JP2014111413A - ハイブリッド電気自動車の走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】SOCの制御範囲の拡大に起因するバッテリの耐久性低下を未然に防止した上で、制御範囲の拡大領域を有効に利用して燃費を向上できるハイブリッド電気自動車の走行制御装置を提供する。
【解決手段】車両1の前方に降坂路が予測された場合に、降坂路よりも手前の地点でバッテリのSOCの制御範囲を拡大する。そして、降坂路への到達までの走行中に、モータの力行制御によりバッテリのSOCを拡大後の制御範囲の下限SOCloexまで低下させる。また、その後の降坂路の走行中には、モータの回生制御によりSOCを拡大後の制御範囲の上限SOCupexまで増加させる。下限側の拡大領域内ではモータに供給する電流を抑制し、上限側の拡大領域内ではモータにより発電される電流を抑制し、これによりSOCの増減を緩やかにしてバッテリの劣化を防止する。
【選択図】図3

Description

本発明はハイブリッド電気自動車の走行制御装置に係り、詳しくは走行用動力源としてエンジン及びモータを搭載したハイブリッド電気自動車の走行制御装置に関する。
この種のハイブリッド電気自動車は、減速時や降坂路の走行時には、モータを回生制御することにより車両の運動エネルギを発電電力として回収してバッテリに充電している。また加速時や登坂路の走行時には、バッテリからの放電電力でモータを力行制御して駆動力を発生させ、これによりエンジンの負担を軽減して低燃費化を図っている。
バッテリの満充電時にはモータを回生制御できず、バッテリの過放電時にはモータを力行制御できず、また過度のバッテリの充放電は耐久性を低下させることにもつながる。このため、一般にバッテリを所定の充電率(SOC:State Of Charge)の範囲内で制御することにより、常にモータの回生制御や力行制御を実行できる余地を確保すると共に、バッテリの過度の充放電を防止している。
従って、例えば降坂路の走行中においてモータの回生制御によりバッテリのSOCが制御範囲の上限に達すると、この先も降坂路が連続していたとしてもモータの回生制御を中止せざるを得ない。よって、その後は車両の運動エネルギを電力として回収できず、エンジンブレーキやサービスブレーキの作動による熱エネルギとして無駄に捨てられてしまう。
このような不具合に対する対策として、例えば特許文献1の技術が提案されている。この特許文献1の技術では、走行中の車両の前方に降坂路の存在が予測されたときにSOCの制御範囲を拡大し、降坂路への到達までにモータの力行制御によりバッテリのSOCを拡大後の制御範囲の下限まで低下させている。また、その後の降坂路の走行時には、モータの回生制御によりバッテリのSOCを拡大後の制御範囲の上限まで増加させている。
従って、降坂路までの走行中にはバッテリから余分に電力を放電させてモータの駆動に費やすことにより、その分だけエンジンの負担を軽減して燃費節減が可能となる。また、降坂路での走行中にはモータの回生電力を余分にバッテリに充電するため、その電力を後のモータ駆動に利用することで燃費節減が可能となる。
特開2005−160269号公報
しかしながら、本来SOCの制御範囲はバッテリの保護の知見から設定されたものであり、特許文献1の技術のように降坂路の度に制御範囲を拡大すれば、過度の充放電によりバッテリの耐久性が低下してしまう懸念がある。
また、たとえSOCの制御範囲を拡大しても、その拡大領域を別の制限によって有効に利用できない場合もある。即ち、バッテリが充放電するときの電流には熱的な制限があり、限界を超えた充放電電流はバッテリの温度上昇に費やされて破損の要因になる。そこで、バッテリの充放電時の電流I及び充放電時間Δtに基づき、次式(1)から発熱量に対応する指標Hを算出し、この指標Hが予め設定された上限許容値に達すると充放電電流を制限する対策が講じられている。
Figure 2014111413
ここに、αはバッテリの特性によって定まる係数である。
