JP2014163324A - 始動発電機及びこれを備えたエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクシャフトに対する組み付け精度の影響を受けにくくかつ耐熱性及び耐振動性に優れた始動発電機及びこれを備えたエンジンを提供する。
【解決手段】 エンジンのクランクシャフトの一端部にロータヨークを固定し、このロータヨークに周方向に磁極の極性が交互に異なるように永久磁石を配置して回転子を構成する。また永久磁石に対してクランクシャフトの半径方向において対向するように固定子をクランクケースに配置する。また回転子の永久磁石の磁束を検出する磁気センサを、その検出面がクランクシャフトの軸線方向と平行な直線と交差する態様で配置する。また検出面を永久磁石における前記軸線方向の一方向側の端面及び歯部における前記軸線方向の一方向側の端面より前記軸線方向の一方向側に離間した位置に配置する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動二輪車等のエンジンに好適に用いられる始動発電機及びこれを備えたエンジンに関する。より詳細には、本発明は、エンジンのクランクシャフトの一端部に固定され、エンジン始動時にはスタータモータとして又エンジン始動後にはジェネレータとして機能する始動発電機及びこれを備えたエンジンに関する。
従来、例えば自動二輪車等のエンジンに取り付けられ、スタータモータ及びジェネレータとして機能する始動発電機が知られている。この種の始動発電機は、一般に、有底筒状に形成されたロータヨークと永久磁石とを有する回転子を備えている。前記ロータヨークは、エンジンのクランクシャフトの一端部に固定された円板状の底壁部とその周縁部からクランクシャフトの軸線方向に延びた周壁部とを有する。また、前記永久磁石は、ロータヨークの周壁部の内周面に、周方向に沿って磁極の極性が交互に異なる態様で配置されている。上記回転子の底壁部及び周壁部で囲まれた空間には、固定子がその外周面を前記永久磁石に対向させた状態で配置されている。
この種の始動発電機をスタータモータとして使用する場合、回転子の回転位置を検出し、この検出信号に基づいて固定子に設けられた巻線に供給する電流を制御する必要がある。この回転位置を検出するために、従来、例えば回転子側にセンサマグネットが取り付けられ、固定子側にホール素子等の磁気センサが取り付けられた始動発電機が既知である。この始動発電機において、回転子の回転に伴うセンサマグネットの磁束の変化が磁気センサにより検出される。
上記従来の始動発電機においては、ロータヨークの周壁部の内周面に設けられた複数の界磁用マグネットに加えて、回転子の回転位置検出のための専用のセンサマグネットが必要である。例えば下記特許文献1に記載された始動発電機は、リング状の駆動用センサマグネットと、リング状の点火タイミング用センサマグネットとを備えている。この駆動用センサマグネットは、磁極の極性が周方向に交互に異なるように着磁されている。また点火タイミング用センサマグネットは、周方向の一箇所のみが着磁されている。これら両リング状のセンサマグネットは、それぞれロータヨークの筒状ボス部に固定されている。また駆動用センサマグネットに対応して、駆動用センサ素子が固定子側に配置されている。また点火タイミング用センサマグネットに対応して、点火タイミング用センサ素子が固定子側に配置されている。このように上記特許文献1に記載の始動発電機は、部品点数が多く、しかも構造が複雑である。
前記駆動用センサマグネットと前記点火タイミング用センサマグネットとは、軸線方向に離間した状態で配置しなければならない。またこれら両センサマグネットに対応するセンサ素子は、固定子に干渉しないように設けなければならない。このため始動発電機の軸線方向の寸法が長くなる。また、これらセンサマグネットは小型であるため、界磁用のマグネットと較べて精度良く着磁することが困難であった。センサマグネットの着磁の位置が僅かにずれると、回転子の位置ずれとして検出される。従って、回転子の回転位置が正確に検出されないという問題もあった。
一方、下記特許文献2は、上述したようなリング状の駆動用センサマグネット及び点火タイミング用センサマグネットを用いることなく、回転子の回転位置を検出することを提案している。この提案に係る始動発電機は、有底筒状の回転子と、この回転子の内側に配置された固定子とを有する。前記回転子の周壁部の内周面には、複数のマグネットが配置されている。これら複数のマグネットのうちの一つのマグネットは、軸線方向の一端部がそのマグネットの極性と異なる極性となるように着磁されている。また、固定子を構成する隣り合う歯部の先端部間に切欠部が形成されている。この切欠部内に、モータ駆動信号を得るためのU、V、Wの各相に対応する3つのセンサ素子と、点火タイミング信号を得るための1つのセンサ素子とがユニット化して配置されている。
特開2003−148317号公報 特開2009−89588号公報
特許文献2に係る提案においては、回転位置検出のための専用のセンサマグネットを用いることなく、回転子の回転位置を検出できる。しかし、部分的に形状の異なる歯部を用いているため、構造が複雑である。従って、製造及び組立が複雑であった。また、センサ素子が固定子を構成する歯部に配置されている。このため固定子側に発生した熱がセンサ素子の検出精度に影響を与えるという難があった。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、構造が簡素でありながら、回転子の回転位置の検出精度が向上された始動発電機及びそのような始動発電機を備えたエンジンを提供することを目的とするものである。
更に、本発明のその他の目的及び利点は、以下の好ましい実施形態から明らかになるであろう。
本発明に係る始動発電機は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられて、スタータモータ及びジェネレータとして機能するものである。即ち、この始動発電機は、エンジン始動時にはエンジンのクランクシャフトを回転させてエンジンを始動させるスタータモータとして機能する。一方、エンジン始動後には、前記クランクシャフトにより回転されてジェネレータとして機能する。
前記始動発電機は、回転子と固定子とを有する。回転子は、エンジンのクランクシャフトの一端部にクランクシャフトと共に回転するように取り付けられるロータヨーク及びこのロータヨークに周方向に磁極の極性が交互に異なるように設けられた永久磁石を有する。永久磁石は、前記クランクシャフトの半径方向に磁化されている。固定子は、巻線が巻き付けられた複数の歯部を有する。これら歯部は、永久磁石に対してクランクシャフトの半径方向において対向するように配置されている。
更に、前記始動発電機は、前記永久磁石の磁束の変化を検出する磁気センサを備えている。この磁気センサは、検出面が前記クランクシャフトの軸線方向と平行な直線と交差する態様で配置されている。またこの磁気センサの検出面は、前記永久磁石における前記軸線方向の一方向側の端面及び前記歯部の前記軸線方向の一方向側の端面より、前記軸線方向の一方向側に離間した位置に設けられている。
前記永久磁石は、好ましくは、前記歯部における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面より、前記クランクシャフトの軸線方向の一方側に突出したオーバーハング部を有する。これにより、前記磁気センサは、前記永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方向側の端部から出入りする磁束の変化をより確実に検出できる。
