JP2014183193A - アンテナ装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のアンテナを効率よく省スペースに配置しつつ、アンテナ性能を向上させたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10は、ループアンテナ部3と、ループアンテナ部3の内径に配置されたアンテナ部13とを備える。そして、ループアンテナ部3及びアンテナ部13は、磁性粒子を含有する磁性樹脂層4a,4bを有する。ループアンテナ部3又はアンテナ部13のうちの少なくとも1つは、少なくともその一部が磁性樹脂層4a,4bに埋設される。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のアンテナを有するアンテナ装置に関し、特にループアンテナの内径に他のアンテナを配置したアンテナ装置、及びこのアンテナ装置を用いた電子機器に関する。
近年の無線通信機器においては、電話通信用アンテナ、GPS用アンテナ、無線LAN/BLUETOOTH(登録商標)用アンテナ、さらにはRFID(Radio Frequency Identification)といった複数のRFアンテナが搭載されている。これらに加えて、非接触充電の導入に伴って、電力伝送用のアンテナコイルも搭載されるようになってきた。非接触充電方式で用いられる電力伝送方式には、電磁誘導方式、電波受信方式、磁気共鳴方式等が挙げられる。これらは、いずれも1次側コイルと2次側コイル間の電磁誘導や磁気共鳴によって電力を伝送する。
これらのアンテナは、アンテナ単体で目的の周波数において最大の特性が得られるように設計されていても、実際に電子機器に実装されると、目的の特性を得ることは困難である。これは、アンテナ周辺の磁界成分が周辺に位置する金属等と干渉(結合)し、アンテナコイルのインダクタンスが実質的に減少するために、共振周波数がシフトしてしまうことによる。また、インダクタンスの実質的減少によって、受信感度が低下してしまう。これらの対策として、アンテナコイルとその周辺に存在する金属との間に磁気シールド材を挿入することによって、アンテナコイルから発生した磁束を磁気シールド材に集めることによって、金属による干渉を低減させ、インダクタンスを増加させることができるので受信感度が向上する。
伊志嶺、渡辺、上野、前田、徳岡、「高周波対応低ロス圧粉磁心材料の開発」、SEIテクニカルレビュー、2011年1月、第178号、P121〜127 Wireless Power Consortium, 「System Description Wireless Power Transfer」, Volume I: Low Power, Part 1: Interface definition, Version 1.1.1,July 2012.
電子機器の小型化、高機能化の動向に伴い、携帯端末機器等の電子機器に上述のような複数のアンテナを搭載するのに割り当てられるスペースは極めて小さい。一般的なアンテナは、図16に示すように、スパイラルコイル状のループアンテナ素子2に磁束集束用の防磁シート42を、接着剤を塗布した接着剤層41によって貼付した構成となっている。しかしながら、このようなループアンテナでは、アンテナごとに、アンテナが搭載される電子機器内の実装スペースを占有してしまうので、搭載するアンテナの種類・数量の増大とともに実装面積も増大してしまう。このため、これらのアンテナの小型化、薄型化、さらには、複合化、集積化の要求が強まっている。
ところで、非接触通信や非接触充電に用いられる磁気シールド材は、一般に透磁率が高いとシールド性能が良好となることから、高透磁率のフェライトや金属磁性箔が主に用いられている。しかしながら強い直流磁場の印加された環境下で、これらの磁気シールド材を使用する場合には、磁性体が磁気飽和を起こし実効的な透磁率が低下する。たとえば、非特許文献1には、フェライトコアでは磁気飽和による直流重畳特性の低下が著しいことが報告されている。また、高飽和磁束密度の金属磁性箔においては、一般的に厚みが数10ミクロンと薄いため数10枚重ねて用いるようにしないと同様に磁気飽和の問題が生じてしまう。
電磁誘導型の非接触充電について、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium、WPC)において、マグネット装着送信コイルユニットが規定されており(非特許文献2記載のデザインA1)、すでに市販されている。薄型のコイルユニットを作製しようとする場合には、磁気シールドの厚みを薄くする必要があり、上述した磁気飽和が顕著となりコイルのインダクタンスが大きく低下する。このため受電コイル側の共振周波数が大きくずれることとなり、1次側から2次側への伝送電力の伝送効率が低下し、また受電コイルの発熱が増加するとの問題を生ずる。さらに共振周波数のずれが著しい場合には伝送自体ができなくなるとの問題がある。
そこで、本発明は、複数のアンテナを効率よく省スペースに配置しつつ、アンテナ性能を向上させたアンテナ装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段として、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置は、ループアンテナと、ループアンテナの内径に配置された1つ以上の他のアンテナとを備える。そして、ループアンテナ及び他のアンテナは、磁性粒子を含有する1つ以上の磁性樹脂層を有する。ループアンテナ又は1つ以上の他のアンテナのうちの少なくとも1つは、少なくともその一部が磁性樹脂層に埋設される。
上述した課題を解決するための手段として、本発明に係る電子機器は、ループアンテナと、ループアンテナの内径に配置された1つ以上の他のアンテナとを有するアンテナ装置を備える。そして、ループアンテナ及び他のアンテナは、磁性粒子を含有する1つ以上の磁性樹脂層を有する。ループアンテナ又は1つ以上の他のアンテナのうちの少なくとも1つは、少なくともその一部が磁性樹脂層に埋設される。
好ましくは、アンテナ装置及びこれを用いた電子機器では、1つ以上の磁性樹脂層のうち、少なくとも1つの磁性樹脂層は、球状、又は長径と短径との比で表される寸法比6以下の回転楕円体状の磁性粒子を含む。
本発明に係るアンテナ装置及び電子機器では、ループアンテナの内径に他のアンテナが1つ以上配置されるので、アンテナ装置の実装面積は、ループアンテナの占有面積となり、実装スペースの低減が可能になる。
また、磁気シールド層の全部あるいは一部に磁気飽和による磁気特性の劣化が少ない磁性樹脂層を有しているので、強い磁場が印加されている環境下においてもコイルインダクタンスの変化が少なく安定した通信ができる。
