ましくは1.3モル%以下である。この下限を下回ると、前記効果が得られなくなる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を招く可能性がある。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、その一次粒子の表面部分に、添加剤由来の元素(添加元素)、即ち、好ましくはMo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なく
とも1種以上の元素が濃化して存在していることが好ましい。具体的には、一次粒子の表面部分のLi及び添加元素以外の金属元素(即ち、Liと添加元素、以外の金属元素)の合計に対する添加元素の合計のモル比が、通常、粒子全体の該原子比の5倍以上である。この比率の下限は7倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることが特に好ましい。上限は通常、特に制限されないが、150倍以下であることが好ましく、100倍以下であることがより好ましく、50倍以下であることが特に好ましく、30倍以下であることが最も好ましい。この比率が小さすぎると電池性能の改善効果が小さく、反対に大きすぎると電池性能の悪化を招く場合がある。
リチウム遷移金属系化合物粉体の一次粒子の表面部分の組成の分析は、X線光電子分光法(XPS)により、X線源として単色光AlKαを用い、分析面積0.8mm径、取り出し角65°の条件で行う。一次粒子の組成により、分析可能な範囲(深さ)は異なるが、通常0.1nm以上50nm以下、特に正極活物質においては通常1nm以上10nm以下となる。従って、本発明において、リチウム遷移金属系化合物粉体の一次粒子の表面部分とは、この条件において測定可能な範囲を示す。
〈添加元素の存在形態〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、前記添加元素が粒子表面から深さ方向に濃度勾配を持って存在する連続的組成傾斜構造を有していることが好ましい。
リチウム遷移金属系化合物粉体の粒子表面からの深さ方向に対する組成は、Arイオン銃スパッタリングと上記と同様のXPS測定とを交互に行うことで分析することができる。スパッタリングによって表面付近の原子が取り除かれるため、その後のXPS測定はスパッタリング前より粒子内部の組成を反映したものとなる。ここで、スパッタリングによって除去される表面層の厚さを正確に知ることは困難であるため、同条件でSiO薄膜のスパッタリングを行って除去されるSiO表面層の厚さをもって代用する。従って、本発明において、リチウム遷移金属系化合物の粒子表面からの深さとは、この方法によって推測された深さを示す。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の粒子最表面におけるLi及び前記添加元素以外の金属元素(即ち、Liと添加元素、以外の金属元素)の合計に対する該添加元素の合計の原子比Rと、粒子表面から深さ10nmにおけるLi及び前記添加元素以外の金属元素(即ち、Liと添加元素、以外の金属元素)の合計に対する該添加元素の合計の原子比R10との割合R/R10は、通常3倍以上、好ましくは3.2倍以上であり、通常50倍以下、好ましくは30倍以下、より好ましくは10倍以下、さらに好ましくは8倍以下、最も好ましくは6倍以下である。
〈メジアン径及び90%積算径(D90)〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の正極作成段階でのメジアン径は通常0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.6μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.2μm以上で、通常5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは2.8μm以下、最も好ましくは2.5μm以下である。メジアン径がこの範囲であれば、正極活物質層形成時の塗布性がよく、また、集電箔の単位面積あたりの凹み部分の比率が低く、内部短絡に対する安全性が高い。
なお、実施例および比較例において、自転公転式混合機内で攪拌し、せん断をかけていないものは、合成段階でのメジアン径がそのまま維持される。
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の二次粒子の90%積算径(D90)は通常10μm以下、好ましくは8μm以下、より好ましくは6μm以下、最も好ましくは5μm以下で、通常0.5μm以上、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1μm
以上、最も好ましくは1.5μm以上である。90%積算径(D90)が上記上限を超えると電池性能の低下を来たす可能性があり、下限を下回ると正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明において、平均粒子径としてのメジアン径及び90%積算径(D90)は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.60a0.10iを設定し、粒子径基準を体積基準として測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い測定を行った。
〈粒径が5μm以上の正極活物質〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の正極作成段階での5μm以上の活物質が10体積%以下であるが好ましく、粒径の大きい粒子が凹部を形成しやすい点から、上限としては、好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは8体積%以下、特に好ましくは5体積%以下である。下限としては、特に制限されないが、小粒径の均質な粒子の製造が高コストである点から、好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは1.5体積%以上、特に好ましくは2体積%以上である。
〈平均一次粒子径〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の一次粒子の平均径(平均一次粒子径)としては、特に限定されないが、下限としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、最も好ましくは0.25μm以上、また、上限としては、好ましくは2μm以下、より好ましくは1.8μm以下、さらに好ましくは1.7μm以下、最も好ましくは1.5μm以下である。平均一次粒子径が、上記上限を超えると、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が低下したりするために、レート特性や出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる可能性がある。上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明における平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した平均径であり、30,000倍のSEM画像を用いて、10〜30個程度の一次粒子の粒子径の平均値として求めることができる。
〈BET比表面積〉
本発明のリチウムリチウム遷移金属系化合物粉体はまた、BET比表面積が、通常1.5m/g以上、好ましくは1.6m/g以上、更に好ましくは1.7m/g以上、最も好ましくは1.8m/g以上で、通常5m/g以下、好ましくは4m/g以下、更に好ましくは3.5m/g以下、最も好ましくは3m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性に問題が発生しやすくなる可能性がある。
なお、BET比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。本発明では、大倉理研製:AMS8000型全自動粉体比表面積測定装置を用い、吸着ガスに窒素、キャリアガスにヘリウムを使用し、連続流動法によるBET1点式法測定を行った。具体的には粉体試料を混合ガスにより150℃の温度で加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガスを吸着させた後、これを水により室温まで加温して吸着された窒素ガスを脱着させ、その量を熱伝導検出器によって検出し、これから試料の比表面積を算出した。
〈水銀圧入法による細孔特性〉
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体は、好ましくは水
銀圧入法による測定において、特定の条件を満たす。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の評価で採用する水銀圧入法について以下に説明する。
水銀圧入法は、多孔質粒子等の試料について、圧力を加えながらその細孔に水銀を浸入させ、圧力と圧入された水銀量との関係から、比表面積や細孔径分布などの情報を得る手法である。
具体的には、まず、試料の入った容器内を真空排気した上で、容器内に水銀を満たす。水銀は表面張力が高く、そのままでは試料表面の細孔には水銀は浸入しないが、水銀に圧力をかけ、徐々に昇圧していくと、径の大きい細孔から順に径の小さい孔へと、徐々に細孔の中に水銀が浸入していく。圧力を連続的に増加させながら水銀液面の変化(つまり細孔への水銀圧入量)を検出していけば、水銀に加えた圧力と水銀圧入量との関係を表す水銀圧入曲線が得られる。
ここで、細孔の形状を円筒状と仮定し、その半径をr、水銀の表面張力をδ、接触角をθとすると、細孔から水銀を押し出す方向への大きさは−2πrδ(cosθ)で表される(θ>90°なら、この値は正となる)。また、圧力P下で細孔へ水銀を押し込む方向への力の大きさはπrPで表されることから、これらの力の釣り合いから以下の数式(1)、数式(2)が導かれることになる。
−2πrδ(cosθ)=πrP …(1)
Pr=−2δ(cosθ) …(2)
水銀の場合、表面張力δ=480dyn/cm程度、接触角θ=140°程度の値が一般的に良く用いられる。これらの値を用いた場合、圧力P下で水銀が圧入される細孔の半径は以下の数式(3)で表される。
Figure 2013211096
すなわち、水銀に加えた圧力Pと水銀が浸入する細孔の半径rとの間には相関があることから、得られた水銀圧入曲線に基づいて、試料の細孔半径の大きさとその体積との関係を表す細孔分布曲線を得ることができる。例えば、圧力Pを0.1MPaから100MPaまで変化させると、7500nm程度から7.5nm程度までの範囲の細孔について測定が行えることになる。
なお、水銀圧入法による細孔半径のおおよその測定限界は、下限が約2nm以上、上限が約200μm以下であり、後述する窒素吸着法に比べて、細孔半径が比較的大きな範囲における細孔分布の解析に向いていると言える。
水銀圧入法による測定は、水銀ポロシメータ等の装置を用いて行うことができる。水銀ポロシメータの具体例としては、Micromeritics社製オートポア、Quantachro
me社製ポアマスター等が挙げられる。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、この水銀圧入法による水銀圧入曲線において、圧力3.86kPaから413MPaまでの昇圧時における水銀圧入量が0.7cm/g以上、1.5cm/g以下であることが好ましい。水銀圧入量はより好ましくは0.74cm/g以上、更に好ましくは0.8cm/g以上、最も好ましくは0.9cm/g以上であり、より好ましくは1.4cm/g以下、更に好ましくは1.3cm/g以下、最も好ましくは1.2cm/g以下である。この範囲の上限を超えると
空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板(正極の集電箔)への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう。一方、この範囲の下限を下回ると、粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する。
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、上述の水銀圧入法によって細孔分布曲線を測定した場合に、通常、以下に説明する特定のメインピークが現れる。
なお、本明細書において「細孔分布曲線」とは、細孔の半径を横軸に、その半径以上の半径を有する細孔の単位重量(通常は1g)当たりの細孔体積の合計を、細孔半径の対数で微分した値を縦軸にプロットしたものであり、通常はプロットした点を結んだグラフとして表す。特に本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を水銀圧入法により測定して得られた細孔分布曲線を、以下の記載では適宜「本発明にかかる細孔分布曲線」という。
また、本明細書において「メインピーク」とは、細孔分布曲線が有するピークの内で最も大きいピークをいい、「サブピーク」とは、細孔分布曲線が有するメインピーク以外のピークを表す。
また、本明細書において「ピークトップ」とは、細孔分布曲線が有する各ピークにおいて縦軸の座標値が最も大きい値をとる点をいう。
(メインピーク)
本発明に係る細孔分布曲線が有するメインピークは、そのピークトップが、細孔半径が通常300nm以上、好ましくは350nm以上、最も好ましくは400nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは980nm以下、より好ましくは970nm以下、更に好ましくは960nm以下、最も好ましくは950nm以下の範囲に存在する。この範囲の上限を超えると、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作成した場合に、正極材料内でのリチウム拡散が阻害され、又は導電パスが不足して、負荷特性が低下する可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を用いて正極を作製した場合に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極板(正極の集電箔)への正極活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される可能性がある。また、微粒子化に伴い、塗料化時の塗膜の機械的性質が硬く、又は脆くなり、電池組立て時の捲回工程で塗膜の剥離が生じ易くなる可能性がある。
また、本発明に係る細孔分布曲線が有する、細孔半径300nm以上、1000nm以下にピークトップが存在するピークの細孔容量は、好適には、通常0.4cm/g以上、好ましくは0.41cm/g以上、より好ましくは0.42cm/g以上、最も好ましくは0.43cm/g以上、また、通常1cm/g以下、好ましくは0.8cm/g以下、より好ましくは0.7cm/g以下、最も好ましくは0.6cm/g以下である。この範囲の上限を超えると空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、二次粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する可能性がある。
(サブピーク)
本発明に係る細孔分布曲線は、上述のメインピークに加えて、複数のサブピークを有していてもよいが、80nm以上、300nm以下の細孔半径の範囲内には存在しないことが好ましい。
〈嵩密度〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の嵩密度は通常0.5g/cc以上、好ましくは0.6g/cc以上、より好ましくは0.7g/cc以上、最も好ましくは0.8g/cc以上で、通常1.7g/cc以下、好ましくは1.6g/cc以下、より好ましくは1.5g/cc以下、最も好ましくは1.3g/cc以下である。嵩密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、電池性能が低下する可能性がある。嵩密度がこの下限を下回ると粉体充填性や電極調製に悪影響を及ぼす可能性がある。
なお、本発明では、嵩密度は、リチウム遷移金属系化合物粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/ccとして求める。
〈体積抵抗率〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率の値は、下限としては、1×10Ω・cm以上が好ましく、5×10Ω・cm以上がより好ましく、1×10Ω・cm以上がさらに好ましい。上限としては、1×10Ω・cm以下が好ましく、5×10Ω・cm以下がより好ましく、1×10Ω・cm以下がさらに好ましい。この体積抵抗率がこの上限を超えると電池とした時の負荷特性が低下する可能性がある。一方、体積抵抗率がこの下限を下回ると、電池とした時の安全性などが低下する可能性がある。
なお、本発明において、リチウム遷移金属系化合物粉体の体積抵抗率は、四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mmで、印加電圧リミッタを90Vとして、リチウム遷移金属系化合物粉体を40MPaの圧力で圧密した状態で測定した体積抵抗率である。体積抵抗率の測定は、例えば、粉体抵抗測定装置(例えば、ダイアインスツルメンツ社製、ロレスターGP粉体抵抗測定システム)を用い、粉体用プローブユニットにより、所定の加圧下の粉体に対して行うことができる。
〈結晶構造〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を主成分としたものが好ましい。
ここで、層状構造に関してさらに詳しく述べる。層状構造を有するものの代表的な結晶系としては、LiCoO、LiNiOのようなα−NaFeO型に属するものがあり、これらは六方晶系であり、その対称性から空間群
Figure 2013211096
(以下「層状R(−3)m構造」と表記することがある。)に帰属される。
ただし、層状LiMeOとは、層状R(−3)m構造に限るものではない。これ以外にもいわゆる層状Mnと呼ばれるLiMnOは斜方晶系で空間群Pm2mの層状化合物であり、また、いわゆる213相と呼ばれるLiMnOは、Li[Li1/3Mn2/3]Oとも表記でき、単斜晶系の空間群C2/m構造であるが、やはりLi層と[Li1/3Mn2/3]層および酸素層が積層した層状化合物である。 〈組成〉
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、下記組成式(I)で表されるリチウム遷移金属系化合物粉体であることが好ましい。
LiMO …(I)
ただし、Mは、Li、Ni及びMn、或いは、Li、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は、通常0.3以上、好ましくは0.5以上、より好ま
しくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.9以上、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、最も好ましくは1.5以下である。Co/(Mn+Ni+Co)モル比は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.30以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.099以下である。M中のLiモル比は0.001以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.2以下、好ましくは0.19以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.17以下、最も好ましくは0.15以下である。
なお、上記組成式(I)においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。不定比性がある場合、酸素の原子比は通常2±0.2の範囲、好ましくは2±0.15の範囲、より好ましくは2±0.12の範囲、さらに好ましくは2±0.10の範囲、特に好ましくは2±0.05の範囲である。
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、正極活物質の結晶性を高めるために酸素含有ガス雰囲気下で高温焼成を行って焼成されたものであることが好ましい。特に、上記組成式(I)で示される組成を持つリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物においては、焼成温度の下限は通常900℃以上、好ましくは925℃以上、より好ましくは950℃以上、更に好ましくは975℃以上、最も好ましくは990℃以上であり、上限は通常1200℃以下、好ましくは1175℃以下、更に好ましくは1150℃以下、最も好ましくは1125℃以下である。焼成温度が低すぎると異相が混在し、また結晶構造が発達せずに格子歪が増大する。また比表面積が大きくなりすぎるものとなる。逆に焼成温度が高すぎると一次粒子が過度に成長し、粒子間の焼結が進行し過ぎ、比表面積が小さくなり過ぎる。
〈含有炭素濃度C〉
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の含有炭素濃度C(質量%)値は、通常0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.015質量%以上、最も好ましくは0.02質量%以上であり、通常0.25質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、一層好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.07質量%以下である。この下限を下回ると電池性能が低下する可能性があり、上限を超えると電池とした時のガス発生による膨れが増大したり電池性能が低下したりする可能性がある。
本発明において、リチウム遷移金属系化合物粉体の含有炭素濃度Cは、後述の実施例の項で示すように、酸素気流中燃焼(高周波加熱炉式)赤外吸収法による測定で求められる。
なお、後述の炭素分析により求めたリチウム遷移金属系化合物粉体の含有炭素成分は、炭酸化合物、特に炭酸リチウムの付着量についての情報を示すものとみなすことができる。これは、炭素分析により求めた炭素量を、全て炭酸イオン由来と仮定した数値と、イオンクロマトグラフィーにより分析した炭酸イオン濃度が概ね一致することによる。
一方、電子伝導性を高めるための手法として導電性カーボンと複合化処理をしたりする場合には、前記規定範囲を超えるC量が検出されることがあるが、そのような処理が施された場合におけるC値は、前記規定範囲に限定されるものではない。
〈好適組成〉
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体は、前記組成式(I)におけるMサイト中の原子構成が下記式(II)で示されるものが特に好ましい。
M=Liz/(2+z){(Ni(1+y)/2Mn(1−y)/21−xCo2/(2+z) …(II)
(ただし、上記式(II)中、
0≦x≦0.1
−0.1≦y≦0.1、
(1−x)(0.05−0.98y)≦z≦(1−x)(0.20−0.88y)である。)
上記(II)式において、xの値は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.04以上、通常0.1以下、好ましくは0.099以下、より好ましくは0.098以下、更に好ましくは0.08以下、一層好ましくは0.06以下、最も好ましくは0.05以下である。
yの値は通常−0.1以上、好ましくは−0.05以上、より好ましくは−0.03以上、最も好ましくは−0.02以上、通常0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、最も好ましくは0.02以下である。
zの値は通常(1−x)(0.05−0.98y)以上、好ましくは(1−x)(0.06−0.98y)以上、より好ましくは(1−x)(0.07−0.98y)以上、さらに好ましくは(1−x)(0.08−0.98y)以上、最も好ましくは(1−x)(0.10−0.98y)以上、通常(1−x)(0.20−0.88y)以下、
好ましくは(1−x)(0.18−0.88y)以下、より好ましくは(1−x)(0.17−0.88y)、最も好ましくは(1−x)(0.16−0.88y)以下である。zがこの下限を下回ると導電性が低下し、上限を超えると遷移金属サイトに置換する量が多くなり過ぎて電池容量が低くなる等、これを使用したリチウム二次電池の性能低下を招く可能性がある。また、zが大きすぎると、活物質粉体の炭酸ガス吸収性が増大するため、大気中の炭酸ガスを吸収しやすくなる。その結果、含有炭素濃度が大きくなると推定される。
上記(II)式の組成範囲において、z値が定比である下限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が低くなる傾向が見られ、逆にz値が上限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が高くなるが、一方で容量が低下するという傾向が見られる。また、y値が下限、つまりマンガン/ニッケル原子比が小さい程、低い充電電圧で容量が出るが、高い充電電圧を設定した電池のサイクル特性や安全性が低下する傾向が見られ、逆にy値が上限に近い程、高い充電電圧で設定した電池のサイクル特性や安全性が向上する一方で、放電容量やレート特性、出力特性が低下する傾向が見られる。また、x値が下限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性といった負荷特性が低くなるという傾向が見られ、逆に、x値が上限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が高くなるが、この上限を超えると、高い充電電圧で設定した場合のサイクル特性や安全性が低下し、また原料コストが高くなる。前記組成パラメータx、y、zを規定範囲とすることは、本発明の重要な構成要素である。
ここで本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の好適組成であるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物におけるLi組成(zおよびx)の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。
前述のように層状構造は必ずしもR(−3)m構造に限られるものではないが、R(−3)m構造に帰属しうるものであることが電気化学的な性能面から好ましい。
上記リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の組成式のx、y、zを求めるには、各遷移金属とLiを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mn/Coの比を求める事で計算される。
構造的視点では、zに係るLiは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、zに係るLiによって、電荷中性の原理によりNiの平均価数が2価より大きくなる(3価のNiが生成する)。zはNi平均価数を上昇させるため、Ni価数(Ni(III)の割合)の指標となる。
なお、上記組成式から、zの変化に伴うNi価数(m)を計算すると、Co価数は3価、Mn価数は4価であるとの前提で、
Figure 2013211096
となる。この計算結果は、Ni価数はzのみで決まるのではなく、x及びyの関数となっていることを意味している。z=0かつy=0であれば、xの値に関係なくNi価数は2価のままである。zが負の値になる場合は、活物質中に含まれるLi量が化学量論量より不足していることを意味し、あまり大きな負の値を有するものは本発明の効果が出ない可能性がある。一方、同じz値であっても、Niリッチ(y値が大きい)及び/又はCoリッチ(x値が大きい)な組成ほどNi価数は高くなるということを意味し、電池に用いた場合、レート特性や出力特性が高くなるが、反面、容量低下しやすくなる結果となる。このことから、z値の上限と下限はx及びyの関数として規定するのがより好ましいと言える。
また、x値が0≦x≦0.1と、Co量が少ない範囲にあると、コストが低減されることに加え、高い充電電位で充電するように設計されたリチウム二次電池として使用した場合において、充放電容量やサイクル特性、安全性が向上する。
〈粉末X線回折ピーク〉
本発明において、前記組成式(I)及び(II)を満たす組成を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、CuKα線を使用した粉末X線回折パターンにおいて、回折角2θが64.5°付近に存在する(110)回折ピークの半価幅をFWHM(110)とした時に、0.01≦FWHM(110)≦0.2の範囲にあることが好ましい。
一般に、結晶性の尺度としてX線回折ピークの半価幅が用いられることから、本発明者らは、結晶性と電池性能の相関について鋭意検討を行った。その結果、回折角2θが64.5°付近に存在する(110)回折ピークの半価幅の値が、規定した範囲内にあるものが良好な電池性能を発現することを見出した。
本発明において、FWHM(110)は通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14以上、0.2以下、より好ましくは0.198以下、更に好ましくは0.196以下、最も好ましくは0.194以下である。
また、本発明において、前記組成式(I)及び(II)を満たす組成を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θが64°付近に存在する(018)回折ピーク、64.5°付近に存在する(110)回折ピーク、及び68°付近に存在する(113)回折ピークにおいて、それぞれのピークトップよりも高角側に、異相由来の回折ピークを持たないか、或いは異相由来の回折ピークを有する場合、本来の結晶相の回折ピークに対する異相ピークの積分強度比が、各々、以下の範囲内にあることが好ましい。
0≦I018 /I018≦0.30 0≦I110 /I110≦0.25 0≦I113 /I113≦0.30(ここで、I018、I110、I113は、それぞれ(018)、(110)、(113)回折ピークの積分強度を表し、I018 、I110 、I113 は、それぞれ(018)、(110)、(113)回折ピークのピークトップよりも高角側に現れる異相由来の回折ピークの積分強度を表す。)
ところで、この異相由来の回折ピークの原因物質の詳細は明らかではないが、異相が含まれると、電池とした時の容量やレート特性、サイクル特性等が低下する。このため、回折ピークは本発明の電池性能に悪影響を与えない程度の回折ピークを有していてもよいが、前記範囲の割合であることが好ましく、それぞれの回折ピークに対する異相由来の回折ピークの積分強度比は、通常I018 /I018≦0.30、I110 /I110≦0.25、I113 /I113≦0.30、好ましくはI018 /I018≦0.25、I110 /I110≦0.20、I113 /I113≦0.25、より好ましくはI018 /I018≦0.20、I110 /I110≦0.15、I113 /I113≦0.20、更に好ましくはI018 /I018≦0.15、I110 /I110≦0.10、I113 /I113≦0.15であり、最も好ましくは異相由来の回折ピークが無いことが特に好ましい。
[リチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法]
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を製造する方法は、特定の製法に限定されるものではないが、リチウム化合物と、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuから選ばれる少なくとも1種類以上の遷移金属化合物と、焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する焼成工程とを含む本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法により、好適に製造される。