ところが、SOCの制御範囲の拡大は充放電時間の延長化につながるため、式(1)に基づく充放電電流の制限によりモータの力行制御や回生制御が中断されてしまう。このため、制御範囲の拡大した領域を有効に利用できなくなり、結果としてSOCの制御範囲を拡大したことによる作用効果が得られなくなる。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、SOCの制御範囲の拡大に起因するバッテリの耐久性低下を未然に防止した上で、制御範囲の拡大領域を有効に利用して燃費を向上することができるハイブリッド電気自動車の走行制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、走行用動力源としてエンジン及びモータを搭載し、エンジンの駆動力及びモータの力行制御による駆動力により走行し、降坂路ではモータを回生制御して発電電力をバッテリに充電するハイブリッド電気自動車の走行制御装置において、バッテリの充電率を予め設定された制御範囲に保ちながら、車両の走行中にエンジン及びモータの運転状態を制御する運転制御手段と、車両の前方に存在する降坂路を予測する降坂路予測手段と、降坂路予測手段により前方の降坂路が予測された場合に、降坂路よりも手前の地点で充電率の制御範囲を拡大する制御範囲拡大手段とを備え、運転制御手段が、制御範囲拡大手段により充電率の制御範囲が拡大されたときに、車両が降坂路に到達するまでにモータの力行制御によりバッテリの充電率を制御範囲の下限側の拡大領域内まで低下させると共に、拡大領域内ではモータに供給する電流を抑制するものである。
請求項2の発明は、請求項1において、運転制御手段が、車両が降坂路に到達して降坂路を走行中のときに、モータの回生制御によりバッテリの充電率を制御範囲の上限側の拡大領域内まで増加させると共に、拡大領域内ではモータにより発電される電流を抑制するものである。
以上説明したように請求項1の発明のハイブリッド電気自動車の走行制御装置によれば、車両の前方に降坂路が予測された場合に、降坂路よりも手前の地点でバッテリの充電率の制御範囲を拡大し、車両が降坂路に到達するまでにモータの力行制御によりバッテリの充電率を制御範囲の下限側の拡大領域内まで低下させると共に、拡大領域内ではモータに供給する電流を抑制するようにした。
従って、車両が降坂路に到達するまでの走行中には、バッテリから余分に放電させた電力をモータの駆動に費やすことによりエンジンの負担を軽減して燃費節減を達成できる。そして、下限側の拡大領域内ではバッテリの充電率が緩やかに低下するため、通常の制御範囲を超えた充電率の制御に起因するバッテリの劣化を最小限に抑制できる。また、バッテリの放電時の電流が低減されることから、バッテリの発熱に起因する破損防止のためにモータの力行制御が中断される事態を回避でき、制御範囲の拡大領域を燃費節減のために有効に利用することができる。
請求項2の発明のハイブリッド電気自動車の走行制御装置によれば、請求項1に加えて、車両が降坂路を走行中のときに、モータの回生制御によりバッテリの充電率を制御範囲の上限側の拡大領域内まで増加させると共に、拡大領域内ではモータにより発電される電流を抑制するようにした。
従って、降坂路の走行時には、モータの回生制御によりバッテリに余分に電力を充電し、その電力を後のモータ駆動に利用することにより燃費節減を達成できる。そして、上限側の拡大領域内ではバッテリの充電率が緩やかに増加するため、通常の制御範囲を超えた充電率の制御に起因するバッテリの劣化を最小限に抑制できる。また、バッテリの充電時の電流が低減されることから、バッテリの発熱に起因する破損防止のためにモータの回生制御が中断される事態を回避でき、制御範囲の拡大領域を燃費節減のために有効に利用することができる。
実施形態の走行制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。 車両ECUが実行する降坂路対応モータ制御ルーチンを示すフローチャートである。 降坂路が予測されたときのモータ制御の実行状況を示すタイムチャートである。
以下、本発明をハイブリッド型トラックの走行制御装置に具体化した実施形態を説明する。
図1は本実施形態の走行制御装置が搭載されたハイブリッド型トラックを示す全体構成図である。
