JP2014172013A - 造水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理水1を半透膜7に供給して透過水9と濃縮水13を得るとともに、定期的に半透膜7を薬液で洗浄する造水方法において、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性、分離性といった膜の運転データに現れる前に、簡便に把握・検知することが可能な手段を提供する。
【解決手段】被処理水1および/または濃縮水13に含まれるαプロテオバクテリア(Proteobacteria)綱に属する細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つに基づいて半透膜7への薬液注入時間、薬液洗浄頻度および薬液注入濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】被処理水1および/または濃縮水13に含まれるαプロテオバクテリア(Proteobacteria)綱に属する細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つに基づいて半透膜7への薬液注入時間、薬液洗浄頻度および薬液注入濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、膜を用いて海水やかん水などの脱塩を行うことにより淡水を得たり、下廃水処理水や工業排水等を浄化して再利用水を得たりする造水方法に関するものである。
半透膜を用いた造水システムは、海水の淡水化を始め、多くの産業や水処理分野で応用され、他の分離方法と比較し、分離性能やエネルギー効率等の点で優位性が実証されてきている。一方、該造水システムでは、膜面での細菌増殖、あるいは膜面への生物膜(バイオフィルム)の付着、あるいは膜面への無機スケールの付着、あるいは膜面への有機物の付着、すなわちファウリングにより、膜差圧が急上昇し、膜の透過性、分離性が低下するという問題がある。
ファウリングにより、膜差圧が上昇したり、膜の透過性、分離性が低下したりした場合は、膜を、洗浄剤を用いて洗浄する(薬液洗浄)ことが一般的である。洗浄剤としては、クエン酸、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン−4−酢酸(EDTA)などのキレート剤、界面活性剤などがあり、これらは単独あるいは組み合わせて使用される。
しかし、ファウリングがいったん進行すると、たとえ薬液洗浄を行ったとしても膜差圧、透過性、分離性が完全に回復せず、次第に薬液洗浄の頻度が多くなり、ついには運転不可能となり、膜の交換が必要となる。よって、ファウリングが進行する前の適切な段階で膜を洗浄し、ファウリングの進行を抑えることが重要である。
膜ファウリングの進行を制御するためには様々な方法があるが、半透膜を用いた造水システムへの供給水量、供給圧、回収率などを調整することで、バイオファウリングを一定程度抑制することが可能である。また、ファウリングの進行を抑える手段として、ファウリング物質が無機スケールの場合は被処理水にヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)などのスケール防止剤を添加する方法があり、ファウリング物質がバイオフィルムの場合は被処理水にバイオフィルムの増殖を抑制する薬液を添加する技術が有効な手法として数多く提案されている。例えば、被処理水に2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたはこれらの塩およびこれらの混合物を有効成分とする殺菌剤を添加してバイオフィルムの増殖を抑制する方法(特許文献1)や、被処理水に殺菌剤として、酸や銀イオンを添加する方法などが開示されている(特許文献2、3)。これらスケール防止剤や殺菌剤等の薬液添加濃度、頻度、時間等は少なすぎればファウリングの進行を抑えることができない。一方、多すぎればファウリングの進行を抑えることはできるものの、薬液コストの増大を招く。よって、ファウリングの進行を抑えるための薬液添加の適正な濃度、頻度、時間を把握することが重要である。
