JP2014011019A - 二次電池電極用バインダー、二次電池電極用スラリー、二次電池電極及び二次電池 - Google Patents

二次電池電極用バインダー、二次電池電極用スラリー、二次電池電極及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】スラリー安定性等のスラリー特性や電池特性を向上させることができる二次電池電極用バインダーを提供する。
【解決手段】二次電池電極用バインダーは、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(A)と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(B)とを有する[(A)−(B)−(A)]型のブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合と、芳香環の炭素−炭素不飽和結合との合計である全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物を、酸変性して得られる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池に使用される電極を形成するために用いられる二次電池電極用バインダーに関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源に用いられている二次電池には、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などが多用されている。携帯端末は、より快適な携帯性が求められて小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進み、その結果、携帯端末は様々な場で利用されるようになっている。また、電池に対しても、携帯端末に対するのと同様に、小型化、薄型化、軽量化、高性能化が要求されている。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、通常、電極活物質層が集電体に積層された構造を有しており、電極活物質層には、電極活物質の他に、電極活物質同士及び電極活物質と集電体とを結着させるためポリマーバインダー(以下において「バインダー」と記載することがある。)が用いられている。電極は、通常、水や有機液体等の液状媒体にバインダーとなる重合体を分散または溶解させたバインダー組成物に電極活物質および必要に応じて導電性カーボン等の導電剤を混合してスラリー組成物を得、このスラリー組成物を集電体に塗布し、乾燥して製造される。
特許文献1には、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダムまたはブロック共重合体の水素添加物の酸変性組成物からなるバインダーが記載されている。
特開2007−173047号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載のバインダーを用いたスラリーは安定性に劣り、スラリーが沈降しやすいことがわかった。さらに、特許文献1に記載のバインダーを用いて得られた二次電池の電池特性も低下することがわかった。
したがって、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、スラリー安定性等のスラリー特性や電池特性を向上させることができる二次電池電極用バインダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するべく鋭意検討した結果、特許文献1のバインダーを用いたスラリーの安定性や電池特性が悪い原因が、バインダー中の酸変性位置であることをつきとめた。特許文献1に記載されているバインダーは、その重合体中において、芳香族ビニル化合物単位が酸変性されている可能性が高いことがわかった。また、特許文献1のバインダーは、芳香族ビニル化合物単位の芳香環が水素化されずに、炭素−炭素不飽和結合が残存していることもわかった。そこで、さらに検討を進めた結果、バインダーとして、芳香族ビニル化合物における芳香環の炭素−炭素二重結合が水素化された重合単位を有する特定のブロック重合体を、さらに酸変性して得られる、特定の構造を有する重合体を用いることにより、上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(A)と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(B)とを有する[(A)−(B)−(A)]型のブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合と、芳香環の炭素−炭素不飽和結合との合計である全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物を、酸変性して得られる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を含有する、二次電池電極用バインダー。
〔2〕酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における酸変性単位の含有割合が0.1〜20質量%である〔1〕に記載の二次電池電極用バインダー。
〔3〕ブロック共重合体全体に占める全重合体ブロック(A)の重量分率をwAとし、ブロック共重合体全体に占める全重合体ブロック(B)の重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が、20:80〜80:20である〔1〕または〔2〕に記載の二次電池電極用バインダー。
〔4〕ブロック共重合体水素化物の重量平均分子量が、30,000〜200,000である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー、電極活物質及び分散媒を含有してなる二次電池電極用スラリー。
〔6〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー及び電極活物質を含有してなる電極活物質層を集電体上に形成してなる二次電池電極。
〔7〕正極、負極、セパレーター及び電解液を有する二次電池であって、前記正極又は負極の少なくとも一方が、〔6〕に記載の二次電池電極である二次電池。
〔8〕上記〔5〕に記載の二次電池電極用スラリーを集電体の少なくとも片面に塗布、乾燥する工程を有する二次電池電極の製造方法。
本発明の二次電池電極用バインダーは、バインダー中の芳香環が水素化されている。そのため、酸変性単位が鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックに導入される。その結果、該バインダーを用いた二次電池電極用スラリーの安定性や塗工性が向上し、優れた強度を有する二次電池電極を得ることができ、二次電池の室温サイクル特性が向上する。
(1)二次電池電極用バインダー
本発明の二次電池電極用バインダーは、特定のブロック共重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化したブロック共重合体水素化物を酸変性して得られる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を含有する。
<ブロック共重合体>
本発明で用いるブロック共重合体は、少なくとも2つの重合体ブロック(A)と、少なくとも1つの重合体ブロック(B)とを有し、[(A)−(B)−(A)]型のブロック共重合体である。
重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位(構造単位)を主成分とするものである。重合体ブロック(A)の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量は、通常90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。
重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位以外の成分としては、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位及び/またはその他のビニル化合物由来の構造単位が挙げられる。重合体ブロック(A)におけるこれらの成分の含有量は、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量が少なすぎると、分散性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)は、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
