JP2014017077A - 有機電界発光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機電界発光素子と反射体とを備え片側から光を取り出す有機電界発光体において、両面発光型の有機電界発光素子の発光効率の向上を図りつつ、発光光の損失を抑えて光取り出し効率の向上を図ることにより、性能の向上が図られた有機電界発光体を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の透明電極と、透明電極の間に狭持された発光ユニットとを有する有機電界発光素子と、有機電界発光素子の一方側に設けられた反射体とを備えた有機電界発光体である。透明電極の少なくとも一方は、金属透明導電層で構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機電界発光体に関し、特には両面発光型の有機電界発光素子と反射体とを用いた有機電界発光体に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に有機材料を用いて構成された発光ユニットを挟持した構成であり、発光ユニットで生じた発光光は少なくとも一方の電極を透過して外部に取り出される。例えば、陽極及び陰極の一方を透明電極とし、他方を金属電極とした片面発光型の有機電界発光素子がある。この場合、発光ユニットで生じた発光光のうち金属電極側に放出された発光光は、その大部分が、金属電極の表面で反射され透明電極を透過して外部に取り出される。しかし、金属電極側に放出された発光光の一部分は、金属電極の表面で損失される。このように金属電極を用いた有機電界発光素子では、プラズモン損失と呼ばれる発光光の損失があり、発光光の取り出し効率が下がる。
そこで、金属電極を使用せず、陽極、陰極共に透明電極とした両面発光型の有機電界発光素子を用い、この有機電界発光素子の一方に誘電体多層膜からなるミラー層を配置した有機電界発光体が開示されている。このように金属を使用していない透明電極及び誘電体多層膜を用いた有機電界発光体では、プラズモン損失が抑制され、発光光の取り出し効率が向上する。なお、この有機電界発光体において、透明電極には、酸化インジウムスズ(SnO−In:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられる。(例えば下記特許文献1参照)
また、ミラー層に替えて調光層を用いた有機電界発光体が開示されている。調光層は、水素化によって透明状態となり、脱水素化によって鏡面状態となるクロミック特性を有する。例えば、ガスクロミック手法により、調光層の水素化または脱水素化が行われる(例えば下記特許文献2参照)。
特開2011−233289号公報 特開2009− 99400号公報
しかしながら、一般的に透明電極として用いられているITOのような酸化物半導体系の材料は仕事関数が深いため、陽極としての性能は優れるが、陰極としての性能が劣る傾向にある。このため、陽極、陰極共にITOを用いた構成では、陰極からの電子注入効率に限界があり、有機電界発光素子の発光効率に限界がある。
そこで本発明は、有機電界発光素子と反射体とを備え片側から光を取り出す有機電界発光体において、両面発光型の有機電界発光素子の発光効率の向上を図りつつ、発光光の損失を抑えて光取り出し効率の向上を図ることにより、性能の向上が図られた有機電界発光体を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.一対の透明電極と、当該透明電極の間に狭持された発光ユニットとを有する有機電界発光素子と、
前記透明電極の少なくとも一方を構成する金属透明導電層と、
前記有機電界発光素子の一方側に設けられた反射体と
を備えた有機電界発光体。
2.前記反射体が、透明状態と反射状態との切り替えが可能な調光素子である前記1記載の有機電界発光体。
3.前記調光素子が、一対の透明電極を有する前記2記載の有機電界発光体。
4.前記反射体が、前記有機電界発光素子の一方側にスペーサを介して設けられた前記1〜3の何れか記載の有機電界発光体。
5.前記金属透明導電層は、銀または銀を主成分とした合金で構成されると共に、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層に隣接して配置されている前記1〜4の何れかに記載の有機電界発光体。
6.前記窒素原子を含んだ化合物が、ピリジン基を含有する前記5記載の有機電界発光体。
7.前記窒素原子を含んだ化合物が下記一般式(1)で表される化合物を有する前記5または6記載の有機電界発光体。
一般式(1) (Ar1)n1−Y1
〔ただし一般式(1)中、n1は1以上の整数を表し、Y1はn1が1の場合は置換基を表し、n1が2以上の場合は単なる結合手またはn1価の連結基を表す。
Ar1は下記一般式(A)で表される基を表し、n1が2以上の場合、複数のAr1は同一でも異なっていてもよい。
また一般式(1)で表される化合物は分子内に3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。〕
〔ただし一般式(A)中、Xは、−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R’)−を表し、E1〜E8は、−C(R1)=または−N=を表し、R、R’およびR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。
*はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。
Y3およびY4は、各々5員または6員の芳香族環から導出される基を表し、少なくとも一方は環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。
n2は1〜4の整数を表す。〕
8.前記窒素含有層が、1〜100nmの膜厚を有する前記5〜7の何れか記載の有機電界発光体。
9.前記有機電界発光素子の少なくとも一方に配置された基材を備え、当該基材が可撓性を有する前記1〜8の何れか記載の有機電界発光体。
10.前記有機電界発光素子を挟持して配置された基材を備え、当該基材がガスバリア性を有する前記1〜9の何れか記載の有機電界発光体。
11.前記基材が、印刷または塗布により形成されたものである前記9または10記載の有機電界発光体。
以上のように構成された本発明の有機電界発光体は、有機電界発光素子と反射体とを備えた構成である。有機電界発光素子は、陽極及び陰極の一対の透明電極を有する両面発光型であり、少なくとも一方の透明電極は金属透明導電層で構成される。例えば陰極として金属透明導電層を用い、陽極として酸化物半導体系で構成された透明電極を用いた場合には、金属透明導電層を陽極よりも仕事関数が浅い金属を用いて形成し、陰極としての性能に優れた透明電極として使用できる。このため、有機電界発光素子は両面発光型でありながらも、陰極及び陽極の各透明電極から電子及び正孔を効率良く注入することができ、有機電界発光素子の発光効率が向上する。
また、金属透明導電層は金属で構成されるが、透明性を有するほどの極薄い金属膜であるため膜として認識されず、金属透明導電層で光のプラズモン損失が生じない。このため、金属透明導電層側に放出された発光光は金属透明導電層でプラズモン損失されることなく金属透明導電層を透過する。
したがって、本発明の有機電界発光素子で効率良く発生させた発光光は、金属透明導電層でプラズモン損失されることなく透明電極を透過し、有機電界発光素子の両面から外部に放出される。これら発光光を有機電界発光素子の一方側に設けられた反射体で反射させ、有機電界発光素子の他方側から光を効率良く取り出すことが可能となり、この結果、輝度が高く高性能な有機電界発光体が可能となる。
また本発明の反射体として、例えば、金属で構成された反射層、誘電体多層膜、及び透明状態と反射状態との切り替えが可能な調光素子が、好適に使用できる。本発明の有機電界発光体は、発光光の発生点である発光ユニットと反射体との間に透明電極が設けられた構成であり、このため、反射体と発光光の発生点との間に距離を確保でき、発光光がプラズモンモードに結合しにくくなる。これにより、反射体として金属材料を用いた反射層または調光素子を用いた場合にも、プラズモン損失を大幅に減らすことができる。一方、反射体として誘電体多層膜を用いた場合には、金属ではないためプラズモンモードは発生せず、プラズモン損失を完全に抑制できる。また、反射体として調光素子を用いた場合には、両面発光と片面発光との切り替えが可能な高効率照明として有機電界発光体を提供できる。
以上説明したように本発明によれば、有機電界発光素子の発光効率の向上を図りつつ、発光光の損失を抑え、有機電界発光体の光取り出し効率の向上を図ることが可能となる。これより、有機電界発光体の性能の向上を図ることが可能となる。
金属透明導電層を備えた透明電極の構成を示す断面模式図である。 第1実施形態の有機電界発光体の構成を示す断面模式図である。 第1実施形態の変形例1を説明するための断面模式図である。 第1実施形態の変形例2を説明するための断面模式図である。 第2実施形態の有機電界発光体の構成を示す断面模式図である。 第2実施形態の変形例1を説明するための断面模式図である。 第3実施形態の有機電界発光体の構成を示す断面模式図である。 第3実施形態の有機電界発光体に用いる調光素子の構成を示す断面模式図である。 第3実施形態の変形例1を説明するための断面模式図である。 第3実施形態の変形例2を説明するための断面模式図である。 第3実施形態の変形例3を説明するための断面模式図である。 実施例1で作製した有機電界発光素子の構成を示す断面模式図である。 実施例5で作製した透明電極の構成を示す断面模式図である。
以下、図面に基づいて、本技術の実施の形態を次に示す順に説明する。
1.金属透明導電層を備えた透明電極の構成
2.第1実施形態(反射体として反射層を備えた有機電界発光体の例)
3.第1実施形態の変形例1
4.第1実施形態の変形例2
5.第2実施形態(反射体として誘電体多層膜を備えた有機電界発光体の例)
6.第2実施形態の変形例1
7.第3実施形態(反射体として調光素子を備えた有機電界発光体の例)
8.第3実施形態の変形例1
9.第3実施形態の変形例2
10.第3実施形態の変形例3
11.第3実施形態の変形例4
12.有機電界発光体の用途
13.照明装置−1
14.照明装置−2
なお、各実施形態及びその変形例において、共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<1.金属透明導電層で構成された透明電極の構成>
本発明の有機電界発光体に用いる有機電界発光素子は、陽極及び陰極として一対の透明電極を有し、少なくとも一方の透明電極は、ここで説明する金属透明導電層で構成された透明電極である。
金属透明導電層は、光透過性を保てる程度、かつ、照射された光がプラズモン損失されない程度に極薄い金属膜である。さらに金属透明導電層は、極薄い金属膜であっても、導電性を有する程度に連続した金属膜である。具体的には、波長550nmにおける光透過率が60%以上であり、膜厚が1〜10nmであり、シート抵抗が0.0001〜50Ω/□、好ましくは0.01〜30Ω/□である。
このような金属透明導電層が有機電界発光素子の陽極として用いられる場合、金属透明導電層は、陰極よりも仕事関数の深い金属を用いて構成される。
一方、金属透明導電層が有機電界発光素子の陰極として用いられる場合、金属透明導電層は、陽極よりも仕事関数の浅い金属を用いて構成される。例えば、陽極を構成する透明電極がITO等の酸化物半導体系からなる場合には、これに対する陰極としての金属透明導電層を構成する金属の一例として、銀、及び銀を主成分とした合金が挙げられる。この銀または銀を主成分とした合金を用いた金属透明導電層は、窒素原子を含んだ化合物を用いた窒素含有層の上に隣接して積層されることが好ましい。例えば、図1に示すように、このような金属透明導電層1bは、基材2の上に窒素含有層1aを介して積層される。
以下に、陰極となる透明電極を構成する場合の金属透明導電層1b、窒素含有層1a、及び基材2の詳細な構成をこの順に説明する。
[金属透明導電層1b]
金属透明導電層1bは、銀または銀を主成分とした合金を用いて構成された層であって、図1に示すように、窒素含有層1aに隣接して成膜された層である。このような金属透明導電層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また金属透明導電層1bは、窒素含有層1a上に成膜されることにより、導電性層は成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。
このような金属透明導電層1bを構成する金属は、例えば銀(Ag)、または銀を主成分とした合金である。銀(Ag)とは、銀の安定性を確保するために添加されるパラジウム(Pd)、銅(Cu)、金(Au)などを含んでいてもよく、銀の純度が99%以上のものとする。また銀を主成分とした合金とは、銀の含有率が50%以上のものとする。このような合金の一例として、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、銀金(AgAu)、銀アルミ(AgAl)、銀亜鉛(AgZn)、銀錫(AgSn)、銀白金(AgPt)、銀チタン(AgTi)、銀ビスマス(AgBi)などが挙げられる。
また以上のような金属透明導電層1bは、銀または銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。つまり、銀の層と、合金の層とが交互に複数回積層された構成であってもよく、または異なる合金の層が複数層積層された構成であってもよい。また金属透明導電層1bが2層構造である例として、窒素含有層1a上にアルミニウム(Al)の層を介して銀の層を積層した構成が挙げられる。このアルミニウムの層は連続膜ではなく、島状であったり孔を有する層であってもよく、その場合には、銀の層の一部が窒素含有層1aに隣接して設けられる。このように、窒素含有層1aと銀を主成分とする膜との間に他の金属を挟んだ構成であってもよい。
[窒素含有層1a]
窒素含有層1aは、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された層であり、図1に示すように、金属透明導電層1bに隣接して設けられた層である。このような窒素含有層1aが基材に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
窒素含有層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物は、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば、特に限定はないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
また、以上のような窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物として特に好ましいのは、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物である。
[一般式(1)]
一般式(1) (Ar1)n1−Y1
一般式(1)の式中、n1は1以上の整数を表し、Y1はn1が1の場合は置換基を表し、n1が2以上の場合は単なる結合手またはn1価の連結基を表す。Ar1は後記する一般式(A)で表される基を表し、n1が2以上の場合、複数のAr1は同一でも異なっていてもよい。但し、前記一般式(1)で表される化合物は分子内に3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
一般式(1)において、Y1で表される置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、Y1で表されるn1価の連結基としては、具体的には、2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基等が挙げられる。
一般式(1)において、Y1で表される2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)、酸素や硫黄などのカルコゲン原子、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基等(ここで、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、好ましくはN、O及びSから選択されたヘテロ原子を、縮合環を構成する元素として含有する芳香族複素縮合環であることが好ましく、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等)が挙げられる。
一般式(1)において、Y1で表される3価の連結基としては、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ピリジントリイル基、カルバゾールトリイル基等が挙げられる。
一般式(1)において、Y1で表される4価の連結基としては、上記の3価の基にさらにひとつ結合基がついたものであり、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、ピリジンテトライル基、カルバゾールテトライル基等が挙げられる。
なお、上記の2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基は、各々さらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表される化合物の好ましい態様としては、Y1が3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を表すことが好ましく、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環が好ましい。また、n1が2以上であることが好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物は、分子内に上記の3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