ハイブリッド型トラック1はいわゆるパラレル型ハイブリッド電気自動車として構成されており、以下の説明では、車両と称する場合もある。車両1には走行用動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)2、及び例えば永久磁石式同期電動機のように発電機としても作動可能なモータ3が搭載されている。エンジン1の出力軸にはクラッチ4が連結され、クラッチ4にはモータ3の回転軸を介して自動変速機5の入力側が連結されている。自動変速機5の出力側にはプロペラシャフト6を介して差動装置7が連結され、差動装置7には駆動軸8を介して左右の駆動輪9が連結されている。
自動変速機5は一般的な手動変速機をベースとしてクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を自動化したものであり、本実施形態では、前進6速後退1速の変速段を有している。当然ながら、変速機5の構成はこれに限るものではなく任意に変更可能であり、例えば手動式変速機として具体化してもよいし、2系統の動力伝達系を備えたいわゆるデュアルクラッチ式自動変速機として具体化してもよい。
モータ3にはインバータ10を介してバッテリ11が接続されている。バッテリ11に蓄えられた直流電力はインバータ10により交流電力に変換されてモータ3に供給され(力行制御)、モータ3が発生した駆動力は自動変速機5で変速された後に駆動輪9に伝達されて車両1を走行させる。また、例えば車両1の減速時や降坂路での回生走行時には、駆動輪9側からの逆駆動によりモータ3が発電機として作動する(回生制御)。モータ3が発生した負側の駆動力は制動力として駆動輪9側に伝達されると共に、モータ3が発電した交流電力がインバータ10で直流電力に変換されてバッテリ11に充電される。
このようなモータ3が発生する駆動力は上記クラッチ4の断接状態に関わらず駆動輪9側に伝達され、これに対してエンジン2が発生する駆動力はクラッチ4の接続時に限って駆動輪9側に伝達される。従って、クラッチ4の切断時には、上記のようにモータ3が発生する正側または負側の駆動力が駆動輪9側に伝達されて車両1が走行する。また、クラッチ4の接続時には、エンジン2及びモータ3の駆動力が駆動輪9側に伝達されたり、或いはエンジン2の駆動力のみが駆動輪側に伝達されたりして車両1が走行する。
車両ECU13は車両全体を統合制御するための制御回路である。そのために車両ECU13には、アクセルペダル14の操作量θaccを検出するアクセルセンサ15、ブレーキペダル16の踏込操作を検出するブレーキスイッチ17、車両1の速度Vを検出する車速センサ18、エンジン2の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ19、モータ3の回転速度Ntを検出するモータ回転速度センサ20、ナビゲーション装置31(降坂路予測手段)及び通信装置32(降坂路予測手段)などが接続されている。
また、車両ECU13には、図示はしないがクラッチ4を断接操作するアクチュエータ、及び自動変速機5を変速操作するアクチュエータなどが接続されると共に、エンジン制御用のエンジンECU22、インバータ制御用のインバータECU23、及びバッテリ11を管理するバッテリECU24が接続されている。
車両ECU13は、運転者によるアクセル操作量θaccなどに基づき車両1を走行させるために必要な要求トルクを算出し、その要求トルクやバッテリ11のSOCなどに基づき車両1の走行モードを選択する。本実施形態では走行モードとして、エンジン2の駆動力のみを用いるE/Gモード、モータ3の駆動力のみを用いるEVモード、及びエンジン2及びモータ3の駆動力を共に用いるHEVモードが設定されており、その何れかの走行モードを車両ECU13が選択するようになっている。
車両ECU13は選択した走行モードに基づき、要求トルクをエンジン2やモータ3が出力すべきトルク指令値に換算する。例えばHEVモードでは要求トルクをエンジン2側及びモータ3側に配分した上で、その時点の変速段に基づきエンジン2及びモータ3のトルク指令値を算出する。また、E/Gモードでは要求トルクを変速段に基づきエンジン2へのトルク指令値に換算し、EVモードでは要求トルクを変速段に基づきモータ3へのトルク指令値に換算する。