以上の課題を解決するには、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性、分離性といった膜の運転データに現れる前に把握・検知することにより、半透膜を用いた造水システムへの供給水量、供給圧、回収率などを調整する、または膜の洗浄あるいは薬液添加の条件を決定する技術が必要である。このような技術として、特許文献4では、逆浸透膜供給水及び/又は逆浸透膜非透過水を逆浸透膜ろ過部の逆浸透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で流水させた条件下に、バイオフィルム形成基材を配しておき、バイオフィルム形成基材上のバイオフィルム量を1日〜6ヶ月に1回の頻度でATP測定法により測定し、バイオフィルム形成基材の単位面上あたりのATP量が200pg/cm2以下となるように膜の洗浄や殺菌剤添加条件を決定する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献4の技術では、常に逆浸透膜モジュール内の非透過水線速度と同等の線速度で流水させる必要があるため、何かのトラブルで流水が止まったり、線速度が大きくずれたりした場合、正当な評価ができなくなる恐れがある。さらに、バイオファウリングを起こした原因細菌の特性が判明していないため、適切かつ効率良い対策を出すことができなかった。
そこで本発明は、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性、分離性といった膜の運転データに現れる前に、簡便に把握・検知することが可能な手段を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明における造水方法は、以下の構成のいずれかからなる。
(1)被処理水を半透膜に供給して透過水と濃縮水を得るとともに、定期的に前記半透膜を薬液で洗浄する造水方法であって、前記被処理水および/または前記濃縮水に含まれるαプロテオバクテリア(Proteobacteria)綱に属する細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つに基づいて前記半透膜への薬液注入時間、薬液洗浄頻度および薬液注入濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整することを特徴とする造水方法。
(2)前記αプロテオバクテリア綱に属する細菌が、リゾビウム(Rhizobiales)目に属する(1)に記載の造水方法。
(3)前記リゾビウム目に属する細菌が、キサントバクタラセー(Xanthobacteraceae)科に属する(2)に記載の造水方法。
(4)前記キサントバクタラセー科に属する細菌が、キサントバクター(Xanthobacter)属またはスターケヤ(Starkeya)属である(3)に記載の造水方法。
(5)前記被処理水が、下水処理水、下排水または生物処理水から選ばれる(1)〜(4)のいずれかに記載の造水方法。
(6)前記細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つが、rRNAおよび/またはmRNAに基づいて決定されることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の造水方法。
ここで、本発明において、αプロテオバクテリア綱に属する細菌の存在数や濃度、優占性とは、αプロテオバクテリア綱細菌の遺伝情報、RNA転写特性、タンパク質翻訳特性、発現タンパク質生成物質特性、紫外線吸光特性などに基づいて得られたαプロテオバクテリア綱細菌の存在数や濃度、優占性のことをいう。
また、αプロテオバクテリア綱、リゾビウム目、キサントバクタラセー科、キサントバクター属、スターケヤ属は、原核生物の系統分類学指標として多く用いられている16SリボソームRNA遺伝子が、米国NCBI(National Center of Biotechnology Information)の遺伝子銀行(Genebank)に登録されている上記αプロテオバクテリア綱、リゾビウム目、キサントバクタラセー科、キサントバクター属、スターケヤ属の遺伝子配列に対して、相同率88%以上を持つ細菌を指し、培養の可否を問わない。
本発明によれば、膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性、分離性といった膜の運転データに現れる前に把握することが可能となる。またバイオファウリングを起こした菌が特定されているため、適切かつ効率良い対応が可能となる。
以下、図1を用いて本発明について詳しく説明するが、本発明の内容はこの図の態様に限定されるものではない。
