JP2014162665A - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、ボイドやリネージなどの結晶欠陥のないサファイア単結晶を得るための製造方法を提供する。
【解決手段】種結晶11と原料融液10の界面のシーディング温度をサファイア結晶の融点よりも+0.3℃〜+3℃の範囲に、シーディング直前および育成初期段階において、前記原料融液の中央部における表面から下方に向かう温度勾配を、+2〜10℃/cmの範囲に、前記原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を+3〜15℃/cmの範囲に、前記種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を−10〜2℃/cmの範囲に、育成初期段階におけるサファイア単結晶の引き上げ速度を0.2〜5mm/hrに制御する。これにより、サファイア単結晶の育成初期段階から、成長界面の形状を下凸状とし、かつ、この先端部開き角を40°〜150°とする。
【選択図】図1
【解決手段】種結晶11と原料融液10の界面のシーディング温度をサファイア結晶の融点よりも+0.3℃〜+3℃の範囲に、シーディング直前および育成初期段階において、前記原料融液の中央部における表面から下方に向かう温度勾配を、+2〜10℃/cmの範囲に、前記原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を+3〜15℃/cmの範囲に、前記種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を−10〜2℃/cmの範囲に、育成初期段階におけるサファイア単結晶の引き上げ速度を0.2〜5mm/hrに制御する。これにより、サファイア単結晶の育成初期段階から、成長界面の形状を下凸状とし、かつ、この先端部開き角を40°〜150°とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、チョクラルスキー法により、サファイア単結晶を製造する方法に関する。
サファイア単結晶は、酸化アルミニウムのコランダム構造を有する結晶体であり、優れた機械的特性、熱的特性、化学的安定性および光透過性を有することから、多くの分野で利用されている。サファイア単結晶は、特に、半導体分野において、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードの発光層を成長させるための基板として、あるいは、シリコン・オン・サファイア(SOS)デバイス用の基板などに用いられており、これらの用途の重要性が高まるに応じて、その需要が飛躍的に伸びてきている。
サファイア単結晶を製造する主な方法として、サファイア原料を坩堝内で融解し、その原料融液表面に種結晶を接触させて徐々に引き上げて単結晶を育成する、チョクラルスキー法(Cz法)やカイロポーラス法(KY法)などの引き上げ法が知られている。
Cz法によりサファイア単結晶を製造する場合、図3に示すようなサファイア単結晶育成装置が用いられる(特開2011−195423号公報参照)。このサファイア単結晶育成装置は、炉体7により形成されるチャンバ内に、サファイア原料が充填される坩堝1と、坩堝1の底面を加熱する円盤状ヒータ部3と、坩堝1の外周面を加熱する円筒状ヒータ部4と、断熱空間14を構成するカーボン製の断熱材6とを備える。また、断熱材6の底面部16に設けられた開口部を介して、断熱空間14の外側から内側に延在し、円盤状ヒータ部3および円筒状ヒータ部4のそれぞれに接続され、電力を供給するための2つの円筒状ヒータ電極5a、5bと、断熱材6の底面部16と円盤状ヒータ部3の開口部を貫通して、坩堝1を支持する支持軸2が設けられている。さらに、断熱材6の上面部17に設けられた開口部を通じて、先端にホルダ9aを介して種結晶11が取り付けられた引き上げ軸9が挿入される。
このような引き上げ法でサファイア単結晶を育成する場合、GaN系発光ダイオード用のサファイア単結晶基板としては、一般的にc面基板が要求されるため、c軸方向でサファイア単結晶を育成し、得られる育成結晶を輪切りにすることによりc軸基板を得ることが効率的である。しかしながら、c軸方向での引き上げによりサファイア単結晶の育成を実施すると、結晶性が悪化しやすく、多結晶化率が非常に高くなるという問題がある。このため、a軸方向での引き上げによりサファイア単結晶を育成した後、育成方位と直交するc軸方向でサファイア単結晶をくり抜き、その結晶塊を輪切りにすることによりc面基板を得ることが一般的である。
一方、引き上げ法では、育成される単結晶は、成長界面が下方に向かって凸状(下凸状)となって成長するが、サファイア単結晶の場合、このときの凸度(育成結晶径に対する、原料融液中の下凸状部分の長さの割合)が、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)などの他の酸化物単結晶や、シリコン、リン化ガリウムなどの半導体単結晶とは異なり、非常に大きなものとなる。このため、引き上げ法によるサファイア単結晶の育成においては、原料融液中の成長界面の形状が、その収率や結晶品質に大きな影響を及ぼすこととなる。
成長界面の形状は、主に固化に伴って発生する潜熱(固化潜熱)の流れ、すなわち、結晶成長場における温度分布および温度勾配により決定される。したがって、引き上げ法では、融液および断熱空間における温度分布および温度勾配を高い精度で制御する必要がある。特に、シーティングと呼ばれる種結晶を融液に接触させ、育成を開始する工程およびこれに続く育成初期段階において、融液表面の温度(シーディング温度)と結晶成長場である融液および断熱空間の温度勾配を精密に制御することが要求される。シーディング時および育成初期段階における融液の温度や結晶成長場における温度勾配が不適切な状態で育成を行うと、育成結晶の成長速度や成長界面の形状の制御が困難となり、サファイア単結晶の収率が低下することとなる。
具体的には、融液中に含まれる微量のガス成分の溶解度が、液相(融液)と固相(結晶)において異なる(液相中の溶解度が高く、固相中の溶解度が低い)ことに起因して、融液の固化(結晶成長)に伴い、液相中にガスが吐出され、吐出されたガス成分の濃度が、成長界面近傍で高くなって飽和することにより気泡が発生し、成長界面近傍に留まる。この気泡が、成長界面の前進によって育成結晶中に取り込まれると、気泡(ボイド)欠陥となる。また、液相中のガス成分が、過飽和状態で固相中に取り込まれ、結晶化後に拡散によって集積し、空洞として顕在化する場合もある。
特に、シーディング時および育成初期段階において、育成結晶がシーディング直後から径方向に急成長すると、図4(a)に示すように、育成結晶の成長界面が下凹状に変化する。成長界面の形状が下凹状のまま結晶成長が進行すると、気泡が取り込まれやすくなるとともに、図4(b)に示すように、サファイア単結晶12bの成長界面19に対して垂直方向に伝播するリネージ20と呼ばれる結晶欠陥の集積が起こる。この結果、結晶方位の回転領域21が発生し、多結晶化が引き起こされる。さらには、育成結晶中に、熱歪が発生して、育成結晶が割れてしまう場合もある。
このように、サファイア単結晶の育成において、育成結晶の高品質化およびその収率の向上を図るためには、結晶成長場、特に、シーディング時および育成初期段階における融液表面の温度、並びに、融液および断熱空間の温度勾配を適切に行い、育成初期段階から成長界面の形状を所望の先端開き角度θを有する下凸状となるように制御することが重要である。
しかしながら、サファイアの融点は2040℃程度ときわめて高く、サファイア単結晶を引き上げ法で育成する場合、断熱空間は、2000℃を超える高温環境となる。このため、融液および断熱空間の熱伝達は輻射光が主体となるため、断熱空間において結晶育成に適した温度勾配を形成することは困難である。また、LT、LN、YAGなどの他の酸化物単結晶の融液と比較して、融液の粘度が非常に低く、熱対流が不安定であることなどに起因して、結晶育成時の融液内の温度勾配を適正化することも困難である。
引き上げ法における結晶欠陥の発生を防止する手段として、特開平9−52790号公報には、Cz法でヒ化ガリウム(融点:1238℃)を育成するに際して、結晶外周部に遮蔽板を設置し、育成結晶の側面が受ける熱量を減少させ、結晶内を上方向に伝わる熱量を大きくすることにより、融液と育成結晶の固液界面を下凸状に保つことが開示されている。また、特開2003−212698号公報には、リン化ガリウム(融点:1465℃)の育成において、育成結晶の直胴部や結晶底部で発生する多結晶化や、固液界面の形状が極端に下凸状となって固化することを防止するため、育成環境の温度の調整によって固液界面の形状を制御し、単結晶の収率を向上させることが開示されている。
しかしながら、これらの技術は、融点が低く、かつ、その成長界面の下凸度が小さく、育成結晶の大部分が融液表面よりも上方に引き上げられた状態で結晶成長が進行する半導体単結晶を対象としたものである。よって、これらの技術を、2000℃を超える高温環境下で育成され、かつ、成長界面の下凸度が非常に大きく、育成結晶の大部分が融液内にある状態で結晶成長が進行するという異なる挙動を示すサファイア単結晶、特に、育成初期段階における融液の温度分布や結晶成長場の温度勾配の制御に直ちに適用できるものではない。
