JP2014176848A - 排ガス浄化用触媒およびこれを用いた排ガス浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロジウムをアルミナで被覆することによる耐熱性向上と、ロジウムのアルミナ中への固溶抑制とを両立可能な排ガス浄化用触媒、および該触媒を用いて効率よく内燃機関の排気ガスを浄化する方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関から排出される排ガスの浄化触媒およびこれを用いた排ガス浄化方法に関するものであり、詳しくは、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有することを特徴とする排ガス浄化用触媒およびこれを用いた排ガス浄化方法に関する。
アルミニウムとランタンの複合酸化物を主成分とする担体にパラジウムを活性成分として担持した耐熱触媒が開示されている。該触媒を用いれば1200℃で3時間焼成した後においてもメタン燃焼反応率が高いことが開示されている(特許文献1)。
また、アルミニウムアルコキシド由来のAl23とCeO2およびLa23の複合酸化物を用いた担体が高い表面積安定性を有し、該担体に貴金属を担持した触媒が自動車模擬排ガスの浄化性能が高いことが開示されている(特許文献2)。
また、ゾルゲル法により作成したPt/SiO2触媒はPt粒子がSiO2によって被覆されており、Pt粒子のシンタリングを抑制できることが開示されている(非特許文献1)。
また、ゾルゲル法により作成したPt/SiO2触媒はPt粒子と被覆SiO2との相互作用が強く、Pt−Si合金やPt3Siなどの化合物を形成することが開示されている(非特許文献2)。
アルミニウムアルコキシドとヘキシレングリコール混合溶液中にPd溶液を混合後、アルコキシドの加水分解を行うことでPdが均一に分散されるとともに熱劣化が抑制されることが開示されている(特許文献3)。
ロジウムをアルミナに担持した触媒においては、高温処理によってロジウムがアルミナ中へ固溶することが知られている。これに対して、ランタン、カルシウム、鉛、ナトリウムから選ばれる元素をアルミナに添加し、ロジウムのアルミナへの固溶を抑制するロジウムの回収方法が開示されている(特許文献4)。
特開昭60−12132号公報(公開日:昭和60年(1985年)1月22日) 特開平1−230425号公報(公開日:平成1年(1989年)9月13日) 特開平7−194977号公報(公開日:平成7年(1995年)8月1日) 特開昭58−199832号公報(公開日:昭和58年(1983年)11月21日)
Catalysis Today, 15(1992),547−554 Catalysis Letters,43(1997),195−199
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のいずれの触媒においても、貴金属の担持基材であるアルミナの耐熱性は向上しているため、一定のシンタリング抑制効果が認められるものの、図1(c)のように貴金属粒子の大部分は耐熱性を向上させた担持基材表面上に存在するため、高温使用時や長時間の高温耐久時には図2(c)のように貴金属粒子のシンタリングが生じ易く、性能低下を招くという問題がある。
これに対して、非特許文献1に記載のゾルゲル法などPt粒子をSiO2で被覆した状態ではPt粒子のシンタリングを抑制できる。しかし、このような被覆状態では、担持貴金属と被覆物質との相互作用が強く、既成の担体表面上に担持貴金属の大部分が存在する含浸法とは異なる特性を持つ。
また、特許文献3に記載のように、被覆物質がアルミニウムアルコキシド由来のAl23の場合においても、Pdをアルミナによって被覆した触媒は熱劣化が抑制されることが開示されている。しかし、同様にロジウムをアルミナによって被覆した場合には、特許文献1や特許文献2に記載の触媒よりもロジウム粒子とアルミナの接触面が大きく、図2(b)のようにロジウム粒子がアルミナ中へ固溶しやすいという問題がある。アルミナ中へ固溶したロジウムは、触媒として有効に働かない。
特許文献4には、ロジウムのアルミナへの固溶を抑制し、ロジウムを回収する方法が開示されている。しかし、この方法はロジウムをアルミナによって被覆した構造を得るものではない。このため、該構造を有する触媒について、内燃機関からの排気ガス浄化用触媒としての耐熱性の向上効果は期待できない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロジウムをアルミナで被覆することによる耐熱性向上と、ロジウムのアルミナ中への固溶抑制とを両立可能な排ガス浄化用触媒、および該触媒を用いて効率よく内燃機関の排気ガスを浄化する方法を提供することにある。
本発明者は、ランタンを含むアルミナによりロジウムを被覆することによって、ロジウムをアルミナで被覆することによる触媒の耐熱性向上と、ロジウムのアルミナ中への固溶抑制とを両立させうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有することを特徴としている。
ロジウムをアルミナで被覆することによって、触媒の耐熱性を向上させ、触媒の熱劣化を抑制することは可能であるが、アルミナで被覆するだけではロジウムのアルミナへの固溶が避けられず、触媒としての機能は低下する。上記構成によれば、ランタンを含むアルミナでロジウムを被覆するため、後述する実施例に示すように、ロジウムのアルミナへの固溶を抑制することができる。したがって、高温耐久後でも内燃機関からの排ガスを効率よく浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、ランタンの含有量が、ランタンとアルミナの合計量に対して0.5重量%〜30重量%であることが好ましい。
上記構成によれば、ランタンの含有量が、ロジウムのアルミナへの固溶抑制と、他の触媒成分等の分散性保持とを両立しやすい量となる。したがって、高温耐久後でも内燃機関からの排ガスをより効率よく浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後においても、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有することが好ましい。
上記構成によれば、排ガス浄化用触媒が、950℃〜1000℃という高温かつ酸素過剰の雰囲気下に曝された後(以下、「高温耐久後」とも称する)でもなお、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有しているので、ロジウムのアルミナへの固溶が高度に抑制されているといえる。よって、高温耐久後でもなお、安定的に排ガスを浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後の露出ロジウム表面積が、上記ガスに曝される前の露出ロジウム表面積以下であることが好ましい。
