JP2014011360A - 六方晶フェライト磁性粉末の製造方法 - Google Patents

六方晶フェライト磁性粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率のよい微細な六方晶フェライト磁性粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス結晶化法において熱処理後前駆体を得る工程と、酸性溶液中に前記熱処理後前駆体を浸漬して前記熱処理後前駆体を覆う非磁性成分を溶解し、六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子と酸性溶液からなる被処理液を得る工程と、前記被処理液から前記六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子を分離して回収する分離回収工程と、前記分離された六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子を洗浄する洗浄工程を有する六方晶フェライト磁性粉末の製造方法において、前記分離回収工程と前記洗浄工程は、前記六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子を液体サイクロン装置1で処理し濃縮スラリーを得る液体サイクロン処理工程を有することを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、高密度磁気記録媒体に適したフェライト磁性粉末、特に六方晶フェライト磁性粉末を得るための製造方法に関する。
塗布型磁気記録媒体のさらなる高密度化のために、微細な磁性粉末が求められている。従来使用されてきた金属磁性粉末は、高い飽和磁化と大きな保磁力という優れた磁気特性を有する磁性粉末である。しかし、微細になるのに伴い、その磁気特性を長期間にわたって保つこと(耐候性)と、優れた磁気特性の両立化を図ることが難しくなってきた。また、昨今の磁気ヘッド(特に再生ヘッド)の特性向上は、金属磁性粉末ほど高い飽和磁化を有しない磁性粉末であっても、十分に記録媒体用として利用できることを可能にした。
そうした技術傾向を背景として、従来は磁気特性の安定性には優れるが飽和磁化が低いため特定の用途でしか使用されてこなかったフェライト磁性粉末、特に六方晶フェライト磁性粉末が、次世代の高密度磁気記録媒体用磁性粉末として着目されるようになってきている。
また、高密度磁気記録に適した六方晶フェライト磁性粉末を検討していく過程において、微細でかつ高磁気特性を有し、高密度磁気記録媒体に好適に利用できる六方晶フェライト磁性粉末を得るには、ガラス結晶化法を用いることが好ましいことがわかってきた。
ここで、ガラス結晶化法とは、フェライト成分とガラス形成成分(「非磁性成分」ともよぶ)を高温溶解し、これを急冷した後に生じる非晶質体を熱処理しその非晶質体中で六方晶フェライト磁性粉末を析出させる方法である。当然磁性粉末として用いるためには、非磁性成分は不要なので、非磁性成分と六方晶フェライト磁性粉末(磁性体)を分離する操作が必要になる。通常、こうした分離操作には非磁性成分であるガラスが酸に溶解する性質を利用した方法が用いられている(例えば、特許文献1ないし2参照)。
また、特許文献3には金属磁性粉末に残存している可溶性のカルシウムを除去するために、金属磁性粉末を凝集体の状態で水洗する方法が開示されている。
特開2005−340673号公報 国際公開WO2011/125633A1パンフレット 特許第4336932号(特開2003−037004号)公報
従来、一般的には非磁性成分が溶解した液体と六方晶フェライト磁性粉末の分離操作は濾過を用いて行ってきた。しかし、六方晶フェライト磁性粉末の一次粒子径が微細となるのに伴い、分離に要する時間は長くなる。
また、分離した後の六方晶フェライト磁性粉末は、磁性粉末に付着している非磁性成分が溶解した液体を洗浄し、除去する必要がある。従来この洗浄は、フィルタープレス法を用いていた。しかし、フィルタープレス法では水が流れやすい部分の六方晶フェライト磁性粉末はよく洗浄されるが、水が流れにくい部分では洗浄されにくい。つまり、洗浄ムラが生じやすいという課題があった。
不十分な洗浄は、分離に使用した酸成分(及び非磁性成分)を六方晶フェライト磁性粉末に残存させる。特許文献2が開示するように、酸成分が残存した六方晶フェライト磁性粉末は、記録媒体にした時の磁気特性が低下する場合がある。したがって、可能な限りこのような酸成分を除去する必要がある。
