JP2014157773A - 電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥工程において蒸発面に高分子成分が偏析することを抑制できる電極の製造方法を提供すること。
【解決手段】活物質31、バインダ32、及び溶剤33の混練により生成されたインク3を集電体2に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、エアを吹きかけることにより塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、エアの風量がインク3の粘度μに応じて設定されている、電極の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】活物質31、バインダ32、及び溶剤33の混練により生成されたインク3を集電体2に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、エアを吹きかけることにより塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、エアの風量がインク3の粘度μに応じて設定されている、電極の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、集電体に塗工したインクを乾燥させることにより電極を製造する電極の製造方法に関するものである。
従来、二次電池や太陽電池、燃料電池等の様々なデバイスで用いられる電極の製造方法として、集電体にインクを塗工し、このインクを乾燥させることにより電極を製造する方法が知られている。集電体に塗工されるインクは、活物質、結着材(バインダ等の高分子成分)、及び溶剤が混練されたものであるところ、インクの乾燥条件によっては、高分子成分が蒸発面側に偏析する場合がある。高分子成分が蒸発面側に偏析すると、電極性能の低下や、集電体に対する活物質の密着性低下が問題となる。
上述した高分子成分の蒸発面側への偏析は、電極に塗工されたインクの粒子(活物質及び高分子成分)が均一化する前に溶媒が乾燥により蒸発することに起因して発生するものである。このような蒸発面側への高分子成分の偏析に対して、例えば下記特許文献1に示されているように、インクを乾燥させるための風量を溶媒材料比率に応じて3段階にわけて蒸発速度を制御し、高分子成分の偏析を抑制する方法が知られている。
ここで、上述した特許文献1に示された電極の製造方法では、溶媒材料比率から風量を決定している。しかしながら、最適な風量は溶媒材料比率のみから算出されるものではない。したがって、溶媒材料比率のみから風量を決定する方法では、乾燥時の蒸発面側への高分子成分の偏析を十分に抑制することができない。
本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであり、乾燥工程において蒸発面に高分子成分が偏析することを抑制できる電極の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかる電極の製造方法は、活物質、結着材、及び溶剤の混練により生成された溶媒を電極に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、エアを吹きかけることにより塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、エアの風量が溶媒の粘度に応じて設定されている。
高分子成分が蒸発面側に偏析することを抑制する条件は溶媒の蒸発速度、溶媒の粘度、溶媒の表面張力、溶媒中の粒子割合によって決まるところ、表面張力と粒子割合とを一定として溶媒の粘度に応じてエアの風量(蒸発速度)を設定することで、蒸発面に高分子成分が偏析することを抑制できる。具体的には、エアの風量を溶媒の粘度に応じて設定し、溶媒の液面より上に残った活物質に高分子成分を付着させることで、高分子成分が蒸発面側に偏析することを抑制できる。
また、本発明にかかる電極の製造方法は、活物質、結着材、及び溶剤の混練により生成された溶媒を電極に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、エアを吹きかけることにより塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、溶媒の粘度がエアの風量に応じて設定されている。
高分子成分が蒸発面側に偏析することを抑制する条件は溶媒の蒸発速度、溶媒の粘度、溶媒の表面張力、溶媒中の粒子割合によって決まるところ、表面張力と粒子割合とを一定としてエアの風量(蒸発速度)に応じて溶媒の粘度を設定することで、蒸発面に高分子成分が偏析することを抑制できる。具体的には、溶媒の粘度をエアの風量に応じて設定し、溶媒の液面より上に残った活物質に高分子成分を付着させることで、高分子成分が蒸発面側に偏析することを抑制できる。