なお、露出ロジウム表面積とは、触媒1gに吸着したCO分子数×(ロジウム格子定数)2で表される値であり、上記CO分子数はCOパルス吸着法(触媒、1986年,vol.28,No.1)によって求められ、ロジウム格子定数は3.8030である。
後述するように、高温耐久後の当該表面積が、高温耐久前の露出ロジウム表面積より大きく、かつ、アルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合が正の値を取るとき、アルミナ中に固溶したロジウムが存在しているといえる。逆に言えば、上記構成のように、高温耐久後の露出ロジウム表面積が、高温耐久前の露出ロジウム表面積以下である場合、ロジウムのアルミナ中への固溶が抑制される傾向にあると言える。
それゆえ、上記構成を有する触媒は、ロジウムの触媒としての機能を十分に発揮させることができる。したがって、高温耐久後でも排ガスを効率よく浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、上記ガスに曝された後の露出ロジウム表面積が、上記ガスに曝される前の露出ロジウム表面積に対して0%〜80%減少していることが好ましい。
露出ロジウム表面積の減少率が上記範囲にある場合、ロジウムのアルミナへの固溶や、アルミナの熱収縮を防ぐことができるとともに、ロジウムのシンタリングを防ぐことができる。したがって、高温耐久後でも内燃機関からの排ガスをより効率よく浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、アルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合が、上記ガスに曝された後において20%以下であることが好ましい。
上記「ロジウムの原子割合」とは、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy; XPS)によって求められるパラメータであり、アルミナ中へ固溶したロジウムのピーク面積をロジウム0価、ロジウム3価およびアルミナ中へ固溶したロジウムのピーク面積の合計で除した値の百分率であり、上記原子割合が低いほどアルミナ中へのロジウムの固溶が抑制されていることを示す。
上記構成によれば、ロジウムのアルミナへの固溶が低く抑えられているため、ロジウムを触媒として有効に機能させることができる。したがって、高温耐久後でも内燃機関からの排ガスをより効率よく浄化することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、三次元構造体上に担持されてなることが好ましい。三次元構造体は、表面積が大きいため、触媒を効率よく担持することができる。したがって、上記構成によれば排ガス浄化効率を向上させることができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、白金および/またはパラジウムを含んでなることが好ましい。これらの貴金属は触媒活性を有するので、ロジウムと併用することによって、本発明にかかる排ガス浄化用触媒にさらに高い排ガス浄化能力を付与することができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、耐火性無機酸化物を含んでなることが好ましい。耐火性無機酸化物は、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を分散させることができるため、排ガスを効率的に触媒成分に接触させることができる。したがって、上記構成によれば、高温下における排ガス浄化をより効率的に行うことができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物を含んでなり、当該酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物は、ランタンを含むアルミナにより被覆されていないことが好ましい。
酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物は、助触媒として作用することができ、触媒の耐熱性を向上させたり、触媒の活性種による酸化・還元反応を促進させたりする作用を有するものである。したがって、上記構成によれば、高温下における排ガス浄化をより効率的に行うことができる。
本発明にかかる排ガス浄化方法は、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を、内燃機関の排ガスに曝す工程を含むことを特徴としている。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は上述のように、耐熱性とロジウムの固溶抑制効果とを併せ持っている。よって、上記構成によれば、ロジウムの触媒活性を十分に活用した排ガス処理を行うことができ、高温下での排ガス浄化を非常に効率的に行うことができる。
本発明にかかる排ガス浄化方法では、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を、内燃機関の排ガスに曝す工程を含む排ガス浄化方法であって、上記内燃機関の排ガスの温度は0℃〜750℃であり、上記排ガス浄化用触媒は、上記内燃機関の排ガスに曝される前に、温度が950℃〜1000℃であって、かつ、酸素過剰である排ガスに曝されていてもよい。
上記構成によれば、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を用いるため、内燃機関を搭載した自動車等の通常運転時に内燃機関から発生する排ガスを浄化できるのはもちろんのこと、自動車等の運転中または触媒の耐久試験中に、上記触媒に高温かつ酸素過剰の排ガスが流入することがあったとしても、ロジウムの固溶を抑制することができる。よって、高温かつ酸素過剰の排ガスの流入後も、安定して通常運転時の排ガス浄化を継続することができる。
本発明にかかる排ガス浄化方法では、上記内燃機関の排ガスの温度が0℃〜750℃であり、当該排ガスの空燃比が14.1〜15.1であることが好ましい。
上記空燃比は、ガソリンエンジンの理論空燃比の近傍の値である。それゆえ、上記構成によれば、特にガソリンエンジンから排出された排ガスの浄化を効率的に行うことができる。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有するという構成である。このため、該触媒を用いれば、高温耐久後においても内燃機関からの排出ガスを効率良く浄化することができるという効果を奏する。
