JP2014178151A - 微小球共振センサーを使用する微生物検出方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微生物をウィスパリングギャラリーモード(以下WGMと略称)から判定できる方法、並びに、安価なセンサーと測定装置を提供する。
【解決手段】溶液中に存在する目的の微生物を特異的に検出する抗体が固定化した単一微小粒子を作製し、結合した目的の微生物をWGMのスプリット変化で検出する方法で、さらに、エバネセント光を入射できる対物レンズと、単一微小粒子に閉じ込めた散乱光を検出できる対物レンズを含み、1つ以上のWGMのピーク信号を検出できる分解能をもつ分光器とカバーグラスで封止されたセンサーを用いることで、迅速簡便に目的の微生物を検出する安価な微生物検出装置である。
【選択図】図4
【解決手段】溶液中に存在する目的の微生物を特異的に検出する抗体が固定化した単一微小粒子を作製し、結合した目的の微生物をWGMのスプリット変化で検出する方法で、さらに、エバネセント光を入射できる対物レンズと、単一微小粒子に閉じ込めた散乱光を検出できる対物レンズを含み、1つ以上のWGMのピーク信号を検出できる分解能をもつ分光器とカバーグラスで封止されたセンサーを用いることで、迅速簡便に目的の微生物を検出する安価な微生物検出装置である。
【選択図】図4
Description
本発明は、食品検査分野での微生物検査に係り、特に単一微小粒子を使用したウィスパリングギャラリーモード(WGM)に基づく迅速および高感度な検出装置と方法に関するものである。
食品業界にとって食中毒などの食の安全・安心を脅かす事故は、企業のブランドと信用を失墜させることにつながるため、衛生管理体制の高度化が望まれている。
食品検査において微生物の検査は、簡便、正確、迅速に行なわれる必要があるが、従来の検査手法である培養法は、増菌培養し判定するまでに24時間以上は必要で、かつ、熟練者による作業が必要となる。そのため、簡便で迅速に高感度検出が可能なセンサー、並びに、それらに最適な検出手法と装置の開発が望まれていた。
近年、迅速検査手法としてイムノクロマト法、ELISA法、DNA検査法、PCR法、免疫磁気ビーズ法などによる研究や開発が進められているが、中でも抗原‐抗体反応を用いた免疫学的検査法は特異性、迅速性、簡便性等の点で優れているため、迅速検出手法(例えば、特許文献1〜2参照)として期待され開発が行われている。
特許文献1には、標的微生物特異的抗体を用いて標的微生物を分離・回収した後、標的微生物のATPを増幅し、増幅されたATPを測定する高感度迅速検出法が公開されている。
しかし、これらの方法は検出感度や判定精度が十分でないため増菌培養が必要となり、一般的な検査結果を得るまでは8時間以上を要している。そのため、食品製造業者にとっては、検査結果を待った出荷、あるいは、自主回収のリスクを抱えた出荷となっている。
特許文献2には、微生物の構成成分と結合する抗体を固定化した捕捉体を用いて微生物を捕捉し、更に、捕捉し洗浄された微生物から抽出されたDNAをPCR法により増幅した検出方法が公開されている。
しかし、これらの方法も抽出や増幅などの高度な技術が必要となり、簡易かつ安価に検査結果を得ることは難しい。
したがって、高価な装置やセンサーを用いることなく、簡便で迅速に高感度検出が可能なセンサー、並びに、それらに最適な検出手法と装置は未だ提供されていない。
このような課題を解決する手法として、単一の共振器内にプローブ光を入射し循環させる光学モードを利用したバイオセンサーが提供される。この光学共振モードおよび共振は、ウィスパリングギャラリーモード(以下WGMと略称)、または、形態依存共振(MDR)と呼ばれ、プローブ光で入射した光が共振器の境界面で全反射し閉じ込められた場合に発生する。
WGMは表面の状態に非常に敏感であるために、微小回転楕円体の表面に標的分析物と結合する結合パートナーを固定化し、WGMのプロファイルピークを検出する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜4参照)。また、検体溶液が検出器表面を流れ過ぎる前に、導波路と結合した光学微小共振器を含めることで、検出される信号光の割合を増加させるバイオセンサーも提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、これらのWGMのプロファイルピークの波長シフトを検出するには、高分解能を要する検出器が必要となり、また測定時の迷光を拾い易いために測定誤差と波長シフトの判定ができないという問題もある。したがって、高価な測定装置を用いることなく、迅速で簡便な測定手法と測定装置の開発が望まれている。
