JP2013242515A - 局所韻律コンテキスト付与装置、局所韻律コンテキスト付与方法、およびプログラム - Google Patents

局所韻律コンテキスト付与装置、局所韻律コンテキスト付与方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】韻律推定精度を向上し、低コストで安定的な局所韻律コンテキストを付与する
【解決手段】局所韻律コンテキスト付与装置10は、推定用音声に対して韻律単位ごとに局所韻律コンテキストを付与する。まず、韻律学習部110は、学習用音声を解析して付与した学習用音声韻律と学習用音声を解析して付与した学習用従来コンテキストとを用いて韻律モデルを生成する。次に、韻律推定部120は、推定用音声を解析して生成した推定用従来コンテキストから韻律モデルを用いて推定韻律を生成する。さらに、誤差計算部130は、推定用音声を解析して生成した推定用音声韻律と推定韻律との誤差である推定誤差を計算する。そして、局所韻律コンテキスト決定部140は、推定誤差があらかじめ定めた閾値を超える場合に、局所韻律コンテキストを付与する。
【選択図】図1

Description

この発明は、音声合成に利用される韻律推定技術に関し、特に、韻律を推定するための局所韻律コンテキストを自動的に付与する技術に関する。
従来から、音声合成技術の分野では、読み上げ音声の韻律を推定する韻律推定技術が利用されている。韻律推定技術を、言語処理技術である形態素解析技術やアクセント・読み付与技術と組み合わせることで、入力されたテキストから自然な韻律を推定することが可能となる。
従来の代表的な韻律推定技術としては、基本周波数(F0)や音素継続時間長等の韻律を多空間上の確率分布に基づいた隠れマルコフモデル(Multi-Space Probability Distribution HMM、MSD-HMMと略す)に基づいてモデル化し、形態素・音素・アクセント等のコンテキスト情報から、韻律の推定を行う方法(非特許文献1)や、決定木に基づく韻律推定技術(非特許文献2)が挙げられる。
ところで、実際の音声には、会話調の話し方や朗読調の話し方等の様々なスタイルの音声が存在する。このような様々なスタイルを表現するために、強調や句末音調等の様々なラベリング方式による韻律コンテキストが考案されている(非特許文献3)。
なお、この明細書では、形態素・音素・アクセント等の従来から利用されているコンテキスト情報を「従来コンテキスト」と呼び、強調・句末音調等のコンテキスト情報を「局所韻律コンテキスト」と呼ぶ。
徳田,益子,宮崎,小林,"多空間上の確率分布に基づいたHMM",電子情報通信学会論文誌,vol.J83-D-II, No.7, pp.1579-1589, 2000. N.Iwahashi and Y.Sagisaka,"Statistical modeling of speech segment duration by constrained tree regression", IEICE Trans., vol.E83-D, no.7, pp.1550-1559, 2000. 前川,五十嵐,菊池,米山,小磯、"『日本語話し言葉コーパス』のイントネーションラベリング"、[online]、[平成24年3月30日検索]、インターネット<URL:http://www.ninjal.ac.jp/csj/manu-f/intonation.pdf>
上記の通り、実際の音声には様々なスタイルが存在する。こうしたスタイルの音声は、全体的にはある一定の調子で発声されているが、単語の意味や句の機能、更には話者の意図や焦点等によって局所的な韻律の変動が生じる場合がある。ここで、従来コンテキストのみを用いて音声の学習と韻律の推定を行った場合、様々なスタイルの韻律をモデル化するには情報として十分ではない。その結果、読み上げ音声における韻律推定の精度と比較すると、その推定精度は低下する。また、従来コンテキストを用いて学習したモデルから、韻律を推定し音声を合成した場合、全体的には学習元の音声のスタイルが再現されているものの、単語の意味、句の機能、話者の意図、焦点等による局所的な韻律の変動が反映されないため部分的に違和感のある音声が合成されてしまう。
これを解決するために、非特許文献3に記載されているコンテキスト情報を局所韻律コンテキストとして与えることが考えられている。従来コンテキストのみで学習する場合と比較して、様々なスタイルの韻律に対して適切なモデル化が可能となり、韻律推定精度の向上が期待できる。しかしながら、従来の韻律推定技術では局所韻律コンテキストを手作業で付与する必要がある。その時間的、費用的なコストは非常に大きく、現実に存在する様々なスタイルのすべてに対して手作業で局所韻律コンテキストを付与することは困難である。
さらに、仮に手作業で局所韻律コンテキストを付与したとしても、局所韻律コンテキストの付与は作業者の主観による作業となり付与基準の統一が困難である。したがって、局所韻律コンテキストを付与した作業者によって得られる結果が異なる場合が多く、安定したデータが得られないという問題がある。
この発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、様々なスタイルの音声における韻律推定精度を向上し、低コストで安定的な局所韻律コンテキストを付与することができる局所韻律コンテキスト付与技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明の局所韻律コンテキスト付与装置は、推定用音声に対して韻律単位ごとに局所韻律コンテキストを付与する。局所韻律コンテキスト付与装置は、韻律学習部と韻律推定部と誤差計算部と局所韻律コンテキスト決定部とを含む。韻律学習部は、学習用音声を解析して付与した学習用音声韻律と当該学習用音声を解析して付与した学習用従来コンテキストとを用いて韻律モデルを生成する。韻律推定部は、推定用音声を解析して付与した推定用従来コンテキストから、韻律モデルを用いて推定韻律を生成する。誤差計算部は、推定用音声を解析して付与した推定用音声韻律と推定韻律との誤差である推定誤差を計算する。局所韻律コンテキスト決定部は、推定誤差があらかじめ定めた閾値を超える場合に、局所韻律コンテキストを付与する。
この発明の局所韻律コンテキスト付与技術によれば、様々なスタイルの音声における局所的な韻律の変動を表現することができる局所韻律コンテキストを付与することで、韻律推定精度を向上することができる。また、局所韻律コンテキストを自動的に付与することができるため、低コストで局所韻律コンテキストを付与することができる。さらに、局所韻律コンテキストを機械的に付与することで、作業者の主観に依らない安定的な結果を得ることができる。
