JP2014105180A - モノマー化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のタンパク質が凝集した凝集体を高精度でかつ容易にモノマー化することができるモノマー化方法を提供すること。
【解決手段】複数のタンパク質が凝集した凝集体を、各タンパク質にモノマー化するモノマー化方法であり、前記凝集体を含有する試料液を用意する第1の工程と、前記凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させて、前記凝集体からモノマー化された前記タンパク質を得る第2の工程とを有する。また、第2の工程の後に、吸着剤として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを用いたクロマトグラフィー処理を施し、該クロマトグラフィー処理により得られる分画液を回収することで、モノマー化された前記タンパク質を精製する第3の工程を有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、複数のタンパク質が凝集した凝集体を、各タンパク質にモノマー化するモノマー化方法に関するものである。
近年、血漿中に含まれる抗体(天然の抗体)や、遺伝子工学的に処理した宿主生細胞により産生される組換え融合タンパク質(人工の抗体)等のタンパク質を試料液中から精製する方法として、アフィニティークロマトグラフィー法や、イオン交換クロマトグラフィー法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば、アフィニティークロマトグラフィー法は、プロテインAのような結合性タンパク質を固体支持体に固定化したものを吸着剤として用い、この結合性タンパク質に対して、抗体および組換え融合タンパク質が有する定常(Fc)部が優れた可逆的相互作用を有することから、かかる相互作用を利用して、抗体および組換え融合タンパク質等のタンパク質を容易に精製することができるため広く利用されている。
ここで、アフィニティークロマトグラフィー法や、イオン交換クロマトグラフィー法を用いた、タンパク質の精製では、試料液中に含まれるタンパク質とは異なる他の混入物と分離することができるものの、タンパク質のモノマー(単量体)と、複数のタンパク質が凝集することで生じた凝集体とを充分に分離することができない。
また、このようなタンパク質を薬理学的用途で使用する場合、薬理作用を発揮するものは、タンパク質のモノマーであり、凝集体は、薬理作用を有さず、これとは異なる副作用を発揮することもあるため、通常、モノマーが薬理学的用途で使用され、凝集体はモノマーから分離・破棄される。
しかしながら、この凝集体を、各タンパク質にモノマー化することができれば、得られたタンパク質を、薬理学的用途で使用することができるが、凝集体を、高精度でかつ容易にモノマー化することができるモノマー化方法については知られていないのが実状である。
また、このような問題は、天然および人工の抗体のようなタンパク質に限らず、アルブミン、フィブリノゲン、ペプシノーゲンのような他のタンパク質についても同様に生じている。
特表2005−560037号公報
本発明の目的は、複数のタンパク質が凝集した凝集体を高精度でかつ容易にモノマー化することができるモノマー化方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1) 複数のタンパク質が凝集した凝集体を、各タンパク質にモノマー化するモノマー化方法であって、
前記凝集体を含有する試料液を用意する第1の工程と、
前記凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させて、前記凝集体からモノマー化された前記タンパク質を得る第2の工程とを有することを特徴とするモノマー化方法。
これにより、複数のタンパク質が凝集した凝集体を高精度でかつ容易にモノマー化することができる。
(2) 前記緩衝液のpHは、6.0以上、9.0未満である上記(1)に記載のモノマー化方法。
これにより、変質・劣化が的確に抑制または防止されたタンパク質をモノマーとして確実に得ることができる。
(3) 前記緩衝液は、変性剤を含有する上記(1)または(2)に記載のモノマー化方法。
これにより、凝集物における結合の切断がより確実に行われることとなるため、凝集体からのモノマーの回収率を向上させることができる。
(4) 変性剤は、塩酸グアニジン、尿素およびアルギニンのうちの少なくとも1種である上記(3)に記載のモノマー化方法。
これにより、モノマー化されたタンパク質の変質・劣化をより確実に防止しつつ、凝集物における結合の切断をより確実に行うことができる。
(5) 前記第2の工程の後に、吸着剤として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを用いたクロマトグラフィー処理を施し、該クロマトグラフィー処理により得られる分画液を回収することで、モノマー化された前記タンパク質を精製する第3の工程を有する上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のモノマー化方法。
これにより、凝集体とモノマー化されたタンパク質とを含有する試料液中から、モノマー化されたタンパク質を精製することができる。
(6) 前記第3の工程において、前記クロマトグラフィー処理を複数回行う上記(5)に記載のモノマー化方法。
これにより、凝集体とモノマー化されたタンパク質とを含有する試料液中から、モノマー化されたタンパク質をより優れた収率で回収することができる。
(7) 前記第3の工程における、前記クロマトグラフィー処理は、
前記吸着剤に前記第2の工程で得られた前記タンパク質を含有する試料液を接触させ、前記吸着剤に前記タンパク質を吸着させる工程と、
前記吸着剤に溶出液を供給し、得られる分画液を回収することで、該分画液中に前記吸着剤から溶出した前記タンパク質が精製される上記(5)または(6)に記載のモノマー化方法。
これにより、凝集体とモノマー化されたタンパク質とを含有する試料液中から、モノマー化されたタンパク質を精製することができる。
(8) 前記溶出液は、塩濃度が1.0mM〜500mMのリン酸緩衝液である上記(7)に記載のモノマー化方法。
