[概略構成]
先ず、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。図1は第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の外観斜視図である。図2及び図3はシートベルト用リトラクタ1をユニット別に分解した斜視図である。
図1乃至図3に示すように、シートベルト用リトラクタ1は、車両のウエビング3を巻き取るための装置であって、ハウジングユニット5と、巻取ドラムユニット6と、ロックユニット7と、巻取バネユニット8とから構成されている。
ロックユニット7は、メカニズムカバー11に一体に形成された各ナイラッチ7Aによって、ハウジングユニット5を構成する平面視略コの字状に形成されたハウジング12の一方の側壁部13に形成された各取付孔15に固設されている。そして、ロックユニット7は、ウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10(図15参照)を構成する。
また、巻取バネユニット8は、バネケース16に一体に形成された各ナイラッチ8Aによって、ハウジング12の側壁部13に相対向する他方の側壁部17に形成された各取付孔18に固設されている。そして、ウエビング3が巻装される巻取ドラムユニット6は、ハウジングユニット5の側壁部13に固設されたロックユニット7と、側壁部17に固定された巻取バネユニット8との間に回転自在に支持される。また、巻取ドラムユニット6は、側壁部17の外側に固設された巻取バネユニット8によって、ウエビング3の巻取方向に常時付勢されている。
[ハウジングユニットの概略構成]
次に、ハウジングユニット5の概略構成について図2乃至図4に基づいて説明する。図4はハウジングユニット5の分解斜視図である。
図2乃至図4に示すように、ハウジングユニット5は、ハウジング12と、プロテクタ21と、パウル23と、パウルリベット25と、捩りコイルバネ26と、センサカバー27と、車両加速度センサ28と、連結部材32、33とから構成されている。
ハウジング12は、車体に固定される背板部31と、その背板部31の両側縁部から相対向する各側壁部13、17が延出されて、平面視略コの字状にスチール材等で形成されている。また、各側壁部13、17は、巻取ドラムユニット6の回転軸方向に長い横長細板状の各連結部材32、33によって互いに連結されている。また、背板部31の中央部には、開口部が形成され、軽量化及びウエビング3の収容量の規制等が図られている。
また、側壁部13には巻取ドラムユニット6のロックギヤ35が、所定隙間(例えば、約0.5mmの隙間である。)を形成しつつ挿入される貫通孔36が形成されている。この貫通孔36の内側周縁部は、巻取ドラムユニット6側へ中心軸方向内側に所定深さ窪んで、巻取ドラムユニット6のロックギヤ35に対向するように構成されている。また、側壁部13には、上端縁部(図4中、上側端縁部である。)の両隅と、貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)との3箇所に、ロックユニット7の各ナイラッチ7Aが嵌入されて取り付けられる各取付孔15が形成されている。
また、この貫通孔36の斜め下側(図4中、斜め左下側である。)のパウル23の各係合歯23A、23Bを含む先端側の部分に対向する周縁部から、該パウル23の回動方向外側へ(パウル23のロックギヤ35から離反する回動方向である。)、この先端側の部分が収容される深さに切り欠かれた切欠部38が形成されている。この切欠部38の背板部31側の横側には、パウル23を回転可能に取り付けるための貫通孔41が形成されている。また、切欠部38の貫通孔41側のパウル23が当接する部分には、該貫通孔41と同軸に円弧状の案内部38Aが形成されている。
一方、スチール材等で形成されたパウル23の案内部38Aに当接して摺動する部分には、側壁部13の厚さ寸法にほぼ等しい高さで、この案内部38Aと同じ曲率半径の円弧状に窪んだ段差部37が形成されている。また、パウル23の回動軸方向外側(図4中、手前側である。)の側面の先端部には、ロックユニット7を構成するクラッチ95のガイド孔131(図12参照)に挿入される案内ピン42が立設されている。
また、パウル23の基端部(一方の端部)にはパウルリベット25が挿通される貫通孔43が形成されると共に、この貫通孔43の周縁部から側壁部13の貫通孔41に回動可能に挿通される円筒状のボス部45が、側壁部13の厚さ寸法にほぼ等しい高さで立設されている。そして、パウル23は、ボス部45が側壁部13の貫通孔41にハウジング12の内側から挿通された状態で、側壁部13の外側から貫通孔43に嵌入されたパウルリベット25によって、回動可能に固定される。これにより、パウル23の各係合歯23A、23Bとロックギヤ35の外周面に設けられたラチェットギヤ歯65A(図5参照)とが、側壁部13の外側面とほぼ同一面になるように配置される。
また、パウルリベット25の頭部は、貫通孔41よりも大きい外径で所定厚さ(例えば、厚さ約1.5mmである。)の円板状に形成されている。そして、リターンスプリングの一例として機能する捩りコイルバネ26は、巻き数が1巻きでパウルリベット25の頭部の周囲を囲むように配置され、一端側26Aがパウル23の案内ピン42に取り付けられている。また、捩りコイルバネ26の線径は、パウルリベット25の頭部の高さのほぼ半分の寸法である(例えば、線径約0.6mmである。)。従って、捩りコイルバネ26の1巻き分のバネ高さは、パウルリベット25の頭部の高さとほぼ同じ高さに設定されている。
また、捩りコイルバネ26の他端側26Bは、側壁部13上を摺接可能に一端側26Aの側壁部13側を通った後、側壁部13の内側方向(図4中、側壁部13の裏側方向である。)へ略直角に折り曲げられて、側壁部13に形成された取付孔46に挿通されている。また、この他端側26Bの端部は、略U字形に折り曲げられて側壁部13の内側面に当接され、抜け止め部を構成している。
これにより、パウル23は、捩りコイルバネ26によって切欠部38の奥側方向へ(図3中、反時計方向である。)回動するように付勢され、各係合歯23A、23Bを含む先端側の部分が切欠部38の奥側に当接される。従って、パウル23は、捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されている。
また、図2乃至図4に示すように、側壁部13の貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)には、貫通孔36の中心軸の下方(図4中、下方向である。)から背板部31側の部分に、略四角形の開口部47が形成されている。また、この開口部47には、開口部47とほぼ同じ断面略四角形の浅い略箱体状のセンサカバー27が外側(図4中、手前側である。)から嵌入される。そして、樹脂製のセンサカバー27は、開口側周縁部に形成された鍔部が開口部47の外側周縁部(図4中、手前側周縁部である。)に当接されると共に、センサカバー27の図4中、上下方向両端面に突設された一対の係止爪27A(図4中、上側端面の係止爪27Aを図示している。)が開口部47の図4中、上下方向両端部の奥側に嵌入されて弾性的に係止される。
また、車両加速度センサ28は、鉛直方向上側(図4中、上側である。)に開放される略箱形で底面部にすり鉢状の載置部が形成された樹脂製のセンサーホルダ51と、スチール等の金属で球状体に形成されて載置部上に移動可能に載置された慣性質量体52と、慣性質量体52の鉛直方向上側に載置されてパウル23に対して反対側の端縁部(図4中、右端縁部である。)をセンサーホルダ51によって鉛直方向上下(図4中、上下方向である。)に揺動可能に支持される樹脂製のセンサレバー53とから構成されている。
そして、車両加速度センサ28をセンサカバー27へ嵌入して、センサーホルダ51のセンサカバー27内の両側壁部に対向する両側面部に設けられた一対の係止爪51A(図4中、一方の係止爪51Aを図示している。)をセンサカバー27の各係止孔27Bに嵌入して係止することによって、車両加速度センサ28がセンサカバー27を介してハウジング12に取り付けられる。
また、側壁部13には、上端縁部(図4中、上側端縁部である。)の両隅と、貫通孔36の下方(図4中、下方向である。)との3箇所に、ロックユニット7の各ナイラッチ7Aが嵌入されて取り付けられる各取付孔15が形成されている。また、背板部31の下端部(図2中、下端部である。)には、車両の締結片(不図示)に取り付ける際に、ボルトが挿通されるボルト挿通孔55が形成されている。
また、側壁部17には、巻取ドラムユニット6が挿通される貫通孔57が中央部に形成されている。また、側壁部17には、上端縁部(図4中、上側端縁部である。)の両隅と、下端縁部(図4中、下側端縁部である。)の背板部31側の角部との3箇所に、巻取バネユニット8の各ナイラッチ8Aが嵌入されて取り付けられる各取付孔18が形成されている。
また、背板部31の上端縁部(図4中、上側端縁部である。)に取り付けられる横長枠状のプロテクタ21は、ナイロン等の合成樹脂で形成されて、ウエビング3が引き出される平面視横長四角形の貫通孔21Aが形成されている。このプロテクタ21は、相対向する各側壁部13、17の間に配置するように背板部31に当接させつつ押し込むことによって、プロテクタ21の係合突起21Bが、背板部31に形成された開口部の上端縁部に弾性的に係止され、固定されている。
[巻取ドラムユニットの概略構成]
次に、巻取ドラムユニット6の概略構成について図2、図3、図5乃至図11に基づいて説明する。図5は巻取ドラムユニット6の片側断面図である。図6及び図7は巻取ドラムユニット6の分解斜視図である。図8は巻取ドラム61をロックギヤ35の取り付け側から見た正面図である。図9はロックギヤ35にストッパーナット63を外嵌螺合した状態を示す内側斜視図である。図10はロックギヤ35の外側斜視図である。図11は図5のX1−X1矢視断面図である。
図6及び図7に示すように、巻取ドラムユニット6は、巻取ドラム61と、トーションバー62と、ストッパーナット63と、ロックギヤ35とから構成されている。また、ロックギヤ35は、略円筒状のラチェットギヤ65と、ラチェットギヤ65内に嵌入されて回転軸方向外側端縁部に固定されるラチェットベース66とから構成されている。
図2、図3、図5乃至図7に示すように、巻取ドラム61は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成されて、巻取バネユニット8側の端面部が閉塞された略円筒状に形成されている。また、巻取ドラム61の軸心方向の巻取バネユニット8側の端縁部には、外周部から径方向に延出された正面視円形の巻取バネ側フランジ部67が形成されている。
また、巻取バネ側フランジ部67の軸方向外側端面の中心位置には、基端部が所定高さ(例えば、高さ約3mmである。)の断面円形に形成されると共に、後述のようにバネシャフト151(図16参照)に嵌入される軸部分が、断面矩形状に形成されたシャフト68が立設されている。また、巻取バネ側フランジ部67の軸方向外側端面には、略円環状のリブ部69が、巻取ドラムユニット6をハウジング12内に装着した場合に、側壁部17よりも軸方向外側まで達するように同軸に立設されている。また、円環状のリブ部69の軸方向外側の端縁部の外周面から全周に渡って半径方向外側へ延出された、正面視円環状の外側フランジ71が設けられている。
また、巻取ドラム61の内側には、中心軸に沿って徐々に細くなるように抜き勾配が形成された軸孔61Aが形成されている。また、図5及び図8に示すように、この軸孔61A内の巻取バネ側フランジ部67側端部の内周面には、断面略台形状の5個の突出部72A〜72Eが、周方向一定間隔で半径方向内側へリブ状に突設されている。また、トーションバー62は、スチール材等により形成され、断面円形の棒状をした軸部62Cと、この軸部62Cの両端部に形成された各連結部62A、62Bとから構成されている。