この発明によれば、乾燥工程において蒸発面に高分子成分が偏析することを抑制できる電極の製造方法を提供することをが可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明に係る電極の製造方法は、集電体に塗工したインクを乾燥させることにより電極を製造するものであり、乾燥工程に用いるエアの風量やインクの粘度を最適化することによって、蒸発面側にバインダ等の高分子成分が偏析することを抑制するものである。このような電極の製造方法について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電極の製造方法を実施し得る電極製造装置の概略構成図である。電極製造装置1は、集電体2に活物質層用塗工組成物であるインク3(溶媒)を塗工した後に、塗工後の集電体2である塗工後集電体4を乾燥させることにより電極板5を製造するものである。このような電極製造装置1による電極の製造過程においては、塗工工程と乾燥工程とが含まれている。
本実施形態に用いられる集電体2及びインク3について説明する。集電体2には、従来から電極板5の集電体として用いられている金属箔や金属シートを用いることができる。すなわち、正極板となる集電体2としてはアルミニウム箔等を用いることができ、負極板となる集電体2としては銅箔等を用いることができる。集電体2の厚さは、通常5〜50μm程度とされる。
インク3は、少なくとも活物質31とバインダ(結着材)32と溶剤33とを混練することにより生成されている。なお、インク3には、必要に応じて他の成分が混練される。活物質31は、非水電解質液二次電池用、二重層キャパシタ用等の活物質として従来から知られている材料を用いることができる。非水電解質液二次電池の正極用活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム酸化物、又は、二酸化マンガン(MnO2)等のカルコゲン化合物等を用いることができる。
また、非水電解質液二次電池の負極用活物質としては、例えば、天然グラファイトやカーボンブラック等の炭素質材料を用いることができる。また、二重層用キャパシタ用活物質としては、例えば、活性炭やアセチレンブラック等の炭素質材料を用いることができる。
バインダ32としては、高分子系の熱可塑性樹脂等が用いられ、例えば、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂、セルロース樹脂等を用いることができる。なお、塗工適正やスラリーの安定性を向上させるために、バインダ32には補助的な増粘剤を添加してもよい。また、溶剤33としては、例えば、水や、アルコール等の有機溶剤を用いることができる。
電極製造装置1は、集電体2にインク3を塗工するダイコータ10と、塗工後集電体4を乾燥させる乾燥部20と、集電体2を搬送する搬送部40と、を備えている。搬送部40は、ダイコータ10及び乾燥部20への集電体2(及び塗工後集電体4)の供給、及び、乾燥工程後の電極板5の巻き取りを行う。搬送部40は、供給ローラ41、ガイドローラ42,43、及び巻き取りローラ44を有している。搬送部40による集電体2の搬送は、所定のスピードで行われる。
供給ローラ41は、集電体2を繰り出し、ダイコータ10によってインク3が塗工される領域まで集電体2を搬送する。ガイドローラ42は、ダイコータ10によってインクが塗工された塗工後集電体4を、支持しながら乾燥部20方向に搬送する。ガイドローラ43は、乾燥部20による乾燥後の電極板5を、支持しながら巻き取りローラ44方向に搬送する。巻き取りローラ44は、電極板5を巻き取る。
ダイコータ10は、塗工材料であるインク3を吐出することにより、搬送されている集電体2にインク3を塗工する。集電体2は所定のスピードで搬送されているところ、ダイコータ10は所定の間隔で塗工材料であるインク3を吐出しているため、集電体2には、インク3の塗膜が形成された部分である塗工後集電体4と、インク3が塗工されていない部分である非塗工部6とが所定のパターン状に形成される。このような、ダイコータ10が集電体2に対してインク3を塗工する工程が、塗工工程である。
乾燥部20は、インク3が塗工された塗工後集電体4を乾燥させる。乾燥部20は、乾燥炉21と温風ノズル22とを有する。乾燥炉21は、塗工後集電体4の搬送方向に沿って、ガイドローラ42とガイドローラ43との間の領域に設けられており、両端部が開口された箱状の炉である。乾燥炉21の内部には、例えば外部から温風が取り入れられる温風ダクト23(図示せず)が塗工後集電体4の搬送方向に沿って延びており、温風ダクト23には、温風ダクト23が延びる方向に沿って温風ノズル22が複数設けられている。温風ノズル22は、搬送される塗工後集電体4に方向を定めてエアを吹きかける。温風ノズル22により塗工後集電体4にエアが吹きかけられることによって、塗工後集電体4の塗膜が乾燥する。なお、複数の温風ノズル22は、それぞれで、エアの風量を調節可能とされている。このような、乾燥部20が塗工後集電体4を乾燥させる工程が、乾燥工程である。エアは例えば温風である。また、エアはいわゆる空気であるが、その他の気体であってもよい。例えば、空気を主成分とする気体、又は、インク3と化学反応しない若しくはしにくい気体であってもよい。
