JP2014118606A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭浸窒処理の処理時間を短縮して、熱処理コストの低減を図ることができる車熱処理装置および熱処理方法を提供する。
【解決手段】鋼製のワーク2を浸炭させる浸炭処理室5と前記ワーク2を浸窒させる浸窒処理室6とをそれぞれ別個に備え、前記浸炭処理室内5で浸炭させた前記ワーク2を前記浸窒処理室6内に移送して浸窒させる熱処理装置1において、前記浸炭処理室5と前記浸窒処理室6とを、互いに離隔するように構成し、かつ、前記浸窒処理室6内で、前記浸炭処理室5内で浸炭させた後の前記ワーク2の余熱を利用して前記ワーク2を浸窒させるように構成した。
【選択図】図1

Description

この発明は、鋼製の部材を浸炭ならびに浸窒を行う熱処理装置、およびその熱処理方法に関するものである。
従来、ギヤやシャフトなどの鋼製部品の耐摩耗性および疲労強度を向上させるために、浸炭や浸炭浸窒(もしくは浸炭窒化)などの熱処理が行われている。浸炭は、鋼材の表面に炭素を侵入固溶させ、鋼材の表面層のみを硬化させる表面処理方法である。また、浸炭浸窒は、浸炭による表面改質の効果の一層の向上を狙ったものであり、鋼材の表面に炭素と共に窒素を侵入固溶させ、鋼材の表面層を硬化させる表面処理方法である。
上記のような浸炭浸窒処理に関連する発明の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている熱処理装置は、一連の通路が開閉扉で順次仕切られることにより区画形成される浸炭ゾーン、冷却ゾーンおよび窒化ゾーンが備えられているとともに、被処理物を上記一連の通路に沿って順次移送する移送手段と、冷却ゾーンにおいて被処理物を冷却する強制冷却手段とが設けられた構成となっている。
具体的には、この特許文献1に記載されている熱処理装置は、一連の通路を有するトンネル型の連続炉の内部を、被処理物を積載したパレットがパワーローラによって順次移送されるように構成されている。そして連続炉は、複数の開閉扉によって工程毎に仕切られていて、工程順に、脱脂室、昇温室、浸炭室、冷却室、再昇温室、降温室、窒化室、および抽出ゾーンが設けられている。したがって、この特許文献1に記載されている熱処理装置では、先ず、脱脂室で被処理物が脱脂される。脱脂された被処理物は、室温が約900〜950℃の昇温室に移送されて予備的に加熱された後に、同様に室温が約900〜950℃の浸炭室に移送される。浸炭室では、酸浸炭ガスが供給されることにより、被処理物の表面に炭素が拡散浸透させられる。すなわち、被処理物が浸炭される。浸炭された被処理物は冷却室に移送され、冷却ガスを吹き付けられて強制的に冷却される。この冷却室では、冷却ガスによって被処理物を急冷しているため、浸炭後の被処理物に焼き入れを施した場合と同等の効果を得ることができる。
浸炭後に冷却室で冷却された被処理物は、室温が約850〜870℃の再昇温室に移送されて再度加熱された後に、降温室に移送される。降温室では、被処理物を適正に浸炭窒化させるために被処理物の温度が約820〜840℃に低下させられるとともに、その温度低下の過程で、酸浸炭ガスおよびアンモニアガスが供給されることにより被処理物が浸炭窒化される。そして、被処理物は窒化室に移送され、降温室と同様の浸炭窒化ガス雰囲気における約820〜840℃の温度の下で保持される。これにより、被処理物が本格的に浸炭窒化される。その後、被処理物は抽出ゾーンを通ってソルト槽に移送され、所定の冷却条件で焼き入れされる。
特開平5−5171号公報
上記のように特許文献1に記載されている熱処理装置は、浸炭、冷却、および窒化の一連の処理作業を、開閉扉によって区画される連続炉内で行うことができるように構成されている。また、浸炭処理後の冷却ゾーンでは被処理物を強制的に冷却することができるように構成されている。そのため、一連の処理作業を効率良くかつエネルギーロスを伴うことなく行うことができ、また、被処理物の冷却に要する時間を節約することができる、とされている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている熱処理装置では、浸炭室で被処理物の浸炭を行った後に、冷却室で被処理物を一旦冷却し、さらに、再昇温室および降温室で被処理物の昇温と降温とを繰り返した後に、窒化を行うようになっている。そのため、一連の処理に長い時間を要している。
