JP2014180846A - 透明フレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

透明フレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Kenta Tada
謙太 多田
Tomoharu Kurita
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Abstract

【課題】優れた耐熱性、柔軟性、低吸湿性を併せ持つフレキシブル金属張積層体およびフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】金属箔の少なくとも片面に、下記一般式(1)で示される構造を構成単位中に含有するポリエステルイミド樹脂が積層されてなることを特徴とするフレキシブル金属張積層体を製造する。
【化1】


(式中、R1は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示し、R2は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は優れた耐熱性、柔軟性、低吸湿性、及び十分な無色透明性を併せ持つフレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板に関する。
液晶表示素子、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置用デバイス基板においては、折り曲げ可能なペーパーディスプレイ等の開発に伴い、現行のガラス基板に代わる透明フィルム基板の必要性が増している。又、スマートホンやタブレット端末機器等の分野においては、電子機器の小型化、軽薄化、軽量化が進み、用いられているガラス、及びセラミックス基板の軽量化、柔軟化、高屈曲化が求められている。近年、これらガラス基板、セラミック基板の代替として、耐熱性、柔軟性に優れる透明フィルム基板、透明カバーレイを用いたフレキシブルプリント配線板の適用が進められている。
フレキシブルプリント配線板をこれらの用途に適用するためには、ガラス並の無色透明性を持つ柔軟なフィルム状の材料が必要となる。又、当然、実装用基板としての適用となる為、耐熱性、寸法安定性が要求される。特に、近年のIC実装技術の高度化、高密度化に応じ、フィルム基板材料には、より高度な、耐熱性、熱寸法安定性、吸湿寸法安定性、低吸湿性等が必要となる
フレキシブルプリント配線板は、フレキシブル金属張積層体をサブトラクティブ法等によりエッチング回路加工した後、回路上にカバーレイを積層することで製造される。従来より、フレキシブル金属張積層体としては、a)金属箔と全芳香族ポリイミドフィルムを接着剤で貼り合わせた3層フレキシブル金属張積層体(特許文献1)、b)接着剤を介さず芳香族ポリイミドフィルムを金属箔に積層した2層フレキシブル金属張積層体(特許文献2)、c)芳香族ポリイミドフィルムへ直接Crなどの金属をスパッタリング等により蒸着させ、更に銅を無電解、および/または電解メッキし製造するメタライジング型の2層フレキシブル金属張積層体(特許文献3)がある。
しかし、いずれのフレキシブル金属積層体も基板材料として分子内、及び分子間での電荷移動錯体を形成する全芳香族ポリイミドフィルムを用いている。この為、可視光を吸収し、淡黄色〜赤褐色に着色しており、無色透明性が必要な用途に適用することは困難であった。又、芳香環を介したイミド基からなる分子構造は、高耐熱性を発現できるが、分極が大きく、水分子との親和性が高いという欠点があった。すなわち、吸湿率が高く、水分の影響で半田リフロー等の高温実装時に回路が膨れたり、剥離する等の問題点を抱えていた。更には、極性が高い分子構造が故に、柔軟性には劣り、スマートホンやタブレット端末機器等など、電子機器の小型化、軽薄化への対応が困難であった。
カバーレイ材料も同様で、現状は、パターン形状に応じて予め打ち抜き加工した接着剤付のポリイミドフィルムのラミネート、或いは、インク化したポリイミドのスクリーン印刷等によりパターン上に積層されているが、いずれの場合も、全芳香族ポリイミドが使用されている。この為、無色透明性が必要な用途に適用することは困難であり、又、低吸湿性や柔軟性に関しても、同様で、必ずしも十分な性能ではなかった。
透明な耐熱樹脂材料としては、ジアミン成分に脂環族ジアミンや脂肪族ジアミンを用いることにより、分子内及び分子間での電荷移動錯体の形成を抑制するポリイミドが提案されている。例えば、特許文献4にはピロメリット酸二無水物や3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等の芳香族酸二無水物とトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンとから形成されるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)をイミド化して得られるポリイミドが提案されている。しかし、該ポリイミドは高耐熱性、高透明性を示すが、ポリイミド主鎖骨格の剛直性、直線性が高いため、伸度が低く、柔軟性に欠け、吸湿率も高いという問題点があった。
また、特許文献5では屈曲性の高い4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミンと3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の特定の芳香族酸二無水物とから形成される無色透明性の共重合ポリイミドが提案されている。しかし、耐熱性を十分満足しているとは言い難く、柔軟性、吸湿特性にも問題があった。
又、特許文献4、5で提案されているポリイミドでは溶解性が乏しく、前駆体であるポリアミック酸の形で成型加工後(塗工後)、高温で熱処理しなければならず、従って、該樹脂を用いてフィルム等を連続的に生産するには、生産性が低下したり、高価な設備が必要となり、基本的に製造コストが高くなるという問題点があった。
さらに、特許文献6ではシクロヘキサントリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンより形成される無色透明性の変性ポリイミド樹脂が提案されている。
特開2000−273430号公報 特開2010−150552号公報 特開2012−186307号公報 特許3972600公報 特開平7−10993号公報 国際公開第08/072495号パンフレット
本発明はかかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、ポリイミドの耐熱性、低熱膨張性、熱寸法精度などの特性を維持したまま、優れた柔軟性、低吸湿性、及び、十分な無色透明性を併せ持つフレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板を安価に製造しようというものである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(項1)
金属箔の少なくとも片面に、下記一般式(1)で示される構造を構成単位中に含有するポリエステルイミド樹脂が積層されてなることを特徴とするフレキシブル金属張積層体。

(式中、R1は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示し、R2は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。)
(項2)
ポリエステルイミド樹脂が、さらに、一般式(2)で示される構造を構成単位中に含有することを特徴とする項1に記載のフレキシブル金属張積層体。

