JP2014181238A - フラーレン誘導体及びそれを含む有機電子デバイス - Google Patents

フラーレン誘導体及びそれを含む有機電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】有機電子デバイス、特に高い開放電圧(Voc)及び改善されたエネルギー変換効率を有する有機太陽電池デバイスに適したフラーレン誘導体を提供する。
【解決手段】下式(I)で示されるフラーレン誘導体。
Figure 2014181238

(フラーレン核はC60、C70又はC84;mは1〜3;yは0〜6;R〜Rは独立して、H、C1〜30のアルキル基、C6〜30のアリール基等)
【選択図】なし

Description

(好適な実施態様の説明)
以下に示す詳細な説明は、本発明の現在の好適な実施態様を説明することを意図するものであり、本発明が構成され得る、及び/又は、利用され得る唯一の形態を示すことを意図するものではない。しかしながら、本発明の思想、及び範囲に含まれることを意図する様々な態様によって、同一又は同等の機能と結果が達成され得ることは理解されるべきである。また本発明のさらなる変更は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で創造することができる。
本発明は、有機電子デバイス、特に有機太陽電池デバイス用のフラーレン類に関する。より詳細には、有機太陽電池デバイス用のフラーレンブタノールエステルやフラーレンシクロヘキサノールエステルとしての新規フラーレンの使用、及びそれらの溶解性と最低空分子軌道(LUMO)レベルの微調整に関する。
1985年のフラーレンの最初の発見以来、フラーレン類の化学及び物理学は、論文、特許、報告及び書籍など多数の刊行物によって研究開発分野の注目の項目となっている。フラーレン類は、中空球、楕円体又はチューブ状の形態で、全体が炭素原子から成る分子である。C60は、2つの五角形が辺を共有しない最も小さい安定したフラーレンである。また、それは、最も容易に製造できるものである。C60の構造は、それぞれの六角形の角に炭素原子を有する、サッカーボールのような切頂20面体である。C70は、現実的な量で単離され、広く研究されている次世代の安定したフラーレンである。
60とC70の構造:
Figure 2014181238
フラーレン類は、それらの特有の形状のために、高い電気陰性度、電子供与体への逆電子移動よりも速い順方向への電子移動、及び良好な電子移動性を有する非常に興味深い性質を示す。それらは、グラファイトのように連結した六角形の環を有する。また、それらは五角形(又は七角形)の環を含むので平面状になることができない。例としてC60では、2個の六角形の環の間の結合(6−6結合)が、六角形の環と五角形の環の間の結合(5−6結合)よりも短い。そのため、その反応性は、一般的な縮合芳香族化合物とは異なる。球状のC60のsp混成炭素原子は分子内に歪みエネルギーを大量にもたらすので、グラファイトよりも熱力学的に安定ではなくなり、容易に付加反応を受ける。C60は非常に電気陰性の分子(EA:約2.65eV)であり、容易に還元することができるが、酸化することは非常に難しい。
フラーレン類は、グラファイト又はダイヤモンドのような他の炭素の同素体とは異なり、一部の溶媒中で、室温で溶解することができる。しかしながら、n−ヘキサン(0.04mg/ml)、シクロヘキサン(0.05mg/ml)、ジクロロメタン(0.25mg/ml)、クロロホルム(0.16mg/ml)、テトラヒドロフラン(0.000mg/ml)、アセトン(0.001mg/ml)、エタノール(0.001mg/ml)のような、多くの一般的な溶媒中でのフラーレン類の溶解性は非常に低い(非特許文献1,2)。通常、C60を溶解するのに使用される溶媒は、悪臭と毒性のある二硫化炭素(7.9mg/ml)、ベンゼン(1.7mg/ml)、トルエン(2.8mg/ml)、クロロベンゼン(6.9mg/ml)、1,2−ジクロロベンゼン(26mg/ml)、1,2,4−トリクロロベンゼン(20mg/ml)のような低極性の芳香族系の溶媒であり(非特許文献1,2)、大部分は毒性と発癌性がある。それらの溶媒中でさえ、インキジェット印刷のような用途には、C60の溶解性は十分に、高いとは言えない。
純粋なC60薄膜は、比較的低い温度で、真空熱蒸着によって製造できるが、コストが高い。しかしながら、フラーレン類を含む均質の、又はナノ構造の複合系が必要な場合、ほとんどの場合、溶液工程は利用可能な唯一の手段である。バルクヘテロ接合型有機太陽電池に広く使用されている、ジアゾ付加反応により合成された[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(PCBM)のように、フラーレン類の化学的機能化は、それらの溶解性及び加工性の両方を改善する(非特許文献3)。
単一の有機系半導体染料又はポリマーに基づくOPVは、電力変換効率が0.1%未満である。電子供与体(この発明では、時々、電子供与体は単にドナーと記載される)として銅フタロシアニンと、電子受容体(この発明では、時々、電子受容体は単にアクセプタと記載される)としてペリレンテトラカルボン酸誘導体と、の二層を有するヘテロ接合型OPVは、1986年にイーストマンコダック社のC.W.Tangによって初めて実証され、光子は電力変換効率(PCE)1%まで飛躍的に改善された(非特許文献4)。それ以来、ヘテロ接合型OPVは広く研究され、そして1995年にはバルクヘテロ接合型(BHJ)OPVが初めて紹介され、電子供与体としてのMEH−PPV又はP3HT等の半導体ポリマーと、電子受容体としてのPCBM等のフラーレンを混合し、ポリマー領域とフラーレン領域のナノ領域の二連続相分離が実施された(非特許文献5)。二連続相分離は、電池内の電荷分離と輸送を飛躍的に改善し、単色照明の下で変換効率は2.9%に改善された。この7年間、BHJ型の太陽電池は、主に新規のローバンドギャップのドナー性コポリマーの採用とプロセス条件の改善によって、効率が顕著に向上してきた。この3年間、何百もの新規のローバンドギャップ性のドナーコポリマーが開発され、複数の研究グループと企業により、6%よりも高い変換効率が報告された(非特許文献6)。
R.S.Ruoff,D.S.Tse,R.Malhorta,and D.C.Lorents,J.Phys.Chem.,1993,97,3379. N.Sivaraman,T.G.Srinivasan,and P.R.V.Rao,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,2001,41,1067−1074 H.Spanggaard andF.C.Krebs,Solar Energy Mater.&Solar Cells,2004,83,125. C.W.Tang,Appl.Phys.Lett.1986,48,183. G.Yu,J.Gao,J.C.Hummelen,F.Wudl,A.J.Heeger,Science,1995,270,1789. H.−Y.Chen,J.Hou,S.Zhang,Y.Liang,G.Yang,Y.Yang,L.Yu,Y.Wu,G.Li,Nature Photonics,2009,3,649.
