JP2013231817A - 多芯光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】欠陥の存在箇所の特定が容易な多芯光ファイバを提供すること。
【解決手段】複数の芯2、3と、芯2、3の外周に被覆形成された鞘4と、を有する多芯光ファイバ裸線1であって、多芯光ファイバ裸線1は、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、端断面に含まれる芯2、3の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯2であり、真円度が2.0より大きい芯3が、端断面の中心以外に配置されている、多芯光ファイバ裸線1。
【選択図】図1

Description

本発明は、多芯光ファイバ及びその製造方法に関する。
近年、多芯光ファイバが医療用途、特に内視鏡として使用され始めている。内視鏡は、人体等の体腔内部を観察することを目的とした医療機器であり、硬性内視鏡、軟性内視鏡、カプセル型内視鏡に大別される。これらの中でも、多芯光ファイバは、フレキシブルな光学系を組み込んだ軟性内視鏡(ファイバスコープ等)に使用されている。一般に、軟性内視鏡は可とう性を有する管と、その中に挿入される多芯光ファイバと、から構成されており、観測対象の観測は、多芯光ファイバの一方の端面を観測対象に近づけて、他方の端面に出力される出力画像をルーペやマイクロスコープ等で拡大して、直接目視をすることで行われる。多芯光ファイバの先端には、必要に応じて対物レンズや接眼レンズ等が設けられる。
上記したような軟性内視鏡(以下、単に「内視鏡」という場合がある。)に用いられる多芯光ファイバとして、例えば、特許文献1には、コアの形状が様々異なる多芯光ファイバが開示されている。
特開平08−094864号公報
ところで、近年、多芯光ファイバの画素数(つまり、多芯光ファイバに含まれる芯の本数)が、できるだけ多いものが望まれている。それは、画素数が多いほど得られる画像が鮮明になるからである。特に医療用途では画素数の多いものが望まれている。
しかし、画素数が多くなる程、画素の欠陥が多くなる。ここでいう欠陥とは、所謂伝送損失を引き起こす不具合をいい、その原因としては、例えば、光が通らない芯の存在や、光が漏れてしまう芯の存在、隣り合う芯同士がくっついてしまうこと等が挙げられる。このような欠陥があると、その部分について鮮明かつ正確な画像が取得できないという問題がある。
このように、多芯光ファイバにおいて欠陥の存在は好ましいものではないが、ある程度の欠陥が発生してしまうこともやむを得ない場合がある。このような場合、多芯光ファイバの製造管理を行う者や使用する者は、欠陥が存在する箇所を把握する必要がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、欠陥の存在箇所の特定が容易な多芯光ファイバを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、前記多芯光ファイバは、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、前記端断面に含まれる前記芯の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、前記真円度が2.0より大きい芯が、前記端断面の中心以外に配置されている、多芯光ファイバとすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、
前記多芯光ファイバは、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、
前記端断面に含まれる前記芯の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、
前記真円度が2.0より大きい芯が、前記端断面の中心以外に配置されている、
多芯光ファイバ。
〔2〕
複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、
前記多芯光ファイバは、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、
前記複数の芯の中で、最外周に配置された芯を除いた芯の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、
前記最外周に配置された芯を除いた芯において、真円度が2.0より大きい芯が、前記端断面の中心以外に配置されている、
多芯光ファイバ。
〔3〕
前記真円度が2.0より大きい芯が複数配置される場合において、前記端断面の中心を対称点として、前記真円度が2.0より大きい芯どうしが、点対称の位置関係にない、
〔1〕又は〔2〕に記載の多芯光ファイバ。
〔4〕
前記多芯光ファイバは、50芯以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
〔5〕
前記真円度が2.0より大きい芯が、複数配置され、かつ、
前記真円度が2.0より大きい芯2本以上が、隣り合わせで配置されている、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
〔6〕
前記真円度が2.0より大きい芯が、少なくとも3本以上配置され、かつ、
前記真円度が2.0より大きい芯3本以上が、前記端断面の中心から外周に向けた略直線上に配置されている、
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
〔7〕
複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバの製造方法であって、
(1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバは裸線を複数本得る工程と、
(2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
(3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
(4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバを得る工程と、
を有し、
前記多芯光ファイバの中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管の内径の断面形状が、真円度2.0よりも大きい、
多芯光ファイバの製造方法。
〔8〕
複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバの製造方法であって、
(1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバ裸線を複数本得る工程と、
(2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
(3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
(4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバを得る工程と、
