JP2014013877A - 超電導パンケーキコイル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁応力を受けたときに超電導線材の変形によるひずみを抑制することができ、超電導特性を良好に維持することができる超電導パンケーキコイル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シングルパンケーキコイル11Aは、基板上に中間層及び希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材12を巻回してコイル13を形成したものである。このコイル13の外周には、該コイル13の拡径を抑えるための外周枠14が設けられている。この外周枠14は繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されている。前記コイル13の軸線方向の両端面には、外周枠14の移動を規制する上部規制枠15及び下部規制枠16が設けられている。また、コイル13の外周部及び上部には、パラフィン等のモールド材によるモールド層23が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を有するテープ状の超電導線材を巻回して形成され、超電導線材の変形によるひずみを抑えて、優れた超電導特性を維持することができる超電導パンケーキコイル及びその製造方法に関する。
希土類系酸化物超電導体を用いた酸化物系のテープ状の超電導線材を巻回してなる超電導パンケーキコイルは、高磁場マグネット等として好適に利用される。この高磁場マグネットにおいては、発生した高磁場に基づいて超電導線材のコイル径を拡げるように円周方向にフープ応力(電磁応力)が働く。このため、超電導パンケーキコイルにはそのフープ応力に耐え得る機械的強度が必要であるとともに、引張りや曲げなどの変形に対して許容できるひずみ量の大きいことが求められる。
この種の超電導パンケーキコイルとしては、例えば特許文献1に記載されている高温超電導パンケーキコイルが知られている。すなわち、当該高温超電導パンケーキコイルは、金属基板の表面に中間層及び酸化物超電導層を順次形成したテープ状の高温超電導線材が巻回されることにより形成され、軸方向中心を貫通する空間を有している。そして、コイルの軸方向の一対の端面を形成する巻線側面部の少なくとも一部がエポキシ樹脂層等の樹脂層で被覆されている。
特開2010−267887号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている従来構成の高温超電導パンケーキコイルにおいては、コイル端面の巻線側面部がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂による樹脂層で剛直に固定されている。この場合、パンケーキコイルは超電導線材間に絶縁テープが介在された状態で巻回されるが、十分な締付力をもって超電導線材を巻回しても超電導線材と絶縁テープとの間には微小な隙間が生じる。このため、超電導線材の巻回後にエポキシ樹脂を注入して含浸させたとき、そのエポキシ樹脂が超電導線材と絶縁テープとの隙間に入り込み、そこで硬化する。
その結果、超電導パンケーキコイルを高磁場マグネット等として使用する場合、高磁場に基づくフープ応力が超電導パンケーキコイルに作用し、そのフープ応力が超電導線材に加わり、超電導線材が変形してひずみを生ずる。さらに、強いフープ応力により、超電導線材に接着している硬く、脆いエポキシ樹脂が割れ、その際超電導線材が壊れたり、剥離したりするおそれがある。従って、超電導パンケーキコイルは超電導特性を維持することができなくなるという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、電磁応力を受けたときに超電導線材の変形によるひずみを抑制することができ、超電導特性を良好に維持することができる超電導パンケーキコイル及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を巻回してコイルを形成した超電導パンケーキコイルであって、前記コイルの外周には、該コイルの拡径を抑えるための外周枠を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1に係る発明において、前記外周枠は繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記超電導線材は超電導層が内周側に位置するように配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記コイルの軸線方向の少なくとも一方の端面には、外周枠の移動を規制する規制枠を設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記コイルはダブルパンケーキコイルであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項5に係る発明において、前記超電導線材はその1本が中心側からダブルパンケーキコイルの各段に反対方向に巻回され、超電導線材の端部が各段の外周部に位置し、超電導線材の両端部に電極が接続されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1から請求項6のいずれか一項に係る発明において、前記コイルは円筒状以外の筒形状を有し、外周枠はそのコイルの外周に沿って形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項4から請求項7のいずれか一項に係る発明において、前記規制枠には、外周枠の被係合部に係合する係合部を設けたことを特徴とする。
