JP2014132128A - 織物 - Google Patents

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美希 今井
Hideaki Kunisada
秀明 國貞
Tatsuro Shinozaki
達郎 篠崎
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Abstract

【課題】通電可能な第一糸材をより確実に蛇行状に配置することにある。
【解決手段】第二糸材との収縮差により第一糸材11が蛇行状に配置する織物において、第一糸材11が、芯糸20と、芯糸20に対してスパイラル状に巻装される鞘糸(21,22)とを有し、鞘糸(21,22)が、SとZのいずれか一方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、芯糸20に対して、一方とは異なるSとZのいずれか他方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される織物。
【選択図】図4

Description

本発明は、通電可能な第一糸材と、第一糸材よりも収縮しやすい第二糸材の双方を構成糸とする織物に関する。
車両用シートの表皮材は、シートの利便性などを考慮して、静電容量式センサの電極やヒータとして使用できることが好ましい。
例えば特許文献1に開示の織物は、通電可能な面材であることから上述の表皮材として好適に使用できる。この織物は、通電可能な第一糸材と、第一糸材よりも収縮しやすい第二糸材を構成糸として備える。そして第一糸材は、例えば芯糸(導電糸)と、芯糸にスパイラル状に巻装される鞘糸(樹脂製)を有する。また第二線材として、第一糸材よりも収縮しやすい樹脂製の糸材を使用できる。
公知技術では、第一糸材と第二糸材の双方を織物の構成糸として使用する。このとき織物組織(構成糸)の大部分に第二糸材を使用しつつ、収縮性の異なる組織(収縮しやすい組織、収縮しにくい組織)を交互に形成する。また第一糸材を、収縮性の異なる組織(収縮しやすい組織、収縮しにくい組織)の間に配置する。
つぎに織物に仕上げ処理(加熱処理)を施したのち表皮材として使用するのであるが、このとき加熱により第二糸材が収縮して第一糸材が相対的に長くなる。そこで公知技術では、各組織の収縮度合いを異ならせることにより、第一糸材を部分的に引張して面方向に蛇行させる。こうすることで第二糸材の収縮により第一糸材が相対的に長くなっても、第一糸材が織物表面から突出することを極力阻止できる。
そして公知技術では、第一糸材を蛇行状に配置することで、乗員の着座時(表皮材の押圧時)において、第一糸材が過度に緊張して断線することを極力阻止できる。
特開2010−261116号公報
ところで公知技術では、収縮率の異なる組織をとなりあわせて配置することにより、両糸材の間に長さの違い(糸長差)を生じさせて、第一糸材を面方向に蛇行状に配置する。
この種の構成では、組織の歪には限界があるため、第一糸材と第二糸材の収縮差が大きいと(両糸材の糸長差を)回収できず、第一糸材が組織平面に垂直に飛び出すことがあった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、通電可能な第一糸材をより確実に蛇行状に配置することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の織物は、通電可能な第一糸材と、第一糸材よりも収縮しやすい第二糸材の双方を構成糸として備えるとともに、第二糸材との収縮差により第一糸材が蛇行状に配置する。
本発明では、第一糸材が、芯糸と、芯糸に対してスパイラル状に巻装される導電糸の鞘糸とを有するのであるが、このとき第一糸材をより確実に(第二糸材との糸長差を利用しつつ)蛇行状に配置できることが望ましい。
そこで本発明では、鞘糸が、SとZのいずれか一方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、芯糸に対して、一方とは異なるSとZのいずれか他方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される。
