JP2013509194A - Ax213およびax132pcsk9アンタゴニストおよびバリアント - Google Patents
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Abstract
ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン−ケキシン9型(「PCSK9」)のアンタゴニストを開示する。開示したアンタゴニストは、PCSK9機能の阻害に有効であり、したがって、PCSK9活性と関連している病状の処置における使用のための望ましいアンタゴニストを提示する。また、本発明は、前記アンタゴニストをコードする核酸、ベクター、宿主細胞、および該アンタゴニストを含む組成物を開示する。また、PCSK9特異的アンタゴニストの作製方法、ならびにPCSK9機能を阻害またはアンタゴナイズするための該アンタゴニストの使用方法も開示され、本開示の重要なさらなる態様を構成する。
Description
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マイクロフィッシュ付属物の参照
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プロタンパク質転換酵素スブチリシン−ケキシン9型(以下、本明細書において「PCSK9」という)は、神経アポトーシス調節転換酵素1(「NARC−1」)としても知られており、分泌性スブチラーゼファミリーの9番目の構成員として同定されたプロテイナーゼK様スブチラーゼである;Seidahら,2003 PNAS 100:928−933参照。PCSK9の遺伝子は、ヒト染色体Ip33−p34.3に位置している;Seidahら(上掲)。PCSK9は、増殖と分化が可能な細胞、例えば、肝細胞、腎臓間葉細胞、回腸、および結腸上皮ならびに胚の脳の終脳神経単位などにおいて発現される;Seidahら(上掲)。
PCSK9の最初の合成体は、約72kDaの不活性な酵素前駆体あるいはチモーゲンの形態であり、これは、小胞体(「ER」)内で自己触媒性の細胞内プロセッシングを受け、機能体を活性化させる。この内部プロセッシング事象は、SSVFAQ↓SIPWNL158モチーフ(それぞれ、配列番号:19および20)で起こると報告されている;Benjannetら,2004 J.Biol.Chem.279:48865−48875。かかる内部プロセッシングは、ERからの逸出に必要であると報告されている;Benjannetら(上掲);Seidahら(上掲)。切断され、それにより活性化された該タンパク質は、その切断ペプチドと会合した状態で分泌される(上掲)。
ヒトPCSK9の配列(約22kb長で、692個のアミノ酸のタンパク質をコードする12個エキソンを有する)は、一例において、寄託番号NP_777596.2に見られるものであり得る。ヒト、マウスおよびラットのPCSK9の核酸配列は寄託されている。例えば、それぞれ、GenBank受託番号:AX21327530(また、AX207686)、NP_705793(また、Q80W65)、およびP59996を参照のこと。PCSK9は、他のプロタンパク質転換酵素にも見られるいくつかのドメイン、例えば、N末端シグナル配列、プロドメイン、触媒性ドメインおよびシステインリッチC末端ドメインを有する。PCSK9の触媒性ドメインは、スブチラーゼのプロテイナーゼKファミリーとの高い配列類似性ならびに、注目すべきことに、触媒性トライアッドD186、H226およびS386を共有している。
PCSK9は、いくつかの特許公開公報に開示および/または特許請求されている(限定されないが、以下の:PCT国際公開第01/31007号、同第01/57081号、同第02/14358号、同第01/98468号、同第02/102993号、同第02/102994号、同第02/46383号、同第02/90526号、同第01/77137号、および同第01/34768号、米国特許出願公開第2004/0009553号および同第2003/0119038号、ならびに欧州特許第1440981号明細書、同第1067182号明細書および同第1471152号明細書が挙げられる)。
PCSK9は、肝細胞および神経単位細胞の分化において役割を果たしており(Seidahら(上掲))、胚肝臓において高度に発現され、コレステロールの恒常性に強く関与している。試験により、コレステロールの生合成または取込みにおけるPCSK9の具体的な役割が示唆されている。コレステロール給餌ラットの試験において、Maxwellらにより、PCSK9が、コレステロールの生合成に関与している3つの他の遺伝子と同様の様式で下方調節されることが見い出された(Maxwellら,2003 J.Lipid Res.44:2109−2119)。実際、PCSK9の発現は、コレステロールの代謝に関与している他の遺伝子の場合で見られるように、ステロール調節エレメント結合タンパク質(「SREBP」)によって調節されることが示されている(上掲)。後に、この所見は、PCSK9の転写調節試験によって裏付けられ、該試験により、かかる調節が、リポタンパク質の代謝に関与している他の遺伝子にかなり典型的なものであることが示された;Dubucら,2004 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol 24:1454−1459。スタチンは、PCSK9発現を、該薬物のコレステロール低下効果に起因する様式で上方調節することが示されている(上掲)。さらに、PCSK9プロモーターは、コレステロールの調節に関与している2つの保存された部位、ステロール調節エレメントとSpl部位を有することが示されている(上掲)。
いくつかの一連の証拠により、PCSK9は、特に、肝LDLRタンパク質の量を低下させ、したがって、肝臓が循環系からLDLコレステロールを除去する能力を障害することが示されている。マウスの肝臓においてPCSK9のアデノウイルス媒介性過剰発現を行うと、肝LDLRタンパク質が劇的に減少するため(LDLR mRNAレベルに対する影響はない)、循環LDL−Cの蓄積がもたらされる;Benjannetら,2004 J.Biol Chem.279:48865−48875;Maxwell & Breslow,2004 PNAS 101:7100−7105;Parkら,2004 J.Biol Chem.279:50630−50638;およびLalanneら,2005 J.Lipid Res.46:1312−1319。マウスにおける循環LDL−Cレベルの上昇に対するPCSK9過剰発現の効果は、完全にLDLRの発現に依存性であり、これによっても、PCSK9によるLDL−Cの調節がLDLRタンパク質の下方調節によって媒介されていることが示される。この所見と整合して、PCSK9欠損マウスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害薬によってPCSK9 mRNAを低下させたマウスは、肝LDLRタンパク質レベルが高くなり、循環LDL−Cのクリアランス能力が大きくなる;Rashidら,2005 PNAS 102:5374−5379;およびGrahamら,2007 J.Lipid Res.48(4):763−767。また、培養ヒト肝細胞において、siRNAによりPCSK9レベルを低下させても、より高いLDLRタンパク質レベルおよびLDL−C取込み能力の増大がもたらされる;Benjannetら,2004 J.Biol Chem.279:48865−48875;およびLalanneら,2005 J.Lipid Res.46:1312−1319。総合すると、これらのデータは、PCSK9の作用により、LDLRタンパク質レベルを低下させることによってLDL−Cの増大がもたらされることを示す。
また、PCSK9の遺伝子におけるいくつかの変異も、確定的に、常染色体優性高コレステロール血症(「ADH」)(血漿中の低密度リポタンパク質(「LDL」)粒子の著しい上昇(これは、早発心血管不全に至ることがあり得る)を特徴とする遺伝性の代謝障害)と関連している;Abifadelら,2003 Nature Genetics 34:154−156;Timmsら,2004 Hum.Genet.114:349−353;Leren,2004 Clin.Genet.65:419−422参照。後に公表されたAbifadelらのS127R変異に関する試験(上掲)により、かかる変異を保有している患者は、(1)apoB100含有リポタンパク質(低密度リポタンパク質(「LDL」)、極低密度リポタンパク質(「VLDL」)および中密度リポタンパク質(「IDL」)など)の過剰産生、ならびに(2)随伴する前記リポタンパク質のクリアランスまたは変換の低減(Ouguerramら,2004 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.24:1448−1453)に起因する、高い血漿中総コレステロールおよびapoB100を示すことが報告された。
したがって、PCSK9がLDLの調節に役割を果たしていることは疑いの余地がない。PCSK9の発現または上方調節は、LDLコレステロールの血漿レベルの増大と関連し、対応するPCSK9の発現の阻害または欠如は、LDLコレステロールの血漿レベルの低減と関連する。PCSK9における配列変異と関連しているLDLコレステロールレベルの減少により、冠動脈性心疾患に対する保護がもたらされることがわかっている;Cohen,2006 N.Engl.J.Med.354:1264−1272。
心血管罹病の処置に有効な化合物および/または薬剤の同定は非常に望ましい。臨床試験において、LDLコレステロールレベルの低減は、冠動脈性事象の割合と直接関連している;Lawら,2003 BMJ326:1423−1427。これより最近に、血漿LDLコレステロールレベルを生涯にわたって穏やかに低減させることは、冠動脈性事象の発生率の相当な低減と相関することがわかった;Cohenら(上掲)。これは、非脂質関連の心血管リスクファクターの有病率が高い集団においてもそうである;上掲。したがって、LDLコレステロールレベルのコントロールのマネージメントにより、大きな有益性が得られることになる。
本発明は、種々の治療条件におけるPCSK9の活性およびそれに対応するPCSK9が果たす役割の阻害するための使用についてPCSK9のアンタゴニストを提供することにより、このような利益を高めるものである。
Seidahら,2003 PNAS 100:928−933
Benjannetら,2004 J.Biol.Chem.279:48865−48875
Maxwellら,2003 J.Lipid Res.44:2109−2119
Dubucら,2004 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol 24:1454−1459
Maxwell & Breslow,2004 PNAS 101:7100−7105
Parkら,2004 J.Biol Chem.279:50630−50638
Lalanneら,2005 J.Lipid Res.46:1312−1319
Rashidら,2005 PNAS 102:5374−5379
Grahamら,2007 J.Lipid Res.48(4):763−767
Abifadelら,2003 Nature Genetics 34:154−156
Timmsら,2004 Hum.Genet.114:349−353
本発明は、PCSK9タンパク質特異的アンタゴニスト、具体的な実施形態では、ヒトPCSK9を阻害するアンタゴニストに関する。広義には、PCSK9タンパク質特異的アンタゴニスト(または本明細書において「PCSK9特異的アンタゴニスト」という)は、PCSK9タンパク質結合分子、または選択的なPCSK9結合およびPCSK9機能阻害に有効な分子である。具体的な実施形態において、本発明は、高い親和性および治療上の観点から所望される特性を有するモノクローナル抗体バリアントに関する。このような分子は、PCSK9機能と関連している病状または該機能の影響を受ける病状、例えば限定されないが、高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群および関連病状の処置において重要である。PCSK9特異的アンタゴニストは、PCSK9に対する選択的な認識および結合を特徴とする。PCSK9特異的アンタゴニストは、該アンタゴニストが、PCSK9特異的結合成分に対してさらなる明確な特異性が付与されるように補給または設計される特定の場合以外、PCSK9以外のタンパク質には有意な結合を示さない。
本明細書における具体的な実施形態を構成するPCSK9特異的アンタゴニストは、(a)配列番号:1〜5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13〜63、15アミノ酸長である前述の配列の残基4〜12、ならびに、PCSK9に対する特異性を50%より大きく(特定の実施形態では、60%、70%、80%および90%より大きく)低下させない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体(equivalent)からなる群より選択される配列を含む(選択された実施形態では、該配列からなる)CDR3ドメインを含む重鎖可変領域、および/または(b)配列番号:295〜301、配列番号:303、配列番号:305〜334、16アミノ酸長である前述の配列の残基4〜13、ならびに、PCSK9に対する特異性を50%より大きく(特定の実施形態では、60%、70%、80%および90%より大きく)低下させない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体からなる群より選択される配列を含む(選択された実施形態では、該配列からなる)CDR3ドメインを含む軽鎖可変領域を含むものである。
本明細書におけるさらなる実施形態を構成するPCSK9特異的アンタゴニストは、(a)配列番号:64〜68、配列番号:70、配列番号:72、配列番号:74、配列番号:76〜182、23アミノ酸長である前述の配列の残基4〜20、ならびに、PCSK9に対する特異性を50%より大きく(特定の実施形態では、60%、70%、80%および90%より大きく)低下させない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体からなる群より選択される配列を含む(選択された実施形態では、該配列からなる)CDR2ドメインを含む重鎖可変領域、および/または(b)配列番号:335〜339、配列番号:341、配列番号:343〜346、13アミノ酸長である前述の配列の残基4〜10、ならびに、PCSK9に対する特異性を50%より大きく(特定の実施形態では、60%、70%、80%および90%より大きく)低下させない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体からなる群より選択される配列を含む(選択された実施形態では、該配列からなる)CDR2ドメインを含む軽鎖可変領域を含むものである。
特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1.2×10−6M以下のKDで結合するものである。より特定の実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1×10−7M以下のKDで結合するものである。さらなる実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1×10−8M以下のKDで結合するものである。さらなる実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、5×10−9M以下または1×10−9M以下のKDで結合するものである。選択された実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1×10−10M以下のKD、1×10−11M以下のKD、または1×10−12M以下のKDで結合するものである。特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストはPCSK9以外のタンパク質に、PCSK9に対する結合について示した上記のレベルで結合しないものである。
本発明の具体的な実施形態は、上記に規定したうちの1つのレベルのPCSK9に対する結合を示し、PCSK9に対する結合について、AX132および本明細書に記載のそのバリアントと競合するPCSK9特異的アンタゴニストを含む。AX132および開示したそのバリアント(本開示全体を通して示した本記載、配列および/または機能的限定に適合する任意の抗体分子として記載)は、本明細書における重要なPCSK9特異的アンタゴニストを構成する。
AX132抗体分子は、(i)配列番号:360または配列番号:361を含む重鎖可変領域(「VH」)、および(ii)配列番号:511を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含むことが特徴である。前記VHおよびVL領域は、それぞれ、VHの開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:189(または配列番号:191)をCDR1として、配列番号:68(または配列番号:70)をCDR2として、および配列番号:5(または配列番号:7)をCDR3として]、ならびにVL領域の開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:349(または配列番号:351)をCDR1として、配列番号:339(または配列番号:341)をCDR2として、および配列番号:301(または配列番号:303)をCDR3として]を含むものである。AX132抗体分子の例としては、限定されないが:(i)配列番号:554を含む軽鎖と、配列番号:552のアミノ酸1〜221(または配列番号:552)を含むアミノ酸を含むFd鎖を含むFab、(ii)配列番号:558を含む軽鎖と配列番号:556を含む重鎖を含む完全長抗体分子、および(iii)配列番号:560の発現によって生成される抗体が挙げられる。
AX213抗体分子は、本明細書に記載の特異的バリアントの一例であり、(i)配列番号:362または配列番号:363を含む重鎖可変領域(「VH」)、および(ii)配列番号:511を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含むことが特徴である。前記VHおよびVL領域は、それぞれ、VHの開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:193(または配列番号:195)をCDR1として、配列番号:72(または配列番号:74)をCDR2として、および配列番号:9(または配列番号:11)をCDR3として)]、ならびにVL領域の開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:349(または配列番号:351)をCDR1として、配列番号:339(または配列番号:341)をCDR2として、および配列番号:301(または配列番号:303)をCDR3として]を含むものである。AX213抗体分子の例としては、限定されないが:(i)配列番号:554を含む軽鎖と、配列番号:562のアミノ酸1〜221(または配列番号:562)を含むアミノ酸を含むFd鎖を含むFab、(ii)配列番号:566を含む軽鎖と配列番号:564を含む重鎖を含む完全長抗体分子、および(iii)配列番号:569の発現によって生成される抗体が挙げられる。
PCSK9特異的アンタゴニストは、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害、特に、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害に反作用するのに有効である。繰り返すが、本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニストにより、LDL取込みに対するPCSK9の効果の用量依存性阻害が示された。したがって、開示したPCSK9特異的アンタゴニストは、血漿LDLコレステロールレベルを低下させるのに重要である。また、開示したアンタゴニストは、種々の診断目的(例えば、PCSK9の検出および定量)にも有用性を有する。
具体的な実施形態において、本発明は、開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域、実質的に機能に影響を及ぼさない1つ以上のアミノ酸置換を有する前記領域の等価体を含む抗体分子、ならびにそのホモログを包含する。選択された実施形態は、開示したCDRドメインあるいは重鎖および/または軽鎖のCDRドメインの組、ならびに1つ以上のアミノ酸置換を有することが特徴であるかかるドメインの等価体を含む、単離されたPCSK9特異的アンタゴニストを含むものである。当業者には認識されるように、PCSK9をアンタゴナイズ(antagonize)する能力を保持しているPCSK9特異的アンタゴニストの断片が、種々のフレームワーク内に挿入され得る。例えば、米国特許第6,818,418号明細書およびそれに記載された参考文献(その全体の開示は引用により本明細書に組み込まれ、これらには、抗原結合に基づいて事前に選択した抗体ループをディスプレイするために使用され得る種々の骨格が論考されている)を参照のこと。択一例において、VLとVHをコードする遺伝子は、組換え法を用いて、例えば、VL領域とVH領域のペアが一価の分子(あるいは、単鎖Fv(「ScFV」)として知られている)を形成している単一のタンパク質鎖として生成させることが可能な合成リンカーを用いて接合され得る。例えば、Birdら,1988 Science 242:423−426、およびHustonら,1988 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。別の択一例では、VHとVLを2つの相互作用性ドメインと融合させ、Fab様分子(例えば、ccFv、Wangら,米国特許第6,833,441号明細書および同第7,429,652号明細書参照)が形成され得る。
PCSK−9特異的アンタゴニストおよび断片は、種々の非抗体系骨格の形態、例えば限定されないが、アビマー(Avidia)、DARPin(Molecular Partners)、Adnectin(Adnexus)、Anticalin(Pieris)およびAffibody(Affibody)であり得る。タンパク質結合のための択一的な骨格の使用は、科学文献において充分に認識されよう。例えば、Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:1−11を参照のこと。その開示は引用により本明細書に組み込まれる。
したがって、任意のPCSK9特異的アンタゴニスト、例えば、(i)開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR3配列(配列番号:1〜5、7、9、11、13〜63、および15アミノ酸長である前述の配列の残基4〜12から選択される重鎖可変領域のCDR3配列;配列番号:295〜301、303、305〜334、および16アミノ酸長である前述の配列の残基4〜13から選択される軽鎖可変領域のCDR3配列)、(ii)開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR2配列(配列番号:64〜68、70,72、74、76〜182、および23アミノ酸長である前述の配列の残基4〜20から選択される重鎖可変領域のCDR2配列;配列番号:335〜339、341、343〜346および13アミノ酸長である前述の配列の残基4〜10から選択される軽鎖可変領域のCDR2配列)、(iii)開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR1配列(配列番号:183〜189、191、193、195、197〜294、および16アミノ酸長である前述の配列の残基4〜13から選択される重鎖可変領域のCDR1配列;配列番号:347〜349、351、353〜359および17アミノ酸長である前述の配列の残基4〜14から選択される軽鎖可変領域のCDR1配列)、(iv)開示した重鎖の可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列または開示した軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列、(v)それぞれ、ヒト重鎖および/または軽鎖の配列の可変領域フレームワーク内の開示した重鎖および軽鎖CDRの完全相補鎖(CDR1、2および3)、あるいは(vi)開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域(配列番号:360〜510から選択される重鎖可変配列;配列番号:511〜549から選択される軽鎖可変配列)を含む抗体分子および非抗体系骨格は、本発明の重要な実施形態を構成し、該アンタゴニスト、抗体分子または骨格は、PCSK9に対する選択性を示し、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害に反作用する。
別の態様において、本発明は、開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸、具体的な実施形態では、開示した重鎖および軽鎖、開示した可変重鎖および軽鎖領域ならびにその選択された成分(例えば、CDR1、2および/または3)、特に、開示したそれぞれのCDR3またはCDR2領域を含むPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を提供する。別の態様において、本発明は、前記核酸を含むベクターを提供する。本発明は、さらに、開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む単離された細胞(1つまたは複数)を提供する。別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはベクターを含む単離された細胞(1つまたは複数)を提供する。
本発明は、本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニスト(例えば限定されないが、抗体、抗原結合断片、誘導体、前述の任意のものと別のポリペプチドとのキメラ分子、融合体、またはPCSK9に特異的に結合することができ、開示した配列を含む択一的な構造体/組成物)の作製方法を提供する。該方法は、(i)PCSK9特異的アンタゴニスト(1種類または複数種)をコードする核酸を含む、あるいはその1種類以上の成分をコードする個々の核酸(前記核酸は、発現されると、集合的に該アンタゴニスト(1種類または複数種)を生成させる)を含む細胞を、PCSK9特異的アンタゴニスト(1種類または複数種)の発現および/またはアセンブリが可能な条件下でインキュベートすること、ならびに(ii)前記アンタゴニスト(1種類または複数種)を該細胞から単離することを含む。また、当業者は、標準的な組換えDNA手法の使用によっても同様に、本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストを取得することができよう。
本発明は、PCSK9を発現する(またはヒトPCSK9で処理した、もしくはヒトPCSK9を内包している)対象の細胞、細胞集団または組織試料を本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストと、前記アンタゴニストがPCSK9に結合することが可能な条件下で接触させることを含む、PCSK9の活性もしくは機能またはPCSK9の顕明な効果をアンタゴナイズする方法を提供する。本発明の特定の実施形態は、細胞がヒト細胞である、かかる方法を含む。さらなる実施形態は、細胞がヒト由来PCSK9を発現するものである。
別の態様において、本発明は、PCSK9活性と関連している病状、またはPCSK9の機能発揮が特定の被検体に対して禁忌である病状を示す被検体において、PCSK9の活性もしくは機能またはPCSK9の顕明な効果をアンタゴナイズする方法であって、該被検体に、医薬組成物または他の組成物にて治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む方法を提供する。
したがって、本発明は、PCSK9活性と関連している病状、またはPCSK9の機能発揮が特定の被検体に対して禁忌である病状の処置方法であって、該被検体に、医薬組成物または他の組成物にて治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む方法を包含する。選択された実施形態では、該病状は、高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群または関連病状である。
特定の実施形態において、本発明は、本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストを含む治療有効量の医薬組成物または他の組成物を送達することを含む、開示したPCSK9特異的アンタゴニストを被検体に投与する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容され得る担体(例えば、限定されないが、賦形剤、希釈剤、安定剤、緩衝剤、または処置対象の個体に所望される量の該アンタゴニストの投与が助長されるように設計された択一的物質)を含むことが特徴である、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを含む医薬組成物または他の組成物を提供する。
以下の表に、本出願書類において論考する配列の一般的概要を示す。配列表(注釈、配列および特徴すべて含む)は、本出願書類の開示の明白な一部分を構成する。
本発明は、PCSK9タンパク質特異的アンタゴニスト、具体的な実施形態では、ヒトPCSK9を阻害するアンタゴニストに関する。本発明によるPCSK9タンパク質特異的アンタゴニスト(または「PCSK9特異的アンタゴニスト」)は、PCSK9機能に対する選択的な結合および阻害に有効であり、したがって、PCSK9機能と関連しているか、または該機能に影響される病状、例えば限定されないが、高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群および関連病状の処置に重要である。用語「アンタゴニスト」の使用は、主題の分子がPCSK9の機能発揮をアンタゴナイズすることができることをいう。用語「アンタゴナイズすること」またはその派生語の使用は、PCSK9の1つ以上の機能に対抗する、反作用する、阻害する、中和する、または縮小する作用をいう。本明細書におけるPCSK9機能またはPCSK9活性に対する言及は、PCSK9によって駆動される、必要とされる、または増悪する、もしくは向上する任意の機能または活性をいう。本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニストは、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害に反作用するのに有効であることが証明された。
本発明の重要な一実施形態は、AX132抗体分子およびそのバリアントに関する。本発明の特定の実施形態は、(i)配列番号:360または配列番号:361を含む、または該配列番号からなる重鎖可変領域(「VH」)、および(ii)配列番号:511を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含むことが特徴であるAX132抗体分子を含む。前記VHおよびVL領域は、それぞれ、VHの開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:189(または配列番号:191)をCDR1として、配列番号:68(または配列番号:70)をCDR2として、および配列番号:5(または配列番号:7)をCDR3として]、ならびにVL領域の開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:349(または配列番号:351)をCDR1として、配列番号:339(または配列番号:341)をCDR2として、および配列番号:301(または配列番号:303)をCDR3として]を含むものである。AX132抗体分子の例としては、限定されないが:(i)配列番号:554を含む軽鎖と、配列番号:552のアミノ酸1〜221(または配列番号:552)を含むアミノ酸を含むFd鎖を含むFab、(ii)配列番号:558を含む軽鎖と配列番号:556を含む重鎖を含む完全長抗体分子、および(iii)配列番号:560の発現によって生成される抗体が挙げられる。
特定の実施形態において、AX132バリアントは、連続的に順に、重鎖または軽鎖の一方または両方の:(a)フレームワーク1(FR1)配列、(b)CDR1配列、(c)フレームワーク2(FR2)配列、(d)CDR2配列、(e)フレームワーク3(FR3)配列、(f)CDR3配列、および(g)フレームワーク4(FR4)配列を含むものである。特定の実施形態において、重鎖は、連続的に順に:(a)配列番号:583のFR1配列、(b)配列番号:183、185、187、189、193、および197〜294からなる群より選択されるCDR1配列、(c)配列番号:584のFR2配列、(d)配列番号:64、66、68、72、および76〜182からなる群より選択されるCDR2配列、(e)配列番号:585のFR3配列、(f)配列番号:1、3、5、9、および13〜63からなる群より選択されるCDR3配列、ならびに(g)FR4配列 配列番号:586を含むものである。特定の実施形態において、軽鎖は、連続的に順に:(a)配列番号:587のFR1配列、(b)配列番号:347、349および353〜359からなる群より選択されるCDR1配列、(c)配列番号:588のFR2配列、(d)配列番号:335、337、339、および3430〜346からなる群より選択されるCDR2配列、(e)配列番号:589のFR3配列、(f)配列番号:295、297、299、301、および305〜334からなる群より選択されるCDR3配列、ならびに(g)配列番号:590のFR4配列を含むものである。本発明は、上記の重鎖と軽鎖の両方並びに、PCSK9に対する特異性を50%より大きく(特定の実施形態では、60%、70%、80%および90%より大きく)低減させない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を有する(have)抗体分子を含む。選択される例示的なAX132抗体の群は、限定されないが、本明細書において開示するPCSK9特異的アンタゴニストがヒトPCSK9を有効に阻害することを実証するものである。
具体的なAX132バリアントの一例はAX213である。AX213抗体分子は、(i)配列番号:362または配列番号:363を含む重鎖可変領域(「VH」)、および(ii)配列番号:511を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含むことが特徴である。前記VHおよびVL領域は、それぞれ、VHの開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:193(または配列番号:195)をCDR1として、配列番号:72(または配列番号:74)をCDR2として、および配列番号:9(または配列番号:11)をCDR3として)]、ならびにVL領域の開示したCDR1、2および3の完全相補鎖[配列番号:349(または配列番号:351)をCDR1として、配列番号:339(または配列番号:341)をCDR2として、および配列番号:301(または配列番号:303)をCDR3として]を含むものである。AX213抗体分子の例としては、限定されないが:(i)配列番号:554を含む軽鎖と、配列番号:562のアミノ酸1〜221(または配列番号:562)を含むアミノ酸を含むFd鎖を含むFab、(ii)配列番号:566を含む軽鎖と配列番号:564を含む重鎖を含む完全長抗体分子、および(iii)配列番号:569の発現によって生成される抗体が挙げられる。
