JP2013253148A - フェノール樹脂成形材料とそれを用いた成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械強度の低下が小さく、摺動特性に優れ、かつコストパフォーマンスにも優れたフェノール樹脂成形材料とそれを用いた成形品を提供する。
【解決手段】フェノール樹脂、繊維補強材、および潤滑性物質を含有するフェノール樹脂成形材料であって、潤滑性物質として表面に水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子を含有することを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料とそれを用いた成形品に関する。
従来、自動車、電機、機械の摺動部品には、金属部品が多く使用されてきたが、軽量化、生産性の向上などの要求に伴い樹脂部品への代替が検討されている。
このような機械部品には、耐熱性、機械強度、耐薬品性などが要求されるため、熱硬化性樹脂が適している。
中でもフェノール樹脂成形材料は、耐熱性、機械強度、寸法安定性に優れるので、自動車やその他の汎用エンジンに使用される金属部品の代替材料として使用されている。
近年、これらの中には高い摺動特性を要求されるものがある。摺動特性を要求されるフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂、ガラス繊維、その他の添加剤から構成されるものが知られているが、高い摺動特性の要求に応えるため、潤滑性物質を添加して摺動特性を向上させる方法が提案されている。
例えば、潤滑性物質として高分子量ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性樹脂を添加する方法が提案されている(特許文献1〜3)。
また、潤滑性物質を添加する方法以外には、ガラス繊維の代わりに炭素繊維やアラミド繊維を使用することで摺動特性を向上させる方法も検討されている。
特開平4−103654号公報 特開2011−089095号公報 特開平09−176450号公報
しかしながら、潤滑性物質として使用される上述したような熱可塑性樹脂は極性が低く、フェノール樹脂との相溶性が悪いために分散性が低下し、著しい強度低下を招く場合があるため、添加量が限られていた。
また、炭素繊維やアラミド繊維を使用する方法は、これらの繊維が非常に高価なため、これらを使用した材料も高価になり、コストパフォーマンスが低くなるという問題点があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、機械強度の低下が小さく、摺動特性に優れ、かつコストパフォーマンスにも優れたフェノール樹脂成形材料とそれを用いた成形品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂、繊維補強材、および潤滑性物質を含有するフェノール樹脂成形材料であって、潤滑性物質として表面に水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子を含有することを特徴としている。
このフェノール樹脂成形材料において、水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の含有量がフェノール樹脂成形材料の全量に対して1〜8質量%の範囲内であることが好ましい。
このフェノール樹脂成形材料において、水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の重量平均分子量が100000〜5000000の範囲内であることが好ましい。
このフェノール樹脂成形材料において、水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の平均粒子径が5〜350μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の成形品は、前記のフェノール樹脂成形材料の硬化物により形成されていることを特徴としている。
本発明のフェノール樹脂成形材料および成形品によれば、機械強度の低下が小さく、摺動特性に優れ、かつコストパフォーマンスにも優れている。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂成形材料において、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂をそれぞれ単独で用いることができ、あるいはこれらを併用することができる。
フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂成形材料の全量に対して25〜40質量%の範囲内が好ましく、30〜38質量%の範囲内がより好ましい。フェノール樹脂の含有量をこの範囲内にすると、混練性と成形性を高めることができ、かつ、成形収縮率や線膨張係数を小さくして耐湿処理後の寸法変化を抑制し、良好な寸法安定性を得ることができる。
ノボラック型フェノール樹脂としては、特に限定されないが、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜6000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内であると、低分子量成分による取り扱い性の低下を抑制し、かつ成形時の流動性も良好である。
ノボラック型フェノール樹脂は、オルソ/パラ比(O/P比)が0.8〜6.0の範囲内であることが好ましい。O/P比がこの範囲内であると、硬化性を高めることができる。
ここでO/P比は次のように定義される。ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール系化合物に由来する芳香環がメチレン結合により架橋した構造である。そしてメチレン結合の架橋の仕方は、それぞれの芳香環の水酸基に対してオルソ位同士で架橋している場合と、オルソ位とパラ位で架橋している場合と、パラ位同士で架橋している場合の3通りがある。これらによってO/P比は次式で表される。
O/P比={(オルソ位同士で架橋しているメチレン結合数)+(オルソ位とパラ位で架橋しているメチレン結合数の1/2)}/{パラ位同士で架橋しているメチレン結合数+オルソ位とパラ位で架橋しているメチレン結合数の1/2}
なお、ノボラック型フェノール樹脂のメチレン結合数およびその結合形式は、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、GPCなどの方法で求めることができる。例えば、メチレン結合数およびその結合形式が同定された標準物質により、これらの方法で予めそれぞれの吸収位置と吸収強度を確認しておき、その吸収位置と吸収強度から求めることができる。
レゾール型フェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メチロール型やジメチレンエーテル型などを用いることができる。中でもジメチレンエーテル型は、硬化性と熱安定性のバランスが良好である。
レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、GPCによるポリスチレン換算で2000〜6000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内であると、低分子量成分による取り扱い性の低下を抑制し、かつ成形時の流動性も良好である。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、フェノール樹脂の硬化剤を配合することができる。このような硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミンなどの窒素系化合物を用いることができ、フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合に好適である。
硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミンの含有量は、特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂に対して10〜25質量%の範囲内が好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの含有量がこの範囲内であると、硬化性を高め、かつ硬化物の架橋密度も適度な範囲内にすることができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、硬化性を改善するための硬化助剤を配合することができる。硬化助剤としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、ホウ酸、アミン化合物、イミダゾール化合物などを用いることができる。
金属酸化物としては、例えば、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄などを用いることができる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウムなどを用いることができる。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンなどを用いることができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどを用いることができる。
硬化助剤の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂の全量に対して0.5〜5.0質量%の範囲内が好ましい。硬化助剤の含有量をこの範囲内にすると、フェノール樹脂の硬化を促進し、かつ、硬化速度が速くなりすぎることによる製造性や成形性の低下も抑制することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、繊維補強材が配合される。繊維補強材としては、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、特に限定されないが、例えば、A−ガラス、C−ガラス、D−ガラス、E−ガラス、R−ガラス、S−ガラス、T−ガラス、AR−ガラスなどからなるガラス繊維を用いることができる。
ガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、8〜18μmの範囲内が好ましい。繊維長も特に限定されないが、1〜5mmの範囲内が好ましい。繊維径と繊維長がこの範囲内であると、フェノール樹脂成形材料の調製時における作業性が良好で、成形品の強度も高めることができる。
ガラス繊維の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂成形材料の全量に対して40〜65質量%が好ましい。ガラス繊維の含有量がこの範囲内であると、成形品の十分な機械強度を得ることができ、かつ製造性や成形性の低下も抑制することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、繊維補強材と共に、補強材として無機鉱物を併用することもできる。このような無機鉱物としては、例えば、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスビーズ、アルミナなどを用いることができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、潤滑性物質として、表面に水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子(以下、「表面処理ポリエチレン粒子」とも言う。)が配合される。
この表面処理ポリエチレン粒子を配合することで、成形品の機械強度の低下を抑制しつつ摺動特性を高めることができる。表面に水酸基およびカルボキシル基を持たないポリエチレン粒子は非極性であるため、極性のあるフェノール樹脂との相溶性が悪く、分散性が低下する。そのため、摺動特性を十分に発揮することができない。これに対して、極性基である水酸基およびカルボキシル基を表面に導入したポリエチレン粒子は極性が高くなるため、フェノール樹脂との相溶性が高くなり、分散性が向上する。これによって、優れた摺動特性を発揮することができる。
この表面処理ポリエチレン粒子は、酸化ガスによる表面処理技術によって表面に水酸基およびカルボキシル基を導入したものであり、例えば、「インヘンス」シリーズ(製造元:フルオロシール社)を用いることができる。この表面処理ポリエチレン粒子における水酸基とカルボキシル基の比率は、特に限定されないが、1:9〜9:1が好ましい。
この表面処理ポリエチレン粒子の重量平均分子量は、特に限定されないが、100000〜5000000の範囲内が好ましい。表面処理ポリエチレン粒子の重量平均分子量がこの範囲内であると、優れた摺動特性を発揮することができる。
ここで表面処理ポリエチレン粒子の重量平均分子量は、GPCによって次の方法で測定することができる。GPC装置としては、Waters製GPC 150C ALC/GPCを用いる。カラムとしてはSHODEX製GPCUT802.5を一本、UT806Mを2本用い、検出器として示差屈折率計(RI検出器)を用いて測定する。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム温度を145℃とする。試料濃度は1.0mg/mlとし、200マイクロリットル注入し測定を行う。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分子量既知のポリスチレン試料を用いて作成する。
この表面処理ポリエチレン粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、5〜350μmの範囲内が好ましく、10〜300μmの範囲内がより好ましい。表面処理ポリエチレン粒子の平均粒子径がこの範囲内であると、コストパフォーマンスに優れ、優れた摺動特性を発揮することもできる。
