JP2014113012A - フォークリフト用のモータ駆動装置およびそれを用いた電動フォークリフト - Google Patents

フォークリフト用のモータ駆動装置およびそれを用いた電動フォークリフト Download PDF

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Junichi Okada
純一 岡田
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Abstract

【課題】レゾルバなどの速度センサの異常を検出する。
【解決手段】モータ駆動装置300は、デュアルモータ式の電動フォークリフトに搭載される。速度分配部200は、運転者の操作に応じた速度指令値Vrefおよび転舵輪の転舵角δrにもとづき、左走行モータM1L、右走行モータM1Rそれぞれの速度指令値Vlref、Vrrefを計算する。速度センサ220L、220Rは、走行モータM1L、M1Rの回転数に応じた左速度検出値Vl、Vrを生成する。トルク指令値生成部202は、左走行モータのトルク指令値Tlcomを生成するとともに、右走行モータのトルク指令値Vrcomを生成する。異常検出部230は、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの関係が、正常状態において転舵角δrに応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するか否かを判定条件として、速度センサ220L、220Rの異常を検出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、フォークリフト用のモータ駆動装置に関する。
産業車両のひとつに、電池を動力源とする電動フォークリフトがある。電動フォークリフト(以下単にフォークリフトとも称する)は、走行用車輪(駆動輪)である前輪に動力を伝達する走行モータと、転舵輪である後輪の転舵角(操舵角)を制御する油圧ポンプに動力を伝達する油圧アクチュエータ用モータ(ステアリングモータ)と、昇降体を制御する油圧ポンプに動力を伝達する油圧アクチュエータ用モータ(荷役モータ)と、走行モータ、ステアリングモータ、荷役モータそれぞれを駆動する電力変換装置(以下、モータ駆動装置ともいう)を備える。
電動フォークリフトには、駆動輪の回転数を検出するレゾルバ(速度センサ)が設けられる。走行用のモータ駆動装置は、レゾルバによって検出された駆動輪の回転数から求まる車輪の検出速度(速度検出値)と、運転者の操作(アクセルの踏み込み量)に応じた速度指令値の誤差がゼロとなるように、走行モータのトルクをPI制御などを用いてフィードバック制御する。
特開平11−248487号公報
電動フォークリフトには、単一の走行モータとディファレンシャルギアを用いて、左右の駆動輪を駆動するタイプ(シングルモータ型という)と、2個の走行モータにより、左右の駆動輪を独立して駆動するタイプ(デュアルモータ型という)に分類される。本発明者らは、デュアルモータ型の電動フォークリフトについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
シングルモータ型の電動フォークリフトでは、ディファレンシャルギア(機械デフという)によって、旋回時における内輪と外輪の回転数の比を調節する。したがって、仮にレゾルバが故障し、速度検出値が実際のモータの回転数と乖離したとしても、フォークリフトの車体はそれほどおかしな挙動を示さない。
これに対してデュアルモータ型の電動フォークリフトは、電子制御によって、左走行モータおよび右走行モータの回転数を調節する(電子デフという)。具体的には、以下の制御が行われる。
1. 速度分配(電子デフ制御)
運転者の操作(アクセルの踏み込み量)に応じた速度指令値を、転舵角(操舵角)に応じて、左右の駆動輪それぞれの速度指令値に分配する。
2. 速度検出
左走行モータの回転数を検出するレゾルバと、右走行モータの回転数を検出するレゾルバと、を利用して、左走行モータ、右走行モータそれぞれの回転数を検出する。
3. トルク制御
左走行モータに関して、PI制御などを用いて、レゾルバによって検出された左走行モータの回転数と、電子デフにより分配された左走行モータに対する速度指令値の誤差がゼロとなるように、左走行モータのトルクをフィードバック制御する。同様に右走行モータに関して、PI制御などを用いて、レゾルバによって検出された右走行モータの回転数と、電子デフにより分配された右走行モータに対する速度指令値の誤差がゼロとなるように、右走行モータのトルクをフィードバック制御する。