これにより、モノマー化されたタンパク質へのリン酸系緩衝液中の金属イオンによる悪影響を防止することができる。
(9) 前記溶出液は、pHが6.0〜9.0のリン酸緩衝液である上記(7)または(8)に記載のモノマー化方法。
これにより、分離するモノマー化されたタンパク質の変質を防止することができ、その特性が変化するのを防止することができる。
(10) 前記タンパク質は、免疫グロブリン定常ドメインを有する、天然の抗体、または組換え融合タンパク質である上記(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のモノマー化方法。
本発明のモノマー化方法は、天然の抗体、または組換え融合タンパク質の精製に好適に適用される。
本発明のモノマー化方法によれば、複数のタンパク質が凝集した凝集体を、高精度でかつ容易にモノマー化することができる。
本実施形態で説明するモノマー化方法に用いられる吸着装置の一例を示す縦断面図である。 実施例AにおけるpHが3.28および6.8の試料液Aを、それぞれ、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例AにおけるpHが3.28および6.8の試料液Aを、それぞれ、ハイドロキシアパタイト処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例AにおけるpHが3.28の試料液Aをハイドロキシアパタイト処理を施すことにより得られた画分18を、2時間、44時間および408時間保存した後に、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例1BにおけるpHが7.5の試料液1Bを、0時間および24時間保存した後に、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例2Bにおける塩酸グアニジンが0.5M、pHが7.5の試料液2Bを、0時間および24時間保存した後に、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例3BにおけるpHが9.5の試料液3Bを、0時間および24時間保存した後に、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。 実施例4Bにおける塩酸グアニジンが0.5M、pHが7.5の試料液4Bを、0時間および24時間保存した後に、サイズ排除クロマトグラフィー処理を施した際の吸光度変化を示す図である。
以下、本発明のモノマー化方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明のモノマー化方法を説明するのに先立って、好適な実施形態を説明するにあたり、説明に使用する用語を以下に定義する。
「複数のタンパク質が凝集した凝集体」とは、少なくとも2つの同一のタンパク質同士が結合した結合物(凝集物)のことを言い、この結合物の結合様式は、特に限定されず、共有結合、非共有結合、ジスルフィド結合、および非還元性架橋結合等のうちのいずれであってもよい。
「モノマー化」とは、免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質(抗体)のねじれ構造を元の状態に戻す、いわゆるリフォールディングとは異なり、複数の凝集体の結合を切断する(解す)ことをいう。
「抗体」とは、タンパク質またはタンパク質複合体であり、それぞれが、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン、および少なくとも1つの免疫グロブリン定常ドメインを含むものをいう。また、「抗体」は、一本鎖抗体、二量体抗体、またはいずれかの高次タンパク質複合体であってよく、これにはヘテロ二量体抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
「免疫グロブリン定常ドメイン」とは、ヒトまたは動物由来のCL、CH1、CH2、CH3またはCH4ドメインと同一または実質的に類似する免疫グロブリンドメインのことを言い、抗体のFc部もこれに含まれる。(例えば、Charles A Hasemann and J.Donald Capra,免疫グロブリン:構造と機能,William E.Paul編,Fundamental Immunology,第2版,209,210−218(1989)参照。)。
「免疫グロブリン可変ドメイン」とは、ヒトまたは動物由来のVLまたはVHドメインと同一または実質的に類似する免疫グロブリンドメインのことを言う。なお、本発明では、実質的類似性を判定するための免疫グロブリン可変ドメインの生物学的活性は、抗原結合性である。
「吸着剤」とは、固体支持体に固定した少なくとも1種類の分子、またはそれ自体が固体である少なくとも1種類の分子で構成され、各種クロマトグラフィーを実施するために用いられるものである。
「アフィニティークロマトグラフィー」とは、クロマトグラフィー分離を行うために、分子の一般的な特性(例えば、等電点、疎水性またはサイズ)ではなく、生体分子間の特異的な可逆的相互作用(例えば、プロテインAがIgG抗体のFc部に結合する能力)を利用するクロマトグラフィーである。具体的には、アフィニティークロマトグラフィーは、例えば、固体支持体にプロテインA等の結合性タンパク質が固定化されたものを吸着剤として用いて、吸着剤に対する分子の吸着力(結合力)の差に基づいて分子をクロマトグラフィー分離することをいう(Ostrove(1990)Guide to Protein Purification,Methods in Enzymology 182:357−379参照。)。
「プロテインA」とは、最初にブドウ球菌(Staphylococcus)の細胞壁に発見されたタンパク質であり、IgG抗体のFc部に特異的に結合する特性を有するものである。本発明では、「プロテインA」は、ブドウ球菌由来のプロテインAと同一または実質的に類似するいずれかのタンパク質のことを言い、市販および/または組換え型のプロテインAも含まれる。なお、本発明では、実質的類似性を判定するためのプロテインAの生物学的活性は、IgG抗体のFc部への結合能である。
