JP2014136357A - 電子機器の筐体及び該筐体の製造方法 - Google Patents

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JP2014136357A JP2013005638A JP2013005638A JP2014136357A JP 2014136357 A JP2014136357 A JP 2014136357A JP 2013005638 A JP2013005638 A JP 2013005638A JP 2013005638 A JP2013005638 A JP 2013005638A JP 2014136357 A JP2014136357 A JP 2014136357A
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Masanobu Ishizuka
賢伸 石塚
Tomoyuki Abe
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂を母材とするFRP板に樹脂材料を射出成形した時に強固に一体化できて外観性を向上できる電子機器の筐体を提供する。
【解決手段】連続繊維11を熱可塑性樹脂12で被覆してプリプレグ薄板10を作り、プリプレグ薄板10を、表面の少なくとも1箇所に凹凸を備えるプレス金型で圧縮加工して、プリプレグ薄板10の内部にある連続繊維11を凹凸形状に変形させ、変形してプリプレグ薄板10の表層部分に位置する連続繊維11を、熱可塑性樹脂12を切削加工によって除去することによってプリプレグ薄板10の表層部分に凸状または凹状の形態で露出させ、連続繊維11が凸状または凹状の形態で露出しているプリプレグ薄板10の表面を覆うように、強化繊維13を含む樹脂材料14を積層することによって形成した電子機器の筐体15である。
【選択図】図11

Description

本出願は電子機器の筐体及び該筐体の製造方法に関する。
近年、携帯電話やスマートフォン、個人情報機器(PDA)、ノート型コンピュータ、カーナビゲーション装置等の小型電子機器が薄肉小型化されるにつれ、これらの電子機器の筐体にも肉厚が薄く軽量で、かつ高い剛性を持つ筐体部品が求められている。
一般に、薄肉高強度の筐体部品を製造する方法として以の方法が知られている。
(1)ガラス繊維や炭素繊維を充填した繊維強化熱可塑性樹脂を射出成形する方法
(2)アルミニウム合金やマグネシウム合金の圧延板をプレス加工する方法
(3)アルミニウム合金やマグネシウム合金を射出成形(ダイカスト法、チクソモールド法など)する方法
(4)金属板や繊維強化樹脂(以後FRPという)の板とをインサート成形により一体成形する方法
このうち、FRPの板をインサート成形する場合、通常FRPは熱硬化性樹脂のマトリクス(母材)を持つため、熱可塑性樹脂とは強固に接着しなかった。このため、FRPを熱可塑性樹脂と一体化するために、以下のような方法が行われていた。
(A)図1(a)に示すようにFRP製の部品2を熱可塑性樹脂製の薄板基材1にネジ3で接合する。
(B)図1(b)に示すようにFRP製の部品2を熱可塑性樹脂製の薄板基材1に接着剤4を用いて接合する。
(C)図1(c)に示すように、熱可塑性樹脂製の薄板基材1に貫通孔5を設け、成形時にモールド樹脂14が貫通孔5を通じて薄板基材1の裏面に回り込むようなマクロな嵌合構造を設けて接合する。この方法に使用するモールド樹脂14は熱硬化性FRPであり、固まると熱が加わっても溶けない性質を持つ。
このため、せっかくの薄型製品の外観に図1(c)に示すような段形状が発生したり、図1(a)に示すようにネジ3が熱可塑性樹脂製の薄板基材1の表面に露出して外観が損なわれるなどの弊害があった。
これを解決する方法として、特許文献1及び特許文献2に開示の技術が知られている。これらはいずれもFRP基材の表面に接着剤となる低融点のポリアミド樹脂をコーティングすることにより、より高融点のモールド樹脂と接着して一体化する技術である。これらの技術を使用すれば、段差の無いよりスマートな製品外観が得られたり、より強固な接着が得られる利点がある。
特開2004−269878号公報
特開2009−214371号公報
ところが、特許文献1及び特許文献2に開示の技術では、モールド樹脂に使用する樹脂材料の相溶性の問題から、ポリアミド樹脂以外のモールド樹脂が使用できない制限があり、耐熱性に優れた樹脂が使用できなかった。また、ポリアミド樹脂は吸水によって基材剛性が低下するなどの課題があった。
1つの側面では、本出願は、熱可塑性樹脂をマトリクスとするプリプレグの薄板に、様々な樹脂材料を射出して強固に一体成形でき、外観性の向上、薄肉軽量及び高信頼性を実現可能な電子機器の筐体及び該筐体の製造方法を提供することを目的とする。
