JP2014018703A - 電界発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】強電界を発生させるとともに、強電界が発生している領域に処理対象を効率よく誘導できる電界発生装置を提供する。
【解決手段】第一電極構造体10の電極11aが第二電極構造体20の芯状電極21よりも電界発生面積が大きいことで、電極間に強い不平等電界を生じさせる。さらに、流体が通過可能な通路を設けることで、処理対象となる流体通路の上流側から下流側に向けて第一電極構造体10と第二電極構造体20がこの順で配置されるため、不平等電界は流体の通路内に形成される。よって、殺菌装置100は、第一電極構造体10を通過した処理対象は不平等電界に効率よく誘導され、さらに第二電極構造体20に至ると強電界に曝されるため、高い処理能力を享受できる。この機能は、殺菌装置、気体分解装置、ガス検知器装置に適用される。
【選択図】図2

Description

本発明は、不平等電界を発生させる装置に関する。
電界を利用して物質を処理することが知られている。例えば、特許文献1では分化活性解析、特許文献2では細胞分離、特許文献3では粒子分離に電界を用いることが開示されている。その他に、電界を殺菌に用いることも知られている。
従来、家庭の空気中のウィルス、花粉、細菌の殺菌や、無菌環境が求められる医療現場、食品の生産現場の雰囲気中の殺菌方法として、プラズマ殺菌法、放電殺菌法、および、紫外線殺菌法が用いられていた。
しかし、プラズマ殺菌および放電殺菌には、感電の危険性があること、オゾンが発生するため人に害があること、さらに装置が大がかりであるため高出力電源が必要であるという問題があった。また、紫外線殺菌では、紫外線との距離によって減衰が大きく、さらに温度によって強度が変化するため、使用条件に制限があるという問題があった。
そこで、本発明者は、簡易な構成により、電界を利用して空気中の菌を殺菌することができる装置を特許文献4にて提案している。
特開2009−291095号公報 特開2010−22216号公報 特開2010−253140号公報 特開2008−154705号公報
しかし、特許文献4で提案した装置は相当の殺菌能力を備えているものの、使用される環境によっては、さらに殺菌能力の高い装置が求められている。高い殺菌能力を得るには、殺菌装置の基礎となる電界発生装置が強い電界を発生させることが求められる。そして、この強電界を発生する装置は、殺菌に限らず、特許文献1〜特許文献3に開示されている例も含め、種々の用途に用いることができる。
一方で、単に強電界を発生しただけで高い殺菌能力が得られるとは限らない。処理対象が例えば菌を含む空気の場合には、強電界が発生している領域に空気を効率よく誘導することが望まれる。
そこで本発明は、強電界を発生させるとともに、強電界が発生している領域に処理対象を効率よく誘導できる電界発生装置を提供することを目的とする。
本発明は、強電界を発生させるために不平等電界を利用する。加えて、強電界が発生している領域に処理対象を効率よく誘導するために、処理対象たる流体(気体、液体)が流れる通路を設け、この通路に不平等電界を発生させるための要素を配置することを提案する。
すなわち本発明の電界発生装置は、上流から下流に向けて流体が流れる通路と、通路の上流側に設けられ、流体が通過可能に構成される第一電極と、第一電極よりも通路の下流側に設けられ、第一電極に対向する先端が誘電体からなるマスクで覆われる第二電極と、を備える。
本発明は、第一電極が第二電極よりも電界発生面積が大きいことで、第一電極と第二電極の間に不平等電界を生じさせる。ちなみに、強電界は第二電極側に生ずる。
不平等電界を発生させる本発明の電界発生装置は、電界発生面積が小さい第二電極側に強電界を発生させることができる。しかも本発明は、流体が通過可能に第一電極を構成するとともに、処理対象となる流体の通路の上流側から下流側に向けて第一電極と第二電極がこの順で配置されるため、不平等電界は流体の通路内に形成される。したがって、本発明の電界発生装置によると、第一電極を通過した処理対象は不平等電界に効率よく誘導され、さらに第二電極に至ると強電界に曝されるので、高い処理能力を享受できる。