また、Y1がn1価の連結基を表す場合、一般式(1)で表される化合物の三重項励起エネルギーを高く保つために、Y1は非共役であることが好ましく、さらに、Tg(ガラス転移点、ガラス転移温度ともいう)を向上させる点から、芳香環(芳香族炭化水素環+芳香族複素環)で構成されていることが好ましい。
ここで、非共役とは、連結基が単結合(一重結合ともいう)と二重結合の繰り返しによって表記できないか、または連結基を構成する芳香環同士の共役が立体的に切断されている場合を意味する。
[一般式(A)で表される基]
一般式(1)中におけるAr1は、下記一般式(A)で表される基を表す。
式中、Xは、−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は、−C(R1)=または−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。*はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。Y3及びY4は、各々5員または6員の芳香族環から導出される基を表し、少なくとも一方は環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n2は1〜4の整数を表す。
ここで、一般式(A)のXで表される−N(R)−または−Si(R)(R′)−において、さらに、E1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
また、一般式(A)において、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(1)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
さらに、一般式(A)において、Y3及びY4で各々表される5員または6員の芳香族環から導出される基の形成に用いられる5員または6員の芳香族環としては、ベンゼン環、オキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
さらに、Y3及びY4で各々表される5員または6員の芳香族環から導出される基の少なくとも一方は、環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表すが、当該環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環としては、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
(Y3で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y3で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、ベンゼン環から導出される基である。
(Y4で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y4で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、窒素原子を環構成原子と含む芳香族複素環から導出される基であり、特に好ましくは、Y4がピリジン環から導出される基であることである。
(一般式(A)で表される基の好ましい態様)
一般式(A)で表される基の好ましい態様としては、下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)または(A−4)のいずれかで表される基が挙げられる。
上記一般式(A−1)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=または−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。E11〜E20は、−C(R2)=または−N=を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基または連結部位を表す。但し、E11、E12の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(1)のY1との連結部位を表す。
上記一般式(A−2)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=または−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。E21〜E25は−C(R2)=または−N=を表し、E26〜E30は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−または−Si(R3)(R4)−を表し、E21〜E30の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基または連結部位を表し、R3及びR4は水素原子または置換基を表す。但し、E21またはE22の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(1)のY1との連結部位を表す。
上記一般式(A−3)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=または−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。E31〜E35は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−または−Si(R3)(R4)−を表し、E36〜E40は−C(R2)=または−N=を表し、E31〜E40の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基または連結部位を表し、R3及びR4は水素原子または置換基を表す。但し、E32またはE33の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(1)のY1との連結部位を表す。
上記一般式(A−4)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=または−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。E41〜E50は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−または−Si(R3)(R4)−を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基または連結部位を表し、R3及びR4は水素原子または置換基を表す。但し、E42またはE43の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(1)のY1との連結部位を表す。
以下、一般式(A−1)〜(A−4)のいずれかで表される基について説明する。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかのXで表される−N(R)−または−Si(R)(R′)−において、さらに、E1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかにおいて、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(1)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
一般式(A−1)のE11〜E20、一般式(A−2)のE21〜E30、一般式(A−3)のE31〜E40、一般式(A−4)のE41〜E50で、各々表される−C(R2)=のR2で表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
次に、本発明に係る一般式(1)で表される化合物のさらに好ましい態様について説明する。
[一般式(2)で表される化合物]
本発明では、上記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。以下、一般式(2)で表される化合物について説明する。
上記一般式(2)の式中、Y5は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E51〜E66は、各々−C(R3)=または−N=を表し、R3は水素原子または置換基を表す。Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基または芳香族複素環から導出される基を表し、Y6またはY7の少なくとも一方、及びY8またはY9の少なくとも一方は、N原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n3及びn4は0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。
一般式(2)において、Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基は、一般式(1)において、Y1で表される2価の連結基の一例として記載されているアリーレン基、ヘテロアリーレン基と各々同義である。
Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基またはジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(2)において、E51〜E66で各々表される−C(R3)=のR3で表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
一般式(2)において、E51〜E66で各々表される基としては、E51〜E58のうちの6つ以上及びE59〜E66のうちの6つ以上が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい。
一般式(2)において、Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基の形成に用いられる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
さらに、前記芳香族炭化水素環は、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Y6〜Y9は、各々芳香族複素環から導出される基の形成に用いられる芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
さらに、前記芳香族炭化水素環は、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Y6またはY7の少なくとも一方、及びY8またはY9の少なくとも一方で表されるN原子を含む芳香族複素環から導出される基の形成に用いられるN原子を含む芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
一般式(2)において、Y7、Y9で表される基としては、各々ピリジン環から導出される基を表すことが好ましい。
また、一般式(2)において、Y6及びY8で表される基としては、各々ベンゼン環から導出される基を表すことが好ましい。
さらに、本発明に係る一般式(2)で表される化合物の中でもさらに好ましい態様について説明する。
[一般式(3)で表される化合物]
本発明では、上記一般式(2)で表される化合物の中でも、さらに下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。以下、一般式(3)で表される化合物について説明する。
上記一般式(3)の式中、Y5は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E51〜E66、E71〜E88は、各々−C(R3)=または−N=を表し、R3は水素原子または置換基を表す。但し、E71〜E79の少なくとも1つ及びE80〜E88の少なくとも1つは−N=を表す。n3及びn4は0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。
一般式(3)において、Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基は、一般式(1)において、Y1で表される2価の連結基の一例として記載されているアリーレン基、ヘテロアリーレン基と各々同義である。
Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基またはジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(3)において、E51〜E66、E71〜E88で各々表される−C(R3)=のR3で表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
一般式(3)において、E51〜E58のうちの6つ以上及びE59〜E66のうちの6つ以上が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい。
一般式(3)において、E75〜E79の少なくとも1つ及びE84〜E88の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(3)において、E75〜E79のいずれか1つ及びE84〜E88のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(3)において、E71〜E74及びE80〜E83が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。
さらに、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物において、E53が−C(R3)=で表され、且つ、R3が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E61も同時に−C(R3)=で表され、且つ、R3が連結部位を表すことが好ましい。
さらに、E75及びE84が−N=で表されることが好ましく、E71〜E74及びE80〜E83が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい。
また窒素含有層1aを構成する化合物の他の例として、下記一般式(4)で表される化合物が用いられる。
上記一般式(4)の式中、T11およびT12のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、T21〜T25のうちの少なくとも1つは窒素原子であり、T31〜T35のうちの少なくとも1つは窒素原子である。
また一般式(4)のうち、Rは置換基を示す。置換基の例としては、一般式(1)のY1と同様のものが挙げられる。これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。
[化合物の具体例]
以下に、本発明に係る一般式(1)、(2)、(3)、または(4)で表される化合物、及びその他の窒素含有化合物の具体例(1〜125)を示すが、これらに限定されない。
[化合物の合成例]
以下に代表的な化合物の合成例として、化合物5の具体的な合成例を示すが、これに限定されない。
工程1:(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、2,8−ジブロモジベンゾフラン(1.0モル)、カルバゾール(2.0モル)、銅粉末(3.0モル)、炭酸カリウム(1.5モル)を、DMAc(ジメチルアセトアミド)300ml中で混合し、130℃で24時間撹拌した。これによって得た反応液を室温まで冷却後、トルエン1Lを加え、蒸留水で3回洗浄し、減圧雰囲気下において洗浄物から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン:トルエン=4:1〜3:1)にて精製し、中間体1を収率85%で得た。
工程2:(中間体2の合成)
室温、大気下で中間体1(0.5モル)をDMF(ジメチルホルムアミド)100mlに溶解し、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)(2.0モル)を加え、一晩室温で撹拌した。得られた沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、中間体2を収率92%で得た。
工程3:(化合物5の合成)
窒素雰囲気下、中間体2(0.25モル)、2−フェニルピリジン(1.0モル)、ルテニウム錯体[(η6−C6H6)RuCl2]2(0.05モル)、トリフェニルホスフィン(0.2モル)、炭酸カリウム(12モル)を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)3L中で混合し、140℃で一晩撹拌した。
反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5Lを加え、反応液を濾過した。次いで減圧雰囲気下(800Pa、80℃)において濾液から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:Et3N=20:1〜10:1)にて精製した。
減圧雰囲気下において、精製物から溶媒を留去した後、その残渣をジクロロメタンに再び溶解し、水で3回洗浄した。洗浄によって得られた物質を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧雰囲気下において乾燥後の物質から溶媒を留去することにより、化合物5を収率68%で得た。
<基材2>