本発明の造水方法は、被処理水1を半透膜7によって処理し、透過水9と濃縮水13に分離する造水システムにおいて実施される。
被処理水1の例としては、例えば海水、河川水、湖沼水、地下水、下水、下水処理水、下排水、生物処理水等が挙げられる。この中でも、被処理水としては下水処理水、下排水または生物処理水が、αプロテオバクテリア綱が主に働き、本発明を行った際の効果がより高く得られる点から、被処理水としては好ましい。通常は被処理水1には濁質などの固形成分が含まれているため、直接半透膜7でろ過した場合、膜表面に付着する固形成分が多くなり、差圧が急上昇し、運転不可能となる。そのため、あらかじめ被処理水1を前処理することが一般的であり、最も良く用いられる前処理方法は被処理水1に凝集剤を添加し、固形成分をフロック化させ、砂やアンスラサイト等でろ過する凝集砂ろ過法である。但し、この方法では原水変動の影響を受けやすく処理水質が不安定であるため、精密ろ過膜や限外ろ過膜で被処理水1を処理する膜前処理も採用することができる。また、被処理水1が下排水または生物処理が必要な有機性廃水の場合は、廃水中に含まれる有機物を低減するため、活性汚泥処理を行った後、活性汚泥を分離するために固液分離を行う前処理を実施することもできる。固液分離の方法は、従来から用いられている沈殿池を用いた沈殿分離でも良く、処理水質の向上などを目的として、精密ろ過膜や限外ろ過膜などの分離膜を用いて固液分離する方法も採用することができる。
前処理された被処理水は、高圧ポンプ3によって、ろ過に必要な圧力で半透膜7に供給され、透過水9と濃縮水13に分離される。供給配管の途中では、半透膜7におけるファウリングの進行を抑えるための薬液注入手段2により薬液が添加される。薬液注入手段2については、薬液の添加条件を制御するために、添加量や添加時間、添加頻度などがコントロールできるバルブやポンプを有する制御機構を備えていることが好ましい。
また、必要に応じて、供給水圧力測定手段4と供給水流量測定手段5を設け、供給水の圧力や流量を測定しながら流量調整手段12もしくは圧力調整手段を用いて供給水の圧力や流量を調整することもできる。
また、供給水モニタリング手段6を用いて、本発明の細菌を検出するためのサンプルを獲得し、分析を行うことができる。必要に応じて、本発明の細菌をモニタリングする装置を設け、モニタリング結果に応じて薬液注入時間、薬液注入頻度および薬液注入濃度条件からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整することもできる。
また、濃縮水モニタリング手段11を用いて、本発明の細菌を検出するためのサンプルを獲得し、分析を行うことができる。必要に応じて、本発明の細菌をモニタリングする装置を設け、モニタリング結果に応じて薬液注入時間、薬液注入頻度および薬液注入濃度条件からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整することもできる。
また半透膜7の上流には、薬液洗浄のために、洗浄剤を導入する洗浄手段10が設けられる。洗浄手段10を導入する地点は特に限定されるものではないが、洗浄剤の種類によっては、高圧ポンプ3を腐食させるおそれがあるため、その下流に導入することが好ましい。また通常は、洗浄手段10は濃縮水13の配管の途中に導入され、洗浄剤が高圧ポンプ3の下流で供給水に混合され循環される。
半透膜7は、被処理水1を飲料水、工業用水、都市用水などに利用できるように、塩濃度を下げることができるものであれば、いかなる素材のものを用いても良いが、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系の素材により構成されるものが挙げられる。この中でも、本発明の方法において特に有効であるのは、ポリアミド系の素材により構成されるものである。ポリアミド系の膜は、分離特性に非常に優れるものの、バイオフィルムの増殖を防ぐために殺菌剤として最も一般的に用いられる塩素に対する耐性が低く、わずかな濃度の塩素であっても膜劣化が顕著に起こるため、バイオファウリングを防止することが難しい。よって本発明を実施することによる効果が顕著に現れる。
本発明では、上記例のような造水システムにおいて、供給水モニタリング手段6および/または濃縮水モニタリング手段11から得られた供給水および/または濃縮水のサンプル中のαプロテオバクテリア綱に属する細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つを測定することで、半透膜7の膜面におけるファウリングの進行状態を、膜差圧、透過性、分離性といった膜の運転データに現れる前に、把握することが可能となる。