本発明の電界発生装置は、通路と、第一電極と、第二電極と、を備える電界発生ユニットを単数又は複数備えることができる。複数の電界発生ユニットを備える場合には、通路に直交する方向に、格子状に電界発生ユニットを配列することが好ましい。そうすることにより、多量の処理対象を、無理なく処理できるとともに、各電界発生ユニットで均等に処理することができる。
本発明は、複数の電界発生ユニットを格子状に配列する具体的な構成を提案する。
この提案は、第一電極構造体と、第二電極構造体と、を備える。
第一電極構造体は、金属製のメッシュからなる電極素材と、表裏を貫通する第一貫通孔が格子状に形成され、第二電極に対向する側において電極素材と積層される絶縁体プレートと、を備える。この第一電極構造体は、電極素材であって、第一貫通孔により取り囲まれる領域が第一電極を構成する。
第二電極構造体は、通路に沿って配置される複数の針状電極が第二電極をなすとともに、表裏を貫通する第二貫通孔が格子状に形成され、第一電極に対向する側において針状電極の先端が接する誘電体プレートを備える。第二電極構造体は、各々の芯状電極が、対応する絶縁体プレートの第一貫通孔に対向するように配置される。
以上の構成によると、第一電極構造体の電極素材を金属製のメッシュとし、また、第二電極構造体のマスクとなるべき部分を誘電体プレートとするなどしているので、複数の電界発生ユニットを個別に作製するのに比べて、コストを抑えることができる。
さらに、第二電極構造体において、芯状電極を、その先端から所定の範囲まで誘電体プレートに埋め込むことで、誘電体プレートに保持すれば、他に芯状電極を保持する絶縁体からなる部材を省くことができる。
本発明は、第一電極と第二電極の間に電圧を印加する電源を装置の構成要素として備えることができるし、電源を外部に求めることもできる。何れの場合も、第一電極を電源の負極側に接続し、第二電極を電源の正極側に接続すると、処理対象、例えば菌をクーロン力により第二電極側に誘導できる。
本発明の電界発生装置によると、第一電極を通過した処理対象は不平等電界に効率よく誘導され、さらに第二電極に至ると強電界に曝されるので、高い処理能力を享受できる。
本実施の形態における電界を形成する部品の配置を表す概略図である。 本実施の形態における電界殺菌装置の側面図である。 電極間絶縁破壊を生じる強電界部の形成を示している。 不平等電界中における菌の軌跡を示している。 細胞膜の絶縁破壊放電による菌の自己破壊を示している。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本実施形態では、本発明の不平等電界発生装置を殺菌装置100に用いた例を示す。この殺菌装置100は、図1及び図2に示すように、第一電極構造体10と、第一電極構造体10と所定の間隔をあけて対向配置される第二電極構造体20と、配線31を介して第一電極構造体10と第二電極構造体20に電圧を印加する電源30と、を主たる構成要素として備えている。殺菌装置100は、第一電極構造体10と第二電極構造体20の間に不平等な高電界を発生させ、これにより空気中の菌を死滅する。
以下、各構成要素を順に説明する。
[第一電極構造体10]
第一電極構造体10は、第二電極構造体20とともに、平面方向に格子状に配列される複数の不平等電界を発生させる。
図1及び図2に示すように、第一電極構造体10は、電極素材11と、その表裏両側を挟む絶縁体マスク12、13と、から構成される。
電極素材11は、電源30から電圧が印加されると、負極として電界の発生源となる。
本実施形態は、ステンレス鋼からなる細線を編んで作製されるメッシュ(金網)から電極素材11を構成する。メッシュの目開きとしては、例えば、160mesh/inchのものを用いることができる。なお、ステンレス製のメッシュを電極素材11に用いるのは、耐食性を考慮したためである。第二電極構造体20の芯状電極21も同様である。
