JP2014016234A - 位置算出方法及び位置算出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】位置を正しく算出するための新しい手法の提案。
【解決手段】衛星信号受信部20は、GPS衛星からのGPS衛星信号を受信する。KF移動速度算出部11は、GPS衛星信号の受信周波数を用いて移動速度を算出するKF移動速度算出処理(第1のカルマンフィルター処理)を実行する。そして、KF位置算出部13は、KF移動速度算出処理で算出された移動速度と、GPS衛星信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出するKF位置算出処理(第2のカルマンフィルター処理)を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、位置を算出する方法等に関する。
測位用信号を利用した測位システムとしては、例えばGPS(Global Positioning System)が広く知られており、携帯型電話機やカーナビゲーション装置等に内蔵されたGPS受信機に利用されている。GPSでは、複数のGPS衛星の位置や各GPS衛星までの擬似距離等の情報を用いた位置計算を行ってGPS受信機の位置やクロックバイアスを求める。
このような測位用信号を利用した位置計算の手法としては、最小二乗法を用いた手法や、カルマンフィルターを用いた手法が広く知られている。例えば、特許文献1には、GPS衛星信号を受信した信号のコード位相を観測値として、カルマンフィルターを用いて位置を算出する手法が開示されている。
特開2010−266468号公報
ところで、アーバンキャニオン等のマルチパス環境で測位用信号の受信機が受信する信号は、測位用衛星から送出される測位用信号である直接波に、建物や地面等に反射した反射波や障害物を透過した透過波、障害物を回折した回折波等の間接波が重畳したマルチパス信号となる。間接波は直接波よりも長い経路長で受信機に到達する。このため、受信機で観測されるコード位相には、間接波の存在に起因する大きな誤差が含まれ得る。このため、測位用信号の受信環境等によっては、位置算出の正確性が低下する問題があった。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、位置を正しく算出するための新しい手法を提案することにある。
以上の課題を解決するための第1の形態は、衛星からの測位用信号を受信することと、前記測位用信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行することと、前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、前記測位用信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行することと、を含む位置算出方法である。
また、他の形態として、衛星からの測位用信号を受信する受信部と、前記測位用信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行する第1の算出部と、前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、前記測位用信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行する第2の算出部と、を備えた位置算出装置を構成することとしてもよい。
この第1の形態等によれば、衛星からの測位用信号を受信し、その受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行する。そして、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、測位用信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行する。最初に、第1のカルマンフィルター処理を実行して移動速度を算出しておき、この移動速度を位置を算出する第2のカルマンフィルター処理に活用することで、位置を正しく算出することが可能となる。
また、第2の形態として、第1の形態の位置算出方法における前記第2のカルマンフィルター処理は、前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて位置を予測する予測演算と、前記予測された位置を前記コード位相を用いて補正する補正演算と、を含む、位置算出方法を構成することとしてもよい。
この第2の形態によれば、第2のカルマンフィルター処理において、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて位置を予測する予測演算を行うことで、位置の予測の確度を高めることができる。このようにして予測した位置をコード位相を用いて補正する補正演算を行うことで、位置算出の正確性が向上する。
また、第3の形態として、第1又は第2の形態の位置算出方法において、前記第2のカルマンフィルター処理で用いる位置変化の許容範囲を表すパラメーターを、前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて設定することを更に含み、前記第2のカルマンフィルター処理は、前記設定されたパラメーターを用いて位置を算出する処理である、位置算出方法を構成することとしてもよい。