そして、車両ECU13は選択した走行モードを実行すべく、EVモードでは上記クラッチ4を切断し、E/Gモード及びHEVモードではクラッチ4を接続した上で、エンジンECU22及びインバータECU23にトルク指令値を適宜出力する。また、車両1の走行中において車両ECU13は、アクセル操作量θaccや車速Vなどに基づき図示しないシフトマップから目標変速段を算出し、この目標変速段を達成すべく、アクチュエータによりクラッチ4の断接操作及び変速段の切換操作を実行する。
一方、エンジンECU22は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するようにエンジン2の噴射量制御や噴射時期制御を実行する。例えばE/GモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してエンジン2に駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してエンジンブレーキを発生させる。また、EVモードの場合には、燃料噴射の中止によりエンジン2を停止保持するか、或いはアイドル運転状態とする。
また、インバータECU23は、車両ECU13から入力された走行モード及びトルク指令値を達成するように、インバータ10を駆動制御する。例えばEVモードやHEVモードでは、正側のトルク指令値に対してモータ3を力行制御して正側の駆動力を発生させ、負側のトルク指令値に対してはモータ3を力行制御して負側の駆動力を発生させる。また、E/Gモードの場合には、モータ3の駆動力を0に制御する。
また、バッテリECU24は、バッテリ11の温度、バッテリ11の電圧、インバータ10とバッテリ11との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ11のSOCを算出し、このSOCを検出結果と共に車両ECU13に出力する。
以上の制御により、車両1は常に要求トルクに応じたエンジン2やモータ3による駆動力で走行すると共に、バッテリ11のSOCが予め設定された制御範囲、本実施形態では25〜75%の制御範囲内に保たれる(運転制御手段)。
一方、ナビゲーション装置31は自己の記憶領域に記憶されている地図データ、及びアンテナを介して受信されるGPS情報などに基づき、車両1の走行中に地図上の自車位置を特定する。通信装置32は、路側に適宜設置されているデータセンタの路側通信システムとの間で路車間通信を行うと共に、周囲を走行中の他車との間で車々間通信を行う。
通信対象となる情報としては、例えば自車が保有しない地図情報、或いは道路情報(道路のカーブや勾配など)や交通情報(渋滞情報、事故情報、工事情報など)などがある。通信装置32は、これらの情報を路側通信システムや他車から取得したり、逆にこれらの情報を他車に供給したりする。
車両ECU13はナビゲーション装置31により特定された自車位置、通信装置32により取得された道路情報などに基づき、自車の前方に降坂路が存在するか否かを予測する。そして、降坂路の存在を予測したときには、特許文献1の技術と同じく、降坂路よりも手前の地点でバッテリ11のSOCの制御範囲を拡大し、拡大後の制御範囲に基づきモータ3の力行制御及び回生制御を行うことにより燃費節減を図っている。
ところが、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、バッテリ11の保護のために設定された制御範囲を拡大すると、過度の充放電によりバッテリ11の耐久性が低下する懸念がある。一方で、制御範囲を拡大したとしても、発熱による破損防止のために式(1)に基づき充放電電流が制限されると、制御範囲の拡大領域を有効に利用できなくなる。
このような問題点を鑑みて本実施形態では、制御範囲の上下限の拡大領域ではモータ3の力行制御や回生制御による電流を抑制する対策を講じており、以下、当該対策のために車両ECU13が実行する処理を説明する。
図2は車両ECU13が実行する降坂路対応モータ制御ルーチンを示すフローチャート、図3は降坂路が予測されたときのモータ制御の実行状況を示すタイムチャートである。図3では、実施形態の制御状況を実線で示し、先行技術である特許文献1の技術の制御状況を破線で示している。