本実施形態で電極素材11にメッシュを用いるのは、殺菌処理される空気が電極素材11の表裏を貫通して通過できるようにするためであり、この電極素材11は多数の通気孔を有することになる。したがって、電極素材11としては、ステンレス製のメッシュに限るものではなく、多数の通気孔を備え、かつ導電性を有している種々の部材を用いることができる。例えば、エッチングにより微小な貫通孔が形成されたステンレス鋼板を電極素材11に用いることができるし、また、平板状の絶縁体表面に形成されたカーボン膜を電極素材11に用いることができる。後者の場合、当該絶縁体が後述する絶縁体マスク13に相当し、絶縁体とカーボン膜を貫通して通気孔を形成する。ただし、本実施形態のようにステンレス製のメッシュを用いるのがコストの点で有利である。
絶縁体材料からなる絶縁体マスク13は、その表裏を貫通する通気孔13aが格子状に配置されている。本実施形態の各通気孔13aは、開口形状が円形とされており、その開口面積をSとする。ただし、通気孔13aの開口形状は円形に限るものでなく、楕円、多角形、その他の形状を採用できる。通気孔13aの数は任意であり、装置の大きさや装置の使用目的によって適宜変更できる。絶縁体マスク13は、第二電極構造体20に対向する側に配置される。
絶縁体マスク13は通気孔13aを備えているので、絶縁体マスク13と積層される電極素材11は、通気孔13aに対応する領域が第二電極構造体20に向けて露出し、面積Sの電極11a(第一電極)が通気孔13aの数に応じて形成される。こうして絶縁体マスク13は、通気孔13a以外の部分が電極素材11を覆うことで、電極11aを創出する。電極素材11は、電極11aの第二電極構造体20に対向する部分が実際に電界を発生する電界発生面になる。
絶縁体マスク13は、電極素材11を保持する役割をも担うので、絶縁性を有しているとともに、所定の剛性を備えていることが求められる。この機能を備えている限り、絶縁体マスク13を構成する材質は問われない。典型的には絶縁性の樹脂、例えば、ベークライト(フェノール樹脂)を用いることができる。ベークライトを用いる場合、厚さが1mm程度あれば、目的とする剛性を容易に得ることができる。
絶縁体マスク13に形成する通気孔13aの面積(径)は、第二電極構造体20とともに発生させる不平等電界の強度を左右する。この点について詳しくは後述するが、本実施形態の通気孔13aは、2.25πmm(r=1.5mm,D=3mm)としている。
本実施形態では、絶縁体マスク13が電極素材11と同じ平面積を有しているが、これは一例にすぎない。また、本実施形態では一体成形されたものとして絶縁体マスク13を示しているが、必要な機能を有する限り、複数に分割してもよい。
本実施形態の絶縁体マスク12は、その材質、通気孔12aを含め、絶縁体マスク13と同じ仕様を有しており、電極素材11を挟んで絶縁体マスク13と反対側に配置される。また、絶縁体マスク12はその通気孔12aと絶縁体マスク13の通気孔13aとの中心が一致するように配置される。
絶縁体マスク12は、電極素材11を絶縁体マスク13とともに固定するために使用されるものであり、電極素材11が絶縁体マスク13のみで固定できるのであれば絶縁体マスク12を省略できるし、電極素材11を固定する代替手段を用いることもできる。
以上の絶縁体マスク12、電極素材11及び絶縁体マスク13を積層して得られる第一電極構造体10は、通気孔12a、電極素材11(電極11a)のメッシュ及び絶縁体マスク13の通気孔13aが、その厚さ方向に連通することで、空気がその表裏を通過することができる。
[第二電極部]
第二電極構造体20は、第一電極構造体10とともに、平面方向に格子状に配列される複数の不平等電界を生成させる。
