JP2014017231A - ドリフトチューブ線形加速器 - Google Patents

ドリフトチューブ線形加速器 Download PDF

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Abstract

【課題】IH型であっても外付けチューナを設けずに省電力化した入射器用ドリフトチューブ線形加速器を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明のドリフトチューブ線形加速器30によれば、加速空洞6は、中央板4と、一対の半筒管5a、5bとにより形成され、中央板4は、同一のブロックから製作された、リッジ2と、リッジ2とドリフトチューブ電極1を接続するステム3と、ドリフトチューブ電極1とを有し、加速空洞6は、ビーム加速中心軸20に直交する断面において、中央板4におけるステム3が延伸する方向の面方向中心軸21と直交し、ビーム加速中心軸20を通過するX方向空洞内径d1が、面方向中心軸20に平行なY方向空洞内径d2よりも長いことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、陽子や重粒子などの荷電粒子を加速するドリフトチューブ線形加速器に関する。
陽子や重粒子などの荷電粒子を高エネルギまで加速するには、シンクロトロンが使用される。シンクロトロンには、予備加速されるための入射器が用いられる。一般的に入射器は、イオン源と前段加速器と後段加速器から構成される。後段加速器には、ドリフトチューブ線形加速器が採用される。
ドリフトチューブ線形加速器は、加速空洞の中にドリフトチューブと呼ばれる電極が加速ビーム軸方向に一方向に複数個から数十個配列される。加速空洞は共振周波数をもつ共振器である。加速空洞に、加速空洞の共振周波数に相当する高周波電力を供給すると、ドリフトチューブ電極間に高周波電界が発生する。加速空洞に入射された陽子等の荷電粒子は、ドリフトチューブ電極間に発生した上記高周波電界によりエネルギを付与され加速される。高周波電界が時間(位相)とともに変化し、加速方向と逆向きに電界が発生すると荷電粒子は減速されてしまう。そのため、ドリフトチューブ電極の配列は、荷電粒子が加速するように設計される。すなわち、加速電界発生時は荷電粒子がドリフトチューブ電極間に存在し、減速電界発生時は荷電粒子がドリフトチューブ電極内に存在するようにすることで、発生電界の影響を受けないように、ドリフトチューブ電極の配列が設計される。
ドリフトチューブ線形加速器には、アルバレ型線形加速器とIH(Interdigital−H)型線形加速器等の構造がある。アルバレ型線形加速器は2πモード加速が特徴であり、ひとつのドリフトチューブ間の中心から次のドリフトチューブ間の中心まで360度分位相が進む。したがって、荷電粒子が発散してしまうのに十分な長さを持つドリフトチューブ電極となるため、荷電粒子が発散しないように四重極電磁石等の荷電粒子の発散を抑える収束機器をドリフトチューブ電極に内蔵するのが一般的である。そのため、陽子などの軽い質量で容易に発散する荷電粒子を加速する入射器には、四重極電磁石等が追加可能なアルバレ型が採用される。
他方、IH型線形加速器はπモード加速が特徴であり、ひとつのドリフトチューブ間の中心から次のドリフトチューブ間の中心まで180度分位相が進む。したがって、IH型線形加速器は、アルバレ型線形加速器よりも加速頻度が2倍にできるので、アルバレ型線形加速器よりもドリフトチューブ電極の全長は短くでき、全長が短い場合は、荷電粒子が発散しないように四重極電磁石等の荷電粒子の収束機器をドリフトチューブ電極に内蔵することは困難である。そのため、炭素イオンなどの重い質量で容易に発散することが無い荷電粒子を加速する入射器には、全長が短くできることもあってIH型が採用される。
入射器は、シンクロトロンが受け付けるエネルギにまで予備加速する装置であり、シンクロトロンの受け入れ要求を満たす必要がある。とくに、エネルギだけでなく、荷電粒子個々のエネルギの相違(運動量分散と呼ぶ)にもある特定の範囲内が要求される。その場合、ドリフトチューブ線形加速器では、設計どおりの加速電界分布を達成するために、従来は、製作後に複数台から数十台から構成される外付けのチューナブロックの加速空洞への挿入量を調整することで、共振周波数と加速電界分布を微調整するようにしていた(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特開2007−157400号公報(図1) 特許第4194105号公報(図1〜図3)
ドリフトチューブ電極間に加速電界を発生させるために、加速空洞に供給する高周波電力量は、加速空洞での消費電力とビームローディング量で決まる。加速空洞での消費電力は、加速空洞内の表面抵抗と接触抵抗に分類される。一般的に、表面抵抗による消費電力を1とすると、表面抵抗と接触抵抗を合わせた消費電力は100/80〜100/60である。したがって、接触抵抗を発生させる加速空洞内の機器点数の増加は加速空洞での消費電力を増加させ、加速空洞に供給する高周波電力を生成する高周波電源の容量が増加する。したがって、ドリフトチューブ線形加速器をシンクロトロンの入射器として使用する場合、共振周波数や電界分布の高精度な調整が必要となり、従来のように数多くの外付けチューナを設けると、さらに表面抵抗と接触抵抗を合わせた消費電力が増加してしまい、高周波電源の容量は増加することが問題であった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、IH型であっても外付けチューナを設けずに省電力化した入射器用ドリフトチューブ線形加速器を得ることを目的とする。