前記磁気センサは、好ましくは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側において、後述する第一位置と第二位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置される。
第一位置は、以下のように定義される。即ち、前記永久磁石における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面と前記歯部における前記軸線方向の一方側の端面とは、前記クランクシャフトの軸線方向に間隔d1だけ離れているとする。そして、この間隔に相当する距離d1だけ、永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の内側の端面から前記半径方向の内側に離れた位置を想定する。すると、この想定した位置に対応する、クランクシャフトの半径方向の位置が第一位置と定義される。
一方、前記第二位置は、以下のように定義される。即ち、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面と外側の端面との中間位置を想定する。その想定した中間位置に対応する、クランクシャフトの半径方向の位置が第二位置と定義される。前記第一位置と第二位置との間の領域では、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方側の端部から出入りする磁束が、クランクシャフトの軸線方向に指向する傾向が強い。また上記領域では、磁束の向き及び強さが安定している。従って、磁気センサの検出面の少なくとも一部を第一位置と第二位置との間の領域に配置することにより、回転子の回転に伴う磁束の変化を確実に検出できる。
前記磁気センサは、好ましくは、前述した第一位置と後述する第三位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置される。ここに第三位置は、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される。第一位置と第三位置との間の領域では、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方側の端部から出入りする磁束がクランクシャフトの軸線方向に指向する傾向がより一層強い。従って、この領域に磁気センサの検出面の少なくとも一部を配置すれば、より一層確実に磁束の変化を検出できる。より好ましくは、磁気センサを、その検出面の少なくとも一部が第三位置と重なるように配置する。
前記ロータヨークは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端部に、周方向の一部が切り欠かれた切欠部を有するものであっても良い。この切欠部を介して、前記永久磁石は、前記クランクシャフトの半径方向の外側に露出する。この場合、前記磁気センサは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側において、前述した第二位置と後述する第四位置との間に、検出面の少なくとも一部が配置されることが好ましい。
ここに第二位置は、上述したとおり、前記永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の内側の端面と外側の端面との中間位置に対応する、クランクシャフトの半径方向の位置である。一方、第四位置は、以下のように定義される。即ち、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方側の端面と切欠部におけるクランクシャフトの軸線方向の他方側の端面とがクランクシャフトの軸線方向に間隔2d2だけ離れているとする。そしてこの間隔の半分に相当する距離d2だけ、永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の外側の端面からその半径方向の外側に離れた位置を想定する。するとこの想定した位置に対応する、クランクシャフトの半径方向の位置が第四位置と定義される。
第二位置と第四位置との間では、切欠部から出入りする永久磁石の磁束が、クランクシャフトの軸線方向に指向する傾向にある。しかもその磁束の向き及び強さは安定している。従って、磁気センサの検出面の少なくともその一部を第二位置と第四位置との間の領域に配置することにより、確実に磁束の変化を検出できる。
磁気センサは、好ましくは、前述した第四位置と後述する第五位置との間の領域に、磁気センサの検出面の少なくとも一部が配置される。ここに第五位置は、前記永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の外側の端面に対応する、クランクシャフトの半径方向の位置として定義される。第四位置と第五位置との間の領域では、切欠部を介して永久磁石から出入りする磁束がクランクシャフトの軸線方向に指向する傾向がより強い。従って、この領域に磁気センサの検出面の少なくとも一部を配置すれば、より一層確実に磁束の変化を検出できる。より好ましくは、前記磁気センサを、その検出面の少なくとも一部が第四位置と重なるように配置する。
前記固定子は、回転子の内周面に間隙を介してクランクシャフトの半径方向内側又は半径方向外側に対向するように配置されたものであっても良い。
また、好ましくは、ロータヨークの周壁部は、そのクランクケース側端部における周方向の一部に切欠部を有する。また、磁気センサは、好ましくは、第一ないし第四磁気センサを有する。第一ないし第三磁気センサは、回転子が回転したときに、各永久磁石のクランクケース側の端部から出入りする磁束の変化を検出するものとしても良い。また前記第四磁気センサは、回転子が回転したときに、切欠部に起因する、永久磁石のクランクケース側の端部から出入りする磁束の変化を検出するものとしても良い。
本発明の他の側面によると、上述した始動発電機を備えたエンジンが提供される。前記エンジンは、クランクケースと、シリンダと、ピストンと、コネクティングロッドと、クランクシャフトとを有する。前記シリンダは、クランクケースに設けられている。前記ピストンは、前記シリンダ内に往復移動自在に設けられている。前記コネクティングロッドは、その一端部がピストンに連結され、他端部がクランクシャフトに連結されている。前記クランクシャフトは、前記クランクケースに回転可能に支持されている。前記クランクシャフトは、その一端部が前記クランクケースから外方突出状に延びている。前記クランクケースから外方突出状に延びた前記クランクシャフトの一端部に前記始動発電機の前記回転子が取付られている。
本発明の更に他の側面によると、上述したいずれかのエンジンを備えた、自動二輪車を含む車両が提供される。
本発明に係る始動発電機にあっては、前記永久磁石の磁束の変化を検出する磁気センサが備えられている。この磁気センサの検出面は、前記クランクシャフトの軸線方向と平行な直線と交差する態様で配置されている。また、前記磁気センサの検出面は、前記永久磁石における前記軸線方向の一方向側の端面及び前記歯部の前記軸線方向の一方向側の端面より、前記軸線方向の一方向側に離間した位置に設けられている。
このように磁気センサが配置されていることにより、以下のような効果がある。即ち、エンジンに始動発電機を組み付ける際に、固定子がクランクシャフトに対して所期する位置よりクランクシャフトの軸線方向に多少ずれることがある。しかし、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の端部から出入りする磁束は、その軸線方向の位置に拘わらず安定している。このためクランクシャフトに対する固定子の取り付け位置が多少ずれて、永久磁石と磁気センサとの間隔が所期する間隔と異なっても、磁気センサの検出精度は大きく変動しない。従って、磁気センサは、確実に永久磁石の磁束の変化を検出できる。またエンジン本体に対して始動発電機を組み付ける際に、高い組み付け精度が要求されることがなく、組み付け作業を容易に行うことができる。