(A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の構成例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 (A)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置の変形例を示す平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。 アンテナ装置を用いた非接触通信システムの構成例を示すブロック図である。 共振回路の主要部を示すブロック図である。 アンテナ装置を用いた非接触充電システムの構成例を示すブロック図である。 磁性樹脂層及び磁性層が磁気特性に与える影響を測定するための測定用のアンテナ装置の構成を示す図である。(A)は、平面図であり、(B)は、A図のAA’線における断面図であって、磁性シールド層が磁性樹脂層のみの場合の断面図であり、(C)は、A図のAA’線における断面図であって、磁性シールド層が磁性樹脂層と磁性層からなる場合の断面図である。 本発明の特性評価のためのコイルモジュールの構成を示す側面図である。(A)は、単一のコイルモジュールの構成を示す側面図であり、(B)は、直流磁場を発生するマグネットを備えた送信コイルユニットとともに示すコイルモジュールの側面図である。 直流磁場印加のない場合のコイルのインダクタンス値に対する、直流磁場印加の場合のインダクタンスの変化値をインダクタンスの相対値ΔLとして、ΔLを磁気シールド層の厚さを変化させてプロットしたグラフである。(A)は、球状アモルファス合金を磁性樹脂層に用いて比透磁率を20程度とした場合、(B)は、球状センダストを磁性樹脂層に用いて比透磁率を15程度とした場合のΔLを示す。 インダクタンスの相対値ΔLを、磁気シールド層の厚さを変化させてプロットした比較例のグラフである。(A)は、長径/短径が約50のセンダストを用いた磁気シールド層に用いて比透磁率を100程度とした場合、(B)は、MnZnフェライトを磁気シールド層に用いて比透磁率を1500程度とした場合のΔLを示す。 磁性樹脂層に磁性層を加えた場合のインダクタンス値の差異を測定したグラフである。(A)は、直流磁場がない場合、(B)は直流磁場がある場合のインダクタンスの測定値を磁気シールド層の厚さに対してプロットした図である。 (A)は、従来の単一のアンテナ装置の平面図である。(B)は、(A)図のAA’線における断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることはもちろんである。
[アンテナ装置の構成]
まず、ループアンテナ素子2として通信用のアンテナ、他のアンテナ素子12として非接触充電用アンテナを適用したアンテナ装置10について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置10は、導線1を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2を載置する磁性シート4dと、ループアンテナ素子2の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aと、磁性樹脂層4aの下面に配置された磁性樹脂層4bとを有するループアンテナ部3を備える。そして、ループアンテナ部3の内径側にアンテナ部13が配置される。アンテナ部13は、導線11を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のアンテナ素子12と、アンテナ素子12を載置する磁性樹脂層4bと、アンテナ素子12の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aとを有する。ループアンテナ部3の内径にアンテナ部13を配置する場合には、それぞれのアンテナの中心軸がほぼ一致するように配置するのが好ましい。
アンテナ素子12は、図1のようなループアンテナに限らず、平面アンテナや誘電体アンテナといった携帯電話の通信用等の他のアンテナ素子であってもよい。アンテナへの給電、及びアンテナからの出力は、磁性樹脂層4a,4bに埋設された導線1,11からの引出線を介して外部回路に接続することによって行うことができる。磁性樹脂層4a,4bは、未硬化の状態では変形させることができるので後で述べる作製時のプレス工程にて、上記引出線を磁性樹脂層4a,4bの中に埋設させることができる。なお、ループアンテナ素子2やアンテナ素子12は、図1(A)等に示すように、長方形状を呈するように形成されているが、円形や楕円形、その他任意の形状に形成されるのは言うまでもなく、磁性樹脂層4a等からなる磁気シールド層4の平面形状も任意のものとすることができる。
磁性樹脂層4aに用いる磁性粒子には、粒径が数μm〜数10μmの球形、扁平、あるいは粉砕された粉末を用いることができ、単体の磁性粉のみならず粉径、材質、形状の異なる粉末を混合して用いてもよい。上述した磁性粒子のうち、特に金属磁性粒子を用いる場合には、複素透磁率が周波数特性を有しており、動作周波数が高くなると表皮効果により損失が生じるので、使用する周波数の帯域に応じて粒径及び形状を調整する。
磁性樹脂層4bに用いる磁性粒子には、粒径が数μm〜100μmの球状、あるいは細長(葉巻型)、あるいは扁平(円盤型)な回転楕円体形状で、その寸法比(長径/短径)が6以下の粉末を用いる。この場合も単体の磁性粉のみならず粉径、材質、寸法比の異なる粉末を混合して用いてもよい。
磁性樹脂層4aは、導線1,11が埋め込まれる層であるため、未硬化状態で流動性、変形性を確保するために磁性粉の充填率を少なくしているのに対し、磁性樹脂層4bは、磁気シールド特性が高くなるように、磁性粉の充填率を磁性樹脂層4aよりも大きく設定している。特に充填性を上げて磁気特性を改善する目的で、磁性樹脂層4bとして、金属磁性粉、樹脂及び潤滑剤等を混合し圧縮成型した圧粉磁心を用いることもできる。また、磁性樹脂層4bの粒子形状は、球形から寸法比の小さい回転楕円体としており、反磁界係数が大きく外部からの磁場に対して飽和しにくい形状としている。反磁界係数の大きい粒子が樹脂を介して磁性樹脂層4bを形成しているので、大きな直流磁場環境下においても磁気飽和の影響が少ない磁気特性を示す。
磁性樹脂層4a,4bは、軟磁性粉末からなる磁性粒子と結合剤としての樹脂とを含んでいる。磁性粒子は、フェライト等の酸化物磁性体、Fe系、Co系、Ni系、Fe−Ni系、Fe−Co系、Fe−Al系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Si−Al系等の結晶系、微結晶系金属磁性体、あるいはFe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Co−Si−B系、Co−Zr系、Co−Nb系、Co−Ta系等のアモルファス金属磁性体の粒子である。また、アンテナ装置10のインダクタンス値は、磁性体の実部透磁率(以下、単に透磁率という。)によって決定されるが、透磁率は、磁性粒子と樹脂との混合比率により調整することができる。磁性樹脂層4a,4bの平均透磁率と、配合する磁性粒子の透磁率の関係は、配合量に対して一般的に対数混合則にしたがうので、粒子間の相互作用が増していく体積充填率40vol%以上とすることが好ましい。なお、磁性樹脂層4a,4bの熱伝導特性も磁性粒子の充填率の増大とともに向上する。
