JP2014115604A - 光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】位相差層の膜厚ムラがいっそう抑制される光学フィルムを提供する。
【解決手段】透明フィルム基材1と、透明フィルム基材1上に形成され、表面が配向規制力を有する配向層2と、配向層2上に形成され、配向層2表面の配向規制力によって配向する位相差層3と、を含み、位相差層3の膜厚の単位面積当たりの変動率を4.0%以内とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法に関する。
近年、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが提供されている。ここでフラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、何らかの方式で右目用の画像と、左目用の画像とを、それぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供することが必要である。右目用の画像と左目用の画像とを選択的に提供する方法としては、例えば、パッシブ方式が知られている。このパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。
図6は、液晶表示パネルを使用したパッシブ方式の3次元表示の一例を示す概略図である。この図6の例では、液晶表示パネルの垂直方向に連続する画素を、順次交互に、右目用の画像を表示する右目用画素、左目用の画像を表示する左目用画素に振り分け、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動し、これにより右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。なおこれにより液晶表示パネルの画面は、例えば短辺が垂直方向で長辺が水平方向となる帯状の領域により、右目用の画像を表示する領域と左目用の画像を表示する領域とに交互に区分される。
さらにパッシブ方式では、液晶表示パネルのパネル面にパターン位相差フィルムを配置し、右目用及び左目用の画素からの直線偏光による出射光を、右目用及び左目用で回転方向の異なる円偏光に変換する。このためパターン位相差フィルムは、液晶表示パネルにおける領域の設定に対応して、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)が直交する2種類の帯状領域が順次交互に形成される。これによりパッシブ方式では、対応する偏光フィルタを備えてなる眼鏡を装着して、右目用の画像と左目用の画像とをそれぞれ選択的に視聴者の右目及び左目に提供する。なおここでこの隣接する帯状領域の遅相軸方向は、通常、水平方向に対して、+45度と−45度、又は0度と+90度の組み合わせが採用される。なおこの図6の例では、通常の画像表示装置における呼称に習って画面の長辺方向を水平方向として示す。
このパッシブ方式は、応答速度の遅い液晶表示装置でも適用することができ、さらにパターン位相差フィルムと円偏光メガネとを用いた簡易な構成で3次元表示することができる。
このパッシブ方式に係るパターン位相差フィルムは、画素の割り当てに対応して透過光に位相差を与えるパターン状の位相差層が必要である。このパターン位相差フィルムに関して、特許文献1には、配向規制力を制御した光配向層をガラス基板上に形成し、この光配向層により液晶の配列をパターンニングして位相差層を作成する方法が開示されている。また特許文献2には、全面を露光処理した後、マスクを使用して露光処理することにより光配向層を作製し、この光配向層の配向規制力により位相差層を配向させて硬化させることにより、パターン位相差フィルムを作製する方法が開示されている。
ところで、パターン位相差フィルムの製造工程には、溶剤で希釈された液晶材料を基材に塗布する工程が含まれている。このような工程においては、溶剤が乾燥するまでの間の微風により、硬化後の位相差層の膜厚にムラが生じることが判った。
位相差層の膜厚のムラは、位相差層の表面の色のムラとなって現れて、位相差層の外観を損なうものであった。なお、このような色ムラを、本明細書では風紋ムラとも記す。また、膜厚ムラが生じている位相差層を偏光板に直接貼り合わせて作成されるFPR(Film Patterned Retarder)方式のパターン位相差フィルムでは、膜厚ムラが位相差層と偏光板との間で干渉縞となって視認され、パターン位相差フィルムの品質を損なう一因となっていた。なお、位相差層と偏光板との間の干渉縞によって生じるムラを、本明細書では干渉ムラとも記す。