請求項9に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項1から請求項8のいずれか一項に係る発明において、前記コイルの内周には、コイルの形状を保持する内周枠を設けたことを特徴とする。
請求項10に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項9に係る発明において、前記コイルの少なくとも一方の端面に規制枠を設け、前記外周枠、内周枠及び規制枠によりケースを構成し、該ケース内には室温で液体であり、融点が−10〜−100℃である油状物質が注入されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明の超電導パンケーキコイルは、請求項10に係る発明において、前記コイルの両端面に対して規制枠が接着剤により接合されていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明の超電導パンケーキコイルの製造方法は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を内周枠の外周に巻回して形成したコイルの外周に外周枠を配置した後、コイルの少なくとも一方の端面に規制枠を配置して内周枠及び外周枠に接合することを特徴とする。
請求項13に記載の発明の超電導パンケーキコイルの製造方法は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を内周枠の外周に巻回して形成したコイルの外周に外周枠を配置し、コイルの一端面に規制枠を配置して前記外周枠及び内周枠に接合し、コイルの他端面に、注入口を有する規制枠を配置して外周枠及び内周枠に接合してケースを構成した後、前記注入口から室温で液体であり、融点が−10〜−100℃である油状物質をケース内に注入し、その後注入口を塞ぐことを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の超電導パンケーキコイルでは、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を巻回してコイルが形成されている。そして、コイルの外周には、該コイルの拡径を抑えるための外周枠が設けられている。このため、超電導パンケーキコイルを例えば高磁場マグネット等として使用した場合、高磁場による電磁応力が超電導パンケーキコイルに作用してコイルを拡げるように働いたとき、この応力がコイルの外周に設けられた外周枠に受け止められる。従って、超電導線材に作用する電磁応力は外周枠に分担して受承されて軽減され、超電導線材の機能は電磁応力の有無に拘らず良好に発揮される。
よって、本発明の超電導パンケーキコイルによれば、電磁応力を受けたときに超電導線材の変形によるひずみを抑制することができ、超電導特性を良好に維持することができるという効果を奏する。
本発明を具体化した第1実施形態の超電導パンケーキコイルを示す図であって、(a)はシングルパンケーキコイルを示す概略横断面図、(b)はシングルパンケーキコイルを示す概略縦断面図、(c)はシングルパンケーキコイルを示す要部拡大縦断面図。 テープ状の超電導線材を示す断面図。 そのシングルパンケーキコイルの外周枠上に上部規制枠を固定した状態を示す平面図。 そのシングルパンケーキコイルの製造工程を示す図であって、(a)は内周枠にテープ状の超電導線材を巻回した状態を示す概略横断面図、(b)はその超電導線材の外周に外周枠を配置した状態を示す概略横断面図、(c)はその状態の超電導線材の上部及び外周部にパラフィンのモールド層を形成した状態を示す部分縦断面図。 第2実施形態の超電導パンケーキコイルを示す図であって、(a)はダブルパンケーキコイルを示す概略横断面図、(b)はダブルパンケーキコイルを示す概略縦断面図、(c)はダブルパンケーキコイルを示す要部拡大縦断面図。 そのダブルパンケーキコイルの製造工程を示す図であって、内周枠の周囲にテープ状の超電導線材を巻回し始めた状態を示す斜視図。 図6の状態から、さらに超電導線材を巻回した状態を示す部分縦断面図。 図7の状態から、超電導線材の外周に外周枠を配置した後、超電導線材の上部及び外周部にパラフィンのモールド層を形成した状態を示す部分縦断面図。 ダブルパンケーキコイルの超電導特性を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。 コイル中心からの距離とフープ応力との関係を示すグラフ。 第3実施形態における異形形状のシングルパンケーキコイルを示す概略横断面図。 (a)は上部規制枠の係合部が外周枠及び内周枠の被係合部に係合した状態を示す縦断面図、(b)は上部規制枠の係合部と外周枠及び内周枠の被係合部との異なる係合状態を示す縦断面図。 第4実施形態におけるシングルパンケーキコイルを示す分解斜視図。 シングルパンケーキコイルを示す部分縦断面図。 第4実施形態の実施例におけるダブルパンケーキコイルに通電したときの電流−電圧特性を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。 第4実施形態の実施例におけるダブルパンケーキコイルに外部磁場を印加した状態の通電試験結果を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。 