JP2014144162A - 人工股関節用ソケット及びその装着用治具 - Google Patents

人工股関節用ソケット及びその装着用治具 Download PDF

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Abstract

【課題】カップを正しい位置・方向に容易に合せ、ソケットを安定に固定できる人工股関節用ソケットおよびカップの外周面に脚を備えたソケットを正しい位置・方向に安定に装着する治具の提供。
【解決手段】略半球殻状に一部材で造形された人工股関節用ソケットであり、半球殻状のカップ2の開口側淵部の外周面に3本の脚3が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けられ、脚3がカップの開口面に直交する面に沿って屈曲でき、脚3の先端部にネジ孔4もしくはテーパが設けられる。治具は、骨盤と当接する先端部の骨盤当接部と、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、ソケットの脚の先端のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド孔とを備え、先端部はソケットの半球殻状の開口側淵部の半周以上と全ての脚を覆う形状で、かつ、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状とし、円筒部の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、人や動物の股関節の機能不全を回復するための人工股関節の支持構造体として使用される人工股関節用ソケット及びその装着用治具に関するものである。
人工股関節は、一般的には、図18に示されるように、先端に球状ヘッド11を備えた人工骨(ステム)12および半球殻状のソケット10といった構成要素から成る。ステム12の本体部分は、大腿骨18の髄腔内に挿入固定される部分であり、ステム12にはネック部14が形成されており、この部分に球状ヘッド11が配置されている。また、ソケット10は、股関節骨頭を除去した後、寛骨臼19に装着され、ソケット10の球殻の内側に球状ヘッド11が嵌め込まれ、ステム12はソケット10の周りで自在回転できるように構成されている。
上述のような人工股関節のソケットを生体の骨盤に取り付ける方法として、例えば、大腿骨付近の骨盤を半球状に削り、ソケット10を挿入し、ソケット10のカップの底の孔を用いてネジで骨盤に固定して、球状ヘッド11をソケット10に挿入する方法がある。ソケット10のカップの淵に浅い溝を切るなどにより、カップと骨盤との摩擦を増やし、カップの回転を抑え安定性を図る工夫がなされている。
また、ソケット10が、骨盤骨に取り付けられるベース部材と、人工股関節を収容するためのカップとから構成されており、ベース部材が隣接して放射状に突き出している2つのフラップおよびフラップに反対する舌を備えるソケットが知られている(特許文献1、段落0050、図1〜3を参照。)。特許文献1に開示されたソケットでは、フラップおよび舌により、ソケットのベース部材を安定的に骨盤に取り付けることができる。
また、ソケット10が、支持リングとカップから成り、支持リングに取付ストラップを備えるソケットが知られている(特許文献2、図1を参照。)。
特表2009−534062号公報 特開平7−000434号公報
人工股関節のソケットを生体の骨盤に取り付ける際、ソケットのカップの位置と方向を調整して固定する必要があるが、この作業を行うのが困難であるという問題がある。特に、小型動物に対して人工股関節のソケットを装着する場合は尚更である。また、ソケットのカップの底の孔だけを用いてネジで骨盤に固定する場合、例えば小型動物のように骨盤の骨の厚みが不足すると、カップの底の孔だけでソケットをネジ止めするのは困難であるといった問題や、小型動物などを対象とするので使用するネジが細くなってソケットの固定が困難になるといった問題がある。また、カップの底の孔に一度ネジを建てる方向を間違うと、カップの位置や方向の修正は困難である。
一方、前述した特許文献1や2に開示されたソケットの場合、フラップや取付ストラップを設けて、カップの底の孔以外に、フラップや取付ストラップに孔を設けネジ孔とすることにより、ソケットを安定的に固定できるように工夫されている。
しかしながら、特許文献1や2に開示されたソケットの場合、モジュール型のソケットであり、カップと該カップを支持するベース部材や支持リングが別々のモジュールとして構成され、そのベース部材や支持リングの周囲にフラップや取付ストラップが設けられている。そのような構成であり、ベース部材や支持リングを装着後にカップを取り付ける手順になることから、カップの位置と方向(ここで方向とはカップの中心軸の方向を意味する)を目標とする正しい位置・方向に合せてソケットを固定するのは依然として困難であった。
