JP2014146771A - 赤外線センサ - Google Patents

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Koichiro Ueno
康一郎 上之
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Abstract

【課題】素子抵抗を落とすことのない、結晶性の範囲を有する半導体材料によって、構成された赤外線センサを提供する。
【解決手段】単結晶の半導体基板1上に積層されたInSb層2,3,4からなる結晶構造部を、積層されたInSb層2,3,4全部の基板結晶面方位に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲となるような、結晶性を有する結晶構造部として構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線センサに関し、特に、InSbの積層構造を有する赤外線センサに関する。
一般に、波長が5μm以上の長波長帯の赤外線は、その熱的効果やガスによる赤外線吸収の効果から、人体を検知する人感センサや非接触温度センサ、ガスセンサ等に使用されている。これらの使用例の内、人体検知や非接触温度センサとして用いられる赤外線センサとしては、焦電センサやサーモパイルの様な熱型の赤外線センサと、半導体受光素子を使用した量子型の赤外線センサがあるが、熱型の赤外線センサに比べて、量子型の赤外線センサの方が、高感度、高速応答、静態検知が可能といった大きな特徴がある。
量子型の赤外線センサを実現するためには、波長が5μm以上の長波長帯の赤外線を受光する赤外線センサが必要となるが、この波長領域では赤外線センサに対する周辺温度の影響が非常に大きく、室温で使用するには問題がある。この量子型の赤外線センサは、一般に波長が5μm以上の赤外線を吸収可能である半導体中にいわゆるpn接合を形成し、光吸収層において、吸収した赤外線によって発生した電子及び正孔が、PN接合部分の空乏層における内部電界によって電荷分離されることで、電気信号に変換される。
しかしながら、波長が5μm以上の赤外線を吸収できる半導体のバンドギャップは、0.25eV以下と小さい。この様なバンドギャップの小さな半導体では、熱励起キャリアのために室温での真性キャリア密度が大きくなり、素子の抵抗が小さくなるので十分なpnダイオードの特性が得られない。これは真性キャリア密度が大きい場合、拡散電流や暗電流の様な素子の漏れ電流が大きくなるためである。このため、量子型の赤外線センサは熱励起キャリアを抑制するために、冷却機構を備えた赤外線センサが従来使用されている。
このような周辺温度の影響による問題を解決した赤外線センサとしては、例えば、特許文献1に記載の量子型の赤外線センサがある。この特許文献1に記載の量子型赤外線センサは、センサ部分の化合物半導体の積層構造および素子構造により拡散電流を抑制し、更に信号増幅用ICとセンサのパッケージを改良することにより、室温動作が可能であり、かつ従来にない超小型の赤外線センサを実現したものである。
国際公開第WO2005/027228号パンフレット
このように改良のための研究開発がなされているが、高性能の量子型赤外線センサを実現するためには、さらなる特性の向上が望まれている。
特に、半導体の結晶性は赤外線センサの特性に影響する重要な項目であるが、上述した特許文献にはその結晶性の最適な範囲について記載されていないという課題があった。
そこで、本発明の目的は、素子抵抗を落とすことのない、結晶性の範囲を有する半導体材料によって、構成された赤外線センサを提供することにある。
本発明は、所定の結晶性をもつ薄膜により形成された赤外線センサであって、単結晶の半導体基板と、単結晶の半導体基板上に、InSbの層が順次積層されたセンサ部とを具え、センサ部が、単結晶の半導体基板に形成されたn型ドーピングされた第1のInSb層と、第1のInSb層上に形成されたノンドープ或いはp型ドーピングされた第2のInSb層と、第2のInSb層上に当該第2のInSb層よりも更に高濃度にp型ドーピングされた第3のInSb層とを有する場合において、該センサ部は、積層された第1から第3までのInSb層全部の基板結晶面方位に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上でかつ300arcsec以下の範囲となるような結晶性を有する結晶構造部として構成されたことを特徴とする。
結晶構造部を構成する前記第1から第3までのInSb層全部の膜厚が、3.5μm以上であることを特徴とする。
単結晶の半導体基板は、結晶面方位が(001)方向のGaAs単結晶の半導体基板であることを特徴とする。
半値全幅は、第1から第3までのInSb層の結晶面方位が(004)方向のX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅であることを特徴とする。