(式中、R2’は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。)
(項3)
一般式(1)において、R1が下記一般式(3)で示される構造であることを特徴とする項1または項2に記載のフレキシブル金属張積層体。

(ここで、Rは、2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物、2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物または2価の水酸基を有する芳香族化合物から誘導されるOH基を取り除いた後の残基である。複数個のRは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。mは1以上の正の整数である。)
(項4)
一般式(1)において、R1が下記一般式(4)及び/または一般式(5)で構成されることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。


(R3、R4は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、カーボネート基またはフルオレニリデン基を示す。X1〜X8及びX1’〜X8 ’は、それぞれが同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
(項5)
一般式(1)において、R2が下記一般式(6)で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。

(R5は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはスルフェニル基を示す。X9〜X16は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
(項6)
一般式(2)において、R2’が下記一般式(7)で構成されることを特徴とする項2〜5のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。

(R5’は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはスルフェニル基を示す。X9’〜X16’は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
(項7)
ポリエステルイミド樹脂を構成する全構成単位を100モル%としたときに、一般式(1)及び一般式(2)で示される構造を合計で20モル%以上含有し、
一般式(1)で示される構造と一般式(2)で示される構造のモル比が一般式(1)/一般式(2)=99/1〜1/99の範囲で構成されることを特徴とする項2〜6のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
(項8)
項1〜7のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体から得られるフレキシブルプリント配線板。
本発明のフレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板は、優れた耐熱性、柔軟性、低吸湿性、及び、十分な無色透明性を併せ持つ。これにより、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置用デバイス実装基板や、スマートホン、タブレット端末機器、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの基板間接続配線板、操作スイッチ部基板等、小型化、軽量化、軽薄化が進む電子機器のIC実装用基板材料等に幅広く使用できる。
以下、本発明を詳述する。
本発明における無色透明性とは、本発明のフレキシブル金属張積層体又はフレキシブルプリント配線板を40℃、35%の塩化第二銅溶液を用いて、銅箔をエッチング除去し作製した基材フィルムを、以下の測定条件で測定したときに、フィルムの厚みが5μm以上の場合において、全光線透過率(%)が80%以上の場合をいう。
<測定条件>
測定サンプル;フレキシブル金属張積層体又はフレキシブルプリント配線板の銅箔を40℃、35%の塩化第二銅溶液を用いてエッチングし、銅箔を完全に除去し作製。
測定方法;JISK7105に準ずる。
測定装置;ヘーズメーター(商品名「NDH2000」、日本電色工業(株)製、ランプ種D65)で測定し、結果項目の1つであるTtの値を全光線透過率とした。
<<ポリエステルイミド樹脂>>
本発明のポリエステルイミド樹脂は、一般式(1)で示される構造を構成単位中に含有する。
一般式(1)中、R1は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示し、R2は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。
一般式(1)の構造は、一例を挙げるならば、シクロヘキサントリカルボン酸無水物のハロゲン化物とジオール類とを反応させエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得、次いで、そのエステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネート等とを縮合反応(ポリイミド化)させて得ることができる。
本発明のポリエステルイミド樹脂は、さらに、一般式(2)で示される構造を構成単位中に含有するのがよい。