位相差層の風紋ムラ、あるいは干渉ムラを抑えるための従来技術は、例えば、特許文献3に記載されている。特許文献3には、配向層上に形成された液晶材料の表面に極力風を当てることなく加熱ゾーンに搬送することによって干渉ムラを抑えることが記載されている。このため、引用文献1記載の発明は、パターン位相差フィルムの製造工程において搬送される液晶材料と大気との相対速度について規定している。
特開2005−49865号公報 特開2012−42530号公報 特開平7−250249号公報
しかしながら、本発明の発明者らによれば、位相差層の膜厚のムラは、大気の移動方向の速度ばかりでなく、その変動(ハンチング)が一因となっていることが分かった。このため、特許文献3に記載されているように、搬送中の液晶材料表面と大気との相対速度を制御するだけでは、位相差層の膜厚ムラを抑えることに限界がある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、位相差層の膜厚ムラを十分に低減した光学フィルム、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、搬送中の液晶材料に係る表面大気の移動速度に加えて、その移動速度の変動を抑制するとの知見を得、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 透明フィルム基材と、
前記透明フィルム基材上に形成され、表面が配向規制力を有する配向層と、
前記配向層上に形成され、前記配向層の表面の配向規制力によって配向する位相差層と、を含み、
前記位相差層の膜厚の単位面積当たりの変動率が4.0%以内である。
(1)によれば、膜厚のムラが少なく、高品質の光学フィルムを提供することができる。
(2) (1)において、前記位相差層の表面に波長が550nmの光を照射して測定された、L*a*b*表色系で表される色度b*の変動が、当該色度b*の平均値の10%以内である。
(2)によれば、色ムラの程度が使用に関する許容範囲内である光学フィルムを提供することができる。
(3) (1)または(2)において、前記位相差層は、液晶分子が第1方向に配向した第1領域と、液晶分子が前記第1方向と異なる第2方向に配向した第2領域と、を備え、前記第1領域及び前記第2領域が平面視において帯状の形状を有し、かつ交互に配置される。
(3)によれば、右目用の領域と左目用の領域とを持ったパターン位相差フィルムを構成することができる。
(4) 請求項1から3のいずれか1項に記載の光学フィルムを画像表示パネルの表面に配置した画像表示装置である。
(4)によれば、膜厚のムラが少なく、高品質の光学フィルムが配置された画像表示装置を提供することができる。
(5) 液晶材料を硬化して作成される位相差層を含む光学フィルムの製造方法であって、前記液晶材料を配向層上に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程において塗布された前記液晶材料に含まれる溶剤を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
前記液晶材料が前記塗布工程から前記乾燥工程に搬送される環境の、大気の移動速度の平均値を±2m/sec以下とし、かつ、前記移動速度の変動量を0.1m/sec以下とする。
(5)によれば、膜厚のムラが少なく、高品質の光学フィルムを製造することができる。
(6) (5)において、
前記乾燥工程は、
前記配向層を作成してなる基材の前記配向層を作成していない側の面に接触するガイドロールにより前記基材を加熱ゾーンに搬送して加熱し、
前記加熱ゾーンまでの搬送過程において、前記ガイドロールにより、前記配向層を作成していない側の面側から前記基材を過熱する。
(6)によれば、加熱ゾーンへの搬送過程でも溶剤を積極的に飛散させることができ、これにより風紋ムラを生じる恐れのある期間を短くして大気流による影響を受け難くすることができ、その結果、風紋ムラを一段と低減することができる。
(7) (5)又は(6)において、前記液晶材料を希釈する溶剤が、第1蒸発速度で蒸発する第1溶剤と、当該第1蒸発速度よりも早い第2蒸発速度で蒸発する第2溶剤とを含む。
(7)によれば、蒸発速度が速い溶剤を混合することによって液晶が膜厚ムラを生じ得る期間を短縮し、膜厚ムラの発生を抑止することができる。
(8) (7)において、前記第1溶剤がメチルイソブチルケトンを含み、前記第2溶剤がメチルエチルケトンを含む。
(8)によれば、液晶材料の密着性と膜厚ムラの抑止との両方の観点から好ましい溶剤を適用することができる。