デュアルモータ型の電動フォークリフトでは、左右のレゾルバのうち一方に異常が発生すると、その速度検出値が異常値となる。すなわちその速度検出値がゼロ(または、過度に大きな値)のような値をとった場合が特に問題となる。この場合、速度指令値と速度検出値が著しく乖離し、それらの誤差(差分)が大きくなるため、過大なトルクが発生する。片輪のみに過大なトルクが発生した場合、車体の急旋回やスピンなどいった運転者が意図しない挙動を示す恐れがある。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、レゾルバなどの速度センサの異常を検出可能なモータ駆動装置の提供にある。
本発明のある態様は、デュアルモータ式の電動フォークリフトに搭載され、電動フォークリフトの目標速度を示す速度指令値にもとづいて電動フォークリフトの左駆動輪と右駆動輪それぞれに動力を伝達する左走行モータおよび右走行モータを制御するモータ駆動装置に関する。モータ駆動装置は、運転者の操作に応じた速度指令値および電動フォークリフトの転舵輪の転舵角にもとづき、左走行モータの速度を指示する左速度指令値と右走行モータの速度を指示する右速度指令値を計算する速度分配部と、左走行モータの回転数に応じた左速度検出値を生成する左速度センサと、右走行モータの回転数に応じた右速度検出値を生成する右速度センサと、左速度指令値と左速度検出値の誤差にもとづいて、左走行モータのトルクを指示する左トルク指令値を生成するとともに、右速度指令値と右速度検出値の誤差にもとづいて、右走行モータのトルクを指示する右トルク指令値を生成するトルク指令値生成部と、左速度検出値と右速度検出値の関係が、正常状態において転舵角に応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するか否かを判定条件として、左速度センサと右速度センサの異常を検出する異常検出部と、を備える。
駆動輪がスリップしていない状態では、左右それぞれの駆動輪の回転速度は、それぞれの旋回半径に比例するため、転舵角に依存した関係を保つ。したがって、左右の速度センサが正常であれば、左右の速度検出値は、転舵角に依存した関係を保つことになる。一方、左右の速度センサの少なくとも一方に異常が生ずると、左右の速度検出値の関係が、正常時の関係から逸脱する。この態様によると、左右の速度検出値の関係にもとづいて、左右の速度センサの異常を検出することができる。
速度分配部は、運転者の操作に応じた速度指令値をVrefとするとき、左走行モータおよび右走行モータのうち、旋回時に外輪となる駆動輪に対応する一方に対する速度指令値をVrefとし、旋回時に内輪となる駆動輪に対応する一方に対する速度指令値を、転舵角δrの関数F(δr)を用いて、Vref×F(δr)とし、異常検出部は、左走行モータおよび右走行モータのうち、旋回時に内輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値が、旋回時に外輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値にF(δr)を乗じた値から逸脱したか否かを判定してもよい。
異常検出部は、旋回時において、左速度検出値と右速度検出値の比が、速度分配部により計算される左速度指令値と右速度指令値の比から逸脱するか否かを判定してもよい。
異常検出部は、判定条件が所定時間持続して満たされるときに、左速度センサと右速度センサの少なくとも一方を異常と判定してもよい。
異常検出部は、所定の判定時間内に判定条件が所定回数以上、満たされるときに、左速度センサと右速度センサの少なくとも一方を異常と判定してもよい。
異常検出部は、判定条件が満たされると、速度分配部に入力される速度指令値を低下させ、その後、再び上昇させる再始動シーケンスを実行し、再始動シーケンスの後に、判定条件が満たされるとき、左速度センサと右速度センサの少なくとも一方を異常と判定してもよい。
フォークリフトが段差に乗り上げることにより駆動輪が空転したり、水たまりにより駆動輪がスリップすることがある。このような場合、速度センサが正常であっても、異常検出部において判定条件が満たされ、速度センサの異常が誤検出される恐れがある。この態様によれば、再始動シーケンスを実行することにより、空転、スリップ状態が解消することが期待される。その結果、左速度検出値と右速度検出値の関係が、正常状態において転舵角に応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係に戻るため、誤検出を防止できる。
異常検出部は、再始動シーケンスを複数回実行し、その後に判定条件が満たされるとき、左速度センサと右速度センサの少なくとも一方を異常と判定してもよい。
再始動シーケンスを複数回実行することにより、空転、スリップ状態から正常状態への復帰が、より高い確率で期待され、誤検出を防止できる。