上述した金属透明導電層1b及び窒素含有層1aが形成される基材2は、例えばガラス、プラスチック等を挙げることができる。透明電極を構成する金属透明導電層1bが、基材2側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材2は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材2としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、隣接する層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施したり、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m2・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10-3ml/(m2・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10-5g/(m2・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能、つまりガスバリア性を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができ、その他にも、特開2012−6154号公報に記載されたバリア性フィルムを用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
以上のような透明電極は、例えば、銀または銀を主成分とする合金からなる金属透明導電層1bで構成され、この金属透明導電層1bに窒素原子を含んだ化合物からなる窒素含有層1aが隣接して設けられている。これにより、窒素含有層1a上に隣接して金属透明導電層1bを成膜する際には、金属透明導電層1bを構成する銀原子が窒素含有層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の窒素含有層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって連続膜が成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の金属透明導電層1bが得られるようになる。
また、透明電極を構成する金属透明導電層1bは、金属で構成された層であり、光透過性と導電性とを有する。この金属透明導電層1bは、膜厚が10nm以下であり、層表面で光のプラズモン損失を防ぐことが可能な程度に極薄い金属層である。これにより、金属透明導電層1bは、電極としての実用性を確保しつつも、光の吸収成分または反射成分が低く抑えられ、照射された光のプラズモン損失が生じないものとなる。さらに、このように薄い膜厚を有する金属透明導電層1bは、上述したように窒素含有層1aに隣接して成膜されることにより、均一な膜厚と連続性とを有する。したがって、金属透明導電層1bは、上述したように10nm以下と言った極薄膜でありながらも、導電性を有するものとなる。
以上の結果、このような金属透明導電層1bで構成された透明電極は、薄膜でありながらも連続性の高い膜であることにより、プラズモン損失なく光透過性を確保しつつ、導電性も確保されたものとなる。これにより、この透明電極は、導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。
またこのような透明電極は、レアメタルであるインジウム(In)を用いていないため低コストであり、またZnOのような化学的に不安定な材料を用いていないため長期信頼性にも優れている。
<2.第1実施形態>
(反射体として反射層を備えた有機電界発光体の例)
図2は、上述した銀を主成分とする金属透明導電層1bで構成された透明電極を有する有機電界発光体の第1実施形態を示す断面構成図である。以下にこの図に基づいて有機電界発光体EL−1の構成を説明する。
[有機電界発光体EL−1の概略構成]
図2に示すように、有機電界発光体EL−1は、基材12の一面上に、両面発光型の有機電界発光素子10と、反射体としての反射層14とを積層した構造である。
有機電界発光素子10は、第1透明電極21、発光ユニット3、窒素含有層1a、及び金属透明導電層1bで構成された第2透明電極22が、基材12側から順に積層された構成である。この有機電界発光素子10の上には、スペーサとしての封止基材13aを介して反射層14が設けられる。また有機電界発光素子10の下には、基材12を介して高屈折率層11が設けられる。
この有機電界発光体EL−1において、有機電界発光素子10の有する一対の透明電極の一方が、先に説明した金属透明導電層1bで構成されたところが特徴的である。また、有機電界発光素子10の上に、スペーサとしての封止基材13aを介して、反射層14が積層されたところが特徴的である。
有機電界発光素子10で発生した発光光hは、高屈折率層11側から取り出される。図2に示す矢印のように、発光光hのうち高屈折率層11側に放出された光は、そのまま高屈折率層11側から取り出され、一方、発光光hのうち反射層14側に放出された光は、反射層14で反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。つまり、有機電界発光素子10で発生した発光光hのすべてが、有機電界発光体EL−1の片側すなわち高屈折率層11側から取り出される。
以下に、有機電界発光素子10、基材12、封止基材13a、反射層14、及び高屈折率層11の詳細な構成をこの順に説明し、その後、有機電界発光体EL−1の製造方法を説明する。
[有機電界発光素子10]
有機電界発光素子10は、陽極となる第1透明電極21と、陰極となる第2透明電極22と、これらの間に狭持された発光ユニット3で構成される。また第2透明電極22は金属透明導電層1bで構成され、この金属透明導電層1bと発光ユニット3との間に窒素含有層1aが設けられる。第1及び第2透明電極21,22は、波長550nmにおける光透過率が60%以上の光透過性を有する。続いて、第1透明電極21、第2透明電極22、及び発光ユニット3の詳細について順に説明する。
[第1透明電極21]
第1透明電極21は、有機電界発光素子10の陽極であり、光透過性を有すると共に、陰極よりも仕事関数の深い材料を用いて構成される。このような材料として、例えば、一般的に透明電極として用いられる、酸化インジウムスズ(ITO:以下、ITOと記す)、ヨウ化銅(CuI)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物半導体系からなる無機導電膜を用いる。その他に、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合体(PEDOT/PSS)等からなる有機導電ポリマー膜、または銀ナノワイヤー等の金属微粒子、カーボンナノチューブ、グラフェン等を炭素材料に含有させた導電膜等を用いてもよい。
また、陽極である第1透明電極21として、金属透明導電層を用いてもよい。この場合には、陰極よりも仕事関数の深い材料で形成された金属透明導電層を陽極として用いる。
[第2透明電極22]
第2透明電極22は、有機電界発光素子10の陰極であり、光透過性を有すると共に、陽極よりも仕事関数の浅い材料を用いて構成される。本実施形態では、このような第2透明電極22として、先に説明した金属透明導電層1bを用いる。
例えば、第1透明電極21として、先に例示した無機導電膜、有機導電膜、複合導電膜を用いる場合であれば、銀を主成分とした金属透明導電層1bが、陰極である第2透明電極22として用いられる。このように金属透明導電層1bに銀または銀を主成分とした合金を用いる場合、先に説明したように、金属透明導電層1bは、窒素含有層1a上に隣接して成膜される。この窒素含有層1aは、本実施形態では、発光ユニット3と陰極である金属透明導電層1bとの間に配置され、発光ユニット3を構成する層ともなる。このため、本実施形態における窒素含有層1aは、電子輸送性または電子注入性の少なくとも一方を有する材料で構成されることが好ましい。
[発光ユニット3]
発光ユニット3は、全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造を有していて良い。一例として、陽極となる第1透明電極21側から順に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層]を積層した構成が例示されるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層を有することが必須である。正孔注入層および正孔輸送層は、正孔輸送/注入層として設けられても良い。電子輸送層および電子注入層は、電子輸送/注入層として設けられても良い。また発光ユニット3を構成する各層のうち、例えば電子注入層は無機材料で構成されている場合もある。
また発光ユニット3は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていて良い。さらに発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させて発光層ユニットとして形成されていても良い。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能しても良い。
さらに発光ユニット3は、同一色の発光光hが得られるように構成されていても良く、異なる色の発光光hが得られるように構成されていても良い。
以下、発光ユニット3を構成する各層について、発光層、注入層、正孔輸送層、電子輸送層、阻止層の順に説明する。
(発光層)
本発明に用いられる発光層は、発光材料として燐光発光化合物が含有されている。
この発光層は、電極または電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmである。尚、発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
複数層を積層した構成の発光層の場合、個々の発光層の膜厚としては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により製膜して形成することができる。
また発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)を同一発光層中に混合して用いてもよい。
発光層の構成として、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
〜ホスト化合物〜
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
以下に、本発明で用いることのできるホスト化合物の具体例(H1〜H79)を示すが、これらに限定されない。なお、ホスト化合物H68〜H79において、x及びyはランダム共重合体の比率を表す。その比率は、例えば、x:y=1:10などとすることができる。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
〜発光材料〜
本発明で用いることのできる発光材料としては、燐光発光性化合物(燐光性化合物、燐光発光材料ともいう)が挙げられる。
燐光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光性化合物に移動させることで燐光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、燐光発光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり燐光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、燐光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
燐光発光性化合物は、一般的な有機電界発光素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の燐光発光性化合物を含有していてもよく、発光層における燐光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
燐光発光性化合物は好ましくは発光層の総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
(一般式(5)で表される化合物)
発光層に含まれる化合物(燐光発光性化合物)は、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(5)で表される燐光発光性化合物(燐光発光性の金属錯体ともいう)は、有機電界発光素子の発光層に発光ドーパントとして含有されることが好ましい態様であるが、発光層以外の発光ユニットに含有されていてもよい。
上記一般式(5)中、P、Qは、各々炭素原子または窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成する原子群を表す。A2はQ−Nと共に芳香族複素環を形成する原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2または3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(5)において、P、Qは、各々炭素原子または窒素原子を表す。
そして、一般式(5)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(5)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、前記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(5)において、A2が、Q−Nと共に形成する芳香族複素環としては、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(5)において、P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(5)において、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2または3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(5)において、M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム好ましい。
(一般式(6)で表される化合物)
一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(6)で表される化合物であることがさらに好ましい。
上記一般式(6)式中、Zは、炭化水素環基または複素環基を表す。P、Qは、各々炭素原子または窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成する原子群を表す。A3は−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−または−N=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子または置換基を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子、または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2または3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(6)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(6)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
好ましくは、Zで表される基は芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基である。
一般式(6)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(6)において、A1がP−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、前記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(6)のA3で表される、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−において、R01、R02で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
一般式(6)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
また、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2または3を表す、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(6)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)は、一般式(5)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
(一般式(7)で表される化合物)
上記一般式(6)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(7)式中、R03は置換基を表し、R04は水素原子または置換基を表し、複数のR04は互いに結合して環を形成してもよい。n01は1〜4の整数を表す。R05は水素原子または置換基を表し、複数のR05は互いに結合して環を形成してもよい。n02は1〜2の整数を表す。R06は水素原子または置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。n03は1〜4の整数を表す。Z1はC−Cと共に6員の芳香族炭化水素環もしくは、5員または6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Z2は炭化水素環基または複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2または3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。R03とR06、R04とR06及びR05とR06は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(7)において、R03、R04、R05、R06で各々表される置換基は、一般式(1)において、Y1で表される置換基と同義である。
