JP2014016207A - 電流計測装置 - Google Patents

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東方 王
Kohei Isagawa
晃平 伊佐川
Yasuhiro Suzuki
靖弘 鈴木
Yosuke Suwa
陽祐 諏訪
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Abstract

【課題】本発明の目的は、直流電流を計測できる電流計測装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る電流計測装置は、ハウジングと、ハウジングに被計測電流を流すための電線を固定するための固定部材と、電線に対向するように配置された永久磁石と、永久磁石が一端側に固定され、他端側が支持部材によりハウジングに固定され、永久磁石に作用する力により変形するカンチレバーと、カンチレバーに固定され、カンチレバーの変形に基づいて変形することによって電圧を発生する計測用PZTプレート部と、ハウジングの内部に交流電圧を出力する駆動回路と、カンチレバーに固定され、駆動回路から交流電圧を受けて振動する駆動用PZTプレート部と、を備え、電線を流れる被測定電流から永久磁石が受ける力により、カンチレバーおよびPZTプレート部が変形し、計測用PZTプレート部が発生した電圧に基づいて被測定電流を計測することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子を用いた直流の電流計測装置に関する。
圧電素子を用いた電流計測装置の一例として、無給電で、かつ電流線に非接触な圧電素子型のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサを用いた交流電流の計測装置が提案されている(例えば非特許文献1)。この計測装置は、中心部に圧電層物質が備えられ、一端に永久磁石が備えられ、他端が支持体により固定されているカンチレバーと、カンチレバーを支える基板部とから構成される。
カンチレバーは電線に対向するように設置されており、電線に電流が流れることによって発生する磁場により、カンチレバー上の永久磁石に吸引あるいは反発する力が発生し、この力によりカンチレバーが変形する。上記磁石に作用する力の大きさは上記電線を流れる電流の関数となり、この力に基づいて変形するカンチレバーの変形量は上記電線を流れる電流の関数となる。上記カンチレバーの変形に基づき、上記カンチレバーに固定された圧電物質層が変形し、圧電効果により、電圧が発生する。上記圧電物質層が発生する電圧が上記電線を流れる電流の関数となるので、上記電圧を測定することによる、電流を計測することができる。
Advances in Science and Technology (2008),vol.54, Pages: 350-355
圧電素子を用いた電流計測装置の一例として、非特許文献1に開示された電流計測装置を説明した。非特許文献1に開示されている圧電素子型の電流計測装置では、電線を流れる計測対象電流が発生する磁束と計測装置のカンチレバーに設けられた永久磁石との間で発生する力の強さに基づいて、電線を流れる計測対象電流の値を計測する。交流電流の場合には、電流の向きが常に変わるため、電線から発生する磁場によりカンチレバー上の永久磁石に吸引と反発する力が交互に発生し、この力によりカンチレバーが変形する。このカンチレバーの変形により、交流電圧が出力される。
しかし、直流電流(DC)を計測する場合には、スイッチをオンした時点から時間が経過すると、電流がほぼ一定値になるため、カンチレバーの変形が一定状態になり、出力電圧はゼロとなる。そのため、直流電流が流れている状態(定常状態)では、電流の計測ができない。このような電流の変化の少ない直流電流を計測することが必要な場合が多々あり、この場合、非特許文献1に開示されている圧電素子型の電流計測装置では、直流電流を測定できず、直流電流を精度良く計測できる電流計測装置が必要とされている。
