JP2014014555A - 電子血圧計および血圧測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う場合に、被測定者の属性によらず、フィードバック制御の制御ゲインを適切に設定すること。
【解決手段】カフの圧力を変化させて、動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する(S4)。その後、フィードバック制御を行って、動脈容積信号が制御目標値と一致するように、カフの圧力を制御する(S6)。振幅最大時点を含む期間の動脈容積変化信号と、フィードバック制御の制御ゲイン調整中のカフ圧信号との間の相互相関関数を算出する(S7)。相互相関関数が閾値以上になった時点の制御ゲインを、最適な制御ゲインとして決定する(S10)。
【選択図】図2
【解決手段】カフの圧力を変化させて、動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する(S4)。その後、フィードバック制御を行って、動脈容積信号が制御目標値と一致するように、カフの圧力を制御する(S6)。振幅最大時点を含む期間の動脈容積変化信号と、フィードバック制御の制御ゲイン調整中のカフ圧信号との間の相互相関関数を算出する(S7)。相互相関関数が閾値以上になった時点の制御ゲインを、最適な制御ゲインとして決定する(S10)。
【選択図】図2
Description
この発明は電子血圧計および血圧測定方法に関し、より詳しくは、容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う電子血圧計および血圧測定方法に関する。
例えば特許文献1(特公平1−31370号公報)には、容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う血圧測定方法が開示されている。この血圧測定方法では、心臓の拍動により変化する動脈の容積信号(これを「PGdc」とする。)を、光電センサなどの動脈容積センサにより検出する。そして、その容積信号PGdcが、予め検出された動脈内圧(血圧)と被測定部位に巻きつけられたカフの内圧(カフ圧)とが平衡する圧力での動脈容積(これを「制御目標値V0」とする。)と常に一致するようにカフ圧を制御する。この制御中のカフ圧は常に血圧と平衡することになるため、この制御されているカフ圧を検出することで連続的に1心拍ごとの血圧を測定することが可能となる。
上記カフ圧を制御するために、通常、フィードバック制御の一種であるPID(比例・積分・微分)制御が用いられている。この場合、制御目標値V0と容積信号PGdcとの差が最小になるようにPID制御の制御ゲインを調整する。
従来は、例えば非特許文献1(K.Yamakoshi et. al., Indirect Measurement of Instantaneous Arterial Blood Pressure in the Human Finger by the Vascular Unloding Technique, IEEE Trans. Bio-Med. Eng., BME-27(3), p150-155, 1980)に開示されているように、制御ゲインの最適値を動脈容積の変化信号(これを「PGac」とする。)によって決定していた。具体的には、まず、制御目標値V0を決定した時点の動脈容積変化信号PGacの振幅(これを「PGac_V0」とする。)を記憶しておく。次に、PID制御の制御ゲインを調整しながら、その時点での動脈容積変化信号PGacと前記PGac_V0とを比較し、その比率が所定割合以下となった時点を最適制御ゲインとする。
山越憲一(K.Yamakoshi)ら著,「血管に負荷をかけずに人間の指の瞬時動脈血圧を間接的に測定する方法(Indirect Measurement of Instantaneous Arterial Blood Pressure in the Human Finger by the Vascular Unloding Technique)」,(米国),アイ・イー・イー・イー トランザクションズ・バイオメディカル・エンジニアリング(IEEE Trans. Bio-Med. Eng.),1980年3月発行,BME−27巻,第3号,P150−155
これまで、PID制御の制御ゲインを調整する際に、動脈容積変化信号PGacと前記PGac_V0との比率が30%以下の割合になれば、算出される血圧値の誤差が最小になるとされてきた。
しかしながら、被測定者個人個人の動脈の弾性、血液の粘性、動脈の周囲組織、被測定部位の周囲長、脈圧などの属性により、被測定者によっては前記割合が30%以下にならない人もいる。これらの人に対し、前記割合が30%以下になるまで制御ゲインを調整すると、制御ゲインが過大となり、制御発振が発生するという問題が生ずる。
そこで、この発明の課題は、容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う場合に、被測定者の属性によらず、フィードバック制御の制御ゲインを適切に設定できる電子血圧計および血圧測定方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の電子血圧計は、
容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う電子血圧計であって、
被測定部位に装着されるカフと、
上記カフの圧力を調節するための圧力調節部と、
上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力する圧力検出部と、
上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力する動脈容積検出部と、