一方、浸炭浸窒処理の処理時間を短縮する方策の1つとして、浸炭の処理温度の高温化が挙げられる。例えば、通常900〜950℃程度で実施される浸炭を1100℃程度の高温の下で実施することにより、鋼材に対する炭素の拡散速度を向上させて浸炭の処理時間を短縮することができる。しかしながら、そのように高温化させた浸炭と同時に、もしくは浸炭と同一の炉で、連続して浸窒を実施すると、浸窒のために供給されるアンモニアガスが1000℃以上の高温になっている炉内の加熱ヒータ上でほとんど分解されてしまう。そのため、浸窒させる鋼材の表面までアンモニアガスを到達させることができず、適正な浸窒を行うことができなくなってしまう。加熱ヒータ上でのアンモニアガスの分解を回避して適正な浸窒を実施するためには、炉内や加熱ヒータの温度を約850℃以下に低下させる必要がある。
このように、鋼材を浸炭浸窒する際の処理時間を短縮して、熱処理コストの低減を図るためには、上記のような種々の課題があり、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、鋼材を浸炭浸窒する際の処理時間を短縮して、熱処理コストの低減を図ることができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、鋼製のワークを浸炭させる浸炭処理室と前記ワークを浸窒させる浸窒処理室とをそれぞれ別個に備え、前記浸炭処理室内で浸炭させた前記ワークを前記浸窒処理室内に移送して浸窒させる熱処理装置において、前記浸炭処理室と前記浸窒処理室とは、互いに離隔するように構成され、前記浸窒処理室内で、前記浸炭処理室内で浸炭させた後の前記ワークの余熱を利用して前記ワークを浸窒させるように構成されていることを特徴とする熱処理装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記浸窒処理室に、前記ワークを浸窒するための浸窒性ガスを前記浸窒処理室内に充填させる浸窒ガス供給手段が設けられ、前記浸窒処理室内で、前記浸窒ガス供給手段により供給される前記浸窒性ガスを、前記余熱を持った前記ワークに接触させることにより、前記ワークを浸窒させるように構成されていることを特徴とする熱処理装置である。
一方、請求項3の発明は、鋼製のワークを浸炭し、かつ浸窒する熱処理方法において、前記ワークを浸炭することが可能な浸炭温度以上に加熱する昇温工程と、前記ワークの温度を前記浸炭温度以上で維持することが可能なヒータを備えた浸炭処理室内で、前記昇温工程で前記浸炭温度以上に加熱した前記ワークに、前記ワークを浸炭するための浸炭性ガスを接触させて前記ワークを浸炭する浸炭工程と、前記浸炭処理室から離隔している浸窒処理室内で、前記浸炭工程で浸炭した後の前記浸炭温度以下の余熱を持った前記ワークに、前記ワークを浸窒するための浸窒性ガスを接触させて前記ワークを浸窒する浸窒工程と
を有していることを特徴とする熱処理方法である。
この発明によれば、ワークを浸炭する浸炭工程と、ワークを浸窒する浸窒工程とが、それぞれ、互いに離隔した処理室内で行われる。すなわち、浸炭処理室内で浸炭されたワークは、その後、浸炭処理室とは別個の浸窒処理室に移送され、その浸窒処理室内で浸窒される。そして、その浸窒処理室では、ワークを加熱することなく、浸炭後のワークの余熱を利用して浸窒が行われる。そのため、浸炭後に、浸窒するため再度ワークを昇温させることを回避できるとともに、ワークを浸炭浸窒する際の処理時間を短縮することができ、その結果、熱処理コストを削減することができる。
この発明に係る熱処理装置の構成の概要、およびその熱処理装置を用いて実施される浸炭浸窒の処理工程の一例を説明するための模式図である。 この発明に係る熱処理装置および熱処理方法を適用して鋼製のテストピースを浸炭浸窒した際の試験結果を説明するための図であって、その熱処理時のヒートパターンを示すをタイムチャートである。 この発明に係る熱処理装置および熱処理方法を適用して鋼製のテストピースを浸炭浸窒した際の試験結果を説明するための図であって、その熱処理後のテストピースの硬さ試験結果示す図である。 この発明に係る熱処理装置および熱処理方法を適用して鋼製のテストピースを浸炭浸窒した際の試験結果を説明するための図であって、その熱処理後のテストピースの疲労強度試験結果を示す図である。