ここで、上述した乾燥工程においては、蒸発面側へのバインダ32の偏析が問題となる。図2は、乾燥工程におけるインクを示す図であり、図2(a)は、乾燥工程中期におけるインクを示す図、図2(b)は、乾燥工程後期におけるインクを示す図である。図2(a)に示されるように、乾燥工程中期においては、蒸発面50近傍にバインダ32が偏析する。そこで、電極製造装置1は、乾燥部20の温風ノズル22のエアの風量を調節することにより、図2(b)に示されるように、固形成分である活物質31の降下を抑制し、蒸発面50(液面)の上に活物質31を残留させる(活物質31のズレを生じさせる)。このことで、蒸発面50上に残留した活物質31にバインダ32が付着し、バインダ32の偏析が抑制される。
上述した、乾燥工程において蒸発面50の上に活物質31を残留させる条件について、以下に説明する。蒸発面50の上に活物質31を残留させることができるか否かは、インク3の表面張力σと、インク3の平均蒸発速度Vbと、インク3の粘度μと、インク3の蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cにより定まる関数F(c)と、により決まる。すなわち、蒸発面50の上に活物質31を残留させるためには、以下の式を満たす必要がある。
平均蒸発速度Vb>F(c)σ/(3μ)・・・(1)
なお、上記F(c)は、活物質31を直方体とおいて求めると、
F(c)=(1−C)(1−C1/2)2/(2C1/2−C)・・・(2)
と表される。
平均蒸発速度Vb>F(c)σ/(3μ)・・・(1)
なお、上記F(c)は、活物質31を直方体とおいて求めると、
F(c)=(1−C)(1−C1/2)2/(2C1/2−C)・・・(2)
と表される。
上記(2)式は、蒸発面50の活物質31に働く力のつり合いを考えることにより導出される。蒸発面50の活物質31に働く力のつり合いについて、図3を用いて説明する。図3は、活物質に働く力のつり合いを説明するための図である。計算を単純化するために、活物質31を1辺の辺長dの直方体とし、速度Vl、隣り合う活物質31間の隙間がhの平行平板流れと仮定して考える。また、蒸発面50の平均蒸発速度をVb、インク3の表面張力をσ、インク3と活物質31との接触角をα、インク3の粘度をμ、とすると、活物質31をインク3において下降させる力(毛管力)Fsは以下の式で表される。
Fs=4dσcos(α)・・・(3)
Fs=4dσcos(α)・・・(3)
また、活物質31を持ち上げる力(活物質31がインク3において下降することを妨げる力)は、活物質31とインク3との摩擦力Ffと、活物質31における上下面の圧力差Fpとからなり、それぞれ以下の式で表される。
Ff=4d*d*6μVl/h=24μVl・d2/h・・・(4)
Fp=d2ΔP、ΔP=12μVl・d/h2・・・(5)
ここで、隙間hは蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cを用いると以下の関係となる。
(d+h)2・C=d2
h=d(C−1/2ー1)
d/h=1/(C−1/2−1)=C1/2/(1−C1/2)・・・(6)
Ff=4d*d*6μVl/h=24μVl・d2/h・・・(4)
Fp=d2ΔP、ΔP=12μVl・d/h2・・・(5)
ここで、隙間hは蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cを用いると以下の関係となる。
(d+h)2・C=d2
h=d(C−1/2ー1)
d/h=1/(C−1/2−1)=C1/2/(1−C1/2)・・・(6)
活物質31が下降しない条件は、FsよりFf+Fpが大きい場合なので、
4dσcos(α)<24μVl・d2/h+12μVl・d3/h2
σcos(α)<3μVl(2C1/2/(1−C1/2)+C/(1−C1/2)2)
Vl>σcos(α)(1−C1/2)2/(3μ(2C1/2−C))・・・(7)
となる。
4dσcos(α)<24μVl・d2/h+12μVl・d3/h2
σcos(α)<3μVl(2C1/2/(1−C1/2)+C/(1−C1/2)2)
Vl>σcos(α)(1−C1/2)2/(3μ(2C1/2−C))・・・(7)
となる。
Vlは液面がある局所の蒸発速度なので液面比率(1−C)をかけると平均蒸発速度Vbと等しいと考えられるため、
Vl=Vb/(1−C)、または、Vl(1−C)=Vb
1−C:蒸発面50の液面の比率(活物質31以外の比率)
よって、