例えば、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を例にあげて説明すると、リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、及び焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤を液体媒体中に分散させたスラリーを噴霧乾燥して得られた噴霧乾燥体を、酸素含有ガス雰囲気中で焼成して製造することができる。
以下に、本発明の好適態様であるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の製造方法を例にあげて、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法について詳細に説明する。
<スラリー調製工程>
本発明の方法により、リチウム遷移金属系化合物粉体を製造するに当たり、スラリーの調製に用いる原料化合物のうち、リチウム化合物としては、LiCO、LiNO、LiNO、LiOH、LiOH・HO、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CHOOLi、LiO、LiSO、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム等が挙げられる。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、焼成処理の際にSO、NO等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子、ハロゲン原子を含有しないリチウム化合物であり、また、焼成時に分解ガスを発生することなどから、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に分解ガスを発生するなどして空隙を形成しやすい化合物であり、これらの点を勘案すると、とりわけLiCO、LiOH、LiOH・HOが、なかでも取り扱い易く、比較的安価であることからLiCOが好ましい。これらのリチウム化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、ニッケル化合物としては、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO、2NiCO・3Ni(OH)・4HO、NiC・2HO、Ni(NO
・6HO、NiSO、NiSO・6HO、脂肪酸ニッケル、ニッケルハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の際にSO、NO等の有害物質を発生させない点で、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO、2NiCO・3Ni(OH)・4HO、NiC・2HOのようなニッケル化合物が好ましい。また、更に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が高い、という観点からNi(OH)、NiO、NiOOH、NiCO、さらに焼成時に分解ガスを発生することなどから、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に空隙を形成しやすい、という観点から、特に好ましいのはNi(OH)、NiOOH、NiCOである。これらのニッケル化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、マンガン化合物としてはMn、MnO、Mn等のマンガン酸化物、MnCO、Mn(NO、MnSO、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、塩化マンガン等のハロゲン化物等が挙げられる。これらのマンガン化合物の中でも、MnO、Mn、Mn、MnCOは、焼成処理の際にSO、NO等のガスを発生せず、更に工業原料として安価に入手できるため好ましい。これらのマンガン化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、コバルト化合物としては、Co(OH)、CoOOH、CoO、Co、Co、Co(OCOCH・4HO、CoCl、Co(NO・6HO、Co(SO・7HO、CoCO等が挙げられる。中でも、焼成工程の際にSO、NO等の有害物質を発生させない点で、Co(OH)、CoOOH、CoO、Co、Co、CoCOが好ましく、更に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性が高い点でCo(OH)、CoOOHである。加えて焼成時に分解ガスを発生する等して、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に空隙を形成しやすい、という観点から、特に好ましいのはCo(OH)、CoOOH、CoCOである。これらのコバルト化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、上記のLi、Ni、Mn、Co原料化合物以外にも他元素置換を行って前述の異元素を導入したり、後述する噴霧乾燥にて形成される二次粒子内の空隙を効率よく形成させたりすることを目的とした化合物群を使用することが可能である。なお、ここで使用する、二次粒子の空隙を効率よく形成させることを目的として使用する化合物の添加段階は、その性質に応じて、原料混合前又は混合後の何れかを選択することが可能である。特に、混合工程によって機械的剪断応力が加わるなどして分解しやすい化合物は混合工程後に添加することが好ましい。
焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤としては、前述の如く、目的とする効果を発現するものであればその種類に格別の制限はないが、高価数状態が安定なMo、W、Nb、Ta、Reといった元素から選ばれる元素を含有する化合物が好ましく、通常は酸化物材料が用いられる。
焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤の例示化合物としては、MoO、MoO、MoO、MoO、Mo、Mo、LiMoO、WO、WO、WO、WO、W、W、W1849、W2058、W2470,W2573、W40118、LiWO、NbO、NbO、NbO、Nb、NbO、NbO、LiNbO、TaO、TaO、Ta、LiTaO、ReO、ReO、Reなどが挙げられ、好ましくはMoO、LiMoO、WO、LiWO、LiNbO、Ta、LiTaO、ReOが挙げられ、特に好ましくはWO、LiWO、ReOが挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
原料の混合方法は特に限定されるものではなく、湿式でも乾式でも良い。例えば、ボールミル、振動ミル、ビーズミル等の装置を使用する方法が挙げられる。原料化合物を水、アルコール等の液体媒体中で混合する湿式混合は、より均一な混合が可能であり、かつ焼成工程において混合物の反応性を高めることができるので好ましい。
混合の時間は、混合方法により異なるが、原料が粒子レベルで均一に混合されていれば良く、例えばボールミル(湿式又は乾式)では通常1時間から2日間程度、ビーズミル(湿式連続法)では滞留時間が通常0.1時間から6時間程度である。
なお、原料の混合段階においてはそれと並行して原料の粉砕が為されていることが好ましい。粉砕の程度としては、粉砕後の原料粒子の粒径が指標となるが、平均粒子径(メジアン径)として通常0.4μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下、最も好ましくは0.2μm以下とする。粉砕後の原料粒子の平均粒子径が大きすぎると、焼成工程における反応性が低下するのに加え、組成が均一化し難くなる。ただし、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストアップに繋がるので、平均粒子径が通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上となるように粉砕すれば良い。このような粉砕程度を実現するための手段としては特に限定されるものではないが、湿式粉砕法が好ましい。具体的にはダイノーミル等を挙げることができる。
なお、本発明においてスラリー中の粉砕粒子のメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準に設定して測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。後述の噴霧乾燥粉体のメジアン径については、それぞれ0、1、3、5分間の超音波分散後に測定を行った他は同様の条件である。
<噴霧乾燥工程>
湿式混合後は、次いで通常乾燥工程に供される。乾燥方法は特に限定されないが、生成する粒子状物の均一性や粉体流動性、粉体ハンドリング性能、乾燥粒子を効率よく製造できる等の観点から噴霧乾燥が好ましい。その際、噴霧方法は特に限定されないが、例えば、ノズル型アトマイザー(二流体ノズル、三流体ノズル、四流体ノズル)、回転円盤形アトマイザーなどを用いた方法を挙げることができる。
(噴霧乾燥粉体)
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法においては、原料化合物と添加剤とを湿式粉砕して得られたスラリーを噴霧乾燥することにより、一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体を得る。一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる噴霧乾燥粉体は、本発明の噴霧乾燥粉体の形状的特徴である。形状の確認方法としては、例えば、SEM観察、断面SEM観察が挙げられる。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体の焼成前駆体でもある噴霧乾燥により得られる粉体のメジアン径(ここでは超音波分散をかけずに測定した値)は通常15μm以下、より好ましくは12μm以下、更に好ましくは9μm以下、最も好ましくは7μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上である。噴霧乾燥法で粒子状物を製造する場合、その粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。
即ち、例えば、リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、及び焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤を液体媒体中に分散させたスラリーを噴霧乾燥後、得られた粉体を焼成してリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体を製造するに当たり、噴霧乾燥時のスラリー粘度をV(cp)、スラリー供給量をS(L/min)、ガス供給量をG(L/min)とした際、スラリー粘度Vが、50cp≦V≦4000cpであって、かつ、気液比G/Sが、500≦G/S≦10000となる条件で噴霧乾燥を行う。
スラリー粘度V(cp)が低すぎると一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体を得にくくなる虞があり、高過ぎると供給ポンプが故障したり、ノズルが閉塞する虞がある。従って、スラリー粘度V(cp)は、下限値として通常50cp以上、好ましくは100cp以上、更に好ましくは300cp以上、最も好ましくは500cpであり、上限値としては通常4000cp以下、好ましくは3500cp以下、更に好ましくは3000cp以下、最も好ましくは2500cp以下である。
また、気液比G/Sが上記下限を下回ると二次粒子サイズが粗大化したり乾燥性が低下しやすく、上限を超えると生産性が低下する虞がある。従って、気液比G/Sは、下限値として通常500以上、好ましくは800以上、更に好ましくは1000以上、最も好ましくは1500以上であり、上限値としては通常10000以下、好ましくは9000以下、更に好ましくは8000以下、最も好ましくは7500以下である。
スラリー供給量Sやガス供給量Gは、噴霧乾燥に供するスラリーの粘度や用いる噴霧乾燥装置の仕様等によって適宜設定される。
本発明の方法においては、前述のスラリー粘度V(cp)を満たし、かつ用いる噴霧乾燥装置の仕様に適したスラリー供給量とガス供給量を制御して、前述の気液比G/Sを満たす範囲で噴霧乾燥を行えばよく、その他の条件については、用いる装置の種類等に応じて適宜設定されるが、更に次のような条件を選択することが好ましい。
即ち、スラリーの噴霧乾燥は、通常、50℃以上、好ましくは70℃以上、更に好ましくは120℃以上、最も好ましくは140℃以上で、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下、最も好ましくは180℃以下の温度で行うことが好ましい。この温度が高すぎると得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなる可能性があり、粉体の充填密度が低下する虞がある。一方、低すぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞等の問題が生じる可能性がある。
また、本発明に係るリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体等のリチウム遷移金属系化合物粉体の噴霧乾燥粉体は、一次粒子間の凝集力が弱いのが特徴であり、これは超音波分散に伴うメジアン径の変化を調べることによって確認できる。ここで5分間の超音波分散“Ultra Sonic”(出力30W、周波数22.5kHz)をかけた後で測定したときの噴霧乾燥粒子のメジアン径の上限は、通常4μm以下、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは2.5μm以下、最も好ましくは2μm以下であり、下限は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、最も好ましくは0.2μm以上である。この超音波分散後のメジアン径が上記の値より大きい噴霧乾燥粒子を用いて焼成されたリチウム遷移金属系化合物粒子は、粒子間の空隙が少なく、負荷特性が改善されない。一方、超音波分散後のメジアン径が上記の値より小さい噴霧乾燥粒子を用いて焼成されたリチウム遷移金属系化合物粒子は、粒子間の空隙が多くなりすぎ、嵩密度が低下したり、塗布特性が悪くなったりするなどの問題が生じやすくなる可能性がある。
また、本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物粉体等のリチウム遷移金
属系化合物粉体の噴霧乾燥粉体の嵩密度は通常0.1g/cc以上、好ましくは0.3g/cc以上、より好ましくは0.5g/cc以上、最も好ましくは0.7g/cc以上である。この下限を下回ると粉体充填性や粉体の取り扱いに悪影響を及ぼす可能性があり、また、通常1.7g/cc以下、好ましくは1.6g/cc以下、より好ましくは1.5g/cc以下、最も好ましくは1.4g/cc以下である。嵩密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や粉体の取り扱いにとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、焼成工程での反応性が低下する可能性がある。
また、噴霧乾燥により得られる粉体は、比表面積が小さいと、次の焼成工程に際して、原料化合物間の反応性が低下してしまうため、前記の如く、噴霧乾燥前に出発原料を粉砕するなどの手段により、できるだけ高比表面積化されていることが好ましい。一方で、過度に高比表面積化しようとすると、工業的に不利となるだけでなく、本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等のリチウム遷移金属系化合物が得られなくなる可能性がある。従って、これによって得られた噴霧乾燥粉体は、BET比表面積にして通常10m/g以上、好ましくは20m/g以上、更に好ましくは30m/g以上、最も好ましくは50m/g以上で、通常100m/g以下、好ましくは80m/g以下、更に好ましくは70m/g以下、最も好ましくは65m/g以下とすることが好ましい。
<焼成工程>
このようにして得られた焼成前駆体は、次いで焼成処理される。
ここで、本発明において「焼成前駆体」とは、噴霧乾燥粉体を処理して得られる焼成前のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等のリチウム遷移金属系化合物の前駆体を意味する。例えば、前述の焼成時に分解ガスを発生又は昇華して、二次粒子内に空隙を形成させる化合物を、上述の噴霧乾燥粉体に含有させて焼成前駆体としてもよい。
この焼成条件は、組成や使用するリチウム化合物原料にも依存するが、傾向として、焼成温度が高すぎると一次粒子が過度に成長したり、粒子間の焼結が進行し過ぎ、比表面積が小さくなり過ぎる。逆に低すぎると異相が混在し、また結晶構造が発達せずに格子歪が増大する。また比表面積が大きくなりすぎる。従って、焼成温度としては、通常700℃以上であるが、前記組成式(I)及び(II)で示される組成のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の製造においては、通常970℃以上が好ましく、より好ましくは975℃以上、さらに好ましくは980℃以上、最も好ましくは990℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1175℃以下、更に好ましくは1150℃以下、最も好ましくは1125℃以下である。
焼成には、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。焼成工程は、通常、昇温・最高温度保持・降温の三部分に分けられる。二番目の最高温度保持部分は必ずしも一回とは限らず、目的に応じて二段階又はそれ以上の段階をふませてもよく、二次粒子を破壊しない程度に凝集を解消することを意味する解砕工程又は、一次粒子或いはさらに微小粉末まで砕くことを意味する粉砕工程を挟んで、昇温・最高温度保持・降温の工程を二回又はそれ以上繰り返しても良い。
昇温工程は通常1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で炉内を昇温させる。この昇温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても炉によっては炉内温度が設定温度に追従しなくなる。昇温速度は、好ましくは2℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上で、好ましくは7℃/分以下、より好ましくは5℃/分以下である。
最高温度保持工程での保持時間は、温度によっても異なるが、通常前述の温度範囲であ
れば30分以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは3時間以上、最も好ましくは5時間以上で、50時間以下、好ましくは25時間以下、更に好ましくは20時間以下、最も好ましくは15時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金属系化合物粉体が得られ難くなり、長すぎるのは実用的ではない。焼成時間が長すぎると、その後解砕が必要になったり、解砕が困難になったりするので、不利である。
降温工程では、通常0.1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉内を降温させる。降温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても目的物の均一性に欠けたり、容器の劣化を早めたりする傾向にある。降温速度は、好ましくは1℃/分以上、より好ましくは3℃/分以上で、好ましくは7℃/分以下、より好ましくは5℃/分以下である。
焼成時の雰囲気は、得ようとするリチウム遷移金属系化合物粉体の組成によって適切な酸素分圧領域があるため、それを満足するための適切な種々ガス雰囲気が用いられる。ガス雰囲気としては、例えば、酸素、空気、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、及びそれらの混合ガス等を挙げることができる。本発明において具体的に実施しているリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体については、空気等の酸素含有ガス雰囲気を用いることができる。通常は酸素濃度が1体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上で、100体積%以下、好ましくは50体積%以下、より好ましくは25体積%以下の雰囲気とする。
このような製造方法において、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体、例えば前記特定の組成を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を製造するには、製造条件を一定とした場合には、リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物、及びコバルト化合物と、焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤とを液体媒体中に分散させたスラリーを調製する際、各化合物の混合比を調整することで、目的とするLi/Ni/Mn/Coのモル比を制御することができる。
このようにして得られたリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体等の本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体によれば、容量が高く、レート・出力等の負荷特性に優れ、性能バランスの良いリチウム二次電池用正極材料が提供される。
[導電材]
本願の正極活物質層には、導電性を高めるために導電材を含有させることを特徴としている。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは3質量%以上であり、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
さらに、本願発明においては、導電材が、窒素吸着比表面積(NSA)が80m/g以上であるカーボンブラックであることが好ましい。ここで、従来知られているカーボンブラックをはじめとする導電材としての炭素質材料は、窒素吸着比表面積を大きくしようとすると脱水素量が大きくなり、逆に脱水素量を低く抑えようとすると、比表面積が小さくなるため、24M4DBP吸収量も小さくなり、導電材自体の電導度を高めつつ、寿命も向上させることが難しかった。しかし、24M4DBP吸収量が特定のカーボンブラックを用いるため、カーボンブラックの製造条件を調節し、窒素吸着比表面積と24M4DBP吸収量を特定の範囲に調節することにより、電導度を高めて高出力に対応すると共
に、電気化学的な寿命も高めた正極、ひいては高出力かつ長寿命のリチウム二次電池を実現することができるため、好ましい。
以下に、本発明における導電材の物性パラメータについて説明する。
〈窒素吸着比表面積(NSA)〉
窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K6217に準拠して定義される(単位はm/g)。
本発明で用いるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)については、下限は、通常80m/g以上であり、好ましくは100m/g以上、さらに好ましくは150m/g以上である。また上限は、通常300m/g以下であり、好ましくは290m/g以下、さらに好ましくは280m/g以下であることが好ましい。
リチウム二次電池の正極中の活物質間の導電パスを確保し、高出力時の性能を出すには、導電材の比表面積が大きい方が好ましい。一方、比表面積が大きすぎると、正極作成時の成形上不都合が生じるおそれがあり、電気化学的副反応等による不可逆的な反応が起きやすくなり、寿命が低下するおそれがある。
従って、導電材としてのカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は上記範囲内にあることが好ましい。
なお、本発明における平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した平均径である。
また、本発明のカーボンブラックの平均粒径は、下限は、通常10nm以上、好ましくは12nm以上、特に好ましくは15nm以上、上限は、通常35nm以下、好ましくは33nm以下、特に好ましくは31nm以下である。この平均粒径が小さすぎると、正極電極合剤中での分散時に固形分濃度が低くなり、電極合剤調整時に溶媒が多く必要となる。逆に大きすぎると正極活物質への密着性が低下する場合がある。
〈24M4DBP吸収量及びDBP吸収量〉
DBP吸収量は、JIS K6217に準拠して定義される量である(単位はcm/100g)。
24M4DBP吸収量は、DBP吸収量とは別のパラメータであるが、DBP吸収量と同様にJIS K6217に準拠した、圧縮試料についてのDBP吸収量である(単位は同じくcm/100g)。
本発明におけるカーボンブラックは、24M4DBP吸収量が、通常100cm/100g以上、好ましくは105cm/100g、より好ましくは110cm/100g以上のものであることが好ましい。
24M4DBP吸収量が、上記下限未満では、正極作成時のストレスやサイクルや保存時のストレスによってストラクチャーが壊れやすいために、十分な導電パスが形成されず容量や出力が低下したり、形成された導電パスが壊れて寿命が低下する場合がある。24M4DBP吸収量の上限は特に制限はないが、正極作成時の取り扱い易さの点から、通常200cm/100g以下である。
一般に、カーボンブラックは一次粒子が葡萄房状に連なった独特のストラクチャー(凝集体構造)と称される連鎖体よりなる二次粒子を形成している。しかして、導電パスを確保しやすい点から、カーボンブラックは、ストラクチャーが発達したものであることが好ましい。また、カーボンブラックの一次粒子径を小さくすることによっても導電性が向上する。さらに、カーボンブラックの一次粒子の表面における官能基(酸素化合物)量を少なくすることによっても導電性が向上する。
DBP(ジブチルフタレート)は、カーボンブラックのストラクチャーの葡萄房状連鎖
体の空隙部分等に吸収されるので、24M4DBP吸収量やDBP吸収量はカーボンブラックが有するストラクチャーの発達度合を示す重要な指標値である。
通常のDBP吸収量がカーボンブラックそのままの状態にDBPを吸収させて測定するのと違い、24M4DBP吸収量はカーボンブラックにストレスをかけて容易に壊れる部分を壊してからDBPを吸収させて測定するものである。正極にカーボンブラックを用いる場合、通常活物質との混合過程や正極の成形時等にカーボンブラックは種々ストレスを受けるため、DBP吸収量よりも24M4DBP吸収量のほうがカーボンブラックのストラクチャーを示す上で重要と考えられる。
そして、カーボンブラックの24M4DBP吸収量は正極の中で導電パスを形成する有効なストラクチャーの量と相関があるため、電池の向上と相関が・BR> り、しかも、リチウム二次電池のサイクル特性や保存特性などで活物質や正極の膨張収縮等が起きる際にも破壊されにくいストラクチャーの存在量を表していると考えられるので、寿命とも相関がある。つまり24M4DBP吸収量がある程度大きくないとこれら電気化学特性を引き出しにくいと考えられる。
このようなことから、本発明においては、カーボンブラックの24M4DBP吸収量を上記所定値以上とする。
〈(1500℃×30分)脱水素量〉
(1500℃×30分)脱水素量は、カーボンブラックを真空中にて1500℃で30分間加熱し、この間に発生したガス中の水素量であり、具体的には後述のようにして測定される。
本発明における導電材であるカーボンブラック(以下、単に「カーボンブラック」とも言う。)の脱水素量は、通常1.8mg/g以下、好ましくは1.7mg/g以下、より好ましくは1.6mg/g以下であることが好ましい。
脱水素量は、カーボンブラックが受ける熱履歴と大きく関わっており、熱処理が不十分であると水素が多く残り、これが導電性と大きく関わると考えられる。脱水素量が多いものはカーボンブラック表面の炭素化が進んでいないため、電極中で導電性を向上させることができず、ひいては出力を出すことができないと考えられる。また、電池に用いられる場合は電気化学的安定性にも影響し、寿命を左右すると考えられる。これらのことから、通常、カーボンブラックの脱水素量は小さいほうが好ましいと考えられる。ただし、小さすぎると工業的に製造する際のコスト上昇につながることから、一般的には、通常0.1mg/g以上、より好ましくは0.3mg/g以上が良い。
(測定法)
カーボンブラックを約0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Torr(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容量のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めると共に、ガスクロマトグラフにて組成分析し、水素(H)の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからの水素量に換算した値を計算する(単位はmg/g)。
〈結晶子サイズLc〉
本発明で用いるカーボンブラックは、結晶子サイズLcの下限が、通常10Å以上、より好ましくは13Å以上であり、上限が、通常40Å以下、好ましくは25Å以下、さらに好ましくは17Å以下であることが好ましい。カーボンブラックでは結晶子サイズLcをこの特定の範囲とすることで、正極の導電性を最も高めることができる。この値が大きすぎても低すぎても、十分な導電性が得られないおそれがある。
なお、本発明に係る結晶子サイズLcは、X線回折装置(RINT−1500型 理学電機社製)を用いて測定される。測定条件は、管球にCuを用い、管電圧40KV、管電流250mAである。カーボンブラック試料は装置付属の試料板に充填し、測定角度(2θ)10゜〜60゜、測定速度0.5゜/分とし、ピーク位置と半価幅は装置のソフトにより算出する。また測定角度の校正にはX線標準用シリコンを用いる。この様にして得られた結果を用いて、Scherrerの式;(Lc(Å)=K×λ/(β×cosθ)(但しK:形状因子定数0.9、λ:特性X線の波長CuKα 1.5418(Å)、β:半価幅(ラジアン)、θ:ピーク位置(度)))により結晶子サイズLcを求める。
本発明では、さらにDmod/24M4DBPが0.6〜0.9の範囲にあるカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、前述の如く、1次粒子が複数繋がった2次粒子(凝集体)からなっており、その凝集体構造(ストラクチャー)の発達度合の指標として、24M4DBP吸収量が用いられている。また、カーボンブラックの特性を測る他の指標として、ストークス径が知られている。このストークス径は、一般的に、カーボンブラック凝集体をストークスの法則に従う疑似球状と見なして遠心沈降法(DCP)により求めた直径(モード径;Dmod)が用いられており、そしてDmodの分布指標として、Dmodの半値幅(D1/2)が用いられている。