本発明によれば、位相差層の膜厚ムラを十分に低減した光学フィルム、この光学フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る画像表示装置を示す図である。 パターン位相差フィルムの製造方法を説明するための図である。 図2の各工程の説明する図である。 図2の工程の設備に説明に供する図である。 実験例と比較例との評価結果を示す表である。 本発明の第2実施形態に係る製造工程を示す図である。 パターン位相差フィルムの評価結果を示す図である。 液晶表示パネルを使用したパッシブ方式の3次元表示を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳述する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100を示す図である。画像表示装置100は、垂直方向(図1においては左右方向が対応する方向である)に連続する液晶表示パネル11の画素が、順次交互に、右目用の画像を表示する右目用画素、左目用の画像を表示する左目用画素に振り分けられて、それぞれ右目用及び左目用の画像データで駆動される。これにより画像表示装置は、右目用の画像を表示する帯状の領域と、左目用の画像を表示する帯状の領域とに表示画面が交互に区分され、右目用の画像と左目用の画像とを同時に表示する。画像表示装置100は、液晶表示パネルのパネル(視聴者側面)11に、パターン位相差フィルム10が配置され、パターン位相差フィルム10により右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。これにより画像表示装置100は、パッシブ方式により所望の立体画像を表示する。
ここで、パターン位相差フィルム10は、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル等の透明フィルムからなる透明フィルム基材1の一方の面上に、配向層2、位相差層3が順次作製される。パターン位相差フィルム10は、屈折率異方性を保持した状態で固化(硬化)された液晶材料により位相差層3が形成され、この液晶材料の配向を配向層2の配向規制力によりパターンニングする。なお、この液晶分子の配向を図1では細長い楕円により誇張して示す。このパターンニングにより、パターン位相差フィルム10は、液晶表示パネルにおける画素の割り当てに対応して、一定の幅により、右目用の領域(第1の領域)Aと左目用の領域(第2の領域)Bとが順次交互に帯状に形成され、右目用及び左目用の画素からの出射光にそれぞれ対応する位相差を与える。
パターン位相差フィルム10は、光配向材料により光配向材料膜が作製された後、いわゆる光配向の手法によりこの光配向材料膜に直線偏光による紫外線を照射し、光配向材料膜により配向層2が形成される。ここでこの光配向材料膜に照射する紫外線は、その偏光の方向が右目用の領域Aと左目用の領域Bとで90度異なるように設定され、これにより位相差層3に設けられる液晶材料に関して、右目用の領域A及び左目用の領域Bとで対応する向きに液晶分子を配向させ、透過光に対応する位相差を与える。
なお光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を適用することができるものの、この実施形態では、一旦配向した後には、紫外線の照射によって配向が変化しない、例えば光2量化型の材料を使用する。なおこの光2量化型の材料は、「M.Schadt,K.Schmitt,V.Kozinkov and .Chigrinov:Jpn.J.Appl.Phys.,31,2155(1992)」、「M.Schadt,H.Seiberle and A.Schuster:Nature,381,212(1996)」等に開示されており、例えば「ROP-103」(Rolic technologies Ltd社製)の商品名により既に市販されている。
また、位相差層3を生成する液晶材料としては、従来公知の位相差層の材料を用いることができる。このような材料としては、例えば、ネマチック液晶相を発現する液晶材料が挙げられる。ネマチック液晶相を発現する液晶材料は、従来公知の液晶材料を用いれば良く、例えば、棒状の液晶分子、ポリマー液晶及び重合性液晶化合物等が挙げられる。
[光学フィルムの製造方法]
図2は、パターン位相差フィルム10の製造工程を示す図である。この製造工程では、ロールに巻き取られている透明フィルム基材1が引き出され、この透明フィルム基材1上に、光配向材料膜が順次形成される(ステップS201)。
