JP2014105403A - パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高引張弾性率を有するパラ型全芳香族コポリアミド繊維が得られるとともに、工程安定性に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を開繊した後、特定範囲の張力および温度で緊張熱処理を行う。
【選択図】なし
【解決手段】パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を開繊した後、特定範囲の張力および温度で緊張熱処理を行う。
【選択図】なし
Description
本発明は、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、高引張弾性率を有するパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法に関する。
パラ型全芳香族コポリアミド繊維は、引張強度および弾性率に優れるとともに、耐熱性や耐薬品性にも優れるため、コンクリートや樹脂補強、ロープ等の用途で好適に用いられている。
しかしながら、パラ型全芳香族コポリアミド繊維は、等方性ドープから紡糸されるため、パラフェニレンテレフタルアミド繊維と比較して、高い機械物性を得るためには高倍率の延伸を必要としていた。しかしながら、パラ型全芳香族コポリアミドは分子構造が非常に剛直であるため、均一および安定的な延伸を実施することが困難な状況であり、その結果、引張弾性率にやや劣るという問題があった。
しかしながら、パラ型全芳香族コポリアミド繊維は、等方性ドープから紡糸されるため、パラフェニレンテレフタルアミド繊維と比較して、高い機械物性を得るためには高倍率の延伸を必要としていた。しかしながら、パラ型全芳香族コポリアミドは分子構造が非常に剛直であるため、均一および安定的な延伸を実施することが困難な状況であり、その結果、引張弾性率にやや劣るという問題があった。
そこで、パラ型全芳香族コポリアミド繊維の引張弾性率を向上させる検討が種々検討なされており、例えば、特許文献1〜3においては、紡糸、延伸されたパラ型全芳香族コポリアミド繊維に対して緊張熱処理を実施する方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、引張破断張力の20〜90%という高い張力をかけた緊張熱処理を行っているため、繊維束を構成する単糸の一部に破断が起こりやすく、連続的に緊張熱処理を行う場合には、ローラー等への巻き付きが多発する場合があった。
しかしながら、これらの方法では、引張破断張力の20〜90%という高い張力をかけた緊張熱処理を行っているため、繊維束を構成する単糸の一部に破断が起こりやすく、連続的に緊張熱処理を行う場合には、ローラー等への巻き付きが多発する場合があった。
特に、繊維を構成するフィラメント数が多い場合には、緊張熱処理時に繊維を構成する単糸一本一本への熱の付与が不均一となり、その結果、繊維束を構成する単糸の一部に、より破断が発生しやすくなっていた。繊維を構成する単糸の一部に破断が発生すると、機械的物性を発現させるために有効な単糸数が減少するため、繊維束の引張強度は勿論のこと、引張弾性率もそれ程には向上しにくくなる。
本発明は、高引張弾性率を有するパラ型全芳香族コポリアミド繊維が得られるとともに、工程通過性に優れたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を開繊した後、特定範囲の張力および温度で緊張熱処理すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を開繊する開繊工程と、2.0〜6.0cN/dtexの張力下、50℃以上450℃以下の温度で熱処理する緊張熱処理工程と、を実施するパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法である。
本発明の製造方法によって得られるパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、パラ型全芳香族コポリアミド繊維が本来有する耐熱性を備えつつ、引張弾性率に優れた繊維となる。また本発明の製造方法によれば、繊維を構成する単糸の破断を抑制できる、工程安定性に優れるとともに、引張強度の高い繊維を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族コポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドとは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
<パラ型全芳香族コポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドとは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
<パラ型全芳香族コポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、芳香族ポリアミドのポリマー溶液を得ることができる。
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸クロライド成分と、芳香族ジアミン成分とを反応せしめることにより、芳香族ポリアミドのポリマー溶液を得ることができる。
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の原料となる芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等を挙げることができる。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の原料となる芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等を挙げることができる。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。
