JP2014016221A - 光電場増強デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラマン散乱光を高い感度で検可能な、耐久性に優れた光電場増強デバイスを得る。
【解決手段】樹脂基板11上に第1の金属またはその酸化物から成る薄膜20を形成し、この樹脂基板11上に形成された薄膜20を水熱反応させることにより、第1の金属の酸化物の水和物からなる微細凹凸構造層22を形成し、その微細凹凸構造層22の表面に第2の金属から成る金属微細凹凸構造層24を形成し、樹脂基板11を加熱収縮させることにより、金属微細凹凸構造層24の表面に亀裂30を生じさせる。
【選択図】図1A
【解決手段】樹脂基板11上に第1の金属またはその酸化物から成る薄膜20を形成し、この樹脂基板11上に形成された薄膜20を水熱反応させることにより、第1の金属の酸化物の水和物からなる微細凹凸構造層22を形成し、その微細凹凸構造層22の表面に第2の金属から成る金属微細凹凸構造層24を形成し、樹脂基板11を加熱収縮させることにより、金属微細凹凸構造層24の表面に亀裂30を生じさせる。
【選択図】図1A
Description
本発明は、局在プラズモンを誘起しうる微細な金属凹凸構造を備えた光電場増強デバイスおよびその製造方法に関するものである。
金属表面における局在プラズモン共鳴現象による電場増強効果を利用したセンサデバイスやラマン分光用デバイス等の電場増強デバイスが知られている。ラマン分光法は、物質に単波長光を照射して得られる散乱光を分光して、ラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る方法であり、物質の同定等に利用されている。
ラマン分光法には、微弱なラマン散乱光を増強するために、表面増強ラマン(SERS: Surface Enhanced Raman Scattering)と呼ばれる、局在プラズモン共鳴によって増強された光電場を利用したラマン分光法がある(非特許文献1参照)。これは、金属体、特に表面にナノオーダの凹凸を有する金属体に物質を接触させた状態で光を照射すると、局在プラズモン共鳴による光電場増強が生じ、金属体表面に接触された試料のラマン散乱光強度が増強されるという原理を利用するものである。被検体を担持する担体(基板)として、表面に金属凹凸構造を備えた基板を用いることにより表面増強ラマン分光法を実施することができる。
表面に金属微細凹凸構造を備えた基板としては、Si基板の表面に凹凸を設け、その凹凸面に金属膜を形成した基板が主に用いられている(特許文献1から3参照)。
また、Al基板の表面を陽極酸化して一部を金属酸化物層(Al2O3)とし、陽極酸化の過程で金属酸化物層内部に自然形成され、金属酸化物層の表面において開口した複数の微細孔内に、金属が充填された基板も提案されている(特許文献4参照)。
さらには、透明基板の表面に、例えばベーマイトからなる透明な微細凹凸構造を備え、その上に金属膜を形成して、金属の微細凹凸構造を備えたデバイスも提案されている(特許文献5、6参照)。
一方、非特許文献2においては、脱合金反応により銀金の合金からなるナノポーラスフイルムを形成し、更にそのフイルムをポリスチレンフィルム上に配置し、加熱収縮することで、ナノポーラス構造より大きなしわ状の構造を作製している。ナノポーラスフイルムのみでも大きなラマンの増強効果があり、しわ状構造になることで表面積やホットスポット数の増加に更なるラマン信号強度の増強が可能となっている。
Optics Express Vol.17, No.21 18556
Scientific Reports,1:112,DOI:10.1038/srep00112
しかしながら、非特許文献2のように、基板とは別に金属のナノ構造体(ナノポーラスフィルム)を作製し、その後、ポリスチレンフィルムからなる基板上に構造体を配置する方法では、金属ナノ構造体のもろさから基板に配置するのが非常に困難であり、特には、大面積のデバイスを作製するのが困難となる。また、基板と金属ナノ構造体の密着性が悪いために、基板の収縮によりナノ構造体がしわ状になり、さらにそのしわ状の浮いた部分から剥がれ易く、耐久性が非常に低いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐久性および増強度が高い光電場増強デバイスを低コストで作製する方法を提供するものである。