本発明の目的は、直流電流を精度良く計測できる電流計測装置を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る電流計測装置は、ハウジングと、前記ハウジングに被計測電流を流すための電線を固定するための固定部材と、前記電線に対向するように配置された永久磁石と、前記永久磁石が一端側に固定され、他端側が支持部材によりハウジングに固定され、前記永久磁石に作用する力により変形するカンチレバーと、前記カンチレバーに固定され、前記カンチレバーの変形に基づいて変形することによって電圧を発生する計測用PZTプレート部と、前記ハウジングの内部に交流電圧を出力する駆動回路と、前記カンチレバーに固定され、前記駆動回路からの交流電圧を受けて振動する力を発生する駆動用PZTプレート部と、を備え、前記電線を流れる前記被測定電流により前記永久磁石が受ける力により、前記カンチレバーおよび前記PZTプレート部が変形し、前記計測用PZTプレート部が発生した電圧に基づいて前記被測定電流を計測することを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の発明に係る電流計測装置は、上記第1の発明に係る電流計測装置において、前記計測用PZTプレート部は、圧電物質からなるフィルム状の圧電層と、前記圧電層を挟むように配置された第1と第2のフィルム状の電極層と、から構成されることを特徴とする。
上記課題を解決するための第3の発明に係る電流計測装置は、上記第2の発明に係る電流計測装置において、前記カンチレバーに複数個の前記計測用PZTプレート部あるいは前記駆動用PZTプレート部が設けられ、前記カンチレバーは板状の形状を成し、前記板状の形状の表面は長軸と前記長軸と直交する短軸を備えた細長い形状を成し、前記短軸の中心を通り前記長軸に沿う中心線に対して前記計測用PZTプレート部および前記駆動用PZTプレート部が対称となるように前記カンチレバーの前記表面に配置されていることを特徴する。
本発明に基づく電流計測装置によれば、直流電流を精度良く計測することができる。
本発明の一実施形態である電流計測装置を模式的に表した説明図である。 図1における電流計測装置のA−A’断面図である。 図1の出力部の具体例を示すブロック図である。 図1の駆動部の内部構造を示すブロック図である。 交流電圧を駆動用PZTプレート部に印加した場合の直流電流と出力電圧との関係を示すグラフである。 電線から生じる磁気力のうち、最も磁気力が強くなる方向を点線で表したグラフである。 本発明の一実施形態である電流計測装置を家電製品に接続した場合の模式図である。 図7における電流計測装置のB−B’断面図である。 本発明の他の実施例である電流計測装置を模式的に表した平面図である。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて具体的に説明する。本発明の一実施形態である電流計測装置は、磁石を備えた小型の電流計測装置であり、被測定電流の量を計測する。
図1は、本発明の一実施形態である電流計測装置を模式的に表した説明図である。電流計測装置100は、ハウジング112と、被計測電流303を流すための電線305と、電線305を固定するための固定部材114(図2参照)と電力を受けるためのコネクタ301および受けた電力を送出するためのコネクタ302と、永久磁石105が一端側に固定され、他端側が支持部材132によりハウジング112に固定され、永久磁石105に作用する力により変形するカンチレバー(cantilever)104と、カンチレバー104に固定された圧電体107と、圧電体107が発生した電圧を受け被計測電流303の計測値を出力する出力部101と、交流電圧を発生する駆動部103を備えている。なお、図1が煩雑になるのを防ぐために、電線305をハウジング112に固定する固定部材114の記載を省略している。固定部材114は図2に記載している。
カンチレバー104の一方の面には、カンチレバー104の変形により、電圧を発生する圧電体107(piezoelectric element)を備えたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)プレート部が少なくとも1つ配置される。図1の例では、2種類のPZTプレート部113、213が配置されている。1つはカンチレバー104の変形を電圧に変換して出力するための計測用PZTプレート部113であり、もう1つは、後に詳細を説明するが、駆動部103から駆動用の交流電圧を受けて振動する力を発生する駆動用PZTプレート部213である。このように計測用PZTプレート部113と駆動用PZTプレート部213を有することで、直流電流を簡単に計測できる。また計測用PZTプレート部113と駆動用PZTプレート部213を後述するように同一構造とすることで生産性が向上する。さらに生産管理が容易となり、信頼性が向上する。
