JP2014046892A - 車両用乗員保護装置および車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の回転を伴うオフセット衝突時に乗員が車外に放出されることを、より簡単な構成で効果的に抑制する。
【解決手段】車両用乗員保護装置は、インナパネル12に係止されるドアトリム14の一部を形成する上部トリム15(保護部材)と、インナパネル12と上部トリム15との間に配置され、上部トリム15を車室側に押圧する押圧力を付与するエアバック装置36と、車両のオフセット衝突を検知するためのヨーレートセンサ43および減速度センサ44と、オフセット衝突の検知に基づきエアバック装置36を作動させる主制御部42とを備える。上部トリム15は、エアバック装置36の展開時にその押圧力を受けることでインナパネル12から離脱して車室側に変位するように係止具30を介して当該インナパネル12に係止されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両衝突時に車室内の乗員を保護する保護装置に関し、特に、障害物に対して車幅方向のオーバーラップ量が比較的小さいオフセット衝突(スモールオーバラップ衝突)の際に有用となる車両用乗員保護装置および同装置が搭載される車両に関するものである。
車両のオフセット衝突の一形態として、障害物に対して車幅方向のオーバーラップ量が比較的小さい、いわゆるスモールオーバラップ衝突がある。例えば、図10(a)、(b)は、走行中の車両50が、その車幅方向の運転席側の端部付近において障害物54にスモールオーバラップ衝突した例を示している。このような場合、車両50には、障害物との衝突部分を支点として、当該障害物54の反対側に回り込もうとする力(回転モーメント)が作用するため、運転者52には、車両の前方であってかつ車外に向かう方向の慣性力Fが作用し、結果、運転者52が運転席側のサイドドア(ウインドウ開口部など)から車外に放出されるおそれが生じる。
このような危険から乗員を保護するには、ルーフサイド部分から下方にサイドドアのウインドウ開口部を覆うようにエアバックが展開する、所謂カーテンエアバック装置を搭載することが有効である。しかし、このような、上方から下方に展開するカーテンエアバック装置の搭載には、車両がルーフサイド部分を有することが前提となるため、いわゆるオープンカーなどにこのようなカーテンエアバック装置を搭載しても、ルーフサイド部分を含むルーフを収納したオープン状態にして走行する際には、その効果を発揮できない。
なお、近年では、特許文献1に開示されるような車両用乗員保護装置が提案されている。この車両用乗員保護装置は、オープンカーにおける乗員の車外放出を防止する上で有効と考えられる。すなわち、この装置は、サイドドアの車室側に設けられたカバー体の内側にエアバック装置が配置されており、車両の衝突が感知されるとエアバックが膨張(展開)し、この膨張に伴いカバー体が開裂して上下二つに分離するとともにその上側部分が車外側に反転してエアバックを車外側から直立状態に支持するように構成されている。従って、車両衝突時には、カバー体およびエアバックが壁となることで乗員が車外に放出されることが抑制される。
特開2012−71673号公報
しかし、特許文献1に記載される乗員保護装置は、エアバックの膨張に伴い開裂可能な構造をもつカバー体をサイドドアの車室側に組み付けるとともに、開裂したカバー体の上側部分が車外側にスムーズに反転するようにヒンジ部材などを設ける必要があるため、ドアの構造が複雑になる。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、オフセット衝突(スモールオーバラップ衝突)により車両が回転して乗員が車外に放出されることを、より簡単な構成で効果的に抑制することが可能な車両用乗員保護装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一の局面にかかる車両用乗員保護装置は、車両用乗員保護装置であって、ドアパネルに係止され、当該ドアパネルと共にサイドドアを構成するドアトリムの一部を形成する保護部材と、前記ドアパネルと前記保護部材との間に配置され、作動することで前記保護部材に対して当該保護部材を車室側に押圧する押圧力を付与する作動手段と、車両のオフセット衝突を検知する検知手段と、前記オフセット衝突の検知に基づき前記作動手段を作動させる制御手段と、を備え、前記保護部材は、前記作動手段による前記押圧力を受けることで前記ドアパネルから離脱して車室側に変位するように当該ドアパネルに係止されているものである。