しかしながら、現在までに新たに報告された全ての高効率OPVは、ほとんどすべてがアクセプタとしてPCBM(PC61BM又はPC71BM)が使用されており、新規フラーレンと非フラーレンアクセプタの開発に基づく成果は、新規ポリマーと低分子ドナーの開発に比べて大幅に遅れている。
本発明は、特に、組成物、デバイス、製造方法及び使用方法を提供する。
本明細書中で使用される「フラーレン類」は、フラーレンC60、C70、C84及びより大きなフラーレン類を表す総称である。従って、実施例は、フラーレンC60誘導体のみを示しているが、本発明は、フラーレンC70、84及びより大きなフラーレン誘導体、並びに、それらの内側の球内に封入された付加的な原子、イオン又はクラスタを有する内包フラーレン類にも適用可能である。さらに、個々の図と構造は、フラーレンC60誘導体のみを示しているが、構造はフラーレンC70、84及びより大きなフラーレン誘導体並びに内包フラーレン類をも表していることは理解されるべきである。
第1の実施態様では、フラーレン誘導体は、下記の化学式(I)で表される。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、R、R、R、R、Rは、独立して、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである:
Figure 2014181238
別の実施態様では、式(I)中、yは1〜3である。
別の実施態様では、化学式(I)で表されるフラーレン誘導体は、以下の化学式(II)で表される構造を有する。
式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである:
Figure 2014181238
別の実施態様では、式(II)中、yは1〜6である。
別の実施態様では、化学式(II)で表されるフラーレン誘導体は、下記の化学式(IV)で表される構造を有する。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである:
Figure 2014181238
別の実施態様では、化学式(II)で表されるフラーレン誘導体は、下記の化学式(V)で表される構造を有する。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである:
Figure 2014181238
別の実施態様では、組成物は上記のフラーレン誘導体と、電子供与体材料と、を含む。
別の実施態様では、電子デバイスは上記のフラーレン誘導体を含む。
別の実施態様では、有機太陽電池デバイスは第1と第2の電極と、第1と第2の電極間の活性層と、を有し、該活性層は、アクセプタ材料として上記のフラーレン誘導体を含む。
別の実施態様では、式(I)で表されるフラーレン誘導体の製造方法は、式(VIII)で表される化合物が式(IX)で表されるエステル化試薬と反応することを含む:
Figure 2014181238
式(VIII)中、フラーレン核、m、y、R、R、R、Rは、独立して、式(I)のフラーレン核、m、y、R、R、R、Rと同義である。式(IX)中、Xは水酸基、ハロゲン又はカルボキシレート基であり、Rは、独立して、式(I)のRと同義である。
<1.フラーレン誘導体>
多くのC60及びC70モノ付加体及びビス付加体は、この10年間有機太陽電池デバイスの電子受容体として検討されてきた(参考文献:Y.He,Y.Li,Phys.Chem.Chem.Phys.,2011,13,1970-1983/参考文献:C.−Z.Li,H.−L.Yip,A.K.−Y.Jen,J.Mater.Chem.,2012,22,4161)。これまでのところ、[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(PCBM)は、今もなお、試験的なOPVデバイス用として、最も成功したフラーレン誘導体である。フラーレンモノ付加体の中では、PCBMは塩素化溶媒における良好な溶解性と、高い結晶化度のために良好な電子移動性と、を兼ね備える。良好な溶解性は、効率的な電荷分離に必要とされるドナー材料との良好な混和性と適切な相分離を可能にする。良好な電子移動性は、PCBM領域に沿って電極への効率的な電荷輸送を可能にする。
最も重要なことは、電流の流れがないときの、デバイスの電圧である、デバイスの開放電圧Vocは、アクセプタのLUMOレベルとドナーのHOMOレベルとの差によって決まり、多くの場合、その差が大きいとデバイスの開放電圧Vocは高くなる(参考文献:F.B.Kooistra,J.Knol,F.Kastenberg,L.M.Popescu,W.J.H.Verhees,J.M.Kroon,J.C.Hummelen,Org.Lett.2007,9,551.)。しかしながら、多くの高特性のドナー材料と適合するにはPCBMのLUMOは低いので、デバイスの開放電圧Vocを最大化するために、より高いLUMOのフラーレンが望まれている。太陽電池に用いられるフラーレン誘導体に関する以前の報告では、追加される官能性の微小な改良により、デバイスの性能を、飛躍的に、予測不可能な変化につながる可能性があることが報告されている。デバイスの短絡電流と曲線因子を決定する強力な要因である、良好な溶解性と電子移動性を維持しながら、フラーレンのLUMOを変えることは容易ではない。そうではあるが、試みられた多くのフラーレンの研究において、ほとんど例外なく、PCBMと比べて効率が低下した。
本発明では、フラーレンブタノールエステル又はフラーレンシクロヘキサノールエステル等の新規のフラーレン誘導体を紹介する。
フラーレンブタノールとシクロヘキサノールエステルの合成への関心は:(i)簡単な合成、穏やかな反応条件及び高い収率を可能とする新しい化学的性質;(ii)生成物の溶解性とLUMOのエネルギー準位を調整するときの簡便性、が挙げられる。フラーレンを特定のドナーポリマーと結びつけ、最大の開放電圧Vocを達成するためには、LUMOのエネルギーを調整することが望ましい。サイクリックボルタンメトリーから得られたデータとこれらのエステル類を組み込んだデバイスは、非常に有望である。本発明者らの知る限り、これらの種類のフラーレン類は、有機太陽電池デバイスにおいて、これまで一度も使用されていない。表1に示すように、これらの誘導体は、限定されないが、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、キシレン、エチルベンゾエート及びテトラリン等の様々な溶媒中において溶解性を調整することができる。
上記課題を解決するために、以下の構造を有するフラーレン誘導体が提供される。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、R、R、R、R、Rは、独立して、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cヘテロアリール基(式中、nは2〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである:
Figure 2014181238
本明細書中、用語「フラーレン核」又は「フラーレンケージ」は、フラーレン誘導体の純粋なフラーレン部分を表す。
用語「アルキル基」は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、オクチル基、デシル基等の分岐状、又は直鎖状、環状等の非分岐状の飽和ヒドロカルビル基を示す。
用語「アルケニル基」は、少なくとも1つのアルケニル不飽和の部位を有するアルケニル基を示す。
用語「アルキニル基」は、少なくとも1つのアルキニル不飽和の部位を有するアルキニル基を示す。
用語「アリール基」は、単一の芳香環、又は互いに結合した、共有結合した、或いはメチレン若しくはエチレン部分等の共通の基と結合している、複数の芳香環を含む芳香族ヒドロカルビル基を示す。アリール基の例はフェニル基である。
用語「ヘテロアリール基」は、炭素原子、水素原子、及び、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、ホウ素、リン、ゲルマニウムから選択される1個以上のヘテロ原子を含む単環式又は多環式の芳香族環基を表す。ヘテロアリール基の実例には、これらには限定されないが、アザボリニニル基、アザホスフィニニル基、ボロリル基、フラニル基、ゲルモリル基、イミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、イソキノリニル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、フェナントリジニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピロリル基、ピラゾリル基、キノリニル基、シロリル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、テトラゾリル基及びチアゾリル基が含まれる。
「フルオロアルキル基」という用語は、1つ以上の水素がフッ素で置換された分岐状又は非分岐状の飽和ヒドロカルビル基を表す。
用語「フルオロアリール基」は、1つ以上のフッ化物置換基を含む単環式又は多環式の芳香族環基を表す。
「少なくとも1つのヘテロ原子を含む基」という用語は、炭素又は水素ではない任意の原子を含有する基を示す。少なくとも1つのヘテロ原子を含む基の例としては、これらには限定されないが、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、酸素、硫黄、リン、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含む基が含まれる。特に、少なくとも1つのヘテロ原子を含む基の好ましい例としては、−(CHCHO)(式中、n=1〜20);及び、アルコキシ基、カルボニル基、カルボキシレート基、ニトロ基、スルホニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、水酸基、チオール基、シリル基、シロキシ基又はハロゲン(前記基の組み合わせを含む)を含む。なお、「アルコキシ基」という用語は、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキル基である。