本発明の光電場増強デバイスは、樹脂基板と、
樹脂基板上に形成され、金属酸化物の水和物からなる、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造層と、
微細凹凸構造層上に形成された、微細凹凸構造を表面に有する金属微細凹凸構造層とを備え、
金属微細凹凸構造層に亀裂を有することを特徴とする。
樹脂基板上に形成され、金属酸化物の水和物からなる、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造層と、
微細凹凸構造層上に形成された、微細凹凸構造を表面に有する金属微細凹凸構造層とを備え、
金属微細凹凸構造層に亀裂を有することを特徴とする。
なお、ここで、金属微細凹凸構造層は、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる微細凹凸構造を有するものである。なお、局在プラズモンを生じうる微細凹凸構造とは、一般に、凹凸構造をなす凸部および凹部の平均的な大きさと平均的なピッチが励起光の波長よりも小さい凹凸構造である。
特には、金属微細凹凸構造層の微細凹凸構造の平均的なピッチ(周期)が200nm以下であることが望ましい。
また、部の頂点と凹部の底部間の距離(深さ)が200nm以下であることが好ましい。
凹凸の平均的なピッチは、SEM(走査型電子顕微鏡)で微細凹凸構造の表面画像を撮影し、画像処理をして2値化し、統計的処理によって求めるものとする。
凹凸の平均的な深さは、AFM(原子間力顕微鏡)により表面形状を測定して統計的処理によって求めるものとする。
ここで、亀裂とは、金属微細凹凸構造層の連続性を断ち、部分的に金属微細凹凸構造層を分断するものである。亀裂の裂け目(隙間)は、通常1nm〜100μm(1nm以上100μm以下を以降、このように表記する。)の範囲であり、多くは場所によって異なっている。亀裂の間隔は、1nm〜10μmの範囲が好ましく、1nm〜1μmの範囲がより好ましく、1nm〜10nmの箇所が部分的に多数存在している状態や連続して存在している状態が最も好ましい。このような亀裂は1本でもよいが多数ある程好ましい。なお、亀裂により連続性が分断された金属微細凹凸構造層が、亀裂部分で一部重なり合うようになっていてもよい(図6B参照。)。
金属酸化物の水和物がベーマイトまたはバイヤーライトであることが好ましい。
金属微細凹凸構造層は、励起光の照射を受け局在プラズモンを生じ得る材料であればよいが、特には、金、銀、銅、アルミニウムまたはプラチナからなることが好ましい。
本発明の光電場増強デバイスの製造方法は、樹脂基板上に、第1の金属もしくは該第1の金属の酸化物からなる薄膜を形成し、薄膜を水熱反応させることにより、第1の金属の酸化物の水和物からなる微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造層を形成し、
微細凹凸構造層の表面に、第2の金属からなる表面に微細凹凸構造を有する金属微細凹凸構造層を形成し、
その後、基板を収縮させることにより金属微細凹凸構造層に亀裂を生じさせることを特徴とする。
微細凹凸構造層の表面に、第2の金属からなる表面に微細凹凸構造を有する金属微細凹凸構造層を形成し、
その後、基板を収縮させることにより金属微細凹凸構造層に亀裂を生じさせることを特徴とする。
上記光電場増強デバイスの場合と同様に、金属微細凹凸構造層は、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる微細凹凸構造を有するものであり、凹凸構造をなす凸部および凹部の平均的な大きさと平均的なピッチが励起光の波長よりも小さい凹凸構造である。
特には、金属微細凹凸構造層の微細凹凸構造の平均的なピッチ(周期)が200nm以下であることが望ましい。
上記において、樹脂基板を加熱することにより、樹脂基板を収縮させることができる。
本発明の測定装置は、本発明の光電場増強デバイスと、
光電場増強デバイスに対して励起光を照射する励起光照射部と、
励起光の照射により生じた光を検出する光検出部とを備えたことを特徴とするものである。
光電場増強デバイスに対して励起光を照射する励起光照射部と、