この車両用乗員保護装置によれば、車両のオフセット衝突が検知されると、制御手段が作動手段を作動させ、ドアトリムの一部を形成する保護部材をドアパネルから離脱させて車室側に変位させる。この構成によれば、保護部材が車室側に変位することで乗員が当該保護部材により車室内に拘束され、乗員がサイドドア側に移動することが抑制される。従って、オフセット衝突(スモールオーバラップ衝突)により車両が回転した場合でも、上記保護部材により乗員がサイドドア側に移動することが抑制されることで、当該乗員が車外に放出されることが抑制される。しかも、この構成によれば、ドアトリムの一部を形成する保護部材をドアパネルから離脱させて車室側に変位させるだけの構成であるため、簡単な構成で、乗員が車外に放出されることを抑制することが可能となる。
より具体的な構成として、前記検知手段は、車両の減速度を検出する第1検出手段と、車両の垂直軸回りの回転に関するパラメータを検出する第2検出手段とを含み、これら第1検出手段および第2検出手段による検出結果に基づき前記オフセット衝突を検知するものである。また、別の構成として、前記検知手段は、車両の前端近傍の位置であってかつ車幅方向両端近傍の位置に各々設置され、車両の減速度又は衝突圧力を各々検出する第1検出手段および第2検出手段を含み、これら第1検出手段および第2検出手段の検出結果に基づき前記オフセット衝突を検知するものであってもよい。
これらの構成によれば、車両のオフセット衝突を適切に検知して保護部材を作動させる(すなわち保護部材をドアパネルから離脱させて車室側に変位させる)ことができる。特に、前者の構成によれば、車両が回転状態にあることを実際に検知することが可能なため、回転を伴うオフセット衝突をより確実に検知して保護部材を作動させることが可能となる。
なお、上記の車両用乗員保護装置において、前記ドアトリムは、前記サイドドアのドア本体の上端縁部に位置しかつ車両前後方向に延びる上部ドアトリムとその下側に位置する下部ドアトリムとを含み、前記保護部材は、前記上部ドアトリムであるのが好適である。
この構成によれば、簡単な構成で、しかも前後方向における乗員の着座位置に左右されることなく、保護部材(上部ドアトリム)で乗員を車室内に拘束することが可能となる。
この場合、前記作動手段は、前記保護部材のうち車両前後方向の前端部分に前記押圧力を付与し、前記保護部材は、前記押圧力を受けることにより、車両前後方向の後端部分を支点として車室側に回動変位するように前記ドアパネルに係止されているのが好適である。
この構成によれば、前記保護部材の前端部分が車両後方に向って斜め方向に変位することとなるため、回転を伴うオフセット衝突時に乗員に作用する慣性力の方向に対してその前方側から乗員を拘束することが可能となる。そのため、より効果的に乗員を車室内に拘束することが可能となる。
なお、上記の車両用乗員保護装置は、車両の左右のサイドドアのドアパネルに各々、前記保護部材が係止されるとともに前記作動部材が配置されており、前記制御手段は、車両前端の左右何れの側が障害物に衝突したかを前記第1及び第2検出手段の検出結果に基づき判別し、前記左右のサイドドアのうち、車両が前記障害物に衝突した側のサイドドアの保護部材を変位させるべく前記作動手段を作動させるようにしてもよい。
この構成によれば、左右のサイドドアのうち、乗員が車外に放出される可能性が高い側のサイドドアについてのみ作動部材を作動させることが可能となる。
上記の車両用乗員保護装置において、前記作動手段は、エアバックとこのエアバックの内部にガスを充填することで当該エアバックを展開させるインフレータとを含むエアバック装置であり、前記エアバックをその展開に伴い前記保護部材に圧接させることで当該保護部材に前記押圧力を付与するものであってもよし、また、前記作動手段は、車室内に向かって伸長可能なアクチュエータであり、伸長に伴い前記保護部材に圧接することで当該保護部材に前記押圧力を付与するものであってよい。
これらの構成によれば、保護部材をオフセット衝突時に適切にドアパネルから離脱させることが可能となる。特に、前者の構成によれば、展開したエアバックにより保護部材が弾性的に後側から支持されることで、保護部材による拘束時に乗員が受ける衝撃が緩和される。また、後者の構成によれば、作動手段の占有スペースを抑えつつ速やかに保護部材を作動させることが可能となる。
一方、本発明の一の局面にかかる車両は、開閉式の屋根を有する車両であって、上述した何れかの車両用乗員保護装置が搭載されているものである。
この構成によれば、いわゆるオープンカーにおいて、オフセット衝突による車両回転時に、乗員が車外に放出されることを効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本発明の車両用乗員保護装置および車両によれば、車両のオフセット衝突(特に、スモールオーバラップ衝突)により車両が回転した場合の乗員の車外放出を、より簡単な構成で効果的に抑制することが可能となる。