しかし、特許文献3でも指摘されているように一次粒子が微細になると、粒子による目詰まりが生じやすくなり、濾過の効率が低下する。結果、六方晶フェライト磁性粉末の洗浄に要する時間が六方晶フェライト磁性粉末の製造工程に要する時間に占める割合が大きくなる。そのため、微細な六方晶フェライト磁性粉末を効率よく製造するためには、分離および洗浄といった固液分離のための時間の短縮が喫緊の課題として認識されるようになってきた。
特許文献3は金属磁性粉末に関する技術であるが、ある程度の凝集径を有した粒子であればカルシウム塩を効率よく除去可能であることが開示されている。すなわち、効率良く洗浄する方法として、六方晶フェライト磁性粉末の一次粒子を集め、ある程度の大きさの凝集粒子単位として扱うことができれば、通常の洗浄でも余分な成分の除去を効率よく行えるようになることが期待できる。
そこで、本発明者らは六方晶フェライト磁性粉末の製造において、固液分離や洗浄にかける時間の短縮を図り、効率よく微細な六方晶フェライト磁性粉末を製造する技術を確立することを解決するべき課題として定めた。
発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、
六方晶フェライト磁性粉末および非磁性成分の原料を溶解して溶湯を得る工程と、
前記溶湯の冷却を行い前駆体を得る工程と、
前記前駆体を熱処理して前記六方晶フェライト磁性粉末を析出させ、熱処理後前駆体を得る工程と、
酸性溶液中に前記熱処理後前駆体を浸漬して、前記六方晶フェライト磁性粉末を覆う非磁性成分を溶解し、前記六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子と酸性溶液からなる被処理液を得る工程と、
前記被処理液から液体サイクロン処理工程により、前記被処理液を濃縮して濃縮スラリーを得る分離回収工程と、
前記濃縮スラリーに水を添加して二次被処理液とし、前記液体サイクロン処理工程により前記二次処理液を濃縮させ、新たな濃縮スラリーを得る洗浄工程と、を有する六方晶フェライト磁性粉末の製造方法とすることで、上述の課題が解決しうることを見いだし、本発明を完成させた。
さらに好ましい形態として、例えば分離において回収される凝集粒子の平均粒子径が20μm以上、100μm以下、そしてそれを構成する一次粒子の平均粒子径は10〜30nmであるとその効率はより好適なものとなる。
さらに、液体サイクロンを用いて行う分離回収および洗浄工程において、回収分級点の異なる液体サイクロン装置を複数備え順次処理するようにすれば、下流のサイクロン装置で比較的微粒の凝集体を回収できるため、回収効率がさらに改善するようになるので好ましい。このように液体サイクロンを複数備え順次処理する構成とする場合には、二段目のサイクロンにおける粒子の分級点は20μm未満となるように、サイクロンを設計することが望まれる。1段目のサイクロンの分級点が20μm以上としているからである。
さらに、洗浄の程度を改善するために、前記新たな濃縮スラリーを前記濃縮スラリーに置き換えて再び前記洗浄工程を繰り返す再洗浄工程を行う。洗浄工程は短時間で終えることができるので、効率よく洗浄工程を繰り返すことができ、より不純物成分を分離除去できるようになるので好ましい。
上記の方法によれば、固体の分離及び洗浄を効率よく行えるようになるので、粒子の製造に要する時間の短縮化を図ることができるようになる。
液体サイクロン装置の構成図である。 複数回の洗浄工程ができる液体サイクロン装置の構成図である。 分級点の異なる液体サイクロン装置を直列に連結した液体サイクロン装置の構成図である。 実施例の製造方法(液体サイクロン装置を使用)に従って作製した六方晶フェライト磁性粉末の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 比較例(従来法:フィルタープレス装置を使用)の製造方法に従って作製した六方晶フェライト磁性粉末の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