また、これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、パラ位以外の結合を形成するイソフタル酸ジクロライド等の成分が、少量が含まれていてもよい。
(芳香族ジアミン成分)
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の原料となる芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン等を挙げることができる。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の原料となる芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン等を挙げることができる。
これらの芳香族ジアミン成分は、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、パラ位以外の結合を形成するメタフェニレンジアミン等の成分が、少量含まれていてもよい。
これらのなかでは、得られる繊維の機械的強度の観点から、p−フェニレンジアミン、および、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを単独で使用、あるいは併用することが好ましく、p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いることが最も好ましい。
これらのなかでは、得られる繊維の機械的強度の観点から、p−フェニレンジアミン、および、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを単独で使用、あるいは併用することが好ましく、p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いることが最も好ましい。
パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%とする。
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせ)
したがって、本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドとしては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等を挙げることができる。
したがって、本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドとしては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等を挙げることができる。
[原料組成比]
上記の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
上記の芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという場合もある)、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという場合もある)、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[その他重合条件等]
生成するパラ型全芳香族コポリアミドの溶解性を挙げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族コポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
生成するパラ型全芳香族コポリアミドの溶解性を挙げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族コポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
[重合後処理等]
上記のようにして得られるパラ型全芳香族コポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたパラ型全芳香族コポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得たポリマー溶液をそのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、パラ型全芳香族コポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
上記のようにして得られるパラ型全芳香族コポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたパラ型全芳香族コポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得たポリマー溶液をそのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、パラ型全芳香族コポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
<パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の製造方法>
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の製造方法においては、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法が採用される。すなわち、先ず、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を、紡糸口金から吐出して凝固糸を形成する。その後、凝固糸に含まれる溶媒を除去した後、熱延伸等を行うことで、最終的なパラ型系全芳香族コポリアミド原料繊維を得る。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の製造方法においては、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法が採用される。すなわち、先ず、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を、紡糸口金から吐出して凝固糸を形成する。その後、凝固糸に含まれる溶媒を除去した後、熱延伸等を行うことで、最終的なパラ型系全芳香族コポリアミド原料繊維を得る。
