JP2014176865A - アークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法 - Google Patents

アークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークに対して下側に溶接トーチを配置する場合にも適切にアークスポット溶接できるアークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法を提供する
【解決手段】アークスポット溶接装置100は、重ね合わせられた複数の母材K1,K2であるワークKの下側に配置され、ワークKとの間でアーク放電することでスポット溶接する溶接トーチ10と、ワークKと溶接トーチ10との間に生じるアークを囲むように、ワークKに向けてシールドガスを供給するガス供給装置30と、溶接トーチ10及びガス供給装置30を制御する制御装置50と、を備え、制御装置50は、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素をシールドガスに含有させるようにガス供給装置30を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークと溶接トーチとの間でアーク放電してスポット溶接するアークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法に関する。
複数の母材が重ね合わされたワークと、このワークの片側に配置される溶接トーチと、の間でアークを発生させて溶接するアーク溶接が知られている。特に、ワークの所定位置にアークを集中させることで溶接箇所を点状に溶接する場合、アークスポット溶接と呼ばれる。溶接トーチを移動させながら連続的に(つまり、溶接箇所が線状に連なるように)溶接する場合と比較して、アークスポット溶接を行うことで生産性の向上・低コスト化を図ることができる。
例えば、特許文献1には、重ね合わされた複数の金属板をプラズマアークでスポット溶接するプラズマアークスポット溶接装置について記載されている。このプラズマアークスポット溶接装置は、プラズマアークを発生させるプラズマトーチと、プラズマアークにフィラを供給するフィラ供給手段と、を備え、プラズマガス及びシールドガスの少なくとも一方に略50%の酸素を含ませる。
特許第3723861号公報
特許文献1に記載の発明では、ワーク(重ね合わされた複数の金属板)に対して上側にプラズマトーチを配置し、プラズマアークの熱で溶融してできた穴を、溶融したフィラで埋めることが前提になっている。
一方、自動車のボディ等を製造する際、ワークに対して下側にプラズマトーチを配置し、上方に位置するワークとの間でアークを発生させて溶接する場合がある。この場合、溶融部の温度分布によって対流が発生し、この対流及び重力の影響で溶融金属が溶け落ちるおそれがある。
例えば、ワークに対して下側からフィラを供給し、前記した溶け落ちによる欠落分を溶融したフィラで埋めることも考えられる。しかしながら、この場合にも対流及び重力の影響で溶け落ちが続くため、生産効率が落ちるという問題がある。
そこで、本発明は、ワークに対して下側に溶接トーチを配置する場合にも適切にアークスポット溶接できるアークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るアークスポット溶接装置は、重ね合わせられた複数の母材であるワークの下側に配置され、前記ワークとの間でアーク放電することでスポット溶接する溶接トーチと、前記ワークと前記溶接トーチとの間に生じるアークを囲むように、前記ワークに向けてシールドガスを供給するシールドガス供給手段と、前記溶接トーチ及び前記シールドガス供給手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素をシールドガスに含有させるように前記シールドガス供給手段を制御することを特徴とする。
このような構成によれば、制御手段は溶接トーチを制御して、ワークとの間にアークを発生させる。ここで、溶接トーチはワークよりも下側に配置される。したがって、アーク放電の熱によってワークの下面から溶融し、当該溶融は鉛直方向上向きに進む。