車両ECU13は車両1の走行中に図2のルーチンを所定の制御インターバルで実行している。まず、ステップS2でナビゲーション装置31から自車位置を入力すると共に、通信装置32から道路情報を取得する。続くステップS4では、これらの情報に基づき自車の前方の所定距離(例えば2km)以内に降坂路が存在するか否かを予測し(降坂路予測手段)、判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。
また、ステップS4の判定がYes(肯定)のときにはステップS5に移行し、SOC範囲拡大の要否を判定する。SOC範囲拡大の要否の判定は、例えば降坂路から得られる回生エネルギの予測に基づいて行い、SOCの制御範囲以上の回生エネルギが得られる可能性がある場合にはSOC範囲拡大を行い、それ以外の場合にはSOC範囲拡大を行わない。これはバッテリ11の保護のためであり、これによりバッテリ性能を長期間維持するという効果が期待できる。
ステップS5の判定がNoのときには一旦ルーチンを終了する。また、ステップS5の判定がYesのときにはステップS6に移行し、上記SOCの制御範囲を拡大する(制御範囲拡大手段)。本実施形態では、制御範囲の上限及び下限を均等に5%ずつ拡大して20〜80%に変更している。但し、これに限定されるものではなく、拡大幅を変更してもよいし、上限と下限とを不均等に拡大してもよい。
以下、説明の便宜上、通常の制御範囲の上限を通常上限SOCup、下限を通常下限SOClo、拡大後の制御範囲の上限を拡大上限SOCupex、下限を拡大下限SOCloexとする。また、通常上限SOCupから拡大上限SOCupexまでの領域、及び通常下限SOCloから拡大下限SOCloexまでの領域をそれぞれ拡大領域と称する。
その後、車両ECU13はステップS8で通常通りの制御内容でモータ3の力行制御を実行する。例えば、このときの走行モードとしてはHEVモードが選択されており、図3に示すようにモータ3を駆動するための消費電力によりバッテリ11のSOCは次第に低下する。なお、ステップS8では、バッテリ11のSOCを制御範囲の下限側の拡大領域まで確実に低下させるために、通常の制御内容に代えて、例えばモータ3側のトルク配分を増加(エンジン2側のトルク配分は低下)させるような制御を実行してもよい。
車両ECU13は、続くステップS10でバッテリ11のSOCが通常下限SOClo未満であるか否かを判定し、NoのときにはステップS6に戻る。図3にポイントaで示すように、バッテリ11のSOCが通常下限SOCloまで低下すると、車両ECU13はステップS10でYesの判定を下してステップS12に移行する。ステップS12ではモータ3に供給する電流を抑制した制御内容でモータ3の力行制御を継続する(運転制御手段)。
このため、図3に示すようにバッテリ11のSOCは下限側の拡大領域内で低下速度を緩めながら低下し続け、ポイントbで拡大下限SOCloexに到達した後は拡大下限SOCloexに保持される。よって、以降はモータ3の力行制御が中止されて、エンジン2の駆動により車両1の走行が継続される。
車両1が降坂路に到達すると運転者のアクセル操作が中止され、車両1は位置エネルギを消費しながら降坂路の走行を開始する。このため、車両ECU13はステップS12からステップS14に移行して回生制御を開始する。ステップS14では、モータ3により発電される電流を抑制した制御内容で回生制御を行う(運転制御手段)。このため、図3のポイントcで車両1が降坂路に到達すると、バッテリ11のSOCは下限側の拡大領域内で緩やかに増加し始める。
車両ECU13はステップS16でバッテリ11のSOCが通常下限SOClo以上であるか否かを判定し、NoのときにはステップS14に戻る。そして、図3にポイントdで示すようにSCOが通常下限SOCloに到達するとステップS16でYesの判定を下し、ステップS18で通常通りの制御内容でモータ3の回生制御を実行する。その後にステップS20でバッテリ11のSOCが通常上限SOCup以上であるか否かを判定し、NoのときにはステップS18に戻る。