続いて、本実施形態の製造工程では、A領域またはB領域(図2ではA領域とする)に偏光紫外線が照射され、右目用領域A又は左目用領域Bが露光される(ステップS202)。次に、右目用領域A及び左目用領域Bを含む光配向材料膜の全面が露光される(ステップS203)。ステップS202、S203により、配向層2が作成される。配向層2は、後に積層される位相差層に配向規制力を付与するための層である。
続いて、本実施形態では、配向層2上にダイ等によって液晶材料が塗布される(ステップS204)。液晶材料は、前述した液晶材料を、例えば100%のメチルイソブチルケトン(MIBK)を溶剤として希釈して配向層2上に塗布するものとした。塗布された液晶材料は、加熱によって乾燥され、液晶材料の希釈に使用された溶剤が除去される(ステップS205)。
また、本実施形態では、配向層2上に塗布された液晶材料を、ステップS204の塗布工程からステップS205の乾燥工程に搬送される間、大気の移動速度(以下、本実施形態では「風速」とも記す)が±2m/sec以下であって、かつ、この速度の変動量が0.1m/sec以下の環境下に置く。この具体的な構成については、後述する。液晶材料は、乾燥の後、紫外線の照射によって硬化され(ステップS206)、液晶でなる位相差層3を形成する。パターン位相差フィルムは、その後、必要に応じて反射防止膜の作成処理等が施された後、切断工程において、所望の大きさに切り出されて作成される。
図3(a)〜(e)は、図2に示した各工程を説明するための図である。図3(a)は、ロールから引き出された状態の透明フィルム基材1を示している。図中、透明フィルム基材1については、配向層を作成する側の表面を符号1aにより示す。図3(b)は、表面1aに配向層2が形成された状態を示している。配向層2は、図2で説明したように、この実施形態では、右目用領域A又は左目用領域Bを選択的に露光処理した後、領域A及び領域Bを含む全面を露光処理して作成される。
パターン位相差フィルム10は、この配向層2の上に、紫外線硬化型の液晶材料が塗布されて液晶材料層3aが作成される(図3(c))。この液晶材料層3aは、加熱されて溶剤が除去され(図3(d))、この液晶材料層3aの液晶分子は、配向層2の配向規制力の方向に配向させられる。続いて液晶材料層3aには、偏光紫外線uが照射され、液晶材料が配向した状態で硬化されて位相差層3が作成されるになる。
図4は、位相差層3にかかる製造工程を示す図である。この図4に示す工程では、図示しない構成により配向膜が作成されてなる基材1が矢線Cの方向に搬送される。この工程では、この基材1の搬送過程に、液晶材料層3Aの塗布液を塗布するダイ107、塗布した液晶材料を乾燥させる乾燥炉による加熱ゾーン108、温度調節可能に構成され、基材1を周側面に巻き付けて搬送する温調ドラム112、この温調ドラム112に巻き付けられた基材1に紫外線uを照射して液晶材料層3aを硬化させる紫外線照射装置113、位相差層2の作成された基材1を巻き取る巻き取りロール114が順次設けられる。なおこの工程では加熱ゾーン108から温調ドラム112に向けて、導きローラ110、111により基材1を搬送する。なお温調ドラム112は、水冷方式により表面の温度が制御され、この温度制御によりこの製造工程は、紫外線照射時の熱による透明フィルム基材1にシワの発生を防止する。
図4に示した設備では、ダイ107によって液晶材料の塗布作業が行われる領域(以下、「ゾーン」と記す)から、液晶材料が塗布された透明フィルム基材1が加熱ゾーン108に送られるまでの間のラインLを含む領域が、大気の移動を低減するための図示しないカバーによって覆われている。
このような環境下において、ダイ107は、配向層2上に液晶材料層3aの塗工液を塗布する。塗布の後、塗布された液晶材料は、加熱ゾーン108に送られて乾燥させられる。本実施形態では、カバーによって覆われたラインLにおいて、風速計を使って風速及びその変動量を測定した。
上記測定の結果、ラインLをカバーによって覆ったことにより、基材1が搬送される環境の風速は、±0.2m/sec以内(−0.2m/sec〜0m/sec、0m/sec〜+0.2m/sec)であった。
なおこの塗工液が、希釈用の溶剤が飛散して取り除かれることになり、塗工液が塗布された後、飛散により溶剤が取り除かれる(塗工液中の溶剤の含有量が予め設定された閾値以下になる)までの区間で、風速の変動量(ハンチング)σは、0.10m/sec以下(0m/sec〜0.10m/sec)であった。なお、移動速度の「+」の記号は液晶材料層3a等の移動方向と同方向(追い風)を示す。また、移動速度の「−」の記号は液晶材料層3a等の移動方向と逆の方向(向かい風)を示す。