従来、これらの指標やその比(D1/2/Dmod)、そして他の物性値等をカーボンブラックの物性指標として、カーボンブラック自体や、ゴム、樹脂組成物における物性、加工性等の改善がなされてきた。しかし、従来においては、これらの数値は各々個別に評価するに留まっており、カーボンブラックの特性を充分に把握するには到っていなかった。例えば、カーボンブラックのストークスモード径(Dmod)のみでは、そのストラクチャーの発達具合が一義的に決定されないので、Dmodが同じカーボンブラックであっても導電性に差がある等、特に導電性樹脂組成物へ添加するカーボンブラックにおいては充分な改良が成されていないという課題があった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、Dmodが、ストラクチャーの発達度合いを示す24M4DBP吸収量に対して特定の数値範囲にあるカーボンブラック、つまりDmod/24M4DBPの値が特定範囲にあるカーボンブラックを、導電性樹脂組成物のフィラーとして用いることで、極めて優れた導電性と流動性のバランスを有する導電性樹脂組成物を実現し得ることを見出した。
このDmod/24M4DBPで示される数値は、カーボンブラックのストラクチャーの発達度合いに対する凝集体径の大きさを示すものである。この数値が低いほど、つまり同一サイズの凝集体径に対するストラクチャーの発達度が高いほど、カーボンブラック1次粒子がより密集していることを示す。この数値が低すぎると樹脂との馴染みの低下により樹脂組成物の流動性低下や、樹脂組成物中でのカーボンブラックの分散性低下による樹脂組成物の導電性の低下が起こる場合がある。逆に、高過ぎるとカーボンブラック自体の導電性が低下し、所望の導電性を付与するための導電性樹脂組成物へのカーボンブラック添加量の増加により、樹脂組成物の機械的物性等が低下する場合がある。よって、本発明のカーボンブラックにおいては、Dmod/24M4DBPが0.6以上、0.9以下であることが好ましい。
更に、本発明のカーボンブラックにおいては、ストラクチャーの発達度合いに対する凝集体径分布が狭い方が好ましい。具体的には、24M4DBP吸収量に対するストークスモード半値幅(D1/2)の比(D1/2/24M4DBP)で示される数値が、小さい方が好ましい。この数値が高過ぎるとカーボンブラック自体の導電性が低下し、所望の導電性を付与するための導電性樹脂組成物へのカーボンブラック添加量の増加により、樹脂組成物の機械的物性等が低下する場合がある。よって、本発明のカーボンブラックにおけ
るD1/2/24M4DBPは0.9以下であることが好ましい。またその下限は特に制限はないが、製造の経済性等の理由から0.45以上であることが好ましい。
さらに、本発明では、カーボンブラックのCTAB吸着比表面積を、通常120〜220m/g、特に150〜200m/gとすることが好ましい。この特定範囲にすることにより、樹脂組成物の導電性及び流動性の双方をより一層高めることができる。CTAB比表面積が小さ過ぎると導電性が低下する場合があり、逆に大きすぎると、樹脂組成物中での分散性が低下する場合がある。
上記に加えて、本発明では、以下の式で定義される、含酸素官能基密集度を3μmol/m以下とすることが好ましい。
含酸素官能基密集度(μmol/m
=[CO発生量(μmol/g)+CO発生量(μmol/g)]/窒素吸着比表面積(m/g)
ここで、この数値について説明する。カーボンブラックには、ある程度の表面官能基が存在するが、これを加熱することによって、一酸化炭素(CO)・二酸化炭素(CO)が発生する。例えば、カルボニル基(ケトン、キノン等)が存在すれば、分解によって主にCOが発生し、カルボキシル基およびその誘導体(エステル、ラクトン等)が存在すれば同様にCOが発生する。つまり、発生したガス量を求めることで、カーボンブラックの表面に存在する官能基の量が推定できる。一方で、カーボンブラックの導電性向上においては、これらの官能基量が少ないことが望ましいことは、従来から知られている。しかしながら、これらの官能基は、従来はカーボンブラックの重量あたりの発生ガス量に基づいた数値が用いられてきた。言い換えれば、カーボンブラック重量に対する官能基の量が、導電性に影響するというのが従来の通説であった。
これに対して、本発明者らは、さらなる鋭意検討の結果、分散性とは別個の概念から、導電性においても、これら官能基量はカーボンブラックの重量あたりの数値ではなく、むしろ単位表面積あたりの数が樹脂組成物の導電性、しいては導電性と流動性との両立に効果があることを見出した。
その理由の詳細は明らかではないが、樹脂組成物内を電流が流れる際、カーボンブラックの表面に局在する官能基が、カーボンブラック2次粒子間の電子移動を阻害するため、重量あたりの絶対量よりも、単位表面積あたりの数(密集度)が導電性に影響するためと考えられる。
即ち、含酸素官能基密集度とは、カーボンブラック単位表面積あたりの官能基の数を示すものであるため、この数値は低いのが好ましい。この数値が高い場合には、かかる理由によりカーボンブラックを含む樹脂組成物の導電性が低下する。なお、この数値は低いほど導電性の観点では好ましいが、あまりに低すぎると上述の如く、分散性が低下して導電性や流動性が却って悪化する恐れがあり、また脱水素量の場合と同様、工業的な経済性などの理由により不利である。従って、含酸素官能基密集度は、0.1μmol/m以上とするのが好ましい。
<製造方法>
オイルファーネスカーボンブラックの製造方法は任意であり、例えばオイルファーネス法やアセチレン法、賦活法によるケッチェンブラックが挙げられる。中でもオイルファーネス法は、安価に、且つ歩留まり良く製造できるので好ましい。
上記特定の物性を有するカーボンブラックの具体的な合成法については、特許文献:特開2006−52237に記載する通りである。
オイルファーネス法によるカーボンブラックの製造装置は、燃料を燃焼させて高温燃焼
ガス流を生じさせる第1反応帯域と、該第1反応帯域に引き続いて設置され、カーボンブラック原料炭化水素(以下、「オイル」ということがある。)を導入してカーボンブラック生成反応をさせる第2反応帯域と、該第2反応帯域に引き続いて設置され、カーボンブラック生成反応を停止させるための冷却手段を有した第3反応帯域とを備えている。
このカーボンブラック製造装置によってカーボンブラックを製造するには、第1反応帯域内に高温の燃焼ガス流を生じさせ、第2反応帯域内にカーボンブラック原料炭化水素(オイル)を噴霧し、該第2反応帯域内でカーボンブラックを生成させる。このカーボンブラックを含むガス流は、第3反応帯域内に導入され、該第3反応帯域内でスプレーノズルから水噴霧を受けて急冷される。第3反応帯域内のカーボンブラックを含むガス流は、その後煙道を経由してサイクロン又はバッグフィルター等の捕集手段に導入され、カーボンブラックが捕集される。
オイルファーネスカーボンブラックは、このような製造装置の設計や製造条件を制御することにより製造することができ、物性の制御を比較的容易に行うことができ、リチウム二次電池の正極に用いる場合の物性設計上、他の導電材よりも有利である。
例えば、上述の第2反応帯域におけるカーボンブラック原料導入ノズルの位置と、第3反応帯域における冷却水供給ノズルの位置とを調整して炉内におけるカーボンブラックの滞留時間を特定範囲とすることによって、上述した様にカーボンブラックの24M4DBP吸収量と比表面積を特定範囲の値とし、結晶子サイズLcを過度に大きくせず特定の小さな値とし、且つカーボンブラック粒子表面の脱水素が進行した状態とすればよい。より具体的には、炉内温度を、通常1500℃〜2000℃、好ましくは1600℃〜1800℃とし、カーボンブラックの炉内滞留時間、即ち原料導入点から反応停止位置までの移動に要する時間(カーボンブラック原料導入位置距離と反応停止位置距離を移動するに要する時間)が、通常40ミリ秒〜500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒〜200ミリ秒とすれば良い。また、炉内温度が1500℃を下回るような低温の場合には、炉内滞留時間が500ミリ秒を越えて5秒以下、好ましくは1秒〜3秒とすればよい。
オイルファーネスカーボンブラックは、特に脱水素量が少ないので、その製造には炉内での高温燃焼ガス流の温度を1700℃以上の高温とする方法や、カーボンブラック原料供給ノズルよりも下流側で更に炉内に酸素を導入してカーボンブラック表面の水素等を燃焼させ、この反応熱で高温下の滞留時間を長くすることが好ましい。このような方法によって、カーボンブラックの表面近傍の結晶化とカーボンブラック内部の脱水素が効果的に行えるので好ましい。
[正極の作成方法]
正極活物質層は、通常、本発明で用いる正極材料、本発明で用いる導電材、結着剤及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電箔に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電箔に塗布、乾燥することにより作成される。
〈正極活物質と導電材の混合割合〉
本願発明の正極活物質と導電材の混合割合(=導電材の質量/正極活物質の質量)としては、通常0.1%以上、好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、特に好ましくは1.5%以上、通常15%以下、好ましくは13%以下、さらに好ましくは10%以下である。この範囲であれば、充放電容量を維持しつつ充分に導電パスを確保できるため、好ましい。
正極材料であるリチウム遷移金属系化合物粉体、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限
はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いて電極合剤化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
〈結着剤〉
本願発明において、正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、通常用いられるものであれば、特に制限されないが中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、ポリアクリロニトリル、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等)が挙げられる。
これらの中でも、耐酸化性の点から、ポリプロピレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、が好ましく、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、が特に好ましい。
また、集電箔への接着性の点から、これらの高分子が集電箔表面と親和性を持つ官能基を有することが好ましい。
具体例としては、官能基に、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ビニル基、アリル基、アミノ基、スルホ基、スルホニル基、ホスホニル基などを有する高分子が挙げられ、これらの中でも、接着性の点から、無水カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ビニル基、アリル基、スルホニル基、ホスホニル基を持つことが特に好ましい。
なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまうおそれがある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながるおそれがある。
〈集電箔〉
本願発明の集電箔としては、上述のとおり、ΔL/Lが5%以下であることを特徴としている。
なお、この凹部分の測定については、次に詳述する。
まず、合剤と集電箔を電極面に垂直に同時に切断した断面を作成する。断面の作成にはアルゴンイオンビームが使用できる。
この断面を、例えば倍率2000倍の視野で、合剤と集電箔との界面を観察する。凹部の最大深さが2μmに満たない場合は倍率10000倍に拡大して界面を観察することが好ましい。拡大した断面において、集電箔表面のうち凹部を形成しない部分が形成する線分を直線に近似する。得られた近似直線の長さをLとする。近似直線から凹部の深さが0.8μm以上の部分の長さの合計をΔLとすると単位長さあたりの凹部の割合はΔL/Lで求めることができる。
倍率2000倍の視野で観察する場合は長さLを50μmもしくは100μmに設定すればよい。倍率10000倍の視野で観察する場合は長さLを10μmに設定すればよい。また、同様の操作を異なる5点の視野で行い、5つの値の平均値を用いて上記の特性を有するか否かを判断することが望ましい。
また、別の方法として電極面から合剤を溶剤などにより超音波洗浄を使用して集電箔表面から除去する。得られた集電箔の表面を表面粗さ計により断面の形状を観察してもよい。
集電箔表面のうち凹部を形成しない部分が形成する線分を直線に近似する。
得られた近似直線をLとする。近似直線から凹部の深さが0.8μm以上の部分の長さの合計をΔLとすると単位長さあたりの凹部の割合はΔL/Lで求めることができる。長さLは50μmもしくは100μmに設定すればよい。
また同様の操作を異なる5点の視野で行い、5つの値の平均値を用いて蒸気の特性を有するか否かを判断することが望ましい。
正極集電箔の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
正極集電箔として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また通常100mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは50μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電箔として必要な強度が不足するおそれがある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれるおそれがある。
正極活物質層中の正極材料としての本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の含有割合は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。正極活物質層中のリチウム遷移金属系化合物粉体の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
正極のプレス後の電極密度としては、下限としては、通常、2.0g/cm以上、好
ましくは2.4g/cm以上、特に好ましくは2.6g/cm以上、上限としては、通常、4.2g/cm以下、好ましくは4.0g/cm以下、特に好ましくは3.8g/cm以下である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
かくして、本発明のリチウム二次電池用正極が調製できる。
〈本発明が上述の効果をもたらす理由〉
本発明が上述の効果をもたらす理由としては次のように推察される。
即ち、本発明の極板は合剤と集電箔の間の形状を本願の請求項で規定するような凹部の少ない状態に制御することで、合剤層と集電箔の界面に抵抗を生成し、内部短絡時の短絡電流を制限し、発熱を抑制することで高い安全性を発現するものと予想される。
特に、本発明に用いる活物質は均一性の高い微粒子であるため、従来と同じ電極製造方法で、上記の形状を実現することができ、かつ、容量や出力が良好と推察される。
〈極板積層体〉
また、上記の集電箔表面構造を持つ第1の正極活物質を含有する第1の正極合剤層と、第1の正極活物質よりも粒径の大きい第2の正極活物質を含有する第2の正極合剤層を積層したことを特徴とするリチウム二次電池用正極でも、安全性を保ったまま、好適な性能を得ることができるため、好ましい。
また、その際、第1の正極合剤層としては、前述の正極活物質を用いることができる。また、第2の正極活物質としては、以下のリチウム遷移金属系化合物が好ましい。
[リチウム遷移金属系化合物粉体(第2の正極活物質)]
本発明の第2の正極活物質は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有するリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、該主成分原料に、B及びBiから選ばれる少なくとも1種の元素(以下「添加元素1」と称す。)を含有する化合物(以下「添加剤1」と称す。)と、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なくとも1種の元素(以下「添加元素2」と称す。)を含有する化合物(以下「添加剤2」と称す。)をそれぞれ1種以上併用添加した後、焼成されてなる粉体であり、該粉体の水銀圧入法による水銀圧入曲線において、圧力3.86kPaから413MPaまでの昇圧時における水銀圧入量が、0.4cm/g未満であることが好ましい。
または、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有するリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、該主成分原料に、B及びBiから選ばれる少なくとも1種の元素(以下「添加元素1」と称す。)を含有する化合物(以下「添加剤1」と称す。)と、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なくとも1種の元素(以下「添加元素2」と称す。)を含有する化合物(以下「添加剤2」と称す。)をそれぞれ1種以上併用添加した後、焼成されてなる粉体であり、該粉体の水銀圧入法による細孔分布曲線が、細孔半径1600nm以上、4000nm以下にピークトップが存在するメインピークを有し、かつ細孔半径80nm以上、1600nm未満にピークトップが存在するサブピークを有することであることが好ましい。
〈リチウム遷移金属系化合物〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiSやMoSなどの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MeMo(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般
的にはLiMePO(Meは少なくとも1種の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPOなどが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe(Meは少なくとも1種の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、CoLiVOなどが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO(Meは少なくとも1種の遷移金属)と表され、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiNi1−xCo、LiNi1−x−yCoMn、LiNi0.5Mn0.5、Li1.2Cr0.4Mn0.4、Li1.2Cr0.4Ti0.4、LiMnOなどが挙げられる。
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、リチウムイオン拡散の点からオリビン構造、スピネル構造、層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるものが好ましい。中でも層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるものが特に好ましい。
また、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sn,Sb,Te,Ba,Ta,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,N,F,P,S,Cl,Br,Iの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
本発明では、添加元素1として、B及びBiから選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴としている。これらの添加元素1の中でも、工業原料として安価に入手でき、かつ軽元素である点から、添加元素1がBであることが好ましい。
添加元素1を含有する化合物(添加剤1)の種類としては、本発明の効果を発現するものであればその種類に格別の制限はないが、通常はホウ酸、オキソ酸の塩類、酸化物、水酸化物などが用いられる。これらの添加剤1の中でも、工業原料として安価に入手できる点から、ホウ酸、酸化物であることが好ましく、ホウ酸であることが特に好ましい。
添加剤1の例示化合物としては、BO、B、B、B、BO、BO、B13、LiBO、LiB、Li、HBO、HBO、B(OH)、B(OH)、BiBO、Bi、Bi、Bi(OH)などが挙げられ、工業原料として比較的安価かつ容易に入手できる点から、好ましくはB、HBO、Biが挙げられ、特に好ましくは、HBOが挙げられる。これらの添加剤1は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明では、添加元素2として、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴としている。これらの添加元素2の中でも、効果が大きい点から、添加元素2がMoまたはWであることが好ましく、Wであることが最も好ましい。
添加元素2を含有する化合物(添加剤2)の種類としては、本発明の効果を発現するものであればその種類に格別の制限はないが、通常は酸化物が用いられる。
添加剤2の例示化合物としては、MoO、MoO、MoO、MoO、Mo、Mo、LiMoO、WO、WO、WO、WO、W、W、W1849、W2058、W2470,W2573、W40118、Li
、NbO、NbO、Nb、Nb、Nb・nHO、LiNbO、TaO、Ta、LiTaO、ReO、ReO、Re、Reなどが挙げられ、工業原料として比較的入手し易い、又はリチウムを包含するといった点から、好ましくはMoO、LiMoO、WO、LiWOが挙げられ、特に好ましくはWOが挙げられる。これらの添加剤2は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
添加剤1と添加剤2の合計の添加量の範囲としては、主成分を構成する遷移金属元素の合計モル量に対して、好適には、下限としては、通常0.01モル%以上、好ましくは0.03モル%以上、より好ましくは0.04モル%以上、特に好ましくは0.05モル%以上、上限としては、通常2モル%未満、好ましくは1.9モル%以下、より好ましくは1.8モル%以下、特に好ましくは1.6モル%以下である。添加量が上記範囲であれば、本発明の効果が得られやすく好ましい。
添加剤1と添加剤2の添加割合の範囲としては、モル比で、通常10:1以上、1:40以下、好ましくは5:1以上、1:20以下、より好ましくは2:1以上、1:20以下、特に好ましくは1:1以上、1:10以下である。この範囲を逸脱すると、本発明の効果を得にくくなる虞がある。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、その一次粒子の表面部分に、添加剤由来の元素(添加元素)、即ち、B、Bi(添加元素1)並びにMo、W、Nb、Ta及びRe(添加元素2)から選ばれる少なくとも1種の元素が濃化して存在していることが特徴である。具体的には、一次粒子の表面部分の、Liと添加元素1及び添加元素2以外の金属元素(即ち、Liと添加元素1と添加元素2以外の金属元素)の合計に対する添加元素1の合計のモル比が、通常、粒子全体の該原子比の20倍以上である。この比率の下限は30倍以上であることが好ましく、40倍以上であることがより好ましく、50倍以上であることが特に好ましい。上限は通常、特に制限されないが、500倍以下であることが好ましく、400倍以下であることがより好ましく、300倍以下であることが特に好ましく、200倍以下であることが最も好ましい。この比率が小さすぎると粉体物性の改善効果が小さく、反対に大きすぎると電池性能の悪化を招く場合がある。
また、一次粒子の表面部分のLiと添加元素1及び添加元素2以外の金属元素(即ち、Liと添加元素1と添加元素2以外の金属元素)の合計に対する添加元素2のモル比は、通常、粒子全体の該原子比の3倍以上である。この比率の下限は4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることが特に好ましい。上限は通常、特に制限されないが、150倍以下であることが好ましく、100倍以下であることがより好ましく、50倍以下であることが特に好ましく、30倍以下であることが最も好ましい。この比率が小さすぎると電池性能の改善効果が小さく、反対に大きすぎると電池性能の悪化を招く場合がある。
リチウム遷移金属系化合物粉体の一次粒子の表面部分の組成の分析は、X線光電子分光法(XPS)により、X線源として単色光AlKαを用い、分析面積0.8mm径、取り出し角65°の条件で行う。一次粒子の組成により、分析可能な範囲(深さ)は異なるが、通常0.1nm以上50nm以下、特に正極活物質においては通常1nm以上10nm以下となる。従って、本発明において、リチウム遷移金属系化合物粉体の一次粒子の表面部分とは、この条件において測定可能な範囲を示す。
〈水銀圧入法による細孔特性〉
本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体は、好ましくは水銀圧入法による測定において、特定の条件を満たす。
本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体の評価で採用する水銀圧入法について以下に説
明する。
水銀圧入法は、多孔質粒子等の試料について、圧力を加えながらその細孔に水銀を浸入させ、圧力と圧入された水銀量との関係から、比表面積や細孔径分布などの情報を得る手法である。
具体的には、まず、試料の入った容器内を真空排気した上で、容器内に水銀を満たす。水銀は表面張力が高く、そのままでは試料表面の細孔には水銀は浸入しないが、水銀に圧力をかけ、徐々に昇圧していくと、径の大きい細孔から順に径の小さい孔へと、徐々に細孔の中に水銀が浸入していく。圧力を連続的に増加させながら水銀液面の変化(つまり細孔への水銀圧入量)を検出していけば、水銀に加えた圧力と水銀圧入量との関係を表す水銀圧入曲線が得られる。
ここで、細孔の形状を円筒状と仮定し、その半径をr、水銀の表面張力をδ、接触角をθとすると、細孔から水銀を押し出す方向への大きさは−2πrδ(cosθ)で表される(θ>90°なら、この値は正となる)。また、圧力P下で細孔へ水銀を押し込む方向への力の大きさはπrPで表されることから、これらの力の釣り合いから以下の数式(1)、数式(2)が導かれることになる。
−2πrδ(cosθ)=πrP …(1)
Pr=−2δ(cosθ) …(2)
水銀の場合、表面張力δ=480dyn/cm程度、接触角θ=140°程度の値が一般的に良く用いられる。これらの値を用いた場合、圧力P下で水銀が圧入される細孔の半径は以下の数式(3)で表される。
Figure 2013211096
すなわち、水銀に加えた圧力Pと水銀が浸入する細孔の半径rとの間には相関があることから、得られた水銀圧入曲線に基づいて、試料の細孔半径の大きさとその体積との関係を表す細孔分布曲線を得ることができる。例えば、圧力Pを0.1MPaから100MPaまで変化させると、7500nm程度から7.5nm程度までの範囲の細孔について測定が行えることになる。
なお、水銀圧入法による細孔半径のおおよその測定限界は、下限が約2nm以上、上限が約200μm以下であり、後述する窒素吸着法に比べて、細孔半径が比較的大きな範囲における細孔分布の解析に向いていると言える。
水銀圧入法による測定は、水銀ポロシメータ等の装置を用いて行うことができる。水銀ポロシメータの具体例としては、Micromeritics社製オートポア、Quantachrome社製ポアマスター等が挙げられる。
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、水銀圧入法による水銀圧入曲線において、圧力3.86kPaから413MPaまでの昇圧時における水銀圧入量が、0.4cm/g未満であることが好ましい。水銀圧入量は、下限としては、通常0.1cm/g以上、より好ましくは0.15cm/g以上、最も好ましくは0.2cm/g以上であり、上限としては、通常0.4cm/g未満、好ましくは0.39cm/g以下、より好ましくは0.38cm/g以下、更に好ましくは0.37cm/g以下、最も好ましくは0.36cm/g以下である。この範囲の上限を超える
と空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう。一方、この範囲の下限を下回ると、粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する。
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、上述の水銀圧入法によって細孔分布曲線を測定した場合に、通常、以下に説明する特定のメインピークが現れる。
なお、本明細書において「細孔分布曲線」とは、細孔の半径を横軸に、その半径以上の半径を有する細孔の単位重量(通常は1g)当たりの細孔体積の合計を、細孔半径の対数で微分した値を縦軸にプロットしたものであり、通常はプロットした点を結んだグラフとして表す。特に本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を水銀圧入法により測定して得られた細孔分布曲線を、以下の記載では適宜「本発明にかかる細孔分布曲線」という。
また、本明細書において「メインピーク」とは、細孔分布曲線が有するピークの内で最も大きいピークをいい、「サブピーク」とは、細孔分布曲線が有するメインピーク以外のピークを表す。
また、本明細書において「ピークトップ」とは、細孔分布曲線が有する各ピークにおいて縦軸の座標値が最も大きい値をとる点をいう。
〈メインピーク〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)に係る細孔分布曲線が有するメインピークは、そのピークトップが、細孔半径が通常1600nm以上、より好ましくは1700nm以上、最も好ましくは1800nm以上、また、通常4000nm以下、好ましくは3600nm以下、より好ましくは3400nm以下、更に好ましくは3200nm以下、最も好ましくは3000nm以下の範囲に存在する。この範囲の上限を超えると、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作成した場合に、正極材内でのリチウム拡散が阻害され、又は導電パスが不足して、負荷特性が低下する可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を用いて正極を作製した場合に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極板(正極の集電体)への活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される可能性がある。また、微粒子化に伴い、塗料化時の塗膜の機械的性質が硬く、又は脆くなり、電池組立て時の捲回工程で塗膜の剥離が生じ易くなる可能性がある。
また、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)に係る細孔分布曲線が有する、細孔半径1600nm以上、3000nm以下にピークトップが存在するピークの細孔容量は、好適には、通常0.10cm/g以上、好ましくは0.15cm/g以上、より好ましくは0.18cm/g以上、最も好ましくは0.20cm/g以上、また、通常0.4cm/g未満、好ましくは0.39cm/g以下、より好ましくは0.35cm/g以下、さらに好ましくは0.32cm/g以下、最も好ましくは0.30cm/g以下である。この範囲の上限を超えると空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、粒子間の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、二次粒子間のリチウム拡散が阻害され、負荷特性が低下する可能性がある。
〈サブピーク〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)に係る細孔分布曲線は、