上記事情に鑑みて、本発明は、ソケットのカップの位置と方向を正しい位置・方向に容易に合せ、ソケットを安定的に固定できる人工股関節用ソケットを提供することを目的とする。
また、ソケットのカップの外周面に脚が設けられた人工股関節用ソケットを正しい位置・方向に安定的に装着するための装着用治具を提供することを目的とする。
上記問題を解決すべく、本発明の人工股関節用ソケットは、骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に一部材で造形された人工股関節用ソケットにおいて、下記1),2)の特徴を有する。
1)球状ヘッドを受け入れるソケットの凹球面部は、球状ヘッドに対して直径赤道面を超えて被るように、半球線を超え延在して形成されており、かつ、半球殻状の開口側淵部に切り込み溝が設けられる。
2)半球殻状の開口側淵部の外周面に少なくとも3本の脚が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けられ、脚が半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得る構造を有し、脚の先端部にネジ孔もしくはテーパが設けられる。
本発明の人工股関節用ソケットは、略半球殻状に一部材で造形され、半球殻の開口側の淵部分に切り込み溝が設けられているので、ソケットを骨盤に固定した後で、球状ヘッドをソケットの凹球面部に容易に挿入することができる。またソケットの凹球面部は、球状ヘッドに対して直径赤道面を超えて被るように、半球線を超え延在して形成されているので、球状ヘッドをソケットに挿入した後は、球状ヘッドがソケットの凹球面部から簡単に抜けない。
また、ソケットは、略半球殻状に一部材で造形されていることから、小型動物などの装着において、ソケットが小さくなっても部材が1つであり、骨盤への装着が容易である。
そして、半球殻状の開口側淵部の外周面に少なくとも3本の脚が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けられているので、カップの底の孔だけでソケットをネジ止めするのではなく、脚の先端部のネジ孔にネジ止めすることにより、ソケットを安定的に固定できる。
また、脚の先端部にネジ孔を設けずに、骨盤側に凸の尖ったテーパを形成させてもよい。この場合、脚を骨盤側に少し押込む位置で固定する。
脚は半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得る構造を有しているので、ソケットの周囲に隣接する骨盤に沿うように予め骨盤に沿って脚を曲げて、若しくは、ペンチ等で脚の曲げ具合を調整して、先端部をネジ止めもしくはテーパ部分を骨盤に押し込んで、ソケットを安定的に固定する。
脚部の板バネ作用により、カップが切削穴全体へ押し付ける状態で固定され、初期の緩み防止とカップの再生骨による骨盤との癒着の促進を図ることができる。再生骨による骨盤との癒着の促進を図るために、カップの外周には再生骨との結合を促す表面処理を施すことがより好ましい。
脚の長さは、予めX線写真などから大腿骨付近の骨盤の形状をもとに決定することができる。少なくとも3本の脚が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けるのが最も安定し好ましい。1本だけの脚や2本の脚でも固定効果はあるが、ソケットのカップの位置と方向を正しい位置・方向に容易に合せるためには十分ではない。ソケットのカップを大まかに配置し、最適な位置と方向になるようにカップを動かして、3本の脚を骨盤に沿うように曲げる。3本の脚を骨盤に沿うように曲げると、脚の先端やカップの底をネジ止めしなくてもカップの位置・方向は安定する。カップが理想の位置・方向になっているか、脚の先端部の固定前に確認することができるので、骨盤には損傷を及ぼさずに、何度でも脚の曲げをカップの位置・方向を修正することができる。確認後、3本の脚の先端のネジ孔からネジ止めもしくはテーパの押し込みを行えばカップは理想の位置・方向で骨盤に固定される。確認時点で理想から外れていれば、脚の曲げ方を修正することで理想の位置に近づけることができる。
従来のソケットのように、カップ底に1本のネジを通して固定する場合に比べて、3本の脚で固定すると固定の強度は著しく向上する。この結果、必ずしもカップの底をネジ止めする必要は無くなり、カップの形状がシンプルになり、製造コスト低減にもつながる。また、小型動物を対象とする場合で、カップの半径が小さくなっても脚の先端部は大きく取れるのでネジ孔やテーパを確保することが容易である。