「これらの任意の組み合わせ」という用語は、上記基が、少なくとも1つの別の上記基により置換されてなる基を意味する。これらの任意の組み合わせの例は、アルキル基で置換されたフェニル等のアルキル基で置換されたアリール基や、フェニル基等で置換されたアルキル基等のアリール基で置換されたアルキル基である。
ある実施態様におけるフラーレン誘導体は、化学式(I)によって表されるフラーレン誘導体であり、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、R、R、R、R、Rは、独立して、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは4〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは4〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
用語「パーフルオロアルキル基」は、全ての水素がフッ素で置換された、分岐状又は非分岐状の飽和ヒドロカルビル基を示す。
用語「パーフルオロアリール基」は、全ての水素がフッ素で置換された、単一の芳香族環又は複数の芳香環を含む芳香族ヒドロカルビル基を示す。
ある実施態様におけるフラーレン誘導体は、化学式(I)によって表されるフラーレン誘導体であり、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは1〜6であり、R、R、R、R、Rは、独立して、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
ある実施態様におけるフラーレン誘導体は、下記化学式(II)で表される構造を有する。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは4〜30である);Cヘテロアリール基(式中、nは2〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは4〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである。
Figure 2014181238
ある実施態様におけるフラーレンは、化学式(II)で表される構造を有し、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
より特定の実施態様では、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは1〜6であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである、化学式(II)で表されるフラーレン誘導体を提供する。
別の実施態様におけるフラーレン誘導体は、化学式(III)からなる群から選択される。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、yは0又は2であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
Figure 2014181238
別の実施態様におけるフラーレン誘導体は、下記化学式(IV)からなる群から選択される。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは4〜30である);Cヘテロアリール基(式中、nは2〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは4〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである。
Figure 2014181238
化学式(II)で表される化合物を含むフラーレン誘導体のより特定の実施態様は、化学式(IV)で表される構造を有し、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
別の実施態様におけるフラーレン誘導体は以下の化学式(V)からなる群から選択される。式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり;Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは4〜30である);Cヘテロアリール基(式中、nは2〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである。
Figure 2014181238
化学式(II)によって表されるフラーレン誘導体の別の実施態様は、化学式(V)で表される構造を有し、式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
別の実施態様におけるフラーレン誘導体は以下からなる群から選択される:
Figure 2014181238
式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、yは0又は2であり、Rは、C架橋アルキル基(式中、nは1〜30である);C架橋アリール基(式中、nは5〜30である);C架橋パーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);C架橋パーフルオロアリール(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);架橋アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
別の実施態様におけるフラーレン誘導体は以下からなる群から選択される:
Figure 2014181238
式中、フラーレン核はC60であり、yは0又は2であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cパーフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cパーフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);−(CHCHO)(式中、nは1〜20である);アルコキシ基;又はこれらの任意の組み合わせである。
別の実施態様では、誘導体基(derivative group or groups)は、フラーレンの[6,6]結合部位に共有結合する。用語「誘導体基(derivative group)」は、フラーレン核に共有結合している化学基を示す。用語「誘導体基(derivative groups)」は、フラーレン核に共有結合している二つ以上の化学基を示す。用語「化学基」は、一つの単位として共に結合して分子の一部を形成する2つ以上の原子である。
ある実施態様では、フラーレン誘導体のLUMOレベルは、PCBMのLUMOレベルより少なくとも0.03eV高いことが好ましく、少なくとも0.04eV高いことがより好ましく、少なくとも0.05eV高いことが特に好ましく、少なくとも0.1eV高いことが最も好ましい。
<2.フラーレン誘導体の製造方法>
フラーレン誘導体の製造方法は特に限定されない。
例えば、式(I)で表されるフラーレン誘導体は、次の反応式に示すように、カルボン酸又は酸塩化物と、アルコールとのエステル化により製造される。具体的には、式(I)で表されるフラーレン誘導体を製造する方法は、式(IX)で表されるエステル化試薬と、式(VIII)で表される化合物とを反応させる工程を含む。
Figure 2014181238
式(VIII)中、フラーレン核、m、y、R、R、R、Rは、独立して、式(I)のフラーレン核、m、y、R、R、R、Rと同義である。式(IX)中、Rは、独立して、式(I)のRと等しい。Xは水酸基、ハロゲン又はカルボキシレート基である。
反応溶媒は特に制限されないが、トルエンを使用することができる。また、反応温度も特に制限されないが、通常30℃以上であり、かつ、溶媒の沸点よりも低い温度である。
さらに、参考文献に記載されるように、式(VIII)で表される化合物は、公知の方法により製造することができる(“Y.−Z.An,J.L.Anderson,Y.Rubin,J.Org.Chem.1993,58,4799−4801.”,“P.S.Ganapathi,S.H.Friedman,G.L.Kenyon,and Y.Rubin,J.Org.Chem.1995,60,2954−2955.”,“Y.−Z.An,C.−H.B.Chen,J.L.Anderson,D.S.Sigman,C.S.Foote,and Y.Rubin,Tetrahedron 1996,Vol.52,No.14,pp.5179−5189.”,”T.Gareis,O.Koethe,and J.Daub,Eur.J.Org.Chem.1998,1549−1557.”,“J.Yang,L.B.Alemany,J.Driver,J.D.Hartgerink,A.R.Barron,Chem.Eur.J.2007,13,2530−2545.”,“T.W.Chamberlain,A.Camenisch,N.R.Champness,G.A.D.Briggs,S.C.Benjamin,A.Ardavan,A.N.Khlobystov,J.Am.Chem.Soc.2007,129,8609−8614.”)