このような事情により、現在のところ、サファイア単結晶の結晶育成においては、一般的に、融液の温度分布や結晶成長場の温度勾配を制御するため、炉体内の雰囲気ガスのガス流を制御する方法が採られている。具体的には、断熱材から坩堝の外周部の上方に伸長するヒータシールドを設けて、坩堝の周囲を上昇する高温のガス流を融液の表面に向かわせることにより、融液表面近傍の温度勾配を適正化することが行われている。
ところで、サファイア単結晶の生産性を向上させ、低コスト化を図るために、得られる単結晶のサイズを大型化させることが検討されている。たとえば、現在得られている単結晶に対して2倍の体積を有する単結晶を育成した場合において、同一サイズの製品基板を得ると、1本の単結晶から得られる製品基板の枚数を従来の3倍程度まで増加させることが可能となる。この場合、原料融解、結晶育成および冷却の各工程の合計時間は、従来の1.2〜1.5倍程度にとどまる。このように、結晶サイズの大型化は、くり抜き時の効率化に加えて、単位時間あたりの収量を向上させることができ、これらに起因するコスト低減に大きな効果をもたらすものである。
しかしながら、育成結晶のサイズを大型化するためには、坩堝や断熱材などを大型化し、断熱空間の容積を大きくする必要がある。このため、これらの構成部材の熱容量が大きくなり、結晶成長場の温度分布、特に、シーティング時のシーディング温度および断熱空間の温度勾配の適正化がきわめて困難となる。上述した炉体内の雰囲気ガスのガス流を制御する方法は、比較的小型のサファイア単結晶の育成には有効であるが、質量が30kgを超える大型のサファイア単結晶の育成においては、十分な効果を得ることが困難であり、気泡や結晶欠陥の発生を十分に抑制できていない。また、この方法では、カーボン製ヒータや断熱材から発生する炭素(C)蒸気が、雰囲気ガスのガス流とともに対流し、坩堝内壁と触れることで、坩堝材の分解反応が起こる。この反応によって生じた分解生成物が、融液内に取り込まれ、この融液から育成される結晶の不純物汚染の原因となっている(特開2011-195423号公報参照)。このように、育成結晶のサイズを大型化するに伴い、育成結晶の上部における、気泡、リネージ、多結晶化などの結晶欠陥の発生率が高くなる傾向が見られており、結晶サイズの大型化に見合う効果を得られていないのが実情である。
本発明は、上述の問題に鑑み、Cz法によるサファイア単結晶の製造方法において、その育成初期段階である肩部形成時から、成長界面の形状を下凸状とし、かつ、このときの成長界面の先端開き角度θを所定の範囲に制御することにより、気泡の取り込みや結晶欠陥の発生を防止し、育成する結晶サイズを大型にした場合であっても、サファイア単結晶を高い収率で得る方法を提供することを目的とする。
本発明は、坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、サファイア単結晶を所定の回転速度で回転させながら引き上げる、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の製造方法に関する。
特に、本発明のサファイア単結晶の製造方法は、
前記種結晶と前記原料融液の界面のシーディング温度を、前記原料の融点に対して+0.3℃〜+3℃の範囲に制御し、
シーディング直前から育成初期段階までにおいて、
(1)前記原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配を、少なくとも該原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+2℃/cm〜+10℃/cmの範囲に、
(2)前記原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を、少なくとも該中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+3℃/cm〜+15℃/cmの範囲に、
(3)前記種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を−10℃/cm〜−2℃/cmの範囲に、
それぞれ制御し、および、
育成初期段階における引き上げ速度を0.2mm/hr〜5mm/hrに制御する、
ことを特徴としている。
前記種結晶と前記原料融液の界面のシーディング温度を、前記原料の融点に対して+0.3℃〜+3℃の範囲に制御し、
シーディング直前から育成初期段階までにおいて、
(1)前記原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配を、少なくとも該原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+2℃/cm〜+10℃/cmの範囲に、
(2)前記原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を、少なくとも該中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+3℃/cm〜+15℃/cmの範囲に、
(3)前記種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を−10℃/cm〜−2℃/cmの範囲に、
それぞれ制御し、および、
育成初期段階における引き上げ速度を0.2mm/hr〜5mm/hrに制御する、
ことを特徴としている。
なお、育成初期段階における前記サファイア単結晶の回転速度を、0.1rpm〜10rpmに制御することが好ましい。
本発明を実施するためのCz法によるサファイア単結晶育成装置については、その種類が問われることはないが、本発明は、坩堝の周囲に配置したヒータを発熱させる抵抗加熱方式の育成装置を使用したサファイア単結晶の育成に好適に適用される。
具体的には、本発明を実施するにあたっては、炉体内に断熱空間を形成するカーボン製断熱材と、該断熱空間内に配置される前記坩堝と、該坩堝を前記断熱空間内に支持する支持軸と、前記断熱空間内まで伸長し、前記坩堝の上方に育成したサファイア単結晶を引き上げる引き上げ軸と、前記断熱空間内に配置され、前記坩堝の周囲に配置されるカーボン製ヒータとを備える、サファイア単結晶育成装置を用いることが好ましい。
また、前記融液および断熱空間の垂直方向および径方向の温度勾配を制御する手段については、育成装置内の構成部材の形状、配置、構成材料などにより調整するなど、種々の方法がある。本発明では、特に、前記サファイア単結晶育成装置において、前記断熱空間内で坩堝の上方に、引き上げ軸の軸方向に所定間隔をもって配置され、径方向中央部に開口を有する、複数の円輪状の熱反射板からなり、該複数の円輪状の熱反射板の前記開口の開口径が、前記坩堝側から上方に向かうに従って、順次小さくなっている、少なくとも2枚の熱反射板を備える多層型熱反射装置を設けて、この多層型熱反射装置により断熱空間内の輻射光を制御することにより、前記垂直方向および径方向の温度勾配を形成することが好ましい。
また、前記融液内の垂直方向および径方向の温度勾配を制御する手段としては、前記カーボン製ヒータを、前記坩堝の底面を加熱する円盤状ヒータ部と、該坩堝の側面を加熱する円筒状ヒータ部とから構成し、該円盤状ヒータ部の出力に対する該円筒状ヒータ部の出力の比を1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.8となるように調整して、融液内の温度分布、および、これに起因する融液の対流速度を適正にすることにより、前記温度勾配を制御することもできる。
ただし、サファイア単結晶の育成では、高融点、融液の低粘性による融液内対流の不安定さや輻射光の影響により、ヒータの出力比を調整することのみでは、前記融液内の温度勾配を適切な範囲に維持することが困難となる場合も多い。このため、前述した多層型熱反射装置の設置に加えて、ヒータの出力比を調整し、前記垂直方向の温度勾配を制御することが好ましい。
一方、気泡や不純物の発生および取り込みを防止するために、育成中において、カーボン製ヒータから発生する炭素(C)の昇華ガスを含む雰囲気ガスのガス流と、原料融液の直接接触を防止することが好ましい。具体的には、前記坩堝の外周部の上方で、該坩堝の外周部と前記断熱材の内周面との間には、下方からのガス流を前記坩堝内の原料融液に転向させる障害物を設置しないようにする、追加的に、前記坩堝の上端縁に、前記下方からのガス流と、前記原料融液および育成中のサファイア単結晶の肩部側面との接触を防止する手段を設置することが好ましい。
本発明では、シーディング温度、シーディング直前から育成初期段階までにおける、融液の垂直方向および径方向の温度勾配、並びに、引き上げ速度を所定の範囲に制御することにより、サファイア単結晶の先端開き角度θを40°〜150°の範囲に容易に制御することができる。
このように、結晶育成の初期段階である肩部形成時から、サファイア単結晶の成長界面の形状を、適切な下凸状とすることができるため、大型の結晶を育成する場合であっても、特に、育成結晶の上半部における気泡の取り込みやリネージ不良、多結晶化による結晶欠陥の発生を効果的に防止でき、気泡や結晶欠陥のない高品質のサファイア単結晶を収率よく製造することができる。
Cz法によるサファイア単結晶を育成する場合、サファイア単結晶の育成環境が2000℃を超える高温環境であるため、原料融液の熱伝達は輻射光が主体となっており、加えて、原料融液の粘性が低いため、わずかな温度差であっても熱対流が乱れやすく、適切な温度勾配を形成することが困難である。また、断熱空間内の熱伝達も輻射光が主体となるため、均熱化しやすく、断熱材の形状変更などの一般的な手法によって適切な温度勾配を形成することが困難である。