実施形態の一観点によれば、連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板を備え、プリプレグ薄板の少なくとも一方の面に、連続繊維が凸状または凹状の形態で露出しており、連続繊維が凸状または凹状の形態で露出しているプリプレグ薄板の表面を覆うように、強化繊維を含む樹脂材料が積層されて形成されたことを特徴とする電子機器の筐体が提供される。
実施形態の他の観点によれば、連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしてプリプレグ薄板を作り、プレス面の少なくとも1箇所に微細凹凸を備えるプレス金型によりプリプレグ薄板を両面から圧縮し、圧縮時に、微細凹凸によってプリプレグ薄板を三次元形状に変形させると共に、プリプレグ薄板の内部にある連続繊維を凹凸形状に変形させ、プリプレグ薄板の変形部分の表層部分に位置する熱可塑性樹脂を切削加工によって除去して、連続繊維の少なくとも一部をプリプレグ薄板の表層部分に露出させ、連続繊維の露出部を含むプリプレグ薄板の表面に、強化繊維を含む樹脂材料を積層することによって電子機器の筐体を製造する方法が提供される。
(a)はFRP製の部品が熱可塑性樹脂製の薄板基材にネジで接合された状態を示す断面図、(b)はFRP製の部品が熱可塑性樹脂製の薄板基材に接着剤を用いて接合された状態を示す断面図、(c)は薄板基材に貫通孔が設けられ、成形時にモールド樹脂が貫通孔を通じて薄板基材の裏面に回りこむようにされたマクロな嵌合構造を示す図である。 (a)は一層の連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板の断面図、(b)は二層の連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板の断面図、(c)は三層の連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板の断面図である。 (a)は図2(a)に示したプリプレグ薄板をプレス金型に入れてプレスする工程を示す図、(b)は(a)に示したプレス金型が閉じられた時の、金型のB部近傍の部分拡大断面図、(c)は(b)の状態からプレス金型によってプレスが行われた時のプリプレグ薄板の状態を示す部分拡大断面図、(d)は(a)に示したプレス金型が閉じられた時の、金型のD部近傍の部分拡大断面図、(e)は(d)の状態からプレス金型によってプレスが行われた時のプリプレグ薄板の状態を示す部分拡大断面図、(f)は(a)に示したプレス金型が閉じられた時の、F部近傍の部分拡大断面図、(g)は(f)の状態からプレス金型によってプレスが行われた時のプリプレグ薄板の状態を示す部分拡大断面図である。 (a)は図2(b)に示したプリプレグ薄板をプレス金型に入れてプレスした時のプレス金型のB部によって形成される連続繊維の変形を示す部分拡大断面図、(b)は図2(b)に示したプリプレグ薄板をプレス金型に入れてプレスした時のプレス金型のF部によって形成される連続繊維の変形を示す部分拡大断面図、(c)は図2(b)に示したプリプレグ薄板をプレス金型に入れてプレスした時のプレス金型の別の部位によって形成される連続繊維の変形を示す部分拡大断面図、(d)は図2(b)に示したプリプレグ薄板をプレス金型に入れてバスタブ状にプレスした時に、スライド金型によって連続繊維の変形をプリプレグ薄板の外側の面に設けた例を示す部分拡大断面図、(e)は変形前の連続繊維の部分拡大断面図、(f)はプレスによって変形した後の連続繊維の部分拡大断面図である。 (a)はプレス後のプリプレグ薄板の表面から熱可塑性樹脂を部分的に削除するレーザ切削の工程を示す斜視図、(b)から(d)は、図4(b)に示したプリプレグ薄板における連続繊維の変形部分をレーザ切削した時の切削例を示すプリプレグ薄板の部分拡大断面図である。 (a)は表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板をモールド金型内に設置してインサート成形によりプリプレグ薄板の一方の面に強化繊維を含む樹脂材料を積層する工程を示す説明図、(b)は表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板に、モールド金型内で強化繊維を含む樹脂材料を射出した時のモールド金型内の強化繊維を含む樹脂材料の挙動を説明する部分拡大断面図、(c)は従来のプリプレグ薄板に、モールド金型内で強化繊維を含む樹脂材料を射出した時のモールド金型内の強化繊維を含む樹脂材料の挙動を説明する部分拡大断面図である。 表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板に、トランスファー成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層する工程を示す説明図である。 