この際、被処理水および/または濃縮水のサンプルは、被処理水および/または濃縮水そのものをサンプリングしてモニタリングすることが好ましい。また、被処理水および/または濃縮水そのものに含まれているαプロテオバクテリア綱に属する細菌が少ない場合には、前記被処理水および/または濃縮水を、フィルターを用いてろ過し、ろ過したフィルター上の細菌をサンプルとして使用することもでき、また、前記被処理水および/または濃縮水が流れる配管、部材、計器に付着しているサンプルを使用することも可能である。
上記αプロテオバクテリア綱細菌の存在数や濃度、優占性は、αプロテオバクテリア綱細菌の遺伝情報、RNA転写特性、タンパク質翻訳特性、発現タンパク質生成物質特性、紫外線吸光特性などに基づいて決定することができる。具体的には、遺伝子情報に基づいてモニタリングする場合には、蛍光顕微鏡、蛍光イメージスキャナなどの蛍光測定装置、核酸のハイブリダイゼーション検出装置、フローサイトメーター、サーマルサイクラー、次世代シーケンサーおよび電気泳動装置などを用いることができる。また、RNA転写特性、タンパク質翻訳特性、発現タンパク質生成物質特性などの遺伝子発現特性に基づいてモニタリングする場合には、蛍光顕微鏡、フローサイトメーター、電気泳動装置、質量分析装置、画像解析装置、分光光度計、蛍光測定装置、発光量測定装置などを用いればよい。そして、供給水モニタリング手段6および/または濃縮水モニタリング手段11には、モニタリング結果に基づいて薬液注入条件を制御する薬液注入条件制御装置を設け、薬液注入手段2と繋ぐことで薬液注入を制御することができる。さらに、必要に応じて、供給水量、透過水量、供給圧力などの制御装置を設け、供給水量制御手段、透過水量制御手段、供給圧力制御手段と繋ぐことで、ぞれぞれの運転条件を制御し、バイオファウリングが抑制可能な運転条件に変更することもできる。
αプロテオバクテリア綱細菌の存在数や濃度、優占性については、寒天培地やαプロテオバクテリア系統群細菌選択培地などによる平板培養法によって増殖させてモニタリングすることもできるが、例えば次に説明するように、αプロテオバクテリア綱細菌の遺伝情報、RNA転写特性、タンパク質翻訳特性、生成物質特性などに基づいてその存在数や濃度、優占性、特性の経時的変化などを観察すると、精度が高く、効率的であるので好ましい。
<モニタリング方法1:遺伝情報/特定遺伝子配列に基づくモニタリング>
αプロテオバクテリア綱細菌の存在数や濃度、優占性を遺伝子情報に基づいてモニタリングする方法としては、染色体ゲノム全体のハイブリダイゼーション相同値による方法や、αプロテオバクテリア系統群細菌に特異的な遺伝子配列に基づく方法があるが、簡単に効率的かつ実質的に確認できるという観点から後者の方法に基づいてモニタリングすることが好ましい。特異的な遺伝子配列対象としては、16SリボソームRNA遺伝子、23SリボソームRNA遺伝子、gyrB遺伝子配列、リボソームRNA遺伝子間スペーサー領域などが挙げられる。また、モニタリングの対象としては、αプロテオバクテリア綱細菌の全部であっても一部であっても良く、さらに、αプロテオバクテリア綱細菌をモニタリングできるのであればその余の細菌を含んでいてもよい。
αプロテオバクテリア綱細菌の存在数や濃度、優占性を遺伝子情報に基づいてモニタリングする方法としては、染色体ゲノム全体のハイブリダイゼーション相同値による方法や、αプロテオバクテリア系統群細菌に特異的な遺伝子配列に基づく方法があるが、簡単に効率的かつ実質的に確認できるという観点から後者の方法に基づいてモニタリングすることが好ましい。特異的な遺伝子配列対象としては、16SリボソームRNA遺伝子、23SリボソームRNA遺伝子、gyrB遺伝子配列、リボソームRNA遺伝子間スペーサー領域などが挙げられる。また、モニタリングの対象としては、αプロテオバクテリア綱細菌の全部であっても一部であっても良く、さらに、αプロテオバクテリア綱細菌をモニタリングできるのであればその余の細菌を含んでいてもよい。
αプロテオバクテリア綱細菌の優占性をモニタリングする際には、例えば全原核生物や全細菌、ある分類群の細菌の存在数をできるだけ反映するような測定を同時に行い、それらとの比率で優占性を算出すると良い。