本明細書において想到および開示されるCDRの規定は、Abmaxisのインシリコプログラム(Luoら,米国特許第7,117,096号明細書および米国特許出願公開第2004/0010376号または国際公開第03/099999号)を用いて規定した。しかしながら、CDR配列の始点および終点を表記および規定するのに種々の他の方法も利用可能であることに注意されたい(限定されないが、Kabat,1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication no.91−3242 U.S.Department of Health and Human Services;Clothiaら,1987 J.Mol.Biol.196:901−917;Clothiaら,1989 Nature 342:877−883;Lefranc,1997 Immunol.Today,18:509;およびChenら,1999 J.Mol.Biol.293:865−881が挙げられる)。これらおよび他の方法は検証されており、充分に当業者が有する技能の範囲内のものである。例えば、Honegger & Pluckthun,2001 J.Mol.Biol.309:657−670を参照のこと。本発明者は、CDRを規定するのにAbmaxisプログラムを使用したが、本発明は、任意の異なる解析ソフトウェアまたは方法の使用によって想到される配列上の異なる規定および種々のCDR表示法も充分に包含する。例えば、CDRを、エピトープに結合する抗体分子の成分または抗原結合に関与する抗体分子の成分として規定してもよい。CDRは、5〜20個のアミノ酸を含むものであり得る。具体的な実施形態において、CDRは、さらに、CDRの各辺のフレームワーク領域内に2〜6個のフランキングアミノ酸を含むものであり得る。上記の方法およびそれによる本開示の配列に基づくCDR規定は、充分に本開示の範囲内であり、本明細書において予測される。
また、PCSK9特異的分子は、PCSK9の検出および定量において種々の診断目的の有用性を有するものである。
開示したPCSK9特異的アンタゴニストは、さらに、選択された実施形態で、プロセッシングされたPCSK9(PCSK9の活性形態)の優先的認識が明示された点において特殊である。
本明細書において開示するPCSK9特異的アンタゴニストは、血漿LDLコレステロールレベルを低下させるための望ましい分子であり、商業上または飼育上、獣医学的に重要な任意の霊長類、哺乳動物または脊椎動物に有用である。また、PCSK9特異的アンタゴニストは、LDL受容体を有する任意の細胞集団または組織集団において、PCSK9の活性を阻害するためにも同様に有用である。開示したアンタゴニストの有用性は、当業者に容易に利用可能なアッセイによって直接測定可能である。LDL取込みを測定するための手段は文献に記載されている。例えば、Barak & Webb、1981 J.Cell Biol.90:595−604、およびStephan & Yurachek,1993 J.Lipid Res.34:325330を参照のこと。また、血漿中のLDLコレステロールを測定するための手段は文献に充分に記載されている。例えば、McNamaraら,2006 Clinica Chimica Acta 369:158−167を参照のこと。また、細胞内LDL取込みに対する開示したアンタゴニストの具体的な影響は、精製PCSK9および標識LDL粒子を細胞試料に供給すること、PCSK9アンタゴニストを該細胞試料に供給すること、前記細胞試料を、該細胞によるLDL粒子取込みが可能であることが充分な期間、インキュベートすること、該細胞内に組み込まれた標識の量を定量すること、ならびにPCSK9を単独で投与した場合に観察される量と比べて、該細胞によって取り込まれる定量対象の標識の量の増大をもたらすアンタゴニストを同定することを含む方法によって測定され得る。開示したアンタゴニストの影響を測定するためのさらなる方法は、精製PCSK9および標識LDL粒子を細胞試料に供給すること、PCSK9アンタゴニストを該細胞試料に供給すること、前記細胞試料を、該細胞によるLDL粒子取込みが可能であることが充分な期間、インキュベートすること、該細胞試料の細胞を、上清み(supernate)を除去することにより単離すること、標識LDL粒子の非特異的会合を低減させること(プレート、細胞またはLDL受容体以外の任意のもののいずれに対するものであれ)、該細胞を溶解させること、細胞ライセート中に保持され標識の量を定量すること、ならびにPCSK9を単独で投与した場合に観察される量と比べて、該細胞によって取り込まれた定量対象の標識の量の増大をもたらすアンタゴニストを同定することを含むものである。定量される標識量の増大をもたらすアンタゴニストはPCSK9アンタゴニストである。
LDL受容体を有する任意の型の細胞が上記の方法において使用され得、限定されないが、HEK細胞、HepG2細胞、およびCHO細胞が挙げられる。任意の供給源に由来するLDL粒子が、上記のアッセイにおいて有用である。具体的なアッセイにおいて、LDL粒子は血液由来の新鮮粒子である。これは、当業者に利用可能な任意の方法、例えば限定されないが、Havelら,1955 J.Clin.Invest.34:1345−1353の方法によって行われ得る。LDL粒子は蛍光で標識され得る。標識LDL粒子には、その内部に、可視光波長励起フルオロフォア3,3’−ジオクタデシルインドカルボシアニンアイオダイド(dil(3))が組み込まれ、高度に蛍光性のLDL誘導体dil(3)−LDLが形成され得る。当業者が細胞ライセート中のLDLを検出することが可能な任意の標識が使用され得る。細胞内で代謝された場合、または例えば、インターナリゼーション状態になる過程で他の分子と会合(または他の分子から解離)状態になった場合(例えば、LDLアナログが二次フルオロ体(fluor)と会合状態あるいはクエンチャーから解離状態になり得るFRETアッセイ)にのみ検出可能となる(例えば、異なる波長で蛍光性となるまたは蛍光を発するなど)LDLアナログを使用してもよい。標識LDL粒子のインターナリゼーションを検出するための当該技術分野で利用可能な任意の手段が使用され得る。LDL粒子およびPCSK9と細胞とのインキュベーション時間は、細胞によるLDL粒子取込みが可能な充分な時間量である。この時間は、5分間〜360分間の範囲内であり得る。細胞に添加されるPCSK9の濃度は1nM〜5μΜの範囲、特定の方法では0.1nM〜3μΜの範囲であり得る。当業者が具体的なPCSK9タンパク質の様々な濃度を測定することができる特定の手段の一例は、LDL取込みアッセイにおいて用量応答曲線を作成することである。LDL取込みの最大減損近くまで進むが、なお用量応答曲線の線形範囲内であるPCSK9濃度が選択され得る。典型的には、この濃度は用量応答曲線から抽出したタンパク質のEC−50の約5倍である。この濃度はタンパク質により異なり得る。
広義には、本明細書において規定するPCSK9特異的アンタゴニストは、PCSK9を選択的に認識して特異的に結合するものである。抗体は、典型的には、解離定数が≦1μΜ、好ましくは≦100nM、最も好ましくは、≦10nMである場合、抗原に特異的に結合するといわれる。本明細書における用語「選択的」または「特異的」の使用は、さらに、開示したアンタゴニストがPSCK9以外のタンパク質に対して有意な結合を示さないことをいうが、該アンタゴニストが、PCSK9特異的結合部分にさらなる明確な特異性を付与する(例えば、分子が2種類の分子に結合するように、または2つの機能を奏功する(そのうち少なくとも1つはPCSK9に特異的に結合する)ように設計された二重特異性または二官能性分子の場合)ために補給または設計される特定の場合は除く。特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1.2×10−6M以下のKDで結合するものである。より特定の実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、5×10−7M以下、2×10−7M以下または1×10−7M以下のKDで結合するものである。さらなる実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1×10−8M以下のKDで結合するものである。さらなる実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、5×10−9M以下または1×10−9M以下のKDで結合するものである。選択された実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストはヒトPCSK9に、1×10−10M以下のKD、1×10−11M以下のKD、または1×10−12M以下のKDで結合するものである。特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストは、PCSK9以外のタンパク質に上記のKDで結合しないものである。KDは、Ka(具体的な結合分子−標的タンパク質相互作用の会合速度)に対するKd(具体的な結合分子−標的タンパク質相互作用の解離速度)の比率から得られる解離定数、またはモル濃度(M)で示されるKd/Kaをいう。KD値は、当該技術分野で充分確立された方法を用いて求めることができる。結合分子のKDを求めるための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴の使用、例えば、バイオセンサーシステムBiacoreTM(GE Healthcare Life Sciences)システムなど)を使用することである。
本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストは、LDL取込みに対するヒトPCSK9依存性効果を用量依存的に阻害することが示された。したがって、本明細書において開示するPCSK9特異的アンタゴニストは、細胞内へのLDL取込みのPCSK9依存性阻害に反作用する能力を特徴とする。このLDL受容体による細胞内へのLDLの取込みを、本明細書では「細胞内LDL取込み」と称する。特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストは細胞内へのLDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害に反作用する、または該阻害をアンタゴナイズし、1.0×10−6M未満、または(好ましい順に)1×10−7M未満、1×10−8M未満、1×10−9M未満、1×10−10M未満、1×10−11M未満および1×10−12M未満のIC50を示す。任意のPCSK9特異的アンタゴニストによる阻害の程度は、対照との統計学的比較にて、またはPCSK9機能に対する負の効果もしくは阻害を評価するための当該技術分野で利用可能な任意の択一的な方法(すなわち、PCSK9機能の拮抗作用を評価することができる任意の方法)によって定量的に測定され得る。特定の実施形態において、阻害は少なくとも約10%の阻害である。他の実施形態では、阻害は少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70,%、80%、90%、または95%である。したがって、このようなレベルのPCSK9機能阻害をもたらすことができるPCSK9特異的アンタゴニストは、本明細書における具体的な実施形態を構成する。特定の実施形態では、被検体に投与されると、LDLを少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%およびそれより大きく低下させる記載のPCSK9アンタゴニストを提供する。特定の実施形態において、PCSK9アンタゴニストは、LDLを該レベルで、少なくとも7日間、10日間、15日間、20日間、25日間、30日間、35日間、40日間およびそれより長期間低下させるものである。具体的な実施形態において、低下される割合は10、15、20および25%で20、30または40日間以上にわたる。具体的な実施形態は、25%以上の低下を40日間以上にわたってもたらすものである(例えば、実施例19および図17参照)。また、特定の実施形態では、ヒトFcRnに、およそpH6.0で結合し、およそpH7.3で解離するPCSK9特異的アンタゴニストを提供する(例えば、実施例17および図14〜15参照)。具体的な実施形態は、開示したPCSK9特異的アンタゴニストが中性pHで<5%(特定の実施形態では、3%未満または1%未満)の解離を示すものである。解離(または結合分の%)は、実施例17に記載のようにして計算され得る。また、特定の実施形態では、マウスにおいて50、60、70、80、90または95時間より長い半減期を有する本明細書に記載のPCSK−9特異的アンタゴニストを提供する(例えば、実施例18および図16参照)。具体的な実施形態では、霊長類において50、60、70、80、90、100、110、120、130、140および145時間より長い半減期を有するPCSK9特異的アンタゴニストを提供する(例えば、実施例18参照)。また、本発明は、特定の実施形態において、45℃での1週間のストレス後(実施例20に記載のものと同様の条件下)、pH5、6、7または8のバッファー中で、本質的にオリゴマー、高次凝集塊の増大がなく、クリッピングを示さないPCSK9特異的アンタゴニストを提供する(例えば、実施例20および表13参照)。特定の実施形態において、上記の効果は、ヒトおよび非ヒト霊長類(または特別な指定されたマウス)において見られるものである。特定の実施形態において、上記の効果は静脈内または皮下投与後に見られる。
本明細書によるPCSK9特異的アンタゴニストは、ヒトPCSK9タンパク質に特異的に結合する任意の結合分子であり得、限定されないが、以下のものが挙げられる。以下に定義する抗体分子、任意のPCSK9特異的結合構造、PCSK9に特異的に結合する任意のポリペプチドまたは核酸構造、および
種々のタンパク質骨格内に組み込まれる前述の任意のもの、例えば限定されないが、種々の非抗体系骨格、およびPCSK9に対する選択的結合をもたらす、または該選択的結合を可能にすることができる種々の構造、例えば限定されないが、小モジュール免疫薬(または「SMIP」;Haan & Maggos,2004 Biocentury Jan 26参照);免疫タンパク質(例えば、Chakら,1996 Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:6437−6442参照);シトクロムb562(KuおよびSchultz,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6552−6556参照);ペプチドα2p8(Bartheら,2000 Protein Sci.9:942−955参照);アビマー(Avidia;Silvermanら,2005 Nat.Biotechnol.23:1556−1561参照);DARPin(Molecular Partners;Binzら,2003 J.Mol.Biol.332:489−503参照;ならびにForrerら,2003 FEBS Lett.539:2−6);テトラネクチン(Kastrupら,1998 Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.54:757−766参照);アドネクチン(Adnexus;Xuら,2002 Chem.Biol.9:933−942参照)、アンチカリン(Pieris;Vogt & Skerra,2004 Chemobiochem.5:191−199;Besteら,1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:1898−1903;Lamla & Erdmann,2003 J.Mol.Biol.329:381−388;およびLamla & Erdmann,2004 Protein Expr.Purif.33:39−47参照);A−ドメインタンパク質(North & Blacklow,1999 Biochemistry 38:3926−3935参照)、リポカリン(Schlehuber & Skerra,2005 Drug Discov.Today 10:23−33参照);リピート−モチーフタンパク質、例えば、アンキリンリピートタンパク質(Sedgwick & Smerdon,1999 Trends Biochem.Sci.24:311−316;Mosaviら,2002 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:16029−16034;およびBinzら,2004 Nat.Biotechnol.22:575−582参照);昆虫ディフェンシンA(Zhaoら,2004 Peptides 25:629−635参照);Kunitzドメイン(Robertsら,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2429−2433;Robertsら,1992 Gene 121:9−15;Dennis & Lazarus,1994 J.Biol.Chem.269:22129−22136;およびDennis & Lazarus,1994 J.Biol.Chem.269:22137−22144参照);PDZ−ドメイン(Schneiderら,1999 Nat.Biotechnol.17:170−175参照);サソリ毒素、例えば、カリブドトキシン(Vitaら,1998 Biopolymers 47:93−100参照);第10フィブロネクチンIII型ドメイン(または10Fn3;Koideら,1998 J.Mol Biol.284:1141−1151、およびXuら,2002 Chem.Biol.9:933−942参照);CTLA−4(細胞外ドメイン;Nuttallら,1999 Proteins 36:217−227;およびIrvingら,2001 J.Immunol.Methods 248:31−45参照);ノッティン(Knottin)(Souriauら,2005 Biochemistry 44:7143−7155およびLehtioら,2000 Proteins 41:316−322参照);ネオカルジノスタチン(Heydら,2003 Biochemistry 42:5674−5683参照);糖質結合モジュール4−2(CBM4−2;Cicortasら,2004 Protein Eng.Des.Sel.17:213−221参照);テンダミスタット(McConnell & Hoess,1995 J.Mol.Biol.250:460−470、およびLiら,2003 Protein Eng.16:65−72参照);T細胞受容体(Hollerら,2000 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5387−5392;Shustaら,2000 Nat.Biotechnol.18:754−759;およびLiら,2005 Nat.Biotechnol.23:349−354参照);アフィボディ(Affibody;Nordら,1995 Protein Eng.8:601−608;Nordら,1997 Nat.Biotechnol.15:772−777;Gunneriussonら,1999 Protein Eng.12:873−878参照);ならびに文献において認識される他の選択的結合タンパク質または骨格;例えば、Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:1−11;Gill & Damle,2006 Curr.Opin.Biotechnol.17:1−6;Hosseら,2006 Protein Science 15:14−27;Binzら,2005 Nat.Biotechnol.23:1257−1268;Heyら,2005 Trends in Biotechnol.23:514−522;Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:459−469;Nygren & Skerra,2004 J.Immunolog.Methods 290:3−28;Nygren & Uhlen,1997 Curr.Opin.Struct.Biol.7:463−469(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。抗体および抗原結合断片の使用は、文献において充分に定義され、理解されている。タンパク質結合のための択一的な骨格の使用も同様に、科学文献において充分に認識されており、例えば、Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:1−11;Gill & Damle,2006 Curr.Opin.Biotechnol.17:1−6;Hosseら,2006 Protein Science 15:14−27;Binzら,2005 Nat.Biotechnol.23:1257−1268;Heyら,2005 Trends in Biotechnol.23:514−522;Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:459−469;Nygren & Skerra,2004 J.Immunolog.Methods 290:3−28;Nygren & Uhlen,1997 Curr.Opin.Struct.Biol.7:463−469(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。したがって、PCSK9に対する選択性を示し、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害に反作用する本明細書による非抗体系骨格またはアンタゴニスト分子は、本発明の重要な実施形態を構成する。アプタマー(標的分子に選択的に結合することができる核酸またはペプチド分子)は、特定の例の1つである。これは、ランダム配列プールから選択され得るか、または天然の供給源から同定され得る(リボスイッチなど)。ペプチドアプタマー、核酸アプタマー(例えば、核酸構造、DNA系およびRNA系のどちらの構造も含む)ならびにデコイ核酸は、目的タンパク質の選択的な結合および阻害に有効であり得る。例えば、Hoppe−Seyler & Butz,2000 J.Mol.Med.78:426−430;Bockら,1992 Nature 355:564−566;Bunka & Stockley,2006 Nat.Rev.Microbiol.4:588−596;Martellら,2002 Molec.Ther.6:30−34;Jayasena,1999 Clin.Chem.45:1628−1650(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
種々のタンパク質骨格内に組み込まれる前述の任意のもの、例えば限定されないが、種々の非抗体系骨格、およびPCSK9に対する選択的結合をもたらす、または該選択的結合を可能にすることができる種々の構造、例えば限定されないが、小モジュール免疫薬(または「SMIP」;Haan & Maggos,2004 Biocentury Jan 26参照);免疫タンパク質(例えば、Chakら,1996 Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:6437−6442参照);シトクロムb562(KuおよびSchultz,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6552−6556参照);ペプチドα2p8(Bartheら,2000 Protein Sci.9:942−955参照);アビマー(Avidia;Silvermanら,2005 Nat.Biotechnol.23:1556−1561参照);DARPin(Molecular Partners;Binzら,2003 J.Mol.Biol.332:489−503参照;ならびにForrerら,2003 FEBS Lett.539:2−6);テトラネクチン(Kastrupら,1998 Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.54:757−766参照);アドネクチン(Adnexus;Xuら,2002 Chem.Biol.9:933−942参照)、アンチカリン(Pieris;Vogt & Skerra,2004 Chemobiochem.5:191−199;Besteら,1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:1898−1903;Lamla & Erdmann,2003 J.Mol.Biol.329:381−388;およびLamla & Erdmann,2004 Protein Expr.Purif.33:39−47参照);A−ドメインタンパク質(North & Blacklow,1999 Biochemistry 38:3926−3935参照)、リポカリン(Schlehuber & Skerra,2005 Drug Discov.Today 10:23−33参照);リピート−モチーフタンパク質、例えば、アンキリンリピートタンパク質(Sedgwick & Smerdon,1999 Trends Biochem.Sci.24:311−316;Mosaviら,2002 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:16029−16034;およびBinzら,2004 Nat.Biotechnol.22:575−582参照);昆虫ディフェンシンA(Zhaoら,2004 Peptides 25:629−635参照);Kunitzドメイン(Robertsら,1992 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2429−2433;Robertsら,1992 Gene 121:9−15;Dennis & Lazarus,1994 J.Biol.Chem.269:22129−22136;およびDennis & Lazarus,1994 J.Biol.Chem.269:22137−22144参照);PDZ−ドメイン(Schneiderら,1999 Nat.Biotechnol.17:170−175参照);サソリ毒素、例えば、カリブドトキシン(Vitaら,1998 Biopolymers 47:93−100参照);第10フィブロネクチンIII型ドメイン(または10Fn3;Koideら,1998 J.Mol Biol.284:1141−1151、およびXuら,2002 Chem.Biol.9:933−942参照);CTLA−4(細胞外ドメイン;Nuttallら,1999 Proteins 36:217−227;およびIrvingら,2001 J.Immunol.Methods 248:31−45参照);ノッティン(Knottin)(Souriauら,2005 Biochemistry 44:7143−7155およびLehtioら,2000 Proteins 41:316−322参照);ネオカルジノスタチン(Heydら,2003 Biochemistry 42:5674−5683参照);糖質結合モジュール4−2(CBM4−2;Cicortasら,2004 Protein Eng.Des.Sel.17:213−221参照);テンダミスタット(McConnell & Hoess,1995 J.Mol.Biol.250:460−470、およびLiら,2003 Protein Eng.16:65−72参照);T細胞受容体(Hollerら,2000 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:5387−5392;Shustaら,2000 Nat.Biotechnol.18:754−759;およびLiら,2005 Nat.Biotechnol.23:349−354参照);アフィボディ(Affibody;Nordら,1995 Protein Eng.8:601−608;Nordら,1997 Nat.Biotechnol.15:772−777;Gunneriussonら,1999 Protein Eng.12:873−878参照);ならびに文献において認識される他の選択的結合タンパク質または骨格;例えば、Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:1−11;Gill & Damle,2006 Curr.Opin.Biotechnol.17:1−6;Hosseら,2006 Protein Science 15:14−27;Binzら,2005 Nat.Biotechnol.23:1257−1268;Heyら,2005 Trends in Biotechnol.23:514−522;Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:459−469;Nygren & Skerra,2004 J.Immunolog.Methods 290:3−28;Nygren & Uhlen,1997 Curr.Opin.Struct.Biol.7:463−469(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。抗体および抗原結合断片の使用は、文献において充分に定義され、理解されている。タンパク質結合のための択一的な骨格の使用も同様に、科学文献において充分に認識されており、例えば、Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:1−11;Gill & Damle,2006 Curr.Opin.Biotechnol.17:1−6;Hosseら,2006 Protein Science 15:14−27;Binzら,2005 Nat.Biotechnol.23:1257−1268;Heyら,2005 Trends in Biotechnol.23:514−522;Binz & Pluckthun,2005 Curr.Opin.Biotech.16:459−469;Nygren & Skerra,2004 J.Immunolog.Methods 290:3−28;Nygren & Uhlen,1997 Curr.Opin.Struct.Biol.7:463−469(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。したがって、PCSK9に対する選択性を示し、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害に反作用する本明細書による非抗体系骨格またはアンタゴニスト分子は、本発明の重要な実施形態を構成する。アプタマー(標的分子に選択的に結合することができる核酸またはペプチド分子)は、特定の例の1つである。これは、ランダム配列プールから選択され得るか、または天然の供給源から同定され得る(リボスイッチなど)。ペプチドアプタマー、核酸アプタマー(例えば、核酸構造、DNA系およびRNA系のどちらの構造も含む)ならびにデコイ核酸は、目的タンパク質の選択的な結合および阻害に有効であり得る。例えば、Hoppe−Seyler & Butz,2000 J.Mol.Med.78:426−430;Bockら,1992 Nature 355:564−566;Bunka & Stockley,2006 Nat.Rev.Microbiol.4:588−596;Martellら,2002 Molec.Ther.6:30−34;Jayasena,1999 Clin.Chem.45:1628−1650(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
AX132 FAbとの複合体の状態のPCSK9の3次元構造(x線結晶学を用いて測定)により、SQYVGSYLN(配列番号:643)の配列を有する残基26〜34を含むこのFAbの軽鎖の線形配列が、LDLRのEGF−Aドメインとの結合のために使用されるPCSK9の表面との相互作用を特異的にしていることが明らかになった。この観察結果は、このアミノ酸配列を含むペプチド、非相同タンパク質、または他の存在体を設計し、使用すると、PCSK9とLDLR間の相互作用を特異的に破壊され得ることを示唆する。また、この配列より小さいサブセットも有用であり得、構造試験により、残基28〜32(YVGSY)(配列番号:644)が、PCSK9表面の特異的認識をもたらし得るかかる配列の最小部分のようであることが示唆されている。さらに、PCSK9:AX132 Fab複合体の結晶構造を使用すると、該結晶構造で観察されるものと同様の相互作用が具現化される新たな化学的存在体が合理的に設計され得る。したがって、配列番号:643または配列番号:644を含む(または本質的に該配列番号からなる)ポリペプチドまたはペプチドが本明細書において想定される。
AX132の有意な中和活性およびそのバリアントの活性を考慮すると、AX132またはそのバリアントの1つと同じ様式でPCSK9に結合する他のPCSK9特異的アンタゴニストが同定されることが重要であるのは明白である。アンタゴニスト、具体的には、AX132もしくはそのバリアントと同じ領域もしくはエピトープまたはオーバーラップエピトープに結合する抗体を同定する手段の一例は、競合アッセイまたは同様のアッセイによるものであり、この場合、候補抗体または結合分子は、該エピトープについてAX132(もしくはバリアント)と競合して勝る(out−compete)ものでなければらない。本明細書に包含される競合アンタゴニストは、阻害(すなわち、対照と比較してAX132(もしくはバリアント)への結合を抑制または干渉)する分子、あるいはAX132(もしくはバリアント)への結合を、好ましい順に少なくとも50%、60%、70%、および80%(さらに、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%)、AX132(もしくはバリアント)に対して1μΜ以下またはそのKD未満で低減させる分子、特に、(i)LDL受容体に対するPCSK9結合、(ii)細胞内へのPCSK9インターナリゼーション、または(iii)LDL受容体に対するPCSK9結合と細胞内へのPCSK9インターナリゼーションの両方をアンタゴナイズする分子である。結合構成員間の競合はインビトロで、例えば、ELISAを用いて、および/または溶液中で該抗体とPCSK9の相互作用をモニタリングすることにより容易にアッセイされ得る。解析を行うための厳密な手段は重要でない。PCSK9は、96ウェルプレートに固定化してもよく、均一な溶液中に入れてもよい。特定の実施形態において、非標識候補抗体(1種類または複数種)が標識AX132(もしくはバリアント)の結合をブロックする能力は、放射性、酵素または他の標識を用いて測定され得る。リバースアッセイでは、非標識抗体が標識AX132(もしくはバリアント)とPCSK9との相互作用(この場合、前記AX132(もしくはバリアント)とPCSK9は既に結合されている)を妨げる能力が測定される。特定の実施形態において、(i)PCSK9を標識AX132(もしくはバリアント)と接触させる、(ii)PCSK9を候補抗体または抗体プールと接触させる、および(iii)PCSK9とAX132(もしくはバリアント)間の複合体形成を中断または抑制することができる抗体が同定される。かかる例における読み出し情報は、結合標識の測定によるものである。AX132(もしくはバリアント)および候補抗体(1種類または複数種)は任意の順に、または同時に添加され得る。