本発明では、鞘糸自体の撚りの方向と、芯糸に対する撚りの方向を異ならせることで、鞘糸のトルク(芯糸に対して鞘糸が撚り戻ろうとする力)を低減する。これにより鞘糸の捩れ(スナール)が原因の第一糸材の短縮を極力回避することができる。
第2発明の織物は、第1発明の織物であって、加熱処理後の芯糸を備える第一糸材が織物の構成糸として使用される。
本発明では、加熱処理後の芯糸(極力収縮しにくい糸材)を第一糸材に使用することで、第二糸材との糸長差をより確実に発生させることができる。また第一糸材が、組織表面上に極力飛び出さず、蛇行配置ができるようになる。
第3発明の織物は、第1発明又は第2発明の織物において、第一糸材が、第一鞘糸と、第二鞘糸を有する。
そこで第一鞘糸が、SとZのいずれか一方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、芯糸に対して、一方とは異なるSとZのいずれか他方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される。また第二鞘糸が、SとZのいずれか他方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、芯糸に対して、SとZのいずれか一方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される。
本発明では、第一鞘糸と第二鞘糸にて、第一糸材の構造を安定化しつつ、第二糸材との糸長差をより確実に発生させることができる。
本発明に係る第1発明によれば、第一糸材をより確実に蛇行状に配置することができる。また第2発明によれば、第一糸材を更に確実に蛇行状に配置することができる。そして第3発明によれば、第一糸材を更に安定的に蛇行状に配置することができる。
車両用シートの斜視図である。 表皮材一部の正面図である。 織物一部の組織図である。 (a)は、第一糸材の正面図であり、(b)は、第一鞘糸の側面図であり、(c)は、第二鞘糸の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図4を参照して説明する。なお図2では、便宜上、第一糸材と第二糸材の一部にのみ符号を付す。また各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
図1の車両用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するクッション材(4P,6P,8P)と、クッション材を被覆する表皮材(4S,6S,8S)を有する。
本実施例では、シートクッション4の表皮材4Sに織物10が使用されており、静電容量式センサの電極又はヒータとして機能する(図1〜図3を参照)。
この織物10は、通電可能な第一糸材11と、第一糸材11よりも収縮しやすい第二糸材12の双方を構成糸として備える(各糸材の詳細は後述)。そして第一糸材11と第二糸材12の収縮性の違いを利用しつつ、両糸材の間に長さの違い(糸長差)を生じさせて、第一糸材11を面方向に蛇行状に配置する。この種の構成では、第一糸材11をより確実に(第二糸材12との糸長差を利用しつつ)蛇行状に配置できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成にて、第一糸材11をより確実に蛇行状に配置することとした。以下、各構成について詳述する。
[表皮材(織物)]
表皮材4Sは、袋状の面状部材であり、複数の表皮ピース(例えば第一表皮ピース40fと第二表皮ピース40s)を縫合して形成できる(図1〜図3を参照)。
第一表皮ピース40fは、シート中央(座面)形状に倣った略矩形の面状部材である。本実施例では、第一表皮ピース40fが、織物10を用いて形成されており、通電可能な第一糸材11と、第一糸材11よりも収縮しやすい第二糸材12と、接続部材30を有する(各糸材及び部材の構成は後述)。そして第一表皮ピース40f(織物10)を、電源9に電気的に接続することにより、静電容量式センサの電極やヒータとして機能させることができる。