本発明の別の態様は、電動フォークリフトに関する。電動フォークリフトは、左駆動輪および右駆動輪と、左駆動輪および右駆動輪それぞれに動力を伝達する左走行モータおよび右走行モータと、左走行モータおよび右走行モータを駆動する上述のモータ駆動装置と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、レゾルバなどの速度センサの異常を検出できる。
前輪駆動、後輪操舵形式の電動フォークリフトの外観図を示す斜視図である。 フォークリフトの操縦パネルの一例を示す図である。 デュアルモータ式のフォークリフトの電気系統、機械系統の構成を示すブロック図である。 図4(a)、(b)は、デュアルモータ式のフォークリフトを模式的に示す図である。 実施の形態に係るモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。 第1の変形例に係るモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。 図6のモータ駆動装置の動作波形図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図1は、前輪駆動、後輪操舵形式の電動フォークリフトの外観図を示す斜視図である。フォークリフト600は、車体(シャーシ)602、フォーク604、昇降体(リフト)606、マスト608、駆動輪である前輪610、操舵輪(転舵輪)である後輪612を備える。マスト608は車体602の前方に設けられる。昇降体606は、油圧アクチュエータ(図1に不図示、図3の116)などの動力源によって駆動され、マスト608に沿って昇降する。昇降体606には、荷物を支持するためのフォーク604が取り付けられている。
図2は、フォークリフトの操縦パネル700の一例を示す図である。操縦パネル700は、イグニッションスイッチ702、ステアリングホイール704、リフトレバー706、アクセルペダル708、ブレーキペダル710、ダッシュボード714、前後進レバー712を備える。
イグニッションスイッチ702は、フォークリフト600の起動用のスイッチである。ステアリングホイール704は、フォークリフト600の操舵を行うための操作手段である。リフトレバー706は、昇降体606を上下に移動させるための操作手段である。アクセルペダル708は、走行用の車輪の回転を制御する操作手段であり、運転者が踏み込み量を調節することでフォークリフト600の走行が制御される。運転者がブレーキペダル710を踏み込むと、ブレーキがかかる。前後進レバー712は、フォークリフト600の走行方向を、前進と後進で切りかえるためのレバーである。そのほか、図示しないインチングペダルが設けられてもよい。
続いて、フォークリフト600の構成を、走行、荷役、操舵それぞれについて説明する。図3は、デュアルモータ式のフォークリフト600の電気系統、機械系統の構成を示すブロック図である。ECU(電子制御コントローラ)110は、フォークリフト600全体を制御するためのプロセッサである。
電池106は、P線およびN線の間に、電池電圧VBATを出力する。
第1電力変換装置100、第2電力変換装置102、第3電力変換装置104は、モータ駆動装置300を構成する。モータ駆動装置300は、ECU110からの、第1制御指令値S1〜第3制御指令値S3にもとづき、走行モータM1L、M1R、荷役モータM2、ステアリングモータM3それぞれを駆動する。第1電力変換装置100、第2電力変換装置102、第3電力変換装置104はそれぞれ、電池電圧VBATを受け、3相交流信号に変換して、対応するモータM1L、M1R、M2、M3に供給する。
(走行)
ECU110は、前後進レバー712からの前進、後進を指示する信号と、アクセルペダル708からの、踏み込み量に応じた走行操作量を示す信号を受け、それに応じた第1制御指令値S1を第1電力変換装置100に出力する。第1電力変換装置100は、第1制御指令値S1に応じて左走行モータM1L、右走行モータM1Rそれぞれに供給する電力を制御する。第1制御指令値S1は、走行モータM1の目標速度を指示する速度指令値と相関を有する。駆動輪である左前輪(左駆動輪)610Lは、左走行モータM1Lの動力により回転し、右前輪(右駆動輪)610Rは、右走行モータM1Rの動力により回転する。
(荷役)
リフトレバー706の傾きによって、昇降体606の上下動が制御される。ECU110は、リフトレバー706の傾きを検出し、傾きに応じた荷役操作量を示す第2制御指令値S2を第2電力変換装置102に出力する。第2電力変換装置102は、第2制御指令値S2に応じた電力を荷役モータM2に供給し、その回転を制御する。昇降体606は、油圧アクチュエータ116と連結される。油圧アクチュエータ116は、荷役モータM2が生成する回転運動を、直線運動に変換し、昇降体606を制御する。