この第3の形態によれば、第2のカルマンフィルター処理で用いる位置変化の許容範囲を表すパラメーターを、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて設定する。例えば、移動速度が大きいほど、移動方向に対する位置変化の許容範囲をより広くするようにパラメーターを設定する。このようにして設定したパラメーターを用いて第2のカルマンフィルター処理を実行することで、移動速度を考慮した適切な位置算出を実現することが可能となる。
位置算出装置の機能構成の一例を示すブロック図。 位置算出処理の流れを示すフローチャート。 位置Q行列設定処理の流れを示すフローチャート。 位置Q行列の設定方法の説明図。 (1)従来の手法で位置Q行列を設定した場合の作用の説明図。(2)実施形態の手法で位置Q行列を設定した場合の作用の説明図。 変形例における位置Q行列の設定方法の説明図。
以下、図面を参照して、本発明を適用した好適な実施形態の一例について説明する。本実施形態は、衛星測位システムの一種であるGPSを適用した実施形態である。本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
1.構成
図1は、本実施形態における位置算出装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。位置算出装置1は、処理部10と、衛星信号受信部20と、センサー部30と、操作部40と、表示部50と、音出力部60と、通信部70と、時計部80と、記憶部90とを備えて構成される。
処理部10は、記憶部90に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って位置算出装置1の各部を統括的に制御するプロセッサーであり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。
本実施形態において、処理部10は、主要な機能部として、KF(Kalman Filter)移動速度算出部11と、KF位置算出部13と、位置Q行列設定部15とを有する。但し、これらの機能部は一実施例として記載したものに過ぎず、必ずしもこれら全ての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素としてもよい。
KF移動速度算出部11は、衛星信号受信部20で受信されたGPS衛星信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理として、KF移動速度算出処理を実行する。KF移動速度算出部11は、第1のカルマンフィルター処理を実行する第1の算出部に相当する。本実施形態では、移動速度を、移動の速さ及び移動方向を含む概念(つまり移動速度ベクトル)として説明する。
KF位置算出部13は、KF移動速度算出部11によってKF移動速度算出処理で算出された移動速度と、衛星信号受信部20がGPS衛星信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理として、KF位置算出処理を実行する。KF位置算出部13は、第2のカルマンフィルター処理を実行する第2の算出部に相当する。
位置Q行列設定部15は、KF位置算出処理で用いる位置変化の許容範囲を表すパラメーターとして位置Q行列と称する行列を設定する。カルマンフィルター処理では、プロセスノイズ(システムノイズ)として知られる時間遷移に関する雑音を表すパラメーターを推定演算に用いる。このプロセスノイズはQ値とも呼ばれる。多次元の状態推定を行うカルマンフィルター処理では、Q値を行列形式で定義したQ行列を用いる。
本実施形態では、KF位置算出処理において、3次元の位置成分を推定対象とする状態(状態ベクトル)として演算を行う。そのため、Q値は行列形式で表されることになる。このため、位置の計算に用いるQ行列という意味で位置Q行列と称して説明する。この位置Q行列によって、位置変化の許容範囲が定められる。位置Q行列の設定方法については、詳細に後述する。
衛星信号受信部20は、測位用衛星の一種であるGPS衛星から発信されている測位用信号としてのGPS衛星信号を受信する受信装置である。衛星信号受信部20は、不図示のGPSアンテナで受信されたRF(Radio Frequency)信号に対する信号処理を行ってGPS衛星信号を捕捉し、捕捉したGPS衛星信号に係る諸量(以下、「メジャメント情報」と称す。)を演算・取得する。メジャメント情報には、GPS衛星信号を受信した受信信号の受信周波数やコード位相といった諸量が含まれる。衛星信号受信部20は、取得したメジャメント情報を処理部10に出力する。
センサー部30は、例えば加速度センサーやジャイロセンサーといった慣性センサーを有して構成されるセンサーユニットである。センサー部30は、その検出結果を処理部10に出力する。
操作部40は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号を処理部10に出力する。この操作部40の操作により、位置算出要求等の各種指示入力がなされる。