加熱ゾーン108を通過した透明フィルム基材1は、紫外線照射が行われる紫外線照射装置109が設けられているゾーンに送られ、紫外線uの照射により配向膜の配向規制力により液晶材料が配向した状態で硬化(固化)されて位相差層が作成され、巻き取りロール114に巻き取られる。
[品質評価]
次に、本発明の発明者らは、本実施形態のパターン位相差フィルムを、以下のようにして評価した。
(1)目視
1m2にカットされたパターン位相差フィルムの両側に市販の偏光板(HCL2−5618HCS、(株)サンリッツ製)をクロスニコル配置の明光位となるように貼り合わせ、暗室内の液晶用バックライト上に設置した。そして、表面に色ムラが表れている部分を目視にて観察し、色ムラの程度を5段階(Lv1〜Lv5)で評価した。なお、評価の基準は、Lv1、Lv2が使用可能な程度であり、Lv3〜5が使用不可能なレベルである(品質:Lv1>Lv2>Lv3>Lv4>Lv5)。
(2)位相差値、膜厚
また、本実施形態では、位相差・光軸測定装置(Axostep:アクソメトリクス社製)を用いて、パターン位相差フィルム内の9点で位相差Re(以降、「面内位相差」と記す)を測定した。さらに、膜厚の変動率を位相差値の変動値を基準として、屈折率差を一定として計算した。計算の結果、本実施形態で作成されたパターン位相差フィルムでは、膜厚の単位面積当たり(1m2)の変動率が4.0%以内(0%〜4.0%)であることが確認された
(3)色ムラ
上記した配向層2、位相差層3によって構成されるパターン位相差フィルムの裏面に黒色のPET(ポリエチレンテレフタレート)基材を貼り合わせ、分光器(UV−PC2500:島津製作所製)を用い、表面の側からC光源2度の分光を当てた。そして、5度反射の色度b*を測定した。色度b*は、L*a*b*表色系で規定されている、色度を示すパラメータである。測定の結果、本実施形態のパターン位相差フィルムは、色度b*の変動が、色度b*の平均値の10%以内(0%〜10%)であることが分かった。
[実験例]
次に、以上説明した本実施形態のパターン位相差フィルムについて行った具体的な実験例1〜8を説明する。
(1)実験例1
実験例1では、本実施形態のパターン位相差フィルムを、次の(a)〜(d)に記した手順で作成した。
(a)AG(Anti Grlare)処理されたTAC原反(TD60UL−P)の裏面に光配向層材料がコーティングされている基材に、20mJ/cm2の偏光UV光を光軸が45度になるように照射して配向層を形成した。
(b)配向層上に、位相差層となるネマチック液晶材料を溶剤で希釈し、ダイコーティングによって塗布した。なお、実験例1では、溶剤をMIBK100%とした。
(c)液晶材料が塗布されたTAC原板を、風速の平均を+0.2m/sec、風速の変動量σを0.10m/secに抑えながら加熱ゾーンに搬送し、加熱ゾーンで乾燥させた。
(d)ネマチック液晶材料に対して、完成後の厚さが1μmになるように紫外線を照射し、右目用の領域と左目用の領域とが交互に配置されるように配向させて位相差層を形成した。
(2)実験例2
実験例2は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の移動速度の変動量σを0.09m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(3)実験例3
実験例3は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を+0.1m/sec以内、変動量σを0.05m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(4)実験例4
実験例3は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を−0.1m/sec以内、変動量σを0.06m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(5)実験例5
実験例5は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を−0.2m/sec以内、変動量σを0.08m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(6)実験例6
実験例6は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を−0.2m/sec以内にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(7)実験例7