このため、断熱空間内の温度分布が不安定となり、融液の径方向の温度勾配が低くなりやすい。このような環境下では、サファイア単結晶の肩部が形成される育成初期段階において、サファイア単結晶の成長速度が変動しやすく、その制御が困難であり、育成結晶の成長界面の形状が下凹状となり、かつ、そのまま結晶成長が進行する傾向となる。
したがって、気泡の取り込みや結晶欠陥の発生を防止する観点から、肩部が形成される育成初期段階から、育成結晶の先端部である成長界面の形状を、適切な先端開き角度θを有する下凸状に制御することが有利である。
しかしながら、サファイア単結晶の育成、特に、30kgを超える大型のサファイア単結晶の育成においては、シリコン、ヒ化ガリウムまたはリン化ガリウムなどの半導体単結晶の育成と比べて、成長界面の形状を制御することはきわめて困難である。
本発明者らは、このような問題について鋭意研究を重ねた結果、結晶欠陥の発生を抑制し、高い収率でサファイア単結晶を得ることができる、育成初期段階における育成結晶の成長界面の下凸状の先端開き角度θについて知見を得るとともに、シーディング温度、シーディング直前から育成初期段階までにおける原料融液の深さ方向(垂直方向)および径方向の温度勾配、種結晶の垂直方向の温度勾配、並びに、サファイア単結晶の引き上げ速度を適切かつ厳密に制御することにより、30kgを超える大型のサファイア単結晶を育成する場合であっても、育成結晶の成長界面の下凸状の先端開き角度θを適切な範囲とすることができるとの知見を得たのである。
本発明者らは、これらの知見に基づき、サファイア単結晶の育成条件について、シミュレーションとこれに基づく実験を繰り返した結果、大型のサファイア単結晶を育成する場合における、前記育成条件と得られるサファイア単結晶の収率および結晶品質との関係を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
以下、本発明のサファイア単結晶の製造方法について、サファイア単結晶の育成条件、および、その制御手段について詳細に説明をする。
1.サファイア単結晶の育成条件
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、Cz法によるサファイア単結晶の育成に関し、特に、種結晶と原料融液の接触温度であるシーディング温度、シーディング直前から育成初期段階までにおける、原料融液の垂直方向の温度勾配、原料融液表面の径方向の温度勾配、前記種結晶の垂直方向の温度勾配、および、育成初期段階におけるサファイア単結晶の引き上げ速度を所定の範囲に制御することにより、育成結晶の成長界面の下凸状の先端開き角度θをシーディング時および育成初期段階から適切に制御する点に特徴がある。
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、Cz法によるサファイア単結晶の育成に関し、特に、種結晶と原料融液の接触温度であるシーディング温度、シーディング直前から育成初期段階までにおける、原料融液の垂直方向の温度勾配、原料融液表面の径方向の温度勾配、前記種結晶の垂直方向の温度勾配、および、育成初期段階におけるサファイア単結晶の引き上げ速度を所定の範囲に制御することにより、育成結晶の成長界面の下凸状の先端開き角度θをシーディング時および育成初期段階から適切に制御する点に特徴がある。
なお、融液の垂直方向、融液表面の径方向、種結晶の垂直方向における各温度勾配を表す数値は、均一な傾きの温度勾配を形成することを求めるものではなく、形成される温度勾配が変動する場合であっても、上記数値の範囲内にあればよいことを意味する。また、融液の温度勾配は、基本的には、垂直方向あるいは径方向のいずれの方向に関しても、種結晶から離れるに従って、徐々に小さくなる傾向がある。
(先端開き角度)
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、後述するそれぞれの育成条件を適切に制御することにより、30kgを超える大型のサファイア単結晶を育成する場合であっても、シーディング直後から、育成結晶の成長界面の先端開き角度θを40°〜150°、好ましくは60°〜120°、より好ましくは80°〜100°という最適な範囲に制御する点に特徴がある。先端開き角度θをこのような最適な範囲に制御することにより、結晶欠陥が少ない高品質のサファイア単結晶を再現性よく得ることができる。
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、後述するそれぞれの育成条件を適切に制御することにより、30kgを超える大型のサファイア単結晶を育成する場合であっても、シーディング直後から、育成結晶の成長界面の先端開き角度θを40°〜150°、好ましくは60°〜120°、より好ましくは80°〜100°という最適な範囲に制御する点に特徴がある。先端開き角度θをこのような最適な範囲に制御することにより、結晶欠陥が少ない高品質のサファイア単結晶を再現性よく得ることができる。
先端開き角度θが40°未満となる場合は、サファイア単結晶が、融液の深さ方向(垂直方向)へ高速で成長している場合である。このような場合、固化に伴って単位時間あたりに液相(融液)中に放出されるガス成分の量が多くなり、成長界面の先端部は、ガス成分が過飽和となった融液中で成長することとなる。このため、成長界面の先端部近傍では、気泡が発生し、これが結晶中に取り込まれることにより、あるいは、過飽和濃度で結晶中に取り込まれたガス成分の拡散や集積により、空洞として顕在化しやすくなる。加えて、高速成長によって結晶性が悪化し、結晶欠陥の密度も高くなる上、リネージが発生し、さらには、それらの集積による多結晶化も起こりやすくなる。
一方、前記先端部開き角が150°を超える場合は、サファイア単結晶が、径方向へ高速で成長している場合である。この場合も、ガス成分が過飽和となった融液中で、結晶が成長することとなるため、成長界面の先端部近傍では、気泡が発生し、これが結晶中に取り込まれることにより、あるいは、過飽和濃度で結晶中に取り込まれたガス成分の拡散や集積により、結晶表面付近(いわゆる、結晶肩部)の気泡密度が高くなったり、空洞として顕在化しやすくなったりする。このように結晶肩部の気泡密度が高くなると、その部分で輻射光が散乱され、結晶内部の温度差が小さくなるため、種結晶を介して放散する固化潜熱の量が減少し、結晶肩部表面から放散される固化潜熱の量が増加する。さらに、坩堝外周部から中心部に向かって流れる融液が育成結晶の直下で、正面衝突に近い角度で衝突するため、この部分での融液の流れ、すなわち対流に乱れが生じる。これらの結果として、成長界面は下凹状に変化し、一層気泡が取り込まれやすくなるばかりでなく、リネージの集積による多結晶化が起こりやすくなる。
(シーディング温度)
本発明において、シーディング温度は、種結晶を原料融液に接触させるシーディング時における、種結晶と原料融液との接触温度を意味する。実際には、シーディング直前における融液表面の温度を測定することで得られる。本発明では、このシーディング温度を、原料であるサファイアの融点に対して+0.3℃〜+3℃の範囲、好ましくは+1.0℃〜+2.5℃の範囲に制御する。
本発明において、シーディング温度は、種結晶を原料融液に接触させるシーディング時における、種結晶と原料融液との接触温度を意味する。実際には、シーディング直前における融液表面の温度を測定することで得られる。本発明では、このシーディング温度を、原料であるサファイアの融点に対して+0.3℃〜+3℃の範囲、好ましくは+1.0℃〜+2.5℃の範囲に制御する。
なお、サファイアの融点は、通常2040℃とされるが、2030℃〜2050℃の範囲でさまざまな報告がある。したがって、原料融液および種結晶の原料について、その融点の正確な情報を得るか、あるいは、その融点を公知の手段により、正確に測定しておく必要がある。
前記シーディング温度が原料融液の融点に対して+0.3℃未満では、シーディング直後から育成結晶が径方向に急速に成長するため、種結晶直下の育成結晶から、多結晶化などの結晶欠陥が生じてしまう。一方、シーディング温度が原料融液の融点に対して+3℃を超えると、種結晶の大部分の領域が融点を越えた温度となり、種結晶が融解してしまうため、サファイア単結晶を育成することができなくなる。
(垂直方向の温度勾配)
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配は、少なくとも該原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+2℃/cm〜+10℃/cmの範囲、好ましくは+3℃/cm〜+8℃/cmの範囲に制御する。
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配は、少なくとも該原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+2℃/cm〜+10℃/cmの範囲、好ましくは+3℃/cm〜+8℃/cmの範囲に制御する。
前記垂直方向の温度勾配が+2℃/cm未満では、温度勾配が小さすぎて、シーディング直後から坩堝下方へ向けての急速な結晶成長が生じる。この場合、成長界面の先端開き角度θが40°未満と急峻になり、成長界面の先端部での成長速度が速く、単位時間あたりに結晶界面に吐き出されるガス成分の量が多くなるため、成長界面の先端部において、育成結晶中に気泡が取り込まれやすくなる。また、結晶欠陥の密度も高くなるため、多結晶化しやすくなる。さらに、目標とする育成重量に到達する前に、先端部が坩堝の底面に接触し、結晶育成を継続することができなくなる場合がある。これらの問題が生じない場合でも、加工後のサファイア単結晶基板は、基板面内での成長時期が異なるため、不純物濃度などの特性の面内均一性が劣ったものとなる。