第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第3の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第3の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図1。 第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図2。 第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第6の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第6の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第7の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第7の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図。 第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の構成例を示すブロック図。 第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図1。 第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置の動作例を示すフロー図2。
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
図1を参照して、この発明の第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置10の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置10は、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部130と局所韻律コンテキスト決定部140と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部930を備える。学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部930は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置や、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスクや光ディスクなどの補助記憶装置により構成することができる。
図2を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置10の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。
学習用データセット記憶部910には、学習用音声韻律と学習用従来コンテキストを含む学習用データセットがあらかじめ記憶されている。学習用音声韻律は、具体的には学習用音声の基本周波数(F0)もしくは音素継続時間長であり、学習用音声を解析して自動的に抽出してもよいし、手作業で付与してもよい。学習用従来コンテキストは、具体的には学習用音声に対応して付与された形態素・音素・アクセント等の従来コンテキストであり、学習用音声を解析して自動的に抽出してもよいし、手作業で付与してもよい。自動的に抽出する場合には、一般的な形態素解析技術や読みアクセント解析技術を用いることができる。形態素解析技術は、例えば、特許第3379643号公報などに記載の方法を適用することができる。読みアクセント解析技術は、例えば、特許第3952964号公報や特許第3518340号公報などに記載の方法を適用することができる。学習用音声は、あらかじめ収録した音声データであり、会話調の話し方や朗読調の話し方等のスタイルの音声が含まれている。
推定用データセット記憶部930には、推定用音声韻律と推定用従来コンテキストを含む推定用データセットがあらかじめ記憶されている。推定用音声韻律は、具体的には推定用音声の基本周波数(F0)もしくは音素継続時間長であり、推定用音声を解析して自動的に抽出してもよいし、手作業で付与してもよい。推定用従来コンテキストは、具体的には推定用音声に対応する形態素・音素・アクセント等の従来コンテキストであり、推定用音声を解析して自動的に抽出してもよいし、手作業で付与してもよい。推定用音声は、あらかじめ収録した音声データである。推定用音声は学習用音声と同じものを利用することができる。
韻律学習部110は、学習用データセット記憶部910に記憶されている学習用音声韻律および学習用従来コンテキストを用いて学習することで、韻律モデルを生成する(S110)。韻律モデルの学習は、例えば非特許文献1に記載の方法で行うことができる。韻律学習部110の生成した韻律モデルは、韻律モデル記憶部920に記憶される。
韻律推定部120は、推定用データセット記憶部930に記憶されている推定用従来コンテキストから、韻律モデル記憶部920に記憶されている韻律モデルを用いて韻律を推定することで、推定韻律を生成する(S120)。推定韻律は、具体的には推定用音声の基本周波数(F0)もしくは音素継続時間長である。推定用音声韻律が基本周波数(F0)であれば、推定韻律も基本周波数(F0)でなければならない。推定用音声韻律が音素継続時間長であれば、推定韻律も音素継続時間長でなければならない。
誤差計算部130は、韻律単位ごとに、推定用データセット記憶部930に記憶されている推定用音声韻律と、韻律推定部120の生成した推定韻律との誤差である推定誤差を計算する(S130)。韻律単位とは、音素・モーラ・形態素・アクセント句等の言語単位のいずれかである。韻律単位をいずれとするかは、推定用音声韻律と推定韻律が基本周波数(F0)と音素継続時間長のいずれであるか、学習用音声に含まれる音声スタイルがどのようなものであるかによって、あらかじめ定められる。一般的に音素継続時間長であれば音素を、基本周波数(F0)であれば音素・モーラ・アクセント句のいずれかを韻律単位として用いる場合が多いが、この限りでない。推定誤差は、各韻律単位における推定用音声韻律と推定韻律との差分の平均値・総和・最大値のいずれかの値である。
基本周波数(F0)で表される韻律情報に対して局所韻律コンテキストを付与し、かつ韻律単位をアクセント句単位とする場合を例に、誤差計算部130の処理をより具体的に説明する。i番目のアクセント句の始端フレーム番号をjis、終端フレーム番号をjie、フレームjにおける推定用音声の基本周波数をfo(j)、推定した基本周波数(F0)をfs(j)とする。なお、推定用音声は一般的な基本周波数(F0)やスペクトルの分析方法と同様にフレーム単位で分析されているものとする。フレーム窓幅は30ms、フレームシフト間隔は5msが用いられることが多いが、この限りではない。ここで、i番目のアクセント句における平均誤差Eiは、以下の式(1)により求められる。
Figure 2013242515
i番目のアクセント句における誤差総和Siは、以下の式(2)により求められる。
Figure 2013242515
局所韻律コンテキスト決定部140は、韻律単位ごとに誤差計算部130の計算した差分の平均値・総和・最大値のいずれかの値である推定誤差とあらかじめ定めた閾値を比較して、推定誤差が閾値以上であれば、その韻律単位に対して局所韻律コンテキストを付与する(S140)。局所韻律コンテキストは、具体的には強調・句末音調などであり、例えば、非特許文献3に記載のラベリング方式を適用することができる。
基本周波数(F0)で表される韻律情報に対して局所韻律コンテキストを付与し、かつ韻律単位をアクセント句単位とする場合を例に、局所韻律コンテキスト決定部140の処理をより具体的に説明する。i番目のアクセント句の平均誤差をEi、閾値をαとする。Ei≧αの場合、i番目のアクセント句に局所韻律コンテキストを付与する。Ei<αの場合、i番目のアクセント句には局所韻律コンテキストを付与しない。