本発明のドリフトチューブ線形加速器によれば、ドリフトチューブ電極及び他のドリフトチューブ電極が配置された加速空洞は、中央板と、一対の半筒管とにより形成され、この中央板は、同一のブロックから製作された、リッジと、リッジとドリフトチューブ電極を接続するステムと、ドリフトチューブ電極とを有し、加速空洞は、ビーム加速中心軸に直交する断面において、中央板におけるステムが延伸する方向の面方向中心軸と直交し、ビーム加速中心軸を通過するX方向空洞内径が、面方向中心軸に平行なY方向空洞内径よりも長いことを特徴とする。
本発明のドリフトチューブ線形加速器によれば、加速空洞を中央板と、一対の半筒管とにより形成し、加速空洞のビーム加速中心軸に直交する断面におけるX方向空洞内径がY方向空洞内径よりも長くなるように一対の半筒管を加工して、加速空洞の共振周波数と電界分布を調整するので、IH型であっても外付けチューナを設けずに省電力化することができる。
本発明の実施の形態1におけるドリフトチューブ線形加速器の構成図である。 図1のA−Aにおける正面断面図である。 図1のB−Bにおける側面断面図である。 図1の真空排気ポートが設置される部分の真空排気孔を示す図である。 図1の真空排気ポートが設置される部分の他の真空排気孔を示す図である。 本発明のポートの取り付け構成を示す図である。 本発明の中央板と半筒管との接合部を示す図である。 本発明の半筒管における加工前と加工後を示す図である。 本発明の中央板を示す図である。 本発明の実施の形態2におけるドリフトチューブ線形加速器の正面断面図である。 本発明の実施の形態3におけるドリフトチューブ線形加速器の正面断面図である。 本発明の実施の形態4におけるドリフトチューブ線形加速器の構成図である。 図12のC−Cにおける正面断面図である。 図12のD−Dにおける側面断面図である。 本発明の実施の形態4におけるドリフトチューブ線形加速器基礎部の構成図である。 図15のA−Aにおける正面断面図である。 図15のB−Bにおける側面断面図である。 銅の低効率の温度依存関係を示す図である。 規格化されたQ値の温度依存関係を示す図である。 本発明の実施の形態5におけるドリフトチューブ線形加速器の要部の側面断面図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1におけるドリフトチューブ線形加速器の構成図である。図2は図1のA−Aにおける正面断面図であり、図3は図1のB−Bにおける側面断面図である。ドリフトチューブ線形加速器30は、加速ビーム軸方向に一対以上、すなわち2つ以上配列したドリフトチューブ電極1と、加速空洞6を形成する2つの半筒管5a、5b及び中央板4と、電力供給ポート25と、電力測定ポート26と、真空排気ポート27を備える。ドリフトチューブ電極1は、リッジ2と呼ばれる加速電界が空洞全体にわたり均等に発生させるための土台上に円柱形のステム3を介して、ビーム加速中心軸20を内包するように位置する。ドリフトチューブ電極対28は、ドリフトチューブ電極1と隣接する他のドリフトチューブ電極1で構成される。図2および図3において、上側にリッジ2aと、下側にリッジ2bを備える例を示した。なお、リッジの符号は、総括的に2を用い、区別して説明する場合に2a、2bを用いる。また、半筒管の符号は、総括的に5を用い、区別して説明する場合に5a、5bを用いる。
ドリフトチューブ電極1のリッジ2に対する位置は、機差が生じないような製作を行う。実施の形態1では、リッジ2と、ステム3と、ドリフトチューブ電極1まですべて同じ材料のブロックからの切り出しにて製作し、中央板4とするものとする。一対の半筒管5a、5bにて中央板4をはさみ、加速空洞6を形成する。半筒管5は、中央板4に接合する2つの接合部35a、35bと、2つの接合部35a、35bの間を連結する胴部36を有する。なお、図2では、半筒管5bにおいて接合部35a、35bと胴部36を示した。
ここで、半筒管5a、5bは、中央板4を立てた状態で左右から挟んでも、中央板4を寝かして上下から挟む形状でも良い。実施の形態1では、ドリフトチューブ電極1の自重によりステム3が反り、ドリフトチューブ電極1の中心軸と加速空洞6の中心軸が異なることがないように、中央板4を立てて左右から一対の半筒管5a、5bを挟む構造とする例で説明する。また、一対の半筒管5a、5bは対照構造が好ましいが、必ずしも対照である必要は無い。また、半筒管5a、5bはアルミや鉄、ステンレスなどのブロックから削りだしで製作することが好ましい。
ここで、座標軸について定義する。ドリフトチューブ電極1が配列する方向をビーム加速軸(Z軸)と呼ぶ。中央板4が立っている方向(中央板4の幅方向であり、図2及び図3において縦方向)をY軸、左右から一対の半筒管5a、5bが中央板4に取り付く方向(中央板4の厚み方向であり、図1において縦方向、図2において横方向)をX軸とする。図2の中心軸21は中央板4の面方向中心軸21であり、中心軸22は中央板4の板厚方向中心軸22である。面方向中心軸21は加速空洞6のビーム加速中心軸20から+Y方向及び−Y方向に延伸する中心軸であり、板厚方向中心軸22は加速空洞6のビーム加速中心軸20から+X方向及び−X方向に延伸する中心軸である。
図2に示すように、加速空洞6は、ビーム加速中心軸20に直交する断面において、中央板4におけるステム3が延伸する方向の面方向中心軸21と直交し、ビーム加速中心軸20を通過するX方向空洞内径d1が、面方向中心軸21に平行なY方向空洞内径d2よりも長くなっている。
半筒管5には、電力を供給するための電力供給ポート25が1つ以上あり、また加速空洞6に供給された電力量を測定するためのピックアップアンテナを設置するためのポートである電力測定ポート26が1つ以上、また加速空洞6を真空引きするための真空排気ポート27が1つ以上設置される。図1では、電力供給ポート25が2つあり、電力測定ポート26及び真空排気ポート27がそれぞれ1つある例を示した。真空排気ポート27には、加速空洞6内に発生する電磁界がポート内にもれこまないように金属製の網(一般にRF網8と呼ばれる)を設けることが好ましい。図4に半筒管5に設けられた真空排気ポート27の真空排気孔7とRF網8を示す。また、他の例として、金属製の網に相当する箇所も1個のブロックからの削りだしで製作し、別途RF網を設置しない例を示す。