上記圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する第1制御部と、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する第2制御部とを備え、
上記第2制御部は、上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする。
容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う電子血圧計であって、
被測定部位に装着されるカフと、
上記カフの圧力を調節するための圧力調節部と、
上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力する圧力検出部と、
上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力する動脈容積検出部と、
上記圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する第1制御部と、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する第2制御部とを備え、
上記第2制御部は、上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする。
本明細書で、「被測定部位」とは、手首や上腕など、身体の動脈が通っている部位であれば良い。
また、上記フィードバック制御の「制御ゲイン」とは、上記動脈容積信号の変化成分を抑制して上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記動脈容積信号の変化成分に基づいて上記カフの圧力(すなわち上記カフ圧信号)を制御するための制御ゲインを意味する。上記フィードバック制御としては、例えばPID制御、すなわち、比例制御(Proportional Control)と積分制御(Integral Control)と微分制御(Derivative Control)とを組み合わせて、制御対象を制御目標値に収束させる制御が挙げられる。
この発明の電子血圧計では、第1制御部が、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させる。上記動脈の内圧と上記カフの圧力とが平衡したとき、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になる。第1制御部は、この振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する。上記制御目標値が決定された後、第2制御部が、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する。上記第2制御部は、上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定する。したがって、被測定者の属性(個人個人の動脈の弾性、血液の粘性、動脈の周囲組織、被測定部位の周囲長、脈圧など)によらず、適切な制御ゲインを決定することができる。この結果、上記動脈の内圧と上記カフの圧力とが常に一致した状況で、上記圧力検出部が出力するカフ圧信号に基づいて、連続的に1心拍ごとの血圧を精度良く測定することができる。
一実施形態の電子血圧計では、上記第2制御部は、上記相互相関関数がピークを示した時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする。
なお、上記相互相関関数の「ピーク」は、1心拍ごとに生ずる。
この一実施形態の電子血圧計では、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインを、さらに適切に決定することができる。
一実施形態の電子血圧計では、上記第2制御部は、上記相互相関関数が上記閾値以上であるピークを少なくとも2拍以上について継続的に示した時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする。
この一実施形態の電子血圧計では、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインを、さらに適切に決定することができる。
一実施形態の電子血圧計では、上記第2制御部は、上記相互相関関数を少なくとも1心拍分の期間にわたって算出することを特徴とする。
この一実施形態の電子血圧計では、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインを、さらに適切に決定することができる。
一実施形態の電子血圧計では、上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の電子血圧計では、上記第2制御部は、上記記憶部に記憶された上記動脈容積変化信号を用いて、上記相互相関関数を容易に算出することができる。このことは、少なくとも1心拍分の期間にわたって上記相互相関関数を算出する場合に、特に有利である。
また、本発明の血圧測定方法は、
容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う血圧測定方法であって、
被測定部位にカフを装着し、
圧力検出部によって上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力させるとともに、
動脈容積検出部によって上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力させながら、
圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定し、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する血圧測定方法において、