このように第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置10は、様々なスタイルで発声された推定用音声から抽出した韻律と統計的に推定することで生成された韻律の誤差があらかじめ定めた閾値以上になる韻律単位に対して局所韻律コンテキストを付与する。これにより、局所的な韻律の変動を表現することができる局所韻律コンテキストの付与を実現し、様々なスタイルの音声における韻律推定精度を向上することができる。また、局所韻律コンテキストを自動的に付与することができるため、低コストで局所韻律コンテキストを付与することができる。さらに、局所韻律コンテキストを機械的に付与することで、作業者の主観に依らない安定的な結果を得ることができる。
[第2の実施形態]
図3を参照して、この発明の第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置20は、第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置10と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と局所韻律コンテキスト決定部140と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920を備え、誤差計算部130の替わりに誤差計算部131を備え、推定用データセット記憶部930の替わりに推定用データセット記憶部931を備え、さらに、仮局所韻律コンテキスト生成部150と韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と最適局所韻律コンテキスト決定部240と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950を備える。推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950は、学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と同様に、例えば、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置や、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスクや光ディスクなどの補助記憶装置により構成することができる。
図4を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置20の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。S110からS120までの処理は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
推定用データセット記憶部931には、推定用データセット記憶部930に記憶されている情報に加えて、推定用局所韻律コンテキストが記憶されている。推定用局所韻律コンテキストは、具体的には推定用音声に対応して手作業または機械的に付与された強調・句末音調等の局所韻律コンテキストである。
誤差計算部131は、誤差計算部130と比較して、平均誤差と誤差総和の計算式が異なることが相違点である。第1の実施形態と同様に、基本周波数(F0)で表される韻律情報に対して局所韻律コンテキストを付与し、かつ韻律単位をアクセント句単位とする場合を例に、誤差計算部131の処理を具体的に説明する。i番目のアクセント句の始端フレーム番号をjis、終端フレーム番号をjie、フレームjにおける推定用音声の基本周波数をfo(j)、推定した基本周波数(F0)をfs(j)とすると、i番目のアクセント句における平均誤差E’iは、以下の式(1’)により求められる。
Figure 2013242515
i番目のアクセント句における誤差総和S’iは、以下の式(2’)により求められる。
Figure 2013242515
これは閾値を決める段階では差の正負が重要な意味をもつためである。
仮局所韻律コンテキスト生成部150は、あらかじめ定めた複数の閾値ごとに局所韻律コンテキスト決定部140の処理を実行し、各閾値に対応する局所韻律コンテキストである仮局所韻律コンテキストを含む仮局所韻律コンテキスト集合を生成する。まず、仮局所韻律コンテキスト生成部150は、局所韻律コンテキスト決定部140が参照する閾値をあらかじめ定められた開始値以上終了値以内となる閾値に設定する(S151)。より具体的には、閾値の開始値をαs、終了値をαe、増分をΔαとすると、n回目の繰り返しにおいて設定される閾値αは、以下の式(3)により表すことができる。
Figure 2013242515
ここで、開始値αs、終了値αe、増分Δαの値は、韻律が基本周波数(F0)であるか音素継続時間長であるかにより異なる。例えば、韻律が基本周波数(F0)であれば、開始値αsを0cent、終了値αeを200cent、増分Δαを1centとすることができる。
続いて、仮局所韻律コンテキスト生成部150は、局所韻律コンテキスト決定部140の処理を実行し、局所韻律コンテキスト決定部140が生成する局所韻律コンテキストを仮局所韻律コンテキストとする(S140)。その後、その仮局所韻律コンテキストを仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶する(S152)。仮局所韻律コンテキスト生成部150は、閾値αが終了値αeに達するまでS151,S140,S152を繰り返し実行する(S155)。結果として、開始値αs以上終了値αe以内のすべての閾値において求めたすべての仮局所韻律コンテキストを含む仮局所韻律コンテキスト集合が仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶される。例えば、R回閾値を設定すれば、仮局所韻律コンテキスト集合にはR個の仮局所韻律コンテキストが含まれることになる。
韻律再学習部210は、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶された仮局所韻律コンテキスト集合から選択した仮局所韻律コンテキストと、推定用データセット記憶部930に記憶されている推定用音声韻律および推定用従来コンテキストを用いて学習することで、韻律再学習モデルを生成する(S210)。韻律再学習モデルの学習は、韻律学習部110と同様の方法により行うことができる。韻律再学習部210の生成した韻律再学習モデルは、韻律再学習モデル記憶部940に記憶される。
韻律再推定部220は、推定用データセット記憶部931に記憶されている推定用従来コンテキストから、推定用データセット記憶部931に記憶されている推定用局所韻律コンテキストと韻律再学習モデル記憶部940に記憶されている韻律再学習モデルとを用いて韻律を推定することで、再推定韻律を生成する(S220)。ここで、推定用局所韻律コンテキストは、あらかじめ手作業または機械的に付与された局所韻律コンテキストの替わりに、仮局所韻律コンテキスト集合から任意に選択した仮局所韻律コンテキストを用いることができる。この場合、局所韻律コンテキスト付与装置20は、推定用データセット記憶部931の替わりに第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置10の備える推定用データセット記憶部930を備えればよい。