表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板に、真空成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層する工程を示す説明図である。 表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板に、ブロー成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層する工程を示す説明図である。 表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板に、強化繊維を含む樹脂材料が積層された造られた電子機器の筐体を示す斜視図である。 (a)は図10のX部の部分拡大断面図、(b)は図10のY部の部分拡大断面図、(c)は図10のZ部の部分拡大断面図である。
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
図2(a)は、一層の連続繊維11を熱可塑性樹脂12でコーティングした繊維強化樹脂の薄板10の断面図である。このような繊維強化樹脂の薄板10は熱可塑性プリプレグと呼ばれる。熱可塑性樹脂12でコーティングする連続繊維11の層は一層に限定されるものではなく、繊維強化樹脂の薄板10に必要な強度に応じて層の数を増やすことができる。図2(b)は、二層の連続繊維11が熱可塑性樹脂12でコーティングされた繊維強化樹脂の薄板10を示すものであり、図2(c)は三層の連続繊維11が熱可塑性樹脂12でコーティングされた繊維強化樹脂の薄板10を示すものである。以後繊維強化樹脂の薄板10はプリプレグ薄板10と言う。
本出願では、図2(a)〜(c)等に示されるプリプレグ薄板10に内蔵される連続繊維11を、プレス金型を用いて変形させる。この工程を、図2(a)に示した一層の連続繊維11を熱可塑性樹脂12でコーティングしたプリプレグ薄板10を用いた場合について図3により説明する。
図3(a)は、図2(a)に示したプリプレグ薄板10を、プレス金型20に入れてプレスする工程を示すものである。プレス金型20は雄金型21と雌金型22を備えており、プリプレグ薄板10は雌金型22の凹部24の中に載置される。プレス金型20の雄金型21には凹部24内に挿入される凸部23が設けられている。そして、雄金型21の凸部23と雌金型22の凹部24のB部、D部及びF部には、プリプレグ薄板10にある連続繊維11を三次元形状に変形させるための凹部25,26,27が設けられている。
図3(b)は図3(a)に示したプレス金型20が閉じられた時の、プレス金型20のB部近傍を部分的に拡大して示すものである。図3(b)に示す状態では、プレス金型20の雄金型21と雌金型22との間に圧力は加わっていない。雄金型21と雌金型22との間に圧力を加えると、凹部25内に熱可塑性樹脂12が入り込み、熱可塑性樹脂12の移動により連続繊維11も凹部25内に入る。そして、凹部25の深さを大きくしておくと、連続繊維11は凹部25内に入る過程で破断し、図3(c)に示す状態になる。凹部の寸法及び深さと連続繊維がプレス時に破断するか否かのデータについては後述する。
図3(d)は図3(a)に示したプレス金型20が閉じられた時の、プレス金型20のD部近傍を部分的に拡大して示すものである。図3(d)に示す状態では、プレス金型20の雄金型21と雌金型22との間に圧力は加わっていない。雄金型21と雌金型22との間に圧力を加えると、凹部26内に熱可塑性樹脂12が入り込み、熱可塑性樹脂12の移動により連続繊維11も凹部26内に入る。凹部26の深さはあまり大きくないので、連続繊維11は凹部26内に入る過程では破断せず、図3(e)に示すように、窪んだ状態(三次元形状に変形した状態)になる。
図3(f)は図3(a)に示したプレス金型20が閉じられた時の、プレス金型20のF部近傍を部分的に拡大して示すものである。図3(f)に示す状態では、プレス金型20の雄金型21と雌金型22との間に圧力は加わっていない。雄金型21と雌金型22との間に圧力を加えると、凹部27内に熱可塑性樹脂12が入り込み、熱可塑性樹脂12の移動により連続繊維11も凹部27内に入る。凹部27の深さもあまり大きくないので、連続繊維11は凹部27内に入る過程では破断せず、図3(g)に示すように、窪んだ状態になる。
図4(a)は、図2(b)に示したプリプレグ薄板10をプレス金型20に入れてプレスした後の、プレス金型20のB部に対応する部分のプリプレグ薄板10を示すものである。この実施例に示すプリプレグ薄板10は、一層目の連続繊維11が破断されて変形しているが、二層目の連続繊維11には変形が生じていない。プレス金型20に設ける凹部のサイズにより、一層目の連続繊維11だけをこのように変形させることが可能である。