なお、平均粒子径はレーザ回折・散乱法により測定することができ、具体的にはレーザ回折式粒度分布測定装置により、粒度分布を体積基準で作成してメディアン径(d50)を測定し、このメディアン径を平均粒子径とすることができる。
この表面処理ポリエチレン粒子の含有量は、フェノール樹脂成形材料の全量に対して1〜8質量%の範囲内であることが好ましい。表面処理ポリエチレン粒子の含有量がこの範囲内であると、機械強度の低下が小さく、摺動特性に優れ、かつコストパフォーマンスにも優れている。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の各成分以外に他の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、離型剤、着色剤、カップリング剤などを用いることができる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸塩類、カルナバワックスなどを用いることができる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、モリブデン赤、フタロシアニンブルーなどを用いることができる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などを用いることができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、上述のフェノール樹脂、繊維補強材、潤滑性物質などを、2軸混練機などを用いて混練して調製することができる。混練後は、冷却粉砕し造粒するようにしてもよい。
このようにして調製された本発明のフェノール樹脂成形材料を用いて、射出成形、直圧成形、トランスファー成形などの加熱加圧成形を行うことによって、成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、機械強度の低下が小さく、摺動特性に優れ、かつコストパフォーマンスにも優れていることから、自動車のエンジンルーム周辺部品などのような摺動部品に好適に使用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
配合成分として、以下のものを用いた。
(フェノール樹脂)
・ノボラック型フェノール樹脂、パナソニック株式会社製「PAR」、重量平均分子量3000、O/P比=1.0
・レゾール型フェノール樹脂、パナソニック株式会社製「AX−10」、重量平均分子量3000、ジメチレンエーテル型
(硬化剤)
ヘキサメチレンテトラミン
(潤滑性物質)
・表面処理によって水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子、販売元:株式会社平泉洋行、製造元:フルオロシール社、「インヘンスUH、HD」シリーズ、重量平均分子量3000000および平均粒子径20μm、30μm、45μm、180μm、重量平均分子量100000および平均粒子径20μm
・ポリエチレン粒子(表面処理なし)、三井化学(株)製「ミペロンXM−220」、重量平均分子量3000000、平均粒子径30μm
(硬化助剤)
水酸化カルシウム
(離型剤)
カルナバワックス
(顔料)
カーボンブラック
(繊維補強材)
ガラス繊維、日東紡績株式会社製「CS3E−479S」、繊維径12μm、繊維長3mm
以上の配合成分を表1に示すように所定量配合し、1分間混合した。次にこの混合物を2軸混練機で3分間、品温100〜110℃で混練した。その後、混練物を冷却粉砕し、造粒してフェノール樹脂成形材料を得た。
このようにして得られたフェノール樹脂成形材料を用いて次の評価を行った。
[曲げ強さ、曲げ弾性率]
射出成形(成形温度165℃、硬化時間90秒)により、JIS K6911に準じて試験片を作製した(試験片は180℃×8hアフターベーキング有)。このテストピースを用いて、JIS K6911に準拠して曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した。
[摺動磨耗試験]
以下の条件にて円柱状樹脂試験片を作製した。
金型:目的の形状の試験片金型(直圧成形)
成形条件:金型温度165℃、圧力10MPa、硬化時間180秒
形状:φ100mm×3mm
180℃×8h アニール処理有り
上記条件で作製した円柱状樹脂試験片(ロータ、φ100mm×3mm)が、試験片上部で角板状試験片(ステータ、アルミニウムA5052、42mm×18mm×4mm)に接触し、荷重1.2kgが接触部に均一にかかるようにした。そしてロータを常温、60rpmで5h回転させた後のロータ(樹脂成形品)とステータ(アルミニウムA5052)の摩耗量を測定した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2013253148
表1より、潤滑性物質として表面に水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子を配合した実施例1〜8では、これを配合しない比較例1、3に比べて、比較的少量の配合でも摩耗を抑制し、摺動特性に優れていた。さらに機械特性(曲げ強さ、曲げ弾性率)も比較例1、3に比べて低下は小さかった。
表面処理をしていないポリエチレン粒子を配合した比較例2、4では、それ以外は同条件の実施例1、3に比べて、機械特性(曲げ強さ、曲げ弾性率)の低下は同程度であった。ところが、摩耗の抑制では実施例1〜8の方が比較例2、4よりも著しく優れていた。
以上の結果から、実施例1〜8の成形品は、ガラス繊維の代わりに比較的高価な炭素繊維やアラミド繊維を使用することを要せずとも、機械特性を満足しつつ摺動特性を大幅に向上させることができることが確認された。

Claims (5)

  1. フェノール樹脂、繊維補強材、および潤滑性物質を含有するフェノール樹脂成形材料であって、前記潤滑性物質として表面に水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
  2. 前記水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の含有量が前記フェノール樹脂成形材料の全量に対して1〜8質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
  3. 前記水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の重量平均分子量が100000〜5000000の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料。
  4. 前記水酸基およびカルボキシル基が導入されたポリエチレン粒子の平均粒子径が5〜350μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料の硬化物により形成されていることを特徴とする成形品。
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