誤差再計算部230は、韻律単位ごとに、推定用データセット記憶部931に記憶されている推定用音声韻律と、韻律再推定部220の生成した再推定韻律との誤差である再推定誤差を計算する(S230)。再推定誤差は、各韻律単位における推定用音声韻律と再推定韻律との差分の推定用音声全体での平均値Ea・総和Es・最大値のいずれかの値である。推定用音声の始端フレーム番号をjs、終端フレーム番号をje、フレーム番号jにおける推定用音声の基本周波数をfo(j)、推定した基本周波数(F0)をfs(j)とすると、推定用音声韻律と再推定韻律との差分の平均値Eaは、以下の式(4)により求められる。
Figure 2013242515
推定用音声韻律と再推定韻律との差分の総和Esは、以下の式(5)により求められる。
Figure 2013242515
最適局所韻律コンテキスト決定部240は、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶された仮局所韻律コンテキスト集合に含まれる仮局所韻律コンテキストのうち、誤差再計算部230の算出した再推定誤差Eが最小となる仮局所韻律コンテキストを局所韻律コンテキストとして選択する。より具体的には、最適局所韻律コンテキスト決定部240は、再推定誤差の最小値Eminを記憶しており、誤差再計算部230が算出した再推定誤差Eがこれまでの最小値Eminよりも小さい値であれば最小値Eminを更新する。つまり、E<Eminの場合に、Emin=Eとする。そして、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶された仮局所韻律コンテキスト集合に含まれる仮局所韻律コンテキストのうち、再推定誤差Eを求めていない仮局所韻律コンテキストが存在する場合には、その仮局所韻律コンテキストを選択してS210からS230の処理を再度実行する(S235)。すべての仮局所韻律コンテキストについて再推定誤差Eが求まった場合には、再推定誤差が最小値Eminとなる仮局所韻律コンテキストを最適な局所韻律コンテキストとして選択する(S240)。
この発明では、局所韻律コンテキスト決定部140が局所韻律コンテキストを付与するか否かを判断する条件として誤差の閾値を用いるため、閾値の値により結果として求まる局所韻律コンテキストが変動する。第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20は、あらかじめ定めた複数の閾値それぞれに対応する仮局所韻律コンテキストを生成し、あらかじめ与えられた推定用局所韻律コンテキストと比較して最も誤差の小さい仮局所韻律コンテキストを選択することで、様々なスタイルの音声における局所的な韻律の変動を最もよく反映した最適な閾値に基づく局所韻律コンテキストを求めることができる。
[第3の実施形態]
図5を参照して、この発明の第3の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置30の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置30は、第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部131と局所韻律コンテキスト決定部140と仮局所韻律コンテキスト生成部150と韻律再学習部210と誤差再計算部230と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940を備え、韻律再推定部220の替わりに韻律再推定部221を、最適局所韻律コンテキスト決定部240の替わりに最適局所韻律コンテキスト決定部241を備える。
図6を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置30の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。S110からS210までの処理は、第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
韻律再推定部221は、推定用データセット記憶部931に記憶されている推定用従来コンテキストから、韻律再学習モデル記憶部940に記憶されている韻律再学習モデルを用いて韻律を推定することで、再推定韻律を生成する(S221)。つまり、第2の実施形態で韻律を推定する際に用いた推定用局所韻律コンテキストを必要としない。
最適局所韻律コンテキスト決定部241は、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶された仮局所韻律コンテキスト集合に含まれる仮局所韻律コンテキストのうち、誤差再計算部230の算出した再推定誤差Eが最大となる仮局所韻律コンテキストを局所韻律コンテキストとして選択する。より具体的には、最適局所韻律コンテキスト決定部241は、再推定誤差Eの最大値Emaxを記憶しており、誤差再計算部230が算出した再推定誤差Eがこれまでの最大値Emaxよりも大きい値であれば最大値Emaxを更新する。つまり、E>Emaxの場合に、Emax=Eとする。そして、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶された仮局所韻律コンテキスト集合に含まれる仮局所韻律コンテキストのうち、再推定誤差Eを求めていない仮局所韻律コンテキストが存在する場合には、その仮局所韻律コンテキストを選択してS210からS230の処理を再度実行する(S235)。すべての仮局所韻律コンテキストについて再推定誤差Eが求まった場合には、再推定誤差Eが最大値Emaxとなる仮局所韻律コンテキストを最適な局所韻律コンテキストとして選択する(S241)。
第3の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置30は、第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20と同様に、様々なスタイルの音声における局所的な韻律の変動を最もよく反映した最適な閾値に基づく局所韻律コンテキストを求めることができる。いずれの実施形態を選択するかは、対象とする韻律が基本周波数(F0)と音素継続時間長のいずれであるか、学習用音声に含まれる音声スタイルがどのようなものであるか、などを考慮して選択することができる。
[変形例]
第3の実施形態において、最適局所韻律コンテキスト決定部241の替わりに最適局所韻律コンテキスト決定部242を備えるように構成してもよい。最適局所韻律コンテキスト決定部241では、推定用音声全体での推定用音声韻律と再推定韻律の差分の平均値、総和、最大値のいずれかの値が最大になる仮局所韻律コンテキストを局所韻律コンテキストとして選択したが、最適局所韻律コンテキスト決定部242では、仮局所韻律コンテキストが付与された韻律単位における推定用音声韻律と再推定韻律の差分の平均値、総和、最大値のいずれかの値の総和または平均値と、仮局所韻律コンテキストが付与されなかった韻律単位における推定用音声韻律と再推定韻律の差分の平均値、総和、最大値のいずれかの値の総和または平均値との差の絶対値を誤差Eとして、誤差Eが最大となる仮局所韻律コンテキストを最適な局所韻律コンテキストとして選択する。