上記のアッセイまたは他の適当なアッセイでAX132(もしくはバリアント)競合体と同定された抗体は、(i)LDL受容体に対するPCSK9結合、および/または(ii)細胞内へのPCSK9インターナリゼーションをアンタゴナイズまたは中和する能力について試験され得る。このようなパラメータは、本明細書において使用または記載しているものと同様のアッセイの使用によって測定され得る。特定の実施形態において、該競合抗体によって示される阻害は少なくとも約10%の阻害である。他の実施形態では、該阻害は少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%である。
本発明は、特に、PCSK9特異的アンタゴニスト、具体的には、AX132(もしくはバリアント)と同じエピトープまたはオーバーラップエピトープに選択的に結合して、PCSK9に対するAX132(またはバリアント)の結合を干渉するモノクローナル抗体分子(ならびに対応するそのアミノ酸および核酸配列)を包含する。AX132(もしくはバリアント)のエピトープまたはオーバーラップエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体は、(i)LDL受容体に対するPCSK9結合、(ii)細胞内へのPCSK9インターナリゼーション、または(iii)両方をアンタゴナイズまたは中和するものである。本明細書によるモノクローナル抗体分子は、インタクトな(完全体もしくは完全長)抗体、実質的にインタクトな抗体、または抗原結合部分を含む抗体の一部分または断片、例えば、マウス抗体またはキメラ抗体またはヒト化抗体またはヒト抗体のFab断片、Fab’断片またはF(ab’)2断片であり得る。モノクローナルは、本明細書で用いる場合、均一または実質的に均一(または純粋)な抗体集団をいう(すなわち、集団内の抗体の少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、より好ましくは少なくとも約97%もしくは98%、または最も好ましくは少なくとも99%が同一であり、ELISAアッセイにおいて同じ抗原またはエピトープについて競合し得る)。本発明の特定の実施形態において、本発明は、(i)PCSK9に対する結合について、AX132(もしくはバリアント)抗体分子と競合し、AX132(もしくはバリアント)に対して1μΜ以下またはそのKD未満でAX132(もしくはバリアント)結合を少なくとも50%低減させる、(ii)LDL受容体に対するPCSK9結合をブロックする、(iii)細胞内へのPCSK9インターナリゼーションを阻害する、および(iv)特定の抗原結合領域、VH、VL、CDRの組あるいは重鎖CDR3、重鎖および/または軽鎖あるいは本明細書に記載のこれらの成分の任意のバリアントを含む、モノクローナル抗体を提供する。
AX132(もしくはバリアント)と同じまたはオーバーラップエピトープ領域に結合する抗体を同定するための上記の任意のアッセイにおいて、既知の結合剤(すなわち、AX132(もしくはバリアント)抗体分子)の結合は、候補結合剤の結合と比べて識別可能なでなければならない。これは(必要ではないが)、いずれかまたは両方の分子に対する標識の使用によって行われ得、当業者に容易に認識されよう。標識は、本明細書で用いる場合、抗体分子に組み込まれる/固定される別の分子または薬剤をいう。一実施形態において、標識は検出可能なマーカー、例えば、放射性標識アミノ酸、またはマーキングしたアビジン(例えば、蛍光マーカー含有ストレプトアビジン、あるいは光学的もしくは比色的方法によって検出され得る酵素活性)によって検出され得るポリペプチドへのビオチニル部分の結合である。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法が当該技術分野で知られており、使用され得る。ポリペプチド用の標識の例としては、限定されないが、以下のもの:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタノイド系リン光体)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、磁性薬剤(ガドリニウムキレートなど)、毒素(百日咳毒素など)、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトザントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびプロマイシンならびにそのアナログまたはホモログが挙げられる。一部の実施形態では、標識は、立体障害の可能性の低減するため、種々の長さのスペーサーアームによって結合される。
具体的な実施形態において、本発明は、配列番号:576、577、579〜582および237〜RDA、またはこれらの間の領域(157−NL−158または配列番号:578など)からなる群より選択される任意のエピトープ配列に特異的に結合することが特徴である本明細書に記載のアンタゴニストを包含する。具体的な実施形態において、エピトープ配列は、配列番号:576および/または577、あるいはこれらの間の下位領域(例えば、157−NL−158または配列番号:578)内に存在している。具体的な実施形態において、本明細書に記載のアンタゴニストは、配列番号:579、580、581および582、ならびに237−RDAに結合するものである。このようなエピトープを、実施例8および図4にさらに記載する。数値は、ヒトPCSK9の開始および/または終了の位置を示す。
特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストの結合は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つ、もしくはそれ以上)の変異を以下の残基位置:192および379に有する変異型PCSK9タンパク質に対して(or)、野生型PCSK9タンパク質(配列番号:642)と比べて有意に低い。一部のある実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストの結合は、以下の変異:D192GおよびF379Yの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つ、もしくはそれ以上)を有する変異型PCSK9タンパク質に対して有意に低い。
競合アッセイの標準として使用されるAX132(もしくはバリアント)抗体は、本明細書に記載の任意の抗体分子であり得る。試験対象の分子(ペプチド、アンタゴニスト、抗体分子など)は、任意の供給源またはライブラリーに由来するものであり得る。具体的な実施形態において、該分子は、ファージディスプレイライブラリーから選択される。特定の実施形態において、該分子は、AX132と実施例11に記載のものと同様の様式で競合するEGF_ABペプチド(293−DKVCNMARDCRDWSDEPIKECGTNECLDNNGGCSHVCNDLKIGYECLCPDGFQLVAQRRCEDIDECQDPDTCSQLCVNLE−372;配列番号:645)を用いて選択される。
本出願書類に記載の任意のPCSK9特異的アンタゴニストの発現および選択は、適当な手法、例えば限定されないが、ファージディスプレイ(例えば、国際公開第92/01047号,Kayら,1996 Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual,San Diego:Academic Press参照)、Wangら,2010 J.Mol.Biol.1088−1101;Wangら,米国特許第7,175,983号、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、T7ディスプレイ、およびリボソームディスプレイ(例えば、Lowe & Jermutus,2004 Curr.Pharm.Biotech.517−527参照)を用いて行われ得る。
本発明の一部を構成する具体的なPCSK9特異的アンタゴニストは抗体分子または抗体である。本明細書において記載する「抗体分子」または「抗体」は、ヒトPCSK9に対する選択的結合性を有する免疫グロブリン由来構造、例えば限定されないが、完全長抗体または完全抗体、抗原結合断片(抗体構造から物理的または概念的に誘導される断片)、前述の任意のものの誘導体、前述の任意のものと別のポリペプチドとの融合体、あるいはPCSK9に選択的に結合/その機能を阻害する目的で前述の任意のものが組み込まれた任意の択一的な構造/組成物をいう。抗体分子は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして存在するものであっても、例えば種々のペプチダーゼでの消化によって生成されるいくつかの充分に特性評価された断片として存在するものであってもよい。認識されている免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、γ、μ、α、δまたはεに分類され、これらにより、免疫グロブリンクラスがそれぞれのIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEと規定される。「完全体」抗体または「完全長」抗体は、大抵の場合、ジスルフィド結合によって内部連結された2つの重(H)鎖と2tの軽(L)鎖を含み、(1)重鎖に関連して、可変領域(本明細書において「VH」と略記する)と、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む重鎖定常領域、ならびに(2)軽鎖に関連して、軽鎖可変領域(本明細書において「VL」と略記する)と、1つのドメインCLを含む軽鎖定常領域を含むタンパク質をいう。ペプシンは、抗体をヒンジ領域内のジスルフィド結合下で消化し、Fab(これ自体は、ジスルフィド結合によってVH−CH1に接合された軽鎖である)の二量体であるF(ab)’2、を生成させる。F(ab)’2を温和な条件下で還元するとヒンジ領域内のジスルフィド結合が分解され、それにより、F(ab)’2二量体がFab’単量体に変換される。Fab’単量体は、本質的には、分解されたヒンジ領域部分を有するFabである。インタクトな抗体の消化に関連して種々の抗体断片が規定されるが、当業者には、かかるFab’断片は、化学的または組換えDNA方法論の使用のいすれかにより、デノボ合成されたものであってもよいことが認識されよう。したがって、抗体という用語は、本明細書で用いる場合、完全抗体または組換えDNA方法論を用いてデノボ合成されたものの修飾によって作製されるいずれかの抗体断片も包含する。
抗体断片、より詳しくは、抗原結合断片は、PCSK9(具体的には、ヒトPCSK9)に対する選択的結合付与する抗体可変領域またはそのセグメント(これは、適宜、開示したCDR3またはCDR2ドメイン1つ以上(重鎖および/または軽鎖)を重鎖および/または軽鎖のフレームワーク領域内に含む)を有する分子である。かかる抗体可変領域を含む抗体断片としては、限定されないが、以下の抗体分子:Fab、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、ccFv、二重特異性抗体分子(該抗体と異なる結合特異性を有する第2の機能性部分、例えば限定されないが、別のペプチドもしくはタンパク質(抗体、あるいは受容体リガンドなど)に連結された本明細書において開示したPCSK9特異的抗体または抗原結合断片を含む抗体分子)、二重特異性単鎖Fv二量体、単離されたCDR3、ミニボディ、「scAb」、dAb断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ならびにタンパク質骨格を基礎とする人工抗体、例えば限定されないが、フィブロネクチンIII型ポリペプチド抗体(例えば、米国特許第6,703,199号および国際公開第02/32925号および同第00/34784号参照)またはシトクロムB(例えば、Nygrenら,1997 Curr.Opinion Struct.Biol.7:463−469(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)が挙げられる。抗体部分または結合断片は、天然のものであってもよく、一部または完全に合成により作製されたものであってもよい。かかる抗体部分は、当業者に知られた種々の手段、例えば限定されないが、パパインまたはペプシン消化などの慣用的な手法によって調製され得る。当業者には、さらに、上記の任意の抗体分子(完全長ならびに種々の抗体断片を含む)が、化学的または組換えDNA方法論の使用のいすれかにより、デノボ合成されたものであってもよいことが認識されよう。抗体という用語は、本明細書で用いる場合、完全長抗体および完全抗体または組換えDNA方法論を用いてデノボ合成されたものの作製もしくは修飾によって作製されるいずれかの抗体断片も包含する。
用語「単離された」は、抗体分子、PCSK9特異的アンタゴニスト一般、コード核酸などに関して本明細書で用いる場合、開示したPCSK9特異的アンタゴニスト、核酸、その他自然界に見られるものとは違ったものに関する性質を示す。この違いは、例えば、自然界に見られるものと異なる純度であること、または自然界に見られるものと異なる構造であること、もしくは異なる構造の一部を構成していることであり得る。例えば、自然界に見られない構造としては、組換えヒト免疫グロブリン構造、例えば限定されないが、最適化されたCDRを有する組換えヒト免疫グロブリン構造が挙げられる。自然界に見られない構造の他の例は、実質的に他の細胞性物質を含有していないPCSK9特異的アンタゴニストまたは核酸である。単離されたPCSK9特異的アンタゴニストは、一般的に、異なるタンパク質特異性を有する他のタンパク質特異的アンタゴニスト有していない(すなわち、PCSK9以外に対して親和性を有する)。
具体的な一態様において、本発明は、PCSK9機能アンタゴナイズする単離されたPCSK9特異的アンタゴニストを提供する。具体的な実施形態において、前記PCSK9特異的アンタゴニストは、LDL受容体に対するPCSK9結合およびその結果起こるPCSK9の細胞インターナリゼーションに干渉することにより、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9の拮抗作用を阻害するものである。したがって、開示したPCSK9特異的アンタゴニストは、血漿LDL−コレステロールレベルを低下させるための望ましい分子を構成する。例えば、Cohenら,2005 Nat.Genet.37:161−165(この場合、対立遺伝子PCSK9のナンセンス変異に対してヘテロ接合性の個体において、有意に低い血漿LDLコレステロールレベルが認められた);Rashidら,2005 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:5374−5379(この場合、PCSK9ノックアウトマウスは、肝細胞内のLDLR数の増大、血漿LDLクリアランスの加速、および有意に低い血漿コレステロールレベルを示した);ならびにCohenら,2006 N.Engl.J.Med.354:1264−1272(この場合、変異型機能喪失PCSK9に対してヘテロ接合性のヒトは、アテローム硬化性心臓疾患の発症の長期リスクの有意な低減を示した)を参照のこと。
反復実験により、本明細書において試験した抗体分子は、本明細書において、LDL取込みに対するヒトPCSK9の効果の両方を用量依存的に阻害した。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、ならびに等価体(開示したAX132またはバリアント抗体分子のPCSK9選択性を破壊しない1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴である)またはそのホモログを包含する。具体的な実施形態では、本明細書において開示したCDRドメインあるいは本明細書において開示した重鎖および/または軽鎖CDRドメインの組を含む単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、または1つ以上のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を含む。
本明細書における用語「ドメイン」または「領域」の使用は、単純に、本題のその配列またはセグメントが後に存在するか、あるいは現在存在している抗体分子のそれぞれの部分をいう。
特定の実施形態において、本発明は、単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、より特定の実施形態では、(i)重鎖可変領域:配列番号:360〜510からなる群より選択されるおよび/または(ii)配列番号:511〜549からなる群より選択される軽鎖可変領域を含む抗体分子、1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体、ならびにそのホモログを提供する。また、この群は、配列番号:360、362および364〜510については、配列内の最後の3つのアミノ酸残基を有しないPCSK9抗体分子(例えば、配列番号:361および363参照)(可変領域の境界に関しての種々の解釈のため)も包含する。開示したアンタゴニストは、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害に反作用または阻害するものでなければならない。特定の実施形態において、本発明は、配列において、それぞれ(i)配列番号:360〜510からなる群より選択される重鎖可変領域および/または(ii)配列番号:511〜549からなる群より選択される軽鎖可変領域のいずれかまたは両方と少なくとも90%(または特定の実施形態では、少なくとも95%、97%または99%)同一である重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含むことが特徴である開示したアンタゴニストのホモログであって、前記アンタゴニストが、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである、ホモログを提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、より特定の実施形態では、(i)配列番号:1〜5、7、9、11、13〜63ならびに配列番号:1、3、5、9および13〜63の残基4〜12からなる群より選択される可変重鎖CDR3配列および/または(ii)配列番号:295〜301、303、305〜334ならびに配列番号:295、297、299、301および305〜334の残基4〜13からなる群より選択される可変軽鎖CDR3配列を含むPCSK9抗体分子、ならびに1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を提供し、その特定の実施形態は、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである。特定の実施形態では、さらに、重鎖および/または軽鎖内に、本明細書に記載の可変領域のCDR1および/またはCDR2配列を含む単離されたアンタゴニスト、あるいは任意の1つ以上のCDR配列内に1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、CDR3配列と、またはCDR1、CDR2およびCDR3配列の各々において少なくとも90%(特定の実施形態では、95%、97%または99%)同一であることが特徴である、開示したアンタゴニストのホモログであって、前記アンタゴニストが、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである、ホモログを提供する。
具体的な実施形態において、本発明は、単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、より特定の実施形態では、(i)配列番号:64〜68、70、72、74、76〜182ならびに配列番号:64、66、68、72および76〜182の残基4〜20からなる群より選択される可変重鎖CDR2配列および/または(ii)配列番号:335〜339、341、343〜346、ならびに配列番号:335、337、339および343〜346の残基4〜10からなる群より選択される可変軽鎖CDR2配列を含むPCSK9抗体分子、ならびに1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を提供し、その特定の実施形態は、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである。特定の実施形態では、さらに、本明細書に記載の重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR1および/またはCDR3配列を含む、単離されたアンタゴニスト、あるいは任意の1つ以上のCDR配列内に1つ以上(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)のアミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、CDR2配列と、またはCDR1、CDR2およびCDR3配列の各々において少なくとも90%(特定の実施形態では、95%、97%または99%)同一であることが特徴である、開示したアンタゴニストのホモログであって、前記アンタゴニストが、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである、ホモログを提供する。
選択された可変重鎖CDR1領域は、配列番号:183〜189、191、193、195 197〜294、ならびに配列番号:183、185、187、189、193および197〜294の残基4〜13、ならびに1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体からなる群より選択される配列を含むものである。
選択された可変軽鎖CDR1領域は、配列番号:347〜349、351、353〜359、ならびに配列番号:347、349および353〜359の残基4〜14、ならびに1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体からなる群より選択される配列を含むものである。
特定の実施形態では、単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、より特定の実施形態では、本明細書において開示した重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列ならびに軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列の1つ以上(具体的な実施形態では、CDR1、2および3領域の各々を1つ)を含む抗体分子、ならびに任意の1つ以上のCDR配列内に1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴であるその等価体を提供し、その特定の実施形態は、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである。特定の実施形態において、本発明は、開示した重鎖および軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3配列において、それぞれ、少なくとも90%(特定の実施形態では、95%、97%または99%)同一であることが特徴である、開示したアンタゴニストのホモログであって、該アンタゴニストが、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである、ホモログを提供する。
本発明の具体的な一態様は、単離されたPCSK9特異的アンタゴニストを包含し、より特定の実施形態では、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害する上記に開示したもののバリアントである抗体分子を包含する。
さらなる相違する実施形態は、(a)CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、ここで、(i)CDR1配列は、配列番号:183〜189、191、193、195、197〜294、ならびに配列番号:183、185、187、189、193および197〜294の残基4〜13からなる群より選択される、(ii)CDR2配列は、配列番号:64〜68、70,72、74、76〜182ならびに配列番号:64、66、68、72および76〜182の残基4〜20からなる群より選択される、ならびに(iii)CDR3配列は、配列番号:1〜5、7、9、11、13〜63、ならびに配列番号:1、3、5、9および13〜63の残基4〜12からなる群より選択される、および/または(b)CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、ここで、(i)CDR1配列は、配列番号:347〜349、351、353〜359、ならびに配列番号:347、349および353〜359の残基4〜14からなる群より選択される、(ii)CDR2配列は、配列番号:335〜339、341、343〜346ならびに配列番号:335、337、339および343〜346の残基4〜10からなる群より選択される、および(iii)CDR3配列は、配列番号:295−301、303、305〜334、ならびに配列番号:295、297、299、301および305〜334の残基4〜13からなる群より選択されるを含む単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、ならびに1つ以上の(具体的な実施形態では、1〜5または1〜3)アミノ酸置換を有することが特徴である(chacterized)その等価体を包含し、その特定の実施形態は、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである。
本明細書における特定の実施形態において、該CDRは、AX132(もしくは開示したバリアント)またはアミノ酸置換(特定の実施形態では、1〜5つまたは1〜3つ)を有する、もしくは有しない択一的なアンタゴニスト、抗体分子もしくは骨格構造の対応する領域の代わりに存在している。その特定の実施形態は、細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するものである。
具体的な実施形態は、完全長抗体に上記のVHおよびVL領域を含む、単離されたPCSK9特異的アンタゴニストである。本明細書における特定の実施形態は、さらに、配列番号:572(IgGl)、配列番号:573(IgG2)、配列番号:574(IgG4)および配列番号:575(IgG2m4)からなる群より選択される一連のアミノ酸を含むものである。
本明細書において包含されるアミノ酸置換は、保存的または非保存的アミノ酸置換であり得る。アミノ酸置換は、当業者に認識されるように、アミノ酸残基を、同様またはさらに良好な(意図される目的のため)機能的および/または化学的特徴を付与するものと置き換える置換である。
アミノ酸置換を有するアンタゴニストは、活性が保持されているか、またはさらに良好であるかについて、当該技術分野で利用可能な機能アッセイまたは本明細書に記載の機能アッセイを用いて試験され得る。1つ以上のアミノ酸置換を有し、ヒトPCSK9に選択的に結合して、PCSK9機能を本明細書に記載のAX132(もしくはバリアント)抗体分子と同じまたはさらに良好なレベルでアンタゴナイズする能力を保持しているPCSK9特異的アンタゴニストを、本明細書において開示したアンタゴニストの「機能的等価体」と称し、本発明の特定の実施形態を構成する。保存的アミノ酸置換は、大抵の場合、あるアミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられたものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当該技術分野において規定されている。このようなファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、無極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β−分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。上記の修飾は、PCSK9特異的アンタゴニストの結合特性または機能的阻害特性を有意に変更するために設計されたものであっても、そうでなくてもよく、かかる特性を改善するものであってもよい。置換を行う目的は重要でなく、なんら限定されないが、残基を、分子の構造、分子の電荷もしくは疎水性、または分子の大きさをより良好に維持または向上させることができるものでの置き換えが挙げられ得る。例えば、単純に、あまり所望でない残基を同じ極性または電荷のもので置換することが所望され得る。かかる修飾は、当該技術分野で知られた標準的な手法(部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発など)によって導入することができる。当業者が保存的アミノ酸置換を行う特定の手段の1つは、例えば、MacLennanら,1998 Acta Physiol.Scand.Suppl.643:55−67およびSasakiら,1998 Adv.Biophys.35:1−24に論考されているアラニンスキャニング変異誘発である。
本発明の特定の一実施形態において、本明細書において開示したCDRは、より安定なバリアントまたはより高レベルで組換え発現されるバリアントが作製されるように改変される。例えば、Asn−GlyまたはAsp−GlyがCDR内に存在する場合、本発明は、AspもしくはAsnがGluもしくはAlaに変化した、またはGlyがAlaに変化したバリアントを包含する。かかる変化の有益性は、イソアスパルテートの形成の可能性が除かれることである。また、Metが露出した位置のCDRに存在する場合、本発明の範囲は、MetがLys、Leu、AlaまたはPheに変化したバリアントを包含する。かかる変化の有益性は、メチオニンの酸化の可能性が除かれることである。Asnが本発明のCDRに存在する場合、本発明の範囲は、AsnがGlnまたはAlaに変化したバリアントを包含する。かかる変化の有益性は、脱アミド化の可能性が除かれることである。さらに、Asn−Proが本発明のCDRに存在する場合、本発明は、AsnがGlnもしくはAlaに変化した、またはProがAlaに変化したバリアントを包含する。かかる変化の有益性は、切断可能なAsn−Proペプチド結合の可能性が除かれることである。本発明の範囲は、開示した任意の抗体分子の重鎖または軽鎖CDRが上記の1つ以上の位置において独立して変化した実施形態を含む。
別の態様において、本発明は、単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト、より特定の実施形態では、開示した抗体の対応するアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を含む重鎖および/または軽鎖の可変領域を含む抗体分子であって、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害を阻害する抗体分子を提供する。特定の実施形態は、開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域(あるいは重鎖および/または軽鎖)とそれぞれ、少なくとも90%同一である重鎖および/または軽鎖の可変領域を含むアンタゴニストである。「少なくとも90%同一」に対する言及は、本明細書において開示した分子の全長に沿って少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および100%同一である配列を含む。
本明細書に記載のアンタゴニストのアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を有するPCSK9特異的アンタゴニストは、典型的には、PCSK9に対する特異性にマイナスの影響を及ぼすことなく該アンタゴニストの特性の1つ以上が改善されるように作製される。かかる配列を得るための方法の一例(当業者に利用可能な唯一の方法ではない)は、PCSK9特異的アンタゴニストまたはその特異性決定領域(1つまたは複数)をコードする配列を変異させ、該変異配列(1つまたは複数)を含むアンタゴニストを発現させ、コードアンタゴニストを保持された機能について、利用可能な機能アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を用いて試験することである。変異は、部位特異的であってもランダム変異誘発であってもよい。しかしながら、当業者には認識されるように、他の変異誘発方法によりほぼ同じ効果を容易にもたらし得る。例えば、特定の方法では、アミノ酸化学特性またはアミノ酸構造特性、あるいは他タンパク質構造を考慮することに基づいて、変異型スペクトルは非ランダム標的アミノ酸置換により制約される。親和性成熟実験では、ランダム選択であろうと非ランダム選択であろうと、1つの選択分子中にいくつかのかかる変異が認められ得る。様々な構造ベースの親和性成熟に対するアプローチも存在し、例えば、米国特許第7,117,096号明細書、国際公開第02/084277号および同第03/099999号(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)に示される。
本明細書で用いる場合、2つのアミノ酸配列間または核酸配列間の相同性割合は、該2つの配列間の同一性割合に相当し、これらの2つの用語は、全体を通して互換的に用いる。本明細書で用いる場合、2つの核酸配列間またはアミノ酸配列間の同一性%は、KarlinおよびAltschulのアルゴリズムを用いて求められる(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877,1993)。かかるアルゴリズムは、Altschulら,1990 J.Mol.Biol.215:403−410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラムを用いてスコア=100、ワード長(wordlength)=12で行われ、本発明の核酸分子に相同な核酸配列が得られる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラムを用いてスコア=50、ワード長=3で行われ、本明細書において開示したアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列が得られる。比較目的のギャップ含有アラインメントを得るためには、Altschulら,1997 Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載されたGapped BLASTが使用される。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータが使用される。