図4(b)は、図2(b)に示したプリプレグ薄板10をプレス金型20に入れてプレスした後の、プレス金型20のF部に対応する部分のプリプレグ薄板10を示すものである。この実施例に示すプリプレグ薄板10は、一層目の連続繊維11が上側に凸になるように変形しているが、二層目の連続繊維11には変形が生じていない。プレス金型20に設ける凹部のサイズにより、一層目の連続繊維11だけをこのように変形させることが可能である。
図4(c)は、図2(b)に示したプリプレグ薄板10をプレス金型20に入れてプレスした後の、同じくプレス金型20のF部に対応する部分のプリプレグ薄板10を示すものである。この実施例に示すプリプレグ薄板10は、一層目の連続繊維11が上側に凸のドーム形状になるように変形しているが、二層目の連続繊維11には変形が生じていない。プレス金型20に設ける凹部のサイズにより、一層目の連続繊維11だけをドーム形状に変形させることが可能である。
図4(d)は図2(b)に示したプリプレグ薄板10を、プレス金型20の形状によりバスタブ状に成形すると共に、プレス金型20に設けたスライド金型(図示省略)により、プリプレグ薄板10の外側の面に連続繊維11の変形部を設けた実施例である。このように、プレス金型20によって連続繊維11を変形させる部分は、プリプレグ薄板10の上下どちらにも設けることができ、プリプレグ薄板10をバスタブ状に成形した場合にはプリプレグ薄板10の外側の面にも設けることが可能である。
図4(e)は、プリプレグ薄板10に内蔵される連続繊維11の変形前の状態を示すものである。連続繊維11には縦糸と横糸があり、連続繊維11は縦糸と横糸によって糸と糸の間の隙間が殆ど無い状態で編みこまれている。図4(f)はプレス金型20によって連続繊維11が変形した後の連続繊維11の縦糸と横糸の状態を示すものである。プレス金型20によって連続繊維11が変形すると、図4(f)に示すように、糸と糸の間に隙間Sができる。よって、連続繊維11が変形した部分の表層の熱可塑性樹脂12を除去して連続繊維11を露出させれば、この上に強化繊維を含む樹脂材料を積層すると、樹脂材料が連続繊維11の隙間に入り込むので、連続繊維11と強化繊維を含む樹脂材料の結合が強まる。
以上のように、プリプレグ薄板10は予め筐体の外形形状に加工すると同時に、後にモールド樹脂を積層する部分の連続繊維11に微細な凹凸形状を付与しておく。これによりモールド樹脂と連続繊維11との接合部分の面積が増加するとともに、アンカー効果による結合力が向上する。
連続繊維11が変形した部分の表層の熱可塑性樹脂12を除去するには、グラインダ等で削る方法や、図5(a)に示すようにレーザ装置30からのレーザ光を用いたレーザ切削による方法がある。レーザ装置30は、プレス金型20に設けられた凹部の位置に合わせて移動させることができるので、連続繊維11が変形した部分の表層の熱可塑性樹脂12を正確に除去することが可能である。
このレーザ装置30を使用すれば、連続繊維11が変形した部分の表層の熱可塑性樹脂12を色々な形状に削除することが可能である。図5(b)は図4(b)に示したプリプレグ薄板10における連続繊維11の凸状に変形した部分Tの上部に位置する熱可塑性樹脂12を全て除去した実施例を示している。また、図5(c)は図4(b)に示したプリプレグ薄板10における連続繊維11の凸状に変形した部分Tの上部に位置する熱可塑性樹脂12を、部分的に除去して所定のパターンを形成した実施例を示している。更に、図5(d)は図4(b)に示したプリプレグ薄板10における連続繊維11の凸状に変形した部分Tの頂面の上部に位置する熱可塑性樹脂12を部分的に除去して露出させると共に、露出部の周囲に壁部Wを形成した実施例を示している。
図6(a)は、連続繊維11の変形部分の表層にある熱可塑性樹脂12が部分的に除去されたプリプレグ薄板10をモールド金型40内に設置して、射出成形機50により強化繊維を含む樹脂材料を射出するインサート成形を説明するものである。モールド金型40には、雄金型41、雌金型42、樹脂流路45が設けられた凸部43、プリプレグ薄板10をセットする凹部44及びプリプレグ薄板10の内側に強化繊維を含む樹脂材料を積層するためのキャビティ46がある。キャビティ46はプリプレグ薄板10の内側に形成する平坦部やボス部及びリブ部に対応して設けられる。
図6(b)は表層の熱可塑性樹脂12が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に、モールド金型40内で強化繊維13を含むモールド樹脂14を射出した時のモールド金型40内の強化繊維13を含むモールド樹脂14の挙動を説明するものである。モールド金型40内のキャビティ46に流れ込んだ強化繊維13を含むモールド樹脂14は、連続繊維11の変形部分に達すると、前述のように連続繊維11の変形部分に絡みついて強固に結合する。