一般式(2)中、R2’は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。
ポリエステルイミド樹脂を構成する全構成単位を100モル%としたときに、一般式(1)で示される構造、または一般式(1)で示される構造と一般式(2)で示される構造の合計を、20モル%以上含有するのが好ましく、より好ましくは50モル%以上含有するのがよく、さらに好ましくは70モル%以上含有するのがよい。ポリエステルイミド樹脂を構成する全構成単位を100モル%としたときに、一般式(1)及び一般式(2)で示される構造が20モル%未満の場合、柔軟性、低吸湿性を併せ持つ樹脂組成物の製造が困難となる。
本発明のポリエステルイミド樹脂は、一般式(1)で示される構造と一般式(2)で示される構造のモル比が一般式(1)/一般式(2)=99/1〜1/99であるのが好ましく、一般式(1)/一般式(2)=90/10〜10/90であるのがより好ましく、一般式(1)/一般式(2)=80/20〜20/80であるのがさらに好ましく、一般式(1)/一般式(2)=70/30〜30/70であるのが特に好ましい。
一般式(1)で示される構造が99を超えると、R1成分の化学構造によっては、耐熱性、熱寸法精度が損なわれる場合がある。又、一般式(2)で示される構造のモル比が99を超えると、R2成分及び/又はR2’成分に依存するが、概ね、低吸湿性、柔軟性が悪化する。又、溶解性も低下する。
<一般式(1)のR1>
一般式(1)のR1としては2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基であれば特に限定されない。これらの「2価の鎖式脂肪族基」、「2価の環式脂肪族基」、「2価の芳香族基」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、一般式(1)のR1は、好ましくは「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」または「2価の水酸基を有する芳香族化合物」等から誘導される残基であることが望ましい。また、一般式(1)のR1は、「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」および「2価の水酸基を有する芳香族化合物」からなる群より選択される化合物と炭酸エステル類やホスゲン等から重合され得る「ポリカーボネートジオール化合物」から誘導される残基であってもよい。
すなわち、本発明の一般式(1)のR1としては、「ジオール化合物」から誘導される残基が好ましく、「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する芳香族化合物」、及びこれらから重合され得る「ポリカーボネートジオール化合物」などから誘導される残基がよい。
これらの「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する芳香族化合物」、及びこれらから重合され得る「ポリカーボネートジオール化合物」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」としては、2つの水酸基を有する分岐状、又は直鎖状のジオール化合物を用いることができる。たとえば、アルキレンジオール化合物、ポリオキシアルキレンジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカプロラクトンジオール化合物等が挙げられる。「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」として使用できる2つの水酸基を有する分岐状又は直鎖状のジオール化合物を以下に挙げる。
アルキレンジオール化合物として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンジオール化合物として、例えば、ジメチロールプロピオン酸(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸)、ジメチロールブタン酸(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸)、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのランダム共重合体等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシテトラメチレングリコールがよい。
ポリエステルジオール化合物としては、例えば、以下に例示される多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られる、ポリエステルジオール化合物等が挙げられる。
ポリエステルジオール化合物に用いる「多価アルコール成分」としては、任意の各種多価アルコールが使用可能である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンメタノール、ネオペンチルヒドロキシピパリン酸エステル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水添加ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール等を使用できる。
ポリエステルジオール化合物に用いる「多塩基酸成分」としては、任意の各種多塩基酸を使用することができる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族や脂環族二塩基酸が使用できる。
本発明に使用できるポリエステルジオール化合物の市販品として、具体的には、OD−X−688(DIC(株)製脂肪族ポリエステルジオール:アジピン酸/ネオペンチルグリコール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2,000)、Vylon220(東洋紡(株)製ポリエステルジオール、数平均分子量約2,000)などを挙げることができる。
ポリカプロラクトンジオール化合物として、例えば、γ−ブチルラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を開環付加反応させて得られるポリカプロラクトンジオール化合物等が挙げられる。
上述の「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」または「2価の水酸基を有する芳香族化合物」としては、「芳香環やシクロヘキサン環に2つの水酸基を有する化合物」、「2個のフェノールもしくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」、「ビフェニル構造の両方の核に水酸基を1つずつ有する化合物」、「ナフタレン骨格に2つの水酸基を有する化合物」などが用いられる。
「芳香環やシクロヘキサン環に2つの水酸基を有する化合物」として、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、2−フェニルヒドロキノン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−アダマンタンジオール、ジシクロペンタジエンの2水和物、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のカルボキシル基含有ジオール化合物等が使用できる。
「2個のフェノールもしくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」又は「ビフェニル構造の両方の核に水酸基を1つずつ有する化合物」は、下記一般式(4)、一般式(5)の残基が誘導される化合物が好ましい。
R3、R4は、直結、アルキレン基(-CnH2n-)、パーフルオロアルキレン基(-CnF2n-)、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-COO-)、カルボニル基(-CO-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィニル基(-SO-)、スルフェニル基(-S-)、カーボネート基(-OCOO-)、またはフルオレニリデン基を示す。nは1以上の正の整数である。X1〜X8及びX1’〜X8 ’は、それぞれが同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。ここで、nの上限は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
「2個のフェノールもしくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」の例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルスルホン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等が使用できる。
好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジシクロヘキシルスルホンビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物がよい。さらに好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物がよい。
「ビフェニル構造の両方の核に水酸基を1つずつ有する化合物」の例として、4,4’−ビフェノール、3,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールなどが使用できる。
「ナフタレン骨格に2つの水酸基を有する化合物」の例としては2,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,8−ナフタレンジオール等が使用できる。
上述の「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」や「2価の水酸基を有する芳香族化合物」を、単独、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、一般式(1)のR1として、上述した様々な「ジオール化合物」から誘導される残基であることに加えて、上述した様々な「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」または「2価の水酸基を有する芳香族化合物」等と炭酸エステル類やホスゲン等から重合され得る「ポリカーボネートジオール化合物」から誘導される残基であってもよい。
具体的には、一般式(1)のR1としては、上述した様々な「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」または「2価の水酸基を有する芳香族化合物」等から重合され得る化合物であって下記一般式(3)の残基が誘導される化合物であってもよい。
