JP2013227181A - 封着構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一対のガラス板がガラス材料からなる接合層によって接合されるとともに、少なくとも一方の対向面に機能膜を有する封着構造体において、生産性が良好であって、かつ接合性も良好なものを提供する。
【解決手段】一対の対向配置されたガラス板と、前記一対のガラス板の少なくとも一方の対向面に積層された機能膜と、前記機能膜が積層されたガラス板における前記機能膜の周囲に枠状に形成されるとともに該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域と、前記機能膜を囲むように前記研磨領域内に配置されて前記一対のガラス板を接合するガラス材料からなる接合層とを有する封着構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス材料からなる接合層によって、一対のガラス板が接合された封着構造体およびその製造方法に関する。
複層ガラス等における一対のガラス板を接合する方法として、一対のガラス板を接合用ガラス材料からなる接合材料層を介して積層し、焼成炉によって接合材料層を溶融させた後、常温まで冷却して固化させ、接合用ガラス材料からなる接合層によって接合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、一対のガラス板を接合用ガラス材料からなる接合材料層を介して積層した後、接合材料層に沿ってレーザ光を照射し、接合材料層を局所的に加熱および溶融させ、接合用ガラス材料からなる接合層によって接合する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
これらの方法において、ガラス板の対向面に遮熱性能や断熱性能を向上させるための低放射率膜(Low−e膜)等の機能膜を設ける場合、例えば、一方のガラス板の対向面となる主面全体に機能膜を成膜した後、これに接合用ガラス材料からなる接合材料層を介して他のガラス板を積層し、焼成炉またはレーザ光照射によって接合材料層を溶融させ、接合用ガラス材料からなる接合層によって接合する。
しかしながら、接合時にガラス板の対向面となる主面全体に機能膜が設けられている場合、一対のガラス板が機能膜を介して接合されるために必ずしも良好な接合性が得られず、例えば、接合層と機能膜との間に剥離が発生し、またはガラス板もしくは接合層に割れが発生し、結果として十分な気密性が得られなくなることがある。このため、従来、接合前に機能膜の外周部をエッチングにより除去しておき、その後にこの機能膜が除去された部分において接合を行っている。
また、必ずしもガラス材料からなる接合層を用いるものではないが、複層ガラスにおける一対のガラス板の側面である小口面と他の複層ガラスにおける一対のガラス板の側面である小口面とを突合わせシール加工するものにおいて、小口面に低放射率膜が形成されているとシール接着力が十分でないことから、小口面にテープを貼付した状態で成膜し、その後にテープを剥離して、小口面への成膜を実質的に防止する方法が知られている。また、小口面を所定の表面粗さとしておき、低放射率膜を成膜した後、小口面の低放射率膜を磨いて除去する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−182567号公報 国際公開第99/059931号 特開2005−187305号公報
しかしながら、エッチングの場合、例えば、比較的大規模な設備が必要となるとともに、エッチング液への浸漬やその後の洗浄処理等が必要となるために、必ずしも生産性に優れない。また、テープを利用する方法の場合、テープの貼付および剥離が煩雑であり、特に所望の位置にテープを正確に貼付することが難しい。また、接合層が接合用ガラス材料からなる場合、単に機能膜を研磨しただけでは、かえって接合性が低下し、結果として気密性が低下するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、一対のガラス板がガラス材料からなる接合層によって接合されるとともに、少なくとも一方の対向面に機能膜を有する封着構造体において、生産性が良好であって、かつ接合性も良好なものを提供することを目的とする。また、本発明は、上記封着構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の封着構造体は、一対の対向配置されたガラス板と、これら一対のガラス板の少なくとも一方の対向面に積層された機能膜と、この機能膜が積層されたガラス板における機能膜の周囲に枠状に形成されるとともに該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域と、機能膜を囲むように研磨領域内に配置されて一対のガラス板を接合するガラス材料からなる接合層とを有する。
本発明の封着構造体の製造方法は、成膜工程、研磨工程、および接合工程を有する。成膜工程は、一対のガラス板の少なくとも一方のガラス板の対向面となる主面全体に機能膜を成膜する。研磨工程は、機能膜の外周部近傍を枠状に研磨して該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域を形成する。接合工程は、研磨領域内において一対のガラス板をガラス材料からなる接合層によって接合して封着構造体とする。
本発明の封着構造体は、機能膜の周囲に枠状に研磨領域を設けるとともに、この研磨領域における研磨痕を周方向に延びるようにし、この研磨領域において一対のガラス板を接合している。このようなものによれば、機能膜を研磨すればよいことから生産性が良好となり、また研磨痕が研磨領域の周方向に延びていることから接合性および気密性も良好となる。
