JP2014169497A - 希土類元素の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理1し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含む回収方法。酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器及び炭素供給源として用いて行い、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であり、更に熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中2に放置して空気中の水と反応させることで行うことが好ましい。処理対象物がR−Fe−B系永久磁石である。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2では、処理対象物に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化することによって両者を分離する方法として、処理対象物を炭素るつぼの中で加熱する方法が提案されている。この方法は、特許文献1に記載の方法のように酸やアルカリを必要とせず、また、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱することで理論的にるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されることから、特許文献1に記載の方法に比較して工程が簡易であるという点において優れていると考えられる。しかしながら、単に処理対象物を炭素るつぼの中で加熱すればるつぼ内の雰囲気が所定の酸素分圧に自律的に制御されて希土類元素と鉄族元素を分離できるのかといえば、現実的には必ずしもそうではない。特許文献2では、るつぼ内の雰囲気の望ましい酸素含有濃度は1ppm〜1%であるとされているが、本質的には雰囲気を制御するための外的操作は必要とされないとある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、少なくとも酸素含有濃度が1ppm未満の場合には希土類元素と鉄族元素は分離できない。従って、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱すれば、理論的にはるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されるとしても、現実的にはるつぼ内を酸素含有濃度が1ppm以上の雰囲気に人為的に制御する必要がある。こうした制御は、特許文献2にも記載されているように酸素含有濃度が1ppm以上の不活性ガスをるつぼ内に導入することで行うことができるが、工業用不活性ガスとして汎用されているアルゴンガスの場合、その酸素含有濃度は通常0.5ppm以下である。従って、酸素含有濃度が1ppm以上のアルゴンガスをるつぼ内に導入するためには、汎用されているアルゴンガスをそのまま用いることはできず、その酸素含有濃度をわざわざ高めた上で用いる必要がある。結果として、特許文献2に記載の方法は、一見工程が簡易に思えるものの実はそうではなく、特許文献1に記載の方法と同様、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させることで行うことを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、希土類元素を含む粉末が希土類元素を50mass%以上含むことを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項1記載の方法において、希土類元素を含む粉末の粒径が120μm未満であることを特徴とする。
また、請求項7記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してから大気雰囲気中で火をつけて燃焼処理を行うことで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析結果(使用装置:島津製作所社製のICPV−1017、以下同じ)とガス分析結果(使用装置:堀場製作所社製のEMGA−550W、以下同じ)を表1に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の7.6倍であった。
酸化処理を行った磁石加工屑を2000℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物(塊状物Aと塊状物B)がるつぼに固着して存在し、この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しておくと、塊状物Aは塊状のままであるのに対し、塊状物Bはアセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで粉末のみを回収することができた。篩にかけた後の塊状物AのSEM・EDX分析結果(使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製のS800、以下同じ)と回収された塊状物B由来の粉末のICP分析結果を表3に示す。表3から明らかなように、塊状物Aの主成分は鉄である一方、塊状物Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、塊状物B由来の粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.18倍であった。また、塊状物B由来の粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)を、100℃に加熱した5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬してアルカリ処理を行った。1時間後、吸引濾過してアルカリ処理を行った磁石加工屑を回収し、回収したアルカリ処理を行った磁石加工屑を純水中に投入して撹拌することで洗浄し、吸引濾過してアルカリ処理を行った磁石加工屑を回収した。この操作をあと2回繰り返してアルカリ処理を行った磁石加工屑を十分に水洗した後、150℃のホットプレート上で乾燥させた。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析結果とガス分析結果の結果を表4に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の9.5倍であった。
酸化処理を行った磁石加工屑を2000℃で熱処理すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、実施例3の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物は、空気中で1日放置しておくと、アセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで大きさが異なる2種類の粉末(粉末Aと粉末B)を回収することができた。粉末AのSEM・EDX分析結果と粉末BのICP分析結果を表6に示す。表6から明らかなように、大きさが大きい方の粉末Aの主成分は鉄である一方、大きさが小さい方の粉末Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末Bのホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.02倍であった。また、粉末Bの主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
単一の塊状物を空気中で1日間放置するかわりに、室温で水中に1日間浸漬すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、この単一の塊状物はアセチレン臭を発する気体を発しながら水中で自然に崩壊して粉末となった。この粉末を吸引濾過して回収し、自然乾燥させてから目開きが120μmの篩にかけることで大きさが異なる2種類の粉末(粉末Aと粉末B)を回収することができた。粉末AのSEM・EDX分析結果と粉末BのICP分析結果を表7に示す。表7から明らかなように、大きさが大きい方の粉末Aの主成分は鉄である一方、大きさが小さい方の粉末Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末Bのホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.01倍であった。また、粉末Bの主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のファーネスブラック)20gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この塊状物1gをプレッシャークッカー試験機(平山製作所社製のPC−242HS、以下同じ)を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で1時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、両者のICP分析とガス分析を行った。結果を表8に示す。表8から明らかなように、塊状物の主成分は鉄である一方、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.20倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
酸化処理を行った磁石加工屑20gを1450℃で熱処理すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物1gをプレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表9に示す。表9から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例7で得られた塊状物を100℃に加熱した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に6時間浸漬すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を水洗してから乾燥させた後、両者を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表10に示す。表10から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例7で得られた塊状物を室内に230日放置しておくと、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表11に示す。表11から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)20gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、一方の塊状物が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表12に示す。表12から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.35倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)50gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、一方の塊状物が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表13に示す。表13から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.34倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μm未満のカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)10gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表14に示す。表14から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.33倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
Claims (7)
- 少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法であって、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。
- 酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させることで行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 希土類元素を含む粉末が希土類元素を50mass%以上含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 希土類元素を含む粉末の粒径が120μm未満であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法。
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