本発明に従うガラス結晶化法を用いて得られる六方晶フェライト磁性粉末の製造方法を詳細に述べると次のようになる。まず、六方晶フェライト磁性粉末および非磁性成分の原料(ホウ酸、酸化鉄、アルカリ土類元素や各種添加成分)を白金るつぼ中で攪拌しながら溶解した溶湯を急冷し、前駆体を得る。なお、六方晶フェライト磁性粉末および非磁性成分の原料を溶解、急冷して得られるものを「前駆体」と呼ぶ。例えば、アトマイズ法を用いて急冷した場合、この前駆体の大きさは出来上がりの六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子の大きさにほぼ一致する。したがって、アトマイズ法においては、前駆体の成形が、後の分離回収工程および洗浄工程の効果に影響を与えるといえる。ここで、アトマイズ法は水アトマイズ法、ガスアトマイズ法のいずれも採用することができる。
そうして得られた前駆体を熱処理することで、前駆体中で六方晶フェライト磁性粉末(一次粒子)を析出させ、非磁性成分中に六方晶フェライト磁性粉が形成された物質を得ることができる。この物質を「熱処理後前駆体」と呼ぶ。その後、この熱処理後前駆体へ酸性溶液(特に酢酸)を添加して攪拌することで非磁性成分が酸性溶液に溶解した液中に、六方晶フェライト磁性粉末の凝集体が存在する溶液を得ることができる。こうして得られた溶液が被処理液となる。次に、この被処理液は、液体サイクロン装置で処理される。
図1には液体サイクロン装置の構成図を示す。液体サイクロン装置1は、倒立させた円錐筒状の液体サイクロン本体10の上下にアッパノズル14とボトムノズル12が設けられた形状をしている。被処理液が作製される溶解槽20からの配管24は、液体サイクロン本体10の側面に形成された投入口16に連通している。
また、ボトムノズル12の下流側には回収槽28が配置される。アッパノズル14からは排液槽26に連通している。更に、配管24途中にはポンプ22が設けられており、溶解槽20から被処理液を所定の圧力で液体サイクロン装置1の液体サイクロン本体10に送液する。
ここで、被処理液が装置内に供給されると、遠心力によりある程度大きい粒子は液体サイクロン本体10の周壁部へ向かうとともに、液体サイクロン本体10の側面のテーパーに沿って発生している下降流にのってボトムノズル12へ導かれ排出される。ボトムノズル12は回収槽28に連通している。また、中心部では上昇流が発生しているため、非磁性成分が溶解した液は上部のアッパノズル14から排出され、排液槽26で回収される。
このようにして被処理液は、非磁性成分が溶解した液と粒子に分離される。つまり、濃縮された六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子はボトムノズル12を通って、濃縮スラリーとして下部から排出・回収され、ホウ素等が多く含まれた酸性の溶解液は上部のアッパノズル14から排出され分離される。被処理液(後述するn次被処理液を含む)を液体サイクロン装置1で処理し、溶液成分と六方晶フェライト磁性粉末(その凝集粒子を含む)に分離し、被処理液を濃縮する工程を液体サイクロン処理工程と呼ぶ。また、この分離回収機構を分離回収工程と呼ぶ。
この分離回収工程によれば、分離される六方晶フェライト磁性粉末はある程度の大きさに凝集した凝集粒子になっている方が、より分離効率が向上するので好ましい。ここで分離される凝集粒子としては、平均粒子径(D50径)が、20μm以上、100μm以下が好ましく、80μm以下であればより好ましく、75μm以下であると最も好ましい。これらの値は乾式の粒度分布測定機器であるレーザー回折式粒度分布測定装置(ヘロス−ロドス)を用い、体積基準の粒子径分布から算出するとよい。
ガラス結晶化法においては、洗浄操作後の凝集粒子の粒子表面には、酸やバリウム塩などの汚染物質が付着している。発明者らの知見によれば、酸が残存すると磁性塗料とした際のバインダーの吸着が阻害されて媒体とした際の磁気特性が低下する。また、バリウムイオンが残存すると、記録媒体表面で炭酸バリウムが結晶化して析出するといった、経時的な悪影響をおよぼすので好ましくない。
そのため、凝集粒子は、純水を用いてさらに洗浄し、あるいは純水を煮沸させて付着成分を除去するのが好ましい。煮沸した純水を用いるために、液体サイクロン装置1のボトムノズル12の下流に設けられる回収槽28あるいは被処理液を作製する溶解槽20に加熱機構を備えるようにしてもよい。
また場合により、アンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などにより非磁性成分の溶解の際に付着した酢酸を中和させつつ洗浄するのも好ましい。水酸化ナトリウム水溶液ならば、0.01〜1.5mol/L、好ましくは0.05〜1.2mol/L、一層好ましくは0.1〜1.0mol/Lとするのがよい。濃度が1.0mol/Lより低濃度であれば、洗浄の効果が小さく、高濃度であれば洗浄の効果が飽和するとともに、不純物の混入の危険性が高くなるので好ましくない。