ステップS18の処理により、モータ3は電流を抑制されることなく回生制御を継続し、SOCは迅速に増加して図3にポイントeで示すように通常上限SOCupに到達する。車両ECU13はステップS20でYesの判定を下してステップS22に移行し、上記ステップS14と同じく発電電流を抑制した制御内容でモータ3の回生制御を実行し(運転制御手段)、その後にルーチンを終了する。
従って、図3に示すようにバッテリ11のSOCは上限側の拡大領域内では増加速度を緩めながら増加し続け、ポイントfで拡大上限SOCupexに到達する。以降はモータ3の回生制御が中止され、回生制動に代えてエンジンブレーキなどを利用して降坂路での車速Vの増加が抑制される。
以上のように、車両1の前方に降坂路の存在が予測されたときには手前の地点でSOCの制御範囲を拡大している。そして、車両1が降坂路に到達するまでの走行中にはバッテリ11のSOCを制御範囲の下限まで低下させて余分に放電させた電力をモータ3の駆動に費やすことにより、エンジン2の負担を軽減して燃費を節減している。また、その後の降坂路の走行時には、モータ3の回生制御によりバッテリ11のSOCを拡大上限SOCupexまで増加させ、余分に充電した電力を後のモータ駆動に利用することで燃費を節減している。
そして本実施形態では、SOCの制御範囲の上限側及び下限側の拡大領域内においてモータ3の力行制御や回生制御による入出力電流を抑制している。このため図3中に破線で示す先行技術との比較から明らかなように、本実施形態によれば拡大領域内でバッテリ11のSOCがより緩やかに増減する。このため、通常の制御範囲を超えたSOCの制御に起因するバッテリ11の劣化を最小限に抑制することができる。
また、結果としてバッテリ11の充放電時の電流が低減されるため、上式(1)から算出されるHが上限許容値を超える可能性が低くなる。よって、上限側または下限側の拡大領域内でSOCを制御しているときに、式(1)に基づく充放電電流の制限によってモータ3の力行制御や回生制御が中断されてしまう事態を未然に防止できる。その結果、常に制御範囲の拡大領域を有効に利用してSOCを制御でき、もって上記した燃費節減の作用効果を確実に達成することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ハイブリッド型トラック1の走行制御装置に具体化したが、これに限るものではなく、例えばハイブリッド型の乗用車やバスなどに具体化してもよい。
2 エンジン
3 モータ
11 バッテリ
13 車両ECU(運転制御手段、降坂路予測手段、制御範囲拡大手段)
31 ナビゲーション装置(降坂路予測手段)
32 通信装置(降坂路予測手段)

Claims (2)

  1. 走行用動力源としてエンジン及びモータを搭載し、該エンジンの駆動力及び上記モータの力行制御による駆動力により走行し、降坂路では上記モータを回生制御して発電電力をバッテリに充電するハイブリッド電気自動車の走行制御装置において、
    上記バッテリの充電率を予め設定された制御範囲に保ちながら、上記車両の走行中に上記エンジン及びモータの運転状態を制御する運転制御手段と、
    上記車両の前方に存在する降坂路を予測する降坂路予測手段と、
    上記降坂路予測手段により前方の降坂路が予測された場合に、該降坂路よりも手前の地点で上記充電率の制御範囲を拡大する制御範囲拡大手段と
    を備え、
    上記運転制御手段は、上記制御範囲拡大手段により上記充電率の制御範囲が拡大されたときに、上記車両が上記降坂路に到達するまでに上記モータの力行制御により上記バッテリの充電率を上記制御範囲の下限側の拡大領域内まで低下させると共に、該拡大領域内では上記モータに供給する電流を抑制することを特徴とするハイブリッド電気自動車の走行制御装置。
  2. 上記運転制御手段は、上記車両が上記降坂路に到達して該降坂路を走行中のときに、上記モータの回生制御により上記バッテリの充電率を上記制御範囲の上限側の拡大領域内まで増加させると共に、該拡大領域内では上記モータにより発電される電流を抑制することを特徴とするハイブリッド電気自動車の走行制御装置。
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