一般式(7)において、Z1がC−Cと共に形成する6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、Z1がC−Cと共に形成する5員または6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、Z2で表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、Z2で表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でもよく、また、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの環は無置換でもよく、さらに、一般式(1)において、Y1で表される置換基を有してもよい。
一般式(7)において、Z1及びZ2で形成される基としては、ベンゼン環が好ましい。
一般式(7)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(5)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(7)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(5)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
また、燐光発光性化合物は、有機電界発光素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係る燐光発光性化合物は、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明に係る燐光発光性化合物の具体例(Pt−1〜Pt−3、A−1、Ir−1〜Ir−50)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、これらの化合物において、m及びnは繰り返し数を表す。
上記の燐光発光性化合物(燐光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
〜蛍光発光材料〜
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層であれば、陽極と発光層または正孔輸送層の間、電子注入層であれば陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。本発明の電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は、上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層構造または複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層、および積層構造の電子輸送層において発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送層の材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層の材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層には、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層の材料(電子輸送性化合物)として、上述した窒素含有層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。これは、電子注入層を兼ねた電子輸送層であっても同様であり、上述した窒素含有層1aを構成する材料と同様のものを用いても良い。
(阻止層:正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
(その他の構成要素)
以上のような有機電界発光素子10は、金属透明導電層1bで構成された第2透明電極22の低抵抗化を図ることを目的とし、第2透明電極22に接して下記の補助電極が設けられていても良い。
(補助電極)
補助電極は、透明電極の抵抗を下げる目的で設けるものであって、第2透明電極22に接して設けられる。補助電極を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極の厚さは、導電性の観点から1μ以上であることが好ましい。
[基材12]
基材12は、有機電界発光素子10を設けるための基材である。本第1実施形態では、有機電界発光素子10で生じた発光光hを、基材12側から取り出すため、この基材12は光透過性を有する。このような基材12に用いる材料は、図1に示す基材2の説明で例示した材料の中から光透過性を有する材料を選択して用いる。また基材12は、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
[封止基材13a]
封止基材13aは、基材12上に設けられた有機電界発光素子10を覆って封止する基材である。本第1実施形態では、反射層14側に放出された発光光hが、封止基材13aを透過して反射層14で反射される。このため、封止基材13aは光透過性を有する。したがって、このような封止基材13aに用いる材料は、図1に示す基材2の説明で例示した材料の中から光透過性を有する材料を選択して用いる。また必要に応じて、封止基材13aは、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
また特に本第1実施形態では、図2に示すように、封止基材13aが、有機電界発光素子10と反射層14との間のスペーサとして用いられているところが特徴的である。スペーサとしての封止基材13aは、ある程度の厚みtを有する。この厚みtは、有機電界発光素子10内の発光ユニット3で生じた発光光hが、反射層14に入射した際に生じるプラズモン損失を抑制する程度の厚みである。プラズモン損失は発光光hの発生点と反射層14との距離が大きいほど抑制されるものであり、つまり、厚みtが大きいほどプラズモン損失が抑制される。このようなスペーサとしての封止基材13aの厚さtは、10μm程度以上であることが好ましい。また封止基材13aがガスバリア性を有する場合、この厚みtは、プラズモン損失を抑制できる厚みの範囲において、ガスバリア性を得られる厚みとする。
また封止基材13aは、有機材料等を用いて構成された発光ユニット3の劣化を防止することを目的として、透明基材12上において有機電界発光素子10を封止する。封止基材13aは、有機電界発光素子10を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤によって透明基材12側に固定されるものであっても良く、封止膜であっても良い。このような封止基材13aは、有機電界発光素子10における第1透明電極21及び第2透明電極22の端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光ユニット3を覆う状態で設けられている。また封止基材13aに電極を設け、有機電界発光素子10の第1透明電極21及び第2透明電極22の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていても良い。
[反射層14]
反射層14は、有機電界発光素子10内で生じた発光光hを反射させる反射体であり、60%以上の反射率を有することが好ましい。この反射層14は、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、チタン、ナトリウム、カルシウム等の金属材料、またはこれらを含む合金で構成される。また反射層14は、有機電界発光素子10の一方にスペーサとしての封止基材13aを介して配置され、本実施形態では、第2透明電極22側に配置される。
[高屈折率層11]
高屈折率層11は、第1透明電極21、発光ユニット3,第2透明電極22、基材12の何れよりも屈折率が高く透明な層である。高屈折率層11は、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化ジルコニウム(ZrO)、タンタル酸カリウム(KTaO3)等の材料で構成された層であり、またこれらの材料に光散乱効果のある微粒子が分散された層であってもよい。高屈折率層11の膜厚は、例えば数十〜数百nm程度である。このような高屈折率層11は、有機電界発光素子10の光取り出し側に配置される。なお、基材12が、有機電界発光素子10の各層よりも充分に高い屈折率を有する場合には、高屈折率層11を省略してもよい。
[有機電界発光体EL-1の作製方法]
先ず基材12上に、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって、第1透明電極21を陽極として形成する。
次にこの上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に成膜し、発光ユニット3を形成する。これらの各層の成膜は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10-6Pa〜10-2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
次いで、窒素原子を含んだ化合物からなる窒素含有層1aを、1μm以下、好ましくは10nm〜100nmの膜厚になるように形成する。その後、銀(または銀を主成分とした合金)からなる金属透明導電層1bを、10nm以下の膜厚になるように成膜し、第2透明電極22を陽極として形成する。その形成方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法が特に好ましい。また、第1透明電極21の形成前後には、必要に応じて補助電極のパターン形成を行う。
このような有機電界発光素子10の作製においては、一回の真空引きで一貫して発光ユニット3及び第2透明電極22を作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から基材12を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
ここまでにより、基材12上に有機電界発光素子10が形成される。またその後には、有機電界発光素子10における第1透明電極21および第2透明電極22の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット3を覆う封止基材13aを、100μm程度の膜厚で設ける。この際、接着剤を用いて、封止基材13aを基材12側に接着し、これらの封止基材13a−基材12間に有機電界発光素子10を封止する。
続いてスペーサとしての封止基材13a上に、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって、反射層14を形成する。なお、あらかじめ反射層14が設けられた封止基材13aを有機電界発光素子10に貼り合わせてもよい。
以上の後、基材12の下層に高屈折率層11を形成する。なお、有機電界発光素子10を形成する前に、基材12上に、あらかじめ高屈折率層11を形成しておいてもよい。
以上により、有機電界発光体EL−1が得られる。この有機電界発光体EL−1の備える有機電界発光素子10の駆動に際し、駆動電圧Vとして直流電圧を印加する場合には、陽極である第1透明電極21を+の極性とし、陰極である第2透明電極22を−の極性として、電圧2V以上40V以下程度を印加すると発光が観測できる。また第1透明電極21および第2透明電極22に対して交流電圧を印加してもよい。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
[有機電界発光体EL−1の効果]
以上説明した有機電界発光体EL−1は、有機電界発光素子10と反射層14とを備え、さらにその間にスペーサとしての封止基材13aが配置された構成である。
有機電界発光素子10は一対の透明電極を有する両面発光型であり、このうち陰極となる第2透明電極22には、陽極よりも仕事関数が浅い金属で構成され陰極としての性能に優れた金属透明導電層1bを用いている。このため、有機電界発光素子10は両面発光型でありながらも、陰極及び陽極の各透明電極から電子及び正孔を効率良く注入することができ、有機電界発光素子10の発光効率が向上する。
また、金属透明導電層1bは極薄い金属膜であるため膜として認識されず、発光光hは金属透明導電層1bでプラズモン損失されることなく金属透明導電層1bを透過し、反射層14に入射する。
さらに、反射層14は金属層であるが、有機電界発光素子10と反射層14との間にスペーサとしての封止基材13aが配置され、発光光hの発生点から反射層14までの距離が大きいため、発光光hは反射層14でプラズモン損失されることがない。そして、発光光hは反射層14でプラズモン損失なく反射され、高屈折率層11側から取り出される。
したがって、両面発光型の有機電界発光素子10で効率良く発生させた発光光hを、プラズモン損失なく反射層14で反射させて、反対側の高屈折率層11側から効率良く取り出すことが可能となり、この結果、輝度が高く高性能な有機電界発光体EL−1が可能となる。
<3.第1実施形態の変形例1>
図3は、上述した第1実施形態の有機電界発光体EL−1の変形例1を説明するための断面模式図である。図3に示すように、変形例1の有機電界発光体EL−1aが、図2を用いて説明した有機電界発光体EL−1と異なるところは、有機電界発光素子10の第1透明電極21側に反射層14を配置したところである。なお、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
変形例1の有機電界発光体EL−1aでは、有機電界発光素子10の第1透明電極21側に、スペーサとしての基材12aを介して、反射層14を設けている。一方、有機電界発光素子10の第2透明電極22側に、封止基材13を介して高屈折率層11を設けている。
[基材12a]
変形例1で用いる基材12aは、有機電界発光素子10と反射層14との間のスペーサとして用いられ、スペーサとしての厚みtを有する。この厚みtは、先に説明したスペーサとしての封止基材13aが有する厚みtと同様である。すなわち厚みtは、有機電界発光素子10内の発光ユニット3で生じた発光光hが、反射層14に入射した際に生じるプラズモン損失を抑制する程度の厚みであり、具体的には、10μm程度以上であると好ましい。
また変形例1では、反射層14側に放出された発光光hが、基材12aを透過して反射層14で反射される。このため、基材12aは光透過性を有する。したがって、基材12aには、図1に示す基材2の説明で例示した材料の中から光透過性を有する材料を選択して用いる。また基材12aは、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
[封止基材13]
変形例1で用いる封止基材13は、有機電界発光素子10を封止するための基材である。また変形例1では、発光光hが封止基材13側から取り出されるため、この封止基材13は光透過性を有する。このような封止基材13に用いる材料は、図1に示す基材2の説明で例示した材料の中から光透過性を有する材料を選択して用いる。また封止基材13は、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
またここでの封止基材13は、スペーサを兼ねることはない。したがって、封止基材13の厚みは特に限定されることはなく、ガスバリア性が必要な場合には、ガスバリア性が得られる程度の厚みを有すればよい。
また高屈折率層11は、第1透明電極21、発光ユニット3、第2透明電極22、及び封止基材13の何れよりも高い屈折率を有する透明な層である。
これにより、発光光hのうち反射層14側に放出された光は、プラズモン損失なく反射層14で反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。したがって、変形例1の有機電界発光体EL−1aでは、発光光hはすべて高屈折率層11側から取り出される。
このような構成の変形例1の有機電界発光体EL−1aであっても、第1実施形態の有機電界発光体EL−1と同様の効果が得られる。
<4.第1実施形態の変形例2>
図4は、上述した第1実施形態の有機電界発光体EL−1の変形例2を説明するための断面模式図である。図4に示すように、変形例2の有機電界発光体EL−1bが、図2を用いて説明した有機電界発光体EL−1と異なるところは、基材12上に有機電界発光素子10が逆積みされたところである。なお、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
変形例2の有機電界発光体EL−1bでは、基材12上に、窒素含有層1a、陰極となる第2透明電極22(金属透明導電層1b)、発光ユニット3、及び陽極となる第1透明電極21がこの順に積層された有機電界発光素子10を備える。この変形例2における窒素含有層1aは、基材12と陰極である金属透明導電層1bとの間に配置されるため、発光ユニット3を構成するための性質を有している必要はなく、先に説明した材料の何れを用いて構成してもよい。
このような構成の変形例2の有機電界発光体EL−1bであっても、第1実施形態の有機電界発光体EL−1と同様の効果が得られる。
<5.第2実施形態>
(反射体として誘電体多層膜を備えた有機電界発光体の例)
図5は、上述した金属透明導電層1bで構成された透明電極を有する有機電界発光体の第2実施形態を示す断面構成図である。以下にこの図に基づき、第2実施形態の有機電界発光体EL−2の特徴的な構成を説明する。なお、本第2実施形態及びその変形例において、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5に示す有機電界発光体EL−2が、図2を用いて説明した第1実施形態の有機電界発光体EL−1と異なるところは、反射体として誘電体多層膜15を用いたところである。この有機電界発光体EL−2では、誘電体多層膜15が有機電界発光素子10上にスペーサを介することなく直接積層されたところが特徴的である。そして、誘電体多層膜15の上には、有機電界発光素子10を封止するための封止基材13が積層される。他の構成は第1実施形態と同様である。