耐久処理前における触媒の状態を示す模式図である。 耐久処理後の触媒の状態を示す模式図である。 粉体A,BおよびCの露出ロジウム表面積を測定した結果を示す図である。 粉体A,BおよびCを、空気雰囲気下950℃で50時間耐久処理に供した後、露出ロジウム表面積を測定した結果を示す図である。 耐久処理前の露出ロジウム表面積と、950℃で50時間の耐久処理後における露出ロジウム表面積とを比較し、露出ロジウム表面積の減少率を求めた結果を示す図である。 950℃で50時間の耐久処理前後で測定した排ガス浄化用触媒のBET表面積を比較して求めたBET表面積の減少率を示すものである。 LA−4モード運転時における走行速度を示す図である。 LA−4モード運転時における触媒入口部の温度を示す図である。 走行1mileあたりに排出された各ガスの重量(Bag emission)を示す図である。
本発明の実施の形態について詳細に説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された非特許文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。また本明細書中の「〜」は「以上、以下」を意味し、例えば明細書中で「0.5重量%〜30重量%」と記載されていれば「0.5重量%以上、30重量%以下」を示す。また本明細書中の「および/または」は、いずれか一方または両方を意味する。
(1.排ガス浄化用触媒)
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有する。
ここで、ランタンは酸化ランタンおよび/またはランタン−アルミナ複合酸化物(LaAlO3など)の何れの形態でもよいが、酸化ランタン(La23)であることが好ましく、酸化ランタンとランタン−アルミナ複合酸化物とを共に含むものであることがより好ましい。
「ランタンを含むアルミナ」とは、ランタンとアルミナとが混合されていることを意味する。ランタンを含むアルミナとしては、特に限定されるものではないが、酸化ランタンおよび/またはランタン−アルミナ複合酸化物とアルミナとの混合物であることが好ましい。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒におけるランタンの含有量(La23換算)は、ランタンおよびアルミナ(Al23換算)の合計量に対して0.5〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。ランタンの含有量が0.5重量%より少ないと、耐久処理後にロジウムがアルミナ中へ固溶しやすくなるため好ましくなく、30重量%より多いと、アルミナと比較して表面積の小さなランタンの占める割合が大きくなり、他の触媒および/または助触媒成分の分散性が低下するため好ましくない。
上記「少なくとも」とは、本発明にかかる排ガス浄化用触媒が、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウム以外の成分を含んでいてもよいという意味である。例えば、さらに白金および/またはパラジウム、耐火性無機酸化物、酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物などを適宜含んでいてもよい。
「ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウム」とは、上記ランタンを含むアルミナがロジウム粒子の周囲に近接して担持された状態であり、「近接して担持された状態」とは、ロジウム粒子とアルミナ粒子とが一部接触し、ロジウム粒子とアルミナ粒子との接触部において、単分散ロジウム原子に吸着可能な分子(例えば一酸化炭素(CO))が吸着できない状態を指す。
図1は、耐久処理前における触媒の状態を示す模式図である。図1において1はランタン、2はアルミナ、3はロジウムを指す。図1(a)〜(c)において、符号2は一つのアルミナしか指していないが、図1(a)(b)で白色の不定形で表されている物質および図1(c)において略長方形で表されている物質はすべてアルミナである。また、図1(a)(c)において、符号1は一つのランタンしか指していないが、アルミナの内部に灰色の丸で表されているのは全てランタンである。さらに、図1(a)〜(c)において、符号3は一つのロジウムしか指していないが、黒色で表されているのは全てロジウムである。
図1(a)は、ランタンを含むアルミナがロジウム粒子の周囲に近接して担持された状態を示す模式図である。図1(a)に示すような、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムの粒子径をCOパルス吸着法(触媒、1986年,vol.28,No.1)によって求めると、前記のごとく、接触面においてはCOが吸着できないため、実際のロジウム粒子径よりも大きく見積もられる。なお、本明細書では、950℃〜1000℃の温度かつ酸素過剰の雰囲気下に触媒を曝すことを「耐久処理」とも称する。
図1(b)は、ランタンを含まないアルミナにより被覆されたロジウムの担持状態を示す模式図である。ランタンを含むアルミナによって被覆されたロジウムと同様に、ロジウム粒子とアルミナ粒子とが一部接触しており、ロジウム粒子とアルミナ粒子との接触部においてはCOが吸着できないため、ランタンを含む場合と同様に、COパルス吸着法によって算出されたロジウムの粒子径は、実際のロジウム粒子径よりも大きく見積もられる。
一方、含浸法などのように、既成担体を貴金属溶液に浸漬させて貴金属を担持する方法では、大部分のロジウム粒子は担体表面上に担持される。図1(c)は、含浸法によって触媒を調製した場合のロジウムの担持状態を示す模式図である。図1(c)に示すような担持状態では、COパルス吸着法により測定したロジウム粒子径と実際のロジウム粒子径とが概ね近い値となる。
上記のごとく、ランタンを含むか、含まないかに関わらず、アルミナによって被覆されたロジウム粒子では、ロジウム粒子とアルミナ粒子とが接触している面が含浸法等を用いた場合と比較して大きいという特徴を有する。
一般に、例えば図1(c)に示すような、ロジウム粒子とアルミナ粒子との接触面が小さいアルミナ上に担持されたロジウム触媒においても、1000℃を超えるような高温で、かつ、酸素過剰雰囲気下で耐久処理を施された場合は、ロジウムがアルミナ中へ固溶する現象が確認されている。しかし、耐久処理の温度が低い場合には、ロジウムはアルミナ中へ固溶しにくい傾向がある。そこで、本発明の実施例では、酸素過剰雰囲気下での950℃で50時間の耐久処理を閾値とした。ここで、本明細書において「酸素過剰雰囲気下」「酸素過剰」とは、酸化性ガスの濃度総和の方が還元性ガスの濃度総和よりも多い場合、または、排ガスの空燃比が14.65よりも大きな値を示す場合をいう。なお、酸化性ガスとは例えばO2 やNOXのことをいい、還元性ガスとは例えばHCやCOのことをいう。