エンジンを始動させると、ピストンやコネクティングロッド等の往復動に伴ってクランクシャフトに半径方向の振動が発生する。このようにクランクシャフトが振動し、ひいてはこれに取り付けられた固定子が振動した場合、固定子に取り付けられた永久磁石と磁気センサとの相対位置が変動する。
しかし、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の端部から出入りする磁束は、クランクシャフトの半径方向の位置に拘わらず安定している。このためクランクシャフトの振動に伴って永久磁石と磁気センサとのクランクシャフトの半径方向の相対位置が変動しても、磁気センサの検出感度が大きく変動することがない。従って、磁気センサは確実に永久磁石の磁束の変化を検出できる。このようにエンジン本体に始動発電機を組み付けた後においても、磁気センサは回転子の回転位置を正確かつ確実に検出することができ、ひいては検出した信号を用いて始動発電機の制御を確実に行うことができる。
また、磁気センサは、前記永久磁石における前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側の端面及び前記歯部の前記軸線方向の一方向側の端面より、前記軸線方向の一方向側に離間した位置に配置されている。従って、始動発電機の作動に伴ってジュール熱が発生してもその熱が磁気センサに直接伝わらない。このため、熱変動に起因する磁気センサの感度の変動を抑制することができ、信頼性を向上できる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る、始動発電機を備えたエンジンの概略構成を示す断面図である。 図2は、図1に示す始動発電機及びその近傍部位を示す拡大断面図である。 図3は、前記始動発電機及び磁気センサユニットを示す断面図である。 図4は、前記始動発電機のロータヨークを切欠部側からみた側面図である。 図5は、前記始動発電機を固定子側からみた概略構成を示す説明図である。 図6は、前記始動発電機の磁気センサユニットの平面図である。 図7は、前記始動発電機の全体斜視図である。 図8は、図5の8−8線に沿って切断した拡大断面図である。 図9は、図5の9−9線に沿って切断した拡大断面図である。 図10は、第一磁気センサと第四磁気センサの出力信号を示すグラフである。 図11は、ロータヨークの周壁部における切欠部が形成されていない部分における永久磁石のクランクケース側端部付近の磁束分布状況をコンピュータシュミレーションで解析した結果を示す説明図である。 図12は、回転子を構成するロータヨークの周壁部における切欠部が形成された部分における永久磁石のクランクケース側端部付近の磁束分布状況をコンピュータシュミレーションで解析した結果を示す説明図である。 図13Aは、16極12スロットの始動発電機における磁気センサの配置を示す説明図である。 図13Bは、8極12スロットの始動発電機における磁気センサの配置を示す説明図である。
はじめに、本発明者が本発明を完成させるに至った経緯について、詳細に説明する。先ず、本発明者は、エンジンのクランクシャフトの一端部に設けられる始動発電機が抱えている問題について考察した。その結果、本発明者は、始動発電機が以下の3つの問題を有することを明確にした。
第一の問題は、始動発電機の回転子をエンジンのクランクシャフトに固定する際、回転子のクランクシャフトに対する軸線方向の組み付け誤差が大きいことである。第二の問題は、エンジンのピストンの往復動に伴って使用時にクランクシャフトがその半径方向に振動することである。このためクランクシャフトに取り付けた回転子がクランクシャフトの半径方向に振動する。第三の問題は、磁気センサに固定子やエンジンからの熱が作用することである。
上述の問題に対処するものとして、例えば前記特許文献2においては、以下のような始動発電機が提案されている。即ち、この始動発電機においては、磁気センサが回転子の永久磁石に対してクランクシャフトの半径方向に対向するように配置されている。またその磁気センサは固定子の隣り合う歯部の間に挿入された状態で固定されている。磁気センサをこのように配置すれば、回転子のクランクシャフトに対する軸線方向に多少の組み付け誤差が生じても、磁気センサは永久磁石の磁束を確実に検出できる。またクランクシャフトの半径方向の振動に伴って、回転子が半径方向に振動しても、磁気センサの検出精度に大きな影響を与えない。しかしながら、上記提案は、磁気センサを固定子の隣り合う歯部の間に配置するものであり、構造が複雑である。また上記提案では、磁気センサが固定子側から熱の影響を直接受けるものであった。
上記提案は、磁気センサをできるだけ磁束密度の高い領域に配置して、組み付け誤差や振動に伴う検出精度の影響を抑制しようとするものと考えられる。しかしながら、本発明者は、発想を転換し、磁束密度の低い領域に磁気センサを配置することを検討した。先ず、本発明者は、回転子の界磁用永久磁石から出入りする磁束について詳細に分析し検討した。
その結果、本発明者は、以下のことを見い出した。即ち、回転子の界磁用永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方向側の端部側から出入りする磁束は、クランクシャフトの半径方向に出入りす磁束と較べて相対的に弱い。しかし、永久磁石のクランクシャフトの軸線方向に出入りする磁束の方向及び強さは安定している。従って、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方側の端面からクランクシャフトの軸線方向の一方側に離れた位置でも、回転子の回転に伴う永久磁石の磁束の変化を安定かつ確実に検出できる。また、永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方側の端面から離れた位置は、固定子から離れた位置であるため、固定子が発生する熱の影響を受けにくい場所である。
本発明者は、上記知見に基づいて、上述した位置に磁気センサを配置することにより、部品点数を少なくし、構造及び製造工程を簡素化しつつも、検出精度を高く維持できることを解明した。この解明に基づいて、本発明者は本発明を完成させるに至ったのである。
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づいて、図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るエンジンEは、例えば自動二輪車等に好適に用いられるものである。このエンジンEは、スタータモータ及びジェネレータとして機能する始動発電機SGを備えている。即ち、この始動発電機SGは、エンジン始動時には、エンジンEのクランクシャフト5を回転させるスタータモータとして機能する。一方、この始動発電機SGは、エンジン始動後には、クランクシャフト5により回転されてジェネレータとして機能する。
図1に示すように、このエンジンEは、クランクケース1と、シリンダ2と、ピストン3と、コネクティングロッド4と、クランクシャフト5とを備えている。前記シリンダ2は、前記クランクケース1から斜め上方に延びている。前記ピストン3は、前記シリンダ2内に往復移動自在に設けられている。前記コネクティングロッド4は、その上端部が前記ピストン3に連結され、下端部が前記クランクシャフト5に連結されている。前記クランクシャフト5は、前記クランクケース1内に回転可能に設けられている。