重合体ブロック(B)は、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位(構造単位)を主成分とするものである。重合体ブロック(B)中の鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位が上記範囲にあると、柔軟性、接着性のバランスに優れる。
重合体ブロック(B)中の鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位以外の成分としては、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び/またはその他のビニル化合物由来の構造単位が挙げられる。重合体ブロック(B)におけるこれらの成分の含有量は、通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下である。重合体ブロック(B)中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量が増加するにつれて、柔軟性、接着性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体中の重合体ブロック(B)は、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
本発明で用いるブロック共重合体中の、全重合体ブロック(A)がブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック(B)がブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)は、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは25:75〜70:30、特に好ましくは30:70〜60:40である。このようなブロック共重合体を用いることで、本発明に係る二次電池電極用バインダーは、高電位に対して化学的に安定となり、長期サイクルにおいても電極構造を維持することができるため、室温サイクル特性に優れる二次電池を得ることができる。
本発明で用いるブロック共重合体における全重合体ブロック(A)の割合は、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。ブロック共重合体における全重合体ブロック(A)の割合を上記範囲とすることで、電極活物質や導電剤等の分散性に優れ、安定性の高い二次電池電極用スラリーを得ることができる。また、本発明で用いるブロック共重合体における全重合体ブロック(B)の割合は、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%である。ブロック共重合体における全重合体ブロック(B)の割合を上記範囲とすることで、柔軟で結着性の高い二次電池電極を得ることができる。
本発明で用いるブロック共重合体の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは30,000〜200,000、より好ましくは35,000〜180,000、特に好ましくは40,000〜160,000である。
また、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。
本発明において、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、THFを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、 GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で前記の重量平均分子量(Mw)を割った値(Mw/Mn)である。
ブロック共重合体の分子量や分子量分布を上記範囲とすることで、安定性と塗工性の良好な二次電池電極用スラリーを得ることができる。
本発明で用いるブロック共重合体は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、[(A)−(B)−(A)]型のブロック共重合体は、重合体ブロック(A)を形成させるモノマー成分として、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー混合物(a1)を重合させる第1工程と、重合体ブロック(B)を形成させるモノマー成分として、鎖状共役ジエン化合物を含有するモノマー混合物(b1)を重合させる第2工程と、重合体ブロック(A)を形成させるモノマー成分として、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー混合物(a2)(ただし、モノマー混合物(a1)とモノマー混合物(a2)は同一でも異なっていてもよい。)を重合させる第3工程を経ることにより製造することができる。
重合体ブロック(A)、(B)の形成に用いる芳香族ビニル化合物としては、スチレン;α−メチルスチレン等のビニル基に置換基を有するスチレン類;2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、4−モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、4−モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等のベンゼン環に置換基を有するスチレン類;4−ビニルピリシン等のビニルイリジン類;等が挙げられる。前記置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。これらの中でも、分散性の観点から、スチレン、ビニル基に置換基を有するスチレン類、及び、ベンゼン環に置換基としてアルキル基を有するスチレン類が好ましく、スチレンが特に好ましい。
重合体ブロック(A)、(B)の形成に用いる鎖状共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
重合体ブロック(A)、(B)の形成に用いるその他のビニル化合物としては、鎖状ビニル化合物や環状ビニル化合物が挙げられる。これらの化合物は、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、又はハロゲン基を置換基として有していてもよく、不飽和の環状酸無水物、不飽和イミド化合物であってもよい。なかでも、柔軟性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン等の環状オレフィン等の、極性基を含有しないビニル化合物が好ましく、鎖状オレフィンがより好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
上記モノマー混合物を用いてそれぞれの重合体ブロックを重合する方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合等のいずれを用いてもよい。ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を、リビング重合、特にリビングアニオン重合による方法を用いた場合に、重合操作及び後工程での水素化反応が容易になる。
重合は、重合開始剤の存在下、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは10〜80℃の温度範囲において行う。
重合開始剤としては、特に制限されず、公知の重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等)が使用できる。
例えば、リビングアニオン重合の場合は、重合開始剤として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム等のモノ有機リチウム;ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物等が使用可能である。
重合反応形態は、溶液重合、スラリー重合等のいずれでも構わないが、溶液重合を用いると、反応熱の除去が容易である。この場合、溶媒として、各工程で得られる重合体が溶解する不活性溶媒を用いる。使用する不活性溶媒としては、たとえば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。中でも脂環式炭化水素類を用いると、後述する水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用でき、ブロック共重合体水素化物の溶解性も良好であるため好ましい。
これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
これらの溶媒の使用量は、全使用モノマー100質量部に対して、通常200〜2000質量部である。