「プロテインG」とは、最初に連鎖球菌(Streptococcus)の細胞壁に発見されたタンパク質であり、IgG抗体のFc部に特異的に結合する特性を有するものである。本発明では、「プロテインG」は、連鎖球菌由来のプロテインGと同一または実質的に類似するいずれかのタンパク質のことを言い、市販および/または組換え型のプロテインGも含まれる。なお、本発明では、実質的類似性を判定するためのプロテインGの生物学的活性は、IgG抗体のFc部への結合能である。
次に、本実施形態で説明するモノマー化方法に用いられる吸着装置(分離装置)の一例について説明する。
<吸着装置>
図1は、本実施形態で説明するモノマー化方法に用いられる吸着装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「流入側」、下側を「流出側」と言う。
ここで、流入側とは、精製すべきモノマー化されたタンパク質を精製(分離)する際に、試料液(タンパク質を含有する液体)および溶出液等の液体を、吸着装置内に供給する側のことを言い、一方、流出側とは、前記流入側と反対側、すなわち、前記試料液が流出液として吸着装置内から流出する側のことを言う。
図1に示す吸着装置1は、カラム2と、吸着剤(充填剤)3と、2枚のフィルタ部材4、5とを有している。
カラム2は、カラム本体21と、このカラム本体21の流入側端部および流出側端部に、それぞれ装着されるキャップ(蓋体)22、23とで構成されている。
カラム本体21は、例えば円筒状の部材で構成されている。カラム本体21を含めカラム2を構成する各部(各部材)の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
カラム本体21には、その流入側開口および流出側開口を、それぞれ塞ぐようにフィルタ部材4、5を配置した状態で、その流入側端部および流出側端部に、それぞれキャップ22、23が螺合により装着される。
このような構成のカラム2では、カラム本体21と各フィルタ部材4、5とにより、吸着剤充填空間20が画成されている。そして、この吸着剤充填空間20の少なくとも一部に(本実施形態では、ほぼ満量で)、吸着剤3が充填されている。
吸着剤充填空間20の容積は、試料液の容量に応じて適宜設定され、特に限定されないが、試料液1mLに対して、0.05〜100mL程度が好ましく、0.1〜100mL程度がより好ましく、0.5〜50mL程度がさらに好ましい。
また、カラム2では、カラム本体21に各キャップ22、23を装着した状態で、これらの間の液密性が確保されるように構成されている。
これらキャップ22、23のほぼ中央には、それぞれ、流入管24および流出管25が液密に固着(固定)されている。この流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に、試料液(液体)が供給される。また、吸着剤3に供給された試料液は、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5および流出管25を介して、カラム2外へ流出する。
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間20から吸着剤3が流出するのを防止する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ガラス焼結体、金属あるいはポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ等で構成されている。
また、後述するモノマー化方法では、吸着装置1は、第3の工程におけるクロマトグラフィー処理に用いられ、吸着剤3として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを備えている。
かかる吸着剤3には、試料液中に含まれるタンパク質が有する固有の吸着(担持)力で特異的に吸着するため、この吸着力の差に応じて、モノマー化されたタンパク質と、このタンパク質とは異なる他のタンパク質とが分離・精製される。
リン酸カルシウム系化合物としては、特に限定されず、例えば、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))、TCP(Ca(PO)、Ca、Ca(PO、DCPD(CaHPO・2HO)、CaO(POや、これらの一部が他の原子または原子団で置換されたもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトを主成分とするものが好ましい。特に、ハイドロキシアパタイトは、生体を構成する成分に近いため、タンパク質を吸着・分離する際に、かかるタンパク質が変質(変性)するのを好適に防止することができる。また、溶出液として、リン酸系緩衝液の塩濃度を変えて用いることで、タンパク質を、吸着剤3から特異的に取り外すことができる。
以上のような吸着剤3の形態(形状)は、図1に示すように、粒子状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その他、例えばペレット状(小塊状)、ブロック状(例えば、隣接する空孔同士が互いに連通する多孔質体、ハニカム形状、モノリス)等とすることもできる。なお、吸着剤3を粒子状とすることにより、その表面積を増大させることができ、タンパク質の分離特性の向上を図ることができる。
粒状の吸着剤3の平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、10〜80μm程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の吸着剤3を用いることにより、前記フィルタ部材5の目詰まりを確実に防止しつつ、吸着剤3の表面積を十分に確保することができる。
次に、このような吸着装置(分離装置)1を用いた、複数のタンパク質が凝集した凝集体を、各タンパク質にモノマー化するモノマー化方法について説明する。
<モノマー化方法>
本実施形態のモノマー化方法は、複数のタンパク質が凝集した凝集体を含有する試料液を用意する第1の工程と、この凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させて、凝集体からモノマー化されたタンパク質を得る第2の工程と、吸着剤として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを用いたクロマトグラフィー処理を施し、該クロマトグラフィー処理により得られる分画液を回収することで、モノマー化された前記タンパク質を精製する第3の工程とを有する。