以下に、本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の製造方法の一例を説明する。
[紡糸用溶液(ポリマードープ)調整工程]
パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得るにあたっては、先ず、紡糸用溶液(ポリマードープ)調整工程において、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整する。
パラ型全芳香族コポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法としては、特に限定されるものではない。また、紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。パラ型全芳香族コポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
パラ型全芳香族コポリアミド繊維を得るにあたっては、先ず、紡糸用溶液(ポリマードープ)調整工程において、パラ型全芳香族コポリアミドと溶媒とを含む紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整する。
パラ型全芳香族コポリアミドおよび溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法としては、特に限定されるものではない。また、紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することが好ましい。なお、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。パラ型全芳香族コポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、本発明の要旨を超えない範囲において、添加剤等のその他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、紡糸用溶液(ドープ)の調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族コポリアミドの濃度は、0.5〜30質量%の範囲とすることが好ましく、1〜20質量%の範囲とすることがさらに好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加することから紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により、安定的に紡糸することが困難となる。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族コポリアミドの濃度は、0.5〜30質量%の範囲とすることが好ましく、1〜20質量%の範囲とすることがさらに好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が0.5質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため紡糸に必要な粘度を得ることができず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が30質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加することから紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により、安定的に紡糸することが困難となる。
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、湿式法、半乾半湿式法などにより凝固糸を成形する。例えば半乾半湿式法においては、紡糸用溶液(ドープ)を紡糸口金から吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて未延伸糸を得る。ここで用いる紡糸口金は、ホール数が133以上とすることが好ましい。紡糸口金を通過する際の紡糸用溶液(ドープ)の温度、および紡糸口金の温度は、特に限定されるものではないが、曵糸性や紡糸用溶液(ドープ)の吐出圧の観点から、80〜120℃とすることが好ましい。
紡糸・凝固工程においては、湿式法、半乾半湿式法などにより凝固糸を成形する。例えば半乾半湿式法においては、紡糸用溶液(ドープ)を紡糸口金から吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固させて未延伸糸を得る。ここで用いる紡糸口金は、ホール数が133以上とすることが好ましい。紡糸口金を通過する際の紡糸用溶液(ドープ)の温度、および紡糸口金の温度は、特に限定されるものではないが、曵糸性や紡糸用溶液(ドープ)の吐出圧の観点から、80〜120℃とすることが好ましい。
次に、紡糸口金から吐出した紡糸用溶液(ドープ)を、凝固液中で凝固する。このとき、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、紡糸口金と凝固液とが接触するとそれぞれの温度が変化し、その結果、紡糸工程の制御が困難となる。そこで、紡糸口金と凝固液との温度が大きく異なる場合には、エアギャップを設けた半乾半湿式紡糸を実施することが好ましい。エアギャップの長さは、特に限定されるものではないが、温度の制御性、曵糸性等の観点から、5〜25mmの範囲とすることが好ましい。