また、それぞれのモノマー混合物が2種以上の成分からなる場合、ある1成分の連鎖だけが長くなるのを防止するために、ランダマイザー等を使用することができる。特に重合反応をアニオン重合により行う場合には、ランダマイザーとしてルイス塩基化合物を使用するのが好ましい。
使用可能なルイス塩基化合物としては、たとえば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
<ブロック共重合体水素化物>
本発明で用いるブロック共重合体水素化物は、上記のブロック共重合体の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものであり、その水素化率は90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、本発明に係る二次電池電極用バインダーは、高電位に対して化学的に安定となり、長期サイクルにおいても電極構造を維持することができるため、室温サイクル特性に優れる二次電池を得ることができる。なお、ブロック共重合体の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合の水素化率、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合の水素化率は、水素化反応前後にH−NMRスペクトルを測定して水素化反応前後での主鎖及び側鎖部分の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合に対応するシグナルの積分値の減少量を元に算出することができる。
炭素−炭素不飽和結合の水素化方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよいが、水素化率を高くでき、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような好ましい水素化方法としては、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒の存在下、水素ガスにより水素化反応を行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能であり、水素化反応は有機溶媒中で行うのが好ましい。
不均一系触媒としては、例えば、金属又は金属化合物からなる触媒や、適当な担体に担持した担持型触媒を用いることができる。担体としては、活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素、フッ化カルシウム等が挙げられる。触媒の担持量は、触媒と担体との合計量に対して通常0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%の範囲である。
担持型触媒としては、例えば、比表面積が100〜500m/g、平均細孔径が100〜1000Å、好ましくは200〜500Åであるものが好ましい。上記の比表面積の値は窒素吸着量を測定し、BET式を用いて算出した値であり、平均細孔径の値は水銀圧入法により測定した値である。
均一系触媒としては、たとえば、ニッケル、コバルト、チタン又は鉄化合物と有機金属化合物(たとえば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の遷移金属錯体触媒等を用いることができる。
ニッケル、コバルト、チタン又は鉄化合物としては、たとえば、各種金属(ニッケル、コバルト、チタン又は鉄)の、アセチルアセトナト化合物、カルボン酸塩、シクロペンタジエニル化合物等が用いられる。
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が挙げられる。
有機金属錯体触媒としては、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)鉄、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル等の遷移金属錯体が挙げられる。
これらの水素化触媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水素化触媒の使用量は、重合体100質量部に対して、通常0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部である。
水素化反応温度は、通常10〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜180℃である。このような温度範囲であるときに水素化率が高くなり、分子切断も減少する。
また、水素化反応の水素圧力は、通常0.1〜30MPa、好ましくは1〜20MPa、より好ましくは2〜10MPaである。このような水素圧力であるときに水素化率が高くなり、分子鎖切断も減少し、操作性にも優れる。
水素化反応終了後、ブロック共重合体水素化物を含む反応溶液から、例えば濾過、遠心分離等の方法により、水素化触媒及び/又は重合触媒を除去した後、得られた溶液から目的とするブロック共重合体水素化物を回収することができる。反応溶液からブロック共重合体水素化物を回収する方法としては、例えば、ブロック共重合体水素化物が溶解した溶液から、スチームストリッピングにより溶媒を除去するスチーム凝固法、減圧加熱下で溶媒を除去する直接脱溶媒法、ブロック共重合体水素化物の貧溶媒中に溶液を注いで析出、凝固させる凝固法等の公知の方法が挙げられる。
回収されたブロック共重合体水素化物の形態は限定されるものではないが、その後に成形加工し易いようにペレット形状とするのが通常である。
ペレット状に成形加工する方法としては、直接脱溶媒法や凝固法等の公知の方法が挙げられる。直接脱溶媒法を用いる場合は、例えば、溶融状態のブロック共重合体水素化物をダイからストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーでカッティングしてペレット状にすることができる。凝固法を用いる場合は、例えば、得られた凝固物を乾燥した後、押出機により溶融状態で押し出し、上記と同様にペレット状にすることができる。
また、ペレット状に成形加工する場合、ブロック共重合体水素化物に酸化防止剤等の配合成分を添加してもよい。
本発明で用いられるブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは30,000〜200,000、より好ましくは35,000〜180,000、特に好ましくは40,000〜160,000である。
また、ブロック共重合体水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。
ブロック共重合体水素化物の分子量や分子量分布を上記範囲とすることで、安定性と塗工性の良好な二次電池電極用スラリーを得ることができる。
<酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物>
本発明で用いる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物は、上記のブロック共重合体水素化物を酸変性したものである。
酸変性する方法は特に限定されず、例えば、不飽和カルボン酸、その無水物を上記のブロック共重合体水素化物にグラフト共重合させる方法が好ましい。不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが、その無水物としては、無水ナジック酸TM、(無水エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが例示できる。これらの単量体は単独で用いることもできるし、また複数で用いることもできる。これらの中で、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
グラフト共重合させる方法は、種々の方法を挙げることができる。例えば、1)該ブロック共重合体水素化物を有機溶媒に溶解し、前記不飽和カルボン酸およびラジカル重合開始剤を添加して加熱、撹拌してグラフト共重合反応させる方法;2)該ブロック共重合体水素化物を加熱溶融して、得られる溶融物に不飽和カルボン酸およびラジカル重合開始剤を添加し、撹拌してグラフト共重合反応させる方法;3)該ブロック共重合体水素化物、不飽和カルボン酸およびラジカル開始剤を予め混合し、得られる混合物を押出機に供給して加熱混練しながらグラフト共重合反応させる方法;粉末状の該ブロック共重合体水素化物に、不飽和カルボン酸およびラジカル重合開始剤を有機溶媒に溶解してなる溶液を含浸させた後、粉末状の該ブロック共重合体水素化物が溶解しない最高の温度まで加熱し、グラフト共重合反応させる方法などを挙げることができる。また、該ブロック共重合体水素化物の不飽和結合が残存している場合は、ラジカル重合開始剤は必ずしも必要ではなく、ラジカル重合開始剤の非存在下で、前記のグラフト共重合反応を行うことができる。