ここで、図6及び図7に示すように、トーションバー62の巻取ドラム61への挿入側端部に設けられた連結部62Aは、軸方向所定長さ(例えば、軸方向約6mmの長さである。)の円柱の外周面から約60度の等中心角度毎に断面等脚台形状の6個の突起部73が、円周方向に所定間隔(例えば、中心角度約30度の間隔である。)を空けて突設されている。また、各突起部73の最外径は、軸孔61A内の巻取バネ側フランジ部67側端部の内径にほぼ等しくなるように形成されている。
また、トーションバー62のロックギヤ35への挿入側端部に設けられた連結部62Bは、軸方向所定長さ(例えば、軸方向約5mmの長さである。)の円柱の外周面から約60度の等中心角度毎に断面台形状の6個の凸部75が、円周方向に連続するように突設されている。また、各凸部75の最外径は、各突起部73の最外径とほぼ同じ直径になるように形成され、各凸部75の半径方向の高さは、各突起部73の半径方向の高さとほぼ同じ高さに形成されている。
また、図5及び図8に示すように、軸孔61A内の各突出部72A〜72Eは、トーションバー62の巻取ドラム61への挿入側端部に形成された連結部62Aの各突起部73の間に嵌合可能に突設されている。これにより、図5乃至図7に示すように、トーションバー62の連結部62A側を巻取ドラム61の軸孔61Aに挿入して各突出部72A〜72E間へ圧入することによって、トーションバー62は巻取ドラム61内に相対回転不能に圧入固定される。
また、図5乃至図8に示すように、巻取ドラム61の軸方向のロックユニット7側の端縁部には、端縁部から少し軸方向内側の外周面から半径方向外側に延出された正面視略円形のロックユニット側フランジ部76が形成されている。また、巻取バネ側フランジ部67とロックユニット側フランジ部76との間の外周面には、ウエビング3が挿通される略スリット状のウエビング挿通孔74が、軸方向全幅に渡って巻取ドラム61の回転軸に対して平行に貫通して形成されている。
また、このロックユニット側フランジ部76から軸心方向外側の部分には、少し外径が細くなった円筒状の段差部77が回転軸方向外側へ突設され、ストッパーナット63が内嵌される嵌合孔77Bが、軸孔61Aと同軸に形成されている。この嵌合孔77Bは、軸孔61Aの内径よりも大きいストッパーナット63の外径とほぼ同じ直径に形成されている。また、嵌合孔77Bの内周面には、ストッパーナット63の外周面から約60度の等中心角度毎に軸方向に沿って突出する角形の各スプライン63Aが嵌入されるスプライン状の6個の溝部77Aが全深さに渡って、約60度の等中心角度毎に形成されている。
また、嵌合孔77Bの軸方向深さは、巻取ドラム61の回転軸方向における最大深さの位置がロックユニット側フランジ部76の位置に近接するように設けられており、ウエビング挿通孔74のロックユニット7側の端縁部に位置するように形成されている。また、嵌合孔77Bの軸方向深さは、ロックギヤ35を構成するラチェットベース66に立設された固定ボス78の高さとほぼ同じ寸法に形成され、ストッパーナット63の軸方向厚さよりも所定寸法(例えば、約3mmである。)大きくなるように形成されている。また、段差部77は軸孔61A内に圧入されたトーションバー62のロックギヤ35側の連結部62Bを囲むように設けられている。
また、図5乃至図7に示すように、ロックギヤ35を構成する略円筒状のラチェットギヤ65は、アルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成され、軸断面略リング状で、外周部にパウル23が係合するラチェットギヤ歯65Aが形成されている。また、ラチェットギヤ歯65Aの内周部は、巻取ドラム61の段差部77を嵌挿可能な内径に形成されている。尚、ラチェットギヤ歯65Aとパウル23との係合は、巻取ドラム61をウエビング引出方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
また、ラチェットギヤ65は、ラチェットギヤ歯65Aの巻取ドラム61側の端面部から全周に渡って、該巻取ドラム61のロックユニット側フランジ部76の外径よりも半径方向外側へ正面視リング状に延出されると共に、外周縁部から半径方向少し内側の部分から、ほぼ全周に渡って略直角外側方向(図7中、左側方向である。)に延出されたフランジ部81が形成されている。
また、図6、図7、図9及び図10に示すように、ラチェットギヤ65のロックユニット7側の端縁部(図6中、右側端縁部である。)には、内周面から約60度の等中心角度毎に、正面視略矩形状で半径方向内側の両角部が半径方向略中央部まで面取りされた略平板状の6個の取付片82が、周方向に所定間隔(例えば、中心角度約15度の間隔である。)を空けて半径方向内側へ突設されている。
また、各取付片82の巻取ドラム61側の軸方向内側面には、半径方向内側端縁部から半径方向略中央部まで、各取付片82の軸方向厚さの約半分の深さで、回転軸を中心とする円弧状に窪んだ段差部82Aが形成されている。また、各取付片82の巻取ドラム61側の軸方向内側面には、略中央部に所定径(例えば、直径約3mmである。)の円柱状のカシメピン82Bが、段差部82Aを半径方向に跨ぐように立設されている。
また、図9に示すように、各カシメピン82Bの先端部は、回転軸に対して半径方向外側の約半周部分が面取りされている。また、各カシメピン82Bの基端部には、段差部82Aに対して半径方向外側の約半周部分の周縁部に、略半円弧状に所定深さ(例えば、深さ約0.7mmである。)窪んだ凹部82Cが形成されている。
また、図5乃至図7、図9、図10に示すように、ロックギヤ35を構成するラチェットベース66は、スチール材等により形成され、略円板状のベース部66Aと、ベース部66Aの巻取ドラム61側の回転軸方向内側面の中央部に立設された円筒状の固定ボス78と、ベース部66Aの回転軸方向外側面の中心位置に立設された円柱状の軸部83とから構成されている。
略円板状のベース部66Aは、固定ボス78の基端部から巻取ドラム61の回転軸に対して半径方向外側に全周に渡って突出した正面視略リング状の鍔状部66Bを形成している。この鍔状部66Bの外周面の半径は、ラチェットギヤ65の各取付片82に形成された段差部82Aの回転軸に対して半径方向外側の内周面の半径とほぼ同じ半径に形成されている。また、鍔状部66Bの厚さは、各取付片82の基端部の厚さとほぼ同じ厚さ寸法に形成されている。また、鍔状部66Bの回転軸方向外側面の周縁部には、約60度の等中心角度毎に、各取付片82の段差部82Aが嵌入される略台形状に窪んだ6個の凹部85が形成されている。
また、各凹部85の回転軸方向の深さは、各取付片82の段差部82Aの厚さにほぼ等しい深さ寸法に形成されている。また、鍔状部66Bの外周面には、当該外周面の各凹部85の周方向中央部に相当する位置に、各取付片82に立設されたカシメピン82Bの外径にほぼ等しい直径で半径方向内側へ半円弧状に切り欠かれた切欠部86が形成されている。
また、ラチェットベース66の円筒状の固定ボス78は、外周面の軸方向全長に渡ってストッパーナット63の雌ねじ部63Bが螺合される雄ねじ部78Aが形成されている。また、固定ボス78の内周面には、トーションバー62のロックギヤ35への挿入側端部に設けられた連結部62Bと相似形の断面形状に形成されて、当該連結部62Bが圧入される嵌合凹部78Bが形成されている。
このラチェットベース66のラチェットギヤ65への取り付けは、図6、図7、図9及び図10に示すように、先ず、ラチェットベース66の鍔状部66Bの外周部に形成された各切欠部86を、ラチェットギヤ65の各取付片82のカシメピン82Bに対向させつつ、ベース部66Aの軸方向外側面に立設された軸部83をラチェットギヤ65内(図6中、右側方向である。)へ挿通する。
そして、鍔状部66Bの外周部に形成された各切欠部86を各カシメピン82Bの外周面に当接させつつ、鍔状部66Bの各凹部85に各取付片82の段差部82Aを嵌入して当接する。その後、各カシメピン82Bの頭部を、その基端部の凹部82C及び相対向する切欠部86の周縁部、主には鍔状部66Bの切欠部86の周縁部に広がるように塑性変形させる。これにより、ラチェットベース66がラチェットギヤ65の内側に相対回転不能に取り付けられると共に、巻取ドラム61側に脱落不能に固定されて、ロックギヤ35が構成される。
従って、ラチェットギヤ65の各取付片82の周縁部によって、ラチェットベース66のベース部66Aが嵌合される貫通孔87が形成される。また、図5に示すように、固定ボス78の雄ねじ部78Aは、基端部側の部分がラチェットギヤ65の内側に位置することができる。
また、図9及び図10に示すように、ラチェットベース66のベース部66Aの回転軸方向外側面と、ラチェットギヤ65の各取付片82の回転軸方向外側面とがほぼ同一面上に位置する。また、ラチェットベース66の鍔状部66Bの回転軸方向内側面と、ラチェットギヤ65の各取付片82の内周部側の回転軸方向内側面とがほぼ同一面上に位置する。
また、ラチェットベース66の鍔状部66Bの外周面と、ラチェットギヤ65の各取付片82の基端部側の周方向両側面部と、ラチェットギヤ65のロックユニット7側の端縁部の内周面とによって、6個の断面矩形の貫通孔89が、ラチェットギヤ歯65Aに対して半径方向内側の近傍に、約60度の等中心角度毎に、回転軸を中心とする同心円上に形成される。
ここで、軸断面リング状に形成されたストッパーナット63は、図5乃至図7に示すように、固定ボス78の外周面に形成された雄ねじ部78Aに螺合される雌ねじ部63Bが内周面に形成されている。また、ストッパーナット63の外周面には、約60度の等中心角度毎に軸方向に沿って突出する角形の各スプライン63Aが半径方向外側へ突設されている。また、ストッパーナット63の軸方向厚さは、固定ボス78の軸方向全長よりも所定長さ(例えば、約3mmである。)だけ短い長さに形成されている。
また、ストッパーナット63の雌ねじ部63Bと固定ボス78の雄ねじ部78Aは、正ネジに形成されている。これにより、後述のように、車両衝突時等の緊急時に、ロックギヤ35に対して巻取ドラム61がウエビング引出方向へ相対回転した場合には、ストッパーナット63は固定ボス78の基端部側へ移動して、鍔状部66Bに当接可能に構成されている(図19参照)。従って、ストッパーナット63の回転軸方向外側への移動限界は、鍔状部66Bに当接する位置であり、ラチェットギヤ65の半径方向内側の位置である。
従って、車両衝突時等の緊急時に、ロックギヤ35に対する巻取ドラム61のウエビング引出方向への相対回転数が設定回転数(例えば、約1.5回転等である。)に達した際に、該ロックギヤ35と該巻取ドラム61とを相対回転不能に締結する締結機構88は、嵌合孔77Bに内嵌されたストッパーナット63と固定ボス78とによって構成される。
このロックギヤ35の巻取ドラム61への取り付けは、先ず、図9に示すように、ロックギヤ35の固定ボス78の雄ねじ部78Aにストッパーナット63の雌ねじ部63Bを螺合する。つまり、締結機構88を構成するストッパーナット63を固定ボス78に対して外嵌螺合する。そして、ストッパーナット63を回転させて、固定ボス78とストッパーナット63のそれぞれの軸方向巻取ドラム61側の端面を、ほぼ同一面上に位置するようにする。
そして、図5乃至図7、図11に示すように、ストッパーナット63の外周面に突設された各スプライン63Aを、段差部77の嵌合孔77Bの内周面に形成された各溝部77Aに嵌入しつつ、トーションバー62のロックギヤ35への挿入側端部に設けられた連結部62Bを固定ボス78の嵌合凹部78B内に圧入する。これにより、ロックギヤ35がトーションバー62を介して巻取ドラム61に対して相対回転不能に装着される。また、締結機構88を構成するストッパーナット63が、段差部77の嵌合孔77Bに対して、相対回転不能、且つ、回転軸方向外側へ相対移動可能に内嵌される。