従来の加工技術では、このような3本の脚のついたソケットを加工するのは多大なコストがかかっていたが、近年の金属粉末を使った断面積層法であるRP(Rapid Prototyping)成型を用いると容易に成型が可能である。X線CTなどで骨盤の3次元画像データを取得することにより、カップの理想的な位置と方向を決められるので、3本の脚の曲げ方も施術前に加工しておくこともできる。
ソケットは、生体に害のない金属、具体的にはチタン、チタン合金、クロミウム・コバルト・モリブデンの合金のいずれか、或いは、セラミック材料で形成されており、脚も同じ材質で形成されるのが好ましい。
ソケットの周囲に隣接する骨盤に沿うように脚を曲げて先端部を固定することで、ソケットを安定的に固定する。脚は初期固定を目的としており、脚の材料は均一にし、術時にペンチ等で曲げ幅を増やしたりできる厚みにするのがよい。
なお、脚における屈曲し得る構造に関して、ヒンジ機構を用いても構わない。
次に、本発明の装着用治具について説明する。
本発明の第1の観点の装着用治具は、上記の本発明に係る人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、以下の1a)〜1c)の特徴を備える。
1a)骨盤と当接する骨盤当接部と、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド孔とを備える。
1b)上記骨盤当接部は、ソケットの半球殻状の開口側淵部の半周以上と全ての脚を覆う形状で、かつ、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状を呈する。
1c)上記切削工具ガイド用円筒部の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させている。
上記構成の装着用治具によれば、カップを挿入する為の骨盤の寛骨臼の切削に関して、事前に検討された切削工具の挿入角度及び切削の深さについて容易に実現でき、ソケットのカップを正しい位置・方向に安定的に装着できる。なお、事前検討は、X線CTなどで骨盤の3次元画像データを取得して行う。
装着用治具の先端部である骨盤当接部は、骨盤の表面の寛骨臼の周辺の表面の3次元データに基づいて、RP成型で被検体毎に製作され、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状にする。すなわち、寛骨臼の周辺の表面形状と装着用治具の先端部の表面形状は、一方の凹部と凸部が他方の凸部と凹部に嵌合し合うような関係にする。
装着冶具の中心には、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部があり、円筒中空の孔をガイドとして回転切削工具を目的とする方向にガイドする。そのため、円筒中空の中心軸方向は、骨盤の寛骨臼を削る方向に一致させる。
また、本発明の第2の観点の装着用治具は、上記の本発明に係る人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、以下の2a)〜2c)の特徴を備える。
2a)装着用治具のソケットの脚の先端部の全ての前記ネジ孔もしくはテーパの位置に設けられた少なくとも3箇所の骨盤当接部と、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部とを備える。
2b)上記骨盤当接部は、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状であって、ネジ孔もしくはテーパの位置の表面形状に合わせた形状を呈する。
2c)上記切削工具ガイド用円筒部の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させている。
上記構成の装着用治具によれば、本発明の第1の観点の装着用治具と同様、カップを挿入する為の骨盤の寛骨臼の切削に関して、事前に検討された切削工具の挿入角度及び切削の深さについて容易に実現でき、ソケットのカップを正しい位置・方向に安定的に装着できる。なお、事前検討は、X線CTなどで骨盤の3次元画像データを取得して行う。
また、本発明の第3の観点の装着用治具は、骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に造形された人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、以下の特徴3a)〜3c)を備える。
ここで、ソケットは、半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、脚の先端部にネジ孔が設けられ、脚が半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものである。