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における酸変性単位の含有割合は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.3〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における酸変性単位の含有割合を上記範囲とすることで、電極活物質同士や電極活物質と集電体との結着力が向上し、N−メチルピロリドン等の分散媒に対する溶解性を良好にできるため、優れた安定性を有する二次電池電極用スラリーを得ることができる。
本発明で用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化 水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、エタノール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール、アセトン、 メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤などを挙げることができる。これらは、1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、現行の電池製造設備が使用できる点でアミド系溶剤が好ましく、中でもN−メチルピロリドンが好ましい。本発明の二次電池電極用バインダーは、上記の酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を上記有機溶媒に溶解および/または分散させて用いることができる。酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を上記有機溶媒に溶解および/または分散して得られるバインダー分散液中における酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の含有量は、作業性の観点から、バインダー分散液の総量に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%である。
本発明で用いられる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、好ましくは30,000〜200,000、より好ましくは35,000〜180,000、特に好ましくは40,000〜160,000である。
また、酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の分子量や分子量分布を上記範囲とすることで、安定性と塗工性の良好な二次電池電極用スラリーを得ることができる。
<添加剤>
本発明の二次電池電極用バインダーは、上記の酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を含有し、その他に、後述する二次電池電極用スラリーの塗布性や二次電池の充放電特性を向上させるために添加剤を加えることができる。これらの添加剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、メタクリル酸−ビニルアルコール共重合体、マレイン酸−ビニルアルコール共重合体、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル部分ケン化物などが挙げられる。これらの添加剤の含有割合は、二次電池電極用バインダーの固形分合計質量に対して、好ましくは300質量%未満、より好ましくは30質量%以上250質量%以下、特に好ましくは40質量%以上200質量%以下である。二次電池電極用バインダーにおける前記添加剤の含有割合がこの範囲であれば、平滑性が優れた二次電池電極を得ることができる。また、添加剤として、イソチアゾリン系化合物やキレート化合物を加えることもできる。これらの添加剤は、二次電池電極用バインダーに添加する方法以外に、後述する本発明の二次電池電極用スラリーに添加することもできる。
(2)二次電池電極用スラリー
本発明の二次電池電極用スラリーは、上記の二次電池電極用バインダー、電極活物質及び分散媒を含有してなる。
<電極活物質>
本発明に用いる電極活物質は、二次電池電極内で電子の受け渡しをする物質である。具体的には、主としてリチウムイオン二次電池用活物質が挙げられる。
リチウムイオン二次電池用活物質には、正極用、負極用がある。リチウムイオン二次電池用電極の正極に用いる電極活物質(正極活物質)としては、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiFeVOなどのリチウム含有複合金属酸化物;TiS、TiS、非晶質MoSなどの遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO・P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物が例示される。さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子が挙げられる。好ましくは、リチウム含有複合金属酸化物である。
リチウムイオン二次電池用電極の負極に用いる電極活物質(負極活物質)としては、具体的には、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、及びピッチ系炭素繊維などの炭素質材料;ポリアセン等の導電性高分子などが挙げられる。好ましくは、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)などの結晶性炭素質材料である。
リチウムイオン二次電池用電極に用いる電極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
リチウムイオン二次電池用電極に用いる電極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜20μmである。
リチウムイオン二次電池用電極に用いる電極活物質のタップ密度は、特に制限されないが、正極では2g/cm以上、負極では0.6g/cm以上のものが好適に用いられる。
二次電池電極用スラリーにおける二次電池電極用バインダーおよび電極活物質の合計含有量は、二次電池電極用スラリー100質量部(固形分)に対して、好ましくは10〜90質量部であり、さらに好ましくは30〜80質量部である。また、二次電池電極用スラリーにおける電極活物質の含有量は、二次電池電極用スラリー100質量部(固形分)に対して、好ましくは5〜80質量部であり、さらに好ましくは10〜60質量部である。各成分の合計含有量および電極活物質の含有量がこの範囲であると得られる二次電池電極用スラリーの粘度が適正化され、塗工を円滑に行えるようになる。
二次電池電極用スラリーにおける二次電池電極用バインダーの含有量は、通常、電極活物質100質量部に対して固形分で0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは0.7〜1.2質量部である。二次電池電極用スラリーにおける二次電池電極用バインダーの含有量がこの範囲であると、得られる二次電池電極の強度および柔軟性が良好となる。
<分散媒>
二次電池電極用スラリーにおける分散媒としては、二次電池電極用バインダーを均一に溶解または分散し得るものであれば特に制限されず、水および有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのケトン類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素など塩素系脂肪族炭化水素;芳酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N−メチルピロリドン(以下、「NMP」と記載することがある。)、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げられる。
これらの分散媒は、単独で使用しても、これらを2種以上混合して混合溶媒として使用してもよい。これらの中でも特に、電極活物質や後述する導電剤の分散性に優れ、沸点が低く揮発性が高い溶媒が、短時間でかつ低温で除去できるので好ましい。アセトン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、水、若しくはN−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、トルエン等に加えて、これらの混合溶媒が好ましい。
<導電剤>