以下、このモノマー化方法について詳述する。
なお、以下では、タンパク質として、免疫グロブリン定常ドメインを有する、天然の抗体、または組換え融合タンパク質の凝集体を、モノマー化する場合を代表に説明する。
[1] 第1の工程
まず、複数のタンパク質が凝集した凝集体を含有する試料液を用意する。
タンパク質は、免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、抗体のFc部)を有するタンパク質またはそのタンパク質の複合体であり、例えば、かかるタンパク質が産生されるように遺伝子工学的に処理した宿主生細胞により産生される。
この場合、タンパク質が産生されるように細胞を遺伝子工学的に処理する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Ausabel et al.編(1990),Current Protocols in Molecular Biology(Willey,ニューヨーク)参照。)。
なお、タンパク質は、1以上の免疫グロブリン定常ドメインを有するものであればよく、1個または2個以上の免疫グロブリン可変ドメインを有するものであってもよく、免疫グロブリン可変ドメインを有しないものであってもよい。
さらに、タンパク質は、天然タンパク質(天然の抗体)または組換え融合タンパク質であってもよく、組換え融合タンパク質としては、例えば、抗体のFc部を有するものが挙げられ、非抗体タンパク質であってもよい。
組換え融合タンパク質の具体例としては、1以上の免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、抗体のFc部)と、下記のタンパク質のいずれかと同一または実質的に類似するタンパク質とを含むものが挙げられる。
前記タンパク質としては、例えば、flt3リガンド(国際特許出願WO94/28391参照。)、CD40リガンド(米国特許第6,087,329号参照。)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、Fasリガンド、NF−κBの受容体アクチベーターに対するリガンド(RANKL)、腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL、国際特許出願WO97/01633参照。)、胸腺ストローマ由来リンホポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、オーストラリア特許No.588819参照。)、マスト細胞増殖因子、幹細胞増殖因子、上皮増殖因子、RANTES、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、インターフェロン、神経成長因子、グルカゴン、インターロイキン1〜18、コロニー刺激因子、リンホトキシン−β、腫瘍壊死因子(TNF)、白血病阻害因子、オンコスタチン−M、ならびに細胞表面分子ELKおよびHekに対する種々のリガンド(例えば、eph関連キナーゼまたはLERKSに対するリガンド)等が挙げられる。
また、組換え融合タンパク質の具体例としては、1以上の免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、抗体のFc部)と、前記タンパク質のいずれかに対する受容体またはそのような受容体と実質的に類似するタンパク質とを含むものが挙げられる。
前記受容体としては、両形態のTNFR(p55およびp75と呼ばれる)、I型およびII型インターロイキン−1受容体(EP特許No.0 460 846、米国特許第4,968,607号および米国特許第5,767,064号参照。)、インターロイキン−2受容体、インターロイキン−4受容体(EP特許No.0 367 566および米国特許第5,856,296号参照。)、インターロイキン−15受容体、インターロイキン−17受容体、インターロイキン−18受容体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、顆粒球コロニー刺激因子受容体、オンコスタチン−Mおよび白血病阻害因子に対する受容体、NF−κBの受容体アクチベーター(RANK、米国特許第6,271,349号参照。)、TRAILに対する受容体(TRAIL受容体1、2、3および4を含む)、ならびにデスドメインを含む受容体、例えば、Fasまたはアポトーシス誘導受容体(AIR)等が挙げられる。
さらに、組換え融合タンパク質の具体例としては、1以上の免疫グロブリン定常ドメイン(例えば、抗体のFc部)と、分化抗原(CDタンパク質と呼ばれる)もしくは分化抗原または分化抗原と実質的に類似するタンパク質とを含むものが挙げられる。
前記分化抗原としては、Leukocyte Typing VI(Proceedings of the VIth International Workshop and Conference,Kishimoto,Kikutani et al.編,日本,神戸,1996)に示されており、具体的には、CD27、CD30、CD39、CD40、およびそれらに対するリガンド(CD27リガンド、CD30リガンド、など)が挙げられる。
なお、幾つかのCD抗原は、TNF受容体ファミリーの1種であり、これには41BBリガンドおよびOX40も含まれる。上記リガンドは、41BBリガンドおよびOX40リガンドと同様にTNFファミリーの1種である。
その例には、少なくとも1つの免疫グロブリン定常ドメインと、下記のタンパク質のいずれかもしくはそれらのリガンドまたはこれらのいずれかと実質的に類似するタンパク質の全体または一部とを含む組換え融合タンパク質が挙げられ、例えば、メタロプロテイナーゼ−ディスインテグリンファミリーのメンバー、種々のキナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、VIII因子、IX因子、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビン、IL−2アンタゴニスト、α−1アンチトリプシン、TNF−α変換酵素、前記酵素のいずれかに対するリガンド、ならびに他の多数の酵素およびそれらのリガンドが挙げられる。