上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする血圧測定方法。
容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う血圧測定方法であって、
被測定部位にカフを装着し、
圧力検出部によって上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力させるとともに、
動脈容積検出部によって上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力させながら、
圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定し、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する血圧測定方法において、
上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする血圧測定方法。
この血圧測定方法によれば、被測定者の属性(個人個人の動脈の弾性、血液の粘性、動脈の周囲組織、被測定部位の周囲長、脈圧など)によらず、適切な制御ゲインを決定することができる。この結果、上記動脈の内圧と上記カフの圧力とが脈拍にかかわらず一致した状況で、上記圧力検出部が出力するカフ圧信号に基づいて、連続的に1心拍ごとの血圧を精度良く測定することができる。
以上より明らかなように、この発明の電子血圧計および血圧測定方法によれば、容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う場合に、被測定者の属性によらず、フィードバック制御の制御ゲインを適切に設定できる。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、一実施形態の電子血圧計(以下、適宜、単に「血圧計」という。)のブロック構成を示している。
この血圧計は、被測定部位に装着されるカフ20と、このカフ20に内包された空気袋21にエアチューブ31を介して接続された圧力検出部30および圧力調整部50と、動脈容積検出部70と、この血圧計全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)100と、表示部40と、第1メモリ42および第2メモリ43と、操作部41と、電源44と、時計45とを備えている。
カフ20が被測定部位に装着された状態で、空気袋21は被測定部位を圧迫するために用いられる。なお、カフ20には空気袋21が含まれ、流体として空気が供給されることとしたが、カフ20に供給される流体は空気に限定されるものではなく、例えば液体やゲルであってもよい。
圧力検出部30は、カフ20の圧力、より正確には空気袋21内の圧力を検出するための圧力センサ32と、発振回路33とを含んでいる。圧力センサ32は、この例では静電容量形の圧力センサであり、カフ圧に応じて容量値が変化する。発振回路33は、圧力センサ32の容量値に応じた発振周波数の信号をCPU100に出力する。CPU100は、発振回路33から得られる信号を圧力に変換して、カフ圧を表すカフ圧信号Pcとして取得する(以下では、適宜「カフ圧Pc」という。)。
圧力調整部50は、空気袋21に空気を供給するためのポンプ51と、CPU100から与えられる制御信号に基づいてポンプ51の駆動を制御するポンプ駆動回路53と、空気袋21の空気を排出しまたは封入するために開閉される弁52と、CPU100から与えられる制御信号に基づいて弁52の開閉を制御する弁駆動回路54とを含んでいる。
動脈容積検出部70は、カフ20内の空気袋21の内側に所定の間隔に配置された光電センサとしての発光素子71および受光素子72と、発光素子駆動回路73と、動脈容積検出回路74とを含んでいる。発光素子駆動回路73は、CPU100からの指令信号に応じて発光素子71を所定のタイミングで発光させる。発光素子71は、被測定部位を通る動脈に対して光を照射する。受光素子72は、被測定部位の動脈を透過し又は動脈によって反射された光、すなわち動脈の容積を反映した光を受光する。動脈容積検出回路74は、受光素子72からの出力を電圧値に変換して、動脈の容積を表す動脈容積信号PGdcとして取得する(フォトプレチスモグラフィ法)。
なお、動脈容積検出部70は、動脈の容積が検出できるものであればよく、例えばインピーダンスプレチスモグラフィ法により、インピーダンスセンサを用いて動脈の容積を検出するものであってもよい。その場合、発光素子71および受光素子72に代えて、動脈を含む部位のインピーダンスを検出するための複数の電極(被測定部位に電圧を印加する電極対、被測定部位に流れる電流を検出する電極対)が用いられる。
表示部40は、例えば液晶ディスプレィまたはEL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレィ等により構成され、CPU100から受けた信号に応じて、血圧値、血圧波形、脈拍数などの血圧に関する情報を表示する。
第1メモリ42は、CPU100に後述の血圧測定処理の制御を行わせるプログラムや、制御のための各種データを記憶する。
第2メモリ43は、測定された血圧に関する情報を記憶する。
操作部41は、電源をオンまたはオフするための指示の入力を受付ける電源スイッチ41Aと、測定開始の指示を受付けるための測定スイッチ41Bと、測定停止の指示を受付けるための停止スイッチ41Cと、第2メモリ43に記録された血圧に関する情報を読み出す指示を受付けるための記録呼出スイッチ41Dとを含んでいる。
電源44は、電源スイッチ41Aに対する操作に応じて、この血圧計の各部(CPU100を含む)に電力を供給し又は供給を停止する。