第4実施形態の別の実施例におけるシングルパンケーキコイルに通電したときの電流−電圧特性を示し、コイル電流とコイル電圧との関係を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明の超電導パンケーキコイルをシングルパンケーキコイルに具体化した第1実施形態に関し、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、超電導パンケーキコイルとしてのシングルパンケーキコイル11Aにおいては、テープ状の超電導線材12が巻回されて形成されたコイル13の外周に外周枠14が配置されている。図1(c)及び図2に示すように、該外周枠14の上端部及び下端部には、外周枠14の移動を規制する上部規制枠15及び下部規制枠16が複数のボルト17により連結されている。この外周枠14と上部規制枠15及び下部規制枠16との連結は、接着等の手段であってもよい。前記コイル13の外周に外周枠14を設けることにより、コイル13が高磁場によるフープ応力(電磁応力)を受けたときに、そのコイル13の拡径を抑えるようになっている。
図2に示すように、前記テープ状の超電導線材12は、基板18上に中間層19を介して超電導層20が形成され、その超電導層20上に第1安定化層21が形成されるとともに、それらの外周部に第2安定化層22が被覆されて構成されている。前記基板18は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。中間層19は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)、酸化セリウム(CeO)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
超電導層20は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層20として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
第1安定化層21は、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層22は、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μmに形成されている。
前記外周枠14は、繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されている。繊維強化樹脂としては、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等が用いられる。絶縁被覆された金属としては、樹脂被覆されたステンレス鋼等が用いられる。前記上部規制枠15及び下部規制枠16も外周枠14と同種の材料により形成される。外周枠14に上部規制枠15及び下部規制枠16を連結することにより、外周枠14を補強してその移動を規制することができ、コイル13がフープ応力を受けたときそのコイル13の拡径を強固に制限することができる。
前記コイル13の外周部及び上部は、パラフィン、ワックス等のモールド材によるモールド層23でモールドされている。このモールド材は、シングルパンケーキコイル11Aを液体ヘリウム、液体窒素等で冷却する際に超電導線材12が損傷を受けないように保護するための低強度の材料である。すなわち、冷却時にはモールド層23が冷却による応力を受け止め、場合によっては自らが壊れることにより、超電導線材12を保護するようになっている。
前記テープ状の超電導線材12をコイル状に巻回する際には、超電導線材12は超電導層20が内周側で基板18が外周側に位置するように配置される。超電導層20を内周側に配置することにより、超電導層20の円弧が基板18の外周側の円弧に比べて小さくなることから、圧縮ひずみが大きくなり、コイル13がフープ応力を受けたときに及ぼされる引張りひずみが緩和され、フープ応力に対する抵抗性が大きくなるため好ましい。
前記外周枠14の外周部には一対の電極24a、24bが設けられている。一方の電極24aは巻回された超電導線材12の外周端に接続され、他方の電極24bは超電導線材12の内周端に図示しないリード線を介して接続されている。
次に、前記シングルパンケーキコイル11Aの製造方法について説明する。
図4(a)に示すように、まず円筒状に形成された内周枠25の外周に、テープ状の超電導線材12をその一端から所定の巻数で巻回してコイル13を形成する。続いて、図4(b)に示すように、超電導線材12のコイル13の外周に外周枠14を配置してコイル13の組立体を形成する。この場合、コイル13の外周面と外周枠14の内周面との間に若干の隙間が形成されていてもよい。この状態で、コイル13の組立体をパラフィン溶湯に浸漬し、脱気した後、冷却してモールド層23を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、内周枠25と外周枠14の下端部に下部規制枠16を宛がって複数のボルト17により下部規制枠16を内周枠25と外周枠14に締付けて固定する。続いて、図1(c)に示すように、下部規制枠16を内周枠25に固定しているボルト17を外し、内周枠25を取り出す。その後、図3に示すように、外周枠14の上端部に上部規制枠15を載せ、複数のボルト17により上部規制枠15を外周枠14に連結する。このようにして、目的とするシングルパンケーキコイル11Aを得ることができる。
このシングルパンケーキコイル11Aの製造方法により、強固に構成され、優れた超電導特性を発揮できるシングルパンケーキコイル11Aを順序良く、頑丈に製造することができる。