を有し、
前記(1)工程では、前記多芯光ファイバの中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂の流路に配置された障害物により、前記溶融状態の芯樹脂の流れを乱すことを少なくとも行う、
多芯光ファイバの製造方法。
本発明によれば、欠陥の存在箇所の特定が容易な多芯光ファイバを提供することができる。
本実施形態の多芯光ファイバ裸線の一例の端断面図。 真円度を説明するための概念図。 本実施形態の多芯光ファイバ裸線の別の一例の端断面図。 本実施形態の多芯光ファイバ裸線の更に別の一例の端断面図。 本実施形態の多芯光ファイバ裸線の更に別の一例の概念図。 本実施形態の製造方法において用いる複合紡糸ダイの一例を示す概略縦断面図。 本実施形態の製造方法において用いる複合紡糸ダイの別の一例を示す概略縦断面図。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。またさらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
本実施形態の多芯光ファイバとは、複数の芯と、前記複数の芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、多芯光ファイバの軸方向に対して略直行する方向に断面視した端断面において、端断面に含まれる芯の数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、かつ、真円度が2.0より大きい芯は前記端断面の中心以外に配置されている、多芯光ファイバである。なお、本明細書において、「多芯光ファイバ」とは、所謂「多芯光ファイバ裸線」、及び該多芯光ファイバ裸線を被覆層等でさらに被覆した「多芯光ファイバケーブル」の両方を総称するものである。以下、一例として「多芯光ファイバ裸線」の場合を中心に説明する。
図1は、本実施形態の多芯光ファイバ裸線の一例の端断面図を表す。本実施形態の多芯光ファイバ裸線1は、複数の芯2、3と、芯2、3の外周に被覆形成された鞘4と、を有し、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、端断面に含まれる芯2、3の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯2であり、真円度が2.0より大きい芯3が端断面の中心以外に配置されている。多芯光ファイバ裸線1は、芯2、3(島部)が鞘4(海部)により被覆されている構造であり、島部に相当する芯2、3によって画像を伝送する。なお、多芯光ファイバ裸線1には欠陥5が存在する。多芯光ファイバ裸線1では、欠陥5の位置を特定・説明するために、真円度が2.0より大きい芯3を端断面の中心以外の場所に配置する。真円度が2.0より大きい芯3を中心以外に配置させることにより、この芯3を基準点として欠陥5の位置の特定・説明が容易となる。このような観点から、真円度が2.0より大きい芯3の真円度は、好ましくは2.2以上であり、より好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3.0以上であり、より更に好ましくは3.5以上である。
通常、伝送損失の低減等の観点から、多芯光ファイバ裸線の芯の形状や大きさは均一にすることが望まれている。そのため、多芯光ファイバ裸線に欠陥が発生した場合、その端断面において位置を説明するための基準点となり得る部位が存在しないため、欠陥の位置の特定や説明が難しい場合がある。例えば、多芯光ファイバ裸線1の製造時に欠陥5が発生した場合、多芯光ファイバ裸線1に充填された芯のどれが欠陥5であるのか特定し、さらには他の作業者や使用者に教える必要がある。その際、上記のような特徴的な形状である、真円度が2.0より大きい芯3を配置しておけば、芯3を基準点として欠陥5の位置を特定・説明できる。例えば、図1では、基準点である芯3と隣接する位置に欠陥5が存在するということができる。
なお、芯の真円度とは、芯の断面形状の最大の内接円半径r1に対する、芯の断面形状の最小の外接円半径r2の比である。以下、図1の真円度が2.0より大きい芯3の真円度を求める場合を一例として説明する。図2は、真円度の測定方法を説明するための概念図である。まず、芯3の最大の内接円C1及び最小の外接円C2を描く。そして、最大の内接円半径r1に対する最小の外接円半径r2の比(r2/r1)を求め、これを芯3の真円度とする。具体的には、以下の方法により求めることができる。多芯光ファイバ裸線を1mとり、その端断面を、点灯させたLEDライトパネル(ルミテクノ社製、「A4G−L1316−SFR23」)に密着させ、もう一方の端断面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、「VH−5500」)で200倍に拡大した上で撮像する。デジタルマイクロスコープの対物レンズとしては、キーエンス社製、「VH−Z100」を用いることができる。次に、撮像した端断面の画像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフト(アドビ社製、「photoshop」)を用いて、芯の部分が白領域、その他の部分が黒領域となるように二値化する。白領域である芯の真円度は、当該領域の最大の内接円半径r1、当該領域の最小の外接円半径r2を求め、最大の内接円半径r1に対する最小の外接円半径r2の比(r2/r1)を求めることにより得られる。なお、複数の芯の平均の真円度とは、測定対象である各芯の真円度の算術平均をいう。
伝送損失をより低減する観点から、真円度が2.0以下である芯の真円度は、2.0以下であればよいが、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1.2以下であり、より更に好ましくは1.1以下である。
また、多芯光ファイバ裸線1では、その端断面において、真円度が2.0以下である芯2の各断面積が略等しいことが好ましい。真円度が2.0以下である芯2の断面積を略等しくすることにより、多芯光ファイバ裸線1の解像度のばらつきを抑えることができる。その結果、出力画像を目視で観察した際の違和感がより少なく、一層見やすい画像となる。具体的には、真円度が2.0以下である芯2の数N、芯2の平均断面積Sa、各芯2の断面積Snが、下記式(1)の関係を満たすことがより好ましく、下記式(2)の関係を満たすことが更に好ましく、下記式(3)の関係を満たすことがより更に好ましく、下記式(4)の関係を満たすことが一層好ましい。
上記関係式を満たす多芯光ファイバ裸線1は、解像度のばらつきをより抑えることができ、出力画像を目視で観察する際の違和感がより少なく、一層見やすい画像となる。
真円度が2.0以下である芯2の形状としては、製造容易の観点から、略円形、略正六角形が好ましく、略円形がより好ましい。真円度が2.0以下の芯の形状は、それぞれが略同一であることが好ましい。芯の形状が略同一であることにより、解像度のばらつきが少なく、出力画像を目視で観察する際の違和感がより少なく、一層見やすい画像となる。