時計45は、計時動作を行い、CPU100の動作のための基準クロックとして働く。
図2は、この血圧計による血圧測定処理のフローを示している。この血圧計は、容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う。
具体的には、まず、ユーザが電源スイッチ(SW)41Aを押す(ステップS1)。すると、CPU100が、血圧計の初期化として、CPU100の処理用メモリ領域を初期化する。また、圧力調整部50によってカフ20(の空気袋21)内の空気を排気し、この時点の圧力検出部30の出力(カフ圧信号Pc)を0mmHgとする補正を行う(ステップS2)。
次に、ユーザが測定スイッチを押す(ステップS3)。すると、CPU100が、容積補償法における動脈容積についての制御目標値V0、制御初期カフ圧PC_V0を決定するとともに、制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)を取得する(ステップS4)。
ここで、動脈容積についての制御目標値V0について、動脈の力学特性を示す図4を用いて説明する。図4の横軸は、動脈の内外圧差Ptr、縦軸は動脈容積Vを表している。動脈の内外圧差Ptrは、動脈内圧Paとカフ圧(カフ圧信号で表される)Pcとの差に相当する。
この図4に示されるように、動脈の力学特性では、動脈内外圧差Ptrが0(平衡状態)のとき、動脈のコンプライアンスが最大となり、脈圧変動による動脈容積変化量ΔVが最大となる。そこで、容積補償法では、カフ圧Pcを徐々に加圧していく過程で動脈容積変化信号PGacの振幅が最大となる点を求め、動脈容積変化信号PGacの振幅が最大となった時点(振幅最大時点)での動脈容積信号PGdcの値(直流成分を指す。)を動脈容積についての制御目標値V0として決定する。
具体的には、CPU100が第1制御部として働いて、図5に示すフローに従って動脈容積についての制御目標値V0を次のようにして決定する。
まず、CPU100は、第1メモリ42内に確保されている、暫定的な動脈容積信号(これをPGdc_tempとする。)を格納すべきメモリ領域M1、暫定的な動脈容積変化信号最大値(これをPGac_tempとする。)を格納すべきメモリ領域M2、暫定的な制御初期カフ圧値(これをPc_tempとする。)を格納すべきメモリ領域M3を、それぞれ初期化する(ステップS101)。
次に、弁52を閉じ(ステップS102)、ポンプ51によりカフ圧Pcを徐々に加圧していく(ステップS103)。このカフ圧Pcを加圧していく途中で、動脈容積検出部70によって、被測定部位の動脈の容積を表す動脈容積信号PGdc、および、動脈容積信号PGdcの脈波による変化成分である動脈容積変化信号PGacを検出する(ステップS104)。
なお、図3の上段にカフ圧Pcの時間による変化を示し、図3の中段にカフ圧Pcに応じて変化する動脈容積信号PGdcを示し、また、図3の下段に動脈容積変化信号PGacを示している。最初の時間0〜0.2[min]の段階では、カフ圧Pcは上昇し、動脈容積信号PGdcは低下し、動脈容積変化信号PGacは増加する。
次に、図5中のステップS105に示すように、検出した動脈容積変化信号PGacの振幅と動脈容積変化信号最大値PGac_tempを比較する。ここで、動脈容積変化信号PGacの振幅が動脈容積変化信号最大値PGac_tempよりも大きい場合(ステップS105でYES)、その時点での動脈容積変化信号PGacの振幅を用いてメモリ領域M2に格納された動脈容積変化信号最大値PGac_tempを更新する(ステップS106)。これとともに、その時点での動脈容積信号PGdcの値を用いてメモリ領域M1に格納された動脈容積信号PGdc_tempを更新し、また、その時点でのカフ圧Pcを用いてメモリ領域M3に格納された制御初期カフ圧値Pc_tempを更新する。
図3の例では、最初の時間0〜0.2[min]の段階では、動脈容積信号PGdc_temp、動脈容積変化信号最大値PGac_tempおよび制御初期カフ圧Pc_tempは、暫定的な値である。この図3の例では、動脈容積変化信号PGacの振幅は、加圧開始から約0.2[min]経過した時点(振幅最大時点)で最大値を示し、この最大値がPGac_Maxとしてメモリ領域M2に保持される。また、その振幅最大時点での動脈容積信号PGdc_tempの値がメモリ領域M1に保持され、その振幅最大時点での制御初期カフ圧値Pc_tempがメモリ領域M3に保持される。
上記振幅最大時点を過ぎると、動脈容積変化信号PGacの振幅が動脈容積変化信号最大値PGac_tempよりも小さくなるので(図5中のステップS105でNO)、メモリ領域M1,M2,M3の内容が更新されることはない。
次に、図5中のステップS107に示すように、カフ圧が所定圧(これをPc_Aとする。)に達したか否かを判断する。ここで、カフ圧が所定圧Pc_Aに達していなければ(ステップS107でNO)、ステップS103からステップS106までの処理を繰り返す。この所定圧Pc_Aとしては、被測定者の収縮期血圧より十分に高い圧力を用いる。例えばPc_Aとして、180mmHgなどの固定値を用いても良いし、前記加圧中に算出される収縮期血圧に30mmHgを加えた値を用いても良い。なお、加圧中に収縮期血圧を決定するには、例えば動脈容積変化信号PGacが消失する点を収縮期血圧として決定すれば良い。
カフ圧が所定圧Pc_Aに達したとき(ステップS107ででYES)、その時点でメモリ領域M1に保持されている動脈容積信号PGdc_tempの値を動脈容積についての制御目標値V0として決定し、その時点でメモリ領域M3に保持されている制御初期カフ圧値Pc_tempを制御初期カフ圧PC_V0として決定し、また、動脈容積変化信号PGacの振幅が最大値PGac_Maxを示した時点での1心拍分の動脈容積変化信号PGacを制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)として決定する(ステップS108)。