ここで用いる凝固液は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)水溶液であり、その温度や濃度は、特に限定されるものではない。形成された糸の凝固状態や後の工程通過性等に問題がない範囲で、適宜調整することができる。
ここで用いる凝固液は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)水溶液であり、その温度や濃度は、特に限定されるものではない。形成された糸の凝固状態や後の工程通過性等に問題がない範囲で、適宜調整することができる。
[水洗工程]
次に、上記で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、水を用いて糸中に含まれるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶媒を拡散させ、糸中から溶媒を除去することを目的とする。なお、水洗工程通過後の糸中の残存溶媒量が高い場合には、後の工程での工程通過性や得られる繊維の物性、品位が低下するため好ましくない場合がある。
水洗工程においては繊維束が絶えず通過するため、それにより水洗浴の溶媒濃度が高くなる問題がある。このため、溶媒を含まない水を絶えず供給し、水洗浴内の溶媒濃度を一定に保つことが好ましい。
次に、上記で得られた凝固糸を水洗する。水洗工程は、水を用いて糸中に含まれるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶媒を拡散させ、糸中から溶媒を除去することを目的とする。なお、水洗工程通過後の糸中の残存溶媒量が高い場合には、後の工程での工程通過性や得られる繊維の物性、品位が低下するため好ましくない場合がある。
水洗工程においては繊維束が絶えず通過するため、それにより水洗浴の溶媒濃度が高くなる問題がある。このため、溶媒を含まない水を絶えず供給し、水洗浴内の溶媒濃度を一定に保つことが好ましい。
[微粒子付与工程]
水洗後の糸に対しては、後の乾燥工程や熱延伸工程等における単繊維同士の融着を抑制する目的で、無機微粒子を付与することが好ましい。付与する無機微粒子の種類や付着量は、単繊維同士の融着を抑制できれば特に限定されるものではない。またここで付着した無機微粒子は、熱延伸工程後の除去工程において、水シャワーや圧空を吹き付けることにより、除去することができる。
水洗後の糸に対しては、後の乾燥工程や熱延伸工程等における単繊維同士の融着を抑制する目的で、無機微粒子を付与することが好ましい。付与する無機微粒子の種類や付着量は、単繊維同士の融着を抑制できれば特に限定されるものではない。またここで付着した無機微粒子は、熱延伸工程後の除去工程において、水シャワーや圧空を吹き付けることにより、除去することができる。
[乾燥工程]
次に、乾燥工程において、溶媒を除去した繊維を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はないが、作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲とすることが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置、あるいは、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
次に、乾燥工程において、溶媒を除去した繊維を乾燥する。乾燥条件は特に限定されるものではなく、繊維に付着した水分を十分に除去できる条件であれば問題はないが、作業性や繊維の熱による劣化を考慮すると、150〜250℃の範囲とすることが好ましい。また、乾燥は、ローラー等の接触型の乾燥装置、あるいは、乾燥炉中に繊維を通過させる等といった非接触型の乾燥装置のいずれを用いることもできる。
[熱延伸工程]
次いで、乾燥後の繊維を熱延伸する。この工程は、繊維の熱延伸することにより、繊維中のポリマー分子を高度に配向させ、強度を付与することを目的とする。このときの熱延伸温度は、300〜600℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは320℃〜580℃、最も好ましくは350〜550℃の範囲である。熱延伸温度が300℃未満の場合には、糸の延伸が十分に得られず好ましくない。一方で、600℃を超える場合には、ポリマーの熱分解が起こるために繊維が劣化し、高強度の糸を得ることが困難となる。
熱延伸工程における延伸倍率は、5倍〜15倍とすることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。またこの熱延伸工程は、必要に応じて多段階に分けて行っても特に差し支えはない。
次いで、乾燥後の繊維を熱延伸する。この工程は、繊維の熱延伸することにより、繊維中のポリマー分子を高度に配向させ、強度を付与することを目的とする。このときの熱延伸温度は、300〜600℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは320℃〜580℃、最も好ましくは350〜550℃の範囲である。熱延伸温度が300℃未満の場合には、糸の延伸が十分に得られず好ましくない。一方で、600℃を超える場合には、ポリマーの熱分解が起こるために繊維が劣化し、高強度の糸を得ることが困難となる。
熱延伸工程における延伸倍率は、5倍〜15倍とすることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。またこの熱延伸工程は、必要に応じて多段階に分けて行っても特に差し支えはない。
[微粒子除去]
次いで、単繊維同士の融着を抑制する目的で予め無機微粒子を付与した場合には、除去することが好ましい。無機微粒子の除去は、必要に応じて省略することも可能であるが、無機微粒子は繊維の色相に影響し、また、スカム発生の原因となるため、過剰に付着している場合には除去することが好ましい。
除去方法については特に限定されるものではないが、水シャワーや圧空を吹き付けることで、過剰分の無機微粒子を除去することができる。