また第二表皮ピース40sは、シート側部形状に倣った形状の面状部材であり、布帛(織物10,編物,不織布)、皮革(天然皮革,合成皮革)又はこれらの複合材にて形成できる。なお各表皮ピースの裏面側(クッション材を臨む側)には、パッド材14(典型的に発泡樹脂製の面材)と、裏基布16(例えば不織布)を積層状に配置できる。
[第一糸材(通電可能な糸材)]
第一糸材11は、第一表皮ピース40f(織物10)の構成糸であり、芯糸20と、鞘糸(21,22)を有する(図2及び図4を参照)。
芯糸20は、紡績糸、フィラメント糸、延伸糸及び伸縮加工糸(仮撚加工糸や座屈糸)等の糸材であり、第二糸材12(後述)よりも収縮性に劣る糸材であることが好ましい。芯糸20として、複数の糸材を引き揃えるなどして使用することができ、また単数の糸材を使用することもできる。
芯糸20(材質)は特に限定しないが、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混繊糸を例示できる。
天然繊維では、綿、麻又は羊毛が風合いに優れるため、織物10の構成糸として用いることが好ましい。また化学繊維では、ポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレートのフィラメント)やナイロン繊維は耐久性と風合いと強度に優れるため、表皮材4Sの構成糸として用いることが好ましい。
そして芯糸20の熱水収縮率が10%以下(典型的には0%〜10%の範囲内)であることが好ましい。
なお熱水収縮率は、「JIS−L1013 8.18.1(b)」に準じて初荷重8.82mN/texをかけ500mmを測定して2点うち、初荷重を除き、98℃以上の熱水中に30分間浸せきした後、風乾後、1.47mN/texをかけて2点間の長さを測り算出できる。
ここで芯糸20の熱水収縮率が10%より大きいと、芯糸20に対して鞘糸(後述)が相対的に長くなる(糸長差が生じる)などして、鞘糸のスナールが発生しやすくなる。
さらに本実施形態では、第一糸材11が、加熱処理後の芯糸20(極力収縮しにくい糸材)を備えることが望ましい。こうすることで第一糸材11と第二糸材12の糸長差をより確実に発生させることができる。
ここで加熱処理とは、例えば乾熱では130℃〜180℃の範囲(湿熱では90℃〜135℃の範囲)の温度を芯糸20にかけて収縮を促す処理であり、芯糸20の作成途中(染色処理等)に施すことができ、芯糸20の作成後に施すこともできる。
(鞘糸(複数の導電糸))
鞘糸(21,22)は、複数の導電糸を撚り合せてなる線材であり、導電糸の本数は特に限定しないが典型的には2〜10本である(図4を参照)。
各導電糸は、通電可能な導電性の線材であり、典型的に比抵抗(体積抵抗率とも呼ぶ)が10〜10−12Ω・cmである。この鞘糸を第一表皮ピース40f(織物10)に取付けることで、静電容量式センサの電極やヒータとして機能させることができる。
ここで「比抵抗(体積抵抗率)」とは、どのような材料が電気を通しにくいかを比較するために用いられる物性値であり、例えば「JIS C2525 7.2.C 体積抵抗率」に準拠して測定することができる。
この種の導電糸として、金属や合金などの糸材、メッキ線材、炭素繊維のフィラメントを例示できる。メッキ線材は、非導電性又は導電性の線材(芯材)と、金属又は合金のメッキ層を有する。また炭素繊維とは、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)やピッチ系炭素繊維である。なかでも焼成温度1000℃以上の炭素繊維(炭素化繊維、黒鉛化繊維、黒鉛繊維)のフィラメントは良好な電気伝導性を有するため、本実施例の導電糸として好適に使用できる。
なお導電糸の断面形状は特に限定しないが、撚り合わせやすい形状(略円形やハニカム状など)であることが好ましい。
そして鞘糸(複数の導電糸)は、SとZのいずれか一方の撚り方向にて撚り合すことができ、撚数は、各導電糸の太さ(繊度)や本数等によって適宜設定される。