センサ部は、PINダイオードとして構成されたことを特徴とする。
センサ部を構成する結晶性を有する結晶構造部において、半値全幅が30arcsec以上でかつ300arcsec以下の範囲内にあるとき、ゼロバイアス時の素子抵抗の値が所定の値を維持して低下しないことを特徴とする。
結晶構造部は、第2のInSb層と第3のInSb層との間に、第3のInSb層と同等のp型ドーピングされた、InSbよりもバンドギャップの大きなAlInSb層、又はGaInSb層からなる第4のInSb層をさらに有することを特徴とする。
本発明によれば、単結晶の半導体基板上に積層されたInSb層からなる結晶構造部を、積層されたInSb層全部の基板結晶面方位に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲となるような、結晶性を有する結晶構造部として構成したので、半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲内にあるとき、ゼロバイアス時の素子抵抗の値を所定の値に維持できる赤外線センサを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態である、赤外線センサのInSb層の積層構造を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態である、赤外線センサのInSb層の積層構造を示す説明図である。 本発明の積層されたInSb層からなるセンサ部における結晶面方位が(004)方向のX線回折ピークのロッキングカーブにおける半値全幅と赤外線センサの素子抵抗の相関関係を示す説明図である。
〔第1の例〕
本発明の第1の実施の形態を、図1に基づいて説明する。
本例では、赤外線センサの構造について説明する。
<センサ部構成>
図1は、赤外線センサ100の構成例を示す。
赤外線センサ100は、結晶面方位が(001)方向の単結晶の半導体基板1と、半導体基板1上にInSb層が順次積層されたセンサ部とから構成される。なお、半導体基板のInSb層を積層させる面の結晶面方位を特に基板結晶面方位という。単結晶の半導体基板1としては、GaAs単結晶基板を用いることができる。
センサ部は、単結晶の半導体基板1上にエピタキシャル成長されたn型ドーピングされたn+InSb層2と、n+InSb層2上にノンドープ或いはp型ドーピングされたp-InSb層3と、p-InSb層3上にp-InSb層よりも更に高濃度にp型ドーピングされたp+InSb層4とからなる。これにより、赤外線センサ100は、PINダイオードの積層構造として構成される。
本例でのセンサ部は、InSbの(004)方向のX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅(full width at half maximum,FWHM)が30arcsec以上で、300arcsec以下となるような結晶性を有する結晶構造部として構成したことを特徴とする。この場合、特に、結晶構造部の半導体の結晶性は、PINダイオードを構成する全部のInSb層2〜4の膜厚が3.5μm以上のときに良好となる。
<半導体の結晶性の評価>
次に、素子抵抗Roと半値全幅との関係において、半導体の結晶性の評価、すなわち、半値全幅(FWHM)を30arcsec以上で、300arcsec以下の範囲内に設定した理由について説明する。
従来技術で説明した量子型赤外線センサの特性のうち最も重要であるのが信号(Signal)とノイズ(Noise)の比、所謂S/N比であり、この値が大きいほど赤外線センサの特性がよいことを意味する。
S/N比は、赤外線が入射したときに発生する光電流Ipとセンサの無バイアス時の素子抵抗R0の平方根の積に比例する。すなわち、式1に示すように表される。
Figure 2014146771
従って、高いS/N比を得るためには、素子抵抗R0が大きい方が好ましい。
素子抵抗R0は、量子型赤外線センサを構成している半導体材料の結晶性に影響される。ここで、結晶性とは、結晶配列の完全性、すなわち半導体を構成する原子配列の規則的な周期性の完全性を意味し、転位や結晶粒界のような、この完全性を乱す所謂格子欠陥が存在することで結晶性は悪化する。例えば、このような格子欠陥が量子型赤外線センサのPN接合部に存在すると、格子欠陥部分を通じた電流のリークパスが生じ、PN接合の抵抗が低下することで素子抵抗R0が低下する。
上述した半導体の結晶性を評価する手段としては、X線回折法のロッキングカーブによる評価が一般的に用いられる。すなわち、半導体の単結晶に照射した単色X線が結晶の規則性によって特定の方向(ブラッグ方位)に強く反射される。このとき、X線検出器をブラッグ方位の位置に固定し、X線と試料のなす角を回転して回折線の強度分布曲線を測定したものがロッキングカーブである。測定されたロッキングカーブの半値全幅(FWHM)により半導体の結晶性が評価できる。すなわち、半導体結晶の配列が乱れることにより、ブラッグ条件を満たす方位も広がるため、ロッキングカーブの半値全幅(FWHM)が大きい程、結晶配列の乱れが大きいことを意味し、結晶性が悪いことになる。