950℃を閾値としたのは、高速運転時などに触媒床温度が達する最高温度が1000℃程度であり、触媒床温度がこの温度以上に達するのは、エンジン制御エラーなどにより燃料が過剰に供給された場合や、触媒に付着した煤や燃料が異常燃焼した場合などであり、通常運転時には想定する必要はないためである。
また、950℃より低い温度での耐久処理では、ロジウムのアルミナ中への固溶が起こりにくいため、本発明においてアルミナ中へ固溶したロジウムを同定するための耐久処理温度としては用いない。
耐久処理時間については特に限定されるものではないが、5〜100時間であることが好ましく、10〜50時間であることがより好ましい。5時間未満では耐久処理が十分ではなく、ロジウムのアルミナ中への固溶に対する耐性を確認できないため好ましくない。また、100時間を超えて耐久処理を行っても、それ以上の状態変化は小さいにも関わらず耐久処理にかかるコストが増大するため好ましくない。
一実施形態において、本発明にかかる排ガス浄化用触媒では、温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後においても、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有する。すなわち、触媒床温度が達しうる最高温度に曝されても、ロジウムのアルミナ中への固溶を抑制し、耐久処理後であってもなお、ロジウムを触媒として機能させることが可能である。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒を上記ガスに曝す方法は特に限定されるものではない。例えば、内燃機関の排気管の途中に上記触媒を設置することによって、上記触媒を上記ガスに曝すことができる。
また、上記ガスは、特に限定されるものではないが、内燃機関の排ガスであることが好ましい。内燃機関の排ガスの成分としては、例えば、窒素酸化物(NOx)、N2O,一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、水素、アンモニア、水、二酸化硫黄、炭化水素全般を挙げることができる。
内燃機関としては、特に限定されるものではない。例えば、ガソリンエンジン、ハイブリッドエンジン、天然ガス、エタノール、ジメチルエーテル等を燃料として用いるエンジンなどを用いることができる。中でもガソリンエンジンであることが好ましい。
ここで、本明細書において「ガスに曝す」とは、触媒がガスと接触することをいい、触媒表面の全部分がガスと接触する場合だけでなく、触媒表面の一部分がガスと接触する場合も含まれる。
上記「固溶」とは、一般的には異なる物質が互いに均一に溶け合った状態を意味するが、本明細書では必ずしも均一であることには限定されず、気相に面していたロジウム原子がアルミナ粒子間に埋没し、気相に露出しなくなった状態を意味する。
図2は、耐久処理後の触媒の状態を示す模式図である。図1と同じ部材については、図1と同じ符号を用いている。また、図中、同じ部材が複数ある場合は、図1と同様、符号は一つの部材のみに付している。前記のごとく、高温かつ酸素過剰雰囲気下においてはロジウムがアルミナ中へ固溶することが知られているが、還元雰囲気下においては、図2(b)に示すようにアルミナ中へ固溶したロジウム4がアルミナ表面上へ析出することが知られており、析出したロジウムはクラスター状に分散することが知られている。なお、図2(a)は、図1(a)と同様に、ランタンを含むアルミナがロジウム粒子の周囲に近接して担持された状態を示す模式図である。
アルミナ中へ固溶したロジウムの検出方法としては種々の方法を用いることができるが、本明細書においてはX線光電子分光法(XPS)およびCOパルス吸着法によって検出した。
XPS分析において、アルミナ中に固溶したロジウムはRh3d5/2ピークが310.2eV付近に検出される。その固溶ロジウムに帰属するピーク、ロジウム0価に帰属する307.2eVに検出されるピークおよびロジウム3価に帰属する308.2〜308.9eVに検出されるピークをそれぞれ分離することにより、バックグラウンドに対する各ピークの面積が算出される。これら各ピークは、その存在割合が多い場合には明確なピークが得られるが、少ない場合はショルダー程度のものが観察される。どちらの場合においても、ピークを分離することで各ロジウムの割合を算出することができる。
上記ロジウム0価、ロジウム3価およびアルミナ中に固溶したロジウムの面積比から、表面ロジウム全原子に対する各ロジウムの表面原子割合(Atomic %、以下「At%」と略記する)が以下の式(1)によって算出され、アルミナ中へ固溶したロジウム(Rh)の原子割合についても同様に算出される。
Figure 2014176848
一実施形態において、本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後において、アルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合が0%〜20%であることが好ましく、0%〜12%であることがより好ましい。
また、前記のごとくアルミナ中へ固溶したロジウム粒子は、還元雰囲気下ではアルミナ表面上へクラスター状に析出する。COパルス吸着法等において水素還元処理が施されると、固溶したロジウムがクラスター状にアルミナ表面に析出するため、還元処理によってCO吸着量は多くなる。
一般的に、高温耐久処理によって担体に担持された貴金属はシンタリングが進行するため、COパルス吸着法では耐久処理前よりも耐久処理後の方がCO吸着量は少なくなると考えられる。しかしながら、高温かつ酸素過剰雰囲気下での耐久処理などを行ったことにより、アルミナ中へ固溶したロジウムが存在する場合、耐久処理前後の触媒をCOパルス吸着法によって測定すると、耐久処理前よりも耐久処理後の方が触媒へのCO吸着量は多くなる。これは、アルミナ中へ固溶していたロジウム粒子が、COパルス吸着法における還元処理によってアルミナ表面にクラスター状に析出したためであると考えられる。このため、COパルス吸着法を用いれば、アルミナ中へ固溶していたロジウムが存在していることの傍証データを得ることができる。
本明細書では、「アルミナ中へ固溶したロジウムが存在する場合」とは、上記アルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合が正の値を取り、かつ、COパルス吸着法から求めたロジウム露出表面積が耐久処理前より耐久処理後に大きくなる場合をいう。すなわち、以下の式(2)で定義される露出ロジウム表面積の減少率が負の値となる場合であると定義される。
Figure 2014176848