(操舵)
エンコーダ122は、ステアリングホイール704の回転角を検出し、回転角を示す信号をECU110に出力する。ECU110は、回転角に応じた第3制御指令値S3を第3電力変換装置104に出力する。第3電力変換装置104は、第3制御指令値S3に応じた電力をステアリングモータM3に供給し、その回転数を制御する。転舵輪である後輪612は、タイロッド126を介してギアボックス124と連結される。ステアリングモータM3の回転運動は、油圧アクチュエータ118およびギアボックス124を介して、タイロッド126に伝達され、操舵が制御される。
図4(a)、(b)は、デュアルモータ式のフォークリフト600を模式的に示す図である。Lはホイールベース、Trfは前トレッド、Trrは後トレッド、nl(rpm)は左駆動輪610Lの回転速度を、nr(rpm)は右駆動輪610Rの回転速度を、Vl(m/s)は左駆動輪610Lの速度(車輪速度)を、Vr(m/s)は右駆動輪610Rの速度(車輪速度)を示す。
転舵輪である後輪612L、612Rは、アッカーマンステアリング機構によって転舵角が制御可能となっている。後輪612L、612Rそれぞれの車軸の交点が、車体の回転中心Oとなり、回転中心Oは、転舵角δrに応じて、前輪610L、610Rの軸上を左右に移動する。本実施の形態では、転舵角δrを右後輪の回転角として定義しているが、当業者には、転舵角δrの定義がそれには限定されないことが理解される。転舵角δrは、図4(a)に示す左旋回時に正、図4(b)に示す左旋回時に負をとるものとする。
ρxは、回転中心Oと、前輪610L、610Rの中点の距離である。
このフォークリフト600のステアリング機構は、回転中心Oが、前輪610L、610Rの間に移動することを許容する。この場合、左右の駆動輪610L、610Rは逆回転するよう制御される。
図5は、実施の形態に係るモータ駆動装置300(第1電力変換装置100)の構成を示すブロック図である。
モータ駆動装置300は、速度分配部200、トルク指令値生成部202、トルクリミット部208、インバータ210、左速度センサ220L、右速度センサ220R、回転数/速度(n/V)変換器221L、221R、転舵角センサ222、異常検出部230、を備える。
転舵角センサ222は、図3に示す転舵角δrを検出する。左速度センサ220Lおよび右速度センサ220Rはレゾルバとも称され、左走行モータM1L、右走行モータM1Rそれぞれの回転速度nl、nrを検出する。n/V変換器221L、221Rは、回転速度nl、nrに、タイヤの周長、減速ギア比などに応じた係数を乗算することにより、左駆動輪610Lの車輪速度Vwl、右駆動輪610Rの車輪速度Vwrを計算する。nlおよびVlを、左速度検出値、nrおよびVrを、右速度検出値とも称する。
速度分配部200は、アクセルの操作量に応じた速度指令値Vrefを受ける。速度分配部200は、現在の転舵角δrに応じて、左走行モータM1Lの目標速度である左速度指令値Vlrefと、右走行モータM1Rの目標速度である右速度指令値Vrrefを、以下の式にもとづいて計算する。
1. δr=0 (直進)
Vlref=Vrref=Vref
2. δr>0 (左旋回)
Vrref=Vref
Vlref=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)×Vref
ただし、ρx=L/tan(δr)−Trr/2である。
3. δr<0 (右旋回)
Vrref=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)×Vref
Vlref=Vref
ただし、δr≠−π/2のとき、ρx=−L/tan(δr)+Trr/2であり、δr=−π/2のとき、ρx=Trr/2である。
(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)は、転舵角δrの関数であり、それをF(δr)とする。そうすると、旋回時において外側となる駆動輪に対する速度指令値Vref_out、内側となる駆動輪に対する速度指令値Vref_inはそれぞれ、
Vref_out=Vref
Vref_in=F(δr)×Vref
となる。つまり旋回時において、内輪の速度と外輪の速度の比はF(δr)となる。
なお、速度分配部200は公知の技術を用いればよく、その構成や計算アルゴリズムは上記のそれに限定されない。
トルク指令値生成部202は、左速度指令値Vlrefと左走行モータM1Lの現在の速度Vlの誤差にもとづいて、左走行モータM1Lのトルクを指示する左トルク指令値Tlcomを生成する。同様に、右速度指令値Vrrefと右走行モータM1Rの現在の速度Vrの誤差にもとづいて、右走行モータM1Rのトルクを指示する右トルク指令値Trcomを生成する。