また、制御手段は、シールドガス供給手段を制御して、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素をシールドガスに含有させる。シールドガスに含まれる酸素又は二酸化炭素は、溶接トーチとワークとの間で生じるアークの熱で高温になって反応性が高くなっている。また、シールドガスはアークを囲むように供給される。そうすると、ワークが溶融した部分(溶融部)のうち、シールドガスとの界面(下方から視て環状の界面)付近に酸素又は二酸化炭素が溶け込み、当該部分の界面が活性化される。
その結果、また、酸素又は二酸化炭素との反応熱によって、溶融部のうちシールドガスとの界面付近(中温)のほうが、溶融部の上部(低温)よりも表面張力が大きくなる。また、アークの一端が位置する外表面中心付近(高温)の溶融部のほうが、シールドガスとの界面付近(中温)の溶融部よりも表面張力が大きくなる。このように、表面張力が不均一となることでマランゴニ対流が発生し、溶融部の外表面の縁から中心付近に向かって溶融金属が集まり、鉛直方向上向きに上昇する流れが発生する。
したがって、溶融部の外表面の縁から溶融金属が外向きに出ようとする力を抑制すると共に、自重による溶け落ちを防止できる。また、溶融金属が鉛直方向上向きに上昇することでワークの溶融がスムーズに進み、アークスポット溶接の効率を高めることができる。
また、本発明に係るアークスポット溶接方法は、重ね合わせられた複数の母材であるワークの下側に溶接トーチを配置し、前記ワークと前記溶接トーチとの間でアーク放電することでスポット溶接するアークスポット溶接方法であって、アークを囲むように前記ワークに向けて供給するシールドガスに、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素を含有させることを特徴とする。
このような構成によれば、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素をシールドガスに含有させる。したがって、シールドガスとの界面(下方から視て環状の界面)付近の溶融部に酸素又は二酸化炭素が溶け込み、溶融部の界面が活性化してマランゴニ対流が発生する。これによって、溶融部の外表面の縁から中心付近に向かって溶融金属が集まり、鉛直方向上向きに上昇する流れが発生する。
したがって、前記した縁から溶融金属が外向きに出ようとする力が抑えられると共に、自重による溶け落ちを防止できる。また、ワークの溶融が上向きにスムーズに進み、アークスポット溶接の効率を高めることができる。
本発明によれば、ワークに対して下側に溶接トーチを配置する場合にも適切にアークスポット溶接するアークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るアークスポット溶接装置の構成図である。 (a)はシールドガスに二酸化炭素を含ませた場合の表面温度と表面張力との関係を示すグラフであり、(b)はシールドガスに二酸化炭素を含ませた場合の溶融部の断面模式図であり、(c)はシールドガスに二酸化炭素を含ませない場合の表面温度と表面張力との関係を示すグラフであり、(d)はシールドガスに二酸化炭素を含ませない場合の溶融部の断面模式図である。 (a)は本実施形態に係るアークスポット溶接装置を用いた場合の溶融金属の流れを示す断面模式図であり、(b)は比較例に係るアークスポット溶接装置を用いた場合の溶融金属の流れを示す断面模式図である。 二酸化炭素の含有率と溶融部の溶け込み深さとの関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下では一例として、上下方向で重ね合わされた母材K1と母材K2とをアークスポット溶接する場合について説明する。なお、被溶接部材である母材K1及び母材K2を「ワークK」と記すことがあるものとする。
<アークスポット溶接装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るアークスポット溶接装置の構成図である。アークスポット溶接装置100は、重ね合わされた母材K1と母材K2と、をアークスポット溶接する装置である。本実施形態では、母材K1,K2として、平面視で矩形状を呈する板状の金属部材を用いている。母材K1は、例えば、高張力鋼(High Tensile Strength Steel)である。母材K2は、例えば、軟鋼である。
<アーク溶接装置の構成>
図1に示すように、アーク溶接装置100は、溶接トーチ10と、ロボット駆動装置20と、ガス供給装置30と、電源装置40と、制御装置50と、を備えている。