本発明にかかる車両(本発明の車両用乗員保護装置が搭載された車両)の第1実施形態を示す平面模式図である。 サイドドア(運転席側)を示す斜視図である。 車両衝突前のサイドドア(運転席側)を示す断面図である((a)は水平面に沿った断面図、(b)は、(a)のIII−III線に沿った断面図である)。 車両衝突時のサイドドア(運転席側)を示す断面図である((a)は水平面に沿った断面図、(b)は、(a)のV−V線に沿った断面図である)。 主制御部によるエアバック装置の制御例を示すフローチャートである。 本発明の作用効果を示す模式図である。 本発明にかかる車両(本発明の車両用乗員保護装置が搭載された車両)の第2実施形態を示す平面模式図である。 主制御部によるエアバック装置の制御例を示すフローチャートである。 サイドドアの変形例を示す断面図である。 オフセット衝突(スモールオーバラップ衝突)時の車両の挙動を説明する説明図((a)は衝突前、(b)は衝突中の車両の状態を各々示す)である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明にかかる車両(本発明の車両用乗員保護装置が搭載された車両)の第1実施形態を示す平面模式図である。同図に示す車両1Aは、開閉式の屋根を有する、いわゆるオープンカーであり、より詳しくは、後部座席を備えない2シータータイプの車両である。この車両1Aは、車両本体2と、車両側面を開閉するために車両本体2の左右両側に各々揺動自在に支持されるサイドドア4a、4bとを備える。なお、同図においては、左方が車両1Aのフロント側であり、符号6は、ステアリングホイールを示している。車両1は、いわゆる左ハンドル車であり、ステアリングホイール6は左座席側に設けられている。
図2は、運転席側のサイドドア4aを斜視図で概略的に示している。
サイドドア4aは、同図に示すように、ドア本体10と、ドアガラス18と、前記ドア本体10の車室側の側面に組み付けられるドアトリム14等と、を備える。
ドア本体10は、車外側に位置するアウタパネル11と車内側に位置するインナパネル12とからなり(図3参照)、例えばアウタパネル11がAl−Mg系合金等のアルミニウム合金で構成される一方、インナパネル12が低炭素鋼等の鋼合金で構成されている。
ドア本体10は、その前端部(図2では右側端部)に上下一対のドアヒンジ13a、13aを備えており、これらドアヒンジ13a、13aが車両本体2に連結されることで、車両本体2に揺動自在に支持されている。
前記ドアガラス18は、ドア本体10を構成する両パネル11、12間のスペースに昇降可能に支持されおり、図外の昇降装置によって、ドア本体10の上方に露出する上昇位置(図示の位置)と、ドア本体10内に大部分が収容される下降位置とに亘って昇降駆動されるようになっている。なお、上記の通り、車両本体2はオープンカーであり、従って、ドア本体10には、窓枠(ドアサッシュ)は設けられていない。
ドアトリム14は、ドア本体10の車室側の側面を覆うように前記ドア本体10に組み付けられている。ドアトリム14は、ドア本体10の上端縁部に位置し、車両前後方向(以下、単に前後方向という)に延びる細長の上部トリム15と、その下側に位置する下部トリム16とを含む。下部トリム16の上下方向下端部には、乗員(運転者)のアームレストとなる膨出部20が形成されており、ドリンクポケット22およびドアガラス18の操作スイッチ24等がこの膨出部20に設けられている。また、下部トリム16には、膨出部20と下部トリム上端部とに亘って上下方向に延びるグリップハンドル26が設けられている。
なお、図3(a)、(b)に示すように、上部トリム15(本発明の保護部材に相当する)とドア本体10(インナパネル12)との間には、エアバック装置36(本発明の作動手段に相当する)が配置されており、このエアバック装置36の作動により前記上部トリム15がドア本体10から離脱して車室側に変位するように、当該上部トリム15がドア本体10に対して係止されている。以下、この点について詳述する。
上部トリム15は、上下方向に延びる側壁部15aと、この側壁部15aの上端部から車外側に向かって延びてインナパネル12の上端部に重なる上壁部15bとを備える断面略逆L字型の形状を有している。前記下部トリム16の上端部は、上部トリム15の下端部の外側(車外側)に潜り込む形状を有しており、これにより、車室内において、上部トリム15(側壁部15a)の側面と下部トリム16の側面とが上下方向に略連続している。
上部トリム15は、複数の箇所で前記インナパネル12に係止されている。具体的には、側壁部15aの前端部および後端部の各々上下二箇所と、同側壁部15aの前後方向中間部の上下二箇所との合計6箇所において、係止具30を介してドア本体10の前記インナパネル12に係止されている。
詳しく説明すると、図3(a)に示すように、側壁部15aの上記各箇所にはそれぞれ、外側(インナパネル12側)に突出する略箱形の係止部15cが一体に形成されている。
