JP2014149936A - 二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法及び二次電池 - Google Patents

二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性が良好で、集電体に積層された電極活物質層との接着性が高い二次電池用セパレータを提供する。
【解決手段】 有機セパレータと、前記有機セパレータの少なくとも一面に隣接して形成され、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層と、前記耐熱層上に形成され、融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層とを備え、前記耐熱層の前記有機セパレータへの片面あたりの塗布量が2〜10g/m2であり、前記接着剤層の前記耐熱層への片面あたりの塗布量が0.1〜1.5g/m2である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池に使用する二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法及びこの二次電池用セパレータを用いた二次電池に関するものである。
近年、ノート型パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の携帯電話等、携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源に用いられている二次電池には、リチウムイオン二次電池などが多用されている。携帯端末に対しては、より快適な携帯性が求められているため、小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進み、その結果、携帯端末は様々な場で利用されるようになっている。また、電池に対しても、携帯端末に対するのと同様に、小型化、薄型化、軽量化、高性能化が要求されている。
リチウムイオン二次電池は、充電時にリチウムが正極の正極活物質から有機セパレータ中の電解液中にリチウムイオンとして溶け出し負極の負極活物質中に入り込み、放電時に負極の負極活物質中に入り込んだリチウムイオンが電解液中に放出され正極の正極活物質中に再び戻ることによって充放電動作を行っている。
通常、リチウムイオン二次電池に用いられる有機セパレータとしては、例えばポリオレフィン系樹脂から成る微多孔膜が使用されている。有機セパレータは、電池内部の温度が130℃近傍になった場合、溶融して微多孔を塞ぐことで、リチウムイオンの移動を防ぎ、電流を遮断させるシャットダウン機能により、リチウムイオン二次電池の安全性を保持する役割を担っている。しかしながら、瞬間的な発熱によって電池温度が、例えば150℃を超えると、有機セパレータは急激に収縮して、正極及び負極が直接接触し、短絡する箇所が拡大することがある。この場合、電池温度は数百℃以上にまで異常過熱された状態に至ることがある。
このため、ポリエチレン微多孔膜等の有機セパレータの表面上に、耐熱性のある多孔膜層(以下において「耐熱層」と記載することもある。)を積層した非水系セパレータ等が検討されている。多孔膜層は、内部に多数の連結された微細孔構造を有する膜のことであり、非導電性粒子、非導電性粒子同士及び非導電性粒子と有機セパレータや集電体とを結着させるためポリマーバインダー(以下において「バインダー」と記載することもある。)を含有する。また多孔膜層は、電極に積層して用いたり、有機セパレータそのものとして用いることもできる。
特許文献1には有機セパレータ上に耐熱性樹脂を含む耐熱層を設けた二次電池用セパレータが記載されている。また特許文献1には、有機セパレータ上にフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着剤層を設けた二次電池用セパレータが記載されている。
また、特許文献2には、有機セパレータと耐熱層との間に接着剤層を設けることが記載されている。
特許第4806735号公報 特開2012−89346号公報
しかし、特許文献1では、有機セパレータ上に耐熱層を設けたセパレータと、有機セパレータ上に接着剤層を設けたセパレータとが別々に開示され、本発明者の検討によれば、有機セパレータ上に耐熱層を設けたセパレータを使用すると、耐熱層と電極の電極活物質層との接着性が不足するため、電極の捲回時等の工程上においてかかる機械的な力に対する強度が下がり、電極活物質等の脱離(粉落ち)が十分に防げず、脱離物によって電極間が短絡するなどの危険性が大きくなることがわかった。
また、有機セパレータ上に接着剤層を設けたセパレータを使用すると、セパレータとして十分な耐熱性を得られないため、概して150℃以下の温度でも収縮しやすく、電池の短絡を導きやすいといった問題点があることが分かった。
また、特許文献2においても、耐熱層と電極の電極活物質層との接着力を十分に得ることができなかった。
即ち、特許文献1及び2においては、シャットダウン機能とセパレータと電極間の接着性を十分に両立させることができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、耐熱性が良好で、集電体に積層された電極活物質層との接着性が高い二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、かかる二次電池用セパレータを有する二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、有機セパレータ上に特定の耐熱層を形成し、さらに耐熱層上に特定の接着剤層を形成することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、
(1) 有機セパレータと、前記有機セパレータの少なくとも一面に隣接して形成され、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層と、前記耐熱層上に形成され、融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層とを備え、前記耐熱層の前記有機セパレータへの片面あたりの塗布量が2〜10g/m2であり、前記接着剤層の前記耐熱層への片面あたりの塗布量が0.1〜1.5g/m2であることを特徴とする二次電池用セパレータ、
(2) 前記フッ化ビニリデン共重合体の電解液に対する膨潤度が110〜200%であることを特徴とする(1)記載の二次電池用セパレータ、
(3) 前記接着剤層はさらにアクリル系重合体を含むことを特徴とする(1)または(2)記載の二次電池用セパレータ、
(4) 有機セパレータ上に非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層用スラリーを塗布し、乾燥することにより耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、前記耐熱層上にフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層用スラリーを塗布し、乾燥することにより接着剤層を形成する接着剤層形成工程とを含むことを特徴とする二次電池用セパレータの製造方法、
(5) (1)〜(3)の何れか一項に記載の二次電池用セパレータ、正極、負極及び電解液を備えることを特徴とする二次電池
が提供される。
本発明によれば、耐熱性が良好で、集電体に積層された電極活物質層との接着性が高い二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法が提供される。また、本発明によれば、耐熱性が良好で、集電体に積層された電極活物質層との接着性が高い二次電池用セパレータを備えた二次電池が提供される。
以下、本発明に係る二次電池用セパレータ及び二次電池について説明する。本発明の二次電池用セパレータは、有機セパレータと、前記有機セパレータの少なくとも一面に隣接して形成され、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層と、前記耐熱層上に形成され、融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層とを備え、前記耐熱層の前記有機セパレータへの片面あたりの塗布量が2〜10g/m2であり、前記接着剤層の前記耐熱層への片面あたりの塗布量が0.1〜1.5g/m2であることを特徴とする。以下、有機セパレータ、耐熱層、接着剤層の順に詳述する。
(有機セパレータ)
本発明に用いる有機セパレータとしては、電子伝導性がなくイオン伝導性があり、有機溶媒に対する耐性が高い、孔径の微細な多孔質膜が用いられる。例えばポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜またはポリオレフィン系の繊維を織ったもの、またはその不織布、絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱層用スラリーの塗工性が優れ、二次電池用セパレータの厚さを薄くし、電池内の電極活物質層の比率を上げて体積あたりの容量を上げることができるため、ポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
有機セパレータの厚さは、電池内での有機セパレータによる抵抗が小さくなり、また、電池製造時の作業性に優れる観点から、通常0.5〜40μmであり、1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
本発明に用いる有機セパレータは、強度や硬度、熱収縮率を制御する目的で、非導電性粒子以外の他のフィラーや繊維化合物を含んでもよい。また、有機セパレータの表面上に耐熱層を積層する際に、密着性を向上させたり、電解液との表面張力を下げて液の含浸性を向上させる目的で、予め低分子化合物や高分子化合物で有機セパレータ表面を、被覆処理したり、紫外線などの電磁線処理、コロナ放電・プラズマガスなどのプラズマ処理を行ってもよい。特に、電解液の含浸性が高く、耐熱層との密着性を得やすい点から、カルボン酸基、水酸基及びスルホン酸基などの極性基を含有する高分子化合物で被覆処理したものが好ましい。
本発明に用いる有機セパレータは、引き裂き強度や、突き刺し強度を上げる目的で、前記有機セパレータ同士の多層構造であってもよい。具体的には、ポリエチレン微多孔膜とポリプロピレン微多孔膜の積層体、不織布とポリオレフィン系セパレータとの積層体などが挙げられる。
(耐熱層)
本発明の二次電池用セパレータを構成する耐熱層は、非導電性粒子及びバインダーを含有する。上記耐熱層は、非導電性粒子がバインダーを介して結着されてなり、非導電性粒子間の空隙が形成された構造を有する。この空隙が、耐熱層の孔となっている。
(非導電性粒子)
非導電性粒子を構成する材料としては、リチウムイオン二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的にも安定であることが望まれる。例えば各種の非導電性の無機粒子、有機粒子を使用することができる。
無機粒子の材料としては、電気化学的に安定であり、また、他の材料、例えば後述する粘度調整剤などと混合して耐熱層用スラリー組成物を調製するのに適した材料が好ましい。このような観点から、無機粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アルミニウムの水和物(ベーマイト(AlOOH)、ギブサイト(Al(OH)3)、ベークライト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化チタン(チタニア)、酸化カルシウムなどの酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、シリカ、硫酸バリウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム等が用いられる。これらの中でも、電解液中での安定性と電位安定性の観点から酸化物が好ましく、中でも吸水性が低く耐熱性(例えば180℃以上の高温に対する耐性)に優れる観点から酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、アルミナ、ベーマイト、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが特に好ましい。