ここで、本発明にかかる排ガス浄化用触媒では、温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後の露出ロジウム表面積が、上記ガスに曝される前の露出ロジウム表面積以下であることが好ましく、ロジウム粒子のシンタリング抑制の観点から考えると、露出ロジウム表面積の減少率は0〜80%であることが好ましく、0〜65%であることがより好ましい。露出ロジウム表面積の減少率が0%より小さな値となれば、耐久処理後に露出ロジウム表面積が増大していることを意味する。このとき、固溶ロジウムの形成や、ロジウムを被覆していたアルミナが耐久処理による熱収縮などによって被覆構造を保持しなくなることが考えられるため、好ましくない。一方、露出ロジウム表面積の減少率が80%より大きな値となれば、耐久処理によってロジウム粒子が著しくシンタリングし、触媒反応に寄与するロジウム原子数が減少していることが考えられるため好ましくない。
(2.排ガス浄化用触媒の調製)
本発明にかかる触媒は少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有していればよく、触媒の調製法としては特に限定されるものではなく、従来公知の調製法を用いることができる。例えば、ゾルゲル法、アルコキシド法、逆ミセル法、水熱合成法などを用いることができる。
上記ロジウムの原料としては、硝酸ロジウム、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、ヘキサアンミンロジウムなどを用いることができ、特に限定されるものではない。
上記ランタンの原料としては、酢酸ランタン(III)n水和物、硝酸ランタン六水和物、塩化ランタン七水和物、硫酸ランタン(III)n水和物、酸化ランタンなどを用いることができ、特に限定されるものではない。
上記アルミナの原料としては、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、硝酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを用いることができ、特に限定されるものではない。
ランタンを含むアルミナでロジウムを被覆する方法は、特に限定されるものではなく、各アルミナ原料に合った被覆法を用いることが好ましい。一例として、ランタンを含むアルミニウムイソプロポキシドを用いてロジウムを被覆する場合について記す。
まず、アルミニウムイソプロポキシドと同程度の質量のイソプロパノール溶液にアルミニウムイソプロポキシドを添加し、約10分攪拌する。次に、前記溶液中に硝酸ロジウム水溶液を所定の担持量となるように添加する。アルミニウムイソプロポキシドは弱酸性〜酸性で加水分解反応が進行し、アルミニウム水酸化物となる。この場合、添加した硝酸ロジウム水溶液に含まれる水によって加水分解反応が進行することが好ましい。硝酸ロジウム水溶液に含まれる水によって加水分解反応が進行するため、ロジウムがアルミナによって被覆された状態で担持される。
酢酸ランタンは、硝酸ロジウム水溶液を添加後、アルミニウムイソプロポキシドの一部が加水分解反応を起こした後、添加するのが好ましい。また、この時、同時にアルミニウムイソプロポキシドが全て加水分解するのに必要な水を添加し、アルミニウムイソプロポキシドの加水分解が完結するまで攪拌を継続する。該加水分解反応は、発熱反応であるため、発熱がなくなった時点を加水分解反応が完結した時点とする。加水分解反応が完結した状態では、試料はゲル状であり、当該ゲルを好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜150℃で乾燥し、続いて、好ましくは30℃〜950℃、さらに好ましくは400℃〜600℃で酸素過剰雰囲気下において焼成する。これらの工程を経て、ランタンを含むアルミナによって被覆されたロジウム触媒を得ることができる。
ここで、上記触媒中のロジウムの含有量は、ランタンを含むアルミナ粉体あたり0.2重量%〜20重量%であることが好ましく、0.5重量%〜5重量%であることがより好ましい。ロジウム含有量が0.2重量%より低ければ、ランタンを含むアルミナによるロジウムの被覆率が高くなりすぎ、その結果気相に露出したロジウムが少なくなりすぎるため、触媒性能が低下する恐れがある。一方、20重量%より高ければ、ランタンを含むアルミナによって被覆しきれなかったロジウム粒子が増加するため好ましくない。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒を三次元構造体上に担持する場合、ロジウムの量は、三次元構造体1リットル当たり0.01〜3gであることが好ましく、0.01〜1.5gであることがより好ましい。なお、三次元構造体への担持法は特に限定されるものではない。例えば、ウォッシュコートなどの方法を用いることができる。
ロジウムの量が三次元構造体1リットル当たり0.01gよりも少ないと、触媒性能が低いため好ましくなく、1.5gより多いと使用量に対する触媒性能への寄与度が小さく、コストパフォーマンスが良くないため好ましくない。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに白金および/またはパラジウムを含んでいてもよい。白金の量は、三次元構造体1リットル当たり0.1〜1gであることが好ましく、0.5〜5gであることがより好ましい。白金の量が三次元構造体1リットル当たり0.1gより少ないと、触媒性能が低いため好ましくなく、5gより多いと、使用量に対する触媒性能への寄与度が小さくコストパフォーマンスが良くないため好ましくない。
パラジウムの原料としては、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムなどを用いることができる。パラジウムの量は、三次元構造体1リットル当たり0.5〜10gであることが好ましく、1〜8gであることがより好ましい。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに耐火性無機酸化物を含んでなることが好ましい。耐火性無機酸化物としては、通常、排気ガス用の触媒担体として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、γアルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、シリカ−アルミナ(SiO2−Al23)、チタニア(TiO2)、マグネシア(MgO)、ゼオライトなどを用いることができる。当該耐火性無機酸化物には、鉄、ニッケル、コバルト、マンガンなどの遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはランタンなどの希土類元素の酸化物を添加することもできる。当該耐火性無機酸化物の使用量は、三次元構造体1リットル当たり30〜300gであることが好ましく、70〜150gであることがより好ましい。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、さらに、酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物を含んでなることが好ましい。これによって、排ガスを一層効率よく浄化することができる。酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物の使用量は、三次元構造体1リットル当たり5〜100gであることが好ましく、20〜80gであることがより好ましい。