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成される表示装置であり、処理部10から出力される表示信号に基づいた各種表示を行う。表示部50には、位置の算出結果や時刻情報等が表示される。
音出力部60は、スピーカー等を有して構成される音出力装置であり、処理部10から出力される音出力信号に基づいた各種音出力を行う。音出力部60からは、各種アプリケーションに係る音声や音楽等が音出力される。
通信部70は、処理部10の制御に従って、装置内部で利用される情報を外部の情報処理装置との間で送受するための通信装置である。通信部70の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、近距離無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
時計部80は、位置算出装置1の内部時計であり、水晶振動子及び発振回路でなる水晶発振器等を有して構成される。時計部80の計時時刻は処理部10に随時出力される。
記憶部90は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置を有して構成され、処理部10が位置算出装置1を制御するためのシステムプログラムや、各種アプリケーション処理を実行するための各種プログラムやデータ等を記憶する。
記憶部90には、処理部10によって読み出され、位置算出処理(図2参照)として実行される位置算出プログラム91が記憶されている。位置算出プログラム91は、KF移動速度算出処理(図2参照)として実行されるKF移動速度算出プログラム911と、KF位置算出処理(図2参照)として実行されるKF位置算出プログラム913と、位置Q行列設定処理(図3参照)として実行される位置Q行列設定プログラム915とをサブルーチンとして含む。これらの処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
また、記憶部90には、メジャメントデータ93と、算出移動速度データ95と、算出位置データ97とが記憶される。
メジャメントデータ93は、衛星信号受信部20から出力されるメジャメント情報が記憶されたデータである。このメジャメント情報には、KF移動速度算出処理で用いられる受信周波数や、KF位置算出処理で用いられるコード位相といった諸量が含まれる。
算出移動速度データ95は、KF移動速度算出処理で算出された移動速度のデータであり、算出位置データ97は、KF位置算出処理で算出された位置のデータである。
2.処理の流れ
図2は、処理部10が、記憶部90に記憶されている位置算出プログラム91に従って実行する位置算出処理の流れを示すフローチャートである。この位置算出処理においては、衛星信号受信部20においてGPS衛星信号の捕捉及びメジャメント情報の演算・取得が随時行われ、処理部10がメジャメント情報を随時取得可能な状態にあるものとして説明する。
最初に、処理部10は、初期設定を行う(ステップA1)。具体的には、所与の絶対座標系において、移動速度を成分とする状態ベクトル(以下、「移動速度状態ベクトル」と称す。)と、位置を成分とする状態ベクトル(以下、「位置状態ベクトル」と称す。)とを定義し、それぞれ所定の初期値を設定する。
本実施形態では、絶対座標系としてECEF(Earth Centered Earth Fixed)座標系を考え、ECEF座標系で移動速度状態ベクトル及び位置状態ベクトルを定義する。ECEF座標系は、地球中心地球固定座標系として知られる三次元直交座標系である。
具体的には、例えば次式(1)及び(2)に示すような移動速度状態ベクトル「VelX」及び位置状態ベクトル「PosX」を定義する。
Figure 2014016234
Figure 2014016234
但し、「(U,V,W)」はECEF座標系の各軸方向の速度成分である。「d」は位置算出装置1のクロックのドリフトである。「(X,Y,Z)」はECEF座標系における各軸方向の位置成分である。「b」は位置算出装置1のクロックのバイアスである。
また、移動速度状態ベクトル「VelX」の誤差共分散を表す移動速度誤差共分散行列「VelP」と、位置状態ベクトル「PosX」の誤差共分散を表す位置誤差共分散行列「PosP」とを定義し、それぞれの行列の各成分に所定の初期値を設定する。
次いで、KF移動速度算出部11が、記憶部90に記憶されているKF移動速度算出プログラム911に従って、KF移動速度算出処理を実行する(ステップA3)。
KF移動速度算出処理では、KF移動速度算出部11は、移動速度予測演算を行う(ステップA5)。具体的には、次式(3)及び(4)に従って、移動速度状態ベクトル「VelX」及び移動速度誤差共分散行列「VelP」をそれぞれ予測する。
Figure 2014016234
Figure 2014016234
但し、下付きの添え字の「k」は時刻を表す。また、上付きの添え字の「−」は予測演算で得られる予測値を意味し、上付きの添え字の「+」は補正演算で得られる補正値を意味する。「VelQ」は、KF移動速度算出処理に係るシステムノイズ(プロセスノイズ)である。