磁性樹脂層4a,4bは、単一の磁性材料で構成する場合のみに限らない。2種類以上の磁性材料を混合して用いてもよく、多層に積層して磁性樹脂層を形成してもよい。また、同一の磁性材料であっても、磁性粒子の粒径及び/又は形状を複数選択して混合してもよく、多層に積層してもよい。また、アンテナごとに磁性材料あるいは組成を変えてもよい。また、磁性樹脂層4a,4bには上記磁性粒子の他に、熱伝導性や粒子充填性等を向上させるためのフィラーを含むことができる。
磁性シート4dは、ループアンテナ素子2の磁気シールドのために用いるもので、フェライト等の酸化物磁性体、Fe系、Co系、Ni系、Fe−Ni系、Fe−Co系、Fe−Al系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Si−Al系等の結晶系又は微結晶系金属磁性体、あるいはFe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Co−Si−B系、Co−Zr系、Co−Nb系、Co−Ta系等のアモルファス金属磁性体を用いることができる。また、これらの磁性体の粒子を結合剤で圧縮成型あるいは焼成して作製したシートを使うこともできる。アンテナの性能が十分な場合や、後述する直流磁場の影響を受けるような場合には磁性シート4dを省略してもよい。
結合剤は、熱、紫外線照射等により硬化する樹脂等を用いる。結合剤としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル等の樹脂、あるいはシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、エチレンブロピレンゴム等のゴム等周知の材料を用いることができるが、これらに限られず他の周知の材質を用いることができる。なお、上述の樹脂又はゴムに、難燃剤、反応調整材、架橋剤又はシランカップリング剤等の表面処理剤を適量加えてもよい。
アンテナ素子12を形成する導線11は、アンテナ部13を、5W程度の充電出力容量を有する非接触充電用の2次側充電コイルとして用いる場合であって、120kHz程度の周波数で用いられるときには、0.20mm〜0.45mmの径のCu又はCuを主成分とする合金からなる単線を用いることが好ましい。あるいは、導線11の表皮効果を低減するために、上述の単線よりも細い細線を複数本束ねた並行線、編線を用いてもよく、厚みの薄い平角線又は扁平線を用いて1層、又は2層のα巻としてもよい。ループアンテナ部3についても、用いられる周波数、電流容量を考慮して任意に決定することができる。
ループアンテナ素子2及びアンテナ素子12には、フェノール基板等によるサブ基板やポリイミド等によるフレキシブル基板の片面あるいは両面に導電体をパターニングしてコイルを形成した基板を用いることもできる。このような基材の片面あるいは両面に導電体をパターニングして作製したコイルを使った構成では、アンテナ素子の厚みを薄くできるので、アンテナ装置10の厚みをさらに薄くすることができる。非接触充電用途では比較的大きな電流が流れるので、アンテナ素子12は、たとえば単線あるいは複線を使ったコイルで構成し、通信用途のループアンテナ素子2を、基材の片面あるいは両面に金属をパターニングして作製したコイル、いわゆるFPC(Flexible Printed Circuit)コイルで構成する等が可能である。基板の両面に導線1をパターン形成して、それぞれのパターンをスルーホールを介して直列に接続することにより、巻数を増やすことができる。また、基板の両面にパターン配線した導線1をスルーホールを介して並列に接続することによって、電流容量を増大させることもできる。基板として積層基板を用いることにより、さらに多層化をすることもでき、多層配線によって、さらなる巻回数や電流容量の増大が可能である。
このようにして構成された本発明のアンテナ装置10は、ループアンテナ部3の内径にアンテナ部13が配置されているので、ループアンテナ部3の内径側がデッドスペースにならずに、省スペース化されたアンテナ装置10が実現できる。
さらに、本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置10は、ループアンテナ素子2及びアンテナ素子12が磁性樹脂層4aに埋設されているので、アンテナ近傍の磁束密度を高くすることができ、少ないターン数であっても所望のインダクタンス値を得ることができる。これにより所望のインダクタンス値を得るためにターン数を減らすことができるので、導線1,11の直流抵抗を減らすことができ、低損失化が可能になる。また、磁性樹脂層4aの熱伝導特性により、より効率よく放熱することができ、発熱の低下による電子機器内の放熱スペースを削減することも可能になる。また、アンテナ部13の磁気シールド層となる磁性樹脂層4bを広くとることができ、さらに磁性樹脂層4bは、磁気飽和しにくい構成となっているので、近傍に強い磁界が存在する、しないにかかわらず良好な磁気シールド性能を発揮することができる。
[アンテナ装置の製造方法]
次にこのアンテナ装置10の作製方法の一例について説明する。
まず磁性樹脂層4a,4bに用いるシートを作製する。磁性樹脂層4aの場合には、平均粒径5μmの球状金属磁性粒子を、アクリル系の樹脂に希釈剤とともに加えて混練する。これをシート成型機を用いて加工し、乾燥させて所定の厚みのシートを形成する。磁性樹脂層4bでは、磁性樹脂層4aの場合と同様にしてシートを形成する。磁性樹脂層4bは、磁気シールド性能を高めるために、磁性樹脂層4aの場合よりも磁性粒子を高充填させる。このため平均粒径が25μm、5μmの2種類の球状アモルファス金属磁性粒子を用いて、粒径の大きな粒子の間に粒径の小さい粒子を入れ込むようにして充填率を上げるようにする。このようにして形成したそれぞれのシートを所定の形状に加工して、磁性樹脂層4a,4bとする。
この後、磁性樹脂層4bを型枠に配設して、加熱プレスして所定の形状の硬化した磁性樹脂層4bとする。磁性樹脂層4bとして圧粉成型した材料を用いてもよく、上述した方法で作製した場合には、硬化処理前でも圧縮強度が高い場合には、上記加熱プレスを省略し、後に続く磁性樹脂層4aの硬化処理のときにあわせて硬化させてもよい。
次に、磁性樹脂層4b上に磁性樹脂層4aを載置する。そして、渦巻状に巻回された導線1に磁性シート4dを貼り付けたループアンテナ素子2と、アンテナ素子12とを、所定の厚みの磁性樹脂層4aに埋設するように載置する。この際に、導線1,11の引出線を磁性樹脂層4bの側にして、導線1,11の端部が型の外枠の一部に設けた溝に沿って、外側に出るように設置する。この後、加熱プレスして磁性樹脂層4aを硬化させて型枠から取出すことでアンテナ装置10を完成する。このようにして作製されたアンテナ装置10は、導線1,11の引出線は磁性樹脂層4a,4bに埋設され、外部回路と接続するためのコイル端部が引き出されたものとなる。