一方、係止具30は、互いに向くフック部(第1フック部33aおよび第2フック部33b)を両端に備えた本体32と、この本体32から延びて先端に第3フック部33cを備えるベルト34とを備え、これら本体32およびベルト34が同一樹脂材料により一体に形成された構造を有する。そして、第1フック部33aが前記係止部15cの先端面に形成された開口部に挿入、係止される一方、第2フック部33bがインナパネル12に形成された開口部に挿入、係止されることで、上部トリム15とインナパネル12とが係止具30を介して互いに係止されている。また、第3フック部33cが前記係止部15cの側面に形成された開口部に挿入、係止されることで、この係止具30と上部トリム15の係止部15cとがベルト34を介して連結されている。
なお、サイドドア4aの組立工程では、上部トリム15の全ての係止部15cに予め係止具30が装着(係止)された状態で、各係止具30の第2フック部33bがインナパネル12の開口部に挿入されるように当該インナパネル12に対して上部トリム15が押し当てられることで、当該上部トリム15がインナパネル12に組み付けられる。
ここで、上記係止具30の各フック部33a〜33cのうち、第1フック部33aは、その係止強度(引張り強さ)が他のフック部33b、33cの係止強度に比べて低くなるように形成されている。具体的には、後述するように、エアバック装置36の作動に伴い、エアバッグ37により上部トリム15が所定の押圧力を受けると、この第1フック部33aのみが破断し、上部トリム15が、ベルト34を介してドア本体10(インナパネル12)との連結状態を保ちつつ当該ドア本体10から離脱するように係止具30が形成されている。
エアバック装置36は、エアバッグ37と、インフレータ38と、これらエアバッグ37およびインフレータ38が収容される図外のケースとを含む。このエアバック装置36は、図1及び図3(a)に示すように、上部トリム15の前端部であって、当該上部トリム15とドア本体10(インナパネル12)との間の位置に配置されており、固定用ブラケット39を介してインナパネル12の車室側の側面に固定されている。
エアバッグ37は、織布等からなり、通常状態ではケース内に折り畳まれた状態で収容されている。このエアバッグ37は、車両のオフセット衝突時にインフレータ38から膨張ガスの供給を受けることで、図4(a)、(b)に示すように、上部トリム15とドア本体10との間で展開し、この展開に伴い前記上部トリム15の前端部に圧接しつつ当該前端部を車室側に押圧することで、当該上部トリム15をドア本体10(インナパネル12)から離脱させつつ車室側に変位させる。
なお、上部トリム15をドア本体10に係止する前記係止具30は、上部トリム15の後端部に位置する係止具30ほど前記ベルト34のベルト長が短くなるように形成されている。これにより、上部トリム15の前端部でエアバッグ37が展開すると、上部トリム15の前端部が、同後端部を支点として車室側に回動変位するようになっている。この際、当例では、エアバッグ37の展開に伴う上部トリム15の車幅方向の変位量、詳しくは、上部トリム15のうち当該変位に伴い乗員に当接する部位の変位量d(図4(b)参照)が50mm〜100mm程度になるように、各係止具30のベルト34のベルト長が設定されるとともに、展開時のエアバッグ37の大きさ等が設定されている。
以上、図2〜図4を参照しつつ、車両1Aの運転席側のサイドドア4aの構成について説明したが、車両1Aの助手席側のサイドドア4bもほぼ同等の構成を有している。
なお、車両1Aは、図1に示すように、各サイドドア4a、4bのエアバック装置36を制御するECU(electronic control unit)40を備えている。このECU40は、論理演算を実行する周知のCPU、そのCPUを制御する種々のプログラム等を予め記憶するROM、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM等から構成される主制御部42、および車両1Aのヨーイングを検出するヨーレートセンサ43(本発明の第1検出手段に相当そする)等を含む。
また、車両1Aのエンジンルームには、衝突を検知するための減速度センサ44(本発明の第2検出手段に相当する)が設置されており、この減速度センサ44が上記ECU40(主制御部42)に接続されている。
前記主制御部42は、ヨーレートセンサ43および減速度センサ44からの入力信号に基づき、車両1Aの回転を伴うオフセット衝突を検知し、この検知に基づき、各サイドドア4a、4bの上記エアバック装置36を作動させる。つまり、インフレー38からエアバッグ37に膨張ガスを供給させることで当該エアバッグ37を展開させる。以下、この主制御部42によるエアバック装置36の制御について、図5のフローチャートに基づき説明する。
車両1Aのエンジンの始動によりエアバック装置36の制御動作がスタートすると、前記主制御部42は、ヨーレートセンサ43および減速度センサ44からの信号を受け入れ(ステップS1)、まず、減速度センサ44からの入力信号に基づき衝突発生の有無を判断する(ステップS3)。具体的には、減速度センサ44による検出値D(減速度)と予め設定された比較値Dとを比較し、ここで、検出値Dが比較値D以上の場合には、主制御部42は衝突が発生したと判断する。