(溶接トーチ)
溶接トーチ10は、タングステン等からなる非消耗電極11に溶接電流を導くことによってアーク放電すると共に、溶接箇所を外気から遮蔽するためにシールドガスSを供給するものである。溶接トーチ10は、棒状の非消耗電極11と、この非消耗電極11を軸線とするように延びる筒状のノズル12と、ノズル12内で非消耗電極11を保持するコレットボディ(図示せず)と、を有している。
溶接トーチ10は、自身がワークKよりも下側に位置し、かつ、非消耗電極11とワークKとを所定距離で保つように、多軸多関節ロボット(図示せず)によって保持される。溶接トーチ10は、例えば、その軸線が鉛直方向に沿うように多軸多関節ロボットによって保持される。なお、溶接トーチ10とワークKとの距離や軸線の角度は、予め設定されている。
(ロボット駆動装置)
ロボット駆動装置20は、制御装置50からの指令に応じて多軸多関節ロボットを駆動させるアクチュエータ等であり、溶接トーチ10を移動させたり、所定の溶接箇所で一時的に停止させたりする機能を有している。前記したように、アークスポット溶接は、ワークKの所定位置にアークRを集中させることで溶接箇所を点在させる溶接方式である。
(ガス供給装置)
ガス供給装置30は、アルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガスを、シールドガスSとしてノズル12から噴射させる。すなわち、ガス供給装置30は、アルゴンガスが充填されたガスボンベ31に接続される第1制御弁32と、二酸化炭素が充填されたガスボンベ33に接続される第2制御弁34と、の開度をそれぞれ調整する。これによって、アルゴンと二酸化炭素とが所定の流量比で混合したシールドガスSが、溶接トーチ10に供給される。これによってアークRを保護すると共に、溶融金属が外気に含まれる酸素・窒素と反応することを防止できる。
(電源装置)
電源装置40は、アーク溶接に必要な電力を供給する装置であり、TIG(Tungsten Insert Gas)電源41と、駆動電源42と、電流検出器43と、電圧検出器44と、を有している。
TIG電源41は、商用3相交流電力をトランス(図示せず)によって直流電力に変換し、制御装置50からの指令に応じてアーク放電を起こすための電源である。TIG電源41の陽極はワークKと電気的に接続され、TIG電源41の負極は溶接トーチ10の非消耗電極11と電気的に接続されている。
駆動電源42は、商用3相交流電力をトランス(図示せず)によって直流電力に変換し、制御装置50からの指令に応じて、ガス供給装置30及びロボット駆動装置20に電力供給する電源である。駆動電源42の陽極はガス供給装置30及びロボット駆動装置20と電気的に接続され、駆動電源42の負極は接地されている。
電流検出器43は、溶接トーチ10の非消耗電極11とワークKとの間で起こるアーク放電の電流値等を検出するものである。電流検出器43は、検出した電流値を制御装置50に出力する。
電圧検出器44は、溶接トーチ10の非消耗電極11とワークKとの間で起こるアーク放電の電圧値等を検出するものである。電圧検出器44は、検出した電圧値を制御装置50に出力する。
(制御装置)
制御装置50は、ロボット駆動装置20、ガス供給装置30、及び電源装置40の駆動を制御するものである。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、各種インタフェース等の電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って動作することで各種機能を発揮する。
制御装置50は、アーク放電制御部51と、ガス供給制御部52と、溶接トーチ移動制御部53と、を有している。
アーク放電制御部51は、電源装置40を駆動することで非消耗電極11とワークK(母材K1)との間にアークRを発生させる機能を有している。なお、アーク放電制御部51は、所定の溶接箇所で溶接トーチ10の移動を停止させるタイミングでアーク放電を開始し、アーク放電を所定時間だけ継続させるように電源装置40を駆動させる。アーク放電制御部51によるアーク電圧・電流、アーク放電時間等は、母材K1及び母材K2の材質や用途に応じて適宜設定される。