図5に、金属製の網に相当する箇所も1個のブロックからの削りだしで製作した真空排気ポート27の真空排気孔7を示す。図5に示した真空排気孔7は、複数のスリットを用いて形成した。また、電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27の各ポート管は半筒管5に溶接することなく、RFコンタクトを介してねじ止めされることが好ましい。図6に、ねじ止めによるポート管9の一例を示す。電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27の各ポート管9は、半筒管5にねじ12を用いて固定される。
中央板4と1対の半筒管5a、5bとの接続について説明する。図7は、本発明の中央板と半筒管との接合部を示す図である。中央板4と1対の半筒管5a、5bはRFコンタクト10、真空封止用のOリング11を介して、複数のねじ12(図1、図2参照)にて固定される。また、中央板4と1対の半筒管5a、5bの接合面は、係合部13とピン14により位置決めが行われる。例えば、中央板4に凹部31が設けられ、半筒管5に凸部32が設けられる。中央板4の凹部31と半筒管5の凸部32は、互いに係合する係合部13、すなわち係合構造を構成する。
中央板4には、リッジ2部ではない縁部分に、水冷用の冷却路15を掘る。また、半筒管5にも、同様に半筒管5の肉厚部に、冷却路19を掘る(図2参照)。図2には、中央板4に2つの冷却路15が設けられ、半筒管5a、5bのそれぞれに3つの冷却路19が設けられた例を示した。
ドリフトチューブ線形加速器30の製造方法を説明する。まず、中央板4は、一枚のブロックからドリフトチューブ電極1、ステム3、リッジ2以外を切り出して、ドリフトチューブ電極1、ステム3、リッジ2が残るように製作する。特に、ドリフトチューブ電極1の位置の精度は厳しく、NC(Numerical Control)加工により位置精度及び再製造の際の再現性を担保する。一般的に、ドリフトチューブ電極1のZ軸方向の位置精度は±0.1mmであり、NCマシンの加工精度よりも十分に大きい。つぎに、半筒管5を1個のブロックから削りだしにて加工する。その際、ポート位置にはRF網8に相当するよう、ポート面内の一部は図5のように残しておく。また、ポート部は溶接せず、図6に示すようにねじ止めにて取り付ける構造とする。中央板4と半筒管5a、5b
との接合面には、図7に示すように、中央板4の凹部31と半筒管5の凸部32とが係合される。中央板4と半筒管5a、5bは、ピン14により位置決めされた後、RFコンタクト10、Oリング11を介してねじ12によりねじ止めされる。このように、加速空洞6は、中央板4と半筒管5a、5bとが接合されて形成される。
加速空洞6が形成された後、摂動法等を用いてドリフトチューブ電極1間に発生する電界分布と共振周波数を測定する。また、ドリフトチューブ電極1間に発生する電界分布をドリフトチューブ電極1の中心から他のドリフトチューブ電極1の中心までで積分して、電圧を算出する。各ドリフトチューブ電極1間にて得られる電圧と、加速空洞6の共振周波数を設計値と比較する。従来、実測値と設計値との差異を合わすためには、外付けのチューナを用いてきたが、ここではチューナレス構造を達成する構造を下記に説明する。
加速空洞6の共振周波数と電界分布は、おもにドリフトチューブ電極1同士による静電容量Cと、加速空洞6内のインダクタンスLにより決定される。共振周波数Fに関する関係式を、(1)式に示す。
Figure 2014017231
インダクタンスLは、コイルに電流を流した電流により発生するコイルに鎖交する磁束と電流に比例し、その比例定数を自己インダクタンスと呼ぶが、その関係式が加速空洞6にも適用できる。つまり、磁束が直交する面積S(加速空洞6の断面積に相当する)と、磁束密度B、加速空洞6の内壁面に流れる電流Iの関係は、(2)式の関係となる。
L=BS/I ・・・(2)
加速空洞6の内部にはドリフトチューブ電極1等の構造物があり、正確に(2)式の関係式を求めることは困難であるが、基本的な考え方に違いはない。つまり、加速空洞6の内径を大きくすれば上記面積Sは大きくなり、(2)式よりLも大きくなる。その結果、(1)式より加速空洞6の共振周波数Fは小さくなる。
また、静電容量Cも、平行平板導体の静電容量の関係式を適用できる。つまり、ドリフトチューブ電極1のZ軸に直交する断面積s、ドリフトチューブ電極1と隣接するドリフトチューブ電極1との間隔d、誘電率εとすると、(3)式の関係式が成り立つ。
C=εs/d ・・・(3)
したがって、ドリフトチューブ電極1の断面積sを大きくすると、(3)式よりCが大きくなる。その結果、(1)式より加速空洞6の共振周波数Fは小さくなる。次に、ドリフトチューブ電極1間に発生する電界強度の関係式を、(4)式に示す。
Figure 2014017231
ここに、Bは加速空洞6内の磁束密度であり、(4)式のBの上部に付したドットは時間微分を表す。Sは加速空洞の断面積である。そして、上記(4)式の左辺は、ドリフトチューブ電極対28におけるドリフトチューブ電極1と他のドリフトチューブ電極1との間に発生する電圧となり、右辺はその領域での加速空洞6の断面積S内の磁場の時間変化である。
したがって、加速空洞6の内径を大きくすると(4)式の右辺が大きくなり、(4)式の左辺、つまりドリフトチューブ電極1と他のドリフトチューブ電極1との間に発生する電圧は増加する。
実施の形態1における加速空洞6は、インダクタンスLを調整する構造である。以下にインダクタンスLを調整する方法を説明する。まず、電界分布を設計値とあわす手法を説明する。