開示した1種類以上のPCSK9特異的分子の成分を使用し、同様またはより良好な特異性を有する他の結合分子を作製することは、充分当業者の技能の範囲である。これは、例えば、組換えDNA技術の手法を用いて行われ得る。この具体例の1つは、抗体の免疫グロブリン可変領域または1つ以上のCDRをコードするDNAを、適宜、異なる免疫グロブリンの可変領域、定常領域または定常領域+フレームワーク領域に導入することを伴うものである。かかる分子は、本発明の重要な態様を構成する。開示した具体的な配列が挿入され得る、あるいはまた本質的にその一部分を構成し得る特定の免疫グロブリンまたは対応する配列としては、限定されないが、本発明の具体的な実施形態を構成する以下の抗体分子:Fab(可変軽鎖(VL)、可変重鎖(VH)、定常軽鎖(CL)および定常重鎖1(CH1)ドメインを有する一価の断片)、F(ab’)2(ジスルフィド結合によって、または択一的にヒンジ領域で連結された2つのFab断片を含む二価の断片)、Fd(VHおよびCH1ドメイン)、Fv(VLおよびVHドメイン)、scFv(VLとVHがリンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接合された単鎖Fv、例えば、Birdら,1988 Science 242:423−426、Hustonら,1988 PNAS USA 85:5879−5883を参照のこと)、二重特異性抗体分子(該抗体と異なる結合特異性を有する第2の機能性部分、例えば限定されないが、別のペプチドもしくはタンパク質(抗体、あるいは受容体リガンドなど)に連結された本明細書において開示したPCSK9特異的抗体または抗原結合断片を含む抗体分子)、二重特異性単鎖Fv二量体(例えば、PCT/US92/09965参照)、単離されたCDR3、ミニボディ(約80kDaの二価の二量体に自己組織化するに単鎖−CH3融合体)、「scAb」(VHおよびVLならびにCLまたはCH1のいずれかを含む抗体断片)、dAb断片(VHドメイン、例えば、Wardら,1989 Nature 341:544−546、およびMcCaffertyら,1990 Nature 348:552−554;またはVLドメイン;Holtら,2003 Trends in Biotechnology 21:484−489を参照のこと)、ダイアボディ(例えば、Holligerら,1993 PNAS USA 90:6444−6448および国際公開第94/13804号参照)、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ(CH3に接合されたscFv;例えば、Huら,1996 Cancer Res.56:3055−3061を参照のこと)、IgG、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgD、IgA、IgEまたはその任意の誘導体、ならびにタンパク質骨格を基礎とする人工抗体、例えば限定されないが、フィブロネクチンIII型ポリペプチド抗体(例えば、米国特許第6,703,199号および国際公開第02/32925号参照)あるいはシトクロムB;例えば、Koideら,1998 J.Molec.Biol.284:1141−1151、およびNygrenら,1997 Current Opinion in Structural Biology 7:463−469を参照のこと(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。一部の特定の抗体分子、例えば限定されないが、Fv、scFv、ダイアボディ分子またはドメイン抗体(Domantis)は、ジスルフィド結合組み込んでVHドメインとVLドメインを並べることにより安定化され得る。例えば、Reiterら,1996 Nature Biotech.14:1239−1245(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。二重特異性抗体は慣用的な手法(例えば、Holliger & Winter,1993 Current Opinion Biotechnol.4:446−449参照、その特定の方法としては、化学的またはハイブリッドハイブリドーマからの作製が挙げられる)ならびに他の手法、例えば限定されないが、BiTETM技術(ペプチドリンカーを有する異なる特異性の抗原結合領域を有する分子)およびノブ−インツ−ホール(knobs−into−holes)操作(例えば、Ridgewayら,1996 Protein Eng.9:616−621参照。その開示は引用により本明細書に組み込まれる)を用いて作製され得る。二重特異性ダイアボディは大腸菌内で作製され得、当業者に認識される他のPCSK9特異的アンタゴニストとしてのこのような分子は、適切なライブラリーにてファージディスプレイを用いて選択され得る(例えば、国際公開第94/13804号参照。その開示は引用により本明細書に組み込まれる)。
対象のCDRが挿入される可変ドメインは、任意の生殖細胞系列または再配列ヒト可変ドメインから得られ得る。また、可変ドメインは合成により作製されたものであってもよい。CDR領域は、それぞれの可変ドメイン内に組換えDNA技術を用いて導入され得る。これが行われ得る手段の一例は、Marksら,1992 Bio/Technology 10:779−783に記載されており、その開示は引用により本明細書に組み込まれる。可変重鎖ドメインを可変軽鎖ドメインとペアにし、抗原結合部位を提供してもよい。また、独立した領域(例えば、可変重鎖ドメイン単独)を使用し、抗原をさせてもよい。また、当業者には、同様に、Fv断片の2つのドメインVLとVHは、おそらく別々の遺伝子にコードされているが、組換え法を使用し、これらを、VL領域とVH領域がペアになって一価の分子(scFv)を形成する単一のタンパク質鎖にすることを可能にする合成リンカーによって接合され得ることも充分認識されよう。
特定の実施形態では、生殖細胞系列のフレームワーク領域内にCDR(1つまたは複数)を提供する。フレームワーク領域は、例えば限定されないが、ヒトフレームワーク領域は、当業者に知られている(例えば、ヒトまたは非ヒトフレームワーク)。フレームワーク領域は天然に存在するものであっても、コンセンサスフレームワーク領域であってもよい。一態様において、本発明の抗体のフレームワーク領域はヒト由来である(例えば、ヒトフレームワーク領域の列挙はClothiaら,1998 J.Mol.Biol.278:457−479を参照のこと。前記の開示は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書における特定の実施形態では、それぞれVH3またはVK3内の該当するCDRの代わりの開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR3配列を提供する。本明細書における特定の実施形態では、それぞれVH3またはVK3内の該当するCDRの代わりの開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列を提供する。
本発明は、ヒト由来、ヒト型、脱免疫化(deimmunized)、キメラおよび霊長類化抗体分子を包含する。また、本発明は、ベニア化プロセス(例えば、Markら,1994 Handbook of Experimental Pharmacology,第113巻:The pharmacology of monoclonal Antibodies,Springer−Verlag,pp.105−134を参照のこと。その開示は引用により本明細書に組み込まれる)によって作製される抗体分子を包含する。開示した抗体分子に関する「ヒト」は、具体的には、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変および/または定常領域を有する抗体分子であって、前記配列は(そうである必要はないが)、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列にコードされたものでない特定のアミノ酸置換または残基を有するように修飾/改変されたものであり得る抗体分子をいう。かかる変異は、限定されないが、ランダムもしくは部位特異的変異誘発などの方法によってインビトロで、または体細胞変異によってインビボで導入され得る。文献において論考された変異手法の具体例は、Gramら,1992 PNAS USA 89:3576−3580;Barbasら,1994 PNAS USA 91:3809−3813、およびSchierら,1996 J.Mol.Biol.263:551−567(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたものである。これらは、特定の例にすぎず、利用可能な唯一の手法を表すものはない。科学文献には数多くの変異手法が見られ、これらは当業者に利用可能であり、広く認識されている。開示した抗体分子に関する「ヒト化」は、具体的には、別の哺乳動物種(マウスなど)に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフティングされている抗体分子をいう。開示した抗体分子に関する「霊長類化」は、非霊長類のCDR配列が霊長類のフレームワーク配列内に挿入されている抗体分子をいう。例えば、国際公開第93/02108号および同第99/55369号を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。
本発明の特定の抗体は、モノクローナル抗体であり、具体的な実施形態では、以下の抗体形式:IgD、IgA、IgE、IgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4あるいは前述の任意のものの任意の誘導体のいずれか1つのものである。これに関する文言「その誘導体」または「誘導体」としては、とりわけ、(i)一方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)にアミノ酸修飾を有する抗体および抗体分子、(ii)重鎖および/または軽鎖の定常領域内に操作がなされた抗体および抗体分子、および/または(iii)通常は免疫グロブリン分子の一部分でないさらなる化学的部分(例えば、ペグ化)を含む抗体および抗体分子が挙げられる。
可変領域の操作は、1つ以上のVHおよび/またはVLのCDR領域の範囲内であり得る。部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発または配列もしくは分子の多様性の生成のための他の方法を用いて変異型が作出され得、続いて、これは、目的の具体的な機能特性について、利用可能なインビトロまたはインビボアッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)において試験され得る。
また、本発明の抗体は、目的の抗体の1つ以上の特性を改善するためにVHおよび/またはVL内のフレームワーク残基に対して修飾がなされたものも包含する。典型的には、かかるフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を低減するために行われる。例えば、アプローチの一例は、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系列の配列に「復帰変異」することである。より詳しくは、体細胞変異が行われた抗体には、該抗体を誘導した生殖細胞系列の配列と異なるフレームワーク残基が含有され得る。かかる残基は、該抗体フレームワーク配列を、抗体を誘導した生殖細胞系列の配列と比較することにより同定され得る。かかる「復帰変異」された抗体も、本発明に包含されることを意図する。別の型のフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内、さらには1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基を変異させてT細胞エピトープを除去することを伴うものであり、それにより、抗体の潜在的免疫原性が低減される。このアプローチは「脱免疫化」とも称され、Carrらによる米国特許出願公開第20030153043号に、さらに詳細に記載されており、その開示は引用により本明細書に組み込まれる。
フレームワークまたはCDR領域内に行われる修飾に加えて、または択一的に、本発明の抗体は、Fcまたは定常領域内に修飾が含まれるように操作してもよく、存在させると、典型的には、抗体の1つ以上の機能的特性、例えば、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または抗原依存性細胞性細胞傷害性が改変される。
所望のエフェクター機能性に絞るために種々の抗体アイソタイプを含めた「ハイブリッド」または「コンビナトリアル」IgG形態を作製するという概念が一般的に報告されている。例えば、Taoら,1991 J.Exp.Med.173:1025−1028を参照のこと。本発明の特定の実施形態は、抗体上の一部においてFcγR受容体、ClqまたはFcRnへの結合の低減または改変がもたらされることがわかっているFc領域における特定の操作を有する抗体分子を包含する。したがって、本発明は、抗体依存性細胞性細胞傷害性(「ADCC」)、補体媒介性細胞傷害性(「CMC」)を誘発しない(または誘発する程度が低い)もしくは免疫複合体を形成しないが、通常の薬物動態学的(「PK」)特性は保持している、本記載による抗体を包含する。本発明の特定の実施形態は、その免疫グロブリン構造の一部として配列番号:575、具体的な実施形態では、配列番号:575の残基107〜326を免疫グロブリン構造の一部として含む、本発明により規定される抗体分子を提供する。本発明は、(i)配列番号:511〜549からなる群より選択される(特定の実施形態では、配列番号:511〜518、520〜524および526〜549からなる(consistin of)群より選択される)軽鎖可変領域、ならびに(ii)配列番号:360〜510からなる群より選択される重鎖可変領域、順に(隣接して)またはその後に配列番号:572(IgG1)、配列番号:573(IgG2)、配列番号:574(IgG4)および配列番号:575(IgG2m4)からなる群より選択される一連のアミノ酸を含む抗体分子を包含する。具体的な実施形態において、上記の(i)と(ii)の軽鎖と重鎖のペアリングは(a)配列番号:360および511および(b)配列番号:362および511である。
また、本発明は、結晶を包含する。本発明は、PCSK9またはそのペプチドエピトープと複合体形成された本発明の任意のPCSK9特異的アンタゴニストを含む結晶を含む。
いくつかの結晶化方法が当該技術分野で知られている(Giegeら,(1994)Acta Crystallogr.D50:339−350;McPherson,(1990)Eur.J.Biochem.189:1−23)。かかる方法としては、マイクロバッチ、懸滴、種晶添加および透析が挙げられる。好ましくは、懸滴蒸気拡散(McPherson,(1976)J.Biol.Chem.251:6300−6303)またはマイクロバッチ法(Chayen(1997)Structure 5:1269−1274)が使用される。これらの各方法では、核生成後、溶液を過飽和状態に維持することにより、継続的に結晶成長を促進させることが重要である。マイクロバッチ法では、ポリペプチドを沈殿剤と混合して過飽和にし、槽を密封し、結晶が出現するまで放置する。透析法では、ポリペプチドを密封透析膜内に保持し、これを沈殿剤含有溶液中に入れる。膜内外の平衡により沈殿剤濃度が増大し、それにより、ポリペプチドの過飽和レベルへの到達が引き起こされる。
本発明の結晶は成長したら、X線回折データが収集され得る。X線回折データにより構造を調べるための方法の一例として、標準的な極低温条件下でのシンクロトロン放射の使用が挙げられる。しかしながら、択一的な方法も使用され得る。例えば、結晶は、慣用的な供給源(密封管または回転陽極)によって得られるX線を使用することによりキャラクタライズされ得る。キャラクタライゼーション法としては、限定されないが、プリセッション写真術、振動写真術および回折計データ収集が挙げられる。
本発明によって提供される結晶化可能な組成物は、PCSK9/PCSK9特異的アンタゴニスト複合体の3次元構造を得るためのX線結晶学を行い易い。本発明は、PCSK9/PCSK9特異的アンタゴニスト複合体の原子座標の測定のためにX線を、約5.0オングストロームより高い(例えば、約4.5Å、約4.0Å、約3Å、約2.5Å、約2Å、約1.95Å、約1Å)、好ましくは、約4.0オングストロームより高い(例えば、約3Å、約2.5Å、約2Å、約1.95Å、約1Å)、より好ましくは、約2.8オングストロームより高い(例えば、約2.5Å、約2Å、約1.95Å、約1Å)、最も好ましくは、約2.0オングストロームより高い(例えば、約1.95Å、約1.5Å、約1.0Å)分解度まで有効に回折させる結晶を含む。
また、本発明の範囲は、本発明のPCSK9特異的アンタゴニスト(例えば、配列番号:552に示す重鎖アミノ酸配列と配列番号:554に示す軽鎖アミノ酸配列を含むFab)とPCSK9の空間群の結晶性複合体も包含する。PCSK9およびAX132 Fab断片の複合体は、空間群P65において結晶化され、a=155.946Å、b=155.946Å、c=160.037Åおよびα=90°、β=90°、γ=120°の単位格子寸法を含み、ここで、Fabは、本明細書に記載の抗体AX132由来のものである。
本発明は、3次元構造が表14に示す構造座標によって記述される、PCSK9/PCSK9特異的アンタゴニスト複合体の結晶を含む。また、本発明の範囲は、表14に示したものと同様の構造座標を有する結晶も包含する。結晶間の構造類似性は以下に詳細に論考する。
用語「構造座標」は、分子の原子(散乱中心)によるX線ビームの回折において得られたパターンに関する数学的方程式から誘導されるカーテシアン座標をいう。回折データを用いて電子密度マップが計算され、該分子の個々の原子の位置が確立される。
当業者には、酵素または酵素複合体またはその一部分に関する構造座標の組は、形状を3次元に規定する相対的な点の組であることは理解されよう。したがって、全く異なる座標の組によって同様または同一の形状が規定され得ることが起こり得る。さらに、個々の座標におけるわずかなばらつきは、形状全体に対してほとんど影響しない。
本発明は、表14に示したものと同様の構造座標を示すが、構造座標の結晶学的置換については、構造座標の分割、構造座標の組に対する加算、減算、回転もしくは変換または上記の任意の組合せを示す結晶を含む。
あるいはまた、アミノ酸の変異、付加、置換および/または欠失、あるいは結晶を構成する任意の成分における他の変化による結晶構造の改良も、構造座標におけるバリエーションの原因となる。かかるバリエーションが表14の座標と比べて許容され得る標準誤差の範囲内である場合、得られる3次元形状は同じとみなし、したがって、改良された結晶は本発明の範囲に含まれるとみなす。
結晶が、構造座標が表14に示すものである結晶と充分に同様であるかどうかを判定して同じとみなすのに、種々のコンピュータ解析が使用され得る。かかる解析は、現行のソフトウェアアプリケーション、例えば、QUANTA(Molecular Simulations Inc.,San Diego、CA)のMolecular Similarityアプリケーションのバーション4.1において、添付のユーザーガイドに記載のとおりに行われ得る。
Molecular Similarityアプリケーションは、異なる構造間、同じ構造の異なるコンホメーション間、および同じ構造の異なる部分間の比較が可能である。一般に、Molecular Similarityにおいて構造比較のために使用される手順は、4段階:1)比較対象の構造の入力、2)これらの構造における原子の等価性の規定、3)フィッティング操作の実行、および4)結果の解析に分けられる。各構造は、名称によって特定される。1つの構造が標的(すなわち、固定構造)として特定される。残りの構造はすべて動作(working)構造である(すなわち、移動(moving)構造)。QUANTAにおける原子の等価性はユーザーの入力によって規定されるため、本発明の解釈上、本発明者らは、等価原子をα炭素原子(Ca)に、または比較対象の2つの構造間で保存されたすべての残基ではタンパク質骨格のすべての原子(N、Ca、CおよびO)に規定する。リジッドフィッティング法が使用される場合、動作構造を変換および回転させて、標的構造との最適フィットを得る。フィッティング操作には、最小二乗法フィッティングアルゴリズムが使用され、このアルゴリズムにより、指定された等価原子のペアにおけるフィットの二乗平均平方根の差が絶対最小値となるような、移動構造に適用されるべき最適な変換および回転がコンピュータ計算される。この値は、オングストロームで示され、QUANTAによって報告されている。
用語「二乗平均平方根偏差」(RMSD)は、当該技術分野で一般的に知られている用語であり、一般に、対応する原子の平均距離の偏差の二乗の算術平均の平方根を意味する。これは、傾向または目標からの偏差または変動を示す方法の1つである。
用語「最小二乗法」は、最良推定値は、観測値の偏差の二乗和が最小となるときという原則に基づいた方法に関する。
本発明の解釈上、表14の該当する構造座標と重ね合わせたとき(骨格原子またはα炭素原子を使用)、保存された残基の骨格原子(N、Cα、C、O)またはα炭素原子(Ca)のみのRMSDが約1.5Å未満である構造座標の組を特徴とする任意の結晶性の分子を同一とみなし、本発明の範囲に含める。一実施形態において、二乗平均平方根偏差は約1.5Åまたは約1.0Åまたは約0.75Åまたは約0.5Åまたは約0.25Åまたは約0.10Åである。
また、本発明は、Fab形式に変換すると、表14の該当する構造座標と重ね合わせたとき(骨格原子またはα炭素原子を使用)、保存された残基の骨格原子(N、Cα、C、O)またはα炭素原子(Ca)のみのRMSDが約1.5Å未満である構造座標の組を特徴とする3次元構造を特徴とする様式でヒトPCSK9に結合する任意の非結晶性のPCSK9特異的アンタゴニストも包含し、同一とみなし、本発明の範囲に含める。一実施形態において、二乗平均平方根偏差は、約1.5Åまたは約1.0Åまたは約0.75Åまたは約0.5Åまたは約0.25Åまたは約0.10Åである。
具体的な実施形態において、本発明は、PCSK9上の以下の残基:S153、1154、P155、W156、N157、L158、D192、H193、R194、E195、I196、E197、G198、R199、S221、H229、G232、S235、G236、R237、D238、A239、G240、K243、G244、D367、I368、I369、G370、A371、S372、S373、D374、C375、S376、T377、C378、F379、V380、S381の少なくとも1個(特定の実施形態では、少なくとも2、4、10、15、20、25、30もしくは35個、または全部)から10Å以下以内でPCSK9に結合するPCSK9特異的アンタゴニストを包含する。特定の実施形態において、本発明は、PCSK9上の以下の残基:S153、P155、R194、E195、R237、D238、A239、I369、D374、C375、S376、T377、C378、F379の少なくとも1個(特定の実施形態では、少なくとも2、4もしくは10個、または全部)から5Å以下以内でPCSK9に結合するPCSK9特異的アンタゴニストを包含する。
特定のPCSK9特異的アンタゴニストは、検出可能な標識を担持していてもよく、毒素(例えば、細胞毒素)、放射性同位体、放射性核種、リポソーム、標的化部分、バイオセンサー、カチオンテイル、または酵素(例えば、ペプチジル結合もしくはリンカーにより)コンジュゲートされていてもよい。かかるPCSK9特異的アンタゴニスト組成物は本発明のさらなる態様を構成する。
別の態様において、本発明は、開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする単離された核酸を提供する。前述の「単離された」は、自然界に見られるものとは違ったものにすることに言及しているものの性質をいう。この違いは、例えば、自然界に見られるものと異なる純度であること、または自然界に見られるものと異なる構造であること、もしくは異なる構造の一部を構成していることであり得る。自然界に見られない核酸の一例は、例えば、実質的に他の細胞性物質を含有していない核酸である。核酸は、全細胞中、細胞ライセート中、または一部精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在するものであり得る。特定の場合では、核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物(例えば、他の細胞内核酸もしくはタンパク質)から、例えば、標準的な手法、例えば限定されないが、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当該技術分野で知られた他の適当な方法を用いて精製するときに単離され得る。核酸としては、DNA(cDNAを含む)および/またはRNAが挙げられ得る。本発明の核酸は、標準的な分子生物学的手法を用いて得られ得る。ハイブリドーマ(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を担持するトランスジェニックマウスから調製したハイブリドーマ)によって発現させた抗体の場合は、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖と重鎖をコードするcDNAは、標準的なPCR増幅またはcDNAクローニング手法によって得られ得る。免疫グロブリン遺伝子ライブラリー(例えば、ファージディスプレイ手法の使用)から得られる抗体の場合は、該抗体をコードする核酸はライブラリーから回収することができる。
本発明は、開示した可変重鎖および/または軽鎖ならびにその選択された成分、具体的には、開示した可変またはそれぞれのCDR領域をコードする単離された核酸を包含する。本明細書の特定の実施形態において、抗体フレームワーク領域内、具体的な実施形態では、ヒトフレームワーク領域内のCDR(1つまたは複数)を提供する。特定の実施形態において、生殖細胞系列のフレームワーク領域内、例えば限定されないが、ヒト生殖細胞系列のフレームワーク領域内のCDR(1つまたは複数)をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:1〜5、7、9、11、13〜63、ならびに配列番号:1、3、5、9、および13〜63の残基4〜12(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:6、8、10および12からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される重鎖CDR3配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:64〜68、70、72、74、76〜182、ならびに配列番号:64、66、68、72および76〜182の残基4〜20(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:69、71、73および75からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される重鎖CDR2配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:183〜189、191、193、195、197〜294ならびに配列番号:183、185、187、189、193および197〜294の残基4〜13(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:190、192、194および196からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される重鎖CDR1配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、該当するCDRの代わりにVH3内の開示した重鎖の可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列をコードする核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:295〜301、303、305〜334、ならびに配列番号:295、297、299、301および305〜334の残基4〜13(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:302および304からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される軽鎖CDR3配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:335〜339、341、343〜346、ならびに配列番号:335、337、339および343〜346の残基4〜10(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:340および342からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される軽鎖CDR2配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、配列番号:347〜349、351、353〜359ならびに配列番号:347、349および353〜359残基4〜14(特定の実施形態では、前記核酸は、配列番号:350および352からなる群より選択される配列を含む)からなる群より選択される軽鎖CDR1配列をコードする単離された核酸を提供する。本明細書における特定の実施形態では、該当するCDRの代わりにVK3(またはVK1)内の開示した軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列をコードする核酸を提供する。特定の実施形態において、重鎖および軽鎖の両方のCDR(1、2および3)またはその1種類以上のいくつかの組合せを提供する。
該可変領域をコードする単離された核酸は、任意の所望の抗体分子形式、例えば、限定されないが、以下:F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体分子(該抗体と異なる結合特異性を有する第2の機能性部分、例えば限定されないが、別のペプチドもしくはタンパク質(抗体、あるいは受容体リガンドなど)に連結された本明細書において開示したPCSK9特異的抗体または抗原結合断片を含む抗体分子)、二重特異性単鎖Fv二量体、ミニボディ、dAb断片、ダイアボディ、トリアボディもしくはテトラボディ、ミニボディ、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgD、IgA、IgEまたはその任意の誘導体にて提供され得る。
特定の実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストをコードする単離された核酸、より特定の実施形態では、(i)配列番号:360〜510(その特定の実施形態は配列番号:550または配列番号:561の核酸配列を含む)からなる群より選択される重鎖可変ドメイン、および/または(ii)配列番号:511〜549(その特定の実施形態は配列番号:551の核酸配列を含む)からなる群より選択される軽鎖可変ドメインを含む抗体分子を提供する。本発明は、さらに、特定の実施形態では、重鎖および/または軽鎖の可変領域全体において少なくとも90%(特定の実施形態では、95%、97%または99%)同一であることが特徴である上記に開示したアンタゴニストのホモログを提供する。
さらなる実施形態では、PCSK9特異的アンタゴニストをコードする単離された核酸、より特定の実施形態では、(i)配列番号:558、566、および554(その特定の実施形態は、配列番号:559、567、568および555からなる群より選択される核酸を含む)からなる群より選択される軽鎖、および/または(ii)配列番号:552、562、556、564ならびに配列番号:562および552のアミノ酸1〜221(その特定の実施形態は、配列番号:553、563、557、565ならびに配列番号:553および563のヌクレオチド1〜663からなる群より選択される核酸を含む)からなる群より選択される重鎖またはFd鎖を含む抗体分子をコードする単離された核酸を提供する。本発明は、さらに、特定の実施形態において、重鎖および/または軽鎖において少なくとも90%同一であることが特徴である、上記に開示したアンタゴニストのホモログを提供する。
本発明の特定の実施形態は、Fc領域において、抗体上の一部においてFcγR受容体、ClqまたはFcRnへの結合の低減または改変をもたらす操作を有する抗体分子をコードする核酸を包含する。本発明の特定の一実施形態は、その免疫グロブリン構造の一部として配列番号:575、具体的な実施形態では、配列番号:575の残基107〜326を含む抗体分子をコードする単離された核酸である。特定の実施形態では、適当な発現ベクター内で合成およびアセンブリングさせたオリゴヌクレオチドから作製した核酸からの発現により、合成のPCSK9特異的アンタゴニストが作製され得る。例えば、Knappickら,2000 J.Mol.Biol.296:57−86、およびKrebsら,2001 J.Immunol.Methods 254:67−84を参照のこと。
本発明は、(i)軽鎖可変領域をコードする開示した核酸、ならびに(ii)重鎖可変領域をコードする開示した核酸、続いて、順に(隣接して)、配列番号:572(IgG1)、配列番号:573(IgG2)、配列番号:574(IgG4)および配列番号:575(IgG2m4)からなる群より選択されるアミノ酸の組をコードするヌクレオチドの組を含む抗体分子をコードする核酸を包含する。AX132抗PCSK9抗体分子の重鎖および軽鎖の配列を含むプラスミド配列は配列番号:560を見るとよい。AX213抗PCSK9抗体分子の重鎖および軽鎖の配列を含むプラスミド配列は配列番号:569を見るとよい。かかる抗体分子をコードする核酸は、本明細書の重要な実施形態を構成する。開示したプラスミド配列に存在するものを改変した領域で置き換えることにより、さらなるプラスミド配列が得られ得る。
また、完全長の本明細書に記載のヌクレオチド配列と少なくとも約90%同一、より好ましくは少なくとも約95%同一であるヌクレオチド配列であって、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害するPCSK9特異的アンタゴニストをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸も本発明に含まれる。
「少なくとも約90%同一である」に対する言及は、本出願書類を通して、少なくとも約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であることを含む。
さらに、本発明は、少なくとも一部分が、本明細書において開示した可変重鎖、可変軽鎖、重鎖および軽鎖領域のいずれか1つをコードする核酸の相補鎖に、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、単離された核酸を提供し、前記核酸は、抗体分子に対して、PCSK9に特異的に結合してPCSK9機能アンタゴナイズする能力を付与するものであり、PCSK9特異的アンタゴニストは前記核酸を用いて発現させたものである。核酸をハイブリダイズさせるための方法当該技術分野でよく知られている。例えば、Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,6.3.1−6.3.6,1989を参照のこと。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、5×SSC/5×デンハルト液(または同等液)/1.0%SDS中68℃でのハイブリダイズ、および0.2×SSC/0.1%SDS中室温での洗浄を伴うものである。中ストリンジェント条件としては、3×SSC中、42℃での洗浄が挙げられる。塩濃度および温度のパラメータは、プローブと標的核酸間の至適レベルの存在体(identity)が得られるように変更され得る。当業者は、本明細書において開示した可変重鎖、可変軽鎖、重鎖領域および/または軽鎖領域と少なくとも80、85、90、95、98または99%同一であるハイブリダイズさせる部分の核酸が特異的に標的化されるように、種々のハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作することができよう。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本パラメータおよび好適な条件を考案するための手引きは、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,第9章および11章,1989ならびにAusubelら(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,セクション2.10および6.3−6.4,1995(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)に示されており、当業者によって容易に決定され得る。開示した重鎖、軽鎖、可変重鎖または可変軽鎖領域にストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸を含む1つ以上の領域を有するPCSK9アンタゴニストは、PCSK9の1つ以上の機能をアンタゴナイズするのに有効なはずである。したがって、前記アンタゴニストおよびコード核酸は、本発明の重要な実施形態を構成する。