多芯光ファイバ裸線1は、芯2、3と、それを被覆する鞘4から構成される多芯光ファイバ裸線であり、いわゆる海島構造の多芯光ファイバ裸線であるが、本実施形態では、必ずしもそのような構造に限定されるものではない。例えば、芯の外周を鞘層で被覆形成したものを、海樹脂で更に充填した構造を有する多芯光ファイバ裸線であってもよい。この他、単芯光ファイバ裸線を集めたバンドル構造の多芯光ファイバ裸線であってもよいが、製造容易の観点から、海島構造の多芯光ファイバ裸線であることが好ましい。そして、本明細書において、「鞘」には、所謂「鞘層」も包含されることはいうまでもない。以下、図3を参照しつつ具体的に説明する。
図3は、本実施形態の多芯光ファイバ裸線の別の一例の端断面図である。多芯光ファイバ6は、真円度が2.0以下である芯7及び真円度が2.0より大きい芯8a、8b(以下、「芯8」と総称することがある。)と、芯7、8の外周に被覆形成された鞘層9と、を有し、さらに海樹脂10によって充填されている構造を有する。多芯光ファイバ裸線6は、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、端断面に含まれる芯7、8の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯7であり、かつ、真円度が2.0より大きい芯8が、端断面の中心以外に配置されている。多芯光ファイバ裸線6の端断面に欠陥11が存在する場合、真円度が2.0より大きい芯8を中心以外に配置させることにより、芯8を基準点として欠陥11の位置の特定・説明が容易となる。
欠陥11の位置の特定・説明を一層容易とする観点から、基準点として用いる真円度が2.0より大きい芯8は、複数配置することが好ましい。具体的には、真円度が2.0より大きい芯8の数は、2本以上であることが好ましく、3本以上であることがより好ましく、4本以上であることが更に好ましい。真円度が2.0より大きい芯8の数の上限は、特に限定されないが、30本以下であることが好ましく、より好ましくは20本以下であり、特に好ましくは10本以下である。なお、真円度が2.0より大きい芯が複数存在する場合、少なくともその1つが端断面の中心以外に配置していればよいが、真円度が2.0より大きい芯の全てが端断面の中心以外に配置していることが好ましい。
多芯光ファイバ裸線1の半径は、特に限定されないが、内視鏡等の医療用途とする観点から、100μm〜1500μmであることが好ましく、100μm〜1000μmであることがより好ましく、100μm〜500μmであることが更に好ましく、100μm〜350μmであることがより更に好ましい。
図4は、本実施形態の多芯光ファイバ裸線の更に別の一例の端断面図である。図4は、真円度が2.0より大きい芯の形状、数及び配置において、図3と相違する。以下、図3の多芯光ファイバ裸線の構成と同様の構成については、説明を割愛し、相違する点を中心に説明する。
多芯光ファイバ裸線12は、真円度が2.0以下である芯13及び真円度が2.0より大きい芯14a、14b、14c、14d(以下、「芯14」と総称することがある。)と、芯13、14の外周に被覆形成された鞘層15と、を有し、さらに海樹脂16によって充填されている構造を有する。多芯光ファイバ裸線12は、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、端断面に含まれる芯13、14の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯13である。そして、真円度が2.0より大きい芯14a、14bが隣り合うように配置され、かつ、真円度が2.0より大きい芯14a、14bが隣り合うように配置されており、芯14はいずれも端断面の中心以外に配置されている。多芯光ファイバ裸線12の端断面には欠陥17が存在しているが、真円度が2.0より大きい芯14が4つ配置されているため、欠陥17の位置の特定・説明が容易である。
ところで、多芯光ファイバ裸線12の製造プロセスによっては、最外周に配置された芯14にかかる圧を調整することが難しい場合や、最外周に配置された芯14の真円度を調整することが難しい場合があるため、最外周に配置された芯14を欠陥特定の目印に使用しないことが好ましい。かかる観点から、多芯光ファイバ裸線12では、真円度が2.0以下である芯の数は、最外周に配置された芯を除いた芯の総数の80%以上100%未満であることが好ましい。
真円度が2.0より大きい芯14が複数配置される場合、端断面の中心を対称点(対称中心)として、真円度が2.0より大きい芯14どうしが、点対称の位置関係にないことが好ましい。このような配置とすることで、欠陥の位置を特定する基準点として一層わかりやすい。例えば、欠陥17を特定する場合、芯14a、14b、14c、14dの4つの芯全てを基準点として用いることができる。例えば、芯14a、14bが鉛直方向において同じ位置(同じ高さ)となり、芯14a、14c、14dが、水平方向において同じ位置となるよう配置された状態の端断面において、芯14bから上方向に3つ目の位置であり、かつ、芯14dから右方向に1つ目の位置に、欠陥17が存在する(図4参照)、といった特定が可能となる。
欠陥の位置を特定容易とする観点から、多芯光ファイバ裸線の端断面において、真円度が2.0より大きい芯14が、複数配置され、かつ、真円度が2.0より大きい芯14の2本以上が、隣り合わせで配置されていることが好ましい。すなわち、真円度が2.0より大きい芯14a、14bが隣り合わせに配置され、真円度が2.0より大きい芯14c、14dが隣り合わせに配置されている。このように基準点となり得る芯14が隣り合わせに配置されている領域(以下、「基準領域」という場合がある。)があることで、欠陥の位置を特定する基準として一層わかりやすい。特に、多芯光ファイバ裸線の芯数(芯13、14の総数)が多く、芯が高密度に配置されている場合であっても、欠陥17の位置の特定・説明が可能となる。
本実施形態の多芯光ファイバ裸線18の端断面における芯18の配置は、特に限定されず、ランダム状配置、放射状配置、俵積み状配置等を採用することができる。これらの中でも、芯を高密度に配置できるという観点から、俵積み状配置が好ましい。ここでいう、俵積みとは、隣接する芯の間に形成される谷間に、さらに他の芯を積み重ねていくものである。この構成により、芯11の配置において無駄な空間を極力低減することができ、芯の充填率を向上させることができるため、好ましい。
また、図示はしないが、多芯光ファイバ裸線18の外周に、保護層や被覆層を設けてもよい。保護層としては、フッ化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。被覆層としては、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂等が挙げられる。
本実施形態の多芯光ファイバ裸線18の芯14の総数は、50芯数以上であることが好ましく、100芯数以上であることがより好ましく、200芯数以上であることが更に好ましく、1000芯数以上が特に好ましく、3000芯数以上が一層好ましい。特に、芯数が多い場合(高密度配置の場合)、欠陥の位置の特定が難しい傾向にある。そのため、上述した芯円度2.0より大きい芯を基準点・基準領域として用いることで、欠陥の位置の特定・説明が一層容易となる。また、上限値については、製造容易性の観点から、40000芯数以下であることが好ましく、30000芯数以下であることがより好ましく、15000芯数以下であることが特に好ましい。