ここで、Rは、2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物、2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物または2価の水酸基を有する芳香族化合物から誘導されるOH基を取り除いた後の残基である。複数個のRは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。mは1以上の正の整数である。
Rは、前述の様々なジオール化合物、「2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物」、「2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物」または「2価の水酸基を有する芳香族化合物」等から誘導される残基であり、アルキレン基やビスフェノール残基が好ましい。mは1以上の正の整数である。ここで、mの上限は特に限定されないが、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。25を超える場合では耐熱性が低下する傾向にある。
ポリカーボネートジオールの製造方法としては、原料ジオールと炭酸エステル類とのエステル交換、原料ジオールとホスゲンとの脱塩化水素反応を挙げることができる。原料である炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;およびエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネートジオール化合物としては、その骨格中上述した複数種のアルキレン基を有するポリカーボネートジオール(共重合ポリカーボネートジオール)であってもよい。例えば、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせ、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせ、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせ、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせ、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせ、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせ、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールの組み合わせなどにより合成され得る共重合ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。好ましくは、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせより合成され得る共重合ポリカーボネートジオールが良い。
本発明に使用できるポリカーボネートジオール化合物の市販品として(株)クラレ製クラレポリオールCシリーズ、旭化成ケミカルズ(株)デュラノールシリーズなどが挙げられる。例えば、クラレポリオールC−1015N、クラレポリオールC−1065N((株)クラレ製カーボネートジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール、数平均分子量約1,000)、クラレポリオールC−2015N、クラレポリオールC2065N((株)クラレ製カーボネートジオール:2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール、数平均分子量約2,000)、クラレポリオールC−1050、クラレポリオールC−1090((株)クラレ製カーボネートジオール:3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約1,000)、クラレポリオールC−2050、クラレポリオールC−2090((株)クラレ製カーボネートジオール:3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2,000)、DURANOL−T5650E(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約500)、DURANOL−T5651(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約1,000)、DURANOL−T5652(旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール:1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール、数平均分子量約2,000)などを挙げることができる。好ましくは、クラレポリオールC−1015Nがよい。
本発明で使用できる一般式(1)のR1としての「ジオール化合物」の数平均分子量は、100以上30000以下であることが好ましく、より好ましくは200以上20000以下であり、さらに好ましくは200以上10000以下である。平均分子量が100未満では、低吸湿性、柔軟性が十分発揮できず、又、30000より大きいと「ジオール化合物」の組成、構造、後に説明するジアミン成分(またはイソシアネート成分)の組成、構造によっては、相分離し、機械的特性、無色透明性を十分発揮できない場合がある。
また、これらの「ジオール化合物」は2種類以上を併用することもできる。
「ジオール化合物」のなかでも、「ポリオキシアルキレンジオール化合物」、「2個のフェノールもしくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」、「ポリカーボネートジオール化合物」が好ましく、
「ポリオキシアルキレンジオール化合物」としては、ポリオキシテトラメチレングリコールがよく、
「2個のフェノールもしくは脂環式アルコールが2価の官能基で結合された化合物」としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、 ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ばよく、
「ポリカーボネートジオール化合物」としては、2−メチル−1,8−オクタンジオールと1,9−ノナンジオールの組み合わせより合成され得る共重合ポリカーボネートジオールがよい。
<一般式(1)のR2及び一般式(2)中のR2’>
一般式(1)のR2及び一般式(2)中のR2’ のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分は同一であっても異なっていてもよい。後述する好ましい製造方法に基づくならば、同一あるのが好ましい。
以下に、本発明に使用できる一般式(1)中のR2及び一般式(2)中のR2’ のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分について説明する。
一般式(1)中のR2及び一般式(2)中のR2’のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分としては2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基であれば特に限定されない。「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」、「環式脂肪族ジアミン又はそれに対応する環式脂肪族ジイソシアネート」、及び「鎖式脂肪族ジアミン又はそれに対応する鎖式脂肪族ジイソシアネート」から誘導される残基であることが望ましい。
本発明において、一般式(1)中のR2の「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」としては、耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、下記一般式(6)の残基が誘導されるジアミン又はそれに対応するジイソシアネートが好ましい。
R5は、直結、アルキレン基(-CnH2n−)、パーフルオロアルキレン基(-CnF2n−)、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-COO-)、カルボニル基(-CO-)、スルホニル基(−S(=O)2−)、スルフィニル基(-SO-)またはスルフェニル基(-S-)を示す。nは1以上10以下の正の整数である。X9〜16は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。ここで、nは1以上10以下がよく、好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下である。
本発明において、一般式(2)中のR2’の「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」としては、耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、下記一般式(7)の残基が誘導されるジアミン又はそれに対応するジイソシアネートが好ましい。
R5’は、直結、アルキレン基(-CnH2n-)、パーフルオロアルキレン基(-CnF2n-)、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-COO-)、カルボニル基(-CO-)、スルホニル基(−S(=O)2−)、スルフィニル基(-SO-)またはスルフェニル基(-S-)を示す。nは1以上10以下の正の整数である。X9’〜16’は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。ここで、nは1以上10以下がよく、好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3以下である。
「芳香族ジアミン又はそれに対応する芳香族ジイソシアネート」としては、具体的には、ジアミン化合物として例示すると、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4、4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3、3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4、4’−ジアミノジフェニルプロパン、3、3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4、4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4、4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4、4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエトキシ−4、4’−ジアミノビフェニル、o-トリジン、m−トリジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノターフェニル等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