例えば鞘糸(2〜10本の導電糸)の撚数を200〜2000T/mに設定することで、鞘糸に所望の耐久性を付与することができる。ここで鞘糸の撚数が200T/m未満であると、所望の耐久性が得られない傾向にある。また鞘糸の撚数が2000T/mより多いと、鞘糸引張強度が低下するおそれがある。
(第一糸材の作成)
図4を参照して、鞘糸(21,22)を、芯糸20に対してスパイラル状に巻装することで第一糸材11を作成する。
このとき本実施例では、鞘糸(21,22)自体の撚りの方向と、芯糸20に対する鞘糸(21,22)の撚りの方向(カバリングの撚り方向)を異ならせる。例えば複数の導電糸をS撚りにて撚り合せて第一鞘糸21を作成したのち、この第一鞘糸21を、芯糸20に対して、Z撚りにてスパイラル状に巻装することで第一糸材11を作成できる。
またこれとは反対に、複数の導電糸をZ撚りにて撚り合せて第二鞘糸22を作成したのち、この第二鞘糸22を、芯糸20に対して、S撚りにてスパイラル状に巻装することで第一糸材11を作成できる。
こうして鞘糸(21,22)自体の撚りの方向とカバリングの撚り方向を異ならせることで、鞘糸のトルク(芯糸に対して鞘糸が撚り戻ろうとする力)を低減して、鞘糸(21,22)のスナールを極力回避できる。また鞘糸(典型的に収縮しにくい糸材)を巻装することで、第一糸材11の収縮性が、第二糸材12(後述)よりも劣ることとなる。
ここで第一糸材11中の鞘糸の本数は特に限定しないが、典型的には1本(シングルカバリング)、2本(ダブルカバリング)等の偶数本に設定できる。
例えば本実施例では、第一鞘糸21と第二鞘糸22を使用してダブルカバリングすることにより、第一糸材11の強度や導電性を向上させることができる。このとき第一鞘糸21と第二鞘糸22のカバリングの撚り方向を異ならせることが好ましい。こうすることで第一鞘糸21と第二鞘糸22にて、第一糸材11の構造を安定化しつつ、第二糸材12(後述)との糸長差をより確実に発生させることができる。
また第一鞘糸21と第二鞘糸22のいずれかを使用してシングルカバリングすることで、第一糸材11の部品点数を抑えて製造コスト等を低減することもできる。
また鞘糸(21,22)の撚数は、各導電糸の太さ(繊度)、フィラメント数(シングルカバリング、ダブルカバリング)などに応じて適宜設定できる。
例えばダブルカバリングの場合、第一鞘糸21と第二鞘糸22の撚数を、それぞれ独立に又は統一して200〜2000T/mの範囲に設定することで、第一糸材11に所望の強度を付与することができる。
ここで第一鞘糸21と第二鞘糸22の撚数が200T/m未満であると、導電糸が切断されるまでの伸度が十分得られない傾向にある。また第一鞘糸21と第二鞘糸22の撚数が2000T/mより多いと、第一糸材11の剛性が高くなり、得られる織物の風合い、触感が過度に悪化することがある。そして第一鞘糸21と第二鞘糸22の撚数を400〜1700T/mの範囲に設定することで、所望の性能を備えた第一糸材11とすることができる。
[第二糸材]
第二糸材12は、第一糸材11よりも収縮しやすい糸材であり、紡績糸、フィラメント、延伸糸又は伸縮加工糸(仮撚加工糸や座屈糸)を例示できる(なお図2では、便宜上、個々の第二糸材ではなく同糸材が使用される組織部分に符号を付す)。
第二糸材12(材質)として、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混繊維を例示できる。
なお天然繊維では、綿、麻又は羊毛が風合いに優れるため、表皮材4Sの構成糸として用いることが好ましい。また化学繊維では、ポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレートのフィラメント)やナイロン繊維は耐久性と風合いと強度に優れるため、表皮材4Sの構成糸として用いることが好ましい。なお第二糸材12の繊度は特に限定しないが、例えば30〜3000dtex程度の糸材を使用することができる。
ここで第一糸材11と第二糸材12の糸長差は特に限定しないが、第二糸材12に対して第一糸材11が10%〜30%長いことが望ましい。両糸材の糸長差が10%未満であると、第一糸材11が蛇行状に配置しないおそれがある。また両糸材の糸長差が30%より大きいと、第二糸材12の収縮により第一糸材11が過度に引張されることがある。