ここで、第2メモリ43は、記憶部として働いて、上記振幅最大時点を含む期間(この例では1心拍分の期間)の動脈容積変化信号PGac(これを特に、PGac_V0(t)と表す。)を記憶している。
このようにして動脈容積についての制御目標値V0、制御初期カフ圧PC_V0、制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)が決定された後、図2中のステップS5へ進む。
図2中のステップS5以降では、CPU100が第2制御部として働いて、次のような処理を行う。
まず、ポンプ駆動回路53がポンプ51に印加する電圧を一定にし、弁52の開き度合いを調整して、カフ圧Pcを制御初期カフ圧PC_V0に設定する(ステップS5)。図3の例では、加圧開始から約0.4[min]経過した時点でカフ圧Pcが制御初期カフ圧PC_V0に設定されている。
次に、図2中のステップS6で、CPU100がフィードバック制御としてのPID制御を行って、動脈容積変化信号PGacを抑制して動脈容積信号PGdcが動脈容積についての制御目標値V0と一致するように、圧力調節部50によってカフ圧Pcを制御する。
次に、カフ圧(カフ圧信号)Pcと制御目標値V0との間の一致度を算出する(ステップS7)。
この一致度としては、第2メモリ43に記憶されている制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)と、現在、すなわちPID制御の制御ゲイン調整中に、圧力検出部30が出力するカフ圧信号(これを特に、Pc_PID(n)と表す。)との間の相互相関関数r(n)を用いる。この相互相関関数r(n)は、
r(n)=ΣPGac_V0(t)×Pc_PID(n+t) …(1)
と表される。ここで、tは上記制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)が記録されたときの時刻を表し、nは現在経過する時刻を表す。この例では、相互相関関数r(n)は、1心拍分の期間について算出される。
r(n)=ΣPGac_V0(t)×Pc_PID(n+t) …(1)
と表される。ここで、tは上記制御ゲイン判定用動脈容積変化信号PGac_V0(t)が記録されたときの時刻を表し、nは現在経過する時刻を表す。この例では、相互相関関数r(n)は、1心拍分の期間について算出される。
次に、PID制御の制御ゲインが最適かどうかを判断するために、カフ圧Pcと制御目標値V0との間の相互相関関数r(n)が閾値(αとする。)以上であるか否かを判断する(ステップS8)。この例では、閾値α=0.9とする。この閾値αは予め実験等で決定される値である。なお、PID制御の制御ゲインの初期値は、設定可能な最小値であるものとする。
ここで、相互相関関数r(n)が閾値α未満であると判断された場合は(ステップS8でNO)、PID制御ゲインを所定単位だけ大きくして更新する(ステップS9)。一方、相互相関関数r(n)が閾値α以上であると判断された場合は(ステップS8でYES)、PID制御の制御ゲインの更新を停止し、その時点でのカフ圧信号Pcを血圧として決定する(ステップS10)。
これらの処理(ステップS6〜S10)を、血圧測定停止の指示が入力(停止信号ON)されるまで継続する(ステップS11でNO)。血圧測定停止の指示は、例えば操作部41の停止スイッチ41Cによる入力としても良いし、時計45によって血圧測定開始からの経過時間を計測し、所定時間(例えば3分など)が経過した時点で停止することとしても良い。
血圧測定停止の指示が入力された場合(ステップS11でYES)、ポンプ51を停止し、弁52を開放し(ステップS12)、血圧測定を終了する。
図6は、上段にPID制御を開始した時点からの制御ゲイン調整中のカフ圧Pc_PID(n)を示し、下段に上記(1)により算出された相互相関関数r(n)を示している。相互相関関数r(n)のピークは1心拍ごとに生じている。
この図6の例では、PID制御を開始してから約36秒経過した時点Dで、相互相関関数r(n)のピークが、図中に破線で表された閾値α以上になっている。そこで、CPU100は、その時点Dの制御ゲインを、PID制御に用いるべき最適な制御ゲインとして決定する。
このように、この血圧計では、相互相関関数r(n)が閾値α以上になった時点の制御ゲインを、PID制御に用いるべき最適な制御ゲインとして決定する。したがって、被測定者の属性(個人個人の動脈の弾性、血液の粘性、動脈の周囲組織、被測定部位の周囲長、脈圧など)によらず、適切な制御ゲインを決定することができる。この結果、被測定部位の動脈の内圧とカフ圧とが常に(脈拍にかかわらず)一致した状況で、圧力検出部30が出力するカフ圧信号Pc_PID(n)に基づいて、連続的に1心拍ごとの血圧を精度良く測定することができる。
なお、図6の例では、説明の便宜のために、一致度r(n)が閾値α以上になった時点D以降も制御ゲインの更新を停止していない。この場合、一致度r(n)が閾値α以上になった時点D以降は、カフ圧に制御発振が見られる。したがって、一致度r(n)が閾値α以上になった時点Dで制御ゲインの更新を停止することで、制御発振を発生させないことが可能となる。
上の例では、相互相関関数r(n)のピーク値が閾値α以上となった時点で、直ちにその時点の制御ゲインを最適値であるとしたが、これに限られるものではない。例えば、相関関数r(n)のピーク値が閾値α以上となってから連続して数拍(例えば5拍)が閾値α以上となった時点で、その時点の制御ゲインを最適値であるとしても良い。これにより、PID制御の制御ゲインを、さらに適切に決定することができる。