これらの水溶液は洗浄液として、溶解槽20、若しくは溶解槽20から液体サイクロン本体10の間の配管24から供給してもよい。なお、このような水溶液を使用する場合には、少なくともこれらの水溶液(洗浄液)が接触する部分にその使用する薬剤に耐食性を有した表面処理等を施しておく必要がある。
洗浄が十分に行われたか否かを判別するには、六方晶フェライト磁性粉末に付着した酸の残存量が目安となる。しかし、洗浄処理毎に評価を行うのはタクトタイムの長時間化を招くため好ましくない。発明者らの従前の検討によれば、濾過後の濾液の導電率と洗浄の程度には相関があることがわかっている。
実用上問題ない程度の六方晶フェライト磁性粉末とするためには、濾過後の濾液またはスラリーの導電率が1.0mS/m以下、好ましくは0.8mS/m以下になるまで洗浄を施すとよい。本発明では、下部のボトムノズル12から排出される濃縮スラリーで導電率を確認することができる。また、一度の洗浄で所望の洗浄の程度に至らなかった場合は、複数回洗浄を行うか、複数回洗浄を行った後にフィルタープレスなどと組み合わせて使用してもよい。
図2には、複数回洗浄が行える液体サイクロン装置2の構成を示す。図1の構成に加えて、回収槽28に水を供給する水タンク25と回収槽28から溶解槽20に送液するためのポンプ21が設けられている。液体サイクロン本体10のボトムノズル12から回収された濃縮スラリーに、水タンク25から水を加え、再び二次的な被処理水を作製する。これを二次被処理液と呼ぶ。
以後被処理液を液体サイクロン装置で処理し、濃縮スラリーを得る場合に、被処理液をn次被処理液(nは1以上の整数)と呼んで区別する。例えば、最初の被処理液は一次被処理液である。そして最初の被処理液(一次被処理液)から得た濃縮スラリーに純水を加えて希釈したものは、二次被処理液である。この二次被処理液を再度液体サイクロン本体10に通し、得られた新たな濃縮スラリーを純水で希釈したものは三次被処理液である。
二次被処理液は、ポンプ21によって再び溶解槽20に移送される。そして、再び液体サイクロン装置2の液体サイクロン本体10のボトムノズル12から新たな濃縮スラリーとして回収される。これは、濃縮スラリーを純水に通したことになる。したがって、濃縮スラリー(若しくは新たな濃縮スラリー)を希釈し、液体サイクロン処理工程を施す毎に凝集粒子は洗浄が繰り返されることとなる。図2に示す液体サイクロン装置2を用いることで複数回の繰り返し洗浄を行うことができる。
また洗浄工程とは、二次被処理液に対して液体サイクロン処理工程を施し、新たな濃縮スラリーを得る工程であるとも言い変えることができる。より詳しくは、分離回収工程で得た濃縮スラリーに水を加え二次被処理液とし、二次被処理液を液体サイクロン処理工程で濃縮し新たな濃縮スラリーを得る。
そして、複数回洗浄工程を繰り返すということは、この新たな濃縮スラリーを濃縮スラリーに置き換えて再度洗浄工程を行うことである。これを再洗浄工程と呼ぶ。この時液体サイクロン処理工程で処理されるのはnが3以上のn次被処理液である。
図3には、液体サイクロン装置3の構成を示す。液体サイクロン装置3は、図2で示した構成に加え、さらに1段の液体サイクロン本体30が併設される。液体サイクロン本体10のアッパノズル14からは、非磁性成分と液体サイクロン本体10の分級点より小さな粒子を含む溶液が排液槽26に回収される。そこで排液槽26の溶液を更に、液体サイクロン本体30にポンプ31で圧送する。
液体サイクロン本体30は液体サイクロン本体10より外径が小さく、分級点はさらに小さい。したがって、液体サイクロン本体10で回収できなかった大きさの凝集粒子をボトムノズル32から回収することができる。このように液体サイクロン装置は複数台を直列に連結して運転してもよい。連結する液体サイクロン装置の分級点は順次小さくしても良いし、同じ分級点の液体サイクロン装置を連結してもよい。このようにすることで、回収率はより高くなり、固液分離や洗浄にかかる時間もより短くなる。
得られた洗浄処理後の凝集粒子は、大気中100℃以上の条件下での水分除去処理を付すことで、乾燥粉として得ることができる。この後、バインダーに対する分散性を改善するために、80%RH程度の湿潤環境下で、乾燥磁性粉表面に水分を0.5〜5.0質量%程度付着させてもよい。
<導電率の評価>
濾液やスラリーの導電率は、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計ES−51を使用して測定した。