このような有機電界発光体EL−2では、有機電界発光素子10で発生した発光光hは、高屈折率層11側から取り出される。図5に示す矢印のように、発光光hのうち高屈折率層11側に放出された光は、そのまま高屈折率層11側から取り出され、一方、発光光hのうち誘電体多層膜15側に放出された光は、誘電体多層膜15で反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。つまり、有機電界発光素子10で発生した発光光hのすべてが、有機電界発光体EL−2の片側すなわち高屈折率層11側から取り出される。
本実施形態では、発光光hは誘電体多層膜15で反射されるため、発光光hが封止基材13に入射することはない。このため、封止基材13は不透明であってもよい。このような封止基材13には、図1に示す基材2の説明で例示した透明な材料に限らず、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いてもよい。また封止基材13は、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
[誘電体多層膜15]
誘電体多層膜15は、反射層と同様に、有機電界発光素子10内で生じた発光光hを反射させる反射体であり、60%以上の反射率を有することが好ましい。誘電体多層膜15は、2種以上の屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層した膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)等の誘電体膜を用いて構成される。
このように誘電体多層膜15は、金属ではなく誘電体膜で構成されるため、誘電体多層膜15における発光光hのプラズモン損失は一切生じない。このため、プラズモン損失を抑制するためのスペーサを設ける必要がない。したがって、スペーサを介することなく、有機電界発光素子10の上に直接、誘電体多層膜15を積層した構成とすることができる。
[有機電界発光体EL−2の効果]
以上説明した有機電界発光体EL−2は、有機電界発光素子10と誘電体多層膜15とを備えた構成である。
有機電界発光素子10は一対の透明電極を有する両面発光型であり、このうち陰極となる第2透明電極22には、仕事関数が浅い金属で構成され陰極としての性能に優れた金属透明導電層1bを用いている。このため、有機電界発光素子10は両面発光型でありながらも、陰極及び陽極の各透明電極から電子及び正孔を効率良く注入することができ、有機電界発光素子10の発光効率が向上する。
また、金属透明導電層1bは極薄い金属膜であるため膜として認識されず、発光光hは金属透明導電層1bでプラズモン損失されることなく金属透明導電層1bを透過し、誘電体多層膜15に入射する。
さらに、誘電体多層膜15は金属ではなく誘電体膜であるため、誘電体多層膜15において発光光hのプラズモン損失は一切発生することがない。そして、発光光hは誘電体多層膜15でプラズモン損失なく反射され、高屈折率層11側から取り出される。
したがって、両面発光型の有機電界発光素子10で効率良く発生させた発光光hを、プラズモン損失なく誘電体多層膜15で反射させて、反対側の高屈折率層11側から効率良く取り出すことが可能となり、この結果、輝度が高く高性能な有機電界発光体EL−2が可能となる。
なお、誘電体多層膜15がガスバリア性を有する場合、この誘電体多層膜15により有機電界発光素子10を封止できるので、封止基材13を設ける必要がない。この場合には、有機電界発光体EL−2の薄型化を図ることができる。
<6.第2実施形態の変形例1>
図6は、上述した第2実施形態の有機電界発光体EL−2の変形例1を説明するための断面模式図である。図6に示すように、変形例1の有機電界発光体EL−2aが、図5を用いて説明した有機電界発光体EL−2と異なるところは、有機電界発光素子10の第1透明電極21側に誘電体多層膜15が配置されたところである。この有機電界発光体EL−2aでは、基材12の一面上に、誘電体多層膜15、有機電界発光素子10、封止基材13、及び高屈折率層11がこの順に積層される。
そして、変形例1の有機電界発光体EL−2aでは、有機電界発光素子10で生じた発光光hは、すべて高屈折率層11側から取り出される。つまり、発光光hのうち誘電体多層膜15側に放出された光は、プラズモン損失なく誘電体多層膜15で反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。
変形例1では、発光光hは誘電体多層膜15で反射されるため、発光光hが基材12に入射することはない。このため、基材12は不透明であってもよい。このような基材12には、図1に示す基材2の説明で例示した透明な材料に限らず、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等を用いてもよい。また基材12は、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
また、発光光hは封止基材13を透過して高屈折率層11側から取り出されるため、封止基材13は、光透過性を有する。したがって、封止基材13には、図1に示す基材2の説明で例示した材料の中から光透過性を有する材料を選択して用いる。また封止基材13は、必要に応じて、可撓性、及びガスバリア性を有することが好ましい。
このような構成の変形例1の有機電界発光体EL−2aであっても、第2実施形態の有機電界発光体EL−2と同様の効果が得られる。
なお、本第2実施形態においても、第1実施形態の変形例2と同様に、基材12に対して有機電界発光素子10が逆積みされた構成としてもよい。
<7.第3実施形態>
(反射体として調光素子を備えた有機電界発光体の例)
図7は、上述した金属透明導電層1bで構成された透明電極を有する有機電界発光体の第3実施形態を示す断面構成図である。以下にこの図に基づき、第3実施形態の有機電界発光体EL−3の特徴的な構成を説明する。なお、本第3実施形態及びその変形例において、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図7に示す有機電界発光体EL−3が、図2を用いて説明した第1実施形態の有機電界発光体EL−1と異なるところは、反射体として調光素子16を用いたところである。この調光素子16が透明状態と反射状態との切り替えが可能な素子であるところが特徴的である。他の構成は第1実施形態と同様である。
このような構成の有機電界発光体EL−3では、調光素子16が反射状態にある場合は、図7に矢印で示したように、調光素子16側に放出された発光光hは、調光素子16で反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。また高屈折率層11側に放出された発光光hは、そのまま高屈折率層11側から取り出される。したがってこの場合には、すべての発光光hが、有機電界発光体EL−3の片側から取り出される。
一方、調光素子16が透明状態にある場合は、図7に破線矢印で示したように、調光素子16側に放出された発光光hは、調光素子16を透過し、調光素子16側から取り出される。また高屈折率層11側に放出された発光光hは、そのまま高屈折率層11側から取り出される。したがってこの場合には、発光光hは、有機電界発光体EL−3の両側から取り出される。
図8は、調光素子16を示す断面構成図である。以下に、図7及び図8を用いて、調光素子16の詳細な説明を説明する。
[調光素子16]
調光素子16は、透明状態と反射状態との切り替えが可能な素子であり、有機電界発光素子10内で生じた発光光hを反射させる反射体として用いられる。調光素子16は、一対の透明電極として第3透明電極23及び第4透明電極24と、その間に挟持された調光ユニット6とを備えた構成である。調光ユニット6が、透明状態と反射状態との切り替え可能な部分である。
このような調光素子16の一例として、固体電解質を用いた全層固体型の調光素子が好ましく用いられ、例えば特開2011−158898号公報に記載されたエレクトロクロミック素子(調光素子)を用いる。この調光素子16は、図8に示すように、第3透明電極23及び第4透明電極24を有し、この間に調光ユニット6が挟持されている。調光ユニット6は、調光層6a、触媒層6b、バッファ層6c、固体電解質層6d、及びイオン貯蔵層6eが、第3透明電極23側から順に積層された構成であり、このうち調光層6aが透明状態と反射状態とに切り替わる部分である。続いて、これらの構成要素の詳細を説明するが、これに限定されることはない。
(第3透明電極23、第4透明電極24)
第3透明電極23及び第4透明電極24は、光透過性を有する電極であればよいので、金属透明導電層1bを用いてもよく、また第1実施形態の第1透明電極21で説明したITOなどの酸化物半導体系の材料からなる透明電極を用いてもよい。
(調光層6a)
調光層6aは、透明状態と反射状態とが切り替わる層であり、水素イオンを吸蔵し水素化されたときに透明状態となり、水素イオンを放出し脱水素化されたときに反射状態となる。この調光層6aを構成する材料としては、マグネシウム系合金が好ましく、例えば、マグネシウム・ニッケル系合金(MgNi)、マグネシウム・チタン系合金(MgTi)、マグネシウム・ニオブ系合金(MgNb)が用いられる。調光層6aの膜厚は、好ましくは10〜200nmである。
(触媒層6b)
触媒層6bは、調光層6aへの水素イオンの供給・放出の速度を向上させ、透明状態と反射状態との切り替え性能を高める。この触媒層6bを構成する材料としては、水素イオンの透過能力の高いパラジウム、白金、銀またはこれらの合金が好ましく用いられる。触媒層6bの膜厚は、好ましくは0.5〜10nmである。
(バッファ層6c)
バッファ層6cは、電圧の印加により水素イオンが容易に移動できる特性を有する材料により構成される。この材料としては金属が好ましく、例えば、金属アルミニウム、金属タンタル、金属チタン等が用いられる。バッファ層6cの膜厚は、好ましくは1〜5nmである。
(固体電解質層6d)
固体電解質層6dは、電圧の印加により水素イオンが容易に移動できる特性を有する固体材料のうち、長期間安定して使用できる材料により構成される。この材料としては透明金属酸化物が好ましく、例えば、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等が用いられる。この透明金属酸化物の密度は、好ましくは2.8〜4.3g/cmである。
また固体電解質層6dの材料としては、上述した性質を備えている材料であれば、とくに限定されることはなく、例えば、特開2012−84401号公報、同2012−89420号公報、同2012−74352号公報、及び同2012−70013号公報に記載された固体電解質を用いてもよい。
(イオン貯蔵層6e)
イオン貯蔵層6eは、水素イオンの貯蔵及び供給を行う層である。このイオン貯蔵層6eを構成する材料としては、遷移金属酸化物が好ましく、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化バナジウム等が用いられる。イオン貯蔵層6eの膜厚は、好ましくは250〜2000nmである。
(調光素子16の駆動)
調光素子16の第3透明電極23及び第4透明電極24に電圧を印加することにより、調光素子16が透明状態または反射状態に切り替わる。
第3透明電極23にマイナスの電圧、及び第4透明電極24にプラスの電圧を印加した場合、イオン貯蔵層6e内の水素イオンが調光層6aに供給され、水素化された調光層6aが透明状態となる。これにより、有機電界発光素子10から調光素子16側に放出された発光光hは、透明状態にある調光層6aを透過し、調光素子16側から取り出される。また高屈折率層11側に放出された発光光hは、そのまま高屈折率層11側から取り出される。したがってこの場合には、発光光hは、有機電界発光体EL−3の両側から取り出される。発光光hは、有機電界発光体EL−3の両側から取り出される。
一方、第3透明電極23にプラスの電圧、及び第4透明電極24にマイナスの電圧を印加した場合、調光層6a内の水素イオンがイオン貯蔵層6eに移動して貯蔵され、脱水素化された調光層6aが反射状態(ミラー)となる。これにより、有機電界発光素子10から調光素子16側に放出された発光光hは、反射状態にある調光層6aで反射され、反対側の高屈折率層11側から取り出される。また高屈折率層11側に放出された発光光hは、そのまま高屈折率層11側から取り出される。したがってこの場合には、すべての発光光hが、有機電界発光体EL−3の片側から取り出される。
また、調光層6aは膜厚10〜200nmのマグネシウム系合金を用いた金属層であるため、反射状態にある調光層6aでは入射光のプラズモン損失が発生する。このため、調光素子16と有機電界発光素子10との間に、スペーサとしての封止基材13aが設けられる。このスペーサとしての封止基材13aが有する厚みtは、反射状態にある調光層6aに入射した発光光hのプラズモン損失を抑制する程度の厚みである。ただし、調光層6aを含む調光ユニット6と有機電界発光素子10との間には、スペーサとしての封止基材13aと第3透明電極23とが設けられているので、これらの厚みを足して、発光光hのプラズモン損失を抑制する程度の厚みがあればよい。
[有機電界発光体EL−3の効果]
以上説明した有機電界発光体EL−3は、有機電界発光素子10と調光素子16とを備え、さらにその間にスペーサとしての封止基材13aが配置された構成である。
有機電界発光素子10は一対の透明電極を有する両面発光型であり、このうち陰極となる第2透明電極22には、仕事関数が浅い金属で構成され陰極としての性能に優れた金属透明導電層1bを用いている。このため、有機電界発光素子10は両面発光型でありながらも、陰極及び陽極の各透明電極から電子及び正孔を効率良く注入することができ、有機電界発光素子10の発光効率が向上する。
また、金属透明導電層1bは極薄い金属膜であるため膜として認識されず、発光光hは金属透明導電層1bでプラズモン損失されることなく金属透明導電層1bを透過し、調光素子16に入射する。
さらに、調光素子16は金属層を有するが、有機電界発光素子10と調光素子16との間にスペーサとしての封止基材13aが配置され、発光光hの発生点から調光素子16までの距離が大きいため、発光光hは調光素子16でプラズモン損失されることがない。そして、発光光hは反射状態にある調光素子16でプラズモン損失なく反射され、高屈折率層11側から取り出される。
したがって、両面発光型の有機電界発光素子10で効率良く発生させた発光光hを、プラズモン損失なく調光素子16で反射させて、反対側の高屈折率層11側から効率良く取り出すことが可能となり、この結果、輝度が高く高性能な有機電界発光体EL−3が可能となる。
また有機電界発光体EL−3は、透明状態と反射状態との切り替えが可能な調光素子16を用いるため、必要に応じて、調光素子16を透明状態とし、この場合には有機電界発光体EL−3の両側から発光光hを取り出すことが可能となる。
なお、調光ユニット6の構成を図8に示したが、調光ユニット6を構成する各層の積層順は逆でもよい。この場合、第3透明電極23側から順に、イオン貯蔵層6e、固体電解質層6d、バッファ層6c、触媒層6b、及び調光層6aが積層される。また有機電界発光素子10と調光層6aとの距離が大きくなるため、スペーサとしての封止基材13aの厚みtは、図7に示した例よりも薄くてよい。またこれにより、スペーサとしての封止基材13aを設けなくてもよい場合もある。
また、調光層6aは電極としても機能するため、図8に示す調光素子16において、調光層6aが第3透明電極23を兼ねてもよい。この場合、調光層6aと第4透明電極24とが一対の透明電極となり、この際の調光素子16の構成は、調光層6a/触媒層6b/バッファ層6c/固体電解質層6d/イオン貯蔵層6e/第4透明電極24となる。
<8.第3実施形態の変形例1>
図9は、上述した第3実施形態の有機電界発光体EL−3の変形例1を説明するための断面模式図である。図9に示すように、変形例1の有機電界発光体EL−3aが、図7を用いて説明した有機電界発光体EL−3と異なるところは、有機電界発光素子10の第1透明電極21側に調光素子16が配置されたところである。
変形例1の有機電界発光体EL−3aでは、有機電界発光素子10の第1透明電極21側にスペーサとしての基材12aを介して調光素子16を設けている。一方、有機電界発光素子10の第2透明電極22側に、封止基材13を介して高屈折率層11を設けている。
ここでは、封止基材13がスペーサを兼ねることはない。したがって、封止基材13の厚みは特に限定されることはなく、ガスバリア性が必要な場合には、ガスバリア性が得られる程度の厚みを有すればよい。
また、スペーサとしての基材12aは、反射状態にある調光層6aに入射した発光光hのプラズモン損失を抑制する程度の厚みtを有する。
このような構成の有機電界発光体EL−3では、調光素子16が反射状態にある場合は、図9に矢印で示したように、調光素子16側に放出された発光光hは、調光素子16で反射される。このため、すべての発光光hが、有機電界発光体EL−3の片側から取り出される。一方、調光素子16が透明状態にある場合は、図9に破線矢印で示したように、調光素子16側に放出された発光光hは、調光素子16を透過する。このため、発光光hは、有機電界発光体EL−3の両側から取り出される。
このような構成の変形例1の有機電界発光体EL−3aであっても、第3実施形態の有機電界発光体EL−3と同様の効果が得られる。
<9.第3実施形態の変形例2>
図10は、上述した第3実施形態の有機電界発光体EL−3の変形例2を説明するための断面模式図である。図10に示すように、変形例2の有機電界発光体EL−3bが、図7を用いて説明した有機電界発光体EL−3と異なるところは、基材12上に有機電界発光素子10が逆積みされたところである。その他の積層構成は、有機電界発光体EL−3と同様である。
変形例2の有機電界発光体EL−3bでは、基材12上に、窒素含有層1a、陰極となる第2透明電極22(金属透明導電層1b)、発光ユニット3、及び陽極となる第1透明電極21がこの順に積層された有機電界発光素子10を備える。この変形例2における窒素含有層1aは、基材12と陰極である金属透明導電層1bとの間に配置されるため、発光ユニット3を構成するための性質を有している必要はなく、先に説明した材料の何れを用いて構成してもよい。