次に、上記構成のシングルパンケーキコイル11Aについて作用を説明する。
さて、本実施形態のシングルパンケーキコイル11Aを高磁場マグネット等として使用する場合には、コイル13に通電して発生した高磁場に基づいてコイル13の接線方向(周方向)にフープ応力(引張応力)が作用し、そのフープ応力がコイル13を拡げるように働く。このとき、コイル13の外周部には外周枠14が配置されていることから、フープ応力によってコイル13が拡径しようとしたときコイル13の外周面が外周枠14に当たり、そのフープ応力が受け止められる。
その上、外周枠14には下部規制枠16及び上部規制枠15が複数のボルト17で固定され、一体化されていることから、外周枠14の形状が頑丈に保持される。このため、コイル13にフープ応力が作用して拡径しようとする力が働いても、外周枠14がその力を十分に受け止めることができ、超電導線材12にその力が及ぶことを防止することができる。
加えて、モールド層23はエポキシ樹脂のような硬質樹脂ではなく、パラフィン等の低強度の材料であることから、フープ応力を受けたときにはそのモールド層23が容易に変形し、コイル13を形成する超電導線材12間は相対移動して超電導層20には応力が及ぶことはない。
その結果、超電導線材12の引張ひずみを限界ひずみ量(不可逆ひずみ量、0.7%程度)よりも小さくすることができ、通電特性を維持することができる。言い換えれば、シングルパンケーキコイル11Aはその形状を保持することができ、フープ応力の影響を極力回避することができ、超電導特性を発揮することができる。
以上詳述した第1実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この第1実施形態のシングルパンケーキコイル11Aにおいて、そのコイル13の外周には外周枠14が設けられている。このため、シングルパンケーキコイル11Aの使用時に発生した高磁場による電磁応力がコイル13に作用して該コイル13を拡径するように働いたとき、この応力が外周枠14に受け止められる。従って、超電導線材12に作用する電磁応力の一部は外周枠に分担して受承されて軽減され、超電導線材12の機能は電磁応力の有無に拘らず良好に発揮される。
よって、第1実施形態のシングルパンケーキコイル11Aによれば、電磁応力を受けたときに超電導線材12の変形によるひずみを抑制することができ、超電導特性を良好に維持することができるという効果を奏する。
(2)前記外周枠14は繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されている。このため、外周枠14は高い強度及び剛性を発揮することができ、フープ応力に対する十分な抵抗性を発揮することができる。
(3)前記超電導線材12は超電導層20が内周側に位置するように配置されている。従って、超電導層20が外周側に配置された場合に比べて、内周側の超電導層20にはより大きな圧縮ひずみが形成され、コイル13がフープ応力を受けたときの引張ひずみを有効に緩和することができる。
(4)前記コイル13の軸線方向の両端面には、外周枠14の移動を規制する下部規制枠16及び上部規制枠15が設けられている。そのため、両規制枠15、16により外周枠14の移動を一層効果的に規制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の超電導パンケーキコイルをダブルパンケーキコイルに具体化した第2実施形態に関し、図5〜図10に基づいて詳細に説明する。なお、この第2実施形態では、前記第1実施形態と重複する部分についてその説明を省略する。
図5(a)〜(c)に示すように、超電導パンケーキコイルとしてのダブルパンケーキコイル11Bは、超電導線材12が巻回されて形成されたコイル13が中間規制枠26を介して上下2段に積層されている。各段のコイル13の外周には外周枠14が配置されるとともに、下段の外周枠14の下面には下部規制枠16が複数のボルト17により固定され、上段の外周枠14の上面には上部規制枠15が複数のボルト17により固定されている。外周枠14と下部規制枠16及び上部規制枠15との連結は、接着等の手段であっても差し支えない。また、下段のコイル13においては、その外周部及び下部にパラフィン等のモールド材によるモールド層23が形成されるとともに、上段のコイル13においては、その外周部及び上部に同様のモールド層23が形成されている。
次に、このダブルパンケーキコイル11Bの製造方法について説明する。
図6に示すように、中間規制枠26が連結された内周枠25に対し、1本のテープ状をなす超電導線材12の中央部を中心にして上下2段に反対方向に巻き付ける。すなわち、上段のコイル13は上方から見て反時計方向に巻回し、下段のコイル13は上方から見て時計方向に巻回する。なお、中間規制枠26には図示しない貫通孔が設けられ、その貫通孔を超電導線材12が通るようになっている。また、内周枠25に対する超電導線材12の巻き付け方向は、上記とは逆方向であってもよい。
そして、図7に示すように、各段において超電導線材12を所定方向へ巻回することにより、中間規制枠26の上下両面にコイル13が形成される。続いて、図8に示すように、各段のコイル13の外周にそれぞれ外周枠14を配置してコイル13の組立体を形成する。次いで、コイル13の組立体をパラフィン溶湯に浸漬し、脱気した後、冷却して各コイル13の外周並びに上部及び下部の空間部にモールド層23を形成する。
その後、図5(c)に示すように、内周枠25を中間規制枠26から外し、その状態で外周枠14に対して下部規制枠16及び上部規制枠15を複数のボルト17により締付固定する。このようにして、ダブルパンケーキコイル11Bを得ることができる。