本発明では、以上のように素子抵抗と半値全幅との関係を考慮して半導体の結晶性の評価した。その結果、本例のセンサ部は、InSbの(004)方向のX線回折のロッキングカーブを30arcsec以上で、300arcsec以下となるような結晶性を有する結晶構造部として構成した。この場合、特に、PINダイオードを構成するInSb層2〜4の全部の膜厚を3.5μm以上に設定することによって、半導体の結晶性をさらに向上させることができる。
以上より、単結晶の半導体基板1上に積層されたInSb層2〜4からなる結晶構造部は、積層されたInSb層全部の基板結晶面方位に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲となるような結晶性を有する結晶構造部として構成したので、半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲内にあるとき、ゼロバイアス時の素子抵抗の値を所定の値に維持して低下しないようにすることができる。これにより、素子抵抗が低下することのない最適な結晶性の範囲を有する半導体材料によって構成された赤外線センサを提供することができる。
〔第2の例〕
本発明の第2の実施の形態を、図2および図3に基づいて説明する。なお、前述した第1の例と同一部分については、その説明を省略し、同一符号を付す。
<センサ部構成>
図2の赤外線センサ200は、図1の赤外線センサ100の変形例を示す。
本例では、p-InSb層3とp+InSb層4との間に、p+InSb層4と同等のp型ドーピングのなされた、InSb層よりもバンドギャップが大きく、膜厚が30nm以下である、AlInSb層5(又は、GaInSb層)5を有することを特徴とする。
センサ部の他の部分の構成は、前述した図1に示した赤外線センサ100のInSbによるPINダイオードの積層構造と同様である。
<製造方法>
次に、赤外線センサ200の製造方法について説明する。
まず、MBE法により、半絶縁性の、GaAs単結晶基板((001)面方位)1上にInSbのn型ドーパントであるSnを1.0×1019原子/cm3ドーピングしたInSb層を1.0μmエピタキシャル成長させて、n+InSb層2を形成する。
+InSb層2上に、InSbのp型ドーパントであるZnを1×1016原子/cm3ドーピングしたInSb層を2.0μmエピタキシャル成長させて、p-InSb層3を形成する。
-InSb層3上に、Znを5×1018原子/cm3ドーピングしたAl0.2In0.8Sb層5を0.02μmエピタキシャル成長させる。
Al0.2In0.8Sb層5上に、Znを5×1018原子/cm3ドーピングしたInSbを0.5μm成長させて、p+InSb層4を形成する。
この赤外線センサ200の作成のとき、成長時の基板温度、及び原料であるInとSb材料の供給比を変化させることで、結晶性の異なる4つの試料を作成した。これら4試料についてX線回折法を用いてInSbの(004)のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)を評価した。測定には既存のX線回折測定装置を使用し、入射X線はCu Kα1のX線をGe(220)の4結晶モノクロメータにて単色化したものを使用している。
上記評価の結果、4試料のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)はそれぞれ203(A点)、305(B点)、357(C点)、499(D点)arcsecであった。なお、arcsecは角度単位の秒である。
次に、上記4試料を用いて次の手順にて赤外線センサ200を作成した。
まず、n型ドーピングを行っているn+InSb層とのコンタクトを取るための段差形成を行い、次に素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面をSiN保護膜で覆った。
次に、SiN保護膜の所定の部分を取り除くことによって電極部分のみ窓開けを行い、Ti/AuをEB蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。作成した赤外線センサのPN接合部の面積は90×90平方μmであった。このようにして作成した各赤外線センサの素子抵抗を、ダイオードに対して0.1V正のバイアスをかけた場合と、0.1V負のバイアスをかけた場合とで測定し、両測定結果の平均値をゼロバイアスの素子抵抗R0として測定した。なお測定中の各試料の温度は25℃で一定になるようにしている。
<半値全幅と素子抵抗との関係>
図3は、測定した各試料のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)と赤外線センサの素子抵抗R0の相関関係を示す。