あるドリフトチューブ電極対28におけるドリフトチューブ電極1と他のドリフトチューブ電極1との間に発生する電界強度を増加させる場合、(4)式よりドリフトチューブ電極1と他のドリフトチューブ電極1との間(ギャップ)のZ方向の位置であるz位置における半筒管5の内径を拡大する。そのさい、Y軸方向の半筒管5は中央板4との係合構造があるため、Y軸方向の形状は加工せずに、X軸方向の形状を加工する。加速空洞6に発生する電界強度は、たとえば、入射側の電界強度を増加させるために入射側の半筒管5の内径を上記の方法でX軸方向のみ拡大すると、出射側の電界強度は逆に低下する。そのとき、共振周波数Fは(1)式より入射側の半筒管5の内径を拡大したことで低下する。したがって、設計段階において設計共振周波数より高めになるように半筒管5の内壁形状を決定し、実測値にあわせてX軸方向のみ拡大するように半筒管5の内壁を楕円形に削っていく。
図8に、半筒管5の内壁を楕円形に削っていく前後の加速空洞6を示す。点線で示した半筒管5の内壁16は、本電界分布をあわす前の半筒管5の内壁である。実線で示した半筒管5は、加工後のものである。加工前における半筒管5において、中央板4との係合構造がある接合部35a、35b以外の胴部36は、ビーム加速中心軸20から半筒管5の内壁までの寸法がrである。加工後おける半筒管5の胴部36と接合部35a、35bとの境界では、ビーム加速中心軸20から半筒管5の内壁までの寸法がrであるが、X軸方向ではビーム加速中心軸20から半筒管5の内壁までの寸法がrよりも長いr1である。すなわち、加工後における半筒管5の胴部36の形状は、ビーム加速中心軸20から内壁までの寸法がrからr1に変化し、またrに戻るような楕円形状となる。
したがって、半筒管5の加工は、全長制限のあるNCマシンにて実施する必要があるため、アルバレ型ではなく、全長が短くなるIH型を採用することが好ましい。また、NCマシンにて加工できるように、中央に中央板4を挿入して加速空洞6を形成するための円筒管ではなく、2つの半筒管5を用いて加速空洞6を形成する構造が好ましい。また、NCマシンにて加工ができるように、半筒管5に取り付けるポート管9は溶接ではなく、NCマシンにて加工する際には取り外し可能なねじ止めであることが好ましい。加速空洞6を上記の半筒管5と中央板4で形成することにより、外付けチューナを使用することなく、電界分布が調整することができるようになる。
まず、電界分布が設計値と一致するように半筒管5の内径を、上記のようにNCマシンを用いてX軸方向のみを拡大するように、楕円形に加工する。上記楕円形に加工する楕円形加工により、電界分布が設計値と一致したとする。
つぎに、共振周波数を設計値にあわす。半筒管5は、設計値に対する加工しろのため意図的に内径が小さく製作されており、電界分布を達成するために上記のように加工した。上記の加工によりインダクタンスLが変化し、共振周波数も変化する。仮に、それでも共振周波数が高い場合は、さらに上記の半筒管5を加工する方向で、電界分布が設計値と変化しないように削り続ければよい。
一方、電界分布を設計値にあわせた時点で共振周波数が設計値に対し低い場合、中央板4の板厚t1(X軸方向の中央板4の幅)を加工する。図9は、本発明の中央板を示す図である。共振周波数を調整するため、中央板4の板厚t1とリッジ2の板厚t2は同一ではなく、中央板4の板厚t1のほうがリッジ2の板厚t2よりも大きくしておくことが好ましい。また、アルミや鉄、ステンレスで加工された半筒管5の内面には、銅めっきを施工するため、銅めっきの厚さによる共振周波数の変化分考慮しておく必要がある。中央板4には、ねじ12を取付けるねじ穴33が設けられる。図9において、破線で示した長方形は、中央板4に加工前の原板34である。
加速空洞6を運転する場合、消費電力分の発熱が発生する。そのため、中央板4には縁部分に冷却路15を設ける。中央板4におけるリッジ2とステム3とドリフトチューブ電極1は同一の材料でつながっているため、熱伝導率が良い。また、電界分布及び共振周波数の調整が終了した半筒管5において、半筒管5の余った肉厚部分に1つ以上の冷却路19を設ける。この冷却路15及び冷却路19による冷却を行うことで、消費電力による加速空洞6の発熱による共振周波数の変化を小さくする。環境の変化により共振周波数が変化した場合、上記の冷却路15、19を積極的に使用し、チラー温度を高めたり、低くしたりすることにより、共振周波数を常に一定にとどめることができる。
以上のように、実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、外付けチューナを取り付けることなく、加速空洞6の共振周波数と電界分布を調整することができる。共振周波数と電界分布が調整された加速空洞6は、リッジ2の板厚t2が中央板4の板厚t1より小さい中央板4と、半筒管5の内径がX軸方向に対し拡大された楕円形であり、かつZ軸に対して、その内径は変化する構造であることが特徴である。前述したように、加速空洞6における一箇所、たとえば入射側の電界強度を増加させるために、入射側の半筒管5の内径を拡大すると、出射側の電界強度は逆に低下してしまう。そのため、出射側の半筒管5の内径も拡大し、入射側と出射側が設計値になるように各z位置に対する内径を調整する。つまり、r1(z)は一定ではなく、Z軸に対して加速空洞6の内径は変化する構造となっている。また、実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、当然外付けチューナは取り付けられておらず、ポート管9は取り外し可能なねじ止めにて取り付けであることが特徴である。