尚、各溝部77Aの巻取ドラム61の回転軸に対して半径方向外側の内壁面から、スプライン63A側へ、ストッパーナット63の嵌合孔77Bに対する回転軸方向外側への相対移動を妨げない程度のリブを、溝部77Aの長手方向に沿って突出させて設けるようにしてもよい。これにより、ストッパーナット63のスプライン63Aを各溝部77Aに嵌入した際に、リブがスプライン63Aに接触するようにすることで、ストッパーナット63が固定ボス78に対してガタつくことを防止できる。
[ロックユニットの概略構成]
次に、ウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10を構成するロックユニット7の概略構成について図2、図3、図12乃至図15に基づいて説明する。図12及び図13はロックユニット7の分解斜視図である。図14はロックギヤ35とロッキングギヤ91とを連結した状態を示す内側斜視図である。図15はロックユニット7のメカニズムカバー11の底面部等の一部を切り欠いた一部切り欠き断面図である。
図2、図3、図12及び図13に示すように、ロックユニット7は、メカニズムカバー11、ロッキングギヤ91、ロックアーム92、センサスプリング93、クラッチ95及びパイロットレバー96で構成されている。尚、第1実施形態においては、ロックユニット7を構成する各部材のうち、センサスプリング93を除いた部材は、合成樹脂で成形されており、互いに接触した場合の部材間の摩擦係数は小さなものである。
メカニズムカバー11は、ハウジング12の側壁部13側が開口された略円形でほぼ均一な厚さに形成された底面部97を有する略箱体状のメカニズム収容部98が形成され、ロッキングギヤ91やクラッチ95等を収容するように構成されている。また、メカニズムカバー11は、ハウジング12にセンサカバー27を介して取り付けられた車両加速度センサ28に対向する角部(図13中、左下角部である。)に、断面略四角形の凹形状に形成されたセンサ収容部99が、メカニズム収容部98に連続するように設けられている。
そして、メカニズムカバー11を各ナイラッチ7Aによって側壁部13に取り付けた際には、車両加速度センサ28のセンサーホルダ51がセンサ収容部99に嵌入されて、センサレバー53が鉛直方向上下(図13中、上下方向である。)に揺動可能に収納されるように構成されている。また、メカニズムカバー11のメカニズム収容部98の下端部略中央部(図13中、下端部略中央部である。)には、当該メカニズム収容部98とセンサ収容部99とが連通するように開設された開口部101が形成されている。
この開口部101は、車両加速度センサ28のセンサレバー53の先端縁部から上方向(図13中、上方向である。)に向けて突設されたロック爪53Aの先端部が鉛直方向上下(図13中、上下方向である。)に進退可能に形成され、通常時には、ロック爪53Aの先端部は、パイロットレバー96の受け板部102の近傍に位置している。そして、所定値を超える加速度によって慣性質量体52が移動してセンサレバー53が鉛直方向上側へ回動された場合には、ロック爪53Aは開口部101を介してパイロットレバー96の受け板部102に当接して、パイロットレバー96を鉛直方向上側へ回動させるように構成されている。
また、メカニズム収容部98の略円形の底面部97には、中央部に円筒状の支持ボス103が立設されている。この支持ボス103のロッキングギヤ91側の先端部の外周は、全周に渡って先端側へ所定角度(例えば、約30°の傾斜角である。)で傾斜した先細りの面取り部が形成されている。また、この支持ボス103には、ロッキングギヤ91の円板状の底面部105の中央部に、メカニズムカバー11に対向する背面側から突出する円筒状の回転軸部106が嵌入され、摺動回転可能に支持される。
ロッキングギヤ91は、円板状の底面部105の全周からクラッチ95側へ円環状に立設されて、外周部にパイロットレバー96に係合するロッキングギヤ歯91Aが形成されている。このロッキングギヤ歯91Aは、ロッキングギヤ91がウエビング引出方向へ回転した時のみ、パイロットレバー96の係合爪部96Aと係合するように形成されている。
また、ロッキングギヤ91の底面部105の中央部には、ロックギヤ35のロッキングギヤ91側端面の中央部に立設された軸部83が嵌入される貫通孔が形成されている。また、円筒状の基台部107が、この貫通孔のメカニズムカバー11側の周縁部からロッキングギヤ歯91Aの軸方向高さとほぼ同じ高さに立設されている。そして、ロッキングギヤ91の円筒状の回転軸部106は、この円筒状の基台部107のメカニズムカバー11側端縁部から、この基台部107よりも小さい外径で、且つ、支持ボス103の内径にほぼ等しい外径でメカニズムカバー11側へ同軸に延設されている。
従って、基台部107及び回転軸部106の内部には、ロッキングギヤ91のロックギヤ35側端面に開口して、ロックギヤ35のメカニズムカバー11側端面の中央部に立設された軸部83が嵌入される断面円形状の軸孔部106Aが形成されている。また、軸孔部106Aの内周面には、複数のリブ106Bが、軸方向に沿って半径方向に同じ高さで立設され、ロックギヤ35の円柱状の軸部83の外周面に当接するように設けられている。
また、回転軸部106の基端部の周囲には、円環状のリブ108が、クラッチ95の略円板状の板部109の厚さ寸法にほぼ等しい高さで同軸に立設されて、支持ボス103が挿入される挿入溝が形成されている。この円環状のリブ108の内側周壁部は、支持ボス103の先端部の傾斜角以上の角度(例えば、約45°の傾斜角である。)で半径方向外側へ傾斜している。また、円環状のリブ108の内側に形成された挿入溝の底面部の外径は、支持ボス103の先端部の外径とほぼ同じ径に形成されている。
更に、円環状のリブ108の外径は、クラッチ95の板部109の中央部に形成された貫通孔111の内径とほぼ同じ径に形成されると共に、基台部107の外径よりも小さい径に形成されている。また、クラッチ95の貫通孔111のロッキングギヤ91側の端縁部には、全周に渡って円環状のリブ111Aが所定高さ(例えば、高さ約0.5mmである。)で立設されている。
これにより、ロッキングギヤ91の円環状のリブ108をクラッチ95の貫通孔111に嵌入して、円環状のリブ111Aをリブ108の外周側基端部に当接させた後、回転軸部106をメカニズムカバー11の支持ボス103に挿通して、円環状のリブ108の半径方向内側に形成された挿入溝の底面部に支持ボス103の先端部を当接させることによって、ロッキングギヤ91の背面側から突出する回転軸部106がほぼ全高さに渡って支持ボス103に対して同軸に取り付けられて軸支される。また、ロッキングギヤ91の円環状のリブ108は、貫通孔111に摺動回転可能に嵌入され、クラッチ95はロッキングギヤ91とメカニズムカバー11との間に一定の回転範囲内で回転可能に収容される。
また、ロッキングギヤ91のロックギヤ35側の端面には、ロックギヤ35のロックユニット7側の端面部に形成された6個の貫通孔89に対向する位置に、各貫通孔89とほぼ同じ形状の円周方向に長い略長方形の断面で、四角柱状に突出した6個の凸部112が、約60度の等中心角度毎に、同心円上に位置するように立設されている。また、ロックギヤ35の回転軸方向外側の端面に立設された軸部83の高さは、ロッキングギヤ91の軸孔部106Aの長さにほぼ等しくなるように形成されている。
従って、図14に示すように、ロックギヤ35の軸部83をロッキングギヤ91の軸孔部106Aに嵌入すると共に、同時に、ロッキングギヤ91の各凸部112をロックギヤ35の各貫通孔89に嵌入する。これにより、ロックギヤ35の回転軸方向外側の端面に、ロッキングギヤ91が当接された状態で、ロックギヤ35にロッキングギヤ91が同軸に相対回転不能に取り付けられると共に、ロックギヤ35の軸部83がロッキングギヤ91の回転軸部106を介してメカニズムカバー11の支持ボス103内に位置して軸支される。また、ロックギヤ35の軸部83の先端部と、回転軸部106のメカニズムカバー11側の端縁部とがほぼ同一面上に位置している。
また、図12、図13及び図15に示すように、ロッキングギヤ91の底面部105のクラッチ95側の面には、基台部107に隣接して円柱状の支持ボス113が、ロッキングギヤ歯91Aよりも低い高さで立設されている。そして、基台部107を囲むように略弓形に形成された合成樹脂製のロックアーム92は、長手方向略中央部の基台部107側の端縁部に形成された貫通孔115に、この支持ボス113が回転可能に嵌挿され、回動可能に軸支される。
また、ロッキングギヤ91の底面部105には、支持ボス113に対して半径方向外側の近傍位置に、断面逆L字形の弾性係止片116が、メカニズムカバー11側へ立設されている。この弾性係止片116は、ロックアーム92の貫通孔115の横側に形成された略扇形で段差部を有する窓部117に挿入され、基台部107の軸心回りに回動可能に弾性的に係止される。
また、図15に示すように、ロッキングギヤ91は、基台部107の外周面から半径方向外側へ延出されたリブ部に、センサスプリング93の一端側が嵌め込まれるバネ支持ピン118が、該基台部107の軸心に対して直交するウエビング引出方向へ立設されている。また、ロックアーム92のバネ支持ピン118に対向する側壁には、センサスプリング93の他端側が嵌め込まれるバネ支持ピン119が立設されている。
従って、図13及び図15に示すように、各バネ支持ピン118、119にセンサスプリング93の両端を嵌め込むことによって、ロックアーム92は支持ボス113の軸心に対してウエビング引出方向側(図15中、反時計方向である)へ回動するように所定荷重で付勢される。そして、ロックアーム92は、クラッチ95のクラッチギヤ121に係合する係合爪122側の端縁部が、ロッキングギヤ91の基台部107から半径方向外側に突出するように形成されたストッパ123に当接されている。
一方、後述のようにロックアーム92がセンサスプリング93の付勢力に抗してウエビング巻取方向(図15中、時計方向である)へ回動されてクラッチギヤ121に係合した場合には、係合爪122の係合部とは反対側の端縁部が、ロッキングギヤ91の底面部105に立設された断面紡錘形の回り止め125と所定隙間(例えば、隙間約0.3mmである。)を形成するように構成されている。
また、図12、図13及び図15に示すように、クラッチ95はロッキングギヤ91とメカニズムカバー11とに挟まれた状態で、メカニズム収容部98に一定の回転範囲内で回転可能に収容される。このクラッチ95のロッキングギヤ91側には、貫通孔111に対して同軸に、ロッキングギヤ91のロッキングギヤ歯91Aが外周部に形成された円環状のリブの内周径よりも少し小さい外径を有する円環状のリブ部126が立設されている。
このリブ部126の内周面には、ロックアーム92の係合爪122が係合するクラッチギヤ121が形成されている。このクラッチギヤ121は、ロッキングギヤ91が、貫通孔111の軸心に対してウエビング引出方向への回転した時のみ、ロックアーム92の係合爪122と係合するように形成されている。
また、クラッチ95の略円板状の板部109の外周部には、リブ部126を囲むように円環状の外側リブ部127が立設されている。また、この外側リブ部127のロックギヤ35側の端縁部には、貫通孔111の中心軸に対して半径方向外側へ延出されると共に、ロックギヤ35側へ少し傾斜するように延出されたフランジ部128がほぼ全周に渡って形成されている。