上述のメインピークに加えて、複数のサブピークを有していてもよく、特には80nm以上、1600nm未満の細孔半径の範囲内にピークトップが存在するサブピークを有することが好ましい。 サブピークのピークトップは、細孔半径が通常80nm以上、より好
ましくは100nm以上、最も好ましくは120nm以上、また、通常1600nm未満、好ましくは1400nm以下、より好ましくは1200nm以下、更に好ましくは1000nm以下、最も好ましくは800nm以下の範囲に存在する。この範囲内であれば、電解液が粒子内部に浸透し、レート特性が向上する。細孔半径がこれを越えて大きい場合、容積も大きくなり、タップ密度の低下を招いてしまう可能性がある。
本発明に係る細孔分布曲線が有する細孔半径80nm以上、1600nm未満にピークトップが存在するサブピークの細孔容量は、好適には、通常0.001cm/g以上、好ましくは0.003cm/g以上、より好ましくは0.005cm/g以上、最も好ましくは0.007cm/g以上、また、通常0.20cm/g以下、好ましくは0.18cm/g以下、より好ましくは0.16cm/g以下、最も好ましくは0.15cm/g以下である。この範囲の上限を超えると二次粒子内の空隙が過大となり、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として用いる際に、正極板への正極活物質の充填率が低くなってしまい、電池容量が制約されてしまう可能性がある。一方、この範囲の下限を下回ると、二次粒子内の空隙が過小となってしまうため、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体を正極材料として電池を作製した場合に、二次粒子内への電解液の浸透量が少なく、負荷特性が低下する可能性がある。
なお、本発明においては、水銀圧入法による細孔分布曲線が、細孔半径1600nm以上、4000nm以下にピークトップが存在するメインピークを少なくとも1つ以上有し、かつ細孔半径80nm以上、1600nm未満にピークトップが存在するサブピークを有するリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体が好ましいものとして挙げられる。
〈嵩密度〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の嵩密度は通常2.1g/cc以上、好ましくは2.2g/cc以上、より好ましくは2.3g/cc以上、最も好ましくは2.4g/cc以上で、通常3.0g/cc以下、好ましくは2.9g/cc以下、より好ましくは2.8g/cc以下、最も好ましくは2.7g/cc以下である。嵩密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、電池性能が低下する可能性がある。嵩密度がこの下限を下回ると粉体充填性や電極調製に悪影響を及ぼす可能性がある。
なお、本発明では、嵩密度は、リチウム遷移金属系化合物粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/ccとして求める。
〈メジアン径及び90%積算径(D90)〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)のメジアン径は通常6μm以上、好ましくは7μm以上、より好ましくは8μm以上、最も好ましくは9μm以上で、通常20μm以下、好ましくは19μm以下、より好ましくは18μm以下、更に好ましくは17μm以下、最も好ましくは15μm以下である。メジアン径がこの下限を下回ると、正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下を来たす可能性がある。
また、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の二次粒子の90%積算径(D90)は通常30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、最も好ましくは20μm以下で、通常10μm以上、好ましくは11μm以上
、より好ましくは12μm以上、最も好ましくは13μm以上である。90%積算径(D90)が上記上限を超えると電池性能の低下を来たす可能性があり、下限を下回ると正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明において、平均粒子径としてのメジアン径及び90%積算径(D90)は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.60を設定し、粒子径基準を体積基準として測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
〈平均一次粒子径〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の平均径(平均一次粒子径)としては、特に限定されないが、下限としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、最も好ましくは0.3μm以上、また、上限としては、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、最も好ましくは1.2μm以下である。平均一次粒子径が、上記上限を超えると、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が低下したりするために、レート特性や出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる可能性がある。上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる可能性がある。
なお、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)における平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した平均径であり、30,000倍のSEM画像を用いて、10〜30個程度の一次粒子の粒子径の平均値として求めることができる。
〈BET比表面積〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)はまた、BET比表面積が、通常0.3m/g以上、好ましくは0.4m/g以上、更に好ましくは0.45m/g以上、最も好ましくは0.5m/g以上で、通常3m/g以下、好ましくは2.8m/g以下、更に好ましくは2.5m/g以下、最も好ましくは2.0m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性に問題が発生しやすくなる可能性がある。
なお、BET比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。本発明では、大倉理研製:AMS8000型全自動粉体比表面積測定装置を用い、吸着ガスに窒素、キャリアガスにヘリウムを使用し、連続流動法によるBET1点式法測定を行った。具体的には粉体試料を混合ガスにより150℃の温度で加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガスを吸着させた後、これを水により室温まで加温して吸着された窒素ガスを脱着させ、その量を熱伝導検出器によって検出し、これから試料の比表面積を算出した。
〈体積抵抗率〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)を40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率の値は、下限としては、1×10Ω・cm以上が好ましく、1×10Ω・cm以上がより好ましく、1×10Ω・cm以上がさらに好ましく、5×10Ω・cm以上が最も好ましい。上限としては、1×10Ω・cm以下が好ましく、8×10Ω・cm以下がより好ましく、5×10Ω・cm以下がさらに好ましく、3×10Ω・cm以下が最も好ましい。この体積抵抗率がこの上限を超えると電池とした時の負荷特性が低下する可能性がある。一方、体積抵抗率がこの下限を下回ると、電池とした時の安全性などが低下する可能性がある。
なお、本発明において、第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の体積抵抗率は、四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mmで、印加電圧リミッタを90Vとして、リチウム遷移金属系化合物粉体を40MPaの圧力で圧密した状態で測定した体積抵抗率である。体積抵抗率の測定は、例えば、粉体抵抗測定装置(例えば、ダイアインスツルメンツ社製、ロレスターGP粉体抵抗測定システム)を用い、粉体用プローブユニットにより、所定の加圧下の粉体に対して行うことができる。
〈結晶構造〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を主成分としたものが好ましい。
ここで、層状構造に関してさらに詳しく述べる。層状構造を有するものの代表的な結
晶系としては、LiCoO、LiNiOのようなα−NaFeO型に属するものがあり、これらは六方晶系であり、その対称性から空間群
Figure 2013211096
(以下「層状R(−3)m構造」と表記することがある。)に帰属される。
ただし、層状LiMeOとは、層状R(−3)m構造に限るものではない。これ以外にもいわゆる層状Mnと呼ばれるLiMnOは斜方晶系で空間群Pm2mの層状化合物であり、また、いわゆる213相と呼ばれるLiMnOは、Li[Li1/3Mn2/3]Oとも表記でき、単斜晶系の空間群C2/m構造であるが、やはりLi層と[Li1/3Mn2/3]層及び酸素層が積層した層状化合物である。
〈組成〉
また、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、下記組成式(I)で示されるリチウム遷移金属系複合酸化物粉体であることが好ましい。
LiMO …(I)
ただし、Mは、主に、Li、Ni及びMn、或いは、Li、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、一部、前述の添加元素1、添加元素2、前述の異元素が導入されてもよい。Mn/Niモル比は通常0.1以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上、より一層好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.9以上、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下、最も好ましくは1.5以下である。Co/(Mn+Ni+Co)モル比は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.35以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.099以下である。M中のLiモル比は通常0.001以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.2以下、好ましくは0.19以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.17以下、最も好ましくは0.15以下である。
なお、上記組成式(I)においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。不定比性がある場合、酸素の原子比は通常2±0.2の範囲、好ましくは2±0.15の範囲、より好ましくは2±0.12の範囲、さらに好まし
くは2±0.10の範囲、特に好ましくは2±0.05の範囲である。
また、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、正極活物質の結晶性を高めるために酸素含有ガス雰囲気下で高温焼成を行って焼成されたものであることが好ましい。焼成温度の下限は特に、上記組成式(I)で示される組成を持つリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物においては、通常1050℃以上、好ましくは1060℃以上、より好ましくは1070℃以上、更に好ましくは1080℃以上、最も好ましくは1090℃以上であり、上限は1200℃以下、好ましくは1190℃以下、更に好ましくは1180℃以下、最も好ましくは1170℃以下である。焼成温度が低すぎると異相が混在し、また結晶構造が発達せずに格子歪が増大する。また比表面積が大きくなりすぎる。逆に焼成温度が高すぎると一次粒子が過度に成長し、粒子間の焼結が進行し過ぎ、比表面積が小さくなり過ぎる。
〈含有炭素濃度C〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の含有炭素濃度C(重量%)値は、通常0.005重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.015重量%以上、最も好ましくは0.02重量%以上であり、通常0.25重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは0.07重量%以下である。この下限を下回ると電池性能が低下する可能性があり、上限を超えると電池とした時のガス発生による膨れが増大したり電池性能が低下したりする可能性がある。
本発明において、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素濃度Cは、後述の実施例の項で示すように、酸素気流中燃焼(高周波加熱炉式)赤外吸収法による測定で求められる。
なお、後述の炭素分析により求めたリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素成分は、炭酸化合物、特に炭酸リチウムの付着量についての情報を示すものとみなすことができる。これは、炭素分析により求めた炭素量を、全て炭酸イオン由来と仮定した数値と、イオンクロマトグラフィーにより分析した炭酸イオン濃度が概ね一致することによる。
一方、電子伝導性を高めるための手法として導電性カーボンと複合化処理をしたりする場合には、前記規定範囲を超えるC量が検出されることがあるが、そのような処理が施された場合におけるC値は、前記規定範囲に限定されるものではない。
〈好適組成〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、前記組成式(I)におけるMサイト中の原子構成が下記式(II)又は下記式(II’)で示されるものが特に好ましい。
M=Liz/(2+z){(Ni(1+y)/2Mn(1−y)/21−xCo2/(2+z) …(II)
(ただし、上記式(II)中、
0≦x≦0.1、
−0.1≦y≦0.1、
(1−x)(0.05−0.98y)≦z≦(1−x)(0.20−0.88y)
である。)
M=Liz’/(2+z’){(Ni(1+y’)/2Mn(1−y’)/21−x’Cox’2/(2+z’) …(II’)
(ただし、組成式(II’)中、
0.1<x’≦0.35
−0.1≦y’≦0.1
(1−x’)(0.02−0.98y’)≦z’≦(1−x’)(0.20−0.88y’))
上記(II)式において、xの値は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好まし
くは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.04以上、通常0.1以下、好ましくは0.099以下、最も好ましくは0.098以下である。
yの値は通常−0.1以上、好ましくは−0.05以上、より好ましくは−0.03以上、最も好ましくは−0.02以上、通常0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、最も好ましくは0.02以下である。
zの値は通常(1−x)(0.05−0.98y)以上、好ましくは(1−x)(0.06−0.98y)以上、より好ましくは(1−x)(0.07−0.98y)以上、さらに好ましくは(1−x)(0.08−0.98y)以上、最も好ましくは(1−x)(0.10−0.98y)以上、通常(1−x)(0.20−0.88y)以下、好ましくは(1−x)(0.18−0.88y)以下、より好ましくは(1−x)(0.17−0.88y)、最も好ましくは(1−x)(0.16−0.88y)以下である。zがこの下限を下回ると導電性が低下し、上限を超えると遷移金属サイトに置換する量が多くなり過ぎて電池容量が低くなる等、これを使用したリチウム二次電池の性能低下を招く可能性がある。また、zが大きすぎると、活物質粉体の炭酸ガス吸収性が増大するため、大気中の炭酸ガスを吸収しやすくなる。その結果、含有炭素濃度が大きくなると推定される。
上記(II’)式において、x’の値は通常0.1より大きく、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.25以上、最も好ましくは0.30以上、通常0.35以下、好ましくは0.345以下、最も好ましくは0.34以下である。
y’の値は通常−0.1以上、好ましくは−0.05以上、より好ましくは−0.03以上、最も好ましくは−0.02以上、通常0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、最も好ましくは0.02以下である。
z’の値は通常(1−x’)(0.02−0.98y’)以上、好ましくは(1−x’)(0.03−0.98y’)以上、より好ましくは(1−x’)(0.04−0.98y’)以上、最も好ましくは(1−x’)(0.05−0.98y’)以上、通常(1−x’)(0.20−0.88y’)以下、好ましくは(1−x’)(0.18−0.88y’)以下、より好ましくは(1−x’)(0.17−0.88y’)、最も好ましくは(1−x’)(0.16−0.88y’)以下である。z’がこの下限を下回ると導電性が低下し、上限を超えると遷移金属サイトに置換する量が多くなり過ぎて電池容量が低くなる等、これを使用したリチウム二次電池の性能低下を招く可能性がある。また、z’が大きすぎると、活物質粉体の炭酸ガス吸収性が増大するため、大気中の炭酸ガスを吸収しやすくなる。その結果、含有炭素濃度が大きくなると推定される。
上記(II),(II’)式の組成範囲において、z,z’値が定比である下限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が低くなる傾向が見られ、逆にz,z’値が上限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が高くなるが、一方で容量が低下するという傾向が見られる。また、y,y’値が下限、つまりマンガン/ニッケル原子比が小さい程、低い充電電圧で容量が出るが、高い充電電圧を設定した電池のサイクル特性や安全性が低下する傾向が見られ、逆にy,y’値が上限に近い程、高い充電電圧で設定した電池のサイクル特性や安全性が向上する一方で、放電容量やレート特性、出力特性が低下する傾向が見られる。また、x,x’値が下限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性といった負荷特性が低くなるという傾向が見られ、逆に、x,x’値が上限に近い程、電池とした時のレート特性や出力特性が高くなるが、この上限を超えると、高い充電電圧で設定した場合のサイクル特性や安全性が低下し、また原料コストが高くなる。前記組成パラメータx,x’、y,y’、z,z’を規定範囲とすることは、本発明の重要な構成
要素である。
ここで本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の好適組成であるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物におけるLi組成(z,z’及びx,x’)の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。
前述のように層状構造は必ずしもR(−3)m構造に限られるものではないが、R(−3)m構造に帰属しうるものであることが電気化学的な性能面から好ましい。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のx,x’、y,y’、z,z’を求めるには、各遷移金属とLiを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mn/Coの比を求める事で計算される。
構造的視点では、z,z’に係るLiは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、z,z’に係るLiによって、電荷中性の原理によりNiの平均価数が2価より大きくなる(3価のNiが生成する)。z,z’はNi平均価数を上昇させるため、Ni価数(Ni(III)の割合)の指標となる。
なお、上記組成式から、z,z’の変化に伴うNi価数(m)を計算すると、Co価数は3価、Mn価数は4価であるとの前提で、
Figure 2013211096
となる。この計算結果は、Ni価数はz,z’のみで決まるのではなく、x,x’及びy,y’の関数となっていることを意味している。z,z’=0かつy,y’=0であれば、x,x’の値に関係なくNi価数は2価のままである。z,z’が負の値になる場合は、活物質中に含まれるLi量が化学量論量より不足していることを意味し、あまり大きな負の値を有するものは本発明の効果が出ない可能性がある。一方、同じz,z’値であっても、Niリッチ(y,y’値が大きい)及び/又はCoリッチ(x,x’値が大きい)な組成ほどNi価数は高くなるということを意味し、電池に用いた場合、レート特性や出力特性が高くなるが、反面、容量低下しやすくなる結果となる。このことから、z,z’値の上限と下限はx,x’及びy,y’の関数として規定するのがより好ましいと言える。
また、x値が0≦x≦0.1と、Co量が少ない範囲にあると、コストが低減されることに加え、高い充電電位で充電するように設計されたリチウム二次電池として使用した場合において、充放電容量やサイクル特性、安全性が向上する。
他方、x’値が0.10<x’≦0.35と、Co量が比較的多い範囲にあると、リチウム二次電池として使用した場合において、充放電容量やサイクル特性、負荷特性、安全性などがバランスよく向上する。
〈粉末X線回折ピーク〉
本発明において、前記組成式(I)及び(II)を満たす組成を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、CuKα線を使用した粉末X線回折パターンにお
いて、回折角2θが64.5°付近に存在する(110)回折ピークの半価幅をFWHM(110)とした時に、0.1≦FWHM(110)≦0.3の範囲にあることを特徴とする。
一般に、結晶性の尺度としてX線回折ピークの半価幅が用いられることから、本発明者らは結晶性と電池性能の相関について鋭意検討を行った。その結果、回折角2θが64.5°付近に存在する(110)回折ピークの半価幅の値が、規定した範囲内にあるものが良好な電池性能を発現することを見出した。
本発明において、FWHM(110)は通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14以上、通常0.3以下、好ましくは0.28以下、より好ましくは0.26以下、更に好ましくは0.24以下、最も好ましくは0.22以下である。
また、本発明において、前記組成式(I)及び(II)を満たす組成を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、回折角2θが64°付近に存在する(018)回折ピーク、64.5°付近に存在する(110)回折ピーク、及び68°付近に存在する(113)回折ピークにおいて、それぞれのピークトップよりも高角側に、異相由来の回折ピークを持たないか、あるいは異相由来の回折ピークを有する場合、本来の結晶相の回折ピークに対する異相ピークの積分強度比が、各々、以下の範囲内にあることが好ましい。
0≦I018 /I018≦0.20
0≦I110 /I110≦0.25
0≦I113 /I113≦0.30
(ここで、I018、I110、I113は、それぞれ(018)、(110)、(113)回折ピークの積分強度を表し、I018 、I110 、I113 は、それぞれ(018)、(110)、(113)回折ピークのピークトップよりも高角側に現れる異相由来の回折ピークの積分強度を表す。)
ところで、この異相由来の回折ピークの原因物質の詳細は明らかではないが、異相が含まれると、電池とした時の容量やレート特性、サイクル特性等が低下する。このため、回折ピークは本発明の電池性能に悪影響を与えない程度の回折ピークを有していてもよいが、前記範囲の割合であることが好ましく、それぞれの回折ピークに対する異相由来の回折ピークの積分強度比は、通常I018 /I018≦0.20、I110 /I110≦0.25、I113 /I113≦0.30、好ましくはI018 /I018≦0.15、I110 /I110≦0.20、I113 /I113≦0.25、より好ましくはI018 /I018≦0.10、I110 /I110≦0.15、I113 /I113≦0.20、更に好ましくはI018 /I018≦0.05、I110 /I110≦0.10、I113 /I113≦0.15であり、最も好ましくは異相由来の回折ピークが無いことが特に好ましい。
〈本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)が好ましい理由〉
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)が好ましい理由としては次のように考えられる。
即ち、本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)は、結晶二次粒子が球状の形骸を維持しており、水銀圧入曲線における昇圧時の水銀圧入量が多く、結晶粒子間の細孔容量が大きいために、これを用いて電池を作製した場合に正極活物質表面と電解液との接触面積を増加させることが可能となることに加え、負荷特性(特に低温出力特性)の向上をもたらすような表面状態となり、さらに結晶性が高度に発達し、また異相の存在比率が極めて少なく抑えられた結果、正極活物質として優れた特性バランスと粉体取
り扱い性を達成できたものと推定される。
また、本願発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)が、高密度・高容量化に優れたリチウム二次電池を実現することができる理由としては、本願のリチウム遷移金属系化合物粉体が、水銀圧入法による水銀圧入曲線において、圧力3.86kPaから413MPaまでの昇圧時における水銀圧入量が、0.4cm3/g未満であるか、または、水銀圧入法による細孔分布曲線が、細孔半径1600nm以上、4000nm以下にピークトップが存在するメインピークを有するため、電極を圧密化する際、電解液を浸透させるために必要な空隙量を確保する一方で不必要な空間を少なくすることができるために高密度化が可能であり、本願の効果を奏するものと推察される。
[第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)の製造方法]
本発明の第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)を製造する方法は、特定の製法に限定されるものではないが、上述のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の製造方法により、好適に製造される。なお、添加剤1および添加剤2としては、前述のものを用いて、スラリ調整工程において、原料と混合される。
[第1の正極活物質層と第2の正極活物質層の厚さの比]
第1の正極活物質層と第2の正極活物質層の厚さの比としては、通常、60:40であり、第1の活物質より第2の正極活物質が充填密度が高い活物質であるため、高いエネルギー密度を得るためには、70:30が好ましく、80:20がさらに好ましい、90:10がとくに好ましい。
[リチウム二次電池用負極]
次に、本発明のリチウム二次電池用正極のうち、リチウム二次電池用負極について説明する。
本発明におけるリチウム二次電池用負極は、通常、上述のリチウム二次電池用正極と同様に、負極集電箔上に負極活物質層を形成して構成される。
負極活物質層は、通常は正極活物質層の場合と同様に、負極活物質と導電材、さらには結着剤と、必要に応じて増粘剤とを液体媒体でスラリー化したものを負極集電箔に塗布し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する液体媒体や結着剤、増粘剤、その他の導電材等としては、正極活物質層について上述したものと同様のものを同様の割合で使用することができる。
〈活物質〉
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に他に制限はないが、通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。
炭素材料としては、その種類に特に制限はないが、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。有機物の熱分解物としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、或いはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等であって、種々の表面処理を施したものが主として使用される。これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
負極活物質として黒鉛材料を用いる場合、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上、また、通常0.340nm以下
、特に0.337nm以下であるものが好ましい。
また、黒鉛材料の灰分が、黒鉛材料の重量に対して通常1質量%以下、中でも0.5質量%以下、特に0.1質量%以下であることが好ましい。
更に、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)が、通常30nm以上、中でも50nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
また、レーザー回折・散乱法により求めた黒鉛材料のメジアン径が、通常1μm以上、中でも3μm以上、更には5μm以上、特に7μm以上、また、通常100μm以下、中でも50μm以下、更には40μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。
また、黒鉛材料のBET法比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは1.5m/g以上、また、通常25.0m/g以下、好ましくは20.0m/g以下、より好ましくは15.0m/g以下、更に好ましくは10.0m/g以下である。 更に、黒鉛材料についてアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行った場合に、1580〜1620cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iと、1350〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iとの強度比I/Iが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
なお、上述の各種の炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料を負極活物質として用いることもできる。炭素材料以外の負極活物質の具体例としては、リチウムと合金を作る錫やケイ素等の元素およびその化合物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
〈集電箔〉
負極集電箔の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
負極集電箔として金属薄膜を使用する場合、その好適な厚さの範囲は、正極集電箔について上述した範囲と同様である。