3a)骨盤と当接する骨盤当接部と、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド孔とを備える。
3b)上記骨盤当接部は、ソケットの半球殻状の開口側淵部の半周以上と全ての脚を覆う形状で、かつ、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状を呈する。
3c)円筒部の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させている。
上記の第3の観点の装着用治具も、前述の第1の観点の装着用治具と同様に、カップを挿入する為の骨盤の寛骨臼の切削に関して、事前に検討された切削工具の挿入角度及び切削の深さについて容易に実現でき、ソケットのカップを正しい位置・方向に安定的に装着できる。
ここで、第3の観点の装着用治具では、前述の本発明の人工股関節用ソケットに限定されず、ソケットが、半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、脚の先端部にネジ孔が設けられ、脚が半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものであればよい。
また、本発明の第4の観点の装着用治具は、骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に造形された人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、以下の特徴4a)〜4c)を備える。
ここで、ソケットは、半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、脚の先端部にネジ孔もしくはテーパが設けられ、脚が半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものである。
4a)ソケットの脚の先端部の全てのネジ孔もしくはテーパの位置に設けられた少なくとも3箇所の骨盤当接部と、回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部とを備える。
4b)骨盤当接部は、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状であって、ネジ孔もしくはテーパの位置の表面形状に合わせた形状を呈する。
4c)切削工具ガイド用円筒部の軸方向が寛骨臼を削る方向に一致させている。
上記の第4の観点の装着用治具も、前述の第2の観点の装着用治具と同様に、カップを挿入する為の骨盤の寛骨臼の切削に関して、事前に検討された切削工具の挿入角度及び切削の深さについて容易に実現でき、ソケットのカップを正しい位置・方向に安定的に装着できる。
ここで、第4の観点の装着用治具では、前述の本発明の人工股関節用ソケットに限定されず、ソケットが、半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、脚の先端部にネジ孔もしくはテーパが設けられ、脚が半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものであればよい。
上記の本発明の第1の観点〜第4の観点の装着用治具において、切削工具ガイド用円筒部の先端部から後端部までの長さは、回転切削工具が骨盤の寛骨臼を所定の深さに削ったときに、該後端部が回転切削工具のストッパーと当接するように設計されている。
回転切削工具が骨盤の寛骨臼を所定の深さに削ったときに、切削工具ガイド用円筒部の後端部が回転切削工具のストッパーと当接するようにすることで、回転切削工具が骨盤の寛骨臼を所定の深さ以上に削り過ぎるのを回避することができる。
本発明の人工股関節用ソケットによれば、カップの位置と方向を正しい位置・方向に容易に合せ、ソケットを安定的に固定できる。特に、3本の脚で固定すると固定の強度は著しく向上するため、必ずしもカップの底をネジ止めする必要は無くなり、カップの形状がシンプルになり、製造コストの低減にもつながるといった効果がある。また、小型動物を対象とする場合で、カップの半径が小さくなった場合でも、脚の先端部は大きく取れるためネジ孔やテーパを確保するのは容易であるといった効果もある。
また、本発明の装着用治具によれば、ソケットのカップの外周面に脚が設けられた人工股関節用ソケットを正しい位置・方向に安定的に装着できる。本発明の装着用治具を使用することにより、初めに骨盤の寛骨臼を所定の深さまで削り、その後に装着用治具の先端部にカップの外周面に脚が設けられた人工股関節用ソケットを装着し、事前に形状を調整された治具の先端部の形状に合わせてソケットの脚の形状を調整し、ソケットを寛骨臼に置くことで、ソケットのカップはぴったりと寛骨臼に固定でき、ネジ止めも容易に、ソケットを安定的に固定にできる。手技時間は短くなり、手技対象の患者や動物への負担軽減にもつながるといった効果がある。