一方、前記垂直方向の温度勾配が+10℃/cmよりも大きくなると、育成結晶は融液表面から下方に向かった成長が起こりにくくなり、融液表面付近での径方向に結晶径が急速に拡大するように育成結晶が成長し、成長界面の先端開き角度θが150°を超えてしまい、成長界面の形状が下凸状から凹状形状に変化し、気泡の取り込み、リネージの集積による粒界発生率が高くなり、結晶品質および収率が悪化することとなる。さらには、育成結晶中の垂直方向の温度差も大きくなり、熱歪が発生し、育成結晶が割れてしまう可能性が高くなる。
(径方向の温度勾配)
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を、少なくとも該中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+3℃/cm〜+15℃/cmの範囲、好ましくは+5℃/cm〜+10℃/cmの範囲に制御する。
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を、少なくとも該中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+3℃/cm〜+15℃/cmの範囲、好ましくは+5℃/cm〜+10℃/cmの範囲に制御する。
前記径方向の温度勾配が+3℃/cm未満では、前記垂直方向の温度勾配が+10℃/cmよりも大きい場合と同様に、径方向の結晶成長が優勢になり、先端開き角度θが150°を超えて、成長界面の形状が下凹状になりやすく、気泡密度や粒界発生率が高くなり、結晶性および収率の低下の原因となる。
一方、前記径方向の温度勾配が+15℃/cmを超えると、育成初期段階における肩育成時において径方向への成長が進まず、垂直方向の結晶成長が優勢となる。このため、前記垂直方向の温度勾配が+3℃/cm未満の場合と同様に、成長界面の先端部開き角θが鋭角すぎる状態となり、気泡密度や結晶欠陥密度が高くなる、あるいは、成長界面の先端部が坩堝底に接触し、サファイア単結晶の育成を継続することができなくなる場合がある。さらには、育成結晶中の径方向の温度差も大きくなり、熱歪が発生し、育成結晶が割れてしまう可能性が高くなる。
(種結晶の温度勾配)
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配は−10℃/cm〜−2℃/cmの範囲、好ましくは−8℃/cm〜−4℃/cmの範囲に制御する。
本発明では、シーディング直前から育成初期段階までにおいて、種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配は−10℃/cm〜−2℃/cmの範囲、好ましくは−8℃/cm〜−4℃/cmの範囲に制御する。
前記種結晶の温度勾配が−10℃/cm未満では、種結晶を介して放散する固化潜熱の量が多すぎるため、径方向への結晶成長が進まず、垂直方向への結晶成長が優勢となる。このため、成長界面の先端部開が鋭角となり、気泡密度や結晶欠陥密度が高くなり、あるいは、成長界面の先端部が坩堝底に接触し、サファイア単結晶の育成を継続することができなくなる場合がある。
一方、前記種結晶の温度勾配が−2℃/cmを超えると、種結晶を介して放散する固化潜熱の量が少なすぎるため、成長界面の形状が下凹状になりやすく、気泡密度や粒界発生率が高くなり、結晶性および収率の低下の原因となる。
(サファイア単結晶の引き上げ速度)
上述のようにシーディング温度および前記それぞれの温度勾配を制御することにより、結晶欠陥の発生を抑制することができるが、サファイア単結晶の引き上げ速度が不適切であると、育成結晶の成長界面の形状を、図1に示されるような下凸状に維持することが困難となったり、育成結晶と原料融液が切り離されてしまったりする場合がある。
上述のようにシーディング温度および前記それぞれの温度勾配を制御することにより、結晶欠陥の発生を抑制することができるが、サファイア単結晶の引き上げ速度が不適切であると、育成結晶の成長界面の形状を、図1に示されるような下凸状に維持することが困難となったり、育成結晶と原料融液が切り離されてしまったりする場合がある。
このため、本発明では、シーディング温度および前記それぞれの温度勾配を適切に制御するとともに、育成初期段階におけるサファイア単結晶の引き上げ速度を0.2mm/hr〜5mm/hrの範囲、好ましくは0.5mm/hr〜3mm/hrの範囲に制御する。
引き上げ速度が0.2mm/hr未満では、結成成長を進行させるために、円盤状ヒータ部および円筒状ヒータ部の出力を下げて、原料融液の温度を降下させた場合、雰囲気ガスに曝されて、固化潜熱が最も逃げやすい融液表面に沿う方向、すなわち、径方向に成長しやすくなる。このため、種結晶を介して放散する固化潜熱の量よりも、径方向に成長した結晶表面(肩部)から、その上方の断熱空間へ放散する固化潜熱の量が一層多くなる。この結果、成長界面の形状は下凸状とはならず、固化潜熱の流れに対応した形状、すなわち、結晶の肩部周辺から下方向へ優先的に成長した下凹状となり、リネージの形成や多結晶化などの結晶欠陥の発生率が高くなる。
一方、引き上げ速度が5mm/hrを超えると、相対的に、成長界面の前進速度が速くなることに起因して、種結晶を介して放散する固化潜熱の量が少なくなり、次第に育成結晶の外径が減少し、最後には、育成結晶が原料融液から切り離されてしまい、育成を継続することができなくなる。
なお、坩堝内径と育成結晶径との比にもよるが、肩部が形成された後の直胴部育成段階から育成終了段階においては、単位時間当たりの固化量が、育成初期段階と比較して非常に大きく、融液表面の位置の降下速度も速くなるため、前記引き上げ速度を育成初期段階よりも小さな値、具体的には、0.1mm/hr〜2mm/hr程度とすることが好ましく、0.2mm/hr〜1mm/hr程度とすることがより好ましい。
(サファイア単結晶の回転速度)
引き上げ軸に対する、原料融液の温度分布の非対称性を緩和するため、引き上げ法では、育成中に引き上げ軸を回転させ、これにより単結晶を回転させることが一般的である。
引き上げ軸に対する、原料融液の温度分布の非対称性を緩和するため、引き上げ法では、育成中に引き上げ軸を回転させ、これにより単結晶を回転させることが一般的である。
育成初期段階におけるサファイア単結晶の回転速度は、好ましくは0.1rpm〜10rpm、より好ましくは0.5rpm〜5rpmとする。サファイア単結晶の回転速度は、融液内の対流に影響を与えるために、それに伴って、融液内の垂直方向および径方向の温度勾配にも影響を与えることとなる。このため、上記範囲内に制御することが好ましい。引き上げ軸の回転速度が0.1rpm未満では、温度分布の非対称性緩和効果が不十分であり、10rpmを超えると結融液内対流に対する影響が大き過ぎて必要な温度勾配が形成し難くなるという問題が生じる。
(2)育成条件の制御手段
本発明では、サファイア単結晶の育成条件を、上述した範囲に制御することができる限り、その手段は問わないが、サファイア単結晶の特性を考慮すれば、後述する手段によりそれぞれの育成条件を制御することが好ましい。以下、この制御手段について詳細に説明する。
本発明では、サファイア単結晶の育成条件を、上述した範囲に制御することができる限り、その手段は問わないが、サファイア単結晶の特性を考慮すれば、後述する手段によりそれぞれの育成条件を制御することが好ましい。以下、この制御手段について詳細に説明する。
(シーディング温度および融液表面の径方向の温度勾配の測定方法)
シーディング温度および融液表面の径方向の温度勾配を適切に制御するためには、原料融液の温度を正確に測定することが必要となる。しかしながら、サファイア単結晶の原料融液の温度は、2000℃以上の高温となるため、熱電対などにより直接的に測定することは困難である。このため、以下に説明する方法により、原料融液の温度を測定することが好ましい。なお、いずれの方法を用いる場合であっても、原料融液の温度を1点のみで測定するのではなく、2点以上で測定することがより好ましい。この場合、温度測定方法としては、単一の方法ではなく、複数の方法を組み合わせてもよい。
シーディング温度および融液表面の径方向の温度勾配を適切に制御するためには、原料融液の温度を正確に測定することが必要となる。しかしながら、サファイア単結晶の原料融液の温度は、2000℃以上の高温となるため、熱電対などにより直接的に測定することは困難である。このため、以下に説明する方法により、原料融液の温度を測定することが好ましい。なお、いずれの方法を用いる場合であっても、原料融液の温度を1点のみで測定するのではなく、2点以上で測定することがより好ましい。この場合、温度測定方法としては、単一の方法ではなく、複数の方法を組み合わせてもよい。
第1の測定方法としては、シーディングを行う融液表面の中央部の温度を、放射温度計などの非接触型温度計を用いて、直接的に測定する方法が挙げられる。ただし、融液表面温度の測定では、融液表面に観察される融液内の熱対流に起因して現れるスポークパターンの影響により、測定値が±3℃〜±5℃程度の振幅を持つため、一定時間内の測定により得られた測定値に対して、リアルタイムで平均化処理を施すことによって、融液表面の温度を算出する必要がある。