このような構成の変形例2の有機電界発光体EL−3bであっても、第3実施形態の有機電界発光体EL−3と同様の効果が得られる。
<10.第3実施形態の変形例3>
図11は、上述した第3実施形態の有機電界発光体EL−3の変形例3を説明するための断面模式図である。図11に示すように、変形例3の有機電界発光体EL−3cが、図7を用いて説明した有機電界発光体EL−3と異なるところは、調光素子16と有機電界発光素子10とで透明電極を共用し、透明電極を3個のみ用いたところである。有機電界発光素子10の上に、調光ユニット6及び第4透明電極24がこの順に積層され、他の構成は第3実施形態と同様である。
変形例3の有機電界発光体EL−3cでは、第2透明電極22が、有機電界発光素子10と調光素子16とで共用される。つまり調光素子16は、第2透明電極22と、調光ユニット6と、第4透明電極24とで構成される。一方、有機電界発光素子10は、第1透明電極21と、発光ユニット3と、窒素含有層1aと、第2透明電極22(金属透明導電層1b)とで構成される。
この調光素子16は、調光ユニット6を構成する各層の積層順に特徴があり、調光層6aが有機電界発光素子10から離れた第4透明電極24側に配置された構成である。つまり、調光ユニット6を構成する各層は、第4透明電極24側から順に、調光層6a、触媒層、バッファ層、固体電解質層、及びイオン貯蔵層が積層されている。これにより、調光層6aと有機電界発光素子10との間に、触媒層〜イオン貯蔵層の合計膜厚により、ある程度の距離が確保される。したがって、調光素子16と有機電界発光素子10との間に特別にスペーサを設けない構成であっても、発光光hの発生点から調光層6aまでの距離が大きいため、反射状態にある調光層6aにおける発光光hのプラズモン損失を抑制することが可能となる。
このような構成の変形例3の有機電界発光体EL−3cであっても、第3実施形態の有機電界発光体EL−3と同様の効果が得られる。
<11.第3実施形態の変形例4>
上述した第3実施形態の有機電界発光体EL−3の変形例4(図示省略)は、電流駆動型の調光素子の一例として、透明状態と反射状態との切り替えが可能な調光素子を用いた例である。この変形例4の有機電界発光体に用いる調光素子は、硝酸銀(AgNO3)、塩化銅(CuCl2)、DMSO、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(TBABr)、及びポリビニルブチラール(PVB)で構成される電解質層を調光ユニットとして一対の透明電極で挟持した構成である。透明電極に電圧を印加することにより、電解質層を透明状態と反射状態と切り替えることができる。
<12.有機電界発光体の用途>
上述した各構成の有機電界発光体は、上述したように面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、本発明の有機電界発光体は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置およびディスプレイの大型化にともない、有機電界発光体を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化しても良い。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また異なる発光色を有する本発明の有機電界発光体を2種以上使用することにより、カラーまたはフルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下では、用途の一例として照明装置について説明し、次にタイリングによって発光面を大面積化した照明装置について説明する。
<13.照明装置−1>
本発明の照明装置は、上記有機電界発光体を有する。
本発明の照明装置に用いる有機電界発光体は、上述した構成の各有機電界発光体に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機電界発光体の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
尚、本発明の有機電界発光体に用いられる材料は、白色の発光を生じる有機電界発光体(白色有機電界発光体ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機電界発光体においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。
このような白色有機電界発光体は、各色発光の有機電界発光体をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機電界発光体自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
またこのような白色有機電界発光体の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機電界発光体を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
<14.照明装置−2>
また本発明の有機電界発光体は、複数用いて発光面を大面積化した照明装置としても用いることができる。この場合、透明基板上に有機電界発光体を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであっても良く、この支持基板と、発光パネルの透明基板との間に有機電界発光体を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と透明基板との間には接着剤を充填し、これによって有機電界発光体を封止しても良い。尚、発光パネルの周囲には、第1電極および第2電極の端子を露出させておる。また、導電性の導電層(例えば金属透明導電層1b)にも駆動電圧を印加する場合であれば、その端子も露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けても良い。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
<有機電界発光素子の作製>
試料No.1〜4の有機電界発光素子を作製した。試料No.1〜3では、単層構造の透明電極を陰極として用いた有機電界発光素子を作製し、試料No.4では、窒素含有層に隣接して積層された金属透明導電層で構成された透明電極を陰極として用いた有機電界発光素子を作製した。下記表1及び図12を参照して、作製手順を説明する。
[試料No.1〜3の有機電界発光素子の作製]
先ず、厚さ700μmの透明なガラス製の基材12上に、厚さ150nmとなる条件でITOをスパッタ法で成膜、パターニングし、ITOで構成された取り出し電極部分を含む面状の第1透明電極21を形成した。この第1透明電極21は、陽極として形成した。ITOで構成された第1透明電極21を設けた基材12を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
次に、第1透明電極21が形成された基材12を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、第1透明電極21の形成面側に蒸着マスクを対向配置し、真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また真空蒸着装置内の加熱ボートの各々に、発光ユニット3を構成する各材料を、それぞれの層の成膜に最適な量で充填し、当該第1真空槽内に取り付けた。尚、加熱ボートはタングステン製抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空蒸着装置の第1真空槽内を4×10-4Paまで減圧し、各材料が入った加熱ボートを順次通電して加熱することにより、以下のように各層を成膜した。
先ず、正孔輸送注入材料として下記α−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、第1透明電極21上に正孔輸送・注入層を形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚20nmとした。
次に、先に構造式を示したホスト材料H4の入った加熱ボードと、先に構造式を示した燐光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボードとを、それぞれ独立に通電し、正孔輸送・注入層上に発光層を形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:燐光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボードの通電を調節した。また膜厚30nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、発光層上に正孔阻止層を形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
その後、電子輸送材料として先に構造式を示した化合物10の入った加熱ボードと、フッ化カリウムの入った加熱ボードとを、それぞれ独立に通電し、正孔阻止層上に電子輸送層を形成した。この際、蒸着速度が化合物10:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボードの通電を調節した。また膜厚30nmとした。
次に、電子注入材料としてフッ化カリウムの入った加熱ボードに通電して加熱し、電子輸送層上に電子注入層を形成した。この際、蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒、膜厚1nmとした。
その後、正孔注入層〜電子注入層までの発光ユニット3が形成された基材12を、真空蒸着装置の蒸着室から、陰極となる第2透明電極22を構成する各電極材料(アルミニウム(Al)またはITO)のターゲットが取り付けられたスパッタ装置の処理室内に、真空状態を保持したまま移送した。次いで、処理室内において、成膜速度0.3nm/秒〜0.5nm/秒で、下記表1記載の各膜厚の各材料を用いた第2透明電極22を陰極として形成した。以上により透明基材12上に有機電界発光素子10を形成した。なお、ここでは図12に示された窒素含有層1aは形成しなかった。
その後、有機電界発光素子10を、厚さ300μmの透明なガラス製の封止基材13で覆い、有機電界発光素子10を囲む状態で、基材12と封止基材13との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。基材12と封止基材13との間に充填した接着剤に対して、封止基材13側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機電界発光素子10を封止した。
尚、有機電界発光素子10の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基材12における中央の4.5cm×4.5cmを発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。また、第1透明電極21及び第2透明電極22は、発光ユニット3によって絶縁された状態で、基材12の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、基材12上に有機電界発光素子10を設け、これを封止基材13と接着剤とで封止した試料No.1〜3の各有機電界発光素子10の各発光パネルを得た。
試料No.1の発光パネルでは、第2透明電極22(陰極)が厚膜なアルミニウムで構成されるため不透明である。このため、試料No.1の発光パネルは、発光光hが第1透明電極21(陽極)側から取り出される片面発光型である。
一方、試料No.2発光パネルでは、第2透明電極22(陰極)が極薄膜なアルミニウムで構成され高い透過率を有する。また試料No.3発光パネルでは、第2透明電極22(陰極)がITOで構成され高い透過率を有する。よって、試料No.2及び3の発光パネルは、発光光hが第1透明電極21(陽極)側と第2透明電極22(陰極)との両方から取り出される両面発光型である。
[試料No.4の有機電界発光素子の作製]
先ず、試料No.1〜3と同様にして、基材12上に、第1透明電極21、正孔輸送・注入層、発光層、及び正孔阻止層をこの順に形成した。ここでは、正孔輸送・注入層、発光層、及び正孔阻止層を発光ユニット3とした。
次に、下記に示す窒素を含有する化合物N−1の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボードとを、それぞれ独立に通電し、化合物N−1とフッ化カリウムとよりなる窒素含有層1aを、発光ユニット3上に形成した。この際、蒸着速度が化合物N−1:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また膜厚30nmとした。この窒素含有層1aは、電子注入層と電子輸送層とを兼ねた電子輸送・注入層としても機能する。
次いで、窒素含有層1aまでを形成した基材12を、真空蒸着装置の第2真空槽内に移送し、第2真空槽内を4×10-4Paまで減圧した後、第2真空槽内に取り付けられた銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.3nm/秒で膜厚7nmの銀(Ag)を用いた金属透明導電層1bで構成された第2透明電極22を陰極として形成した。以上により基材12上に有機電界発光素子10を形成した。
その後、試料No.1〜3と同様にして、有機電界発光素子10を封止し、試料No.4の有機電界発光素子10の発光パネルを得た。
試料No.4の発光パネルでは、第2透明電極22(陰極)が極薄膜な銀で構成され高い透過率を有する。よって、試料No.4の発光パネルは、発光光hが第1透明電極21(陽極)側と第2透明電極22(陰極)との両方から取り出される両面発光型である。
<実施例1の各試料の評価>
(有機電界発光素子の光取り出し効率)
試料No.1〜4の有機電界発光素子について、光取り出し効率の評価を行った。ここでは、各有機電界発光素子を発光させた際の輝度、および発光スペクトルを、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定し、これらの測定値に基づいて輝度換算法により光取り出し効率を算出した。ただし、両面発光型の試料No.2〜4の有機電界発光素子は、両面の発光分を合算して光取り出し効率を算出した。また、試料No.1の片面発光型の有機電界発光素子の値を100として相対値を算出し、以下の基準で評価した。この結果を上記表1に合わせて示す。
◎: 光取り出し効率が30%以上向上した
○: 光取り出し効率が30〜10%以上向上した
△: 光取り出し効率が±10%の略同等であった
△×:光取り出し効率が−30〜−10%未満劣化した
×: 光取り出し効率が−30%以上劣化した
(第2透明電極(陰極)の光透過率)
試料No.1〜4の第2透明電極22(陰極)について、光透過率を測定した。光透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、試料と同じ基材及び有機層等をベースラインとして行った。この結果を上記表1に合わせて示す。
(第2透明電極(陰極)のシート抵抗値)
試料No.1〜4の第2透明電極22(陰極)について、シート抵抗値を測定した。シート抵抗値の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。この結果を上記表1に合わせて示す。
<実施例1の評価結果>
表1から明らかなように、試料No.4の窒素含有層に隣接して積層された銀(Ag)を用いた金属透明導電層で構成された第2透明電極(陰極)を有する本発明構成の有機電界発光素子は、光取り出し効率が良好であった。これに対して、試料No.1〜3の本発明構成ではない有機電界発光素子は、光取り出し効率が劣った。試料No.1の有機電界発光素子では、陰極が厚膜なアルミニウムで構成されるため、発光光hが陰極で反射される際にプラズモン損失が生じる。このため、光取り出し量が減り、光取り出し効率が下がった。試料No.2の有機電界発光素子では、極薄膜なアルミニウムで構成され第2透明電極のシート抵抗が測定不可であるため、第2透明電極(陰極)が電極として機能せず、発光しなかった。試料No.3の有機電界発光素子では、陽極と同等に仕事関数が深いITOを陰極である第2透明電極に用いた。このため、陰極の電子注入効率が下がり、光取り出し効率が下がった。
共に膜厚7nmである試料No.2及び試料No.4の第2透明電極において、試料No.2のアルミニウムで構成された第2透明電極は、非連続な膜であるため、シート抵抗の測定が不可能であった。一方、試料No.4の銀で構成された第2透明電極は、窒素含有層上に成膜された銀の膜による連続性のある膜であるため、シート抵抗の測定が可能であった。
これにより、本発明構成で用いられる有機電界発光素子は、高い光取り出し効率を有することが確認された。
<反射層を用いた有機電界発光体>
実施例1で作製した試料No.2〜4の各有機電界発光素子と、反射層とを用いた有機電界発光体ELを作製した。下記表2、図2、及び図3を参照し、作製手順を説明する。
[試料2−1〜2−3の有機電界発光体の作製]
先ず、基材12と封止基材13aとで封止された実施例1で作製したNo.2〜4の各有機電界発光素子10を用意した。なお、試料2−1〜2−3では、封止基材をスペーサとして用いるため、スペーサとしての厚みを有する封止基材13aを用いた。
次に、図2に示すように、各有機電界発光素子10の第2透明電極22(陰極)側に積層されたスペーサとしての封止基材13a上に、スパッタ成膜により、膜厚150nmのアルミニウムで構成される反射層14を形成した。以上により、試料2−1〜2−3の各有機電界発光体ELを作製した。なお、図2に示す高屈折率層11は設けなかった。
試料2−1〜2−3の各有機電界発光体ELでは、図2に矢印で示すように、陽極となる第1透明電極21側から発光光hが取り出される。
[試料2−4の有機電界発光体の作製]