前記シリンダ2の上端には、シリンダヘッド6が取り付けられている。一方、前記クランクシャフト5は、クランクケース1に一対のベアリング7及び7を介して回転自在な態様で支持されている。
前記クランクシャフト5の一端部5a(図1において右側の端部)は、クランクケース1から外方突出状に延びている。このクランクシャフト5の一端部5aには、始動発電機SGが取り付けられている。この始動発電機SGは、前述したように、エンジン始動時にスタータモータとして機能する一方、エンジン始動後にジェネレータとして機能する。
一方、クランクシャフト5の他端部5b(図1において左側の端部)は、クランクケース1から外方突出状に延びている。このクランクシャフト5の他端部5bには、無段変速機CVTのプライマリプーリ20が取り付けられている。このプライマリプーリ20は、固定シーブ21と可動シーブ22とを有する。固定シーブ21は、前記クランクシャフト5の他端部5bの先端部分にクランクシャフト5と共に回転するように固定されている。一方、可動シーブ22は、クランクシャフト5の他端部5bにスプライン結合されている。従って、可動シーブ22は、軸線方向Xに沿って移動自在となされ、固定シーブ21との間隔が変更される態様で前記クランクシャフト5と共に回転する。上記プライマリプーリ20と図示しないセカンダリプーリにはベルトBが掛けられている。このベルトBにより、クランクシャフト5の回転力が車両の駆動輪(図示略)に伝達される。
この実施形態においては、図1に示すような構造の単気筒エンジンEを示した。しかし、本発明においては、エンジン本体側の具体的な構成は、図示実施形態に示した構成に限定されるものではない。
以下、始動発電機SGについて詳述する。この始動発電機SGは、図2に示すように、回転子30と、固定子40と、磁気センサユニット50とを有する。
前記回転子30は、ロータヨークRYと、このロータヨークRYに固定された永久磁石37とを有する。ロータヨークRYは、例えば強磁性材料からなる有底筒状に形成されたものである。このロータヨークRYは、筒状ボス部32と、円板状の底壁部33と、筒状の周壁部34とを有する。前記筒状ボス部32は、前記回転子30を前記クランクシャフト5の一端部5aに挿入固定するためのものである。前記底壁部33は、前記筒状ボス部32に固定されており、前記クランクシャフト5の半径方向Yに延びている。前記周壁部34は、前記底壁部33の外周縁からクランクシャフト5の軸線方向Xに(クランクケース側に)延びている。
前記底壁部33と前記周壁部34は、例えば金属板をプレス成形することにより一体的に形成される。前記筒状ボス部32は、その中心に前記クランクシャフト5の一端部5aを挿入するためのテーパ状挿入孔32aを有する。このテーパ状挿入孔32aは、前記クランクシャフト5の軸線方向Xに沿って延びている。またこのテーパ状挿入孔32aは、前記クランクシャフト5の一端部5aの外周面に対応するテーパ角を有する。このテーパ状挿入孔32aに前記クランクシャフト5の一端部5aを挿入することにより、その一端部5aの外周面が前記テーパ状挿入孔32aの内周面にその全長に亘って密に接触した状態で固定される。これにより、前記筒状ボス部32が、前記クランクシャフト5の軸線方向Xに対して位置決めされる。
このように筒状ボス部32が前記クランクシャフト5の一端部5aに挿入された状態で、前記クランクシャフト5の一端部5aの先端部分に形成された雄ねじ部5cに、ナット35がねじ込まれている。これにより筒状ボス部32がクランクシャフト5に固定され、ひいては回転子30がクランクシャフト5に固定されている。
前記筒状ボス部32はその基端側(図1では右側)に径大部32bを有する。この径大部32bの外周面に、半径方向外側に向かって延びたフランジ部32cが設けられている。また前記ロータヨークRYの底壁部33には、その中央に孔部33aが形成されている。前記筒状ボス部32の径大部32bが底壁部33の孔部33aに挿入されると共に、前記フランジ部32cが底壁部33の外周面(図1では右側の側面)に接触した状態で配置されている。またこの状態において、前記筒状ボス部32のフランジ部32cと前記ロータヨークRYの底壁部33とが、その周方向の複数個所において、これらを貫通するリベット36で一体的に固定されている。
また、前記ロータヨークRYの周壁部34には、その内周面に周方向にN極とS極が交互に配置される態様で永久磁石37が固定されている。この実施形態では、図5に示すように、N極とS極との合計磁極数は16である。この永久磁石37は、磁石粉をプラスチック樹脂と混合して円筒状に成形固化し、上述したように磁極が周方向に異なるように、前記クランクシャフト5の半径方向Yに磁化することにより形成されたものである。このようなボンド磁石を採用した場合、製造が容易である。この永久磁石37としては、例えばネオジムボンド磁石が好適に用いられる。もっとも、このようなボンド磁石に代えて、複数個の焼結磁石片を周方向に配置したものであっても良い。本発明においては、永久磁石の種類、形状、磁極数等は限定されるものではない。
また、図7に示すように、前記ロータヨークRYの周壁部34には、そのクランクケース側端部における周方向の一箇所に切欠部38が形成されている。この切欠部38は、後述するように、回転子30の絶対回転位置を検出するために形成されたものである。この切欠部38を介して、永久磁石37の一部が半径方向外部に露出している。換言すると、この切欠部38を介して前記永久磁石37の磁束が半径方向に出入りする。従って、円筒状のロータヨークRYの周壁部34は、その周方向の一箇所においてだけ磁場の状態が異なる箇所が形成されている。
なお、この実施形態では、前記切欠部38を周方向の一部に形成している。しかし、これに代えて、周壁部34の周方向の一部のみを残して、切欠部を周方向に連続して長く形成しても良い。この場合、周壁部34の周方向の一部に、切り欠かれていない部分、即ち突部が形成されたものとなる。この場合でも、ロータヨークRYの周壁部34は、その周方向の一箇所においてだけ磁場の状態が異なる箇所が形成される。なお、切欠部の形状や個数は、特に限定されるものではない。
上述したようにクランクシャフト5に直結されて、クランクシャフト5と共に回転するように取り付けられた回転子30は、エンジンEのフライホイールとしても機能する。また、図2に示すように、前記回転子30を構成する底壁部33の外周面(図2では右側の側面)に、複数枚の羽根部46を有する冷却ファン45が複数本のボルト49で固定されている。
一方、前記固定子40は、図5に示すように、ステータヨークSYと巻線Wとを有する。ステータヨークSYは、円筒状コア部42と複数の歯部43とを有する。前記円筒状コア部42は、その中心に前記回転子30の筒状ボス部32の外径よりも大きな内径の孔部41を有する。前記複数の歯部43は、筒状コア部42の外周面から半径方向外側に向かって一体的に延びている。
この実施形態においては、合計12個の歯部43が周方向に等間隔で設けられている。各歯部43は、前記円筒状コア部42から半径方向に延びた胴部43aと、その先端の周方向両側から周方向に延びた一対の側方突出部43b及び43bとを有する。前記ステータヨークSYは、例えば薄板状のケイ素鋼板を軸線方向に沿って積層して形成される。これにより渦電流損の低減が図られている。各歯部43の胴部43aの周囲に、巻線Wが巻き付けられている。
図2に示すように、固定子40は、円筒状コア部42の孔部41にクランクシャフト5及び回転子30の筒状ボス部32が間隙を隔てて挿入された状態で、エンジンEのクランクケース1に固定されている。この固定状態において、固定子40の歯部43の半径方向Yの先端面は、前記回転子30を構成する永久磁石37の内周面に所定の間隙を隔てて対向するように配置されている。この状態において、上述したようにエンジンEのクランクシャフト5と回転子30とは一体的に回転する。