本発明は前述した従来における問題を解決し、微生物をWGMのスペクトルピークのスプリット変化から容易に判定できる方法、並びに、高価な測定装置を用いることなく安価なセンサーと測定装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は第一に、溶液中に存在する目的の微生物を特異的に検出する抗体を固定化した単一微小粒子に目的の微生物を結合し、結合した目的の微生物をWGMに対応したピークのスプリット変化で検出することを特徴とする微小球共振センサーを使用する微生物検出方法である。本発明の単一微小粒子は、抗体の固定化および目的の微生物の結合と一致する波長で共振する条件をみたす直径と、媒質の屈折率よりも高いことを特徴とし、単一微粒子が、1〜10μmの直径を有することで、高感度のWGMピークを検出することができる。
また、本発明は第二に、単一微小粒子の直径以下に集光したエバネセント光をカバーグラスで封止された単一微小粒子に入射できる励起用対物レンズと、単一微小粒子に閉じ込めた散乱光を検出できる検出用対物レンズを含み、暗視野照明を備え、1つ以上のWGMのピーク信号を検出できる分解能をもつ分光器を用いることで、迅速簡便に目的の微生物を検出する安価な微小球共振センサーを使用する微生物検出装置を作製することが可能となる。
本発明にかかる微小球共振センサーを使用する微生物検出方法は、単一の微小粒子により感度の増幅を行うため、検査工程において培養法を利用する必要がなく、さらに、WGMのピーク信号のスプリット変化により容易に微生物を判定することができる。すなわち、目的とする微生物を単一の微小粒子のみで判定できることが可能となり、ピーク信号に対応する波長の光源を用いることで、使い捨て用の安価なセンサーと小型装置の開発が可能となる。
また、食品分野をはじめ、環境や、医療など微生物検査が必要な分野において、簡便、迅速、安価な検査判定を行うことが可能となる。
本発明において、検出対象の目的となる微生物は大腸菌群とし、大腸菌群が産生する酵素のβガラクトシダーゼを迅速、高精度に検出するための微生物検出方法を説明する。
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示すように、マイクロキャビティー共振器のバイオセンサーとして、真球性のあるポリスチレンの単一微小粒子1または、蛍光ポリスチレンの単一微小粒子1に目的の検出対象と反応する抗体2を固定化することで微生物の判定が可能となる。エバネセント光などにより励起され、単一微小粒子1の表面内に光を閉じ込め循環するWGMにより単一微小粒子1の表面から散乱光が発せられ、周期的な波長のスペクトルが形成される。この波長スペクトルは微小粒子の直径や屈折率、微小粒子周辺の状態などにより非常に敏感であるため、単一微小粒子1の表面に対象となるβガラクトシダーゼに対する抗体2を固定化することで、抗原抗体反応による共振条件の変化が発生する。そのため、WGMが共鳴する波長のシフトやスペクトルピークの信号変化から、目的とする検出物の判定が可能となる。この測定手法は、単一の微小粒子をバイオセンサーとして利用するために、センサーが安価に作製でき、また使い捨ても可能となる。汚染されたセンサーを再利用しないために食品検査において安全安心な検査方法を提供できた。
溶液中で単一微小粒子1に光を閉じ込めWGMを発生させるには、βガラクトシダーゼを含む溶液に対して高い屈折率を有する必要がある。WGMを発生するには、単一微小粒子1の屈折率は1.50以下であると溶液中で周期的な波長スペクトルが形成されないため1.50以上あることが望ましく、WGM のスペクトルピークの間隔は、単一微小粒子1の直径に依存しており、直径が大きくなるほどスペクトルピークの間隔が狭くなるため、単一微小粒子1の直径は表1に示すように迷光の軽減、ピーク検出の精度、検査の観測・操作性より1〜10μmであることが望ましい。
本発明における溶液中での単一微小粒子1は空気中での単一微粒子1の場合と比較し基板ガラス3との屈折率差が小さいため、図2に示すように、単一微小粒子1を確認するために基板ガラス3へ観測用照明光5を入射する暗視野照明を用い、封止ガラス6を使用することで、目的の酵素4を含む溶液に対しても、単一微小粒子1の観測が可能となった。
図3に示すように、微小粒子の表面に目的の酵素となるβガラクトシダーゼに対する抗体を固定化し、抗原抗体反応が起こることでスペクトルピークにスプリット変化を確認することが可能となる。βガラクトシダーゼに対する抗体を固定化しない場合は、スペクトルピークのシフトのみが確認できるが、スプリット変化までは確認できない。単一微小粒子を循環する光共振条件がβガラクトシダーゼの結合により変化し、新しい共振モードが発生する本検査手法を利用することで、容易に微生物の判定が可能となる。