図5は、本実施形態の多芯光ファイバ裸線の更に別の一例の概念図である。多芯光ファイバ裸線18では、基準点となる、真円度が2.0より大きい芯19a、19b、19c、19d、19e(以下、「芯19」と総称することがある。)が、端断面の中心C3から外周に向けて略直線上lに配置されている。このように、真円度が2.0より大きい芯3本以上が、多芯光ファイバ裸線の端断面において、中心から外周に向けた略直線上に配置されていることが、欠陥の位置を特定容易とする観点から、好ましい。なお、図5では、一例として、芯と、芯の外周に被覆形成した鞘層と、を有し、さらに海樹脂によって充填された構造を、一例として説明しているが、図1のように、芯と鞘から構成されるものであってもよい。
以下、本実施形態の多芯光ファイバ裸線に用いられる各部材の材料について説明する。
本実施形態の多芯光ファイバ裸線の芯の材料については、特に限定されない。芯の材料としては各種の透明樹脂が使用できる。真円度2.0以下である芯及び真円度2.0より大きい芯は、同じ材料を使用できる。芯を構成する透明樹脂(以下、「芯樹脂」という場合がある。)としては、メチルメタクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、下記式(a)で表されるラクトン系化合物及びアモルファスのポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、これらの中でもメチルメタクリレート系樹脂がより好ましい。
(式中、R1は、メチル基、エチル基又はプロピル基を表し、Xは、下記式(b)又は式(c)で表される。)
(式中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基を表す。)
メチルメタクリレート系樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート単独重合体;メチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合可能な他の成分(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシルのメタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、スチレン等)1種類以上との共重合体が挙げられる。メチルメタクリレートと他の単量体との共重合体において、メチルメタクリレートの含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。メチルメタクリレート系樹脂は透明性が高いので、多芯光ファイバ裸線において長距離の画像伝送が可能であるという利点を有する。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン単独重合体;スチレンと、スチレンと共重合可能な他の成分(アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−六員環酸無水物共重合体等)1種類以上との共重合体が挙げられる。スチレンと他の単量体との共重合体において、スチレンの含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。スチレン系樹脂は吸湿性が低いので、水分の影響を受け難いという利点を有する。
上記式(a)で表されるラクトン系化合物としては、例えば、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン(βMMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン(βEMBL)、α−メチレン−β−プロピル−γ−ブチロラクトン(βPMBL)、α−メチレン−β−メチル−γ−メチル−γ−ブチロラクトン(βMγMMBL)、α−メチレン−β−メチル−γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン(βMγDMMBL)、α−メチレン−β−メチル−γ−エチル−γ−ブチロラクトン(βMγEMBL)、α−メチレン−β−メチル−γ−プロピル−γ−ブチロラクトン(βMγPMBL)、α−メチレン−β−メチル−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン(βMγCHMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−メチル−γ−ブチロラクトン(βEγMMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン(βEγDMMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−エチル−γ−ブチロラクトン(βEγEMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−プロピル−γ−ブチロラクトン(βEγPMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン(βEγCHMBL)が挙げられる。芯樹脂としてラクトン系化合物を用いる場合、上記したラクトン系化合物のみ;上記ラクトン系化合物と(メタ)アクリル酸エステル単量体との共重合体;又はこれらの混合物等であってもよい。
ラクトン系化合物と(メタ)アクリル酸エステル単量体との共重合体において、ラクトン系化合物の含有量は、樹脂のガラス転移温度(Tg)や機械的強度等の諸物性が、プラスチック光ファイバの用途や使用環境に適した値となるように適宜決めれば選択することができるが、5〜50質量%であることが好ましい。
特に、上記式(b)においてR2、R3が共に水素原子である化合物(α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン(βMMBL)、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン(βEMBL)、α−メチレン−β−プロピル−γ−ブチロラクトン(βPMBL)等)を芯樹脂として用いることが好ましい。これらを芯樹脂として用いる多芯光ファイバ裸線は非常に高い光学的透明性を有するため、好ましい。これらの中でも、βMMBL及びβEMBLは、少量の添加であっても、樹脂のガラス転移温度を大幅に高くすることができるため、より好ましい。
ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリカーボネートや芳香族ポリカーボネート等、また、これらと4,4−ジオキシフェニルエーテル、エチレングリコール、p−キシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオキシ化合物との共重合体や、カーボネート結合の他にエステル結合をも有するヘテロ結合共重合体等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性が高く、吸湿性が低いという利点を有する。