次に、以上のように構成されたダブルパンケーキコイル11Bの作用を説明する。
さて、第2実施形態のダブルパンケーキコイル11Bを高磁場マグネット等として用いる場合には、発生する高磁場に基づいてコイル13を拡げる方向にフープ応力が作用する。このとき、上下のコイル13の外周部にはそれぞれ外周枠14が配置されていることから、フープ応力によってコイル13が拡径しようとしたときコイル13の外周面が外周枠に当たり、そのフープ応力が受け止められる。
さらに、上段の外周枠14には中間規制枠26及び上部規制枠15が固定され、下段の外周枠14には中間規制枠26及び下部規制枠16が固定されていることから、両段の各外周枠14の形状が頑丈に保持される。そのため、各コイル13にフープ応力が作用して拡径力が働いても、各外周枠14がその拡径力を十分に受承することができ、超電導線材12にその力が及ぶことを抑制することができる。従って、ダブルパンケーキコイル11Bは、その形状を保持することができ、フープ応力の影響を極力軽減できて優れた超電導特性を維持することができる。
ここで、上記のダブルパンケーキコイル11Bに関し、超電導特性の試験を行った実施例の結果について説明する。
温度4.2K(液体ヘリウム中)、磁束密度8Tの外部磁場中で、ダブルパンケーキコイル11B(超電導線材12の長さは50m)に17A/秒の電流を総電流量が1500Aに到るまで通電を行った。このとき、ダブルパンケーキコイル11Bに電磁誘導で発生する電圧は40mV程度であった。そして、ダブルパンケーキコイル11Bに流れるコイル電流(A)とコイル電圧(mV)の変化を常法に従って測定し、その結果を図9に示した。この図9に示したように、コイル電圧にはノイズのピークが見られるほかは、限界電流を超える電圧(5mVの電圧が発生したときの電流値が限界電流)は観察されなかった。
また、ひずみゲージを用いて超電導線材12のひずみ量を測定した結果、ひずみ量は0.40〜0.55%であった。この超電導線材12のひずみ量は、超電導線材12の限界ひずみ量である0.7%を下回っていた。上記のような通電を複数回繰り返しても、超電導線材12のひずみ量は限界ひずみ量を下回っていた。
従って、このダブルパンケーキコイル11Bにおいては、超電導特性を悪化させることなく、通電を継続することができた。
このとき、ダブルパンケーキコイル11Bに加わるフープ応力(MPa)は図10に示すようになった。すなわち、ダブルパンケーキコイル11Bへの総通電量を800Aとした場合(図10の○印)、総通電量を1000Aとした場合(図10の△印)、総通電量を1300Aとした場合(図10の□印)、総通電量を1500Aとした場合(図10の◇印)について、コイル13中心からの距離(mm)とフープ応力(MPa)との関係を図10に示した。この図10に示したように、フープ応力はコイル13の中心側で最も大きく、外周側ほど次第に小さくなる傾向を示した。総通電量が最も多い1500Aである場合、コイル13の内周側で約1700MPa(1.7GPa)という最も高いフープ応力を示した。
一方、比較例として前記特許文献1に記載されているように、モールド材にエポキシ樹脂を使用してモールドした場合について検討する。
前記実施例に示したように、超電導線材12には最大1.7GPaのフープ応力が加わることから、そのとき基板18には1700N(1.7GPa×幅10mm×厚さ0.1mm)の応力が加わる。一般に、エポキシ樹脂の引張強さは35〜140MPaであることから、仮にエポキシ樹脂の引張強さが100MPaであるとしたとき、1700Nの応力を受けるためには17mmの断面積が必要になる。これは、超電導線材12の断面積である3mm(幅10mm×厚さ0.3mm)の5倍以上となる。このため、応力の半分を超電導線材12が負担するとしても、エポキシ樹脂は超電導線材12の約3倍の断面積が必要となり、現実的な超電導パンケーキコイルとして全く成立しない。
また、前記実施例に示したように、超電導線材12の1m当りに加わる径方向の応力は12000N(8T×1500A)である。この応力は1cm当り120Nである。エポキシ樹脂は超電導線材12の端面に接着されるため、その接着面の面積は3mm(超電導線材12の幅10mm×厚さ0.3mm)である。この接着面積で前記120Nの応力を受けるとすると、エポキシ樹脂の引張剪断強さが40MPa(120N/3mm)必要になる。しかしながら、一般にエポキシ樹脂の接着面の引張剪断強さは18MPa程度である。従って、エポキシ樹脂はそのような引張剪断強さに耐えることはできず、壊れるか又は剥離を生じさせることになる。
なお、モールド材としてのエポキシ樹脂が超電導線材12の外周面に接着されているときには、エポキシ樹脂と超電導線材12の接着面に前述のフープ応力(1.7GPa)が作用するため、エポキシ樹脂は簡単に壊れることになる。
(第3実施形態)
次に、本発明の超電導パンケーキコイルを具体化した第3実施形態に関し、図11及び図12に基づいて詳細に説明する。なお、この第3実施形態では、前記第1実施形態と重複する部分についてその説明を省略する。
図11に示すように、この実施形態の超電導パンケーキコイルを構成するシングルパンケーキコイル11Aは、円筒状以外の筒形状(異形形状)、すなわち平面円弧筒状に形成されている。このコイル13の外周には外周枠14が配置されるとともに、内周には内周枠25が配置されている。外周枠14はコイル13の外周面に沿うように平面円弧筒状に形成され、内周枠25はその外周面がコイル13の内周面に沿うように平面円弧筒状に形成されている。