計測用PZTプレート部113は、カンチレバー104側に設けられた第1電極層108と、圧電物質からなる圧電層107と、第2電極層106を有している。第1電極層108の端部が圧電層107より外周側に突出しており、この実施例では、カンチレバー104の長軸方向であってカンチレバー104の支持部材132側に突出しており、突出した部分に第1電極パット110が設けられている。なお、第1電極層108のカンチレバー104側の面がカンチレバー104に固定されており、第1電極パット110は、第1電極層108におけるカンチレバー104の反対の面に設けられている。圧電層107に設けられた第2電極層106は、圧電層107側の面が圧電層107側に固定されており、第2電極層106における圧電層107と反対の面であって、しかもカンチレバー104の長軸方向における支持部材132側に第2電極パット109が設けられている。第1電極パット110と第2電極パット109は、出力側の配線111を介して出力部101に接続されている。
カンチレバー104の永久磁石105に力が作用し、カンチレバー104が変形すると、カンチレバー104に設けられた圧電層107が変形し、圧電層107の両面に変形量と関数関係を持つ値の電圧が発生する。この電圧に基づき第1電極層108と第2電極層106間に電圧が発生し、第1電極層108と第2電極層106の間の電圧を、配線111を介して出力部101で検出することにより、カンチレバー104の変形量を知ることができる。カンチレバー104の変形量は後述するが、被計測電流303と関数関係を有しており、配線111を介して出力部101に取り込まれた電圧は、被計測電流303の値に依存する。このようにして被計測電流303の値を計測できる。
圧電層107が発生する電圧は圧電層107の動的な変形量に依存する。即ち、圧電層107が変形しても、変形した状態で動きが静止していると圧電層107の発生電圧はゼロとなる。圧電層107はカンチレバー104の一方面に固定されており、カンチレバー104が変化すると、変化の大きさに基づいて圧電層107が電圧を発生する。カンチレバー104および圧電層107が変形していても、変形した状態で静止していると上述のように、圧電層107の両面に設けられた第1電極層108と第2電極層106との間の電圧はゼロとなる。
このため被計測電流303の電流値が変化しない、ほぼ一定の直流電流の場合に、カンチレバー104および圧電層107が変形するが、これらの形状は変形した状態で形状が維持されることとなり、圧電層107の両面に設けられた第1電極層108と第2電極層106との間から電圧を取り出すことができない。このように変化の少ない状態の被計測電流303の電流値を測定するには、被計測電流303の電流値と関数関係にある振幅でカンチレバー104および圧電層107を振動させることが必要となる。このような被計測電流303の電流値と関数関係にある振幅を発生するために駆動用PZTプレート部213が設けられている。
駆動用PZTプレート部213も計測用PZTプレート部113と同一の構成であり、圧電層207と、圧電層207のカンチレバー104側に設けられた第1電極層208と、第2電極206層及び第2電極パット209と、第1電極パット210とを備えている。第2電極パット209と第1電極パット210は、駆動用の配線211を介して、駆動部103に接続されている。駆動部103から一定周期の交流電圧が配線211を介して第1電極層208と第2電極206との間に加えられ、圧電層207が加えられた電圧に基づいて変形する。この変形の大きさは加えられた電圧だけでなく、カンチレバー104に固定された永久磁石105に発生している被計測電流303の大きさにより変化する。このため、計測用PZTプレート部113には被計測電流303の大きさに基づいて変わる振動が加わり、被計測電流303に基づいて大きさが変わる交流電圧が圧電層107から第1電極層108と第2電極層106および配線111を介して出力される。
計測用PZTプレート部113と駆動用PZTプレート部213が同一構造のものが使用できるので部品の共有化が図れ、材料も同一であるため、生産性が向上する。また生産管理を同じように行えるので、生産性の向上に加え、信頼性も向上する。
カンチレバー104が略長方形の形状を成し、カンチレバー104が固定されている側に第1電極パット110や第2電極パット109が設けられているので、電流計測装置100の全体の構造がシンプルになる。また第1電極パット210や第2電極パット209が、カンチレバー104が固定されている側に設けられているので、電流計測装置100の全体の構造がシンプルになる。さらに第1電極パット110や第2電極パット109および第1電極パット210や第2電極パット209が同じような配置関係にあるので、電流計測装置100の生産性に優れている。電流計測装置100の信頼性の向上にも繋がる。