特異的な遺伝子配列をモニタリングする方法としては、公知の手法を用いることができ、例えば遺伝子配列情報の中からαプロテオバクテリア綱細菌に特異的な領域を選択し、その遺伝子配列をもつオリゴヌクレオチド、もしくはポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション効率を利用する方法を用いることができる。具体的には、蛍光物質やラジオアイソトープ、酵素学的レポーター分子、電気活性を持つインターカレーターなどを用いて、ドットハイブリダイゼーション法や、マイクロアレイ法、原位置ハイブリダイゼーション法などを用いることができる。原位置ハイブリダイゼーション法としては、蛍光標識オリゴヌクレオチド、もしくは蛍光標識ポリヌクレオチドを用いた蛍光原位置ハイブリダイゼーション法(FISH法)を用いることができる。なお、必要に応じてシグナルを増強してFISH法を実施すればよい。FISH法による検出方法としては、蛍光顕微鏡による方法でもフローサイトメーターを用いた方法でもよい。ドットハイブリダイゼーション法やマイクロアレイ法としては、αプロテオバクテリア綱細菌に特異的な遺伝子配列を持つオリゴヌクレオチド、もしくはポリオリゴヌクレオチドをメンブレンフィルター、もしくは基盤状に固定し、これに検出対象の水サンプルの核酸を蛍光物質などで標識したものをハイブリダイゼーションさせて行う方法などが挙げられる。
αプロテオバクテリア綱細菌に特異的な16SリボソームRNA遺伝子配列を持つオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション効率を利用する方法としては、米国NCBIの遺伝子銀行に登録されている上記αプロテオバクテリア綱、リゾビウム目、キサントバクタラセー科、キサントバクター属、スターケヤ属の遺伝子配列またはこれに相当する遺伝子配列の一部を有し、αプロテオバクテリア綱細菌の核酸と特異的にハイブリダイズし得るDNAもしくはRNAプローブを用いればよい。例えば、配列番号1〜20に記載の塩基配列またはこれに相当する塩基配列を検出することができるプローブであれば良い。ただ、当然これらの塩基配列以外にも、αプロテオバクテリア綱細菌をハイブリダイゼーションによって検出できるよう設計されたものであれば用いることができる。
また、特異的な遺伝子配列をモニタリングする方法としては、αプロテオバクテリア綱細菌に特異的な遺伝子配列をもつプライマーDNAを用いたポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を応用して検出・定量する方法もある。こうした方法としては、αプロテオバクテリア綱細菌に特異的なプライマーセットを用いて、核酸の増幅をリアルタイムで検出しながら行う定量PCR法などが挙げられる。さらに、半透膜へ供給する供給水に含まれる微生物のゲノムDNAを抽出し、原核生物一般、細菌一般あるいはさらに範囲の狭い分類系統群に特異的なプライマーセットを用いて分別しモニタリングすることもできる。この電気泳動法としては変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を用いることができる。
<モニタリング方法2/遺伝子発現特性>
さらに、αプロテオバクテリア綱細菌のモニタリング方法としては、その遺伝子発現特性を利用することもできる。遺伝子発現特性とは、αプロテオバクテリア綱細菌ゲノムからのRNA転写特性、タンパク質翻訳特性および生成物質特性(例えば発現タンパク質生成物質特性)などをいう。そのため、性質変化を遺伝子発現特性で追跡することは半透膜を用いた造水方法の運転安定性において非常に有用であり、遺伝子発現特性と発生トラブルとを関連づけてモニタリングすることによって、早い段階でより正確にトラブルを予測・検知し対策を講じることができる。遺伝子発現特性の対象としては特に限定するものではなく、構成遺伝子、制御遺伝子を問わない。
さらに、αプロテオバクテリア綱細菌のモニタリング方法としては、その遺伝子発現特性を利用することもできる。遺伝子発現特性とは、αプロテオバクテリア綱細菌ゲノムからのRNA転写特性、タンパク質翻訳特性および生成物質特性(例えば発現タンパク質生成物質特性)などをいう。そのため、性質変化を遺伝子発現特性で追跡することは半透膜を用いた造水方法の運転安定性において非常に有用であり、遺伝子発現特性と発生トラブルとを関連づけてモニタリングすることによって、早い段階でより正確にトラブルを予測・検知し対策を講じることができる。遺伝子発現特性の対象としては特に限定するものではなく、構成遺伝子、制御遺伝子を問わない。