酸化セリウムの原料としては、酸化セリウムの他、乾燥、焼成することで酸化セリウムとするものであってもよい。例えば、硝酸セリウム(III)六水和物、酢酸セリウム(III)一水和物、セリアゾルであってもよい。セリア−ジルコニア複合酸化物とはセリアにジルコニアが固溶した状態の複合酸化物のことであり、同時にランタン、イットリウム、プラセオジムなどを含むことができる。セリアとジルコニアの比は、重量比で90:10〜10:90であることが好ましく、その他の成分の含有量はセリア−ジルコニア複合酸化物あたり20重量%以下であることが好ましい。なお、セリア−ジルコニア複合酸化物は、例えば共沈法(触媒の事典、194頁、朝倉書店)によって調製することができる。
上記酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物は、ランタンを含むアルミナによって被覆されていない。「ランタンを含むアルミナにより被覆されていない」とは、ロジウム粒子とアルミナ粒子との接触部において、ロジウム粒子とアルミナ粒子との間に上記酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物が存在しない状態をいう。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、特に限定されるものではないが、三次元構造体上に担持されてなることが好ましい。三次元構造体としては特に限定されるものではない。例えばハニカム担体などの耐熱性担体を挙げることができる。また、三次元構造体としては一体成形型のもの(一体構造体)が好ましく、例えばモノリス担体、メタルハニカム担体、ディーゼルパティキュレートフィルターなどのプラグドハニカム担体、パンチングメタルなどが好ましく用いられる。なお、必ずしも三次元一体構造体である必要はなく、例えばペレット担体などを用いることもできる。
モノリス担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特に、コージェライト、ムライト、α−アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを材料とするものが好ましく、中でもコージェライト質のものが特に好ましい。その他、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金などを含む酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造体としたものなどが用いられる。
これらモノリス担体は、押出成型法やシート状素子を巻き固める方法等によって製造される。そのガス通気口(セル形状)の形は、六角形、四角形、三角形またはコルゲーション形の何れであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は100〜1200セル/平方インチであれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜90セル/平方インチである。
以下に、触媒を調製する方法について説明する。触媒を調製する方法としては、特に限定されるものではないが、触媒組成物自体を触媒とする場合は、触媒組成物を十分に混合した後、円柱、球状等に成形して、触媒とする方法等が挙げられる。なお、触媒組成物とは、触媒を構成しうる成分の集合体をいい、本発明にかかる排ガス浄化用触媒の他、上記した白金および/またはパラジウム、耐火性無機酸化物、セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物などが含まれたものをも指す。
一体構造体あるいは不活性無機質担体(以下、「一体構造体等」という)を用いる場合は、触媒組成物を一括してボールミル等に投入し、湿式粉砕して水性スラリーとし、一体構造体等を上記水性スラリーに浸漬し、乾燥、焼成する方法等を挙げることができる。
(3.排ガス浄化方法)
本発明にかかる排ガス浄化方法は、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を、内燃機関の排ガスに曝す工程を含む。
上記触媒を上記排ガスに曝す方法は特に限定されるものではない。例えば、排ガス浄化用触媒を内燃機関の排気ポートの排気流路中に設置し、排ガスを排気流路に流入させることによって行うことができる。上記触媒を上記排ガスに曝す時間は特に限定されるものではなく、上記触媒の少なくとも一部分が上記排ガスと接触することができる時間が確保されればよい。上記排ガスの温度は、特に限定されるものではないが、0℃〜750℃、つまり通常運転時の排ガスの温度であることが好ましい。
また、一実施形態において、本発明にかかる排ガス浄化方法は、本発明にかかる排ガス浄化用触媒が、内燃機関の排ガス(排ガスの温度;0℃〜750℃)に曝される前に、温度が950℃〜1000℃であって、かつ、酸素過剰である排ガスに曝されていてもよい。
この場合、上記触媒の少なくとも一部分が、温度が0℃〜750℃の上記排ガスと接触することができる時間が確保されればよいので、上記触媒を温度が0℃〜750℃の上記排ガスに曝す時間は特に限定されるものではない。また、上記触媒を温度が950℃〜1000℃であって、かつ、酸素過剰である排ガスに曝す時間も、特に限定されるものではない。全く曝されていなくてもよいし、例えば、耐久処理時間として好ましい時間である5〜100時間曝されていてもよい。
前述のように、本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、耐熱性とロジウムの固溶抑制効果とを併せ持つ。それゆえ、通常運転時の排ガスの浄化中に、温度が950℃〜1000℃であって、かつ、酸素過剰である排ガスのように、通常運転時に発生する排ガスよりも著しく高温かつ酸素過剰な排ガスが排気流路に流入した場合でも、ロジウムの固溶が抑制されるため、その後、通常運転時の排ガスの浄化を引き続き行うことができる。