また、「環式脂肪族ジアミン又はそれに対応する環式脂肪族ジイソシアネート」としては、ジアミン化合物として例示すると、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン) (トタンス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
「鎖式脂肪族ジアミン又はそれに対応する鎖式脂肪族ジイソシアネート」としては、ジアミン化合物として例示すると、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。また、これらは、2種類以上併用することもできる。
耐熱性、柔軟性、低吸湿性のバランス等から、一般式(1)中のR2及び一般式(2)中のR2’のジアミン成分又はそれに対応するジイソシアネート成分として好ましい成分は、ジアミン化合物として例示すると、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジアミン、o-トリジン、ジアミノターフェニル、4、4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン等から誘導される残基である。
より好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジアミン、o-トリジンであり、さらに好ましいのは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o-トリジンである。最も好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、o-トリジンから誘導される残基である。
<<ポリエステルイミド樹脂の製造>>
本発明のポリエステルイミド樹脂の製造方法の一例を挙げるならば、シクロヘキサントリカルボン酸無水物のハロゲン化物とジオール類とを反応させエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を得、次いで、そのエステル基含有テトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネート等とを縮合反応(ポリイミド化)させて得ることができる。以下、本発明のポリエステルイミド樹脂の製造方法を例示するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
たとえば、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物は、無水-1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸クロライドの塩化物と、上述の「ジオール化合物」とから公知の反応方法により合成できる。例えば、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドの塩化物と「ジオール化合物」とをテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、ガンマブチロラクトンなどの溶媒中でエステル化させることで製造できる。モル比は、通常、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライド/ジオール化合物=2/1モルで、例えば、50〜200℃下、0.1〜10時間反応させる。この場合、アンチモン、チタン、錫、亜鉛、コバルト、ゲルマニウム、アルミ等の触媒を用いても良い。又、反応副生物として塩酸等が生成する為、通常は、反応終了後、生成物を濾別、精製する。
上記のようにして得られたエステル基含有テトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用い、各種ジアミン(ジアミン法)、或いは、ジイソシアネート(ジイソシアネート法)と重合させることで、耐熱性、柔軟性、低吸湿性、及び、十分な無色透明性を兼ね備えた有機溶剤に可溶なポリエステルイミド樹脂を製造することが可能である。
製造コスト等の観点から、特に、好ましい製造法は脱炭酸反応により、ポリマーが得られるジイソシアネート法である。
ジイソシアネート法の場合、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドの塩化物と「ジオール化合物」との反応で得られたエステル基含有テトラカルボン酸二無水物等とジイソシアネートとを有機溶媒中で略化学量論量、100〜200℃で加熱重縮合させることで、本発明に用いる樹脂組成物を得ることができる。重合溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N、N’−ジメチルホルムアミド、N、N’−ジメチルアセトアミド、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどで、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン、N、N’−ジメチルアセトアミド、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。これら溶媒が重合溶媒として使用された場合は、そのまま後述するポリエステルイミドフィルムおよびシートを製造するための溶液として使用できる。また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤で置き換えることも可能である。
本発明の目的を損なわない限り、上記に例示した、酸成分として、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドに代えて、或いは、一部を以下に示すトリカルボン酸の無水物に置き換えても良い。
a)トリカルボン酸;ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ジシクロヘキシルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジシクロヘキシルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−3,3’,4’−トリカルボン酸などのトリカルボン酸等の一無水物、エステル化物などの単独、或いは、2種以上の混合物。
尚、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドにはシス体、トランス体の異性体が存在し、蒸留・再結晶等の公知の方法に従い分離精製することができる。これらの混合比は特に限定されないが、トランス体の含有量が少なくなるとガラス転移温度の低下や熱膨張係数が高くなる傾向があるため、トランス体が50%重量以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上の無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドを使用することが推奨される。
又、本発明の目的を損なわない限り、上記に例示した、トリカルボン酸無水物以外にも以下に示す、テトラカルボン酸無水物、ジカルボン酸等を酸成分として用いることができる。
b)テトラカルボン酸;ピロメリット酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸等の一無水物、二無水物、エステル化物などの単独、或いは、2種以上の混合物。
c)ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸のジカルボン酸。
本発明で用いられるポリエステルイミド樹脂の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.1から2.5dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.3から1.5dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が0.1dl/g未満では、フレキシブル金属張積層体、フレキシブルプリント配線板の機械的特性が不十分となる場合があり、また、2.5dl/g超では溶液粘度が高くなる為、フレキシブル金属張積層体へ加工する際の成形加工が困難となる。
ポリエステルイミド樹脂を含む溶液を大量のアセトンで、再沈殿、精製して作製した粉末状のポリマーサンプルをポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解する。その溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃で、ウベローデ型の粘度管により測定して、下記の式で計算する。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
上記式中、V1はウベローデ型粘度管により測定した溶液粘度を示し、V2はウベローデ型粘度管により測定した溶媒粘度を示すが、V1及びV2はポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求める。また、V3は、ポリマー濃度(g/dl)である。
<<ポリエステルイミド樹脂組成物>>
また、必要ならば、フレキシブル金属張積層体、フレキシブルプリント配線板の諸特性、たとえば、透明性、機械的特性、電気的特性、滑り性、難燃性などを改良する目的で、本発明のポリエステルイミド樹脂を含む樹脂溶液に、他の樹脂や有機化合物、及び無機化合物を混合したり又は反応させたりして、樹脂組成物としてもよい。
たとえば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、接着促進剤、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、その他、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂のような樹脂や有機化合物、或いはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物をこの発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。