二次電池電極用スラリーは、導電剤を含有してもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、およびカーボンナノチューブ等の導電性カーボンを使用することができる。導電剤を含有することにより、電極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善することができる。二次電池電極用スラリーにおける導電剤の含有量は、電極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
<増粘剤>
二次電池電極用スラリーにおいては、増粘剤を含有してもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体などのポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。
二次電池電極用スラリーにおける増粘剤の含有量は、電極活物質100質量部に対して、0.5〜1.5質量部が好ましい。前記増粘剤の含有量が上記範囲であると、塗工性、集電体との密着性が良好である。本発明において、「(変性)ポリ」は「未変性ポリ」又は「変性ポリ」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタアクリル」を意味する。
<他の成分>
二次電池電極用スラリーには、上記成分のほかに、さらに補強材、レベリング剤、電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤等の他の成分が含まれていてもよく、後述の二次電池電極中に含まれていてもよい。これらは電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られない。
補強材としては、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。補強材を用いることにより強靭で柔軟な電極を得ることができ、優れた長期サイクル特性を示すことができる。二次電池電極用スラリーにおける補強材の含有量は、電極活物質の総量100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは1〜10質量である。上記範囲に含まれることにより、高い容量と高い負荷特性を示すことができる。
レベリング剤としては、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。レベリング剤を混合することにより、塗工時に発生するはじきを防止したり、電極の平滑性を向上させることができる。二次電池電極用スラリーにおけるのレベリング剤の含有量は、電極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。前記レベリング剤の含有量が上記範囲であることにより電極作製時の生産性、平滑性及び電池特性に優れる。界面活性剤を含有させることにより二次電池電極用スラリー中の電極活物質等の分散性を向上することができ、さらにそれにより得られる電極の平滑性を向上させることができる。
電解液添加剤としては、電解液中に使用されるビニレンカーボネートなどを用いることができる。二次電池電極用スラリーにおける電解液添加剤の含有量は、電極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。前記電解液添加剤の含有量が、上記範囲であることにより室温サイクル特性に優れる。その他には、フュームドシリカやフュームドアルミナなどのナノ微粒子が挙げられる。ナノ微粒子を混合することにより二次電池電極用スラリーのチキソ性をコントロールすることができ、さらにそれにより得られる電極のレベリング性を向上させることができる。二次電池電極用スラリーにおけるナノ微粒子の含有量は、電極活物質の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部である。前記ナノ微粒子の含有量が上記範囲であることによりスラリー安定性、生産性に優れ、高い電池特性を示す。
(二次電池電極用スラリーの製造)
二次電池電極用スラリーは、上記の二次電池電極用バインダー、電極活物質、分散媒および必要に応じ用いられる導電剤等を混合して得られる。二次電池電極用スラリーを調製するときに使用する分散媒の量は、二次電池電極用スラリーの固形分濃度が、通常1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲となる量である。固形分濃度がこの範囲にあるときに、上記の二次電池電極用バインダーが均一に分散するため好適である。
混合法は特に限定はされないが、例えば、撹拌式、振とう式、および回転式などの混合装置を使用した方法が挙げられる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサーおよび遊星式混練機などの分散混練装置を使用した方法が挙げられる。
二次電池電極用スラリーの粘度は、室温において、後述する電極の製造方法を(II)の湿式成形法で行う場合には、通常10〜50,000mPa・s、好ましくは100〜10,000mPa・s、より好ましくは300〜2,000mPa・sの範囲であり、後述する電極の製造方法を(III)の乾式成形法で行う場合には、通常10〜3,000mPa・s、好ましくは30〜1,500mPa・s、より好ましくは50〜1,000mPa・sの範囲である。二次電池電極用スラリーの粘度がこの範囲にあると、湿式成形法においては均一な電極を得ることができ、得られる電池のサイクル特性も向上する。また乾式成形法においては、後述する複合粒子の生産性を上げることができる。また、二次電池電極用スラリーの粘度が高いほど、噴霧液滴が大きくなり、得られる複合粒子の重量平均粒子径が大きくなる。前記粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
(3)二次電池電極
本発明の二次電池電極は、本発明の二次電池電極用バインダー及び電極活物質を含有してなる電極活物質層を集電体上に形成してなる。
(二次電池電極の製造方法)
本発明の二次電池電極の製造方法は、特に限定されない。具体的には、(I)上記の二次電池電極用スラリーをシート成形し、得られたシートを集電体上に積層し、電極活物質層を形成する方法(シート成形法)、(II)上記の二次電池電極用スラリーを集電体の少なくとも片面に塗布、乾燥し、電極活物質層を形成する方法(湿式成形法)、及び(III)上記の二次電池電極用スラリーから複合粒子を調製し、これを集電体上に供給してシート成形し、電極活物質層を形成する方法(乾式成形法)等が挙げられる。これらの中でも、(II)湿式成形法が好ましい。(II)湿式成形法は二次電池電極の生産効率に優れている。
(II)湿式成形法において、二次電池電極用スラリーを集電体上に塗布する方法は特に限定されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、およびハケ塗り法などの方法が挙げられる。
乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥時間は通常5〜50分であり、乾燥温度は通常40〜180℃である。
本発明の二次電池電極を製造するに際して、集電体上に上記の二次電池電極用バインダー、電極活物質を含んでなる電極活物質層を形成後、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理により電極活物質層の空隙率を低くする工程を有することが好ましい。電極活物質層の空隙率の好ましい範囲は5〜30%、より好ましくは7〜20%である。前記空隙率が高すぎると充電効率や放電効率が悪化する。前記空隙率が低すぎる場合は、高い体積容量が得難く、電極活物質層が集電体から剥がれ易く不良を発生し易いといった問題を生じる。さらに、二次電池電極用バインダーに硬化性の重合体を用いる場合は、硬化させることが好ましい。
本発明の二次電池電極における電極活物質層の厚みは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。電極活物質層の厚みが上記範囲にあることにより、負荷特性及び室温サイクル特性共に高い特性を示す。
本発明において、電極活物質層における電極活物質の含有割合は、好ましくは90〜99.9質量%、より好ましくは95〜99質量%である。電極活物質の含有割合を、上記範囲とすることにより、高い容量を示しながらも柔軟性、結着性を示すことができる。
<集電体>