第二電極構造体20は、複数の芯状電極21(第二電極)と、芯状電極21を保持して固定する保持ブロック22と、芯状電極21の先端面を覆う誘電体マスク23と、から構成される。誘電体マスク23は、第一電極構造体10に対向するように配置され、保持ブロック22は誘電体マスク23の背後に配置される。
芯状電極21は、電源30から電圧が印加されると、正極として電界の発生源となる。
芯状電極21は、処理対象である空気の流れる方向yに沿うように、保持ブロック22に保持される。芯状電極21は、その先端面が保持ブロック22の表面(第二電極構造体20に対向する面)と同一平面になるように、保持ブロック22に保持される。また、芯状電極21は、その先端面が通気孔13aの中心と一致するように保持ブロック22に保持される。したがって、芯状電極21の本数は、絶縁体マスク13に形成される通気孔13aの数と同じである。
隣接する芯状電極21は後端が電線24で繋がっており、また、最外周に配置される芯状電極21のうちの1本が配線31を介して電源30と接続されているので、当該芯状電極21を介して全ての芯状電極21に電源30から電流を流し、漏れなく電極として作用させることができる。
本実施形態の芯状電極21は、直径が0.4mm、長さが15mmのステンレス鋼から構成され、先端面が平面とされている。この芯状電極21の先端面の面積Sは、0.04πmmとなり、電極11aの面積S(2.25πmm)より、非常に小さい(S1≪S)。
芯状電極21にステンレス鋼を用いること、他の材質を用いることができることは第一電極構造体10の電極素材11と同様の理由である。したがって、例えば、針状の絶縁体の表面に、導電コート剤を被覆した部材を芯状電極として用いることができる。
また、芯状電極21の先端の形状は、平面に限らず、円弧面であってもよいし、あるいは、尖っていてもよく、寸法も上記に限るものではない。
絶縁体材料からなる保持ブロック22は、芯状電極21を機械的に保持するためのものであり、芯状電極21の径に合った保持孔22bが格子状に形成されている。芯状電極21は、この保持孔22bに例えば接着、あるいは圧入などの手段により保持ブロック22に保持される。
また、保持ブロック22には、互いに隣接する4本の芯状電極21に囲まれた領域の中心に、表裏を貫通する円形の通気孔22aが形成されている。この通気孔22aは、第一電極構造体10の電極11aに対応する位置に配置される。なお、通気孔22aの開口形状は円形に限られるものではない。
本実施形態の保持ブロック22は、直径5mmの通気孔22aが形成された、板厚10mmのアクリル板を用いる。
平板状の強誘電体からなる誘電体マスク23は、電極11aと芯状電極21の針先間で放電が生じることを防止するために設けられている。また、誘電体マスク23には、その表裏を貫通する円形の通気孔23aが格子状に設けられている。この通気孔23a保持ブロック22の通気孔22aと直径が同じで、かつ互いの中心が一致している。さらに、誘電体マスク23は、芯状電極21の上部に相当する誘電体板上面の電界発生面23bと電極11aとの間に不平等電界を発生させる。
誘電体マスク23は、第一電極構造体10に対向する側に配置される。また、誘電体マスク23は保持ブロック22の表面側に接触し、積層される。したがって、芯状電極21の先端面は誘電体マスク23の裏面に接触される(図2)。
本実施形態で、誘電体マスク23は、直径5mmの通気孔23aが形成された、厚さ1mmのチタン酸バリウムからなる平板を使用する。なお、誘電体マスク23の材質、寸法、および、通気孔23aの形状は、上記に限られるものではなく、適宜変更することができる。
以上の誘電体マスク23と保持ブロック22を積層して得られる第二電極構造体20は、誘電体マスク23の通気孔23aと、保持ブロック22の通気孔22aが、その厚さ方向に連通することで、処理対象である空気がその表裏を通過することができる。
[第一電極構造体10と第二電極構造体20の組み付け]