図2は、図1における電流計測装置100のA−A’断面図である。ここでは、駆動用PZTプレート部213の断面図を示すが、計測用PZTプレート部113の断面図も駆動用PZTプレート部213の断面図と同じ構成であり、同じ構成物質も同じである。前述のように、カンチレバー104は、基板部132に固定され、永久磁石105とPZTプレート部213(113)を備えている。
永久磁石105は図2に示す補助線600の方向に沿って磁極が配置されている。電線305が2芯コード(2本線)の場合にその中央を通る補助線600の線上の磁束が最も強くなる。従って補助線600に沿って永久磁石105の磁極を配置することで、電線305を流れる被計測電流303の磁束と永久磁石105との間に発生する磁力が最も強くなる。このため補助線600に沿う方向で永久磁石105の磁極を配置することにより大きな力が永久磁石105に作用し、計測感度が向上する。
圧電物質からなる圧電層207は非常に薄いシート状をしており、圧電層207を挟むようにして圧電層207のカンチレバー104とは反対の面に第2電極206を、カンチレバー104の側に第1電極層208を設けている。また、第2電極パット209は第2電極206のカンチレバー104とは反対側に設けられ、第1電極パット210は第1電極層208のカンチレバー104とは反対側に設けられ、それぞれ駆動用の配線211を介して、駆動部103に接続されている。
このように第1電極パット210や第2電極パット209は、第1電極層208あるいは第2電極206において、何れもカンチレバー104とは反対の方向に設けられているので、第1電極パット210や第2電極パット209と配線211との接続を、同じ方向から行うことができ、生産性が向上する。さらに第1電極パット210や第2電極パット209と配線211との接続部分がカンチレバー104をハウジング112に固定するための支持部材132の近傍であるので、第1電極パット210や第2電極パット209と配線211との接続状態によるカンチレバー104の変形特性への悪影響を低減でき、精度向上に繋がる。
図1や図2を用いて電流の計測動作について簡単に説明する。電線305に被計測電流303が流れることにより、電線305の周りに磁場が発生し、磁気力により永久磁石105がZ軸の正の方向に吸引あるいは反発の力を発生する。永久磁石105が吸引力を発生するか反発力を発生するかは、電線305を流れる電流の方向と永久磁石105との極性で定まる。永久磁石105は、その一方の極が電線305側となり、他方の極がカンチレバー104側となるように配置されている。
例えば永久磁石105に吸引力が生じたとすると、カンチレバー104の圧電体107はその永久磁石105側がZ軸の正の方向に変位し、第1電極層108と第2電極層106との間に電圧が発生する。発生した電圧は第1電極パット110および第2電極パット109から配線111を介して出力部101に取り込まれる。出力部101から被計測電流303の電流値を利用したい装置に、出力端子102を介して提供される。例えば出力部101でデジタル情報に変換されて、出力端子102を介してパソコンやモニター装置などに提供される。あるいは出力部101でその値が直に読み取れるように、出力部101が表示機能を備えていてもよい。
図3は、図1の出力部101の具体例を示す。計測された電流値の提供先の状態に合わせて、出力部101が計測された電圧情報が提供される。出力部101は増幅器401を有し、単に出力端子102計測結果を出力しても良い。あるいは、管理する人が電線305を流れる被計測電流303の値を知りたい場合には、代案1であるアナログあるいはデジタルの表示装置406を使用して表示すれば良い。また他の制御機器と連携してシステムを構成する場合には、増幅器401の出力をデジタル情報として、代案2に示すようにローカルネットワーク408から情報を必要とする機器へ提供することができる。
以上が本発明の実施の形態における電流計測装置100の一般的な計測原理である。電線305の種類は、1芯コードの場合でも、図2に示すような2芯コードの場合であってもよい。それぞれの場合について、電線から生じる磁気力の強さの分布が異なる。また、本発明の実施の形態における電流計測装置100は、駆動部103を駆動させずに、交流電流(AC)を測定することも可能ではあるが、ここでは特に直流電流(DC)を計測する場合を説明する。