FWHMが305と357 arcsecの間で、素子抵抗が急激に小さくなることが確認出来る。従ってFWHMは300 arcsec 以下であることが必要となる。また、InSbを完全結晶と仮定した場合、ロッキングカーブのFWHMは30arcsecである。その結果、FWHMは30arcsec以上、300arcsec以下の範囲が素子抵抗を下げることのない結晶性の範囲である。なお、実際の試料では必ず格子欠陥は形成されるため、FWHMは100arcsec以上であってもよい。
また、一般に膜厚が厚くなると結晶性は良くなるため、本例での膜厚は、3.5μm以上の膜厚であればよい。
また、AlInSb層やGaInSb層は膜厚が30nm以下であれば、臨界膜厚以下であるため、InSbの結晶性にほとんど影響を与えない。
また、各層のドーピング濃度に関してもn+InSb層2では2×1019原子/cm3以下であって p+InSb層4では1×1019原子/cm3以下の範囲のドーピングであればInSbの結晶性に対してドーピングの影響は殆どないため、上記のドーピング範囲であればよい。
以上説明したように、単結晶の半導体基板1上に積層されたInSb層2〜4からなる結晶構造部を、積層されたInSb層全部の結晶性方向に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上で300arcsec以下の範囲となるような結晶性を有する結晶構造部として構成することにより、ゼロバイアス時の素子抵抗の値を所定の値に維持して低下しないようにすることができる。これにより、素子抵抗が低下することのない最適な結晶性の範囲を有する半導体材料によって構成された赤外線センサを提供することができる。
1 半導体基板
2 第1のInSb層(n+InSb層)
3 第2のInSb層(p-InSb層)
4 第3のInSb層(p+InSb層)
5 第4のInSb層(AlInSb層、又はGaInSb層)
100 赤外線センサ
200 赤外線センサ

Claims (7)

  1. 所定の結晶性をもつ薄膜により形成された赤外線センサであって、
    単結晶の半導体基板と、
    前記単結晶の半導体基板上に、InSbの層が順次積層されたセンサ部と
    を具え、
    前記センサ部が、
    前記単結晶の半導体基板に形成されたn型ドーピングされた第1のInSb層と、
    前記第1のInSb層上に形成されたノンドープ或いはp型ドーピングされた第2のInSb層と、
    前記第2のInSb層上に当該第2のInSb層よりも更に高濃度にp型ドーピングされた第3のInSb層と
    を有する場合において、該センサ部は、
    前記積層された第1から第3までのInSb層全部の基板結晶面方位に対するX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅が30arcsec以上でかつ300arcsec以下の範囲となるような、結晶性を有する結晶構造部により構成されたことを特徴とする赤外線センサ。
  2. 前記結晶構造部を構成する前記第1から第3までのInSb層全部の膜厚が、3.5μm以上であることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
  3. 前記単結晶の半導体基板は、結晶面方位が(001)方向のGaAs単結晶の半導体基板であることを特徴とする請求項1又は2記載の赤外線センサ。
  4. 前記半値全幅は、前記第1から第3までのInSb層の結晶面方位が(004)方向のX線回折のロッキングカーブにおける半値全幅であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の赤外線センサ。
  5. 前記センサ部は、PINダイオードとして構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の赤外線センサ。
  6. 前記センサ部を構成する前記結晶性を有する結晶構造部において、前記半値全幅が30arcsec以上でかつ300arcsec以下の範囲内にあるとき、ゼロバイアス時の素子抵抗の値が所定の値を維持して低下しないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の赤外線センサ。
  7. 前記結晶構造部は、
    前記第2のInSb層と前記第3のInSb層との間に、前記第3のInSb層と同等のp型ドーピングされた、InSbよりもバンドギャップの大きな、AlInSb層、又はGaInSb層からなる第4のInSb層をさらに有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の赤外線センサ。
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