次いで、単繊維同士の融着を抑制する目的で予め無機微粒子を付与した場合には、除去することが好ましい。無機微粒子の除去は、必要に応じて省略することも可能であるが、無機微粒子は繊維の色相に影響し、また、スカム発生の原因となるため、過剰に付着している場合には除去することが好ましい。
除去方法については特に限定されるものではないが、水シャワーや圧空を吹き付けることで、過剰分の無機微粒子を除去することができる。
[巻き取り]
その後、必要に応じて、繊維に対して帯電抑制や潤滑性を付与する目的で油剤を付与し、最後にワインダーで巻き取る。付与する油剤の種類や付与する量等は、特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま適用することができる。また、ワインダーでの巻き取り方法についても特に限定されるものではなく、公知のワインダーを用いて、適宜巻き取り条件を調整して巻き取ることができる。
その後、必要に応じて、繊維に対して帯電抑制や潤滑性を付与する目的で油剤を付与し、最後にワインダーで巻き取る。付与する油剤の種類や付与する量等は、特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま適用することができる。また、ワインダーでの巻き取り方法についても特に限定されるものではなく、公知のワインダーを用いて、適宜巻き取り条件を調整して巻き取ることができる。
[パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の物性]
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維は、引張弾性率が510cN/dtex以上であり、かつ引張強度が23.3cN/dtex以上であり、かつ単糸数が133以上であることが好ましい。引張弾性率が510cN/dtex未満の場合には、原料繊維の結晶化が不十分であるため、後の緊張熱処理工程において十分に弾性率を増加させることができない。また、引張強度が23.3cN/dtex未満の場合には、原料繊維の結晶化が不十分であるとともに、原料繊維中に多くの欠陥を含むため、後の緊張熱処理工程においてローラー等への巻き付きが発生しやすくなり、工程通過性が悪くなる。さらに、原料繊維の単糸数は133未満である場合、緊張熱処理工程における開繊工程の効果が小さくなる一方で、コスト増加につながる。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維は、引張弾性率が510cN/dtex以上であり、かつ引張強度が23.3cN/dtex以上であり、かつ単糸数が133以上であることが好ましい。引張弾性率が510cN/dtex未満の場合には、原料繊維の結晶化が不十分であるため、後の緊張熱処理工程において十分に弾性率を増加させることができない。また、引張強度が23.3cN/dtex未満の場合には、原料繊維の結晶化が不十分であるとともに、原料繊維中に多くの欠陥を含むため、後の緊張熱処理工程においてローラー等への巻き付きが発生しやすくなり、工程通過性が悪くなる。さらに、原料繊維の単糸数は133未満である場合、緊張熱処理工程における開繊工程の効果が小さくなる一方で、コスト増加につながる。
<パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造>
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法は、上記したようなパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を材料として、以下に示す開繊工程および緊張熱処理工程を実施するものである。なお、本発明においては、開繊工程および緊張熱処理工程が含まれていればよく、必要に応じて他の工程が存在していても特に差し支えない。
本発明のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法は、上記したようなパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を材料として、以下に示す開繊工程および緊張熱処理工程を実施するものである。なお、本発明においては、開繊工程および緊張熱処理工程が含まれていればよく、必要に応じて他の工程が存在していても特に差し支えない。
[開繊工程]
開繊工程においては、原料となるパラ型全芳香族コポリアミド繊維束の幅を広げる操作を実施する。開繊工程実施後のパラ型全芳香族コポリアミド繊維束の幅は、12mm以上とすることが好ましい。より好ましくは、20〜60mmの範囲とする。
繊維束の幅が12mm未満の場合には、単糸一本一本に均一に熱を付与しにくくなるため不均一な延伸となり、単糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。一方で、繊維束の幅が60mmを超える場合には、緊張熱処理時にローラー等への巻き付きが発生しやすくなり、工程通過性が悪くなる。
開繊方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、曲面に繊維束を接触させる方法、繊維束に空気流を接触させる方法等が挙げられる。
開繊工程においては、原料となるパラ型全芳香族コポリアミド繊維束の幅を広げる操作を実施する。開繊工程実施後のパラ型全芳香族コポリアミド繊維束の幅は、12mm以上とすることが好ましい。より好ましくは、20〜60mmの範囲とする。
繊維束の幅が12mm未満の場合には、単糸一本一本に均一に熱を付与しにくくなるため不均一な延伸となり、単糸切れが発生しやすくなるため好ましくない。一方で、繊維束の幅が60mmを超える場合には、緊張熱処理時にローラー等への巻き付きが発生しやすくなり、工程通過性が悪くなる。
開繊方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、曲面に繊維束を接触させる方法、繊維束に空気流を接触させる方法等が挙げられる。
[緊張熱処理工程]