本発明の封着構造体の製造方法は、ガラス板の対向面となる主面全体に機能膜を成膜した後、この機能膜の外周部近傍を枠状に研磨して該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域を形成する。このような方法によれば、良好な接合性および気密性を有する封着構造体を効率的に製造できる。
封着構造体の一実施形態を示す断面図。 図1に示す機能膜および研磨領域を有するガラス板の機能膜および研磨領域側を示す平面図。 封着構造体の製造方法の一実施形態を示す工程図。 研磨方法の一例を示す正面図および側面図。
以下、本発明の封着構造体の実施形態について説明する。
図1は、封着構造体の一実施形態を示す断面図である。
図2は、図1に示す封着構造体における機能膜および研磨領域を有するガラス板の機能膜および研磨領域側(対向面側)を示す平面図である。
図1に示すように、封着構造体10は、一対の対向配置されたガラス板11、12を有する。この封着構造体10の場合、一方のガラス板11の対向面に機能膜13が設けられており、この機能膜13の周囲に枠状に研磨領域14が設けられている。そして、一対のガラス板11、12は、研磨領域14において接合用ガラス材料からなる接合層15によって接合されている。
図2に示すように、研磨領域14は、研磨領域14の枠状形状の周方向に延びるように研磨痕141が設けられている。通常、機能膜13の外側全体が研磨領域14となり、この研磨領域14の全体について周方向に延びるように研磨痕141が設けられている。なお、図2においては、研磨領域14の一部のみに研磨痕141を図示したが、上記したように研磨痕141は研磨領域14の全体に設けられている。
研磨痕141は、基本的に研磨領域14の周方向に延びるように、言い換えればガラス板11の外周部と平行に延びるように設けられるが、研磨領域14の角部においては図示するように方向の異なるものが互いに交差するように設けられていてもよい。また、研磨領域14は、接合層15が接合される領域である接合領域142を含むように形成されるが、この接合領域142にも他の部分と同様に周方向に延びるように研磨痕141が形成されている。
このような封着構造体10は、例えば、ガラス板11の対向面となる主面全体に機能膜13を形成した後、この機能膜13の外周部近傍を研磨することによって製造できる。機能膜13を単に研磨すればよいことから、エッチングによって除去する場合に比べて、設備を簡素化できるとともに、エッチング液への浸漬やその後の洗浄処理等を不要とできるために、生産性を向上できる。
また、研磨痕141を研磨領域14の周方向に延びるものとすることで、接合性を良好とでき、例えば接合時の剥離や割れを抑制できるとともに、気密性も良好とできる。すなわち、研磨痕141が不特定の方向に延びている場合、または研磨痕141が一方向に延びていたとしても研磨領域14の周方向に対して垂直方向に延びている場合、接合性が良好とならず、また接合層15の両側が研磨痕141によって連通しやすいために気密性が低下しやすい。
さらに、研磨痕141が研磨領域14の周方向に延びている場合、例えば、研磨領域14の周方向に研磨材を回転または移動させて研磨を行えばよく、周方向に対して垂直方向に回転または移動させて研磨を行う場合に比べて、研磨を連続的に行うことができ、生産性を向上できる。
研磨領域14としては、研磨痕141が周方向に延びることを確認できるものであれば必ずしも制限されないが、倍率を100倍とした光学顕微鏡により任意の部分を観察したときに研磨痕141が周方向に延びることを確認できるものが好ましい。
また、研磨領域14としては、任意の部分を観察したときに周方向に延びる長さが100μm以上の研磨痕141が少なくとも一部に確認できるものが好ましく、任意の部分を観察したときに周方向に延びる長さが500μm以上の研磨痕141が少なくとも一部に確認できるものがより好ましい。なお、研磨領域14は、任意の部分を観察したときに周方向に延びる長さが100μm以上の研磨痕141を少なくとも一部に含むことが好ましいが、必ずしも全ての研磨痕141がこのような長さである必要はなく、周方向に延びる長さが100μm未満の研磨痕141を多数含んでいても構わない。通常、研磨痕141の長さは最大で3000μm程度である。ただし、研磨領域14の角部では、接合層15の幅を超えない長さとする必要があり、100μm以下であることが好ましい。
また、上記した長さが100μm以上の研磨痕141は、幅が10μm以上であることが好ましい。この場合についても、必ずしも全ての研磨痕141がこのような幅である必要はなく、幅が10μm未満の研磨痕141を多数含んでいても構わない。通常、研磨痕141の幅は、最大で100μm程度である。
なお、研磨痕141は、全体として研磨領域14のほぼ周方向に延びていればよく、必ずしも延びる方向は研磨領域14の周方向と完全に一致している必要はなく、また一部に異なる方向に延びるものを含んでいてもよい。例えば、研磨領域14の周方向と研磨痕141の延びる方向とのなす角度は10度以内の範囲で異なっていてもよい。この程度の範囲内であれば、良好な接合性および気密性を得ることができる。研磨領域14の周方向と研磨痕141の延びる方向とのなす角度は5度以内が好ましく、3度以内がより好ましい。
研磨領域14は、接合領域142を含むように形成されていれば形成位置や形成範囲は必ずしも制限されないが、接合領域142はガラス板11の外周部近傍に設けられることが多く、また研磨による研磨領域14の形成しやすさから、ガラス板11の外周部から内側にかけて所定の幅wに設けることが好ましい。
