JP2014140929A - 高速断続切削加工においてすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 工具基体の表面に、硬質被覆層の表面層として酸化アルミニウム主体層を形成した表面被覆切削工具において、酸化アルミニウム主体層中には、Si、Crの微粒および粗粒の組み合わせからなる酸化物結晶体が5〜50面積%分散含有され、酸化物結晶体断面の真円換算した平均粒径は0.03〜0.5μmの範囲内にあり、かつ、酸化物結晶体の平均粒子径が0.03〜0.1μmの微粒子群と0.2〜0.5μmの粗粒子群とからなり、上記酸化アルミニウム主体層を縦断面観察した場合に、層中に含有される所定観察範囲内の全ての酸化物結晶体の占める面積を1とした場合に、微粒子群の占める面積が0.25〜0.75である。
【選択図】 図1
Description
そして、硬質皮膜のうちでも、α型酸化アルミニウム層は、熱安定性に優れ、反応性が低く、かつ、高硬度であるという点から、上記周期律表の4a、5a、6a族から選ばれた少なくとも1種以上の元素の炭化物、窒化物、炭窒化物等からなる硬質皮膜の最表面層として、α型酸化アルミニウム層が被覆形成された被覆工具が知られているが、切削条件が厳しくなるにしたがって、それに耐え得る切削性能を備えた被覆工具が求められており、そのため、硬質皮膜の最表面層を構成するα型酸化アルミニウム層についても種々の改良・提案がなされている。
「(1)炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットからなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
(a)上記硬質被覆層の表面層として、0.2〜5.0μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム主体層を備え、
(b)上記酸化アルミニウム主体層中には、Cr、Siから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物結晶体が、層中に占める面積割合で5〜50面積%分散含有され、
(c)上記酸化物結晶体のそれぞれの断面の面積を、真円の面積として換算した際の直径を粒径とし、該粒径の平均値を平均粒径とした場合、上記酸化物結晶体の平均粒径は0.03〜0.5μmの範囲内にあり、
(d)上記酸化アルミニウム主体層中の含有酸化物結晶体の平均粒子径が0.03μm〜0.1μmの微粒子群と0.2〜0.5μmの粗粒子群とからなり、上記酸化アルミニウム主体層を縦断面観察した場合に、層中に含有される所定観察範囲内の全ての酸化物結晶体の占める面積を1とした場合に、微粒子群の占める面積が0.25〜0.75であることを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
上記工具基体の表面から深さ方向に0.5〜3.0μmの平均層厚を有する基体表面硬化層が形成され、該基体表面硬化層に含まれる結合相金属としてのCoの平均含有量が、2.0質量%未満であることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3)炭窒化チタン基サーメットからなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
上記工具基体の表面から深さ方向に0.5〜3.0μmの平均層厚を有する基体表面硬化層が形成され、該基体表面硬化層に含まれる結合相金属としてのCo及びNiの合計平均含有量が、2.0質量%未満であることを特徴とする(1)に記載の表面被覆切削工具。」
を特徴とするものである。
下地層の具体例としては、例えば、化学蒸着によって形成したTiN層、TiCN層、TiCO層、TiCNO層等のTi化合物層を挙げることができ、また、物理蒸着によって形成したTiとAlの複合窒化物層、CrとAlの複合窒化物層等を挙げることができる。
なお、本発明でいう上記結晶体の平均粒径とは、該酸化アルミニウム主体層を視野領域1×1μmの範囲にて、5視野断面TEM観察した場合に、観察視野内に存在する各々の酸化物結晶体の断面の面積を測定し、これを真円の面積として換算した際の該真円の直径を求め、該直径をそれぞれの結晶体の粒径とした場合に、全ての酸化物結晶体について、該粒径を平均した値を本発明では平均粒径とよぶ。