例えば、式(VIII)で表される化合物は、反応工程(1)「C60又はC70を、2−(トリメチルシロキシ)−1,3−ブタジエン又は2−(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロゲキサジエン等のトリメチルシロキシジエンと反応させた後、トリメチルシロキシ基の酸加水分解によりフラーレンケトンを得る」と、反応工程(2)「水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALH)でフラーレンケトンを還元する」とにより、合成することができる。
3つの工程すべての反応条件は穏やかであり、PCBM合成の場合のような爆発性の材料が含まれない。第1工程の収率は最大60%であり、第2および第3工程は、両者とも定量に近い収率とすることができるので、最終的なエステル生成物の全収率は50%を超えることができる。各工程における生成物の精製は、非常に単純で簡単なシリカゲルクロマトグラフィー又は沈殿を用いることで、FD−MS及びHPLCで確認される純度が99%を超える生成物を得ることができ、複雑なHPLC又はPrep GPC精製は必要でない。ビス付加(化学式I中、n=2)又はトリス付加フラーレン誘導体(化学式I中、n=3)等のより高い付加生成物は、スキーム5に示すように、良好な収率で、同じ手順で合成することができる。本発明のフラーレン誘導体は、上記の反応に適用することができる任意の反応条件、溶媒を用いて製造することができる。
<3.電子デバイス>
フラーレンの実施態様は電子デバイスに組み込むことができる。特に、電子デバイスの半導体層にフラーレン誘導体を適用することができる。電子デバイスの実施態様は、限定されないが、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池デバイス、有機発光ダイオード、有機光検出器及びセンサーを含む。フラーレン誘導体は、これらのデバイスの活性層又はバッファー層に組み入れることができる。特に、フラーレン誘導体は、有機太陽電池デバイスに適用できる。本明細書中では、フラーレン誘導体を有機太陽電池に適用した実施態様について説明する。
有機太陽電池デバイスは第1と第2の電極と、第1と第2の電極間に活性層を有する。
活性層は、電子供与体材料(p型半導体化合物)と電子受容体材料(n型半導体化合物)を含有し、光を受光することにより光電変換が起こる(正孔及び電子が発生する)機能を有する。活性層は、電子供与体材料を含む層と電子受容体材料を含む層からなる積層であってもよいし、電子供与体材料と電子受容体材料の混合物を含むバルクヘテロ接合層を含む層であってもよい。活性層は、電子受容体材料として本発明のフラーレン誘導体を含む。
電子供与体材料の例としては、これらには限定されないが、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリ(フェニレンビニレン)、テトラベンゾポルフィリン及び、これらの半導体ならびに、非特許文献3〜6、「Y.−J.Cheng,S.−H.Yang,C.−.Hsu Chem.Rev.2009,109,5868」及び「A.Facchetti Chem.Mater.2011,23,733」に記載された、低分子化合物、ポリマー類、共重合体類が含まれる。
活性層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5〜300nmの厚さである。
活性層の形成方法は、特に限定されないが、フラーレン誘導体を含む組成物(インク)を用いた溶液工程によって活性層を形成することができる。
溶液工程は、特に限定されないが、スピンコーティング、インクジェット印刷、ブレードコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、グラビアコーティング又はバーコーティングを用いることができる。
溶液工程のための組成物は、特に限定されないが、該組成物はフラーレン誘導体を含み、望ましくは、該組成物はフラーレン誘導体と、電子供与体材料と電子受容体材料の混合物を含むバルクヘテロ接合層からなる活性層を形成するための電子供与体材料と、を含む。また、塗布用組成物は、さらに溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、特に限定されないが、芳香族炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の好ましい例としては、トルエン、キシレン又はベンゼンが挙げられる。また、組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の化合物以外の添加剤等の他の化合物を含んでいてもよい。また、組成物中のフラーレン誘導体の濃度は、特に限定されないが、0.1質量%より大きいことが好ましく、10質量%未満であることが好ましい。
第1電極と第2電極の一方は陽極であり、他方は陰極である。陽極は活性層で発生した正孔を収集する機能を有し、陰極は活性層で発生した電子を収集する機能を有する。陽極と陰極を構成する材料は、特に限定されないが、これらの電極は、インジウムスズ酸化物などの導電性金属酸化物であってもよいし、Ag、Ca又はAl等の金属又はこれらの合金あってもよい。また、陽極及び陰極の少なくとも一方は、光が活性層に到達できるように透明である必要がある。
また、陽極及び陰極の形成方法は、特に限定されないが、好ましくは、陽極と陰極は、スパッタ法若しくは蒸着法等を用いた真空成膜法、又はナノ粒子若しくは前駆体を含有するインクを塗布することにより形成することができる。
さらに、各電極は単層であってもよいし、多層から構成されてもよい。
さらに、通常、有機太陽電池デバイスはガラスなどの基板上に形成される。この場合、陽極は陰極の上に形成されてもよいし、陰極は陽極の上に形成されてもよい。すなわち、有機太陽電池デバイスは、基板と、陽極と、活性層と、陰極と、がこの順に形成された構造であってもよいし、基板と、陰極と、活性層と、陽極と、がこの順に形成された構造であってもよい。
ある実施態様では、さらに有機太陽電池デバイスは、少なくとも1つの陰極バッファー層(電子輸送層)を含み、少なくとも1つの陽極バッファー層(正孔輸送層)を有していてもよい。この場合、陰極バッファー層は陰極と活性層との間に形成することができ、陽極バッファー層は陽極と活性層との間に形成される。これらのバッファー層は、活性層/電極の界面で電荷の収集及び抽出に有利に働く、追加的な機能層である。
陽極バッファー層を構成する材料は、特に限定されないが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)であってもよい。
陰極バッファー層を構成する材料は、特に限定されないが、フッ化リチウム、酸化亜鉛等であってもよい。
また陽極バッファー及び陰極バッファー層の形成方法は、特に限定されないが、陽極バッファー層は、スパッタ法若しくは蒸着法などを用いた真空成膜法又はナノ粒子若しくは前駆体を含有するインクのコーティングによる成膜法により形成することができる。
さらに、有機太陽電池デバイスは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の層以外の他の層を有する。
ある実施態様では、有機太陽電池デバイスの開放電圧は、アクセプタとしてPCBMを用いた類似のデバイスよりも少なくとも0.03V高いことが好ましく、少なくとも0.05V高いことがより好ましく、少なくとも0.07V高いことが最も好ましい。
ある実施態様では、有機太陽電池デバイスの電力変換効率は、アクセプタとしてPCBMを用いた類似のデバイスに対して高いことが好ましく、アクセプタとしてPCBMを用いた類似のデバイスを用いた場合に対して少なくとも5%高いことがより好ましく、少なくとも10%高いことが最も好ましい。
ある実施態様では、有機太陽電池デバイスの電力変換効率は、活性層としてP3HT−PCBMを用いた類似のデバイスを用いた場合に対して少なくとも5%高いことが好ましく、少なくとも10%高いことがより好ましい。
なお、フラーレン誘導体を含む半導体層を有機太陽電池デバイス以外の上記の電子デバイスに適用する場合も、半導体層は溶液工程により形成することができ、溶液工程は、限定されないが、有機太陽電池デバイスの活性層の形成と同様に、スピンコーティング、インクジェット印刷、ブレードコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、グラビアコーティング又はバーコーティングが挙げられる。