別の態様において、本発明は、本明細書において開示した核酸を含むベクターを提供する。本発明によるベクターとしては、限定されないが、プラスミド、および所望の抗体分子を意図される目的のため適切なレベルで発現させるのに適した他の発現構築物(例えば、適宜ファージまたはファージミド)が挙げられる。例えば、Sambrook & Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual:第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ほとんどのクローニング目的には、DNAベクターが使用され得る。典型的なベクターとしては、プラスミド、修飾ウイルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母人工染色体、細菌人工染色体、および他の形態のエピソーム型または組込み型のDNAが挙げられる。具体的な遺伝子導入、組換えPCSK9特異的アンタゴニストの作製、または他の使用のために適切なベクターを決定することは、充分に当業者の能力の範囲内である。特定の実施形態において、ベクターには、組換え遺伝子に加えて、宿主細胞内での自律的複製のための複製起点、適切な調節配列、例えば、プロモーター、終始配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、選択可能なマーカー、限定的な数の有用な制限酵素部位および/または他の配列(適宜、および高いコピー数となる可能性のため)も含有され得る。タンパク質特異的アンタゴニストの作製のための発現ベクターの例は当該技術分野でよく知られている。例えば、Persicら,1997 Gene 187:9−18;Boelら,2000 J.Immunol.Methods 239:153−166、およびLiangら,2001 J.Immunol.Methods 247:119−130(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。所望により、該アンタゴニストをコードする核酸を、当該技術分野でよく知られた手法を用いて宿主の染色体に組み込んでもよい。例えば、Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,1999、およびMarksら,国際公開第95/17516号を参照のこと。また、該核酸を、エピソーム型に維持したプラスミドまたは人工染色体に組み込んだプラスミドにおいて発現させてもよい。例えば、Csonkaら,2000 J.Cell Science 113:3207−3216;Vanderbylら,2002 Molecular Therapy 5:10を参照のこと。具体的に抗体分子に関して、抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子は、別々のベクター内に挿入され得るか、またはより典型的には、両遺伝子は同じ発現ベクター内に挿入され得る。任意のPCSK9特異的アンタゴニストまたはその成分をコードする核酸は、発現ベクター内に、標準的な方法(例えば、核酸断片およびベクターにおける相補制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合は平滑端ライゲーション)を用いて挿入され得る。これをどのようにして行うかの別の特定の例は、リコンビナショナル(recombinational)法、例えば、Clontech「InFusion」系、もしくはInvitrogen「TOPO」系(ともにインビトロ)、または細胞内(例えば、Cre−Lox系)の使用によるものである。具体的に抗体分子に関して、軽鎖および重鎖の可変領域を使用し、これらを、既に所望のアイソタイプの重鎖定常領域と軽鎖定常領域をコードしている発現ベクター内に、VHセグメントが該ベクター内のCHセグメント(1つまたは複数)に作動可能に連結され、VLセグメントが該ベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるように挿入することにより、任意の抗体アイソタイプの完全長抗体遺伝子が作出され得る。さらにあるいはまた、PCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む組換え発現ベクターに、宿主細胞からの該アンタゴニストの分泌を助長するシグナルペプチドをコードさせてもよい。該核酸はベクター内に、シグナルペプチドをコードする核酸が、PCSK9特異的アンタゴニストコード核酸に隣接してインフレームに連結されるようにクローニングされ得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドであっても非免疫グロブリンシグナルペプチドであってもよい。宿主細胞への核酸の導入には、当業者に利用可能な任意の手法が使用され得る。例えば、Morrison,1985 Science,229:1202を参照のこと。対象の核酸分子を発現ベクターにサブクローニングし、該ベクターを含む宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトする方法、ならびにそれぞれの発現ベクターを宿主細胞内に導入する工程、および該宿主細胞を適切な条件下で培養する工程を含む、実質的に純粋なタンパク質を作製する方法は、よく知られている。そのようにして産生されたPCSK9特異的アンタゴニストは、宿主細胞から慣用的な様式で回収され得る。対象の細胞内への核酸の導入に適した手法は、使用されている細胞の型に依存する。一般的な手法としては、限定されないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性トランスフェクションおよび対象の細胞株に適切なウイルス(例えば、レトロウイルス、ワクシニア、バキュロウイルス、またはバクテリオファージ)を用いた形質導入が挙げられる。
別の態様において、本発明は、開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む単離された細胞(1つまたは複数)を提供する。様々な異なる細胞株が、本明細書において想定され、組換えPCSK9特異的アンタゴニストの作製に使用され得、限定されないが、原核生物(例えば、大腸菌、バチルス属、およびストレプトミセス属)由来のもの、ならびに真核生物(例えば、酵母、バキュロウイルス、および哺乳動物)由来のものが挙げられる。例えば、Breitlingら,Recombinant抗体,John Wiley & Sons,Inc.and Spektrum Akademischer Verlag,1999を参照のこと。その開示は引用により本明細書に組み込まれる。また、本明細書において開示した核酸またはアンタゴニストを含む植物細胞(トランスジェニック植物を含む)、および動物細胞(トランスジェニック動物(ヒト以外)を含む)も本発明の一部として想定される。好適な哺乳動物細胞または細胞株、例えば限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣由来のもの(CHO細胞、例えば限定されないが、DHFR−CHO細胞(UrlaubおよびChasin,1980 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220に記載)これは、例えば、DHFR選択可能なマーカーとともに使用される(例えば、KaufmanおよびSharp,1982 Mol.Biol.159:601−621に記載)、NS0骨髄腫細胞(この場合、国際公開第87/04462号、同第89/01036号および欧州特許第338,841号明細書に記載のGS発現系が使用され得る)、COS細胞、SP2細胞、HeL細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、YB2/0ラット骨髄腫細胞、ヒト胚腎臓細胞、ヒト胚網膜細胞、ならびに本明細書において開示した核酸またはアンタゴニストを含む他のものは、本発明のさらなる実施形態を構成する。先に挙げたものの開示は引用により本明細書に組み込まれる。開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む本発明の特定の実施形態としては、限定されないが、大腸菌(例えば、Pluckthun,1991 Bio/Technology 9:545−551を参照のこと)、または酵母(ピキア属など)、およびその組換え誘導体(例えば、Liら,2006 Nat.Biotechnol.24:210−215参照)(先のものの開示は、引用により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。本発明の特定の実施形態は、開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む真核生物細胞に関する。Chadd & Chamow,2001 Current Opinion in Biotechnology 12:188−194,Andersen & Krummen,2002 Current Opinion in Biotechnology 13:117,Larrick & Thomas,2001 Current Opinion in Biotechnology 12:411−418を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。本発明の特定の実施形態は、適正な翻訳後修飾を有するPCSK9特異的アンタゴニストを作製することができる開示したPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む哺乳動物細胞に関する。翻訳後修飾としては、なんら限定されないが、ジスルフィド結合の形成およびグリコシル化が挙げられる。別の型の翻訳後修飾はシグナルペプチドの切断である。本明細書において好ましい実施形態は適切なグリコシル化を有する。e..,Yooら,2002 J.Immunol.Methods 261:1−20を参照のこと。その開示は引用により本明細書に組み込まれる。天然に存在する抗体には、重鎖に結合された少なくとも1種類のN結合型糖質が含まれている(同上)。効率的な翻訳後修飾を得るために種々の型の哺乳動物宿主細胞が使用され得る。かかる宿主細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、C6、PC12、および骨髄腫細胞が挙げられる。Yooら,2002 J.Immunol.Methods 261:1−20、およびPersicら,1997 Gene 187:9−18を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドを含む単離された細胞(1つまたは複数)を提供する。
別の態様において、本発明は、PCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を含む細胞、あるいはヒトPCSK9に対する特異性を有する所望のPCSK9特異的アンタゴニストの重鎖および/または軽鎖あるいはその断片(例えば、VHおよび/またはVL、あるいは開示した重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDRの1つ以上)(所望のアンタゴニストによって決定される)を含む細胞を、PCSK9特異的アンタゴニストの発現、または前記重鎖および/または軽鎖あるいは断片の発現およびPCSK9特異的アンタゴニストへのアセンブリが可能な条件下でインキュベートすること、ならびに前記PCSK9特異的アンタゴニストを該細胞から単離することを含む、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストの作製方法を提供する。所望の具体的な重鎖および/または軽鎖の配列あるいは断片の作製の一例は、まず、生殖細胞系列の重鎖および/または軽鎖の可変配列あるいは断片をPCRを用いて増幅(および修飾)することである。ヒト重鎖および/または軽鎖の可変領域の生殖細胞系列の配列は当業者に容易に利用可能である。例えば、「Vbase」ヒト生殖細胞系列の配列データベース、ならびにKabat,E.A.ら,1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242;Tomlinson,I.M.ら,1992「The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops」J.Mol.Biol.227:776−798;およびCox,J.P.L.ら,1994「A Directory of Human Germ−line VK Segments Reveals a Strong Bias in their Usage」Eur.J.Immunol.24:827−836を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。生殖細胞系列の配列の変異誘発は、標準的な方法、例えば、PCR媒介性変異誘発(この場合、変異はPCRプライマー内に組み込まれる)、または部位特異的変異誘発を用いて行われ得る。完全長抗体が所望される場合、ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列が利用可能である。例えば、Kabat.E.A.ら,1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照のこと。このような領域を含む断片は、例えば、標準的なPCR増幅によって得られ得る。あるいはまた、当業者は、既に重鎖および/または軽鎖の定常領域をコードしているベクターを利用することができよう。
Fabの発現および精製は、いくつかの様式で行われ得る。一般的な様式の一例は、完全体のIgG1のパパイン消化を行い、Fabの2つの等価体とFc領域の1つの等価体を放出させることである。しかしながら、ファージディスプレイ型ライブラリー(これも、大腸菌内での発現が必要とされる)では、Fabは、典型的には、タンパク質への共有結合によって、また、ヘキサヒスチジンタグ(His−タグ)への共有結合によってもディスプレイされる。典型的な様式では、IPTGによる誘導後、Fabの細胞内発現が行われる。続いて、全細胞を溶解させ、所望のFabを、ニッケルアフィニティカラムを用いて精製する。おそらく、ミスフォールディングFab、一部フォールディングFab、ジスルフィドスクランブル型FabまたはHis−タグを含有するタンパク質分解型Fab(His−タグは、これらおよび正しくフォールディングされたFabを区別しないため)から、特定の場合によっては、解析用SE−HPLCにおいて高いバックグラウンドが生じることがあり得る。したがって、特定の実施形態では、Fabの発現は以下のようにして行われる:ファージからのペリプラズム輸送シグナル(pIIIおよびpVIII外被タンパク質リーダー配列など)を発現ベクターにおいて使用し、Fabポリペプチドをペリプラズム空間の酸化環境に配置する。そこでは、シャペロン様酵素によって正しいFabのフォールディングが助長され得、したがって正しいジスルフィド結合の形成が可能となり得る。初期の一夜培養は30℃に設定され得る。続いて、この細菌培養物に対し、低濃度のIPTG(1mM、0.5mMまたは0.1mM)を用いてFab産生を誘導させると、lacオペロンが誘導され、Fab遺伝子の翻訳が開始され得る。温度が22〜23℃まで低下され得る。ペリプラズムフォールディング機構の過負を回避するため、低IPTGおよび低温の両方により、大腸菌タンパク質の合成を遅滞させる。次いで、細胞が低速遠心分離(約4000g)によって回収され得、ペリプラズム抽出が行われ得る。ペリプラズム抽出は、主に、細菌の細胞壁の外側を軽度の浸透圧ショックによって漏出性し、Fabがペリプラズムから周囲の培地中に逸出することを可能にすることを目的とした温和な浸透圧放出プロセスである。抽出後、細胞は、次いで高速(>15000g)で遠心分離され得、放出された可溶性Fabを含有する上清みをアフィニティクロマトグラフィーのために確保される。
上記の特定の実施形態では、アフィニティクロマトグラフィーは以下のとおりであり得る:プロテインG樹脂を用いたアフィニティ精製により、Fabのフォールディングされた定常領域が、中性pHで選択的に結合される(典型的には、PBSまたはHBSを約7.0〜7.4で使用)。結合されたFabは、酸性pH(典型的には、グリシン−HCl,pH2.7〜4.0を使用)下で放出させ、Fabが酸性pHに曝露されることを最小限にするために1M Tris塩基(pH9)を入れたチューブ内に溶出させ得る。あるいはまた、ペリプラズム抽出による抽出物は全細胞ライセートと比べて比較的清浄であるため、ニッケルアフィニティカラムを用いて、His−タグを有するFabを精製してもよい。どちらの場合も、溶出されたFabは、保存バッファー(典型的にはPBS、または任意の好ましい配合バッファー)にバッファー交換される(例えば、透析または30kD MWカットオフフィルターを用いた遠心濾過により)。試料は、解析用サイズ排除(SE)HPLCを用いて解析され得、一般的には、>95%所望の生成物からなる単一のピークが示される。所望により、オルソゴナル型の方法(カチオン(CEX)またはアニオン交換(AEX)または疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィーなど)を用いて、さらなる洗練を行ってもよい。
したがって、特定の実施形態では、開示したPCSK9特異的アンタゴニストの発現に使用される発現ベクターは、ファージ外被タンパク質pIIIの配列もしくはpVIIIリーダー配列、または発現されたアンタゴニストを細菌ペリプラズム内に輸送(export)するための他の輸送リーダー配列を含むものである。特定の実施形態において、これは、Fab発現用のものである。特定の実施形態において、本発明は、(a)本明細書に記載のベクターを細胞内に挿入すること(具体的な実施形態では、該ベクターはFabをコードしている)、ここで、該ベクターは、ファージ外被タンパク質PIIIまたはpVIIIリーダー配列を含む、(b)該細胞をPCSK9特異的アンタゴニストの生成に適切な条件下で培養すること、および(c)主に細胞壁の外側を破壊してペリプラズムの内容物を放出させ、かつ細胞内の内容物による夾雑を最小限にするための温和な溶解条件を用いたペリプラズム抽出によって、生成されたPCSK9特異的アンタゴニストを単離することを含む、PCSK9特異的アンタゴニストの作製方法を包含する。特定の実施形態において、これに、さらに、(i)プロテインGに対する定常ドメインの親和性(正しくフォールディングされたPCSK9特異的アンタゴニスト(Fabなど)を精製するため)、(ii)ニッケルアフィニティカラムに対するHis−タグの親和性、または(iii)他の適当な精製手法によってPCSK9特異的アンタゴニストを精製することを含めてもよい。次いで、この後に、バッファー交換したFabまたは単離したPCSK9特異的アンタゴニストを、最終生成物のQCのためにSDS−PAGE、解析用SE−HPLCまたは質量分析を用いて解析してもよい。
元の抗体の特異性を保持している他の抗体分子を組換え産生させるために利用可能な手法も存在している。その特定の例は、免疫グロブリン可変領域をコードするDNAまたはCDRを、別の抗体分子の定常領域、または定常領域とフレームワーク領域、または単純にフレームワーク領域内に導入するものである。例えば、欧州特許第184187号明細書、英国特許第2188638号明細書、および欧州特許第239400号明細書を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。抗体分子(キメラ抗体を含む)のクローニングおよび発現は文献に記載されている。例えば、欧州特許第0120694号明細書および同第0125023号明細書を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。
本発明による抗体分子は、一例において、既知の手法を用いて生成させ、次いで、本明細書において特定した特性についてスクリーニングされ得る。モノクローナル抗体の調製のための基本的な手法は、文献に記載されている。例えば、KohlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495−497)を参照のこと。その開示は引用により本明細書に組み込まれる。完全ヒトモノクローナル抗体は、利用可能な方法によって作製され得る。このような方法としては、なんら限定されないが、免疫機構を有する遺伝子操作マウス系統の使用が挙げられ、該マウスは、マウス抗体遺伝子が不活化されており、代わりに機能的ヒト抗体遺伝子のレパートリーに置き換えられているが、マウス免疫機構の他の成分は変化されていない。かかる遺伝子操作マウスにより、天然のインビボ免疫応答および親和性成熟プロセスが可能になり、それにより高親和性の完全ヒトモノクローナル抗体が得られる。この技術は当該技術分野でよく知られており、種々の刊行物、例えば限定されないが、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,789,650号、同第5,877,397号、同第5,661,016号、同第5,814,318号、同第5,874,299号、同第5,770,249号(GenPharm Internationalに譲渡、「UltraMab Human Antibody Development System」の傘下のMedarexから入手可能である)、ならびに米国特許第5,939,598号、同第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584および関連ファミリーメンバー(Abgenixに譲渡、そのXenoMouse(登録商標)技術を開示)(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)に充分に詳述されている。また、KellermanおよびGreen,2002 Curr.Opinion in Biotechnology 13:593−597、ならびにKontermann & Stefan,2001 Antibody Engineering,Springer Laboratory Manuals(これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)の概説も参照のこと。
あるいはまた、潜在的PCSK9特異的アンタゴニストを有するライブラリーまたは任意の抗体分子ライブラリーをPCSK9と接触させ、特異的結合性を示し得るものを選択してもよい。次いで、適正な機能性(例えば、細胞内LDL取込みのPCSK9依存性阻害の阻害)を確実にするため、機能試験が行われ得る。富化手法を使用し、ライブラリーからタンパク質特異的分子を選択するために当業者に利用可能な種々の手法が存在し、限定されないが、以下のものが挙げられる:ファージディスプレイ(例えば、米国特許第7,175,983号および同第7,117,096号、国際公開第03/099999号に開示されたAbmaxisの技術、ならびにWangら,2010 J.Mol.Biol.395:1088−1101、ならびに米国特許第5,565,332号、同第5,733,743号、同第5,871,907号、同第5,872,215号、同第5,885,793号、同第5,962,255号、同第6,140,471号、同第6,225,447号、同第6,291,650号、同第6,492、160号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、同第6,593,081、ならびに他の米国ファミリーメンバーおよび/または英国特許第9206318号明細書(1992年5月24日出願)の優先権を主張する出願に開示された Cambridge Antibody Technology(「CAT」)を参照のこと。また、Vaughnら,1996,Nature Biotechnology 14:309−314も参照のこと)、リボソームディスプレイ(例えば、HanesおよびPluckthun,1997 Proc.Natl.Acad.Sci.94:4937−4942参照)、細菌ディスプレイ(例えば、Georgiouら,1997 Nature Biotechnology 15:29−34参照)および/または酵母ディスプレイ(例えば、Kiekeら,1997 Protein Engineering 10:1303−1310、およびWangら,2010 J.Immunol.Methods 354:11−19参照)。先のものの開示は、引用により本明細書に組み込まれる。ライブラリーは、例えば、PCSK9特異的アンタゴニストをコードする発現された核酸またはその断片が、バクテリオファージ粒子表面上にディスプレイされるもの、および自身の表面上にディスプレイされるものであり得る。次いで、核酸は、所望の活性レベルを示すバクテリオファージ粒子から単離され得、該核酸が所望のアンタゴニストの開発に使用され得る。ファージディスプレイは充分に文献に記載されている。例えば、Wangら,2010 J.Mol.Biol.395:1088−1101、Kontermann & Stefan(上掲)および国際公開第92/01047号を参照のこと。これらの開示は引用により本明細書に組み込まれる。具体的に抗体分子に関して、本発明による個々の重鎖または軽鎖のクローンを使用し、それぞれ、相互作用して重鎖と軽鎖が結合された分子を形成し得る相補的な重鎖または軽鎖のスクリーニングを行ってもよい。例えば、国際公開第92/01047号を参照のこと。当業者に利用可能な任意のパニング方法が、PCSK9特異的アンタゴニストの同定に使用され得る。これを行うための別の特定の方法は、溶液中の標的抗原(例えば、ビオチニル化した可溶性PCSK9)に対してパニングし、次いで、PCSK9特異的アンタゴニスト−ファージ複合体をストレプトアビジンコート磁気ビーズ上に捕捉し、次いで、これを洗浄して非特異的結合ファージを除去することである。次いで、捕捉されたファージはビーズから、本明細書に記載のようなプレート表面からの回収と同様にして回収され得る。
PCSK9特異的アンタゴニストは、当業者に利用可能な手法によって精製され得る。該当するアンタゴニスト調製物、腹水、ハイブリドーマ培養液または関連試料の力価は、種々の血清学的または免疫学的アッセイ(限定されないが、沈降、受動凝集、酵素免疫測定法(「ELISA」)手法およびラジオイムノアッセイ(「RIA」)手法が挙げられる)によって測定され得る。
本発明は、一部において、本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニストを、PCSK9機能をアンタゴナイズすることために使用する方法に関する。前記方法は、以下にさらに詳細に記載する。用語「アンタゴナイズすること」の使用は、本出願書類全体を通して、PCSK9の1つ以上の機能に対抗する、阻害する、反作用する、中和する、または抑制する作用をいう。PCSK9関連機能的特性の1つ以上の阻害または拮抗作用は、当該技術分野で知られた方法論に従って容易に測定され得る(例えば、Barak & Webb,1981 J.Cell Biol.90:595−604;Stephan & Yurachek,1993 J.Lipid Res.34:325330;およびMcNamaraら,2006 Clinica Chimica Acta 369:158−167)ならびに本明細書に記載のものを参照のこと。該阻害または拮抗作用は、該アンタゴニストの非存在下で見られるもの、または例えば、無関連の特異性の対照アンタゴニストが存在している場合に見られるものと比べてPCSK9活性の減少が達成されるものである。好ましくは、本発明によるPCSK9特異的アンタゴニストはPCSK9機能発揮を、測定したパラメータ(例えば、限定されないが、本明細書において開示した活性)の少なくとも10%の減少、より好ましくは、測定したパラメータの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%および95%の減少が認められる点までアンタゴナイズするものである。PCSK9機能発揮のかかる阻害/拮抗作用は、PCSK9機能発揮が、少なくとも一部において、被検体にマイナスの影響を及ぼしている特定の表現型、疾患、障害もしくは病状の一因となっている場合に特に有効である。
一態様において、本発明は、PCSK9によって影響され得る(すなわち、LDL受容体を発現するおよび/または含む)細胞、細胞集団または組織試料を、本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストと、存在するとき前記アンタゴニストがPCSK9に結合し、細胞内LDL取込みのPCSK9の阻害を阻害することが可能な条件下で接触させることを含む、PCSK9の活性をアンタゴナイズする方法を提供する。本発明の特定の実施形態は、細胞がヒト細胞である、かかる方法を含む。
別の態様において、本発明は、被検体に治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む、被検体においてPCSK9の活性をアンタゴナイズする方法を提供する。特定の実施形態において、PCSK9機能をアンタゴナイズする方法は、PCSK9関連の疾患、障害または病状、あるいはまた、PCSK9アンタゴニストの効果の恩恵を被り得る疾患、障害または病状の処置のためのものである。その医薬は、PCSK9活性と関連している病状、またはPCSK9の機能発揮が特定の被検体に対して禁忌である病状を示す被検体(1人または複数)において有用であり得る。選択された実施形態では、該病状は高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群または関連病状であり得る。
したがって、本発明では、PCSK9機能をアンタゴナイズすることが望ましい種々の処置方法における本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニストの使用が想定される。該処置方法は、本質において予防的であっても治療的であってもよい。特定の実施形態において、本発明は、被検体に治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む、PCSK9活性と関連/起因している、またはPCSK9の機能発揮が特定の被検体に対して禁忌である病状の処置方法に関する。選択された実施形態では、該病状は高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群または関連病状であり得る。
本発明による処置方法は、個体に、治療(または予防)有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む。量に関する用語「治療(上)有効」または「予防(上)有効」の使用は、意図される投薬量で所望の治療効果/予防効果を所望の期間、得るのに必要な量をいう。所望の効果は、例えば、処置対象の病状と関連している少なくとも1つの症状の改善であり得る。このような量は、当業者には認識されるように、種々の要素、例えば限定されないが、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の効果を誘発できるPCSK9特異的アンタゴニストの能力に応じて異なる。応答は、インビトロアッセイ、インビボ非ヒト動物試験によって記録され得る、および/または臨床試験によりさらにサポートされ得る。
本発明は、コレステロールまたは脂質の恒常性の障害、ならびにこれに関連している障害および合併症、例えば、高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群、血管炎症、黄色腫および関連病状を処置または予防するための方法を提供する。
また、本発明は、心臓疾患のリスクの増大と関連している血中コレステロールマーカーを改善するための方法を提供する。このようなマーカーとしては、限定されないが、高い総コレステロール、高LDL、HDLに対する総コレステロールの高比率、およびHDLに対するLDLの高比率が挙げられる。
一般に、総コレステロールは、200mg/dL未満を望ましいとみなし、200〜239mg/dLを高いボーダーラインとみなし、240mg/dL以上を高いとみなす。例えば、本発明は、治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することにより、総コレステロールを例えば約200mg/dL以下まで低減させるための方法を含む。
一般に、血中LDLレベルは、100mg/dL未満を最適とみなし、100〜129mg/dLをほぼ最適/最適以上よりとみなし、130〜159mg/dLを高いボーダーラインとみなし、160〜189mg/dLを高いとみなし、190mg/dL以上を非常に高いとみなす。例えば、本発明は、治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することにより、LDLを例えば約100mg/dL未満まで低減させるための方法を含む。
一般に、正常とみなされるHDLレベルは少なくとも35〜40mg/dLである。例えば、本発明は、治療有効量の本発明の抗PCSK9抗体またはその抗原結合断片を投与することにより、HDLを例えば約35〜40mg/dL以上まで増大させるための方法を含む。
心臓疾患リスクの別の指標は、HDLに対する総コレステロールの比率である。一般に、心臓疾患の極低リスクは、比率<3.4(男性))または<3.3(女性)と相関しており、低リスクは比率4.0(男性)または3.8(女性)と関連しており、平均リスクは比率5.0(男性)または4.5(女性)と関連しており、中等度リスクは比率9.5(男性)または7.0(女性)と関連しており、高リスクは比率>23(男性)または>11(女性)と関連している。例えば、本発明は、治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することにより、HDLに対する総コレステロールの比率を例えば約4.5未満または5.0未満まで低減させるための方法を含む。
心臓疾患リスクのさらなる指標は、HDLに対するLDLの比率である。一般に、極低リスクは比率1(男性)または1.5(女性)と関連しており、平均リスクは比率3.6(男性)または3.2(女性)と関連しており、中等度リスクは比率6.3(男性)または5.0(女性)と関連しており、高リスクは比率8(男性)または6.1(女性)と関連している。例えば、本発明は、治療有効量の本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することにより、例えば、約3.2以下または3.6以下までのHDLに対するLDLの比率のための方法を含む。
PCSK9特異的アンタゴニストは医薬組成物として投与され得る。したがって、本発明は、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストおよび薬学的に許容され得る担体(例えば限定されないが、賦形剤、希釈剤、安定剤、緩衝剤、または該アンタゴニストの投与が助長されるように設計された択一的物質)を、処置対象の個体に所望される形式および量で含む薬学的に許容され得る組成物を提供する。