上記始動発電機SGをスタータモータとして機能させる場合、図示しないドライバ機能を備えた制御部により、固定子40の各巻線Wへの電流を制御して回転子30を回転させる。これにより、始動発電機SGは、ブラシレスモータとして機能する。回転子30が回転すると、これに連結されたクランクシャフト5が回転する。このクランクシャフト5の回転に伴って、前記コネクティングロッド4を介してピストン3が往復動されて、エンジンEが始動する。
一方、エンジン始動後は、エンジンEのピストン3の往復動が、コネクティングロッド4を介してクランクシャフト5に伝えられる。従って、クランクシャフト5が回転し、そのクランクシャフト5に固定された回転子30が回転する。これにより回転子30の永久磁石37が固定子40の外周を回転する。このとき永久磁石37の磁束が、固定子40の歯部43に巻き付けられた巻線Wを横切るため、巻線Wに誘導起電力が発生する。このようにエンジン始動後には、始動発電機SGはジェネレータとして機能する。
この始動発電機SGを、エンジンEを始動する装置として作動させるためには、回転子30の回転位置を検出して、これに対応した回転位置信号を発生させて始動発電機を制御する必要がある。また、エンジンEの点火タイミングをとるために、回転子30の絶対的な回転位置も検出して、これに対応した回転位置信号を発生してエンジンEを点火させることも必要である。このため、この実施形態においては、回転子30の回転位置情報を得るために、複数の磁気センサ51、52、53及び54を備えた磁気センサユニット50を備えている。
この磁気センサユニット50は、図6に示すように、平面視において所定幅を有する円弧状に形成された取り付け部材としての基板55を有する。この基板55には、4個の磁気センサが一体的に組み込まれている。基板55には、第一磁気センサ51、第二磁気センサ52、第三磁気センサ53及び第四磁気センサ54が組み込まれている。
これら各磁気センサとしては、ホール素子(Hall Effect
Sensor IC)が好適に用いられる。具体的には、前記基板55には、モータ駆動用信号を発生させるための第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53が組み込まれている。またこの基板55には、更にエンジン点火タイミング信号を発生させるための第四ホール素子(第四磁気センサ)54が組み込まれている。
図6に示すように、前記第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53は、前記基板55の内周縁より若干半径方向外側に位置した同一半径上に(図6の一点鎖線上に)配置されている。また、これら第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53は、図5に示すように配置されている。
即ち、第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53は、周方向に隣り合う巻線Wに対応する電気角120°の間隔で、隣り合う歯部43の側方突出部43b間に配置されている。またこれら第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53は、図5に示すように、クランクシャフト5の軸線方向Xからみた時に、永久磁石37の内周面とほぼ重なる位置に配置されている。一方、図6に示すように、第四ホール素子(第四磁気センサ)54は、第二ホール素子(第二磁気センサ)52と周方向に対応する位置であって、それより半径方向外側に離間した位置に配置されている。また、図5に示すように、第四ホール素子(第四磁気センサ)54は、クランクシャフト5の軸線方向Xからみた時に、前記ロータヨークRYの周壁部34の外周面とほぼ重なる位置に配置されている。これら第一ないし第四ホール素子(第一ないし第四磁気センサ)51ないし54の好適な配置については、後述する。
前記磁気センサユニット50は、図2に示すように、取付部56を介して前記クランクケース1に固定されている。換言すると、この磁気センサユニット50は、固定子40とは完全に分離した状態で、エンジン側に固定されている。即ち、磁気センサユニット50と固定子40との間には、支持部材等が何も存在せず、エアギャップのみが介在している。もっとも本発明は、磁気センサユニット50と固定子40とが物理的に分離していることを必ずしも要求するものではない。例えば、磁気センサユニット50が取付部を有するものであって、この取付部が固定子側に固定されたものであっても良い。
上述した固定状態において、磁気センサユニット50は、図8に示すように、永久磁石37におけるクランクシャフト5の軸線方向Xの一方向側の端面37aより軸線方向Xの一方向側に離間した位置に配置されている。またこの磁気センサユニット50は、歯部43におけるクランクシャフト5の軸線方向Xの一方向側の端面43cからも、クランクシャフト5の軸線方向Xの一方向側に離間した位置に配置されている。この固定状態において、前記第一ないし第四ホール素子(第一ないし第四磁気センサ)51ないし54は、その各検出面DPがクランクシャフト5の軸線方向Xと平行な直線と交差する態様で配置されている。この実施形態では、各検出面DPは、クランクシャフト5の軸線方向Xと平行な直線と直交する態様、換言するとクランクシャフト5の半径方向Yと平行な態様で配置されている。
この状態において、図8に示すように、第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53の各検出面DPには、前記永久磁石37の磁束が鎖交する。より詳細には、前記永久磁石37のクランクケース側に突出した端部、即ちオーバーハング部から出入りする磁束の一部が前記検出面DPに対して直交する態様ないしは鋭角をなす態様で鎖交する。従って、前記回転子30が回転したときに、その鎖交磁束の変化が第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53によって確実に検出される。
図11は、ロータヨークRYの切欠部38が形成されていない部分における磁束分布状況を示すものである。図11の左側において、上下二本の鎖線で挟まれた、矢印で示した領域R1は、前記第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53の好ましい配置領域を示す。
上記好ましい配置領域R1を、図11に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、永久磁石37は、歯部43におけるクランクシャフト5の軸線方向の一方側(図11では左側)の端面43cから、クランクシャフト5の軸線方向Xの一方側(図11では左側)に突出している。即ち、永久磁石37は、クランクシャフト5の軸線方向の一方側(図11では左側)に突出したオーバーハング部37bを有する。図11に示すように、永久磁石37におけるオーバーハング部37bを除いた部分からは、歯部43に向かって磁束が出入りしている。これに対して、オーバーハング部37bからは、歯部43の外側に向かって磁束が出入りしている。本発明における磁気センサ51ないし54は、いずれも永久磁石37におけるクランクシャフト5の軸線方向の端部から出入りする磁束を検出するものである。
上記好ましい配置領域R1は、図11に示す第一位置P1と第二位置P2との間の領域である。この領域R1に第一ないし第三磁気センサ51ないし53の検出面DPの少なくとも一部が配置されていれば良い。