また、相互相関関数r(n)のピーク値が閾値α以上になってから数拍分(例えば5拍分)の内、最大のピーク値をとる拍についての制御ゲインを最適値であるとしても良い。
また、上の例では、相互相関関数r(n)は1心拍分の期間について算出されたが、これに限られるものではない。第2メモリ43に、上記振幅最大時点を含む数拍分(例えば5拍分)の期間の動脈容積変化信号PGac_V0(t)を記憶させておき、相互相関関数r(n)を数拍分の期間について算出しても良い。これにより、PID制御の制御ゲインを、さらに適切に決定することができる。
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。
20 カフ
30 圧力検出部
50 圧力調節部
70 動脈容積検出部
100 CPU
30 圧力検出部
50 圧力調節部
70 動脈容積検出部
100 CPU
Claims (6)
- 容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う電子血圧計であって、
被測定部位に装着されるカフと、
上記カフの圧力を調節するための圧力調節部と、
上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力する圧力検出部と、
上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力する動脈容積検出部と、
上記圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定する第1制御部と、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する第2制御部とを備え、
上記第2制御部は、上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする電子血圧計。 - 請求項1に記載の電子血圧計において、
上記第2制御部は、上記相互相関関数がピークを示した時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする電子血圧計。 - 請求項1または2に記載の電子血圧計において、
上記第2制御部は、上記相互相関関数が上記閾値以上であるピークを少なくとも2拍以上について継続的に示した時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする電子血圧計。 - 請求項1から3までのいずれか一つに記載の電子血圧計において、
上記第2制御部は、上記相互相関関数を少なくとも1心拍分の期間にわたって算出することを特徴とする電子血圧計。 - 請求項1から4までのいずれか一つに記載の電子血圧計において、
上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする電子血圧計。 - 容積補償法により非観血的に1心拍ごとの血圧測定を行う血圧測定方法であって、
被測定部位にカフを装着し、
圧力検出部によって上記カフの圧力を検出してカフ圧信号として出力させるとともに、
動脈容積検出部によって上記被測定部位の動脈の容積を検出して動脈容積信号として出力させながら、
圧力調節部によって上記カフの圧力を変化させて、上記動脈容積信号の脈波による変化成分を表す動脈容積変化信号の振幅が最大になった振幅最大時点の上記動脈容積信号の直流成分を、動脈容積についての制御目標値として決定し、
上記制御目標値が決定された後、フィードバック制御を行って、上記動脈容積信号が上記制御目標値と一致するように、上記圧力調節部によって上記カフの圧力を制御する血圧測定方法において、
上記振幅最大時点を含む期間の上記動脈容積変化信号と、上記フィードバック制御の制御ゲイン調整中に上記圧力検出部が出力するカフ圧信号との間の相互相関関数を算出し、上記相互相関関数が予め設定された閾値以上になった時点の制御ゲインを、上記フィードバック制御のために用いるべき制御ゲインとして決定することを特徴とする血圧測定方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2012154802A JP2014014555A (ja) | 2012-07-10 | 2012-07-10 | 電子血圧計および血圧測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2012154802A JP2014014555A (ja) | 2012-07-10 | 2012-07-10 | 電子血圧計および血圧測定方法 |
Publications (1)
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| JP2014014555A true JP2014014555A (ja) | 2014-01-30 |
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ID=50109814
Family Applications (1)
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| JP2012154802A Pending JP2014014555A (ja) | 2012-07-10 | 2012-07-10 | 電子血圧計および血圧測定方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2014014555A (ja) |
-
2012
- 2012-07-10 JP JP2012154802A patent/JP2014014555A/ja active Pending
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