RNA転写特性の対象としては、リボソームRNAおよび/またはメッセンジャーRNAのいずれであっても良い。リボソームRNAは、リボソームという生物の本質に関わる機能を持ったRNAであるため配列の保存性が高く、生物同士の比較が可能であるため、原核生物の系統分類に一般的に使われており、本発明のモニタリング方法として好ましい。また、メッセンジャーRNAは、微生物がタンパク質を合成するときに情報を読みとるRNAであるため、微生物の増殖に関わるタンパク質の生成をより速く察知することができる点から、本発明のモニタリング方法として好ましい。
そして、これらRNA転写特性をモニタリングする手法としては様々な公知の方法をとることができ、例えば、メッセンジャーRNAの存在量をハイブリダイゼーションにより解析する方法や、画像解析装置を用いたDNAチップによる方法などが挙げられる。また、FISHを用いることもできる。
そして、これらRNA転写特性をモニタリングする手法としては様々な公知の方法をとることができ、例えば、メッセンジャーRNAの存在量をハイブリダイゼーションにより解析する方法や、画像解析装置を用いたDNAチップによる方法などが挙げられる。また、FISHを用いることもできる。
また、タンパク質翻訳特性の対象タンパク質としては特に限定されるものではなく、例えば形態変化誘導タンパク質や細胞外ポリマー生成タンパク質などが挙げられる。タンパク質翻訳特性をモニタリングする方法としても、例えば2次元電気泳動法やウェスタンブロット、質量分析装置など様々な公知のタンパク質分析方法を用いることができる。
さらに、生成物質特性の対象としても特に限定するものではなく、例えば細胞外生成ポリマーや菌体内成分が挙げられる。細胞外生成ポリマーや菌体内成分をモニタリングする方法としては、例えば液体クロマトグラフィー装置やガスクロマトグラフィー装置、質量分析装置、分光光度計、蛍光測定装置、発光量測定装置などを用いた方法があり、抗体抗原反応を活用したイライザ法なども適用できる。
また、本発明のαプロテオバクテリア綱細菌のモニタリング方法として、αプロテオバクテリア綱に属する細菌が、リゾビウム目に属する細菌であることが好ましい。これは、αプロテオバクテリア綱の中でも、リゾビウム目に属する細菌が粘質物を出す細菌であると考えられ、リゾビウム目に属する細菌が半透膜に付着して増殖することにより目詰まりが発生すると考えられるからである。リゾビウム属細菌は土壌細菌である根粒菌の一種であり、粘質物を出すものと考えられ、半透膜に付着することにより目詰まりが発生する。
また、本発明のαプロテオバクテリア綱細菌のモニタリング方法として、αプロテオバクテリア綱に属する細菌が、リゾビウム目のキサントバクタラセー科に属する細菌であることが好ましい。これは、キサントバクタラセー科に属する細菌が、トリス(ヒドロキシメチル)誘導体など、他の細菌が分解することが困難である物質を酸化する機能を有しており、被処理水の中に含まれている比較的難分解性の物質を使用することができるためであり、微量の難分解性物質の流入によりキサントバクタラセー科に属する細菌が急激に増殖して粘質物を出すなどで半透膜のファウリングを起こすことが考えられる。
また、本発明のαプロテオバクテリア綱細菌のモニタリング方法として、αプロテオバクテリア綱に属する細菌が、リゾビウム目のキサントバクタラセー科に属する、キサントバクター属またはスターケヤ属の細菌であることが好ましい。これは、キサントバクター属の微生物はトリス(ヒドロキシメチル)誘導体など分解が困難である物質を酸化する機能を有する特徴があり、またスターケヤ属に属する微生物は補酵素結合型グルコース脱水素酵素の生産能を有する特徴があることから、キサントバクター属またはスターケヤ属の細菌は粘質物を生成する。これらの特徴から、被処理水の流入水質の変化により、分解が困難である物質を多く含む被処理水はキサントバクター属の細菌が増殖し、グルコースの含有が多い被処理水の場合にはスターケヤ属の細菌が増殖することで、半透膜のファウリングを引き起こす。また、キサントバクター属の細菌により分解された後の分解後生成物質をスターケヤ属の細菌が分解して増殖し、半透膜のファウリングを引き起こすことも考えられる。
1 被処理水
2 薬液注入手段
3 高圧ポンプ
4 供給水圧力測定手段
5 供給水流量測定手段
6 供給水モニタリング手段
7 半透膜