医薬組成物は、当該技術分野で知られた任意の数のストラテジーによって製剤化され得る。例えば,McGoff and Scher,2000 Solution Formulation of Proteins/Peptides:In−McNally,E.J.編.Protein Formulation and Delivery.New York,NY:Marcel Dekker;pp.139−158;Akers & Defilippis,2000,Peptides and Proteins as Parenteral Solutions.In−Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins.Philadelphia,PA:Taylor and Francis;pp.145−177;Akersら,2002,Pharm.Biotechnol.14:47−127を参照のこと。患者への投与に適した薬学的に許容され得る組成物は、生物学的活性が保持されるとともに、許容され得る温度範囲での保存時の最大安定性も促進される製剤の状態で有効量のPCSK9特異的アンタゴニストを含むものである。
該アンタゴニストの薬学的に許容され得る組成物は、具体的な実施形態では、液状もしくは固形形態、またはガス粒子もしくはエーロゾル化粒子の形態であり得る。液状または固形の製剤を作製するための任意の手法が使用され得る。かかる手法は、充分に当業者の能力の範囲内である。固形製剤は、任意の利用可能な方法、例えば限定されないが、凍結乾燥、噴霧乾燥、または超臨界流体技術による乾燥によって作製され得る。経口投与のための固形製剤は、該アンタゴニストを、患者に対して所定の量で所定の期間以内に到達可能にする任意の形態であり得る。経口製剤には、いくつかの固形製剤、例えば限定されないが、錠剤、カプセル剤または散剤の形態が採用され得る。あるいはまた、固形製剤を凍結乾燥させ、投与前に、当業者によく知られた方法による単回投与または複数回投与のいずれかのための液剤にしてもよい。アンタゴニスト組成物は、一般的に、生物学的に関連性のあるpH範囲内で製剤化するのがよく、保存中において適正なpH範囲が維持されるように緩衝化してもよい。液状製剤および固形製剤はいずれも、一般的に、長期間の安定性を保持するため、低温(例えば、2〜8℃)保存が必要とされる。製剤化されたアンタゴニスト組成物(特に、液状製剤)には、保存時のタンパク質分解を抑制または最小限にするための静菌剤、例えば限定されないが、有効濃度(例えば、≦1%w/v)のベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、クロロブタノール、メチルパラベン、および/またはプロピルパラベンが含有され得る。静菌剤は一部の患者には禁忌であり得る。したがって、凍結乾燥製剤を、かかる成分を含有するか、または含有しないかのいずれかである溶液中で再構成させてもよい。緩衝液状または固形いずれかのアンタゴニスト製剤に、さらなる成分、例えば限定されないが、抗凍結剤としての糖類(例えば、限定されないが、ポリヒドロキシ炭化水素(ソルビトール、マンニトール、グリセロールおよびダルシトールなど)および/または二糖類(スクロース、ラクトース、マルトースもしくはトレハロースなど))ならびに、一部の場合では、該当する塩類(例えば、限定されないが、NaCl、KC1、またはLiCl)を添加してもよい。長期保存で粘結するかかるアンタゴニスト製剤(特に、液状製剤)は、例えば2〜8℃またはそれ以上の温度での長期安定性を向上させるとともに、製剤を非経口注射に有用なものとするため、有用な範囲の総オスモル濃度に依存性である。適宜、保存料、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含めてもよい。製剤には、二価カチオン(例えば、限定されないが、MgCl2、CaCl2、およびMnCl2)、および/または非イオン系界面活性剤(例えば、限定されないが、ポリソルベート−80(Tween 80TM)、ポリソルベート−60(Tween 60TM)、ポリソルベート−40(Tween 40TM)、およびポリソルベート−20(Tween 20TM)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば限定されないが、Brij 58TM、Brij35TM、ならびに他のもの、例えば、Triton X−100TM、Triton X−114TM、NP40TM、Span 85 およびPluronicシリーズの非イオン系界面活性剤(例えば、Pluronic 121))が含有され得る。かかる成分の任意の組合せは本発明の特定の実施形態を構成する。
液状形式の医薬組成物には、液状担体、例えば、水、石油、動物性油、植物油、鉱油、または合成油が含められ得る。また、液状形式には、生理食塩水液、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなど)も含められ得る。
好ましくは、医薬組成物は、パイロジェンフリーであり、適当なpH、張度および安定性を有する非経口に許容され得る水性液剤の形態であり得る。
医薬組成物は、等張性ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射用液、リンゲル液注射用液、または乳酸加リンゲル液注射用液中での希釈後に投与するために製剤化されるものであってもよい。
本発明の一態様は、(i)約50〜約200mg/mLの本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト、(ii)ポリヒドロキシ炭化水素(例えば、限定されないが、ソルビトール、マンニトール、グリセロールおよびダルシトール)および/または二糖類(例えば、限定されないが、スクロース、ラクトース、マルトースおよびトレハロース)、前記ポリヒドロキシ炭化水素および/または二糖類は合わせて製剤の約1%〜約6%(重量/容量)(「w/v」)である、(iii)約5mM〜約200mMのヒスチジン、イミダゾール、医薬組成物の貯蔵寿命中のpHドリフトを抑制するための緩衝剤として、および張度改良剤としての機能を果たすリン酸塩または酢酸塩、(iv)約5mM〜約200mMのアルギニン、プロリン、フェニルアラニン、アラニン、グリシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはメチオニン(凝集に対する反作用のため)、(v)約5.5〜約7.5の範囲のpHが得られるのに充分な量の約0.01M〜約0.1Mの塩酸(「HCl」)、ならびに(vi)液状担体、限定されないが、滅菌水、石油、動物性油、植物油、鉱油、合成油、生理食塩水液、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなど)などを含む医薬組成物であり、ここで、前記医薬組成物は約5.5〜約7.5の範囲のpHを有し、前記医薬組成物は、任意選択で、約0.01%〜約1%w/vの非イオン系界面活性剤配合物(例えば、限定されないが、ポリソルベート−80(Tween 80TM)、ポリソルベート−60(Tween 60TM)、ポリソルベート−40(Tween 40TM)、およびポリソルベート−20(Tween 20TM)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば限定されないが、Brij 58TM、Brij35TM、ならびに他のもの、例えば、Triton X−100TM、Triton X−114TM、NP40TM、Span 85 およびPluronicシリーズの非イオン系界面活性剤(例えば、Pluronic 121))を含む。
HClは、遊離の酸、ヒスチジン−HClまたはアルギニン−HClとして添加され得る。ヒスチジン−HClまたはアルギニン−HClとして供給される場合、HCl形態中のヒスチジンまたはアルギニンの総量が上記に明示した値であるべきである。したがって、ヒスチジンおよび/またはアルギニンの量に応じて、適宜、該HClの一部または全部がヒスチジン−HClおよび/またはアルギニン−HClとして供給され得る。本明細書において開示した量に関する用語「約」の使用は、明示した数値の10%以内を示すことを意味する。示されたある範囲(例えば「約50〜約200」)は、前記範囲内の各数値を相違する実施形態として明示的に含む。したがって、上記の例において、限定されないが、50、100、125、150および200を有するなどの実施形態は、本明細書における特定の実施形態を構成する。本明細書において開示した医薬組成物は、投与様式にかかわらず一般的な適用性を有する。特定の実施形態において、開示した医薬組成物は、液剤として、または凍結乾燥形態の再構成時の皮下投与に有用である。開示した製剤に使用され得るタンパク質としては、治療的有益性をもたらす目的で送達される共有結合アミノ酸残基を含むことが特徴である任意の高分子タンパク質またはポリペプチドが挙げられる。本発明の組成物に有用なタンパク質としては、限定されないが、本明細書において規定した任意の抗体分子または任意の非抗体もしくは非免疫グロブリンタンパク質、ペプチド、ペグ化タンパク質および融合タンパク質が挙げられる。
本発明の特定の態様は、(i)約50〜約200mg/mLの本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト、(ii)約1%〜約6%(具体的な実施形態では、約2%〜約6%)w/vのマンニトール、トレハロースまたはスクロース、(iii)約10mM〜約100mMのヒスチジン、(iv)約25mM〜約100mMのアルギニンまたはプロリン、(v)約5.8〜約7の範囲のpHが得られるのに充分な量の約0.02M〜約0.05Mの塩酸(「HCl」)、および(vi)液状担体、例えば限定されないが、滅菌水、石油、動物性油、植物油、鉱油、合成油、生理食塩水液、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなど)を含む、上記に開示した医薬組成物に関する。ここで、前記医薬組成物は約5.8〜約7の範囲のpHを有し、前記医薬組成物は、任意選択で、約0.01%〜約1%w/vの非イオン系界面活性剤配合物(例えば、限定されないが、ポリソルベート−80(Tween 80TM)、ポリソルベート−60(Tween 60TM)、ポリソルベート−40(Tween 40TM)、およびポリソルベート−20(Tween 20TM)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば限定されないが、Brij 58TM、Brij35TM、ならびに他のもの、例えば、Triton X−100TM、Triton X−114TM、NP40TM、Span 85およびPluronicシリーズの非イオン系界面活性剤(例えば、Pluronic 121))を含む。
特定の実施形態では、(i)50〜200mg/mLの本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト、(ii)約1%〜約6%(具体的な実施形態では、約2%〜約6%)w/vのマンニトール、トレハロースまたはスクロース、(iii)約10mM〜約150mMのヒスチジン、(iv)約10mM〜約150mMのアルギニンまたはプロリン、(v)約5.8〜約6.5の範囲のpHが得られるのに充分な量の約0.03M〜約0.05Mの塩酸(「HCl」)、および(vi)液状担体、例えば限定されないが、滅菌水、石油、動物性油、植物油、鉱油、合成油、生理食塩水液、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなど)を含む医薬組成物を提供し、ここで、前記医薬組成物は約5.8〜約6.5の範囲のpHを有し、前記医薬組成物は、任意選択で、約0.01%〜約1%w/vのポリソルベート−80(Tween 80TM)またはポリソルベート−20(Tween 20TM)を含む。
本明細書における特定の実施形態では、(i)50〜200mg/mLの本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト、(ii)約1%〜約6%(具体的な実施形態では、約2%〜約6%)w/vのスクロース、(iii)約25mM〜約100mMのヒスチジン、(iv)約25mM〜約100mMのアルギニン、(v)約6のpHが得られるのに充分な量の約0.040M〜約0.045Mの塩酸(「HCl」)、および(vi)滅菌水を含む医薬組成物を提供し、ここで、前記医薬組成物は約6のpHを有し、前記医薬組成物は、任意選択で、約0.01%〜約1%w/vのポリソルベート−80(Tween 80TM)またはポリソルベート−20(Tween 20TM)を含む。その特定の実施形態において、ヒスチジンとアルギニンのレベルは、互いの25mMの以内であり、他の実施形態では同じである。
本明細書における特定の実施形態では、(i)50〜200mg/mLの本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト、(ii)以下のうちの1つの量のスクロース、ヒスチジンおよびアルギニン:(a)約1%w/vのスクロース、約10mMのヒスチジンおよび約25mMのアルギニン、(b)約2%w/vのスクロース、約25mMのヒスチジンおよび約25mMのアルギニン、(c)約3%w/vのスクロース、約50mMのヒスチジンおよび約50mMのアルギニン、または(d)約6%w/vのスクロース、約100mMのヒスチジンおよび約100mMのアルギニン、(iii)約0.04mol、あるいはまた、約1.46gのHCl、および(iv)滅菌水を含む医薬組成物を提供し、ここで、前記医薬組成物は約6のpHを有し、前記医薬組成物は、任意選択で、約0.01%〜約1%w/vのポリソルベート−80(Tween 80TM)またはポリソルベート−20(Tween 20TM)を含む。本明細書における特定の実施形態は、上記の(ii)のスクロース、ヒスチジンおよびアルギニンの量が(c)または(d)に記載のものである。スクロース、ヒスチジンおよびアルギニンの量が(ii)の(c)に明示したものである上記の医薬製剤が使用された特定の実施形態は、生理学的値300mOsmと類似したオスモル濃度をもたらし、液状形態および凍結乾燥形態のいずれにおいても規定の安定性をもたらすことがわかった。
本明細書における特定の実施形態では、50〜200mg/mlの本明細書に記載の種々のPCSK9特異的アンタゴニストのいずれか1つを含む記載の医薬組成物を提供する。例示の目的のためであって、限定と解釈されるべきでないが、相違する一実施形態は、以下の:(a)配列番号:558を含む軽鎖、および(b)配列番号:556を含む重鎖を含むPCSK9特異的アンタゴニストを含む上記の医薬製剤であり、ここで、前記PCSK9特異的アンタゴニストは、細胞内LDL取込みのPCSK9の阻害をアンタゴナイズする抗体分子である。さらなる実施形態は:(a)配列番号:566を含む軽鎖、および(b)配列番号:564を含む重鎖を含むPCSK9特異的アンタゴニストを含む上記の医薬製剤であり、ここで、前記PCSK9特異的アンタゴニストは、細胞内LDL取込みのPCSK9の阻害をアンタゴナイズする抗体分子である。
本明細書における具体的な実施形態は、凍結乾燥させて再構成させる上記による医薬組成物である。特定の実施形態において、前記凍結乾燥させて再構成させた液剤中の前記タンパク質の濃度は、先に凍結乾燥させた組成物中よりも2倍高くまでである。特定の実施形態において、凍結乾燥および/または再構成させる医薬組成物中の該タンパク質またはPCSK9特異的アンタゴニストの濃度は約50mg/mL〜約300mg/mLの範囲である。凍結乾燥医薬組成物を再構成させるのに有用な希釈剤としては、限定されないが、滅菌水、静菌注射用水(「BWFI」)、リン酸緩衝生理食塩水、滅菌生理食塩水液、生理食塩水液、リンゲル液またはデキストロース液が挙げられ、特定の実施形態では、0.01〜1%(w/v)のポリソルベート−80(Tween 80TM)またはポリソルベート−20(Tween 20TM)が含有され得る。特定の実施形態において、凍結乾燥粉剤は、元の容量の1/60.2倍(または0.167mL)から1倍(lmL)までで再構成され得る。
本発明の例示的な実施形態は、安定な本明細書に記載の医薬組成物である。本発明の他の実施形態は、凍結乾燥と再構成に対して安定な本明細書に記載の医薬組成物である。凍結乾燥組成物の調製には、種々の方法が当業者に利用可能である。例えば、Martin & Mo,2007「Stability Considerations for Lyophilized Biologics」Amer.Pharm.Revを参照のこと。「安定な」は、本明細書で用いる場合、該タンパク質またはPCSK9特異的アンタゴニストの、その物理的もしくは化学的安定性、コンホメーションの完全性を保持する性質、または対照試料と比べて、4〜37℃の範囲の温度で少なくとも約30日間に示される変性、タンパク質クリッピング、凝集、断片化、酸性バリアントの形成もしくは生物学的活性の低下が少ないという能力をいう。他の実施形態では、上記の温度で3ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間、2年間まで、またはそれより長期間安定に維持される。特定の実施形態では、製剤は、2〜8℃で少なくとも6ヶ月間、好ましくは、12ヶ月間、2年間またはそれより長期間(順に好ましい)有意な変化を示さないものである。特定の実施形態は、対照試料と比べて、25〜45℃(あるいはまた、2〜8℃)の範囲の温度で少なくとも約30日間、3ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間、2年間またはそれより長期間に起こる変性、タンパク質クリッピング、凝集、断片化、酸性バリアントの形成または生物学的活性の低下が10%未満、または具体的な実施形態では5%未満のものである。製剤の安定性は、当業者に知られたいくつかの手段によって試験され得、限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)(凝集および断片化の測定ため)、動的光散乱(DLS)(濃縮試料粒径の測定ため)、キャピラリーSDS−PAGE(断片化の測定ため)およびキャピラリー等電点電気泳動法(cIEF)またはカチオン交換クロマトグラフィー(「CEX」)(酸性バリアントの形成の測定ため)が挙げられる。タンパク質の安定性の解析に適した手法は当業者に充分理解されている:Peptide and Protein Drug Delivery,247−301,Vincent Lee編,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)およびJones,1993 Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90の概説を参照のこと。
本明細書に記載の医薬組成物は滅菌されたものであるべきである。これを行うのに種々の手法が当業者に利用可能であり、限定されないが、滅菌濾過膜に通す濾過が挙げられる。凍結乾燥させて再構成させる組成物が使用される特定の実施形態において、これは、凍結乾燥と再構成の前に行っても、後に行ってもよい。
アンタゴニスト治療薬の投与は充分当業者の技能の範囲であり(例えば、Ledermanら,1991 Int.J.Cancer 47:659−664;Bagshaweら,1991 Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915−922を参照)、いくつかの要素、例えば限定されないが、使用される具体的なPCSK9特異的アンタゴニスト、処置対象の患者、患者の体調、処置対象の面積、投与経路、および所望される処置に基づいて異なる。当業者である医師または獣医は、アンタゴニストの有効な治療量を決定し、処方することが容易にできよう。投薬量範囲は、宿主の体重に対して約0.01〜100mg/kg、より通常には0.05〜25mg/kgであり得る。例えば、投薬量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1〜10mg/kgの範囲内であり得る。例示の目的で、限定されないが、特定の実施形態では、5mg〜2.0gの用量が該アンタゴニストの全身送達に使用され得る。特定の実施形態において、提供される用量濃度は約8mg/mL〜約200mg/mLの範囲である。他の実施形態では、本発明における使用に想定される用量は、約50mg/mL〜約150mg/mLである。特定の実施形態において、用量は約0.1mL〜約1.5mLであり、特定の実施形態(embodimnt)では1mLである。毒性なく有効性がもたらされる範囲内のアンタゴニスト濃度を得ることにおける最適精度には、標的部位(1つまたは複数)に対する薬物の利用可能性速度論に基づいたレジメンが必要とされる。これには、PCSK9特異的アンタゴニストの分布、平衡および排出の考慮を伴う。本明細書に記載のアンタゴニストは、適切な投薬量で単独で使用してもよい。あるいはまた、他の薬剤との共投与または逐次投与が望ましい場合もある。本発明のPCSK9特異的アンタゴニストの治療的投与レジメン(regime)を、択一的な処置レジメンとともに提示することが可能である。例えば、PCSK9特異的アンタゴニストは、他の薬物(治療的および/または予防的)と併用して、または該薬物とともに使用され得る。特定の実施形態において、PCSK9特異的アンタゴニストは、コレステロール降下薬、例えば、コレステロール吸収阻害薬(例えば、Zetia(登録商標))ならびにコレステロール合成阻害薬(例えば、Zocor(登録商標)およびVytorin(登録商標))と併用して、または該薬物とともに使用される。本発明では、かかる併用が想定され、本発明の重要な実施形態を構成する。したがって、本発明は、PCSK9特異的アンタゴニストが別の薬物(1種類または複数種)(治療的および/または予防的)、例えば限定されないが、コレステロール降下薬(コレステロール吸収阻害薬など)と同時、該薬物の後または該薬物の前に投与/送達される上記の処置方法に関する。
本明細書に記載の処置が可能な個体(被検体)としては、霊長類、ヒトおよび非ヒトが挙げられ、商業上または飼育上獣医学的に重要な任意の非ヒト哺乳動物または脊椎動物を含む。
PCSK9特異的アンタゴニストは個体に、当該技術分野で認められた任意の投与経路、例えば限定されないが、経口投与、注射による投与(特定の実施形態としては、静脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射が挙げられる)、または吸入による投与、鼻腔内、もしくは経表面投与によって、単独で、または個体の処置が補助されるように設計された他の薬剤との併用のいずれかで投与され得る。また、PCSK9特異的アンタゴニストを、注射デバイス、ペン型注射器、無針デバイス、および皮下パッチ送達系で投与してもよい。投与経路は、当業者によって認識されるいくつかの考慮事項、例えば限定されないが、処置剤の所望の物理化学的特性に基づいて決定されるべきである。処置は、毎日、毎週、隔週もしくは毎月ベースで、または適切な量のPCSK9特異的アンタゴニストが個体に所定の時点で所望の処置が奏功および維持されるように送達される任意の他のレジメンで施され得る。製剤は、単回用量で投与してもよく、1回以上の用量で隔離した時点で投与してもよい。
また、開示したアンタゴニストを、PCSK9関連の疾患、障害もしくは病状、あるいはまた、PCSK9アンタゴニストの効果の恩恵を被り得る疾患、障害もしくは病状の処置のための医薬の製造に使用する方法も想定される。該医薬は、PCSK9活性と関連している病状、またはPCSK9の機能発揮が特定の被検体に対して禁忌である病状を示す被検体(1人または複数)において有用なものであり得る。選択された実施形態では、該病状は高コレステロール血症、冠動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、急性冠症候群または関連病状であり得る。
また、本明細書に開示したPCSK9特異的アンタゴニストは、PCSK9の診断方法としても使用され得る。選択された実施形態では、本発明は、試料(例えば、限定されないが、生物学的試料、例えば、血清または血液)中に存在するPCSK9を同定またはそのレベルを定量する方法であって、該試料を本明細書に記載のPCSK9特異的アンタゴニストと接触させること、およびPCSK9に対する結合をそれぞれ、検出または定量することを含む方法を包含する。PCSK9特異的アンタゴニストは、当業者に知られた種々のアッセイ形式において使用され得、キットの一部を構成するものであってもよい(キットの一般的な特徴は、以下にさらに詳細に記載する)。
さらに、本発明は、遺伝子療法の目的で開示した抗PCSK9アンタゴニストの投与を提供する。かかる方法により、被検体の細胞を、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸で形質転換する。その結果、該核酸を含む被検体では、PCSK9特異的アンタゴニストが内生的に生成される。
以前に、Alvarezら,Clinical Cancer Research 6:3081−3087,2000により、一本鎖の抗ErbB2抗体が被検体に、遺伝子療法アプローチを用いて導入された。Alvarezら(上掲)によって開示された方法は、被検体への本発明の抗PCSK9抗体をコードする核酸の導入に容易に適合され得る。
任意のPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸が被検体に導入され得る。
該核酸は被検体の細胞に、当該技術分野で知られた任意の手段によって導入され得る。好ましい実施形態において、該核酸は、ウイルスベクターの一部として導入される。ベクターを誘導し得る好ましいウイルスの例としては、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、アルファウイルス、インフルエンザウイルス、および望ましい細胞向性を有する他の組換えウイルスが挙げられる。
様々な企業によって市販のウイルスベクターが作製されており、なんら限定されないが、Avigen,Inc.(Alameda,Calif.;AAVベクター)、Cell Genesys(Foster City,Calif;レトロウイルス、アデノウイルス、AAVベクター、およびレンチウイルスベクター)、Clontech(レトロウイルスおよびバキュロウイルスベクター)、Genovo,Inc.(Sharon Hill,Pa.;アデノウイルスおよびAAVベクター)、Genvec(アデノウイルスベクター)、IntroGene(Leiden,Netherlands;アデノウイルスベクター)、Molecular Medicine(レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、およびヘルペスウイルスベクター)、Norgen(アデノウイルスベクター)、Oxford BioMedica(Oxford,United Kingdom;レンチウイルスベクター)、ならびにTransgene(Strasbourg、France;アデノウイルス、ワクシニア、レトロウイルス、およびレンチウイルスベクター)が挙げられる。
ウイルスベクターの構築および使用のための方法は当該技術分野で知られている(例えば、Millerら,BioTechniques 7:980−990,1992を参照のこと)。好ましくは、ウイルスベクターは複製欠陥型、すなわち、自律的に複製することができず、したがって標的細胞において感染性でないものである。好ましくは、複製欠陥型ウイルスは最小限のウイルス、すなわち、そのゲノム内において、該ゲノムを封入してウイルス粒子を生成させるのに必要な配列のみを保持しているウイルスである。ウイルス遺伝子が完全またはほぼ完全に欠損している欠陥型ウイルスが好ましい。欠陥型ウイルスベクターの使用により、細胞に対して、該ベクターが他の細胞に感染し得ることを懸念せずに特定の局所領域内に投与することが可能になる。したがって、特定の組織を特異的に標的化することができる。
弱毒化または欠陥型のDNAウイルス配列を含むベクターの例としては、限定されないが、欠陥型ヘルペスウイルスベクター(Kannoら,Cancer Gen.Ther.6:147−154,1999;Kaplittら,J.Neurosci.Meth.71:125−132,1997およびKaplittら,J.Neuro Onc.19:137−147,1994)が挙げられる。
アデノウイルスは真核生物系DNAウイルスであり、これは、本発明の核酸が様々な細胞型に効率的に送達されるように修飾され得る。弱毒化アデノウイルスベクター(Strafford−Perricaudetら,J.Clin.Invest.90:626−630,1992に記載されたベクターなど)が、一部の場合において望ましい。種々の複製欠陥型アデノウイルスおよび最小限のアデノウイルスベクターが記載されている(PCT国際公開第94/26914号、同第94/28938号、同第94/28152号、同第94/12649号、同第95/02697号および同第96/22378号)。本発明による複製欠陥型の組換えアデノウイルスは、当業者に知られた任意の手法によって調製され得る(Levreroら,Gene 101:195,1991、欧州特許第185573号明細書、Graham,EMBO J.3:2917,1984、Grahamら,J.Gen.Virol.36:59,1977)。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、比較的小さい大きさのDNAウイルスであり、安定で部位特異的な様式で、感染する細胞のゲノム内に組み込まれ得る。該ウイルスは、細胞の増殖、形態または分化に対してなんら効果を誘導することなく広範な細胞に感染することができ、ヒトの病態に関与しないようである。AAVから誘導されるインビトロおよびインビボでの遺伝子導入のためのベクターの使用が記載されている(Dalyら,Gene Ther.8:1343−1346,2001,Larsonら,Adv.Exp.Med.Bio.489:45−57,2001、PCT国際公開第91/18088号および同第93/09239号、米国特許第4,797,368号明細書および同第5,139,941号明細書ならびに欧州特許第488528号明細書参照)。
別の実施形態では、該遺伝子は、例えば、米国特許第5,399,346号明細書、同第4,650,764号明細書、同第4,980,289号明細書、および同第5,124,263号明細書、Mannら,Cell 33:153,1983、Markowitzら,J.Virol、62:1120,1988、欧州特許第453242号明細書および同第178220号明細書に記載のようなレトロウイルスベクター内に導入され得る。レトロウイルスは組込み型ウイルスであり、これは分裂細胞に感染する。
レンチウイルスベクターは、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストをコードする核酸を、いくつかの組織型、例えば、脳、網膜、筋肉、肝臓および血液に直接送達および持続的発現のための薬剤として使用され得る。該ベクターにより、このような組織の分裂細胞および非分裂細胞が効率的に形質導入され得、PCSK9特異的アンタゴニストの長期発現が維持され得る。概説については、Zuffereyら,J.Virol.72:9873−80,1998およびKafriら,Curr.Opin.Mol.Ther.3:316−326,2001を参照のこと。レンチウイルスパッケージング細胞株が利用可能であり、当該技術分野で一般に知られている。該細胞株では、遺伝子療法のための高力価のレンチウイルスベクターの生成が助長される。一例は、テトラサイクリン誘導性VSV−Gシュードタイプレンチウイルスパッケージング細胞株であり、106IU/mlより高力価のウイルス粒子が少なくとも3〜4日間生成され得る。Kafriら,J.Virol.73:576−584,1999参照。誘導細胞株によって生成されたベクターは、インビトロおよびインビボでの非分裂細胞の効率的な形質導入の必要に応じて濃縮され得る。
シンドビスウイルスは、アルファウイルス属の構成員であり、1953年を初めに世界中の種々の箇所で発見されて以来、広く研究されている。アルファウイルス、具体的にはシンドビスウイルスに基づいた遺伝子形質導入は、インビトロで充分に研究されている(Strausら,Microbiol.Rev.,58:491−562,1994;Bredenbeekら,J.Virol.,67:6439−6446,1993;Ijimaら,Int.J.Cancer 80:110−118,1999 and Sawaiら,Biochim.Biophyr.Res.Comm.248:315−323,1998参照)。アルファウイルスベクターは、その特性の多く(発現構築物の迅速な操作、高力価の感染性粒子ストックの生成、非分裂細胞の感染、高いレベル発現など)により、開発中の他のウイルス由来のベクター系の望ましい代替物となっている(Straussら,1994(上掲))。遺伝子療法のためのシンドビスウイルスの使用が報告されている(Wahlforsら,Gene.Ther.7:472−480,2000およびLundstrom,J.Recep.Sig.Transduct.Res.19(1−4):673−686,1999。
別の実施形態では、ベクターは細胞に、リポフェクションまたは他のトランスフェクション助長剤(ペプチド、ポリマーなど)によって導入され得る。合成カチオン脂質を使用し、マーカーコード遺伝子のインビボおよびインビトロトランスフェクションのためのリポソームが調製され得る(Feignerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417,1987およびWangら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851−7855,1987)。核酸導入に有用な脂質化合物および組成物は、PCT国際公開第95/18863号および同第96/17823号、ならびに米国特許第5,459,127号明細書に記載されている。
また、ベクターをインビボで裸のDNAプラスミドとして導入することも可能である。遺伝子療法のための裸のDNAベクターは所望の宿主細胞内に、当該技術分野で知られた方法、例えば、エレクトロポレーション、マイクロ注入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体の使用によって導入され得る(例えば、Wilsonら,J.Biol.Chem.267:963−967,1992;Williamsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2726−2730,1991参照)。プラスミドのトランスフェクションに一般的に使用される他の試薬としては、なんら限定されないが、FuGene、リポフェクチン、およびリポフェクタミンが挙げられる。また、受容体媒介性DNA送達アプローチも使用され得る(Wuら,J.Biol.Chem.263:14621−14624,1988)。米国特許第5,580,859号明細書および同第5,589,466号明細書には、トランスフェクション助長剤なしでの哺乳動物への外因性DNA配列の送達が開示されている。最近、エレクトロトランスファー(electrotransfer)と称される比較的低電圧での高効率インビボDNA導入手法が報告された(Vilquinら,Gene Ther.8:1097,2001;Payenら,Exp.Hematol.29:295−300,2001;Mir,Bioelectrochemistry 53:1−10,2001;PCT国際公開第99/01157号、同第99/01158号および同第99/01175号)。
かかる遺伝子療法アプローチに適しており、本発明の抗PCSK9アンタゴニストをコードする核酸を含む医薬組成物は、本発明の範囲に含まれる。