一度、半筒管5及び中央板4の形状が上記製造方法により実測値と設計値が一致したならば、中央板4はNCマシンにより加工されるため、ドリフトチューブ電極1の位置はNCマシンの加工精度にて担保される。したがって、実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、従来、ドリフトチューブ電極1を手作業にて配列していた際に発生するドリフトチューブ電極1毎の誤差である機差が発生していたのとは異なり、この機差は生じず、そのまま半筒管5及び中央板4の形状を再現することが可能であり、そのまま製作すれば2台目以降はより低コストに製作することができる。
実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、外付けチューナが不要であり、外付けチューナによる表面抵抗と接触抵抗の増加がないので、消費電力は低下する。また、外付けチューナによる表面抵抗と接触抵抗の増加がないので、高周波電源の容量を増やす必要がない。また、一度製作されたドリフトチューブ線形加速器30を再製造する場合は、外付けチューナによる共振周波数と電界分布の調整が不要となり、ドリフトチューブ線形加速器30の調整期間の短縮が可能となる。
実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、中央板4の板厚t1がリッジ2a、2bの板厚t2以上であるので、共振周波数の調整範囲を拡大することができる。前述したように、電界分布を調整するために共振器(加速空洞6)は削られるので、この加工により加速空洞6の断面積Sは広くなる方向である。共振周波数にとっては、(1)式より、低下する方向で調整されることになる。そこで、中央板4の板厚t1とリッジの板厚t2の関係に関して、中央板4において(t1−t2)分の加工しろを設けておけば、共振周波数の調整範囲を拡大することができる。中央板4において、この加工しろを残しておくことは、事前に加速空洞6の断面積Sが狭くなる方向の調整を行っていることに相当する。つまり、この加工しろがあることで、共振周波数が(1)式より増加する方向にも調整が出きるようになる。これにより、共振周波数の調整範囲を拡大することができる。
実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、IH型線形加速器であるので、全長が短くなることで既存のNCマシンにて加工することができる。したがって、実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、NCマシンにて加工することができるので、ドリフトチューブ電極1の位置精度が向上し、ドリフトチューブ電極1間に発生する電界分布と共振周波数も高精度に調整することができる。実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30は、真空排気ポート27の真空排気孔7を複数のスリットを用いて形成することにより、RF網を別途設けなくてもよい。実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30はRF網を別途設けることなく、真空排気ポート27の真空排気孔7を複数のスリットを用いて形成することにより、RF網による表面抵抗と接触抵抗の増加がないので、RF網があるものに比べて消費電力を低下させることができる。
以上のように実施の形態1のドリフトチューブ線形加速器30によれば、加速空洞6内に配置されたドリフトチューブ電極1と、これに隣接する他のドリフトチューブ電極1との間に発生する電界により荷電粒子をビーム加速中心軸20に沿って加速するドリフトチューブ線形加速器であって、加速空洞6は、中央板4と、一対の半筒管5a、5bとにより形成され、中央板4は、同一のブロックから製作された、リッジ2と、リッジ2とドリフトチューブ電極1を接続するステム3と、ドリフトチューブ電極1とを有し、加速空洞6は、ビーム加速中心軸20に直交する断面において、中央板4におけるステム3が延伸する方向の面方向中心軸21と直交し、ビーム加速中心軸20を通過するX方向空洞内径d1が、面方向中心軸21に平行なY方向空洞内径d2よりも長いことを特徴とするので、加速空洞6を中央板4と、一対の半筒管5a、5bとにより形成し、加速空洞6のビーム加速中心軸20に直交する断面におけるX方向空洞内径d1がY方向空洞内径d2よりも長くなるように一対の半筒管5a、5bを加工して、加速空洞6の共振周波数と電界分布を調整することができ、IH型であっても外付けチューナを設けずに省電力化することができる。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2におけるドリフトチューブ線形加速器の正面断面図である。実施の形態1では、1対の半筒管5a、5bにて、左右の半筒管5a、5bそれぞれに対し、共振周波数と電界分布を設計値にあわせるために、X軸方向の内径を加工したが、左右どちらかの半筒管5のみにおいて、X軸方向の内径を加工してもよい。図10は、半筒管5bに、電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27が1つ以上有し、半筒管5aのみにおいてX軸方向の内径を加工した例である。その場合、共振周波数と電界分布を合わせる調整加工を1つの半筒管5aのみに行うので、1対の半筒管5a、5bの加工時間の短縮につながる。この場合、1対の半筒管5a、5bの加工時間の短縮は、最大で半減させることができる。また、上記の例では、電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27を設置するためのポート用加工と、共振周波数と電界分布を合わせる調整加工とを並行して行うことができるので、ポート用加工及び調整加工の合計時間を短縮することができる。
なお、共振周波数と電界分布を合わせる調整加工は、電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27を設ける半筒管5bに対して行ってもよい。
実施の形態3.