励起光の照射により生じた光を検出する光検出部とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の光電場増強デバイスは、亀裂を有する金属微細凹凸構造に光が照射されると、金属微細凹凸構造表面に局在プラズモンを効果的に誘起することができ、この局在プラズモンによる光電場増強効果を生じさせることができる。このとき、金属微細凹凸構造層に亀裂を有しているので、金属微細凹凸構造層のみの場合と比較して高い増強度の光電場を生じさせることができる。
また、この光電場増強デバイス上に被検体を配置して、該被検体が配置された領域に光が照射されることにより被検体から生じる光は光電場増強効果により増強されたものとなり、高感度に光を検出することが可能となる。表面増強ラマン基板としても好適に用いることができ、ラマン信号を効果的に増強させることができ、高感度化を図ることができる。
本発明の光電場増強デバイスの製造方法によれば、樹脂基板上に微細凹凸構造層および金属微細凹凸構造層を備え、樹脂基板を収縮させるという簡単な方法で、金属微細凹凸構造層に亀裂を生じさせることができ、非常に高い増強度の光電場を生じさせる光電場増強デバイスを製造することができる。
また、樹脂基板上に直接微細凹凸構造層を形成し、さらに金属微細凹凸構造層を形成するので、予めナノ構造体を形成した後に、これを基板上に配置して基板を収縮させる場合と比較して、密着性に優れるため耐久性が高い。
このような非常に簡素な工程により光電場増強デバイスを得ることができるので、製造コストを抑えることができる。
また、製造方法におけるそれぞれの工程が、比較的大面積の基板や任意の形状を有する基板にも適応可能であり、大面積かつ任意形状の光電場増強デバイスが作製可能となる。
また、製造方法におけるそれぞれの工程が、比較的大面積の基板や任意の形状を有する基板にも適応可能であり、大面積かつ任意形状の光電場増強デバイスが作製可能となる。
以下、図面を参照して本発明の光電場増強デバイスの製造方法の実施形態について説明する。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
図1Aは、本発明の光電場増強デバイスの実施形態に係る光電場増強基板1を示す斜視図であり、図1Bは、図1Aに示した光電場増強基板1の側面の一部IBの拡大図である。
図1Aおよび図1Bに示すように、光電場増強基板1は、透明な樹脂基板10と、樹脂基板10上に形成された、表面に微細凹凸を備えた微細凹凸構造層22と、その微細凹凸構造層22の表面に形成された、表面に微細凹凸を備えた金属微細凹凸構造層24とからなり、さらに、金属微細凹凸構造層24の表面から微細凹凸構造層23を貫く亀裂30を有している。亀裂30の形成周期は金属微細凹凸構造層24等の微細凹凸周期よりも大きく、具体的には〜数十μmオーダーである。亀裂30の裂け目(隙間)は数nm〜数百μmであり、特には、10nm以下の部分が一部にでも含まれていることが好ましい。なお、亀裂の形成周期は、基板の面内の所定の一方向に存在する亀裂についての亀裂同士の平均ピッチとする。
光電場増強基板の製造方法については後述するが、亀裂30は、樹脂基板上に金属微細凹凸構造層を形成後に、樹脂基板を収縮させることにより生じたものであり、金属微細凹凸構造層に不規則に生じている。
この光電場増強基板1は、金属微細凹凸構造層24の表面に照射された光(以下において、励起光とする。)により、局在プラズモン共鳴が誘起され、この局在プラズモン共鳴により、金属微細凹凸構造層24の表面に増強された光電場を生じさせるものであり、さらに、金属微細凹凸構造層24に形成されている数nmの亀裂30に励起光が照射された場合、ホットスポットと呼ばれるより増強された光電場を生じさせるものである。なお、亀裂の裂け目がμmオーダーであっても、光電場増強効果を得ることができる。
樹脂基板1は、加熱による体積の収縮が大きいものが好ましい。特には、ポリスチレン等の透明プラスチック基板が好ましい。
微細凹凸構造層22は、金属酸化物の水和物(金属または金属酸化物の水酸化物)からなるものである。具体的には、アルミナ水和物が挙げられ、より詳細には、アルミナ1水和物であるベーマイト(Al2O3・H2OあるいはAlOOHと表記される。)、アルミナ3水和物(水酸化アルミニウム)であるバイヤーライト(Al2O3・3H2OあるいはAl(OH)3と表記される。)が挙げられる。