以上説明した第一電極構造体10、第二電極構造体20は、その周囲が矩形状の枠15により保持されている。したがって、これらの構成要素の平面方向の寸法は一致している。第一電極構造体10と第二電極構造体20がこのように組み付けられると、電極11aと芯状電極21とからなる電界発生ユニットが格子状に配置される。個々の電界発生ユニットは、電極11aと芯状電極21の中心が一致している。また、枠15の上下の開口端には、フィルタ14a、フィルタ14bが設けられている。フィルタ14a,14bは、空気中に含まれる塵、水滴等の異物が殺菌装置100に流入するのを防ぐとともに、流入してしまった異物が殺菌装置100から排出されるのを防ぐために設けられる。フィルタ14aおよび14bには、例えば、電極素材11を構成したのと同じステンレスメッシュを用いることができる。
[電源30]
電源30は、電極素材11の端部と、芯状電極21の1本と、を配線31により接続している。電源30は、電極素材11と芯状電極21との間に電圧を印加させ、電界を発生させる。電源30は、直流電流、交流電流およびパルス電流を使用できる。
[殺菌処理概要]
殺菌装置100は、以上説明したように、フィルタ14a、第一電極構造体10、第二電極構造体20、およびフィルタ14bがこの順に、互いに間隔をあけて配置されている(図2)。
この殺菌装置100には、フィルタ14aからフィルタ14bに向けて処理対象となる空気が流れる。したがって、フィルタ14aが上流に位置し、フィルタ14bが下流に位置する。
菌40を含む汚染された空気は、上流から方向yに沿って殺菌装置100に流入する。流入した空気は第一電極構造体10の通気孔12a、電極素材11(電極11a)及び通気孔13aを通過して、第一電極構造体10と第二電極構造体20の間の電界発生領域Aに流入し、さらに第二電極構造体20に向けて流れる。つまり、殺菌装置100は、空気が流れる通路Pを備えている。この通路Pは、誘電体マスク23の表面まで続いており、電極11aが円形であることから、円柱状の形態を有することになる。詳しくは後述するが、不平等電界はこの通路Pの内部に形成される一方、電極11aを通過した空気は、不平等電界が発生している通路Pに漏れなく流入する。
[不平等電界の発生原理]
次に、図3を用いて、以上の構成を備える殺菌装置100による不平等電界の発生原理について説明する。
電源30により、電極素材11が負極、芯状電極21が正極となるよう、両者間に電圧を印加すると、芯状電極21の先端から電気力線が放出される。この電気力線は、誘電体マスク23に垂直に侵入した後、誘電体マスク23の電界発生面23bを通過して電界発生領域Aを放射状に拡がって進む。電気力線41は第一電極構造体10に向かって進み、負極である面積Sの電極11aに到達すると、誘電体マスク23の電界発生面23bと、電極11aと、の間に不平等電界EFが発生される(図3(a),(b))。
ここで、電極11aは芯状電極21の先端よりも面積が大きい。したがって、電気力線41の密度が、電極11aの側で疎となり、芯状電極21の側で密となる(図3(b))ことで、不平等電界EFを発生させることができる。不平等電界EFは、電極間の電気力線の密度が等しい平等電界に比べ、放電しづらいという特性がある。これは、電極11aの電気力線の密度が疎であるため、電流が流れにくいことに起因する。したがって、不平等電界EFは放電を防止し、発生した電界を維持することができる。
なお、芯状電極21と誘電体マスク23の組み合わせの態様は、図3(a)に限られず、例えば、図3(c)に示すように、芯状電極21の先端が誘電体マスク23に埋め込まれていてもよい。この形態によると、保持ブロック22を省略できる。また、図3(d)に示すように、芯状電極21の先端面にのみ誘電体マスク23を被せることもできる。この形態によると、誘電体マスク23の使用量を必要最小限に抑えることができる。
[電界強度]
次に、不平等電界EFにおける電界の強度について図3を参照して説明する。
電極11aの近傍の電界(強度)をEとし、電界発生面23bの電界をEとすると、E、Eは式(1)および(2)により表される。上述した通り、S1≪Sの関係から、E≫Eとなる。つまり、不平等電界EFを発生させることにより、誘電体マスク23上の電界発生面23bに強電界を形成することができる。