研磨領域14の幅wは、接合領域142の幅wより大きければ必ずしも制限されないが、1mm以上が好ましい。通常、接合領域142の幅wは0.5〜1mm程度であることから、研磨領域14の幅wを1mm以上とすることで、接合領域142を十分に含むことができる。研磨領域14の幅wは、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。但し、研磨領域14の幅wが大きくなるにしたがって機能膜13の形成範囲が狭くなることから、研磨領域14の幅wは50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。
研磨痕141としては、機能膜13の研磨残渣、すなわち機能膜13が筋状等に残ったものであってもよいし、ガラス板11の研磨傷であってもよいし、これらの双方であってもよい。すなわち、研磨領域14には、機能膜13が筋状等に残っていてもよいし、機能膜13が完全に除去されて、ガラス板11のみが露出していてもよい。
ここで、研磨痕141として機能膜13の研磨残渣とガラス板11の研磨傷とが併存する場合、上記した研磨痕141の長さについては、機能膜13の研磨残渣およびガラス板11の研磨傷のうちのいずれか長い方とする。すなわち、研磨領域14としては、機能膜13の研磨残渣からなるものであって周方向に延びる長さが100μm以上の研磨痕141を有するものか、ガラス板11の研磨傷からなるものであって周方向に延びる長さが100μm以上の研磨痕141を有するものかのいずれかであることが好ましい。
研磨領域14は、算術平均粗さRaが0.01〜0.03μmであることが好ましい。また、研磨領域14は、最大断面高さRtが0.1〜0.6μmであることが好ましい。このような算術平均粗さRaや最大断面高さRtを有することで、接合層15のクラック発生を防止でき、さらに接合性や気密性を良好にできる。算術平均粗さRaは、より好ましくは0.01〜0.02μmである。また、最大断面高さRtは、より好ましくは0.1〜0.3μmである。
ここで、上記算術平均粗さRaは、ガラス板11の外周部に対して、平行、垂直、および斜め45度の方向について、それぞれ5点測定したときの平均値とする。同様に上記最大断面高さRtについても、ガラス板11の外周部に対して、平行、垂直、および斜め45度の方向について、それぞれ5点測定したときの平均値とする。なお、算術平均表面粗さRa、最大断面高さRtは、JIS B 0601:2001の規定に従って測定される値である。
ガラス板11、12は、各種公知の組成を有するソーダライムガラス、無アルカリガラス、化学強化ガラス、物理強化ガラス等によって構成できる。ソーダライムガラスは80〜90(×10−7/℃)程度の熱膨張係数を有する。無アルカリガラスは35〜40(×10−7/℃)程度の熱膨張係数を有する。高い反射率を得るという観点からソーダライムガラスは、透明度が高い白板ガラス(高透過ガラス)が望ましい。ここで謂う白板ガラス(高透過ガラス)とは、可視光透過率が普通のソーダライムガラスより高く、90%以上の可視光透過率を有するガラスであり、例えば、普通のソーダライムガラスに対し鉄分をFeとして0.06%以下としたガラスである。また、強度の観点から、ソーダライムガラスは強化ガラスが望ましい。強化の方法は、化学強化、風冷強化のいずれであってもよい。また、ソーダライムガラス以外の化学強化ガラスであってもよい。
ガラス板11、12は、低膨張ガラスからなるものであってもよい。低膨張ガラスは、例えば55(×10−7/℃)以下の熱膨張係数を有する。このような低膨張ガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリアルミノケイ酸ガラス、石英ガラス、および結晶化ガラスからなる群から選ばれる1種が挙げられる。
ガラス板11、12を低膨張ガラスにより構成することで、家屋やビル等の建物の窓ガラスに適用した際、室内外の温度差のような内外の温度差に基づいて発生する応力を低減できる。すなわち、封着構造体10には、内外の温度差により反りが生じる場合があるが、ガラス板11、12を低膨張ガラスにより構成することで、反り量、さらには反りやその繰り返しによる応力を低減できる。
但し、ガラス板11、12の熱膨張係数が小さくなりすぎると、接合層15との熱膨張差が大きくなり、逆に接合層15の近傍等に生じる応力が上昇するおそれがある。このため、接合層15の熱膨張係数にもよるが、ガラス板11、12の熱膨張係数は20(×10−7/℃)以上が好ましい。
接合層15は、低融点ガラスからなる固着ガラス(ガラスフリット)を含み、任意成分としてレーザ吸収材や低膨張充填材等の無機充填材を含む接合用ガラス材料から構成される。接合用ガラス材料は、これら以外の他の添加材を必要に応じて含有できる。他の添加材としては、レーザ吸収材および低膨張充填材以外の無機充填材が挙げられる。但し、他の添加材は焼成の際に消失する成分を除く。
接合用ガラス材料の組合せや配合量等は、ガラス板11、12との相性等を考慮して選定される。接合用ガラス材料中の固着ガラスの含有量は50〜100体積%が好ましい。任意成分である無機充填材の含有量は0〜50体積%が好ましい。固着ガラスの含有量が50体積%未満であると、接合時の接合用ガラス材料の流動性が低下し、良好に接合できないおそれがある。固着ガラスの含有量は60体積%以上がより好ましい。上限値は特に限定されないが、ガラス板11、12に対する熱膨張係数の調整等を考慮して97体積%以下、さらに90体積%以下が好ましい。
固着ガラス(低融点ガラス)には、例えば、ビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス、シリカホウ酸アルカリガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、ガラス板に対する接合性やその信頼性(接合信頼性や気密封止性)、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、ビスマス系ガラスからなる固着ガラスが好ましい。