磁性樹脂層4aの量は、図1に示すようにループアンテナ素子2及びアンテナ素子12を完全に埋設させる量であってもよく、ループアンテナ素子2及びアンテナ素子12の一部が露出する量であってもよい。また、磁性樹脂層4aの位置は、後述の変形例で説明するようにループアンテナ素子2及び/又はアンテナ素子12の外径部分又は内径部分の全部あるいは一部を充填するように埋設する位置であってもよい。
上述したような製造方法によって、ループアンテナ素子2及びアンテナ素子12と磁性樹脂層4a,4bとを固定する場合に、接着剤を用いる必要がない。したがって、接着剤を塗布する工程が削減され、さらに接着剤塗布により形成される接着剤層がない分だけアンテナ装置10の薄型化が可能になる。また磁性樹脂層4a,4bは、上述のような樹脂が混錬されているために、外部からの衝撃に対して、割れ等の破損を生じることがないので、表面に保護シートを貼付する必要がない。したがって、保護シート貼付工程を削減でき、保護シートにかかるアンテナ装置の厚さの増大を抑えることができる。
また、磁性樹脂層4a,4bは、磁性粒子と樹脂を混練して形成され、硬化後も適度な柔軟性を有しているため、電子機器の筐体内部の形状に合わせて搭載することができる。
[変形例1]
図2は、ループアンテナ素子2の内径部分と、アンテナ素子12の内径及び外径部分に磁性樹脂層4aを配置した例である。
アンテナ装置10aは、導線1を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2を載置する磁性シート4dと、磁性シート4dの下面に配置された磁性樹脂層4aと、磁性樹脂層4aの下面に配置される磁性樹脂層4bとを有するループアンテナ部3を備える。そして、ループアンテナ部3の内径側にアンテナ部13が配置される。アンテナ部13は、導線11を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のアンテナ素子12と、アンテナ素子12を載置する磁性樹脂層4bと、アンテナ素子12の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aとを有する。
[変形例2]
図3は、磁性樹脂層4bの断面構造を凸型にしている例である。アンテナ素子12の内径側に透磁率の高い磁性体を配することによって、アンテナのインダクタンス及び送受信アンテナ間の結合係数を高くすることができ、通信特性を向上させることができる。
アンテナ装置10bは、導線1を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2を載置する磁性シート4dと、磁性シート4dの下面に配置され、ループアンテナ素子2の内径側を充填するように配置された磁性樹脂層4aと、ループアンテナ素子2の内径側であって、磁性樹脂層4aの下面に配置され、ループアンテナ素子2の内径の中心部付近を表面が露出するまで充填するように配置された磁性樹脂層4bとを有するループアンテナ部3を備える。そして、ループアンテナ部3の内径側に、磁性樹脂層4bを取り囲むようにアンテナ部13が配置される。アンテナ部13は、導線11を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のアンテナ素子12と、アンテナ素子12を載置する磁性樹脂層4bと、アンテナ素子12の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aとを有する。
磁性樹脂層4aの量は、図2に示すように、ループアンテナ素子2の最も内径側の導線1に接する程度まで増量してもよく、図3に示すようにアンテナ素子12の最外周の導線1を埋設させる程度の量としてもよい。また、磁性樹脂層4bの形状は、特に、平板状や、図3に示すような凸型に限らない。アンテナ装置のサイズや通信特性といった要求仕様に合わせて、磁性樹脂層4bの大きさ、形状を任意に設定することができる。また、磁性樹脂層4aは、プレスにより流動するので、形状や厚み等を制御することができ、磁性樹脂層4aを充填させる位置を、たとえばアンテナ素子12の内径側近傍のみとすることや、ループアンテナ素子2とアンテナ素子12の間まで延長するなど任意に制御することが可能である。
[変形例3]
図4には、磁性樹脂層4bがアンテナ部13にのみ配置され、ループアンテナ素子2の下方には、ループアンテナ素子2を支持するためのスペーサ7が配置される変形例を示す。
アンテナ装置10cは、導線1を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2を載置する磁性シート4dと、磁性樹脂層4aを介して磁性シート4dの下方に配置されたスペーサ7とを有するループアンテナ部3を備える。そして、ループアンテナ部3の内径側にアンテナ部13が配置される。アンテナ部13は、導線11を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のアンテナ素子12と、アンテナ素子12を載置する磁性樹脂層4bと、アンテナ素子12の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aとを有する。ループアンテナ素子2と磁性シート4dは、磁性樹脂層4aによって少なくとも一部がスペーサ7に固着される。磁性シート4dは、磁性樹脂層4a,4bの両方に固着されるようにしてもよく、磁性樹脂層4bに固着されるようにしてもよい。
スペーサ7として非磁性材料を用いる場合には、ループアンテナ部3とアンテナ部13との磁気的な干渉を軽減することができる。また、スペーサ7に、熱伝導性の優れた材料を用いると、非接触充電用途に用いるアンテナ部13で発生した熱を効果的に放熱することができる。図4に示す例では、ループアンテナ素子2が載置された磁性シート4dは、磁性樹脂層4aによって接着剤を用いることなしに固着することができるが、ループアンテナ素子2をあらかじめ接着剤等で接合してループアンテナ部3を構成し、その後、アンテナ部13と磁性樹脂層4a,4bの一方、あるいは両方により固着するようにしてもよい。また、スペーサ7と磁性樹脂層4bはあらかじめ固着させた状態で用いることができる。なお、スペーサ7は厚い磁性シート4dを用いることで代用でき、また省略することもできる。
[変形例4]