有機粒子としては、通常はポリマー(重合体)の粒子を用いる。有機粒子は、その表面の官能基の種類及び量を調整することにより、水に対する親和性を制御でき、ひいては本発明の耐熱層に含まれる水分量を制御できる。非導電性粒子の有機材料として好ましい例を挙げると、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂など各種高分子化合物などが挙げられる。粒子を形成する上記高分子化合物は、単独重合体でも共重合体でもよく、共重合体の場合は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれも使用できる。さらに、少なくとも一部が変性されたものや架橋物であってもよい。そして、これらの混合物であってもよい。架橋物である場合の架橋剤としては、ジビニルベンゼンなどの芳香族環を持つ架橋体、エチレングリコールジメタクリレートなどの多官能アクリレート架橋体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基を有する架橋体などが挙げられる。有機粒子は、2種以上の高分子化合物の混合物により形成されていてもよい。
前記非導電性粒子は、必要に応じて、元素置換、表面処理、固溶体化等が施されていてもよい。また、非導電性粒子は、1つの粒子の中に、前記の材料のうち1種類を単独で含むものであってもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含むものであってもよい。さらに、非導電性粒子は、異なる材料で形成された2種類以上の粒子を組み合わせて用いてもよい。
非導電性粒子の体積平均粒子径D50は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。このような体積平均粒子径D50の非導電性粒子を用いることにより、多孔膜の厚みが薄くても、均一な多孔膜を得ることができるので、電池の容量を高くすることができる。ここで体積平均粒子径D50は、レーザー回折法で測定された粒度分布において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
また、これらの非導電性粒子のBET比表面積は、粒子の凝集を抑制し、耐熱層用スラリーの流動性を好適化する観点から、具体的には、0.9〜200m2/gであることが好ましく、1.5〜150m2/gであることがより好ましい。非導電性粒子のBET比表面積は、比表面積測定装置(ジェミニ2310:島津製作所社製)を用いて、非導電性粒子に窒素ガスを吸着させ、BET測定法で測定する。
本発明において、非導電性粒子の形状は、例えば、球状、楕円球状、多角形状、テトラポッド(登録商標)状、板状、鱗片状などが挙げられる。中でも、多孔膜の空隙率を高くして多孔膜セパレータによるイオン伝導度の低下を抑制する観点では、テトラポッド(登録商標)状、板状、鱗片状が好ましい。
耐熱層における非導電性粒子の含有割合は、非導電性粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、非導電性粒子同士の隙間を形成できる点で、70〜97質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。
(バインダー)
本発明における耐熱層は、バインダーを含む。バインダーは耐熱層の機械的強度を維持する役割を果たす。通常、バインダーとしては、結着性を有するものであれば、種々のものを用いることができる。例えば、共役ジエン重合体、アクリル酸エステル単量体単位及び/又はメタクリル酸エステル単量体単位を含む重合体(以下、「(メタ)アクリル重合体」ということがある。本願において、「(メタ)アクリル」はアクリル及び/又はメタクリルを意味する。)、フッ素重合体、シリコン重合体などが挙げられる。
中でも、得られる耐熱層における非導電性粒子の保持性や、柔軟性に優れ、かつ、酸化還元に安定であり寿命特性が優れる電池を得易い点から、後述するスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)の水素化物(H−NBR)及び(メタ)アクリル重合体が好ましく、(メタ)アクリル重合体がより好ましく、(メタ)アクリル重合体のなかでも、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むアクリロニトリル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体がさらに好ましい。
共役ジエン重合体は、共役ジエン単量体単位を含む重合体及びその水素化物である。共役ジエン単量体単位は、共役ジエン単量体を重合して得られる繰り返し単位である。
共役ジエン単量体単位を構成する共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。
共役ジエン重合体は、共役ジエン単量体単位以外に、共役ジエンと共重合可能な単量体の単量体単位を任意成分として含めることができる。
前記共役ジエンと共重合可能な単量体単位を構成する単量体としては、1,2−ブタジエンなどの非共役ジエン単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα-オレフィン類;スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ化ビニル単量体;などが挙げられる。
これら共重合可能な単量体は、単独または2種以上併用することができる。
共役ジエン重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体及びその水素化物;スチレン・ブタジエン・メタクリル酸共重合体や、スチレン・ブタジエン・イタコン酸共重合体などの芳香族ビニル・共役ジエン・カルボン酸基含有単量体の共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体及びその水素化物;等が挙げられる。
アクリル酸エステル単量体単位は、アクリル酸エステル単量体を重合して得られる繰り返し単位であり、メタアクリル酸エステル単量体単位は、メタアクリル酸エステル単量体を重合して得られる繰り返し単位である。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ブチルアクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル重合体における(メタ)アクリル酸エステルの単量体単位の含有割合は、50〜98質量%であることが好ましく、60〜97.5質量%であることがより好ましく、70〜95質量%であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含むことが好ましい。(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含むことにより、酸化還元に安定で、高寿命の電池を得ることができる。また、これらの繰り返し単位を含む(メタ)アクリル重合体をバインダーとして用いることで、耐熱層の柔軟性が向上し、それにより切断(スリット)加工時や捲回時に耐熱層から非導電性粒子が脱離することを抑制できる。
(メタ)アクリロニトリル単量体単位は、(メタ)アクリロニトリルを重合して得られる繰り返し単位である。なお、バインダーは、(メタ)アクリロニトリル単量体単位として、アクリロニトリル単量体単位だけを含んでいてもよく、メタクリロニトリル単量体単位だけを含んでいてもよく、アクリロニトリル単量体単位とメタクリロニトリル単量体単位の両方を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
本発明において、(メタ)アクリル重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は、質量比で、1/99〜30/70の範囲であることが好ましく、5/95〜25/75の範囲であることがより好ましい。(メタ)アクリル重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位の比率が低すぎると、バインダーが電解液に膨潤することによりイオン伝導性が低下し、レート特性が低下する。また、前記比率が高すぎると、バインダーの強度が低下するため耐熱層の強度が低下する。通常、バインダーが含む(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、バインダーを製造するために用いた全単量体に占める(メタ)アクリロニトリル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の割合(仕込み比)と同じになる。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、及び(メタ)アクリロニトリル単量体単位に加えて他の単量体単位を含むことが好ましい。
他の単量体単位としては、酸性基を有するビニルモノマーの単量体単位、架橋性基を有するモノマーの単量体単位などが挙げられる。
酸性基を有するビニルモノマーとしては、−COOH基(カルボン酸基)を有する単量体、−OH基(水酸基)を有する単量体、−SO3H基(スルホン酸基)を有する単量体、−PO32基を有する単量体、−PO(OH)(OR)基(Rは炭化水素基を表す)を有する単量体、及び低級ポリオキシアルキレン基を有する単量体が挙げられる。また、加水分解によりカルボン酸基を生成する酸無水物も同様に使用することができる。
カルボン酸基を有する単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物、及びこれらの誘導体などが挙げられる。モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メチルマレイン酸などが挙げられる。ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式CH2=CR1−COO−(Cn2nO)m−H(mは2ないし9の整数、nは2ないし4の整数、R1は水素又はメチル基を表す)で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール(メタ)モノアリルエーテル類;グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの、(ポリ)アルキレングリコールのハロゲン及びヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテル及びそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
−PO32基及び/又は−PO(OH)(OR)基(Rは炭化水素基を表す)を有する単量体としては、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
低級ポリオキシアルキレン基を有する単量体としては、ポリ(エチレンオキシド)等のポリ(アルキレンオキシド)などが挙げられる。
酸性基を有するビニルモノマーとしては、これらの中でも、有機セパレータへの密着性に優れること、及び正極活物質層から溶出した遷移金属イオンを効率良く捕捉するという理由からカルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でも、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸基を有する炭素数5以下のモノカルボン酸や、マレイン酸、イタコン酸などのカルボン酸基を2つ有する炭素数5以下のジカルボン酸が好ましい。さらには、作製した耐熱層用スラリーの保存安定性が高いという観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。
(メタ)アクリル重合体における酸性基を有するビニルモノマーの単量体単位の含有割合は、1〜3質量%であることが好ましく、1.5〜2.5質量%であることがより好ましい。
架橋性単量体単位は、架橋性単量体を重合して得られる構造単位である。架橋性単量体は、加熱又はエネルギー線照射により、重合中又は重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体の例としては、通常は、熱架橋性を有する単量体を挙げることができる。より具体的には、熱架橋性の架橋性基及び1分子あたり1つのオレフィン性二重結合を有する単官能の架橋性単量体;1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能の架橋性単量体が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基の例としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、オキサゾリン基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基が、架橋及び架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