固着ガラスとしてのビスマス系ガラスは、酸化物換算の質量割合で70〜90%のBi、1〜20%のZnO、および2〜12%のBを含有する組成(基本的には合計量を100%とする)が好ましい。Bi、ZnO、およびBの3成分で形成されるガラスは、透明でガラス転移点が低い等の特性を有することから、接合用ガラス材料の主成分(必須成分)としての低融点ガラスに好適である。
上述した3成分で形成されるビスマス系ガラスにおいて、Biはガラスの網目を形成する成分であり、固着ガラス中に70〜90質量%の範囲で含有させることが好ましい。Biの含有量が70質量%未満であると固着ガラスの軟化温度が高くなる。Biの含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなり、ガラスの製造が困難になると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。封着温度等を考慮して、Biの含有量は78〜87質量%の範囲がより好ましい。
ZnOは熱膨張係数や軟化温度を下げる成分であり、固着ガラス中に1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると固着ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなって、ガラスが得られないおそれがある。ガラス製造の安定性等を考慮して、ZnOの含有量は7〜12質量%の範囲がより好ましい。
はガラス骨格を形成してガラス化が可能になる範囲を広げる成分であり、固着ガラス中に2〜12質量%の範囲で含有させることが好ましい。Bの含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難になる。Bの含有量が12質量%を超えると軟化点が高くなる。ガラスの安定性や封着温度等を考慮して、Bの含有量は5〜10質量%の範囲がより好ましい。
上述した3成分で形成されるビスマス系ガラスはガラス転移点が低く、固着ガラスに適したものであるが、Al、CeO、SiO、AgO、WO、MoO、Nb、Ta、Ga、Sb、LiO、NaO、KO、CsO、CaO、SrO、BaO、P、SnO(xは1または2である)等の任意成分を含有していてもよい。但し、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、ガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は10質量%以下が好ましい。任意成分の合計含有量の下限値は特に限定されるものではなく、添加内容に基づいて有効量の任意成分を配合することができる。
上記した任意成分のうち、Al、SiO、CaO、SrO、BaO等はガラスの安定化に寄与する成分であり、その含有量は0〜7質量%の範囲が好ましい。中でもAlやBaOは優れているので、0.1〜7質量%の範囲で第4成分として含有させることもできる。LiO、NaO、KO、CsO等はガラスの軟化温度を下げる効果を有し、CeOはガラスの流動性を安定化させる効果を有する。AgO、WO、MoO、Nb、Ta、Ga、Sb、P、SnO等はガラスの粘性や熱膨張係数等を調整する成分として含有させることができる。これら各成分の含有量は任意成分の合計含有量が10質量%を超えない範囲内で適宜に設定することができる。
接合用ガラス材料に任意成分として配合される無機充填材のうち、低膨張充填材はガラス板と接合層との熱膨張係数を近似させるものである。一般的に、固着ガラスの熱膨張係数はガラス板のそれより大きいため、熱膨張率を調整するために低膨張充填材が用いられる。低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)O7、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(PO、これらの複合化合物が挙げられる。
低膨張充填材の含有量は、接合用ガラス材料の溶融固化層である接合層の熱膨張率がガラス板の熱膨張率に近づくように適宜に設定される。低膨張充填材は固着ガラスやガラス板の熱膨張係数にもよるが、接合用ガラス材料に対して0〜50体積%の範囲で含有させることが好ましい。低膨張充填材の含有量が50体積%を超えると、接合用ガラス材料の流動性が低下して接合強度が低下するおそれがある。低膨張充填材の含有量の下限値は特に限定されるものではなく、固着ガラスやガラス板の熱膨張係数に応じて適宜に設定される。低膨張充填材の含有量の好ましい下限値は3体積%以上であり、より好ましくは10体積%以上である。
レーザ吸収材は、接合用ガラス材料にレーザ光を照射して加熱する際に、接合用ガラス材料によるレーザ光の吸収能を高める充填材である。なお、固着ガラス自体がレーザ吸収能を有する場合には、レーザ吸収材を添加しなくてもよい。レーザ吸収材としては、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、およびCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属または前記金属を含む酸化物等の化合物(顔料)が用いられる。レーザ吸収材はこれら以外の顔料であってもよい。接合用ガラス材料におけるレーザ吸収材の含有量は0.1〜40体積%の範囲が好ましい。レーザ吸収材の含有量が40体積%を超えると接合用ガラス材料の溶融時の流動性が低下し、良好に封着を行うことができないおそれがある。レーザ吸収材の含有量は25体積%以下がより好ましく、さらに好ましくは20体積%以下である。