式(1),(2)におけるパラメータは下記の通りである。
:印加電圧
:電極素材11と誘電体マスク23表面間距離,d:誘電体マスク23の厚さ
ε:電界発生領域A(空間)の誘電率,ε:誘電体マスク23の誘電率
例えば、各パラメータを以下に設定すると、電界発生面23bには極めて強い電界Eを形成することができる。
=5kV, d=1mm, d=1mm
ε=2920ε(チタン酸バリウム), S=2.25πmm2(D=3mm)
=0.04πmm2(D=0.4mm)
=2.8×10kV/m
[菌の誘導、堆積]
次に、不平等電界EF中に侵入した菌40を殺菌する仕組みについて、図4を用いて説明する。
菌40が、気流により方向yに沿って運ばれ、絶縁体マスク12の通気孔12a、電極素材11(電極11a)、絶縁体マスク13の通気孔13aを順に通過し、不平等電界EF中に進入したとする。この過程で、電極素材11を通過した菌40には電界Eにより細胞膜表層に分極が生じる(図5(a))。具体的には、第一電極構造体10(負極)に近い側には正電荷が生じ、反対に、第二電極部(正極)に近い側には負電荷が生じる。この分極の結果、菌40の細胞膜には誘起電圧(Ve)が生じる。分極電荷が生じた菌40は、クーロン力により電気力線41に沿って、電界Eが生成している電界発生面23bに向けて誘導されるとともに、そこに堆積する。
以上のように、殺菌装置100は、不平等電界EFを利用することにより、局所的に菌40を誘導、堆積させることができるとともに、堆積した菌40に対して強い電場を与えることができる。
[殺菌の条件]
続いて、電界発生面23bに堆積された菌40が電界Eにより死滅(破壊による)する条件を説明する。
本実施形態は、細胞膜に絶縁破壊放電を生じさせて細胞膜に損傷を与え、細胞内の細胞質を流出させることで、菌40を死滅させる(図5(b))。菌40には固有の絶縁破壊電圧Vs(≒1V)があり、前述した誘起電圧(Ve)が絶縁破壊電圧より大きくなると、細胞膜に絶縁破壊放電が生じる。
細胞膜の誘起電圧Veは、下記式(3)で表される。なお式(3)のパラメータは以下の通りである。
εe:細胞膜(タンパク質)の誘電率(2.5ε) a:細胞膜の膜厚(nm)
ここで、上記で例示した電界E(E=2.8×10)で、細胞膜の膜厚(a)を10nmとした場合の細胞膜の誘起電圧(Ve)は、下記式(4)で求められる。
式(4)より誘起電圧(Ve)は1.12Vとなり、菌40の絶縁破壊電圧(Vs≒1V)より大きくなる。したがって、菌40を死滅させることができる。細胞膜に生じさせる誘起電圧(Ve)は、式(3)の各種パラメータを適宜変更することにより、任意の値に調整できるが、5kV程度の印加電圧(V)で殺菌を行なうことができる。
以上説明したように、本実施形態の殺菌装置100によると、簡易な構成でありながら、不平等電界EFを利用することにより、印加電圧が低くても、菌を十分に死滅させることができる。
また、殺菌装置100によると、強電界が生じる電界発生面23bに菌を誘導、堆積させるので、菌をより確実に死滅させることができる。
また、殺菌装置100によると、一対の電極11aと芯状電極21からなる電界発生ユニットをマトリックス状に備えているために、第一電極構造体10、第二電極構造体20の平面方向の面積を大きくすることで、菌40を含む多量の空気を無理なく殺菌処理することができる。
さらに殺菌装置100によると、殺菌対象となる空気が流れる向きに沿って形成される通路Pの内部に不平等電界EFが形成されるので、当該空気が漏れなく不平等電界EFに誘導される結果として、効率の良い殺菌処理を行うことができる。加えて、通路Pの下流側に強い電界E1が生じる電界発生面23bが設けられているため、菌を電界発生面23bに効率よく誘導、堆積させることができる。しかも、このような構成が、マトリックス状に複数形成されているので、殺菌装置100の平面方向に均一な殺菌が行われる。