実験例7は、上記した実験例1の手順のうち、手順(b)の溶剤を、MIBKとMEKとを7:3で混合したものとし、手順(c)の風速の平均を−0.2m/sec以内として行われた。なお、手順(a)は、実験例1と同様に行われた。MEK(メチルエチルケトン)は、MIBKよりも蒸発速度が大きい溶剤であり(メチルエチルケトンの比蒸発速度:465、メチルイソブチルケトンの比蒸発速度:145)、MIBKよりも早く液晶材料から除去される。このため、実験例7では、液晶材料が、風紋ムラ等が生じ得る状態である時間を短縮し、風紋ムラを抑止することができる。
実験例8は、上記した実験例7の手順のうち、手順(b)の溶剤を、MIBKとMEKとを6:4で混合したものとし、手順(c)の風速の平均を−0.2m/sec以内として行われた。なお、手順(a)は、実験例1と同様に行われた。
[実験例]
また、本発明の発明者らは、上記した実験例1〜8の結果と比較するための実験を行った。比較のための比較実験例1〜4の手順を、以下に記す。
(1)比較実験例1
比較実験例1は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を−0.3m/sec以内にし、移動速度の変動量σを0.20m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(2)比較実験例2
比較実験例2は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を+0.4m/sec以内にし、移動速度の変動量σを0.30m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(3)比較実験例3
比較実験例3は、上記した実験例1の手順のうち、手順(c)の風速の平均を−0.4m/sec以内にし、移動速度の変動量σを0.15m/sec以下にした以外は、実験例1と同様の手順で行われた。
(4)比較実験例4
比較実験例4は、上記した実験例1の手順のうち、手順(b)の溶剤を、実験例8と同様に、MIBKとMEKとを6:4で混合したものとし、手順(c)の風速の平均を−0.4m/sec以内として行われた。なお、手順(a)は、実験例1と同様に行われた。
図5は、以上説明した条件で行われた、実験例1〜8と、比較実験例1〜4との評価結果を示した表である。評価は、前記した目視、膜厚ムラ、色ムラ(色度b*)によって行うものとした。図5から明らかなように、色ムラに関しては、本実施形態の実験例1〜8の全てが使用可なLv1またはLv2の評価を得ている。また、本実施形態の実験例1〜8の全てについて、面内位相差から求められる膜厚の変動率も、4.0%以内であることが確認された。これらにより膜厚の変動率を4.0%以内に設定すれば、色ムラを十分に抑圧して高品質の光学フィルムを提供することができる。
またさらに実験例1〜8の全てについて、色ムラを示す色度b*の変動率が、色度b*の平均値に対して10%以内であることが確認された。これにより色ムラを示す色度b*の変動率が、色度b*の平均値に対して10%以内であるようにすれば、より具体的構成により色ムラを十分に抑圧して高品質の光学フィルムを提供することができる。なお、実験例8のように、実験例7の溶剤におけるMEKの割合を30%から40%に増加させても、パターン位相差フィルムの膜品質には実験例7との顕著な相違は見られなかった。
一方、比較実験例1〜4では、その全てが色ムラにより使用が不可能なLv3またはLv4の評価を得た。また、比較実験例1〜4の全てについて、面内位相差から求められる膜厚の変動率が4.0%以上であり、色度b*の変動率が色度b*の平均値に対して10%以上であることが確認された。また、比較実験例4から、溶剤に蒸発速度の大きいMEKを混合した場合であっても、風速の平均及びその変動量σが大きい場合には、パターン位相差フィルムの品質が使用可能な基準に満たないことが分かった。
〔第2実施形態〕
ところでさらに検討を進めたところ、位相差層にかかる塗工液の乾燥工程において、乾燥が短時間で完了するように設定すれば、さらに一段と風紋ムラを低減できることが判った。これは風紋ムラを生じる恐れのある期間を短くすることにより、大気流による影響を受け難くすることができ、その結果、風紋ムラを低減することができると言うものである。
ここで図6は、図4との対比により第2実施形態に係る製造工程の説明に供する図である。この製造工程は、ダイ107により位相差層に係る塗工液を塗工した後、加熱ゾーン108までの搬送過程に、3本のガイドロール200、201、202が設けられ、この工程は、このガイドロール200、201、202により基材1を搬送する。ガイドロール200、201、202は、それぞれヒータ及び温度センサが設けられ、温度センサによる温度検出結果に基づくコントローラ205の制御により、周側面の温度を所望する温度に設定可能に構成されている。
