JP2014177681A - 蒸着源坩堝 - Google Patents

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Abstract

【目的】坩堝内の蒸着材料全体が均等に昇温するまでの待機時間を短縮化し、以って薄膜形成装置の稼働率を向上させ、蒸着材料の利用効率を向上させ、基板上に形成される薄膜の品質低下を防止できる蒸着源坩堝を提供する。
【構成】外側に配置されたヒーターからの熱により内部の蒸着材料を加熱するための蒸着源坩堝であって、一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、坩堝の内壁面と坩堝内の水平方向における略中央部分とを繋ぐように配置されている蒸着源坩堝である。望ましくは、前記坩堝の内壁面の互いに対向する部分をそれぞれ繋ぐ複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、平面視で互いに交差するように、且つ上下方向の高さが互いに異なるように、内壁面に溶接、固定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸着材料を加熱して溶融、蒸発させその蒸発分子を基板表面に堆積させて薄膜を成長させるために使用される蒸着源坩堝に関する。
図6は、従来の真空チャンバ内で基板表面に薄膜を形成するための薄膜形成装置に使用される分子線源セルを示す断面図である。この分子線源セルは、熱的及び化学的に安定性の高い材質から成る有底円筒状の坩堝3の中に蒸着材料aを収容しておき、この蒸着材料aを坩堝3の外側に配置された電気ヒーター5で加熱し、これにより蒸着材料を溶融、蒸発させ、発生した蒸発分子を放出口4から放出し、基板上に堆積させるものである(特許文献1参照)。なお前記坩堝3をその外側周囲から加熱する前記ヒーター5の加熱温度は、前記坩堝3の底部中央部などの一つ又は複数の位置の温度を測定する熱電対7からの出力に基づいて制御されている。
特開2005−82833号公報
ところで、上記の図6に示すような従来の分子線源セルの坩堝3においては、前記坩堝3の外側に設置したヒーター5により坩堝3の内部を加熱するようにしているため、図6の二点鎖線で示す温度分布のように、前記ヒーター5に近い坩堝3内の周辺部分の蒸着材料は比較的短時間内に十分に昇温するのに対して前記ヒーター5から離れた坩堝3内の中央部分の蒸着材料はなかなか昇温しないなど、特に坩堝3内の周辺側と中心側との間で昇温ムラが生じてしまっていた。
そのため、特に有機物などの熱伝導率が低い非金属材料を蒸着させる場合などにおいて、また近年の大型の坩堝を使用する場合などにおいては、坩堝内の蒸着材料全体の温度が均等になるまでに長時間の待機時間が必要となり、その待機時間が律速となって薄膜形成装置の稼働率が低下してしまうという問題があった。また、上記の長い待機時間中に蒸着材料の一部が蒸発してしまい、蒸着材料の利用効率が低下してしまうという問題もあった。さらにまた、前述のような昇温ムラが生じた坩堝3内の高温部分の蒸着材料の中には材料劣化が原因と見られる蒸発速度の低下などが発生する場合があり基板上に形成された薄膜の品質低下という問題も生じていた。
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、ヒーターによる加熱時に坩堝内の蒸着材料に昇温ムラが生じることがないようにして、坩堝内の蒸着材料全体が均等に昇温するまでの待機時間を短縮化し、以って薄膜形成装置の稼働率を向上させ、蒸着材料の利用効率を向上させ、さらには基板上に形成される薄膜の品質低下を防止することができる蒸着源坩堝を提供することを目的とする。
このような課題を解決するための本発明による蒸着源坩堝は、外側に配置されたヒーターからの熱により内部の蒸着材料を加熱するための蒸着源坩堝であって、一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、坩堝の内壁面と坩堝内の水平方向における略中央部分とを繋ぐように配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明による蒸着源坩堝においては、前記坩堝の内壁面の互いに対向する部分をそれぞれ繋ぐ複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、平面視で互いに交差するように、且つ上下方向の高さが互いに異なるように、配置されているものであってもよい。