[織物の作製]
図2及び図3を参照して、第一表皮ピース40f(織物10)のタテ糸又はヨコ糸(構成糸)として、第一糸材11と第二糸材12を適宜使用する。
例えばタテ糸としての第二糸材12を整経したのち、ヨコ糸としての第一糸材11と第二糸材12を打ち込むことができる。またタテ糸として、第一糸材11と第二糸材12を使用することもできる。
ここで織物10中の第一糸材11の配置本数は特に限定しないが、表皮材4Sとして用いる場合には、複数の第一糸材11を平行に配置することが好ましい(図2を参照)。
例えば第一表皮ピース40f(織物10)にヒータ機能を持たせる場合、第一糸材11同士の間隔寸法(W1)を3mm〜60mmに設定することが好ましい。
また第一表皮ピース40f(織物10)に電極機能を持たせる場合、第一糸材11同士の間隔寸法(W1)は60mmの範囲内に設定することが望ましい。間隔寸法(W1)が60mmを超えると、第一表皮ピース40f(織物10)のセンサ機能が悪化(静電容量が低下)して電極として機能しないおそれがある。好ましくは第一糸材11の間隔寸法(W1)の上限値を30mmとすることで、導電化された第一表皮ピース40f(織物10)がより好適なセンサ機能(静電容量)を備える。
本実施形態は図3の組織によって構成されている。
図3(a)の組織を加工した後に図3(b)が形成される。図3(b)は高収縮糸2a(第二糸材)によって、面方向に沿う上方向への変位を許容する第一誘導部211aと、面方向に沿う下方向への変位を許容する第二誘導部212aとが幅方向に交互に形成されるとともに、幅方向における第一誘導部211aと第二誘導部212aとの間に拘束部22aが形成されたものである。
拘束部22aは、変位を許容する範囲が誘導部211a、212aよりも小さい箇所である。したがって、低収縮糸3a(第一糸材)における拘束部22aの下に位置する部分には、低収縮糸3aにおける誘導部211a、212aの下に位置する部分よりも摩擦力等によって大きな拘束力が発生する。本実施形態のように上下方向に沿う誘導部211a、212aが形成された構成でいえば、拘束部22aの上下方向における長さは、誘導部211a、212aの上下方向における長さよりも小さい。つまり、拘束部22aが低収縮糸3aの上下方向の変位を許容する範囲の大きさは、誘導部211a、212aが許容する範囲の大きさよりも小さくなっている。また、本実施形態では、上下方向における各拘束部22aの位置は、略同じ位置となるように設定されている。
図3(a)に示すように幅方向に沿って略真っ直ぐである仕上げ処理前の低収縮糸3aは、第一誘導部211a、第二誘導部212a、および拘束部22aの下を通った状態にある。この状態で仕上げ処理が施されて高収縮糸2aが相対的に大きく縮むと、拘束部22aに拘束された箇所を支点として、低収縮糸3aにおける第一誘導部211aの下を通る部分が面方向に沿って上方向に撓み、低収縮糸3aにおける第二誘導部212aの下を通る部分が面方向に沿って下方向に撓む。特に本実施形態では、低収縮糸3aにおける拘束部22aに拘束された箇所の一方側が上方向(所定方向)に撓み、他方側が下方向(所定方向の反対方向)に撓むから、拘束部22aの一方側における上方向への撓み量と拘束部22aの他方側における下方向への撓み量が略均等になる。
なお、本実施形態では、拘束部22aは、第一誘導部211aと第二誘導部212aとの間の全てに形成されているが、両者の間の少なくとも一部に形成されていればよい。つまり、本実施形態にかかる織物10は、面方向に沿う所定方向への変位を許容する第一誘導部211aと面方向に沿う所定方向の反対方向への変位を許容する第二誘導部212aとの間の少なくとも一部に、拘束部22aが形成されたものであればよい。
第一糸材11(緯糸)を低収縮糸3aの位置に配置し、第二糸材12を高収縮糸2aの位置に配置する。このとき第二糸材12(2a)が収縮すると、第一糸材11(3a)が誘導部211aおよび212aに誘導され蛇行組織を形成することとなる。
(織物の仕上げ処理)