(直流電流の計測)
被計測電流303が直流電流の場合に、直流電流(DC)を流すための図示しないスイッチを投入(以下オンと記す)にすると、電線305の周りに磁場が発生し、磁気力により、永久磁石105が例えば電線305に引き寄せられる。なお電流と方向と磁石の極性との関係で反発力が生じる場合があるが、基本的には動作は同じであり、吸引力が発生したとして説明する。このときカンチレバー104の圧電体107の上部は圧縮し、下部は引っ張りを受けるので、配線111を介して出力部101に電圧が取り込まれる。配線の関係で出力部101に取り込まれる電圧の極性が定まり、どちらの極性でも基本的には同じであるが、例えば出力部101に負の電圧が取り込まれ、出力部101から負の電圧が出力されるとして以下説明する。
また、被計測電流303である直流電流(DC)が上記図示しないスイッチが開放(以下オフと記す)すると、電線305の周りに発生していた磁場がなくなり、電線305に引き寄せられていた永久磁石105が解放される。このときカンチレバー104の圧電体107の上部は緩み、下部は上部が緩んだ反動で圧縮されるため、出力部101から出力される電圧はこの例では正になる。
このように直流電流(DC)の場合には、スイッチをオンとオフで切り替える時に、圧電層107から電圧が出力される。スイッチをオンにする場合とオフにする場合とでは、出力される電圧は正負が逆となり、電圧の値はオンとオフで多少異なるが、被計測電流303の値に比例した値が出力されることが実験結果から得られている。なお、電流計測装置100においては被計測電流303の値と圧電層107が発生する電圧は比例関係にあることが必要ではなく、被計測電流303の値と圧電層107との関係が関数の関係にあればよい。
直流電流(DC)を計測する場合に上記直流電流(DC)がほぼ一定値である場合、上記スイッチをオンした時点から時間が経過すると、圧電層107の出力電圧はゼロに近づき、やがて出力電圧はゼロとなる。そのため、電流が流れている状態(定常状態)では、電流の計測ができない。変化の少ない直流電流を計測することが必要な場合が多々あり、このような場合には、カンチレバー104を強制的に振動する力を加える。加えられた振動に対して、その振幅が計測しようとする電流の値により変化するので、カンチレバー104の振幅の変化を見ることで電流を計測することが可能である。具体的には、駆動用PZTプレート部213の圧電層207に交流電圧を印加して、逆圧電効果によって、カンチレバー104を振動させる。そして、電線305に流れる直流電流によって、カンチレバー104の振動を増幅させて、この振幅の増加分が、カンチレバー104に固定された計測用PZTプレート部113で電圧に変換され、前述のように電流を検出することができる。
駆動用PZTプレート部213の圧電層207に交流電圧を印加するために、電流計測装置100のハウジング112内に、交流電圧を出力する駆動回路を有する駆動部103が設けられている。
図4は、駆動部103の内部構造を示すブロック図である。駆動部103は、発振器403と増幅器401とからなり、発振器403は交流電圧を出力し、増幅器401は出力された交流電圧を増幅し、増幅器401から図1に示す配線211を介して駆動用PZTプレート部213に交流電圧が加えられる。
図1の駆動部103には出力端子122が設けられている。この出力端子122は電流計測において無くても電流計測が可能であるが、駆動部103が出力している交流電圧の状態を確認したい場合に、出力端子122を介してモニターすることができる。また駆動部103が出力する交流電圧が電流計測装置100の計測精度に大きな影響を与えるので、駆動部103の出力をフィードバック制御して高い精度に維持するなどのために使用できる。
図5は交流電圧を駆動部103から駆動用PZTプレート部213に印加した場合の、この実施例では直流電流である被計測電流303の電流値と計測用PZTプレート部113の出力電圧との関係を示すグラフである。駆動部103から交流電圧を、駆動用の配線211を介して、駆動用PZTプレート部213に印加する。駆動用PZTプレート部213が駆動電圧を受けて変形して振動し、カンチレバー104を振動される。これによりカンチレバー104に固定された計測用PZTプレート部113も振動する。その振動を受け、計測用PZTプレート部113の圧電層207から電圧が発生し、出力側の配線111を介して出力部101で出力電圧が計測される。計測された出力電圧の実験結果のグラフが図5で示されている。