トルク指令値生成部202は、左速度指令値Vlrefと左速度検出値Vlの誤差を生成する減算器204Lと、誤差をPI(比例、積分)制御し、左トルク指令値Tlcomを生成するPI制御部206Lを含む。右輪についても同様である。
トルクリミット部208には、トルク指令値Tlcom、Trcomの上限値Tlimを規定するトルクリミットカーブTlim(n)がモータの速度nの関数として定義されている。
トルクリミット部208は、左トルク指令値Tlcomを、現在の左走行モータM1Lの速度nlおよびトルクリミットカーブTlim(n)に応じて定まる上限値Tllim以下に制限する。同様に、トルクリミット部208は、右トルク指令値Trcomを、現在の右走行モータM1Rの速度nrおよびトルクリミットカーブTlim(n)に応じて定まる上限値Trlim以下に制限する。トルクリミットカーブTlim(n)は、テーブルとして保持されてもよいし、近似式として保持されてもよい。
異常検出部230は、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの関係が、正常状態において転舵角δrに応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するか否かを判定条件として、左速度センサ220Lと右速度センサ220Rの異常を検出し、異常を検出すると、異常検出信号S12をアサート(たとえばハイレベル)する。
異常検出部230は、条件判定部232、タイマー234を含む。
条件判定部232は、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの関係が、正常状態において転舵角δrに応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するか否かを判定条件とし、判定条件を満たすとき(逸脱するとき)、異常を示唆する判定信号S11をアサート(ハイレベル)する。
タイマー234は、左速度センサ220L、右速度センサ220Rの異常の誤検出を防止するために設けられる。
電動フォークリフトでは、加速時あるいは減速時において、トルク指令値生成部202の目標値Vlref(Vrref)と検出値Vl(Vr)の誤差がゼロとなることは稀である。このことは、モータ駆動装置300が正常であっても、瞬時的には、左走行モータM1Lの速度検出値と右走行モータM1Rの速度検出値の関係が、理想的な関係から逸脱しうることを意味する。
そこでタイマー234は、判定条件が所定の判定時間τ持続して満たされるとき、言い換えれば判定信号S11が所定時間連続してアサートされるときに、左速度センサ220Lと右速度センサ220Rの少なくとも一方(以下、速度センサ220と総称する)を異常と判定し、異常検出信号S12をアサート(たとえばハイレベル)する。これにより、速度センサの異常の誤検出を防止できる。
以上がモータ駆動装置300の基本構成である。続いてその動作原理を説明する。
駆動輪がスリップしていない状態では、左右それぞれの駆動輪の回転速度は、それぞれの旋回半径に比例するため、転舵角δrに依存した関係を保つ。より具体的に言えば、正常かつ理想的な条件下において、内輪の回転速度V_INと外輪の回転速度V_OUTの関係は、速度分配部200に関連して説明したように、以下の式で与えられる。
V_IN=V_OUT×F(δr)
したがって、左右の速度センサが正常であれば、左右の速度検出値Vl、Vrは、転舵角δrに依存した関係(右旋回時にはVr≒Vl×F(δr)、左旋回時にはVl≒Vr×F(δr))を保つことになる。
一方、左右の速度センサの少なくとも一方に異常が生ずると、左右の速度検出値Vl、Vrの関係が、正常時の関係から逸脱する。したがって、実施の形態に係るモータ駆動装置300によれば、左右の速度検出値Vl、Vrの関係を監視することにより、左速度センサ220L、右速度センサ220Rの異常を検出することができる。
続いて、異常検出部230による異常検出処理を具体的に説明する。
1. 第1の検出方法
異常検出部230は、左走行モータM1Lおよび右走行モータM1Rのうち、旋回時に内輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値(内輪速ともいう)が、旋回時に外輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値(外輪速)にF(δr)を乗じた値から逸脱したか否かを判定する。
1.1 右旋回時