第2の測定方法としては、予備試験により、融液表面の直上に配置された種結晶の表面が熱エッチングされる温度を測定し、この温度を基準として、シーディング温度を相対的に決定する方法が挙げられる。なお、種結晶が熱エッチングされる温度は、坩堝底部の外表面の温度、融液表面に最も近い位置に配置した熱反射板の表面温度または断熱材の内部温度などを、熱電対または非接触型温度計を用いて測定し、この測定温度に基づいて相対的に決定することができる。また、この測定方法により、2000℃以上の高温部を、熱電対を用いて測定する場合は、高温耐久性に優れたタングステン・レニウム(W/Re)熱電対を用いることが好ましい。
(融液の垂直方向の温度勾配の決定および確認)
融液内の温度を直接測定することは現実的ではない。したがって、融液の垂直方向の温度勾配は、非接触型温度計により測定した原料融液の表面温度と、熱電対により測定した坩堝の底部温度より、融液表面から坩堝底までの温度勾配を算出して、決定される。また、融液の垂直方向の温度勾配は、育成後に、それぞれの測定結果および育成条件に応じて、コンピュータシミュレーションにより確認することが可能である。
融液内の温度を直接測定することは現実的ではない。したがって、融液の垂直方向の温度勾配は、非接触型温度計により測定した原料融液の表面温度と、熱電対により測定した坩堝の底部温度より、融液表面から坩堝底までの温度勾配を算出して、決定される。また、融液の垂直方向の温度勾配は、育成後に、それぞれの測定結果および育成条件に応じて、コンピュータシミュレーションにより確認することが可能である。
(シーディング温度およびそれぞれの温度勾配の制御手段)
シーディング温度、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配、並びに、種結晶の温度勾配を制御するためには、炉内における断熱材やカーボン製ヒータの配置、坩堝の上方の断熱空間の形状および大きさなどを適切に調整する手段や、断熱材の材質などを適切に選択する手段が考えられる。ただし、上述したように、サファイア単結晶の育成においては、輻射光が熱伝達手段と主体となるため、これらの調整のみでは、適切な温度勾配を形成することは困難である。
シーディング温度、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配、並びに、種結晶の温度勾配を制御するためには、炉内における断熱材やカーボン製ヒータの配置、坩堝の上方の断熱空間の形状および大きさなどを適切に調整する手段や、断熱材の材質などを適切に選択する手段が考えられる。ただし、上述したように、サファイア単結晶の育成においては、輻射光が熱伝達手段と主体となるため、これらの調整のみでは、適切な温度勾配を形成することは困難である。
このため、本発明において、上述したようなシーディング温度および各温度勾配を適切な範囲に制御するためには、少なくとも1枚以上の熱反射板を設置する方法や、これに加えて、坩堝の底面を加熱する円盤状ヒータ部に対する、坩堝の側面を加熱する円筒状ヒータ部の出力比を制御する方法を採ることが好ましい。
以下、これらの各方法について、詳細に説明をする。
a)多層型熱反射装置
熱反射装置により、シーディング温度、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配、並びに、種結晶の温度勾配を制御する場合、この熱反射装置の構造を、引き上げ軸と同軸上に配置され、少なくとも2枚以上の円輪状の熱反射板を備えたものとすることが好ましい。具体的には、図2に示すように、それぞれの熱反射板を、径方向中央部に開口を有する円輪状とし、その外周部を貫通し、これらの熱反射板を保持する保持部材である支柱に、所定間隔をもって取り付けるようにする。そして、それぞれの熱反射板を、それぞれの開口径が融液側から上方に向かって順次小さくなるように、換言すると、これらの複数の熱反射板の開口部により構成される空間が、凸状円錐形状(軸方向断面において凸状)となるように、多層の熱反射板を構成および配置する。
熱反射装置により、シーディング温度、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配、並びに、種結晶の温度勾配を制御する場合、この熱反射装置の構造を、引き上げ軸と同軸上に配置され、少なくとも2枚以上の円輪状の熱反射板を備えたものとすることが好ましい。具体的には、図2に示すように、それぞれの熱反射板を、径方向中央部に開口を有する円輪状とし、その外周部を貫通し、これらの熱反射板を保持する保持部材である支柱に、所定間隔をもって取り付けるようにする。そして、それぞれの熱反射板を、それぞれの開口径が融液側から上方に向かって順次小さくなるように、換言すると、これらの複数の熱反射板の開口部により構成される空間が、凸状円錐形状(軸方向断面において凸状)となるように、多層の熱反射板を構成および配置する。
それぞれの熱反射板の間隔および開口径は、育成するサファイア単結晶の直径、坩堝の内径、融液表面と熱反射板の距離、あるいは、断熱空間の形状および寸法などを総合的に考慮して、決定する。
このような複数の熱反射板からなる多層型熱反射装置を設置することにより、原料融液からの輻射光を利用して、シーディング温度およびそれぞれの温度勾配を適切なものとすることができる。具体的には、上方に熱反射板が存在する原料融液の外周部では、輻射光の作用により相対的に原料融液の温度が高温化させることができ、上方に熱反射板が存在しない中央部では、相対的に原料融液の温度を低下させることができる。
なお、本発明者によるシミュレーションと検証実験の結果によれば、原料融液の表面近傍の温度勾配を十分に大きくし、かつ、温度勾配が必要以上に大きくなりすぎないように、適切に調整することを可能とするためには、それぞれ開口径の異なる、少なくとも2枚の熱反射板を適切な位置に配置することが好ましい。なお、坩堝上方の断熱空間のサイズに制限されるものの、設置する熱反射板の数を多くすればするほど、温度勾配を適切に制御することが可能となる。また、それぞれ開口径が融液側から上方に向かって順次小さくなる構成とする方が、同一の開口径とするより効果的である。したがって、製造コストや取扱いの容易性などを勘案しながら、それぞれの熱反射板の形状および枚数が適宜決定される。
また、複数の熱反射板の開口部により構成される凸状円錐形状の空間の母線(断面において、最下部から最上部までの熱反射板の内周縁を結んだ線)は、直線に限られることはなく、融液方向に凸となる2次曲線(凸状円錐形状が火山体のような形状となる)も含まれる。また、複数の熱反射板の開口部により構成される空間が半球状となる(その母線が外側方向に凸となる2次曲線となる)場合も含まれる。
なお、熱反射板は、その円輪部を水平方向(径方向)に伸長させる。すなわち、原料融液の表面に対して平行に伸長させる構成とすることが好ましく、坩堝上端もしくは熱反射板の外周部に、該坩堝の内径と同程度の内径を有する円筒を設置することがより好ましい。このような構成を有する場合、坩堝の周囲を上昇する炭素(C)蒸気を含んだ雰囲気ガスのガス流が、坩堝の内壁や原料融液に直接接触することが防止される。さらに、このような構成では、融液表面の近傍に高温のガス流が流れ込まないため、融液表面およびその近傍の温度勾配に対するガス流の影響を最小限に抑えることができる。
また、熱反射装置(熱反射板)およびその支持部材、並びに、前記円筒を形成する部材は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)またはこれらの合金や炭化物、あるいはタンタル(Ta)、グラファイト(C)など、2000℃以上の高温環境下においても容易に変形しない材料を用いることが好ましい。
さらに、これらの熱反射板の設置枚数や配置は、使用する結晶育成装置のヒータ出力、断熱材の材質および厚さなどを総合的に判断して、所望の温度勾配を形成することができるように設計されるべきものであるが、予めシミュレーションにより得られたデータに基づいて設計することが好ましい。
b)ヒータ出力の調整
本発明では、図2および図3に示すように、坩堝1を加熱するカーボン製ヒータを、該坩堝1の底面を加熱する円盤状ヒータ部3と、該坩堝1の側面を加熱する円筒状ヒータ部4とから構成し、該円盤状ヒータ部3の出力W1に対する、該円筒状ヒータ部4の出力W2の比(以下、「ヒータ出力比」という)を所定の範囲に調整することにより、前記原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配を制御することもできる。具体的には、このヒータ出力比(W2/W1)を1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.8、より好ましくは1.4〜1.6となるように調整して、原料融液下部と表面近傍の温度を制御し、融液内の熱対流速度を調整することで、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配を適切な範囲に制御することができる。
本発明では、図2および図3に示すように、坩堝1を加熱するカーボン製ヒータを、該坩堝1の底面を加熱する円盤状ヒータ部3と、該坩堝1の側面を加熱する円筒状ヒータ部4とから構成し、該円盤状ヒータ部3の出力W1に対する、該円筒状ヒータ部4の出力W2の比(以下、「ヒータ出力比」という)を所定の範囲に調整することにより、前記原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配を制御することもできる。具体的には、このヒータ出力比(W2/W1)を1.2〜2.0、好ましくは1.3〜1.8、より好ましくは1.4〜1.6となるように調整して、原料融液下部と表面近傍の温度を制御し、融液内の熱対流速度を調整することで、原料融液の垂直方向および径方向の温度勾配を適切な範囲に制御することができる。