アモルファスのポリオレフィン樹脂としては、市販品を用いることもできる。例えば、JSR社製の商品名「アートン」、三井化学社製の商品名「アペル」、日本ゼオン社製の商品名「ZEONEX」等のような市販品を用いることができる。アモルファスのポリオレフィン樹脂は耐熱性に優れているという利点を有する。
多芯光ファイバ裸線の各芯を構成する芯樹脂は同じ種類であることが好ましい。同じ芯樹脂から芯を構成することにより、伝送損失のばらつきを抑えることができる。その結果、芯ごとの明るさの違いが少ない出力画像を得ることができ、出力画像を観測する際の違和感を低減することができる。
芯樹脂のメルトインデックス(MI)は、0.5〜10.0g/10分であることが好ましい。ここでいう、メルトインデックスは、ASTM−D1238に従い、試験温度230℃、荷重3.8kg、ダイスの内径2.0955mmの条件で測定したものである。芯樹脂のメルトインデックスを上記範囲とすることにより、後述する鞘樹脂との複合紡糸が容易となる。
鞘及び鞘層を構成する材料としては、樹脂(以下、「鞘樹脂」という場合がある。)を用いることができる。鞘樹脂としては、芯樹脂の屈折率よりも0.005〜0.250低い屈折率を有する樹脂が好ましく、芯樹脂の屈折率よりも0.005〜0.040低い屈折率を有する樹脂がより好ましい。芯樹脂と鞘樹脂の屈折率を上記のように制御することにより、多芯光ファイバ裸線の開口数を調節することができる。ここでいう屈折率とは、アッベ屈折計を用いて23℃の恒温室内で、ナトリウムD線を光源として測定したときの値である。
鞘樹脂の種類は、特に限定されないが、メタクリレート系樹脂、アクリレート系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、下記式(d)で表されるラクトン化合物等が好ましい。
(式中、R4及びR5は、各々独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R4及びR5の炭素数の合計が1〜3である。)
メタクリレート系樹脂としては、例えば、フッ化メタクリレート(トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ペンタフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、オクタフルオロプロペンチルメタクリレート等)、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリレート系モノマーの単独重合体;メタクリレート系モノマー50質量%以上と、メチルメタクリレートと共重合可能な他の成分1種類以上との共重合体が挙げられる。メタクリレート系樹脂は、透明性が高く、光の伝送損失が小さいという利点を有する。
アクリレート系樹脂としては、フッ化アクリレート(トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート等)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリレート系モノマーの単独共重合体;アクリレート系モノマー50質量%以上と、アクリレート系モノマーと共重合可能な他の成分1種類以上との共重合体が挙げられる。
また、上記したメタクリレート系モノマーと上記したアクリレート系モノマーとの共重合体であってもよい。
上記式(d)で表されるラクトン化合物としてはα−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの中でも、R4及びR5のいずれか一方が水素原子を表し、他方がメチル基を表す、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトンは、少量の添加であっても、樹脂のガラス転移温度を大幅に高くすることができ、フルオロアルキル(メタ)アクリレートとの共重合性が良好であり、得られる共重合体の透明性が一層高くなるため好ましい。
上記ラクトン化合物との共重合に好ましいフルオロアルキル(メタ)アクリレートとしては、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FMA)、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(3FMA)、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(5FMA)、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FMA)、α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(α3FA)、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(α5FA)、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(4FMA)、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(8FMA)、α−フルオロアクリル酸メチル(αFMe)等が挙げられる。特に、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル(17FMA)との共重合が、透明性を損なうことなく、かつ鞘材に機械的強度も付与することができる点でより好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂;フッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデンと共重合可能な他の成分(テトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、ヘキサフロロアセトン等)1種以上との共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体において、フッ化ビニリデンの含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
鞘樹脂は、上記した樹脂1種単独でもよいし、これらのブレンド物でもよい。さらに、必要に応じ、例えば、上記した樹脂に対して、メタクリル酸、o−メチルフェニルマレイミド、マレイミド、無水マレイン酸、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸六員環化物等の変性剤を導入して変性させることもできる。変性剤は、樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。このような変性(共)重合体の具体例としては、例えば、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、テトラフルオロプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、トリフルオロエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、ペンタフルオロプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートとテトラフルオロプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートとトリフルオロエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートとトリフルオロエチルメタクリレートとテトラフルオロプロピルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