次に、この発明を図面を参照して具体的に説明する。この発明に係る熱処理装置の構成の概要を図1に示してある。この図1に示す熱処理装置1は、被熱処理材である鋼製のワーク2を浸炭浸窒(もしくは浸炭窒化)するための装置および設備である。熱処理装置1は、熱処理の一連の工程毎に容器や処理室が独立して設けられている。すなわち、熱処理装置1は、搬入されたワーク2を収容する搬送セル3、ワーク2を加熱する加熱室4、ワーク2を浸炭する浸炭処理室5、ワーク2を浸窒(窒化)する浸窒処理室6、および、ワーク2を焼き入れする冷却室7を備えている。
ワーク2は、低炭素鋼や低炭素合金鋼などを材料として加工あるいは成形された機械部品や自動車部品などである。例えば、歯車や回転軸あるいは軸受など、高い耐摩耗性や疲労強度を要求される部材などをワーク2としてこの発明による浸炭浸窒処理が施される。
搬送セル3は、所定の開口部(図示せず)からワーク2を内部へ投入して収容するとともに、開口部を閉じて内部を気密状態に保持することが可能な圧力容器として構成されている。そして、所定の吸引口(図示せず)から容器内部を真空吸引して、容器内部を減圧した状態を保持するとともに、その減圧状態のまま搬送できるように構成されている。
加熱室4は、内部に加熱コイル4aが設けられていて、誘導加熱の原理を利用した高周波加熱炉である。そして、炉内を減圧状態に保持することができるとともに、上記の搬送セル3の開口部と減圧状態を保持したまま連結することができるように構成されている。したがって、減圧された搬送セル3の容器内部から、その減圧状態のままワーク2を加熱室4の炉内に搬送することが可能な構成となっている。そして、加熱コイル4aに通電することにより、ワーク2を900〜1200℃程度に昇温することができるように構成されている。
浸炭処理室5は、加熱したワーク2の表面層に炭素を侵入固溶させる浸炭を実施する処理室もしくは処理炉である。この実施例では、室内(炉内)の雰囲気温度を約1000〜1100℃程度に維持することが可能なようにヒータ5aが設けられている。また、この浸炭処理室5には、例えば炭化水素ガスなどの浸炭性ガスを室内に充填させるためのガス噴射ノズル5bが設けられている。また、この浸炭処理室5も、上記の加熱室4と同様に、室内を減圧状態に保持することができるとともに、上記の搬送セル3の開口部と減圧状態を保持したまま連結することができるように構成されている。したがって、減圧された搬送セル3の容器内部から、その減圧状態のままワーク2を浸炭処理室5の室内に搬入すること、および、減圧状態のままワーク2を浸炭処理室5から搬送セル3へ搬出することが可能な構成となっている。そして、この浸炭処理室5は、浸窒処理室6から熱的に絶縁するように離隔して設けられている。
一般に、浸炭性ガスを用いたガス浸炭法による浸炭は、約900〜950℃の浸炭温度で実施されている。ただし、例えば浸炭深さを浅くするために900℃以下の浸炭温度で実施される場合もある。あるいは処理時間を短縮するために、1000℃以上の高温で実施される場合もある。1000℃以上の高温の下で浸炭を実施することにより、ワーク2の表面層に侵入固溶する炭素の拡散速度を増大させて浸炭時間の短縮化を図ることができる。この浸炭処理室5は、上記のように室内の雰囲気温度を約1000から1100℃の高温に保った状態で室内に浸炭性ガスを充填してワーク2を浸炭することが可能な構成となっている。したがって、上記のような浸炭処理室5を備えたこの発明における熱処理装置1では、通常と比較して短い処理時間でワーク2を浸炭することができる。
浸窒処理室6は、加熱したワーク2の表面層に窒素を侵入固溶させる浸窒(窒化)を実施する処理室もしくは処理炉である。この発明における浸窒処理室6は、浸炭のために加熱されていたワーク2の余熱を利用して浸窒を行うためのものであり、ワーク2を昇温させたりワーク2の温度を維持するためのヒータ等は設けられていない構成となっている。そのため、外部から隔離されて断熱されている保温室もしくは保温炉として構成されている。また、この浸窒処理室6には、例えばアンモニアガスなどの浸窒性ガスを室内(炉内)に充填させるためのガス噴射ノズル6aが設けられている。なお、この浸窒処理室6において更にワーク2の浸炭を促進させるために、浸炭性ガスを室内に充填させるためのガス噴射ノズルを設けておくこともできる。もしくは、上記のガス噴射ノズルから、浸窒性ガスと共に浸炭性ガスを噴射するように構成することもできる。