緊張熱処理工程においては、特定範囲の高い張力を付与しつつ、特定温度範囲での加熱処理を実施する。なお、緊張熱処理工程は、上記した開繊工程の後の工程として実施することが一般的であり、開繊工程を実施した後であれば、その直後であってもあるいは間に他の任意の工程が存在していてもよい。
なお、緊張熱処理工程においては、張力および温度をそれぞれ特定範囲内とする必要があるが、その他の条件、例えば処理速度、処理長等については特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。
緊張熱処理工程においては、特定範囲の高い張力を付与しつつ、特定温度範囲での加熱処理を実施する。なお、緊張熱処理工程は、上記した開繊工程の後の工程として実施することが一般的であり、開繊工程を実施した後であれば、その直後であってもあるいは間に他の任意の工程が存在していてもよい。
なお、緊張熱処理工程においては、張力および温度をそれぞれ特定範囲内とする必要があるが、その他の条件、例えば処理速度、処理長等については特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定することができる。
(張力)
緊張熱処理工程における張力は、2.0〜6.0cN/dtexの範囲とすることが必須である。より好ましくは2.5〜5.0cN/dtexの範囲である。張力が2.0cN/dtex未満の場合には、分子鎖の配向を向上させにくく、一方で、6.0cN/dtexを超える場合には、緊張熱処理時に単糸切れが発生するため、引張試験時における耐力が低下して引張弾性率が低下するとともに、単糸切れによるローラーへの巻き付きが発生しやすくなり、緊張熱処理工程の工程通過性が劣る。
緊張熱処理工程における張力は、2.0〜6.0cN/dtexの範囲とすることが必須である。より好ましくは2.5〜5.0cN/dtexの範囲である。張力が2.0cN/dtex未満の場合には、分子鎖の配向を向上させにくく、一方で、6.0cN/dtexを超える場合には、緊張熱処理時に単糸切れが発生するため、引張試験時における耐力が低下して引張弾性率が低下するとともに、単糸切れによるローラーへの巻き付きが発生しやすくなり、緊張熱処理工程の工程通過性が劣る。
(温度)
緊張熱処理工程における温度は、50〜450℃の範囲とすることが必須である。より好ましくは、150〜400℃の範囲である。温度が50℃未満の場合には、パラ型全芳香族コポリアミドの分子鎖が動きにくく、弾性変形のみが起こることとなり、結果として、分子鎖の配向が向上しにくく、引張弾性率を十分に向上させることができない。また温度が400℃を超える場合には、前記ポリマーの熱分解が起こることで繊維が劣化し、引張弾性率が低下する。
緊張熱処理工程における温度は、50〜450℃の範囲とすることが必須である。より好ましくは、150〜400℃の範囲である。温度が50℃未満の場合には、パラ型全芳香族コポリアミドの分子鎖が動きにくく、弾性変形のみが起こることとなり、結果として、分子鎖の配向が向上しにくく、引張弾性率を十分に向上させることができない。また温度が400℃を超える場合には、前記ポリマーの熱分解が起こることで繊維が劣化し、引張弾性率が低下する。
(設備)
緊張熱処理を行う設備は特に限定されないが、緊張熱処理時の摩擦によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維が単糸切れせず、また、毛羽立たないものが好ましい。例えば、送出ローラーと巻取ローラー間に非接触式の加熱炉を設置した緊張熱処理設備や、加熱された送出ローラーと巻取ローラーとを備える緊張熱処理設備が挙げられる。
緊張熱処理を行う設備は特に限定されないが、緊張熱処理時の摩擦によりパラ型全芳香族コポリアミド繊維が単糸切れせず、また、毛羽立たないものが好ましい。例えば、送出ローラーと巻取ローラー間に非接触式の加熱炉を設置した緊張熱処理設備や、加熱された送出ローラーと巻取ローラーとを備える緊張熱処理設備が挙げられる。
[パラ型全芳香族コポリアミド繊維の物性]
本発明の製造方法によって得られるパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、引張弾性率が650cN/dtex以上となり、引張強度は23.2cN/dtex以上となる。
また、本発明の製造方法は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を構成する単糸の数が多い場合であっても十分な効果が発現できるため、その単糸数は133フィラメント以上とすることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られるパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、引張弾性率が650cN/dtex以上となり、引張強度は23.2cN/dtex以上となる。
また、本発明の製造方法は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を構成する単糸の数が多い場合であっても十分な効果が発現できるため、その単糸数は133フィラメント以上とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これに何等限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維およびパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度
得られた繊維束を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を10000mあたりの質量、すなわち繊度(dtex)として算出した。
得られた繊維束を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を10000mあたりの質量、すなわち繊度(dtex)として算出した。