鞘樹脂としては、芯の屈折率と鞘(鞘層)の屈折率等を考慮して、適宜選択することができるが、耐熱性、透明性及び機械的特性等のバランスの観点から、フッ化ビニリデン系樹脂を鞘樹脂として使用するのが好ましい。
鞘樹脂のメルトインデックス(MI)は、1〜200g/10分であることが好ましい。鞘樹脂のメルトインデックスを上記範囲とすることにより、後述する鞘樹脂との複合紡糸が容易となる。
なお、芯及び鞘以外に、海樹脂(例えば、図3及び図4参照)を用いる場合、海樹脂の材料としては、鞘樹脂と同じものを用いることができる。海樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン系樹脂が挙げられる。
また、本実施形態の多芯光ファイバ裸線は、特開平06−186445に記載されているような多芯光ファイバの中心部が中空となっている中空多芯光ファイバにも応用可能である。
以下、本実施形態の多芯光ファイバ裸線の製造方法の好適例を説明する。
まず、第1の製造方法としては、複数の芯と、前記複数の芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバ裸線の製造方法であって、
(1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバ裸線を複数本得る工程と、
(2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
(3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
(4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバ裸線を得る工程と、
を有し、
前記多芯光ファイバの中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の数の芯樹脂吐出管の内径の断面形状が、真円度2.0よりも大きい、多芯光ファイバ裸線の製造方法、が挙げられる。
第2の製造方法としては、複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバ裸線を製造する方法であって、
(1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバ裸線を複数本得る工程と、
(2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
(3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
(4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバ裸線を得る工程と、
を有し、
前記(1)工程では、前記多芯光ファイバ裸線の中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂の流路に配置された障害物により、前記溶融状態の芯樹脂の流路を乱すことを少なくとも行う、多芯光ファイバ裸線の製造方法、が挙げられる。
本実施形態の製造方法は、上記各条件を満たすものであればよく、例えば、複合紡糸ダイ(以下、単に「ダイ」という場合がある。)を用いた紡糸法が挙げられる。本実施形態の多芯光ファイバ裸線の製造する方法としては、例えば、溶融状態の芯樹脂と溶融状態の鞘樹脂をダイに供給し、溶融状態の芯樹脂を多芯光ファイバ裸線の画素数に対応する数の孔が設けられた分配板に流入させ、そこから溶融状態の芯樹脂を押し出し、溶融状態の芯を用意する。続いて、溶融状態の芯の周りに溶融状態の鞘樹脂を満遍なく供給することにより、コアとなる溶融状態の芯(芯樹脂)の周りを溶融状態の鞘樹脂で直接被覆した、溶融状態の単芯光ファイバ裸線を複数本(分配板に設けられた孔の数)作製する。その後、ダイの吐出孔付近において溶融状態の単芯の光ファイバ裸線を一体化して、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束とした後に、これを引き落とし、ファイバ状に延伸し、硬化させる方法が好ましい。
続いて、複合紡糸ダイを用いた方法を一例として、本実施形態の製造方法をより具体的に説明する。以下に示す方法では、芯となる溶融状態の芯樹脂を、鞘となる溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバ裸線を複数本得る工程と、前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の光ファイバ裸線束を作製する工程と、を行い、溶融状態の光ファイバ裸線束を得る。各工程は、ダイを用いて、溶融状態の芯樹脂と鞘樹脂を押し出すことにより行うことができる。ここでは、断面形状が略円形である多芯光ファイバ裸線を製造する場合を一例として説明し、特にダイについてより詳細に説明する。
(第1の製造方法)
図6は本実施形態の製造方法において用いる複合紡糸ダイの一例を示す概略縦断面図である。複合紡糸ダイ(ダイ)20は、上部分配板21と、上部分配板21の垂直下部に配置される下部分配板22と、下部分配板22の垂直下部に配置される集合口金23と、芯樹脂吐出管24(以下、単に「管24」という場合がある。)と、から構成される。
上部分配板21は、それぞれの芯を構成するように溶融状態の芯樹脂を分配供給するための芯樹脂分配室25を有する。芯樹脂分配室25の底面には、管24を導入する第1貫通孔H1が複数設けられている。
下部分配板22は、溶融押し出しされた芯樹脂(溶融状態の芯)をそれぞれ被覆するように溶融状態の鞘樹脂を分配供給するための鞘樹脂分配室26を有する。鞘樹脂分配室26の底面には溶融した鞘樹脂の流路となる略円形状の第2貫通孔H2が複数設けられている。
管24は、上部分配板21の第1貫通孔H1と、下部分配板22の第2貫通孔H2の両方に挿通することで、上部分配板21と下部分配板22の両方に嵌挿されている。
集合口金23には、上部分配板21から圧送された溶融状態の芯樹脂と、下部分配板22から圧送された溶融状態の鞘樹脂とが合流する倒立円錐台形状の空隙部H3が設けられており、集合口金23の底面には溶融状態の多芯光ファイバ裸線を外部に吐出する吐出孔H4が設けられている。
集合口金23の吐出孔H4の傾斜角α(「ダイ角度」と呼ばれることもある。)は、15〜35度であることが好ましい(図4参照)。傾斜角αを15〜35度とすることにより、下部分配板22の底面から吐出された芯樹脂(島成分樹脂)及びその周囲を覆う鞘樹脂(海成分樹脂)を集合口金23の吐出孔H4にスムーズに集合させることができる。