図4に示すように、本発明のWGM光検出部16は、基板ガラス3の上に微小粒子を滴下し固定させる。入射光8は大きな開口数(NA)を持つ励起用対物レンズ7により入射するため、基板ガラス3への入射光8の角度は全反射角度以上となり、基板ガラス3の表面上に局在波であるエバネセント光11が発生する。基板ガラス3の厚みは励起用対物レンズ7の焦点が微小粒子に合うようにするためにイマージョンオイル9を用い、励起用対物レンズ7からの入射光8が集光するように170μm以下であることが望ましい。基板ガラス3を動かすXYZ移動ステージ10と大きな開口数(NA)を持つ励起用対物レンズ7を用いることで、単一微小粒子1の直径以下に入射光のスポット径をできるため、単一微小粒子以外からの迷光を抑えることができ、高いS/N比をもつ検出が可能となった。
滴下した溶液量により微小粒子1からの散乱光状態が異なる。滴下後の検査部は封止ガラス6で被うことで溶液の蒸発とムラを抑えることが可能となるために、高精度なスペクトルの検出が可能となった。単一微小粒子からの散乱光は上部に取り付けられた検出用対物レンズ13により集光し光ファイバー14で導光され分光器15で検出される。
図5に示すように、分光器15で検出した散乱光は、スプリット変化検出部17によりWGMのピーク信号のスプリット変化が認識され、スプリット変化があるWGMスペクトルは微生物検出判定部18により微小粒子の表面に目的の酵素となるβガラクトシダーゼが結合したことを判定できる。なお、検出した散乱光の波長ピークのスプリット間隔は3nm以上となるために、分光器の分解能は3nm以下であることが望ましい。
以下実証実験の状況を説明する。
(1)目的とする酵素
大腸菌群は食品の衛生分野において、汚染指標菌として広く用いられている。大腸菌群が糖を分解する時に産生する酵素の一種のβ-D-ガラクトシダーゼ(和光純薬工業社製)を使用した。
(2)抗体
目的とするβガラクトシダーゼ(β-galactosidase)と反応するためにRabbit IgGのポリクロナール抗体(医学生物学研究所社製)を使用した。
(3)単一微小粒子の選定
単一微小粒子の直径は、検出するピーク信号のS/N比や検査の観測・操作性を比較して1〜10μmを選定している。表1に示すように、励起光のスポット径が単一微小粒子の直径よりも小さくなることで、基板ガラス3からの迷光を軽減できた。さらに、単一微小粒子からの散乱光のピークの間隔が4nm以上離れているために、容易に分光器で検出が可能となった。また、単一微小粒子の直径が大きくなる程、光学顕微鏡での観測も可能となるため、検出部の確認が容易となった。
(1)目的とする酵素
大腸菌群は食品の衛生分野において、汚染指標菌として広く用いられている。大腸菌群が糖を分解する時に産生する酵素の一種のβ-D-ガラクトシダーゼ(和光純薬工業社製)を使用した。
(2)抗体
目的とするβガラクトシダーゼ(β-galactosidase)と反応するためにRabbit IgGのポリクロナール抗体(医学生物学研究所社製)を使用した。
(3)単一微小粒子の選定
単一微小粒子の直径は、検出するピーク信号のS/N比や検査の観測・操作性を比較して1〜10μmを選定している。表1に示すように、励起光のスポット径が単一微小粒子の直径よりも小さくなることで、基板ガラス3からの迷光を軽減できた。さらに、単一微小粒子からの散乱光のピークの間隔が4nm以上離れているために、容易に分光器で検出が可能となった。また、単一微小粒子の直径が大きくなる程、光学顕微鏡での観測も可能となるため、検出部の確認が容易となった。
(4)単一微小粒子を用いた微生物の判定
直径10μmのカルボキシル基が修飾された蛍光ポリスチレン微小粒子(micromod社製)を2回洗浄した後、水溶性のカルボジイミド(Polysciences社製)によりカルボキシル基を活性化させ、抗体を微小粒子の表面に固定化した。60分間程度反応した後、遠心分離機で上澄み部を取り除くことで抗体が固定化した微小粒子を含む溶液を作製した。作製した微粒子は図4のXYZ移動ステージ10に設置したガラスベースディッシュ(Iwaki社製)上に20〜50μl程度滴下し、さらに同量のβ-D-ガラクトシダーゼを滴下する。532nmの光で微小粒子を励起すると、560〜620nmの波長領域に蛍光スペクトルを検出した。β-D-ガラクトシダーゼを滴下し15分間反応させた後、蛍光スペクトルの中に微粒子の中に閉じ込められた光共振反応を示すWGMの波長ピークのスペクトルが検出でき、図3の破線のグラフに示すように、ピークスペクトルが2つにスプリットしているのが確認できた。β-D-ガラクトシダーゼを滴下しない場合や、抗体を固定化していない微粒子のWGMの波長ピークにはスプリットが検出できないため、β-D-ガラクトシダーゼの結合に起因するモードであることが分かり、図5のスプリット変化検出部17により、最も検出感度が高いWGMのピーク信号にスプリット変化が現れるかを微生物検出判定部18により検出することで迅速、簡便に微生物を判定できることを示している。