即ち、プリプレグ薄板10とモールド樹脂14とを接合する際には、モールド樹脂14が、表層樹脂(熱可塑性樹脂12)を除去した連続繊維11の隙間S(図4(f)参照)に含浸し、同時にモールド樹脂14中の強化繊維13が連続繊維11の隙間Sに入り込むことで強固な接着が得られる。プリプレグ薄板10のマトリクスに耐熱性が高い樹脂を使用すれば、一部をプリプレグ薄板10の表面に残存させることで、アンカー効果を付与することもできる。このため従来技術のようにプリプレグ薄板10とモールド樹脂14との組み合わせが制限されない。
これに対して、図6(c)に示すように、熱可塑性樹脂12の一部を除去して連続繊維11を露出させただけのプリプレグ薄板10には、露出部分の連続繊維11に隙間Sがない。従って、モールド金型40内に強化繊維13を含むモールド樹脂14を射出した場合でも、強化繊維13を含むモールド樹脂14が連続繊維11に強固に結合しない。この結果、プリプレグ薄板10から強化繊維13を含むモールド樹脂14が剥れ易い。
連続繊維11の変形部分の表層にある熱可塑性樹脂12が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に強化繊維13を含むモールド樹脂14を積層する方法は前述のインサート成形以外にもある。例えば、トランスファー成形、真空成形や、ブロー成形等を、インサート成形の代わりに行うことが可能である。
図7は、表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に、トランスファー成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層する工程を示すものである。トランスファー成形は、射出成形と同様に繊維を露出したプリプレグ薄板10を雌金型52の凹部54に設置し、雄金型51を取り付けた状態で、溶融樹脂を樹脂流路55を通じて金型内のキャビティに56移送して硬化するものである。53は雄金型51の凸部である。トランスファー成形は、射出成形に比較して、バリ処理が必須のため手軽さはないが、熱硬化性樹脂による強化層や付加部品を成形できる。
また、図8は、表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に、真空成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層する真空成形機60を示すものである。真空成形(圧空成形)では、排気通路61が設けられた成形台62にある凹部63に繊維を露出したプリプレグ薄板10がまず嵌めこまれる。その上に強化繊維を含む樹脂材料で作られた樹脂シート64が設置される。成形台62の上にカバー65が、成形台62に対して気密に取り付けられる。カバー65には内部空間66があり、この内部空間66にヒータ67がシート64に対向して設置されている。ヒータ67によって樹脂シート64が加熱されて樹脂シート64が軟化すると、排気通路61が図示しない減圧手段に接続され、空圧または吸引により樹脂シート64がプリプレグ薄板10に押し付けられて一体化される。主に筐体の内外面に被覆層を形成したり部分的に転写することで、装飾部および、より薄肉の付加部品を形成できる。
更に、図9は、表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に、ブロー成形によって強化繊維を含む樹脂材料を積層するブロー成形機70を示すものである。ブロー成形機70には上金型71と下金型72があり、上金型71と下金型72の間の内部空間73に中空形状に仕上げられたプリプレグ薄板10が嵌め込まれる。そして、中空形状のプリプレグ薄板10の内部に樹脂シートがパリソン74として挿入され、吹き込み口75から高圧の熱風が吹き込まれてパリソン74がブローされる。ブローによってパリソン74が膨らみ、プリプレグ薄板10の内周面に押し付けられて一体化する。ブロー成形では、中空部品に継ぎ目のない被覆層が形成される。
図10は、表層樹脂が部分的に除去されたプリプレグ薄板10に、強化繊維を含む樹脂材料が積層された造られた電子機器の筐体15を示すものである。電子機器の筐体15はバスタブ状であり、内部にボス16やリブ17が形成されている。そして、図11(a)は図10のX部の部分拡大断面図、図10(b)は図10のY部の部分拡大断面図、図10(c)は図10のZ部の部分拡大断面図を示している。これらの図から、連続繊維11の変形部分に強化繊維13を含むモールド樹脂14が強固に結合していることが分かる。
ここで、以上説明した実施例の具体的な実現例を説明する。連続繊維11には炭素繊維(CF)が使用でき、例えば、t=0.2mmの平織CFクロスを用いる。熱可塑性樹脂12にはt=0.25mmのポリエーテルイミド(PEI)フィルムをマトリクス樹脂として使用できる。そして、図2(b)に示す二層の連続繊維(炭素繊維シート)11を三層の熱可塑性樹脂12でコーティングしてプリプレグ薄板10を製作すると、70mm×100mm、t=0.6mmのサイズのプリプレグ薄板10となった。