基材12と封止基材13aとで封止された実施例1で作製したNo.4の有機電界発光素子を用いて、図2に示すように、高屈折率層11、基材12、有機電界発光素子10、封止基材13a、反射層14との順になるように積層した。この際、高屈折率層11は、基材12上に、酸化チタン(TiO)を膜厚100nmにスパッタ成膜して形成した。また反射層14は、スペーサとしての封止基材13a上に、アルミニウムを膜厚150nmにスパッタ成膜して形成した。以上により、試料2−4の有機電界発光体ELを作製した。なお、試料2−4では、封止基材をスペーサとして用いるため、スペーサとしての厚みを有する封止基材13aを用いた。
試料2−4の有機電界発光体ELでは、図2に矢印で示すように、陽極となる第1透明電極21側から発光光hが取り出される。
[試料2−5の有機電界発光体の作製]
基材12aと封止基材13とで封止された実施例1で作製したNo.4の有機電界発光素子を用いて、図3に示すように、反射層14、基材12a、有機電界発光素子10、封止基材13、高屈折率層11との順になるように積層した。この際、試料2−4と同様にして、基材12a上に反射層14を形成し、封止基材13上に高屈折率層11を形成した。以上により、試料2−5の有機電界発光体ELを作製した。なお、試料2−5では、基材をスペーサとして用いるため、スペーサとしての厚みを有する基材12aを用いた。
試料2−5の有機電界発光体ELでは、図3に矢印で示すように、陰極となる第2透明電極22側から発光光hが取り出される。
<実施例2の各有機電界発光体の評価>
(有機電界発光体の光取り出し効率)
実施例1と同様にして、試料2−1〜2−5の有機電界発光体について、光取り出し効率の評価を行った。この結果を上記表2に合わせて示す。
<実施例2の評価結果>
表2から明らかなように、窒素原子を含む化合物N−1を用いた窒素含有層に隣接して銀(Ag)で構成された第2透明電極(陰極)を設けた本発明構成のNo.4の有機電界発光素子と、反射層とを備えた試料2−3の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。さらに、本発明構成のNo.4の有機電界発光素子及び反射層に加えて、光取り出し側に高屈折率層を備えた試料2−4及び2−5の有機電界発光体は、光取り出し効率が非常に良好であった。これに対して、No.2及びNo.3の本発明構成ではない有機電界発光素子と、反射層とを備えた試料2−1及び2−2の有機電界発光体は、光取り出し効率が劣った。
これにより、本発明構成の有機電界発光素子と、反射層とを備えた有機電界発光体は、高い光取り出し効率を有することが確認された。また、光取り出し側に高屈折率層を設けた場合には、光取り出し効率が高まることが確認された。
<調光素子を用いた有機電界発光体>
実施例1で作製した試料No.4の有機電界発光素子と、調光素子A〜Dの何れかとを用いた試料3−1〜3−6の各有機電界発光体ELを作製した。先ず、調光素子A〜Dの作製手順を説明する。その後、下記表3、図7、及び図9を参照し、試料3−1〜3−6の各有機電界発光体EL作製手順を説明する。
[調光素子Aの作製]
調光素子Aは、透明状態と反射状態とに切り替え可能な素子であり、本発明構成である。この調光素子Aは、第3実施形態で図8を用いて説明した調光素子16である。ただし、調光層6aが第3透明電極23を兼ね、この調光層6aと第4透明電極24とを一対の電極とする構成とした。つまり、調光素子Aの構成を、調光層6a/触媒層6b/バッファ層6c/固体電解質層6d/イオン貯蔵層6e/第4透明電極24とした。このような調光素子Aを次のようにして作製した。
先ず、厚さ100μmのガラス製の基材(高性能反射防止膜付きガラス:日本電気化学社製)を用意し、その上に、膜厚75nm及びシート抵抗60Ω/□のITO膜を第4透明電極24(陽極)として形成した。
次に、第4透明電極24が形成された基材を、マグネトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定し、マグネトロンスパッタ装置の第1真空槽に取り付けた。
次いで、第1真空槽内をアルゴンガスと酸素ガスの流量比を7:1.5に制御した混合雰囲気とし、圧力を1.0Paとし、金属タングステンターゲットに80Wのパワーを加え、反応性直流マグネトロンスパッタ法による成膜を行った。これにより、透明電極の上に、膜厚300nmの酸化タングステン膜をイオン貯蔵層6eとして形成した。
その後、イオン貯蔵層6eまでが形成された基材を、マグネトロンスパッタ装置の第2真空槽に移動し取り付けた。この第2真空槽内をアルゴンガスと酸素ガスの流量比を7:1に制御した混合雰囲気とし、圧力を0.7Paとし、金属タンタルターゲットに70Wのパワーを加え、反応性直流マグネトロンスパッタ法による成膜を行った。これにより、イオン貯蔵層6eの上に、膜厚200nm、密度3.8g/cmの酸化タンタル膜を固体電解質層6dとして形成した。
続いて、固体電解質層6dまでが形成された基材を、マグネトロンスパッタ装置から真空蒸着装置の蒸着室に移動し取り付けた。この蒸着室内を真空度1.0×10−5Paまで減圧し、アルミニウムの入ったボートを加熱し、蒸着速度0.3nm/秒で成膜を行った。これにより、固体電解質層6dの上に、膜厚2nmのアルミニウム膜をバッファ層6cとして形成した。
次に、バッファ層6cまでが形成された基材を、真空蒸着装置からマグネトロンスパッタ装置の3つのスパッタ銃を有する第3真空槽に移動し取り付けた。この第3真空槽の各スパッタ銃に、金属マグネシウム、金属ニッケル、及び金属パラジウムをターゲット材としてそれぞれセットし、第3真空槽内のアルゴンガス圧を0.8Paとし、各スパッタ銃に順次通電することで、直流マグネトロンスパッタ法による各成膜を行った。先ず、金属パラジウムのスパッタ銃に14Wのパワーを加え、バッファ層6cの上に、膜厚4nmのパラジウム膜を触媒層6bとして形成した。続いて、金属マグネシウムのスパッタ銃に30W、金属ニッケルのスパッタ銃に16Wのパワーを加え、触媒層6bの上に、膜厚40nmのマグネシウム・ニッケル合金膜(Mg:Ni=4:1)を調光層6aとして形成した。以上により、基材の上に、第4透明電極24/イオン貯蔵層6e/固体電解質層6d/バッファ層6c/触媒層6b/調光層6a(第3透明電極23を兼ねる)が積層された調光素子Aを形成した。
その後、基材上に形成された調光素子Aを封止するように、紫外線熱併用硬化型エポキシ系樹脂(ナガセケムテックス社製XNR5541)を塗布して保護膜を形成した。さらにこの保護膜上に、基材と対向するようにして、ガラス製の封止基材を積層した。続いて、紫外線熱併用硬化型エポキシ系樹脂に対して、紫外光(紫外線強度170mW/cm、波長365nm)を5分間照射し、紫外線熱併用硬化型エポキシ系樹脂を硬化させた。さらにこの調光素子Aを80℃の恒温槽に30分間保持し、紫外線熱併用硬化型エポキシ系樹脂を安定化させた。以上により、調光素子Aを封止した。
[調光素子Bの作製]
調光素子Bは、透明状態と反射状態とに切り替え可能な素子であり、本発明構成である。この調光素子Bは、電解質層を一対の透明電極の間に挟持した構成であり、一対の透明電極に電圧を印加すると、電解質層が透明状態と反射状態とに切り替わる。調光素子Bを次のようにして作製した。
先ず、硝酸銀(AgNO3)0.65wt%、塩化銅(CuCl2)0.01wt%、ポリビニルブチラール(BL−1:積水化学社製)9.15wt%、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド6.15wt%、及びDMSO84wt%からなる溶解液を作製した。
次に、基材付きのITOと封止基材付きのITOとの間のセルに、先に作製した溶解液を封入した。セルギャップは200μmとした。以上により、基材及び封止基材に封止された状態で、ITOからなる一対の透明電極に電解質層が挟持された調光素子Bを形成した。
[調光素子Cの作製]
調光素子Cは、透明状態と光を散乱する不透明状態とに切り替え可能な素子であり、本発明構成ではない。この調光素子Cは、液晶微小粒子が樹脂マトリクス中に分散した液晶樹脂複合体を、一対の透明電極間に挟持した構成であり、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)である。調光素子Cにおいて、一対の透明電極に電圧を印加すると、液晶樹脂複合体が透明状態と光を散乱する不透明状態とに切り替わる。調光素子Cを次のように作製した。
先ず、高分子エマルジョンとして、ポリエーテルウレタンエマルジョン Neorez R−967(楠本化成株式会社製)を用意した。
次に、この高分子エマルジョンを水で不揮発分40%に希釈し、この希釈された高分子エマルジョン100部に対して、ネマチック液晶(JM1000XX(複屈折率Δn=0.132):チッソ製)64部を添加した。このエマルジョンを、ホモジナイザー(日本精機製)にて回転数133.3回転/秒(8000rpm)で10分間攪拌した。これにより、液晶エマルジョンを形成した。
続いて、架橋剤のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを水に溶解して、50%の架橋剤水溶液を調製した。
次いで、液晶エマルジョンを低速で攪拌しながら、架橋剤水溶液を添加した。この際、架橋剤水溶液の添加割合は、液晶エマルジョンに含まれる高分子エマルジョン100部(水で希釈した状態の高分子エマルジョン100部)に対して、架橋剤水溶液4.8部とした。これにより、液晶比率V1が0.60となる膜形成用の液晶エマルジョンを形成した。
次に、ガラス製の基材上に形成されたITOを用意した。このITO上に、膜形成用の液晶エマルジョンをワイヤーバーにて塗布し、100℃10分間乾燥した。これにより、基材付きITOの上に、液晶樹脂複合体を形成した。
続いて、液晶樹脂複合体の上に、対向電極となるITOを形成した。これにより、基材上に調光素子Cを形成した。さらに、ITO上に封止基材を形成し、調光素子Cを封止した。
[調光素子Dの作製]
調光素子Dは、透明状態と光を吸収する不透明状態とに切り替え可能な素子であり、本発明構成ではない。この調光素子Dは、光調整粒子を含む光調整懸濁液が樹脂マトリクス中に分散された調光層を、一対の透明電極で挟持した構成である。調光素子Dにおいて、一対の透明電極に電圧を印加すると、液晶樹脂複合体が透明状態と光を吸収する不透明状態とに切り替わる。調光素子Dを次のように作製した。
(光調整粒子の作製)
先ず、攪拌機及び冷却管を装着した500mlの四つ口フラスコ内で、ニトロセルロース1/4LIG(商品名「DLX−8−13」Nobel社製)を15質量%含む酢酸イソアミル(試薬特級、和光純薬工業社製)希釈溶液87.54g、酢酸イソアミル44.96g、脱水CaI(水分量0.3%)(化学用、和光純薬工業社製)4.5g、無水メタノール(有機合成用、和光純薬工業社製)2.0g、及び精製水(和光純薬工業社製)0.50gを混合した溶液に対して、ヨウ素(JIS試薬特級、和光純薬工業社製)4.5gを溶解し、さらに、光調整粒子の基板形成物質としてピラジン−2,5−ジカルボン酸2水和物(関東化学社製)3gを添加した。
続いて、この混合溶液に対して、45℃、3時間の撹拌を行い、反応を終了させ、反応溶液を得た。
その後、反応溶液を超音波分散機にかけ、2時間分散した。
次に、分散した反応溶液を遠心分離機にかけ、速度500G、10分間の遠心分離を行い、沈殿物を取り除いた。次いで、残りの上澄み液に対して、速度10000G、2時間の遠心分離を行い、沈殿物を回収した。この沈殿物を光調整粒子として得た。
(光調整懸濁液の作製)
先ず、上述のようにして得た光調整粒子9gを酢酸イソアミル88gに分散させ、光調整粒子を含む酢酸イソアミル分散液97gを用意した。この光調整粒子を含む酢酸イソアミル分散液97gに対して、アクリル酸ブチル(和光特級、和光純薬工業社製)/メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(工業用、共栄社化学工業社製)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光1級、和光純薬工業社製)共重合体(モノマーモル比:18/1.5/0.5、重量平均分子量:2200、屈折率1.468)59gを加え、攪拌機により30分間混合し、混合液を得た。
次に、混合液をロータリーエバポレーターにかけ、80℃、真空度60Paで3時間減圧した。これにより、混合液から酢酸イソアミルを除去し、残渣物を得た。
次いで、残渣物に対して、トリメリット酸デシル(花王社製)29.5g、及びジメチルドデカスベレート(Exfluor社製)を添加した。以上により、光調整懸濁液を作製した。
(紫外線硬化型シリコーン樹脂の作製)
先ず、ディーンスタークトラップ、冷却管、攪拌機、及び加熱装置を備えた四つ口フラスコ内に、両末端シラノールポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製)11.75g、両末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン(信越化学工業社製)31g、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン(信越化学工業社製)4g、及び2−エチルヘキサン錫(和光純薬工業社製)0.6gを入れ、ヘプタン中で100℃、3時間の還流を行い、反応溶液を得た。
次いで、反応溶液に、トリメチルエトキシシラン(信越化学工業社製)10.6gを添加し、2時間の還流を行い、脱アルコール反応された反応溶液を得た。
その後、反応溶液をロータリーエバポレーターにかけ、80℃、真空度60Paで3時間減圧した。これにより、反応溶液からヘプタンを除去し、残渣物として紫外線硬化型シリコーン樹脂(エチレン性不飽和結合を有する置換基をもつシリコーン樹脂)を得た。
(調光素子Dの作製)
先ず、上述のようにして得た紫外線硬化型シリコーン樹脂10g、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製)0.2g、及び着色防止剤としてのジブチル錫ジラウレート0.3gに対して、上述のようにして得た光調整懸濁液2.5gを添加した。この混合溶液を1分間超音波で混合し、調光素子材料の分散液を形成した。
次に、ガラス製の基材上に形成されたITOを用意した。このITO上に、調光素子材料の分散液をスピンコート法により塗布し、次いで、シリカナノ粒子分散液(シーアイ化成社製)をスピンコート法により塗布した。さらにその上に、メチルエチルケトンに溶解させたシランカップリング剤KBM−303及びKBM−503(信越化学社製)を50:50に含有した1質量%溶液を噴霧乾燥した。これにより、基材付きITOの上に、調光層を形成した。
続いて、調光層の上に、対向電極となるITOを形成した。これにより、基材上に調光素子Dを形成した。さらに、ITO上に封止基材を形成し、調光素子Dを封止した。その後、150℃で1時間加熱し、基材及び封止基材で封止された調光素子Dを作製した。
[試料3−1及び3−2の有機電界発光体の作製]
先ず、実施例1で作製した試料No.4の有機電界発光素子を用意し、図7に示すように、有機電界発光素子10の第2透明電極22(陰極)側つまり封止基材13a上に、以下に説明する接着剤を介して、基材及び封止基材で挟持された各調光素子(AまたはB)を貼り合わせた。ただし、本実施例3では、図7に示した高屈折率層11を設けない。
この貼合せの際、接合面に厚さ1μmの接着剤をワイヤーバーにて塗布し、60℃で1分間、さらに100℃で1分間乾燥し、その後、有機電界発光素子10と調光素子(AまたはB)とを貼り合わせた。次いで、45℃で3日間エージングし、試料3−1及び3−2の有機電界発光体ELを作製した。
(貼り合わせ用の接着剤の作製)
先ず、撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、酢酸エチル70部を入れ、78℃に昇温した。
次に、窒素ガス導入管から反応容器に窒素を吹き込みながら、n−ブチルアクリレート264部(2.1モル部)、及びアクリル酸36部(0.5モル部)を配合したモノマー配合液と、開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部を酢酸エチル55部に溶解した開始剤溶液とを、別々の滴下ロートから、4時間かけて連続的に反応容器に滴下し、ラジカル重合させた。次いで、滴下終了後2時間熟成させた。
その後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6部を酢酸エチル28部に溶解した開始剤溶液を、2時間かけて連続的に滴下ロートから反応容器に滴下し追加した。さらに、沸点80℃で重合反応を2時間継続した。
続いて、酢酸エチル1047部を加えた。これにより、(メタ)アクリレート系共重合体前駆体の溶液(固形分濃度=20%)を得た。Mwは150万であった。
次に、(メタ)アクリレート系共重合体の溶液(固形分濃度=20%)100部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパンのイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを75%含む酢酸エチル溶液(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン社製)1部と、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−403」、信越化学社製)0.05部とを均一に混合した。これにより、接着剤を作製した。この接着剤は、JIS−K−7117−2に準拠した方法で測定された粘度が、25℃において7200(mPa・s)であった。
[試料3−3〜3−6の有機電界発光体の作製]
先ず、実施例1で作製した試料No.4の有機電界発光素子を用意し、図9に示すように、有機電界発光素子10の第1透明電極21(陽極)側つまり基材12aの下に、上述の説明と同様にして、接着剤を介して、各調光素子(A〜Dの何れか)を貼り合わせた。ただし、本実施例3では、図9に示した高屈折率層11を設けない。
以上により、試料3−3〜3−6の各有機電界発光体ELを作製した。
<実施例3の各有機電界発光体の評価>
(有機電界発光体の光取り出し効率)
実施例2と同様にして、試料3−1〜3−6の各有機電界発光体ELについて、光取り出し効率の評価を行った。ただし、各調光素子A〜Dを反射状態または不透明状態(光を散乱または吸収)にした場合の片面から光を取り出す各有機電界発光体ELについて、評価した。この結果を上記表3に合わせて示す。
<実施例3の評価結果>