本実施例では、第一表皮ピース40f(織物10)を製織したのち、所定の仕上げ処理を行うことができる。
この仕上げ処理として、精練工程と、染色工程と、熱セット工程と、風合い出し工程と、後加工剤付与工程と、仕上げセット工程を例示でき、これら上述の工程を全て行うこともでき、1又は複数の工程を省略することもできる。
上記各工程では第一表皮ピース40f(織物10)に熱処理を施すことが多く、例えば精練では90℃〜100℃前後、染色では90℃〜135℃前後の熱処理が施されることが多い。そして第一表皮ピース40f(織物10)の仕上げ処理(加熱処理)によって、第一表皮ピース40f(織物10)中の第二糸材12が収縮する。この第二糸材12との収縮差により、第一糸材11が蛇行状に配置することとなる。
本実施形態では第一糸材11(緯糸)を低収縮糸3aの位置に配置し、第二糸材12を高収縮糸2aの位置に配置する。このとき第二糸材12(2a)が収縮すると、第一糸材11(3a)が誘導部211aおよび212aに誘導され蛇行組織を形成することとなる。こうして第一糸材11が、第一表皮ピース40f(織物10)表面から飛び出すことなく蛇行組織が形成される。
本実施形態では、鞘糸(21,22)自体の撚りの方向と、芯糸20に対するカバリングの撚りの方向を異ならせることで、鞘糸(21,22)のトルク(芯糸に対して鞘糸が撚り戻ろうとする力)を低減する。これにより仕上げ工程時に第一糸材11に応力がかかっても、鞘糸(21,22)のスナールが原因の第一糸材11の短縮を極力回避できる。
[接続部材]
接続部材30は、第一糸材11と電源9を電気的につなげる部材であり、導線、導電テープ、導電化された布体を例示できる(図2を参照)。この接続部材30によって、第一糸材11と電源を電気的につなげることで、第一糸材11を通電可能状態にできる。
本実施例では、第一表皮ピース40f(織物10)の向きを調節するなどして、第一糸材11をシート幅方向に向けつつ配置する。つぎに第一表皮ピース40f(織物10)の両末端部に接続部材30(帯状の布体)をそれぞれ配設する。そして各接続部材30を、第一表皮ピース40f(織物10)に縫着しつつ、第一糸材11の両端に電気的につなげる。
そして一対の接続部材30を、電源ケーブル(符号省略)などを介して電源9につなげることで、第一表皮ピース40f(織物10)を通電可能状態とすることができる。こうすることで表皮材4S(第一表皮ピース40f)を、例えばヒータとして機能させることができる(利便性に優れるシート構成となる)。
(表皮材の使用)
図1及び図2を参照して、表皮材4Sを、クッション材4P上に配置しつつ、ヒータ等として使用する。
本実施例では、第一表皮ピース40f(織物10)において、第一糸材11を蛇行状に配置することにより、乗員着座時の押圧にて第一糸材11が過度に緊張することを極力阻止できる。さらに本実施例では、鞘糸(21,22)自体の撚りの方向とカバリングの撚り方向を異ならせることで鞘糸(21,22)のトルクを低減する。これにより乗員着座時に第一糸材11に応力がかかっても、芯糸20に対する鞘糸(21,22)のズレが極力発生せず、第一糸材11の通電性能を好適に維持できる。
以上説明したとおり本実施例では、鞘糸(21,22)自体の撚りの方向と、芯糸20に対する撚りの方向を異ならせる。こうすることで鞘糸(21,22)のトルクを低減してスナールを極力回避できる。
また本実施例では、加熱処理後の芯糸20(極力収縮しにくい糸材)を第一糸材11に使用することで、第二糸材12との糸長差をより確実に発生させることができる。
そして本実施例では、第一鞘糸21と第二鞘糸22にて、第一糸材11の構造を安定化しつつ第二糸材12との糸長差をより確実に発生させることができる。
このため本実施例によれば、第一糸材11をより確実に蛇行状に配置できる。
以下、本実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[実施例1]