機能膜13としては、研磨によって少なくとも一部が除去されて所定の研磨痕141を得られるものであれば特に制限されず、例えば、複層ガラスに用いられる低放射率膜(Low−E膜)、太陽熱発電システムに用いられる反射鏡の反射膜等が挙げられる。
複層ガラスに用いられる低放射率膜としては、例えば、誘電体層と金属層とが交互に積層されたものが挙げられる。具体的には、ガラス板11側からの順で、「誘電体層/金属層/誘電体層」、「誘電体層/誘電体層/金属層/誘電体層」、「誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層」、「誘電体層/誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層」、「誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層」、「誘電体層/誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層/金属層/誘電体層」等の構成を有するものが挙げられる。ガラス板11に最も近い金属層との間に存在する誘電体層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。同様に、金属層上の誘電体層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
誘電体層としては、金属酸化物層が一般的であり、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン等が代表的である。金属層としては、金または銀を主成分とするものが代表的である。ここで、銀を主成分とする場合、銀のみからなるものであってもよく、パラジウムを3原子数%(atomic percent)以下含有するものでもよい。誘電体層、金属層は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム照射法、スプレーコート法等の各種薄膜形成法により形成することができる。
太陽熱発電システムに用いられる反射鏡の反射膜としては、金属層を有するものが挙げられる。金属層としては、銀を主成分とする層、例えば、銀層、銀合金層(Ag−Pt合金層、Ag−Pd合金層等)、またアルミニウム層等が挙げられる。このような金属層からなる反射膜は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム照射法、スプレーコート法等の各種薄膜形成法により形成することができる。
本発明の封着構造体10としては、例えば、機能膜13として低放射率膜を設けた複層ガラス、機能膜13として反射膜を設けた太陽熱発電システムに用いられる反射鏡等が代表的なものとして挙げられるが、必ずしもこれらのものに制限されない。また、上記実施形態では、一方のガラス板11の対向面に機能膜13および研磨領域14を設けた例を示したが、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、ガラス板11、12の双方の対向面に機能膜13および研磨領域14を設けるようにしてもよい。
次に、封着構造体10の製造方法について説明する。
封着構造体10は、成膜工程、研磨工程、および接合工程を順に行って製造できる。成膜工程では、一対のガラス板11、12の少なくとも一方のガラス板11の対向面となる主面全体に機能膜13を成膜する。研磨工程では、機能膜13の外周部近傍を枠状に研磨して該枠状の周方向に延びる研磨痕141を有する研磨領域14を形成する。接合工程では、研磨領域14内において一対のガラス板11、12をガラス材料からなる接合層15によって接合して封着構造体とする。
以下、封着構造体10の製造方法について、図1、2に示す封着構造体10を例に挙げて具体的に説明する。
図3は、封着構造体10の製造方法を工程順に示した工程図である。
まず、図3(a)に示すように、一方のガラス板11の対向面となる主面全体に機能膜13を成膜する(成膜工程)。機能膜13は、例えば、複層ガラスにおける誘電体層と金属層とが積層された低放射率膜(Low−E膜)、太陽熱発電システム用反射鏡における金属層からなる反射膜等が挙げられる。機能膜13は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム照射法、スプレーコート法等の各種薄膜形成法により形成することができる。
その後、図3(b)に示すように、機能膜13の外周部を研磨して周方向に延びる研磨痕141を有する研磨領域14を形成する(研磨工程)。
図4は、機能膜13の研磨方法の一例を示す平面図および側面図である。ここで、図4(a)は、研磨状態を研磨方向に対して垂直方向から見た状態を示す平面図である。また、図4(b)は、同様の研磨状態を側面方向(図4(a)中、左方向)から見た状態を示す側面図である。
機能膜13の研磨は、例えば図4(a)に示すように、図示しない研磨機に装着された研磨材16を機能膜13に接触させ、研磨材16を矢印17に示す方向に回転させるとともに、研磨材16を一方の端部から他方の端部に向けて矢印18に示す方向に水平移動させて行う。研磨材16としては、例えば研磨砥粒を含有する樹脂ブラシ等が挙げられる。
このような研磨を機能膜13の外周部の各辺の近傍について順次行うことで、機能膜13の周囲に枠状の研磨領域14を形成できるとともに、研磨領域14の周方向に延びるような研磨痕141を形成できる。機能膜13の研磨後、必要に応じて、研磨領域14における研磨屑等を除去する。
研磨の際、機能膜13の一部のみを研磨により除去して、機能膜13を筋状等に残すことで、機能膜13の研磨残渣からなる研磨痕141を設けることができる。また、機能膜13を研磨により完全に除去するとともに、ガラス板11の表面を研磨することで、ガラス板11の研磨傷からなる研磨痕141を設けることができる。機能膜13の研磨量(除去量)の調整は、研磨材16の回転速度および水平方向の移動速度、機能膜13と研磨材16との接触圧等の調整により適宜行うことができる。