図12(a)に示すように、前記外周枠14及び内周枠25の上端部には上部規制枠15が配置されるとともに、下端部には下部規制枠16が配置されている。上部規制枠15の外周端縁は下方へ直角に曲げ形成されて外周側係合部15aとなり、外周枠14の被係合部としての外周面14aに係合されている。また、上部規制枠15の内周端縁も下方へ直角に曲げ形成されて内周側係合部15bとなり、内周枠25の被係合部としての内周面25aに係合されている。
従って、この第3実施形態によれば、シングルパンケーキコイル11Aを加速器等として異形形状で使用する場合、そのコイル13の外周部に沿って外周枠14が設けられていることから、フープ応力によるコイル13全体の拡径やフープ応力と直交方向の応力によるコイル13の変形を効果的に抑制することができる。さらに、その外周枠14の上端部には上部規制枠15が配置され、その上部規制枠15の外端部及び内端部には外周側係合部15a及び内周側係合部15bが設けられて外周枠14及び内周枠25に係合していることから、外周枠14及び内周枠25の軸線と直交する方向(水平方向)へのコイル13の動きを一層効果的に抑制することができる。
加えて、図11に示すように、この第3実施形態のシングルパンケーキコイル11Aにおいては、コイル13が円筒状の場合には存在しないネガティブベンド部N(内側に凹んだ部分)が形成されている。このネガティブベンド部Nでは、フープ応力やその直交方向の応力によりコイル13が損傷を受けて壊れやすい。しかし、本実施形態ではネガティブベンド部Nにおいてもコイル13の外周に沿って外周枠14が配置され、かつコイル13の内周に沿って内周枠25が配置されている。従って、ネガティブベンド部Nを有するコイル13の形状維持を図ることができ、応力に対する耐性を格段に向上させることができる。
なお、前記上部規制枠15の外周側係合部15a及び内周側係合部15bと外周枠14及び内周枠25の被係合部としての外周面14a及び内周面25aを図12(b)に示すように変更してもよい。すなわち、上部規制枠15の外周端部及び内周端部には断面三角形状の突起よりなる外周側係合部15c及び内周側係合部15dが設けられている。一方、外周枠14の上端面には上部規制枠15の外周側係合部15cが係合する被係合部として三角凹状の被係合凹部14bが設けられるとともに、内周枠25の上端面には上部規制枠15の内周側係合部15dが係合する被係合部として三角凹状の被係合凹部25bが設けられている。
従って、この場合にも上部規制枠15の外周側係合部15c及び内周側係合部15dと外周枠14及び内周枠25の被係合凹部14b、25bとの係合により、外周枠14及び内周枠25の動きを有効に抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の超電導パンケーキコイルを具体化した第4実施形態に関し、図13〜図17に基づいて詳細に説明する。なお、この第4実施形態では、前記第1実施形態と重複する部分についてその説明を省略する。
図13に示すように、外周にコイル13が巻回される内周枠25と、コイル13の外周に配置される外周枠14と、コイル13の両端面に配置される上部規制枠15と、下部規制枠16とによりケース30が構成される。図14に示すように、上部規制枠15には注入口27が開口され、その注入口27からケース30内に油状物質28が注入されてコイル13に含浸されるようになっている。その後、注入口27はエポキシ樹脂等の接着剤で封止され、シングルパンケーキコイル11Aが形成される。
前記油状物質28としては、融点が−10〜−100℃の物質が好ましく、また融点ができるだけ低い物質がより好ましい。この油状物質28としては、例えば融点が−12.6℃のエチレングリコール、融点が−59.0℃のプロピレングリコール、融点が−90℃のパーフルオロポリエーテル等が用いられる。油状物質28の融点が−10℃より高いと油状物質28による熱応力の緩和作用が十分に発揮されず、その一方融点が−100℃より低いと油状物質28として適切な物質が得られない。
このような油状物質28がコイル13に含浸されることにより、冷却時に油状物質28が固化する前又は昇温時に油状物質28が液化した後には、冷却時の収縮によるコイル13の変形や超電導線材12の滑りが許容される。油状物質28を注入しない場合には、コイル13の端面の凹凸や、コイル13とケース30との隙間によって熱伝導が不十分になり、コイル13を伝導冷却するためには問題となる。一方で、強固な材料でコイル13を含浸して超電導線材12を室温で拘束した状態にすると、冷却した際に、200℃以上の温度差による熱応力が超電導線材12に作用する。油状物質28をケース30内に注入した場合には、隙間をなくして熱伝導が確保できて伝導冷却が適用できるようになり、油状物質28が固化後冷却温度までの温度差分の熱応力が超電導線材12に作用することになる。従って、コイル13に作用する応力を低減させることができる。
油状物質28が固化した後には、シングルパンケーキコイル11A又はダブルパンケーキコイル11Bは、前記第1〜第3実施形態のシングルパンケーキコイル11A又はダブルパンケーキコイル11Bとそれぞれ同様の構成になることから、電磁力に対して優れた耐性を発揮することができる。
次に、この第4実施形態の実施例を示す。
長さ50mの超電導線材12を用い、第2実施形態と同様にしてダブルパンケーキコイル11Bを作製した。超電導線材12は、ハステロイ製の基板18の幅10mm、厚さ100μm、中間層19の厚さが約500nm、超電導層20の厚さが約1μm、銀製の第1安定化層21の厚さが約15μm及び銅製の第2安定化層22の厚さが約50μmであった。さらに、第2安定化層22の外周にはエポキシ樹脂による絶縁被覆層が形成された。また、液体窒素の沸点(77K)での臨界電流は約300Aであった。