[リチウム二次電池]
次に、本発明のリチウム二次電池について説明する。
リチウム二次電池は、正極、負極、リチウム塩を電解塩とする非水電解質とを備え、正極が、上述した本発明のリチウム二次電池用正極であることを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池はさらに正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
本発明のリチウム二次電池は通常、上述した本発明のリチウム二次電池用正極および/または負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
〈電解質〉
電解塩の種類も特に限定されず、従来公知の任意の溶質を使用することができる。具体例としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiN(SOCF等が挙げられる。これらの電解塩は任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。本発明のリチウム二次電池に用いる非水電解液が、非水溶媒、LiPF及び、式(1):M(FSOで表されるフルオロスルホン酸塩の1種以上を含んでもよい[式中、Mは、金属原子、N(R)又はP(R)(ここで、Rは、炭素数1〜12の有機基又は水素原子であり(ただし、4つのRの全部が水素原子であることはない)、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、4つのRの一部又は全部は、それらが結合している窒素原子又はリン原子と共に環を形成してもよい)であり、Mが金属原子の場合、xは金属原子Mの価数であって1以上の整数であり、MがN(R)又はP(R)の場合、xは1である。]。 上記フルオロスルホン酸塩は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
式(1)において、Mは金属原子、N(R)で表される第4級アンモニウム、P(R)で表される第4級ホスホニウムのいずれかを表す。
式(1)において、Mが金属原子の場合、xは金属原子の価数であって、1以上の整数であり、具体的には1、2又は3が挙げられる。金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、鉄、銅等の遷移金属等が挙げられ、リチウムであることが特に好ましい。
好ましいフルオロスルホン酸塩としては、LiFSO、NaFSO、KFSO、Mg(FSO、Ca(FSO、Fe(FSO、Cu(FSO、Al(FSO等が挙げられる。中でも、LiFSO、NaFSO、KFSOが特に好ましく、LiFSOが電解液への溶解性の観点から最も好ましい。 式(1)において、MがN(R)で表される第4級アンモニウム又はP(R)で表される第4級ホスホニウムの場合、xは1である。
N(R)又はP(R)において、Rは、炭素数1〜12の有機基又は水素原子であり(ただし、4つのRの全部が水素原子であることはない)、互いに同一であっても異なっていてもよく、4つのRの一部又は全部は、それらが結合している窒素原子又はリン原子と一緒になって環を形成してもよい。
上記炭素数1〜12の有機基としては、直鎖又は分岐の鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、これらの基は、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素等のヘテロ原子を含むこともでき、これらの原子による飽和若しくは不飽和結合で各基が結合していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、ノルボルナニル基等の環状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基;アルキル基等の置換基を有していてもよいフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;エトキシカルボニルエチル基等のカルボニル基含有アルキル基;メトキシエチル基、フェノキシメチル基、エトキシエチル基、アリロキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基等のエーテル基含有アルキル基;スルホニルメチル基等のスルホニル基含有アルキル基等が挙げられる。また、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基も挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、メトキシエチル基、
メトキシエトキシエチル基、トリメチルシリル基等である。
N(R)の好ましい分子構造としては、
テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等に代表される第4級アンモニウムカチオン;
ジメチルピロリジニウム、メチルエチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム等に代表されるピロリジニウムカチオン;
ジメチルピペリジニウム、メチルエチルピペリジニウム、ジエチルピペリジニウム等に代表されるピペリジニウムカチオン;
ジメチルモルホリニウム、メチルエチルモルホリニウム、ジエチルモルホリニウム等に代表されるモルホリニウムカチオン;
1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム等に代表されるピリジニウムカチオン;
1−メチルピリダジニウム、1−エチルピリダジニウム等に代表されるピリダジニウムカチオン;
1−メチルピリミジニウム、1−エチルピリミジニウム等に代表されるピリミジニウムカチオン;
1−メチルピラジニウム、1−エチルピラジニウム等に代表されるピラジニウムカチオン;
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチルー3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウムカチオン;
1−メチルオキサゾリウム、1−エチルオキサゾリウム等のオキサゾリウムカチオン;
1−メチルチアゾリウム、1−エチルチアゾリウム等のチアゾリウムカチオン;
1−メチルピラゾリウム、1−エチルピラゾリウム等のピラゾリウムカチオン;
1−メチルトリアゾリウム、1−エチルトリアゾリウム等のトリアゾリウムカチオン等が挙げられる。
好ましいアンモニウムカチオン構造としては、テトラメチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、ジメチルエチルプロピルアンモニウム、ジメチルエチルブチルアンモニウム、ジメチルエチルペンチルアンモニウム、ジメチルエチルヘキシルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルブチルアンモニウム、ジメチルプロピルペンチルアンモニウム、ジメチルプロピルヘキシルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム、ジメチルブチルペンチルアンモニウム、ジメチルブチルヘキシルアンモニウム、ジメチルジペンチルアンモニウム、ジメチルペンチルヘキシルアンモニウム、ジメチルジヘキシルアンモニウム、メチルジエチルプロピルアンモニウム、メチルジエチルブチルアンモニウム、メチルジエチルペンチルアンモニウム、メチルジエチルヘキシルアンモニウム、メチルエチルジプロピルアンモニウム、メチルエチルプロピルブチルアンモニウム、メチルエチルプロピルペンチルアンモニウム、メチルエチルプロピルヘキシルアンモニウム、メチルエチルジブチルアンモニウム、メチルエチルブチルペンチルアンモニウム、メチルエチルブチルヘキシルアンモニウム、メチルエチルジペンチルアンモニウム、メチルエチルペンチルヘキシルアンモニウム、メチルエチルジヘキシルアンモニウム、メチルトリプロピルアンモニウム、メチルジプロピルブチルアンモニウム、メチルジプロピルペンチルアンモニウム、メチルジプロピルヘキシルアンモニウム、メチルプロピルジブチルアンモニウム、メチルプロピルブチルペンチルアンモニウム、メチルプロピルブチルヘキシルアンモニウム、メチルプロピルジペンチルアンモニウム、メチルプロピルペンチルヘキシルアンモニウム、メチルプロピルジヘキシルアンモニウム、メチルトリブチルアンモニウム、メチルジブチルペンチルアンモニウム、メチルジブチルヘキシルアンモニウム
、メチルブチルジペンチルアンモニウム、メチルブチルペンチルヘキシルアンモニウム、メチルブチルジヘキシルアンモニウム、メチルトリペンチルアンモニウム、メチルジペンチルヘキシルアンモニウム、メチルペンチルジヘキシルアンモニウム、メチルトリヘキシルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム等、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、トリメチルアリルアンモニウム、トリメチルブテニルアンモニウム、トリメチルメトキシメチルアンモニウム、トリメチルメトキシエチルアンモニウム、トリメチルメトキシエトキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
好ましいピロリジニウムカチオン構造としては、ジメチルピロリジニウム、メチルエチルピロリジニウム、ジエチルピロリジニウム、メチルプロピルピロリジニウム、エチルプロピルピロリジニウム、ジプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、エチルブチルピロリジニウム、プロピルブチルピロリジニウム、ジブチルピロリジニウム、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、メチルビニルピロリジニウム、エチルビニルピロリジニウム、プロピルビニルピロリジニウム、ブチルビニルピロリジニウム、メチルアリルピロリジニウム、エチルアリルピロリジニウム、プロピルアリルピロリジニウム、ブチルアリルピロリジニウム、ジアリルピロリジニウム、メチルブテニルピロリジニウム、エチルブテニルピロリジニウム、プロピルブテニルピロリジニウム、ブチルブテニルピロリジニウム、ジブテニルピロリジニウム、メチルメトキシメチルピロリジニウム、メチルメトキシエチルピロリジニウム、メチルエトキシエチルピロリジニウム、メチルメトキシエトキシエチルピロリジニウム、メチルエトキシエトキシエチルピロリジニウム、エチルメトキシメチルピロリジニウム、エチルメトキシエチルピロリジニウム、エチルエトキシエチルピロリジニウム、エチルメトキシエトキシエチルピロリジニウム、エチルエトキシエトキシエチルピロリジニウム、プロピルメトキシメチルピロリジニウム、プロピルメトキシエチルピロリジニウム、プロピルエトキシエチルピロリジニウム、プロピルメトキシエトキシエチルピロリジニウム、プロピルエトキシエトキシエチルピロリジニウム、ブチルメトキシメチルピロリジニウム、ブチルメトキシエチルピロリジニウム、ブチルエトキシエチルピロリジニウム、ブチルメトキシエトキシエチルピロリジニウム、ブチルエトキシエトキシエチルピロリジニウム等が挙げられる。
好ましいピペリジニウムカチオン構造としては、ジメチルピペリジニウム、メチルエチルピペリジニウム、ジエチルピペリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、エチルプロピルピペリジニウム、ジプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム、エチルブチルピペリジニウム、プロピルブチルピペリジニウム、ジブチルピペリジニウム、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、メチルビニルピペリジニウム、エチルビニルピペリジニウム、プロピルビニルピペリジニウム、ブチルビニルピペリジニウム、メチルアリルピペリジニウム、エチルアリルピペリジニウム、プロピルアリルピペリジニウム、ブチルアリルピペリジニウム、ジアリルピペリジニウム、メチルブテニルピペリジニウム、エチルブテニルピペリジニウム、プロピルブテニルピペリジニウム、ブチルブテニルピペリジニウム、ジブテニルピペリジニウム、メチルメトキシメチルピペリジニウム、メチルメトキシエチルピペリジニウム、メチルエトキシエチルピペリジニウム、メチルメトキシエトキシエチルピペリジニウム、メチルエトキシエトキシエチルピペリジニウム、エチルメトキシメチルピペリジニウム、エチルメトキシエチルピペリジニウム、エチルエトキシエチルピペリジニウム、エチルメトキシエトキシエチルピペリジニウム、エチルエトキシエトキシエチルピペリジニウム、プロピルメトキシメチルピペリジニウム、プロピルメトキシエチルピペリジニウム、プロピルエトキシエチルピペリジニウム、プロピルメトキシエトキシエチルピペリジニウム、プロピルエトキシエトキシエチルピペリジニウム、ブチルメトキシメチルピペリジニウム、ブ
チルメトキシエチルピペリジニウム、ブチルエトキシエチルピペリジニウム、ブチルメトキシエトキシエチルピペリジニウム、ブチルエトキシエトキシエチルピペリジニウム等が挙げられる。
好ましいモルホリニウムカチオン構造としては、ジメチルモルホリニウム、メチルエチルモルホリニウム、ジエチルモルホリニウム、メチルプロピルモルホリニウム、エチルプロピルモルホリニウム、ジプロピルモルホリニウム、メチルブチルモルホリニウム、エチルブチルモルホリニウム、プロピルブチルモルホリニウム、ジブチルモルホリニウム、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、メチルビニルモルホリニウム、エチルビニルモルホリニウム、プロピルビニルモルホリニウム、ブチルビニルモルホリニウム、メチルアリルモルホリニウム、エチルアリルモルホリニウム、プロピルアリルモルホリニウム、ブチルアリルモルホリニウム、ジアリルモルホリニウム、メチルブテニルモルホリニウム、エチルブテニルモルホリニウム、プロピルブテニルモルホリニウム、ブチルブテニルモルホリニウム、ジブテニルモルホリニウム、メチルメトキシメチルモルホリニウム、メチルメトキシエチルモルホリニウム、メチルエトキシエチルモルホリニウム、メチルメトキシエトキシエチルモルホリニウム、メチルエトキシエトキシエチルモルホリニウム、エチルメトキシメチルモルホリニウム、エチルメトキシエチルモルホリニウム、エチルエトキシエチルモルホリニウム、エチルメトキシエトキシエチルモルホリニウム、エチルエトキシエトキシエチルモルホリニウム、プロピルメトキシメチルモルホリニウム、プロピルメトキシエチルモルホリニウム、プロピルエトキシエチルモルホリニウム、プロピルメトキシエトキシエチルモルホリニウム、プロピルエトキシエトキシエチルモルホリニウム、ブチルメトキシメチルモルホリニウム、ブチルメトキシエチルモルホリニウム、ブチルエトキシエチルモルホリニウム、ブチルメトキシエトキシエチルモルホリニウム、ブチルエトキシエトキシエチルモルホリニウム等が挙げられる。
好ましいピリジニウムカチオン構造としては、1−エチルピリジニウム、1−プロピルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ペンチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−アリルピリジニウム、1−ブテニルピリジニウム、1−メトキシメチルピリジニウム、1−メトキシエチルピリジニウム等が挙げられる。
好ましいピリダジニウムカチオン構造としては、1−エチルピリダジニウム、1−プロピルピリダジニウム、1−ブチルピリダジニウム、1−ペンチルピリダジニウム、1−ヘキシルピリダジニウム、1−アリルピリダジニウム、1−ブテニルピリダジニウム、1−メトキシメチルピリダジニウム、1−メトキシエチルピリダジニウム等が挙げられる。
好ましいピリミジニウムカチオン構造としては、1−エチルピリミジニウム、1−プロピルピリミジニウム、1−ブチルピリミジニウム、1−ペンチルピリミジニウム、1−ヘキシルピリミジニウム、1−アリルピリミジニウム、1−ブテニルピリミジニウム、1−メトキシメチルピリミジニウム、1−メトキシエチルピリミジニウム等が挙げられる。
好ましいピラジニウムカチオン構造としては、1−エチルピラジニウム、1−プロピルピラジニウム、1−ブチルピラジニウム、1−ペンチルピラジニウム、1−ヘキシルピラジニウム、1−アリルピラジニウム、1−ブテニルピラジニウム、1−メトキシメチルピラジニウム、1−メトキシエチルピラジニウム等が挙げられる。
好ましいイミダゾリウムカチオン構造としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1,3−ジプロピ
ルイミダゾリウム、1−プロピル−3−ブチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−ブチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ペンチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ペンチル−2−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2−メチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2,3,4,5−ヘキサメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−ペンチル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−アリル−3−エチルイミダゾリウム、1−アリル−3−プロピルイミダゾリウム、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム、1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−アリル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−ブテニル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブテニル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブテニル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブテニル−3−ブチルイミダゾリウム、1−ブテニル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブテニル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−3−エチルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メトキシメチル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−3−エチルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−3−ブチルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メトキシエチル−2,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム等が挙げられる。
好ましいオキサゾリウムカチオン構造としては、1−エチルオキサゾリウム、1−プロピルオキサゾリウム、1−ブチルオキサゾリウム、1−ペンチルオキサゾリウム、1−ヘキシルオキサゾリウム、1−アリルオキサゾリウム、1−ブテニルオキサゾリウム、1−メトキシメチルオキサゾリウム、1−メトキシエチルオキサゾリウム、1−エチル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−プロピル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−ブチル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−ペンチル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−ヘキシル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−アリル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−ブテニル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−メトキシメチル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム、1−メトキシエチル−2,4,5−トリメチルオキサゾリウム等が挙げられる。
好ましいチアゾリウムカチオン構造としては、1−エチルチアゾリウム、1−プロピルチアゾリウム、1−ブチルチアゾリウム、1−ペンチルチアゾリウム、1−ヘキシルチアゾリウム、1−アリルチアゾリウム、1−ブテニルチアゾリウム、1−メトキシメチルチアゾリウム、1−メトキシエチルチアゾリウム、1−エチル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−プロピル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−ブチル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−ペンチル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−ヘキシル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−アリル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−ブテニル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−メトキシメチル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム、1−メトキシエチル−2,4,5−トリメチルチアゾリウム等が挙げられる。
好ましいピラゾリウムカチオン構造としては、1−エチルピラゾリウム、1−プロピルピラゾリウム、1−ブチルピラゾリウム、1−ペンチルピラゾリウム、1−ヘキシルピラゾリウム、1−アリルピラゾリウム、1−ブテニルピラゾリウム、1−メトキシメチルピラゾリウム、1−メトキシエチルピラゾリウム、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−プロピル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−ブチル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−ペンチル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−ヘキシル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−アリル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−ブテニル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−メトキシメチル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、1−メトキシエチル−2,3,4,5−テトラメチルピラゾリウム、等が挙げられる。
好ましいトリアゾリウムカチオン構造としては、1−エチルトリアゾリウム、1−プロピルトリアゾリウム、1−ブチルトリアゾリウム、1−ペンチルトリアゾリウム、1−ヘキシルトリアゾリウム、1−アリルトリアゾリウム、1−ブテニルトリアゾリウム、1−メトキシメチルトリアゾリウム、1−メトキシエチルトリアゾリウム、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−プロピル−2,3,4,5−テトラメチトリアゾリウム、1−ブチル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−ペンチル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−ヘキシル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−アリル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−ブテニル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−メトキシメチル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム、1−メトキシエチル−2,3,4,5−テトラメチルトリアゾリウム等が挙げられる。
これらのN(R)をカチオン構造とするフルオロスルホン酸塩の中でも、フルオロスルホン酸テトラメチルアンモニウム、フルオロスルホン酸テトラエチルアンモニウム、フルオロスルホン酸テトラブチルアンモニウム、フルオロスルホン酸ジメチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸ジエチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸ジメチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸ジエチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸ジメチルモルホリニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルモルホリニウム、フルオロスルホン酸ジエチルモルホリニウムが、入手及び取り扱いのしやすさや、電池内部インピーダンス低下及び入出力特性向上の点から特に好ましい。
P(R)の好ましいカチオン構造としては、トリエチルブチルホスホニウム、トリエチルペンチルホスホニウム、トリエチルヘキシルホスホニウム、トリエチルヘプチルホスホニウム、トリエチルオクチルホスホニウム、ジエチルプロピルブチルホスホニウム、ジエチルプロピルペンチルホスホニウム、ジエチルプロピルヘキシルホスホニウム、ジエチルプロピルヘプチルホスホニウム、ジエチルプロピルオクチルホスホニウム、ジエチルブチルペンチルホスホニウム、ジエチルブチルヘキシルホスホニウム、ジエチルブチルヘプチルホスホニウム、ジエチルブチルオクチルホスホニウム、ジエチルペンチルヘキシルホスホニウム、ジエチルペンチルヘプチルホスホニウム、ジエチルペンチルオクチルホスホニウム、ジエチルヘキシルヘプチルホスホニウム、ジエチルヘキシルオクチルホスホニウム、ジエチルヘプチルオクチルホスホニウム、ジエチルジオクチルホスホニウム、エチルジプロピルブチルホスホニウム、エチルジプロピルペンチルホスホニウム、エチルジプロピルヘキシルホスホニウム、エチルジプロピルヘプチルホスホニウム、エチルジプロピルオクチルホスホニウム、エチルプロピルジブチルホスホニウム、エチルプロピルブチルペンチルホスホニウム、エチルプロピルブチルヘキシルホスホニウム、エチルプロピルブチルヘプチルホスホニウム、エチルプロピルブチルオクチルホスホニウム、エチルプロピル
ジペンチルホスホニウム、エチルプロピルペンチルヘキシルホスホニウム、エチルプロピルペンチルヘプチルホスホニウム、エチルプロピルペンチルオクチルホスホニウム、エチルプロピルジヘキシルホスホニウム、エチルプロピルヘキシルヘプチルホスホニウム、エチルプロピルヘキシルオクチルホスホニウム、エチルプロピルジヘプチルホスホニウム、エチルプロピルヘプチルオクチルホスホニウム、エチルプロピルジオクチルホスホニウム、エチルトリブチルホスホニウム、エチルジブチルペンチルホスホニウム、エチルジブチルヘキシルホスホニウム、エチルジブチルヘプチルホスホニウム、エチルジブチルオクチルホスホニウム、エチルブチルジペンチルホスホニウム、エチルブチルペンチルヘキシルホスホニウム、エチルブチルペンチルヘプチルホスホニウム、エチルブチルペンチルオクチルホスホニウム、エチルブチルジヘキシルホスホニウム、エチルブチルヘキシルヘプチルホスホニウム、エチルブチルヘキシルオクチルホスホニウム、エチルブチルヘプチルオクチルホスホニウム、エチルブチルジオクチルホスホニウム、エチルトリペンチルホスホニウム、エチルジペンチルヘキシルホスホニウム、エチルジペンチルヘプチルホスホニウム、エチルジペンチルオクチルホスホニウム、エチルペンチルジヘキシルホスホニウム、エチルペンチルヘキシルヘプチルホスホニウム、エチルペンチルヘキシルオクチルホスホニウム、エチルペンチルジヘプチルホスホニウム、エチルペンチルヘプチルオクチルホスホニウム、エチルペンチルジオクチルホスホニウム、エチルトリヘキシルホスホニウム、エチルジヘキシルヘプチルホスホニウム、エチルジヘキシルオクチルホスホニウム、エチルヘキシルジヘプチルホスホニウム、エチルヘキシルヘプチルオクチルホスホニウム、エチルヘキシルジオクチルホスホニウム、エチルトリヘプチルホスホニウム、エチルジヘプチルオクチルホスホニウム、エチルヘプチルジオクチルホスホニウム、エチルトリオクチルホスホニウム、トリプロピルブチルホスホニウム、トリプロピルペンチルホスホニウム、トリプロピルヘキシルホスホニウム、トリプロピルヘプチルホスホニウム、トリプロピルオクチルホスホニウム、ジプロピルジブチルホスホニウム、ジプロピルブチルペンチルホスホニウム、ジプロピルブチルヘキシルホスホニウム、ジプロピルブチルヘプチルホスホニウム、ジプロピルブチルオクチルホスホニウム、ジプロピルジペンチルホスホニウム、ジプロピルペンチルヘキシルホスホニウム、ジプロピルペンチルヘプチルホスホニウム、ジプロピルペンチルオクチルホスホニウム、ジプロピルジヘキシルホスホニウム、ジプロピルヘキシルヘプチルホスホニウム、ジプロピルヘキシルオクチルホスホニウム、ジプロピルジヘプチルホスホニウム、ジプロピルヘプチルオクチルホスホニウム、ジプロピルジオクチルホスホニウム、プロピルトリブチルホスホニウム、プロピルジブチルペンチルホスホニウム、プロピルジブチルヘキシルホスホニウム、プロピルジブチルヘプチルホスホニウム、プロピルジブチルオクチルホスホニウム、プロピルブチルジペンチルホスホニウム、プロピルブチルペンチルヘキシルホスホニウム、プロピルブチルペンチルヘプチルホスホニウム、プロピルブチルペンチルオクチルホスホニウム、プロピルブチルジヘプチルホスホニウム、プロピルブチルヘプチルオクチルホスホニウム、プロピルブチルジオクチルホスホニウム、プロピルトリペンチルホスホニウム、プロピルジペンチルヘキシルホスホニウム、プロピルジペンチルヘプチルホスホニウム、プロピルジペンチルヘオクチルホスホニウム、プロピルペンチルヘキシルヘプチルホスホニウム、プロピルペンチルヘキシルオクチルホスホニウム、プロピルペンチルジヘプチルホスホニウム、プロピルペンチルヘプチルオクチルホスホニウム、プロピルペンチルジオクチルホスホニウム、プロピルトリヘキシルホスホニウム、プロピルジヘキシルヘプチルホスホニウム、プロピルジヘキシルオクチルホスホニウム、プロピルヘキシルジヘプチルホスホニウム、プロピルヘキシルヘプチルオクチルホスホニウム、プロピルヘキシルジオクチルホスホニウム、プロピルトリヘプチルホスホニウム、プロピルジヘプチルオクチルホスホニウム、プロピルヘプチルジオクチルホスホニウム、プロピルトリオクチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルペンチルホスホニウム、トリブチルヘキシルホスホニウム、トリブチルヘプチルホスホニウム、トリブチルオクチルホスホニウム、テトラペンチルホスホニウム、トリペンチルヘキシルホスホニウム、トリペンチルヘプチルホスホニウム、トリペンチルオクチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリヘキシルヘプチルホスホニ
ウム、トリヘキシルオクチルホスホニウム、テトラヘプチルホスホニウム、トリヘプチルオクチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム等、又はこれらのアルキル基中の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された化合物のカチオン、トリエチルアリルホスホニウム、トリエチルブテニルホスホニウム、トリプロピルアリルホスホニウム、トリプロピルブテニルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウム、トリブチルブテニルホスホニウム、トリエチルメトキシエチルホスホニウム、トリエチルメトキシエトキシエチルホスホニウム、トリプロピルメトキシエチルホスホニウム、トリプロピルメトキシエトキシエチルホスホニウム、トリブチルメトキシエチルホスホニウム、トリブチルメトキシエトキシエチルホスホニウム等が挙げられる。
これらのP(R)をカチオン構造とするフルオロスルホン酸塩の中でも、フルオロスルホン酸テトラメチルホスホニウム、フルオロスルホン酸テトラエチルホスホニウム、フルオロスルホン酸テトラブチルホスホニウムが、入手及び取り扱いのしやすさの点から特に好ましい。
式(1)で表されるフルオロスルホン酸塩は、例えば、金属フッ化物とSOとの反応により得る方法、フルオロスルホン酸のイオン交換により得る方法、フルオロスルホン酸エステルを用いた三級アミンやホスフィン等のアルキル化反応等により合成することができるが、本発明に係る非水系電解液に用いられる式(1)で表されるフルオロスルホン酸塩の合成及び入手の方法は、特に制限されず、いかなる方法を用いて合成されたものであっても、又は入手されたものであっても使用することができる。
本発明の非水系電解液において、式(1)で表されるフルオロスルホン酸塩は、少なくとも1種以上含まれていればよく、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を用いる場合、そのうちの1種がLiFSOであることが好ましい。特に、LiFSOと、NaFSO、KFSO、フルオロスルホン酸テトラアルキルアンモニウム(例えば、メチルアンモニウム、フルオロスルホン酸テトラエチルアンモニウム、フルオロスルホン酸テトラブチルアンモニウム)、フルオロスルホン酸ジメチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸ジエチルピロリジニウム、フルオロスルホン酸ジメチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸ジエチルピペリジニウム、フルオロスルホン酸ジメチルモルホリニウム、フルオロスルホン酸メチルエチルモルホリニウム、フルオロスルホン酸ジエチルモルホリニウム、フルオロスルホン酸テトラメチルホスホニウム、フルオロスルホン酸テトラエチルホスホニウム及びフルオロスルホン酸テトラブチルホスホニウムから選ばれる1種以上との組み合わせであることが好ましい。
具体的には、LiFSOとNaFSO、LiFSOとKFSO、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラメチルアンモニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラエチルアンモニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラブチルアンモニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジメチルピロリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸メチルエチルピロリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジエチルピロリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジメチルピペリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸メチルエチルピペリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジエチルピペリジニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジメチルモルホリニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸メチルエチルモルホリニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸ジエチルモルホリニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラメチルホスホニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラエチルホスホニウム、LiFSOとフルオロスルホン酸テトラブチルホスホニウムの組み合わせが、非水系電解液中のリチウム濃度を増加させる点で好ましい。
<式(1)で表されるフルオロスルホン酸塩及びLiPF
本発明において、非水電解液中の、PFのモル含有量[PF]に対するFSOのモル含有量[FSO]の比([FSO]/[PF])は、0.001〜1.2である。
[FSO]/[PF]の比率が上記範囲を下回ると、フルオロスルホン酸塩の特徴である入出力特性や耐久性が発現しない場合がある。一方、フルオロスルホン酸塩の比率が上記範囲を上回ると、電池内部インピーダンスが高くなり、入出力特性が低下する場合がある。本発明の効果をより顕著に発揮するためには、[FSO]/[PF]は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、また、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.7以下である。そして、[FSO]/[PF]の範囲としては、0.01以上1.1以下が好ましく、0.01以上1.0以下がより好ましく、0.01以上0.7以下が更に好ましい。
本発明の非水系電解液においては、非水系電解液中のFSOのモル含有量[FSO]が、下限値としては、0.0005mol/L以上であることが好ましく、0.01mol/L以上であることがより好ましく、0.02mol/L以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、0.5mol/L以下であることが好ましく、0.45mol/L以下であることがより好ましく、0.4mol/L以下であることが特に好ましい。[FSO]の濃度が上記範囲内であると、電池内部インピーダンスが低くなり入出力特性や耐久性がより発現し易くなる。[FSO]の濃度の範囲としては、0.0005mol/L以上0.5mol/L以下が好ましく、0.01mol/L以上0.5mol/L以下が好ましく、0.01mol/L以上0.45mol/L以下が更に好ましく、0.01mol/L以上0.40mol/L以下が特に好ましい。
なお、非水系電解液中の、FSOのモル含有量([FSO])は、例えば、非水系電解液を調製するにあたって使用したM(FSOの量によって決定することができる。式(1)においてxが1の場合、非水系電解液中のM(FSO)のモル含有量と[FSO]のモル含有量は等しく、xが2の場合、M(FSO)のモル含有量に対して、[FSO]のモル含有量は2倍であり、xが3の場合、M(FSO)のモル含有量に対して[FSO]のモル含有量は3倍である。
本発明の非水系電解液においては、非水系電解液中のPFのモル含有量([PF])が、下限値としては、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.6mol/L以上であることがより好ましく、0.7mol/L以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、3.0mol/L以下であることが好ましく、2.0mol/L以下であることがより好ましく、1.5mol/L以下であることが特に好ましい。[PF]の濃度範囲としては、0.5mol/L以上3.0mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることがより好ましく、0.5mol/L以上1.5mol/L以下であることが更に好ましい。
[PF]の濃度が上記範囲内であると、非水電解液中の総イオン含有量が存在量と電解液の粘性が適度なバランスとなるため、イオン伝導度が低下することなく電池内部インピーダンスが低くなり、入出力特性の効果発言し易くなる。
<その他のリチウム塩>
本発明における非水系電解液は、電解質として、M(FSOと共にLiPFが用いられるが、さらにその他のリチウム塩を1種以上含有することができる。その他のリチウム塩としては、LiPF及びフルオロスルホン酸リチウム(式(1)においてMがLiの場合)以外のリチウム塩であって、この用途に用いることが知られているものであれば、特に制限はなく、具体的には以下のものが挙げられる。
例えば、LiBF、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、L
iWF等の無機リチウム塩;
LiPOF、LiPO等のLiPF以外のフルオロリン酸リチウム塩類; LiWOF等のタングステン酸リチウム塩類;
HCOLi、CHCOLi、CHFCOLi、CHFCOLi、CFCOLi、CFCHCOLi、CFCFCOLi、CFCFCFCOLi、CFCFCFCFCOLi等のカルボン酸リチウム塩類; CHSOLi、CHFSOLi、CHFSOLi、CFSOLi、CFCFSOLi、CFCFCFSOLi、CFCFCFCFSOLi等のスルホン酸リチウム塩類;
LiN(FCO、LiN(FCO)(FSO)、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(CSO)等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO等のリチウムメチド塩類;
リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート等のリチウムオキサラート塩類;
その他、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBFCF、LiBF、LiBF、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。
以上のなかでも、LiBF、LiSbF、LiTaF、LiPO、CFSOLi、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiBFCF、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C等が好ましい。
また、出力特性やハイレート充放電特性、高温保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から、LiPF以外のフルオロリン酸リチウム塩類、リチウムイミド塩類、リチウムオキサラート塩類、の中から選ばれるものが好ましく、リチウム塩が好ましく、具体的には、LiPO、LiN(CFSO、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、の中から選ばれるものが特に好ましい。
その他のリチウム塩は、本発明の効果を損なわない限り、その含有量は特に制限されないが、電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保する点から、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度[Li]が、0.3mol/L以上、3mol/L以下となるように使用することが好ましい。リチウムの総モル濃度[Li]には、LiPF及び式(1)で表されるフルオロスルホン酸塩がリチウム塩の場合は、これらに由来する
リチウムも含み、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度[Li]を意味する。リチウムの総モル濃度[Li]は、より好ましくは0.4mol/L以上、さらに好ましくは0.5mol/L以上であり、また、より好ましくは2.0mol/L以下、さらに好ましくは1.8mol/L以下、特に好ましくは1.7mol/L以下である。
<1−2.非水溶媒>
<エチレンカーボネート>
本発明の非水系電解液における非水溶媒は、特に制限されないが、エチレンカーボネートを使用することが好ましい。
エチレンカーボネートは、非水溶媒100体積%中、10体積%以上であることが好ましい。10体積%以上とすることにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。また、エチレンカーボネートは、非水溶媒100体積%中、50体積%以下であることが好ましい。50体積%以下とすることにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。エチレンカーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、より好ましくは15体積%以上、さらに好ましくは20体積%以上であり、また、より好ましくは45体積%以下、さらに好ましくは40体積%以下である。
非水溶媒としては、鎖状カーボネート、エチレンカーボネート以外の環状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、スルホン系化合物等を使用することも可能である。エチレンカーボネート以外の好ましい非水溶媒については、以下が挙げられる。
<鎖状カーボネート>
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7のものが好ましい。
具体的には、炭素数3〜7の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、特に好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と略記する場合がある)も好適に用いることができる。フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体等が挙げられる。
フッ素化ジメチルカーボネート誘導体としては、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス(トリフ
ルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ジエチルカーボネート誘導体としては、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートは、非水溶媒100体積%中、15体積%以上であることが好ましい。15体積%以上とすることにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。また、鎖状カーボネートは、非水溶媒100体積%中、90体積%以下であることが好ましい。90体積%以下とすることにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。鎖状カーボネートの配合量は、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは25体積%以上であり、また、より好ましくは85体積%以下、さらに好ましくは80体積%以下である。
さらに、特定の鎖状カーボネートに対して、エチレンカーボネートを特定の配合量で組み合わせることにより、電池性能を著しく向上させることができる。
例えば、特定の鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを選択した場合、エチレンカーボネートの配合量が15体積%以上、40体積%以下、ジメチルカーボネートの配合量が20体積%以上、50体積%以下、エチルメチルカーボネートの配合量が20体積%以上、50体積%以下であることが好ましい。このような配合量を選択することで、電解質の低温析出温度を低下させながら、非水系電解液の粘度も低下させてイオン伝導度を向上させ、低温でも高出力を得ることができる。特に好ましくは、エチレンカーボネートの配合量が25体積%以上、35体積%以下、ジメチルカーボネートの配合量が30体積%以上、40体積%以下、エチルメチルカーボネートの配合量が30体積%以上、40体積%以下である。
<飽和環状カーボネート>
飽和環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート以外に、炭素数3〜4のアルキレン基を有するものが挙げられる。
具体的には、炭素数3〜4の飽和環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、プロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
エチレンカーボネート以外の飽和環状カーボネートは、非水溶媒100体積%中、5体積%以上であることが好ましい。5体積%以上とすることにより、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、エ
チレンカーボネート以外の飽和環状カーボネートは、40体積%以下であることが好ましい。40体積%以下とすることにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。エチレンカーボネート以外の飽和環状カーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、より好ましくは10体積%以上であり、また、より好ましくは35体積%以下である。
<フッ素原子を有する環状カーボネート>
フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「フッ素化環状カーボネート」と略記する場合がある)としては、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はない。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数2〜6のアルキレン基を有する環状カーボネートの誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネート誘導体である。エチレンカーボネート誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられ、中でもフッ素原子が1〜8個のものが好ましい。
具体的には、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が、高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成する点でより好ましい。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。フッ素化環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下であり、最も好ましくは5質量%以下である。そして、フッ素化環状カーボネートの濃度の範囲としては、0.001質量%以上40質量%以下が好ましく、0.001質量%以上35質量%以下がより好ましく、0.001質量%以上30質量%以下がさらに好ましく、0.001質量%以上5質量%以下が最も好ましい。
上記範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、高温保存特性の低下や、ガス発生量の増加により、放電容量維持率が低下することを回避しやすい。
<鎖状カルボン酸エステル>
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられる。
具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸
−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。
中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル等が、粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から好ましい。
鎖状カルボン酸エステルは、非水溶媒100体積%中、10体積%以上であることが好ましい。10体積%以上とすることにより、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、鎖状カルボン酸エステルは、非水溶媒100体積%中、60体積%以下であることが好ましい。60体積%以下とすることにより、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。鎖状カルボン酸エステルの配合量は、より好ましくは15体積%以上であり、また、より好ましくは50体積%以下である。
<環状カルボン酸エステル>
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙げられる。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルは、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上である。5体積%以上とすることにより、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルは、好ましくは40体積%以下である。40体積%以下とすることにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。環状カルボン酸エステルの配合量は、より好ましくは10体積%以上であり、また、より好ましくは35体積%以下である。
<エーテル系化合物>
エーテル系化合物としては、炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等、及びこれらのフッ素化化合物が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物は、非水溶媒100体積%中、好ましくは、5体積%以上であり、また、70体積%以下である。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。エーテル化合物は、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、また、より好ましくは60体積%以下、さらに好ましくは50体積%以下である。
さらに、特定のエーテル系化合物に対して、エチレンカーボネート及び特定の鎖状カーボネートを特定の配合量で組み合わせることで、電池性能を著しく向上させることができる。
例えば、特定のエーテル系化合物としてジメトキシエタンを選択した場合、上記特定の鎖状カーボネートにエチルメチルカーボネートを選択することが好ましい。この場合、エチレンカーボネートの配合量が15体積%以上、40体積%以下、ジメトキシエタンの配合量が10体積%以上、40体積%以下、エチルメチルカーボネートの配合量が30体積%以上、60体積%以下であることが好ましい。鎖状カーボネートにエチルメチルカーボネートを選択し、かつ上記配合量を選択することで、温度相溶領域を広げることができ、リチウム塩の低温析出温度を低下させることができる。
また、特定のエーテル系化合物にジエトキシエタンを選択した場合、上記特定の鎖状カーボネートにジメチルカーボネートを選択することが好ましい。この場合、エチレンカーボネートの配合量が15体積%以上、40体積%以下、ジエトキシエタンの配合量が20体積%以上、60体積%以下、ジメチルカーボネートの配合量が15体積%以上、60体積%以下であることが好ましい。鎖状カーボネートにジメチルカーボネートを選択し、かつ上記配合量を選択することで、リチウム塩の低温析出温度を低下させながら、非水系電解液の粘度も低下させてイオン伝導度を向上させ、低温でも高出力を得ることができる。
<スルホン系化合物>
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と略記する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルス
ルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
また、鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。
中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−t−ブチルスルホン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
スルホン系化合物は、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上であり、また、40体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。スルホン系化合物の配合量は、より好ましくは0.5体積%以上、さらに好ましくは1体積%以上であり、また、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。
1−3.助剤
<炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液電池の負極表面に皮膜を形成し、電池の長寿命化を達成するために、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「
不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある)を用いることができる。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する置換基を有する環状カーボネートも、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートに包含されることとする。
不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、ビニレンカーボネート類、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネートが好ましく、特に、ビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネートが、安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が十分に発現されやすい。不飽和環状カーボネートの分子量は、より好ましくは80以上であり、また、より好ましくは150以下である。不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートは、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。そして、不飽和環状カーボネートの濃度の範囲としては、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.001質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.001質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
<フッ素化不飽和環状カーボネート>
フッ素化環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある)を用いることも好ましい。フッ素化不飽和環状カーボネートは、特に制限されない。中でもフッ素原子が1個又は2個のものが好ましい。
フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート誘導体、芳香環又は
炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体等が挙げられる。
ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上であり、また、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するフッ素化環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。分子量は、より好ましくは80以上であり、また、より好ましくは150以下である。
フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。フッ素化不飽和環状カーボネートは、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<環状スルホン酸エステル化合物>
本発明の非水系電解液において、用いることができる環状スルホン酸エステル化合物としては、特にその種類は限定されないが、一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2013211096
(式中、RおよびRは各々独立して、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれる原子で構成された有機基を表し、RとRは互いに−O−SO−とともに不飽和結合を含んでいてもよい)RおよびRは、好ましくは炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子からなる原子で構成された有機基であることが好ましく、中でも炭素数1〜3の炭化水素基、−O−SO−を有する有機基であることが好ましい。
環状スルホン酸エステル化合物の分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、100以上であり、また、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する環状スルホン酸エステル化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。環状スルホン酸エステル化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、
1,3−プロパンスルトン、
1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、
2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、
3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、
1−メチル−1, 3−プロパンスルトン、
2−メチル−1, 3−プロパンスルトン、
3 −メチル−1 ,3−プロパンスルトン
1−プロペン−1,3−スルトン、
2−プロペン−1,3−スルトン、
1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、
2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、
3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、
1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、
2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、
3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、
1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、
2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、
3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、