なお、上記「0℃〜750℃」は、触媒入口部における排ガスの温度であることが好ましく、「950℃〜1000℃」は触媒床部における排ガスの温度であることが好ましい。「触媒入口部」とは、触媒が設置された排ガス流入側の触媒端面から20cm内燃機関側までで、かつ、排気管垂直方向に対して中心の箇所をいう。また、「触媒床部」とは、排ガス流入側端面から排ガス流出側端面までの距離の中央で、かつ、排気管垂直方向に対して中心の箇所(排気管が円形でない場合は、排気管垂直方向の断面に対して重心の箇所)をいう。
上記「通常運転時」とは、内燃機関を搭載する自動車や二輪車等を著しい高速および低速で運転する状態を除いた状態をいう。例えば、LA−4モードによる運転時等が該当する。
また、上記内燃機関の排ガス(排ガスの温度;0℃〜750℃)の空燃比は、14.1〜15.1であることが好ましい。
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種種の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
アルミナ原料としてアルミニウムイソプロポキシド、ロジウム原料として硝酸ロジウム水溶液、ランタン原料として酢酸ランタンを用いて、アルミナ:ロジウム:ランタンの重量比が97:3:5となるよう各原料を評量した。評量したアルミニウムイソプロポキシドと等量のエタノールを10分間攪拌した後、硝酸ロジウム水溶液をアルミニウムイソプロポキシド/エタノール溶液に添加した。
次に、酢酸ランタンをアルミニウムイソプロポキシドの加水分解反応に必要な量の水に分散させた後、アルミニウムイソプロポキシド/エタノール/硝酸ロジウム溶液に加え、2時間攪拌した。120℃で8時間乾燥させた後、500℃で1時間空気雰囲気下において焼成し、ランタンを2.86重量%含みロジウムを4.76重量%含むロジウム被覆アルミナ粉体Aを得た。
〔比較例1〕
アルミナ原料としてアルミニウムイソプロポキシド、ロジウム原料として硝酸ロジウム水溶液を用いて、アルミナ:ロジウムの重量比が20:1となるよう各原料を評量した。評量したアルミニウムイソプロポキシドと等量のエタノールを10分間攪拌した後、硝酸ロジウム水溶液をアルミニウムイソプロポキシド/エタノール溶液に添加した。
次に、アルミニウムイソプロポキシドの加水分解反応に必要な量の水をアルミニウムイソプロポキシド/エタノール/硝酸ロジウム溶液に加え、2時間攪拌した。120℃で8時間乾燥させた後、500℃で1時間空気雰囲気下において焼成し、ロジウムを4.76重量%含むロジウム被覆アルミナ粉体Bを得た。
〔比較例2〕
ランタン3重量%を含むアルミナ:ロジウムの重量比が20:1となるようランタン含有アルミナおよび硝酸ロジウムを評量した。評量したランタン含有アルミナにポアフィリング法(触媒の事典、174頁、朝倉書店)にて硝酸ロジウムを担持した。120℃で8時間乾燥させた後、500℃で1時間空気雰囲気下において焼成し、ロジウムを4.76重量%含むロジウム含浸アルミナ粉体Cを得た。
<露出ロジウム表面積の測定法>
露出ロジウム表面積は基本的には触媒学会参照触媒委員会により提案されたCOパルス法(触媒, 1986年,vol.28,No.1)に従い測定した。ただし、本実施例においてはロジウムをアルミナにより被覆しているため、ロジウムの還元処理前処理を充分進行させるため還元処理温度を500℃とした。
<露出ロジウム表面積の測定>
図3は、粉体A,BおよびCの露出ロジウム表面積を前記露出ロジウム表面積の測定法により測定した結果を示す図である。図3に示すとおり、ランタン含有の有無に関わらず被覆ロジウムを有する粉体AおよびBはポアフィリング法にて含浸担持した粉体Cよりも露出ロジウム表面積が小さいことがわかった。なお、図3〜5において、Aは粉体Aを、Bは粉体Bを、Cは粉体Cを表している。
ここで、担持ロジウム量は同じであり、シンタリングによりロジウム粒子が粗大化する温度での耐久を行っていない状態で、露出ロジウム表面積が大きく異なることから、粉体AおよびBではロジウム粒子がアルミナによって被覆されていることがわかる。
次に、粉体A,BおよびCを空気雰囲気下950℃で50時間耐久処理に供した後、同様の方法で露出ロジウム表面積を測定した。結果を図4に示す。図4から耐久処理後における露出ロジウム表面積は、ランタンを含有したロジウム被覆粉体Aが最も大きく、次に含浸担持した粉体Cが大きく、最も小さかったのはランタンを含有していないロジウム粉体Bであった。
耐久処理前の露出ロジウム表面積と、950℃で50時間の耐久処理後における露出ロジウム表面積とを比較し、露出ロジウム表面積の減少率を上記式(2)に従って求め、図5に示した。
図5からランタン含有ロジウム被覆粉体Aおよび含浸粉体Cは耐久処理後に露出ロジウム表面積が減少し、減少率としてはランタン含有被覆ロジウム粉体Aの方が含浸粉体Cよりも小さく、露出ロジウム表面積を保持していることがわかる。一方、ランタンを含まないロジウム被覆粉体Bは耐久処理後に露出ロジウム表面積が減少し、負の値となった。
露出ロジウム表面積が負の値を取る原因として、アルミナ中へ固溶したロジウムが、前記露出ロジウム表面積の測定時におけるH2還元処理によって再析出したこと、および熱劣化によりロジウムを被覆していたアルミナが収縮し、新たに露出したロジウム原子によるものの2つが考えられる。
<固溶ロジウム量の測定>
表1にXPS分析から式(1)を用いて求めたアルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合(At%)を示した。
Figure 2014176848
表1に示すように、含浸法にて作成したロジウム担持粉体Cでは、950℃で50時間の耐久処理後において固溶ロジウムは確認されなかった。また、ランタンを含有したロジウム被覆粉体Aにおいても固溶ロジウムは確認されなかった。これに対して、ランタンを含有しないロジウム被覆粉体Bは950℃で50時間の耐久処理後に21.8At%の固溶ロジウムが存在した。
また、粉体Aおよび粉体Cにおいても1000℃耐久後には固溶ロジウムの存在を確認したが、その割合は粉体Bと比較して小さかった。
前記のごとく、ランタンを含有させたアルミナによりロジウムを被覆することでロジウムの固溶を抑制できることが示された。
<BET(Brunauer−Emmett−Teller)表面積の測定>
950℃で50時間の耐久処理前後で測定した排ガス浄化用触媒のBET表面積を比較して求めたBET表面積の減少率を図6に示した。また、耐久処理前のBET表面積に対する耐久処理後のBET表面積の減少率を以下の式(3)のとおり定義した。
Figure 2014176848