実施例1の人工股関節用ソケットの構成説明図 従来のソケットとの相違点の説明図 実施例1の人工股関節用ソケットの平面図 実施例1の人工股関節用ソケットの底面図 実施例1の人工股関節用ソケットの正面図 実施例1の人工股関節用ソケットの背面図 実施例1の人工股関節用ソケットの左側面図 実施例1の人工股関節用ソケットの右側面図 実施例1の人工股関節用ソケットの骨盤への取付方法の説明図 実施例2の装着用治具の説明図(1) 実施例2の装着用治具の説明図(2) 実施例2の装着用治具の先端部からの斜視図(1) 実施例2の装着用治具の先端部からの斜視図(2) 実施例2の装着用治具の構成図 実施例3の装着用治具の構成図 実施例1の人工股関節用ソケットの斜視図と六面図 その他の実施例の人工股関節用ソケットの平面図 人工股関節の説明図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
(人工股関節用ソケット)
図1を参照して、実施例1の人工股関節用ソケットの構成について説明する。
図1は、実施例1の人工股関節用ソケットを示している。実施例1の人工股関節用ソケット1は、骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持するもので、略半球殻状に一部材で造形されている。
人工骨(ステム)の球状ヘッドを受け入れるソケットのカップ2は、球状ヘッドに対して直径赤道面を超えて被るように、半球線を超え延在して形成されており、かつ、カップ2の開口側淵部に切り込み溝6が設けられている。また、カップ2の開口側淵部の外周面に3本の脚3が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けられている。3本の脚3は、それぞれ、カップ2の開口面に直交する面に沿って屈曲し得る構造を有している。具体的には、脚に用いる材料は均一にし、ペンチ等で曲げ幅を増やしたりできるように、強度が損なわれない程度に溝のように厚さが薄い部分7を設けたり、脚全体を薄い厚みにしている。
また、3本の脚3の先端に、それぞれネジ孔4が設けられている。3個のネジ孔4から骨盤8に向かって、それぞれネジがねじ込まれて、ソケット1が骨盤に安定的に固定される。
次に、図2を参照して、実施例1の人工股関節用ソケットと従来のソケットの相違点について説明する。図2は、ソケットのカップが挿入された骨盤部分のカップ中心を通る断面を示している。
従来のソケット10は、図2(1)に示すように、骨盤8にネジ51を用いて装着される。ソケット10を骨盤8に固定するため、ネジ51はソケット10のカップ2内部の底のネジ孔5から骨盤8に向かってねじ込んでいる。そして、カップ2は、略半球殻状に造形され、(図示しない)大腿骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する。ネジ51の1本でソケットを確実に固定する必要があるため、ネジ51は必然的に太く長くなる。しかしながら、小型動物の場合、骨盤の厚みが小さく、使用できるネジが限定され、必ずしも太く長いネジが用いられる状況ではない。
一方、実施例1の人工股関節用ソケット1の場合、図2(2)に示すように、カップ2の周囲の脚3の形状を、予め曲げた形状で加工し、さらにペンチで曲げ具合を調整して、骨盤8の表面形状に沿った形状にしている。そして、脚3の先端のネジ孔4からネジ41を用いてソケット1を骨盤8に固定している。実施例1の人工股関節用ソケット1の場合、3本の脚で固定するため、固定の強度は従来のソケットと比べて著しく向上する。必ずしもカップの底をネジ止めする必要は無いが、ネジ止めする場合でもネジの太さを細くし長さを短くすることができるので、骨盤にかかる応力を軽減することができる。
図3〜8は、実施例1の人工股関節用ソケットの6面図を示している。具体的には、図3は平面図、図4は底面図、図5は正面図、図6は背面図、図7は左側面図、図8は右側面図を示している。
次に、図9(1)〜(3)を参照して、実施例1の人工股関節用ソケットの骨盤への取付方法を説明する。
図9(1)に示すように、X線写真から骨盤形状の3次元データを取得して、画像解析により学術的に妥当な関節回転中心の設定を行う。次に、図9(2)に示すように、切削のシミュレーションを行う。そして、ソケットのカップの外形の構造設計、3本の脚の配置場所、折れ曲がり角度の設計を行う。
後述の実施例2の装着用治具を用いて、骨盤の切削を施し、ソケットを骨盤に装着する。