熱架橋性の架橋性基としてエポキシ基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;並びにグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてN−メチロールアミド基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキセタニル基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、及び2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンが挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキサゾリン基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、及び2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンが挙げられる。
1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、前記以外の多官能性アルコールのアリルまたはビニルエーテル、トリアリルアミン、メチレンビスアクリルアミド、及びジビニルベンゼンが挙げられる。
これらの中でも、架橋性単量体としては、特に、エチレンジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、及びグリシジルメタクリレートが好ましい。
また、架橋性単量体単位は、上記架橋性単量体の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル重合体における架橋性単量体単位の含有割合は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。(メタ)アクリル重合体における架橋性単量体単位の含有割合を前記範囲とすることにより、(メタ)アクリル重合体の電解液への溶出による、耐熱層の変形を抑制し、二次電池のサイクル特性を向上することができる。
本発明に好適に用いる(メタ)アクリル重合体は、上述した単量体単位以外に、これらと共重合可能な単量体単位を含んでいてもよい。これらと共重合可能な単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;アクリルアミド;が挙げられる。
(メタ)アクリル重合体における上記共重合可能な単量体単位の含有割合は、後述する耐熱層用スラリーの経時安定性に優れる観点から、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル重合体をバインダーとして含有する耐熱層を有する二次電池は、サイクル特性及びレート特性に優れる。
バインダーの製造方法は特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの、いずれの方法を用いてもよい。中でも、水中で重合をすることができ、そのまま耐熱層用スラリーの材料として使用できるので、乳化重合法及び懸濁重合法が好ましい。
重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤を用いることが好ましい。重合に用いる重合開始剤としては、たとえば過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、又は過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどがあげられる。特に限定されないが、バインダーの製造に用いる単量体100質量部に対して、重合開始剤の使用量は、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
また、バインダーを製造する際、その反応系には分散剤を含ませることが好ましい。分散剤は通常の合成で使用されるものを用いてもよい。具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等の非イオン性乳化剤;ゼラチン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、重合度700以上かつケン化度75%以上のポリビニルアルコール等の水溶性高分子;などが挙げられる。なお、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でもドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩が好ましく、耐酸化性に優れるという点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。分散剤の量は任意に設定でき、単量体総量100質量部に対して、0.01〜10質量部程度が好ましい。
バインダーの重量平均分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、耐熱層の強度及び非導電性粒子の分散性を良好にし易い点で、シクロヘキサン溶液(重合体が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)において10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜200,000であることがより好ましい。
バインダーは、通常、分散媒(水又は有機溶媒)に分散された状態の分散液として調製及び保存され、これを耐熱層用スラリーの製造において材料として使用される。本発明においては、環境への負荷が少なく、乾燥速度が速いという観点から分散媒として水を用いることが好ましい。また、分散媒として有機溶媒を用いる場合、N−メチルピロリドン(NMP)等の有機溶剤が用いられる。
バインダーが分散媒に粒子状で分散している場合において、粒子状で分散しているバインダーの体積平均粒子径D50は、0.01〜0.7μmであることが好ましく、0.01〜0.5μmであることがより好ましい。バインダーの体積平均粒子径D50が小さすぎると、耐熱層の多孔性が低くなるため耐熱層の抵抗が増加し、電池特性が悪化する。また、バインダーの体積平均粒子径D50が大きすぎると、非導電性粒子とバインダーとの接着点を少なくなり結着性が低くなる。ここで、バインダーの体積平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて分散媒中のバインダーの分散粒子径を測定し求める。
バインダーが分散媒に粒子状で分散している分散液中の固形分濃度は、通常15〜70質量%であり、20〜65質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。固形分濃度がこの範囲であると、後述する耐熱層用スラリーを製造する際における作業性が良好である。
バインダーのガラス転移温度(Tg)は、−50〜20℃であることが好ましく、−40〜15℃であることがより好ましく、−30〜5℃であることが特に好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が前記範囲であることにより、本発明の耐熱層の柔軟性が上がり、有機セパレータの耐屈曲性が向上し、耐熱層が割れることによる不良率を下げることができる。また、本発明の二次電池用セパレータをロールに巻き取る時や捲回時にヒビ、欠け等を抑制することもできる。なお、バインダーのガラス転移温度は、様々な単量体を組み合わせることによって調整可能である。
耐熱層におけるバインダーの含有量は、耐熱層と有機セパレータとの密着性が向上し、内部抵抗の低減が見込まれる観点から、非導電性粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜15質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部の範囲であることが特に好ましい。
(その他の任意の成分)
耐熱層には、上述した成分以外にも、さらに任意の成分が含まれていてもよい。かかる任意の成分としては、粘度調整剤、界面活性剤、消泡剤や電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤等が挙げられる。任意の成分は、本発明の二次電池用セパレータを用いた二次電池における電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものであれば、特に制限は無い。これらは、後述する耐熱層用スラリーの安定性向上のために添加される成分や、電池性能の向上のために添加される成分を含む。また、任意の成分の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
粘度調整剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの中でもセルロース誘導体が特に好ましい。
セルロース誘導体は、セルロースの水酸基の少なくとも一部をエーテル化またはエステル化した化合物であり、水溶性のものが好ましい。セルロース誘導体は、通常、ガラス転移点を有さない。具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、これらのアンモニウム塩及びアルカリ金属塩が挙げられる。中でも、カルボキシメチルセルロースの塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩が特に好ましい。セルロース誘導体のエーテル化度は、0.5〜2であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。なお、ここでエーテル化度とは、セルロースのグルコース単位あたりに3個含まれる水酸基が、平均で何個エーテル化されているかを表す値である。エーテル化度がこの範囲であると、耐熱層用スラリーの安定性が高く、固形分の沈降や凝集が生じにくい。さらに、セルロース誘導体を用いることにより、塗料の塗工性や流動性が向上する。
粘度調整剤の固形分濃度を1%としたときの粘度は、10〜8,000mPa・sであることが好ましい。前記粘度がこの値の範囲にある粘度調整剤を用いることで、後述する耐熱層用スラリーの均一塗工性が優れ、高速塗工性や耐熱層用スラリーの経時安定性にも優れる。このため、耐熱層の厚さを薄くでき、それにより、二次電池用セパレータのイオン伝導率及び二次電池のレート特性をさらに向上させることができる。粘度調整剤の固形分濃度を1%したときの粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで60秒後に測定した時の値である。
耐熱層における粘度調整剤の含有量は、得られる耐熱層の柔軟性及び強度をさらに向上させることができる点で、非電導性粒子100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.05〜4質量部であることがさらに好ましく、0.05〜3質量部の範囲であることが特に好ましい。
前記界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤があげられる。
耐熱層における界面活性剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、特に耐熱層用スラリーを有機セパレータに適用した場合に、有機セパレータへの耐熱層用スラリーの浸透力を適切な範囲にすることができ、有機セパレータと耐熱層用スラリーとの濡れ性をより向上させることができる点で、具体的には非電導性粒子100質量部に対し0.01〜3質量部であることが好ましく、0.03〜1.5質量部であることがより好ましく、0.05〜1質量部であることが特に好ましい。
また、その他の添加剤としては、フュームドシリカやフュームドアルミナなどのナノ微粒子が挙げられる。ナノ微粒子を混合することにより耐熱層用スラリーのチキソ性をコントロールすることができ、さらにそれにより得られる耐熱層のレベリング性を向上させることができる。
(接着剤層)
本発明における接着剤層は、融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含有する。また、接着剤層は、必要に応じて耐熱層に含有される非導電性粒子などを含んでいてもよい。また、接着剤層は内部に多数の微細孔を有し、これらの微細孔は接着剤層の一方の面から他方の面まで連結している。従って、接着剤層は、液体または気体を通過させることができる。
(フッ化ビニリデン共重合体)
接着剤層に含まれるフッ化ビニリデン共重合体としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン及びエチレンのうちの少なくとも1種と、フッ化ビニリデンとの共重合体を用いることができ、電極と二次電池用セパレータとの接着性を十分に確保する観点から、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF−HFP)が好ましい。PVDF−HFPとしては、KANAR2850/2851、KANAR2800/2801、KANAR2820/2821、KYNAR2750/、KYNAR7201、KYNAR9301(いずれもARKEM社製)等を用いることができる。