図5には、ループアンテナ素子2と磁性シート4dとを有するループアンテナ部3と、磁性樹脂層4aに埋設されたアンテナ素子12と磁性樹脂層4aの下面に配設された磁性樹脂層4bとを有するアンテナ部13を別々に作製し、製造工程の最終工程においてループアンテナ部3を磁性樹脂層4bに接着層5によって接続する場合の構成例を示す。この変形例では、磁性樹脂層4bをアンテナ部13の占有面積よりも広くとることによって、磁性樹脂層4bの外周側の一部をループアンテナ部3との接着のためのスペースとして利用している。この場合でも、ループアンテナ部3の支持基板として変形例3(図4)で用いたスペーサ7を用いてもよく、スペーサ7と磁性樹脂層4bはあらかじめ固着させた状態で準備しておき、接着層5によって磁性樹脂層4bに接続するようにしてもよい。
すなわち、アンテナ装置10dは、導線1を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2を載置する磁性シート4dと、磁性シート4dの下面に配置される磁性樹脂層4bと、磁性樹脂層4bに磁性シート4dを接続するための接着層5とを有するループアンテナ部3を備える。そして、ループアンテナ部3の内径側にアンテナ部13が配置される。アンテナ部13は、導線11を渦巻状に巻回して形成されたスパイラルコイル状のアンテナ素子12と、アンテナ素子12の全体を埋設するように形成された磁性樹脂層4aとを有しており、磁性樹脂層4aの下面に磁性樹脂層4bを固着させる。
[変形例5]
図6は、図1のアンテナ装置10の磁性樹脂層4bの下に、さらに磁性層4cを配置したものである。アンテナ装置10eに用いる磁性樹脂層4bは、磁性粒子を樹脂中に配合したものであるため、高透磁率構成のバルク材料に比べると透磁率が低い。このため透磁率の高い磁性材料からなる磁性層4cを磁性樹脂層4bにさらに加えることで磁気シールド効果を高めることができる。なお、磁性層4cは、透磁率の高い磁性体であり、後述するような磁性材料を用いるが、このような高透磁率磁性材料は一般的に磁気飽和しやすい。したがって、アンテナ装置を直流磁場の存在する環境下で用いる場合には、主として磁性樹脂層4bを用い、磁性層4cを補助的に加えるような構成とすることが好ましい。
この磁性層4cは、図6に示すように、磁性樹脂層4bの下面側に配置しているが、磁性樹脂層4bの上面あるいは磁性樹脂層4bの内部に埋め込むようにして配置してもよく、また磁性樹脂層4bよりも小さな形状、あるいは大きな形状にして用いてもよい。変形例1〜4の構成と組合せて用いてもよいのはもちろんである。
磁性層4cは、透磁率の高い材料であって、フェライト等の酸化物磁性体、Fe系、Co系、Ni系、Fe−Ni系、Fe−Co系、Fe−Al系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Si−Al系等の結晶系、微結晶系金属磁性体、あるいはFe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Co−Si−B系、Co−Zr系、Co−Nb系、Co−Ta系等のアモルファス金属磁性体を使うことができる。また、これらの磁性体の粒子を結合剤で圧縮成型あるいは焼成して作製したシートや、これらの磁性体を扁平処理等を施して扁平形状にした磁性粉を樹脂等と混練して作製したシートを使うこともできる。
図6に示すように、アンテナ装置10eでは、導線1,11の引出線を収納するための引出部6を磁性樹脂層4bと磁性層4cに設けている。作製時の熱プレスにより上記引出線が、磁性樹脂層4bあるいは磁性層4c、又はその両方に埋設できない場合、磁性樹脂層4bあるいは磁性層4c、又はその両方に引出部6を設けて、導線1,11の引出線を収納することでアンテナ装置10の低背化を図ることができる。
[変形例6]
図7には、アンテナ素子12の内径側に、さらに別のループアンテナ素子22を設け、すべてのアンテナ素子を磁性樹脂層4aに全体を埋設させる例を示す。アンテナ部13の内径側にループアンテナ部23が構成される。この構成では、たとえばアンテナ部13を非接触充電用に、ループアンテナ部3をNFCアンテナ用に、ループアンテナ部23を異物検知コイル用に用いることができるが、特に限定されることはない。たとえばループアンテナ部3を非接触充電用としたり、ループアンテナ部23を別の通信アンテナに用いる等、自由に割り振ることができる。ループアンテナ素子22を、基材の片面あるいは両面に金属導体をパターニングして作製したコイル、いわゆるFPC(Flexible Printed Circuit)コイルで構成することができ、ループアンテナ素子22の下面には、ループアンテナ素子2で用いた磁性シート4dに類する磁性シートを設けることができる。各アンテナがループアンテナの場合には、各アンテナの特性を維持するために、各アンテナの中心軸をそろえて同心円状に配置するのが好ましい。
この変形例6では、アンテナ素子12がループアンテナであり、その内径にループアンテナ素子22を配置するものである。アンテナ素子12,22を任意のアンテナ構造として、互いに重畳することのないように、ループアンテナ素子2の内径に配列させる等任意の配置、構成をとることができるのは言うまでもない。
以上説明したように、本発明のアンテナ装置では、1つのループアンテナの内径に他のアンテナが配置されているので、ループアンテナの内径側がデッドスペースにならずに、省スペース化されたアンテナ装置が実現できる。
さらに、本発明のアンテナ装置は、主たる磁気シールドとして磁気飽和しにくい磁性樹脂層を用いているので、直流磁場の印加されている環境下でもコイルのインダクタンス値の変化が小さく安定した通信を行うことができる。また、本発明のアンテナ装置では、コイルの周囲が磁性及び熱伝導性を有する磁性樹脂層でおおわれているので、コイルのインダクタンスを高めると同時に、コイルで発生した熱を逃がすことができる。特に大電力を送受する場合は発熱が問題となるが、効率よく熱を逃がすことができるので、発熱の低下による電子機器内の放熱スペースを削減することも可能になり、実質的機器の小型化・薄型化に貢献することができる。
さらに、磁性樹脂層4a,4bは、磁性粒子に樹脂を混錬して形成するため、硬化後も柔軟性を有しており、電子機器の内部の形状に合わせて、搭載し、実装することが可能である。
[非接触通信システム及び非接触充電システムを構成する場合の具体例]
<非接触通信装置の構成例>
本発明の一実施の形態に係るアンテナ装置10は、共振コイル(アンテナ)として、共振コンデンサとともに共振回路を構成する。そして、構成された共振回路を非接触通信装置に搭載して、これと他の非接触通信装置と非接触で通信を行う。非接触通信装置は、たとえば携帯電話に搭載されたNFC(Near Field Communication)等の非接触通信モジュール150である。また、他の非接触通信装置は、たとえば非接触通信システムにおけるリーダライタ140である。