本発明で用いる集電体は、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するため金属材料が好ましく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などが挙げられる。中でも、二次電池正極に用いる集電体としてはアルミニウムが特に好ましい。また、二次電池負極に用いる集電体としては銅が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。集電体は、電極活物質層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、電極活物質層と集電体との接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよく、中でも、導電性接着剤層を形成するのが好ましい。
(4)二次電池
本発明の二次電池は、正極、負極、セパレーター及び電解液を有する二次電池であって、正極又は負極の少なくとも一方が、上記二次電池電極である。適用できる二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等が挙げられる。中でも、リチウムイオン二次電池が好ましい。以下、リチウムイオン二次電池に使用する場合について説明する。
リチウムイオン二次電池の製造方法は、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する。さらに必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
<電解液>
本発明に用いられる電解液は、特に限定されないが、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiは好適に用いられる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。支持電解質の量は、電解液に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、また通常は30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。支持電解質の量が少なすぎても多すぎてもイオン導電度は低下し、二次電池の充電特性、放電特性が低下する。
電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解させるものであれば特に限定されないが、通常、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびメチルエチルカーボネート(MEC)などのアルキルカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類、1,2−ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、およびジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が用いられる。特に高いイオン伝導性が得易く、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、前記電解液には添加剤を含有させて用いることも可能である。添加剤としてはビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系の化合物が好ましい。
上記以外の電解液としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、LiNなどの無機固体電解質を挙げることができる。
<セパレーター>
セパレーターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製や芳香族ポリアミド樹脂製の微孔膜または不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート;など公知のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜またはポリオレフィン系の繊維を織ったもの、またはその不織布、絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。
セパレーターの厚さは、通常0.5〜40μm、好ましくは1〜30μm、更に好ましくは1〜10μmである。この範囲であると電池内でのセパレーターによる抵抗が小さくなり、また電池作成時の作業性に優れる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本実施例における部および%は、特記しない限り質量基準である。実施例および比較例において、各種物性は以下のように評価する。
<水素化率>
水素化率は、水素化反応前後にH−NMRスペクトルを測定して水素化反応前後での主鎖及び側鎖部分の不飽和結合及び芳香環の不飽和結合に対応するシグナルの積分値の減少量を元に算出した。
<酸変性単位の含有量>
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の酸価をJIS K5407:1990に記載の方法に準じて測定し、その値から、酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物に対する酸変性単位の含有量を求めた。
<重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)>
ブロック共重合体、ブロック共重合体水素化物および酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の分子量は、THFを溶離液とするGPCによる標準ポリスチレン換算値として380Cにおいて測定した。測定装置としては、東ソー社製、HLC8020GPCを用いた。
<スラリー安定性>
JIS Z8803:1991に準じて単一円筒形回転粘度計(25℃、回転数=60rpm、スピンドル形状:4)により二次電池電極用スラリーの粘度を測定し、測定開始後1分の値を求め、これをスラリー粘度Aとした。また、二次電池電極用スラリー作製1日後のスラリー粘度Bを測定した。二次電池電極用スラリーの粘性変化率を下記の式より算出し、以下の基準で評価する。粘性変化率が低いほどスラリー安定性に優れることを示す。
粘性変化率(%)=(B−A)/A×100
A:−20%〜0%、又は、0%〜20%(但し、−20%、20%を除く)
B:−50%〜−20%、又は、20%〜50%(但し、−50%、50%を除く)
C:−50%〜−100%、又は、50%〜100%(但し、−100%、100%を除く)
D:−100%〜−200%、又は、100%〜200%(但し、−200%、200%を除く)
E:200%以上もしくは−200%以下
<ピール強度>
電極活物質層を形成した電極を、幅1.0cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とし、電極活物質層面を上にして固定する。試験片の電極活物質層表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。測定を10回行い、その平均値を求めて、これをピール強度(N/m)とし、以下の基準で評価した。ピール強度が大きいほど電極活物質層の結着性に優れる、すなわち強度に優れることを示す。
A:20N/m以上
B:15N/m以上20N/m未満
C:10N/m以上15N/m未満
D:10N/m未満
<室温サイクル特性>
10セルのハーフセルコイン型リチウムイオン二次電池を25℃雰囲気下、0.2Cの定電流法によって4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を、200サイクル繰り返した。200サイクル終了時の電気容量と5サイクル終了時の電気容量の比(%)で表される充放電容量保持率(=200サイクル終了時の電気容量/5サイクル終了時の電気容量)を求め、これを室温サイクル特性の評価基準とし、以下の基準で評価する。この値が大きいほど室温サイクル特性に優れることを示す。
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:60%以上70%未満
E:50%以上60%未満
F:50%未満
(実施例1)
〔二次電池電極用バインダー(正極用バインダー)の製造〕
ブロック共重合体(a)の製造