一方、平均面積割合が5面積%未満である場合には、潤滑性、耐酸化性向上に寄与する結晶体が少なくなるため、酸化アルミニウム主体層の耐摩耗性が低下する。
したがって、本発明では、酸化アルミニウム主体層中に占める上記結晶体の平均面積割合を5〜50面積%と定めた。
したがって、上記結晶体の平均粒径は、0.03〜0.5μmと定めた。
また、酸化物結晶体は微粒子群と粗粒子群からなるが、酸素が膜中に拡散しにくくするためには、層中に含有できる限度内の範囲で、均一に分散させることが望ましいが、微粒子群の平均粒子径が0.1μmより大きいと、層中に満遍なく分散できず、粗粒子群の平均粒子径が0.2μm未満であると、切削時に酸化物結晶体と被削材が摺動する際の1回1回の摺動距離が短くなるために、発熱抑制の効果が小さく、下地層や基体の酸化による摩耗進行、溶着等の発生により工具寿命が短くなることから上記酸化アルミニウム主体層中の含有酸化物結晶体の平均粒子径は0.03μm〜0.1μmの微粒子群と0.2〜0.5μmの粗粒子群からなると定めた。
さらに、全酸化物結晶体の占める面積を1とした場合に、微粒子群の占める面積が0.25未満であると微粒子が相対的に少なくなるために微粒子による耐酸化性の向上効果が希薄になってしまい、0.75を超えると粗粒子が相対的に少なくなるために粗粒子による潤滑性の向上効果が発揮されない。
したがって、全ての酸化物結晶体の占める面積を1とした場合に、微粒子群の占める面積を0.25〜0.75として定めた。
基体表面硬化層の平均層厚は0.5μm以下であると耐摩耗性が十分発揮できないまま比較的すぐに磨滅してしまい、3.0μm以上であるとチッピングしやすくなる。
酸化物結晶体の準備:
本発明では、ゾル−ゲル法によって酸化アルミニウム主体層を形成する際、アルミナゾルに添加する酸化物結晶体として、CrおよびSiから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物結晶体を用いるが、最終的に形成される酸化アルミニウム主体層において、層中に存在する該結晶体の平均面積割合を所定値にするため、さらに、該結晶体の平均粒径を所定値にするために、添加する結晶体には、以下のような調整を行う。
該酸化物結晶体を転動流動層を有する風力装置へ搬入し、層内圧力を−400mmAqに保持して、加熱しながらロータ回転数100〜500rpmで転動流動させ、一次エア量55〜70L/分で空気を吹き込みながら該風力装置の上部に設けられたメッシュクロスにより風力分級を5分間行うことで所定サイズの酸化物結晶体を得ることができる。
アルミナゾルの調製:
まず、アルミニウムのアルコキシド(例えば、アルミニウムセカンダリブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド)にアルコール(例えば、エタノール、1−ブタノール)を添加し、次いで、酸(例えば、塩酸、硝酸)を添加し、所定量、所定サイズのCr、Siの酸化物結晶体を添加した後、さらに、所定濃度の酸(例えば、塩酸)を添加した後、10〜40℃の温度範囲にて1〜3時間攪拌することによってアルミナゾルを調製する。なお、該結晶体を含有させる方法としては、前駆体ゾル調製時の加水分解及び縮重合反応にて形成されるAlとOのネットワーク中に該結晶体が均一に分散し、取り込まれていることが望ましいため、塩酸を添加し、加水分解及び縮重合が始まる前に該結晶体が添加されていることが望ましい。なお、アルミニウムのアルコキシドは粘性が高く、撹拌しにくいため、例えば、アルコール中に結晶体を添加、撹拌して分散させておくことが望ましい。
なお、酸として塩酸を添加した場合、最終的に形成される酸化アルミニウム素地中に塩素が混入残留するが、塩素は鉄などの金属と反応し、潤滑性の高い塩化物を形成することで、結果的に、酸化アルミニウム主体層の潤滑性、耐溶着性向上に寄与するため、酸化アルミニウム主体層中における濃度として、1.0〜10原子%の範囲の含有が許容される。