研磨材16は、所定の研磨痕141や表面粗度が得られるものであれば特に制限されず、公知の研磨材を用いることができる。研磨材16としては、#200番手以上のものが好ましい。#200番手未満であると、研磨痕141が幅広くまたは深くなりすぎるために、接合性や気密性を良好にできないおそれがある。研磨材16は、#400番手以上のものがより好ましく、#1000番手以上のものがさらに好ましい。
また、#2000番手を超えると、研磨痕141の幅が狭くまたは浅くなりすぎるために接合性や気密性を良好にできないおそれがあり、また研磨を完了するまでに時間がかかるおそれがある。このため、研磨材16は、#2000番手以下のものが好ましく、#1500番手以下のものがより好ましい。
研磨材16の大きさや幅は特に制限されず、研磨領域14の幅w等に応じて、適宜選択できる。また、研磨材16の回転速度や移動速度についても、機能膜13の研磨残渣を残すかどうか、または機能膜13を完全に除去するかどうか等に応じて、適宜選択できる。
別途、図3(c)に示すように、他のガラス板12の対向面となる主面における接合層15が形成される領域に、例えば、レーザ光の照射によって接合層15となる接合材料層15aを形成する。この際、接合材料層15aは、研磨が行われたガラス板11と対向させたときに、ガラス板11の研磨領域14に収まるような位置に形成される。
接合材料層15aは、固着ガラス(低融点ガラス)と任意成分である無機充填材とを含む接合用ガラス材料を、ビヒクルと混合して接合用ガラス材料ペーストを調製し、これを塗布した後に乾燥および焼成することにより形成される。
ビヒクルは、バインダ成分である樹脂を溶剤に溶解したものである。ビヒクル用の樹脂としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂が用いられる。溶剤としては、セルロース系樹脂の場合はターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等が、アクリル系樹脂の場合はメチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等が用いられる。
接合用ガラス材料ペーストの粘度は、塗布装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂と溶剤の割合、接合用ガラス材料とビヒクルとの割合により調整できる。なお、樹脂は焼成時に消失する成分である。接合用ガラス材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。これらの添加物も通常焼成時に消失する成分である。各ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法が適用できる。
接合用ガラス材料ペーストをガラス板12の対向面に塗布し、これを乾燥させて接合用ガラス材料ペーストの塗布膜を形成する。接合用ガラス材料ペーストは、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して塗布したり、あるいはディスペンサ等を用いて塗布する。塗膜の幅は、強度を保つために0.5〜2mmが好ましい。塗膜の厚さは、封着構造体10におけるガラス板11、12の間隔に応じて設定され、次工程の乾燥および仮焼成における収縮を考慮して設定することが好ましいが、例えば、10〜100μmが好ましい。
接合用ガラス材料ペーストの塗膜は、例えば60〜150℃の温度で30秒〜10分間乾燥させ、塗膜内の溶剤を除去する。続いて、焼成炉で固着ガラスのガラス転移点より30℃以上低い温度に加熱し、塗膜内のバインダ成分等を除去した後、固着ガラスの軟化点以上の温度(例えば軟化点より10〜100℃高い温度)に加熱し、接合用ガラス材料をガラス板12に焼き付ける。これにより、ガラス板12の対向面に接合材料層15aを形成する。本明細書において、ガラス転移点は示差熱分析(DTA)の第1変曲点の温度で定義され、ガラス軟化点は示差熱分析(DTA)の第4変曲点の温度で定義される。
次に、図3(d)に示すように、ガラス板11とガラス板12とが接合材料層15a介して対向するようにして、ガラス板11とガラス板12とを積層する。そして、例えば、ガラス板12を通して接合材料層15aにレーザ光21を照射する。レーザ光21は接合材料層15aに沿って走査しながら照射する。レーザ光21としては、特に限定されないが、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光を使用する。なお、接合層15の内側領域を真空状態とする場合、例えば、ガラス板11とガラス板12との積層体を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を所望の真空状態となるまで排気した後、所定の真空状態とした真空チャンバ内でレーザ光21を照射する。
接合材料層15aはレーザ光21が照射された部分から順に溶融し、レーザ光21の照射終了とともに急冷固化されてガラス板11の研磨領域14に固着する。そして、接合材料層15aの全体にわたってレーザ光21を照射することで、図3(e)に示すようにガラス板11、12が接合層15によって接合された封着構造体10を得ることができる。
レーザ光21による接合材料層15aの加熱温度は、固着ガラス(低融点ガラス)の軟化点以上とする。レーザ光21による局所加熱を適用した場合、ガラス板11、12の温度は接合材料層15aの温度より低いため、焼成炉を用いた製造工程より接合材料層15aの加熱温度を高く設定することができる。加熱温度は、例えば固着ガラスの軟化点T(℃)に対して、(T+200℃)以上で(T+800℃)以下の温度とすることが好ましい。