また、外側リブ部127のパウル23に対向する角部(図12中、左下角部である。)には、外側リブ部127の外周面から鉛直方向下方(図12中、下方向である。)へ延出されたガイドブロック部129が設けられている。このガイドブロック部129には、パウル23の各係合歯23A、23Bを含む先端部の側面に立設された案内ピン42がロックギヤ35側から遊嵌される略細長状のガイド孔131が形成されている。
このガイド孔131は、図15に示すように、クラッチ95のパウル23に対向する角部に、ウエビング引出方向(図15中、上下方向である。)とほぼ平行な長溝状に形成されている。これにより、クラッチ95がウエビング引出方向(図15中、反時計方向である。)へ回動された場合には、案内ピン42がガイド孔131に沿って移動され、パウル23の各係合歯23A、23Bがロックギヤ35のラチェットギヤ歯65Aへ近づくように回動される。
また、パウル23は、捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されており、クラッチ95は、ガイド孔131に遊嵌されたパウル23の案内ピン42により付勢されている。この付勢力によってクラッチ95は、ガイド孔131において、クラッチ95の回転半径方向で最もロックギヤ35から離反する位置にある端縁部(図15中、ガイド孔131の下側端縁部である。)に、パウル23の案内ピン42が当接する状態の回転姿勢になるように付勢されることで、ウエビング引出方向とは反対方向に回転付勢されている。従って、パウル23及び捩りコイルバネ26によってクラッチ付勢機構132が構成される。
そして同時にパウル23は、通常時には、ガイド孔131において、クラッチ95の半径方向で最もロックギヤ35から離反する位置にある端縁部(図15中、ガイド孔131の下側端縁部である。)に、パウル23の案内ピン42が当接して回動を規制されるため、側壁部13に形成された切欠部38の奥側近傍に位置するように保持されている。
また、クラッチ95の外側リブ部127の下端縁部(図13中、下端縁部である。)には、ガイドブロック部129のロックギヤ35側端面部からセンサ収容部99の上方(図13中、上方向である。)に対向する部分まで、フランジ部128から半径方向外側へ略円弧状に延出された板状の延出部133が形成されている。また、図12、図13及び図15に示すように、延出部133のガイドブロック部129に対して反対側の端縁部の近傍位置には、パイロットレバー96の円筒状の軸部135に嵌挿される細い円柱状の取付ボス136が、外側リブ部127の高さとほぼ同じ高さでメカニズムカバー11側へ立設されている。
ここで、図12、図13及び図15に示すように、パイロットレバー96は、円筒状の軸部135と、板状の係合爪部96Aと、薄板状の受け板部102と、薄板状の連結板部137とから構成されている。軸部135の軸方向長さは、延出部133に立設された取付ボス136の高さとほぼ同じ寸法に形成されている。また、板状の係合爪部96Aは、ロッキングギヤ91側へ先端部が斜めに屈曲された回動軸方向視略L字形に形成されている。また、板状の係合爪部96Aは、パイロットレバー96が自重により回動して、鉛直方向下方への回転規制がされた場合に、ほぼ水平になるように、軸部135の外周面からガイド孔131側へ、該軸部135の長さよりも短い幅で、所定長さ突設されている。
また、薄板状の受け板部102は、係合爪部96Aに対向するように軸部135の外周面から接線方向ガイド孔131側へ突設され、先端部が係合爪部96Aの先端側とほぼ平行になるように斜めに曲げられている。また、薄板状の連結板部137は、係合爪部96Aと受け板部102の先端部を連結するように形成されている。また、係合爪部96Aの基端部の近傍には、パイロットレバー96のロッキングギヤ91側方向への回転、つまり、鉛直方向上側への回転を規制する上方向回り止め部138が、軸部135の外周面から半径方向外側へ突設されている。また、上方向回り止め部138は、係合爪部96Aの幅とほぼ同じ幅寸法で、係合爪部96Aの基端部に対してほぼ直角になるように所定高さ(例えば、高さ約1.5mmである。)突設されている。
また、図15に示すように、延出部133の取付ボス136に対向する端縁部には、パイロットレバー支持ブロック141が外側リブ部127とほぼ同じ高さでメカニズムカバー11側へ突設されている。また、パイロットレバー支持ブロック141の取付ボス136に対向する内側面は、取付ボス136と同軸で、且つ、パイロットレバー96の軸部135の外周面の半径よりも少し大きい(例えば、約0.1mm大きい。)曲率半径の正面視略半円形状の滑らかな曲面に形成されている。
また、図15に示すように、外側リブ部127のパイロットレバー96の係合爪部96Aに対向する位置には、鉛直方向上下に貫通する開口部142が、周方向所定幅で、板部109の端縁部よりも内側まで所定寸法切り欠かれて形成されている。この開口部142は、係合爪部96Aがセンサレバー53のロック爪53Aに押圧されて回動された場合に、開口部142内に進入してロッキングギヤ歯91Aに係合可能に形成されている。
そして、図15に示すように、パイロットレバー96が、自重により鉛直方向下側(図15中、下方向である。)へ回動した場合には、下方向回り止め部139がパイロットレバー支持ブロック141に当接して、鉛直方向下側(図15中、下方向である。)への回転角度が規制される。また、通常時には、パイロットレバー96の受け板部102とセンサレバー53のロック爪53Aとの間に隙間が形成されている。
また、センサレバー53が鉛直方向上側(図15中、上方向である。)へ回動されて、ロック爪53Aによってパイロットレバー96が鉛直方向上側へ回動された場合には、パイロットレバー96の係合爪部96Aが、ロッキングギヤ91に当接して、ロッキングギヤ歯91Aに係合する。また、パイロットレバー96の係合爪部96Aがロッキングギヤ歯91Aに係合された状態で、ロッキングギヤ91がウエビング引出方向(図15中、反時計方向である。)へ回転した場合には、係合爪部96Aには、取付ボス136側方向の荷重が加わる。
そして、係合爪部96Aに加わった荷重によって、係合爪部96Aのロッキングギヤ91側へ斜めに屈曲された先端部分が、軸部135側へ弾性変形して更に回動された場合には、該パイロットレバー96の上方向回り止め部138が、パイロットレバー支持ブロック141に当接される。また、係合爪部96Aに加わった荷重によって、取付ボス136が撓んだ場合には、軸部135の外周面が、パイロットレバー支持ブロック141の内側面に当接する。これにより、係合爪部96Aに加わった当該押圧荷重を、上方向回り止め部138及び軸部135を介してパイロットレバー支持ブロック141で支持することができる。
[ロック機構の動作]
次に、ロック機構10の動作について図15に基づいて説明する。図15においてウエビング3の引き出し方向は矢印143方向である。また、図15において、反時計方向の回転方向がウエビング3が引き出される時の巻取ドラムユニット6の回転方向(ウエビング引出方向)である。また、ロック機構10の動作の説明上、必要に応じて図面の一部を切り欠いて表示している。
ここで、ロック機構10は、ウエビング3の急な引き出しに対して作動する「ウエビング感応式ロック機構」と、車両の揺れや傾きなどに起因して生ずる加速度に感応して作動する「車体感応式ロック機構」との2種類のロック機構として動作する。また、「ウエビング感応式ロック機構」および「車体感応式ロック機構」では、共にパウル23の動作は共通である。このため、図15において、パウル23とロックギヤ35との関係を示す部分については、その一部を切り欠いた状態として表示している。また、ロックアーム92とクラッチギヤ121との関係を示す部分、及びセンサスプリング93を示す部分を切り欠いて示している。
[ウエビング感応式ロック機構の動作説明]
先ず、「ウエビング感応式ロック機構」のロック動作について図15に基づいて説明する。図15に示すように、ロックアーム92は、ロッキングギヤ91の支持ボス113によって回動自在に支持されているため、ウエビング3の引出加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。尚、1G≒9.8m/s2とする。)を超えた場合には、ロッキングギヤ91のウエビング引出方向への回転に対してロックアーム92に慣性遅れが生じる。
このため、ストッパ123に当接していたロックアーム92は、センサスプリング93の付勢力に抗して初期位置を維持するため、当該ロッキングギヤ91に対して支持ボス113を中心に時計方向に回動され、回り止め125の近傍まで回動される。そのため、ロックアーム92の係合爪122は、ロッキングギヤ91の回転軸に対して半径方向外側へ回動されて、クラッチ95のクラッチギヤ121に係合する。
そして、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて継続された場合には、ロッキングギヤ91が更にウエビング引出方向(反時計方向である。)へ回転されるため、ロックアーム92の係合爪122は、クラッチギヤ121に係合した状態で、ウエビング引出方向へ回動される。
従って、ロックアーム92によってクラッチギヤ121がウエビング引出方向へ回動されるため、クラッチ95は、捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ロッキングギヤ91のリブ108の軸心回り、つまり、回転軸部106の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。
これにより、ウエビング3の引き出しが所定加速度を超えて更に継続された場合には、クラッチ95は捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ウエビング引出方向へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ95のガイド孔131によって案内されて、当該パウル23は捩りコイルバネ26の付勢力に抗して、ロックギヤ35のラチェットギヤ歯65Aに係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
[車体感応式ロック機構の動作説明]
次に、「車体感応式ロック機構」のロック動作について図15に基づいて説明する。図15に示すように、車両加速度センサ28の球状体の慣性質量体52は、センサーホルダ51のすり鉢状の底面部に載置されているため、車体の揺れや傾きなどによる加速度が所定加速度(例えば、約2.0Gである。)を超えた場合には、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させる。
このため、センサレバー53のロック爪53Aが、クラッチ95の延出部133に立設された取付ボス136に回転自在に取り付けられているパイロットレバー96の受け板部102に当接して、当該パイロットレバー96を鉛直方向上側へ回動させる。従って、パイロットレバー96は取付ボス136の軸心回りに時計方向に回動され、当該パイロットレバー96の係合爪部96Aは、クラッチ95の開口部142内に進入して、ロッキングギヤ91の外周部に形成されたロッキングギヤ歯91Aに係合する。このとき、上方向回り止め部138とパイロットレバー支持ブロック141との間には、所定隙間(例えば、隙間約0.1mmである。)が形成されている。
そして、パイロットレバー96がロッキングギヤ91のロッキングギヤ歯91Aに係合した状態で、ウエビング3が引き出された場合には、当該ロッキングギヤ91がウエビング引出方向(反時計方向である。)へ回動される。また、ロッキングギヤ91のウエビング引出方向への回転は、パイロットレバー96、取付ボス136及びパイロットレバー支持ブロック141を介してクラッチ95へ伝達される。