その後、KF移動速度算出部11は、移動速度補正演算を行う(ステップA7)。移動速度補正演算では、KF移動速度算出部11は、衛星信号受信部20から受信周波数をメジャメント情報として取得し、メジャメントデータ93として記憶部90に記憶させる。
そして、取得した受信周波数を観測値として、公知のカルマンフィルターの補正演算式に従って、移動速度状態ベクトル「VelX」及び移動速度誤差共分散行列「VelP」を補正する。そして、補正結果として得られた移動速度を算出移動速度データ95として記憶部90に記憶させる。
次いで、位置Q行列設定部15が、記憶部90に記憶されている位置Q行列設定プログラム915に従って、位置Q行列設定処理を行う(ステップA9)。
図3は、位置Q行列設定処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、ECEF座標系において位置状態ベクトル「PosX」及び位置誤差共分散行列「PosP」を定義している。そのため、ECEF座標系での演算を可能とするために、位置Q行列設定処理では、ECEF座標系での位置Q行列を設定する処理を行う。
最初に、位置Q行列設定部15は、KF移動速度算出処理で算出された最新の移動速度を用いて、位置Q行列をボディ座標系で設定する(ステップB1)。
ボディ座標系は、位置算出装置1に固定され、実空間を移動、回転する座標系である。ボディフレームとも呼ばれる。具体的には、例えば、位置算出装置1の前方方向を正とする前後方向をx軸、位置算出装置1の右方向を正とする左右方向をy軸、位置算出装置1の下方向を正とする上下方向をz軸とする三次元直交座標系をボディ座標系と定義する。
本実施形態では、移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように位置Q行列を設定する。位置Q行列は、ボディ座標系において、前後方向に対する位置変化の許容度を定めるQ値である「QHead」と、左右方向に対する位置変化の許容度を定めるQ値である「QSide」と、上下方向に対する位置変化の許容度を定めるQ値である「QUp」とを成分として含む行列として定義することができる。
図4は、ボディ座標系における位置Q行列の設定方法の説明図である。実際にはボディ座標系は3次元の座標系であるが、簡明化のために、移動空間を上空から俯瞰した平面視の座標系、すなわち図4では前後方向の軸と左右方向の軸とでなる2次元の座標系として図示している。
本実施形態では、移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように、楕円形状の位置変化許容範囲を設定する。前後方向の軸に対する楕円の半径を「α」、左右方向の軸に対する楕円の半径を「β」と表記する。この場合、例えば、「α=m||v k||×Δt」、「β=nα」とする位置変化許容範囲を定める。
但し、||v k||は、時刻kにおいてKF移動速度算出処理で算出された移動速度の大きさ(移動速度のベクトルノルム)である。「Δt」は、前回のKF位置算出処理からの経過時間である。また、「m」及び「n」は、それぞれ前後方向及び左右方向に対する位置変化の許容度を定める係数(以下、「位置変化許容度係数」と称す。)である。位置変化許容度係数の値は適宜選択可能であるが、前後方向に対する位置変化の許容度が左右方向に対する位置変化の許容度よりも高くなるような値を選択する。例えば、「α:β=10:1」となるような値を選択する。
この場合、前後方向の軸に対するQ値には「α2」を設定し(QHead=α2)、左右方向の軸に対するQ値には「β2」を設定する(QHead=β2)。また、移動方向に対する位置変化の許容度を高くすることが目的であるため、上下方向に対する位置変化の許容度は低くてよい。そのため、上下方向の軸に対するQ値には、例えば左右方向の軸に対するQ値と同じ値を設定する(QUp=β2)。このようにボディ座標系の3軸それぞれに対するQ値を設定することで、楕円体形状の位置変化許容範囲が定められることになる。
図3に戻り、ステップB1の後、位置Q行列設定部15は、ステップA3のKF移動速度算出処理で算出されたECEF座標系での移動速度を、ENU(East North Up)座標系での移動速度に座標変換する(ステップB3)。ENU座標系は、東北上座標系として知られる三次元直交座標系である。ECEF座標系からENU座標系への座標変換は、公知の座標変換行列を用いた座標変換(行列演算)によって実現することができる。
その後、位置Q行列設定部15は、ボディ座標系からENU座標系への座標変換行列を算出する(ステップB5)。具体的には、ステップB3で座標変換したENU座標系での移動速度を用いて、ボディ座標系からENU座標系に座標変換するための回転角を算出する。
具体的には、次式(5)及び(6)に従って、上下方向に対する回転角θUp及び左右方向に対する回転角θSideを算出する。
Figure 2014016234
Figure 2014016234
但し、「vE」は移動速度の東西方向の成分であり、「vN」は移動速度の南北方向の成分である。
そして、上記のようにして算出した回転角を用いて、次式(7)〜(9)に従って座標変換行列Rを算出する。
Figure 2014016234
Figure 2014016234
Figure 2014016234