また、この浸窒処理室6も、上記の加熱室4や浸炭処理室5と同様に、室内を減圧状態に保持することができるとともに、上記の搬送セル3の開口部と減圧状態を保持したまま連結することができるように構成されている。したがって、減圧された搬送セル3の容器内部から、その減圧状態のままワーク2を浸窒処理室6の室内に搬入すること、および、減圧状態のままワーク2を浸窒処理室6から搬送セル3へ搬出することが可能な構成となっている。そして、前述したように、この浸窒処理室6は、浸炭処理室5から熱的に絶縁するように離隔して設けられている。
一般に、浸窒性ガスを用いたガス窒化法による浸窒は、約500〜600℃の浸窒温度で実施されている。ここで、通常、浸窒性ガスとして使用されるアンモニアガスは、約850℃以上の温度で分解してしまう。そのため、仮に、上記の浸炭処理室5でアンモニアガスを用いて浸窒を実施したとすると、1000℃以上の高温で浸炭が実施された後の浸炭処理室5にアンモニアガスを供給することにより、アンモニアガスがワーク2に到達する以前に、室内の雰囲気中やヒータ5a上でアンモニアガスが瞬時に分解されてしまい、ワーク2を適切に浸窒することができない。したがって、浸炭処理室5で適切に浸窒を実施するためには、浸炭が実施された後の浸炭処理室5の雰囲気温度やヒータ5aの温度が約850℃以下に低下するのを待たなければならない。
そこで、この発明における熱処理装置1では、上記のように浸炭処理室5と浸窒処理室6とが、互いに熱的に絶縁するように離隔して設けられている。そして、浸窒処理室6が、ヒータなどの加熱装置を持たない独立した処理室として構成されている。したがって、1000℃以上の高温で浸炭が実施された後のワーク2を浸炭処理室5から取り出し、その後、ワーク2を浸窒処理室6に搬入して浸窒を実施することにより、浸炭後のワーク2の余熱を利用して、ワーク2を浸窒することができる。浸炭処理室5から浸窒処理室6に移送されたワーク2は、移送中にある程度は温度が低下するものの、上述のように浸炭温度に比較して浸窒温度は低いことから、浸窒処理室6に搬入されたワーク2の余熱は、未だ浸窒を実施するのに十分な温度レベルと保っている。そして、浸窒処理室6がヒータを持たない構成であることから、浸窒処理室6内でガス噴射ノズル6aから供給されたアンモニアガスは、ヒータの熱で分解されることなく、浸炭後の余熱を持ったワーク2の表面に到達することができる。その結果、浸炭後の余熱を利用してワーク2を適切に浸窒することができる。
そして、冷却室7は、浸炭および浸窒した後のワーク2を、冷媒を用いて急冷し、焼き入れするための処理室である。この冷却室7には、例えば窒素ガスなどの冷媒ガスを室内に充填させるためのガス噴射ノズル7aが設けられている。また、冷媒ガスを室内に均一に拡散させるための冷却ファン7bが設けられている。そして、この冷却室7も、上記の加熱室4、浸炭処理室5、および浸窒処理室6と同様に、室内を減圧状態に保持することができるとともに、上記の搬送セル3の開口部と減圧状態を保持したまま連結することができるように構成されている。したがって、減圧された搬送セル3の容器内部から、その減圧状態のままワーク2を冷却室7の室内に搬入すること、および、減圧状態のままワーク2を冷却室7から搬送セル3へ搬出することが可能な構成となっている。
上記のように構成された熱処理装置1を用いた熱処理方法について説明する。図1に示すように、この発明に係る熱処理方法は、被熱処理材である鋼製のワーク2を浸炭浸窒(もしくは浸炭窒化)するための熱処理方法である。そして、この発明に係る熱処理方法は、順に、搬入工程(プロセスP1)、昇温(高周波加熱)工程(プロセスP2)、浸炭工程(プロセスP3)、浸窒(窒化)工程(プロセスP4)、焼き入れ(冷却)工程(プロセスP5)、および、搬出工程(プロセスP6)の各工程により実施される。