そして、この超電導線材12を内周枠25の外周に巻回してダブルパンケーキコイル11Bを作製した。このダブルパンケーキコイル11Bの外周に、0.2〜0.4mmの間隙をおいて外周枠14を配置した。ダブルパンケーキコイル11Bの内径は200mm、外径は240mmであった。なお、銅製の電極24a,24bを、ハンダにより第2安定化層22に接続した。その後、内周枠25及び外周枠14の両端面に上部規制枠15及び下部規制枠16をエポキシ樹脂接着剤で接着してケース30を作製した。
その後、直径8mmの注入口27から、油状物質28としてパーフルオロポリエーテル〔(株)ダイトクテック製、ガルデンHT55、融点−90℃〕を前記ケース30内へ注入して満たした。次いで、前記注入口27をエポキシ樹脂接着剤で封止した。
このような方法でダブルパンケーキコイル11Bを製造することにより、油状物質28をケース30内に容易に注入できるとともに、ケース30を簡単に密閉構造とすることができ、油状物質28による熱応力の緩和効果を速やかに得ることができる。
そして、得られたダブルパンケーキコイル11Bを常法により伝導冷却して、冷却試験を行った。その結果、コイル13にパラフィンを含浸した場合に比べて冷却速度は速く、ダブルパンケーキコイル11B内の温度差は3K以内であった。ケース30内のパーフルオロポリエーテルは−90℃で固化するが、コイル13に外観上の変化は見られなかった。−100℃より低温では、冷却槽を真空にし、断熱性を高めて伝導冷却を継続した。そして、77K、外部磁場のない条件で、ダブルパンケーキコイル11Bに通電したときの電流−電圧特性を測定し、その結果を図15に示した。この図15に示したように、超電導線材12の特性として良好な結果であった。
続いて、ダブルパンケーキコイル11Bを20Kに冷却し、8Tの外部磁場をかけた状態で通電試験(フープ力試験)を行った。その結果を図16に示した。この図16に示したように、1000Aの電流を流しても超電導特性が維持され、異常な電圧が発生することはなかった。電磁力の計算によれば、このときダブルパンケーキコイル11Bには最大で約1GPa程度の応力が加わることになるが、そのような応力下でも良好な超電導特性を維持することができた。なお、この通電を複数回繰返しても超電導特性を発揮することができた。
このフープ力試験終了後、再度77Kで前記と同様の通電試験を行ったが、特性低下は認められなかった。
次に、長さ20mの前記超電導線材12を用い、前記第1実施形態と同様にして内径125mm、外径185mmのシングルパンケーキコイル11Aを作製した。超電導線材12の仕様、コイル13の構成は第4実施形態の前記実施例と同様であるが、油状物質28としてエチレングリコールを使用した。続いて、シングルパンケーキコイル11Aを伝導冷却により冷却した。伝導冷却に際し、シングルパンケーキコイル11A内の温度差は2K以内であって、パラフィンに比較してシングルパンケーキコイル11Aの温度低下は速かった。これは、シングルパンケーキコイル11A内に熱伝導特性の良い油状物質28としてエチレングリコールが注入されているためと考えられる。
−12℃程度でエチレングリコールが固化した後、冷却槽を真空にして断熱性を高め、伝導冷却を継続した。このとき、シングルパンケーキコイル11Aに外観上の変化は認められなかった。
そして、77K、外部磁場なしでシングルパンケーキコイル11Aに通電したときの電流−電圧特性を求め、図17に示した。この図17に示したように、シングルパンケーキコイル11Aは、超電導線材12の特性により得られる良好な通電特性を発揮することができた。また、シングルパンケーキコイル11Aを室温に戻した後、再度冷却し、通電試験を行ったが、劣化は認められず、超電導特性が維持された。
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記両実施形態において、上部規制枠15及び下部規制枠16の双方を省略したり、上部規制枠15及び下部規制枠16の少なくとも一方を省略したりしてもよい。このように構成した場合、シングルパンケーキコイル11Aやダブルパンケーキコイル11Bの構成を簡単にでき、それらの製造を容易に行うことができる。
・ 前記外周枠14の内周には図示しない補助枠を配置し、該補助枠に電極24a、24bを設けるように構成してもよい。
・ 前記内周枠25を取り外すことなく、そのまま残してシングルパンケーキコイル11Aやダブルパンケーキコイル11Bを構成してもよい。
・ 前記外周枠14の強度を高める補強構造として、外周枠14の外周面に剛性の高いカーボン繊維、金属テープ等を巻き付けるように構成してもよい。また、外周枠14の外周面に突条を設けたり、外周枠14の一部の肉厚を厚く形成したりするように構成してもよい。
・ 前記モールド層23を形成するモールド材が硬く、フープ応力を受けて壊れたとき超電導線材12に引張応力を及ぼすおそれがある場合には、超電導線材12の外周面にシリコーンオイル等の離型剤を予め塗布してもよい。
・ 前記第2実施形態において、内周枠25及び外周枠14の少なくとも一方を、上段と下段で一体となるように構成してもよい。その場合、中間規制枠26は内周枠25又は外周枠14の分だけ幅狭に形成される。
・ 前記第3実施形態において、下部規制枠16を固定するボルト17を省略し、下部規制枠16にも外周側係合部15a及び内周側係合部15bと同様の係合部を設け、外周枠14及び内周枠25の下端部の被係合部としての外周面14a及び内周面25aに係合可能に構成してもよい。この場合には、簡易な構成で、外周枠14及び内周枠25の動きをそれらの上下両端で規制することができる。