また、フッ化ビニリデン共重合体の融点は、有機セパレータと電極との接着強度を充分に保つことができる観点から、70〜150℃である。
また、フッ化ビニリデン共重合体の後述する電解液に対する膨潤度は110〜200%である。フッ化ビニリデン共重合体の膨潤度が大きすぎると、フッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層の厚みが増え、イオンの拡散距離が長くなる。そのため、抵抗が増加する。また、フッ化ビニリデン共重合体の膨潤度が小さすぎると、イオンの拡散が阻害されるため、抵抗が増加する。
(アクリル系重合体)
また、本発明における接着剤層は、上述のフッ化ビニリデン共重合体に加えて、さらにアクリル系重合体を含んでいてもよい。アクリル系重合体を含むと、接着剤層の耐熱層に対する結着性をより高めることができる場合があるので好ましい。アクリル系重合体としては、上述の耐熱層のバインダーに用いることができる(メタ)アクリル重合体を用いてもよいが、ニトリル基含有アクリル重合体を用いることが好ましい。
(ニトリル基含有アクリル重合体)
ニトリル基含有アクリル重合体は、ニトリル基を有する単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体である。ニトリル基を有する単量体単位は、ニトリル基を有する単量体を重合して形成される構造単位のことをいい、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して形成される構造単位のことをいう。ニトリル基含有アクリル重合体は、必要に応じてさらに、エチレン性不飽和酸単量体単位および、架橋性単量体などのその他の単量体から導かれる単量体単位を含んでもよい。これらの単量体単位は、当該単量体を重合して形成される構造単位であり、例えば、ニトリル基を有する単量体単位とは、ニトリル基含有単量体を重合して形成される構造単位である。ここで、各単量体の含有割合は、通常、ニトリル基含有アクリル重合体における繰り返し単位の含有割合と同様とする。
ニトリル基含有単量体の具体例としては、アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどが挙げられ、中でもアクリロニトリルが、接着剤層の耐熱層に対する結着性が向上できる点で好ましい。
ニトリル基含有アクリル重合体におけるニトリル基を有する単量体単位の含有割合は、好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜25質量%の範囲である。ニトリル基を有する単量体単位の量がこの範囲であると、得られる接着剤層の耐熱層に対する結着性強度が向上する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、一般式(1):CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素原子またはメチル基を、R2はアルキル基またはシクロアルキル基を表す。)で表される化合物由来の単量体単位である。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどのアクリレート;メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−アミル、メタアクリル酸イソアミル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリレートが挙げられる。これらの中でも、アクリレートが好ましく、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが、得られる電極の強度を向上できる点で、特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。したがって、ニトリル基含有アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
ニトリル基含有アクリル重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは45〜75質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合が前記範囲であるニトリル基含有アクリル重合体を用いると、耐熱性がより高くなる。
ニトリル基含有アクリル重合体は、上記ニトリル基を有する単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて、エチレン性不飽和酸単量体単位を含んでいてもよい。
エチレン性不飽和酸単量体単位は、エチレン性不飽和酸単量体を重合して形成される構造単位である。エチレン性不飽和酸単量体は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスフィニル基等の酸基を有するエチレン性不飽和単量体であり、特定の単量体に限定されない。
エチレン性不飽和酸単量体の具体例は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和スルホン酸単量体、エチレン性不飽和リン酸単量体等である。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の具体例は、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びその誘導体、エチレン性不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物並びにそれらの誘導体が挙げられる。
エチレン性不飽和モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びクロトン酸が挙げられる。
エチレン性不飽和モノカルボン酸の誘導体の例としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α−アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、及びβ−ジアミノアクリル酸が挙げられる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸が挙げられる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物の例としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、及びジメチル無水マレイン酸が挙げられる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体の例としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸等のマレイン酸メチルアリル;並びにマレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキル等のマレイン酸エステルが挙げられる。
エチレン性不飽和スルホン酸単量体の具体例は、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等である。
エチレン性不飽和リン酸単量体の具体例は、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸等である。
また、上記エチレン性不飽和酸単量体のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩も用いることができる。
上記エチレン性不飽和酸単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。したがって、ニトリル基含有アクリル重合体は、エチレン性不飽和酸単量体を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
これらの中でも、ニトリル基含有アクリル重合体の分散性を向上するという観点から、エチレン性不飽和酸単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸単量体またはエチレン性不飽和スルホン酸単量体を単独で用いるか、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和スルホン酸単量体との併用が好ましく、エチレン性不飽和カルボン酸単量体とエチレン性不飽和スルホン酸単量体との併用がより好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の中でも、ニトリル基含有アクリル重合体に良好な分散性を発現させるという観点から、好ましくはエチレン性不飽和モノカルボン酸であり、より好ましくはアクリル酸やメタクリル酸であり、特に好ましくはメタクリル酸である。
また、エチレン性不飽和スルホン酸単量体の中でも、ニトリル基含有アクリル重合体に良好な分散性を発現させるという観点から、好ましくは2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸であり、より好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
ニトリル基含有アクリル重合体におけるエチレン性不飽和酸単量体単位の含有割合は、スラリー化した際のニトリル基含有アクリル重合体の分散性が高く、均一性の高い活物質層を形成でき、また電極層の抵抗を低減できる観点から、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは12〜28質量%、特に好ましくは14〜26質量%の範囲である。
また、エチレン性不飽和酸単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸単量体とエチレン性不飽和スルホン酸単量体とを併用する場合、ニトリル基含有アクリル重合体におけるエチレン性不飽和カルボン酸単量体の含有割合は、スラリー化した際のニトリル基含有アクリル重合体の分散性が高く、均一性の高い活物質層を形成でき、また電極層の抵抗を低減できる観点から、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは12〜28質量%であり、エチレン性不飽和スルホン酸単量体の含有割合は、好ましくは0.1〜10質量%である。
ニトリル基含有アクリル重合体は、上記各構成単位に加え、ニトリル基含有アクリル重合体のTHF不溶解分量に影響を与えない範囲で、さらに架橋性単量体単位を含んでいてもよい。架橋性単量体単位は、架橋性単量体を加熱またはエネルギー照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる構造単位である。架橋性単量体の例としては、通常は、熱架橋性を有する単量体を挙げることができる。より具体的には、熱架橋性の架橋性基及び1分子あたり1つのオレフィン性二重結合を有する単官能性単量体、及び1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体が挙げられる。
単官能性単量体に含まれる熱架橋性の架橋性基の例としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、オキサゾリン基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、エポキシ基が、架橋及び架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
熱架橋性の架橋性基としてエポキシ基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;並びにグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてN−メチロールアミド基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキセタニル基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、及び2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンが挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキサゾリン基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、及び2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンが挙げられる。