すなわち、ソケットのカップの理想的な位置と方向を決めた後、カップが理想の位置と方向になるように、予め曲げた状態のデータにて成形して3本の脚を曲げる。3本の脚は骨盤に沿うように曲げるとネジ止めしなくてもカップの位置は決まるので理想の位置になっているか、ネジ止め前に確認することができる。ネジ止め前に確認した後、3本の脚の先端の孔からネジ止めすればカップは理想の位置に固定される。確認時点で理想から外れていれば、脚の曲げ方を修正することで理想の位置に近づけることができる。このプロセスでは、骨盤には損傷を及ぼさないので、何度でも脚の曲げ方を修正することができ、理想の位置・方向に固定することができる。
従来のようにカップ底に1本のネジを通して固定する場合に比べ、3本の脚で固定すると固定の強度は著しく向上する。この結果、必ずしもカップの底をネジ止めする必要は無くなり、カップの形状がシンプルになり、製造コスト低減にもつながる。また、小型動物を対象とする場合で、カップの半径が小さくなっても脚の先端部は大きく取れるのでネジ孔を確保するのは容易である。従来の加工技術では、このような脚のついたカップを加工するのは多大なコストがかかっていたが、近年の金属粉末を使ったRP成型を用いると容易に成型できる。X線CTなどで骨盤の3次元画像データがあれば、カップの理想的な位置と方向を決められるので、脚の曲げ方も手術前に決定して加工しておくことができる。
図16に、実施例1の人工股関節用ソケットの斜視図と六面図を示す。図16では、3本の脚を骨盤の形状データに基づいて、予め曲げて成形している。図16(1)は斜視図であり、図16(2)は六面図である。
(装着用治具1)
図10〜14を参照して、実施例2の装着用治具を説明する。
図10及び11は、骨盤に装着用治具20を当てて、回転切削工具30を装着用治具の切削工具ガイド用円筒部に挿入している様子を示している。上述の如く、図9(1)に示すように、X線写真から骨盤形状の3次元データを取得して、画像解析により学術的に妥当な関節回転中心の設定を行い、関節回転中心の位置および切削方向のデザインを決定している。デザインした関節回転中心の位置および切削方向に、回転切削工具30を正確にガイドさせるべく、装着用治具20の構造を次のようにする。
X線写真から取得した骨盤形状の3次元データを利用して、装着用治具20の先端部22(骨盤と接する部分)の形状を、ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状に加工する。そして、装着用治具20に、回転切削工具30を円筒中空27に挿入する切削工具ガイド用円筒部21を設け、その円筒部21の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させる。
以上のような構造にし、装着用治具20の切削工具ガイド用円筒部21の円筒中空27に回転切削工具30を挿入して骨盤を切削すると、デザインした関節回転中心の位置および切削方向に、回転切削工具30が進行することになる。
また、装着用治具20は、ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド部材(25a〜25c)を、切削工具ガイド用円筒部21の周囲に設けている。
ネジ用ガイド部材(25a〜25c)の個数は、ソケットの脚の本数と一致させる。
ソケットを骨盤に装着する際は、ソケットを装着用治具20の先端部で押し付けて、ネジ用ガイド部材(25a〜25c)のネジ用ガイド孔(24,24a〜24c,26a〜26c)を通して、ソケットの脚の先端のネジ孔にネジ止めする。装着用治具20の先端部22で安定的にソケットを押し付けるために、先端部22はカップの開口側淵部の半周以上の210°周囲と3本の脚全てを覆う形状にしている。
上述したように、寛骨臼の切削についても事前に3次元データを元に装着用治具を設計することで、骨盤の切削やソケットのカップの配置がより容易になる。装着用冶具は骨盤と接する先端部が、骨盤の表面の寛骨臼の周辺の表面の3次元データを元にRP成型によって製作されており、両者は同じ形状で雄雌の関係になっているため、装着用冶具を寛骨臼の周辺において軽く回すと両者の位相が一致した点でピッタリと噛み合い、装着用冶具の軸周りの回転方向位相および軸の傾きが一義的に決まる。
一方、装着用冶具20の中心の切削工具ガイド用円筒部21の中空孔は寛骨臼を削るべき方向に一致しているため、上記の中空孔をガイドとして回転切削工具30を回転させながら予め決定したストローク分だけ挿入すると、容易に寛骨臼を所定の深さ、方向に削ることができる。また、回転切削工具30にはストッパー31を設けて、装着用冶具20の後端部23とストッパー31が当接することで、所定の深さ以上に回転切削工具30が進まないようにした。