実施の形態1では、ビーム加速中心軸20に直交する断面における半筒管5a、5bの内壁及び外壁の形状は円弧形状である例で説明したが、ビーム加速中心軸20からY軸近傍以外の内径を加工した多角形構造でもよい。図11は、本発明の実施の形態3におけるドリフトチューブ線形加速器の正面断面図である。図11は、加速空洞6が四角形になるように、半筒管5a、5bを製造した一例であり、具体的にはステム3と直交する方向におけるビーム加速中心軸20から半筒管5a、5bの内壁までの距離が長い長方形の例である。多角形構造により加速空洞6の内壁を流れる電流の抵抗は若干増加するが、加工が容易である。実施の形態3のドリフトチューブ線形加速器30は、加速空洞6の形状の製作容易性が向上し、ドリフトチューブ線形加速器30の製造コストが安くなる。
実施の形態4.
実施の形態4では、ドリフトチューブ電極1及び加速空洞6を、水冷却等の一般的な冷却よりも低温で冷却する例を説明する。実施の形態4における冷却温度は、少なくとも0℃以下から0K(ケルビン)の間であり、その温度領域になっている状態を極低温状態とする。図12は、本発明の実施の形態4におけるドリフトチューブ線形加速器の構成図である。図13は図12のC−Cにおける正面断面図であり、図14は図12のD−Dにおける側面断面図である。図15は本発明の実施の形態4におけるドリフトチューブ線形加速器基礎部の構成図である。図16は図15のA−Aにおける正面断面図であり、図17は図15のB−Bにおける側面断面図である。なお、図12において、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50が見えるように一部を破断させている。図14において、図を分かりやすくするために、中央板4、断熱支持体胴部46、一部のねじ12はビーム加速中心軸20を含むYZ平面における断面を示した。
実施の形態4のドリフトチューブ線形加速器30は、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50と、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50を支持すると共に、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50を密封状態に収納する断熱支持体40と、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50を低温に保持する低温保持装置41と、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50をそのドリフトチューブ電極1及び加速空洞6を構成する部品である半筒管5の材質特性が変化する極低温状態まで冷却する冷却装置42と、冷却装置42とドリフトチューブ線形加速器基礎部50とを接続する伝熱性部材43とを備える。断熱支持体40は、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50を密封状態に収納して、かつその重さと磁場により発生する力などに抗してドリフトチューブ線形加速器基礎部50を支持する。断熱支持体40は、断熱支持体胴部46と、断熱支持体胴部46におけるZ方向の開口部を封止する封止板51と、断熱支持体胴部46の外周に設けられた開口部を封止する封止板52を有する。封止板51はねじ12により断熱支持体胴部46に固定され、封止板52はボルト53及びナット54により断熱支持体胴部46に固定される。冷却装置42は、断熱支持体胴部46の外周に設けられた開口部に挿入され、ねじ12により断熱支持体胴部46に固定される。断熱支持体40は、その支持部56が設置台55にねじ12により固定される。なお、断熱支持体40は、図示しない真空封止用のOリングを介して封止板51、52等が固定され、内部を真空にすることができる。
ドリフトチューブ線形加速器基礎部50は、実施の形態1〜3で説明したドリフトチューブ線形加速器30の構造と同様である。ここでは、図15〜17に示すように、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50の中央板4及び半筒管5において冷却路15及び冷却路19を設けない例を、最初に説明する。図15〜17に示したドリフトチューブ線形加速器基礎部50は、実施の形態1〜3のドリフトチューブ線形加速器30とは冷却路15及び冷却路19ない点で異なり、その他の構造は同じなので、説明は繰り返さない。
伝熱性部材43は、伝熱性の高い材料で形成されており、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50の中央板4と冷却装置42とを接続し、熱を移動させる。図12〜14に示した伝熱性部材43は、中央板4のY方向におえる両端を挟むように屈曲された屈曲板の例である。伝熱性部材43は、図14に示すようにねじ12により中央板4に固定される。伝熱性部材43には開口部45が形成されており、この開口部45においてボルト53及びナット54を用いて冷却装置42と伝熱性部材43とが接続される。本実施の形態4における伝熱性部材43は、例えば銅である。
断熱支持体40の断熱支持体胴部46には、電力供給ポート25bと電力測定ポート26bと真空排気ポート27bが設けられる。電力供給ポート25b、電力測定ポート26b、真空排気ポート27bは、それぞれドリフトチューブ線形加速器基礎部50における電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27に対応した位置、すなわち、電力供給ポート25、電力測定ポート26、真空排気ポート27の位置がビーム加速中心軸20から放射状に延長した外周領域に設けられる。ただし、真空排気ポート27bは、必ずしも真空排気ポート27に対応した位置に設ける必要は無い。図12〜14では、真空排気ポート27bは、真空排気ポート27に対応した位置からずれた位置に配置されている。図12〜14では、電力供給ポート25b及び電力測定ポート26bが、それぞれ電力供給ポート25及び電力測定ポート26の位置がビーム加速中心軸20から放射状に延長された外周領域に、配置されている。
ドリフトチューブ線形加速器基礎部50は、その下部が低温保持装置41に覆われ、そのZ方向の両端において低温保持装置41の固定部47とねじ12により固定される。図12〜14では、固定部47がドリフトチューブ線形加速器基礎部50のZ方向の両端を挟むように配置された例を示した。