本発明は、付随する実施例を参照することによってより理解することができる。実施例は、例示目的のみを意図し、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1:フラーレンブタノンの合成
Figure 2014181238
[スキーム1]フラーレンブタノン2a及び2bの合成(2a,n=1,C60BN;2b,n=2,C60BN2)
化合物2a、2bは変更された文献の手順に従って合成される(“Y.−Z.An,J.L.Anderson,Y.Rubin,J.Org.Chem.1993,58,4799−4801.”,“P.S.Ganapathi,S.H.Friedman,G.L.Kenyon,and Y.Rubin,J.Org.Chem.1995,60,2954−2955.”,“Y.−Z.An,C.−H.B.Chen,J.L.Anderson,D.S.Sigman,C.S.Foote,and Y.Rubin,Tetrahedron 1996,Vol.52,No.14,pp.5179−5189.”,”T.Gareis,O.Koethe,and J.Daub,Eur.J.Org.Chem.1998,1549−1557.”“J.Yang,L.B.Alemany,J.Driver,J.D.Hartgerink,A.R.Barron,Chem.Eur.J.2007,13,2530−2545.”,“T.W.Chamberlain,A.Camenisch,N.R.Champness,G.A.D.Briggs,S.C.Benjamin,A.Ardavan,A.N.Khlobystov,J.Am.Chem.Soc.2007,129,8609−8614.”)。
実施例2:フラーレンシクロヘキサノンの合成
Figure 2014181238
[スキーム2]フラーレンシクロヘキサノン4a及び4bの合成(4a,n=1,C60CHN;4b,n=2,C60CHN2)
化合物4a:C60(1.5g,2.1mmol)を700mLの脱気したトルエンに溶解し、2−(トリメチルシロキシ)−1,3−シクロヘキサジエン(0.42g,2.5mmol)を滴下した。混合物を一晩アルゴン下で還流した。溶液を室温まで冷却し、HCl(1M)50mlとTHF100mlを加えた。混合物を60℃で一晩撹拌した。水相を除去し、トルエン相を水200mlで2回、食塩水100mlで1回洗浄し、次いで100mlに濃縮し、シリカゲルカラムに充填させ、トルエンを流し、約800mgの化合物4aを得た。(茶色粉末、収率約50%)。H NMR(500MHz,ODCB−d,ppm)3.72−3.76(m,1H),3.62(m,1H),3.30(m,1H),3.26(m,1H),2.95−3.08(m,2H);2.48(m,1H),2.28(m,1H).m/z Calculated for C66O:816.06,found 816.03(M+).
化合物4b:4.20−2.30(m,12H),2.20−1.60(m,4H);m/z Calculated for C7216:912.12,found 912.1(M+).
実施例3:フラーレンブタノールエステルの合成
Figure 2014181238
[スキーム3]フラーレンブタノールエステル6a(R=イソプロピル,C60BN−IPE);6b(R=1−フェニルプロピル,C60BN−PBE);6c(R=4−エチルフェニル,C60BN−EBE);6d(R=フェニル,C60BN−BE);6e(R=t−ブチルフェニル,C60BN−tBBE);6f(R=イソブチル,C60BN−IBE);6g(R=シクロプロピル,C60BN−CPE);6h(R=4−イソブチルフェニル,C60BN−iBBE);6i(R=4−ペンタフェニル,C60BN−nPBE);6j(R=5−フェニルペンチル,C60BN−PHE)の合成
化合物5及び6a〜jは変更された文献の手順に従って合成される(“Y.−Z.An,J.L.Anderson,Y.Rubin,J.Org.Chem.1993,58,4799−4801.”,“P.S.Ganapathi,S.H.Friedman,G.L.Kenyon,and Y.Rubin,J.Org.Chem.1995,60,2954−2955.”, “Y.−Z.An,C.−H.B.Chen,J.L.Anderson,D.S.Sigman,C.S.Foote,and Y.Rubin,Tetrahedron 1996,Vol.52,No.14,pp.5179−5189.”,”T.Gareis,O.Koethe,and J.Daub,Eur.J.Org.Chem.1998,1549−1557.”“J.Yang,L.B.Alemany,J.Driver,J.D.Hartgerink,A.R.Barron,Chem.Eur.J.2007,13,2530−2545.”,“T.W.Chamberlain,A.Camenisch,N.R.Champness,G.A.D.Briggs,S.C.Benjamin,A.Ardavan,A.N.Khlobystov,J.Am.Chem.Soc.2007,129,8609−8614.”)。
化合物6a:H NMR(500MHz,C,ppm)6.10(m,1H),3.55−3.42(m,2H),3.25(m,1H),3.10(m,1H);2.88(m,1H),2.65(m,1H),2.55(m,1H),1.30(q,6H);MS(FD+)m/z Calculated for C6814:862.10,found 862.1(M+).
化合物6b:H NMR(500MHz,C,ppm)7.55(t,2H),7.30(m,3H),6.08(m,1H),3.67(m,1H),3.45(m,1H),3.37(d,1H);3.19−2.96(m,2H),2.82(m,1H),2.68−2.35(m,2H),1.98(m,1H),1.05(m,3H);MS(FD+)m/z Calculated for C7418:938.13,found 938.1(M+).
化合物6c:H NMR(500MHz,C,ppm)8.47(d,2H),7.20(d,2H),6.31(m,1H),3.47−3.59(m,2H),3.18−3.31(m,2H);2.90(m,1H),2.72(m,1H),2.50(q,2H),1.13(t,3H);MS(FD+)m/z Calculated for C7316:924.12,found 924.1(M+).
化合物6d:H NMR(500MHz,CDCl,ppm)7.63(t,2H),7.54(m,3H),6.43(m,1H),3.91(m,2H),3.81(m,1H);3.57(m,1H),3.45(m,1H),2.96(m,1H).
化合物6e:H NMR(500MHz,C,ppm)8.49(d,2H),7.50(d,2H),6.33(m,1H),3.62(m,1H),3.51(m,1H);3.28(m,2H),2.90(m,1H),2.75(m,1H),1.25(s,9H).
化合物6f:H NMR(500MHz,C,ppm)6.10(m,1H),3.50(m,2H),3.23(m,1H);3.12(m,1H),2.90(m,1H),2.60(m,2H),1.93(m,1H),1.60(m,1H),1.31(t,3H),1.06(m,3H).
化合物6g:H NMR(500MHz,ODCB−d,ppm)6.03(m,1H),3.56(m,2H),3.45(m,1H),3.21(m,1H),3.04(m,1H);2.62(m,1H),1.73(m,1H),1.10(m,2H),0.80(m,2H).
化合物6h:H NMR(500MHz,C,ppm)8.49(d,2H),7.20(d,2H),6.31(m,1H),3.59(m,1H),3.50(m,1H);3.25(m,2H),2.90(m,1H),2.73(m,1H),2.40(d,2H),1.81(m,1H),0.91(d,6H);MS(FD+)m/z Calculated for C7520:952.15,found 952.10(M+).
化合物6i:H NMR(500MHz,C,ppm)8.49(d,2H),7.20(d,2H),6.31(m,1H),3.59(m,1H),3.50(m,1H);3.25(m,2H),2.90(m,1H),2.74(m,1H),2.52(t,2H),1.58(m,2H),1.31(m,4H),0.97(t,3H);MS(FD+)m/z Calculated for C7622:966.16,found 966.11(M+).