上記第一位置P1は、以下のように定義される。即ち、永久磁石37におけるクランクシャフト5の軸線方向Xの一方側の端面37aと歯部43における前記軸線方向Xの一方側の端面43cとの間隔をd1とする。そしてこの間隔に相当する距離d1だけ、永久磁石37におけるクランクシャフト5の半径方向Yの内側の端面37cからクランクシャフト5の半径方向Yの内側に離れた位置を想定する。この想定した位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置が、第一位置P1と定義される。一方、第二位置P2は、次のように定義される。即ち、永久磁石37における前記クランクシャフト5の半径方向Yの内側の端面37cと外側の端面37dとの中間位置を想定する。この想定した中間位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置が、第二位置P2として定義される。即ち、第二位置P2は、永久磁石37の厚さ方向の中間位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置として定義される。
図11に矢印で示す、第一位置P1と第二位置P2との間の領域R1においては、永久磁石37のオーバーハング部37bから出入りする磁束は、クランクシャフト5の軸線方向Xを指向していることが図11からわかる。従って、この領域R1に磁気センサ51ないし53の検出面DPの少なくとも一部を配置することで、磁束が検出面DPと直交ないしは鋭角に鎖交する。
この領域R1内では、クランクシャフト5の軸線方向Xの位置が多少変わっても鎖交磁束数及び磁束の向きは大きく変わらない。従って、磁気センサ51ないし53が所期する場所より多少ずれて配置されても、検出精度に大きな影響はない。図11に示す第三位置P3又はその近くでは、磁束がほぼクランクシャフト5の軸線方向Xに指向している。ここに、第三位置は、永久磁石37におけるクランクシャフト5の半径方向Yの内側の端面37cに対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置として定義される。従って、磁気センサ51ないし53は、第三位置P3又はその近くに配置することがより好ましい。
図12は、ロータヨークRYの切欠部38が形成された部分における磁束分布状況を示すものである。図12の左下部分に、上下の鎖線で挟まれた、矢印で示す領域R2は、第四ホール素子(第四磁気センサ)54の好ましい配置領域を示す。
上記好ましい配置領域R2について、図12に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、ロータヨークRYの周壁部34には、その周方向の一部に切欠部38が形成されている。この切欠部38を介して、永久磁石37におけるクランクシャフト5の半径方向Yの外側の端面37dが外部に露出している。従って、図12に示すように、この切欠部38を介して、永久磁石37の磁束が出入りしている。上記第四ホール素子(第四磁気センサ)54は、切欠部38が形成された側における磁束の変化を検出するものである。
上記好ましい配置領域R2は、図12の左下部分に上側の鎖線で示す第二位置P2と下側の鎖線で示す第四位置P4との間の領域である。この領域R2に第四磁気センサ54の検出面DPの少なくとも一部が配置されていれば良い。
第二位置P2は、前述したように永久磁石37における前記クランクシャフト5の半径方向Yの内側の端面37cと外側の端面37dとの中間位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置として定義される。即ち、第二位置P2は、永久磁石37の厚さ方向の中間位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置である。一方、上記第四位置P4は、以下のように定義される。即ち、前記永久磁石37におけるクランクシャフト5の軸線方向Xの一方側の端面37aと前記切欠部38における前記軸線方向Xの他方側の端面38aとの間隔2d2の半分に相当する距離をd2とする。そして、永久磁石37におけるクランクシャフト5の半径方向Yの外側の端面37dから前記半径方向Yの外側に前記距離d2だけ離れた位置を想定する。この想定した位置に対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置が、第四位置P4として定義される。
第二位置P2と第四位置P4との間の領域R2では、前記切欠部38から出入りする磁束は、クランクシャフト5の軸線方向Xを指向する傾向にあることが図12からわかる。従って、この領域R2に第四磁気センサ54の検出面DPの少なくとも一部を配置することで、磁束が検出面DPと直交ないしは鋭角に鎖交する。この領域R2内では、クランクシャフト5の軸線方向Xの位置に拘わらず磁束の強さ及び向きが大きく変わらない。従って、第四磁気センサ54が所期する場所よりクランクシャフト5の軸線方向Xに多少ずれて配置されても、検出精度に大きな影響はない。
図12に示すように、領域R2内において、前記第四位置P4と後述する第五位置P5との間では、磁束がクランクシャフト5の軸線方向Xに指向する傾向がより強い。ここに第五位置P5は、永久磁石37におけるクランクシャフト5の半径方向Yの外側の端面37dに対応する、クランクシャフト5の半径方向Yの位置として定義される。従って、第四磁気センサ54は、第四位置P4と第五位置P5との間又はその近くに配置することがより好ましい。
なお、図11及び図12以外の図面では、前述した第一位置P1ないし第五位置P5を定義する基礎となる各部の寸法は、発明の理解を容易にする目的で誇張して示していることに留意すべきである。
第一ないし第四ホール素子(第一ないし第四磁気センサ)51ないし54は、上述のように配置されている。従って、それらの回転子30に対する取り付け位置が、所期する位置より、クランクシャフト5の軸線方向Xに若干ずれたとしても、各検出面DPに鎖交する磁束は大きく変化しない。また、取り付け後に、ホール素子(磁気センサ)51ないし54と永久磁石37との相対位置がクランクシャフト5の振動等によってクランクシャフト5の半径方向Yに若干変動することがある。この場合でも、検出面DPに鎖交する磁束は大きく変化しない。
即ち、永久磁石37のクランクケース側端部のオーバーハング部37bからクランクシャフト5の軸線方向Xに向かって出入りする磁束は、クランクシャフト5の半径方向Yに出入りする磁束と較べて相対的に弱い。しかし、クランクシャフト5の軸線方向Xに指向する磁束の方向及び磁束の強さは安定している。このため磁束の検出位置が、クランクシャフト5の軸線方向X及び半径方向Yに多少ずれても、前記磁束に大きな変化はない。従って、前記領域R1又はR2内に配置された各磁気センサ51ないし54は、その取付位置がクランクシャフト5の軸線方向X及び半径方向Yに多少ずれしても、確実に前記永久磁石37の磁束の変化を検出できる。
このように磁気センサユニット50をクランクケース1に対して取り付ける際における、各ホール素子(磁気センサ)51ないし54の取り付け位置の誤差許容範囲が大きくなる。このため磁気センサユニット50のクランクケース1に対する取り付けに高い精度が要求されることがなく、その取り付け作業を容易に行うことができる。
また、取り付け後において、磁気センサ51ないし54と回転子30との相対位置が、クランクシャフト5の振動によって若干変動しても、各ホール素子(磁気センサ)51ないし54の検出精度に大きな影響を与えない。このため使用時に磁気センサの検出精度を所期する状態に維持できるという利点がある。