図8に示すように、非接触通信モジュール150は、共振コンデンサと、共振コイルとして機能するアンテナ装置10とからなる共振回路を含む2次側アンテナ部160を備える。非接触通信モジュール150は、リーダライタ140から送信されてきた交流信号を、各ブロックの電源として用いるために、整流して直流電力に変換する整流部166と、各ブロックに対応する電圧を生成する定電圧部167とを備える。非接触通信モジュール150は、定電圧部167により供給される直流電力によって動作する復調部164と変調部163と受信制御部165とを備えており、また、全体の動作を制御するシステム制御部161を備えている。2次側アンテナ部160によって受信された信号は、整流部166による直流電力変換とともに、復調器で復調され、システム制御部161によって、リーダライタ140からの送信データが解析される。また、システム制御部161によって、非接触通信モジュール150の送信データが生成され、送信データは、変調部163によってリーダライタ140に送信するための信号に変調されて2次側アンテナ部160を介して送信される。受信制御部165では、システム制御部161の制御に基づいて、2次側アンテナ部160の共振周波数の調整を行うための信号を生成して、通信の状態に合わせて共振周波数の調整を行うことができる。
また、非接触通信システムのリーダライタ140は、共振コンデンサからなる可変容量回路とアンテナ装置10とを有する共振回路を含む1次側アンテナ部120を備える。リーダライタ140は、リーダライタ140の動作を制御するシステム制御部121と、システム制御部121の指令に基づいて、送信信号の変調を行う変調部124と、変調部124からの送信信号により変調されたキャリア信号を1次側アンテナ部120に送出する送信信号部125とを備える。さらに、リーダライタ140は、送信信号部125によって送出される変調されたキャリア信号を復調する復調部123を備える。
図9に2次側アンテナ部160の構成例を示す。2次側アンテナ部160は、共振容量を構成する可変容量コンデンサCS1,CP1,CS2,CP2と、インダクタンスを形成するアンテナ装置10とからなる直並列共振回路を含む。1次側アンテナ部120についても同様の構成を備える。
可変容量回路の各コンデンサCS1,CP1,CS2,CP2は、受信制御部165(リーダライタ140の場合には、送受信制御部122)によって直流バイアス電圧を制御され、適切な容量値に設定され、アンテナ装置10(Lant)とともに共振周波数が調整される。
<非接触通信装置の動作>
次に、アンテナ装置10を含む共振回路からなる1次側アンテナ部120及び2次側アンテナ部160をそれぞれ備えるリーダライタ140及び非接触通信モジュール150の動作について説明する。
リーダライタ140は、送信信号部125によって送出されるキャリア信号に基づいて、1次側アンテナ部120とのインピーダンスマッチングを行い、受信側である非接触通信モジュール150の受信状態に基づいて、共振回路の共振周波数の調整を行う。変調部124では、一般的なリーダライタで用いられる変調方式、符号化方式は、マンチェスタ符号化方式やASK(Amplitude Shift Keying)変調方式等である。キャリア周波数は、典型的には13.56MHzである。
送信されるキャリア信号は、送受信制御部122が、送信電圧、送信電流をモニタすることによって、インピーダンスマッチングが得られるよう1次側アンテナ部120の可変電圧Vcを制御して、インピーダンス調整を行う。
リーダライタ140から送信された信号は、非接触通信モジュール150の2次側アンテナ部160で受信され、復調部164によって信号が復調される。復調された信号の内容がシステム制御部161によって判断され、システム制御部161は、その結果に基づいて応答信号を生成する。なお、受信制御部165は、受信信号の振幅や電圧・電流位相に基づいて、2次側アンテナ部160の共振パラメータ等を調整して、受信状態が最適になるように、共振周波数の調整をすることができる。
非接触通信モジュール150は、応答信号を変調部163によって変調し、2次側アンテナ部160によってリーダライタ140に送信する。リーダライタ140は、1次側アンテナ部120で受信した応答信号を復調部123で復調し、復調された内容に基づいて、システム制御部121によって必要な処理を実行する。
<非接触充電装置及び受電装置の構成例>
本発明に係るアンテナ装置10を用いた共振回路は、非接触充電装置180によって、非接触で携帯電話等の携帯端末に内蔵される2次電池を充電する受電装置190を構成することができる。非接触充電の方式としては、電磁誘導方式や磁気共鳴等が適応可能である。
図10には、本発明が適用された携帯端末等の受電装置190と、受電装置190を非接触で充電する非接触充電装置180とからなる非接触充電システムの構成例を示す。
受電装置190は、上述した非接触通信モジュール150とほぼ同じ構成を備える。また、非接触充電装置180の構成は、上述したリーダライタ140の構成とほぼ同じである。したがって、リーダライタ140、非接触通信モジュール150として図8に記載されたブロックと同じ機能を有するものについては、同じ符号で示す。ここで、リーダライタ140では、送受信するキャリア周波数が多くの場合に13.56MHzであるのに対して、非接触充電装置180では、100kHz〜数100kHzの場合がある。
非接触充電装置180は、送信信号部125によって送出されるキャリア信号に基づいて、1次側アンテナ部120とのインピーダンスマッチングを行い、受信側である非接触通信モジュールの受信状態に基づいて、共振回路の共振周波数の調整を行う。
送信されるキャリア信号は、送受信制御部122が、送信電圧、送信電流をモニタすることによって、インピーダンスマッチングが得られるよう1次側アンテナ部120の可変電圧Vcを制御して、インピーダンス調整を行う。
受電装置190は、2次側アンテナ部160で受信された信号を整流部166で整流し、整流された直流電圧を充電制御部170の制御にしたがって、バッテリ169を充電する。2次側アンテナ部160による信号の受信がない場合であっても、ACアダプタ等の外部電源168によって充電制御部170を駆動してバッテリ169を充電することができる。
非接触充電装置180から送信された信号は、2次側アンテナ部160で受信され、復調部164によって信号は復調される。復調された信号の内容がシステム制御部161によって判断され、システム制御部161は、その結果に基づいて応答信号を生成する。なお、受信制御部165は、受信信号の振幅や電圧・電流位相に基づいて、2次側アンテナ部160の共振パラメータ等を調整して、受信状態が最適になるように、共振周波数の調整をすることができる。
[磁性粒子の形状を設定した場合のアンテナ装置の特性評価]
非接触充電システムでは、1次側アンテナと2次側アンテナの相対位置が電力伝送効率に影響する。このため、充電装置(1次側)と受電装置(2次側)の位置を近接して配置できるように、充電装置に強力なマグネットを配して、充電装置の1次側アンテナに、受電装置の2次側アンテナを引き寄せるように工夫されたものがある(非特許文献2記載のデザインA1)。このような強力なマグネットによる直流磁場に対する磁性樹脂層の効果を定量化するために以下のような特性評価を行った。