直径10μmのカルボキシル基が修飾された蛍光ポリスチレン微小粒子(micromod社製)を2回洗浄した後、水溶性のカルボジイミド(Polysciences社製)によりカルボキシル基を活性化させ、抗体を微小粒子の表面に固定化した。60分間程度反応した後、遠心分離機で上澄み部を取り除くことで抗体が固定化した微小粒子を含む溶液を作製した。作製した微粒子は図4のXYZ移動ステージ10に設置したガラスベースディッシュ(Iwaki社製)上に20〜50μl程度滴下し、さらに同量のβ-D-ガラクトシダーゼを滴下する。532nmの光で微小粒子を励起すると、560〜620nmの波長領域に蛍光スペクトルを検出した。β-D-ガラクトシダーゼを滴下し15分間反応させた後、蛍光スペクトルの中に微粒子の中に閉じ込められた光共振反応を示すWGMの波長ピークのスペクトルが検出でき、図3の破線のグラフに示すように、ピークスペクトルが2つにスプリットしているのが確認できた。β-D-ガラクトシダーゼを滴下しない場合や、抗体を固定化していない微粒子のWGMの波長ピークにはスプリットが検出できないため、β-D-ガラクトシダーゼの結合に起因するモードであることが分かり、図5のスプリット変化検出部17により、最も検出感度が高いWGMのピーク信号にスプリット変化が現れるかを微生物検出判定部18により検出することで迅速、簡便に微生物を判定できることを示している。
上記に述べたように、本発明によって、高精度で安価な微小粒子センサーを用いることで迅速に微生物を検出できる装置を提供することが可能となった。
本発明は、微生物の検査が必要な食品分野における検査方法に関するものであるが、環境衛生分野、医薬品分野等での利用も可能である。高価な検出装置等を用いることなく、高感度で迅速、しかも低コスト検査チップを実現できる微小球共振センサーを使用する微生物検査を提供することができる。
1 単一微小粒子
2 抗体
3 基板ガラス
4 目的の酵素
5 観測用照明光
6 封止ガラス
7 励起用対物レンズ
8 入射光
9 イマージョンオイル
10 XYZ移動ステージ
11 エバネセント光
12 観測用光源
13 検出用対物レンズ
14 光ファイバー
15 分光器
16 WGM光検出部
17 スプリット変化検出部
18 微生物検出判定部
2 抗体
3 基板ガラス
4 目的の酵素
5 観測用照明光
6 封止ガラス
7 励起用対物レンズ
8 入射光
9 イマージョンオイル
10 XYZ移動ステージ
11 エバネセント光
12 観測用光源
13 検出用対物レンズ
14 光ファイバー
15 分光器
16 WGM光検出部
17 スプリット変化検出部
18 微生物検出判定部
Claims (5)
- 溶液中に存在する目的の微生物を特異的に検出する抗体を単一微小粒子に固定化し、結合した目的の微生物をウィスパリングギャラリーモードに対応したピークのスプリット変化で検出することを特徴とする微小球共振センサーを使用する微生物検出方法。
- 上記単一微小粒子は、抗体の固定化および目的の微生物の結合と一致する波長で共振する条件をみたす直径と、媒質の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の微小球共振センサーを使用する微生物検出方法。
- 上記単一微粒子が、1〜10μmの直径を有することを特徴とする請求項1に記載の微小球共振センサーを使用する微生物検出方法。
- 請求項2または請求項3に記載の単一微小粒子の直径以下に集光し及びエバネセント光を入射できる励起用対物レンズと、単一微小粒子に閉じ込めた散乱光を検出できる検出用対物レンズを含み、暗視野照明を備え、1つ以上のウィスパリングギャラリーモードのピーク信号を検出できる分解能を有する分光器からなることを特徴とする微小球共振センサーを使用する微生物検出装置。
- 上記単一微小粒子は、カバーグラスで封止されたことを特徴とする請求項4に記載の微小球共振センサーを使用する微生物検出装置。
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2013
- 2013-03-13 JP JP2013050970A patent/JP2014178151A/ja active Pending
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