実施の形態4におけるドリフトチューブ線形加速器30は、真空排気ポート27bを介して断熱支持体40の内部が真空状態される。さらに、ドリフトチューブ線形加速器30は、真空排気ポート27b、真空排気ポート27を介して、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50の内部及び低温保持装置41の内部が真空状態にされる。ドリフトチューブ線形加速器基礎部50と低温保持装置41とは、図示しない連通孔で内部が繋がっている。
ドリフトチューブ線形加速器30は、内部が真空状態にされた後に、冷却装置42により伝熱性部材43を経由してドリフトチューブ電極1及び半筒管5の材質特性が変化する極低温状態まで冷却される。その後、電力供給ポート25、電力供給ポート25bを経由して加速空洞6にビームを加速するための電力が供給され、ドリフトチューブ電極1間にビームを加速するための加速電界を発生させてビームを加速する。ビームを加速するための加速電界を発生させる電力供給量は、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6の消費電力およびビームローディング分である。ドリフトチューブ電極1及び半筒管5は、冷却装置42によりこれらの材質特性が変化する極低温状態まで冷却され、低温保持装置41により冷却状態(極低温状態)が維持される。
実施の形態4のドリフトチューブ線形加速器30は、ドリフトチューブ電極1及び半筒管5が、上記のように冷却状態(極低温状態)に維持されるため、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6(半筒管5の内面)の表面抵抗が低下し、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6の消費電力量を、冷却水で冷却するよりも低減することができる。
ここで、実施の形態4における極低温状態について定義する。消費電力量は空洞特性を表すQ値に反比例の関係であるため、Q値が高くなるほど消費電力量は低減する。Q値と、加速空洞6を構成する半筒管5や中央板4の材質の抵抗率とには、平方根に逆比例の関係がある。例えば、図18に銅の温度に対する抵抗率を示す。図19は図18を用いて、常温(273K)を1として規格化されたQ値と温度の関係を示す。図18の縦軸は抵抗率(Ω・cm)であり、図19の縦軸は規格化されたQ値である。図18、図19の横軸は、温度(K)である。図19より、例えば、加速空洞6を構成する材質での消費電力量を1/2にする場合、すなわちQ値を2倍にする場合には、273Kから冷却し、加速空洞6(ドリフトチューブ線形加速器基礎部50)の温度を100K程度にすれば良いことが分かる。したがって、実施の形態4にて極低温状態にする冷却とは、一般に加速空洞6での発熱を抑えるための水冷却等の一般的な冷却とは異なり、少なくとも0℃以下から0Kまで冷やすことを指し、その温度領域になっている状態を極低温状態と定義する。
なお、冷却装置42の振動がドリフトチューブ電極1と加速空洞6に伝わりビーム軸が振動しないように、冷却装置42と伝熱性部材43との接合部に振動吸収材もしくは振動吸収構造を保有するほうが良い。
また、伝熱性部材43は、図12〜15で示した加速空洞6の片側に配置された片側配置ではなく、加速空洞6の両側に配置された両側配置であるほうが良い。伝熱性部材43が両側配置である場合の方が、片側配置よりも常温状態と極低温状態との温度差によるビーム軸のずれを緩和することができる。
また、本実施の形態4では冷却装置42と伝熱性部材43を用いてドリフトチューブ電極1と加速空洞6を冷却する例を示したが、冷却装置42と伝熱性部材43を用いず、直接液体ヘリウムや液体窒素を用いてドリフトチューブ電極1及び半筒管5の材質特性が変化する極低温状態まで冷却しても良い。この場合、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50は、例えば、実施の形態1〜3のドリフトチューブ線形加速器30と同じにすれば良い。すなわち、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50における中央板4及び半筒管5に冷却路15及び冷却路19を設け、その冷却路15及び冷却路19に液体ヘリウムや液体窒素を流すようにすれば良い。
実施の形態5.
図20は、本発明の実施の形態5におけるドリフトチューブ線形加速器の要部の側面断面図である。実施の形態5では、実施の形態4による構成に加え、電流密度が高いステム3に、超電導線材44を備えた。具体的には、実施の形態5におけるドリフトチューブ線形加速器30は、実施の形態4のドリフトチューブ線形加速器30における中央板4のステム3の表面にテープ状の超電導線材44を貼り付けたものである。超電導線材44は、例えばイットリウム系高温超電導線材である。
実施の形態5におけるドリフトチューブ線形加速器30は、実施の形態4同様に、真空排気ポート27bを介して断熱支持体40の内部が真空状態される。さらに、ドリフトチューブ線形加速器30は、真空排気ポート27b、真空排気ポート27を介して、ドリフトチューブ線形加速器基礎部50の内部及び低温保持装置41の内部が真空状態にされる。
ドリフトチューブ線形加速器30は、真空状態にされた後に、冷却装置42により伝熱性部材43を経由してドリフトチューブ電極1及び半筒管5が、超電導線材44が超電導特性を現す極低温状態まで冷却される。その後、電力供給ポート25、電力供給ポート25bを経由して加速空洞6にビームを加速するための電力が供給され、ドリフトチューブ電極1間にビームを加速するための加速電界を発生させてビームを加速する。ビームを加速するための加速電界を発生させる電力供給量は、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6の消費電力およびビームローディング分である。ドリフトチューブ電極1及び半筒管5は、冷却装置42によりこれらの材質特性が変化する極低温状態まで冷却され、低温保持装置41により冷却状態(極低温状態)が維持される。
実施の形態5のドリフトチューブ線形加速器30は、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6が、上記のように冷却状態(極低温状態)に維持されるため、ドリフトチューブ電極1と加速空洞6(半筒管5の内面)の表面抵抗が低下し、さらにドリフトチューブ電極1に接続されたステム3における電流密度が高い領域での表面抵抗が超電導線材44の超電導特性により低下するため、実施の形態4によりもドリフトチューブ電極1と加速空洞6の消費電力量を低減することができる。