また、前記磁気センサユニット50は、回転子30及び固定子40のいずれからもクランクシャフト5の軸線方向Xに離間した状態に配置されている。従って、これらから発生するジュール熱の影響を受けにくい。従って、磁気センサユニット50に組み込まれた各ホール素子51、52、53及び54が加熱されて検出特性が低下したり、あるいは故障したりするおそれを未然に防ぐことができる。
なお、上述したように各ホール素子(磁気センサ)51ないし54は、その検出面DPが前記クランクシャフト5の軸線方向Xと平行な直線と直交する態様で配置されている。従って、各ホール素子(磁気センサ)51ないし54は、前記永久磁石37における前記軸線方向Xの一方側の端部から出入りする磁束のうち前記軸線方向Xに指向する磁束を主として検出している。しかし、本発明における検出対象の磁束は、必ずしもクランクシャフト5の軸線方向Xに平行な方向に向かうものに限定されない。
例えば、各ホール素子(磁気センサ)51ないし54は、クランクシャフト5の軸線方向Xに対して鋭角をなす磁束を検出するものであっても良い。しかし、クランクシャフト5の軸線方向Xに対して45度を超える角度をなす磁束を検出する場合には、磁気センサの取り付け位置に対する検出精度の変動が大きくなる。従って、より一層好ましくは、クランクシャフト5の軸線方向Xに対して45度以内の角度をなす磁束を検出するように各ホール素子(磁気センサ)51ないし54を配置する。もっとも、本発明においては、各ホール素子(磁気センサ)51ないし54は、その検出面DPがクランクシャフト5の軸線方向Xと平行な直線と交差するように配置されていれば良い。
上述した理由で、第一ないし第四ホール素子(第一ないし第四磁気センサ)51ないし54は、図11及び12に示した領域R1又はR2内に好適に配置される。このように配置された第一ないし第四ホール素子(第一ないし第四磁気センサ)51ないし54は、図10に示すように、回転子30の回転位置検出に必要な検出信号を発生することができる。図10において、Vは、第二ホール素子(第二磁気センサ)52の出力波形を示し、Zは、第四ホール素子(第四磁気センサ)54の出力波形を示す。
上記実施形態に係る始動発電機SGのロータヨークRYは、底壁部33の外周縁から周壁部34がクランクケース1側、換言するとエンジン本体側に向かって延びた有底筒状に形成されたものである。しかし、ロータヨークとしては、これに限定されない。例えば、ロータヨークは、底壁部の外周縁から周壁部がクランクケース1とは逆方向(図2において右方向)に延びたものであっても良い。この場合には、磁気センサユニット50は、ロータヨークを構成する周壁部におけるクランクケース1側とは反対側に配置される。
また上記実施形態に係る始動発電機SGは、いわゆるアウターロータ型式のものである。即ち、回転子30が固定子40の外側に配置されており、回転子30が固定子40の外側を回転する。しかし、本発明は、このアウターロータ型式に限定されるものではない。本発明は、いわゆるインナーロータ型式の始動発電機SG及びこれを備えたエンジンをも包含するものである。即ち、インナーロータ型式のものは、回転子は、円柱状又は円板状のロータヨークと、その外周縁部に周方向に磁極の極性が交互に異なる態様で配置された永久磁石とを有する。一方、固定子は、回転子の外周面に間隙を介して半径方向外側に対向するように配置されているものである。
上記実施形態においては、図5に示すように、前記第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53を、隣り合う歯部43の側方突出部43b及び43bの間に対応する位置に配置している。しかし、これに代えて、図13Aに破線で示すように、第三ホール素子53’を、第一ホール素子51と第二ホール素子52との中間に配置することも許容される。しかし、図13Aの実線で示すように、第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53を、それぞれ隣り合う歯部43の側方突出部43b及び43b間に配置することが好ましい。このように配置することにより、各ホール素子(磁気センサ)51ないし53は、巻線Wに通電したときにおける固定子側から出た磁束の影響を受けにくくなる。ひいては各ホール素子(磁気センサ)51ないし53からの検出信号の波形の歪を少なくできる。
上述したように前記第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53を、隣り合う歯部43の周方向の中間に位置できるのは、上記実施形態で示した構成に限らない。即ち、このような配置は、磁極数が16、スロット数が12のいわゆる4:3系列の回転電気機械以外であっても可能である。例えば、図13Bに示すような磁極数が8、スロット数が12のいわゆる2:3系列の回転機械であってもこのような配置が可能である。即ち、前記第一ないし第三ホール素子(第一ないし第三磁気センサ)51ないし53を、隣り合う歯部43の周方向の中間に位置できる。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。また、ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではない。本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。しかし、この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。これら実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。しかし、本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を有するあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきである。本発明は、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではなく、そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。
本発明に係る始動発電機及びこれを備えたエンジンは、例えば自動二輪車等、エンジンのスタータモータ及びジェネレータの両機能を備えることが要求される各種車両に好適に用いられる。
1 クランクケース
2 シリンダ
3 ピストン
4 コネクティングロッド
5 クランクシャフト
5a クランクシャフトの一端部
30 回転子
33 底壁部
34 周壁部
37 永久磁石
37a 永久磁石におけるクランクシャフトの軸線方向の一方向側の端面
37b 永久磁石のオーバーハング部
37c 永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の内側の端面
37d 永久磁石におけるクランクシャフトの半径方向の外側の端面
38 切欠部
38a 切欠部におけるクランクシャフトの軸線方向の他方側の端面
40 固定子
43 歯部
43c 歯部におけるクランクシャフトの軸線方向の一方向側の端面
50 磁気センサユニット
51 第一磁気センサ(第一ホール素子)
52 第二磁気センサ(第二ホール素子)
53 第三磁気センサ(第三ホール素子)
54 第四磁気センサ(第四ホール素子)
E エンジン
P1 第一位置
P2 第二位置
P3 第三位置
P4 第四位置
P5 第五位置
RY ロータヨーク
SY ステータヨーク
SG 始動発電機
DP 磁気センサ(ホール素子)の検出面
W 巻線
X クランクシャフトの軸線方向
Y クランクシャフトの半径方向

Claims (15)