以上、本発明の製造方法について実施形態を参照して説明したが、接合材料層15aは必ずしも研磨が行われていないガラス板12に形成する必要はなく、ガラス板11の研磨領域14に形成してもよい。また、上記実施形態では、レーザ光21の照射によって接合する方法を採用したが、焼成炉によって接合する方法を採用してもよい。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
質量割合でBi 83%、B 5%、ZnO 11%、Al 1%の組成を有するビスマス系ガラス(軟化点:410℃)、低膨張充填材として平均粒径(D50)が4.3μm、比表面積が1.6m/gのコージェライト粉末、質量割合でFe 16.0%、MnO 43.0%、CuO 27.3%、Al 8.5%、SiO 5.2%の組成を有し、平均粒径(D50)が1.2μm、比表面積が6.1m/gのレーザ吸収材(電磁波吸収材)を用意した。
コージェライト粉末の粒度分布は、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて測定した。測定条件は、測定モード:HRA−FRAモード、Particle Transparency:yes、Spherical Particles:no、Particle Refractive index:1.75、Fluid Refractive index:1.33とした。粉末を水に分散させたスラリーを超音波で分散させた後に測定した。
レーザ吸収材の粒度分布は、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて測定した。測定条件は、測定モード:HRA−FRAモード、Particle Transparency:yes、Spherical Particles:no、Particle Refractive index:1.81、Fluid Refractive index:1.33とした。粉末を水に分散させたスラリーを超音波で分散させた後に測定した。
コージェライト粉末およびレーザ吸収材の比表面積は、BET比表面積測定装置(マウンテック社製、Macsorb HM model−1201)を用いて測定した。測定条件は、吸着質:窒素、キャリアガス:ヘリウム、測定方法:流動法(BET1点式)、脱気温度:200℃、脱気時間:20分、脱気圧力:Nガスフロー/大気圧、サンプル質量:1gとした。
ビスマス系ガラス85.2質量%とコージェライト粉末13.9質量%とレーザ吸収材0.9質量%とを混合して接合用ガラス材料(熱膨張係数(50〜350℃):66×10−7/℃)を作製した。接合用ガラス材料85質量%を、バインダ成分としてエチルセルロース5質量%をエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル95質量%に溶解して作製したビヒクル15質量%と混合した。次に、混合物を3本ロールミルに7回通し、ペースト中にコージェライト粉末とレーザ吸収材を十分に分散させることによって、接合用ガラス材料ペーストを調製した。
次いで、ソーダライムガラスからなるガラス板(旭硝子社製、AS(熱膨張係数:85×10−7/℃)、寸法:100×100×1.8mmt)を用意し、このガラス板の対向面における外周領域に接合用ガラス材料ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、120℃×10分の条件で乾燥させた。このときの印刷パターンは、線幅が0.5mmであって、コーナー部の曲率半径が2mmである70mm×70mmの枠状とした。その後、300℃×30分の条件で加熱してバインダ成分を除去した後、480℃×10分の条件で焼成して、膜厚が15μmの接合材料層を形成した。
次に、他のガラス板(上記ガラス板と同組成かつ同形状であって、厚さが3.9mmのもの)の対向面となる一方の主面の全体に機能膜としての銀薄膜をスプレーコート法により形成した。その後、銀薄膜が形成されたガラス板の外周部から15mmの幅の範囲を該外周部に沿って研磨して、銀薄膜の周囲に枠状の研磨領域を形成した。
なお、研磨は、研磨機としてのマイクログラインダー(ユーホビー社製、UHB−1)の先端部に研磨材としての研磨砥粒を含有する樹脂ブラシ(住友3M社製、ラジアル・ブリッスルディスク、番手#400、BR DISC 400 3/4)を装着し、研磨材の回転数を25000rpmとして行った。この際、図4(b)に示すように研磨材の向きが研磨領域の周方向と一致するように銀薄膜に研磨材を接触させて、図4(a)に示すように研磨領域の一方の端部から他方の端部に研磨材を回転させながら水平移動させて行った。
研磨領域について、倍率を100倍とした光学顕微鏡により任意の部分を観察したところ、銀薄膜の研磨残渣とガラス板の研磨傷とが混在した状態となっており、研磨痕が周方向に延びていることを確認できた。また、一部に長さが100μm以上であって、幅が10μm以上である研磨痕を確認できた。なお、研磨痕の長さは種々のものが確認されたが、幅は10〜100μm程度のものが多く確認された。
また、研磨領域の粗さ曲線の算術平均粗さRaと最大断面高さRtとをSURFCOM((株)東京精密製、1400D)を用いて測定した。このような測定を、ガラス板の外周部に対して、平行、垂直、および斜め45度の方向について、それぞれ5点測定したときの平均値を算術平均粗さRaと最大断面高さRtとして採用した。