本発明の好ましい形態として殺菌装置100を説明したが、本発明は殺菌対象となる流体の流れる向きに沿って形成される通路Pの内部に不平等電界EFが形成されることを最たる特徴としており、他の要素は取捨選択することができる。
また、殺菌装置100として利用する場合には、殺菌処理される空気の流れが強制的に作られることで生じる空気流路に殺菌装置100を置くことが好ましい。例えば、殺菌装置100が送風手段を備えることで、空気流路に殺菌装置100を置くことができるし、送風手段を備える他の機器、例えば空調装置に殺菌装置100を組み込むことで、空気流路に殺菌装置100を置くこともできる。
また、本実施形態では、不平等電界を空気中の菌を殺菌する装置に利用した例を示したが、本発明で提案する不平等電界装置は、これ以外の用途、例えば水、その他の流体に含まれる菌の殺菌、嫌気物質の除去に使用できる。
以上説明した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
100 殺菌装置
10 第一電極構造体
11 電極素材
11a 電極
12,13 絶縁体マスク
12a,13a 通気孔
14a,14b フィルタ
15 枠
20 第二電極構造体
21 芯状電極
22 保持ブロック
22a 通気孔
22b 保持孔
23 誘電体マスク
23a 通気孔
23b 電界発生面
24 電線
30 電源
31 配線
40 菌
41 電気力線
P 通路
EF 不平等電界
A 電界発生領域

Claims (5)

  1. 上流から下流に向けて流体が流れる通路と、
    前記通路の上流側に設けられ、前記流体が通過可能な第一電極と、
    前記第一電極よりも前記通路の下流側に設けられ、前記第一電極に対向する先端が誘電体からなるマスクで覆われている第二電極と、を備え
    前記第一電極が前記第二電極よりも電界発生面積が大きいことで、前記第一電極と前記第二電極の間に不平等電界を生じさせることを特徴とする電界発生装置。
  2. 前記通路と、前記第一電極と、前記第二電極と、を備える電界発生ユニットが、
    前記通路に直交する方向に、格子状に配列された、
    請求項1に記載の電界発生装置。
  3. 金属製のメッシュからなる電極素材と、
    表裏を貫通する第一貫通孔が格子状に形成され、前記第二電極に対向する側において前記電極素材と積層される絶縁体プレートと、を備え、
    前記電極素材であって、前記第一貫通孔により取り囲まれる領域が前記第一電極を構成する第一電極構造体と、
    前記第二電極をなし、前記通路に沿って配置される複数の針状電極と、
    表裏を貫通する第二貫通孔が格子状に形成され、前記第一電極に対向する側において前記針状電極の先端が接する誘電体プレートと、を備え、
    各々の前記芯状電極が、対応する前記絶縁体プレートの前記第一貫通孔に対向するように配置される第二電極構造体と、
    を備える、
    請求項2に記載の電界発生装置。
  4. 前記第二電極構造体において、
    前記芯状電極は、その先端から所定の範囲まで前記誘電体プレートに埋め込まれることで、前記誘電体プレートに保持される、
    請求項3に記載の電界発生装置。
  5. 前記第一電極と前記第二電極の間に電圧を印加する電源を備え、
    前記第一電極が前記電源の負極側に接続され、前記第二電極が前記電源の正極側に接続される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の電界発生装置。
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CN116271174A (zh) * 2022-12-29 2023-06-23 广东骏丰频谱股份有限公司 一种用于小空间的低温等离子体空气消杀装置

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