  1. エンジン始動時にエンジンのクランクシャフトを回転させて該エンジンを始動させるスタータモータとして機能する一方、エンジン始動後に前記クランクシャフトにより回転されてジェネレータとして機能する始動発電機であって、
    エンジンのクランクシャフトの一端部に該クランクシャフトと共に回転するように取り付けられるロータヨークと、該ロータヨークに周方向に磁極の極性が交互に異なるように設けられ、前記クランクシャフトの半径方向に磁化された永久磁石とを有する回転子と、
    巻線が巻き付けられた複数の歯部を有し、これら歯部が前記永久磁石に対して前記クランクシャフトの半径方向において対向するように配置された固定子と、
    検出面が前記クランクシャフトの軸線方向と平行な直線と交差する態様で、前記永久磁石における前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側の端面及び前記歯部の前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側の端面より、前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側に離間した位置に設けられ、前記永久磁石の磁束の変化を検出する磁気センサと
    を備えていることを特徴とする始動発電機。
  2. 前記永久磁石は、前記歯部における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面より前記クランクシャフトの軸線方向の一方側に突出したオーバーハング部を有する、請求項1に記載の始動発電機。
  3. 前記磁気センサは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側において、前記永久磁石における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面と前記歯部における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面との間隔に相当する距離だけ、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面から前記半径方向の内側に離れた位置に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第一位置と、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面と外側の端面との中間位置に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第二位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置されている、請求項1又は2に記載の始動発電機。
  4. 前記磁気センサは、前記第一位置と、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第三位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置されている、請求項3に記載の始動発電機。
  5. 前記磁気センサは、前記検出面の少なくとも一部が前記第三位置と重なるように配置されている、請求項4に記載の始動発電機。
  6. 前記ロータヨークは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端部に、周方向の一部が切り欠かれた切欠部を有し、
    前記永久磁石は、前記切欠部を介して前記クランクシャフトの半径方向の外側に露出しており、
    前記磁気センサは、前記クランクシャフトの軸線方向の一方向側において、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の内側の端面と外側の端面との中間位置に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第二位置と、前記永久磁石における前記クランクシャフトの軸線方向の一方側の端面と前記切欠部における前記クランクシャフトの軸線方向の他方側の端面との間隔の半分に相当する距離だけ、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の外側の端面から前記半径方向の外側に離れた位置に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第四位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置されている、請求項1又は2に記載の始動発電機。
  7. 前記磁気センサは、前記第四位置と、前記永久磁石における前記クランクシャフトの半径方向の外側の端面に対応する、前記クランクシャフトの半径方向の位置として定義される第五位置との間に、前記検出面の少なくとも一部が配置されている、請求項6に記載の始動発電機。
  8. 前記磁気センサは、前記検出面の少なくとも一部が前記第四位置と重なるように配置されている、請求項7に記載の始動発電機。
  9. 前記磁気センサは、前記永久磁石のオーバーハング部から出入りする磁束の変化を検出する、請求項2に記載の始動発電機。
  10. 前記固定子は、前記ロータヨークの内周面に間隙を介して前記クランクシャフトの半径方向内側に対向するように配置されている、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の始動発電機。
  11. 前記固定子は、前記ロータヨークの外周面に間隙を介して前記クランクシャフトの半径方向外側に対向するように配置されている、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の始動発電機。
  12. 前記ロータヨークは、筒状の周壁部を有し、該周壁部のクランクケース側端部における周方向の一部に切欠部を有し、
    前記磁気センサは、第一磁気センサ、第二磁気センサ、第三磁気センサ及び第四磁気センサを有し、
    前記第一磁気センサ、前記第二磁気センサ及び前記第三磁気センサは、前記回転子が回転したときに、前記永久磁石のクランクケース側の端部から出入りする磁束の変化を検出すると共に、
    前記第四磁気センサは、前記回転子が回転したときに、前記切欠部に起因する、前記永久磁石のクランクケース側の端部から出入りする磁束の変化を検出する、請求項1に記載の始動発電機。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の始動発電機を搭載したエンジンであって、
    クランクケースと、
    前記クランクケースに設けられたシリンダと、
    前記シリンダ内に往復移動自在に設けられたピストンと、
    前記ピストンに一端部が連結されたコネクティングロッドと、
    前記クランクケースに回転可能に支持され、前記コネクティングロッドの他端部が連結されたクランクシャフトと、
    を備え、
    前記クランクシャフトは、その一端部が前記クランクケースから外方突出状に延び、
    前記始動発電機の前記回転子は、前記クランクケースから外方突出状に延びた前記クランクシャフトの一端部に設けられていることを特徴とするエンジン。
  14. 前記磁気センサは、前記検出面が前記クランクシャフトの軸線方向と平行な直線と交差する態様で前記クランクケースと前記回転子の間に配置されている、請求項13に記載のエンジン。
  15. 請求項13又は14に記載のエンジンを備えた自動二輪車。
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