内部が充分に窒素置換された、撹拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン20.0部、n−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で撹拝しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.485部を加えて重合を開始させ、さらに、撹拝しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(ガスクロマトグラフィーにより測定、以下にて同じ。)。次に、脱水イソプレン60.0部を加え、同温度で30分撹拌を続けた。この時点での重合転化率は99%であった。その後、更に、脱水スチレンを20.0部加え、同温度で60分撹拝した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体(a)を含む溶液(重合体溶液)を得た。得られたブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は83,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、ブロック共重合体(a)全体に占めるスチレン由来の全重合体ブロックの重量分率wAと、ブロック共重合体(a)全体に占めるイソプレン由来の全重合体ブロックの重量分率wBとの比(wA:wB)は、40:60であった。
ブロック共重合体水素化物(A)の製造
次に、上記重合体溶液を、撹拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒としてシリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(E22∪、ニッケル担持量60%1日揮化学工業社製)4.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を撹拝しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は86,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
水素化反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、ゼータプラス(登録商標)フィルター30H(キュノー社製、孔径0.5〜1μm)にて濾過し、更に別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて順次濾過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(コントロ、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮乾燥器に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーでカットして、ブロック共重合体水素化物(A)を得た。得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は85,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。水素化率は99.9%であった。
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の製造
セパラブルフラスコに、上記ブロック共重合体水素化物(A)100部、tert−ブチルベンゼン900部、無水マレイン酸25部、及びジクミルペルオキシド(パークミルD、日本油脂製)2.5部を投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら130℃で5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに徐々に加えることにより、ポリマーを析出させた。析出させたポリマーをメタノールでさらに洗浄した。洗浄後のポリマーを60℃で1日真空乾燥させて無水マレイン酸基含有ポリマー(酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物)を得た。得られたポリマーの無水マレイン酸含有量は6.2質量%であった。
セパラブルフラスコに得られた乾燥ポリマー100部、及びNMP1150部を投入し、窒素雰囲気下で80℃で2時間撹拌して乾燥ポリマーを溶解させることにより、正極用バインダーとして、上記ポリマーのNMP溶液を得た。
〔二次電池電極用スラリー(正極用スラリー)の製造〕
正極活物質として層状構造を有するコバルト酸リチウム(LiCoO)(粒子径:12μm)100部と、アセチレンブラック(HS−100:電気化学工業)2.0部と、前記正極用バインダーのNMP溶液を固形分相当量で1.0部となる量と、適量のNMPとをプラネタリーミキサーにて攪拌し、正極用スラリーを調製した。作製した正極用スラリーを用いてスラリー安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔二次電池電極(正極)の製造〕
集電体として、厚さ20μmのアルミ箔を準備した。上記正極用スラリーをコンマコーターでアルミ箔上に乾燥後の膜厚が65μm程度になるように塗布し、60℃で20分、120℃で20分間乾燥後、150℃、2時間加熱処理して正極原反を得た。この正極原反をロールプレスで圧延し、密度が2.5g/cmの正極活物質層とアルミ箔とからなる正極を作製した。なお、正極の厚みは70μmであった。作製した正極を用いてピール強度測定を行った。結果を表1に示す。
〔二次電池の作製〕
前記正極を直径16mmの円盤状に切り抜き、この正極の正極活物質層面側に直径18mm、厚さ25μmの円盤状のポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター、負極として用いる金属リチウム、エキスパンドメタルを順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのリチウムイオンコイン電池(ハーフセル)を作製した。 なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:EMC=3:7(20℃での容積比)で混合してなる混合溶媒にLiPFを1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。この電池を用いて室温サイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ブロック共重合体(a)として、下記のブロック共重合体(a)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は85,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。水素化率は99.9%であった。
ブロック共重合体(a)の製造
内部が充分に窒素置換された、撹拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン12.5部、n−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で撹拝しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.485部を加えて重合を開始させ、さらに、撹拝しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(ガスクロマトグラフィーにより測定、以下にて同じ。)。次に、脱水イソプレン75.0部を加え、同温度で30分撹拌を続けた。この時点での重合転化率は99%であった。その後、更に、脱水スチレンを12.5部加え、同温度で60分撹拝した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体(a)を含む溶液(重合体溶液)を得た。得られたブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は82,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、ブロック共重合体(a)全体に占めるスチレン由来の全重合体ブロックの重量分率wAと、ブロック共重合体(a)全体に占めるイソプレン由来の全重合体ブロックの重量分率wBとの比(wA:wB)は、25:75であった。
(実施例3)
ブロック共重合体(a)として、下記のブロック共重合体(a)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は89,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。水素化率は99.9%であった。
ブロック共重合体(a)の製造