また、本発明による蒸着源坩堝においては、前記一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体は、坩堝内の上下方向における略中央部分から底部までの領域内においてのみ配置されるものであってもよい。
また、本発明による蒸着源坩堝においては、前記一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体は、前記坩堝の内壁面に対して固定的に又は着脱自在に配置されている。
本発明においては、一つ又は複数の金属(合金を含む)製の棒、細線又は帯状体を、坩堝の内壁面と坩堝内の水平方向における略中央部分とを繋ぐように配置するようにしたので、坩堝の外側からのヒーターの熱が、坩堝の内壁面に接触又は接合されている、熱伝導率の高い金属製の棒、細線又は帯状体により、坩堝内の内壁面側の蒸着材料だけでなく略中央部分側の蒸着材料にも効率的に伝えられ、坩堝内の蒸着材料の全体がムラなく均一に昇温されるようになるので、坩堝内の蒸着材料全体の温度が均等に昇温されるまでの待機時間が従来よりも大幅に削減される。よって、本発明によれば、坩堝内の蒸着材料全体の温度が均等に昇温されるまでの待機時間が大幅に短縮される結果、薄膜形成装置の稼働率を大幅に向上させることが可能になり、従来の長い待機時間中に蒸着材料が蒸発してしまうことを無くして蒸着材料の利用効率を向上させることができるようになり、さらに従来の長い待機時間中に坩堝内の高温に加熱された部分の蒸着材料に劣化が生じて基板上に形成される薄膜の品質低下が生じてしまうことも有効に防止できるようになる。
また、本発明において、複数の金属製の棒、細線又は帯状体を、坩堝の内壁面の互いに対向する部分をそれぞれ繋ぐように、平面視で互いに交差するように、且つ上下方向の高さが互いに異なるように配置するようにしたときは、坩堝内に複数の金属製の棒、細線又は帯状体を言わば略格子状又は略網の目状に張り巡らさせることができるので、ヒーターからの熱により坩堝内の蒸着材料全体を確実に昇温ムラなく均等に昇温させることが可能になる。
また、本発明において、前記一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体を、坩堝内の上下方向における略中央部分から底部までの領域においてのみ配置するようにしたときは、ほとんどの場合において蒸着材料が坩堝内に収容されるのは前記坩堝内の上下方向における略中央部分から底部までの領域内であることから、ほとんどの場合に坩堝内の蒸着材料の全体を均等に昇温させることが可能になると共に、坩堝内の上下方向における略中央部分から上方の放出口までの領域には金属製の棒、細線又は帯状体が配置されていないので、坩堝内の蒸着材料が加熱、蒸発されて蒸発分子が放出口の方向に移動するときに金属製の棒、細線又は帯状体がそのスムーズな移動を阻害することが無くなるという効果が得られる。
さらに、本発明において、前記金属製の棒、細線又は帯状体を坩堝の内壁面に対して例えば溶接などにより固定的に配置するときは、坩堝内で前記金属製の棒、細線又は帯状体が脱落するなどの心配がなく安定的に装置を作動させることができると共に内壁面からの熱を確実に坩堝内の全体に伝えることができる。他方、本発明において、前記金属製の棒、細線又は帯状体を坩堝の内壁面に対して着脱自在に配置するときは、前記金属製の棒、細線又は帯状体を容易に坩堝から取り外すことができるので坩堝のメンテナンスなどが極めて容易に行えるようになる。
(a)及び(b)はそれぞれ本発明の一実施形態に係る蒸着源坩堝の外観を示す側面図及び正面図である。 (a)及び(b)はそれぞれ図1の蒸着源坩堝の側断面図及び正面から見た断面図、(c)は図1の蒸着源坩堝の平面図である。 本実施形態の効果を確認するために本発明者が行った実験内容を説明するための図である。 本実施形態の効果を確認するために本発明者が行った実験結果を説明するための図である。 (a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係る蒸着源坩堝を説明するための図である。 従来の真空チャンバ内において基板表面に薄膜を形成するための薄膜形成装置に使用される分子線源セルを示す断面図である。