前記出力比(W2/W1)が1.2未満では、前記円筒状ヒータ部4の出力(W2)に対して、前記円盤状ヒータ部3の出力(W1)が大きすぎるため、原料融液下部と表面近傍の温度差(密度差)が大きくなり、これに起因する原料融液の熱対流速度が所望の値よりも速くなる。このため、最も高温である坩堝下部の外周付近から、坩堝内壁に沿って高速で上昇した融液は、その表面近傍に到達した後に、該表面に沿って、融液表面中心部に向かう高速の流れとなる。このような高速の流れが生じた場合、原料融液は、十分に冷却されずに中心部に到達するため、融液の外周部と中心部の温度差、すなわち、径方向の温度勾配が小さくなる。また、中心部で衝突した原料融液は、高速で坩堝下部へ向かう流れを形成するため、同様に、融液の深さ方向の温度勾配も小さくなる。このような温度勾配が小さい環境では、僅かな温度変化で融液内の対流にもゆらぎが生じ、それに伴って、融液内の温度分布および温度勾配も変化するため、育成結晶の成長速度も大きく変動することとなる。この結果、成長界面の形状のみならず、サファイア単結晶の育成速度自体の制御も困難となり、サファイア単結晶の急成長が生じ、育成結晶中の気泡密度、転移、リネージなどの結晶欠陥密度が高くなり、結晶品質や収率が悪化することとなる。
一方、前記出力比(W2/W1)が2.0を超える場合、前記円盤状ヒータ部3の出力(W1)に対して、前記円筒状ヒータ部4の出力(W2)が大きすぎるために、原料融液内の上下方向温度差が所望の値よりも小さくなってしまう。そのため、融液内に十分な大きさの温度勾配を形成できずに、同様に、育成結晶の成長速度の制御や界面形状の制御が困難となる。このため、育成結晶中の気泡密度、転位、リネージなどの結晶欠陥密度が高くなり、収率および収量が低下する。
なお、本発明では、上記したように、円盤状ヒータ部3および円筒状ヒータ部4の出力を調整することにより、融液内の径方向および垂直方向の温度勾配を制御することもできるが、サファイア単結晶の育成においては、その融点の高さや、融液の低粘性および輻射光などの影響により、これらのみによって、適正な温度勾配を形成し、維持することが困難な場合も多い。また、ヒータ出力比の調整のみでは、エネルギ損失が大きくなる場合もあり、生産コストが高騰する要因となる。このため、前述した多層型熱反射装置と組み合わせて、それぞれのヒータの出力を調整し、原料融液の表面近傍における径方向および垂直方向の温度勾配を形成し、維持することが好ましい。
(サファイア単結晶の製造装置)
本発明を実施するための製造装置については、基本的には、従来のCz法によるサファイア単結晶の製造装置と同様の基本構造を備えていればよい。ただし、多層型熱反射装置による温度勾配の制御を行う場合には、坩堝上方における断熱空間の体積をその構造に応じて増加させるなどの必要が生じる。
本発明を実施するための製造装置については、基本的には、従来のCz法によるサファイア単結晶の製造装置と同様の基本構造を備えていればよい。ただし、多層型熱反射装置による温度勾配の制御を行う場合には、坩堝上方における断熱空間の体積をその構造に応じて増加させるなどの必要が生じる。
また、熱反射板などの原料融液の径方向および垂直方向の温度勾配を制御する手段のほか、断熱空間内の雰囲気ガス中の炭素(C)蒸気の存在に起因して生じる原料融液の汚染や気泡の発生を防止する観点から、雰囲気ガス流と、坩堝内壁および原料融液との接触を防止する手段を備えることが好ましい。
このほか、図2に示すように、育成中の断熱空間14内の状況を確認するため、炉体7上部から断熱空間14に貫通し、該断熱空間14内の状況を観察可能な観察窓22a、22bを形成してもよい。このような観察窓22a、22bを介して、放射温度計などの非接触型温度計23により原料融液10の表面温度や熱反射板13の表面温度を測定したり、あるいは、ビデオカメラ24により撮影した炉内の状況を外部のモニタ(図示せず)に映し出したりすることにより得られる情報を、シーディング温度や各温度勾配などの育成条件の制御のためのデータとして活用することができる。たとえば、ビデオカメラ24による映像は、温度が高いところは明るく、低いところは暗く映し出されるため、シード(種結晶)11と原料融液10の明暗差(コントラスト)により、これらの温度差を判断し、育成条件の制御のためのデータとして活用することができる。なお、ビデオカメラ24により炉内の状況を観察する場合には、該ビデオカメラに遮光フィルタ25を取り付けることが好ましい。
また、必要に応じて、支持軸2に形成した貫通孔27を介して、坩堝1の底部温度を測定してもよい。この場合の温度測定手段として、図2に示すように熱電対26を使用する手段のほか、放射温度計などの非接触型温度計を使用することもできる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例により得られたサファイア単結晶およびサファイア単結晶基板の結晶性については、次の方法により評価した。また、これらの評価に基づき、結晶欠陥が存在せず、結晶性が特に優れているものを「優」、結晶欠陥がほとんど存在せず、結晶性が良好であるものを「良」、結晶欠陥がわずかかに存在するものの、結晶性が実用上差支えないレベルであるものを「可」、結晶欠陥が多数発見されたものを「不可」と判断した。
(1)偏光検査
育成後のサファイア単結晶の結晶欠陥の有無については、該サファイア単結晶をヨウ化メチレンに浸して、白色光源を照射し、観察することにより評価した。
育成後のサファイア単結晶の結晶欠陥の有無については、該サファイア単結晶をヨウ化メチレンに浸して、白色光源を照射し、観察することにより評価した。
(2)X線トポグラフ
育成後のサファイア単結晶の結晶欠陥の分布については、大試料ラングカメラ(株式会社リガク製、LGL−8)を用いて観察することにより評価した。なお、以下の実施例および比較例では、得られたサファイア単結晶の縦切り試料観察において、使用した装置の試料ホルダの大きさの制約により、サファイア単結晶を育成方向で上下に2分割して行った。
育成後のサファイア単結晶の結晶欠陥の分布については、大試料ラングカメラ(株式会社リガク製、LGL−8)を用いて観察することにより評価した。なお、以下の実施例および比較例では、得られたサファイア単結晶の縦切り試料観察において、使用した装置の試料ホルダの大きさの制約により、サファイア単結晶を育成方向で上下に2分割して行った。
また、このサファイア単結晶より得られた基板の結晶欠陥についても同様に、大試料ラングカメラを用いて観察することにより評価した。
(3)X線回折装置
サファイア単結晶基板の半値幅(FWHM)については、X線回折装置(パナリティカル社製、高精度X線回折装置 X‘Part)用いて測定した。
サファイア単結晶基板の半値幅(FWHM)については、X線回折装置(パナリティカル社製、高精度X線回折装置 X‘Part)用いて測定した。
(4)ICP発光分析
得られたサファイア単結晶基板のうち、結晶中心部近傍の基板および結晶外周部の基板に対して、ICP発光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、SPS3520UV)、およびICP質量分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、Agilent7500CS)を用いて、該基板に含まれるモリブデン(Mo)などの炉内構成部材の濃度を測定した。
得られたサファイア単結晶基板のうち、結晶中心部近傍の基板および結晶外周部の基板に対して、ICP発光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、SPS3520UV)、およびICP質量分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、Agilent7500CS)を用いて、該基板に含まれるモリブデン(Mo)などの炉内構成部材の濃度を測定した。
(5)表面平坦度
得られたサファイア単結晶基板の表面平坦度については、光学式表面平坦度測定器(株式会社ニデック製、フタットネステスター FT−900)を用いて評価した。
得られたサファイア単結晶基板の表面平坦度については、光学式表面平坦度測定器(株式会社ニデック製、フタットネステスター FT−900)を用いて評価した。
(実施例1)
図2に示すような多層型熱反射装置13を設置した単結晶育成装置(基本構造は図3と同様)を使用し、育成方位をa軸方向として、サファイア単結晶の育成を行った。なお、この単結晶育成装置には、炉体7の上部に形成した観察窓22aを介して原料融液表面温度を測定するための放射温度計23と、同様に炉体7の上部に形成した観察窓22bを介して育成中の炉内を観察するための、遮光フィルタ25が取り付けられたビデオカメラ24が設置されている。このビデオカメラ24による映像は、炉外に設置したモニタ(図示せず)により、リアルタイムで確認できるように構成されている。また、坩堝1の底部温度を測定するため、熱電対26が、支持軸2に形成した貫通孔27に挿通されている。
図2に示すような多層型熱反射装置13を設置した単結晶育成装置(基本構造は図3と同様)を使用し、育成方位をa軸方向として、サファイア単結晶の育成を行った。なお、この単結晶育成装置には、炉体7の上部に形成した観察窓22aを介して原料融液表面温度を測定するための放射温度計23と、同様に炉体7の上部に形成した観察窓22bを介して育成中の炉内を観察するための、遮光フィルタ25が取り付けられたビデオカメラ24が設置されている。このビデオカメラ24による映像は、炉外に設置したモニタ(図示せず)により、リアルタイムで確認できるように構成されている。また、坩堝1の底部温度を測定するため、熱電対26が、支持軸2に形成した貫通孔27に挿通されている。