別の態様において、本発明は、本発明のPCSK9特異的アンタゴニストを用いて、対象の試料中のPCSK9を同定、単離、定量またはアンタゴナイズするための方法を提供する。PCSK9特異的アンタゴニストは、免疫化学的アッセイ、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的アッセイ、免疫沈降、または当該技術分野で知られた他の免疫化学的アッセイ(例えば、Immunological Techniques Laboratory Manual,Goers編,J.1993,Academic Press参照)あるいは種々の精製プロトコルにおける研究用ツールとして使用してもよい。該アンタゴニストは、関連活性の容易な特定または測定が助長されるように標識が組み込まれていてもよく、または結合されていてもよい。当業者には、上記のプロトコルに有用であり得る種々の型の検出可能な標識(例えば、酵素、色素、または容易に検出可能であるか、もしくは容易に検出可能ななんらかの活性/結果をもたらすかのいずれかである他の適当な分子)が、すぐにわかるであろう。
本発明のさらなる態様は、本明細書において開示したPCSK9特異的アンタゴニストまたは医薬組成物および使用説明書を含むキットである。キットには、典型的には(そうである必要はないが)キットの内容物の意図される使用を示すラベル表示が含まれている。ラベル表示という用語は、キット上またはキットとともに提供された、あるいはキットに付随する任意の文書または記録された資料を含む。医薬組成物を凍結乾燥して提供する特定の実施形態では、キットには、製剤を液状形態に再構成するための滅菌水または生理食塩水が含まれ得る。特定の実施形態において、該水または生理食塩水の量は約0.1ml〜1.0mlである。
以下の実施例は本発明を例示するために示し、本発明は該実施例に限定されない。
PCSK9タンパク質に対するABMAXIS PDL1ファージライブラリーのパニング
合成ヒトFabライブラリーを、ヒトPCSK9に対してパニングした。抗原タンパク質PCSK9を、Maxisorpウェルストライプ(Nunc−Immuno Modules)上に、1−10μg/mlの濃度で4℃にて一晩コーティングした。抗原の多数のウェルは各ライブラリーについて調製した。5%乳汁含有PBSを使用し、コートウェルを室温で1〜2時間ブロックした。PBSで洗浄後、100μlのファージライブラリー液/ウェル(通常、2%乳汁−PBS中、1〜5×1012)を4つの並行ウェルに添加し、設計した時間(通常、1〜2時間)インキュベートした。PBSTおよびPBSで数回洗浄後、結合ファージをウェルから新鮮調製1.4%トリエチルアミン含有ddH20で溶出させ(室温で10分間インキュベーション)、その直後に、50μlの1M Tris−HCl(pH6.8)を添加することによって中和した。
合成ヒトFabライブラリーを、ヒトPCSK9に対してパニングした。抗原タンパク質PCSK9を、Maxisorpウェルストライプ(Nunc−Immuno Modules)上に、1−10μg/mlの濃度で4℃にて一晩コーティングした。抗原の多数のウェルは各ライブラリーについて調製した。5%乳汁含有PBSを使用し、コートウェルを室温で1〜2時間ブロックした。PBSで洗浄後、100μlのファージライブラリー液/ウェル(通常、2%乳汁−PBS中、1〜5×1012)を4つの並行ウェルに添加し、設計した時間(通常、1〜2時間)インキュベートした。PBSTおよびPBSで数回洗浄後、結合ファージをウェルから新鮮調製1.4%トリエチルアミン含有ddH20で溶出させ(室温で10分間インキュベーション)、その直後に、50μlの1M Tris−HCl(pH6.8)を添加することによって中和した。
溶出した富化ファージプールを、さらに、以下の工程によって増幅させた:まず、TG1細胞を、溶出ファージに37℃で1時間感染させ、次いで、2%グルコースおよび100μg/mlのカルベニシリンを含む2YT寒天プレート上にプレーティングし、一晩培養した。このような富化ファージミドライブラリー保有するTG1細胞をプレートから回収し、ヘルパーファージGMCTに1時間感染させた。次いで、Fab−ディスプレイファージを、ライブラリーファージミドとGMCTヘルパーファージゲノムの両方を保有するTG1細胞から、2×YT/カルベニシリン/カナマイシン中、22℃で一晩増殖させることによって作製した。ファージミド粒子を一夜培養物の上清みからPEG/NaClでの沈殿によって精製し、PBS中に再懸濁させた。PEG−沈殿を1回繰り返した。ファージ濃度をOD268の測定によって測定した。
初回の増幅ファージについて、上記のパニングプロセスを2回繰り返し、PCSK9結合ファージをさらに富化させた。3回目のパニングからの溶出ファージをTG1細胞の感染に使用した。3回目のパニングからのファージミドを保有するTG1細胞を、Fab ELISAスクリーニングアッセイのために2YT寒天プレートから選出した。
PCSK9結合体に関するFab ELISAスクリーニング
3回目のパニングから10,000個を超えるクローンをMegaPix Picking Robot(Genetix)によって選出し、60μlの2YT/2%グルコース/カルベニシリンを入れた384ウェルプレート内に播種し、450rpmで振盪しながら30℃で一晩培養した。各ウェルの約1〜3μlの一夜培養物を、50μl/ウェルの2YT/0.1%グルコース/カルベニシリンを入れた新たなプレートに移すことにより、二連のプレートを作製した。この二連のプレートを振盪機内で30℃で6時間インキュベートし、次いで、10μl/ウェルのIPTGを終濃度1mMで添加した。22℃で一番培養後、各ウェルにリゾチームを添加することにより、IPTG−誘導プレート内の可溶性Fabを放出させた。
3回目のパニングから10,000個を超えるクローンをMegaPix Picking Robot(Genetix)によって選出し、60μlの2YT/2%グルコース/カルベニシリンを入れた384ウェルプレート内に播種し、450rpmで振盪しながら30℃で一晩培養した。各ウェルの約1〜3μlの一夜培養物を、50μl/ウェルの2YT/0.1%グルコース/カルベニシリンを入れた新たなプレートに移すことにより、二連のプレートを作製した。この二連のプレートを振盪機内で30℃で6時間インキュベートし、次いで、10μl/ウェルのIPTGを終濃度1mMで添加した。22℃で一番培養後、各ウェルにリゾチームを添加することにより、IPTG−誘導プレート内の可溶性Fabを放出させた。
上記の実験で作製された可溶性Fabの抗原結合活性を検出するため、5μg/mlのヒトPCSK9抗原を一晩コーティングすることにより抗原プレートを作製した。5%乳汁−PBSでブロックし、PBSTで洗浄した後、IPTG−誘導プレートからの15〜20μlのFab試料を抗原プレートに移し、室温で1〜2時間インキュベーションした。プレートをPBS−Tで5回洗浄し、1:2000希釈ヤギ抗ヒトκ−HRP(SouthernBiotechカタログ番号2060−05)または1:10,000希釈ヤギ抗ヒトFab−HRP(5%MPBS中)を添加し、インキュベーション1時間した。未結合HRP−コンジュゲートをPBSTで洗い流し、次いで、基質溶液QuantaBlu WS(Pierce 15169)を各ウェルに添加し、5〜15分間インキュベートした。各ウェルの相対蛍光単位(RFU)を測定し、励起波長330nmおよび発光検出波長410nmを使用することによりFab結合活性を求めた。
ELISAの結果により、個々のPDL1サブライブラリーの3回目のパニングからのクローンの30〜80%が抗原PCSK9に結合したことが示された。次いで、陽性クローンをDNA配列決定のために送られた。合計128個の特殊なFab配列がPDL1ライブラリーから同定された。
以下の可変重鎖および可変軽鎖領域を含む、対象の具体的なPCSK9アンタゴニストの1つであるAX114が、PDL1−VH3/VK3サブライブラリーから同定された。
>SEQ 360(AX114 VH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCKASGYTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWIGWIDPGSGGT KYNEKFKGKATISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERYGYYFDYWGQGTLVT VSSAS
>SEQ512(AX114 VK)
EIVLTQSPATLSLSPGERATITCRASQYVGTYLNWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQVWDSSPPVAFGGGTKVEIK
>SEQ 360(AX114 VH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCKASGYTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWIGWIDPGSGGT KYNEKFKGKATISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERYGYYFDYWGQGTLVT VSSAS
>SEQ512(AX114 VK)
EIVLTQSPATLSLSPGERATITCRASQYVGTYLNWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQVWDSSPPVAFGGGTKVEIK
TG1細胞からのFabタンパク質の発現および精製
2YT/2%グルコース/カルベニシリン100μg/ml中の個々のクローンの50mlの一夜培養物を、37℃の振盪インキュベータ内で培養した。2日目、750mL〜1Lの2YT/0.1%グルコース/100μg/mLのカルベニシリンに各クローンを、5〜10mlの一夜培養物を移すことにより播種した。培養物は、30℃で振盪しながら、OD600が1になるまでおよそ3〜4時間培養した。培養物にIPTGを終濃度が0.1〜0.5mMに達するまで添加した。22℃で一晩のIPTG誘導後、10,000rpmで10〜15分間の遠心分離によって細胞ペレットを収集し、ペリプラズムの調製用とした。
2YT/2%グルコース/カルベニシリン100μg/ml中の個々のクローンの50mlの一夜培養物を、37℃の振盪インキュベータ内で培養した。2日目、750mL〜1Lの2YT/0.1%グルコース/100μg/mLのカルベニシリンに各クローンを、5〜10mlの一夜培養物を移すことにより播種した。培養物は、30℃で振盪しながら、OD600が1になるまでおよそ3〜4時間培養した。培養物にIPTGを終濃度が0.1〜0.5mMに達するまで添加した。22℃で一晩のIPTG誘導後、10,000rpmで10〜15分間の遠心分離によって細胞ペレットを収集し、ペリプラズムの調製用とした。
可溶性Fabを細胞ペリプラズムから抽出した。ペリプラズム調製は以下のようにして行った。TG1ペレットを、20mLの予備冷却PPBバッファー(20%スクロース+2mMのEDTA+30mMのTris,pH=8)中に再懸濁させ、氷上で1時間インキュベートした。可溶性Fabを含む上清みを遠心分離によって収集した。続いて、細胞ペレットを、さらに、20mL予備冷却5mMの硫酸マグネシウム中に再懸濁させ、氷上で1時間インキュベーションした。2つの上清みを合わせ、さらにFab精製した。
ペリプラズム抽出物からの可溶性Fabを、HiTrap Protein G HPカラム(GE Healthcare)を用いて精製した。カラムは、最初に平衡バッファー(PBS or Tris,pH7.3)で平衡化させた。ペリプラズム調製による上清みをlmlまたは5−mL容のタンパク質−Gカラム(HiTrap,GE healthcare)上に負荷した。10カラム容量(CV)の平衡バッファーで洗浄後、Fabタンパク質を8CVの溶出バッファー(0.3M酢酸,pH3)で溶出させた。溶出画分を収集し、0.5容量の1M Tris,pH9バッファーで中和した。10kD分子量カットオフのAmicon遠心フィルターを使用し、Fab試料をPBSにバッファー−交換した。精製Fabの量をサイズ排除HPLC(SE−HPLC)を用いて解析した。また、精製FabをELISAアッセイおよびBiacoreアッセイ(後述)にも使用した。全体的に、概ね、Fabの収量は約1〜2mg/Lであり、1mg/L未満から10mg/L超までウェル間で高度にばらついている。すべてのFabは、SE−HPLCによる単一のメインピークを示す。ELISAアッセイの結果により、PDL1ライブラリーから単離されたすべてのFabがヒトPCSK9抗原に結合することが確認された。
BIACORE系PCSP9−LDL受容体相互作用アッセイ
LDL−受容体(LDLR)およびLDLRのEGF_ABドメイン(このドメインはPCSK9との相互作用を伴う)を、LDLRまたはEGF_ABドメインのアミン基を、センサーチップのカルボキシル化表面上に、Amine Coupling Kit(GE/Biacore)の使用説明書に従ってカップリングさせることにより、同じCM5チップ内の2つの異なるフローセルに固定化した。簡単には、LDLRおよびEGF_ABをpH4.5の10mMの酢酸バッファー中で20μg/mlに希釈し、同じCM5チップ上の2つのフローセルに注入し、約1500RUの固定化レベルを得た。100nMのヒトPCSK9単独を含む泳動バッファー(0.1mMのCaC2を含む1×HBSP)をフローセル内に注入し(20μl/分で2.5分間)、PSK9とLDLRおよびEGF_ABドメインとの相互作用を測定した。注入後、フローセルを10mMのHClによって再生させた。
LDL−受容体(LDLR)およびLDLRのEGF_ABドメイン(このドメインはPCSK9との相互作用を伴う)を、LDLRまたはEGF_ABドメインのアミン基を、センサーチップのカルボキシル化表面上に、Amine Coupling Kit(GE/Biacore)の使用説明書に従ってカップリングさせることにより、同じCM5チップ内の2つの異なるフローセルに固定化した。簡単には、LDLRおよびEGF_ABをpH4.5の10mMの酢酸バッファー中で20μg/mlに希釈し、同じCM5チップ上の2つのフローセルに注入し、約1500RUの固定化レベルを得た。100nMのヒトPCSK9単独を含む泳動バッファー(0.1mMのCaC2を含む1×HBSP)をフローセル内に注入し(20μl/分で2.5分間)、PSK9とLDLRおよびEGF_ABドメインとの相互作用を測定した。注入後、フローセルを10mMのHClによって再生させた。
PCSK9に対するFab抗体の結合の影響を調べるため、各精製Fab試料(泳動バッファー中1μΜ)をヒトPCSK9とともに100nMの濃度で室温で30分間インキュベートした。調製したPCSK9/Fab試料をCM5チップ内に注入し、PCSK9/Fab複合体の結合を測定した。図1に示されるように、ヒトPCSK9は単独でLDLRとEGF_ABドメインの両方に結合した。Fab抗体の結合によってPCSK9−LDLR相互作用が阻害されなかった場合、LDLRまたはEGF_ABへのPCSK9/Fab複合体の結合により、RU、次いでPCSK9単独への高い結合がもたらされた。試験したFab抗体の中でも、AX114 Fabでは、LDLRまたはEGF_ABドメインへのPCSK9結合に対する有意な阻害が示された。
エピトープビニング(binning)結合に関するBIACORE系競合アッセイ
ヒトPCSK9タンパク質を、PCSK9の第1級アミン基をセンサーチップのカルボキシル化表面上に、Amine Coupling Kit(GE/Biacore)の使用説明書に従ってカップリンツさせることにより、CM5チップ上に固定化した。簡単には、hPCSK9タンパク質をpH5.5/10mMの酢酸溶液中で50μg/mlに希釈し、NHS/EDC 活性化表面上に注入して1000〜2000RUの固定化レベルを得た後、エタノールアミンの注入によって表面を不活化した。次いで、FabまたはIgGタンパク質(HBS−Pバッファー中1μΜ)を3分間注入して結合させた後、5分間解離させた。この結合エピトープビニングアッセイでは、2つのフローセルを同じ量のhPCSK9タンパク質で固定化し、抗体1と抗体2間の結合の競合を検出した。フローセル1には、抗体1を2回注入して結合エピトープで占め、次いで、抗体2を注入して結合させた。フローセル2は参照として設定し、抗体2のみを注入して結合させた。抗体1と抗体2間に競合が見られるかどうかを調べるため、両方のフローセルの抗体2のセンサーグラムを重ねた。2種類の抗体が競合している場合、予め占められた抗体1により、抗体1結合が有意にまたは完全に阻害される。PDL1ライブラリーの19種類の抗体について交差競合が競合し、ヒトPCSK9上の3つの独立したエピトープビンが同定された。表2参照。
ヒトPCSK9タンパク質を、PCSK9の第1級アミン基をセンサーチップのカルボキシル化表面上に、Amine Coupling Kit(GE/Biacore)の使用説明書に従ってカップリンツさせることにより、CM5チップ上に固定化した。簡単には、hPCSK9タンパク質をpH5.5/10mMの酢酸溶液中で50μg/mlに希釈し、NHS/EDC 活性化表面上に注入して1000〜2000RUの固定化レベルを得た後、エタノールアミンの注入によって表面を不活化した。次いで、FabまたはIgGタンパク質(HBS−Pバッファー中1μΜ)を3分間注入して結合させた後、5分間解離させた。この結合エピトープビニングアッセイでは、2つのフローセルを同じ量のhPCSK9タンパク質で固定化し、抗体1と抗体2間の結合の競合を検出した。フローセル1には、抗体1を2回注入して結合エピトープで占め、次いで、抗体2を注入して結合させた。フローセル2は参照として設定し、抗体2のみを注入して結合させた。抗体1と抗体2間に競合が見られるかどうかを調べるため、両方のフローセルの抗体2のセンサーグラムを重ねた。2種類の抗体が競合している場合、予め占められた抗体1により、抗体1結合が有意にまたは完全に阻害される。PDL1ライブラリーの19種類の抗体について交差競合が競合し、ヒトPCSK9上の3つの独立したエピトープビンが同定された。表2参照。
AX114の最適化
AX114の最適化ライブラリーを設計し、構築した。すべてのAX114ライブラリーをPCSK9抗原に対して3〜6回、実施例1に記載のようにしてパニングした。Fab ELISAスクリーニング用のクローンを実施例2に記載のようにして選出した。PCSK9結合クローンをTG1細胞において発現させ、Fabを分泌させた。精製Fabタンパク質(実施例3)を、Biacoreにおいて親和性の測定を行った(実施例14参照)。これらのライブラリーから、AX132(それぞれ、配列番号:360および511のVHおよびVL領域を含む)を含む、ヒトPCSK9に結合するAX114バリアントを合計135種類同定した(表3に記載)。
AX114の最適化ライブラリーを設計し、構築した。すべてのAX114ライブラリーをPCSK9抗原に対して3〜6回、実施例1に記載のようにしてパニングした。Fab ELISAスクリーニング用のクローンを実施例2に記載のようにして選出した。PCSK9結合クローンをTG1細胞において発現させ、Fabを分泌させた。精製Fabタンパク質(実施例3)を、Biacoreにおいて親和性の測定を行った(実施例14参照)。これらのライブラリーから、AX132(それぞれ、配列番号:360および511のVHおよびVL領域を含む)を含む、ヒトPCSK9に結合するAX114バリアントを合計135種類同定した(表3に記載)。
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCKASGYTFSSYGMYWVRQAPGKGLEWIGWIDPGSGGT KYNEKFKGKATISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERYGYYFDYWGQGTLVTVSSAS [特定の実施形態では、配列番号:361]
>配列番号:511(AX132 VK)
EIVLTQSPATLSLSPGERATITCRASQYVGSYLNWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATG1PA RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQVWDSSPPVVFGGGTKVEIK
>配列番号:362(AX213 VH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCKASGYTFSRYGINWVRQAPGKGLEWIGRIDPGNGGTR YNEKFKGKATISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARANDGYSFDYWGQGTLVTV SSAS [特定の実施形態では、配列番号:363]
>配列番号:511(AX213 VK)
EIVLTQSPATLSLSPGERATITCRASQYVGSYLNWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATG1PA RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQVWDSSPPVVFGGGTKVEIK
AX114バリアントのCDR領域内の配列変化を図2および3に示す。
AX132エピトープマッピングのためのコンピュータドッキングおよびPCSK9変異誘発
規定:PCSK9残基のCα(例えば、「Introduction to Protein Structure」,Carl Branden & John Tooze,第2版,1999 Garland publishing参照)原子が所与の抗体のCAの10オングストローム以内に存在している場合、PCSK9上の残基は所与の抗体と接触しているとみなす。X線構造では、接触している残基をエピトープと規定する。所与のエピトープビンのドッキングポーズでは、閾値(>50〜75%)より高い周波数で接触している残基をエピトープと規定する。2つのタンパク質(例えば、LDL受容体のEGF_ABドメインに対する結合について、AX114と競合する対照Fabを有するAX114)は、これらのタンパク質の任意のCα原子間の距離が5Åよりも短い場合、構造モデルに基づいて、競合すると規定する。
規定:PCSK9残基のCα(例えば、「Introduction to Protein Structure」,Carl Branden & John Tooze,第2版,1999 Garland publishing参照)原子が所与の抗体のCAの10オングストローム以内に存在している場合、PCSK9上の残基は所与の抗体と接触しているとみなす。X線構造では、接触している残基をエピトープと規定する。所与のエピトープビンのドッキングポーズでは、閾値(>50〜75%)より高い周波数で接触している残基をエピトープと規定する。2つのタンパク質(例えば、LDL受容体のEGF_ABドメインに対する結合について、AX114と競合する対照Fabを有するAX114)は、これらのタンパク質の任意のCα原子間の距離が5Åよりも短い場合、構造モデルに基づいて、競合すると規定する。
ドッキング手順:AX132のエピトープを調べるため、側鎖の最適化を有する他方に対する一方のパートナーのリジッド−ボディ変換/回転を伴うプログラムを用いて、ドッキングを行った。Gray,JJら,2003 J.Mol.Biol.331:281−299を参照のこと。AX114とAX132は対照Fabについて競合するため、初期構成を、およそ15オングストローム引き離した抗体を伴う対照FabのX線構造から開始した。低スコアリングポーズをクラスタリングし、エピトープを判定するために接触について解析した。配列類似性および競合データに基づき、AX213のエピトープは、AX114/AX132と同様であると推定される。
コンピュータドッキング試験に基づき、図4に示す3つのビンが判定された。ヒトとラットのPCSK9間のAX132結合の違いに基づき(表4)、ラットPCSK9残基に対するヒトPCSK9キメラ変異を選択し、エピトープビンを識別して試験した。合計6種類のキメラ変異型を設計した。各変異型はPCSK9上に斑(patch)を示す。表5参照。変異型#1はビン1に存在し、異種間結合データに基づくと、A114/AX132/AX213の結合を消去することが推定される。変異型#2(ビン2由来)または変異型3(ビン3由来)は、他の抗体の結合を消去することが推定される。
抗PCSK9抗体AX132に対するPCSK9変異型の結合を試験するため、ELISAアッセイを行った。簡単には、PCSK9変異型タンパク質をPBSで5μg/mlの濃度に希釈し、96ウェルのELISAプレートに100μl/各ウェルで、4℃にて一晩コーティングした。5%乳汁−PBSでブロックした後、AX132試料(5%乳汁−PBS中、4nMの開始濃度で1:2に連続希釈)をウェルに添加し、個々のPCSK9変異型でコーティングし、室温で1時間インキュベートした。PBSでの洗浄後、HRPとコンジュゲートした抗ヒトK抗体を添加し、さらに1時間インキュベートした。次いで、TMB基質溶液(Thermo Scientific)をPBS洗浄プレートに10〜20分間添加して発展させた。停止溶液を添加後、プレートを450nMにおける吸光度について測定した。
図5Aに示したELISAの結果により、抗体AX132に対するPCSK9変異型#1の結合の有意な減損が示された。この結果により、AX132は推定ビンIに結合することが示された。PCSK9変異型#1は、D192GおよびF379Yのアミノ酸置換を有する(図5B)。この領域は、LDL受容体のEGF_ABドメインに対する結合に関与している。
水素−ジュウテリウム交換質量分析(DXMS)によるエピトープマッピング
抗PCSK9抗体によって認識されるPCSK9の種々のエピトープ領域を特定するため、WoodおよびHamuro(2001)のプロトコルに基づいて、水素ジュウテリウム交換をPCSK9に適用した後、ペプチド消化および質量分析を行い、さらに開発して自動化した。Hamuroら,2003 J.Biomolec.Tech.14:171−182;およびCoalesら,2009 Rapid Comm.Mass Spectrom.23:639−647参照。この多段階手順を以下に記載する。
抗PCSK9抗体によって認識されるPCSK9の種々のエピトープ領域を特定するため、WoodおよびHamuro(2001)のプロトコルに基づいて、水素ジュウテリウム交換をPCSK9に適用した後、ペプチド消化および質量分析を行い、さらに開発して自動化した。Hamuroら,2003 J.Biomolec.Tech.14:171−182;およびCoalesら,2009 Rapid Comm.Mass Spectrom.23:639−647参照。この多段階手順を以下に記載する。
抗体アフィニティカラムの調製:臭化シアン活性化Poros AL樹脂との一晩のインキュベーションによって抗体を固定化した後、濾過漏斗を用いてPBSで洗浄した。乾燥樹脂をエタノールアミン溶液中に2時間再懸濁させることにより反応液をキャッピングした後、濾過漏斗を用いてPBSで洗浄した。樹脂をPBS中に再懸濁させ、次いで、カラム内に充填した。カラムを2mMのNaClを含むPBS(pH7)で交換バッファーH中にて3℃で平衡化させた。カラム注入およびインキュベーションはすべて、シリンジポンプを用いて行った。
オン−溶液(on−solution)およびオフ−カラムジュウテリウム交換:交換Hバッファーは、水中のPBSとして調製した。交換DバッファーはD2O中のPBSとして調製した。交換HDバッファーは50%D2O中のPBSとして調製した。交換工程はすべて3℃で行った。0.8%ギ酸でmAbカラムを清浄にし、洗浄し、交換HDバッファーで平衡化させた。PCSK9試料を1:1で交換Dバッファーと混合することにより重陽子のオン−溶液交換を開始し、所定の時間インキュベートした。次いで、混合物をmAbカラムに注入し、交換HDバッファーで洗浄した。オフ−カラム交換は、交換Hバッファーで洗浄し、所定の時間インキュベートすることにより開始した。オフ−カラム交換をクエンチし、0.8%ギ酸を用いてPCSK9を溶出させた。画分を収集し、解析した。
オン−およびオフ−カラムジュウテリウム交換:交換工程はすべて3℃で行った。mAbカラムを0.8%ギ酸で清浄にし、洗浄し、交換HDバッファーで平衡化させた。交換Hバッファー中のPCSK9をmAbカラムに負荷し、交換Hバッファーで洗浄した。重陽子のオン−カラム交換を、交換HDバッファーの注入により開始し、所定の時間インキュベートした。オフ−カラム交換を行い、上記のようにしてクエンチした。画分を収集し、解析した。
PCSK9の完全ジュウテリウム化:PCSK9を、D2O中で調製したPBS中で平衡化させ、60℃で3時間インキュベートした。これを室温まで冷却し、氷上で保存した。完全にジュウテリウム化したPCSK9をHD交換バッファー中の抗体アフィニティカラムに負荷し、同じバッファー中で洗浄した。溶出および解析を上記と同様にして行った。
質量分析によるペプチド解析:溶出したPCSK9を固定化ペプシンカラム内に注入し、次いで、C18逆相LC−MSに負荷して断片を同定した。溶出画分からのPCSK9を変性させ、2M尿素、1M TCEP(pH3)中で、0℃で2分間還元した。次いで、試料をバッファーA(0.05%TFAを含む水)中の固定化ペプシンカラムに通した。消化断片を逆相trapカラムに負荷し、バッファーA中で脱塩処理した。消化断片をC18カラムによって13〜40%バッファーB(95%アセトニトリル、5%水、0.0025%TFA)の線形勾配を用いて23分間で分離し、ペプチドを質量分析によって検出した。
MSによって検出された既知の消化断片の質量のシフトを使用し、HD交換レベルを求める。交換割合は、結合PCSK9と未結合PCSK9(対比)のHD交換比率から求められ、抗体によるエピトープ保護の度合を示す。ジュウテリウム化の割合の変化のカットオフは、閾値として5%としノイズを除去する。
AX132およびAX213抗体のHD交換プロフィールを図6に示す。AX213結合またはAX132結合に対して最大のジュウテリウム化の差を示すPCSK9消化断片は155−PWNL−158(配列番号:576)と364−PGEDIIGASSDCSTC−378(配列番号:577)であり、ここで、部分断片157−NL−158と370−GASSDCSTC−378(配列番号:578)にエピトープが含まれているようである。他にも弱い相互作用性部位が存在し得るが、これらはカットオフ閾値(5%)未満であり、おそらく、間接的または局所の構造的乱れによるものである。
図7は、ハイライトしたAX132およびAX213 エピトープを含む2つの消化断片を有するPCSK9(PDB:2PMW)を示す。灰色は155−PWNL−158(配列番号:576)に対応し、濃い灰色は364−PGEDIIGASSDCSTC−378(配列番号:577)に対応する。自己切断されたプロドメインの大部分は隠れて見ていない。
HD交換データは、実施例7のPCSK9変異誘発データと整合している。155−ペプチドと364−ペプチドはともに、図4に示すエピトープビン#1に存在している。
FABドメインの熱安定性
FabおよびFabドメインの熱安定性を、DSC実験から、Origin 5.0において過剰熱容量関数の解析およびデコンヴォルーションによって調べた。FabまたはFabドメインの融解転移温度(Tm)を表6に示す。種々のFabおよびFabドメインのTmはPDL1由来抗体で72〜78℃の範囲であり、これは、抗体Fab領域の充分なフォールディングと整合している。
FabおよびFabドメインの熱安定性を、DSC実験から、Origin 5.0において過剰熱容量関数の解析およびデコンヴォルーションによって調べた。FabまたはFabドメインの融解転移温度(Tm)を表6に示す。種々のFabおよびFabドメインのTmはPDL1由来抗体で72〜78℃の範囲であり、これは、抗体Fab領域の充分なフォールディングと整合している。
AX132−FAB/PCS9の結晶構造
発現
AX132 Fabを発現する核酸をファージライブラリーディスプレイベクターに組み込み、Fabを発現させて精製して結晶化させる前に、外来N−およびC末端残基を該ベクターから以下のようにして除去した。
1)ベクター内のp3リーダーとH鎖FR1間の3個の余分なアミノ酸(AGS)を発現するコドンを除去すると、大腸菌内のp3シグナルペプチドが切断された後、真正重鎖N末端が得られた。
2)Fabの結晶化を助長するため、Fabの発現と精製の前に、ベクター内の重鎖C末端のGR1アダプタードメインコード領域を除去し、HAおよびHisタグのコード配列の直後に終止コドンを導入した。これは、該修飾を有するプラスミドpMAB9内での軽鎖および重鎖のFab発現カセット(HindIII−Xhol)のサブクローニングによって行った。
発現
AX132 Fabを発現する核酸をファージライブラリーディスプレイベクターに組み込み、Fabを発現させて精製して結晶化させる前に、外来N−およびC末端残基を該ベクターから以下のようにして除去した。
1)ベクター内のp3リーダーとH鎖FR1間の3個の余分なアミノ酸(AGS)を発現するコドンを除去すると、大腸菌内のp3シグナルペプチドが切断された後、真正重鎖N末端が得られた。
2)Fabの結晶化を助長するため、Fabの発現と精製の前に、ベクター内の重鎖C末端のGR1アダプタードメインコード領域を除去し、HAおよびHisタグのコード配列の直後に終止コドンを導入した。これは、該修飾を有するプラスミドpMAB9内での軽鎖および重鎖のFab発現カセット(HindIII−Xhol)のサブクローニングによって行った。
精製のための最終発現プラスミドを図20A〜Eに示し、ベクターマップを図19に示す。このプラスミドは、軽鎖と重鎖の両方をバイシストロニックメッセージでlacプロモーター外で発現させる。軽鎖のオープンリーディングフレームは該メッセージの5’末端のp8リーダーの後ろで発現され、次いで、重鎖がp3リーダーの後に続く。
AX132の精製
AX132を大腸菌からニッケルアフィニティカラムで精製した後、SPセファロースカラム クロマトグラフィーで精製した。
PCSK9の精製:
分泌されたPCSK9をHEK 293細胞からcapto Qカラムで捕捉した。結合タンパク質をプールし、ニッケルアフィニティカラムでさらに精製した後、サイズ排除カラム(S200)クロマトグラフィーで精製した。
複合体生成:
精製AX132を精製PCSK9とモル比率1.5:1で混合し、4℃で12時間インキュベートした。混合物をさらに2×Superdex 200(16−60)カラム上で分画し、非複合体形成AX132を取り除いた。精製複合体を10mg/mlに濃縮し、なんら凍結−解凍は行なわずに結晶化させた。
結晶化
PCSK9:AX132複合体は、種々の結晶化条件下で結晶が得られた。一般的には、複合体を抗凍結剤の存在下で凍結させた。結晶は、シンクロトロンで3.09Åまで回折した。AX132 Fab断片に結合されたPCSK9の構造を分子置換法によって調べた。AX132はEGF−A結合部位に結合する。抗体AX132の軽鎖が主にPCSK9との相互作用を担う。多数の水素結合および疎水性相互作用が界面に観察される。
AX132の精製
AX132を大腸菌からニッケルアフィニティカラムで精製した後、SPセファロースカラム クロマトグラフィーで精製した。
PCSK9の精製:
分泌されたPCSK9をHEK 293細胞からcapto Qカラムで捕捉した。結合タンパク質をプールし、ニッケルアフィニティカラムでさらに精製した後、サイズ排除カラム(S200)クロマトグラフィーで精製した。
複合体生成:
精製AX132を精製PCSK9とモル比率1.5:1で混合し、4℃で12時間インキュベートした。混合物をさらに2×Superdex 200(16−60)カラム上で分画し、非複合体形成AX132を取り除いた。精製複合体を10mg/mlに濃縮し、なんら凍結−解凍は行なわずに結晶化させた。
結晶化
PCSK9:AX132複合体は、種々の結晶化条件下で結晶が得られた。一般的には、複合体を抗凍結剤の存在下で凍結させた。結晶は、シンクロトロンで3.09Åまで回折した。AX132 Fab断片に結合されたPCSK9の構造を分子置換法によって調べた。AX132はEGF−A結合部位に結合する。抗体AX132の軽鎖が主にPCSK9との相互作用を担う。多数の水素結合および疎水性相互作用が界面に観察される。
図8は、AX132抗体に結合されたPCSK9の結晶構造を示す。図9は、AX132エピトープを有するPCSK9の表面領域の図を示す。論考した結晶構造の座標を表14、実施例21に示す。