その後、接合材料層が形成されたガラス板と、研磨領域が形成されたガラス板とを積層した。さらに、接合材料層が形成されたガラス板を通して接合材料層に対して、波長808nm、スポット径2.2mm、出力27.0W(出力密度:7.11W/mm)のレーザ光(半導体レーザ)を4mm/秒の走査速度で照射し、接合材料層を溶融および急冷固化することによって、一対のガラス板を接合および封着して封着構造体を製造した。レーザ光の強度分布は一定に整形せず、突形状の強度分布を有するレーザ光を使用した。このときのスポット径は、レーザ強度が1/eとなる等高線の半径を用いた。
レーザ光を照射した際の接合材料層の加熱温度を放射温度計で測定したところ、接合材料層の温度は630℃であった。上記したビスマス系ガラスの軟化点は410℃であるため、接合材料層の加熱温度は(軟化点+220℃)に相当する。
(実施例2、3)
研磨材として番手の異なる樹脂ブラシ(住友3M社製、ラジアル・ブリッスルディスク、番手#80、BR DISC 80 3/4および番手#220、BR DISC 220 3/4)を装着して研磨を行った以外は実施例1と同様にして封着構造体を製造した。なお、研磨領域について、倍率を100倍とした光学顕微鏡により任意の部分を観察したところ、銀薄膜の研磨残渣とガラス板の研磨傷とが混在した状態となっており、研磨痕が周方向に延びていることを確認できた。また、一部に長さが100μm以上であって、幅が10μm以上である研磨痕を確認できた。なお、研磨痕の長さは種々のものが確認されたが、幅は10〜100μm程度のものが多く確認された。
(比較例1)
銀薄膜が形成されたガラス板について、銀薄膜の外周部近傍を研磨せずに接合に用いた以外は実施例1と同様にして封着構造体を製造した。
(比較例2)
銀薄膜が形成されたガラス板について、研磨の向きをガラス板の外周部に対して垂直方向となるようにして研磨を行った以外は実施例1と同様にして封着構造体を製造した。すなわち、研磨領域は、研磨領域の周方向に対して垂直方向に延びるような研磨痕を有するものとした。
次に、実施例1、2および比較例1、2の封着構造体について、光学顕微鏡を用いて、接合層の剥離、ガラス板または接合層の割れの有無を観察した。表1中、接合層の剥離およびガラス板または接合層の割れのいずれも認められなかったものを「無し」とし、いずれかが認められたものを「有り」とした。
また、実施例1および比較例2の封着構造体について、ヘリウムリークテストを適用して気密性の評価を行った。気密性は、ULVACヘリウムリークディテクターHELIOTを用いて測定した。どちらか一方のガラス板として中央にφ3mmの孔のあるガラス板を用いて試験サンプルを作製し、最初に孔に真空ポンプを接続して、バックグラウンド値が1〜9×10-11Pa・m/sになるまで試験サンプル内を排気した。次に試験サンプルの外周部にヘリウムガスを吹きかけてヘリウムガスのリーク速度を測定した。その結果、実施例1はヘリウムガスを吹きかけ後も1〜9×10-11Pa・m/s程度の真空度が維持できており気密性に問題なかった。一方、比較例2はヘリウムガスを吹きかけた後の真空度が低下し気密性が不十分であった。なお、比較例1の封着構造体については、剥離または割れが認められたことから、気密性の評価を行わないものとした。
Figure 2013227181
以上から明らかなように、研磨痕を研磨領域の周方向に延びるようにした実施例1〜3の封着構造体については、剥離および割れを抑制できた。また、実施例1については、気密性も良好にできることが認められた。一方、研磨を行わなかった比較例1の封着構造体については、剥離または割れが発生することが認められた。また、研磨痕を周方向に対して垂直方向に延びるようにした比較例2の封着構造体は、剥離および割れは抑制できたが、気密性は良好にできないことが認められた。
10…封着構造体、11,12…ガラス板、13…機能膜、14…研磨領域、15…接合層、15a…接合材料層、16…研磨材、21…レーザ光、141…研磨痕、142…接合領域、w…研磨領域の幅、w…接合層の幅

Claims (8)

  1. 一対の対向配置されたガラス板と、
    前記一対のガラス板の少なくとも一方の対向面に積層された機能膜と、
    前記機能膜が積層されたガラス板における前記機能膜の周囲に枠状に形成されるとともに該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域と、
    前記機能膜を囲むように前記研磨領域内に配置されて前記一対のガラス板を接合するガラス材料からなる接合層と
    を有する封着構造体。
  2. 前記研磨痕は、前記機能膜の研磨残渣および前記機能膜が積層されたガラス板の研磨傷の少なくとも一方である請求項1記載の封着構造体。
  3. 前記研磨領域の幅は、1〜50mmの範囲内である請求項1または2記載の封着構造体。
  4. 前記研磨領域は、算術平均粗さRaが0.01〜0.03μmである請求項1乃至3のいずれか1項記載の封着構造体。
  5. 前記研磨領域は、最大断面高さRtが0.1〜0.6μmである請求項1乃至3のいずれか1項記載の封着構造体。
  6. 前記接合層は、レーザ吸収能を有する接合用ガラス材料からなる請求項1乃至5のいずれか1項記載の封着構造体。
  7. 前記機能膜は低放射率膜または反射膜である請求項1乃至6のいずれか1項記載の封着構造体。
  8. 一対のガラス板の少なくとも一方のガラス板の対向面となる主面全体に機能膜を成膜する成膜工程と、
    前記機能膜の外周部近傍を枠状に研磨して該枠状の周方向に延びる研磨痕を有する研磨領域を形成する研磨工程と、
    前記研磨領域内において前記一対のガラス板をガラス材料からなる接合層によって接合して封着構造体とする接合工程と
    を有することを特徴とする封着構造体の製造方法。
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