さらに、タンパク質としては、抗体(天然の抗体)またはその一部、およびキメラ抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン定常ドメインが1以上のネズミ免疫グロブリン可変ドメインに結合した抗体、またはそのフラグメントであってもよいし、抗体と細胞傷害性物質または発光物質とを含む結合体であってもよい。細胞傷害性物質または発光物質としては、メイタンシン(maytansine)誘導体(例えば、DM1);エンテロトキシン(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシン);ヨウ素同位体(例えば、I−125);テクニウム同位体(例えば、Tc−99m);シアニン蛍光色素(例えば、Cy5.5.18);およびリボソーム不活性化タンパク質(例えば、ボーガニン(bouganin)、ゲロニン(gelonin)、またはサポリン−S6(saporin−S6))等が挙げられる。
なお、抗体、抗体/細胞毒素結合体、または抗体/発光団結合体としては、例えば、前記タンパク質および/または下記抗原のうちいずれか1種類またはその組合わせを認識するものが挙げられ、抗原としては、CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD147、IL−1α、IL−1β、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10、IL−2受容体、IL−4受容体、IL−6受容体、IL−13受容体、IL−18受容体サブユニット、PDGF−β、VEGF、TGF、TGF−β2、TGF−β1、EGF受容体、VEGF受容体、C5補体、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUCI、PEM抗原、LCG(肺癌に関連して発現する遺伝子産物)、HER−2、腫瘍関連糖タンパク質TAG−72、SK−1抗原、結腸癌および/または膵臓癌の患者血清中に高濃度で存在する腫瘍関連エピトープ、胸部、結腸、扁平上皮細胞、前立腺、膵臓、肺および/または腎臓癌細胞、および/または黒色腫、グリオーマもしくは神経芽細胞に発現する癌関連エピトープまたはタンパク質、腫瘍壊死コア、インテグリンα4β7、インテグリンVLA−4、B2インテグリン、TRAIL受容体1、2、3および4、RANK、RANKリガンド、TNF−α、接着分子VAP−1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞間接着分子−3(ICAM−3)、ロイコインテグリンアドヘシン、血小板糖タンパク質gpIIb/IIIa、心臓ミオシンH鎖、副甲状腺ホルモン、rNAPc2(VIIa因子−組織因子の阻害薬)、MHC I、癌胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原である)、Fc−γ−1受容体、HLA−DR 10β、HLA−DR抗原、L−セレクチン、IFN−γ、呼吸系発疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aures)等が挙げられる。
このような凝集体を含有する試料液には、タンパク質のモノマー(単量体)と、複数のタンパク質が凝集した凝集体との他、これら以外の混入物が含まれ、この混入物としては、例えば、DNA、RNA、免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質以外のタンパク質等の生体高分子が挙げられる。
より具体的には、混入物としては、タンパク質が遺伝子工学的に処理した宿主生細胞により産生される場合、宿主細胞に由来する、DNA、RNAおよび免疫グロブリン定常ドメインを有しないタンパク質等が挙げられ、また、タンパク質が天然の抗体である場合、血漿中に含まれるアルブミン、βグロブリン、αグロブリンのような免疫グロブリン定常ドメインを有しないタンパク質等が挙げられる。
なお、本実施形態で用意する試料液としては、凝集体の他、モノマーおよび混入物が含まれるものであってもよいし、予め、モノマーおよび混入物の少なくとも一方が除去されたものであってもよい。
試料液中から混入物を除去する方法としては、例えば、プロテインA等の結合性タンパク質が固体支持体に固定化された固定化部材を備えるものを吸着剤として用いたアフィニティークロマトグラフィー処理が挙げられる。
また、試料液中からモノマーを除去する方法としては、例えば、第3の工程[3]で説明するクロマトグラフィー処理が挙げられる。
なお、本実施形態では、上記のような混入物およびモノマーを除去する方法を試料液に適用したとしても、その全てが試料液中から除去されることはなく、これらのうちの少なくとも一部は、試料液中に残存することとする。
[2] 第2の工程
次に、複数のタンパク質が凝集した凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させる。
これにより、少なくとも2つの同一のタンパク質同士が結合した凝集物(結合物)において、凝集物を形成する結合が切断され、その結果、凝集体からモノマー化された複数のタンパク質を得ることができる。なお、このような凝集体は、タンパク質(抗体)精製において一般的に適用される、例えばpH6を下回る低いpH(特にpH5以下)に晒されることによって、その割合がより増加する傾向にある。
凝集体に対するpH6.0以上の緩衝液の接触は、例えば、前記工程[1]で用意した試料液に緩衝液を添加し、緩衝液が添加された試料液のpHを6.0以上に設定することにより行うことができる。
緩衝液が添加された試料液のpHは、6.0以上であればよいが、6.0以上、9.0未満であるのが好ましい。これにより、モノマー化されたタンパク質の変質・劣化を的確に抑制または防止しつつ、凝集物を形成する結合を確実に切断することができる。すなわち、変質・劣化が的確に抑制または防止されたタンパク質をモノマーとして確実に得ることができる。
緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、トリス(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)緩衝液、HEPPS(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[3−プロパン−スルホン酸])緩衝液、CAPS(3−[シクロヘキシルアミノ]−1−プロパンスルホン酸)緩衝液およびCHES(2−[N−シクロヘキシルアミノ]エタンスルホン酸)等が挙げられる。