先ず、搬入工程(プロセスP1)で、ワーク2が搬送セル3に搬入される。そして、搬送セル3の容器内部が真空吸引されて、搬送セル3の容器内が減圧される。容器内が所定の圧力に減圧されると、その減圧状態が保持されるとともに、その減圧状態のまま、次工程(昇温工程)の加熱室4へ搬送される。
昇温工程(プロセスP2)では、ワーク2を収容して減圧状態にされている搬送セル3の開口部が、その減圧状態を保持したまま加熱室4の開口部に連結される。続いて、ワーク2が搬送セル3から加熱室4へ移送される。ワーク2が加熱室4内に移送されると、加熱室4の開口部が閉じられるとともに、室内の減圧状態が維持される。そして、加熱室4の加熱コイル4aに通電されて、高周波加熱によってワーク2が約1100℃まで昇温される。ワーク2の温度が約1100℃になると、再び加熱室4と搬送セル3とが連結されて、ワーク2が加熱室4から搬送セル3へ移送される。そして、その減圧状態のまま、次工程(浸炭工程)の浸炭処理室5へ搬送される。
浸炭工程(プロセスP3)では、ワーク2を収容して減圧状態にされている搬送セル3の開口部が、その減圧状態を保持したまま浸炭処理室5の開口部に連結される。続いて、ワーク2が搬送セル3から浸炭処理室5へ移送される。ワーク2が浸炭処理室5内に移送されると、浸炭処理室5の開口部が閉じられるとともに、室内の減圧状態が維持される。そして、浸炭処理室5に備えられているヒータ5aにより、室内およびワーク2の温度が約1100℃に保持される。そして、浸炭処理室5内に、ガス噴射ノズル5bから炭化水素ガスなどの浸炭性ガスが供給され、ワーク2が浸炭される。ワーク2に対して所望する表面硬度や浸炭深さを達成するために予め設定された所定の浸炭処理時間が経過すると、再び浸炭処理室5と搬送セル3とが連結されて、ワーク2が浸炭処理室5から搬送セル3へ移送される。そして、その減圧状態のまま、次工程(浸窒工程)の浸窒処理室6へ搬送される。
浸窒工程(プロセスP4)では、ワーク2を収容して減圧状態にされている搬送セル3の開口部が、その減圧状態を保持したまま浸窒処理室6の開口部に連結される。続いて、ワーク2が搬送セル3から浸窒処理室6へ移送される。ワーク2が浸窒処理室6内に移送されると、浸窒処理室6の開口部が閉じられるとともに、室内の減圧状態が維持される。そして、浸窒処理室6内に、ガス噴射ノズル6aからアンモニアガスなどの浸窒性ガスが供給され、ワーク2が浸窒される。
前述したように、浸窒処理室6はヒータなどの加熱装置を備えていないが、前工程で約1100℃の高温で浸炭処理された後のワーク2は、浸炭よりも処理温度が低い浸窒を進行させるために十分な余熱を持った状態であるので、その余熱を利用してワーク2を適切に浸窒することができる。
ワーク2に対して所望する表面硬度や浸窒深さを達成するために予め設定された所定の浸窒処理時間が経過すると、再び浸窒処理室6と搬送セル3とが連結されて、ワーク2が浸窒処理室6から搬送セル3へ移送される。そして、その減圧状態のまま、次工程(焼き入れ工程)の冷却室7へ搬送される。
焼き入れ工程(プロセスP5)では、ワーク2を収容して減圧状態にされている搬送セル3の開口部が、その減圧状態を保持したまま冷却室7の開口部に連結される。続いて、ワーク2が搬送セル3から冷却室7へ移送される。ワーク2が冷却室7内に移送されると、冷却室7の開口部が閉じられるとともに、室内の減圧状態が維持される。そして、冷却室7内に、ガス噴射ノズル7aから窒素ガスなどの冷媒が供給され、ワーク2が急冷される。すなわち、浸炭および浸窒処理された後のワーク2が、ガス冷却によって焼き入れされる。なお、この冷却室7で実施される焼き入れ工程は、上記のようなガス冷却以外に、例えば、液体の冷媒を噴霧することによりワーク2を急冷させるいわゆるミスト冷却によって実施することもできる。
予め設定された所定の焼き入れ条件でワーク2が冷却されると、再び冷却室7と搬送セル3とが連結されて、ワーク2が冷却室7から搬送セル3へ移送される。そして、その減圧状態のまま、次工程(搬出工程)でワーク2が冷却室7から搬出される。
搬出工程(プロセスP6)では、ワーク2を収容している搬送セル3の減圧状態が解かれて、大気圧の状態に戻される。そして、搬送セル3からワーク2が搬出され、ワーク2の浸炭浸窒および焼き入れが完了する。