これによりこの実施形態では、第1実施形態について上述した基材表面の大気流の制御に加えて、加熱ゾーンまでの搬送過程で基材1の裏面(塗工液を塗布していない側の面)に接触するガイドロール200、201、202の温度制御により、一段と風紋ムラを低減する。この実施形態では、このガイドロール200、201、202に関する構成が異なる点を除いて、第1実施形態と同一に構成される。
なおこのような構成に加えて、塗工液の希釈液に速乾性の溶液を適用することによっても、一段と風紋ムラを低減でき、この実施形態ではMIBKとMEKとの混合液を希釈液に適用することにより、十分に速乾性を確保することができる。
またこのように塗布直後に裏面より基材1を加熱して溶剤を飛散させる場合、液晶材料層3aの膜厚を十分に均一な膜厚により作成することができ、これにより紫外線の照射により作成される位相差層にあっても、均一な膜厚により作成して光学特性が向上することが判った。
なおガイドロール200、201、202を加熱する場合、基材1に対する希釈液の浸透性も向上することにより、配向膜を介した基材1への密着力も増大し、これにより信頼性も向上することなる。またさらに短時間で塗工液が乾燥することにより、塗工液が弾かれてしまういわゆるハジキによる欠点の発生も一段と抑圧され、これによっても信頼性を向上することができる。
図7は、これらの評価結果を示す図である。ガイドロール、周側面の温度を種々に設定して、風紋ムラとなる乾燥ムラ、基材1に対する密着力、配向性、ハジキによる欠点を確認した。なお乾燥ムラは、風紋ムラによる干渉ムラが著しい場合、明確に見て取ることができる場合をそれぞれ「×」及び「△」により示し、実用上十分な程度であるものの、詳細に観察して見て取ることができる場合を「○」により示し、詳細な観察によっても見て取ることができない場合を「◎」により示す。
また密着力は、JISK5400に規定の45度剥離試験にて、剥がれなき場合を「○」により示し、この条件を満足しない場合を「×」により示す。また配向性は、クロスニコル配置の直線偏光板によりパターン位相差フィルムを挟持して消光位における透過光量の計測により判定し、実用上不十分な場合を「△」により示し、実用上十分ではあるものの、一段と黒く沈んだ高画質を確保する観点から改善の余地がある場合を「○」により示し、十分に黒く沈んだ高画質を確保できる場合を「◎」により示す。またハジキの欠点は、一定範囲(1m)における直径500μm以上の欠点数を第1及び第2の判定基準値により判定して、欠点数が少ないものを「○」、欠点数が中程度のものを「△」、欠点数が多いものを「×」により表した。
なおこの計測は、室温20℃〜25℃で実行した。従ってガイドロール温度を設定しない条件で、ガイドロール200、201、202は、概ね20℃〜25℃に保持されていることになる。
ガイドロール200、201、202の温度が高過ぎる場合、乾燥速度が著しく早くなることにより、ガイドロール200、201、202の配置に対応する乾燥ムラが発生することが判った。これにより溶剤の飛散が完了する部位は、裏面にガイドロールが接していない、ガイドロール間であることが望ましい。また位相差層に液晶材料の転移温度以上の温度が加わると、位相差層の配向性が低下することにより、ガイドロール200、201、202の温度は一定の範囲であることが望まれ、この図5の例では、40℃以上、70度程度以下であることが望ましいことになる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に組み合わることができ、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
すなわち上述の実施形態では、液晶材料の塗布から加熱ゾーンに向かうラインをカバーすることにより、液晶材料表面に接触する風速及びその変動を抑えているものの、本発明はこれに限らず、要は、風速の平均を±2m/sec以下、かつ、その変動量を0.1m/sec以下にすることができるのであれば、どのような方法を用いるものであってもよい。
また、以上説明した本実施形態は、紫外線を照射することによって硬化する液晶材料を適用しているが、本発明は、紫外線硬化型液晶材料に適用されるものでなく、他のエネルギー線を照射して硬化する液晶材料、さらには熱硬化型の液晶材料にも適用することができる。
また、上述の実施形態では、MEKとMIBKとを混合した溶剤を希釈液に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、希釈液には速乾性を有する各種の溶剤を適用することができる。