<磁性粉末の評価>
得られた磁性粉末は、以下に示す方法により物性を評価した。
<窒素吸着による比表面積の算出>
窒素を用いた比表面積の算出は、BET一点法を用いて測定し、測定装置はユアサイオニクス株式会社製の4ソーブUSを使用して測定した。
<粉末磁気特性評価>
六方晶フェライト磁性粉末をφ6mmのプラスチック製容器に詰め、東英工業株式会社製のVSM装置(VSM−P7−15)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で、保磁力Hc(kA/m、Oe)、飽和磁化σs(Am/kg)、角形比SQ、粉体のSFD(バルク状態におけるSFD値)を測定した。
<磁性粉末収率評価>
六方晶フェライト磁性粉末回収の収率は、組成設計から計算される六方晶フェライト磁性粉末重量に対して、実際に得た六方晶フェライト磁性粉末重量より算出した。
(実施例)
原料として、主原料である酸化鉄(テツゲン製HRT)、炭酸バリウム(Solvay製/工業用)、ホウ酸(Borax製/工業用)と副原料(酸化ビスマス(円商産業製/工業用)、酸化ニオブ(高純度化学研究所製/試薬)を所定比率になるように混合した。この時の組成は、フェライトが前駆体中に44.9%含まれる設計で実施した。この混合原料を白金るつぼに投入し、1400℃の炉内で1時間撹拌溶融した。その後、ガスアトマイズ法にて溶融物を急冷させて、前駆体を作製した。
この前駆体を630℃で1時間熱処理し、六方晶フェライト磁性粉末を内部に析出させた熱処理後前駆体20kgを作製した。この熱処理後前駆体を、濃度10質量%に調整した酢酸200kgに添加した後、60℃で1時間撹拌して、六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子が分散した酢酸溶液(被処理液)を得た(フェライト濃度:約4質量%)。六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子の平均粒子径D50は、60μmであった。
次に、この被処理液をポンプにより液体サイクロン本体(分級点:10μm)中に供給することで(液体サイクロン本体への供給一次圧力は0.3MPa)、ボトムノズルから回収される濃縮スラリーと、アッパノズルから回収される微細な粒子を含んだ酸性の溶解液を分離した(分離回収工程)。
ボトムノズルから回収された濃縮スラリーに対して、アッパノズルから回収された酸性の溶解液と同体積の純水を添加し、濃縮スラリーのフェライト濃度を初めに供給した被処理液の固体濃度とほぼ同じになるまで希釈した。これは二次被処理液である。この二次被処理液を再度攪拌したのち、再度液体サイクロン中に供給して、新たな濃縮スラリーと酸性の溶解液に分離した(洗浄工程)。
アッパノズルから回収される酸性の溶解液には、液体サイクロン本体の分級点以下の微小粒子や、酢酸成分およびホウ酸などの非磁性成分が分離されている。なお、この酸性の溶解液を図3に示した、より分級点の小さな液体サイクロン本体で再度処理しても良い。
その後、新たな濃縮スラリーを濃縮スラリーとして再度液体サイクロン装置を用いて同様の濃縮、希釈処理を行い、三次被処理液を得た。三次被処理液を得るまでに要した時間(2回の洗浄工程を行った時間)は30分であった。
こうして得られた新たな濃縮スラリーを市販のフィルタープレス装置(型番:TFO−10−9(13)、メーカー:アタカ大機株式会社製、フィルター:PP201A、濾過容量:6.8L、濾過面積:1.36m)を用いて回収、洗浄した。液体サイクロン装置で分級点以下の凝集体を分離したため、フィルタープレス装置は目詰まりをほとんど起こさず、導電率が1.0mS/mになるまで洗浄を行い、それに要した時間は50分であった。また、収率は88.0%であった。
(比較例)
実施例と同様に作製した六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子(平均粒子径D50:60μm)が分散した酢酸溶液を市販のフィルタープレス装置(型番:TFO−10−9(13)、メーカー:アタカ大機株式会社製、フィルター:PP201A、濾過容量:6.8L、濾過面積:1.36m)を用いて、濾過により酸性の溶解液を除く操作を行った。この際に濾布の目を通過する粒子が存在し収量が低下するため、回収された濾過液を再度フィルタープレス装置に投入する操作(フィルタープレス装置への濾過液の再供給)を行った。