車両1Aに衝突が発生していると判断した場合には(ステップS3でYES)、主制御部42は、さらに今回の衝突が、車両1Aの回転を伴うものか否か、詳しくは、乗員が車外に放出されるような回転を伴うオフセット衝突であるかを判断する(ステップS5)。具体的には、ヨーレートセンサ43による検出値Y(ヨーレート;車両の垂直軸回りの回転に関するパラメータの一種)と予め設定された比較値Yとを比較し、ここで、検出値Yが比較値Y以上の場合には、主制御部42は、今回の衝突が車両1Aの回転を伴うオフセット衝突であると判断する。
車両1Aの衝突が回転を伴うオフセット衝突であると判断した場合(ステップS5でYES)には、主制御部42は、ヨーレートセンサ43からの上記入力信号に基づき、車両1Aの回転方向が、車両1Aの重心を支点とした場合に左回り(反時計回り)か否かを判断する(ステップS7)。ここで、車両1Aの回転が左回りである場合いは、主制御部42は、運転席側のサイドドア4aのエアバック装置36を作動させ(ステップS9)、他方、車両1Aの回転が左回りでない場合(右回りの場合)には、助手席側のサイドドア4bのエアバック装置36を作動させる。このように各エアバック装置36を作動させることにより、サイドドア4a、4bの上部トリム15をドア本体10から離脱させて車室側に変位させる。
なお、ステップS3の処理において、車両1Aに衝突が発生していないと判断した場合(検出値Dが比較値D未満の場合)、およびステップS5の処理において、車両1Aの回転を伴わないと判断した場合(検出値Yが比較値Y未満の場合)には、主制御部42は、それぞれステップS1の処理に移行する。
上記の通り、この車両1Aでは、主制御部42が、ヨーレートセンサ43および減速度センサ44からの信号入力に基づき車両1Aに生じた衝突が回転を伴うオフセット衝突であるか否かを判断(検知)し、その上でエアバック装置36を作動させる。従って、当例では、ヨーレートセンサ43、減速度センサ44及び主制御部42が本発明の検知手段として機能するとともに本発明の制御手段として機能する。
以上のような車両1Aによれば、走行中の当該車両1Aが、その車幅方向の端部付近において障害物に衝突する、いわゆるスモールオーバラップ衝突(オフセット衝突)を起こした場合に乗員が車外に放出されることを効果的に抑制することができる。すなわち、車両1Aが、その車幅方向の運転席側の端部付近において障害物に衝突し、車両1Aが障害物との衝突部分を支点として、当該障害物の反対側に回り込むように左回りに回転した場合を想定すると(背景技術の図10(a)、(b)参照)、この場合には、車両1Aの左側前方に向かう慣性力が乗員に作用する結果、乗員のうち特に運転者が、運転席側のサイドドア4aから車外に放出されるおそれが生じる。しかし、上記車両1Aによれば、このような衝突が発生した場合には、運転席側のサイドドア4aのエアバック装置36が作動し(図5のステップS9)、これにより当該サイドドア4aの上部トリム15がドア本体10から離脱して車室側に変位する。このように上部トリム15が車室側に変位すると、図6に示すように、上部トリム15により運転者Mが車室内に拘束されることとなり、その結果、慣性力Fにより車両1Aの左側前方に運転者Mが移動することが抑制される。従って、上記慣性力Fにより運転者Mが車外に放出されることが効果的に抑制されることとなる。また、車両1Aが、助手席の端部付近において障害物に衝突し、車両1Aが障害物との衝突部分を支点として右回りに回転するような場合には、車両1Aの右側前方に向かう慣性力が乗員に作用する結果、特に助手席の乗員が、当該助手席側のサイドドア4bから車外に放出されるおそれが生じるが、この場合には、助手席側のサイドドア4bのエアバック装置36が作動し(図5のステップS11)、これにより上部トリム15が車室側に変位することで、助手席の乗員が車外に放出されることが効果的に抑制される。従って、この車両1Aによれば、上記の通り、スモールオーバラップ衝突(オフセット衝突)を起こした場合に乗員が車外に放出されることを効果的に抑制することができる。
なお、上記実施形態では言及していないたが、前記サイドドア4a、4b(ドア本体10)は、その上端部が、着座した乗員の肩の辺りに位置するように設計されており、よって、上部トリム15は、運転席に着座した乗員の上腕部分から肩部に亘る部分に位置している。そして、上部トリム15は、上記の通り、サイドドア4a、4bの前後方向に延びる細長い形状を有し、エアバック装置36の作動に伴い、後端部を支点として車室内側に回動変位する。よって、車両1Aにオフセット衝突が生じた際には、座席の前後方向の位置に左右されることなく、上部トリム15を、乗員の上腕部分から肩部に亘る部分に対して、かつ上記慣性力Fの方向に対してその略前方から乗員に押し当てることができる(図6の白抜き矢印参照)。従って、上部トリム15により乗員を効果的に拘束することが可能であり、これにより乗員が車外に放出されることを高度に抑制することができる。