初めに、原料として、純度4N、質量120kgの多結晶酸化アルミニウム(Al2O3)を坩堝(内径:400mmφ)に充填し、この坩堝を結晶育成装置の支持軸2上に載置した。また、モリブデン(Mo)製の引き上げ軸の先端部に、Mo製のホルダを介して種結晶を保持した。
その後、炉内の雰囲気をArガス雰囲気とした後、カーボン製の円盤状ヒータ部および円筒状ヒータ部により原料を2050℃以上に加熱し、融解した。原料が完全に融解したことをモニタと、放射温度計および熱電対の測定温度により確認した後、放射温度計を用いて融液表面の中心部の温度(シーディング温度)を測定し、この温度が、酸化アルミニウムの融点よりも2℃高い温度となるように調整した。同時に、放射温度計により測定した原料融液の表面温度と、熱電対により測定した坩堝の底部温度より、融液表面から坩堝底までの温度勾配を算出し、この温度勾配が+8℃/cmとなるように、円盤状ヒータ部の出力(W1)と円筒状ヒータ部の出力(W2)を調整するとともに、これらのヒータの出力比(W2/W1)が1.45となるように調整した。この状態で、十分に放置し、原料融液の温度を安定させた後、該原料融液の中心部から外周部まで距離の2/3の位置における原料融液の温度を、放射温度計を用いて測定し、この位置での温度と前記中心部の温度との差から、融液表面の径方向の温度勾配を求めたところ、+7℃/cmであった。
次に、種結晶が先端に取り付けられた引き上げ軸を5rpmで回転させた状態で下降させ、種結晶先端部が融液表面から5mm上となった位置で停止した。種結晶および引き上げ軸の温度が周囲に十分馴染むまで放置した後、種結晶先端部とホルダの温度を、前記放射温度計を用いて測定したところ、種結晶の原料融液側から上方に向かう方向における垂直方向の温度勾配は、−5℃/cmであった。
その後、種結晶をさらに降下させて、融液表面と接触させ、シーディングを実施した。種結晶先端部が原料融液と馴染んだことをモニタで確認した後、引き上げ速度を2mm/hr、回転速度を5rpmとして、引き上げ(育成)を開始した。
なお、コンピュータシミュレーションにより、上述の条件で、原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配を算出したところ、原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+3℃/cm〜+10℃/cmの範囲にあった。また、同様に、原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を算出したところ、中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+5℃/cm〜+8℃/cmの範囲にあった。さらに、種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を算出したところ、−7℃/cm〜−3℃/cmの範囲にあった。これらの値は、前記した育成時の実測値とほぼ一致していた。
なお、実施例1では、結晶育成に先立ち、育成初期段階の肩部形成時における先端開き角度θを確認するため、上記育成条件の下で予備試験を実施した。具体的には、上記育成条件の下で、結晶径が30φ、50φ、100φおよび200φとなるまで、それぞれ結晶育成を実施した。前記所定の結晶径まで成長した育成結晶は、原料融液から高速で引き抜くことにより、該原料融液から切り離した後、室温まで冷却し、このときの育成結晶先端部の形状(界面形状)を成長界面の形状として観察した。なお、各結晶径における結晶育成は、直前の結晶育成で得られた結晶質量分の原料を坩堝内に補充し、すべての結晶径の結晶育成において、育成開始時の原料融液の量が120kgとなるように調整した上で行った。この結果、育成により得られたサファイア単結晶の、切り離し時の界面形状の先端部開き角は、いずれの段階においても80°〜100°の範囲にあり、理想的な界面形状で、育成初期段階の結晶成長が進行していることを確認した。
この予備試験の結果を基づき、目標とする結晶径を有するサファイア単結晶の育成を実施した。なお、育成初期段階の肩部形成時における育成条件は上述の通りであるが、肩部形成後の直胴部育成段階では、引き上げ速度を1mm/hrとした。この結果、85kg(結晶径:300mm、全長:380mm)のサファイア単結晶が得られた。
その後、このサファイア単結晶に対して偏光検査を行った結果、粒界のない単結晶であること、および、ボイド欠陥は、育成開始直後にわずかに存在しているだけで、直胴部には全く存在しない高品質の単結晶であることを確認した。
また、育成に使用した種結晶の表面を観察した結果、原料融液との接触近傍下端部は熱エッチングされているものの、ホルダ部近傍の上部は熱エッチングされていないことが確認された。このことから、種結晶の垂直方向の温度勾配も適切な範囲に制御されていたことが理解される。
さらに、得られたサファイア単結晶から、引き上げ軸と平行方向であって引き上げ軸を含むc面で切り出した試料(縦切り試料)を作製し、X線トポグラフにより結晶欠陥の分布について観察を行った。この結果、上述の偏光観察の結果と同様に、ボイド欠陥は、育成結晶の上半部にわずかに存在するのみであることが確認された。また、縦切り試料の全領域において、リネージの発生がないことも確認された。
また、実施例1では、同一条件の下で、85kg(結晶径:300mm、全長:380mm)のサファイア単結晶を別途育成した。得られたサファイア単結晶の下半部と上半部から、c軸6inφのインゴットを2本打ち抜き、それぞれのインゴットからワイヤソーにより基板状に切り出した試料を研磨加工することにより、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を得た。
得られた基板から10枚おきにサンプリングして、前記と同様に、X線トポグラフ観察を行ったところ、すべての基板でリネージは観察されなかった。また、X線回折装置を用いて、これらの基板の半値幅(FWHM値)の測定を行った結果、すべての基板のFWHM値が6″±2″の範囲にあり、育成結晶全体にわたって、非常に優れた結晶性を有していることが確認された。さらに、得られた基板の中から、結晶中心部に相当する基板と、結晶外周部に近い基板をサンプリングして、ICP発光分析およびICP質量分析を行ったところ、モリブデン(Mo)などの不純物の濃度が検出下限(1ppm)以下であることが確認された。
育成結晶の下半部から得られた6inφ基板は173枚であったが、加工工程の最終検査において全数検査を実施したところ、結晶欠陥に起因して不良と判定された基板は0枚であった。一方、育成結晶の上半部から得られた6inφ基板は155枚であったが、同様に不良と判定された基板は4枚であった。これらの結果より、育成結晶の下半部と上半部を合わせた全体での収率は99%と、非常に高いものであった。
(実施例2)
肩部育成時の引き上げ速度を0.2mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を0.2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
肩部育成時の引き上げ速度を0.2mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を0.2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を325枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(実施例3)
肩部育成時の引き上げ速度を5mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
肩部育成時の引き上げ速度を5mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を330枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(実施例4)
ヒータ出力比(W2/W1)を1.20とした以外は、実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
ヒータ出力比(W2/W1)を1.20とした以外は、実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を322枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(実施例5)
ヒータ出力比(W2/W1)を2.0とした以外は、実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
ヒータ出力比(W2/W1)を2.0とした以外は、実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、粒界、リネージ不良、多結晶化などの結晶欠陥および気泡はほとんど見つからなかった。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を333枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(比較例1)