実施例1の第一糸材の芯材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)仮撚り先染め糸(330T/72フィラメント)を使用した([表1]を参照)。本実施例のPET仮撚り先染め糸は、PET仮撚り白糸(330T/72フィラメント)を135℃でチーズ染色処理して作成した。
また鞘糸(第一鞘糸,第二鞘糸)として、導電糸としてのステンレス線(SUS316、φ18μm)7本を撚り合せたのち樹脂コーティングを施した糸材を使用した。樹脂コーティング剤としてPFA(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合)を主成分とするものを用いた。そして樹脂コーティング剤の膜厚は30μmとした。そして本実施例では、第一鞘糸自体の撚りの方向(撚り方向)をSに設定した(撚数:1500T/m)。また第二鞘糸自体の撚りの方向(撚り方向)をZに設定した(撚数:1500T/m)。
そして芯糸に対して、第一鞘糸と第二鞘糸を撚り合わせて(ダブルカバリングして)第一糸材を作成した。このとき本実施例では、芯糸に対する第一鞘糸の撚りの方向(カバリングの撚り方向)をZに設定した(撚数:500T/m)。また芯糸に対する第二鞘糸の撚りの方向(カバリングの撚り方向)をSに設定した(撚数:500T/m)。
また第二糸材(タテ糸)として、PET仮撚り先染め糸(84T/144フィラメント)と、PET仮撚り先染め糸(167T/36フィラメント)を使用した。
また第二糸材(ヨコ糸)として、PET仮撚り先染め糸(167T/48フィラメント)と、PET仮撚糸(84T/144フィラメント)を使用した。
そしてタテ糸(第二糸材)を整経したのち、ジャガード織機にてヨコ糸(第二糸材)を打ち込む(柄を表現する)中で、ヨコ糸(第二糸材)19本に1本の周期で第一糸材を打ち込んだ。
なおタテ糸(第二糸材)として、PET仮撚り先染め糸(84T/144フィラメント)と、PET仮撚り先染め糸(167T/36フィラメント)を1:1の割合で使用した。またヨコ糸(第二糸材)として、PET仮撚り先染め糸(167T/48フィラメント)と、PET仮撚り先染め糸(84T/144フィラメント)を1:1の割合で使用した。
つぎに織物に対して、ウォーターリラックス90℃で生機幅から8%収縮させた後、起毛、せん毛BCを行ったのち、バッキング剤を裏面に付与して乾燥したものを実施例1の織物とした。バッキング剤として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルから合成されたアクリル系ポリマーと難燃剤を主成分とするものを用いた。そしてバッキング剤の付与量は60g/m2とし、乾燥温度は150℃×1minとした。乾燥後の織物は、生機幅から15%収縮した。
実施例1の織物の仕上げ密度は、経/緯=212/102本/2.54cmであった。また第一糸材同士の間隔寸法(W1)は20mmであった。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同一の素材を使用して第一糸材を作成した([表1]を参照)。このとき比較例1では、各鞘糸自体の撚りの方向(撚り方向)と、芯糸に対する撚りの方向(カバリングの撚り方向)を同一とした。その他の条件は実施例1と同一とした。
[各種性能の測定方法]
実施例1及び比較例1にかかるカバリングされている時の鞘糸のスナール指数測定をするため、測定したい芯糸の端を固定し、鞘糸の撚りが解除されないように取り外し、その後、「JIS L1095 9.17A法」に準拠して測定した。
またPET仮撚り先染め糸(330T/72フィラメント)の熱水収縮率を、本明細書の段落[0015]の記載に基づいて「JIS L1013 8.18.1(b)」を参考にして測定した。
下記の[表1]に、実施例1の織物と、比較例1の織物の詳細及びスナール指数を示す。また[表2]に、PET仮撚り先染め糸およびPET仮撚り糸の熱水収縮率を示す。
Figure 2014132128
Figure 2014132128
[結果及び考察]
実施例1の織物では、第一糸材と第二糸材に有意の糸長差が生じて、第一糸材を、織物の面方向に蛇行状に配置し、スナールを極力回避することができた。