2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体の例としては、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、前記以外の多官能性アルコールのアリルまたはビニルエーテル、トリアリルアミン、メチレンビスアクリルアミド、及びジビニルベンゼンが挙げられる。
架橋性単量体としては、特に、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、及びグリシジルメタアクリレートを好ましく用いることができる。
上記架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。したがって、ニトリル基含有アクリル重合体は、架橋性不飽和酸単量体を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
ニトリル基含有アクリル重合体に架橋性単量体単位が含まれる場合、その含有割合は、分散性を良好なものとする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である架橋性単量体単位の含有割合が多すぎると、ニトリル基含有アクリル重合体の分散性が悪化する。
また、ニトリル基含有アクリル重合体には、上記に加えて、芳香族ビニル単量体単位、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体単位などが含まれていても良い。
芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどを挙げることができる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
これらの単量体単位は、10質量%以下の割合で含まれていてもよい。
ここで、各単量体の含有割合は、通常、ニトリル基含有アクリル重合体における繰り返し単位(例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、エチレン性不飽和酸単量体単位、及び架橋性単量体単位)の含有割合と同様にする。
次に、ニトリル基含有アクリル重合体の非水電解液に対する膨潤度、およびニトリル基含有アクリル重合体のテトラヒドロフラン(THF)不溶解分量について説明する。
ニトリル基含有アクリル重合体の非水電解液に対する膨潤度は、かかる重合体の体積が電解液中で著しく変化することを避ける観点、及び充放電サイクルを繰り返しても、接着剤層の耐熱層に対する結着性が維持され、サイクル特性が向上する観点から、好ましくは100〜300%であり、より好ましくは100〜280%、特に好ましくは100〜260%である。ここで、非水電解液は、本願のリチウムイオン二次電池を構成する電解液である。非水電解液に対する膨潤度は、例えば、前述した各単量体単位の含有割合により制御することができる。具体的には、ニトリル基含有単量体単位の含有割合を増やすと増大する。また、エチレン性不飽和単量体単位の含有割合を増やすと減少する。
また、ニトリル基含有アクリル重合体のテトラヒドロフラン(THF)不溶解分量は、かかる重合体をスラリー分散媒に適度に溶解させるため、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下の範囲にある。THF不溶解分は、ゲル量の指標であり、THF不溶解分量が多いと、N−メチルピロリドン(以下、NMPと記載することがある)などの有機溶剤を用いたスラリー中において粒子状で存在する可能性が高くなり、スラリー中での分散性が損なわれることがある。THF不溶解分量は、後述するように、重合反応温度、単量体の添加時間、重合開始剤量等により制御することができる。具体的には、重合反応温度を上げる、重合開始剤、連鎖移動剤を多くするなどの方法で不溶解分量が減少する。
ニトリル基含有アクリル重合体の製法は特に限定はされないが、上述したように、ニトリル基含有アクリル重合体を構成する単量体を含む単量体混合物を、乳化重合して得ることができる。乳化重合の方法としては、特に限定されず、従来公知の乳化重合法を採用すればよい。混合方法は特に限定されず、例えば、撹拌式、振とう式、および回転式などの混合装置を使用した方法が挙げられる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサーおよび遊星式混練機などの分散混練装置を使用した方法が挙げられる。
乳化重合に使用する重合開始剤としては、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらのなかでも、無機過酸化物が好ましく使用できる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
得られる共重合体のTHF不溶分量を調節するために、乳化重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
これらのなかでも、アルキルメルカプタンが好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましく使用できる。これらの連鎖移動剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.05〜2質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。
乳化重合時に、界面活性剤を使用してもよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであってもよい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ナトリウムラウリルサルフェート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムオクチルサルフェート、ナトリウムデシルサルフェート、ナトリウムテトラデシルサルフェート、ナトリウムヘキサデシルサルフェート、ナトリウムオクタデシルサルフェートなどの高級アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウムなどの脂肪族スルホン酸塩;などが挙げられる。
界面活性剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
さらに乳化重合の際に、水酸化ナトリウム、アンモニアなどのpH調整剤;分散剤、キレート剤、酸素捕捉剤、ビルダー、粒子径調節のためのシードラテックスなどの各種添加剤を適宜使用することができる。特にシードラテックスを用いた乳化重合が好ましい。シードラテックスとは、乳化重合の際に反応の核となる微小粒子の分散液をいう。微小粒子は粒径が100nm以下であることが多い。微小粒子は特に限定はされず、ジエン系重合体などの汎用の重合体が用いられる。シード重合法によれば、比較的粒径の揃った共重合体粒子が得られる。
重合反応を行う際の重合温度は、特に限定されないが、通常、0〜100℃、好ましくは40〜80℃とする。このような温度範囲で乳化重合し、所定の重合転化率で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する重合転化率は、得られる共重合体のTHF不溶分量を適切に調節可能な観点から、好ましくは93質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。
重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して、共重合体が分散媒に分散された形態(ラテックス)でニトリル基含有アクリル重合体が得られる。その後、必要に応じ、分散媒を置換してもよく、また分散媒を蒸発し、粒子状共重合体を粉末形状で得てもよい。
ニトリル基含有アクリル重合体の分散液には、公知の分散剤、増粘剤、老化防止剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、ブリスター防止剤、pH調整剤などを必要に応じて添加することもできる。
(二次電池用セパレータの製造方法)
本発明の二次電池用セパレータを製造する方法は、有機セパレータ上に耐熱層及び接着剤層がこの順に形成される方法であれば特に制限されないが、有機セパレータ上に、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層用スラリーを塗布し、乾燥することにより耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、前記耐熱層上にフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層用スラリーを塗布し、乾燥することにより接着剤層を形成する接着剤層形成工程とを有する方法が好ましい。以下においては、この方法を本発明の二次電池用セパレータの製造方法として説明する。
(耐熱層の形成方法)
本発明の製造方法では、まず、有機セパレータ上に、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層用スラリーを塗布し、乾燥することにより耐熱層を形成する。耐熱層は、有機セパレータの片面のみに形成しても、両面に形成してもよい。
耐熱層用スラリーは、分散媒と、前述した固形分である非導電性粒子、バインダー及び任意の成分とを混合することによって製造される。
本発明においては上記成分を用いることにより、混合方法や混合順序に関わらず、非導電性粒子が高度に分散された耐熱層用スラリーを得ることができる。
分散媒としては、上記固形分(非導電性粒子、バインダー及び前記任意の成分)を均一に分散しうるものであれば特に制限されない。
耐熱層用スラリーに用いる分散媒としては、水及び有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのケトン類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素など塩素系脂肪族炭化水素;芳酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類があげられる。
これらの分散媒は、単独で使用しても、これらを2種以上混合して混合分散媒として使用してもよい。これらの中でも特に、非導電性粒子の分散性に優れ、低沸点で揮発性の高い分散媒が、短時間でかつ低温で除去できるので好ましい。具体的には、アセトン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、水、若しくはN−メチルピロリドン、又はこれらの混合分散媒が好ましい。
特に、バインダーとして上で説明した(メタ)アクリル重合体を用いる場合、分散媒として水等の水系分散媒を用い、耐熱層用スラリーを水性分散体として得ることが、製造プロセスや工程負荷を低減できるため特に好ましい。
耐熱層用スラリーの固形分濃度は、耐熱層用スラリーの塗布が可能な程度で且つ、流動性を有する粘度になる濃度に適宜調整することができるが、一般的には10〜50質量%程度である。
固形分以外の成分は、乾燥の工程により揮発する成分であり、前記分散媒に加え、例えば、非導電性粒子及びバインダーの調製及び添加に際しこれらを溶解又は分散させていた媒質をも含む。
耐熱層用スラリーは、耐熱層を形成するためのものであるので、耐熱層用スラリーの固形分全量中の、非導電性粒子、バインダー、及び任意成分(耐熱層の任意成分として上述した成分)の含有割合は、耐熱層について上述した通りの割合とすることができる。
混合装置は、上記成分を均一に混合できる装置であれば特に限定はされず、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどを使用することができるが、高い分散シェアを加えることができる、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の高分散装置を使用することが特に好ましい。
耐熱層用スラリーの粘度は、塗工に適した粘度であれば十分であるが、10〜300mPa・sであることが好ましい。耐熱層用スラリーの粘度を、前記範囲に調整することで、耐熱層の薄膜化、耐熱層においてバインダーの偏在化や非導電性粒子の偏在化がない均一な耐熱層を作製でき、さらに均一塗工性、高速塗工性や耐熱層用スラリー保存安定性にも優れる。本発明において、耐熱層用スラリーの粘度は、10〜200mPa・sであることがさらに好ましく、20〜100mPa・sであることが特に好ましい。耐熱層用スラリーの粘度は、E型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで60秒後に測定した時の値(η60)である。