本発明の実施の形態に係るアンテナ装置10に関して、磁性樹脂層4bを用いた場合の特性を、コイルのインダクタンス値に与える磁気飽和の影響として評価した。具体的には、図11(A)に示す単一のコイルのインダクタンス値を測定することによって特性評価を行った。図11(B)には、特性評価用のアンテナ装置10gの断面を示す。アンテナ装置10gは、長方形状に巻回された導線1によって形成されるループアンテナ素子2と、ループアンテナ素子2に接着層5を介して接続された所定の厚さを有する磁性樹脂層4bとを備える。また、ループアンテナ素子2と外部回路との電気的接続のための引出線3a,3bを有している。ループアンテナ素子2の内径側の引出線3aは、磁性樹脂層4bに形成された切欠部26を通って外部に引き出される。なお、図11(C)は、後述する磁性層4cをさらに付加した場合の磁気特性への影響を測定するための特性評価用のアンテナ装置10hの構成である。
測定環境を図12(A)及び図12(B)に示す。
図12(A)では、外部直流磁界のない状態を評価する受電コイルユニットの構成を示す。受電コイルユニットは、特性評価用のアンテナ装置10gであり、ループアンテナ素子2と磁性樹脂層4bとを備える。磁性樹脂層4bのループアンテナ素子2が搭載されている面とは反対側の面には、バッテリパックを模した金属板31を配置した。受電コイルユニットは、14Tの長方形コイル(外径31×43mm)である。
図12(B)では、マグネットによる外部直流磁界がある状態を評価する受電コイルユニットの構成を示す。図12(A)の場合と同じく、受電コイルユニットは評価用のアンテナ装置10hであり、ループアンテナ素子2と磁性樹脂層4bとを備えている。磁性樹脂層4bのループアンテナ素子2が搭載されている面とは反対側の面には、バッテリパックを模した金属板31を配置した。受電コイルユニットに対向するように送電コイルユニットを配置した。送電コイルユニットは、スパイラルコイル30aと磁性シールド材30bとを備えており、受電コイルユニットの中心と中心軸を合わせるように配置した。送電コイルユニット30の中心に、直流磁界発生のためのマグネット40を配置した。このマグネットを装着した送信コイルユニットは、非特許文献2に記載されるデザインA1に基づいて作成されたものである。受電コイルユニットと送電コイルユニットとは、2.5ミリのアクリル板を介して離間して対向配置した。アジレント社のインピーダンスアナライザ4294Aを用いて、それぞれの場合に対して、磁性樹脂層4bの構成を変えて、コイルのインダクタンス値を測定した。
最初に、図11(B)に示すような磁性樹脂層4bのみからなる磁性シールド層を有するアンテナ装置10gのインダクタンス値の測定を行った。
図13及び図14には、各種磁性材料を用いた磁気シールド層を搭載した受電コイルユニットのインダクタンス値を測定したグラフを示す。直流磁界がない状態におけるインダクタンスの測定値に対する直流磁界がある状態におけるインダクタンスの測定値の変化量をパーセントで表し、インダクタンスの相対値ΔLと称する。磁性樹脂層4bの厚さtmを変えて、インダクタンスの相対値ΔLをプロットした。マイナスのインダクタンスの相対値ΔLは、インダクタンス値が低下したことを表し、プラスの場合には、インダクタンス値が増加したことを示す。
<実施例1>
図13(A)には、磁性樹脂層4bとして、寸法比(長径/短径)が6以下の球状アモルファス粉を配合した平均透磁率20程度を有する磁性樹脂層4bを用いた場合のインダクタンスの相対値ΔLを示す。
<実施例2>
図13(B)には、磁性樹脂層4bとして、寸法比(長径/短径)が6以下の球状センダスト粉を配合した平均透磁率16程度を有する磁性樹脂層4bを用いた場合のインダクタンスの相対値ΔLを示す。
<比較例1>
図14(A)には、磁気シールド層として、センダスト系の寸法比(長径/短径)が50程度の扁平粉を結合剤と混合して作製した平均透磁率100程度を有する磁性シートを用いた場合のインダクタンスの相対値を示す。
<比較例2>
図14(B)には、磁気シールド層として、透磁率1500程度のMnZn系のバルクフェライトを用いた場合のインタクタンスの相対値を示す。
<結果>
図13(A)及び図13(B)に示すように、球状の磁性粉を用いた磁性樹脂層4bを磁性シールド層とした本発明の実施の形態の構成例では、コイルのインダクタンス値は、直流磁場が印加されてもほとんど低下していない。なお、インダクタンスの相対値ΔLがプラスになるのは送電コイルユニットを構成する磁気シールド層が大きいために、磁束が受電コイルユニット近傍に集束したことによる。
一方、図14(A)に示すように、磁性シールド層として扁平形状の磁性粉からなる磁性シートを用いた場合には、送信コイルユニットに装着されたマグネットの直流磁場の影響によって、磁気シールド層に磁気飽和が生じ、インダクタンス値が大きく低下している。シールド層が薄くなるほど磁気飽和しやすくなるので、この傾向はさらに顕著であることが示される。
図14(B)に示すように、磁性シールド層としてフェライトを用いた場合には、図14(A)の場合と同様に、インダクタンス値が大きく低下することが示される。
このように本発明の構成にすることで、マグネット装着の送信コイルユニットに対しても、あるいは大きな直流磁場のある環境においてもコイルインダクタンスの変化が少なく、したがって受電モジュールの共振周波数の変化が少なく安定した電力伝送が可能となる。
[磁性層を付加した場合のアンテナ装置の特性評価]
上述のアンテナ装置の評価で用いた図12(A)及び図12(B)に示すものと同じ受電コイルユニットを使用した。受電コイルユニットは、14Tの長方形コイル(外径31mm×43mm)である。
特性評価の方法としては、図11(B)及び図11(C)に示すように、磁気シールド層として、磁性樹脂層4bのみの場合(図11(B))と、磁性樹脂層4bの下面に、50μm厚の磁性層4cを貼り付けた場合(図11(C))について、それぞれのコイルのインダクタンス値を測定した。また、これらの場合において、磁性樹脂層4bの厚さを変えてインダクタンス値を測定した。したがって、磁性シールド層の全体の厚さは、磁性樹脂層4bに、磁性層4cの厚さ50μmを加えたものとなる。
受電コイルユニット(評価用のアンテナ装置10h)の磁性樹脂層4bには、寸法比6以下の球状のアモルファス粉を配合した平均透磁率30程度のものを用い、磁性層4cには、センダスト系の寸法比50程度の扁平粉を結合剤と混合して作製した透磁率100程度のものを用いた。
図15(A)及び図15(B)に、磁気シールド層4の厚さtmに対するインダクタンス値Lをプロットしたグラフを示す。なお、インダクタンス値は、アジレント社のインピーダンスアナライザ4294Aを用いて測定し、非接触充電システムで一般に用いられる周波数120kHzにおけるインダクタンス値Lとしてプロットした。
<実施例3>