次いで、上記アルミナゾルについて、ゾル中で起きている加水分解・縮合反応が平衡状態に至るまで待つ目的で20〜40℃の温度範囲にて12時間以上保持する。
工具基体あるいは下地層を被覆した工具基体を、上記で調製したアルミナゾル中へ浸漬処理し、その後、0.5mm/secの速度でアルミナゾル中からこれを引き上げ、それに続き150〜300℃で10分間乾燥処理、この浸漬処理と乾燥処理を所要の層厚になるまで繰り返し行い、次いで、600〜1100℃の温度範囲で焼成処理を行う。
但し、1400℃にて1時間保持後1320℃までの冷却を、超硬基体Fについては、3.3kPaの窒素雰囲気中にて40分間行い、超硬基体Gについては、1kPaの窒素雰囲気中にて40分間、超硬基体Hについては、2kPaの窒素雰囲気中にて10分間、超硬基体Iについては、3.3kPaの窒素雰囲気中にて120分間かけて冷却することで基体表面を硬化処理した。
なお、下層の形成にあたり、上記工具基体A及びBについては、化学蒸着装置に装入し、表2に示す成膜条件を用いて、粒状結晶組織を有するTiN層、TiCN層、TiCO層、TiCNO層、縦長成長結晶組織のTiCN層(以下、l−TiCNで示す)からなるTi化合物層を表5、7に示す皮膜構成にて下地層を予め形成した。一方、上記工具基体Cについては、物理蒸着装置の一種であるアークイオンプレーティング装置に装入し、表5、7に示す膜厚のTi0.5Al0.5N層からなる下地層を予め形成した。
また、上記工具基体Dについては、同じくアークイオンプレーティング装置に装入し、表5、7に示す膜厚のAl0.7Cr0.3N層からなる下地層を予め形成した。
一方、上記工具基体E、F、G、H、Iについては、下地層の形成を特に行わなかった。
表1に示す所定量のアルミニウムのアルコキシドであるアルミニウムセカンダリブトキシドに、同じく表4に示す所定量のエタノールをCr、Siから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物結晶体の微粒および粗粒の組み合わせからなる酸化物結晶体を、表3に示す所定量を添加した後、恒温槽中15〜30℃で攪拌を行い、さらに、所定量の水を添加した塩酸を滴下により1時間かけて添加した。
最終的な溶液組成は、モル比で、
(アルミニウムセカンダリブトキシド):(水):(エタノール):(塩酸)
=1:(80〜120):20:(0.1〜1)
になるように調整を行った。
また、同時に酸化アルミニウム主体層の平均層厚を透過電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均値(5ヶ所の平均値)を示した。
表6に、測定・算出した観察視野範囲内における酸化物結晶体の平均面積割合(面積%)と平均粒径(μm)、観察視野範囲内中の全ての酸化物結晶体の占める面積を1とした場合の微粒子群が占める面積、表面硬化層中の結合相金属量(質量%)の値を示す。
(アルミニウムセカンダリブトキシド):(水):(エタノール):(塩酸)
=1:(80〜120):20:(0.1〜1)
になるように調整し、表4に示す条件でアルミナゾルを調製した。また、その際、実施例1で使用したものとは異なるサイズ、量の上記酸化物結晶体をあらかじめエタノールに添加し、実施例1と同様に撹拌しておいた。
(ロ)次いで、前記化学蒸着法によるTi化合物層及び物理蒸着法によるTiAlN層、AlCrN層をそれぞれ形成した上記超硬基体A〜Dおよび特別な表面処理を施していない超硬基体E〜Iの表面に、上記アルミナゾルを塗布した。
(ハ)ついで、上記塗布したアルミナゾルを、表4に示す条件で大気中で乾燥処理を行い、さらに塗布と乾燥を所定層厚になるまで繰り返した後、大気中800℃で1時間の焼成処理を行うことにより、表7、8に示す比較例の被覆工具1〜9(比較例工具1〜9という)を製造した。
表8にその結果を示す。
切削速度:160m/min.、
切り込み: 1.2mm、
送り:0.22 mm/rev.、
切削時間: 5分、
の条件での乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は120 m/min.)、後の、それぞれの工具の摩耗状態について観察を行い、逃げ面摩耗量の測定を行った。