有機セパレータ上に耐熱層用スラリーの塗膜を形成する方法に制限はなく、例えば、塗布法、浸漬法などにより行ってもよい。中でも、耐熱層の厚みを制御し易いことから、塗布法が好ましい。塗布法としては、例えば、ドクターブレードコート法、ディップコート法、リバースロールコート法、ダイレクトロールコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。中でも、均一な耐熱層が得られる点で、ディップコート法及びグラビアコート法が好ましい。
有機セパレータ上に形成した耐熱層用スラリーの塗膜を乾燥する方法に制限はなく、例えば、温風、熱風、低湿風等の風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法などが挙げられる。
乾燥温度は、分散媒が気化して塗膜から除去される温度であればよいが、バインダーが熱架橋性基を有する場合、当該熱架橋性基が架橋反応を生じる温度以上の高温で乾燥を行うことが好ましい。塗膜からの分散媒の除去と架橋とを同時に行うことにより工程数を減らして製造効率を向上させることができる。通常は30〜100℃で乾燥させる。
耐熱層を製造する際には、上述した塗布工程及び乾燥工程に加えて、更に別の工程を行うようにしてもよい。例えば、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理を行ってもよい。これにより、有機セパレータと耐熱層との密着性を向上させることができる。加圧処理の圧力及び加圧時間は、耐熱層の空隙率が損なわれない範囲で、適切に制御すればよい。
また、耐熱層の有機セパレータへの片面あたりの塗布量は2〜10g/m2である。耐熱層の塗布量が多すぎると、抵抗が増加するため、得られる二次電池のサイクル特性が悪化する。また、耐熱層の塗布量が少なすぎると、得られる二次電池用セパレータの耐熱性が低くなる。
耐熱層の厚みは、イオン伝導度の低下を抑制でき、十分な結着性を有するため有機セパレータとの高い密着性有する耐熱層を形成することができる点で、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜15μmであることがさらに好ましく、0.3〜10μmであることが特に好ましい。
(接着剤層の形成方法)
本発明の製造方法では、上記工程により有機セパレータの片面または両面に形成された耐熱層の上に、フッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層用スラリーを塗布し、乾燥することにより接着剤層を形成する。ここで、接着剤層用スラリーに含まれるフッ化ビニリデン共重合体の融点は70〜150℃であることが好ましい。また、接着剤層用スラリーに含まれるフッ化ビニリデン共重合体の後述する電解液に対する膨潤度は、110〜200%であることが好ましい。
接着剤層用スラリーは、分散媒と、前述した粒子状重合体及び任意の成分とを混合することによって製造される。分散媒や混合装置としては、前述した耐熱層用スラリーで用いたものと同等のものを使用することができる。
本発明においては上記成分を用いることにより、混合方法や混合順序に関わらず、粒子状重合体が高度に分散された接着剤層用スラリーを得ることができる。
接着剤層用スラリーの塗布方法としては、特に制限されず、例えば、ドクターブレード法、ディップコート法、リバースロールコート法、ダイレクトロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。
接着剤層用スラリーの塗膜を乾燥する方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風等の風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法などが挙げられる。乾燥温度は、使用する媒体の種類によってかえることができる。媒体を完全に除去するために、例えば、N−メチルピロリドン等の揮発性の低い媒体を用いる場合には送風式の乾燥機で120℃以上の高温で乾燥させることが好ましい。逆に揮発性の高い媒体を用いる場合には100℃以下の低温において乾燥させることもできる。
また、接着剤層の耐熱層への片面あたりの塗布量は0.1〜1.5g/m2である。耐熱層の塗布量が多すぎると、抵抗が増加するため、得られる二次電池のサイクル特性が悪化する。また、耐熱層の塗布量が少なすぎると、電極とセパレータとの接着性が低く、得られる二次電池のサイクル特性が悪化する。
前記接着剤層の厚みは、適度なイオン透過性と、電極製造後の電極活物質層と耐熱層との良好な接着性とを両立させる観点から、0.1〜5μmであることが好ましく、0.3〜4μmであることがより好ましく、0.3〜3μmであることが特に好ましい。
(二次電池)
本発明の二次電池は、正極、負極、電解液及び上記の二次電池用セパレータを備えてなる。二次電池としては、リチウム金属電池やリチウムイオン二次電池等が挙げられるが、長期サイクル特性の向上・出力特性の向上等の性能向上が最も求められていることから用途としてはリチウムイオン二次電池が好ましい。以下、リチウムイオン二次電池に使用する場合について説明する。
(電極)
正極、負極は、一般に、電極活物質を必須成分として含む電極活物質層が、集電体に付着してなる。
(電極活物質)
リチウムイオン二次電池用電極に用いられる電極活物質は、電解質中で電位をかける事により可逆的にリチウムイオンを挿入放出できるものであればよく、無機化合物でも有機化合物でも用いることができる。
リチウムイオン二次電池正極用の電極活物質(正極活物質)は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiFePO4、LiFeVO4などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS2等の遷移金属硫化物;Cu223、非晶質V2O−P25、MoO3、V25、V613などの遷移金属酸化物が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた電極活物質として用いてもよい。また、これら化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。正極活物質の粒子径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点、及び充放電容量が大きい二次電池を得ることができ、且つ電極用スラリー及び電極を製造する際の取扱いが容易である観点から、体積平均粒子径D50が、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。正極活物質の体積平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて正極活物質の粒子径を測定することにより求めることができる。
リチウムイオン二次電池負極用の電極活物質(負極活物質)としては、たとえば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メゾカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料、ポリアセン等の導電性高分子などがあげられる。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の金属やこれらの合金、前記金属又は合金の酸化物や硫酸塩が用いられる。加えて、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコーン等を使用できる。電極活物質は、機械的改質法により表面に導電付与材を付着させたものも使用できる。負極活物質の粒径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、初期効率、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、負極活物質の体積平均粒子径D50が、1〜50μmが好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。負極活物質の体積平均粒子径D50は、正極活物質と同様の方法で測定する。
(活物質層用結着剤)
本発明において、電極活物質層は電極活物質の他に、活物質層用結着剤を含むことが好ましい。活物質層用結着剤を含むことにより電極中の電極活物質層の結着性が向上し、電極の捲回時等の工程上においてかかる機械的な力に対する強度が上がり、また電極中の電極活物質層が脱離しにくくなることから、脱離物による短絡等の危険性が小さくなる。
活物質層用結着剤としては様々な樹脂成分を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、下に例示する軟質重合体も活物質層用結着剤として使用することができる。
ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体である、アクリル系軟質重合体; ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系軟質重合体;ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系軟質重合体; ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
電極活物質層における活物質層用結着剤の量は、電池反応を阻害せずに、電極から活物質が脱落するのを防ぐ観点から、電極活物質100質量部に対して、通常0.1〜5質量部であり、0.2〜4質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
活物質層用結着剤は、電極を作製するために溶液もしくは分散液として調製される。その時の粘度は、通常1〜300,000mPa・sの範囲であり、50〜10,000mPa・sであることが好ましい。前記粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
本発明の二次電池において、電極活物質層には、導電性付与材や補強材を含有していてもよい。導電付与材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等の導電性カーボンを使用することができる。黒鉛などの炭素粉末、各種金属のファイバーや箔などが挙げられる。補強材としては、各種の無機及び有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。導電性付与材を用いることにより電極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、リチウムイオン二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善することができる。導電性付与材の使用量は、電極活物質100質量部に対して0〜20質量部が好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
電極活物質層は、これ単独で存在していてもよいが、通常、集電体に付着した形で存在している。電極活物質層は、電極活物質及び分散媒を含む合剤スラリーを集電体に付着させて形成することができる。
分散媒としては、電極活物質層に活物質層用結着剤を含有させる場合は、これを溶解または粒子状に分散するものであればよいが、溶解するものが好ましい。活物質層用結着剤を溶解する分散媒を用いると、活物質層用結着剤が表面に吸着することにより電極活物質などの分散が安定化する。
合剤スラリーは、分散媒を含有し、電極活物質、活物質層用結着剤及び導電性付与材を分散させる。分散媒としては、前記活物質層用結着剤を溶解し得るものを用いると、電極活物質や導電性付与材の分散性に優れるので好ましい。活物質層用結着剤が分散媒に溶解した状態で用いることにより、活物質層用結着剤が電極活物質などの表面に吸着してその体積効果により分散を安定化させていると推測される。
合剤スラリーに用いる分散媒としては、前述の耐熱層に用いる分散媒と同様のものが挙げられる。これらの分散媒は、単独または2種以上を混合して、乾燥速度や環境上の観点から適宜選択して用いることができる。中でも、本発明においては水への電極膨張特性の観点から、非水性溶媒を用いることが好ましい。
合剤スラリーには、さらに増粘剤などの各種の機能を発現する添加剤を含有させることができる。増粘剤としては、合剤スラリーに用いる分散媒に可溶な重合体が用いられる。
具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物などが用いられる。
さらに、合剤スラリーには、上記成分の他に、電池の安定性や寿命を高めるため、トリフルオロプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネート、1,6−ジオキサスピロ[4,4]ノナン−2,7−ジオン、12−クラウン−4−エーテル等が使用できる。また、これらは後述する電解液に含有せしめて用いてもよい。