このため、ロッキングギヤ91のウエビング引出方向への回転に伴って、当該クラッチ95は、捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ロッキングギヤ91のリブ108の軸心回り、つまり、回転軸部106の軸心回りにウエビング引出方向へ回動される。
これにより、ウエビング3の引き出しが更に継続された場合には、クラッチ95は、捩りコイルバネ26によってロックギヤ35から離反する方向へ回動付勢されているパウル23の案内ピン42による付勢力に抗して、ウエビング引出方向へ更に回動される。このため、パウル23の案内ピン42は、当該クラッチ95のガイド孔131に案内されて、当該パウル23の各係合歯23A、23Bは、ロックギヤ35のラチェットギヤ歯65Aに係合される。これにより、巻取ドラムユニット6の回転がロックされてウエビング3の引き出しがロックされる。
[巻取バネユニットの概略構成]
次に、巻取バネユニット8の概略構成について図2、図3、図16及び図17に基づいて説明する。図16及び図17は、巻取バネユニット8の分解斜視図である。
図16及び図17に示すように、巻取バネユニット8は、渦巻バネ147と、この渦巻バネ147の外側端147Aが、内側周縁部の底面から立設されたリブ148に固定されると共に、この渦巻バネ147を収容するバネケース16と、渦巻バネ147の内側端147Bが取付溝151Cに嵌め込まれてバネ力が付勢されるバネシャフト151と、バネケース16に取り付けられて渦巻バネ147を覆う略平板状のスプリングシート152とから構成されている。
バネシャフト151は、バネケース16の底面部16Aの略中心位置に立設されたピン153が、バネシャフト151の底面部の貫通孔151Aに挿入されて底面部16A側が回転可能に支持されている。また、バネシャフト151のスプリングシート152側の端部は、スプリングシート152の中央部に設けられた略円筒状のボス部152Aの基端側の内周部に形成された円形状の段差部152Bに回転可能に支持される。そして、スプリングシート152は、外周部の3箇所に設けられた各係止突起155をバネケース16の開放側周縁部に設けられた各係止孔156に弾性的に係止することによって固定されている。
また、巻取ドラムユニット6のシャフト68は、断面円形の基端部がスプリングシート152の中央部に設けられた略円筒状のボス部152Aに嵌挿されて回転可能に支持されると共に、断面略矩形状に形成された先端部が、バネシャフト151の断面略矩形状に形成された筒孔151B内に嵌挿されて、当該バネシャフト151に対して相対回転不能に連結される。これにより、バネシャフト151を介して渦巻バネ147の付勢力が、巻取ドラムユニット6にウエビング3の巻取方向へ回動するように常時付勢する構造とされる。
また、スプリングシート152の側壁部17側の面には、巻取ドラムユニット6の端縁部に形成された外側フランジ71の外周部を覆うようにリング状のリブ157が立設されている。また、このリブ157の外周面から半径方向外側へ放射状に複数の補強リブ158が外周部まで立設されている。また、この複数の補強リブ158のうち、ハウジング12の側壁部17に形成された貫通孔57の下側周縁部に対向する各補強リブ158の上端部には、リブ157の外周面から貫通孔57の内周面に対向する位置まで側壁部17の厚さにほぼ等しい高さで突出する位置決め部158Aが形成されている。
また、スプリングシート152のリブ157の外側には、一対の円筒状の位置決めボス159が立設されている。また、ハウジング12の側壁部17に形成された貫通孔57の上側周縁部には、各位置決めボス159が嵌入される一対の位置決め孔161が形成されている。
次に、上記のように構成されたロックユニット7及び巻取バネユニット8のハウジング12の各側壁部13、17への取り付けについて図18に基づいて説明する。図18はシートベルト用リトラクタ1の通常状態の要部断面図である。
先ず、ロックユニット7のハウジング12の側壁部13への取り付けについて図18に基づいて説明する。
図18に示すように、ロックユニット7は、各ナイラッチ7Aによって側壁部13の各取付孔15に回転軸方向外側から取り付けられる。また、ロッキングギヤ91の軸孔部106Aにロックギヤ35の軸部83が嵌入されると共に、ロッキングギヤ91の各凸部112がロックギヤ35のラチェットギヤ65とラチェットベース66とによって形成された各貫通孔89に嵌入される。
これにより、ロックギヤ35の回転軸方向外側の端面に、ロッキングギヤ91が当接された状態で、当該ロッキングギヤ91がロックギヤ35に同軸に相対回転不能に取り付けられる。また、ロッキングギヤ91の回転軸部106は、メカニズムカバー11の支持ボス103に嵌入されて、回転軸部106の基端部が支持ボス103の先端部に当接された状態で回転可能に支持されている。
また、締結機構88を構成するストッパーナット63は、固定ボス78の外周面に形成された雄ねじ部78Aに雌ねじ部63Bが外嵌螺合されて、固定ボス78の軸方向軸受孔61A側の奥側端部に位置している。従って、ストッパーナット63とラチェットベース66の鍔状部66Bとの間には、所定隙間(例えば、隙間約3mmである。)が形成されている。
続いて、巻取バネユニット8のハウジング12の側壁部17への取り付けについて図18に基づいて説明する。
図18に示すように、巻取バネユニット8は、ハウジング12の側壁部17に形成された一対の位置決め孔161に各位置決めボス159を嵌入しつつ、バネケース16の各ナイラッチ8Aによって側壁部17の各取付孔18に回転軸方向外側から取り付けられる。また、スプリングシート152のボス部152Aに巻取ドラム61のシャフト68が嵌挿されると共に、シャフト68の断面略矩形状に形成された先端部が、バネシャフト151の断面略矩形状に形成された筒孔151Bに嵌挿されて、当該バネシャフト151に対して相対回転不能に連結される。
これにより、スプリングシート152のボス部152Aの先端部が、巻取ドラム61の巻取バネ側フランジ部67に当接された状態で、巻取ドラム61のシャフト68の円柱状の基端部が回転可能に支持される。また、バネシャフト151を介して渦巻バネ147の付勢力が、巻取ドラムユニット6にウエビング巻取方向へ回動するように常時付勢する。また、各補強リブ158の位置決め部158Aは、側壁部17の内側面とほぼ同一の高さとなるように貫通孔57内に嵌入される。
[締結機構の作用]
次に、車両衝突時等の緊急時における、締結機構88の作用について図11、図18及び図19に基づいて説明する。図19はシートベルト用リトラクタ1の締結機構88がロックギヤ35と巻取ドラム61とを締結した状態を示す要部断面図である。
車両衝突時等の緊急時においては、車両加速度センサ28の慣性質量体52が、センサーホルダ51の底面部を移動してセンサレバー53を鉛直方向上側へ回動させるため、上記の通り、センサレバー53のロック爪53Aが、パイロットレバー96を鉛直方向上側へ回動させる。そして、パイロットレバー96の係合爪部96Aが、ロッキングギヤ91の外周部に形成されたロッキングギヤ歯91Aに当接される。
そして、ウエビング3が引き出され(図19中、矢印163方向である。)、巻取ドラム61がウエビング引出方向へ回転された場合には、パイロットレバー96の係合爪部96Aが、ロッキングギヤ91の外周部に形成されたロッキングギヤ歯91Aに係合して、クラッチ95がウエビング引出方向へ回動される。このため、当該クラッチ95のガイド孔131に案内されたパウル23がロックギヤ35のラチェットギヤ歯65Aに係合される。
従って、車両衝突時等において、ウエビング3が引き出された場合には、パウル23とラチェットギヤ歯65Aとの係合によって、巻取ドラムユニット6のロックギヤ35は、ウエビング3の引き出し方向へ回転するのが抑止される。尚、パウル23とラチェットギヤ歯65Aとの係合は、巻取ドラム61をウエビング引出方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
続いて、パウル23とロックギヤ35のラチェットギヤ歯65Aとの係合が未だ維持されている状態で、乗員が車両に対して相対的に前側へ移動した場合には、ウエビング3に大きな引き出し荷重が作用する。そして、図11に示すように、ウエビング3に作用する引き出し荷重が予め設定された所定値(例えば、約4KNである。)を超えて引き出された場合には、巻取ドラム61にウエビング引出方向(矢印165方向である。)への回転トルクが作用する。
そして、ロックギヤ35はパウル23によって回転が阻止されているため、ロックギヤ35の嵌合凹部78に圧入されたトーションバー62の連結部62Bは、ウエビング引出方向への回転が阻止される。そのため、巻取ドラム61に作用するウエビング引出方向への回転トルクによって、トーションバー62の巻取ドラム61の軸孔61Aの奥側に圧入固定された連結部62A側が回転され、トーションバー62の軸部62Cの捻れ変形が開始される。このトーションバー62の軸部62Cの捻れ変形に伴って巻取ドラム61がウエビング引出方向に回転し、トーションバー62の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
また同時に、巻取ドラム61が回転された場合には、パウル23とロックギヤ35とは係合されているため、このロックギヤ35と巻取ドラム61との相互間においても相対回転が生じる。それにより、図11に示すように、ストッパーナット63は、各スプライン63Aが嵌合孔77Bの内周面に形成された各溝部77Aに嵌入されているため、巻取ドラム61と共にウエビング引出方向(矢印165方向である。)に回転される。
従って、ストッパーナット63とロックギヤ35の固定ボス78との相互間においても相対回転が生じるため、固定ボス78の雄ねじ部78Aに螺合するストッパーナット63は、図18に示す状態から、当該固定ボス78の基端部側、つまり、巻取ドラム61の回転軸方向外側(図19中、矢印167方向である。)へ各溝部77Aに沿って移動する。
そして、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量が、予め設定されている設定回転数(例えば、約1.5回転である。)に達した場合には、図19に示すように、ストッパーナット63がロックギヤ35の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能に締結される。これにより、ロックギヤ35と巻取ドラム61とは、締結機構88を構成する嵌合孔77Bに内嵌されたストッパーナット63と固定ボス78を介して相対回転不能に締結され、ウエビング3の引き出しがロックされる。
これにより、車両衝突時等の緊急時にウエビング3に大きな引き出し荷重が作用した際に、乗員の運動エネルギーを吸収するために、トーションバー62が複数回転捩れ変形する場合でも、締結機構88により、設定回転数に達した際には、ロックギヤ35と巻取ドラム61とが相対回転不能に締結されるため、トーションバー62の捩れ変形も終了し、トーションバー62の捩れ変形量が、許容できる回転数を超えて軸部62Cが破断することを防止できる。
また、ストッパーナット63がロックギヤ35の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接するまでのトーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量の設定回転数を適切に設定することによって、乗員をウエビング3で確実に拘束して、ステアリングホイールやフロントガラスまたは前部座席等に二次衝突するのを防止して、乗員の安全性を確保することができる。