図15(A)には、直流磁場の印加がない場合、すなわち、図12(A)の受電コイルユニットの構成の場合のコイルのインダクタンス値Lの測定結果を示す。図15(B)には、マグネットにより直流磁場が印加されている図12(B)の受電コイルユニットの構成の場合のインダクタンス値Lの測定結果を示す。
図15(A)に示すように、直流磁場のない場合では、磁性樹脂層4bの一部を薄い磁性層4cで置き換えることによって、コイルのインダクタンス値を向上させることができる。
一方、図15(B)で示すように、マグネットによる直流磁場が印加されると、磁気飽和の影響が大きいために、いずれのコイルについてもインダクタンス値が下がっている。磁性層4cは、磁性樹脂層4bよりもインダクタンスを増加させる効果が高いが、逆に強い磁場が印加された状態では磁性樹脂層4bの方がインダクタンスを向上させる効果が高いので、上記2つの層の割合を調整することで、磁気シールド性や回路の共振条件に強く影響するコイルインダクタンスとその磁気飽和特性を所望の性能に調整することができる。
このように、本発明のアンテナ装置では磁気飽和に強い磁性樹脂層を有しているので、強い磁場が印加されている環境下においてもコイルインダクタンスの変化が少なく安定した電力供給が可能である。さらにまた、磁性樹脂層と磁性層の厚みを調整することでコイルインダクタンスの大きさと強い磁場環境下でのコイルインダクタンスの変化率のバランスを調整することができる。非接触通信用はもちろん、非接触電力伝送(非接触充電)用にも用いることができ、また、それぞれのループアンテナ部、アンテナ部を用途や搭載する電子機器に応じて最適に設計することができる。
1,11,21 導線、2 ループアンテナ素子、12,22 アンテナ素子、3 ループアンテナ部、13,23 アンテナ部、3a,3b 引出線、4 磁気シールド層、4a,4b 磁性樹脂層、4c 磁性層、4d 磁性シート、5 接着層、6 引出部、7 スペーサ、10,10a〜10f アンテナ装置、10g,10h 特性評価用アンテナ装置、26 切欠部、30 送信コイルユニット、30a スパイラルコイル、30b 磁性シールド、31 金属板、40 マグネット、120 1次側アンテナ部、121 システム制御部、122 送受信制御部、123 復調部、124 変調部、125 送信信号部、140 非接触通信装置、150 非接触通信モジュール、160 2次側アンテナ部、161 システム制御部、163 変調部、164 復調部、165 受信制御部、166 整流部、167 定電圧部、168 外部電源、169 バッテリ、170 充電制御部、180 非接触充電装置、190 受電装置
<結果>
図13(A)及び図13(B)に示すように、球状の磁性粉を用いた磁性樹脂層4bを
磁性シールド層とした本発明の実施の形態の構成例では、コイルのインダクタンス値は、
直流磁場が印加されてもあまり低下していない。なお、インダクタンスの相対値ΔLが
プラスになるのは送電コイルユニットを構成する磁気シールド層が大きいために、磁束が
受電コイルユニット近傍に集束したことによる。

Claims (15)

  1. ループアンテナと、
    上記ループアンテナの内径に配置された1つ以上の他のアンテナとを備え、
    上記ループアンテナ及び上記他のアンテナは、磁性粒子及び樹脂を含有する1つ以上の磁性樹脂層を有し、
    上記ループアンテナ又は1つ以上の上記他のアンテナのうちの少なくとも1つは、少なくともその一部が上記磁性樹脂層に埋設されることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 上記磁性樹脂層は、上記磁性粒子及び樹脂を混錬して形成することによって柔軟性を有することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 上記ループアンテナ又は他のアンテナのうちの少なくとも1つは、非磁性材料を含む支持部材により支持されることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  4. 上記ループアンテナ又は他のアンテナのうちの少なくとも1つは、高熱伝導性材料を含む支持部材により支持されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のアンテナ装置。
  5. 上記ループアンテナは、接着層を介して上記磁性樹脂層と接続されることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  6. 上記ループアンテナ又は他のアンテナのうちの少なくとも1つは、上記磁性樹脂層とは磁気特性が異なる磁性材料を含む磁性層を更に有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のアンテナ装置。
  7. 上記ループアンテナ又は1つ以上の上記他のアンテナのうちの少なくとも1つは、その全部が上記磁性樹脂層に埋設されることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のアンテナ装置。
  8. 上記1つ以上の磁性樹脂層のうち、少なくとも1つの磁性樹脂層は、球状、又は長径と短径との比で表される寸法比6以下の回転楕円体状の磁性粒子を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のアンテナ装置。
  9. 上記1つ以上の磁性樹脂層のうち、少なくとも1つの磁性樹脂層は、球状又は長径と短径との比で表される寸法比6以下の回転楕円体状の磁性粒子、樹脂及び潤滑剤を含み、これらを混合して圧縮成型した圧粉磁心であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のアンテナ装置。
  10. 上記他のアンテナは、2つ以上であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のアンテナ装置。
  11. 2つ以上の上記他のアンテナは、上記ループアンテナの内径に、互いに重複することなく配列されることを特徴とする請求項10記載のアンテナ装置。
  12. 2つ以上の上記他のアンテナは、いずれもループ状であり、
    上記他のアンテナのうちの1つのアンテナは、残りのアンテナの内径に配置されることを特徴とする請求項10記載のアンテナ装置。
  13. 2つ以上の上記他のアンテナは、上記残りのアンテナの内径にそれぞれ同心円状に配置されることを特徴とする請求項11記載のアンテナ装置。
  14. 上記ループアンテナ又は1つ以上の上記他のアンテナのうちの1つが非接触電力伝送用アンテナであることを特徴とする請求項1〜13いずれか1項記載のアンテナ装置。
  15. 請求項1〜13いずれか1項記載のアンテナ装置を備える電子機器。
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