また上述の実施形態では、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光処理した後、前面を露光処理して配向膜を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これとは逆に前面の露光処理の後、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光処理して配向膜を作成する場合、右目用領域又は左目用領域を選択的に露光処理した後、未露光の左目用領域又は右目用領域を選択的に露光処理して配向膜を作成する場合にも広く適用することができる。
また、本実施形態は、パターン位相差フィルムに限定されるものでなく、全面の液晶を同一の方向に配向させて位相差層が作成される各種の光学フィルム、さらにはラビング痕跡により配向膜を作成する場合等にも広く適用することができる。
1 :透明フィルム基材
2 :配向層
3 :位相差層
3a :液晶材料層
10 :パターン位相差フィルム
11 :液晶表示パネル
100 :画像表示装置
107 :ダイ
108 :加熱ゾーン
110 :ローラ
112 :温調ドラム
113 :紫外線照射装置
200、201、202 ガイドロール

Claims (8)

  1. 透明フィルム基材と、
    前記透明フィルム基材上に形成され、表面が配向規制力を有する配向層と、
    前記配向層上に形成され、前記配向層の表面の配向規制力によって配向する位相差層と、を含み、
    前記位相差層の膜厚の単位面積当たりの変動率が4.0%以内であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 請求項1に記載の光学フィルムであって、
    前記位相差層の表面に波長が550nmの光を照射して測定された、L*a*b*表色系で表される色度b*の変動が、当該色度b*の平均値の10%以内であることを特徴とする光学フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムであって、
    前記位相差層は、液晶分子が第1方向に配向した第1領域と、液晶分子が前記第1方向と異なる第2方向に配向した第2領域と、を備え、前記第1領域及び前記第2領域が平面視において帯状の形状を有し、かつ交互に配置されることを特徴とする光学フィルム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の光学フィルムを画像表示パネルの表面に配置したことを特徴とする画像表示装置。
  5. 液晶材料を硬化して作成される位相差層を含む光学フィルムの製造方法であって、
    前記液晶材料を配向層上に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程において塗布された前記液晶材料に含まれる溶剤を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
    前記液晶材料が前記塗布工程から前記乾燥工程に搬送される環境の、大気の移動速度の平均値を±2m/sec以下とし、かつ、前記移動速度の変動量を0.1m/sec以下とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  6. 請求項5に記載の光学フィルムの製造方法であって、
    前記乾燥工程は、
    前記配向層を作成してなる基材の前記配向層を作成していない側の面に接触するガイドロールにより前記基材を加熱ゾーンに搬送して加熱し、
    前記加熱ゾーンまでの搬送過程において、前記ガイドロールにより、前記配向層を作成していない側の面側から前記基材を過熱することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の光学フィルムの製造方法であって、
    前記液晶材料を希釈する溶剤が、第1蒸発速度で蒸発する第1溶剤と、当該第1蒸発速度よりも早い第2蒸発速度で蒸発する第2溶剤とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  8. 請求項7に記載の光学フィルムの製造方法であって、
    前記第1溶剤がメチルイソブチルケトンを含み、前記第2溶剤がメチルエチルケトンを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
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