樹脂組成物中のポリエステルイミド樹脂の含有量は、樹脂組成物の全固形分中50重量%以上が好ましく、更に好ましくは70重量%以上であり、特に好ましくは80重量%以上である。上限については特に制限はないが、99.0質量%以下であればよい。樹脂組成物中のポリエステルイミド樹脂の含有量が、全固形分中50重量%以上であれば、以下の記載するフィルムの製造が特に容易となる。
<<フレキシブル金属張積層体>>
本発明のポリエステルイミド樹脂、又はポリエステルイミド樹脂組成物を用いて金属箔と積層することによりフレキシブル金属張積層体とすることができる。
<金属箔>
本発明に用いる金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、スチール箔、及びニッケル箔などを使用することができ、これらを複合した複合金属箔などについても用いることができるが、好ましくは銅箔である。銅箔の表面には、有機防錆処理(ベンゾチアゾール、ベンゾトリゾール、イミダゾールなど)、無機防錆処理(亜鉛、クロメート、亜鉛合金など)シランカップリング剤処理(エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤など)、被せメッキ処理、焼けメッキ処理などの表面処理がほどこされていても良い。
ポリエステルイミド樹脂層が積層される表面(いわゆる、M面)の表面粗度(Rz)は、5.0μm以下、好ましくは2.0μm以下、最も好ましくは1.0μm以下である。5μm超では、パターニング性に劣り、又、銅箔をエッチング除去した後の樹脂フィルム層の透明性が悪くなる。表面粗度の下限は、低い程良く限定はないが、0.1μm程度であれば、本発明の目的を達成することができる。
M面に関し、更に好ましくは、光沢度が、300以上、好ましくは400以上、より好ましくは、600以上の値を有していることである。光沢度は、JIS Z 8741−1997により測定され、通常は入射角60°で照射し、60°での反射光を測定する。光沢度は高い程、表面粗さは低く、又、表面粗度(Rz)には反映されないうねり等も少ない為、表面がより平滑であることを示す。従って、その値は高い程、透明性は良いが、800程度であれば本発明の目的を達成することができる。より実用的には、上記の光沢度に加え、400nm〜800nm程度の可視光を基板に垂直照射した場合の反射率が、より透明性にすぐれたフレキシブルプリント配線板とする為の銅箔の選定には有効であり、本発明においては、更に好ましくは、400nm〜800nmの可視光領域で、好ましくは20%以上、より好ましくは、25%以上、更に好ましくは30%以上である。20%未満では、透明性に劣る。反射率は高い程よいが、80%程度であれば本発明の目的を達成することができる。
金属箔の厚みについては、特に限定はないが、たとえば、3〜50μmの金属箔を好適に用いることができる。金属箔は、通常、リボン状であり、その長さは特に限定されない。また、リボン状の金属箔の幅も特に限定されないが、一般には25〜300cm程度、特に50〜150cm程度であるのが好ましい。
以上の様な銅箔は市販の電解箔、或いは、圧延箔をそのまま使用することができる。例えば、日本電解(株)製の「HLS」、古河サーキットホイル(株)製の「F0−WS」、「U−WZ」、或いは、三井金属鉱業(株)の「NA−VLP」、「DFF」、福田金属箔粉工業(株)「CF-T9D-SVR」、「CF-TGD-SV」などが挙げられる
<フレキシブル金属張積層体の製造方法>
本発明のポリエステルイミド樹脂、又はポリエステルイミド樹脂組成物を用いたフレキシブル金属張積層体の製造方法としては特に限定されるものではなく、例えばポリエステルイミド樹脂溶液を金属箔の片面に塗布後、初期乾燥させ、熱処理すること等で製造できる。
塗工方法としては、特に限定されるものではなく、従来からよく知られている方法を適用させることができる。ロールコーター、ナイフコーター、ドクターブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、多層ダイコーター、リバースコーター、リバースロールコーターなどにより、塗工液の粘度を調整後、金属箔上に塗布することができる
本発明において、塗布後の初期乾燥条件に特に限定はないが、一般的には、ポリエステルイミド樹脂溶液に使用する溶媒の沸点(Tb(℃))より70℃〜130℃低い温度で初期乾燥する。初期乾燥温度が(Tb−70)℃より高いと、塗工面に発泡が生じ、また、乾燥温度が(Tb−130)℃より低いと、乾燥時間が長くなり、生産性が低下する。初期乾燥温度は、溶媒の種類によっても異なるが、一般には60〜150℃程度、好ましくは80〜120℃程度である。初期乾燥に要する時間は、一般には上記温度条件下で、塗膜中の溶媒残存率が5〜40%程度になる有効な時間とすればよいが、一般には1〜30分間程度、特に、2〜15分間程度である。溶媒の沸点近傍、或いは沸点以上の温度で更に乾燥(二次乾燥)するのが好ましい。
又、熱処理条件も特に限定はなく、溶媒の沸点近傍、或いは沸点以上の温度で乾燥すればよいが、一般には120℃〜500℃、好ましくは200℃〜400℃である。120℃未満では乾燥時間が長くなり、生産性が低下し、500℃超では、樹脂組成によっては劣化反応が進行し、基材樹脂フィルム層がもろくなったり、透明性が低下する場合がある。熱処理に要する時間は、一般には上記温度条件下で、塗膜中の溶媒残存率が無くなる程度になる有効な時間とすればよいが、一般には数分間〜数十時間程度である。
本発明において、初期乾燥、熱処理は、不活性ガス雰囲気下、或いは、減圧下で行ってもよい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、へリウム、アルゴン等が例示できるが、入手容易な窒素を用いるのが好ましい。又、減圧下で行う場合は、10-5〜103Pa程度、好ましくは10-1〜200Pa程度の圧力下で行うのが好ましい。
本発明において、初期乾燥、二次乾燥ともに乾燥方式に特に限定はないが、ロールサポート方式やフローティング方式など、従来公知の方法で行うことができる。又、熱処理は、テンター式などの加熱炉での連続熱処理や、巻き物状態で巻き取り、バッチ式のオーブンで熱処理しても良い。バッチ式の場合、塗布面と非塗布面が接触しない様に巻き取ることが好ましい。
フレキシブル金属張積層体のポリエステルイミド基材層の厚さは、広い範囲から選択できるが、一般には絶乾後の厚さで3〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度である。厚さが3μmよりも小さいと、フィルム強度等の機械的性質やハンドリング性に劣り、一方、厚さ300μmを超えるとフレキシブル性などの特性や加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する傾向がある。又、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
本発明の両面に金属箔を有する両面フレキシブル金属張積層体は、上記のようにして成型された片面にのみ金属箔が積層された金属張積層体の樹脂面同士を加熱ラミネートなど従来公知に方法で貼り合わせたり、接着剤層を介して従来公知の方法で張り合わせたりするなどの方法で製造することができる。ラミネートの方式は特に限定されるものではなく、ロールラミネート、プレスラミネート、ベルトプレスラミネートなど、従来公知の方式が採用でき、ラミネート温度は、通常は、樹脂のTg以上であり、200℃〜500℃が好ましく、より好ましくは250℃〜450℃、さらに好ましくは、330℃〜400 ℃である。200℃未満では、接着性が不十分であり、500℃を超えると樹脂層の劣化が生じ、機械的特性、透明性等が低下する。又、ラミネートの時間は、特に限定はないが、通常は10秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間、更に好ましくは3分〜30分である。10秒未満では接着性が不十分であり、10時間を越えると、樹脂層の劣化が生じ、機械的特性、透明性等が低下する傾向にある。
接着剤層を介して積層する場合の接着剤組成としては、特に限定はされず、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系などの接着剤が使用できるが、耐熱性、接着性、柔軟性、低吸湿性、透明性等のフレキシブルプリント配線板としての特性面のバランスなどからポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系、或いは、これらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物が好ましく、より好ましくは、本発明のポリエステルイミド樹脂組成物である。
接着剤層の厚みは、1〜30μm程度が好ましい。接着剤の厚さは、フレキシブルプリント配線基板の性能を発揮するのに支障がない限り、特に限定されないが、厚さが薄すぎる場合には、充分な接着性が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には、加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する場合がある。
<<フレキシブルプリント配線板>>
上記本発明のフレキシブル金属張積層体を用いて、例えばサブトラクティブ法等の方法により、従来公知のプロセスを用いて、フレキシブルプリント配線板を製造できる。導体回路のソルダーレジスト、或いは、汚れやキズなどから保護する目的で回路表面を被覆する場合は、耐熱性フィルムを接着剤を介して、配線板(導体回路が形成されたベース基板)に貼り合わせる方法、或いは、液状の被覆剤をスクリーン印刷法で配線板に塗布する方法などが適用できる。
耐熱性フィルムとしては、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系などのフィルムが使用できるが、耐熱性、接着性、柔軟性、低吸湿性、透明性等のフレキシブルプリント配線板としての特性面のバランスなどから、好ましくは、本発明のポリエステルイミド樹脂から得られるフィルムである。
接着剤としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系などの接着剤が使用できるが、耐熱性、接着性、柔軟性、低吸湿性、透明性等のフレキシブルプリント配線板としての特性面のバランスなどからポリイミド樹脂系、ポリアミドイミド樹脂系、ポリエステルイミド樹脂系、或いは、これらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物が好ましく、より好ましくは、本発明のポリエステルイミド樹脂組成物である。
液状の被覆剤としては、従来公知のエポキシ系やポリイミド系のインクが使用できるが、耐熱性、接着性、柔軟性、低吸湿性、透明性等のフレキシブルプリント配線板としての特性面のバランスなどから、好ましくはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂等のポリイミド系、或いはこれらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物で、より好ましくは、本発明のポリエステルイミド樹脂組成物、或いはこれらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物である。