凝集体に緩衝液を接触させる時間は、0.2〜24時間程度であるのが好ましく、1〜10時間程度であるのがより好ましい。これにより、凝集物を形成する結合をより確実に切断することができる。
また、緩衝液が添加された試料液の温度は、2〜40℃程度であるのが好ましく、10〜30℃程度であるのがより好ましい。これにより、モノマー化されたタンパク質の変質・劣化をより的確に抑制または防止しつつ、凝集物を形成する結合を確実に切断することができる。
さらに、緩衝液は、変性剤を含有するのが好ましい。これにより、凝集物(結合物)における結合の切断がより確実に行われることとなるため、凝集体からのモノマーの生成率(回収率)を向上させることができる。
変性剤としては、特に限定されないが、例えば、塩酸グアニジン、尿素およびアルギニン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これにより、モノマー化されたタンパク質の変質・劣化をより確実に防止しつつ、凝集物における結合の切断をより確実に行うことができる。
なお、変性剤としては、界面活性剤として使用されるラウリル硫酸ナトリウム(SDS)等であってもよい。
緩衝液中における変性剤の含有量は、0.5〜5.0M程度であるのが好ましく、1.0〜3.0M程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
以上のように、本発明のモノマー化方法によれば、凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させるという単純な工程で、凝集体を優れた精度でモノマー化することができる。すなわち、凝集体を高精度でかつ容易にモノマー化することができる。
[3] 第3の工程
次に、吸着剤として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを用いたクロマトグラフィー処理を施し、該クロマトグラフィー処理により得られる分画液を回収する。
これにより、モノマー化されたタンパク質が精製される。
以下、このモノマー化されたタンパク質を、上述した吸着装置1を用いて精製する方法について詳述する。
[3−1] 吸着装置への供給工程
次に、前記工程[2]を経ることで、モノマー化されたタンパク質を含む試料液を、吸着装置1に供給する。すなわち、モノマー化されたタンパク質を含む試料液を、吸着装置1の流入管24およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に供給する。
これにより、カラム2(吸着装置1)内を試料液が通過して、少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成される吸着剤3に試料液が接触する。
この際、試料液中に含まれる緩衝液または塩類のpHおよび濃度が以下のようになるように設定する。
すなわち、吸着剤3に対する吸着能が凝集体およびモノマーを含むタンパク質で高くなり、その他の混入物で低くなるように設定されている。
換言すれば、本工程[3]は、混入物は、吸着剤3に吸着(結合)しないが、凝集体およびモノマーを含むタンパク質は、吸着剤3に吸着(結合)する条件下で実施される。
これにより、凝集体およびモノマーを含むタンパク質が、吸着剤3に吸着(結合)され、混入物が、フィルタ部材5および流出管25を介してカラム2内から流出液として流出する。
緩衝液または塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、塩化物、フッ化物、酢酸塩、リン酸塩および/またはクエン酸塩、ならびに/あるいはトリス緩衝液が挙げられ、中でも、トリス緩衝液またはリン酸ナトリウム緩衝液であるのが好ましい。
そのような緩衝液または塩類は、6.0以上のpHに設定される。
また、リン酸ナトリウム緩衝液を用いる場合、その濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜50mM、より好ましくは15〜50mM程度に設定される。
さらに、リン酸緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液)のpHは、6.0〜8.6程度であるのが好ましく、6.0〜7.0程度であるのがより好ましい。
以上のことを考慮すると、かかる溶液としては、特に、濃度50mM程度、pH7.0程度のリン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
[3−2] 吸着装置による分画工程
次に、吸着装置1の流入管24からカラム2内に、タンパク質を流出させるための溶出液(洗浄液)を供給する。そして、カラム2内から流出管25を介して流出する流出液を、所定量ずつ分画(採取)する。これにより、吸着剤3に吸着しているモノマーと凝集体とは、それぞれ、モノマーおよび凝集体が有する吸着剤3に対する吸着力の差に応じて、各分画内に溶出した状態で回収(分離)される。
そのため、モノマーが溶出した分画を分画液として回収することで、モノマー化されたタンパク質が精製される。
ここで、カラム2内に供給する溶出液は、前記工程[3−1]で説明した緩衝液を用いることができ、モノマーおよび凝集体が有する吸着剤3に対する吸着力の差に応じて、それぞれが溶出する分画が異なるものが用いられる。
このような溶出液は、具体的には、そのpHが好ましくは6.0〜9.0程度、より好ましくは7.0〜8.0程度のリン酸緩衝液が好適に用いられる。これにより、分離するモノマー化されたタンパク質の変質(変性)を防止することができ、その特性が変化するのを防止することができる。また、吸着剤3の変質(溶解等)を好適に防止することができ、吸着装置1における分離能の変化を防止することもできる。
溶出液としてリン酸系緩衝液を用いる場合、その温度は、特に限定されないが、30〜50℃程度であるのが好ましく、35〜45℃程度であるのがより好ましい。これにより、分離するタンパク質の変質(変性)を防止することができる。