ガス供給制御部52は、アークRを発生させると共に溶接箇所を外気から遮蔽するためのシールドガスSを、ガスボンベ31,32からから溶接トーチ10に所定圧力・流量で供給させるようにガス供給装置30に指令信号を出力する。なお、ガス供給制御部52は、シールドガスSに、その流量全体の1〜30%の割合で二酸化炭素:CO2を含ませ、残りのシールドガスSをアルゴン:Arとする。
すなわち、ガス供給制御部52は、アルゴンが充填されたガスボンベ31、及び、二酸化炭素が充填されたガスボンベ32から供給されるガス流量を制御して二酸化炭素とアルゴンとを所定割合で混合し、溶接トーチ10からワークKに向けて噴射させる。
したがって、ワークKと溶接トーチ10との間に生じるアークRを囲むように、ワークKに向けてシールドガスSを供給する「シールドガス供給手段」は、ガスボンベ31,32と、第1制御弁32と、第2制御弁34と、ガス供給装置30と、ガス供給制御部52と、を備えて構成される。
溶接トーチ移動制御部53は、ワークKよりも下側において溶接トーチ10を所定の向きに移動・停止させるようにロボット駆動装置20を制御する機能を有している。
<溶接処理の手順>
(溶接工程)
制御装置50は、溶接トーチ移動制御部53によって、所定の溶接箇所で溶接トーチ10の移動を停止させる。また、制御装置50は、ガス供給制御部52によって溶接トーチ10からワークKに向けてシールドガスSを供給しつつ、アーク放電制御部53によって非消耗電極11とワークKとの間でアークRを発生させる。前記したように、ガス供給制御部52によって流量等が制御されるシールドガスSには、その体積流量の1〜30%の二酸化炭素が含まれている。
1つの溶接箇所でアークスポット溶接を行う時間は、上下方向においてワークKの溶融を母材K2の所定位置まで進ませるように(又は、アークRが母材K2を貫通するように)設定される。ちなみに、本実施形態では、フィラの送給を行わない。
(移動工程)
溶接箇所で溶接を開始してから所定時間経過後、制御装置50は、アーク放電制御部51によるアーク放電を停止させると共に、ガス供給制御部52によるシールドガスSの供給を停止させる。次に、制御装置50は、溶接トーチ移動制御部53によって、次の溶接箇所に向けて溶接トーチ10を移動させる。
このように、制御装置50は、予め設定された複数の溶接箇所で順次アークスポット溶接するように溶接トーチ10を移動させ、アーク放電及びシールドガスSの供給を実行する。
<溶融金属の流動について>
非消耗電極11と、その上方に位置するワークKと、の間でアーク放電が起こると、アークRの熱によって溶接箇所の下面(母材K1)から溶融し始め、当該溶融が上向きに進んでいく。ここで、非溶融部又はシールドガスSと接触している溶融部Pの界面には、その表面積を小さくするように表面張力が働く。なお、前記した表面張力の大きさは、溶融部Pの温度に応じて異なる。
前記したように、シールドガスSは、その体積流量の1〜30%(例えば、15%)の二酸化炭素を含有し、当該二酸化炭素は、アークRの熱により昇温して反応性が高まっている。
アークRを囲むように所定圧力でシールドガスSが噴射されると、二酸化炭素が溶融部Pに溶け込み、その界面を活性化させる。その結果、図2(a)に示すように、溶融部Pの温度が高いほど表面張力が大きくなる。
また、前後・左右方向において溶融部Pの略中心にアークRの一端が位置するため、溶融部Pの外表面中心付近は、その周囲よりも高温になる。したがって、図2(b)に示すように、溶融部Pの外表面付近では中心(アークRが当たっている箇所)に向かうほど表面張力が大きくなり、周囲から中心に向けて溶融金属が集まる流れが発生する。このように、流体の表面張力が不均一になることで生じる対流をマランゴニ対流という。
溶融部PとシールドガスSとの界面付近から中心に集まった溶融金属が上昇すると、溶融部Pの熱によってワークKの溶融が上向きに進む(図2(b)参照)。
以下では、シールドガスSに二酸化炭素を含まない(例えば、アルゴンのみとする)場合にできる溶融部を「溶融部Q」と記す。図2(c)に示すように、シールドガスSに二酸化炭素を含まない場合、溶融部Qの温度が高いほど表面張力は弱くなる。
その結果、図2(d)に示すように、溶融部Qの外表面付近では溶融金属が中心から周囲に向かう流れが発生する。つまり、比較例では、本実施形態とは逆向きのマランゴニ対流が発生する。
このように、比較例の場合、溶融金属の外表面付近において溶融金属が周囲に広がるように流れるため、本実施形態よりも溶け込み深さ(高さ)が浅くなる。また、シールドガスSと接触している界面(下方から視て環状の界面)付近において、中心から外向きに流れてくる溶融金属は、その一部が自重により溶け落ちる可能性がある(図2(d)参照)。