内部が充分に窒素置換された、撹拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン35.0部、n−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で撹拝しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.485部を加えて重合を開始させ、さらに、撹拝しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(ガスクロマトグラフィーにより測定、以下にて同じ。)。次に、脱水イソプレン30.0部を加え、同温度で30分撹拌を続けた。この時点での重合転化率は99%であった。その後、更に、脱水スチレンを35.0部加え、同温度で60分撹拝した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体(a)を含む溶液(重合体溶液)を得た。得られたブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は84,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、ブロック共重合体(a)全体に占めるスチレン由来の全重合体ブロックの重量分率wAと、ブロック共重合体(a)全体に占めるイソプレン由来の全重合体ブロックの重量分率wBとの比(wA:wB)は、70:30であった。
(実施例4)
ブロック共重合体水素化物(A)の製造において、水素化反応の時間を1時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は87,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。水素化率は97%であった。
(実施例5)
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の製造において、無水マレイン酸の添加量を2部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られた酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における無水マレイン酸含有量は0.3質量%であった。
(実施例6)
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の製造において、無水マレイン酸の添加量を5部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られた酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における無水マレイン酸含有量は1質量%であった。
(実施例7)
酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物の製造において、無水マレイン酸の添加量を35部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られた酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における無水マレイン酸含有量は10質量%であった。
(実施例8)
ブロック共重合体(a)の製造において、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の添加量を0.215部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は180,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.18であった。水素化率は99.9%であった。
(比較例1)
ブロック共重合体(a)として、下記のブロック共重合体(a)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は88,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.15であった。水素化率は99.9%であった。
ブロック共重合体(a)の製造
内部が充分に窒素置換された、撹拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン40.0部、n−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で撹拝しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.485部を加えて重合を開始させ、さらに、撹拝しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(ガスクロマトグラフィーにより測定、以下にて同じ。)。次に、脱水イソプレン60.0部を加え、同温度で30分撹拌を続けた。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコールO.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体(a)を含む溶液(重合体溶液)を得た。得られたブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は85,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
(比較例2)
ブロック共重合体水素化物(A)の製造において、水素化反応の時間を10分としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用バインダー、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
なお、得られたブロック共重合体水素化物(A)の重量平均分子量(Mw)は86,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。水素化率は80%であった。
(比較例3)
正極用バインダーとして、下記の正極用バインダーを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、正極用スラリー、正極及び二次電池を作製した。各評価結果を表1に示す。
正極用バインダーの製造
セパラブルフラスコに、マレイン酸変性SEBSブロック共重合体(タフテックM1913、旭化成社製、スチレン含有量30wt%、酸価10)100部、及びNMP1900部を投入し、窒素雰囲気下、170℃で5時間撹拌して乾燥ポリマーを溶解させることにより、正極用バインダーとして、上記ポリマーのNMP溶液を得た。
Figure 2014011019
表1から、実施例1〜8の二次電池電極用バインダーによれば、比較例1〜3の二次電池電極用バインダーと比較して、各評価結果のバランスに優れることが分かる。

Claims (8)

  1. 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(A)と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロック(B)とを有する[(A)−(B)−(A)]型のブロック共重合体の、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合と、芳香環の炭素−炭素不飽和結合との合計である全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるブロック共重合体水素化物を、酸変性して得られる酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物を含有する、二次電池電極用バインダー。
  2. 酸変性単位含有ブロック共重合体水素化物における酸変性単位の含有割合が0.1〜20質量%である請求項1に記載の二次電池電極用バインダー。
  3. ブロック共重合体全体に占める全重合体ブロック(A)の重量分率をwAとし、ブロック共重合体全体に占める全重合体ブロック(B)の重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が、20:80〜80:20である請求項1または2に記載の二次電池電極用バインダー。
  4. ブロック共重合体水素化物の重量平均分子量が、30,000〜200,000である請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー、電極活物質及び分散媒を含有してなる二次電池電極用スラリー。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池電極用バインダー及び電極活物質を含有してなる電極活物質層を集電体上に形成してなる二次電池電極。
  7. 正極、負極、セパレーター及び電解液を有する二次電池であって、前記正極又は負極の少なくとも一方が、請求項6に記載の二次電池電極である二次電池。
  8. 請求項5に記載の二次電池電極用スラリーを集電体の少なくとも片面に塗布、乾燥する工程を有する二次電池電極の製造方法。
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