しかも、上記車両1Aでは、上部トリム15を作動させる手段(作動手段)としてエアバック装置36が適用されているため、乗員が上部トリム15により衝撃を受けることが緩和されるという利点もある。つまり、展開されたエアバッグ37により上部トリム15が後側から弾性的に支持されるので、そのクッション効果により上部トリム15との衝突時に乗員が受ける衝撃力が緩和される。従って、運転者Mをより安全に車室内に拘束することができるという利点もある。
また、ヨーレートセンサ43及び減速度センサ44からの検出信号に基づき、車両1Aの左右のサイドドア4a、4bのうち、乗員が車外に放出される可能性の高い側のサイドドア4a、4bの上部トリム15を作動させるため、不要な上部トリム15が作動することにより乗員の不安感を煽るといった不都合を抑制することができるという利点もある。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る車両1Bの平面模式図である。この図に示す車両1Bの基本構成は、第1実施形態の車両1Aと同等であり、従って、以下の説明では、車両1Aと共通の構成については同一符号を付して説明を省略し、主に、車両1Aとの相違点について説明することにする。
車両1Bは、前記エアバック装置36を作動させるための制御系の構成が第1実施形態の車両1Aと相違する。具体的には、車両1Bは、エアバック装置36を作動させるためのセンサ類として、前記ヨーレートセンサ43及び減速度センサ44に代えて、2つの衝突センサを備えている。詳しくは、車両1Bの前端部であって車幅方向における運転席側の端部近傍の位置に第1衝突センサ45a(本発明の第1検出手段に相当する)を備えるとともに、同車幅方向における助手席側の端部近傍の位置に第2衝突センサ45b(本発明の第2検出手段に相当する)を備えている。これら衝突センサ45a、45bは、障害物との衝突圧力を検出するものであり、車幅方向両端から各々25%以内の領域に配置されている。当例では何れの衝突センサ45a、45bも車両1Bのバンパレインフォースメントに固定されている。
前記主制御部42は、これら衝突センサ45a、45bからの入力信号に基づき、車両1Bのオフセット衝突を検知し、この検知に基づき、各サイドドア4a、4bの上記エアバック装置36を作動させる。以下、この主制御部42によるエアバック装置36の制御について、図8のフローチャートに基づき説明する。
車両1Bのエンジンの始動によりエアバック装置36の制御動作がスタートすると、前記主制御部42は、衝突センサ45a、45bからの信号を受け入れ(ステップS11)、まず、衝突センサ45a、45bからの入力信号に基づき、車両前端の運転席側に衝突が発生したか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、第1衝突センサ45aの検出値P(衝突圧力)と予め設定された比較値P01とを比較し、検出値Pが比較値P01以上の場合には、主制御部42は、運転席側に衝突が発生したと判断する。
運転席側に衝突が発生したと判断した場合(ステップS13でYES)、主制御部42は、さらに車両1Bの助手席側に衝突が発生したか否かを判断する(ステップS15)。具体的には、第2衝突センサ45bの検出値P(衝突圧力)と予め設定された比較値P02とを比較し、検出値Pが比較値P02以上の場合には、主制御部42は、助手席側に衝突が発生したと判断する。この場合は、運転席側および助手席側の双方で衝突が生じているため、当該衝突はいわゆるオフセット衝突ではなく、乗員がサイドドア4a、4b側から車外に放出される可能性が低い。従って、主制御部42は、左右のサイドドア4a、4bいずれのエアバック装置36も作動させることなく当該フローチャートを終了する。
一方、ステップS15でNOと判断した場合、つまり、運転席側でのみ衝突が検知された場合は、当該衝突はオフセット衝突であるため、車両1Bが左回りの回転を伴うオフセット衝突を起こした可能性が高い。そのため、主制御部42は、運転席側のサイドドア4aのエアバック装置36を作動させることにより、当該サイドドア4aの上部トリム15をドア本体10から離脱させて車室側に変位させる(ステップS17)。
なお、上記ステップS13の処理で、運転席側に衝突が発生していないと判断した場合には(ステップS13でNO)、主制御部42は、車両1Bの助手席側に衝突が発生したか否かを判断する(ステップS19)。具体的には、ステップS15の処理と同様に、第2衝突センサ45bの検出値Pと予め設定された比較値P02とを比較し、検出値Pが比較値P02以上か否かを判断する。そして、ここでYESと判断した場合、つまり、助手席側でのみ衝突が検知された場合は、当該衝突はオフセット衝突であるため、車両1Bが右回りの回転を伴うオフセット衝突を起こした可能性が高い。そのため、主制御部42は、助手席側のサイドドア4bのエアバック装置36を作動させることにより、当該サイドドア4bの上部トリム15をドア本体10から離脱させて車室側に変位させる(ステップS21)。