まず、電流303が流れていない状態で、駆動部103から交流電圧駆動用PZTプレート部213に印加した結果が、出力された電圧がグラフ1の表示で示されているグラフである。このときの最大電圧は約5Vである。次に同じ駆動電圧駆動用PZTプレート部213に印加した状態で0.5Aの被計測電流303を流すと、グラフ2の表示で示されているグラフとなり、出力される最大電圧は約9Vである。更に、同じ駆動電圧駆動用PZTプレート部213に印加した状態で2Aの被計測電流303を流すと、グラフ3の表示で示されているグラフとなり、出力される最大電圧は約20Vである。
被計測電流303を流したことにより生じる電圧の増加分を見ると、0.5Aの被計測電流303の場合、電圧の増加分は約4Vであり、2Aの被計測電流303の場合、電圧の増加分は約15Vである。このことから、被計測電流と増加電圧はおよそ比例関係にあることがわかる。よって、直流電流を電流計測装置100で計測することが可能であることが確かめられた。ただ、被計測電流303の電流値と計測用PZTプレート部113の発生電圧が関数の関係にあれば、予め上記関数関係を記憶しておき、出力部101において計測値から上記記憶値を読み出すことで電流値を出力することができる。また必要に応じ、温度変化などの誤差を発生する要因を計測して記憶しておくことで、出力部101内で誤差補正を行い、単位制度の計測値を出力することが可能である。
以上のように、直流電流(DC)の計測の場合の上記実施例では、カンチレバー104を振動させる駆動用の駆動用PZTプレート部213と、カンチレバー104の振動を計測する計測用の計測用PZTプレート部113との両方を備えたカンチレバー104を使用しており、計測が難しい電流変化の少ない直流に対して高い精度で電流値を計測することができる。また、同一のカンチレバー104に駆動用PZTプレート部213と計測用PZTプレート部113の両方を設けており、電流計測装置100を小型化することができる。さらに、可動部分をまとめることができ、製品として生産する場合の調整などを行い易くする効果がある。次に1芯コードの場合と2芯コードの場合に生じる磁場の強さと向きについて説明する。
(1芯コードの場合)
図6(a)は1芯コードに流れる電流が発生する磁束が、Z軸方向に磁極を有する磁石に作用する磁気力の強さを示す図であり、点線で示した位置が最も磁気力が強くなる。この点線の位置はX軸に対して45度の角度に沿った位置である。図では省略したがマイナス45度の角度に沿った位置も同様に最も磁気力が強くなる。従って図2の実施例において、電線305が1芯コードである場合には永久磁石105を補助線600の線上ではなく、X軸に対して±45度の角度に沿った位置に配置することにより、検出感度を向上することができる。
(2芯コードの場合)
図6(b)は2芯コードに電流が流れることにより発生する磁場のうち、Z軸方向に磁極を有する磁石に作用する磁気力の強さ最も強くなる位置を点線で表したグラフである。1芯コードの場合と同様に、この点線方向に重なるように永久磁石105を配置することにより、最も効果的に永久磁石105が磁気力を受けることができる。例えば、図2に示したように、カンチレバー104の永久磁石105を、2芯コード間の中心を通る補助線600の上に配置することにより、永久磁石105は最も効果的に電線305の磁場の影響を受けることができる。
(家電製品への供給電流計測するために電流計測装置を設置した場合の応用例)
図7は本発明の一実施形態である電流計測装置100を、家電製品に供給される電流を計測する場合の模式図である。現在、家庭用のコンセントの多くは交流電源であるが、供給された交流電流をそのまま使用して内部の機器を動作させる家電製品はほとんどなく、多くは、交流電源から供給された交流電流を一旦直流電流に変換し、必要な場合には使用に適した周波数の交流電力に変換して使用されている。
直流電源から供給される直流電流を使用する家電製品としては、時計やラジカセなどがある。一方、交流電源から供給される交流電流を使用する家電製品としては、扇風機や換気扇、電灯などがある。また、交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して使用する家電製品としては、テレビ、パソコン、ラジオなどがある。電気自動車も交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換して充電し、電池に蓄えた電気で走っている。さらに、交流電源から供給される交流電流を直流電流に変換した後、再度、交流電流に変換して使用する家電製品としては、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどがある。