化合物6j:H NMR(500MHz,C,ppm)7.30(m,2H),7.19(m,3H),6.10(m,1H),3.56−3.45(m,2H),3.27(m,1H),3.12(m,1H);2.89(m,1H),2.61(t,3H),2.40(t,2H),1.80(m,2H),1.66(m,2H),1.40(m,2H);MS(FD+)m/z Calculated for C7622:966.16,found 966.13(M+).
実施例4:フラーレンシクロヘキサノールエステルの合成
Figure 2014181238
[スキーム4]フラーレンシクロヘキサノールエステル8a(R=イソプロピル,C60CHN−IPE);8b(R=1−フェニルプロピル,C60CHN−PBE);8c(R=4−エチルフェニル,C60CHN−EBE);8d(R=4−n−ブチルフェニル,C60CHN−nBBE);8e(R=4−i−ブチルフェニル,C60CHN−iBBE);8f(R=4−t−ブチルフェニル,C60CHN−tBBE);8g(R=4−n−ペンタフェニル,C60CHN−nPBE);8h(R=5−フェニルペンチル,C60CHN−PHE)の合成
化合物7:化合物4(0.82g,1mmol)を600mLの脱気した無水トルエンに溶解し、DIBAL−H(2ml,シクロヘキサン中に1.0M)を滴下した。溶液を5時間撹拌して50mlの濃縮NHClを加えた。混合物をさらに2時間撹拌した。水相を除去し、トルエン相を水200mlで2回、食塩水100mlで1回洗浄し、次いで100mlまで濃縮し、シリカゲルカラムに充填させ、トルエン:酢酸エチル(30:1 v/v)を流し、約750mgの化合物5を得た(茶色粉末、収率約90%)。H NMR(500MHz,ODCB−d,(ppm)4.69(m,1H),2.98−3.07(m,3H);2.92(m,1H),2.84(m,1H),2.74(m,1H),2.09(m,2H).m/z Calculated for C6610O:818.07,found 818.04(M+).
化合物8c:化合物5(280mg,0.34mmol)を250mLの脱気した無水トルエンに溶解し、4−エチルベンゾイルクロリド(0.25ml,1.7mmol)を滴下した。溶液を一晩還流し、室温に冷却し、50mlに濃縮し、シリカゲルカラムに充填させ、トルエン:シクロヘキサン(2:1 v/v)を流して、約290mgの化合物6aを得て、それを3回メタノールで洗浄して、真空オーブンで乾燥した(茶色粉末、収率約90%)。H NMR(500MHz,ODCB−d,ppm)7.92(d,2H),7.05(d,2H),5.94(m,1H),3.20−3.33(m,2H);3.05−3.15(m,2H),3.00(b,1H),2.80(m,1H),2.43(q,2H),2.29(m,1H),2.20(m,1H),1.02(t,3H).MS(FD+)m/z Calculated for C7518:950.13,found 950.1(M+).
化合物8aを化合物8cと同様の手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,ODCB−d,ppm)5.65(m,1H),3.23(m,1H);3.11(m,1H),3.03(m,1H),2.95(b,1H),2.87(m,1H),2.75(m,1H),2.48(m,1H),2.24−2.08(m,2H),1.11(d,3H),1.04(d,3H).MS(FD+)m/z Calculated for C7016:888.12,found 888.2(M+).
化合物8bを化合物8cと同様の手順を用いて合成した。H NMR(500 MHz,C,ppm)7.47(d,2H),7.42(d,3H)(芳香族のピークがベンゼンの大きいピークと残留トルエンのピークと重なっている),5.67−5.82(m,1H),3.58(m,1H),3.23(m,1H);2.88−2.97(m,2H),2.67−2.78(m,2H),2.61(m,1H),2.32(m,1H),1.78−1.94(m,3H),0.96(m,3H);MS(FD+)m/z Calculated for C7620:964.15,found 964.1(M+).
化合物8dを化合物8cと同様の手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,ODCB−d,ppm)7.93(d,2H),7.07(d,2H),5.94(m,1H),3.22−3.35(m,2H);3.05−3.15(m,2H),3.00(b,1H),2.81(m,1H),2.41(t,2H),2.30(m,1H),2.20(m,1H),1.35(m,2H),1.12(m,2H),0.73(t,3H).
化合物8eを化合物8cと同様の手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,C,ppm)8.34(d,2H),7.09(d,2H),6.04(m,1H),3.31−3.36(m,2H);2.91−3.01(m,2H),2.84(b,1H),2.68(m,1H),2.29(d,2H),2.06(m,1H),1.94(m,1H),1.69(m,1H),0.82(d,6H).
実施例5:フラーレンビス(シクロヘキサノールエステル)の合成
Figure 2014181238
[スキーム5]フラーレンビス(シクロヘキサノールエステル)10(R=フェニル,C60(CHN−BE)2の合成
化合物10を化合物8cと同様の手順を用いて合成した。H NMR(500MHz,C,ppm)8.8−8.0(m,4H),7.3−6.9(m,6H),6.2−5.8(m,2H),3.8−3.3(m,2H),3.3−2.5(m,10H),2.1−1.7(m,4H).m/z Calculated for C8628:1124.20,found 1124.2(M+).