より具体的には異常検出部230は、右旋回時に内輪となる右駆動輪610Rに対応する右走行モータM1Rの速度検出値Vrが、旋回時に外輪となる駆動輪610Lに対応する走行モータM1Lの速度検出値VlにF(δr)を乗じた値Vl×F(δr)から逸脱したか否かを判定する。
上述したように、F(δr)=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)であり、右旋回時(δr<0)において、δr≠−π/2のとき、ρx=−L/tan(δr)+Trr/2であり、δr=−π/2のとき、ρx=Trr/2である。
たとえば、異常検出部230は、|Vr−Vl×F(δr)|が、所定のしきい値以下であるか否かを判定してもよい。
あるいは異常検出部230は、Vrが、Vl×F(δr)×K1を下限値、Vl×F(δr)×K2を上限値とする範囲に含まれるか否かを判定してもよい。ただし、K1、K2は、K1<1、1<K2を満たす係数である。
1.2 左旋回時
同様に異常検出部230は、左旋回時に内輪となる左駆動輪610Lに対応する左走行モータM1Lの速度検出値Vlが、旋回時に外輪となる駆動輪610Rに対応する走行モータM1Rの速度検出値Vrに、F(δr)を乗じた値Vr×F(δr)から逸脱したか否かを判定する。
上述したようにF(δr)=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)であり、左旋回時(δr>0)において、ρx=L/tan(δr)−Trr/2である。
たとえば、異常検出部230は、|Vl−Vr×F(δr)|が、所定のしきい値以下であるか否かを判定してもよい。
あるいは異常検出部230は、Vlが、Vr×F(δr)×K1を下限値、Vr×F(δr)×K2を上限値とする範囲に含まれるか否かを判定してもよい。ただし、K1、K2は、K1<1、1<K2を満たす係数である。
2. 第2の検出方法
異常検出部230は、旋回時において、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの比が、速度分配部200により計算される左速度指令値Vlと右速度指令値Vrの比から逸脱するか否かを判定する。
2.1 右旋回時
異常検出部230は、右旋回時に内輪となる右駆動輪610Rの速度検出値Vrと、外輪となる左駆動輪610Lの速度検出値Vlの比Vr/Vlの計算値が、F(δr)から逸脱しているか否かを判定すればよい。
上述したように、F(δr)=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)であり、右旋回時(δr<0)において、δr≠−π/2のとき、ρx=−L/tan(δr)+Trr/2であり、δr=−π/2のとき、ρx=Trr/2である。
たとえば、異常検出部230は、|Vr/Vl−F(δr)|が、所定のしきい値以下であるか否かを判定してもよい。
あるいは異常検出部230は、Vr/Vlが、F(δr)×K1を下限値、F(δr)×K2を上限値とする範囲に含まれるか否かを判定してもよい。ただし、K1、K2は、K1<1、1<K2を満たす係数である。
2.2 左旋回時
異常検出部230は、左旋回時に内輪となる左駆動輪610Lの速度検出値Vlと、外輪となる右駆動輪610Rの速度検出値Vrの比Vl/Vrの計算値が、F(δr)から逸脱しているか否かを判定すればよい。
上述したようにF(δr)=(ρx−Trf/2)/(ρx+Trf/2)であり、左旋回時(δr>0)において、ρx=L/tan(δr)−Trr/2である。
たとえば、異常検出部230は、|Vl/Vr−F(δr)|が、所定のしきい値以下であるか否かを判定してもよい。
あるいは異常検出部230は、Vl/Vrが、F(δr)×K1を下限値、F(δr)×K2を上限値とする範囲に含まれるか否かを判定してもよい。ただし、K1、K2は、K1<1、1<K2を満たす係数である。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(第1の変形例)
フォークリフトは、段差に乗り上げることにより駆動輪が空転したり、水たまりにより駆動輪がスリップすることがある。このような場合、速度センサが正常であっても、異常検出部において判定条件が満たされ、速度センサの異常が誤検出される恐れがある。第1の変形例では、かかる誤検出を防止するための技術を説明する。
図6は、第1の変形例に係るモータ駆動装置300aの構成を示すブロック図である。モータ駆動装置300aにおいて、異常検出部230aは、図5の条件判定部232、タイマー234に加えて、指令値補正部242、最終判定部244を備える。