8 透過水流量測定手段
9 透過水
10 洗浄手段
11 濃縮水モニタリング手段
12 流量調整手段
13 濃縮水
2 薬液注入手段
3 高圧ポンプ
4 供給水圧力測定手段
5 供給水流量測定手段
6 供給水モニタリング手段
7 半透膜
8 透過水流量測定手段
9 透過水
10 洗浄手段
11 濃縮水モニタリング手段
12 流量調整手段
13 濃縮水
Claims (6)
- 被処理水を半透膜に供給して透過水と濃縮水を得るとともに、定期的に前記半透膜を薬液で洗浄する造水方法であって、前記被処理水および/または前記濃縮水に含まれるαプロテオバクテリア(Proteobacteria)綱に属する細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つに基づいて前記半透膜への薬液注入時間、薬液洗浄頻度および薬液注入濃度からなる群から選ばれる少なくとも1つを調整することを特徴とする造水方法。
- 前記αプロテオバクテリア綱に属する細菌が、リゾビウム(Rhizobiales)目に属する請求項1に記載の造水方法。
- 前記リゾビウム目に属する細菌が、キサントバクタラセー(Xanthobacteraceae)科に属する請求項2に記載の造水方法。
- 前記キサントバクタラセー科に属する細菌が、キサントバクター(Xanthobacter)属またはスターケヤ(Starkeya)属である請求項3に記載の造水方法。
- 前記被処理水が、下水処理水、下排水または生物処理水から選ばれる請求項1〜4のいずれかに記載の造水方法。
- 前記細菌の存在数、濃度および優占性からなる群から選ばれる少なくとも1つが、rRNAおよび/またはmRNAに基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の造水方法。
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| JP2018512163A (ja) * | 2015-04-15 | 2018-05-17 | エコラブ ユーエスエイ インク | プロセスサンプル中の微生物を評価するために使用される多様度及び生存度の閾値の決定のための方法 |
| JP2019206000A (ja) * | 2019-07-04 | 2019-12-05 | 水ing株式会社 | 分離膜の汚染状態分析方法、その方法を用いるろ過対象水の水質評価方法、及び分離膜の汚染状態分析方法を行うためのろ過システム |
| US11610467B2 (en) | 2020-10-08 | 2023-03-21 | Ecolab Usa Inc. | System and technique for detecting cleaning chemical usage to control cleaning efficacy |
-
2013
- 2013-03-12 JP JP2013049080A patent/JP2014172013A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2018512163A (ja) * | 2015-04-15 | 2018-05-17 | エコラブ ユーエスエイ インク | プロセスサンプル中の微生物を評価するために使用される多様度及び生存度の閾値の決定のための方法 |
| JP2019206000A (ja) * | 2019-07-04 | 2019-12-05 | 水ing株式会社 | 分離膜の汚染状態分析方法、その方法を用いるろ過対象水の水質評価方法、及び分離膜の汚染状態分析方法を行うためのろ過システム |
| US11610467B2 (en) | 2020-10-08 | 2023-03-21 | Ecolab Usa Inc. | System and technique for detecting cleaning chemical usage to control cleaning efficacy |
| US12100285B2 (en) | 2020-10-08 | 2024-09-24 | Ecolab Usa Inc. | System and technique for detecting cleaning chemical usage to control cleaning efficacy |
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