誤差Eの算出方法を具体的に説明する。推定用音声韻律にm個の韻律単位が含まれ、k個の韻律単位に仮局所韻律コンテキストが付与されたとする。仮局所韻律コンテキストが付与された韻律単位の番号の集合をPUeとする。つまり、|PUe|=kである。仮局所韻律コンテキストが付与されなかった韻律単位の番号の集合をPUpとする。つまり、|PUp|=m-kである。ここで、・ ̄は、直前の文字・にオーバーラインが付されていることを表すものとして、仮局所韻律コンテキストが付与された韻律単位の平均値E ̄emは、以下の式(6)により求められる。ここでE’iは式(1’)の定義に基づいて計算される。
Figure 2013242515
仮局所韻律コンテキストが付与されなかった韻律単位の平均値E ̄pは以下の式(7)により求められる。
Figure 2013242515
そして、誤差Eは、平均値E ̄emと平均値E ̄pを用いて、以下の式(8)により求められる。
Figure 2013242515
[第4の実施形態]
図7を参照して、この発明の第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置40の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置40は、第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部131と局所韻律コンテキスト決定部140と仮局所韻律コンテキスト生成部150と韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と最適局所韻律コンテキスト決定部240と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950を備え、さらに、局所韻律コンテキスト候補設定部310と局所韻律コンテキスト候補更新部320と局所韻律コンテキスト候補決定部330と仮局所韻律コンテキスト更新部340と再推定誤差記憶部960を備える。再推定誤差記憶部960は、学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950と同様に、例えば、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置や、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスクや光ディスクなどの補助記憶装置により構成することができる。
図8,9を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置40の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。図8のAから図9のAへ処理の流れが続くことを表している。S110からS155までの処理は第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
局所韻律コンテキスト候補設定部310は、仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶されている仮局所韻律コンテキスト集合から任意に仮局所韻律コンテキストを選択し、局所韻律コンテキスト候補として設定する。続いて、選択した仮局所韻律コンテキストを仮局所韻律コンテキスト集合から削除する(S310)。
局所韻律コンテキスト候補更新部320は、韻律単位ごとに、再推定誤差記憶部960に記憶されている前回再推定誤差と、誤差再計算部230が算出した再推定誤差とを比較する。再推定誤差が前回再推定誤差より大きい場合であり、局所韻律コンテキスト候補設定部310が設定した局所韻律コンテキスト候補にその韻律単位に対応する局所韻律コンテキストが付与されている場合には、その局所韻律コンテキストを削除する。局所韻律コンテキスト候補にその韻律単位に対応する局所韻律コンテキストが付与されていない場合には、局所韻律コンテキストを付与する。再推定誤差が前回再推定誤差以下の場合には、局所韻律コンテキストは変更しない(S320)。例えば、i番目のアクセント句について、n-1回目の繰り返しにおいて局所韻律コンテキストが付与されたとして、i番目のアクセント句のn回目の繰り返しにおける誤差をe(n)、閾値をα、i番目のアクセント句のn-1回目の繰り返しにおける誤差をe(n-1)とすると、e(n)-e(n-1)≦0の場合、当該アクセント句の局所韻律コンテキストは変更しない。すなわち、局所韻律コンテキストは付与されたままとなる。e(n)-e(n-1)>0の場合、当該アクセント句の局所韻律コンテキストは削除する。局所韻律コンテキスト候補更新部320は、推定用音声韻律に含まれるすべての韻律単位について局所韻律コンテキストの有無を決定する。すべての韻律単位について局所韻律コンテキストの有無を決定した後、誤差再計算部230が算出した再推定誤差で再推定誤差記憶部960に記憶されている再推定誤差を更新して記憶する。
局所韻律コンテキスト候補決定部330は、韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と局所韻律コンテキスト候補更新部320とを実行する(S330)。ここで、繰り返し回数があらかじめ定めた回数以下、かつ推定用音声韻律全体での再推定誤差があらかじめ定めた値以上である場合には、繰り返し韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と局所韻律コンテキスト候補更新部320とを実行する。繰り返し回数があらかじめ定めた回数を超えた場合、もしくは推定用音声韻律全体での再推定誤差があらかじめ定めた値より小さくなった場合には、局所韻律コンテキスト候補決定部330の処理を終了する(S325)。
仮局所韻律コンテキスト更新部340は、局所韻律コンテキスト候補設定部310と局所韻律コンテキスト候補決定部330との処理を繰り返し実行する(S340)。ここで、局所韻律コンテキスト候補設定部310が局所韻律コンテキスト候補を設定しなくなった場合、すなわち仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶されている仮局所韻律コンテキスト集合に含まれるすべての仮局所韻律コンテキストについて局所韻律コンテキスト候補が決定した場合には、仮局所韻律コンテキスト更新部340の処理を終了する(S335)。
最適局所韻律コンテキスト決定部240は、すべての仮局所韻律コンテキストに対応する局所韻律コンテキスト候補のうち、誤差再計算部230の算出した再推定誤差が最小となる局所韻律コンテキスト候補を最適な局所韻律コンテキストとして選択する(S240)。
第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置40は、すべての仮局所韻律コンテキストについて、推定用音声韻律全体としてあらかじめ定めた閾値以下になるまで繰り返し再学習、再推定を行い、その上で誤差が最小である仮局所韻律コンテキストを最適な局所韻律コンテキストとして選択する。このように構成することにより、第2の実施形態と比較して、最適な閾値をより厳密に求めることができる。
[第5の実施形態]