なお、超電導線材44はステム3における電流密度が高い領域のみに貼り付けた例を示したが、加速空洞6(半筒管5の内面や中央板4の表面)における電流密度が高い領域もしくは全面に超電導線材44を貼り付けても良い。また、超電導線材44の例としてイットリウム系高温超電導線材を用いたが、その他の超電導材料を用いても良い。
なお、実施の形態1〜5ではIH型線形加速器を例にして説明したが、アルバレ型線形加速器であっても、加速空洞6の共振周波数と加速電界分布を調整する必要があるので、本発明を適用することで、外付けチューナを設けずに高精度に調整することができる。アルバレ型線形加速器は、IH型線形加速器よりも全長が長くなるが、半筒管5をNCマシンにて加工可能な長さに分割して製造すればよい。また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1…ドリフトチューブ電極、2、2a、2b…リッジ、3…ステム、4…中央板、5、5a、5b…半筒管、6…加速空洞、7…真空排気孔、20…ビーム加速中心軸、21…面方向中心軸、22…板厚方向中心軸、25…電力供給ポート、26…電力測定ポート、27…真空排気ポート、30…ドリフトチューブ線形加速器、35a、35b…接合部、36…胴部、40…断熱支持体、41…低温保持装置、42…冷却装置、43…伝熱性部材、44…超電導線材、t1…中央板の板厚、t2…リッジの板厚、d1…X方向空洞内径、d2…Y方向空洞内径。

Claims (15)

  1. 加速空洞内に配置されたドリフトチューブ電極と、これに隣接する他の前記ドリフトチューブ電極との間に発生する電界により荷電粒子をビーム加速中心軸に沿って加速するドリフトチューブ線形加速器であって、
    前記加速空洞は、中央板と、一対の半筒管とにより形成され、
    前記中央板は、同一のブロックから製作された、リッジと、前記リッジと前記ドリフトチューブ電極を接続するステムと、前記ドリフトチューブ電極とを有し、
    前記加速空洞は、前記ビーム加速中心軸に直交する断面において、前記中央板における前記ステムが延伸する方向の面方向中心軸と直交し、前記ビーム加速中心軸を通過するX方向空洞内径が、前記面方向中心軸に平行なY方向空洞内径よりも長いことを特徴とするドリフトチューブ線形加速器。
  2. 前記半筒管は、前記中央板に接合する2つの接合部と前記2つの接合部間を連結する胴部を有し、
    前記ビーム加速中心軸に直交する断面における前記胴部の内壁の形状は、円弧形状であることを特徴とする請求項1記載のドリフトチューブ線形加速器。
  3. 前記一対の半筒管におけるそれぞれの前記半筒管は、前記ビーム加速中心軸に直交する断面において、前記胴部の内壁の形状が楕円形状であり、
    前記楕円形状は、
    前記中央板の前記面方向中心軸と直交し、前記ビーム加速中心軸を通過する板厚方向中心軸上であって、前記ビーム加速中心軸から当該半筒管の胴部までの距離が、前記ビーム加速中心軸から当該半筒管の前記接合部との境界までの距離よりも長いことを特徴とする請求項2記載のドリフトチューブ線形加速器。
  4. 前記一対の半筒管における一の前記半筒管は、前記ビーム加速中心軸に直交する断面において、前記胴部の内壁の形状が楕円形状であり、
    前記楕円形状は、
    前記中央板の前記面方向中心軸と直交し、前記ビーム加速中心軸を通過する板厚方向中心軸上であって、前記ビーム加速中心軸から当該半筒管の胴部までの距離が、前記ビーム加速中心軸から当該半筒管の前記接合部との境界までの距離よりも長いことを特徴とする請求項2記載のドリフトチューブ線形加速器。
  5. 前記加速空洞は、前記ビーム加速中心軸に直交する断面形状が、多角形であることを特徴とする請求項1記載のドリフトチューブ線形加速器。
  6. 前記加速空洞は、前記ビーム加速中心軸に直交する断面形状が、長方形であることを特徴とする請求項5記載のドリフトチューブ線形加速器。
  7. 前記中央板は、その最大板厚が、前記リッジの板厚以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  8. 前記一対の半筒管における一の前記半筒管のみに、電力供給ポート、電力測定ポート、真空排気ポートのそれぞれが1つ以上設置されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  9. 前記一対の半筒管における一の前記半筒管であって、前記ビーム加速中心軸に直交する断面における前記胴部の内壁の形状が楕円形状でない前記半筒管のみに、電力供給ポート、電力測定ポート、真空排気ポートのそれぞれが1つ以上設置されたことを特徴とする請
    求項4記載のドリフトチューブ線形加速器。
  10. 前記半筒管における前記真空排気ポートが設置される部分に、複数のスリットを用いて形成された真空排気孔を有することを特徴とした請求項8または9に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  11. 前記ドリフトチューブ線形加速器は、IH型線形加速器であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  12. 前記加速空洞を支持すると共に、前記加速空洞を密封状態に収納する断熱支持体と、
    前記加速空洞を低温に保持する低温保持装置と、前記加速空洞を少なくも0°C以下に冷却する冷却装置と、
    前記冷却装置と前記加速空洞とを接続する伝熱性部材とを備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  13. 前記ドリフトチューブ電極を接続する前記ステムの表面に、超電導線材を備えたことを特徴とする請求項12記載のドリフトチューブ線形加速器。
  14. 前記加速空洞に、超電導線材を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載のドリフトチューブ線形加速器。
  15. 前記超電導線材は、イットリウム系高温超電導線材であることを特徴とする請求項13または14に記載のドリフトチューブ線形加速器。
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