ところで、前記したマランゴニ対流の大きさを示すマランゴニ数Ma[−]は、以下に示す(数式1)で表わされる。(数式1)においてσTは表面張力温度係数、ΔTは液柱端面間温度差[K]、Hは液柱長さ[m]、ρは密度[kg/m3]、γは動粘性係数[m2/s]、κは温度拡散係数[m2/s]を表している。
Ma=σTΔT・H/(ρ・γ・κ) ・・・(数式1)
このように、マランゴニ数Maの値は、液柱端面間温度差ΔT(溶融部P内の任意の液柱に関する端面温度差)に比例する。
図3(a)に示すように、アークRの一端が位置している溶融部Pの外表面中心付近Aの温度は、アークRの熱によって高くなる(例えば、2000℃)。
溶融部PのうちシールドガスSとの界面付近Bは中心付近Aよりも低温ではあるが、二酸化炭素との反応熱によって溶融部Pの内部よりも100℃程度昇温する(例えば、1900℃)。
溶融部Pのうち上部Cの温度は、シールドガスSとの界面付近Bよりも低くなる(例えば、1800℃:低温)。
したがって、溶融部Pの表面張力は、上部C(低温領域)からシールドガスSとの界面付近B(中温領域)のほうが大きくなると共に、シールドガスSとの界面付近Bよりも中心付近A(高温領域)のほうが大きくなる。その結果、図3(a)に示す向きのマランゴニ対流が発生し、溶融金属はB→A→C→B→…の向きに流れて循環する。
前記したように、高温の中心領域に集まった溶融金属は上昇するため(A→C)、下方から視て溶融部Pの面積が狭くなると共に、ワークKの溶融(上向きの溶融)が促される。
一方、図3(b)に示す比較例では、シールドガスS1に二酸化炭素が含有されていない。したがって、溶融金属は、図2(c)で説明した温度と表面張力との関係によって、高温(例えば、2000℃)である中心付近Dから、低温(例えば、1800℃)である縁付近Eに向かう。なお、溶融部Qの上部Fの温度は、前記した縁付近Eの温度と略等しい。その結果、、図3(b)に示すマランゴニ対流が発生し、溶融金属はD→E→F→D→…の向きに流れて循環する。
前記したように、中心付近Dから界面に沿って外向きに向かう流れが発生するため(D→E)、縁付近Eでは前記流れによる力と自重とによって、溶融金属が溶け落ちる可能性が高くなる。
また、図3(b)に示す向きのマランゴニ対流が発生するため、下方から視て溶融部Qの面積が広くなると共に、ワークKの溶融(上向きの溶融)が進む速さは、図3(a)の場合と比較して遅くなる。
図4は、二酸化炭素の含有率と溶融部の溶け込み深さとの関係を示すグラフである。なお、溶け込み深さとは、母材K1の下面と溶融部Pの上端との上下方向の距離(アーク放電を開始してから所定時間が経過したときの距離)を意味している。
図4に示すように、シールドガスSに含ませる二酸化炭素の含有率を0%から徐々に大きくしていくと、それに応じて溶け込み深さの値も大きくなり、含有率17%付近で溶け込み深さが最大となる。特に、二酸化炭素の含有率が1%〜30%の領域では、二酸化炭素を含有しない場合と比較して溶け込み深さの値が大きくなることが判明した。
<効果>
本実施形態に係るアークスポット溶接装置100によれば、アークRを囲むように供給するシールドガスSに、その体積流量の1〜30%の二酸化炭素を含有させる。溶融部Pは、二酸化炭素が溶け込むことで界面が活性化されるため、溶融部の外表面付近において中心付近A(高温:図3(a)参照)のほうが、シールドガスSとの界面付近B(中温:(図3(a)参照)よりも表面張力が大きくなる。このように溶融部Pの表面張力を不均一とすることでマランゴニ対流を発生させ、溶融金属がシールドガスSとの界面付近Bから中心付近Aに向かい、さらに鉛直方向上向きに上昇する流れ(B→C:図3(a)参照)を発生させることができる。
また、前記したマランゴニ対流によって、アークRの一端が位置する中心付近Aから溶融金属が外向きに出ようとする力を抑制し、シールドガスSとの界面付近Bで溶融金属が自重で溶け落ちることを防止できる。
また、マランゴニ対流によって溶融金属が鉛直方向上向きに上昇することでワークKの溶融がスムーズに進み、アークスポット溶接の効率を高めることができる。
≪変形例≫