図10を参照して、この発明の第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置50の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置50は、第1の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置10と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部930を備え、第2の実施形態に係る誤差計算部131を備え、局所韻律コンテキスト決定部140の替わりに局所韻律コンテキスト決定部141を備える。
図11を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置50の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。S110からS131までの処理は、第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
局所韻律コンテキスト決定部141は、韻律単位ごとに誤差計算部131の計算した差分の平均値・総和・最大値のいずれかの値である推定誤差とあらかじめ定めた複数の閾値とを比較して、推定誤差が当てはまる閾値の値の範囲を求め、その韻律単位に対して閾値に対応する局所韻律コンテキストのクラスを割り当てる(S141)。
基本周波数(F0)で表される韻律情報に対して局所韻律コンテキストのクラス値を付与し、かつ韻律単位をアクセント句単位とする場合を例に、局所韻律コンテキスト決定部141の処理をより具体的に説明する。例えば、局所韻律コンテキストをn個(nは3以上の整数)のクラスに分けるとすると、n個の局所韻律コンテキストのクラス集合CL={C1,C2,…,Cn}と、n-1個の閾値α12,…,αn-1を与える。ただし、α123…<αn-1である。閾値α12,…,αn-1は、クラス集合CL={C1,C2,…,Cn}とそれぞれ対応しており、クラスCi(i=1,…,n-1)に対応する閾値はαiである。このとき、クラスCnに対応する閾値は∞となる。
ここで、j番目のアクセント句の推定誤差をEjとして、推定誤差Ejと閾値α12,…,αn-1とを比較して、αk-1≦Ej<αk(kは2以上n-1以下の整数)となるkの値を求める。kの値が求まれば、j番目のアクセント句の局所韻律コンテキストのクラスをCkとする。特にEj<α1のときは、局所韻律コンテキストのクラスはC1となる。また、αn-1≦Ejのときは、局所韻律コンテキストのクラスはCnとなる。
なお、nを2として局所韻律コンテキストを2個のクラスに分けた場合には、閾値はα1のみとなるため、第1の実施形態と同じ構成となる。
このように第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置50は、一つあるいは複数のスタイルで発声された推定用音声から抽出した韻律と統計的に推定することで生成された韻律の誤差に基づいて、あらかじめ定めたクラス毎の閾値の範囲に対応して、韻律単位毎に局所韻律コンテキストのクラスを付与する。これにより、第1の実施形態における局所韻律コンテキストを付与するか否かの二値的なコンテキストの付与とは異なり、局所的な韻律の変動を複数の段階に区分して詳細に表現した局所韻律コンテキストの付与を実現することができる。したがって、複数のスタイルの音声における韻律の推定精度をさらに向上することができる。
[第6の実施形態]
図12を参照して、この発明の第6の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置60の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置60は、第2の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置20と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部131と韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と最適局所韻律コンテキスト決定部240と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950を備え、第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト決定部141を備え、仮局所韻律コンテキスト生成部150の替わりに仮局所韻律コンテキスト生成部151を備える。
図13を参照して、局所韻律コンテキスト付与装置60の動作例を実際に行われる手続きの順に従って詳細に説明する。S110からS141までの処理は、第5の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
仮局所韻律コンテキスト生成部151は、あらかじめ定めた複数の閾値ごとに局所韻律コンテキスト決定部141の処理を実行し、各閾値に対応する局所韻律コンテキストである仮局所韻律コンテキストを含む仮局所韻律コンテキスト集合を生成する。まず、仮局所韻律コンテキスト生成部151は、局所韻律コンテキスト決定部141が参照する局所韻律コンテキストの各クラスに対応した閾値を設定する(S153)。局所韻律コンテキストをn個(nは3以上の整数)のクラスに分けるとして、各クラスに対応する閾値をα12,…,αn-1とすると、α12…<αn-1の関係にあり、かつ実際に誤差が取り得る妥当な範囲の値であれば、閾値α12,…,αn-1は、どのような値に設定してもよい。
閾値α12,…,αn-1の設定方法をより詳細に説明する。例えば、誤差の最小値をMin、最大値をMaxとして、α1をMin以上Max以下の適当な値に決定し、α1以上Max以下となるようなα2を決定し、これを繰り返すことでn-1個の閾値を全て同時に決定する方法が考えられる。この方法であれば、あり得る全てのn-1個の閾値の組み合わせを探索することができ、最適値を探す点では最もよい。しかし、適切にクラス数を設定する必要があり、同時に計算量が非常に多くなるという問題がある。
そこで、実際の誤差の分布は0を中心とした正規分布に近い点を考慮して、0を中心に閾値を正負の方向に同一に配置し、各クラスに対応したデータ数が少ないと適切に学習できない点を考慮して、クラス数を固定せず閾値とクラス毎のデータ数に基づいて順次閾値を設定する方法が考えられる。
例えば、βjは正の実数、mは正の整数として、閾値を-βm,-βm-1,-βm-2,…,-β112,…,βmとする。ここでmは予め定めたクラス数の上限値を表す。
まず、最初にクラス数を3クラスとし、推定誤差EがE<-β1となる場合はクラスC1、-β1≦E<β1となる場合はクラスC2、β1≦Eとなる場合はクラスC3とする。このとき閾値のβ1の開始値をβs 1、終了値をβe 1、増分をΔβ1とすると、L1回目の繰り返しにおいて、以下の式(9)により閾値β1を設定することができる。
Figure 2013242515
ここで、例えば韻律再学習部210での学習において学習が適切に行われるためには、クラス毎に最低Q個のデータが必要であるということがあらかじめわかっているのであれば、開始値βs 1の値は推定誤差が-βs 1より大きくβs 1より小さい値となるアクセント句数がQ個になる値としてもよい。増分Δβ1の値は、韻律が基本周波数(F0)であるか音素継続時間長であるかにより異なり、例えば、韻律が対数基本周波数(F0)であれば、増分Δβ1を1centとすることができる。終了値βe 1の値は推定誤差が-βe 1より小さいまたはβe 1より大きい値となるアクセント句数がQ個になる値とする。