合剤スラリーにおける有機溶媒の量は、電極活物質や活物質層用結着剤などの種類に応じ、塗工に好適な粘度になるように調整して用いる。具体的には、合剤スラリー中の、電極活物質、活物質層用結着剤及び他の添加剤を合わせた固形分の濃度を、30〜90質量%と調整することが好ましく、40〜80質量%となる量に調整することがより好ましい。
合剤スラリーは、電極活物質、必要に応じ添加される活物質層用結着剤、導電性付与材、その他の添加剤及び分散媒を混合装置を用いて混合して得られる。混合は、上記の各成分を一括して混合装置に供給し、混合してもよい。合剤スラリーの構成成分として、電極活物質、活物質層用結着剤、導電性付与材及び増粘剤を用いる場合には、導電性付与材及び増粘剤を分散媒中で混合して導電性付与材を微粒子状に分散させ、次いで活物質層用結着剤、電極活物質を添加してさらに混合することが合剤スラリーの分散性が向上するので好ましい。混合装置としては、前述したものを用いることができ、ボールミルを用いると導電性付与材、電極活物質の凝集を抑制できるので好ましい。
合剤スラリーの粒度は、導電性付与材の分散性が高く、均質な電極を得る観点から、35μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。
(集電体)
集電体は、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。中でも、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。集電体は、電極活物質層との接着性を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、電極活物質層との接着性や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
電極活物質層の製造方法は、前記集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に電極活物質層を層状に結着させる方法であればよい。例えば、前記合剤スラリーを集電体に塗布、乾燥し、次いで、120℃以上で1時間以上加熱処理して電極活物質層を形成する。合剤スラリーを集電体へ塗布する方法は特に制限されず、前記耐熱層用スラリーを塗布する方法や接着剤層スラリーを塗布する方法と同様の方法を用いることができる。
次いで、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理により電極の合剤の空隙率を低くすることが好ましい。空隙率の好ましい範囲は5〜15%、より好ましくは7〜13%である。空隙率が高すぎると充電効率や放電効率が悪化する。空隙率が低すぎる場合は、高い体積容量が得難かったり、合剤が剥がれ易く不良を発生し易いといった問題を生じる。さらに、硬化性の重合体を用いる場合は、硬化させることが好ましい。
電極活物質層の厚みは、正極、負極とも、通常5〜300μmであり、10〜250μmであることが好ましい。
(電解液)
電解液としては、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に制限はないが、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。中でも、有機溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましい。これらは、二種以上を併用してもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などのカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が好適に用いられる。またこれらの有機溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類が好ましい。用いる有機溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、有機溶媒の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液中における支持電解質の濃度は、通常1〜30質量%であり、5〜20質量%であることが好ましい。また、支持電解質の種類に応じて、通常0.5〜2.5モル/Lの濃度で用いられる。支持電解質の濃度が低すぎても高すぎてもイオン導電度は低下する傾向にある。用いる電解液の濃度が低いほど重合体粒子の膨潤度が大きくなるので、電解液の濃度によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
(製造方法)
リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法としては、例えば、正極と負極とを本発明の二次電池用セパレータを介して重ね合わせた積層体を得、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。
前記積層体を得る際、積層体に、熱プレスを行うことが好ましい。熱プレスは、加熱とプレスを同時に行う方法である。プレスは、金属ロール、弾性ロールなどを用いたロールプレス機、平板プレス機等を用いて行う。プレスの方式としては、バッチ式プレス、連続式ロールプレスなどが挙げられ、生産性が高められる点で、連続式ロールプレスが好ましい。熱プレスの温度は、積層体を構成する電極や二次電池用セパレータの構造が破壊されない程度であれば特に制限されないが、好ましくは60〜110℃、より好ましくは70〜105℃、特に好ましくは80〜100℃である。
熱プレスの圧力は、二次電池用セパレータの多孔性を維持したまま電極と二次電池用セパレータを強固に接着する観点から、通常0.1〜10MPaであり、0.3〜5MPaが好ましく、0.5〜3MPaであることがより好ましい。また、熱プレスを施す時間は、電極活物質層と二次電池用セパレータを強固に接着することができ、高い生産性を確保する観点から、通常2〜60秒であり、5〜40秒であることが好ましく、8〜20秒であることがより好ましい。
電池容器には、必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をする事もできる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。また、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り質量基準である。さらに、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
〔熱収縮性〕
二次電池用セパレータを、幅5cm×長さ5cmの正方形に切って試験片とした。試験片を150℃の恒温槽に入れ1時間放置した後、正方形の面積変化を熱収縮率として求めた。また、下記基準により評価し、結果を表1に示した。熱収縮率が小さいほど二次電池用セパレータの熱収縮性が優れることを示す。
A:熱収縮率が1%未満である
B:熱収縮率が1%以上5%未満である
C:熱収縮率が5%以上10%未満である
D:熱収縮率が10%以上である
〔接着剤層の接着性〕
二次電池用セパレータ、電極活物質層を有する負極を、それぞれ、幅3cm×長3cmの正方形に切り出した。二次電池用セパレータの接着剤層と負極の電極活物質層とを重ね合わせ、熱プレス機(テスター産業社製、SA−501高精度ホットプレス機)を用いて90℃、10kg/cm2の条件で10秒間熱プレスを行って積層体を得た。
得られた積層体の負極面を試験台に固定した状態で、二次電池用セパレータの一端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引張って剥がし、二次電池用セパレータと負極の電極活物質層との接着性を下記基準により評価した。また、結果を表1に示した。負極の電極活物質層/集電体界面で剥離した場合、最も接着剤層の接着性が高く、二次電池用セパレータと負極の電極活物質層との密着性に優れることを示す。
二次電池用セパレータと、電極活物質層を有する正極との積層体についても、上記と同様の接着性評価を行った。二次電池用セパレータと正極の電極活物質層との接着性評価が、負極での評価結果と同じである場合には、負極の試験結果のみを表1に記載した。
なお、実施例及び比較例において得られた積層体はすべて、耐熱層と有機セパレータとの界面での剥離は生じなかった。
A:負極の電極活物質層/集電体界面での剥離
B:耐熱層/接着剤層界面での剥離または接着剤層/負極の電極活物質層界面での剥離
C:二次電池用セパレータの接着剤層が、負極の電極活物質層と接着しない
〔電解液中における接着剤層の接着性〕
二次電池用セパレータと電極活物質層を有する負極との積層体を10mm幅に切断し、後述する電池の製造に用いる電解液と同じ電解液中に温度60℃で3日間浸漬した。その後、これを取り出し、湿った状態で二次電池用セパレータを剥離した。このときの接着性を以下の基準で評価した。また、結果を表1に示した。
二次電池用セパレータを負極の電極活物質層から剥離するときに抵抗があるほど、電解液中における接着剤層の接着力の保持特性が高いことを示す。
さらに、二次電池用セパレータと、電極活物質層を有する正極との積層体についても、上記と同様の接着性評価を行った。二次電池用セパレータと正極の電極活物質層との接着性評価が、負極での評価結果と同じである場合には、負極の試験結果のみを表1に記載した。
A:剥離した時に抵抗がある(接着性にすぐれる)
B:剥離した時に抵抗が殆どない(接着性に劣る)
C:電解液から取り出した時点で既に剥がれている
〔高温サイクル特性〕
10セルのラミセル型電池を60℃雰囲気下、0.2Cの定電流法によって4.2Vに充電し、3Vまで放電する充放電を200回(=200サイクル)繰り返し、電気容量を測定した。10セルの平均値を測定値とし、5サイクル終了時の電気容量に対する200サイクル終了時の電気容量の割合を百分率で算出して充放電容量保持率を求め、下記基準により評価した。また、結果を表1に示した。この値が高いほど高温サイクル特性に優れることを示す。
A:充放電容量保持率が80%以上である。
B:充放電容量保持率が70%以上80%未満である。
C:充放電容量保持率が60%以上70%未満である。
D:充放電容量保持率が60%未満である。
〔実施例1〕
(耐熱層用バインダーの製造)
撹拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製、製品名「エマール2F」)0.15部、並びに過流酸アンモニウム0.5部を、それぞれ供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
一方、別の容器でイオン交換水50部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、並びに、重合性単量体として、ブチルアクリレート(BA)94.8部、アクリロニトリル(AN)2部、メタクリル酸(MAA)1部、N−メチロールアクリルアミド(NMA)1.2部及びアリルグリシジルエーテル(AGE)1部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物を4時間かけて前記反応器に連続的に添加して重合を行った。添加中は、60℃で反応を行った。添加終了後、さらに70℃で3時間撹拌して反応を終了し、耐熱層用のバインダーとして(メタ)アクリル重合体を含む水分散液を製造した。
得られた(メタ)アクリル重合体における架橋性単量体単位の含有割合は2.2%であった。(メタ)アクリル重合体の体積平均粒子径D50は0.36μm、ガラス転移温度は−45℃であった。
(耐熱層用スラリーの製造)
非導電性粒子としてアルミナ粒子(住友化学社製AKP-3000、体積平均粒子径D50=0.45μm、テトラポット状粒子)を用意した。
粘度調整剤として、エーテル化度0.8〜1.0カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム社製、製品名D1200)を用いた。なお、粘度調整剤の1%水溶液の粘度は、10〜20mPa・s であった。
非導電性粒子を100部、粘度調整剤を1.5部、及びイオン交換水を固形分濃度が40質量%になるように混合して分散させた。さらに、バインダーとして上記(メタ)アクリル重合体を含む水分散液を固形分で4部となる量、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコSNウェット366)0.2部を混合し、耐熱層用スラリーを製造した。
(接着剤層用スラリー1の製造)
フッ化ビニリデン共重合体(KYNAR 2821−00、ARKEM社製)100部に対してN-メチルピロリドンを固形分濃度が8%になるように混合し、接着剤層用スラリー1を得た。