Vb>σcos(α)(1−C)(1−C1/2)2/(3μ(2C1/2−C))・・・(8)
と表すことができる。
Vl=Vb/(1−C)、または、Vl(1−C)=Vb
1−C:蒸発面50の液面の比率(活物質31以外の比率)
よって、
Vb>σcos(α)(1−C)(1−C1/2)2/(3μ(2C1/2−C))・・・(8)
と表すことができる。
上記(8)式より、右辺は、乾燥が進み蒸発面50近傍に活物質31が濃縮しCが1に近くなるほど小さくなる。ただし、活物質31は剛体であるため、必ず隣り合う活物質31間には隙間ができることとなり、Cは1にはならない。例えば、活物質31の最大充填率が0.7と考え、C=0.7とした場合、
Vb>0.0027σcos(α)/μ・・・(9)
となる。
Vb>0.0027σcos(α)/μ・・・(9)
となる。
なお、上記は活物質31を直方体として求めたが、活物質31を球と仮定した場合には、毛管力Fsが下がり、以下の式で表される。
Vb>σcos(α)(1−C)(1−C1/2)2/(6μC1/2)・・(10)
Vb>σcos(α)(1−C)(1−C1/2)2/(6μC1/2)・・(10)
つぎに、温風ノズル22のエアの風量調節について、図4を用いて説明する。なお、温風ノズル22のエアの風量に依存して、平均蒸発速度Vbが決まるものとする。
上記(2)式に示した、インク3の蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cにより定まる関数F(c)は、図4に示されるように、蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cによって大きく変化するところ、乾燥工程初期のCが小さい時点ではなく、インク3が少し蒸発しCが大きくなった時点で上記(8)式を満たす平均蒸発速度Vbとする(エアの風量とする)ことにより、総風量を少なくし、且つ、蒸発面50の上に活物質31を残留させることができる。すなわち、エアの風量を大きくするタイミングを最適化することで、エネルギー消費量を必要最小限としながら、バインダ32の偏析を抑制できる。
ここで、活物質31を球と仮定し、活物質31の直径をD、乾燥工程初期の蒸発面50上の活物質31の体積割合(初期割合)をC0、インク3の厚みの変化量(溶媒蒸発量)をHとすると、蒸発面50近傍の活物質31の体積割合Cは、
C・D=C0(D+H)
となるため以下の式で表される。
C=C0(1+H/D)・・・(11)
C・D=C0(D+H)
となるため以下の式で表される。
C=C0(1+H/D)・・・(11)
活物質31は剛体であるため活物質31間には隙間が発生する。よって、蒸発面50上の活物質31の最大体積割合(最大割合)Cmaxは、0.7〜0.9で頭打ちとなり、それ以上は増加できない。最大割合Cmaxとなる場合のインク3の厚みHをHmとすると、
Hm=(Cmax/C0−1)D・・・(12)
となる。よって、インク3の厚みHがHm以上減少した後に、エアの風量を大きくすることが好ましい。
Hm=(Cmax/C0−1)D・・・(12)
となる。よって、インク3の厚みHがHm以上減少した後に、エアの風量を大きくすることが好ましい。
そして、乾燥工程後期では、蒸発によって溶剤33が少なくなり蒸発面50近傍だけではなくインク3全体でみても活物質31の体積割合Cが最大割合Cmaxに近づく。この状態になると、上記(8)式の平均蒸発速度Vbに関係なく(エアの風量に関係なく)、蒸発面50近傍の活物質31は下が物理的に詰っているため下がることができず、図5に示されるように、蒸発面50は活物質31より下に下がる。この状態になった後は大風量は必要とならない。活物質31が物理的に詰った状態には、例えば、活物質31の体積割合Cが最大割合Cmaxの8割以上となった際に顕著になると考え、この時のインク3の厚みHをHe、初期のインク3の厚みHをH0とすると、活物質31の総量の保存から、
0.8・He・Cmax=H0・C0
であるため、
He=H0・C0/0.8Cmax・・・(13)
となる。
よって、変化量で示すと、
H0−He=H0(1−C0/0.8Cmax)・・・(14)
となる。よって、エアの風量は、図6に示されるように、インク3の厚みがHmより小さくH0−Heよりも大きいときに、大きくすればよい。
0.8・He・Cmax=H0・C0
であるため、
He=H0・C0/0.8Cmax・・・(13)
となる。
よって、変化量で示すと、
H0−He=H0(1−C0/0.8Cmax)・・・(14)
となる。よって、エアの風量は、図6に示されるように、インク3の厚みがHmより小さくH0−Heよりも大きいときに、大きくすればよい。
つぎに、温風ノズル22のエアの風量の具体的な決め方について説明する。乾燥部20においてインク3を乾燥させる場合には、図7に示されるように、温風ノズル22のエアの風量を位置により変化させる。具体的には、乾燥部20の中間部60のエアの風量がその前後より大きくなるようにする。