指令値補正部242は、速度分配部200の前段に設けられる。指令値補正部242は、運転者の操作に応じた速度指令値Vrefを受け、異常検出部230からの異常検出信号S12がアサートされると、(i)速度分配部200に入力される速度指令値Vref’をゼロもしくはゼロ付近まで低下させ、(ii)その後、再び、速度指令値Vrefに向かって上昇させる再始動シーケンスSEQを実行する。指令値補正部242は、再始動シーケンスSEQが完了すると、その旨を示す通知信号S13を最終判定部244に出力する。
最終判定部244は、指令値補正部242による再始動シーケンスSEQの完了後に、依然として判定条件が満たされるとき、つまりタイマー234から出力される仮検出信号S12’がアサートされるとき、速度センサ220を異常と判定し、異常検出信号S14をアサートする。
図7は、図6のモータ駆動装置300aの動作波形図である。図7には、速度センサ220の故障時の波形と正常時の波形が示される。
はじめに速度センサの故障時の動作を説明する。時刻t0に、速度センサ220の故障により、判定信号S11がアサートされる。判定信号S11が判定時間τの間連続してアサートされるとき、時刻t1に異常検出信号S12がアサートされる。異常検出信号S12がアサートされると、指令値補正部242は、速度指令値Vref’をゼロ付近まで低下させ、その後、もとの速度指令値Vrefに向けて増大させる(再始動シーケンスSEQ)。
時刻t1において異常検出信号S12がアサートされた要因が、左速度センサ220L、右速度センサ220Rの故障であるならば、再始動シーケンスSEQの実行後においても、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの関係は、正常状態において転舵角に応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するであろう。したがって、判定信号S11は、速度指令値Vref’がある程度高くなった時刻t2に再度アサートされる。判定信号S11のアサート状態が、判定時間τ持続すると、異常検出信号S12がアサートされる。最終判定部244は、再始動シーケンスSEQの完了を示す通知信号S13がアサートされる時刻t3において、異常検出信号S12がアサートされていることを条件として、速度センサ220を異常と判定し、異常検出信号S14をアサートする。
続いて、速度センサの正常時の動作を説明する。
時刻t0に、左速度センサ220L、右速度センサ220Rの故障でなく、駆動輪の空転やスリップに起因して、異常の判定条件が満たされ、判定信号S11がアサートされる。空転やスリップ状態が判定時間τ持続すると、異常検出信号S12がアサートされる。異常検出信号S12がアサートされると、再始動シーケンスSEQが実行され、速度指令値Vref’が低下する。
速度指令値Vref’の低下により、空転状態あるいはスリップ状態が解消されることが期待され、ひいては、左速度検出値Vlと右速度検出値Vrの関係は、正常状態において転舵角に応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係に収束することが期待される。したがって、再始動シーケンスSEQの完了後には、判定信号S11はネゲート状態を維持し、異常検出信号S12、S14もアサートされない。
このように、図7のモータ駆動装置300aによれば、速度センサ220の異常の誤検出を防止できる。
(第2の変形例)
図6のモータ駆動装置300aにおいて、誤検出防止部240は、再始動シーケンスを複数回実行した後に、判定条件が満たされるとき、速度センサ220を異常と判定してもよい。再始動シーケンスを複数回実行することにより、空転状態やスリップ状態において、それらの状態から正常な状態に復帰する可能性が高まり、異常の誤検出をより防止できる。
(第3の変形例)
図5または図6のタイマー234は、所定の判定時間内に、判定条件が所定回数以上満たされるとき、言い換えれば所定回数以上、判定信号S11あるいは異常検出信号S12がアサートされたときに、速度センサ220を異常と判定してもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
600…フォークリフト、602…車体、604…フォーク、606…昇降体、608…マスト、610…前輪、612…後輪、106…電池、100…第1電力変換装置、102…第2電力変換装置、104…第3電力変換装置、110…ECU、116,118…油圧アクチュエータ、120…ステアリングシャフト、122…レゾルバ、124…ギアボックス、126…タイロッド、200…速度分配部、202…トルク指令値生成部、204…減算器、206…PI制御部、208…トルクリミット部、210…インバータ、220L…左速度センサ、220R…右速度センサ、221…n/V変換器、222…転舵角センサ、230…異常検出部、232…条件判定部、234…タイマー、242…指令値補正部、244…最終判定部、M1…走行モータ、M1L…左走行モータ、M1R…右走行モータ、M2…荷役モータ、M3…ステアリングモータ、300…モータ駆動装置、700…操縦パネル、610L…左駆動輪、610R…右駆動輪、702…イグニッションスイッチ、704…ステアリングホイール、706…リフトレバー、708…アクセルペダル、710…ブレーキペダル、712…前後進レバー、714…ダッシュボード。