次に、クラス数を5クラスとし、推定誤差EがE<-β2となる場合はクラスC1、-β2≦E<-β1となる場合はクラスC2、-β1≦E<β1となる場合はクラスC3、β1≦E<β2となる場合はクラスC4、β2≦Eとなる場合はクラスC5とする。閾値のβ2をβ1に基づいてL2回目の繰り返しにおいて、以下の式(10)で設定する。このときβ1は上述の通り決定した値で固定する。
Figure 2013242515
ここで、開始値βs 2の値は、推定誤差が-βs 2より大きくかつ-βs 1以下、もしくはβs 1より大きくかつβs 2以下の値となり、アクセント句数がQ個になる値とする。増分Δβ2の値はΔβ1と同じでもよいし、異なっていてもよい。終了値βe 2の値は、推定誤差が-βe 1より小さいまたはβe 1より大きい値となり、アクセント句数がQ個になる値とする。
以下、同様にクラス数を2ずつ増加させながら、βjの値を決定する。あるβjにおいて、推定誤差が-βe jより小さいまたはβe jより大きい値となり、アクセント句数がQ個以下になる値であれば、クラス数を2j-1個としてβjは設定しないものとする。
上記の例では、学習が適切に行われるために必要な個数Qに基づいて閾値を順次決定しているが、それ以外の適切な値があらかじめわかっている場合にはQの代わりにその値を与えてもよい。特にクラス毎のデータ数によらず、クラス毎の閾値の開始値、終了値として適切な値がわかっている場合には、その値をあらかじめ与えればよい。
上記のように閾値を設定することで、計算量を抑えつつ安定した学習を行うことができる。
続いて、仮局所韻律コンテキスト生成部151は、局所韻律コンテキスト決定部141の処理を実行し、局所韻律コンテキスト決定部141が韻律単位に対して割り当てた局所韻律コンテキストのクラスに基づいて仮局所韻律コンテキストを生成する(S141)。その後、その仮局所韻律コンテキストを仮局所韻律コンテキスト記憶部950に記憶する(S154)。仮局所韻律コンテキスト生成部151は、可能な全ての閾値の組み合わせについて計算するまでS153,S141,S154を繰り返し実行する(S156)。
以降の処理は、第2の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
第6の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置60は、あらかじめ定めた複数の閾値に対応する局所韻律コンテキストのクラスそれぞれに対応する仮局所韻律コンテキストを生成し、あらかじめ与えられた推定用局所韻律コンテキストと比較して最も誤差の小さい仮局所韻律コンテキストを選択することで、様々なスタイルの音声における局所的な韻律の変動を最もよく反映した最適な閾値に基づく局所韻律コンテキストを求めることができる。
[第7の実施形態]
図14を参照して、この発明の第7の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置70の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置70は、第3の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置30と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部131と韻律再学習部210と韻律再推定部221と誤差再計算部230と最適局所韻律コンテキスト決定部241と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940を備え、第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト決定部141と、第6の実施形態に係る仮局所韻律コンテキスト生成部151を備える。
図15に第7の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置70の動作例を示す。各ステップの処理は第3の実施形態、第5の実施形態、および第6の実施形態の説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
第7の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置70は、第6の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置60と同様に、様々なスタイルの音声における局所的な韻律の変動を最もよく反映した最適な閾値に基づく局所韻律コンテキストを求めることができる。いずれの実施形態を選択するかは、対象とする韻律が基本周波数(F0)と音素継続時間長のいずれであるか、学習用音声に含まれる音声スタイルがどのようなものであるか、などを考慮して選択することができる。
[第8の実施形態]
図16を参照して、この発明の第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置80の構成例を詳細に説明する。局所韻律コンテキスト付与装置80は、第4の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置40と同様に、韻律学習部110と韻律推定部120と誤差計算部131と韻律再学習部210と韻律再推定部220と誤差再計算部230と最適局所韻律コンテキスト決定部240と局所韻律コンテキスト候補設定部310と局所韻律コンテキスト候補更新部320と局所韻律コンテキスト候補決定部330と仮局所韻律コンテキスト更新部340と学習用データセット記憶部910と韻律モデル記憶部920と推定用データセット記憶部931と韻律再学習モデル記憶部940と仮局所韻律コンテキスト記憶部950と再推定誤差記憶部960を備え、第5の実施形態に係る局所韻律コンテキスト決定部141と、第6の実施形態に係る仮局所韻律コンテキスト生成部151を備える。
図17,18に第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置80の動作例を示す。各ステップの処理は第4の実施形態、第5の実施形態、および第6の実施形態の説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
第8の実施形態に係る局所韻律コンテキスト付与装置80は、すべての仮局所韻律コンテキストについて、推定用音声韻律全体としてあらかじめ定めた閾値以下になるまで繰り返し再学習、再推定を行い、その上で誤差が最小である仮局所韻律コンテキストを最適な局所韻律コンテキストとして選択する。このように構成することにより、第6の実施形態と比較して、最適な閾値をより厳密に求めることができる。
[プログラム、記録媒体]
この発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。上記実施例において説明した各種の処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
また、上記実施形態で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
10,20,30,40,50,60,70,80 局所韻律コンテキスト付与装置
110 韻律学習部