一般に電力会社が供給する電気は交流であり、太陽電池が作る電気は直流である。将来的には、家庭用の電気の供給方法を交流電源から太陽電池から供給される直流電源に変換することが望まれている。直流電源を使用することで、多くの家電製品で交流電流を直流電流に変換する手間が省かれ、送電効率がよくなるからである。
本願の実施例は直流電流を計測できるため、特に今後、電力用蓄電技術の進歩に伴い直流電流の計測が重要となってくる場合に上述の実施例で説明した技術が貢献できる。
図7では、将来的に使用され得る直流電源のコンセント309から供給される電流と家電製品501の間に、電流計測装置100を設置した応用例である。電流計測装置100のハウジング112の中に電線305が設けられ、直流電源のコンセント309から電力を受けるための受電端子(プラグ)307と電力を供給するための送電端子(コンセント)313とを更に備えている。電線305により受電端子307と送電端子313とを電気的に接続すると共に、電線305を樹脂にてハウジングに固定している。この図では上記樹脂の図示の煩雑さを避けるために省略している。送電端子313を家電製品501の電線305のコンセント311と接続することにより、家電製品501は直流電源のコンセント309から電流が供給される。
図1では、カンチレバー104上の永久磁石105に対向するように電線305が設置されており、電線305の電流303の流れる向きはカンチレバー104の長手方向と垂直に交わる方向であった。図7の実施例では、カンチレバー104上の永久磁石105に対向するように電線305が設置されているが、電線305の向きはカンチレバー104の長手方向と平行な方向である。電線305の設置の方向は、カンチレバー104の長手方向と垂直でも平行でもよいが、永久磁石105に対向するように電線305が設置される必要がある。永久磁石105に対向するように電線305が設置されていれば、電線305によって発生する磁場により永久磁石105に力が発生し、カンチレバー104が電線305の電流値に基づいた振幅で振動する動作原理は変わらないからである。
図8は、図7における電流計測装置のB−B’断面図である。電線305は電流計測装置100のハウジング112に固定部材である樹脂固定部材114で固定されている。電線305は図2や図8のように樹脂で固定することもできるし、図示していないが、ステンレスで固定することがハウジング112内に固定することもできる。樹脂やステンレスは磁性体ではないので、磁束を漏えいすることが無い。図8では、図2や図6を用いて説明したように、2本の電線305間の中心に永久磁石105が配置されるように設置することが望ましい。図8に示すように、固定部材114を用いて電線305をハウジング112に固定すると共に、カンチレバー104を支持部材132を用いてハウジング112に固定しているので、永久磁石105と2本の電線305との位置関係を好ましい位置関係に固定できる。この位置関係は、電流計測装置100が作られると一定に維持されるので、計測精度を向上できる。
前述のように、直流電流(DC)の場合には、スイッチをオンとオフで切り替える時に、圧電層107から電圧が出力されるが、上記スイッチをオンした時点から時間が経過すると、圧電層107の出力電圧はゼロに近づき、やがて出力電圧はゼロとなる。そのため、電流が流れている状態(定常状態)で電流を測定するために、まず、駆動用PZTプレート部213を駆動部103から印加する交流電圧により、強制的に振動する力を加える。加えられた振動に対して、その振幅が計測しようとする電線305の電流の値により変化するので、計測用PZTプレート部113から出力される電圧の変化を見ることで電流を計測する。
電線305に直流電流が流れることにより磁気力によって、永久磁石105が電線305に対して吸引あるいは反発する力を受ける。例えば吸引される場合に、カンチレバー104の圧電体107の電線側(以下一方側と記す)は圧縮し、その逆側(以下他方側と記す)は引っ張りを受けるので、出力部101から出力される電圧は例えば負になる。また、駆動部103から交流電圧が駆動用PZTプレート部213に印加されていることにより、出力される電圧は、電流の大きさに応じて印加された交流電圧と振幅の異なる交流電圧が出力される。印加されている交流電圧と出力される交流電圧との差を測ることで、直流電流の大きさが計測される。