吐出孔H4の孔径(直径)は、多芯光ファイバ裸線の直径の1.5〜15.5倍であることが好ましい。吐出孔H4の孔径の大きさを上記値にすることにより、充分な延伸が可能となり、多芯光ファイバ裸線の折損を抑えることができ、適切な引落率とすることができる。その結果、得られる多芯光ファイバ裸線の画素欠陥が少なくなる。
芯樹脂分配室25に供給された芯樹脂は、管24を通り、下部分配板22の底面から吐出される。鞘樹脂分配室26に供給された鞘樹脂は、第2貫通孔H2を通り、下部分配板22の底面から吐出される。これにより、溶融状態の芯樹脂により形成された溶融状態の芯1本の周囲を、溶融状態の鞘樹脂が被覆した、溶融状態の単芯光ファイバ裸線が吐出される。これらの溶融状態の単芯光ファイバ裸線は、集合口金23において束ねられ、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束となる。なお、芯樹脂及び鞘樹脂の流量を正確に制御する観点から、流量制御にはギアポンプ(図示せず)を使用することが好ましい。
本実施形態において、多芯光ファイバの画素数は多芯光ファイバ裸線の芯の数に対応するものである。そして、多芯光ファイバの芯の数は、ダイ20の第1貫通孔H1及び管24の数に対応する。芯の断面積及び形状は、対応する管24の内径の大きさ及び形状に対応する。多芯光ファイバ裸線における芯の配置は、ダイ20における第1貫通孔H1の及び管24の配置に対応する。例えば、画素密度が高い多芯光ファイバ裸線を得るためには、第1貫通孔H1及び管24を俵積み状に配置して、その配置間隔を密にすることが好ましい。また、鞘の厚みは、第2貫通孔H2を通る溶融状態の鞘樹脂の流量に対応する。
したがって、上述した真円度が2.0より大きい芯を形成させるためには、当該芯を形成する管24の内径の断面形状を、真円度が2.0より大きい形状とすればよい。その際、当該管24の内径の真円度が2.0より大きければよいため、当該管24の外径及び当該管24の周りに配置された第2貫通孔H2の大きさ・形状は、特に限定されない。なお、この真円度は、好ましくは2.2以上であり、より好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3.0以上であり、より更に好ましくは3.5以上である。真円度を上記範囲とすることで、上述した欠陥の位置を特定・説明するための基準点としてわかりやすい。
上述した真円度が2.0以下である芯を構成するためには、当該芯を形成するための管24の断面形状を、真円度が2.0以下である形状とすればよい。その際、当該管24の内径の真円度が2.0以下であればよいため、当該管24の外径及び当該管24の周りに配置された第2貫通孔H2の大きさ・形状は、特に限定されない。なお、この真円度は、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1.2以下であり、より更に好ましくは1.1以下である。真円度をより小さい値とすることで、伝送損失が少ない多芯光ファイバ裸線を得ることができる。
真円度2.0以下である管24の内径の断面形状は、製造容易の観点から、好ましくは略円形又は略正六角形であり、より好ましくは略円形である。
真円度2.0以下である管24の配置割合は、ダイ2の管24の総数の80%以上100%未満の本数であることが好ましく、90%以上100%未満であることがより好ましく、95%以上100%未満であることが更に好ましく、99%以上100%未満であることがより更に好ましい。一方、残りの管24の内径の断面形状は、真円度2.0より大きいものとなる。
上述した、内径の真円度が2.0以下である芯のための管24の具体例としては、断面が外径0.20mm〜2.00mmの円形の管24であることが好ましい。また、鞘を構成する観点から、下記E1及びE2を用いて表される比(E1/E2)の値が、0.1〜5.0であることが好ましい。
E1:(第2貫通孔H2の断面積−管24の外径の断面積)
E2:(管24の内径の断面積)
ダイ20については、第2貫通孔H2が、等間隔かつ俵積み状に配置されていることが好ましい。
鞘樹脂として、ビニリデンフロライド系樹脂を使用する場合、ダイ20の温度は230℃〜250℃であることが好ましく、分配板の直径は15cm〜30cmであり、厚みは0.3cm〜4cmであることが好ましい。また、鞘樹脂として、フッ化アクリレート系樹脂を使用する場合、ダイ20の温度は220℃〜250℃であることが好ましい。鞘樹脂として、エチレン−テトラフロロエチレン系樹脂を使用する場合、ダイ20の温度は220℃〜260℃であることが好ましい。
上述したように、多芯光ファイバ裸線において、真円度が2.0以下である芯の形状はそれぞれが略同一であることが好ましいため、真円度が2.0以下である芯を形成するための管24から単位時間あたりに吐出される芯樹脂の体積量は、各管で略同一であることが好ましい。
さらに、制御を容易にするという観点から、管24とその管24が挿入される第2貫通孔H2の位置関係については、それぞれが略同心円状に配置されていることが好ましい。また、真円度が2.0以下である芯を形成するためには、各管24の内径及び外径が全て略同一であることや、管24とそれに対応する第2貫通孔H2の外径の比率が、各管24において全て略同一であることが好ましい。
より具体的には、真円度が2.0以下である芯を形成する管24の数M、真円度が2.0以下である芯を形成する管24から単位時間あたりに吐出される芯樹脂の体積量Sm(式中、mは1〜Mまでの整数)、下記式(5)で表される真円度が2.0以下である芯を形成する管24から単位時間あたりに吐出される芯樹脂の平均体積量Sbが、下記式(6)の関係を満たすことが好ましく、下記式(8)の関係を満たすことがより好ましく、下記式(9)の関係を満たすことが更に好ましく、下記式(10)の関係を満たすことがより更に好ましい。下記関係式を満たすように制御することにより、多芯光ファイバ裸線の各芯の大きさを略同一にすることが可能となり、解像度のばらつきが少なく、直接の目視観察に適した多芯光ファイバ裸線を製造することができる。
そして、ダイ2から押し出された(紡出された)溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程を行う。延伸倍率は、特に限定されないが、好ましくは1.1〜10倍である。延伸工程は、複数回としてもよい。
続いて、漸次細化された溶融状態の光ファイバ裸線束を硬化させることにより、多芯光ファイバ裸線を得る工程を行う。硬化方法は特に限定されないが、通常は冷却によって行われる。また、上述した製造方法により多芯光ファイバ裸線を作製した後、その外周に保護層や被覆層を設ける工程を行ってもよい。
(第2の製造方法)
図7は、本実施形態の製造方法において用いる複合紡糸ダイの別の一例を示す概略縦断面図である。図7は、集合口金23に障害物27が形成されている点において、図6と相違する。図7に示すダイ20は、上部分配板21と、上部分配板21の垂直下部に配置される下部分配板22と、下部分配板22の垂直下部に配置される集合口金23と、管24と、から構成され、かつ、溶融状態の芯樹脂の流路上に位置するように、障害物27が集合口金23の壁面に形成されている。