120 韻律推定部
130 誤差計算部
140,141 局所韻律コンテキスト決定部
150,151 仮局所韻律コンテキスト生成部
210 韻律再学習部
220,221 韻律再推定部
230 誤差再計算部
240,241 最適局所韻律コンテキスト決定部
310 局所韻律コンテキスト候補設定部
320 局所韻律コンテキスト候補更新部
330 局所韻律コンテキスト候補決定部
340 仮局所韻律コンテキスト更新部
910 学習用データセット記憶部
920 韻律モデル記憶部
930,931 推定用データセット記憶部
940 韻律再学習モデル記憶部
950 仮局所韻律コンテキスト記憶部
960 再推定誤差記憶部

Claims (9)

  1. 推定用音声に対して韻律単位ごとに局所韻律コンテキストを付与する局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    学習用音声を解析して付与した学習用音声韻律と当該学習用音声を解析して付与した学習用従来コンテキストとを用いて韻律モデルを生成する韻律学習部と、
    前記推定用音声を解析して付与した推定用従来コンテキストから、前記韻律モデルを用いて推定韻律を生成する韻律推定部と、
    前記推定用音声を解析して生成した推定用音声韻律と前記推定韻律との誤差である推定誤差を計算する誤差計算部と、
    前記推定誤差とあらかじめ定めた閾値とを用いて、局所韻律コンテキストを付与する局所韻律コンテキスト決定部と、
    を含むことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  2. 請求項1に記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    前記局所韻律コンテキスト決定部は、前記推定誤差が前記閾値を超える場合に、局所韻律コンテキストを付与する
    ことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  3. 請求項1に記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    前記局所韻律コンテキスト決定部は、複数の閾値が定められており、前記推定誤差が含まれる閾値の範囲に応じて、局所韻律コンテキストのクラスを付与する
    ことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    あらかじめ定めた複数の閾値ごとに前記局所韻律コンテキスト決定部の処理を実行し、各閾値に対応する局所韻律コンテキストを仮局所韻律コンテキストとして、すべての仮局所韻律コンテキストを含む仮局所韻律コンテキスト集合を生成する仮局所韻律コンテキスト生成部と、
    前記仮局所韻律コンテキストごとに、前記推定用従来コンテキストを用いて韻律再学習モデルを生成する韻律再学習部と、
    前記仮局所韻律コンテキストごとに、少なくとも前記韻律再学習モデルを用いて再推定韻律を生成する韻律再推定部と、
    前記仮局所韻律コンテキストごとに、前記推定用音声全体における前記推定用音声韻律と前記再推定音声韻律との誤差である再推定誤差を計算する誤差再計算部と、
    前記再推定誤差に基づいて、前記仮局所韻律コンテキストから前記局所韻律コンテキストを選択する最適局所韻律コンテキスト決定部と、
    を含むことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  5. 請求項4に記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    前記韻律再推定部は、
    前記仮局所韻律コンテキストごとに、あらかじめ与えられた推定用局所韻律コンテキストと前記韻律再学習モデルとを用いて前記再推定韻律を生成し、
    前記最適局所韻律コンテキスト決定部は、
    前記再推定誤差が最小となる前記仮局所韻律コンテキストを前記局所韻律コンテキストとして選択する
    ことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  6. 請求項4に記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    前記韻律再推定部は、
    前記仮局所韻律コンテキストごとに、前記韻律再学習モデルを用いて前記再推定韻律を生成し、
    前記最適局所韻律コンテキスト決定部は、
    前記再推定誤差が最大となる前記仮局所韻律コンテキストを前記局所韻律コンテキストとして選択する
    ことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  7. 請求項5に記載の局所韻律コンテキスト付与装置であって、
    前記誤差再計算部が算出する再推定誤差を前回再推定誤差として記憶する再推定誤差記憶部と、
    前記仮局所韻律コンテキスト集合から任意に選択した仮局所韻律コンテキストを局所韻律コンテキスト候補として設定し、当該仮局所韻律コンテキストを前記仮局所韻律コンテキスト集合から削除する局所韻律コンテキスト候補設定部と、
    前記前回再推定誤差と前記再推定誤差とを比較して、前記再推定誤差の方が大きい場合であり前記局所韻律コンテキスト候補に前記局所韻律コンテキストが付与されている場合には、当該局所韻律コンテキストを削除し、前記局所韻律コンテキスト候補に前記局所韻律コンテキストが付与されていない場合には、前記局所韻律コンテキストを付与する局所韻律コンテキスト候補更新部と、
    所定の条件を満たすまで、前記韻律再学習部と前記韻律再推定部と前記誤差再計算部と前記局所韻律コンテキスト候補更新部とを繰り返し実行する局所韻律コンテキスト候補決定部と、
    前記仮局所韻律コンテキスト集合からすべての仮局所韻律コンテキストが削除されるまで、前記局所韻律コンテキスト候補設定部と前記局所韻律コンテキスト候補決定部との処理を繰り返し実行する仮局所韻律コンテキスト更新部と、
    を含むことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与装置。
  8. 推定用音声に対して韻律単位ごとに局所韻律コンテキストを付与する局所韻律コンテキスト付与方法であって、
    学習用音声を解析して付与した学習用音声韻律と当該学習用音声を解析して付与した学習用従来コンテキストとを用いて韻律モデルを生成する韻律学習ステップと、
    前記推定用音声を解析して生成した推定用従来コンテキストから、前記韻律モデルを用いて推定韻律を生成する韻律推定ステップと、
    前記推定用音声を解析して生成した推定用音声韻律と前記推定韻律との誤差である推定誤差を計算する誤差計算ステップと、
    前記推定誤差とあらかじめ定めた閾値とを用いて、局所韻律コンテキストを付与する局所韻律コンテキスト決定ステップと、
    を含むことを特徴とする局所韻律コンテキスト付与方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の局所韻律コンテキスト付与装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
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