1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、
2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、
3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、
1,4−ブタンスルトン、
1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、
2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、
3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、
4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、
1−メチル−1,4−ブタンスルトン、
2−メチル−1,4−ブタンスルトン、
3−メチル−1,4−ブタンスルトン、
4−メチル−1,4−ブタンスルトン、
1−ブテン−1,4−スルトン、
2−ブテン−1,4−スルトン、
3−ブテン−1,4−スルトン、
1−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、
2−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、
3−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、
4−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、
1−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、
2−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、
3−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、
4−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、
1−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、
2−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、
3−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、
4−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、
1−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、
2−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、
3−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、
4−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、
1−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、
2−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、
3−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、
4−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、
1−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、
2−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、
3−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、
4−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、
1,5−ペンタンスルトン、
1−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、
2−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、
3−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、
4−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、
5−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、
1−メチル−1,5−ペンタンスルトン、
2−メチル−1,5−ペンタンスルトン、
3−メチル−1,5−ペンタンスルトン、
4−メチル−1,5−ペンタンスルトン、
5−メチル−1,5−ペンタンスルトン、
1−ペンテン−1,5−スルトン、
2−ペンテン−1,5−スルトン、
3−ペンテン−1,5−スルトン、
4−ペンテン−1,5−スルトン、
1−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、
2−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、
3−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、
4−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、
5−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、
1−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、
2−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、
3−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、
4−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、
5−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、
1−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、
2−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、
3−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、
4−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、
5−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、
1−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、
2−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、
3−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、
4−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、
5−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、
1−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、
2−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、
3−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、
4−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、
5−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、
1−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、
2−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、
3−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、
4−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、
5−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、
1−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、
2−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、
3−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、
4−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、
5−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、
1−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、
2−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、
3−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、
4−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、
5−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトンなどのスルトン化合物;
メチレンスルフェート、
エチレンスルフェート、
プロピレンスルフェートなどのスルフェート化合物;
メチレンメタンジスルホネート、
エチレンメタンジスルホネートなどのジスルホネート化合物;
1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
3H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
5H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
1,2,4−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
3H−1,2,4−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
5H−1,2,4−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
1,2,5−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、
3H−1,2,5−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
5H−1,2,5−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、
1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
5,6−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
1,2,4−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
5,6−ジヒドロ−1,2,4−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
3,6−ジヒドロ−1,2,4−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
3,4−ジヒドロ−1,2,4−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
1,2,5−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
5,6−ジヒドロ−1,2,5−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
3,6−ジヒドロ−1,2,5−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
3,4−ジヒドロ−1,2,5−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
1,2,6−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
6−メチル−1,2,6−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、
5,6−ジヒドロ−1,2,6−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
3,4−ジヒドロ−1,2,6−オキサチアジン−2,2−ジオキシド、
5,6−ジヒドロ−1,2,6−オキサチアジン−2,2−ジオキシドなどの含窒素化合物;
1,2,3−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアホスラン−2,2,3−トリオキシド、
3−メトキシ−1,2,3−オキサチアホスラン−2,2,3−トリオキシド、
1,2,4−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアホスラン−2,2,4−トリオキシド、
4−メトキシ−1,2,4−オキサチアホスラン−2,2,4−トリオキシド、
1,2,5−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアホスラン−2,2,5−トリオキシド、
5−メトキシ−1,2,5−オキサチアホスラン−2,2,5−トリオキシド、
1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
3−メチル−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
3−メトキシ−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
1,2,4−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
4−メチル−1,2,4−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
4−メチル−1,5,2,4−ジオキサチアホスフィナン−2,4−ジオキシド、
4−メトキシ−1,5,2,4−ジオキサチアホスフィナン−2,4−ジオキシド、
3−メトキシ−1,2,4−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
1,2,5−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
5−メチル−1,2,5−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
5−メトキシ−1,2,5−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
1,2,6−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
6−メチル−1,2,6−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、
6−メチル−1,2,6−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、
6−メトキシ−1,2,6−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシドどの含リン化合物;
これらのうち、
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネートが保存特性向上の点から好ましく、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトンがより好ましい。
環状スルホン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。本発明の非水系電解液全体に対する環状スルホン酸エステル化合物の配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
<シアノ基を有する化合物>
本発明の非水系電解液において、用いることができるシアノ基を有する化合物としては、分子内にシアノ基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、一般式(3)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2013211096
(式中、Tは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれる原子で構成された有機基を表し、Uは置換基を有してもよい炭素数1から10のV価の有機基である。Vは1以上の整数であり、Vが2以上の場合は、Tは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
シアノ基を有する化合物の分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、50以上であり、より好ましくは80以上、さらに好ましくは100以上であり、また、200以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するシアノ基を有する化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。シアノ基を有する化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、
アセトニトリル、
プロピオニトリル、
ブチロニトリル、
イソブチロニトリル、
バレロニトリル、
イソバレロニトリル、
ラウロニトリル
2−メチルブチロニトリル、
トリメチルアセトニトリル、
ヘキサンニトリル、
シクロペンタンカルボニトリル、
シクロヘキサンカルボニトリル、
アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、
クロトノニトリル、
3−メチルクロトノニトリル、
2−メチル−2−ブテン二トリル、
2−ペンテンニトリル、
2−メチル−2−ペンテンニトリル、
3−メチル−2−ペンテンニトリル、
2−ヘキセンニトリル、
フルオロアセトニトリル、
ジフルオロアセトニトリル、
トリフルオロアセトニトリル、
2−フルオロプロピオニトリル、
3−フルオロプロピオニトリル、
2 ,2−ジフルオロプロピオニトリル、
2,3−ジフルオロプロピオニトリル、
3 ,3−ジフルオロプロピオニトリル、
2 ,2 ,3−トリフルオロプロピオニトリル、
3 ,3 ,3−トリフルオロプロピオニトリル、
3,3’−オキシジプロピオニトリル、
3,3’−チオジプロピオニトリル、
1,2,3−プロパントリカルボニトリル、
1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、
ペンタフルオロプロピオニトリル等のシアノ基を1つ有する化合物;
マロノニトリル、
スクシノニトリル、
グルタロニトリル、
アジポニトリル、
ピメロニトリル、
スベロニトリル、
アゼラニトリル、
セバコニトリル、
ウンデカンジニトリル、
ドデカンジニトリル、
メチルマロノニトリル、
エチルマロノニトリル、
イソプロピルマロノニトリル、
tert−ブチルマロノニトリル、
メチルスクシノニトリル、
2,2−ジメチルスクシノニトリル、
2,3−ジメチルスクシノニトリル、
トリメチルスクシノニトリル、
テトラメチルスクシノニトリル
3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、
3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル等のシアノ基を2つ有する化合物;
1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、
トリス(2−シアノエチル)アミン等等のシアノ基を3つ有する化合物;
メチルシアネート、
エチルシアネート、
プロピルシアネート、
ブチルシアネート、
ペンチルシアネート、
ヘキシルシアネート、
ヘプチルシアネートなどのシアネート化合物;
メチルチオシアネート、
エチルチオシアネート、
プロピルチオシアネート、
ブチルチオシアネート、
ペンチルチオシアネート、
ヘキシルチオシアネート、
ヘプチルチオシアネート、
メタンスルホニルシアニド、
エタンスルホニルシアニド、
プロパンスルホニルシアニド、
ブタンスルホニルシアニド、
ペンタンスルホニルシアニド、
ヘキサンスルホニルシアニド、
ヘプタンスルホニルシアニド、
メチルスルフロシアニダート
エチルスルフロシアニダート
プロピルスルフロシアニダート
ブチルスルフロシアニダート
ペンチルスルフロシアニダート
ヘキシルスルフロシアニダート
ヘプチルスルフロシアニダートなどの含硫黄化合物;
シアノジメチルホスフィン
シアノジメチルホスフィンオキシド
シアノメチルホスフィン酸メチル
シアノメチル亜ホスフィン酸メチル
ジメチルホスフィン酸シアニド
ジメチル亜ホスフィン酸シアニド
シアノホスホン酸ジメチル
シアノ亜ホスホン酸ジメチル
メチルホスホン酸シアノメチル
メチル亜ホスホン酸シアノメチル
リン酸シアノジメチル
亜リン酸シアノジメチルなどの含リン化合物;
等が挙げられる。
これらのうち、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、クロトノニトリル、3‐メチルクロトノニ
トリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリルが保存特性向上の点から好ましく、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル等のシアノ基を2つ有する化合物がより好ましい。
シアノ基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。本発明の非水系電解液全体に対するシアノ基を有する化合物の配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
<ジイソシアネート>
本発明の非水系電解液において、用いることができるジイソシアネートは、分子内にイソシアナト基を2つ有する化合物であれば特に制限はないが、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
Figure 2013211096
(式中、Xはフッ素で置換されていてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である)
上記一般式(4)において、Xはフッ素で置換されていてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。Xの炭素数は好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは4以上であり、また好ましくは14以下、より好ましくは12以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは8以下である。またXの種類については炭化水素基である限り特に限定されない。脂肪族鎖状アルキレン基、脂肪族環状アルキレン基及び芳香環含有炭化水素基のいずれであってもよいが、好ましくは脂肪族鎖状アルキレン基又は脂肪族環状アルキレン基である。
本発明におけるジイソシアネートの具体例を挙げると、
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、等の直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;メチルテトラメチレンジイソシアナート、ジメチルテトラメチレンジイソシアナート、トリメチルテトラメチレンジイソシアナート、メチルヘキサメチレンジイソシアナート、ジメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、メチルオクタメチレンジイソシアナート、ジメチルオクタメチレンジイソシアナート、トリメチルオクタメチレンジイソシアナート、等の分岐アルキレンジイソシアネート類;1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−3−ペンテン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,8−ジイソシアナト−2−オクテン、1,8−ジイソシアナト−3−オクテン、1,8−ジイソシアナト−4−オクテン、等のジイソシアナトアルケン類;1,3−ジイソシアナト−2−フルオロプロパン、1,3−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロブタン、1
,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,6−ジイソシアナト−2−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,5−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、1,8−ジイソシアナト−2−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−3−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−4−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,5−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,6−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,7−ジフルオロオクタン、等のフッ素置換ジイソシアナトアルカン類;1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−3,3′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、等のシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;1,2−フェニレンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,3−ジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,5−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、トリレン−3,4−ジイソシアナート、トリレン−3,5−ジイソシアナート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、2,4−ジイソシアナトビフェニル、2,6−ジイソシアナトビフェニル、2,2′−ジイソシアナトビフェニル、3,3′−ジイソシアナトビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−2−メチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3−メチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナト−2−メチルジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,8−ジイソシアナトナフタレン、2,3−ジイソシアナトナフタレン、1,5−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,8−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、2,3−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン等の芳香環含有ジイソシアネート類;
などが挙げられる。
これらの中でも、
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、等の直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;メチルテトラメチレンジイソシアナート、ジメチルテトラメチレンジイソシアナート、トリメチルテトラメチレンジイソシアナート、メチルヘキサメチレンジイソシアナート、ジメチルヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、メチルオクタメチレンジイソシアナート、ジメチルオクタメチレンジイソシアナート、トリメチルオクタメチレンジイソシアナート、等の分岐アルキレンジイソシアネート類;1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イ
ソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−3,3′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、等のシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;
が好ましい。
さらには、
テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、から選ばれる直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−3,3′−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、から選ばれるシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;
が特に好ましい。
また上述した本発明におけるジイソシアネートは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の非水系電解液において、用いることができるジイソシアネートの含有量は、該非水電解液の全体の質量に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。含有量が多すぎると、負極抵抗が上昇して容量が低下する傾向がある。また、含有量が小さすぎると、本発明の効果を十分に発揮できない可能性がある。
<過充電防止剤>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。中でも、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせ、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種を併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