以上の如く、手技の際は、初めに寛骨臼を所定の深さまで削った後にカップを挿入し、事前に形状を調整されたカップの脚をデザインした位置に置くだけで、カップはぴったりと寛骨臼に固定でき、ネジ止めも安定して容易に固定できる。また、手技時間は短くなり、手技対象の患者や動物への負担軽減にもつながる。
(装着用治具2)
図15を参照して、実施例3の装着用治具を説明する。
実施例2の装着用治具と同様に、X線写真から骨盤形状の3次元データを取得して、画像解析により学術的に妥当な関節回転中心の設定を行い、関節回転中心の位置および切削方向のデザインを決定する。デザインした関節回転中心の位置および切削方向に、回転切削工具30を正確にガイドさせるべく、実施例3の装着用治具60の構造を次のようにする。
実施例3の装着用治具60は、実施例2の装着用治具20と異なり、骨との接触部を最小になるように、ソケットの脚の先端部に対応する位置にのみ、先端部(骨盤当接部)22を設ける。図15の場合、ソケットの3本の脚の先端部に対応するために、3個の先端部(骨盤当接部)22が存在する。実施例2の装着用治具20と同様に、X線写真から取得した骨盤形状の3次元データを利用して、装着用治具60の先端部(骨盤当接部)22の形状を、ソケットの3本の脚の先端部の位置に対応する寛骨臼の形状に合わせた形状に加工する。
そして、実施例2の装着用治具20と同様に、装着用治具60に、回転切削工具30を円筒中空27に挿入する切削工具ガイド用円筒部21を設け、その円筒部21の軸方向は寛骨臼を削る方向に一致させる。
装着用治具60の切削工具ガイド用円筒部21の円筒中空27に回転切削工具30を挿入して骨盤を切削すると、デザインした関節回転中心の位置および切削方向に、回転切削工具30が進行する。
図15に示す装着用治具60では、実施例2の装着用治具20と異なり、ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド部材を、切削工具ガイド用円筒部21の周囲に設けていない。なお、ネジ用ガイド部材を切削工具ガイド用円筒部21の周囲に設けてもよい。
また、装着用冶具60の中心の切削工具ガイド用円筒部21の中空孔は寛骨臼を削るべき方向に一致しているため、上記の中空孔をガイドとして回転切削工具30を回転させながら予め決定したストローク分だけ挿入すると、容易に寛骨臼を所定の深さ、方向に削ることができる。回転切削工具30にはストッパー31を設けて、装着用冶具60の後端部23とストッパー31が当接することで、所定の深さ以上に回転切削工具30が進まないようにする。
(その他の実施例)
(1)上述の実施例1の人工股関節用ソケットでは、脚の先端部にネジ孔を設けているが、骨盤側に凸の尖った円錐状の形状にしても構わない。この場合、テーバを押し込みし易いように、骨盤側でない側はテーパに沿って凹む形状にする。
(2)図17に人工股関節用ソケットの他の実施形態の平面図を示す。
図17(1)に示す人工股関節用ソケットの3本の脚は、実施例1よりも等間隔(略120°間隔)に設けられている。
また、図17(2)に示す人工股関節用ソケットは、実施例1の人工股関節用ソケットと異なり、4本の脚が設けられている。4本の脚は、等間隔(略90°間隔)に設けられている。略等間隔で脚の本数が増えることにより、より安定的にソケットを骨盤に固定できる。
本発明は、人工股関節のためのソケットおよび該ソケットの埋め込み施術を支援する治具として有用である。
1 人工股関節用ソケット
2 カップ
3 脚
4 ネジ孔(脚の先端)
5 ネジ孔(カップの底)
6 切り込み溝
7 厚さが薄い部分
8 骨盤
9 寛骨臼の切削した部分
10 ソケット
11 球状ヘッド
12 ステム(人工骨)
14 ネック部
18 大腿骨
19 骨盤(寛骨臼)
20,60 装着用治具
21 切削工具ガイド用円筒部
22 先端部(骨盤当接部)
23 後端部
25,25a〜25c ネジ用ガイド部材
24,24a〜24c,26a〜26c ネジ用ガイド孔
27 円筒中空
30 回転切削工具
31 ストッパー
41,51 ネジ

Claims (6)

  1. 骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に一部材で造形された人工股関節用ソケットにおいて、
    球状ヘッドを受け入れる前記ソケットの凹球面部は、球状ヘッドに対して直径赤道面を超えて被るように、半球線を超え延在して形成されており、かつ、半球殻状の開口側淵部に切り込み溝が設けられ、
    前記半球殻状の開口側淵部の外周面に少なくとも3本の脚が放射状に伸びる方向に略等間隔に設けられ、
    前記脚が前記半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得る構造を有し、
    前記脚の先端部にネジ孔もしくはテーパが設けられた、