上述したように、乾燥部20において風量が切替わる位置は、インク3の厚みによって決めることができる。すなわち、インク3の厚みがHmより小さくH0−Heより大きいときに、エアの風量を大きくすればよい。塗工後集電体4は、同じダイコータ10により同じ量のインク3が塗工されているため、乾燥部20においてエアを吹きかけられる前のインク3の厚みは同じである。よって、インク3の厚みがHmより小さくH0−Heより大きくなる位置は、全ての塗工後集電体4で同じであり、温風ノズル22のエアの風量を大きくする範囲である中間部60は、一意に定まる。
中間部60における風量(大風量)は、インク3の粘度μ及び活物質31の最大割合Cmaxに応じて設定されている。具体的には、エアの風量によって決まるインク3の平均蒸発速度Vbと、インク3の粘度μ及び活物質31の最大割合Cmaxとの関係を示した図8において、インク3の粘度μ及び活物質31の最大割合Cmaxに応じた平均蒸発速度Vbが各線上の値よりも大きくなるように、エアの風量を設定すればよい。図8に示される例では、大風量時のVbは以下の式を満たす必要がある。
Vb>0.005(1−Cmax)(1−Cmax1/2)2/(μCmax1/2)・・・(15)
Vb>0.005(1−Cmax)(1−Cmax1/2)2/(μCmax1/2)・・・(15)
ここで、インク3の粘度μは、インク3の温度T及びバインダ32の濃度Cpにより大きく変化する(図9参照)。よって、蒸発面50のインク3の温度Tは予め測定しておいた値を用いる。また、濃度Cpの測定は難しいため、初期濃度Cp0を用い、以下の式から見積もる。
Cp・d=(Hm+d)Cp0・・・(16)
上記(12)式を用いると、(16)式は、
Cp=Cmax/C0・Cp0・・・(17)
と表される。
Cp・d=(Hm+d)Cp0・・・(16)
上記(12)式を用いると、(16)式は、
Cp=Cmax/C0・Cp0・・・(17)
と表される。
以上のように、本実施形態に係る電極の製造方法によれば、インク3の粘度μに応じて乾燥工程において塗工後集電体4に吹きかけられるエアの風量が設定されるため、蒸発面50にバインダ32が偏析することを抑制できる。
従来の電極の製造方法について、図10を用いて説明する。図10(a)に示されるように、乾燥工程初期ではインク3内に活物質31及びバインダ32が均一に分散している。しかしながら、例えばリチウム電極等に塗布したインク3を乾燥させる際、インク3の粘度μが高く乾燥時間が短いため、蒸発支配の条件(拡散により活物質31やバインダ32が均一化する前に、蒸発により溶剤33がなくなる)となり、図10(b)に示されるように、乾燥工程中期では蒸発面50側に活物質31とバインダ32とが濃縮してしまう。そして、図10(c)に示されるように、乾燥工程後期では蒸発が進み蒸発面50が下がる。このとき、活物質31は、上の活物質31に押されるようにしてインク3内において降下する。一方、バインダ32は、粒子が小さいため降下する活物質31間の間をすり抜けることが可能であり、インク3内において、相対的には蒸発面50側に上昇することとなる。よって、乾燥工程後期では蒸発面50側へのバインダ32の偏析が深刻となる。そして、図11に示されるように、乾燥部20のエアの風量を下げたとき(図11の例では基準の1/4)やインク3の粘度μを下げたとき(図11の例では基準の1/2)に、蒸発面50側へのバインダ32の偏析はより大きなものとなる。
この点、本実施形態に係る電極の製造方法では、図2(b)に示されるように、乾燥工程後期において、インク3の粘度μに応じて塗工後集電体4に吹きかけるエアの風量を大きくし、蒸発面50の上に活物質31を残留させている(活物質31のズレを生じさせている)。そして、蒸発面50上に残留した活物質31にバインダ32が付着することにより、蒸発面50近傍にバインダ32が偏析することを抑制できる。そして、インク3の粘度μに応じてエアの風量を設定する(もしくは、エアの風量に応じてインク3の粘度μを設定する)ため、図12に示されるように、乾燥工程後期において、乾燥部20のエアの風量を下げたとき(図12の例では基準の1/4)やインク3の粘度μを下げたとき(図12の例では基準の1/2)にも、対応して粘度μや風量を変更し(図12の例では、風量を1/4にしたときには粘度を2倍、粘度を1/2にしたときには風量を4倍)、バインダ32の偏析がより大きなものとなることを抑制できる。