このように直流電源に電流計測装置100を接続した場合は、電流の大きさに応じた交流電圧が出力される。
(3つのプレートの場合)
図9は、本発明の他の実施例である電流計測装置を模式的に表した説明図である。図1との違いは、計測用PZTプレート部113が複数の(本実施例では2つの)計測用PZTプレート部113が1つの駆動用PZTプレート部213の両側に配置されて、カンチレバー104に固定されている点にある。本発明の実施例で説明した図1の例では、計測用PZTプレート部113と駆動用PZTプレート部213が1つずつカンチレバー104上に固定されており、駆動用PZTプレート部213でカンチレバー104の半分の領域を駆動させ、計測用PZTプレート部113でカンチレバー104の半分の領域でカンチレバー104の振動を計測していた。
更に計測精度を上げるためには、カンチレバー104の振動が安定していることが望ましい。そのためには、略長方形の形状を成しているカンチレバー104の短い軸方向においてバランスしており、ねじれが生じないことが望ましい。カンチレバー104の短い軸の中心を通り、カンチレバー104の長軸に沿う中心線650に対して対称となるように駆動用PZTプレート部213を配置し、さらに2つの計測用PZTプレート部113を配置している。また永久磁石105も中心線650に対して対称に配置している。
カンチレバー104の中心線650に対して対称となるように、駆動用PZTプレート部213や計測用PZTプレート部113を配置し、さらに永久磁石105を配置することによりバランスがよくなり、計測精度が上がると考えられる。またカンチレバー104の支持部材132によるハウジング112への固定も対称となることで、上述した計測精度の向上が可能となる。
本実施例では駆動用PZTプレート部213や計測用PZTプレート部113を同一構造とし、同じ形状としているので、上述した中心線650に対するバランスを得やすい効果がある。
100…電流計測装置、101…出力部、102,122…出力端子、103…駆動部、104…カンチレバー、105…永久磁石、106,206…第2電極層、107…圧電層、108,208…第1電極層、109,209…第2電極パット、110,210…第1電極パット、111…出力側の配線、112…ハウジング、113…計測用PZTプレート部、114…固定部材、132…支持部材、211…駆動用の配線、213…駆動用PZTプレート部、301…コネクタ、303…被計測電流、305…電線、307,311…プラグ、309,313…コンセント、401…増幅器、403…発振器、406…表示装置、408…ローカルネットワーク、501…家電製品、600,650…中心線。

Claims (3)

  1. ハウジングと、
    前記ハウジングに被計測電流を流すための電線を固定するための固定部材と、
    前記電線に対向するように配置された永久磁石と、前記永久磁石が一端側に固定され、他端側が支持部材によりハウジングに固定され、前記永久磁石に作用する力により変形するカンチレバーと、
    前記カンチレバーに固定され、前記カンチレバーの変形に基づいて変形することによって電圧を発生する計測用PZTプレート部と、
    前記ハウジングの内部に交流電圧を出力する駆動回路と、
    前記カンチレバーに固定され、前記駆動回路からの交流電圧を受けて振動する力を発生する駆動用PZTプレート部と、を備え、
    前記電線を流れる前記被測定電流により前記永久磁石が受ける力により、前記カンチレバーおよび前記PZTプレート部が変形し、前記計測用PZTプレート部が発生した電圧に基づいて前記被測定電流を計測することを特徴とする電流計測装置。
  2. 請求項1に記載の電流計測装置において、
    前記計測用PZTプレート部は、圧電物質からなるフィルム状の圧電層と、
    前記圧電層を挟むように配置された第1と第2のフィルム状の電極層と、から構成されることを特徴とする電流計測装置。
  3. 請求項2に記載の電流計測装置において、前記カンチレバーに複数個の前記計測用PZTプレート部あるいは前記駆動用PZTプレート部が設けられ、前記カンチレバーは板状の形状を成し、前記板状の形状の表面は長軸と前記長軸と直交する短軸を備えた細長い形状を成し、前記短軸の中心を通り前記長軸に沿う中心線に対して前記計測用PZTプレート部および前記駆動用PZTプレート部が対称となるように前記カンチレバーの前記表面に配置されている、ことを特徴する電流計測装置。
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