Claims (8)

  1. デュアルモータ式の電動フォークリフトに搭載され、前記電動フォークリフトの目標速度を示す速度指令値にもとづいて前記電動フォークリフトの左駆動輪と右駆動輪それぞれに動力を伝達する左走行モータおよび右走行モータを制御するモータ駆動装置であって、
    運転者の操作に応じた速度指令値および前記電動フォークリフトの転舵輪の転舵角にもとづき、前記左走行モータの速度を指示する左速度指令値と前記右走行モータの速度を指示する右速度指令値を計算する速度分配部と、
    前記左走行モータの回転数に応じた左速度検出値を生成する左速度センサと、
    前記右走行モータの回転数に応じた右速度検出値を生成する右速度センサと、
    前記左速度指令値と前記左速度検出値の誤差にもとづいて、前記左走行モータのトルクを指示する左トルク指令値を生成するとともに、前記右速度指令値と前記右速度検出値の誤差にもとづいて、前記右走行モータのトルクを指示する右トルク指令値を生成するトルク指令値生成部と、
    前記左速度検出値と前記右速度検出値の関係が、正常状態において前記転舵角に応じて定まる内輪の回転数と外輪の回転数に期待される関係から逸脱するか否かを判定条件として、前記左速度センサと前記右速度センサの異常を検出する異常検出部と、
    を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 前記速度分配部は、運転者の操作に応じた速度指令値をVrefとするとき、前記左走行モータおよび前記右走行モータのうち、旋回時に外輪となる駆動輪に対応する一方に対する速度指令値をVrefとし、旋回時に内輪となる駆動輪に対応する一方に対する速度指令値を、転舵角δrの関数F(δr)を用いて、Vref×F(δr)とし、
    前記異常検出部は、前記左走行モータおよび前記右走行モータのうち、旋回時に内輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値が、旋回時に外輪となる駆動輪に対応する走行モータの速度検出値にF(δr)を乗じた値から逸脱したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記異常検出部は、旋回時において、前記左速度検出値と前記右速度検出値の比が、前記速度分配部により計算される左速度指令値と右速度指令値の比から逸脱するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記異常検出部は、前記判定条件が所定時間持続して満たされるときに、前記左速度センサと前記右速度センサの少なくとも一方を異常と判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ駆動装置。
  5. 前記異常検出部は、所定の判定時間内に前記判定条件が所定回数以上、満たされるときに、前記左速度センサと前記右速度センサの少なくとも一方を異常と判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ駆動装置。
  6. 前記異常検出部は、前記判定条件が満たされると、前記速度分配部に入力される前記速度指令値を低下させ、その後、再び上昇させる再始動シーケンスを実行し、
    再始動シーケンスの後に、前記判定条件が満たされるとき、前記左速度センサと前記右速度センサの少なくとも一方を異常と判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ駆動装置。
  7. 前記異常検出部は、前記再始動シーケンスを複数回実行し、その後に前記判定条件が満たされるとき、前記左速度センサと前記右速度センサの少なくとも一方を異常と判定することを特徴とする請求項6に記載のモータ駆動装置。
  8. 左駆動輪および右駆動輪と、
    前記左駆動輪および前記右駆動輪それぞれに動力を伝達する左走行モータおよび右走行モータと、
    前記左走行モータおよび前記右走行モータを駆動する請求項1から7のいずれかに記載のモータ駆動装置と、
    を備えることを特徴とする電動フォークリフト。
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