回避できた理由として、各鞘糸自体の撚りの方向(撚り方向)とカバリングの撚り方向を異ならせることで、各鞘糸のトルクを軽減して、スナールを極力回避できたと考えられる。
また、[表2]から芯糸に加熱処理を施すことにより、熱水収縮率が極端に低下する(収縮しにくくなる)ことがわかった。このことから加熱処理後の芯糸(極力収縮しにくい糸材)を第一糸材に使用することで、第二糸材との糸長差をより確実に発生させることができることがわかった。
また実施例1の織物では、スナールを回避することで、加工時の(第一糸材の)断線リスクを抑えることができ、蛇行配置することで、織物が引張しても第二糸材との糸長差により(第一糸材が)緊張して断線することを抑えられた。
これとは異なり比較例1の織物では、鞘糸が撚りついて芯糸を巻きこまれてしまい、第一糸材としてスナールが発生してしまい、第一糸材が直線状に配置されてしまい、第二糸材と有意の糸長差が生じず、直線状に配置されてしまった。
そして比較例1のようにスナールが発生すると、加工工程中での引っかかりによる(第一糸材の)断線や風合いの低下に繋がることが容易に予測される。
本実施形態の織物は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、誘導部211a,212aと拘束部22aを備える織物10を例示したが、織物の構成(組織構成など)を限定する趣旨ではない。
(2)また本実施形態では、一対の接続部材30を第一表皮ピース40f(織物10)の両端に取付ける例(ヒータとして機能させる例)を説明した。これとは異なり第一表皮ピースを静電容量式センサの電極として機能させる場合には、例えば同表皮ピースの一側に接続部材(単数)を取付けることができる。
(3)また本実施形態では、第一表皮ピース40fを織物10で作成する例を説明した。織物は、例えば第一表皮ピースのほか、第二表皮ピースなどの他の表皮ピースとして使用することができる。またシートクッションの表皮材のほか、シートバックやヘッドレストの表皮材に使用することもできる。
(4)また本実施形態では、シートクッション4を一例に説明したが、本実施例の構成は、シート構成部材のほかに、車室天井や車室壁体などの車両構成部材、衣類等に適用できる。
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4P クッション材
4S 表皮材
9 電源
10 織物
11 第一糸材
12 第二糸材
14 パッド材
16 裏基布
20 芯糸
21 第一鞘糸
22 第二鞘糸
30 接続部材
40f 第一表皮ピース
40s 第二表皮ピース
211a,212a 誘導部
22a 拘束部

Claims (3)

  1. 通電可能な第一糸材と、前記第一糸材よりも収縮しやすい第二糸材の双方を構成糸として備えるとともに、前記第二糸材との収縮差により前記第一糸材が蛇行状に配置する織物において、
    前記第一糸材が、芯糸と、前記芯糸に対してスパイラル状に巻装される鞘糸とを有し、
    前記鞘糸が、SとZのいずれか一方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、前記芯糸に対して、前記一方とは異なるSとZのいずれか他方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される織物。
  2. 加熱処理後の前記芯糸を備える第一糸材が前記織物の構成糸として使用される請求項1に記載の織物。
  3. 前記第一糸材が、第一鞘糸と、第二鞘糸を有するとともに、
    前記第一鞘糸が、SとZのいずれか一方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、前記芯糸に対して、前記一方とは異なるSとZのいずれか他方の撚り方向にてスパイラル状に巻装され、
    前記第二鞘糸が、SとZのいずれか他方の撚り方向に撚り合された複数の導電糸であるとともに、前記芯糸に対して、SとZのいずれか一方の撚り方向にてスパイラル状に巻装される請求項1又は2に記載の織物。
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