実施例6:合成フラーレンの溶解性評価
フラーレンの溶解性は、それらのプロセス性、デバイスのモルフォロジー及び安定性に影響を与える重要なパラメータである。フラーレン誘導体の構造の多少の変更が、有機溶媒への溶解性に大きな変化を引き起こす可能性がある。最良のドナー/アクセプタの組み合わせは、活性層の成膜に使用される溶媒中において、ドナー成分とアクセプタ成分が、同程度の十分に高い溶解性を有するものであることが示されている(参考文献:“P.A.Troshin,H.Hoppe,J.Renz,M.Egginger,J.Y.Mayorova,A.E.Goryachev,A.S.Peregudov,R.N.Lyubovskaya,G.Gobsch,N.S.Sariciftci,V.F.Razumov,Adv.Funct.Mater.2009,19,779.”)。本明細書中では、フラーレン誘導体の溶解性の試験のために、溶媒としてトルエンを選択した。トルエンは、非塩素系溶剤であり、多くの半導体ポリマーに十分な溶解性を与えるからである。スキーム3及び4に準じて同じ手順に従って合成したフラーレン誘導体は、トルエン中で飛躍的に異なる溶解性を有することが分かった。表1に示すように、結合するエステル基を変えることにより、それらの溶解性は、0.1wt%未満から7wt%を超えるまで、容易に調整することができた。
表1:トルエン中での合成されたフラーレンの溶解性
Figure 2014181238
実施例7:合成されたフラーレンの熱特性評価
上記で合成したフラーレンの熱安定性は、メトラーTGA/sDTA851e熱重量分析器を用いて、窒素下で10℃/分のスキャンレートで測定した。フラーレン2b,4b,6a〜jについては、300℃まで質量損失は観察されず、フラーレン2a,4a,8a〜hについては、350℃まで質量損失は観察されなかった。このことから、本発明に係るフラーレン誘導体が優れた熱安定性を有することが示されている。選択したフラーレンの熱転移は、50点のオートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000 DSCを用いて、窒素下で20℃/分のスキャンレートで測定される。データを表2に記載する。観測されなかったガラス転移温度(Tg)、又は、高いTg(>140℃)が、デバイスの高い熱安定性及び高温における安定したデバイスのモルフォロジーを再度示している。
表2:合成フラーレンのガラス転移温度
Figure 2014181238
実施例8:サイクリックボルタンメトリーによる合成されたフラーレンの電子的特性評価
アクセプタのLUMO位置は、デバイス開回路電圧(Voc)に強く影響を与える、太陽電池デバイスにおける最も重要なパラメータの1つである。高いLUMOアクセプタは、高いVocをもたらす。合成されたフラーレンの電子的特性は、対向電極として白金を、参照電極としてAg/Ag+を、内部標準としてフェロセンを用いて、溶媒としてo−ジクロロベンゼン:アセトニトリル=4:1を、電解質として0.1M ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムを用いて、100mV/秒のスキャン速度で、Bio−Logic Multi−channel Potentiostatを使用して、サイクリックボルタンメトリーによって測定される。CV測定値は、第1、第2及び第3の還元が全て可逆的であることを示した。LUMOレベルは、第1の還元の開始を用いて、以下の数式(1)に従って計算される。データを表3に記載する。またPCBMのLUMOも測定し、対照として記載する。
Figure 2014181238
本発明のフラーレン誘導体は、既存のPCBMと比較して、異なるLUMOエネルギーレベルを示した。フラーレン誘導体2a及び4aはPCBMよりもわずかに低いLUMOレベルを有する。フラーレン誘導体6a〜j及び8a〜hは、−3.76〜−3.77eVのLUMOエネルギーレベルを有する。これは、PCBMのLUMOの−3.80eVよりも高い。またビスエステル付加体10はPCBMよりも0.15eV高い約3.65eVのLUMOレベルを有する。アクセプタとしてフラーレン誘導体を用いた有機太陽電池デバイスは、アクセプタとしてPCBMを用いたデバイスが、より高い開放電圧を示すことが期待される。
表3:サイクリックボルタンメトリーのデータから計算された合成されたフラーレンのLUMOレベル
Figure 2014181238
実施例9:ドナーとしてP3HT又はPTB7を、アクセプタとして上記フラーレンを用いた太陽電池デバイスの製造
従来のデバイス構造でP3HT−フラーレンデバイスを製造するための一般的な手順は以下の通りである。ITO基板を、石鹸水、脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールで20分間ずつ超音波処理し、使用するまでイソプロパノール中で保管した。
PEDOT:PSS(Clevios P VP Al4083)を0.45μmのPTFEフィルターで濾過し、4000回転/秒の回転速度と45秒間の回転時間でITO基板上にスピンコートし、次いで、120℃で10分間ホットプレート上で焼成し、すぐにグローブボックスに移した。
PEDOT:PSSでコートされたITO基板を使用前に3分間195℃で再度焼成した。80℃で1mlのODCB中に溶解したP3HT:FLN(フラーレン)溶液(20mg P3HT/17mgフラーレン)を、0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、45秒間、550回転/秒の回転速度でITO基板上にスピンコートし、次いで、2000rpm/秒で2秒間、エッジを乾燥させた。フィルムを20分間、ペトリ皿の下で、室温でアニールした。続いて、選択したフィルムを、10分間、100℃又は160℃でアニールした。その後、約6mmの活性領域にシャドウマスクを用いて、約10−7トルの圧力で、陰極としてCa(25nm)/Al(75nm)を熱蒸着した。J−V特性を、キセノンランプ(Newport)及びKeithley 2408 SMUを備えた、窒素で充填されたグローブボックス中で、1 sun(AM 1.5G)で測定した。
各デバイスの製造条件のJsc、Voc、ff及び効率の平均値を表4及び5に示す。各数値は、同条件で製造して試験した10以上のデバイスから平均した。また、比較対象として、アクセプタとしてPCBMを有するデバイスを同条件で製造した。なお、電力変換効率ηは以下の式2により算出される:
Figure 2014181238
式中、Vocは、開放電圧(V)(外部電流が端子間に流れていないときのデバイス電圧)である;Jscは、短絡電流密度(mA/cm)(太陽電池の両端の電圧がゼロの際(すなわち、太陽電池が短絡したとき)の太陽電池の電流)である;FFは、フィルファクター(得ることができる最大電力の、開放電圧と短絡電流の積に対する比)である;Pincは、入射光の強度(mW/cm)である。
アクセプタとしての本発明におけるモノ付加フラーレン誘導体と、ドナーとしてのRieke Metals Inc製ののレジオレギュラーP3HT(rr−P3HT)とを用いて様々な条件で製造したデバイスの開放電圧は、アクセプタとしてPCBMを用いて同じ条件で製造されたデバイスよりも0.03〜0.07V高くなっている(表4及び5)。より重要なことに、アクセプタとしてPCBMを有するデバイスよりも高い、いくつかの場合においても、短絡電流とフィルファクターは依然として同等である。それは、活性層が依然として良好モルフォロジーと電子移動性を維持していることを示す。その結果、10〜15%程度高い変換効率が達成される。アクセプタとしてビス付加フラーレン誘導体を有する有機太陽電池デバイスでは、0.89Vの開放電圧が得られている。これは、アクセプタとしてPCBMを用いたデバイスよりも、開放電圧が0.2Vを超えて高くなっている。その結果、30%程度高い変換効率が達成されている。これにより、本発明におけるフラーレン誘導体を用いた溶液工程によって、低コストで高効率の有機太陽電池デバイスが製造できることが証明された。