結合に関与している残基は、AX132:PCSK9の結晶構造とPCSK9単独の構造間の到達可能な表面積の差を計算することにより特定される。AX132抗体との複合体形成時に埋没表面領域を示すPCSK9残基は、エピトープの一部として含める。溶媒が到達可能なタンパク質表面は、該タンパク質のファンデルワールス表面上を転がるため、プローブ球体(溶媒分子を表す)の中心の位置と規定する。溶媒到達可能な表面積を、プログラムAREAIMOL(Leeら,1997 J.Mol.Biol.55:5−11およびSaffら,1997 The Mathematical Intelligencer 19:5−11参照)を使用することにより計算した。このプログラムより、各原子の周りの延びた球体上の表面点が得られ(原子の中心から原子とプローブの半径の和に等しい間隔をあけて)、隣接原子と会合した同等の球体内に存在するものが排除される(Briggs,P.J.2000,CCP4 Newsletter No.38,CCLRC,Darebury)。
PCSK9上のAX132エピトープに対する抗体結合の選択
AX132結合エピトープを有する抗体は、ファージディスプレイ抗体ライブラリーからも、AX132と競合するEGF_AB ペプチドを用いて選択され得る。プレート上にコーティングされたヒトPCSK9へのファージライブラリーの結合後、EGF_ABタンパク質が添加され得、結合ファージが溶出され得る。次いで、EGF_AB溶出ファージプールの個々のクローンが、ヒトPCSK9およびPCSK9変異型#1に対してスクリーニングされ得る。図5Aに示されるようにAX132はヒトPCSK9に高い親和性で結合するが、ヒトPCSK9変異型#1には親和性が非常に低い(実施例7参照)。ヒトPCSK9に結合するFabは、PCSK9変異型#1タンパク質に対する結合スクリーニングアッセイに供され得、ヒトPCSK9に対して強い結合を有するがPCSK9変異型#1に対する結合は弱いFabはAX132結合エピトープを共有する。
AX132結合エピトープを有する抗体は、ファージディスプレイ抗体ライブラリーからも、AX132と競合するEGF_AB ペプチドを用いて選択され得る。プレート上にコーティングされたヒトPCSK9へのファージライブラリーの結合後、EGF_ABタンパク質が添加され得、結合ファージが溶出され得る。次いで、EGF_AB溶出ファージプールの個々のクローンが、ヒトPCSK9およびPCSK9変異型#1に対してスクリーニングされ得る。図5Aに示されるようにAX132はヒトPCSK9に高い親和性で結合するが、ヒトPCSK9変異型#1には親和性が非常に低い(実施例7参照)。ヒトPCSK9に結合するFabは、PCSK9変異型#1タンパク質に対する結合スクリーニングアッセイに供され得、ヒトPCSK9に対して強い結合を有するがPCSK9変異型#1に対する結合は弱いFabはAX132結合エピトープを共有する。
哺乳動物細胞からの抗PCSK9モノクローナル抗体の発現と精製
VklまたはVK3軽鎖可変領域をコードするDNA配列をプラスミド鋳型からポリメラーゼ連鎖反応によって増幅させた。この増幅産物を、事前にFsplおよびBmtlで、InFusion クローニング系(Clontech)を用いて消化したプラスミドpVUNSAGS−FB−LCK内にクローニングした。得られたプラスミドを可変領域全域のDNA配列決定によって確認した。内毒素無含有プラスミド調製物を、Qiagen Endo−Freeプラスミドmaxiprepキットを用いて作製した。VH3の重鎖可変領域をコードするDNA配列をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅させ、増幅産物を、事前にFsplおよびBmtlで消化したプラスミドpVl JNSA−BF−HCG2M4内にクローニングした。得られたプラスミドを可変領域全域のDNA配列決定によって確認した。内毒素無含有プラスミド調製物を、Qiagen Endo−Freeプラスミドmaxiprepキットを用いて作製した。
VklまたはVK3軽鎖可変領域をコードするDNA配列をプラスミド鋳型からポリメラーゼ連鎖反応によって増幅させた。この増幅産物を、事前にFsplおよびBmtlで、InFusion クローニング系(Clontech)を用いて消化したプラスミドpVUNSAGS−FB−LCK内にクローニングした。得られたプラスミドを可変領域全域のDNA配列決定によって確認した。内毒素無含有プラスミド調製物を、Qiagen Endo−Freeプラスミドmaxiprepキットを用いて作製した。VH3の重鎖可変領域をコードするDNA配列をポリメラーゼ連鎖反応によって増幅させ、増幅産物を、事前にFsplおよびBmtlで消化したプラスミドpVl JNSA−BF−HCG2M4内にクローニングした。得られたプラスミドを可変領域全域のDNA配列決定によって確認した。内毒素無含有プラスミド調製物を、Qiagen Endo−Freeプラスミドmaxiprepキットを用いて作製した。
重鎖と軽鎖のプラスミドDNAを1:3で混合し、HEK293細胞内にコトランスフェクトした。5〜7日間の培養後、上清みを回収し、Protein−Aカラム精製に進んだ。簡単には、無細胞上清みを3カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で予備平衡化したプロテイン−Aカラムに5.0mL/分の流速で負荷した。カラムを3カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で洗浄した後、1M NaClを含有する5カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で洗浄し、宿主細胞タンパク質を除去した。抗PCSK9抗体を5カラム容量の100mMのグリシン、100mMのアルギニン(pH3.0)で溶出させ、すぐに1M Tris−HCl(pH8.0)で中和した。
糖鎖操作Pichia pastorisからの抗PCSK9モノクローナル抗体の発現と精製
抗PCSK9 IgG2モノクローナル抗体を、糖鎖操作Pichia pastoris GFI 5.0宿主YGLY8316において発現させた。該宿主は、その複雑なN結合型グリカンの末端ガラクトースを転移させ得るものである。抗PCSK9重鎖および軽鎖をコドン最適化し、メタノール厳密誘導性プロモーターAOX1の下で、Saccharomyces cerevisiaeα接合因子のプレ配列を分泌シグナル配列として用いて発現させた。Pichia pastoris GFI 5.0宿主YGLY8316からの抗PCSK9抗体を無細胞上清み培地から、アフィニティクロマトグラフィー(GE Healthcare製のMabSelectTM培地(カタログ番号17−5199−01)を使用)によって捕捉した。
抗PCSK9 IgG2モノクローナル抗体を、糖鎖操作Pichia pastoris GFI 5.0宿主YGLY8316において発現させた。該宿主は、その複雑なN結合型グリカンの末端ガラクトースを転移させ得るものである。抗PCSK9重鎖および軽鎖をコドン最適化し、メタノール厳密誘導性プロモーターAOX1の下で、Saccharomyces cerevisiaeα接合因子のプレ配列を分泌シグナル配列として用いて発現させた。Pichia pastoris GFI 5.0宿主YGLY8316からの抗PCSK9抗体を無細胞上清み培地から、アフィニティクロマトグラフィー(GE Healthcare製のMabSelectTM培地(カタログ番号17−5199−01)を使用)によって捕捉した。
無細胞上清みを、3カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で予備平衡化させたMabselectカラム(XK 16/20、1.6cm×10.0cm)上に5.0mL/分の流速で負荷した。カラムを3カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で洗浄した後、1M NaClを含有する5カラム容量の20mMのTris−HCl(pH7.0)で洗浄し、宿主細胞タンパク質を除去した。抗PCSK9抗体を、5カラム容量の100mMのグリシン、100mMのアルギニン(pH3.0)で溶出させ、1M Tris−HCl(pH8.0)ですぐに中和した。AX213抗体をPichiaにおいて充分に発現させ、小規模醗酵プロセスにおいて約300〜700mg/Lのタンパク質を得た。AX114の収量は小規模で5mg/Lであった。
GE Healthcare(カタログ番号17−1273−02)製のSource 30S樹脂を用いた強力カチオン交換クロマトグラフィーを、クリッピング種および凝集塊を除去するための第2段階の精製として使用した。抗PCSK9抗体のMabSelectTM(GE Healthcare,Pittsburgh,PA)プールを25mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で5倍希釈し、3カラム容量の25mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で予備平衡化させたSource 30Sカラム上に負荷した。負荷後、カラムを3カラム容量の25mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)で洗浄し、100mMのからl50mMまでの範囲の塩化ナトリウムを含む25mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)の10カラム容量での線形勾配で展開することにより溶出を行った。良好にアセンブリングされた抗PCSK9抗体を含有する画分を一緒にプールした。抗PCSK9抗体を含むSource30Sプール画分を、6%スクロース、100mMのアルギニン、100mMのヒスチジンを含有する配合バッファー(pH6.0)(HyClone(登録商標) カタログ番号RR10804.02)中でバッファー交換し、0.2μmのPES(PolyEtherSulfone)膜フィルターを用いて滅菌濾過し、放出まで4℃で保存した。
親和性測定のためのBIACOREアッセイ
PCSK9に対するFabの結合親和性を調べるため、Fab捕捉系Biacoreアッセイを開発した。まず、ヤギ抗Fab IgGを、上記のアミンカップリングによってCM5チップ上の固定化した。抗Fab IgGをpH5/10mMの酢酸溶液中で200μg/mlに希釈し、NHS/EDC活性化表面上に、固定化レベルが約10,000RUがとなるように注入した後、エタノールアミンの注入によって表面を不活化した。次いで、HBS−P泳動バッファー中2μg/mlの濃度のFab試料を20ul/分の流速で3分間注入した後、10〜100nMの濃度でPCSK9のK−注入を行なった(会合では3分間注入および解離では6分間)。100mMのリン酸の30秒間の注入によってセンサーチップの表面を再生させた。結合のセンサーグラムを1:1でLangmuir結合モデルにフィットさせ、結合親和性を測定した。AX114、AX132および他のバリアントのFab親和性を表7に示す。
PCSK9に対するFabの結合親和性を調べるため、Fab捕捉系Biacoreアッセイを開発した。まず、ヤギ抗Fab IgGを、上記のアミンカップリングによってCM5チップ上の固定化した。抗Fab IgGをpH5/10mMの酢酸溶液中で200μg/mlに希釈し、NHS/EDC活性化表面上に、固定化レベルが約10,000RUがとなるように注入した後、エタノールアミンの注入によって表面を不活化した。次いで、HBS−P泳動バッファー中2μg/mlの濃度のFab試料を20ul/分の流速で3分間注入した後、10〜100nMの濃度でPCSK9のK−注入を行なった(会合では3分間注入および解離では6分間)。100mMのリン酸の30秒間の注入によってセンサーチップの表面を再生させた。結合のセンサーグラムを1:1でLangmuir結合モデルにフィットさせ、結合親和性を測定した。AX114、AX132および他のバリアントのFab親和性を表7に示す。
PCSK9−LDLR TR−FRETアッセイ
このアッセイは、Fisherら,2007 J.Biol.Chem.282:20502−20512に記載されているものの変形型である。AlexaFluor647標識PCSK9(終濃度10nM)を種々の量のAX132およびバリアントと合わせ、これに、Eu(8044)標識LDLRエクトドメインを、約4nMの(RubystarにおいてF1620nMでほぼ計数20,000が得られるのに充分な)終濃度まで(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.1mMのCaCl2、0.05%(w/v)BSA中)、50μLの総容量で96ウェル黒色Dynatech U字底プレートを用いて添加した。少なくとも90分間の平衡後、Rubystar reader(BMG Corp.)において、20回のフラッシュ/ウェル、50μ秒積分ディレイ、および200μ秒の総積分時間を用いて試料の読み出しを行った。データを(F1665/F1620×10000)の比率で示し、AX132およびバリアントのIC50をシグモイド用量応答曲線の屈折点から標準的な4パラメータフィットを用いて求めた。
このアッセイは、Fisherら,2007 J.Biol.Chem.282:20502−20512に記載されているものの変形型である。AlexaFluor647標識PCSK9(終濃度10nM)を種々の量のAX132およびバリアントと合わせ、これに、Eu(8044)標識LDLRエクトドメインを、約4nMの(RubystarにおいてF1620nMでほぼ計数20,000が得られるのに充分な)終濃度まで(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、0.1mMのCaCl2、0.05%(w/v)BSA中)、50μLの総容量で96ウェル黒色Dynatech U字底プレートを用いて添加した。少なくとも90分間の平衡後、Rubystar reader(BMG Corp.)において、20回のフラッシュ/ウェル、50μ秒積分ディレイ、および200μ秒の総積分時間を用いて試料の読み出しを行った。データを(F1665/F1620×10000)の比率で示し、AX132およびバリアントのIC50をシグモイド用量応答曲線の屈折点から標準的な4パラメータフィットを用いて求めた。
図10は、PCSK9−LDLR相互作用TR−FRETアッセイでのAX132およびそのバリアントの活性を示す。AX132およびそのバリアントのIgGは効力があり[IC50は2.4〜5.9nM]、PCSK9−LDLR相互作用を充分に阻害する。
EXOPOLARアッセイ:細胞内LDL取込みに対する外因性PCSK9の効果
1日目、30,000個のHepG2またはHEK細胞/ウェルを96ウェルポリD−リジンコートプレート内にプレーティングした。2日目、培地を血清無含有DMEM培地に交換した。3日目、培地を除去し、細胞をOptiMEMで洗浄した。精製PCSK9を、LPDSとdl−LDLを含有する100μlのDMEM培地に添加した。プレートを37℃で6.5時間インキュベートした。細胞を、2mg/ml BSA含有TBS中ですばやく洗浄し、次いで、TBS−BSA中で2分間洗浄し、次いで、TBSで2回洗浄した(すばやく)。細胞を100μlのRIPAバッファー中で溶解させた。次いで、プレート内の蛍光を励起波長520、発光波長580nmを用いて測定した。各ウェル内における総細胞内タンパク質をBCA Protein Assayを用いて測定し、次いで、蛍光単位を総タンパク質に対して標準化した。
1日目、30,000個のHepG2またはHEK細胞/ウェルを96ウェルポリD−リジンコートプレート内にプレーティングした。2日目、培地を血清無含有DMEM培地に交換した。3日目、培地を除去し、細胞をOptiMEMで洗浄した。精製PCSK9を、LPDSとdl−LDLを含有する100μlのDMEM培地に添加した。プレートを37℃で6.5時間インキュベートした。細胞を、2mg/ml BSA含有TBS中ですばやく洗浄し、次いで、TBS−BSA中で2分間洗浄し、次いで、TBSで2回洗浄した(すばやく)。細胞を100μlのRIPAバッファー中で溶解させた。次いで、プレート内の蛍光を励起波長520、発光波長580nmを用いて測定した。各ウェル内における総細胞内タンパク質をBCA Protein Assayを用いて測定し、次いで、蛍光単位を総タンパク質に対して標準化した。
Exopolar Assayは、LDL取込みに対するバリアント効果の特性評価に有効である。PCSK9変異型の効力が、Exopolar Assayにおいて、どのように血漿LDL−コレステロールと相関しているかを示す以下の表10を参照のこと。
図12A〜Fは、(i)細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性減損のAX210またはAX211(IgG)の用量依存性阻害(A、D)、(ii)細胞内LDL取込みのマウスPCSK9依存性減損のAX210またはAX211(IgG)の用量依存性阻害(B、E)、および(iii)細胞内LDL取込みのアカゲザルPCSK9依存性減損 AX210またはAX211(IgG)の用量依存性阻害(C、F)を示す。
図13A〜Fは、(i)細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性減損のAX212またはAX213(IgG)の用量依存性阻害(A、D)、(ii)細胞内LDL取込みのマウスPCSK9依存性減損のAX212またはAX213(IgG)の用量依存性阻害(B、E)、および(iii)細胞内LDL取込みのアカゲザルPCSK9依存性減損のAX212またはAX213(IgG)の用量依存性阻害(C、F)を示す。
インビトロFcRn解離アッセイ
本発明者らの内部データにより、同一のFc配列を有するがFabドメインは異なるモノクローナル抗体は、FcRnに対してかなりの差を伴って結合し得ることが示された。さらに、中性pHでの解離とインビボ薬物動態学との間には明白な相関が観察された:解離が遅い(すなわち、「結合%」が>5%)mAbは、インビボで短い最終排泄相の半減期(tl/2)を示す傾向にある)。この特徴を、抗体薬物動態学のインビトロスクリーニングツールとして使用した。
本発明者らの内部データにより、同一のFc配列を有するがFabドメインは異なるモノクローナル抗体は、FcRnに対してかなりの差を伴って結合し得ることが示された。さらに、中性pHでの解離とインビボ薬物動態学との間には明白な相関が観察された:解離が遅い(すなわち、「結合%」が>5%)mAbは、インビボで短い最終排泄相の半減期(tl/2)を示す傾向にある)。この特徴を、抗体薬物動態学のインビトロスクリーニングツールとして使用した。
ヒトFcRnからのmAbの中性pH解離を、SPRにより、Biacore T−100機器を用いて測定した。簡単には、精製FcRnタンパク質をBiacore CM5 bioセンサーチップ上に固定化し、PBSP(50mMのNaPO4、150mMのNaClおよび0.05%(v/v)界面活性剤 20)(pH7.3)を泳動バッファーとして使用した。mAbをPBSP(pH6.0)で100nMに希釈し、平衡に達するまでFcRnに3分間結合させた後、pH7.3の泳動バッファー中で1分間の解離を行なわせた。報告点(安定性)をmAb結合終了後、5秒の時点で挿入し、「結合%」をRU安定性/RU結合性(%)として計算した。
図14〜15は、Biacoreでの固定化ヒトFcRnに対するAX114、AX132、AX210−213の結合を示す。センサーグラムは、pH6.0での結合とpH7.3での解離の両方を示す。報告点(安定性)をpH6.0結合の終了後、5秒の時点で挿入し、「結合%」をRU安定性/RU結合性(%)として計算した。
ヒトFcRnマウスにおける薬物動態試験
IgGとFcRn間の相互作用は種特異的である。最近、ヒトFcRnマウスは、mAbの薬物動態学を評価するための重要なサロゲート系であることが提案された;Petkovaら,2006 Int.Immunol.12:1759−69。この試験で使用したヒトFcRnマウス(ヘテロ接合型Tg276)は、Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から取得した。これは、マウスFcRn−α鎖が欠損しており、ヒトFcRn−α鎖遺伝子を有する(同上)。本発明者らの内部データにより、マウスまたはラットのFcRnとは異なり、この「ハイブリッド」FcRnは、ヒトおよびサルFcRnのものと同等のヒトIgG結合特性を有することが示された。また、このヒトFcRnマウスと非ヒト霊長類のものと間に、良好な最終排泄相の半減期の相関が観察された。
IgGとFcRn間の相互作用は種特異的である。最近、ヒトFcRnマウスは、mAbの薬物動態学を評価するための重要なサロゲート系であることが提案された;Petkovaら,2006 Int.Immunol.12:1759−69。この試験で使用したヒトFcRnマウス(ヘテロ接合型Tg276)は、Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から取得した。これは、マウスFcRn−α鎖が欠損しており、ヒトFcRn−α鎖遺伝子を有する(同上)。本発明者らの内部データにより、マウスまたはラットのFcRnとは異なり、この「ハイブリッド」FcRnは、ヒトおよびサルFcRnのものと同等のヒトIgG結合特性を有することが示された。また、このヒトFcRnマウスと非ヒト霊長類のものと間に、良好な最終排泄相の半減期の相関が観察された。
薬物動態学試験では、各動物(2〜3匹/群)に、単回静脈内注入のmAbを10mg/kgで尻静脈から与えた。一連の10μlの血液を指定された時間点で収集した。有効な抗ヒトIgGイムノアッセイを使用し、全mAbレベルを測定した。
AX114、AX132およびAX213の薬物動態プロフィールを、単回10mg/kg IV投与後のヒトFcRnマウスにおいて調べた。図16は、それぞれ、79.6および65.5時間であると測定されたAX114およびAX132の半減期を示す。AX213の半減期は97時間であると求められた。
また、AX132の薬物動態プロフィールを、単回10mg/kg IV投与後のアカゲザルにおいても測定した。AX132の半減期は147時間であると求められた。
アカゲザルでの薬物動態試験
AX132の薬物動態、薬力学および標的結合を特性評価するため、6匹のアカゲザルにおいて、1mg/kgで皮下投与経路により単回用量試験を行なった。試験に使用したアカゲザルはすべて、生物学的試験は未経験であった。血液試料を伏在/大腿の血管から投与後の指定された時間点に採取し、得られた血漿/血清を解析まで−70℃で保存した。
AX132の薬物動態、薬力学および標的結合を特性評価するため、6匹のアカゲザルにおいて、1mg/kgで皮下投与経路により単回用量試験を行なった。試験に使用したアカゲザルはすべて、生物学的試験は未経験であった。血液試料を伏在/大腿の血管から投与後の指定された時間点に採取し、得られた血漿/血清を解析まで−70℃で保存した。
リポタンパク質プロフィールを得るため、血漿または血清をSuperose−6サイズ排除カラム(GE LifeSciences,Inc.)でのクロマトグラフィーによって分画した。カラム溶出液中の総コレステロールレベルを、市販の酵素比色コレステロール検出試薬(Total Cholesterol E,Wako USA)とのインライン混合物によって継続的に測定した後、600nm吸光度での反応生成物の下流の分光測光的検出を行った。カラムから溶出されたコレステロールの最初のピークをVLDLに、2番目のピークをLDLに、3番目をHDLに帰属させ、各ピーク下面積を、HPLCに備えられたソフトウェアを用いて計算した。各リポタンパク質画分のコレステロール濃度を計算するため、総ピーク面積に対する対応するピーク面積の比率に、試料において測定された総コレステロール濃度を乗算した。
血清試料のリポタンパク質解析を上記のようにして行った。市販の試薬を用いた抗ヒトIgG ELISAを使用し、Axl32レベルを定量した。
図17に示されるように、単回用量後、AX132によりLDLコレステロールは有意に低下し、最大平均減少率は60%であり、42日間でLDL−Cは>25%低下した。
解析用サイズ排除クロマトグラフィー
高速−サイズ排除クロマトグラフィー(HP−SEC)は、順に漸減するサイズに基づいてタンパク質を分離するために使用される解析方法である。この方法を使用し、処理および精製(時間ゼロ)後および加速安定性試験後のタンパク質の凝集および/または断片化レベルを定量した。サイズ排除クロマトグラフィーは、Waters 2690 Separations Module/996 Photodiode Array Detectorを用いて行った。物質は、Phenomenex pre−filter GFC 4000(4×3mm)を有するTSKgel G3000SWXL(4.6×300mm)カラムを用いて分離した。カラムに10μgの物質を負荷し、25mMのリン酸ナトリウム 300mMの塩化ナトリウム(pH7.0)の移動相で0.5ml/分の流速で30分間溶出させた。200〜500nmでデータを取得し、220nmプロフィールを報告した。
高速−サイズ排除クロマトグラフィー(HP−SEC)は、順に漸減するサイズに基づいてタンパク質を分離するために使用される解析方法である。この方法を使用し、処理および精製(時間ゼロ)後および加速安定性試験後のタンパク質の凝集および/または断片化レベルを定量した。サイズ排除クロマトグラフィーは、Waters 2690 Separations Module/996 Photodiode Array Detectorを用いて行った。物質は、Phenomenex pre−filter GFC 4000(4×3mm)を有するTSKgel G3000SWXL(4.6×300mm)カラムを用いて分離した。カラムに10μgの物質を負荷し、25mMのリン酸ナトリウム 300mMの塩化ナトリウム(pH7.0)の移動相で0.5ml/分の流速で30分間溶出させた。200〜500nmでデータを取得し、220nmプロフィールを報告した。
モノクローナル抗体をpH5、6、7および8のバッファー中、0.5mg/mlで製剤化した。このバッファーは、pH5、6、7および8のそれぞれについて、150mMの塩化ナトリウムおよび10mMの酢酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、およびTRISを含むものであった。HP−SECを使用し、時間ゼロおよび45℃で1週間(weak)後での物質の純度を特性評価した。安定性の結果を以下の表13にまとめる。図18は、時間ゼロでのSECプロフィールを示す。図中の囲みの表示は、高次凝集塊(HOA)、オリゴマー、単量体、およびクリッピングタンパク質のおよその溶出時間を画定している。
結晶座標
実施例10で論考した結晶構造の座標を表14に示す(完全長PCSK9およびAX132 Fab)。
表14:PCSK9およびAX132 Fab複合体のx線構造
実施例10で論考した結晶構造の座標を表14に示す(完全長PCSK9およびAX132 Fab)。
表14:PCSK9およびAX132 Fab複合体のx線構造
Claims (25)
- (a)CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域(ここで、
(i)CDR1配列は、配列番号:183〜189、191、193、195、197〜294、ならびに配列番号:183、185、187、189、193および197〜294の残基4〜13からなる群より選択され;
(ii)CDR2配列は、配列番号:64〜68、70,72、74、76〜182ならびに配列番号:64、66、68、72および76〜182の残基4〜20からなる群より選択され;
(iii)CDR3配列は、配列番号:1〜5、7、9、11、13〜63、ならびに配列番号:1、3、5、9および13〜63の残基4〜12からなる群より選択される)、および/または
(b)CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域(ここで、
(i)CDR1配列は、配列番号:347〜349、351、353〜359、ならびに配列番号:347、349および353〜359の残基4〜14からなる群より選択され;
(ii)CDR2配列は、配列番号:335〜339、341、343〜346ならびに配列番号:335、337、339および343〜346の残基4〜10からなる群より選択され;
(iii)CDR3配列は、配列番号:295〜301、303、305〜334、ならびに配列番号:295、297、299、301および305〜334の残基4〜13からなる群より選択される)
を含み;
細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害する、
単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)それぞれ配列番号:583、584、585および586である重鎖フレームワーク(FR)配列1、2、3および4;および/または
(b)それぞれ配列番号:587、588、589および590である軽鎖FR配列1、2、3および4
を含むフレームワーク(FR)1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の配列を、連続的に順に有する重鎖領域および/または軽鎖領域を含む、請求項1に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)(i)配列番号:189のCDR1配列;
(ii)配列番号:68のCDR2配列;および
(iii)配列番号:5のCDR3配列
を含む重鎖可変領域;ならびに
(b)(i)配列番号:349のCDR1配列;
(ii)配列番号:339のCDR2配列;および
(iii)配列番号:301のCDR3配列
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載のPCSK−9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:360〜510からなる群より選択される配列を含む重鎖可変領域および/または
(b)配列番号:511〜549からなる群より選択される配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:360または配列番号:361を含む重鎖可変領域;および
(b)配列番号:511を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項4に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:362または配列番号:363を含む重鎖可変領域;および
(b)配列番号:511を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項4に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:552、562、556および564からなる群より選択される配列を含む重鎖;および/または
(b)配列番号:554、558および566からなる群より選択される配列を含む軽鎖
を含む、請求項1に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:556を含む重鎖;および
(b)配列番号:558を含む軽鎖
を含む、請求項7に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)配列番号:564を含む重鎖;および
(b)配列番号:566を含む軽鎖
を含む、請求項7に記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。 - (a)PCSK9について請求項1に記載の抗体と競合し;
(b)配列番号:576〜582および237〜RDAからなる群より選択される1つ以上の配列内のPCSK9に特異的に結合し;
細胞内LDL取込みのヒトPCSK9依存性阻害を少なくとも10%阻害する、
単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト。 - PCSK9上の以下の残基:S153、I154、P155、W156、N157、L158、D192、H193、R194、E195、I196、E197、G198、R199、S221、H229、G232、S235、G236、R237、D238、A239、G240、K243、G244、D367、I368、I369、G370、A371、S372、S373、D374、C375、S376、T377、C378、F379、V380、S381から10Å以下以内でPCSK9に結合する単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト。
- PCSK9上の以下の残基:S153、P155、R194、E195、R237、D238、A239、I369、D374、C375、S376、T377、C378、F379から5Å以下以内でPCSK9に結合する単離されたPCSK9特異的アンタゴニスト。
- ヒトPCSK9に5nM未満のKDで結合する、請求項1〜12のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。
- 細胞内LDL取込みのPCSK9の阻害を100nM未満のIC50でアンタゴナイズする、請求項1〜12のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。
- 細胞内取込みのPCSK9の阻害を少なくとも50%アンタゴナイズする、請求項1〜12のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。
- 抗体分子である、請求項1〜12のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニスト。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニストおよび薬学的に許容され得る担体を含む組成物。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニストを投与することを含む、PCSK9機能をアンタゴナイズする方法。
- PCSK9機能によって引き起こされる、および/または増悪する障害、病状または疾患を改善するための医薬の製造における請求項1〜16のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニストの使用。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニストをコードする単離された核酸。
- 請求項20に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項20に記載の核酸を含む、インビトロまたはインサイチュの単離された宿主細胞または宿主細胞集団。
- (a)請求項22に記載の細胞(1つまたは複数)を、PCSK9特異的アンタゴニストの生成に適切な条件下で培養すること;および
(b)生成されたPCSK9特異的アンタゴニストを単離すること
を含む、PCSK9特異的アンタゴニストの作製方法。 - (a)請求項21に記載のベクターを細胞内に挿入すること;ここで、該ベクターはファージ外被タンパク質PIIIまたはpVIIIリーダー配列を含む;
(b)該細胞をPCSK9特異的アンタゴニストの生成に適切な条件下で培養すること;
(c)生成されたPCSK9特異的アンタゴニストを、温和な溶解条件を用いたペリプラズム抽出によって単離すること
を含む、PCSK9特異的アンタゴニストの作製方法。 - 請求項1〜16のいずれかに記載のPCSK9特異的アンタゴニストを含む、インビトロまたはインサイチュの単離された宿主細胞または宿主細胞集団。
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