    ことを特徴とする人工股関節用ソケット。
  2. 請求項1に係る人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、
    骨盤と当接する骨盤当接部と、
    回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、
    前記ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド孔と、
    を備え、
    前記骨盤当接部は、
    前記ソケットの半球殻状の開口側淵部の半周以上と全ての脚を覆う形状で、かつ、前記ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状を呈し、
    前記切削工具ガイド用円筒部の軸方向が寛骨臼を削る方向に一致させている、
    ことを特徴とする人工股関節用ソケットの装着用治具。
  3. 請求項1に係る人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、
    前記ソケットの脚の先端部の全ての前記ネジ孔もしくはテーパの位置に設けられた少なくとも3箇所の骨盤当接部と、
    回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、
    を備え、
    前記骨盤当接部は、前記ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状であって、前記ネジ孔もしくはテーパの位置の表面形状に合わせた形状を呈し、
    前記切削工具ガイド用円筒部の軸方向が寛骨臼を削る方向に一致させている、
    ことを特徴とする人工股関節用ソケットの装着用治具。
  4. 骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に造形された人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、
    前記ソケットは、前記半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、前記脚の先端部にネジ孔が設けられ、前記脚が前記半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものであり、
    前記装着用治具は、
    骨盤と当接する骨盤当接部と、
    回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、
    前記ソケットの脚の先端部のネジ孔に螺入させるネジのネジ用ガイド孔と、
    を備え、
    前記骨盤当接部は、
    前記ソケットの半球殻状の開口側淵部の半周以上と全ての脚を覆う形状で、かつ、前記ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状に合わせた形状を呈し、
    前記切削工具ガイド用円筒部の軸方向が寛骨臼を削る方向に一致させている、
    ことを特徴とする人工股関節用ソケットの装着用治具。
  5. 骨頭を除去した後の骨盤側に装着され、骨側に埋設された人工骨(ステム)のネック部に固定された球状ヘッドを摺動可能に支持する、略半球殻状に造形された人工股関節用ソケットを骨盤に装着するための装着用治具であって、
    前記ソケットは、前記半球殻状の開口側淵部の外周面に複数の脚が設けられ、前記脚の先端部にネジ孔もしくはテーパが設けられ、前記脚が前記半球殻状の開口面に直交する面に沿って屈曲し得るものであり、
    前記装着用治具は、
    前記ソケットの脚の先端部の全ての前記ネジ孔もしくはテーパの位置に設けられた少なくとも3箇所の骨盤当接部と、
    回転切削工具を円筒中空に挿入できる切削工具ガイド用円筒部と、
    を備え、
    前記骨盤当接部は、前記ソケットを埋め込む寛骨臼の周辺の表面形状であって、前記ネジ孔もしくはテーパの位置の表面形状に合わせた形状を呈し、
    前記切削工具ガイド用円筒部の軸方向が寛骨臼を削る方向に一致させている、
    ことを特徴とする人工股関節用ソケットの装着用治具。
  6. 前記切削工具ガイド用円筒部の先端部から後端部までの長さは、
    回転切削工具が寛骨臼を所定の深さに削ったときに、
    該後端部が回転切削工具のストッパーと当接するように設計される、
    ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の人工股関節用ソケットの装着用治具。
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