なお、ステップS19でNOと判断した場合には、車両1Bには衝突が発生していないため、主制御部42は、処理をステップS11に移行する。
以上のような第2実施形態の車両1Bについても、第1実施形態の車両1Aと同様に、走行中の車両1Bにいわゆるスモールオーバラップ衝突(オフセット衝突)を起こした場合には、左右のサイドドア4a、4bのうち、乗員が車外に放出される可能性の高い側のサイドドア4a、4bの上部トリム15を車室側に変位することで、乗員が車外に放出されることを効果的に抑制することができる。
なお、この車両1Bでは、主制御部42が、衝突センサ45a、45bからの信号入力に基づき車両1Bにオフセット衝突が生じているか否かを判断(検知)し、その上でエアバック装置36を作動させる。従って、当例では、衝突センサ45a、45b及び主制御部42が本発明の検知手段として機能するとともに本発明の制御手段として機能する。
ところで、以上説明した車両1A、1Bは、本発明の車両(本発明の車両用乗員保護装置が搭載された車両)の実施形態の例示であって、車両用乗員保護装置や、これが搭載される車両の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、各実施形態は、本発明の保護部材として、サイドドア4a、4b(ドア本体10)の上端縁部に沿って前後方向に延びる細長の上部トリム15を備え、この上部トリム15を車室側に変位させる構成であるが、サイドドア4a、4bにおける保護部材の位置、大きさ、形状等はこれら実施形態に限定されるものではなく、乗員が車外に放出されることをより確実に抑制できるように、車両1A、1Bの具体的な構造に応じて適宜選定されるものである。
また、上部トリム15(保護部材)を車室側に変位させる手段(作動手段)として、上記各実施形態では、エアバック装置36を適用しているが、これ以外の作動手段を適用してもよい。例えば、図9はその一例である。この構成は、エアバック装置36に代えて、上部トリム15とドア本体10(インナパネル12)との間に伸長型アクチュエータ48を介設した例である。この伸長型アクチュエータ48は、ドア本体10に固定される本体部49aとこの本体部49aに収納されるロッド部49bとを備え、本体部49a内の起爆剤への着火によりロッド部49bが本体部49aから瞬時に突出するように構成されている。つまり、このロッド部49bにより上部トリム15を押圧することで、当該上部トリム15を車室側に変位させる。
また、上記各実施形態では、上部トリム15は係止具30を介してドア本体10に係止されているが、この係止具30の具体的な構造も実施形態に限定されるものではない。要は、エアバック装置36(作動手段)の作動に伴い、上部トリム15をドア本体10から離脱させつつ車室側に変位させることができればよい。また、係止具30は、必ずしもベルト34を備えている必要はないが、実施形態のようにベルト34を備える構成によれば、当該ベルト34により上部トリム15の可動範囲が規制されるため、ドア本体10から上部トリム15が完全に脱落することが防止され、また、エアバック装置36の作動に伴い乗員が上部トリム15から受ける衝突力が緩和されるという利点もある。なお、ドア本体10に対する係止部を上部トリム15に設け、当該上部トリム15を直接ドア本体10に係止するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、サイドドア4a、4bの上端縁部に沿って前後方向に延びる細長の上部トリム15を、その後端部を支点として回動させることで、当該上部トリム15を車室側に変位させるが、上部トリム15を車幅方向に平行移動させてもよい。
また、上記各実施形態では、サイドドア4a、4bのうち乗員が車外に放出される可能性の高い側のサイドドア4a、4bの上部トリム15のみを作動させているが、勿論、両方のサイドドア4a、4bを常に作動させるようにしてもよい。この構成によれば、サイドドア4a、4bの何れの側の上部トリム15を作動させるかの判断処理等が不要となるため、車両用乗員保護装置の構成および主制御部42の制御負担を軽減することが可能になる。
また、上記第2実施形態の衝突センサ45a、45bは、障害物との衝突圧力を検出するものであるが、これら衝突センサ45a、45bとして、車両1Bの減速度を検出する減速度センサを適用してもよい。この場合には、主制御部42が各衝突センサ45a、45bの検出値(減速度)を比較し、これら検出値の差が一定値以上ある場合に、オフセット衝突が発生したものと判断してエアバック装置36を作動させるように構成すればよい。