次いで、位置Q行列設定部15は、ステップB5で算出した座標変換行列Rを用いて、ステップB1においてボディ座標系で設定した位置Q行列を、ENU座標系での位置Q行列に座標変換する(ステップB7)。
その後、位置Q行列設定部15は、ENU座標系からECEF座標系への座標変換行列を用いて、ステップB7において座標変換したENU座標系での位置Q行列を、ECEF座標系での位置Q行列に座標変換する(ステップB9)。そして、位置Q行列設定部15は、位置Q行列設定処理を終了する。
図2に戻り、位置Q行列設定処理を行った後、KF位置算出部13は、記憶部90に記憶されているKF位置算出プログラム913に従って、KF位置算出処理を行う(ステップA11)。
KF位置算出処理では、KF位置算出部13は、位置予測演算を行う(ステップA13)。位置予測演算では、次式(10)及び(11)に従って、位置状態ベクトル「PosX」及び位置誤差共分散行列「PosP」をそれぞれ予測する。
Figure 2014016234
Figure 2014016234
式(10)及び式(11)において、「φ」は状態遷移行列である。状態遷移行列「φ」は、前回のKF位置算出処理からの経過時間「Δt」を成分として含む行列として定義される。そのため、式(10)によれば、前回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度と、今回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度とを平均することで平均移動速度を算出する。そして、この平均移動速度に経過時間「Δt」を乗算することで、経過時間「Δt」における位置の変化分を求め、この位置の変化分を前回の算出位置に加算することで、新たに位置を予測することを意味する。
なお、式(10)では、前回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度と、今回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度とを平均した平均移動速度を用いて位置を予測したが、前回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度は用いずに、今回のKF移動速度算出処理で算出された移動速度を用いて位置を予測することとしてもよい。
また、式(11)において、「PosQ」は、ステップA9の位置Q行列設定処理で設定されたECEF座標系での位置Q行列である。位置Q行列設定処理で設定された位置Q行列は、位置算出装置1の移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように設定された行列である。この位置Q行列を用いて、位置誤差共分散行列「PosP」の予測を行うことになる。
次いで、KF位置算出部13は、位置補正演算を行う(ステップA15)。位置補正演算では、衛星信号受信部20からGPS衛星信号を受信した信号のコード位相をメジャメント情報として取得し、メジャメントデータ93として記憶部90に記憶させる。
そして、取得したコード位相を観測値として、公知のカルマンフィルターの補正演算式に従って、位置状態ベクトル「PosX」及び位置誤差共分散行列「PosP」を補正する。そして、補正結果として得られた位置を算出位置データ97として記憶部90に記憶させる。
その後、処理部10は、KF位置算出処理で算出された算出位置を出力する(ステップA17)。そして、処理部10は、処理を終了するか否かを判定し(ステップA19)、処理を継続すると判定した場合は(ステップA19;No)、ステップA3に戻る。また、処理を終了すると判定した場合は(ステップA19;Yes)、位置算出処理を終了する。
図5は、本実施形態における位置Q行列の作用を説明するための図である。
図5(1)は、従来の手法で位置Q行列を設定した場合の説明図である。「X k-1」と表記した黒丸は、時刻k−1においてKF位置算出処理で算出された算出位置を示している。この算出位置X k-1を囲む白い円は、算出位置X k-1に内在する位置誤差の範囲(以下、「位置誤差範囲」と称す。)を示している。この位置誤差範囲は、時刻k−1においてKF位置算出処理で算出された位置誤差共分散P k-1によって定められる。
「X k」と表記した白丸は、時刻kにおいてKF位置算出処理の予測演算で予測された予測位置を示している。予測位置X kを囲む白い円は、時刻k−1における位置誤差範囲を示している。また、「X k」と表記した黒丸は、時刻kにおいてKF位置算出処理の補正演算で補正された補正位置を示しており、点線で示した丸は位置算出装置1の真位置を示している。
時刻kにおける予測演算により、白い円で囲まれる位置誤差範囲が、新たに設定される位置Q行列によって定まる位置変化許容範囲だけ広げられることになる。白い円を囲むように図示したハッチングを示した範囲が、位置Q行列によって定められる位置変化許容範囲である。但し、計算上、位置誤差範囲も算出位置が変化し得る範囲と言えるため、白い円を含めて位置変化許容範囲と言ってもよい。