ベーマイト層などの金属酸化物の水和物からなる微細凹凸構造層22は、透明であり、かつ図1Bに示すように、大きさ(頂角の大きさ)や向きはさまざまであるが概ね鋸歯状の断面を有している。この微細凹凸構造層22の微細凹凸は、周期(平均ピッチ)および深さが励起光の波長より短く、この上に後述する金属微細凹凸構造層24が形成可能なものであればよい。励起光としては、通常可視光を用いる。なおここで、透明微細凹凸構造23において、ピッチは凹部を隔てた最隣接凸部の頂点同士の距離であり、深さは凸部頂点から隣接する凹部の底部までの距離である。
金属微細凹凸構造層24の表面の微細凹凸は、励起光の照射を受けて表面に局在プラズモンを生じさせうる構造であり、周期(平均ピッチ)および深さが励起光の波長より短ければよい。微細凹凸の周期は数10nm〜数100nmオーダーであるが、特には、凸部頂点から隣接する凹部の底部までの平均深さが200nm以下、凹部を隔てた再隣接凸部の頂点同士の平均ピッチが200nm以下であることが望ましい。さらに、効率よく増強された光電場を生ぜしめる大きさであることが好ましく、10〜150nmであることが特に好ましい。
金属微細凹凸構造層24を構成する金属は、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じるものであればよいが、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、またはこれらを主成分とする合金であることが好ましい。特には、AuあるいはAgがより好ましい。
金属微細凹凸構造層24はその下地となる微細凹凸構造層22の微細凹凸に沿って略同一形状に形成されたものであってもよいし、微細凹凸構造層22の微細凹凸とは異なる形状であってもよい。周期や深さも互いに一致していなくてもよい。
図2を用いて、本実施形態に係る光電場増強基板1の作製方法について説明する。
図2は、本発明の光電場増強デバイスの一実施形態に係る光電場増強基板の製造工程を示すものであり、工程毎の断面図である。
図2は、本発明の光電場増強デバイスの一実施形態に係る光電場増強基板の製造工程を示すものであり、工程毎の断面図である。
板状の樹脂基板10を用意し、エタノールで洗浄する。その後、樹脂基板10の表面にEB(Electric Beam)蒸着法により第1の金属としてアルミニウム20を数十〜数百nm程度成膜する。その後、沸騰させた純水の中に、アルミニウム20付き基板10を浸水させ、数分〜1時間後に取出す。この煮沸処理(ベーマイト処理)により、アルミニウム20は透明化し、透明な微細凹凸構造を構成するベーマイト層22となる。次にこのベーマイト層22上に第2の金属を蒸着することで、ベーマイト層22の上にさらに、金属微細凹凸構造層24が形成される。次に、基板10を加熱し、収縮させることにより、ベーマイト層22および金属微細凹凸構造層24に亀裂30を生じさせる。一般に、樹脂基板を用いた場合、樹脂基板を加熱することにより、樹脂基板は収縮する。亀裂30は、この樹脂基板の収縮に伴い金属微細凹凸構造層24が圧縮されることにより生じる。
以上の処理により、樹脂基板10上に微細凹凸構造層22および金属微細凹凸構造24が形成されてなる光電場増強基板1を作製することができる。
上記においては基板として板状の基板を用いるものとしたが、任意の形状の基板であっても本発明は適応可能である。
微細凹凸構造層作製工程において水熱反応させる第1の金属としてはアルミニウムが挙げられるが、これに代えてアルミナ(Al2O3)のような金属酸化物を用いてもよい。アルミニウムおよびアルミナは、水熱反応させることにより、バイヤーライト(Al(OH)3)またはベーマイト(AlOOH)のいずれか、または両方からなる、複雑な三角錐構造を有する微細凹凸構造を基板上に形成することができる。
上記製造工程においては、第1の金属としては、アルミニウムの他、チタン(Ti)など、同様に水熱反応により微細凹凸構造を形成する金属を用いることができる。また、第1の金属の代わりに第1の金属の酸化物(例えば、Al2O3)を成膜してもよい。
また、第1の金属あるいはその金属酸化物を基板10に成膜する方法は、スパッタ法に限らず、加熱蒸着法やゾルゲル法を用いてもよい。