尚、トーションバー62が捩れ変形を開始するウエビング3の引き出し荷重の所定値は、トーションバー62の長さ、直径、材料等によって適切に設定することができる。また、ストッパーナット63がロックギヤ35の鍔状部66Bに当接するまでのトーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量の設定回転数は、固定ボス78の雄ねじ部78の長さや、ストッパーナット63と鍔状部66Bとの隙間等によって適切に設定することができる。
また、締結機構88において、固定ボス78の雄ねじ部78Aとストッパーナット63の雌ねじ部63Bを逆ネジに形成してもよい。そして、トーションバー62の軸部62Cが捩れ変形して、ロックギヤ35と巻取ドラム61との相互間において相対回転が生じた場合には、ストッパーナット63が軸方向内側へ移動するように構成してもよい。
そして、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量が、予め設定されている設定回転数(例えば、約1.5回転である。)に達した場合には、ストッパーナット63の各スプライン63Aが各溝部77Aの軸方向奥側端面に当接して、若しくは、ストッパーナット63が嵌合孔77Bの軸方向奥側端面に当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能になるように構成してもよい。これにより、ロックギヤ35と巻取ドラム61とは、締結機構88を構成する嵌合孔77Bに内嵌されたストッパーナット63と固定ボス78を介して相対回転不能に締結され、ウエビング3の引き出しがロックされる。
また、締結機構88において、ストッパーナット63を巻取ドラム61の嵌合孔77Bに軸方向に移動不能に取り付けると共に、ロックギヤ35と巻取ドラム61との間に軸方向の隙間を設けるようにしてもよい。そして、ロックギヤ35と巻取ドラム61との相互間において相対回転が生じた場合には、ストッパーナット63が、巻取ドラム61と共に軸方向外側へ移動するように構成してもよい。
そして、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量が、予め設定されている設定回転数(例えば、約1.5回転である。)に達した場合には、ストッパーナット63がロックギヤ35の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接して、若しくは、巻取ドラム61がロックギヤ35に当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能になるように構成してもよい。これにより、ロックギヤ35と巻取ドラム61とは、締結機構88を構成する嵌合孔77Bに内嵌されたストッパーナット63と固定ボス78を介して相対回転不能に締結され、ウエビング3の引き出しがロックされる。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1では、ロックギヤ35は、外周面にラチェットギヤ歯65Aが形成された断面略リング状のラチェットギヤ65と、ラチェットギヤ65内に嵌入されて回転軸方向外側端縁部を塞ぐように固定されるラチェットベース66とから構成されている。
また、ラチェットベース66は、略円板状のベース部66Aの巻取ドラム61側の回転軸方向内側面の中央部には、外周面に雄ねじ部78Aが全長に渡って形成されると共に、内側に嵌合凹部78Bが形成された円筒状の固定ボス78が立設されている。また、略円板状のベース部66Aは、固定ボス78の基端部から巻取ドラム61の回転軸に対して半径方向外側に全周に渡って突出した正面視略リング状の鍔状部66Bを形成している。
これにより、ラチェットギヤ65とラチェットベース66とを個別に加工することができるため、ラチェットギヤ65のラチェットギヤ歯65Aとラチェットベース66の固定ボス78をそれぞれ容易に形成することができる。また、ラチェットギヤ65とラチェットベース66とを個別に加工することができるため、ラチェットギヤ65をアルミダイカストや亜鉛ダイカスト等により形成し、ラチェットベース66をスチール材等により形成して、異なる材質で形成することができる。
従って、固定ボス78の外周面に形成された雄ねじ部78Aの強度を容易に確保しつつ、材料及び製造方法の設計自由度を増やすことができると共に、ロックギヤ35の軽量化を図ることができる。また、トーションバー62の連結部62Bが相対回転不能に結合される固定ボス78をラチェットギヤ65よりも高強度の材料で形成することができ、締結機構88の締結強度を容易に確保しつつ、設計の最適化を図ってコストの削減化を図ることができる。
また、ラチェットギヤ65とラチェットベース66とを別部品とすることで、ラチェットギヤ歯65Aと固定ボス78の雄ねじ部78Aとを個別に加工することができる。これにより、ラチェットギヤ65と固定ボス78とを回転軸方向に離して配置することを避けて、固定ボス78における雄ねじ部78Aの基端部が、ラチェットギヤ65の回転軸方向内側に配置されたロックギヤ35を、容易に形成することができる。従って、ストッパーナット63と固定ボス78とによって構成される締結機構88の軸心方向の小型化を図ることができ、引いてはシートベルト用リトラクタ1の巻取ドラムユニット6の回転軸方向の小型化を図ることができる。
また、ラチェットベース66のラチェットギヤ65への取り付けは、鍔状部66Bの外周部に形成された各切欠部86を各カシメピン82Bの外周面に当接させつつ、ベース部66Aをラチェットギヤ65の貫通孔87に嵌入して、鍔状部66Bの各凹部85に各取付片82の段差部82Aを嵌入して当接する。その後、各カシメピン82Bの頭部を、その基端部の凹部82C及び相対向する切欠部86の周縁部に広がるように塑性変形させることによって、ラチェットベース66がラチェットギヤ65の内側に相対回転不能に取り付けられると共に、巻取ドラム61側に脱落不能に固定されて、ロックギヤ35が構成される。
これにより、ラチェットベース66は、各凹部85にラチェットギヤ65の各取付片82を嵌入して、各カシメピン82Bの頭部を塑性変形させることによって、ラチェットギヤ65に固定されるため、ラチェットギヤ65にラチェットベース66を取り付ける構造の薄型化を図ることができ、ロックギヤ35の軸心方向の更なる小型化を図ることができる。また、ラチェットギヤ65とラチェットベース66とを容易に一体化することが可能となり、ロックギヤ35の組立作業の効率化を図ることが可能となる。
また、ラチェットベース66の平板状のベース部66Aが、ラチェットギヤ65の貫通孔87に嵌合されて、鍔状部66Bの各凹部85に各取付片82の段差部82Aを嵌入して当接した場合には、このベース部66Aの巻取ドラム61の回転軸方向外側面が、ラチェットギヤ65の回転軸方向外側端面を形成する。
これにより、ラチェットベース66のベース部66Aをできるだけ大きくして、ロックギヤ35の回転軸方向外側端面部の大部分をベース部66Aにより形成することで、ロックギヤ35の回転軸方向外側端面部の薄型化を図って、ストッパーナット63の移動量を容易に確保することができると共に、ロックギヤ35の軽量化を図ることができる。また、外周面に雄ねじ部78Aが形成された固定ボス78の基端部がラチェットギヤ65の内側に位置するため、締結機構88の軸心方向の更なる小型化を図ることができる。
また、固定ボス78の雄ねじ部78Aに外嵌螺合されたストッパーナット63は、外周面に突設された各スプライン63Aが、巻取ドラム61の段差部77の内周面に形成された各溝部77A内に内嵌されている。これにより、車両衝突時等の緊急時において、ロックギヤ35と巻取ドラム61との相互間において相対回転する際に、ストッパーナット63に回転軸方向外側への移動を許容でき、ロックギヤ35に対する巻取ドラム61の設定回転数の設定自由度を増やすことができる。
また、ストッパーナット63の固定ボス78に対する回転軸方向外側への移動限界をラチェットギヤ65の回転軸方向内側に配置することによって、シートベルト用リトラクタ1の軸心方向の寸法への影響を抑えつつ、ストッパーナット63の移動量を確保して、ロックギヤ35に対する巻取ドラム61の設定回転数を容易に設定することができる。また、締結機構88は、ストッパーナット63を固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接させることによって、ロックギヤ35と巻取ドラム61とを相対回転不能に締結するため、締結強度を容易に確保することができる。
また、固定ボス78が挿入される嵌合孔77Bを巻取ドラム61の一端部から回転軸方向外側へ突出する略円筒状の段差部77内に設け、この段差部77がラチェットギヤ65のラチェットギヤ歯65Aの内側に挿入されるように構成されている。これにより、シートベルト用リトラクタ1の軸心方向の寸法への影響を抑えつつ、巻取ドラム61に嵌合孔77Bを設けることができると共に、ストッパーナット63の移動量を確保して、ロックギヤ35に対する巻取ドラム61の設定回転数を容易に設定することができる。
例えば、乗員の前部座席との二次衝突を避けるために、前部座席との間で許容されるウエビング3の引き出し量が少ない場合には、ロックギヤ35に対する巻取ドラム61の設定回転数を最大約1.5回転に設定して、固定ボス78が挿入される嵌合孔77Bを略円筒状の段差部77内に容易に設けることができる。これにより、巻取ドラム61の一端部から回転軸方向外側へ突出する段差部77の軸方向の寸法の増加を抑えることができ、シートベルト用リトラクタ1の軸心方向の寸法への影響を抑えつつ、ストッパーナット63の移動量を容易に確保して、締結機構88を設けることができる。
また、段差部77の嵌合孔77Bの軸方向深さは、巻取ドラム61の回転軸方向における最大深さの位置がロックユニット側フランジ部76の位置に近接するように設けられており、ウエビング挿通孔74のロックユニット7側の端縁部に位置するように形成されている。これにより、巻取ドラム61へのウエビング3の取り付けに影響を与えることなく、嵌合孔77Bを巻取ドラム61のロックユニット7側の端部に形成することができる。
従って、段差部77および、巻取ドラム61の一端部の外周面から半径方向外側へ延出されたロックユニット側フランジ部76の外径に対して、嵌合孔77Bの大きさを、巻取ドラム61へのウエビング3の取り付けを考慮せずに、強度面等を考慮のうえで、できるだけ大きくすることができる。
これにより、ストッパーナット63の外径を大きくすることができるため、ストッパーナット63の強度を容易に確保することができる。また、ストッパーナット63の薄型化が可能となるので、締結機構88の軸心方向の小型化を図ることができ、引いてはシートベルト用リトラクタ1の軸心方向の小型化を図ることができる。また、固定ボス78の外径を大きくすることができるため、締結機構88の機械的強度を容易に確保することができる。
更に、ラチェットベース66の各凹部85にラチェットギヤ65の各取付片82を嵌入して、各カシメピン82Bをカシメることによって、6個の断面矩形の貫通孔89が、ラチェットギヤ歯65Aに対して半径方向内側の近傍に、約60度の等中心角度毎に、回転軸を中心とする同心円上に形成される。そして、ロックギヤ35の軸部83をロッキングギヤ91の軸孔部106Aに嵌入すると共に、ロッキングギヤ91のロックギヤ35側の端面に四角柱状に立設された6個の凸部112を各貫通孔89に嵌入する。
これにより、ロックギヤ35の回転軸方向外側の端面に、ロッキングギヤ91が当接された状態で、ロックギヤ35にロッキングギヤ91が同軸に相対回転不能に取り付けられると共に、ロックギヤ35の軸部83がロッキングギヤ91の回転軸部106を介してメカニズムカバー11の支持ボス103内に位置して軸支される。