(2)パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維およびパラ型全芳香族コポリアミド繊維の引張強度、破断伸度、引張弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
撚り係数 :1
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
撚り係数 :1
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
(3)緊張熱処理工程の張力
テンションメーター(SCHMIDT社製、商品名:MECHANICAL TENSION METER、型式:DN1)を用い、緊張熱処理を実施する送出ローラーと巻取ローラー間の張力を測定し、(1)にて測定したパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度にて割り返し、その値を算出した。
テンションメーター(SCHMIDT社製、商品名:MECHANICAL TENSION METER、型式:DN1)を用い、緊張熱処理を実施する送出ローラーと巻取ローラー間の張力を測定し、(1)にて測定したパラ型全芳香族コポリアミド繊維の繊度にて割り返し、その値を算出した。
(4)工程通過性
緊張熱処理を10分間実施し、以下の評価基準にて工程通過性を評価した。
○ :巻取ローラーへの繊維巻き付きが発生しない
× :巻取ローラーへの繊維巻き付きが発生
緊張熱処理を10分間実施し、以下の評価基準にて工程通過性を評価した。
○ :巻取ローラーへの繊維巻き付きが発生しない
× :巻取ローラーへの繊維巻き付きが発生
<実施例1>
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
公知の方法により、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させたパラフェニレンジアミン27質量部と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル50質量部に、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加して重縮合反応を行い、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液(紡糸用溶液:ポリマードープ)を得た。このときのポリマー濃度は6質量%であった。
[パラ型全芳香族コポリアミドの製造]
公知の方法により、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させたパラフェニレンジアミン27質量部と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル50質量部に、テレフタル酸ジクロライド100質量部を添加して重縮合反応を行い、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド溶液(紡糸用溶液:ポリマードープ)を得た。このときのポリマー濃度は6質量%であった。
[パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の製造]
(紡糸・凝固工程)
上記で得られた紡糸用溶液(ポリマードープ)を105℃に加熱し、穴径0.3mm、穴数が1000の紡糸口金を取り付けて105℃に加熱した紡糸パックに送液し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度が30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させ、ポリマーが凝固した凝固糸維束を得た。
(紡糸・凝固工程)
上記で得られた紡糸用溶液(ポリマードープ)を105℃に加熱し、穴径0.3mm、穴数が1000の紡糸口金を取り付けて105℃に加熱した紡糸パックに送液し、10mmのエアギャップを介して、NMP濃度が30質量%の50℃の水溶液で満たされた凝固浴を通過させ、ポリマーが凝固した凝固糸維束を得た。
(水洗工程・微粒子付与工程)
次いで、55℃に調整した水洗浴に、凝固糸束を通過させて水洗を行った後、乾燥工程や熱延伸工程における単糸同士の融着を抑制する目的で、タルクおよびオスモスを、繊維重量に対して2質量%付着させた。
次いで、55℃に調整した水洗浴に、凝固糸束を通過させて水洗を行った後、乾燥工程や熱延伸工程における単糸同士の融着を抑制する目的で、タルクおよびオスモスを、繊維重量に対して2質量%付着させた。
(乾燥工程・熱延伸工程)
続いて、タルクおよびオスモスが付着した繊維を、200℃の乾燥ローラーにて乾燥後、380℃で1段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は2.4倍であった。引き続き、530℃で2段目の熱延伸を行い、最終的にパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を得た。2段目の延伸倍率は4倍であった。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の物性は、繊度1679dtex、単糸数が1000フィラメント、引張強度が25.3cN/dtex、伸度が4.3%、引張弾性率が585cN/dtexであった。
続いて、タルクおよびオスモスが付着した繊維を、200℃の乾燥ローラーにて乾燥後、380℃で1段目の熱延伸を行った。このときの延伸倍率は2.4倍であった。引き続き、530℃で2段目の熱延伸を行い、最終的にパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を得た。2段目の延伸倍率は4倍であった。
得られたパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の物性は、繊度1679dtex、単糸数が1000フィラメント、引張強度が25.3cN/dtex、伸度が4.3%、引張弾性率が585cN/dtexであった。