水熱反応としては、煮沸処理に限らず、第1の金属が成膜された基板を高温の水蒸気に曝して第1の金属を高温の水蒸気と反応させる処理を行ってもよい。
水熱反応としては、煮沸処理に限らず、第1の金属が成膜された基板を高温の水蒸気に曝して第1の金属を高温の水蒸気と反応させる処理を行ってもよい。
金属微細凹凸構造層24を構成する第2の金属は、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる金属であればよいが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、またはこれらを主成分とする合金である。特には、AuあるいはAgが好ましい。
上記本実施形態の光電場増強デバイスは、樹脂基板10としてプラスチックなどの透明樹脂基板を用い、バイヤーライト層またはベーマイト層などの透明な微細凹凸構造層22を備えているので、基板の表裏いずれから励起光を入射させても金属微細凹凸構造層24表面に光増強場を生じさせることができ、また、ラマン信号光などの信号光を基板の表裏いずれからでも検出することができる。ここで、透明とは、照射される光、および該光により被検体から生じる光に対し、透過率が50%以上であることをいうものとする。なお、これらの光に対して、透過率は75%以上、さらには90%以上であることが好ましい。
なお、上記実施形態において、第2の金属は一層のみとしているが2種類以上の金属を積層させてもよい。また、第2の金属上に誘電体を積層してもよい。
このように、2種類以上の金属を積層させたり、第2の金属上に誘電体を積層することにより、干渉効果や酸化防止効果を持たせることができる。すなわち、光学干渉による効果により、層構造の厚みが光のある位相と合致した場合、層構造に光が閉じ込められ、さらなる光電場増強効果を生じさせることができる。また、例えば、第2の金属として銀層を設け、その上に金層を積層することにより、銀の酸化を抑制することができる。
なお、第2の金属からなる金属微細凹凸構造層上に誘電体を積層する場合、誘電体の膜厚は50nm以下とすることが望ましい。例えば、金属微細構造層上にSiO2を10nm積層する。
このように、2種類以上の金属を積層させたり、第2の金属上に誘電体を積層することにより、干渉効果や酸化防止効果を持たせることができる。すなわち、光学干渉による効果により、層構造の厚みが光のある位相と合致した場合、層構造に光が閉じ込められ、さらなる光電場増強効果を生じさせることができる。また、例えば、第2の金属として銀層を設け、その上に金層を積層することにより、銀の酸化を抑制することができる。
なお、第2の金属からなる金属微細凹凸構造層上に誘電体を積層する場合、誘電体の膜厚は50nm以下とすることが望ましい。例えば、金属微細構造層上にSiO2を10nm積層する。
(ラマン分光法およびラマン分光装置)
以下に、上述の本発明の光電場増強基板1を用いた測定方法の例として、ラマン分光法およびラマン分光装置について説明する。
以下に、上述の本発明の光電場増強基板1を用いた測定方法の例として、ラマン分光法およびラマン分光装置について説明する。
図3は、上述の実施形態に係る光電場増強基板1を備えた増強ラマン分光装置の構成を示す概略図である。
図3に示すように、ラマン分光装置100は、上述の光電場増強基板1と、励起光L1を光電場増強基板1へ照射する励起光照射部140と、被検体Sから発せられ光電場増強基板の作用により増強されたラマン散乱光L2を検出するための光検出部150とを備えている。
励起光照射部140は、励起光L1を射出する半導体レーザ141と、この半導体レーザ141から射出された光L1を基板1側へ反射するミラー142と、該ミラー142により反射された励起光L1を透過し、該励起光L1の照射により被検体Sから生じ増強されたラマン散乱光L2を含む基板1側からの光を光検出部150側へ反射するハーフミラー144と、ハーフミラー144を透過した励起光L1を光電場増強基板1の被検体Sが載置された領域に集光するレンズ146とを備えている。
光検出部150は、ハーフミラー144により反射されてきた光のうち励起光L1を吸収し、それ以外の光を透過するノッチフィルタ151と、ノイズ光を除去するためのピンホール152を備えたピンホール板153と、被検体Sから発せられ、レンズ146およびノッチフィルタ151を透過した増強ラマン散乱光L2を、ピンホール152へ集光するためのレンズ154と、ピンホール152を通ったラマン散乱光を平行光化するレンズ156と、増強ラマン散乱光を検出する分光器158とを備えている。