従来の方法では、全ての方向に対して同じ長さ分だけ位置誤差範囲を拡張するように位置Q行列を設定していた。時刻kにおける位置の補正演算では、この拡張された位置誤差範囲に収まるように予測位置X kが補正される。しかし、全ての方向に対して同じ長さだけ位置誤差範囲を拡張したがために、マルチパス環境等において観測値(コード位相)に大きな誤差が混入すると、補正演算で求められる補正位置X kが真位置から大きく揺らいでしまう。
図5(2)は、本実施形態の手法で位置Q行列を設定した場合の説明図である。図の見方は図5(1)と同じである。本実施形態では、位置算出装置1の移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように位置変化許容範囲を定めることにしている。このため、仮に観測値に大きな誤差が混入したとしても、補正演算で得られる補正位置X kが真位置から大きく揺らぐことが防止され、真位置に近い位置が算出位置として得られるようになる。
3.作用効果
マルチパス環境では、間接波が直接波よりも長い経路長でGPS受信機に到達するため、受信機で観測されるコード位相に含まれる誤差が大きくなる。このようなコード位相を用いて位置を算出するカルマンフィルター処理を実行した場合、コード位相に内在する大きな誤差に引きずられて、位置算出の正確性が低下してしまう。
一方で、GPS受信機がGPS衛星信号を受信する場合の受信周波数は、GPS受信機とGPS衛星との相対的な位置関係及び相対的な移動速度の関係によって定まり、GPS衛星信号の伝搬経路は問題とならないため、マルチパスの影響を受けにくい特性がある。そこで、本実施形態では、最初にGPS衛星信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行する。その後、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、GPS衛星信号を受信した受信信号のコード位相を用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行する。
第2のカルマンフィルター処理では、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて位置を予測する予測演算を行う。第1のカルマンフィルター処理では、上記のように正しい移動速度が算出されるため、この移動速度を用いた予測演算を行うことで、位置の予測を高い確度で行うことができる。そして、このようにして予測した位置をコード位相を用いて補正することで、マルチパス環境においても、高い正確性で位置を算出することが可能となる。
また、本実施形態では、第2のカルマンフィルター処理で用いる位置変化の許容範囲を表すパラメーターの一種である位置Q行列を、第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて設定する。移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように移動速度を用いて位置変化の許容範囲を定めることで、移動方向以外の方向に対する位置の揺らぎを抑え、より真位置に近い位置が算出されるようにフィルターを作用させることができる。
カルマンフィルターを用いた計算方法としては、位置と移動速度とを同じ状態ベクトルとして定義して計算を行う手法も考えられる。しかし、この手法では、計算上、コード位相の誤差が移動速度の成分に影響を及ぼしてしまうため、マルチパス環境においては、位置ばかりでなく移動速度も正しく算出されなくなってしまう。その点、本実施形態の手法では、位置と移動速度とを分離して別々の状態ベクトルを定義し、別々にカルマンフィルター処理することにしているため、コード位相の誤差が移動速度に影響を及ぼすことを防止することができる。
本願発明者が実際に実験を行った結果、移動速度及び位置の何れについても、従来の手法と比べて、算出移動速度及び算出位置に含まれる誤差が低減する効果を確認した。その中でも位置については、従来の手法ではおよそ13メートルの位置誤差が観測されたのに対し、本実施形態の手法ではおよそ10メートルの位置誤差となり、3メートル程度の精度改善が見られた。
4.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明する。
4−1.位置Q行列の設定方法
図4で説明した位置Q行列の設定方法はあくまでも一例であり、適宜変更可能である。例えば、位置算出装置1の移動状態に基づいて位置変化許容度係数を定めることとしてもよい。
図6は、変形例における位置Q行列の設定方法の説明図であり、位置算出装置1の移動状態と、その移動状態に対応する位置変化許容度係数とを定めたテーブルを図示している。移動状態には、位置算出装置1が停止から移動を開始した直後の状態であることを示す「停止→移動開始」と、移動中であることを示す「移動中」とが定められている。
移動変化許容範囲係数には、位置算出装置1の前後方向の軸に対する楕円の半径を定める係数「m」と、位置算出装置1の左右方向の軸に対する楕円の半径を定める係数「n」の値とが定められている。
具体的には、「停止→移動開始」の移動状態に対しては、前後方向に対する位置変化許容度係数を「m=10A」とし、左右方向に対する位置変化許容度係数を「n=0.1」とすることが定められている。また、「移動中」の移動状態に対しては、前後方向に対する位置変化許容度係数を「m=8A」とし、左右方向に対する位置変化許容度係数を「n=0.2」とすることが定められている。但し、「A」は正の定数である。