また、この場合における、リン酸系緩衝液の塩濃度は、1.0mM〜500mM程度であるのが好ましく、10mM〜400mM程度であるのがより好ましい。このような塩濃度のリン酸系緩衝液を用いて、凝集体とモノマーとの分離を行うことにより、リン酸系緩衝液中の金属イオンによるモノマー(タンパク質)への悪影響を防止することができる。
また、リン酸系緩衝液は、凝集体とモノマーとの分離操作の際に、連続的または段階的に変化させるのが好ましい。これにより、凝集体とモノマーとの分離操作の効率化を図ることができる。
さらに、リン酸系緩衝液の流速は、0.1〜10mL/分程度であるのが好ましく、1〜5mL/分程度であるのがより好ましい。このような流速で、凝集体とモノマーとの分離を行うことにより、分離操作に長時間を要することなく、凝集体とモノマーとを確実に分離すること、すなわち、高純度にモノマー化されたタンパク質を精製することができる。
以上のような操作により、所定の画分に、モノマー化されたタンパク質が回収される。
また、モノマー化されたタンパク質が回収される画分とは異なる画分には、凝集体が回収される。この凝集体が回収される画分を、pH6.0以上とし、一定時間保持することで、この凝集体を、さらに、各タンパク質にモノマー化することができる。
そのため、凝集体が回収された画分に対して、上述した工程[3−1]、[3−2]を繰り返して行うこと、すなわち、クロマトグラフィー処理を繰り返して行うことにより、モノマー化されたタンパク質をより優れた収率で回収することができる。
なお、凝集体が回収される画分を、pH6.0以上で保持する時間は、特に限定されないが、5.0〜48時間程度であるのが好ましく、10〜45時間程度であるのがより好ましい。
また、凝集体が回収される画分のpHは、6.0以上であればよいが、6.0以上、9.0未満であるのがより好ましい。
凝集体が回収される画分を保持する際の条件を上記範囲内に設定することにより、凝集体をより優れた精度でモノマー化することができる。
以上、本発明のモノマー化方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明では、任意の目的で、工程[1]の前工程、各工程[1]〜[3]同士の間に存在する中間工程、または工程[3]の後工程を追加するようにしてもよい。
また、前記工程[2]において、試料液中に含まれる凝集体を検出限界以下となるようにモノマー化できる場合には、前記工程[3]を省略することができる。
さらに、前記工程[1]において、混入物を除去して凝集体およびモノマーを粗精製する方法として、アフィニティークロマトグラフィー法を用いるのに代えて、吸着剤として陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂を備えるイオン交換クロマトグラフィー法を用いるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、免疫グロブリン定常ドメインを有する、天然の抗体、または組換え融合タンパク質の凝集体を、モノマー化する場合について説明したが、このようなタンパク質に限定されず、アルブミン、フィブリノゲン、ペプシノーゲンのような免疫グロブリン定常ドメインを有しないタンパク質の凝集体を、本発明によればモノマー化することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
・免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質に対するpHの影響
(実施例A)
−1− まず、免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質として、抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体(中外製薬社製、「一般名:リツキシマブ」)を試料液A(pH6.8)として用意し、この試料液Aに、0.1M HClを添加することでそのpHを3.28とした後、64時間放置した。
なお、pHが3.28および6.8の試料液Aについて、それぞれ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を施したところ、図2に示すように、pHが6.8の試料液Aでは、凝集体の形成が認められないものの、pH3.28の試料液Aでは、凝集体の形成が認められた。
なお、元々のpH6.8の試料液Aには凝集体が含まれていない。pHが3.28の試料液Aは、後工程に供する試料液の作成として、pHを低くすることで強制的に凝集体を形成した。よって、pHが3.28の試料液Aには、凝集体とモノマーが共に含まれる。
−2− 次に、pHが3.28の試料液Aについて、吸着装置を用いて、ハイドロキシアパタイト処理を施した。
すなわち、1mLのpHが3.28の試料液Aを、吸着装置内に供給(アプライ)した後、溶出液Aを0.5mL/minの流速で5分間で供給し、次いで、溶出液Aおよび溶出液Bを、それらの容量比で溶出液Bが0%〜100%に連続的に変化するように、0.5mL/minの流速で30分間供給し、その後、この状態を維持した状態で溶出液Aおよび溶出液Bを5分間供給して、カラム内から流出する流出液を1mLずつ分画した。
なお、吸着装置には、吸着剤としてハイドロキシアパタイトビーズ(CHT TypeII、平均粒径20μm、HOYA社製)を約0.8g充填した、カラム(サイズ4mm×100mm)を用いた。
また、溶出液Aには、10mMリン酸緩衝液(pH6.5)を、溶出液Bには、400mMリン酸緩衝液(pH6.5)を、それぞれ用いた。
−3− 次に、50μLのpHが6.80の試料液A(Control)についても、前記工程−2−で説明したのと同様にして、吸着装置を用いて、ハイドロキシアパタイト処理を施した。
その結果、図3に示すように、図2に示したSEC処理の結果と同様に、pHが6.8の試料液Aでは、凝集体の形成が認められないものの、3.28の試料液Aでは、凝集体の形成が認められた。
また、pHが3.28および6.8の試料液Aでは、画分11でモノマーが回収され、pHが3.28の試料液Aでは、画分18〜画分23で凝集体が回収される結果となった。なお、図2に示すようにSECによっても凝集体とモノマーが分離されているが、SECでは画分中における目的物濃度が低下してしまうため、ハイドロキシアパタイトによる処理が好ましく用いられる。