又、エポキシ系やポリイミド系等の接着シートを配線板に直接貼りあわせることも可能であり、この場合も本発明のポリエステルイミド樹脂組成物或いは、これらの樹脂にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成物が好ましい。
回路の配線パターンは、任意のパターンが形成可能である。特に細かい配線パターンを施した回路においても本発明のフレキシブルプリント配線板は高いレベルの性能を示すので、細かい配線パターンを施す回路において特に本発明のフレキシブルプリント配線板は有利である。
具体的には、回路の配線の太さは、50μm以下とすることが可能であり、配線の太さを30μm以下とすることも可能であり、配線の太さを20μm以下とすることも可能であり、配線の太さを10μm以下とすることも可能である。配線の間隔は、50μm以下とすることが可能であり、30μm以下とすることも可能であり、20μm以下とすることも可能であり、10μm以下とすることも可能である。
この様にして製造されるフレキシブルプリント配線板は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置用デバイス実装基板や、スマートホン、タブレット端末機器、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの基板間中継ケーブル、操作スイッチ部基板等、小型化、軽量化、軽薄化が進む電子機器のIC実装用基板材料等に幅広く使用できる。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。実施例中に単に部とあるのは質量部を示す。また、測定に用いたフィルム、プリント配線板の作製方法もあわせて示す。
<フレキシブル金属張積層板の作製方法>
後述の各実施例、比較例で得られた樹脂溶液を厚さ12μmの銅箔(三井金属鉱業社のNA−VLP)に乾燥後の厚みが20μmになるようにナイフコーターで塗布した。次いで、50℃〜100℃の温度下、透明でタックフリーな状態になるまで乾燥後、ステンレス製の枠に上下面、左右面の端を固定し、真空下、200℃60分、220℃60分、260℃10時間の条件で加熱処理した。
<フレキシブルプリント配線板(FPC)作製方法>
感光性レジストを後述の各実施例、比較例で得られたフレキシブル銅張積層体の銅箔表面に積層し、マスクフィルムにて、露光、焼け付け、現像し、JIS C 5016に規定されている半田耐熱性、耐薬品性試料の配線を作製した。次いで、40℃、35%の塩化第二銅溶液を用いて、銅箔をエッチング除去し、回路形成に用いたレジストをアルカリにより除いた。
<カバーレイ付FPCの作製方法>
上記で得られたFPCの回路面に、後述の各実施例、比較例(基材フィルム層と同じ組成の樹脂)で得られた樹脂溶液を、乾燥後の厚みが10μmになる様にナイフコーターで塗布した。50℃〜100℃の温度下、透明でタックフリーな状態になるまで乾燥後、真空下、200℃30分、220℃30分、250℃3時間の条件で加熱処理した。
<基材フィルムの作製方法>
後述の各実施例、比較例で得られたフレキシブル金属張積層体を40℃、35%の塩化第二銅溶液を用いて、銅箔を完全にエッチング除去し作製した。
<対数粘度の測定>
各実施例、比較例で得られた重合溶液を大量のアセトンで、再沈殿、精製して作製した粉末状のポリマーサンプルをポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した。その溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃で、ウベローデ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
上記式中、V1はウベローデ型粘度管により測定した溶液粘度を示し、V2はウベローデ型粘度管により測定した溶媒粘度を示すが、V1及びV2はポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求めた。また、V3は、ポリマー濃度(g/dl)である。
<熱寸法変化率:耐熱性の指標>
各実施例、比較例で得られたフレキシブル金属張積層体の金属層をエッチング除去し作製したフィルム(基材フィルム)をIPC−TM−650,2.2.4(c)により(C法;150℃×30分の条件で熱処理前後の寸法変化率)、MD方向に測定した。
<半田耐熱性:耐熱性の指標>
各実施例、比較例で得られた樹脂溶液を用いて作製したFPC、カバーレイ付FPCを、25℃、65%(湿度)で24時間調湿し、フラックス洗浄した。次いで、20秒間、260℃の噴流半田浴に浸漬し、顕微鏡で変形、変色、剥がれ、膨れの有無を観察した。有を×、無を○とした。なお、フレキシブル金属張積層体としての半田耐熱性、加湿半田耐熱性は、通常、試験パターン(FPC、カバーレイ付FPC)で測定するのが現実的である。
<ガーレー式柔軟度:柔軟性の指標>
フレキシブル金属張積層体、フレキシブルプリント配線板の柔軟度の指標として、各実施例、比較例で得られたフレキシブル金属張積層体の金属層をエッチング除去し作製したフィルム(基材フィルム)をJIS L 1096に準じ、ガーレー法により、以下の条件で測定した。
測定装置;(株)東洋製作所製
サンプルサイズ;25.4mm(巾)×88.9mm(長さ)×20μm(厚み)
アーム回転速度;2rpm
<加湿半田耐熱性:吸湿性の指標>
各実施例、比較例で得られた樹脂溶液を用い作製した、FPC、カバーレイ付FPCを、40℃、90%(湿度)で24時間調湿し、フラックス洗浄した。次いで、20秒間、260℃の噴流半田浴に浸漬し、顕微鏡で変形、変色、剥がれ、膨れの有無を観察した。変形、変色、剥がれ、膨れのいずれかが目視により観察された場合、有を×、無を○とした。
<全光線透過率:無色透明性の指標>
以下の条件で測定し、結果項目の1つであるTtの値を全光線透過率とした。
測定サンプル;各実施例、比較例で得られたフレキシブル金属張積層体の金属層をエッチング除去し作製したフィルム(基材フィルム)。
測定方法;JISK7105に準ずる。
測定装置;ヘーズメーター(商品名「NDH2000」、日本電色工業(株)製、ランプ種D65)
(実施例1)
反応容器に無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドとジオール化合物としてPTMG1000(三洋化成工業(株)製、分子量1000)とを反応させてなるジエステルテトラカルボン酸二無水物 95.22g(0.07モル)、無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライド5.95g(0.03モル)、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25.03g(0.1モル)、フッ化カリウム0.1gを入れ、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン249.46gに溶解した後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃〜190℃で8時間反応させることにより、透明で粘稠なポリエステルイミド溶液を得た。得られたポリエステルイミドの対数粘度は、表1に示すように0.95dl/gであった。得られた樹脂溶液を用いフレキシブル金属張積層板、プリント配線板(FPC)、カバーレイ付FPC、基材フィルムを作製し、表2、表3、表4に示す内容で特性を評価した。樹脂特性を表1、プリント配線板(FPC)特性を表2、カバーレイ付FPC特性を表3、基材フィルム特性を表4に示す。
(実施例2〜5、比較例1)
「ジオール化合物」等の成分、ジイソシアネート成分を表1の内容にした以外は、実施例1と同様にし、樹脂溶液を作製した。得られた各ポリエステルイミドの対数粘度は、表1に示す。得られた樹脂溶液を用いフレキシブル金属張積層板、プリント配線板(FPC)、カバーレイ付FPC、基材フィルムを作製し、表2、表3、表4に示す内容で特性を評価した。樹脂特性を表1、プリント配線板(FPC)特性を表2、カバーレイ付FPC特性を表3、基材フィルム特性を表4に示す。
(実施例6)
反応容器に無水シクロヘキサントリカルボン酸クロライドとジオール化合物としてC1015(クラレ(株)製、分子量1000)とを反応させてなるジエステルテトラカルボン酸二無水物 136.03g(0.1モル)、ジイソシアネートとしてo-トリジンジイソシアネート26.43g(0.1モル)、フッ化カリウム0.1gを入れ、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン326.53gに溶解した後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃〜190℃で8時間反応させることにより、透明で粘稠なポリエステルイミド溶液を得た。得られたポリエステルイミドの対数粘度は、表1に示すように0.86dl/gであった。得られた樹脂溶液を用いフレキシブル金属張積層板、プリント配線板(FPC)、カバーレイ付FPC、基材フィルムを作製し、表2、表3、表4に示す内容で特性を評価した。樹脂特性を表1、プリント配線板(FPC)特性を表2、カバーレイ付FPC特性を表3、基材フィルム特性を表4に示す。
表1中の略号を以下に示す。
略号
PTMG1000;三洋化成工業(株) ポリオキシテトラメチレングリコール
BPE-20 ;三洋化成工業(株) ニューポールBPE-20(ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物)
C-1015 ;(株)クラレ製カーボネートジオール:2−メチル−1,8−オクタン
ジオール/1,9−ノナンジオール、数平均分子量約1000
DHDE ;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル
MDI ;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
TODI ;o−トリジンジイソシアネート
本発明のフレキシブル金属張積層体、及びフレキシブルプリント配線板は、優れた柔軟性、低吸湿性、及び、十分な無色透明性を併せ持つ。これにより、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置用デバイス実装基板や、スマートホン、タブレット端末機器、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの基板間接続配線板、操作スイッチ部基板等、小型化、軽量化、軽薄化が進む電子機器のIC実装用基板材料等に幅広く使用できる。