[高弾性率パラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造]
(開繊工程)
得られたパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維に対して、3MPaの圧縮空気を内径5mmのチューブを通して、繊維束から5mmの距離から繊維束の繊維軸方向と垂直に吹き付け、繊維束の幅を2mmから20mmに開繊した。
(開繊工程)
得られたパラ型全芳香族コポリアミド原料繊維に対して、3MPaの圧縮空気を内径5mmのチューブを通して、繊維束から5mmの距離から繊維束の繊維軸方向と垂直に吹き付け、繊維束の幅を2mmから20mmに開繊した。
(緊張熱処理工程)
開繊したパラ型全芳香族コポリアミド繊維束に対して、送出ローラーおよび巻取ローラーが備わった非接触熱処理炉を用いて、緊張熱処理を行った。非接触式加熱炉の雰囲気温度は340℃とし、かつ送出ローラー速度は10m/分として、緊張熱処理工程の張力が2.7cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した。最終的に得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
開繊したパラ型全芳香族コポリアミド繊維束に対して、送出ローラーおよび巻取ローラーが備わった非接触熱処理炉を用いて、緊張熱処理を行った。非接触式加熱炉の雰囲気温度は340℃とし、かつ送出ローラー速度は10m/分として、緊張熱処理工程の張力が2.7cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した。最終的に得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
<実施例2>
開繊工程において、圧縮空気を繊維束から10mmの距離から吹き付け、繊維束の幅を2mmから30mmに開繊した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
開繊工程において、圧縮空気を繊維束から10mmの距離から吹き付け、繊維束の幅を2mmから30mmに開繊した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
<実施例3>
開繊工程において、圧縮空気を繊維束から3mmの距離から吹き付け、繊維束の幅を2mmから40mmに開繊した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
開繊工程において、圧縮空気を繊維束から3mmの距離から吹き付け、繊維束の幅を2mmから40mmに開繊した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
<実施例4>
緊張熱処理工程において、非接触式加熱炉の雰囲気温度を400℃とし、張力が2.5cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
緊張熱処理工程において、非接触式加熱炉の雰囲気温度を400℃とし、張力が2.5cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
<実施例5>
緊張熱処理工程において、張力が4.3cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
緊張熱処理工程において、張力が4.3cN/dtexとなるように巻取ローラーの速度を調整した以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
<比較例1>
開繊工程において開繊を行わず、繊維束の幅を3mmとした以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド延伸繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
開繊工程において開繊を行わず、繊維束の幅を3mmとした以外は、実施例1と同様にパラ型全芳香族コポリアミド繊維を製造した。得られたパラ型全芳香族コポリアミド延伸繊維の各物性および工程通過性の評価結果を、表1に示す。
本発明の製造方法によって得られるパラ型全芳香族コポリアミド繊維は、パラ型全芳香族コポリアミド繊維が本来有する耐熱性等の性能を備えつつ、引張弾性率に優れた繊維となる。また同時に、繊維を構成する単糸の破断が抑制されているため、引張強度の高い繊維となる。そのため、コンクリートや樹脂等の補強材、ロープ等の用途に有用である。また、本発明の製造方法によれば、繊維を構成するフィラメント数に制約がなくなり、その結果、繊維の総繊度に制約がなくなるため、得られる繊維は、より幅広い産業資材用途への適用が可能となる。
Claims (4)
- パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維を開繊する開繊工程と、
2.0〜6.0cN/dtexの張力下、50〜450℃の温度で熱処理する緊張熱処理工程と、を実施するパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法。 - 前記開繊工程は、パラ型全芳香族コポリアミド原料繊維の幅を、12mm以上に開繊する請求項1記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法。
- 前記全芳香族コポリアミド繊維は、コポリパラフェニレン・3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維である請求項1または2記載のパラ型全芳香族コポリアミド繊維の製造方法。
- 請求項1〜3いずれか記載の製造方法により得られるパラ型全芳香族コポリアミド繊維であって、
引張弾性率が650cN/dtex以上であり、引張強度が23.2cN/dtex以上であるパラ型全芳香族コポリアミド繊維。
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