障害物27は、多芯光ファイバ裸線の中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管24を除いた芯樹脂吐出管24の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管24から吐出される溶融状態の芯樹脂の流路に配置されている。これにより、芯樹脂吐出管24から吐出される溶融状態の芯樹脂の一部が障害物27に接触することで、その流れを乱され、変形する。すなわち、(1)工程において得られる溶融状態の光ファイバ裸線(溶融状態の芯樹脂が、溶融状態の鞘樹脂で被覆されたもの)の一部が、空隙部H3で障害物27に接触することにより変形し、上述した真円度2.0より大きい芯を形成する。
上述のように、真円度2.0より大きい芯は、欠陥の位置特定の基準点(あるいは基準領域)となるため、端断面の中心に配置されていないことが必要である。そのため、障害物27を、端断面の中心の芯に対応する管24の流路上のみに配置しないことが必要となる。
障害物27としては、例えば、溶融状態の芯樹脂の流路(図7の空隙部H3の空間)に突出した突起部を用いることができる。障害物27の形状としては、特に限定されず、例えば、棒状の突起部が挙げられる。具体的には、棒状のパイプ等が好ましい。特に、下部分配板22の中心から外周に向かってパイプのような障害物を設けることで、図5に示すような、真円度が2.0より大きい芯が、端断面において中心から外周に向けて略直線状に複数配置された多芯光ファイバを作製することができる。
障害物27によって溶融樹脂の流れを乱される管24の割合は、0%より大きく20%以下であり、好ましくは0%より大きく10%以下であり、より好ましくは0%より大きく5%以下であり、更に好ましくは0%より大きく1%以下である。
真円度2.0以下である芯を形成するための管24の外径・内径、及び第2貫通孔H2の大きさ・形状は、図7に示すダイ20と同様に、特に限定されない。
本発明に係る多芯光ファイバは、内視鏡等の医療用の光ファイバ等として幅広い分野で利用することができる。
1、6、12、18…多芯光ファイバ裸線、2、7、13…(真円度が2.0以下である)芯、3、8、8a、8b、14、14a、14b、14c、14d、19、19a、19b、19c、19d、19e…(真円度が2.0より大きい)芯、4…鞘、5、11、17…欠陥、9、15…鞘層、10、16…海樹脂、20…ダイ、21…上部分配板、22…下部分配板、23…集合口金、24…芯樹脂吐出管、25…芯樹脂分配室、26…鞘樹脂分配室、27…障害物、C1…内接円、C2…外接円、C3…中心、r1…内接円半径、r2…外接円半径、H1…第1貫通孔、H2…第2貫通孔、H3…空隙部、H4…吐出孔

Claims (8)

  1. 複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、
    前記多芯光ファイバは、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、
    前記端断面に含まれる前記芯の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、
    前記真円度が2.0より大きい芯が、前記端断面の中心以外に配置されている、
    多芯光ファイバ。
  2. 複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバであって、
    前記多芯光ファイバは、その軸方向に対して略直交する方向に断面視した端断面において、
    前記複数の芯の中で、最外周に配置された芯を除いた芯の総数の80%以上100%未満が、真円度が2.0以下である芯であり、
    前記最外周に配置された芯を除いた芯において、真円度が2.0より大きい芯が、前記端断面の中心以外に配置されている、
    多芯光ファイバ。
  3. 前記真円度が2.0より大きい芯が複数配置される場合において、前記端断面の中心を対称点として、前記真円度が2.0より大きい芯どうしが、点対称の位置関係にない、
    請求項1又は2に記載の多芯光ファイバ。
  4. 前記多芯光ファイバは、50芯以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
  5. 前記真円度が2.0より大きい芯が、複数配置され、かつ、
    前記真円度が2.0より大きい芯2本以上が、隣り合わせで配置されている、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
  6. 前記真円度が2.0より大きい芯が、少なくとも3本以上配置され、かつ、
    前記真円度が2.0より大きい芯3本以上が、前記端断面の中心から外周に向けた略直線上に配置されている、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の多芯光ファイバ。
  7. 複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバの製造方法であって、
    (1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバは裸線を複数本得る工程と、
    (2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
    (3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
    (4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバを得る工程と、
    を有し、
    前記多芯光ファイバの中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管の内径の断面形状が、真円度2.0よりも大きい、
    多芯光ファイバの製造方法。
  8. 複数の芯と、前記芯の外周に被覆形成された鞘と、を有する多芯光ファイバの製造方法であって、
    (1)前記芯を形成する溶融状態の芯樹脂が供給され、前記芯の本数に対応した数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂を、前記鞘を形成する溶融状態の鞘樹脂で被覆して、溶融状態の光ファイバ裸線を複数本得る工程と、
    (2)前記溶融状態の光ファイバ裸線を複数本束ねて、溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を得る工程と、
    (3)前記溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を延伸しながら漸次細化させる工程と、
    (4)前記漸次細化された溶融状態の多芯光ファイバ裸線束を硬化させることにより、前記多芯光ファイバを得る工程と、
    を有し、
    前記(1)工程では、前記多芯光ファイバの中心に配置された芯に対応する芯樹脂吐出管を除いた芯樹脂吐出管の総数の0%より大きく20%以下の本数の芯樹脂吐出管から吐出される溶融状態の芯樹脂の流路に配置された障害物により、前記溶融状態の芯樹脂の流れを乱すことを少なくとも行う、
    多芯光ファイバの製造方法。
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