肩部育成時の引き上げ速度を6mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、ボイド、リネージなどの結晶欠陥が多数確認された。結晶欠陥は、種結晶直下および肩部での密度が特に高かった。また、X線トポグラフによる観察で判明したボイドの分布形状から育成初期段階において成長界面が下凸状となっていないことが観察された。
肩部育成時の引き上げ速度を6mm/hr、直胴部育成段階の引き上げ速度を2mm/hrとしたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、ボイド、リネージなどの結晶欠陥が多数確認された。結晶欠陥は、種結晶直下および肩部での密度が特に高かった。また、X線トポグラフによる観察で判明したボイドの分布形状から育成初期段階において成長界面が下凸状となっていないことが観察された。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を325枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(比較例2)
シーディング温度をサファイアの融点としたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、種結晶直下から多結晶化による結晶欠陥が存在しており、他にもボイド、リネージなどの結晶欠陥が多数確認された。また、X線トポグラフによる観察では、育成初期段階において成長界面が下凸状となっていないことが観察された。
シーディング温度をサファイアの融点としたこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、種結晶直下から多結晶化による結晶欠陥が存在しており、他にもボイド、リネージなどの結晶欠陥が多数確認された。また、X線トポグラフによる観察では、育成初期段階において成長界面が下凸状となっていないことが観察された。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を329枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
(比較例3)
多層型熱反射装置13の代わりに、断熱材6から坩堝1の外周部の上方に伸長するヒータシールドを設けた育成装置を使用したこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。
多層型熱反射装置13の代わりに、断熱材6から坩堝1の外周部の上方に伸長するヒータシールドを設けた育成装置を使用したこと以外は実施例1と同様にして、85kg(直径:300mm、長さ:380mm)のサファイア単結晶を得た。
育成時の、モニタによる炉内観察では、融液表面に見られるスポークパターンのコントラストが弱く、また、その移動速度(対流速度)は、実施例1〜5と比較すると遅かった。また、シード(種結晶)と融液のコントラストも弱いことが観察された。これより、比較例3では、実施例1〜5や他の比較例と比べて、シードと融液の温度差が小さいことが確認された。
実施例1と同様の方法により、それぞれの温度勾配を測定したところ、原料融液の垂直方向の温度勾配は+1.5℃/cm、径方向の温度勾配は+2.5℃/cm、種結晶の垂直方向の温度勾配は−2.5℃/cmであった。また、実施例1と同様に、コンピュータシミュレーションにより、上記それぞれの温度勾配を求めたところ、原料融液の垂直方向の温度勾配は+1℃/cm〜+2℃/cm、径方向の温度勾配は+2℃/cm〜+3℃/cm、種結晶の温度勾配は−2℃/cm〜−1℃/cmの範囲にあった。これらの結果より、比較例3では、それぞれの温度勾配が適切に形成されていなかったと推察される。
また、このサファイア単結晶の結晶性を偏光検査により観察すると、種結晶直下から多結晶化による結晶欠陥が存在しており、ボイド、リネージなどの結晶欠陥が多数確認された。また、X線トポグラフによる観察では、育成初期段階において成長界面が下凸状となっていないことが観察された。
このサファイア単結晶より、実施例1と同様にして、6inφ、1mm厚のc面サファイア単結晶基板を329枚得て、その評価を行った。この結果を表1に示す。
1 坩堝
2 支持軸
3 円盤状ヒータ部
4 円筒状ヒータ部
5a、5b ヒータ電極
6 断熱材
7 炉体
9 引き上げ軸
9a ホルダ
10 原料融液
11 種結晶
12、12a〜d サファイア単結晶
13 多層型熱反射装置
14 断熱空間
16 底面部
17 上面部
18 気泡(ボイド)
19 成長界面
20 リネージ
21 結晶方位の回転領域
22a、22b 観察窓
23 非接触型温度計
24 ビデオカメラ
25 遮光フィルタ
26 熱電対
27 貫通孔
2 支持軸
3 円盤状ヒータ部
4 円筒状ヒータ部
5a、5b ヒータ電極
6 断熱材
7 炉体
9 引き上げ軸
9a ホルダ
10 原料融液
11 種結晶
12、12a〜d サファイア単結晶
13 多層型熱反射装置
14 断熱空間
16 底面部
17 上面部
18 気泡(ボイド)
19 成長界面
20 リネージ
21 結晶方位の回転領域
22a、22b 観察窓
23 非接触型温度計
24 ビデオカメラ
25 遮光フィルタ
26 熱電対
27 貫通孔
Claims (8)
- 坩堝内の原料融液に種結晶を接触させ、サファイア単結晶を所定の回転速度で回転させながら引き上げる、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、
前記種結晶と前記原料融液の界面のシーディング温度を、前記原料の融点に対して+0.3℃〜+3℃の範囲に制御し、
シーディング直前から育成初期段階までにおいて、
(1)前記原料融液の中央部における表面から下方に向かう垂直方向の温度勾配を、少なくとも該原料融液の表面からその深さの1/3までの範囲において、+2℃/cm〜+10℃/cmの範囲に、
(2)前記原料融液の表面における中心部から外周部に向かう径方向の温度勾配を、少なくとも該中心部からその外周部までの距離の2/3までの範囲において、+3℃/cm〜+15℃/cmの範囲に、
(3)前記種結晶の原料融液側から上方に向かう方向の垂直方向の温度勾配を、−10℃/cm〜−2℃/cmの範囲に、
それぞれ制御し、および、
育成初期段階における引き上げ速度を0.2mm/hr〜5mm/hrに制御する、
サファイア単結晶の製造方法。 - 前記育成初期段階における前記回転速度を、0.1rpm〜10rpmに制御する、請求項1に記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 前記サファイア単結晶の育成初期段階における、成長界面の先端部開き角を40°〜150°の範囲に制御する、請求項1または2に記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 炉体内に断熱空間を形成するカーボン製断熱材と、該断熱空間内に配置される前記坩堝と、該坩堝を前記断熱空間内に支持する支持軸と、前記断熱空間内まで伸長し、前記坩堝の上方に育成したサファイア単結晶を引き上げる引き上げ軸と、前記断熱空間内に配置され、前記坩堝の周囲に配置されるカーボン製ヒータとを備えるサファイア単結晶育成装置を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 前記サファイア単結晶育成装置には、前記断熱空間内で坩堝の上方に、引き上げ軸の軸方向に所定間隔をもって配置され、径方向中央部に開口を有する、複数の円輪状の熱反射板からなり、該複数の円輪状の熱反射板の前記開口の開口径が、前記坩堝側から上方に向かうに従って、順次小さくなっている、少なくとも2枚の熱反射板を備える多層型熱反射装置が設けられており、この多層型熱反射装置による輻射光の制御により、前記垂直方向および径方向の温度勾配を形成する、請求項4に記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 前記カーボン製ヒータが、前記坩堝の底面を加熱する円盤状ヒータ部と、該坩堝の側面を加熱する円筒状ヒータ部とからなり、該円盤状ヒータ部の出力に対する該円筒状ヒータ部の出力の比を1.2〜2.0となるように調整する、請求項4または5に記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 前記サファイア単結晶育成装置には、前記坩堝の外周部の上方で、該坩堝の外周部と前記断熱材の内周面との間には、下方からのガス流を前記坩堝内の前記原料融液に向けて転向させる障害物が設置されていない、請求項4に記載のサファイア単結晶の製造方法。
- 前記サファイア単結晶育成装置には、前記坩堝の上端縁に設置され、前記下方からのガス流と、前記原料融液および育成中のサファイア単結晶の肩部側面との接触を防止する手段が設けられている、請求項4に記載のサファイア単結晶の製造方法。
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|---|---|---|---|---|
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-
2013
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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