なお、下層の形成にあたり、上記工具基体J及びKについては、化学蒸着装置に装入し、表2に示す成膜条件を用いて、表11、13のTi化合物からなる皮膜構成にて下地層を予め形成した。一方、上記工具基体Lについては、物理蒸着装置の一種であるアークイオンプレーティング装置に装入し、表11、13に示す膜厚のTi0.5Al0.5N層からなる下地層を予め形成した。
また、上記工具基体Mについては、同じくアークイオンプレーティング装置に装入し、表11、13に示す膜厚のAl0.7Cr0.3N層からなる下地層を予め形成した。
一方、上記工具基体N,O,P,Q,Rについては、下地層の形成を特に行わなかった。
表11、12に、その結果を示す。
前記実施例2で用いたのと同じ工具基体J〜Rを用いて、実施例2と同様に、ゾル−ゲル法により、表14に示す所定目標層厚になるまで酸化アルミニウム主体層を成膜し、ついで、大気中800℃で1時間の焼成処理を行うことにより、表14に示す比較例の被覆工具10〜18(比較例工具10〜18という)を製造した。
参考のため、表3に示すSiまたはCrの微粒および粗粒の組み合わせからなる酸化物結晶体を含有しないアルミナゾルを用いて、前記工具基体J〜Rに対して、前記(イ)〜(ハ)の工程にしたがって、所定の層厚の酸化アルミニウム主体層を被覆形成することにより、表13、14に示す参考例の被覆工具10〜18(参考例工具10〜18という)を製造した。
被削材:JIS・FC300の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 330 m/min、
切込み: 1.3 mm、
送り: 0.23 mm/rev、
切削時間: 5 分
切削加工試験(通常の切削速度は250 m/min.)後の、それぞれの工具の摩耗状態について観察を行い、逃げ面摩耗量の測定を行うとともに、硬質被覆層の損傷状況を観察した。
これらの結果を表15に示す。
Claims (3)
- 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメットからなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
(a)上記硬質被覆層の表面層として、0.2〜5.0μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム主体層を備え、
(b)上記酸化アルミニウム主体層中には、Cr、Siから選ばれる少なくとも一種以上の元素の酸化物結晶体が、層中に占める面積割合で5〜50面積%分散含有され、
(c)上記酸化物結晶体のそれぞれの断面の面積を、真円の面積として換算した際の直径を粒径とし、該粒径の平均値を平均粒径とした場合、上記酸化物結晶体の平均粒径は0.03〜0.5μmの範囲内にあり、
(d)上記酸化アルミニウム主体層中の含有酸化物結晶体の平均粒子径が0.03μm〜0.1μmの微粒子群と0.2〜0.5μmの粗粒子群とからなり、上記酸化アルミニウム主体層を縦断面観察した場合に、層中に含有される所定観察範囲内の全ての酸化物結晶体の占める面積を1とした場合に、微粒子群の占める面積が0.25〜0.75であることを特徴とする表面被覆切削工具。 - 炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
上記工具基体の表面から深さ方向に0.5〜3.0μmの平均層厚を有する基体表面硬化層が形成され、該基体表面硬化層に含まれる結合相金属としてのCoの平均含有量が、2.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。 - 炭窒化チタン基サーメットからなる工具基体の表面に、硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
上記工具基体の表面から深さ方向に0.5〜3.0μmの平均層厚を有する基体表面硬化層が形成され、該基体表面硬化層に含まれる結合相金属としてのCo及びNiの合計平均含有量が、2.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
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