・ 前記第3実施形態において、内周枠25を中実体で構成してもよい。この場合、上部規制枠15の内周側係合部15bを省略し、外周側係合部15aが外周枠14の周囲を取り囲むように構成する。
・ 前記第3実施形態において、上部規制枠15の外周側係合部15c及び内周側係合部15dを凹部で構成し、外周枠14の被係合凹部14b及び内周枠25の被係合凹部25bを凸部で構成するように変更してもよい。
・ 前記第3実施形態における上部規制枠15の外周側係合部15c及び内周側係合部15dの形状を、断面四角形状、断面U字形状、断面円弧形状等の凸形状に変更し、外周枠14及び内周枠25の被係合凹部14b、25bの形状を前記各凸形状に対応するように凹形状に変更してもよい。
・ 前記第3実施形態における異形形状のシングルパンケーキコイル11Aのコイル形状を、その用途に応じて平面楕円筒状、平面山型筒状等に変更してもよい。
・ 前記第3実施形態のシングルパンケーキコイル11Aをダブルパンケーキコイル11Bに変更して実施してもよい。
・ 前記第4実施形態において、上部規制枠15を省略し、外周枠14、内周枠25及び下部規制枠16でケース30を構成してもよい。
・ 前記第4実施形態において、注入口27を複数箇所に設けたり、注入口27の大きさを変更したり、注入口27の形状を平面楕円形状、平面角型形状、異形形状等に変更したりしてもよい。
11A…シングルパンケーキコイル、11B…ダブルパンケーキコイル、12…超電導線材、13…コイル、14…外周枠、14a…被係合部としての外周面、15…上部規制枠、15a…外周側係合部、16…下部規制枠、18…基板、19…中間層、20…超電導層、24a、24b…電極、25…内周枠、27…注入口、28…油状物質、30…ケース。

Claims (13)

  1. 基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を巻回してコイルを形成した超電導パンケーキコイルであって、
    前記コイルの外周には、該コイルの拡径を抑えるための外周枠を設けたことを特徴とする超電導パンケーキコイル。
  2. 前記外周枠は繊維強化樹脂又は絶縁被覆が施された金属により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導パンケーキコイル。
  3. 前記超電導線材は超電導層が内周側に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超電導パンケーキコイル。
  4. 前記コイルの軸線方向の少なくとも一方の端面には、外周枠の移動を規制する規制枠を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超電導パンケーキコイル。
  5. 前記コイルはダブルパンケーキコイルであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導パンケーキコイル。
  6. 前記超電導線材はその1本が中心側からダブルパンケーキコイルの各段に反対方向に巻回され、超電導線材の端部が各段の外周部に位置し、超電導線材の両端部に電極が接続されていることを特徴とする請求項5に記載の超電導パンケーキコイル。
  7. 前記コイルは円筒状以外の筒形状を有し、外周枠はそのコイルの外周に沿って形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の超電導パンケーキコイル。
  8. 前記規制枠には、外周枠の被係合部に係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の超電導パンケーキコイル。
  9. 前記コイルの内周には、コイルの形状を保持する内周枠を設けたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の超電導パンケーキコイル。
  10. 前記コイルの少なくとも一方の端面に規制枠を設け、前記外周枠、内周枠及び規制枠によりケースを構成し、該ケース内には室温で液体であり、融点が−10〜−100℃である油状物質が注入されていることを特徴とする請求項9に記載の超電導パンケーキコイル。
  11. 前記コイルの両端面に対して規制枠が接着剤により接合されていることを特徴とする請求項10に記載の超電導パンケーキコイル。
  12. 基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を内周枠の外周に巻回して形成したコイルの外周に外周枠を配置した後、コイルの少なくとも一方の端面に規制枠を配置して内周枠及び外周枠に接合することを特徴とする超電導パンケーキコイルの製造方法。
  13. 基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を内周枠の外周に巻回して形成したコイルの外周に外周枠を配置し、コイルの一端面に規制枠を配置して前記外周枠及び内周枠に接合し、コイルの他端面に、注入口を有する規制枠を配置して外周枠及び内周枠に接合してケースを構成した後、前記注入口から室温で液体であり、融点が−10〜−100℃である油状物質をケース内に注入し、その後注入口を塞ぐことを特徴とする超電導パンケーキコイルの製造方法。
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