また、本実施形態に係る電極の製造方法では、乾燥工程においてエアの風量を大きくするタイミングを最適化することで、エネルギー消費量を必要最小限としながら、バインダ32の偏析を抑制している。乾燥工程におけるエアの風量と乾燥時間の関係は、図13に示されるようになる。風量を少なくした場合には、風量を一定として場合と比べて、乾燥時間は長くなるが、使用するエネルギー量は低減することができる。これは、風量の1/2乗に比例して熱伝導率が変化するためである。本実施形態に係る電極の製造方法においては、乾燥工程において、インク3の厚みがHmより小さくH0−Heより大きくなる位置(中間部60)でエアの風量を大きくすることで、風量を大きくする範囲を最低限としながら、バインダ32の偏析を抑制している。図14に示されるように、中間部60でエアの風量を大きくした場合には、風量を一定(常に大きく)した場合とバインダ32の偏析状況がほぼ同じとなる。なお、中間部60の開始位置が10%遅れた場合、及び、開始位置が10%早まった場合には、風量を一定とした場合と比較して、バインダ32の偏析が顕著になっている。
なお、上述した本実施形態は本発明に係る電極の製造方法の一例を示したものである。このため、本発明に係る電極の製造方法は、このようなものに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る電極の製造方法を変更し、又は他のものに適用したものであってもよい。
インク3の粘度μに応じて乾燥部20におけるエアの風量を設定したが、例えば、(15)式において、平均蒸発速度Vbを一定(すなわち、エアの風量を一定)としながら、式を満たすようにインク3の粘度μを設定してもよい。すなわち、エアの風量に応じてインク3の粘度μを設定してもよい。
また、乾燥時間を短くするために、例えば、図15に示されるように、塗工後集電体4に対して、表裏(蒸発面50と基材面)両方からエアを吹きかけ、中間部60のみ蒸発面50側から集中して風量が大きいエアを吹きかけるようにしてもよい。この場合、蒸発面50側で一定にエアを吹きかける場合と比較して乾燥時間を短縮できる。
1…電極製造装置、2…集電体、3…インク、4…塗工後集電体、5…電極板、10…ダイコータ、20…乾燥部、21…乾燥炉、22…温風ノズル、23…温風ダクト、31…活物質、32…バインダ、33…溶剤、40…搬送部、50…蒸発面、60…中間部、Vb…平均蒸発速度、μ…粘度。
Claims (2)
- 活物質、結着材、及び溶剤の混練により生成された溶媒を電極に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、
エアを吹きかけることにより前記塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、
前記エアの風量が前記溶媒の粘度に応じて設定されている、電極の製造方法。 - 活物質、結着材、及び溶剤の混練により生成された溶媒を電極に塗工することで塗膜を形成する塗工工程と、
エアを吹きかけることにより前記塗膜を乾燥させる乾燥工程と、を備え、
前記溶媒の粘度が前記エアの風量に応じて設定されている、電極の製造方法。
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| JP2013029051A JP2014157773A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 電極の製造方法 |
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| JP2013029051A JP2014157773A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 電極の製造方法 |
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| JP2013029051A Pending JP2014157773A (ja) | 2013-02-18 | 2013-02-18 | 電極の製造方法 |
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| JP (1) | JP2014157773A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2018052213A1 (ko) * | 2016-09-13 | 2018-03-22 | 주식회사 엘지화학 | 전극의 제조방법 |
| US10333136B2 (en) | 2016-09-13 | 2019-06-25 | Lg Chem, Ltd. | Method for manufacturing electrode |
| CN119574598A (zh) * | 2025-01-06 | 2025-03-07 | 合肥国轩高科动力能源有限公司 | 一种用于双层涂布极片的比例检测方法 |
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2013
- 2013-02-18 JP JP2013029051A patent/JP2014157773A/ja active Pending
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