次に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1(a)及び(b)はそれぞれ本発明の一実施形態に係る蒸着源坩堝の外観を示す側面図及び正面図、図2(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態の側断面図及び正面から見た断面図、(c)は本実施形態の平面図である。
図1,2において、11はその外周面に電気ヒーター(図示せず)が配置された有底円筒状の坩堝、11aは坩堝11の内壁面、11bは坩堝11の底部、12,13は前記坩堝11内に配置された例えばステンレス製の金属棒、14は前記坩堝11の上方に形成され蒸発分子を基板(図示せず)方向に放出する放出口である。
本実施形態では、前記各金属棒12,13は、前記坩堝11の内壁面11aの互いに対向する部分に形成された各凹部又は孔などにそれぞれの端部が溶接され固定されている。すなわち、前記金属棒12,13の各端部は、前記各金属棒12,13が前記坩堝11の平面の半径方向に延びるように、前記内壁面11aの互いに対向する面の各凹部又は孔などにそれぞれ溶接されている。また、前記各金属棒12と前記各金属棒13とは、平面から見たとき互いに略直交するように(図2(c)参照)、且つ側面から見たとき上下方向の高さが互いに異なるように(図2(a)及び(b)参照)、配置されている。
以上のように、本実施形態では、前記各金属棒12,13が、前記坩堝11の内壁面11aの互いに対向する部分をそれぞれ繋ぐように、平面視では互いに略直交するように、且つ上下方向の高さが互いに異なるように、前記坩堝11の内壁面11aに溶接、固定されている。よって、本実施形態によれば、坩堝11内に複数の金属棒12,13が言わば略格子状に張り巡らされたような状態になるので、前記坩堝11の外側に配置されたヒーター(図示せず)からの熱が坩堝11内の蒸着材料の全体に均等に伝えられるようになり、坩堝11内の蒸着材料の全体を確実にムラなく昇温させることが可能になる。
本発明者は、本実施形態に係る坩堝11を使用した場合の坩堝11内の蒸着材料の全体が所定温度まで均等に昇温するまでの待機時間などの測定実験を行った。図3はこの実験の内容を示す図である。図3に示すように、坩堝内の複数箇所に熱電対を予め設けておき、ヒーターによる加熱時における坩堝内の複数箇所の温度を測定した。
図4は上記実験結果を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る坩堝(図4では「現状」と表現している)を使用した場合、16時間で坩堝内の蒸着材料全体が目標温度までほぼ均等に昇温した。他方、本発明者が従来の坩堝を使用して実験した結果によると、従来の坩堝内の蒸着材料全体が目標温度までほぼ均等に昇温するまでに約24時間の待機時間が必要であった。よって、本実施形態に係る坩堝を使用することにより、従来例と比較して約30%以上も待機時間を短縮化することが可能になった。
次に図5は本発明の他の実施形態に係る蒸着源坩堝の例を説明するための図である。図5(a)に示す例では、金属棒22,23の各端部が坩堝21の中心軸Cを介して互いに対向する内壁面21aの各部分にそれぞれ溶接されている(このような構成は、図1,2に関して前述した実施形態と略同様である)。また、図5(a)に示す例では、坩堝21内の図示上下方向における略中央部分から底部21bまでの領域内(図5(a)の符号A参照)においてのみ、前記金属棒22,23が、互いに水平視において略直交するように且つ互いに図示上下方向において重ならないように、すなわち全体として言わば略格子状となるように、配置されている。
よって、この図5(a)の例によるときは、前記坩堝21内で蒸着材料が収容される部分は、ほとんどの場合、坩堝21内の図示上下方向における略中央部分から底部21bまでの領域内(図5(a)の符号A参照)であることから、ほとんどの場合に前記坩堝21内の蒸着材料の全体を均等に昇温させることが可能になる。また、この図5(a)の例によるときは、坩堝21の図示上下方向の略中央部分から放出口24までの領域内(図5(a)の符号B参照)には前記金属棒22,23が配置されていないので、前記坩堝21内の蒸着材料が加熱され蒸発して蒸発分子が放出口24の方向に移動するときに金属棒22,23がそのスムーズな移動を阻害することが無くなるというメリットが得られる。