以上、本発明に係るークスポット溶接装置100について実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更等を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、シールドガスSに二酸化炭素を含有させる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、シールドガスSに1〜30%の酸素を含有させてもよい。この場合でも、前記実施形態と同様に溶融部PのうちシールドガスSの噴射を受ける箇所の界面が活性化すると共に温度が上昇する。したがって、図3(a)に示す向きのマランゴニ対流を発生させ、溶接トーチ10をワークKの下側に配置する場合でも、適切にアークスポット溶接できる。
また、前記実施形態では、溶接トーチ10とワークKとの間でアークを発生させてアークスポット溶接する場合について説明したが、これに限らない。例えば、レーザ溶接やプラズマ溶接等、他の溶接方式にも適用できる。
また、前記実施形態では、2つの母材K1,K2を溶接する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、3つ以上の板状の母材を同様の方法で溶接してもよい。
また、前記実施形態では、母材K1(高張力鋼)と母材K2(軟鋼)とが異なる部材である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、複数の母材のうち互いに同種のものが存在してもよい。また、母材K1,K2として他の種類の金属を用いてもよい。
また、前記実施形態では、ロボット駆動装置30や制御装置50を用いて自動で溶接する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、人間が溶接トーチ10を持って、ワークKの下側から手動で溶接してもよい。
また、前記実施形態では、板面が水平面と略平行となるようにワークKを配置し、ワークKの下側からアークスポット溶接する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、板面が水平面と所定角度を有するようにワークKを配置し、その下側に溶接トーチ10を配置してもよい。
また、ワークKの上側に溶接トーチ10を配置して、前記実施形態と同様の方法でアークスポット溶接してもよい。この場合でも、マランゴニ対流によって溶け込みが速く進むため、効率的に溶接できる。
100 アークスポット溶接装置
10 溶接トーチ
20 ロボット駆動装置
30 ガス供給装置(シールドガス供給手段)
31,33 ガスボンベ(シールドガス供給手段)
32 第1制御弁(シールドガス供給手段)
34 第2制御弁(シールドガス供給手段)
40 電源装置
50 制御装置(制御手段)
51 アーク放電制御部
52 ガス供給制御部(シールドガス供給手段)
53 溶接トーチ移動制御部
K1,K2 母材
K ワーク
P 溶融部

Claims (2)

  1. 重ね合わせられた複数の母材であるワークの下側に配置され、前記ワークとの間でアーク放電することでスポット溶接する溶接トーチと、
    前記ワークと前記溶接トーチとの間に生じるアークを囲むように、前記ワークに向けてシールドガスを供給するシールドガス供給手段と、
    前記溶接トーチ及び前記シールドガス供給手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素をシールドガスに含有させるように前記シールドガス供給手段を制御する
    ことを特徴とするアークスポット溶接装置。
  2. 重ね合わせられた複数の母材であるワークの下側に溶接トーチを配置し、前記ワークと前記溶接トーチとの間でアーク放電することでスポット溶接するアークスポット溶接方法であって、
    アークを囲むように前記ワークに向けて供給するシールドガスに、ガス流量全体の1〜30%の酸素又は二酸化炭素を含有させる
    ことを特徴とするアークスポット溶接方法。
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JPS6072679A (ja) * 1983-09-01 1985-04-24 ピ−.ピ−.アイ.パフオ−マンス プロセス インタ−ナシヨナル エヌ.ヴイ. ガス金属ア−ク溶接方法
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