上述のラマン分光装置100を用いて、被検体Sのラマンスペクトルを測定するラマン分光方法について説明する。
光照射部140の半導体レーザ141から励起光L1が射出され、励起光L1はミラー142で基板1側に反射され、ハーフミラー144を透過してレンズ146で集光されて、光電場増強基板1上に照射される。
励起光L1の照射により、光電場増強基板1の金属微細凹凸構造層24に局在プラズモン共鳴が誘起され、金属微細凹凸構造層24表面に増強された光電場が生じる。この増強光電場により増強された、被検体Sから発せられたラマン散乱光L2は、レンズ146を透過して、ハーフミラー144で分光器158側に反射される。なお、このとき、光電場増強基板1で反射された励起光L1もハーフミラー144により反射されて分光器158側に反射されるが、励起光L1はノッチフィルタ151でカットされる。一方、励起光とは波長が異なる光はノッチフィルタ151を透過し、レンズ154で集光され、ピンホール152を通り、再度レンズ156により平行光化され、分光器158へ入射する。なお、ラマン分光装置においては、レーリー散乱光(あるいはミー散乱光)などは、その波長が励起光L1と同じであるため、ノッチフィルタ151でカットされ、分光器158へ入射することはない。ラマン散乱光L2は、分光器158に入射してラマンスペクトル測定がなされる。
本実施形態のラマン分光装置100は、上記実施形態の光電場増強基板1を用いて構成されたものであり、効果的にラマン増強が行われているのでデータ信頼性が高く、データ再現性が良好な高精度のラマン分光測定を実施できる。光電場増強基板1の表面凹凸構造の面内均一性が高いので、同一試料に対して、光照射箇所を変えて測定を実施しても、再現性のよいデータが得られる。したがって、同一試料に対して、光照射箇所を変えて複数のデータを取り、データの信頼性を上げることも可能である。
本実施形態のラマン分光装置100のように、光電場増強基板1の裏面から検出する構成とすることにより、被検体が細胞のような大きなサンプルである場合に、金属微細凹凸構造層と被検体との界面で最も強く生じる増強ラマン散乱光が被検体自身により遮蔽されることなく透明基板の裏面側から検出することができる。なお、ある程度までの厚みの金属微細凹凸構造層であれば、透明基板の裏面側から増強ラマン散乱光を十分に検出することができる。
上述の実施形態のラマン分光装置100は、光電場増強デバイス1の試料保持面(表面)とは逆側(デバイスの裏面)から励起光を入射すると共にラマン散乱光を検出するよう構成されているが、図4に設計変更例のラマン分光装置110を示すように、従来の装置と同様に、金属微細凹凸構造層24の表面側(試料保持面)から励起光L1を入射し、かつラマン散乱光L2を検出するように構成してもよい。
さらには、励起光照射部と、光検出部とのいずれか一方を金属微細凹凸構造層24の表面側に配置し、他方を基板1の裏面側に配置する構成としてもよい。
このように、本発明の光電場増強デバイスは、透明基板を用いているので、金属微細凹凸構造層の表面側、あるいは透明基板の裏面側のいずれからでも光を照射することができ、また、この光の照射により試料から生じた光についても、金属微細凹凸構造層の表面側あるいは透明基板の裏面側のいずれからでも検出することができる。そのため、被検体の種類、サイズ等に応じて、励起光の照射、検出光の検出を金属微細凹凸構造層の表面側あるいは透明基板の裏面側のいずれからでも行うことができるので、測定における自由度が高く、より高いS/Nで検出することが可能である。
既述の通り、本発明の光電場増強デバイスは、プラズモン増強蛍光検出装置に適用することができる。その場合にも、光電場増強デバイスの金属微細凹凸構造層上に被検体を載置し、この被検体側から励起光を照射し、被検体側から増強された蛍光を検出してもよいし、透明基板裏面側から励起光を照射し、該裏面側から蛍光を検出するようにしてもよい。あるいは被検体側から励起光を照射し、透明基板裏面側から蛍光を検出するよう構成してもよい。
以下、本発明の光電場増強デバイスの実施形態である光電場増強基板1の具体的な作製例および測定用サンプルを用いてラマン分光測定を行った結果を説明する。