また、図5(b)に示す例では、坩堝31の内部において、内壁面31aの底部31bの近傍部分35と上記部分35に中心軸Cを介して対向する内壁面31aの図示上下方向の略中央部分36との間を繋ぐように、例えば2本の金属棒32,33の各端部がそれぞれ前記各部分35,36に溶接、固定されている。このように、この図5(b)に示す例においても、前記図5(a)に示す例と同様に、前記坩堝31内の図示上下方向の略中央部分36から底部21b(又は前記部分35)までの領域内(図5(b)の符号A参照)においてのみ、前記金属棒32,33が配置されている。
よって、この図5(b)の例によるときも、坩堝31内で蒸着材料が収容される部分は、ほとんどの場合、前記坩堝31内の図示上下方向の略中央部分36から底部21b(又は前記部分35)までの領域内(図5(b)の符号A参照)であることから、ほとんどの場合に前記坩堝31内の蒸着材料の全体を均等に昇温させることが可能になる。また、この図5(b)の例によるときも、前記坩堝31の図示上下方向の略中央部分36から放出口34までの領域内(図5(b)の符号B参照)には金属棒32,33が配置されていないので、前記坩堝31内の蒸着材料が加熱され蒸発して蒸発分子が放出口34の方向に移動するときに金属棒32,33がそのスムーズな移動を阻害することが無くなるというメリットも得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、金属棒12,13をステンレス製としたが、本発明における金属製の棒、細線又は帯状体の材料としては、これに限られるものではなく、例えば銅、銀、又は合金など様々な金属材料を使用することができる。また前記実施形態では、金属製の棒、細線又は帯状体の例として、直線状の金属棒を示したが、本発明においてはこれに限られるものではなく、複雑な形状などに湾曲された金属製の棒、細線又は帯状体を坩堝内に配置するようにしてもよい。また前記実施形態においては、複数の金属棒を坩堝内で互いに平面視で略直交させることにより全体として言わば略格子状となるように配置するようにしたが、本発明ではこれに限られるものではなく、例えば複数の金属棒を、それらが坩堝内で互いに平面視で様々な角度に交差して全体として略網の目状となるように配置するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、金属棒の各端部を坩堝の内壁面に溶接し固定するようにしたが、本発明ではこれに限られるものではなく、例えば、坩堝の内壁面を押圧可能で且つ内壁面に突出する方向及び内壁面から離れる方向に弾性変形可能に形成された複数の突出部分と坩堝内の水平方向における中心側に位置する部分とを有する金属製の細線又は帯状体を坩堝内に着脱自在に挿入する(この場合、挿入中は前記突出部分が坩堝内壁面に当接、押圧する)ようにしてもよいし、あるいは、常温下では坩堝の内壁面を押圧しないが高温下では坩堝の内壁面を押圧するように変形可能に形成された複数の突出部分と坩堝の水平方向における中心側に位置する部分とを有する形状記憶合金製の細線又は帯状体を坩堝内に着脱自在に挿入する(この場合、挿入中の高温下では前記突出部分が坩堝の内壁面に当接、押圧する)ようにしてもよい。
11,21,31 坩堝
11a,21a,31a 内壁面
11b,21b,31b 底部
12,13,22,23,32,33 金属棒
14,24,34 放出口

Claims (4)

  1. 外側に配置されたヒーターからの熱により内部の蒸着材料を加熱するための蒸着源坩堝であって、一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、坩堝の内壁面と坩堝内の水平方向における略中央部分とを繋ぐように配置されている、ことを特徴とする蒸着源坩堝。
  2. 請求項1において、
    前記坩堝の内壁面の互いに対向する部分をそれぞれ繋ぐ複数の金属製の棒、細線又は帯状体が、平面視で互いに交差するように、且つ上下方向の高さが互いに異なるように配置されている、ことを特徴とする蒸着源坩堝。
  3. 請求項1又は2において、
    前記一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体は、坩堝内の上下方向における略中央部分から底部までの領域内においてのみ配置されている、ことを特徴とする蒸着源坩堝。
  4. 請求項1から3までのいずれかにおいて、
    前記一つ又は複数の金属製の棒、細線又は帯状体は、前記坩堝の内壁面に対して固定的に又は着脱自在に配置されている、ことを特徴とする蒸着源坩堝。
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