また、上記各実施形態では、開閉式の屋根を有する、2シータータイプのオープンカーに本発明を適用した例について説明したが、勿論、本発明は、これ以外の車両についても適用可能であり、この場合、4ドアタイプの車両については、上記サイドドア4a、4b(上部トリム15及びエアバック装置36)に相当する構成を各ドアに備えればよい。
1A、1B 車両
2 車両本体
4a、4b サイドドア
10 ドア本体
14 ドアトリム
15 上部トリム
16 下部トリム
36 エアバック装置
40 ECU
42 主制御部
43 ヨーレートセンサ
44 減速度センサ

Claims (9)

  1. 車両用乗員保護装置であって、
    ドアパネルに係止され、当該ドアパネルと共にサイドドアを構成するドアトリムの一部を形成する保護部材と、
    前記ドアパネルと前記保護部材との間に配置され、作動することで前記保護部材に対して当該保護部材を車室側に押圧する押圧力を付与する作動手段と、
    車両のオフセット衝突を検知する検知手段と、
    前記オフセット衝突の検知に基づき前記作動手段を作動させる制御手段と、を備え、
    前記保護部材は、前記作動手段による前記押圧力を受けることで前記ドアパネルから離脱して車室側に変位するように当該ドアパネルに係止されていることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  2. 請求項1に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記検知手段は、車両の減速度を検出する第1検出手段と、車両の垂直軸回りの回転に関するパラメータを検出する第2検出手段とを含み、これら第1検出手段および第2検出手段による検出結果に基づき前記オフセット衝突を検知することを特徴とする車両用乗員保護装置。
  3. 請求項1に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記検知手段は、車両の前端近傍の位置であってかつ車幅方向両端近傍の位置に各々設置され、車両の減速度又は衝突圧力を各々検出する第1検出手段および第2検出手段を含み、これら第1検出手段および第2検出手段の検出結果に基づき前記オフセット衝突を検知することを特徴とする車両用乗員保護装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記ドアトリムは、前記サイドドアのドア本体の上端縁部に位置しかつ車両前後方向に延びる上部ドアトリムとその下側に位置する下部ドアトリムとを含み、
    前記保護部材は、前記上部ドアトリムであることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  5. 請求項4に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記作動手段は、前記保護部材のうち車両前後方向の前端部分に前記押圧力を付与し、
    前記保護部材は、前記押圧力を受けることにより、車両前後方向の後端部分を支点として車室側に回動変位するように前記ドアパネルに係止されていることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  6. 請求項2乃至5の何れか一項に記載の車両用乗員保護装置において、
    車両の左右のサイドドアのドアパネルに各々、前記保護部材が係止されるとともに前記作動部材が配置されており、
    前記制御手段は、車両前端の左右何れの側が障害物に衝突したかを前記第1及び第2検出手段の検出結果に基づき判別し、前記左右のサイドドアのうち、車両が前記障害物に衝突した側のサイドドアの保護部材を変位させるべく前記作動手段を作動させることを特徴とする車両用乗員保護装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記作動手段は、エアバックとこのエアバックの内部にガスを充填することで当該エアバックを展開させるインフレータとを含むエアバック装置であり、前記エアバックをその展開に伴い前記保護部材に圧接させることで当該保護部材に前記押圧力を付与することを特徴とする車両用乗員保護装置。
  8. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の車両用乗員保護装置において、
    前記作動手段は、車室内に向かって伸長可能なアクチュエータであり、伸長に伴い前記保護部材に圧接することで当該保護部材に前記押圧力を付与することを特徴とする車両用乗員保護装置。
  9. 開閉式の屋根を有する車両であって、
    請求項1乃至8の何れか一項に記載の車両用乗員保護装置が搭載されていることを特徴とする車両。
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