「光電場増強基板」
基板(ZEONEX(登録商標)330R)上に100nmのアルミニウムをEB蒸着した後に、1時間煮沸処理して形成されたベーマイト層を備えてなる基板上にAuを50nm分蒸着した。図5は、その基板表面をSEM(日立製S4100)にて撮影したSEM画像である。図5中に白く観察されるのが凸部、灰色に観測されるのが凹部である。凹凸のパターンは不規則であるが、全面に一様に形成されており、ベーマイトおよびAuからなる微細凹凸構造の面内均一性は高い。
基板(ZEONEX(登録商標)330R)上に100nmのアルミニウムをEB蒸着した後に、1時間煮沸処理して形成されたベーマイト層を備えてなる基板上にAuを50nm分蒸着した。図5は、その基板表面をSEM(日立製S4100)にて撮影したSEM画像である。図5中に白く観察されるのが凸部、灰色に観測されるのが凹部である。凹凸のパターンは不規則であるが、全面に一様に形成されており、ベーマイトおよびAuからなる微細凹凸構造の面内均一性は高い。
さらに、上記基板をホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。図6Aは加熱後のAu表面をSEMにて撮影したSEM画像であり、図6BはAu表面の亀裂部を拡大して撮影したSEM画像である。
図6Aに示すように、Au表面には基板収縮により亀裂が複数入っている。亀裂部を拡大すると、図6Bに示すように、金属からなる微細凹凸構造が近接していることがわかる。亀裂は、基板の加熱収縮時にかかる圧縮応力により生じており、この亀裂近辺では圧縮により金属微細構造の一部が浮いた状態となり、亀裂を挟んで一方が他方に重なっている。この亀裂により、多くのホットスポットが形成され、金属微細凹凸構造のみの場合よりも大きな信号を得ることができる。
「測定用サンプルを用いたラマン分光測定」
上記作製工程で作製した金属凹凸構造層に亀裂を有する基板(亀裂あり)および上記作製工程において、基板の加熱を行う前の金属凹凸構造層に亀裂を有しない基板(亀裂なし)を用い、それぞれの基板上に、100μMのローダミン6Gエタノール溶液を40μL滴下して乾燥させたサンプルについて、ラマン顕微鏡(ナノフォトン社製:Raman5)で計測した。
上記作製工程で作製した金属凹凸構造層に亀裂を有する基板(亀裂あり)および上記作製工程において、基板の加熱を行う前の金属凹凸構造層に亀裂を有しない基板(亀裂なし)を用い、それぞれの基板上に、100μMのローダミン6Gエタノール溶液を40μL滴下して乾燥させたサンプルについて、ラマン顕微鏡(ナノフォトン社製:Raman5)で計測した。
図7は2つの測定用サンプルについて得られたラマンシフトスペクトル分布を示すものである。なお、励起波長は785nmであり、20倍の対物レンズを使用している。積算時間は10秒、平均化を2回行っている。
このデータから、亀裂ありの場合の方がなしの場合に比べ3倍ものラマン信号を得ることができており、亀裂を形成することの電場増強効果を実証している。
このデータから、亀裂ありの場合の方がなしの場合に比べ3倍ものラマン信号を得ることができており、亀裂を形成することの電場増強効果を実証している。
1 光電場増強基板(光電場増強デバイス)
11 透明基板
20 アルミニウム
22 微細凹凸構造層
24 金属微細凹凸構造層
30 亀裂
100 ラマン分光装置
140 励起光照射部
150 光検出部
11 透明基板
20 アルミニウム
22 微細凹凸構造層
24 金属微細凹凸構造層
30 亀裂
100 ラマン分光装置
140 励起光照射部
150 光検出部
Claims (8)
- 樹脂基板と、
該樹脂基板上に形成され、金属酸化物の水和物からなる、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造層と、
該微細凹凸構造層上に形成された、微細凹凸構造を表面に有する金属微細凹凸構造層とを備え、
前記金属微細凹凸構造層に亀裂を有することを特徴とする光電場増強デバイス。 - 前記金属微細凹凸構造層の前記微細凹凸構造の周期が200nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光電場増強デバイス。