従って、ロックギヤ35の回転軸方向外側の端面に、ロックユニット7を構成するロッキングギヤ91が当接されるため、ロックギヤ35とロッキングギヤ91との間に隙間を設ける必要が無くなり、ロック機構10を構成するロックユニット7の薄型化を図ることができる。また、ロックユニット7は、ロッキングギヤ91とクラッチ95との間と、クラッチ95とメカニズムカバー11の底面部97との間に、回転軸方向の隙間を設ければよいため、当該ロックユニット7内に設けられる回転軸方向の所定隙間の箇所を少なくして容易に薄型化することができ、引いては、シートベルト用リトラクタ1を小型化することが可能となる。
また、車両衝突時等の緊急時において、ロックギヤ35と巻取ドラム61との相互間において相対回転する際に、ストッパーナット63が固定ボス78の基端部に当接して、ロックギヤ35と巻取ドラム61とが相対回転不能に締結されるまで、トーションバー62の軸部62Cが捩れ変形して、衝撃エネルギーを吸収する。これにより、車両衝突時等の緊急時において、ウエビング3の引き出しがロックされるまで、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形により衝撃エネルギーを吸収することができ、衝撃エネルギー吸収機構の構造の簡易化を図ることができる。
次に、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ171について図20乃至図25に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記図1乃至図19に示す第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ171の概略構成は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1とほぼ同じ構成である。
但し、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ171は、巻取ドラムユニット6に替えて、図20及び図21に示す巻取ドラムユニット172が設けられている点で異なっている。
[巻取ドラムユニットの概略構成]
先ず、巻取ドラムユニット172の概略構成について図20乃至図22に基づいて説明する。図20及び図21は巻取ドラムユニット172の分解斜視図である。図22は巻取ドラムユニット172のワイヤ173を含む回転軸に対して垂直な断面図で、ワイヤ173を引き出す動作説明図である。
図20及び図21に示すように、巻取ドラムユニット172は、巻取ドラムユニット6とほぼ同じ構成で、トーションバー62、ストッパーナット63、ラチェットベース66が設けられている。但し、巻取ドラムユニット172は、衝撃エネルギーを吸収するためのステンレス材等の金属材からなる断面円形の線材状のワイヤ173が設けられ、そのため、巻取ドラム61に替えて巻取ドラム175及びラチェットギヤ176が設けられている。従って、ロックギヤ35に替えて、ラチェットベース66とラチェットギヤ176から構成されるロックギヤ177が設けられている。
巻取ドラム175は、巻取ドラム61とほぼ同じ構成であるが、ロックユニット側フランジ部76から軸心方向外側の部分には、円筒状の段差部181が回転軸方向外側へ突設され、ストッパーナット63が内嵌される嵌合孔77Bが、軸孔61Aと同軸に形成されている。また、嵌合孔77Bの内周面には、ストッパーナット63の外周面から約60度の等中心角度毎に軸方向に沿って突出する角形の各スプライン63Aが嵌入されるスプライン状の6個の溝部77Aが全深さに渡って、約60度の等中心角度毎に形成されている。
また、図20及び図22に示すように、段差部181の外周面には、ワイヤ173の一端の屈曲部173Aが嵌入保持される保持側屈曲路182が一体形成されている。この保持側屈曲路182は、ロックユニット側フランジ部76の軸方向外側面から突出する正面視半径方向内側向きの略台形状に形成された凸部183と、段差部181の外周面から凸部183に対向する嵌合孔77Bの内周面に達する凹部184と、この凹部184の正面視反時計方向側(図22中、反時計方向側である。)の端部から少し離れた段差部181の外周面から正面視反時計方向に傾斜した斜め内側方向へ形成された溝部185と、段差部181の凹部184と溝部185との間の外周面とによって形成されている。
また、凸部183と凹部184の半径方向に対して斜めに傾斜した各対向面には、保持側屈曲路182の深さ方向に沿って、周方向溝部185側の対向面には1組の相対向する細いリブが立設され、また、溝部185に対して周方向反対側の対向面には2組の相対向する細いリブが立設されている。また、溝部185の対向面には、保持側屈曲路182の深さ方向に沿って1組の相対向する細いリブが立設されている。また、相対向する各リブ間の距離は、ワイヤ173の外径よりも小さくなるように形成されている。尚、各リブの保持側屈曲路182の底面部からの高さは、ワイヤ173の外径以上の高さに形成されている。
そして、ワイヤ173の一端の屈曲部173Aは、各リブを押し潰しつつ保持側屈曲路182に嵌入されて固定保持される。また、ワイヤ173の屈曲部173Aに連続して形成される正面視略逆U字状の屈曲部173Bは、ロックユニット側フランジ部76の外周よりも外側に突出するように形成されている。そして、ワイヤ173の屈曲部173Bに連続して形成される屈曲部173Cは、段差部181の外周面に沿った円弧状に形成されている。
図20乃至図22に示すように、ラチェットギヤ176は、ラチェットギヤ65とほぼ同じ構成であるが、フランジ部81の外周部から半径方向外側へ、正面視先端側が狭い所定中心角度(例えば、中心角度約60度である。)の略台形状に延出された台形状部187が形成されている。この台形状部187の巻取ドラム175側の内側面には、台形状部187から回転軸方向外側に突出して、ワイヤ173の正面視略逆U字状の屈曲部173Bが嵌め込まれる正面視略山形の凸部188が略中央部に形成されている。
また、フランジ部81の巻取ドラム175側の内側面には、台形状部187の外周縁部に沿って略直角外側方向(図20中、左側方向である。)に延出されたフランジ部189が形成されている。また、このフランジ部189の内周部と凸部188の外周部とによって、ワイヤ173が摺動案内されて引き出される正面視略逆U字状の変形付与屈曲路191が形成されている(図22参照)。
ここで、ワイヤ173の巻取ドラム175及びロックギヤ177への取り付けについて図20乃至図22に基づいて説明する。
図20乃至図22に示すように、先ず、ワイヤ173の一端側の略S字状に屈曲されている屈曲部173Aを巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76と段差部181に形成された保持側屈曲路182内に、各リブを潰しながら嵌入する。また、ワイヤ173の屈曲部173Aに連続して形成される正面視略逆U字状の屈曲部173Bを、ロックユニット側フランジ部76の外周よりも外側に突出させる。
また、ワイヤ173の屈曲部173Bに連続して形成される円弧状の屈曲部173Cを、段差部181の外周面に沿って配置する。これにより、ワイヤ173の一端側の屈曲部173Aが、巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76と段差部181に形成された保持側屈曲路182内に嵌入されて固定保持されると共に、ワイヤ173の屈曲部173Cがロックユニット側フランジ部76に対向した状態で配置される。
一方、ロックギヤ177は、先ず、ラチェットベース66の鍔状部66Bの外周部に形成された各切欠部86を、ラチェットギヤ176の各取付片82のカシメピン82Bに対向させつつ、ベース部66Aの軸方向外側面に立設された軸部83をラチェットギヤ176内(図20中、右側方向である。)へ挿通する。
そして、鍔状部66Bの外周部に形成された各切欠部86を各カシメピン82Bの外周面に当接させつつ、鍔状部66Bの各凹部85に各取付片82の段差部82Aを嵌入して当接する。その後、各カシメピン82Bの頭部を、その基端部の凹部82C及び相対向する切欠部86の周縁部、主には鍔状部66Bの切欠部86の周縁部に広がるように塑性変形させる。これにより、ラチェットベース66がラチェットギヤ176の内側に相対回転不能に取り付けられると共に、巻取ドラム61側に脱落不能に固定されて、ロックギヤ177が構成される。
従って、ラチェットギヤ176の各取付片82の周縁部によって、ラチェットベース66のベース部66Aが嵌合される貫通孔87が形成される。また、図21に示すように、固定ボス78の雄ねじ部78Aは、基端部側の部分がラチェットギヤ176の内側に位置することができる。
続いて、ロックギヤ177の固定ボス78の雄ねじ部78Aにストッパーナット63の雌ねじ部63Bを螺合する。つまり、締結機構88を構成するストッパーナット63を固定ボス78に対して外嵌螺合する。そして、ストッパーナット63を回転させて、固定ボス78とストッパーナット63のそれぞれの軸方向巻取ドラム175側の端面を、ほぼ同一面上に位置するようにする。
そして、ストッパーナット63の外周面に突設された各スプライン63Aを、段差部181の嵌合孔77Bの内周面に形成された各溝部77Aに嵌入しつつ、トーションバー62のロックギヤ177への挿入側端部に設けられた連結部62Bを固定ボス78の嵌合凹部78B内に圧入する。また、同時に、巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76の外周よりも外側に突出しているワイヤ173の正面視略逆U字状の屈曲部173Bを、ロックギヤ177のフランジ部81の台形状部187に設けられた凸部188の外周部に形成された変形付与屈曲路191内に嵌入する。
これにより、巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76とロックギヤ177との間に、ワイヤ173が配置されると共に、ロックギヤ177がトーションバー62を介して巻取ドラム175に対して相対回転不能に装着される。また、締結機構88を構成するストッパーナット63が、段差部181の嵌合孔77Bに対して、相対回転不能、且つ、回転軸方向外側へ相対移動可能に内嵌される。
[エネルギー吸収]
上記の通り、車両衝突時等の緊急時において、ウエビング3が引き出された場合には、パウル23とラチェットギヤ歯65Aとの係合によって、巻取ドラムユニット172のロックギヤ177は、ウエビング3の引き出し方向へ回転するのが抑止される。尚、パウル23とラチェットギヤ歯65Aとの係合は、巻取ドラム175をウエビング引出方向へ回転させる、一方向のみへの係合構造である。
続いて、パウル23とロックギヤ177のラチェットギヤ歯65Aとの係合が未だ維持されている状態で、乗員が車両に対して相対的に前側へ移動した場合には、ウエビング3に大きな引き出し荷重が作用する。そして、図22に示すように、ウエビング3に作用する引き出し荷重が予め設定された所定値である閾値(例えば、引き出し荷重の閾値は約4KNである。)を超えて引き出された場合には、巻取ドラム175にウエビング引出方向(矢印192方向である。)への回転トルクが作用する。
そして、ロックギヤ177はパウル23によって回転が阻止されているため、ロックギヤ177の嵌合凹部78に圧入されたトーションバー62の連結部62Bは、ウエビング引出方向への回転が阻止される。そのため、巻取ドラム175に作用するウエビング引出方向への回転トルクによって、トーションバー62の巻取ドラム175の軸孔61Aの奥側に圧入固定された連結部62A側が回転され、トーションバー62の軸部62Cの捻れ変形が開始される。このトーションバー62の軸部62Cの捻れ変形に伴って巻取ドラム61がウエビング引出方向に回転し、「第1のエネルギー吸収機構」としてのトーションバー62の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