上記のように熱処理装置1を用いた熱処理方法によって浸炭浸窒した鋼製のテストピースの各種試験結果を、図2から図4に示してある。クロムモリブデン鋼(SCM420)を材料とするテストピースを、図2に示すヒートパターンで浸炭浸窒および焼き入れ処理を施した。すなわち、上述したように浸炭処理時間の短縮を図るために、1100℃の高温で浸炭を実施し、その浸炭後の余熱を利用して、約1100℃から約900℃の温度範囲で浸窒を実施した。そして、その浸窒後に、ガス冷却による焼き入れを実施した。
上記のように浸炭浸窒処理したテストピースのビッカース硬さ試験の試験結果を図3に示してある。テストピース表面から約0.8mmの深さの範囲で、熱処理により硬度が向上しているのが分かる。すなわち、浸炭浸窒および焼き入れの効果が見られる。
そして、上記のように浸炭浸窒処理したテストピースのローラーピッチング試験機による疲労試験の試験結果を図4に示してある。ここでは、比較材として浸炭のみを実施したテストピースの疲労試験結果を併記してある。浸炭のみを実施した場合と比較して、浸炭浸窒を実施した場合の方が確実に面圧疲労強度が向上しているのが分かる。
このように、この発明に係る熱処理装置1および熱処理方法を用いて浸炭浸窒処理を実施することにより、熱処理品の表面硬度の向上効果、および、熱処理品の疲労強度の向上効果が確実に得られていることが分かる
以上のように、この発明に係る熱処理装置および熱処理方法によれば、ワーク2を浸炭する浸炭工程と、ワーク2を浸窒する浸窒工程とが、それぞれ、互いに離隔した浸炭処理室5および浸窒処理室6に分かれて行われる。すなわち、浸炭処理室5で浸炭されたワーク2は、その後、浸炭処理室5とは別個の浸窒処理室6に移送され、その浸窒処理室6内で浸窒される。そして、その浸窒処理室6では、ワーク2を加熱することなく、浸炭後のワーク2の余熱を利用して浸窒が行われる。したがって、浸炭後に、浸窒するために処理室の温度が低下するのを待ったり、再度ワーク2を加熱したりする必要がない。そのため、ワーク2を浸炭して、その後、ワーク2を確実に浸窒することができる。それとともに、ワーク2を浸炭浸窒する際の処理時間を大幅に短縮することができる。その結果、ワーク2を浸炭浸窒する際の熱処理コストを大幅に削減することができる。
1…熱処理装置、 2…ワーク、 3…搬送セル、 4…加熱室、 5…浸炭処理室、 6…浸窒処理室、 7…冷却室。

Claims (3)

  1. 鋼製のワークを浸炭させる浸炭処理室と前記ワークを浸窒させる浸窒処理室とをそれぞれ別個に備え、前記浸炭処理室内で浸炭させた前記ワークを前記浸窒処理室内に移送して浸窒させる熱処理装置において、
    前記浸炭処理室と前記浸窒処理室とは、互いに離隔するように構成され、
    前記浸窒処理室内で、前記浸炭処理室内で浸炭させた後の前記ワークの余熱を利用して前記ワークを浸窒させるように構成されている
    ことを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記浸窒処理室に、前記ワークを浸窒するための浸窒性ガスを前記浸窒処理室内に充填させる浸窒ガス供給手段が設けられ、
    前記浸窒処理室内で、前記浸窒ガス供給手段により供給される前記浸窒性ガスを、前記余熱を持った前記ワークに接触させることにより、前記ワークを浸窒させるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 鋼製のワークを浸炭し、かつ浸窒する熱処理方法において、
    前記ワークを浸炭することが可能な浸炭温度以上に加熱する昇温工程と、
    前記ワークの温度を前記浸炭温度以上で維持することが可能なヒータを備えた浸炭処理室内で、前記昇温工程で前記浸炭温度以上に加熱した前記ワークに、前記ワークを浸炭するための浸炭性ガスを接触させて前記ワークを浸炭する浸炭工程と、
    前記浸炭処理室から離隔している浸窒処理室内で、前記浸炭工程で浸炭した後の前記浸炭温度以下の余熱を持った前記ワークに、前記ワークを浸窒するための浸窒性ガスを接触させて前記ワークを浸窒する浸窒工程と
    を有していることを特徴とする熱処理方法。
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