- 前記金属酸化物の水和物がベーマイトまたはバイヤーライトであることを特徴とする請求項1または2記載の光電場増強デバイス。
- 前記金属微細凹凸構造層が、金、銀、銅、アルミニウムまたはプラチナからなることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光電場増強デバイスの製造方法。
- 樹脂基板上に、第1の金属もしくは該第1の金属の酸化物からなる薄膜を形成し、該薄膜を水熱反応させることにより、前記第1の金属の酸化物の水和物からなる微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造層を形成し、
該微細凹凸構造層の表面に、第2の金属からなる表面に微細凹凸構造を有する金属微細凹凸構造層を形成し、
その後、前記樹脂基板を収縮させることにより前記金属微細凹凸構造層に亀裂を生じさせることを特徴とする光電場増強デバイスの製造方法。 - 前記金属微細凹凸構造層の前記微細凹凸構造の周期が200nm以下であることを特徴とする請求項5記載の光電場増強デバイスの製造方法。
- 前記樹脂基板を加熱することにより、該樹脂基板を収縮させることを特徴とする請求項5または6記載の光電場増強デバイスの製造方法。
- 請求項1から4いずれか1項記載の光電場増強デバイスと、
該光電場増強デバイスに対して励起光を照射する励起光照射部と、
前記励起光の照射により生じた光を検出する光検出部とを備えたことを特徴とする測定装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2012153213A JP2014016221A (ja) | 2012-07-09 | 2012-07-09 | 光電場増強デバイスおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2014016221A true JP2014016221A (ja) | 2014-01-30 |
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ID=50111036
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP2012153213A Pending JP2014016221A (ja) | 2012-07-09 | 2012-07-09 | 光電場増強デバイスおよびその製造方法 |
Country Status (1)
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| JP (1) | JP2014016221A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2016031140A1 (ja) * | 2014-08-27 | 2016-03-03 | 富士フイルム株式会社 | 光電場増強デバイス |
| JP2018179783A (ja) * | 2017-04-14 | 2018-11-15 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法 |
| JP2019043006A (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-22 | 富士フイルム株式会社 | 導電性基材、導電性基材の製造方法、積層体およびタッチパネル |
-
2012
- 2012-07-09 JP JP2012153213A patent/JP2014016221A/ja active Pending
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| JPWO2016031140A1 (ja) * | 2014-08-27 | 2017-05-25 | 富士フイルム株式会社 | 光電場増強デバイス |
| JP2018179783A (ja) * | 2017-04-14 | 2018-11-15 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法 |
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