また同時に、巻取ドラム175が回転された場合には、パウル23とロックギヤ177とは係合されているため、このロックギヤ177と巻取ドラム175との相互間においても相対回転が生じる。それにより、巻取ドラム175の回転に伴ってワイヤ173とロックギヤ177との相互間においても相対回転が生じ、「第2のエネルギー吸収機構」としてのワイヤ173による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
[ワイヤの引き出し動作]
ここで、ワイヤ173によって衝撃エネルギーを吸収する際の、当該ワイヤ173の動作について図22乃至図25に基づいて説明する。図23乃至図25はワイヤ173を引き出す動作説明図である。
図22に示されるように、巻取ドラム175とロックギヤ177との初期状態においては、巻取ドラム175の保持側屈曲路182を構成する凸部183と凹部184のワイヤ173の出口側端部は、フランジ部81の台形状部187に突設された凸部188の外周部に形成された変形付与屈曲路191の引き出し側端部の近くに位置している。
そして、ワイヤ173の略S字状の屈曲部173Aは、巻取ドラム175の凸部183と凹部184と溝部185とによって構成された保持側屈曲路182内に嵌入されて固定保持されている。また、ワイヤ173の屈曲部173Aに連続する正面視略逆U字状の屈曲部173Bは、台形状部187に突設された凸部188の外周部に形成された変形付与屈曲路191内に嵌入されている。これにより、保持側屈曲路182のワイヤ173の出口側端部と、変形付与屈曲路191の引き出し側端部とがワイヤ173を介してほぼ一直線状になるように対向している。
そして、図22乃至図25に示すように、ウエビング3の引き出しによって巻取ドラム175がウエビング引出方向(矢印192方向である。)に回転した場合には、ロックギヤ177はパウル23によって回転が阻止され、巻取ドラム175の回転に伴って段差部181がロックギヤ177の台形状部187に対してウエビング引出方向(矢印192方向である。)に相対回転されていく。
これにより、段差部181の保持側屈曲路182に屈曲部173Aが固定保持されたワイヤ173が、台形状部187の外周部から突出するフランジ部189と台形状部187の中央部に突出する凸部188によって形成される正面視略逆U字状の変形付与屈曲路191から順次しごかれながら、矢印193方向に引き出されて、段差部181の外周面に巻き取られる。
尚、この際には、ワイヤ173の引き出しと同時に、巻取ドラム175の回転に伴ってトーションバー62も捻れ変形している。また、同時に、巻取ドラム175が回転された場合には、パウル23とロックギヤ177とは係合されているため、このロックギヤ177と巻取ドラム175との相互間においても相対回転が生じる。それにより、ストッパーナット63は、各スプライン63Aが嵌合孔77Bの内周面に形成された各溝部77Aに嵌入されているため、巻取ドラム175と共にウエビング引出方向(矢印192方向である。)に回転される。
従って、ストッパーナット63とロックギヤ177の固定ボス78との相互間においても相対回転が生じるため、固定ボス78の雄ねじ部78Aに螺合するストッパーナット63は、当該固定ボス78の基端部側、つまり、巻取ドラム175の回転軸方向外側(図20中、右側方向である。)へ各溝部77Aに沿って移動する。
また、正面視略逆U字状の変形付与屈曲路191をワイヤ173が変形しながら通過する際に、ワイヤ173は、変形付与屈曲路191の引き出し側端部の段差部181の回転方向(矢印192方向である。)側の側面部と、凸部188の外周面とに摺動しながら通過する。これにより、凸部188とワイヤ173との相互間に摺動抵抗が生じると共に、ワイヤ173自体による屈曲抵抗が生じ、これら摺動抵抗と屈曲抵抗による引出抵抗によってワイヤ173による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
そして、図25に示すように、巻取ドラム175の回転に伴って、ワイヤ173の屈曲部173Cの端部が、変形付与屈曲路191から離脱した時点で、このワイヤ173による衝撃エネルギーの吸収作用は終了し、以降は巻取ドラム175の回転に伴ってトーションバー62の捻れ変形による衝撃エネルギーの吸収のみとなる。
また、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量が、予め設定されている設定回転数(例えば、約1.5回転である。)に達した場合には、ストッパーナット63がロックギヤ177の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能に締結される。これにより、ロックギヤ177と巻取ドラム175とは、締結機構88を構成するストッパーナット63と固定ボス78を介して相対回転不能に締結され、ウエビング3の引き出しがロックされる。
これにより、車両衝突時等の緊急時にウエビング3に大きな引き出し荷重が作用した際に、乗員の運動エネルギーを吸収するために、トーションバー62が複数回転捩れ変形する場合でも、締結機構88により、設定回転数に達した際には、ロックギヤ35と巻取ドラム61とが相対回転不能に締結されるため、トーションバー62の捩れ変形も終了し、トーションバー62の捩れ変形量が、許容できる回転数を超えて軸部62Cが破断することを防止できる。
また、ストッパーナット63がロックギヤ177の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接するまでのトーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量の設定回転数を適切に設定することによって、乗員をウエビング3で確実に拘束して、ステアリングホイールやフロントガラスまたは前部座席等に二次衝突するのを防止して、乗員の安全性を確保することができる。
尚、図25に示すように、ロックギヤ177に対する巻取ドラム175の相対回転に伴って、ワイヤ173の屈曲部173Cの端部が、変形付与屈曲路191から離脱した時点、若しくは、離脱する少し前の時点で、ストッパーナット63がロックギヤ177の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能に締結されるようにしてもよい。
これにより、ワイヤ173の引出抵抗とトーションバー62の捩れ変形による衝撃エネルギーの吸収が同時に行われている状態で、ウエビング3の引き出しがロックされるため、乗員をウエビング3で確実に拘束して、ステアリングホイールやフロントガラスまたは前部座席等に二次衝突するのを防止して、乗員の安全性を確保することができる。
また、台形状部187を、巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76に形成して、変形付与屈曲路191を巻取ドラム175側に設けると共に、凸部183と、凹部184と、溝部185とをロックギヤ177側に形成して、保持側屈曲路182をロックギヤ177側に設け、ロックギヤ177側でワイヤ173を保持させてもよい。この場合においても、ロックギヤ177と巻取ドラム175との相互間における相対回転により、巻取ドラム175の回転に伴ってワイヤ173と巻取ドラム175との相互間においても相対回転が生じ、「第2のエネルギー吸収機構」としてのワイヤ173による衝撃エネルギーの吸収がなされる。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ171では、ワイヤ173の一端側の略S字状に屈曲されている屈曲部173Aが、巻取ドラム175のロックユニット側フランジ部76と段差部181に形成された保持側屈曲路182に嵌入保持されている。また、ワイヤ173の屈曲部173Aに連続して形成される正面視略逆U字状の屈曲部173Bが、ロックギヤ177のフランジ部81の台形状部187に形成された変形付与屈曲路191内に配置される。
そして、車両衝突時等の緊急時において、ロックギヤ177と巻取ドラム175との相互間において相対回転する際に、ストッパーナット63が固定ボス78の基端部に当接して、ロックギヤ177と巻取ドラム175とが相対回転不能に締結されるまで、ワイヤ173の引出抵抗とトーションバー62の捩れ変形によって衝撃エネルギーを吸収することができる。
これにより、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の奏する効果に加えて、車両衝突時等の緊急時において、ウエビング3の引き出しがロックされるまで、ワイヤ173の引出抵抗とトーションバー62の軸部62Cの捩れ変形により衝撃エネルギーを吸収することができ、衝撃エネルギー吸収機構の構造の簡易化を図ることができる。
また、トーションバー62の軸部62Cの捩れ変形量が、予め設定されている設定回転数(例えば、約1.5回転である。)を種々設定することによって、ワイヤ173の引出抵抗とトーションバー62の捩れ変形による衝撃エネルギーの吸収が同時に行われている状態や、トーションバー62の捩れ変形による衝撃エネルギーの吸収のみが行われている状態等の任意の時点でウエビング3の引き出しをロックすることが可能となる。
尚、本発明は前記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)例えば、ラチェットギヤ65又は/及びラチェットギヤ176の各取付片82の基端部から半径方向中央部までの両側縁部を周方向に接続して、各貫通孔89を形成しないようにしてもよい。また、ラチェットベース66の軸部83の先端側を断面矩形に形成してもよい。そして、ロッキングギヤ91の6個の凸部112を設けないようにすると共に、軸孔部106Aを軸部83が嵌入される断面矩形に形成するようにしてもよい。
これにより、ラチェットギヤ65又は/及びラチェットギヤ176の各取付片82の基端部の周方向両側縁部が周方向に接続されるため、ラチェットギヤ65又は/及びラチェットギヤ176の機械的強度の向上を図ることができる。また、ロックギヤ35又は/及びロックギヤ177の回転軸方向外側の端面に、ロックユニット7を構成するロッキングギヤ91が当接されるため、ロックギヤ35又は/及びロックギヤ177とロッキングギヤ91との間に隙間を設ける必要が無くなり、ロック機構10を構成するロックユニット7の薄型化を図ることができる。
(B)また例えば、ロックギヤ35又は/及びロックギヤ177をアルミ材やスチール材等の金属材から削り出し等によって一体形成するようにしてもよい。これにより、上記第1実施形態又は/及び第2実施形態と同じ効果を奏することが可能となる。
(C)また例えば、第2実施形態に係る巻取ドラムユニット172において、トーションバー62を設けないようにしてもよい。そして、この場合には、ロックギヤ177に対する巻取ドラム175の相対回転に伴って、ワイヤ173の屈曲部173Cの端部が、変形付与屈曲路191から離脱した時点、若しくは、離脱する少し前の時点で、ストッパーナット63がロックギヤ177の固定ボス78の基端部に形成された鍔状部66Bに当接して、ストッパーナット63と固定ボス78とが相対回転不能に締結されるようにしてもよい。
これにより、ワイヤ173の引出抵抗による衝撃エネルギーの吸収が行われている状態で、ウエビング3の引き出しがロックされるため、乗員をウエビング3で確実に拘束して、ステアリングホイールやフロントガラスまたは前部座席等に二次衝突するのを防止して、乗員の安全性を確保することができる。