Claims (8)

  1. 金属箔の少なくとも片面に、下記一般式(1)で示される構造を構成単位中に含有するポリエステルイミド樹脂が積層されてなることを特徴とするフレキシブル金属張積層体。

    (式中、R1は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示し、R2は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。)
  2. ポリエステルイミド樹脂が、さらに、一般式(2)で示される構造を構成単位中に含有することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル金属張積層体。

    (式中、R2’は2価の鎖式脂肪族基、2価の環式脂肪族基または2価の芳香族基を示す。)
  3. 一般式(1)において、R1が下記一般式(3)で示される構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブル金属張積層体。

    (ここで、Rは、2価の水酸基を有する鎖式脂肪族化合物、2価の水酸基を有する環式脂肪族化合物または2価の水酸基を有する芳香族化合物から誘導されるOH基を取り除いた後の残基である。複数個のRは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。mは1以上の正の整数である。)
  4. 一般式(1)において、R1が下記一般式(4)及び/または一般式(5)で構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。


    (R3、R4は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基、カーボネート基またはフルオレニリデン基を示す。X1〜X8及びX1’〜X8 ’は、それぞれが同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
  5. 一般式(1)において、R2が下記一般式(6)で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。

    (R5は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはスルフェニル基を示す。X9〜X16は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
  6. 一般式(2)において、R2’が下記一般式(7)で構成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。

    (R5’は、直結、アルキレン基、パーフルオロアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基またはスルフェニル基を示す。X9’〜X16’は、同じであっても、異なっていても良く、それぞれ水素、ハロゲン、アルキル基から選ばれる基を示す。)
  7. ポリエステルイミド樹脂を構成する全構成単位を100モル%としたときに、一般式(1)及び一般式(2)で示される構造を合計で20モル%以上含有し、
    一般式(1)で示される構造と一般式(2)で示される構造のモル比が一般式(1)/一般式(2)=99/1〜1/99の範囲で構成されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブル金属張積層体から得られるフレキシブルプリント配線板。
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