プレス金型20としては小型プレス機を使用し、加工条件は、加熱温度280°C、ゲージ圧15MPaとした。また、図10に示したバスタブ形状の電子機器の筐体15は、50×90mmの底面を持ち、側壁の高さを5mmとした。そして、内部に設けたボス16は直径1mmで高さ1mmに形成でき、リブ17は幅1mm、長さ40mm、高さ2mmに形成することができた。
プレス金型の雄金型または雌金型に加工した凹部の形状は、断面が円の円形穴または断面が長方形の角穴とした。そして、円形穴の直径と深さ、角穴の縦横の長さと深さを変えることにより、連続繊維を破断させずに変形させる、或いは破断させて変形させることができた。以下に円形穴と角穴の寸法と連続繊維の破断の有無のデータを示す。なお、プレス金型の雄金型または雌金型に設ける凹凸のサイズに制限は無いが、高低差が0.5mm〜1mm程度の凹凸であれば、連続繊維11が炭素繊維であってもガラス繊維であっても破断することはない。
(1)円形穴
直径10mmで深さ0.5mm:連続繊維に破断なし
直径10mmで深さ1.0mm:連続繊維に破断なし
直径10mmで深さ1.5mm:連続繊維に破断あり
直径1mmで深さ0.5mm:連続繊維に破断なし
直径1mmで深さ1.0mm:連続繊維に破断あり
(2)角穴
2mm×5mmで深さ0.5mm:連続繊維に破断なし
2mm×5mmで深さ1.0mm:連続繊維に破断なし
2mm×5mmで深さ1.5mm:連続繊維に破断あり
0.5mm×5mmで深さ0.5mm:連続繊維に破断なし
0.5mm×5mmで深さ1.0mm:連続繊維に破断あり
レーザ装置30としてはレーザー加工機を使用し、照射エネルギーを40Jとし、FRP板面に平行方向に走査を繰り返して熱可塑性樹脂を除去した。インサート成型は射出成形機にモールド樹脂としてポリフェニレンサルファイド(ガラス繊維30%)を使用し、樹脂温度280℃、金型温度130℃、射出速度20mm/sとした。
以上のようにして製造した電子機器の筐体と従来構成の電子機器の筐体において、形成したボス部およびリブ部に対して引張試験を万能試験機を用いて行ったところ、下記の接着力を確認した。
(1)連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしただけのプリプレグ薄板では、10kgf/cmであった。
(2)連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングし、プレス加工は行わずに表層にある熱可塑性樹脂を除去して連続繊維を除去したプリプレグ薄板では、70kgf/cmであった。
(3)連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングし、プレス加工を行って連続繊維に凹凸を形成し、微細凹凸の表層樹脂を除去したサンプルでは、120kgf/cm2であり、FRP板が破壊した。
このように本出願によれば、プリプレグ薄板をプレス金型で圧縮した後、レーザー切削などの切削加工によりプレプリグ薄板の連続繊維が変形した部分の表層の熱可塑性樹脂を除去し、連続繊維層を露出させた状態でインサート成形して電子機器の筐体を製造する。この工程によって製造された電子機器の筐体は、プリプレグ薄板とモールド樹脂とが強固に一体化した軽量薄型で意匠性に優れた電子機器の筐体となる。
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
(付記1) 連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板をマトリクスとし、
前記プリプレグ薄板の少なくとも一方の面に、前記連続繊維が凸状または凹状の形態で露出しており、
前記連続繊維が凸状または凹状の形態で露出している前記プリプレグ薄板の表面を覆うように、強化繊維を含む樹脂材料が積層されて形成されたことを特徴とする電子機器の筐体。
(付記2) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維が破断されて折れ曲がった形態であることを特徴とする付記1に記載の電子機器の筐体。
(付記3) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維が台形状に盛り上がった形態であることを特徴とする付記1に記載の電子機器の筐体。
(付記4) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維がドーム状に盛り上がった形態であることを特徴とする付記1に記載の電子機器の筐体。
(付記5) 前記プリプレグ薄板が複数層の連続繊維に対して前記熱可塑性樹脂がコーティングされて形成されたものであることを特徴とする付記1から4の何れかに記載の電子機器の筐体。
(付記6) 連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしてプリプレグ薄板を作り、