その後、純水を供給(供給圧力:0.5MPa)し、フィルタープレス装置中でフェライト磁性粉の凝集粒子に付着した酢酸成分およびホウ酸などの非磁性成分の除去操作を行った。
このとき、実施例と同様の導電率(1.0mS/m以下)になるまでには200分を要した。なお、収量改善のために実施したフィルタープレス装置への濾過液の再供給に要した時間は30分であったため、トータルで処理に要した時間は、230分であった。また、収率は87.9%であった。
比較例にかかる濾過時における濾液流量変化をモニターしたところ、濾過時においては、フィルターを通過する累積通過液量が増すに従い、計測される流量が少なくなる傾向が見られた。
実施例の方法で洗浄した六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子と比較例の方法で洗浄した六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子は、六方晶フェライト磁性粉末として有する物理特性にそれほど大きな相違は見られなかった。磁気特性および媒体化した際の磁気特性評価のいずれを見ても、大きな違いは見られなかった。
図4には、液体サイクロン装置およびフィルタープレス装置で分離回収工程と洗浄工程を行った六方晶フェライト磁性粉末(実施例1)のTEM写真を示し、図5には、フィルタープレス装置のみで行った場合の六方晶フェライト磁性粉末(比較例1)のTEM写真を示す。それぞれ、倍率は174,000倍である。TEM写真で確認しても、形状大きさに違いは見られなかった。
表1には、実施例1及び比較例1の六方晶フェライト磁性粉末の磁気特性と比表面積と収率の値を示す。いずれの値もほぼ同じ数値を示していた。
以上のことから、本発明にかかわる製造方法を用いれば、最終製品としては同様の物質が得られているにもかかわらず、製造に要する時間としては大幅な短縮を図ることができるため、効率的な製造方法の確立に大きく寄与することが確認された。
本発明の製造方法を用いることにより、効率よく微細な六方晶フェライト磁性粉末を得ることができるようになった。これは高密度磁気記録媒体の供給量の増加に寄与するものである。
1、2、3 液体サイクロン装置
10、30 液体サイクロン本体
12、32 ボトムノズル
14、34 アッパノズル
16 投入口
20 溶解槽
21、22、31 ポンプ
23 バルブ
24 配管
25 水タンク
26、36 排液槽
28、38 回収槽

Claims (5)

  1. 六方晶フェライト磁性粉末および非磁性成分の原料を溶解して溶湯を得る工程と、
    前記溶湯の冷却を行い前駆体を得る工程と、
    前記前駆体を熱処理して前記六方晶フェライト磁性粉末を析出させ、熱処理後前駆体を得る工程と、
    酸性溶液中に前記熱処理後前駆体を浸漬して、前記六方晶フェライト磁性粉末を覆う非磁性成分を溶解し、前記六方晶フェライト磁性粉末の凝集粒子と酸性溶液からなる被処理液を得る工程と、
    前記被処理液から液体サイクロン処理工程により、前記被処理液を濃縮して濃縮スラリーを得る分離回収工程と、
    前記濃縮スラリーに水を添加して二次被処理液とし、前記液体サイクロン処理工程により前記二次処理液を濃縮させ、新たな濃縮スラリーを得る洗浄工程と、を有する六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  2. 前記凝集粒子の平均粒子径が20μm以上、100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  3. 前記凝集粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が10〜30nmであることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  4. 前記分離回収工程と前記洗浄工程は、分級点の異なる液体サイクロン装置で処理を連続して行うことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  5. 前記新たな濃縮スラリーを前記濃縮スラリーに置き換えて再び前記洗浄工程を繰り返す再洗浄工程をさらに有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。






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