過充電防止剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。過充電防止剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲でれば、過充電防止剤の効果を十分に発現させやすく、また、高温保存特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。過充電防止剤は、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
<その他の助剤>
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
その他の助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その他の助剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、その他助剤の効果が十分に発現させやすく、高負荷放電特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
〈セパレータ〉
電解質として前述の有機電解液を用いる場合には、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。セパレータの材質や形状は特に制限されないが、使用する有機電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。好ましい例としては、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子が用いられる。特に、セパレータの重要な因子である化学的及び電気化学的な安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましく、電池におけるセパレータの使用目的の一つである自己閉塞温度の点からは、ポリエチレンが特に望ましい。
ポリエチレンからなるセパレータを用いる場合、高温形状維持性の点から、超高分子ポ
リエチレンを用いることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好ましくは100万、最も好ましくは150万である。他方、分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。分子量が大きすぎると流動性が低くなりすぎてしまい、加熱された時にセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
〈形状〉
本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
〈満充電状態における正極の充電電位〉
本発明のリチウム二次電池は、以下の実施例においては、満充電状態における正極の充電電位が4.4V未満で使用しているが、4.4V(vs.Li/Li)以上となるように設計されている電池で使用することも可能である。即ち、本発明のリチウム二次電池正極材料用リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、高い充電電位で充電するように設計されたリチウム二次電池として使用した場合においても、本願発明の効果を有効に発揮するはずである。
以上、本発明のリチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明のリチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
[物性の測定方法]
後述の各実施例及び比較例において製造されたリチウム遷移金属系化合物粉体の物性等は、各々次のようにして測定した。
<二次粒子のメジアン径>
公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、屈折率を1.60に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。また、分散媒としては0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
<嵩密度>
試料粉体4〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度として求めた。
<比表面積>
BET法により求めた。
<集電箔の凹部分の比率の測定>
合剤と集電箔を電極面に垂直に同時に切断した断面をアルゴンイオンビーム試料断面作成装置(JEOL:クロスセクションポリシャ)で作成する。
この断面を、倍率2000倍の視野で、合剤と集電箔との界面を電子顕微鏡写真により拡大し観察した。
拡大した断面において、集電箔表面のうち凹部を形成しない部分が形成する線分を直線に近似する。
得られた近似直線の長さをLとする。
長さLは100μmに設定した。 近似直線から凹部の深さが0.8μm以上の部分の長さの合計をΔLとした。
凹部の最大深さが2μmに満たない場合は倍率10000倍に拡大して界面を観察した。
近似直線の長さLを1μmに設定し、倍率2000倍の時と同様にΔLを求めた。
同様の操作を異なる5点の視野で行い、単位長さあたりの凹部の割合であるΔL/Lを求めた。
同様に操作を異なる5点の視野で長さLにわたって近似直線から凹部の深さを平均して
平均深さdを求めた。
[実施例1]
(活物質1の合成)
LiCO、NiCO、Mn、CoOOH、WOを、Li:Ni:Mn:Co:W=1.12:0.45:0.45:0.10:0.015のモル比となるように秤量し、混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.5μmに粉砕した。
次に、このスラリー(固形分含有量50質量%)を、四流体ノズル型スプレードライヤー(藤崎電気(株)製:MDP−50型)を用いて噴霧乾燥した。また、乾燥入り口温度は200℃とした。スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末のメジアン径は7μmであった。この粉末を空気雰囲気下、650℃で2時間焼成(昇降温速度7.7℃/min.)した後、さらに1050℃で2.5時間焼成(昇降温速度7.7℃/min.)した後、解砕して、組成がLi1.12(Ni0.45Mn0.45Co0.10)Oの層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(x=0.1、y=0.00、z=0.12)を得た。合成段階でのリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、平均一次粒径は1μmで、メジアン径は2.0μm、粒径が5μm以
上の粒子の積算分率は4.4%、嵩密度は1.1g/cc、BET比表面積は2.6m/gであった。
(正極1の作成)
正極の活物質として(活物質1)を用いた。 活物質は上記(活物質1)を自転公転式混合機(シンキー社製:AR300)内で攪拌し、せん断をかけることにより正極作成段階でのメジアン径1.7μmの小粒径な正極活物質(リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物)を得た。
この活物質:導電材(電気化学工業製:HS100):結着剤PVdF(株式会社クレハ:KFポリマーL#1120)を重量割合で87:8(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにN−メチルピロリドン(NMP)を固形分比率を50質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをロールコーターで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に両面塗布・乾燥を行った。目付は34.79mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.55g/cmにプレスした。プレスされた塗布膜を54mm×615mmにスリットし、正極とした。
作成された正極は一部を取って界面評価(集電箔の凹部分の比率と平均深さの測定)を行った。
(片面正極1の作成)
正極の活物質として(活物質1)を用いた。 活物質は上記(活物質1)を自転公転式混合機(シンキー社製:AR300)内で攪拌し、せん断をかけることにより正極作成段階でのメジアン径1.7μmの小粒径な正極活物質(リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物)を得た。
この活物質:導電材(電気化学工業製:HS100):結着剤PVdF(株式会社クレハ:KFポリマーL#1120)を重量割合で87:8(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにN−メチルピロリドン(NMP)を固形分比率が45質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをドクターブレードで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に片面塗布・乾燥を行った。合剤目付は16mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.6g/cmにプレスし、片面正極とした。
〈負極1の作成〉
負極活物質として平均粒子径8〜10μmの黒鉛粉末(d002=3.35Å)、結着剤としてカルボキシメチルセルロース及びスチレンブタジエン共重合体をそれぞれ用い、これらを重量比で98:1:1の割合で秤量し、これを水中で混合し、負極合剤スラリーとした。このスラリーを10μmの厚さの銅箔の両面に塗布した。この時、電極上の負極活物質の目付は12.3mg/cmになるように調節した。
乾燥して溶媒を蒸発させた後、密度が1.41g/cmとなるようにプレス処理をし、56mm×666mmにスリットしたものを負極とした。
(電解液1の調整)
電解液としてはEC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(体積比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用いた。
(試験用円筒セル1の作成)
正極1と負極1とをセパレータを介して捲回し渦巻状の極板群を構成した。
セパレータにはポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムであるセルガード社製#2325を使用した。
正極は集電用のアルミタブを取り付け、負極は集電用のニッケルタブを取り付けた。
この極板群の上面、下面に絶縁板を取り付けた後、電池ケース内に挿入し、缶底とニッケルタブを溶接した。
電池ケースの開口部にネッキングを作成した後、封口板とアルミタブを溶接した。
電解液1を注液し、開口部を封口板で封口した。こうして円筒型18650型リチウムイオン二次電池を完成させた。
(極板積層体1の作成)
最初に片面正極1を2cm×6cmに切断したものを6枚用意した。それぞれ端部に2cm×2cmの塗工面を残して塗工層を削り取り、試験用の正極とした。
次に負極1を2cm×6cmに切断したものを3枚用意した。それぞれ端部に2cm×2cmの塗工面を残して塗工層を削り取り、試験用の負極とした。
9mm厚のシリコン板の上に2cm×2cmの正極と負極の塗工面が向き合って重なるように積層した。
シリコン板の上に、正極と正極を重ねるところは塗工面同士が向き合わないように、
正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極、セパレータの順で積層し、極板積層体
1を完成させた。
セパレータにはポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムであるセルガード社製#2325を使用した。
作成された極板積層体を使用して極板積層体の短絡試験を実施した。
[比較例1]
(活物質2の合成)
NiO、Mn、CoOOHを出発原料として用い、モル比にしてNi:Mn:C
o=0.33:0.33:0.33となるように秤量し、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社製:ダイノーミルKDL A型)を用いて、スラリー中の固形分の平均粒
子径が0.2μmになるまで粉砕した。
次に、このスラリー(固形分含有量17質量%)を、二流体ノズル型スプレードライヤー(大川原化工機(株)製:LT−8型)を用いて噴霧乾燥した。この時の乾燥ガスとして空気を用い、乾燥ガス導入量Gは25L/min、スラリー導入量Sは39g/minとした(気液比G/S=0.64)。また、乾燥入り口温度は120℃とした。
噴霧乾燥により得られた造粒粒子粉末にモル比にしてLiが1.05となるように、LiOH粉末を添加し、良く混合した。この混合粉末約13gをアルミナ製るつぼに仕込み、9L/minの空気流通下、950℃で、10時間焼成(昇降温速度5℃/min)することで、組成がLi1.05Ni0.33Mn0.33Co0.33の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物粉体を得た。相の同定は粉末X線回折パターンにより行った。
この粉体約10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)を測定した結果、表4に示す通りであった。また、この粉末のBET比表面積、二次粒子のメジアン径(超音波分散5分)表4に示す通りであった。
(正極2の作成)
正極の活物質として(活物質2)を用いた。
この活物質:HS100:KFポリマーL#1120を重量割合で85:10(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにNMPを固形分比率を50質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをロールコーターで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に両面塗布・乾燥を行った。目付は28.2mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.54g/cmにプレスした。プレスされた塗布膜を54mm×720mmにスリットし、正極とした。
作成された正極は一部を取って界面評価(集電箔の凹部分の比率と平均深さの測定)を行った。
(片面正極2の作成)
正極の活物質として(活物質2)を用いた。
この活物質:HS100:KFポリマーL#1120を重量割合で85:10(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにNMPを固形分比率が45質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをドクターブレードで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に片面塗布・乾燥を行った。合剤目付は16mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.6g/cmにプレスし、片面正極とした。
(試験用円筒セル2の作成)
試験用円筒セル1と同様に正極2と負極1とをセパレータを介して捲回し渦巻状の極板群を構成した。
試験用円筒セル1と同様に電池缶に挿入後、電解液1を注液し円筒型18650型リチウムイオン二次電池を完成させた。
作成された円筒電池は試験用円筒セル1と同様に評価を実施した。
(極板積層体2の作成)
極板積層体1と同様に片面正極2と負極1を加工し、セパレータを介して積層することで極板積層体2を完成させた。
作成された極板積層体2は極板積層体1と同様に評価を実施した。
[比較例2]
(活物質3)
LiCO、Ni(OH)、Mn、CoOOH、HBO、WOを、Li:Ni:Mn:Co:B:W=1.15:0.45:0.45:0.10:0.0025:0.015のモル比となるように秤量し、混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.5μmに粉砕した。
次に、このスラリー(固形分含有量35質量%)を、二流体ノズル型スプレードライヤー(大川原化工機(株)製:LT−8型)を用いて噴霧乾燥した。この時の乾燥ガスとして空気を用い、乾燥ガス導入量Gは45L/min、スラリー導入量Sは7×10−3L/minとした(気液比G/S=6429)。また、乾燥入り口温度は150℃とした。スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた造粒粒子粉末、約15gをアルミナ製るつぼに仕込み、空気雰囲気下、650℃で5時間焼成(昇降温速度5℃/min.)した後、解砕して、体積抵抗率が2.5×10Ω・cm、含有炭素濃度Cは0.064質量%、組成がLi1.15(Ni0.45Mn0.45Co0.10)Oの層状構造を有
するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(x=0.10、y=0.000、z=0.15)を得た。また、(Ni,Mn,Co)トータルのモル比を1とした時、B及びWの含有モル比率はそれぞれ0.39モル%、0.96モル%であった。この平均一次粒径は0.3μmで、二次粒子のメジアン径(超音波分散5分)は5.0μm、90%積算径(D90)は9.9μm、嵩密度は1.7g/cc、BET比表面積は1.2m/gであった。さらに、粒子全体のB(ホウ素)の原子比(B/(Ni+Mn+Co))に対して、一次粒子表面のBの原子比は69倍、粒子全体のW(タングステン)の原子比(W/(Ni+Mn+Co))に対して、一次粒子表面のWの原子比は6.0倍となっていた。
(正極3の作成)
正極の活物質として(活物質3)を用いた。
この活物質:HS100:KFポリマーL#1120を重量割合で85:10(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにNMPを固形分比率を50質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをロールコーターで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に両面塗布・乾燥を行った。目付は28.2mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.54g/cmにプレスした。プレスされた塗布膜を54mm×615mmにスリットし、正極とした。
作成された正極は一部を取って界面評価(集電箔の凹部分の比率と平均深さの測定)を行った。
(試験用円筒セル3の作成)
試験用円筒セル1と同様に正極3と負極1とをセパレータを介して捲回し渦巻状の極板群を構成した。
試験用円筒セル1と同様に電池缶に挿入後、電解液1を注液し円筒型18650型リチウムイオン二次電池を完成させた。
作成された円筒電池は試験用円筒セル1と同様に評価を実施した。
(片面正極3の作成)
正極の活物質として(活物質3)を用いた。
この活物質:HS100:KFポリマーL#1120を重量割合で85:10(固形分として):5となるように秤量混合し、
さらにNMPを固形分比率が45質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリーとした。
次にスラリーをドクターブレードで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に片面塗布・乾燥を行った。
目付は1.6mg/cmであった。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて合剤密度を2.6g/cmにプレスし、片面正極とした。
(試験用円筒セル3の作成)
試験用円筒セル1と同様に正極3と負極1とをセパレータを介して捲回し渦巻状の極板群を構成した。
試験用円筒セル1と同様に電池缶に挿入後、電解液1を注液し円筒型18650型リチウムイオン二次電池を完成させた。
作成された円筒電池は試験用円筒セル1と同様に評価を実施した。
(極板積層体3の作成)
極板積層体1と同様に片面正極3と負極1を加工し、セパレータを介して積層することで極板積層体3を完成させた。
作成された極板積層体3は極板積層体1と同様に評価を実施した。
[実施例2]
(片面正極4の作成)
第1層用の正極の活物質として(活物質1)を用いた。
活物質は上記(活物質1)を自転公転式混合機(シンキー社製:AR300)内で攪拌し、せん断をかけることにより正極作成段階でのメジアン径1.7μmの小粒径な正極活物質(リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物)を得た。
この活物質:導電材(電気化学工業製:HS100):結着剤PVdF(株式会社クレハ:KFポリマーL#1120)を重量割合で87:8(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにN−メチルピロリドン(NMP)を固形分比率が45質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリー1とした。
第2層用の正極の活物質として(活物質3)を用いた。
この活物質:HS100:KFポリマーL#1120を重量割合で85:10(固形分として):5となるように秤量混合し、さらにNMPを固形分比率が45質量%になるように加え、自転公転式混合機を用いて均一なスラリー2とした。
次にスラリー1をドクターブレードで集電箔のアルミ箔(厚さ15μm)上に片面塗布・乾燥を行った。
重ねてスラリー2をドクターブレードで片面塗布・乾燥を行った。
この塗布膜を、ロールプレスを用いて、試験正極とした。
第1層の厚さは35μm、第2層の厚さは34μmであった。
合計の合剤目付は17mg/cmで、合剤密度を2.4g/cmであった。
作成された正極は一部を取って界面評価(集電箔の凹部分の比率と平均深さの測定)を行った。
(極板積層体4の作成)
極板積層体1と同様に片面正極4と負極1を加工し、セパレータを介して積層することで極板積層体4を完成させた。
作成された極板積層体4は極板積層体1と同様に評価を実施した。
<試験用円筒セルの初期容量測定>
試験用円筒セルに使用した正極活物質の重量から、円筒電池の仮容量Ck[Ah]を1.220[Ah]とした。
これを仮容量Ck[Ah]とし、仮充放電電流Itk[A]をCk[Ah]/1[h]とした。
注液後の試験用円筒セルは25℃の恒温槽内で初期容量測定をおこなった。 測定開始のときに、表面温度は25℃±2℃とした。
試験用円筒セルは最大電流0.25×Itkとして、6時間の間、4100mVで定電圧充電した。
10分の休止後、0.33×Itkで3000mVまで定電流放電し、10分休止する。
続けて3回、最大電流Itkで2時間の間、4100mVで定電圧充電し、10分間の休止後に、電流Itkで3000mVまで定電流放電の後、10分間の休止をした。
最後に、最大電流Itkで2.5時間の間、4100mVで定電圧充電し、10分間の休止後に、電流0.2×Itkで3000mVまで定電流放電を行いた後、120分間の休止をした。
このときの放電容量を試験用円筒セルの容量C[Ah]とした。
<試験用円筒セルの充電レベル50%の電圧測定>
試験用円筒セルは25℃の恒温槽内で試験用円筒セルの充電レベル50%の電圧測定をおこなった。
測定開始のときに、表面温度は25℃±2℃とした。
試験用円筒セルを0.33×Itで3000[mV]まで定電流放電し、10分間の休止後、続けて試験用円筒セルを0.33×Itで18分間充電と10分間の休止を5回繰り返した後の電圧を充電レベル50%の電圧、SOC50[mV]とした。
<試験用円筒セルの25℃出力測定>
試験用円筒セルは25℃の恒温槽に設置し、試験用円筒セルの表面温度が25℃±2℃となるよう4時間放置した。
試験用円筒セルを500[mA]で3000[mV]まで定電流放電し、10分間の休止後、500mAでSOC50[mV]まで充電し、1時間休止した。
次に電流Ip[mA]を、200[mA]、500[mA]、1000[mA]、2000[mA]として、出力測定を行った。
上記の各電流Ip[mA]について10秒間の間、定電流放電を行い、定電流放電後の電圧VD10[mV]を測定する。
5分間の休止後、電流Ip[mA]で10秒間の間、定電流放電を行い、定電流充電後の電圧VC10[mV]を測定し、5分間の休止を行った。
VD10を電流に対して平面上にプロットし、最小二乗法によって直線近似を行って、3Vにおける、放電電流IpD25[A]を求め、25℃放電出力WD25[W]を 3[V] × IpD25[A]とした。
VC10に対しても同様に電流に対して平面上にプロットし、最小二乗法によって直線
近似を行って、4.1Vにおける、放電電流IpC25[A]を求め、25℃充電出力WC25[W]を 4.1[V] × IpC25[A]とした。
<試験用円筒セルの−30℃出力測定>
試験用円筒セルは恒温槽内で試験用円筒セル1の出力測定をおこなった。 25℃に設定した恒温槽に試験用円筒セルを設置し、測定開始のとき試験用円筒セルの表面温度は25℃±2℃とした。試験用円筒セルを500mAで3000mVまで定電流放電し、10分間の休止後、500[mA]でSOC50[mV]まで充電し、1時間休止した。
続けて、恒温槽を−30℃に温度を下げ、試験用セルの表面温度が−30℃±2℃となるよう4時間放置した。
次に、電流Ip[mA]を、200[mA]、300[mA]、400[mA]、600[mA]、800[mA]、1000[mA]、 1200[mA]、1400[mA]、1600[mA]として、出力測定を行った。 上記の各電流Ip[mA]について
2秒間の間、定電流放電を行い、定電流放電後の電圧V2[mV]を測定する。
5分間の休止後、電流Ip[mA]で2秒間の間、定電流充電を行い、5分間休止した。
V2を電流に対して平面上にプロットし、3Vより大きいV2の中で最も小さいV2をV2L[mV]と、3Vより小さいV2の中で最も大きいV2をV2S[mV]である点を通過する直線が3Vを通過する交点から、3Vにおける放電電流IpD30[A]を求めた。
上記の値から−30℃放電出力WD30[W]を 3[V] × IpD30[A]とした。
<試験用円筒セルの内部短絡試験>
試験用円筒セルの容量C[Ah]とし、充放電電流It[A]をC[Ah]/1[h]とした。
定電流0.2×It[A]で3000[mV]まで放電を行い、試験用円筒セルを放電状態にした。
10分間の休止の後、定電流0.2×It[A]で4100[mV]まで充電を行い、続けて、4100[mV]で定電圧充電を150分間行った。
短絡に用いる釘には径φ2.5mm、先端角30度の物を用いた。
試験用円筒セルの正負極にリード線を接続し電圧ロガーに接続し、時間と電圧を記録した。
釘刺し位置の両側面に熱電対を取り付け、試験用円筒セル温度を温度ロガーに記録した。
試験用円筒セルの周囲温度が30℃になるよう加熱窒素を10[L/分]で30分流した後に試験を開始した。
釘は50[mm/s]の速度で貫通させ、電池を内部短絡した。
熱電対で測定する電池の表面温度が下降を始めるまで、電圧と温度を記録した。
<極板積層体の短絡試験>
極板積層体の正極と負極に4.2Vの定電圧電源(最大100A、菊水電子工業株式会社PWR1600L)を接続した。
正極と負極の電極間に電圧をかけた後、釘を320[mm/s]の速度で極板積層体を貫通させ、正負極を短絡した。短絡に用いる釘には径φ2.5mm、先端角30度の物を用いた。
短絡から5分後に極板積層体を観察しセパレータの細孔がシャットダウンするイベントの発生の有無で正極の性能を評価した。
粉体物性と各種電池性能に係る評価結果を表1〜表5にまとめて示す。
Figure 2013211096
Figure 2013211096
Figure 2013211096
Figure 2013211096
Figure 2013211096
Figure 2013211096
表2および表4より凹み部分の比率の小さい実施例1は同容量の円筒電池において25℃における出力が、比較例2、3よりも、同等もしくは高く、-30℃における出力は実
施例の方が比較例に対して高い。
また内部短絡に対する安全性は表5より実施例の温度上昇速度は比較例よりも低く内部短絡に対して向上することが判る。
表6の極板積層体の短絡試験結果より実施例1および実施例2は、短絡電流が抑制されたことによって、短絡点周囲の発熱による温度上昇がセパレータのシャットダウン温度以下に抑制された。実施例2は、実施例1と同様の集電体表面の構造を持つことで、実施例1と異なる正極活物質を積層したにもかかわらず、内部短絡の安全性は高いことがわかる。
すなわち本発明におけるリチウム二次電池用正極は、従来の正極よりも出力が高くなり、内部短絡に対する安全性も同時に向上することが判る。
本発明のリチウム遷移金属系複合酸化物粉体を用いたリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、ペースメーカー、電動工具、自動車用動力源、軌道車両動力源、人工衛星用動力源等を挙げることができる。

Claims (11)

  1. リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を正極活物質、導電材およびバインダーを含んでなる電極の合剤を、集電箔上に含有してなるリチウム二次電池用正極であって、
    電極の合剤密度が2.0g/cm以上であり、
    前記集電箔が凹み部分を有し、
    集電箔表面のうち合剤が付着しており凹み部分を形成していない部分を結んだ線分を直線に近似し、得られた近似直線の長さをLとし、近似直線から深さが0.8μmとなった平行線をとり、該平行線の凹み部分の長さの合計をΔLとし、単位長さあたりの凹み部分の割合をΔL/Lとしたとき、ΔL/Lが5%以下であることを特徴とする
    リチウム二次電池用正極。
  2. 凹み部分の平均深さが、0.8μm以下であることを特徴とする
    請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
  3. 正極活物質のメジアン径が0.1〜5μmであることを特徴とする
    請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極
  4. 粒径が5μm以上の正極活物質の体積割合が10体積%以下であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  5. 正極活物質が、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な機能を有するリチウム遷移金属系化合物を主成分とし、
    該主成分原料に、焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤の少なくとも1種以上を、
    主成分原料中の遷移金属元素の合計モル量に対して0.01モル%以上、2モル%未満の割合で添加した後、
    焼成されたものであることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  6. 正極合材中の導電材の含有量が、15質量%以下であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  7. 前記集電体上に、第1の正極活物質を含有する第1の正極合剤層と、
    第1の正極活物質よりも粒径の大きい第2の正極活物質を含有する第2の正極合剤層とが順次積層形成されていることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  8. 第2の正極活物質(リチウム遷移金属系化合物粉体)のメジアン径が6μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  9. 第1および第2の正極活物質が、層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を主成分としたことを特徴とする
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極を用いたリチウム二次電池。
  11. 5時間率電流で定電流放電試験をしたときの容量が500mAh以上であることを特徴とする請求項10に記載のリチウム二次電池。
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