逆構造型のP3HT−フラーレンデバイス及びPTB7−フラーレンデバイスを製造する一般的な手順は次のとおりである。ITO基板を、石鹸水、脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールで20分間ずつ超音波処理し、イソプロパノール中で保管した。酸化亜鉛前駆体溶液を、文献の手順に従って調製した(文献:Y.Sun,J.H.Seo,C.J.Takacs,J.Seifter,A.J.Heeger,Adv.Mater.2011,23,1679.)。そして、3000回転/秒の回転速度及び45秒間の回転時間でITO基板上にスピンコートし、その後、20分間、200℃でホットプレート上で焼成し、すぐにグローブボックスに移した。80℃で1mlのODCBに溶解したP3HT:FLN(フラーレン)溶液(20mg P3HT/17mgフラーレン)を0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、45秒間、550回転/秒の回転速度でITO基板上にスピンコートし、次いで、2000rpm/秒で2秒間、エッジを乾燥させた。フィルムを20分間、ペトリ皿の下で、室温でアニールした。続いて、選択したフィルムを、10分間、100℃又は160℃でアニールした。80℃で1mlのODCBに溶解したPTB7:FLN(フラーレン)溶液(8mg PTB7/16mgフラーレン)を0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、45秒間、900回転/秒の回転速度でITO基板上にスピンコートした。フィルムを20分間、ペトリ皿の下で、室温でアニールした。続いて、選択したフィルムを、10分間、100℃でアニールした。その後、約6mmの活性領域にシャドウマスクを用いて、約10−7トルの圧力で、陽極としてMoO(6nm)/Ag(60nm)の熱蒸着を行った。J−V特性を、キセノンランプ(Newport)及びKeithley 2408 SMUを備えた、窒素で満たされたグローブボックス中で、1 sun(AM 1.5G)で測定した。
アクセプタとしての本発明におけるモノ付加フラーレン誘導体と、ドナーとしてのRieke Metals IncのレジオレギュラーP3HT(rr−P3HT)とを用いて様々な条件で製造した逆構造型の太陽電池デバイスの開放電圧は、アクセプタとしてPCBMを用いて同じ条件で製造されたデバイスよりも0.04〜0.08V高くなっている(表6)。同様に、アクセプタとしてPCBMを有するデバイスよりも開放電圧が高くなっている場合においても、短絡電流とフィルファクターは依然として同等である。これは、活性層が依然として良好なモルフォロジーと電子移動性を維持していることを示す。その結果、最大15%高いデバイス効率が達成される。デバイスのいくつかは160℃にてアニールした後、高い効率を維持した。このことは、新しいフラーレンを有するデバイスの優れた熱安定性を示す。
アクセプタとしてのモノ付加フラーレン誘導体C60CHN−PHEと、ドナーとしての1−Material Inc.製の半導体共重合体PTB7とを用いた逆構造を有する太陽電池デバイスの開放電圧は、アクセプタとしてPCBMを用いて同条件で製造されたデバイスよりも0.06V高くなっている(表6)。同様に、短絡電流と効率は依然として同程度である。これは、活性層が依然として良好なモルフォロジーと電子移動性を維持していることを示す。これは、これらのフラーレン誘導体が、様々なタイプのドナー材料と組み合せるのに適切なアクセプタであることを意味する。
実施例10:ドナーとしてテトラベンゾポルフィリン(BP)を、アクセプタとして上記フラーレンを用いた太陽電池デバイスの製造
ITO基板を、石鹸水、脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールで20分間ずつ超音波処理し、使用するまでイソプロパノール中で保管した。PEDOT:PSS(Clevios P VP Al4083)を0.45μmのPTFEフィルターで濾過し、2500回転/秒の回転速度と60秒間の回転時間でITO基板上にスピンコートし、次いで、120℃で10分間ホットプレート上で焼成し、すぐにグローブボックスに移した。PEDOT:PSSでコートされたITO基板を使用前に3分間195℃で再度焼成した。CP(BP前駆体)溶液(クロロホルム/クロロベンゼン(1:2 v/v)中に20mg/ml)を、0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、30秒間、1500回転/秒の回転速度でITO基板上にスピンコートした。次いで、フィルムを20分間、180℃で、ペトリ皿の下、ホットプレート上でアニールし、CPを完全にBPに変換した。フラーレン溶液(クロロベンゼン中に10mg/ml)を、0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、45秒間、1500回転/秒の回転速度でITO/PEDOT:PSS/BP基板上にスピンコートした。次いで、デバイスを10分間65℃又は110℃でアニールした。最後に、約6mmの活性領域にシャドウマスクを用いて、約10−7トルの圧力で、陰極としてAl(100nm)の熱蒸着を行った。J−V特性を、キセノンランプ(Newport)及びKeithley 2408 SMUを備えた、窒素で充填されたグローブボックス中で、1 sun(AM 1.5G)で測定した。
各デバイスの製造条件のJsc、Voc、ff及び効率を表7に示す。各数値は、同条件で製造して試験した10以上のデバイスの平均値である。比較対象として、アクセプタとしてPCBMを有するデバイスを同条件で製造した。アクセプタとしての本発明におけるフラーレン誘導体と、ドナーとしてのBPを用いて製造した有機太陽電池デバイスは、ほとんどの場合、アクセプタとしてPCBMを用いて同条件で製造したデバイスよりも、高い開放電圧と、高い効率を与えることをデータは明らかに示した。これは、これらのフラーレン誘導体が、様々なタイプのドナー材料と組み合せるのに適切なアクセプタであることを意味する。
表4:従来のデバイス構造を使用して、ドナーとしてP3HTを用いたC60ブタノールエステルの太陽電池デバイス性能
Figure 2014181238
表5:従来のデバイス構造を使用して、ドナーとしてP3HTを用いたC60シクロヘキサノールエステルの太陽電池デバイス性能
Figure 2014181238
表6:逆型のデバイス構造を使用して、ドナーとしてP3HT又はPTB7を用いた合成フラーレンの太陽電池デバイス性能
Figure 2014181238
表7:ドナーとしてBPを用いた合成フラーレンの太陽電池デバイス性能
Figure 2014181238

Claims (10)

  1. 下記の化学式(I)で表されるフラーレン誘導体:
    Figure 2014181238
    (式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、R、R、R、R、Rは、独立して、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである)。
  2. yが1〜3である請求項1に記載のフラーレン誘導体。
  3. 化学式(I)の化合物が、下記の化学式(II)の化合物である請求項1に記載のフラーレン誘導体:
    Figure 2014181238
    (式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、mは1〜3であり、yは0〜6であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである)。
  4. yが1〜6である請求項1に記載のフラーレン誘導体。
  5. 化学式(II)の化合物が、下記の化学式(IV)の化合物である請求項3に記載のフラーレン誘導体:
    Figure 2014181238
    (式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである)。
  6. 化学式(II)の化合物が、下記の化学式(V)の化合物である請求項3に記載のフラーレン誘導体:
    Figure 2014181238
    (式中、フラーレン核はC60、C70又はC84であり、Rは、水素;Cアルキル基(式中、nは1〜30である);Cアルケニル基(式中、nは2〜30である);Cアルキニル基(式中、nは2〜30である);Cアリール基(式中、nは5〜30である);Cフルオロアルキル基(式中、nは1〜30である);Cフルオロアリール基(式中、nは5〜30である);少なくとも1つのヘテロ原子を含む基;又はこれらの任意の組み合わせである)。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフラーレン誘導体と電子供与体材料とを含む組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフラーレン誘導体を含む電子デバイス。
  9. 第1と第2の電極と、前記第1と第2の電極間に活性層と、を有する有機太陽電池デバイスであって、前記活性層がアクセプタ材料として請求項1〜6のいずれか一項に記載のフラーレン誘導体を含む有機太陽電池デバイス。
  10. 式(I)で表される請求項1に記載のフラーレン誘導体の製造方法であって、式(VIII)で表される化合物が式(IX)で表されるエステル化試薬と反応する工程を含むフラーレン誘導体の製造方法:
    Figure 2014181238
    (式(VIII)中、フラーレン核、m、y、R、R、R、Rは、独立して、式(I)のフラーレン核、m、y、R、R、R、Rと同義である。式(IX)中、Xは水酸基、ハロゲン又はカルボキシレート基であり、Rは、独立して、式(I)のRと同義である)。
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