図6の横軸は、排ガス浄化用触媒中のランタン(La23)の含有率(重量%)を示し、縦軸は式(3)で求めたBET表面積の減少率を示している。図6に示すように、ランタンを含有しない(0重量%)ものの表面積減少率よりもランタンを含有したものの表面積減少率の方が小さく、ランタンを含まない場合には被覆層としては脆いものであると言える。また、ランタン含有量が増えるに従い、表面積減少率は減少し、8重量%付近で最小値を示した。
<自動車排気ガス浄化触媒の作成>
〔実施例2〕
白金原料としてジニトロジアンミン白金水溶液、パラジウム原料として硝酸パラジウム、アルミナ原料としてランタン3重量%を含むアルミナ、CeO2−ZrO2複合酸化物、および前記粉体Aを用いて、Pt:Pd:La23−Al23:CeO2−ZrO2:La23:粉体Aの重量比が0.06:0.2:31.2:30:5.04:4となるよう各原料を評量した。次に、各原料を混合後、2時間攪拌した後、湿式粉砕しスラリーAを得た。得られたスラリーAを0.92Lのコージェライトに、500℃で1時間の焼成後にコージェライト1Lあたり70.5gとなるようウォッシュコートした。次に、150℃で15分間乾燥した後、500℃で1時間空気焼成を行いPt:Pd:Rhを1Lあたり0.06:0.2:0.24(g)含む触媒Dを得た。
〔比較例3〕
粉体Aの代わりに粉体Bを用いて実施例2と同様の原料比、方法で触媒Eを作製した。
〔比較例4〕
粉体Aの代わりに粉体Cを用いて実施例2と同様の原料比、方法で触媒Fを作製した。
<排気ガス浄化触媒の耐久処理>
触媒D、E、およびFを、直列6気筒、2.4Lエンジンの排気口から40cm下流側に設置し、触媒入口部のA/Fは酸素過剰雰囲気を含む10.6〜18.6の範囲に制御し、触媒Bed最高温度が950℃となるように50時間耐久処理を行った。
<排気ガス浄化触媒の性能評価>
2.4L、6気筒のMPIエンジンの排気孔から30cm下流側に触媒を設置し、図7に示したLA−4モード(この時の触媒入口部の温度は図8のとおりであった)を2回走行し、2回目にモード開始からモード終了時にかけて触媒出口から排出されたCO、HC、およびNOの重量をCVS法にてサンプリングした。
図7はLA−4モード運転時における走行速度を示す図である。横軸は、LA−4モード運転開始時からの経過時間(秒)を示し、縦軸はLA−4モード運転時における走行速度を示している。図8は、LA−4モード運転時における触媒入口部の温度を示す図である。横軸は、LA−4モード運転開始時からの経過時間(秒)を示し、縦軸は触媒入口部の温度を示している。図9は、走行1mileあたりに排出された各ガスの重量(Bag emission)を示す図である。図9の横軸のうち、「A」は粉体Aを用いて作成した触媒Dを用いたことを指し、「B」は、粉体Bを用いて作成した触媒Eを用いたことを指し、「C」は粉体Cを用いて作成した触媒Fを用いたことを指す。
図9より、ロジウムのアルミナ中への固溶を抑制し、被覆状態を保持した粉体Aを用いた触媒Dは、COおよびNO排出量が最も少ないことが確認された。
本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有するため、高温に曝されてもロジウムの被覆状態を保持し、且つロジウムのアルミナへの固溶を抑制することが可能となり、高温下でも内燃機関からの排出ガスを効率良く浄化することができる。したがって、本発明は、内燃機関を用いる産業全般、例えば自動車、鉄道、船舶、航空、各種産業機械などに幅広く応用することが可能である。
1 ランタン
2 アルミナ
3 ロジウム
4 アルミナ中へ固溶したロジウム

Claims (13)

  1. 少なくとも、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有することを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 上記ランタンの含有量が、ランタンとアルミナの合計量に対して0.5重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後においても、ランタンを含むアルミナにより被覆されたロジウムを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 温度が950℃〜1000℃であって、かつ酸素過剰であるガスに曝された後の露出ロジウム表面積が、上記ガスに曝される前の露出ロジウム表面積以下であることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. さらに、上記ガスに曝された後の露出ロジウム表面積が、上記ガスに曝される前の露出ロジウム表面積に対して0%〜80%減少していることを特徴とする請求項4に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. さらに、アルミナ中へ固溶したロジウムの原子割合が、上記ガスに曝された後において20%以下であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 三次元構造体上に担持されてなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  8. さらに、白金および/またはパラジウムを含んでなることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  9. さらに、耐火性無機酸化物を含んでなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  10. さらに、酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物を含んでなり、当該酸化セリウムおよび/またはセリア−ジルコニア複合酸化物は、ランタンを含むアルミナにより被覆されていないことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒を、内燃機関の排ガスに曝す工程を含むことを特徴とする排ガス浄化方法。
  12. 請求項1から10のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒を、内燃機関の排ガスに曝す工程を含む排ガス浄化方法であって、
    上記内燃機関の排ガスの温度は0℃〜750℃であり、
    上記排ガス浄化用触媒は、上記内燃機関の排ガスに曝される前に、温度が950℃〜1000℃であって、かつ、酸素過剰である排ガスに曝されていてもよいことを特徴とする請求項11に記載の排ガス浄化方法。
  13. 上記内燃機関の排ガスの温度が0℃〜750℃であり、当該排ガスの空燃比が14.1〜15.1であることを特徴とする請求項11または12に記載の排ガス浄化方法。
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