この設定方法によれば、位置算出装置1が停止状態から移動を開始した直後の状態である場合は、移動中の場合と比べて、移動方向に対する位置変化の許容範囲を広くし、左右方向に対する位置変化の許容範囲を狭くするように位置Q行列を設定することになる。
なお、位置算出装置1の移動状態は、位置算出装置1が備えるセンサー部30が有する加速度センサーやジャイロセンサーの検出結果に基づいて、従来公知の手法を用いて検出することが可能である。
また、上記の実施形態では、KF移動速度算出処理で算出された移動速度を用いてQ行列を構成する各軸方向に対するQ値(QHead,QSide,QUp)を設定したが、移動速度の代わりに加速度を用いて各軸方向に対するQ値を設定してもよい。この場合の加速度としては、KF移動速度算出処理で算出された移動速度を時間微分することで得られる加速度を用いてもよいし、センサー部30が有する加速度の検出加速度を用いてもよい。
この場合は、上記の何れかの方法で取得した3軸の加速度を用いて加速度ノルムを計算する。また、各軸方向に対する係数を予め定めておく。具体的には、移動方向に対する位置変化の許容度が最大となるように、例えば、前後方向、左右方向及び上下方向に対する係数として「10:1:1」の比率で表される係数を定めておく。そして、各軸方向それぞれについて定められた係数と加速度ノルムとを乗算し、その乗算値を用いて、各軸方向それぞれに対するQ値を設定する。
4−2.状態ベクトル
上記の実施形態では、KF移動速度算出処理で用いる状態ベクトルを、3次元の速度成分及びクロックドリフトでなる4次元のベクトルとして定義したが、これは適宜設定変更可能である。例えば、3次元の速度成分ではなく2次元の速度成分(この場合は地表面方向の2次元)として定義してもよいし、クロックドリフトは既知であるとして状態ベクトルから除外してもよい。
これは、KF位置算出処理で用いる状態ベクトルについても同様である。つまり、3次元の位置成分ではなく2次元の位置成分として定義してもよいし、クロックバイアスは既知であるとして状態ベクトルから除外することとしてもよい。
4−3.電子機器
上記の実施形態の位置算出装置1は、種々の電子機器に内蔵配置して利用することが可能である。例えば、携帯型電話機やカーナビゲーション装置、携帯型ナビゲーション装置、パソコン、PDA(Personal Digital Assistance)、歩数計、腕時計といった種々の電子機器に搭載することが可能である。
4−4.衛星測位システム
上記の実施例では、位置算出装置1が備える衛星信号受信装置を、GPSを適用したGPS衛星信号受信装置として説明したが、GPS以外の衛星測位システムであるWAAS(Wide Area Augmentation System)やQZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の衛星測位システムを適用した衛星信号受信装置としてもよい。
1 位置算出装置、 10 処理部、 20 衛星信号受信部、 30 センサー部、 40 操作部、 50 表示部、 60 音出力部、 70 通信部、 80 時計部、 90 記憶部

Claims (4)

  1. 衛星からの測位用信号を受信することと、
    前記測位用信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行することと、
    前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、前記測位用信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行することと、
    を含む位置算出方法。
  2. 前記第2のカルマンフィルター処理は、
    前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて位置を予測する予測演算と、
    前記予測された位置を前記コード位相を用いて補正する補正演算と、
    を含む、
    請求項1に記載の位置算出方法。
  3. 前記第2のカルマンフィルター処理で用いる位置変化の許容範囲を表すパラメーターを、前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度を用いて設定することを更に含み、
    前記第2のカルマンフィルター処理は、前記設定されたパラメーターを用いて位置を算出する処理である、
    請求項1又は2に記載の位置算出方法。
  4. 衛星からの測位用信号を受信する受信部と、
    前記測位用信号の受信周波数を用いて移動速度を算出する第1のカルマンフィルター処理を実行する第1の算出部と、
    前記第1のカルマンフィルター処理で算出された移動速度と、前記測位用信号を受信した受信信号のコード位相とを用いて位置を算出する第2のカルマンフィルター処理を実行する第2の算出部と、
    を備えた位置算出装置。
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