プレス面の少なくとも1箇所に微細凹凸を備えるプレス金型により前記プリプレグ薄板を両面から圧縮し、
前記圧縮時に、前記微細凹凸によって前記プリプレグ薄板を三次元形状に変形させると共に、前記プリプレグ薄板の内部にある前記連続繊維を凹凸形状に変形させ、
前記プリプレグ薄板の変形部分の表層部分に位置する前記熱可塑性樹脂を切削加工によって除去して、前記連続繊維の少なくとも一部を前記プリプレグ薄板の表層部分に露出させ、
前記連続繊維の露出部を含む前記プリプレグ薄板の表面に、強化繊維を含む樹脂材料を積層することによって電子機器の筐体を製造する方法。
(付記7) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維が破断されて折れ曲がった形態であることを特徴とする付記6に記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記8) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維が台形状に盛り上がった形態であることを特徴とする付記6に記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記9) 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維がドーム状に盛り上がった形態であることを特徴とする付記6に記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記10) 前記切削加工により、前記凸状の前記連続繊維の上面に位置する前記熱可塑性樹脂を全て除去することを特徴とする付記8または9に記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記11) 前記切削加工により、前記台形状に盛り上がった凸状の前記連続繊維の上面に位置する前記熱可塑性樹脂を部分的に除去して所定のパターンを形成することを特徴とする付記8に記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記12) 前記切削加工がレーザ切削であることを特徴とする付記6から11の何れかに記載の電子機器の筐体の製造方法。
(付記13) 前記強化繊維を含む樹脂材料を前記繊維強化樹脂の上に積層する工程が前記プリプレグ薄板を収容する金型と、射出成形機によって行われることを特徴とする付記6から11の何れかに記載の電子機器の筐体の製造方法。
10 繊維強化樹脂の薄板(プリプレグ薄板)
11 連続繊維
12 熱可塑性樹脂
13 強化繊維
14 樹脂材料(モールド樹脂)
20 プレス金型
25〜27 凹部
30 レーザ装置
40 モールド金型
50 射出成形機

Claims (5)

  1. 連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしたプリプレグ薄板をマトリクスとし、
    前記プリプレグ薄板の少なくとも一方の面に、前記連続繊維が凸状または凹状の形態で露出しており、
    前記連続繊維が凸状または凹状の形態で露出している前記プリプレグ薄板の表面を覆うように、強化繊維を含む樹脂材料が積層されて形成されたことを特徴とする電子機器の筐体。
  2. 前記連続繊維の凸状の形態は、前記連続繊維が破断されて折れ曲がった形態であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の筐体。
  3. 連続繊維を熱可塑性樹脂でコーティングしてプリプレグ薄板を作り、
    プレス面の少なくとも1箇所に微細凹凸を備えるプレス金型により前記プリプレグ薄板を両面から圧縮し、
    前記圧縮時に、前記微細凹凸によって前記プリプレグ薄板を三次元形状に変形させると共に、前記プリプレグ薄板の内部にある前記連続繊維を凹凸形状に変形させ、
    前記プリプレグ薄板の変形部分の表層部分に位置する前記熱可塑性樹脂を切削加工によって除去して、前記連続繊維の少なくとも一部を前記プリプレグ薄板の表層部分に露出させ、
    前記連続繊維の露出部を含む前記プリプレグ薄板の表面に、強化繊維を含む樹脂材料を積層することによって電子機器の筐体を製造する方法。
  4. 前記切削加工がレーザ切削であることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の筐体の製造方法。
  5. 前記強化繊維を含む樹脂材料を前記プリプレグ薄板の上に積層する工程が、前記プリプレグ薄板を収容する金型と、射出成形機によって行われることを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器の筐体の製造方法。
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