表3から明らかなように、有機電界発光素子と、反射状態となる本発明構成である調光素子A,Bとを備えた試料3−1〜3−4の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。これに対して、有機電界発光素子と、反射状態ではなく不透明状態(光を散乱または吸収)となる本発明構成ではない調光素子C,Dとを備えた試料3−5及び3−6の有機電界発光体は、光取り出し効率が劣った。
これにより、有機電界発光素子と、本発明構成の調光素子とを備えた有機電界発光体は、高い光取り出し効率を有することが確認された。
<窒素含有層に異なる化合物を使用した有機電界発光体>
試料4−1〜4−10の各有機電界発光体ELを作製した。下記表4を参照し、試料4−1〜4−5では、有機電界発光素子と反射層とを有する有機電界発光体ELを作製し、試料4−6〜4−10では、有機電界発光素子と調光素子Bとを有する有機電界発光体ELを作製した。図2及び図7を参照して、作製手順を説明する。
(試料4−1〜4−5の有機電界発光体の作製)
試料4−1の有機電界発光体は、図2に示すように、実施例2で作製した試料2−4の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、窒素含有層1aを設けず、また第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとした。
試料4−2の有機電界発光体は、図2に示すように、実施例2で作製した試料2−4の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとした。窒素含有層1aの化合物は、試料2−4と同様に下記化合物N−1である。
試料4−3〜4−5の有機電界発光体は、図2に示すように、実施例2で作製した試料2−4の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、窒素含有層1aの化合物をそれぞれ下記化合物N−2〜N−4とし、第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとした。
(試料4−6〜4−10の有機電界発光体の作製)
試料4−6の有機電界発光体は、図7に示すように、実施例3で作製した試料3−2の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、窒素含有層1aを設けず、第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとした。さらに有機電界発光素子の第1透明電極21(陽極)側に高屈折率層11を形成した。
試料4−7の有機電界発光体は、図7に示すように、実施例3で作製した試料3−2の有機電界発光体を作製した。なお、第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとし、さらに有機電界発光素子の第1透明電極21(陽極)側に高屈折率層11を形成した。窒素含有層1aの化合物は、試料3−2と同様に上記化合物N−1である。
試料4−8〜4−10の有機電界発光体は、図7に示すように、実施例3で作製した試料3−2の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、窒素含有層1aの化合物をそれぞれ上記化合物N−2〜N−4とし、第2透明電極22(陰極)を構成する銀の膜厚を9nmとした。さらに有機電界発光素子の第1透明電極21(陽極)側に高屈折率層11を形成した。
<実施例4の各有機電界発光体の評価>
(有機電界発光体の光取り出し効率)
実施例2と同様にして、試料4−1〜4−10の各有機電界発光体ELについて、光取り出し効率の評価を行った。ただし、試料4−6〜4−10では、調光素子Bを反射状態にした場合の片面から光を取り出す各有機電界発光体ELについて、評価した。この結果を上記表4に合わせて示す。
<実施例4の評価結果>
表4から明らかなように、窒素原子を含む化合物N−1、N−2、N−3、またはN−4を用いた窒素含有層に隣接して銀で構成された第2透明電極(陰極)を設けた本発明構成の有機電界発光素子と、反射層または調光素子Bとを備えた試料4−2〜4−5及び4−7〜4−10の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。これに対して、銀で構成された第2透明電極(陰極)に窒素含有層が隣接されない本発明構成ではない有機電界発光素子と、反射層または調光素子Bとを備えた試料4−1及び4−6の有機電界発光体は、良好な発光が得られなかった。
これにより、本発明構成の有機電界発光素子と、反射層または調光素子とを備えた有機電界発光体は、高い光取り出し効率を有することが確認された。
また、良好な発光が得られなかった試料4−1及び4−6の有機電界発光体において、窒素含有層の隣接されない銀で構成された第2透明電極は、不連続な金属膜となり充分な導電性が得られなかった。これにより、透明電極に銀で構成される金属透明導電層を用いた場合に、これに隣接させて窒素含有層を設けることの効果が確認された。
<異なる膜厚の窒素含有層を用いた有機電界発光体>
(試料5−1〜5−5の有機電界発光体の作製)
試料5−1〜5−5の各有機電界発光体を、図2に示すように、実施例4で作製した試料4−2の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、窒素含有層1aの膜厚を下記表5のとおりとした。
<実施例5の各試料の評価>
(有機電界発光体の光取り出し効率)
(有機電界発光体の光取り出し効率)
実施例2と同様にして、試料5−1〜5−5の有機電界発光体について、光取り出し効率の評価を行った。この結果を上記表5に合わせて示す。
(第2透明電極(陰極)の光透過率)
実施例1と同様にして、試料5−1〜5−5の第2透明電極22(陰極)について、光透過率を測定した。この結果を上記表5に合わせて示す。
(第2透明電極(陰極)のシート抵抗値)
実施例1と同様にして、試料5−1〜5−5の第2透明電極22(陰極)について、シート抵抗値を測定した。この結果を上記表5に合わせて示す。
<実施例5の評価結果>
表5から明らかなように、試料5−1〜5−5の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。特に、窒素含有層の膜厚が1.5nm、50nm、または90nmである有機電界発光素子を備えた試料5−2〜5−4の有機電界発光体は、光取り出し効率が非常に良好であった。
これにより、窒素含有層の膜厚が、0.5nmよりも厚く120nmよりも薄い範囲、例えば1〜100nm程度の範囲において、このような膜厚の窒素含有層とこれに隣接した銀で構成された透明電極を有する有機電界発光素子を備えた有機電界発光素子は、高い光取り出し効率を有することが確認された。
また、窒素含有層の膜厚が極端に薄い場合には、窒素含有層に隣接して成膜された銀の層が非連続な層となり、銀で構成された第2透明電極のシート抵抗が高くなるため、有機電界発光素子の発光効率が低下する傾向にある。一方、窒素含有層の膜厚が極端に厚い場合には、第2透明電極と発光ユニットとの間に設けられた窒素含有層が、第2透明電極から発光ユニット内の発光層への電子注入を妨げるため、有機電界発光素子の発光効率が低下する傾向にある。これにより、窒素含有層の膜厚は、銀の連続性を保てる程度に厚く、発光効率を低下させない程度に薄いことが必要であると確認された。
<仕事関数の浅い材料で構成された陰極を有する有機電界発光体>
試料6−1〜6−11の仕事関数の浅い材料で構成された金属透明導電層1b(陰極)を有する有機電界発光体を作製した(図2参照)。下記表6に示すように、試料6−1では、銀の単層構造で構成された金属透明導電層1bを形成した。試料6−2〜6−4、及び6−10では、図13に示すように、アルミニウム101と銀102の積層構造で構成された金属透明導電層1bを形成した。試料6−5では、アルミニウムの単層構造で構成された金属透明導電層1bを形成した。試料6−6〜6−8、及び6−11では、図13に示すように、マグネシウム銀101と銀102との積層構造で構成された金属透明導電層1bを形成した。試料6−9では、マグネシウム銀の単層構造で構成された金属透明導電層1bを形成した。
(試料6−1の有機電界発光体)
試料6−1の有機電界発光体を、図2に示すように、実施例5で作製した試料5−3の有機電界発光体と同様にして作製した。なお、第2透明電極22(陰極:金属透明導電層1b)の膜厚を7nmとした。
(試料6−2〜6−4の有機電界発光体)
試料6−2〜6−4の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−1と同様にして作製した。なお、金属透明導電層1b(第2透明電極22:陰極)を、銀の単層構造に換えて、図13に示すように、アルミニウム(Al)101と銀(Ag)102との2層構造とした。この金属透明導電層1bを形成する際、まず蒸着速度0.05nm/秒でアルミニウム(Al)の層101を下記表6記載のそれぞれの膜厚(0.5、1、または2nm)で形成し、次いで蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で銀(Ag)102の層を下記表6記載のそれぞれの膜厚(6.5、6、または5nm)で形成した。
(試料6−5の有機電界発光体)
試料6−5の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−1と同様にして作製した。なお、金属透明導電層1b(第2透明電極22:陰極)を、銀に換えて、アルミニウムで形成した。この金属透明導電層1bを形成する際、蒸着速度0.05nm/秒で、膜厚7nmのアルミニウムの層を形成した。
(試料6−6〜6−8の有機電界発光体)
試料6−6〜6−8の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−1と同様にして作製した。なお、金属透明導電層1b(第2透明電極22:陰極)を、銀の単層構造に換えて、図13に示すように、マグネシウム銀(MgAg)101と銀(Ag)102との2層構造とした。この金属透明導電層1bを形成する際、まず、Mg:Ag=15:85(原子数%)となるようにマグネシウムと銀との共蒸着を行い、下記表6記載のそれぞれの膜厚(0.5、1、または2nm)のマグネシウム銀の層101を形成した。次いで、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で蒸着を行い、下記表6記載のそれぞれの膜厚(6.5、6、または5nm)の銀の層102を形成した。
(試料6−9の有機電界発光体)
試料6−9の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−1と同様にして作製した。なお、金属透明導電層1b(第2透明電極22:陰極)を、銀に換えて、マグネシウム銀(MgAg)で形成した。この金属透明導電層1bを形成する際、Mg:Ag=15:85(原子数%)となるようにマグネシウムと銀との共蒸着を行い、膜厚7nmのマグネシウム銀の層を形成した。
(試料6−10の有機電界発光体)
試料6−10の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−3と同様にして作製した。なお、第1透明電極21(陽極)を、ITOに換えて、銀(膜厚9nm)を用いた金属透明導電層で形成した。さらに、銀を用いた金属透明導電層で構成された第1透明電極21を、基材12上に、化合物N−1で構成された窒素含有層(膜厚25nm)を介して形成した。
(試料6−11の有機電界発光体)
試料6−11の有機電界発光体を、図2に示すように、上述した試料6−7と同様にして作製した。なお、第1透明電極21(陽極)を、ITOに換えて、銀(膜厚9nm)を用いた金属透明導電層で形成した。さらに、銀を用いた金属透明導電層で構成された第1透明電極21を、基材12上に、化合物N−1で構成された窒素含有層(膜厚25nm)を介して形成した。
<実施例6の各試料の評価>
(有機電界発光体の光取り出し効率)
実施例2と同様にして、試料6−1〜6−11の有機電界発光体について、光取り出し効率の評価を行った。この結果を上記表6に合わせて示す。
(第2透明電極(陰極)の光透過率)
実施例1と同様にして、試料6−1〜6−11の第2透明電極22(陰極)について、光透過率を測定した。この結果を上記表6に合わせて示す。
(第2透明電極(陰極)のシート抵抗値)
実施例1と同様にして、試料6−1〜6−11の第2透明電極22(陰極)について、シート抵抗値を測定した。この結果を上記表6に合わせて示す。
<実施例6の評価結果>
表6から明らかなように、窒素含有層に隣接する銀の層で構成された第2透明電極を有する試料6−1の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。
また、窒素含有層上に、薄いアルミニウムの層を介して積層された銀の層で構成された第2透明電極を有する試料6−2〜6−4の有機電界発光体は、光取り出し効率が非常に良好であった。同様の第2透明電極を有し、第1透明電極が窒素含有層に隣接する銀を用いた金属透明導電層である試料6−10の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。
また、窒素含有層上に、銀を主成分とする合金であるマグネシウム銀の層を介して積層された銀の層で構成された第2透明電極を有する試料6−6〜6−8の有機電界発光体は、光取り出し効率が非常に良好であった。同様の第2透明電極を有し、第1透明電極が窒素含有層に隣接する銀を用いた金属透明導電層である試料6−11の有機電界発光体は、光取り出し効率が良好であった。
また、窒素含有層に隣接する銀を主成分とする合金であるマグネシウム銀の層で構成された第2透明電極を有する試料6−9の有機電界発光体は、光取り出し効率が非常に良好であった。
これに対して、窒素含有層に隣接するアルミニウムの層のみで構成された第2透明電極を有する試料6−5の有機電界発光体は、良好な発光が得られなかった。
これにより、窒素含有層に隣接して設けられる第2透明電極は、単層構造であっても積層構造であってもよいが、銀または銀を主成分とする合金の層を含んで構成される必要がある。この場合に、第2透明電極は光透過性と導電性とを兼ね備え、このような第2透明電極を有する有機電界発光体は、高い光取り出し効率を有することが確認された。
また、有機電界発光体を構成する第1透明電極(陽極)及び第2透明電極(陰極)において、両方ともに金属透明導電層を用いた場合、及び第2透明電極(陰極)のみに金属透明導電層を用いた場合ともに、良好な光取り出し効率を得た。これにより、一対の透明電極のうち少なくとも一方の透明電極が金属透明導電層である有機電界発光体は、良好な光取り出し効率を有することが確認された。
EL−1、EL−1a、EL−1b、EL−2、EL−2a、EL−3、EL−3a、EL−3b、EL−3c…有機電界発光体、1a…窒素含有層1a…金属透明導電層、3…発光ユニット、10…有機電界発光素子、12…基材、12a…スペーサとしての基材、13…封止基材、13a…スペーサとしての封止基材、14…反射層、15…誘電体多層膜、16…調光素子、21…第1透明電極、22…第2透明電極、23…第3透明電極、24…第4透明電極

Claims (11)

  1. 一対の透明電極と、当該透明電極の間に狭持された発光ユニットとを有する有機電界発光素子と、
    前記透明電極の少なくとも一方を構成する金属透明導電層と、
    前記有機電界発光素子の一方側に設けられた反射体と
    を備えた有機電界発光体。
  2. 前記反射体が、透明状態と反射状態との切り替えが可能な調光素子である請求項1記載の有機電界発光体。
  3. 前記調光素子が、一対の透明電極を有する請求項2記載の有機電界発光体。
  4. 前記反射体が、前記有機電界発光素子の一方側にスペーサを介して設けられた請求項1〜3の何れか記載の有機電界発光体。
  5. 前記金属透明導電層は、銀または銀を主成分とした合金で構成されると共に、窒素原子を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層に隣接して配置されている請求項1〜4の何れかに記載の有機電界発光体。
  6. 前記窒素原子を含んだ化合物が、ピリジン基を含有する請求項5記載の有機電界発光体。
  7. 前記窒素原子を含んだ化合物が下記一般式(1)で表される化合物を有する請求項5または6記載の有機電界発光体。
    一般式(1) (Ar1)n1−Y1
    〔ただし一般式(1)中、n1は1以上の整数を表し、Y1はn1が1の場合は置換基を表し、n1が2以上の場合は単なる結合手またはn1価の連結基を表す。
    Ar1は下記一般式(A)で表される基を表し、n1が2以上の場合、複数のAr1は同一でも異なっていてもよい。
    また一般式(1)で表される化合物は分子内に3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。〕
    〔ただし一般式(A)中、Xは、−N(R)−、−O−、−S−または−Si(R)(R’)−を表し、E1〜E8は、−C(R1)=または−N=を表し、R、R’およびR1は水素原子、置換基またはY1との連結部位を表す。
    *はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手または2価の連結基を表す。
    Y3およびY4は、各々5員または6員の芳香族環から導出される基を表し、少なくとも一方は環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。
    n2は1〜4の整数を表す。〕
  8. 前記窒素含有層が、1〜100nmの膜厚を有する請求項5〜7の何れか記載の有機電界発光体。
  9. 前記有機電界発光素子の少なくとも一方に配置された基材を備え、当該基材が可撓性を有する請求項1〜8の何れか記載の有機電界発光体。
  10. 前記有機電界発光素子を挟持して配置された基材を備え、当該基材がガスバリア性を有する請求項1〜9の何れか記載の有機電界発光体。
  11. 前記基材が、印刷または塗布により形成されたものである請求項9または10記載の有機電界発光体。
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