(二次電池用セパレータの製造)
ポリエチレン製の多孔基材からなる有機セパレータ(厚み16μm、ガーレー値210s/100cc)を用意した。用意した有機セパレータの両面に、前記耐熱層用スラリーを塗布し、50℃で3分間乾燥させた。これにより、塗布量8g/m2の耐熱層を備える有機セパレータを得た。
次いで、各耐熱層の上に、上記接着剤層用スラリー1をスプレーコート法により塗布し、50℃で1分間乾燥し、塗布量0.5g/m2の接着剤層を備える二次電池用セパレータを得た。なお、接着剤層を構成するフッ化ビニリデン共重合体の上記指標溶液に対する膨潤度は135%であった。
得られた二次電池用セパレータについて、熱収縮性を評価した。
(正極の製造)
正極活物質としてスピネル構造を有するマンガン酸リチウム95部に、バインダーとしてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製、商品名:KF−1100)を固形分換算量で3部となるように加え、さらに、アセチレンブラック2部、及びN−メチルピロリドン20部を加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、正極用の合剤スラリーを得た。この正極用の合剤スラリーを、厚さ18μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した後、ロールプレスして、全厚みが100μmの電極活物質層を有する正極を得た。
(負極の製造)
負極活物質として粒径20μm、BET比表面積4.2m2/gのグラファイト98部と、バインダーとしてSBR(スチレン−ブタジエンゴム、ガラス転移温度:−10℃)の固形分換算量1部とを混合し、この混合物にさらにカルボキシメチルセルロース1部を混合し、更に溶媒として水を加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合し、負極用の合剤スラリーを得た。この負極用の合剤スラリーを、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した後、ロールプレスして、全厚みが60μmの電極活物質層を有する負極を得た。
(負極/二次電池用セパレータ/正極積層体の作製)
上記正極を4×4cm2の正方形に切り出し、正極を得た。上記負極を4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、の負極を得た。また、上記二次電池用セパレータを5×5cm2の正方形に切り出し、二次電池用セパレータを得た。
正方形の二次電池用セパレータ、その表面に正極を沿わせると共に、裏面に負極を沿わせた後、温度80℃、圧力0.5MPaで10秒間加熱プレスし、正極、負極を二次電池用セパレータに圧着して、正極、負極を二次電池用セパレータの接着剤層に接着しなる負極/二次電池用セパレータ/正極積層体を作製した。
また、正方形の二次電池用セパレータの片面に、負極または正極のみを沿わせた後、二次電池用セパレータの製造方法と同様の方法で熱プレスを行い、接着剤層の接着性評価用サンプルを作製した。得られた接着性評価用サンプルについて、接着剤層の接着性及び、電解液中における接着剤層の接着性を評価した。
(リチウムイオン二次電池)
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意し、負極/二次電池用セパレータ/正極積層体を設置し、これらを収納した。これに電解液を空気が残らないように注入した。この電解液の溶媒はエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びビニレンカーボネートの混合溶媒(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート=68.5/30/1.5(体積比))であり、電解質は濃度1MのLiPF6であった。さらに、アルミニウム包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム外装を閉口し、ラミセル型のリチウムイオン二次電池を製造した。
〔実施例2〕
(接着剤層用アクリル系バインダーの製造)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水164質量部、2−エチルヘキシルアクリレート59.5質量部、メタクリル酸20質量部、アクリロニトリル20質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸0.5質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム1.6部を入れ、十分に撹拝した後、70℃で3時間、80℃で2時間加温して重合を行い、ニトリル基含有アクリル重合体の水分散液を得た。なお、固形分濃度から求めた重合転化率は96%であった。また、この水分散液100部にN−メチルピロリドン500部を加え、減圧下に水、残留モノマーをすべて蒸発させたのち、N−メチルピロリドンを81部蒸発させて、アクリル重合体の8質量%のNMP溶液を得た。この時の非水電解液膨潤度は1.7倍、THF不溶解分量は10%以下であった。
(接着剤層用スラリー2の製造)
フッ化ビニリデン共重合体(KYNAR 2821−00、ARKEM社製)80部に対して、上記アクリル系バインダーを20部加え、N−メチルピロリドンを固形分濃度が8%になるように混合し、接着剤層用スラリー2を得た。接着剤層用スラリー1に代えて接着剤層用スラリー2を用いた以外は、実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例3〕
耐熱層の塗布量を10g/m2、接着剤層の塗布量を0.9g/m2とした以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例4〕
耐熱層の塗布量を5g/m2、接着剤層の塗布量を0.1g/m2とした以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例5〕
有機セパレータの負極側のみに耐熱層、接着剤層を設けた以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例6〕
耐熱層用スラリーの製造に際し、非導電性粒子としてベーマイト(APYRAL AOH 60、Nabaltec社製、体積平均粒子径D50=0.9μm、板状粒子)に変更した以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例7〕
(有機微粒子の製造)
撹拌機を備えた反応器に、スチレン95部、アクリル酸5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、イオン交換水100部、及び過硫酸カリウム0.5部を入れ、80℃で8時間重合させた。これにより、個数平均粒子径58nmのシードポリマー粒子Aの水分散体を得た。
撹拌機を備えた反応器に、前記シードポリマー粒子Aの水分散体を固形分基準(即ちシードポリマー粒子A質量基準)で2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2部、過硫酸カリウムを0.5部、及びイオン交換水を100部入れて混合し混合物Aとし、80℃に昇温した。一方、別の容器中でスチレン82部、メタクリル酸メチル15.3部、イタコン酸2部、アクリルアミド0.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物Cの分散体を調製した。
この単量体混合物Cの分散体を、4時間かけて、上で得た混合物A中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物Cの分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。これにより、個数平均粒子径198nmのシードポリマー粒子Bの水分散体を得た。
次に、撹拌機を備えた反応器に、前記シードポリマー粒子Bの水分散体を固形分基準(即ちシードポリマー粒子B質量基準)で20部、単量体混合物D(ジビニルベンゼンとエチルビニルベンゼンの混合物、単量体混合比:ジビニルベンゼン/エチルビニルベンゼン=60/40、新日鐵化学社製、製品名:DVB−570)を100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.5部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーブチルO)を4部、イオン交換水を540部及びエタノール60部を入れ、35℃で12時間撹拌し、シードポリマー粒子Bに単量体混合物D及び重合開始剤を完全に吸収させた。その後、これを90℃で7時間重合させた。その後、スチームを導入して未反応の単量体及びエタノールを除去してポリマー粒子の水分散液を得た。ここで、ポリマー粒子は球状であり、体積平均粒子径D50は0.45μmであった。
耐熱層用スラリーの製造に際し、非導電性粒子として上記ポリマー粒子(「有機微粒子A」と略記する)を用いたこと以外は、実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例8〕
耐熱層用スラリーの製造に際し、非導電性粒子としてベーマイト(APYRAL AOH 60、Nabaltec社製、体積平均粒子径D50=0.9μm、板状粒子)に変更した以外は実施例2と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔実施例9〕
耐熱層用スラリーの製造に際し、非導電性粒子として実施例7で作製したポリマー粒子(有機微粒子A)を使用した以外は実施例2と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔比較例1〕
接着剤層を有機セパレータ上に設けなかった以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔比較例2〕
耐熱層をセパレータ上に設けなかった以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
〔比較例3〕
PVDE−HFPに代えてポリフッ化ビニリデンを使用した以外は実施例1と同様に二次電池用セパレータ及び二次電池の製造を行った。
Figure 2014149936
表1に示すように、有機セパレータと、前記有機セパレータの少なくとも一面に隣接して非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層を形成し、さらに耐熱層上に融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層を形成する際に、耐熱層の有機セパレータへの片面あたりの塗布量が2〜10g/m2、接着剤層の耐熱層への片面あたりの塗布量が0.1〜1.5g/m2とすると、熱収縮性、接着性及び電池特性(高温サイクル特性)のいずれもが良好であった。

Claims (5)

  1. 有機セパレータと、
    前記有機セパレータの少なくとも一面に隣接して形成され、非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層と、
    前記耐熱層上に形成され、融点が70〜150℃であるフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層と
    を備え、
    前記耐熱層の前記有機セパレータへの片面あたりの塗布量が2〜10g/m2であり、
    前記接着剤層の前記耐熱層への片面あたりの塗布量が0.1〜1.5g/m2であることを特徴とする二次電池用セパレータ。
  2. 前記フッ化ビニリデン共重合体の電解液に対する膨潤度が110〜200%であることを特徴とする請求項1記載の二次電池用セパレータ。
  3. 前記接着剤層はさらにアクリル系重合体を含むことを特徴とする請求項1または2記載の二次電池用セパレータ。
  4. 有機セパレータ上に非導電性粒子及びバインダーを含む耐熱層用スラリーを塗布し、乾燥することにより耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、
    前記耐熱層上にフッ化ビニリデン共重合体を含む接着剤層用スラリーを塗布し、乾燥することにより接着剤層を形成する接着剤層形成工程と
    を含むことを特徴とする二次電池用セパレータの製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の二次電池用セパレータ、正極、負極及び電解液を備えることを特徴とする二次電池。
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