−4− 次に、pHが3.28の試料液Aから得られた画分(フラクション)18を、4℃の条件下で、408時間保存した。
そして、かかる条件下で保存した画分18(pH6.5)について、その経過時間が、2時間、44時間および408時間に達した時点で、それぞれ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を施した。
その結果、図4に示すように、画分18では、そのpHを回収時の状態を維持すること、すなわちpHを6.5とすることで、複数のタンパク質が凝集した凝集体がモノマー化される結果となった。
ただし、408時間保存した画分18では、Volume5.5mL付近に凝集体に由来するピークが強く認められるため、長時間の画分18の保存により、凝集体を構成するタンパク質が変質・劣化したものと推察される。
・免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質に対するpHおよび変性剤の影響
(実施例1B)
−1− まず、免疫グロブリン定常ドメインを有するタンパク質として、抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体(中外製薬社製、「一般名:リツキシマブ」)を試料液A(pH6.8)として用意し、この試料液Aに、0.1M HClを添加することでそのpHを3.28とした後、64時間放置した。
−2− 次に、pHが3.28の試料液Aについて、0.1M NaOHを添加することにより、pHが7.5の試料液1Bを調製した。
−3− 次に、pHが7.5の試料液1Bを、4℃の条件下で、24時間保存した。
そして、かかる条件下で保存した試料液1Bについて、その経過時間が、0時間および24時間の時点で、それぞれ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を施した(図5参照。)。
(実施例2B)
前記実施例1Bの工程−2−において、pHが3.28の試料液Aに対して、最終濃度が0.5Mとなるように塩酸グアニジンを添加した後、さらに、0.1M NaOHを添加することにより、pHが7.5の試料液2Bを調製したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、試料液2Bのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を実施した(図6参照。)。
(実施例3B)
前記実施例1Bの工程−2−において、pHが3.28の試料液Aに対して、0.1M NaOHを添加することにより、pHが9.5の試料液3Bを調製したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、試料液3Bのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を実施した(図7参照。)。
(実施例4B)
前記実施例1Bの工程−2−において、pHが3.28の試料液Aに対して、最終濃度が0.5Mとなるように塩酸グアニジンを添加した後、さらに、0.1M NaOHを添加することにより、pHが9.5の試料液4Bを調製したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、試料液4Bのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)処理を実施した(図8参照。)。
その結果、図5〜8に示すように、実施例1B〜4Bの試料液1B〜4Bでは、そのpHを6.0以上とすることで、複数のタンパク質が凝集した凝集体がモノマー化される傾向を示した。
さらに、このようなモノマー化は、塩酸グアニジンのような変性剤が添加された試料液2B、4Bとすることで、より確実に行われる傾向を示した。
1 吸着装置
2 カラム
20 吸着剤充填空間
21 カラム本体
22、23 キャップ
24 流入管
25 流出管
3 吸着剤
4、5 フィルタ部材

Claims (10)

  1. 複数のタンパク質が凝集した凝集体を、各タンパク質にモノマー化するモノマー化方法であって、
    前記凝集体を含有する試料液を用意する第1の工程と、
    前記凝集体にpH6.0以上の緩衝液を接触させて、前記凝集体からモノマー化された前記タンパク質を得る第2の工程とを有することを特徴とするモノマー化方法。
  2. 前記緩衝液のpHは、6.0以上、9.0未満である請求項1に記載のモノマー化方法。
  3. 前記緩衝液は、変性剤を含有する請求項1または2に記載のモノマー化方法。
  4. 変性剤は、塩酸グアニジン、尿素およびアルギニンのうちの少なくとも1種である請求項3に記載のモノマー化方法。
  5. 前記第2の工程の後に、吸着剤として少なくとも表面がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものを用いたクロマトグラフィー処理を施し、該クロマトグラフィー処理により得られる分画液を回収することで、モノマー化された前記タンパク質を精製する第3の工程を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のモノマー化方法。
  6. 前記第3の工程において、前記クロマトグラフィー処理を複数回行う請求項5に記載のモノマー化方法。
  7. 前記第3の工程における、前記クロマトグラフィー処理は、
    前記吸着剤に前記第2の工程で得られた前記タンパク質を含有する試料液を接触させ、前記吸着剤に前記タンパク質を吸着させる工程と、
    前記吸着剤に溶出液を供給し、得られる分画液を回収することで、該分画液中に前記吸着剤から溶出した前記タンパク質が精製される請求項5または6に記載のモノマー化方法。
  8. 前記溶出液は、塩濃度が1.0mM〜500mMのリン酸緩衝液である請求項7に記載のモノマー化方法。
  9. 前記溶出液は、pHが6.0〜9.0のリン酸緩衝液である請求項7または8に記載のモノマー化方法。
  10. 前記タンパク質は、免疫グロブリン定常ドメインを有する、天然の抗体、または組換え融合タンパク質である請求項1ないし9のいずれか1項に記載のモノマー化方法。
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