JP2014200199A - 生体親和性多孔体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】空孔特性に優れ、生体親和性と柔軟性を有し、しかも取扱性及び成形加工性に優れた生体親和性多孔体と工業的に効率のよい製造方法を提供する。前記生体的親和性多孔体を備えた細胞培養基材及び癒着防止材を提供する。【解決手段】基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層が湿式相転換法により前記基材と一体に形成された基材−多孔質層積層体により構成された生体親和性多孔体。また、湿式相転換法により形成された、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成され、該多孔質膜は多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径は0.01〜20μmである生体親和性多孔体。【選択図】なし

Description

本発明は、生体親和性多孔体及びその製造方法に関する。さらに詳細には、生体親和性樹脂を原料とし、多数の微小孔を有する、基材を有しない多孔質膜により構成される生体親和性多孔体、及び基材と前記多孔質膜とが一体となった基材−多孔質層積層体により構成される生体親和性多孔体、並びにそれらの製造方法に関する。本発明は、また、前記生体親和性多孔体を備えた細胞培養基材及び癒着防止材に関する。
近年、医療やバイオテクノロジーの発展、細胞培養技術の開発により、生体内の細胞を用いてその機能を維持したまま生体外で培養させたり、細胞から3次元組織体の形成を行ったりし、これを患部に移植することによって組織を回復させようとする細胞工学や組織再生工学的研究が進められており、採取した患者自身の体細胞を生体外で培養し、再生した組織を欠損部に移植するという方法が提案されている。この方法によれば、患者自身の細胞組織を使用するため免疫上の問題がなく、採取する組織も少量で良いため患者の負担も軽減されるという利点がある。また、iPS細胞を用いた再生医療の研究も活発に行われている。
しかし、生体外における組織の培養では、通常、生体を構成する細胞の殆どが固体表面に付着して増殖する接着依存性細胞であるため、付着の足場となる基質が存在しないと増殖或いは機能の発現が困難である。細胞をその機能を保持した状態で培養するためには、生体内の環境に近い状態を実現する三次元培養法を行う必要があり、そのためには、培養基材に毒性がなく、付着表面積が大きく栄養分の供給、老廃物の代謝が阻害されない培養基材を細胞外マトリックスとして使用することが必要となる。
細胞と材料との相互作用において、細胞は材料表面の化学的な性質のみならず微細な形状によっても影響を受けることが知られている。そこで組織工学などの観点から細胞の機能制御を目指すとき、細胞と接触する材料表面の化学的性質と微細な構造の双方の加工が重要となる。多孔性フィルムでは多孔質構造が細胞接着面を提供し、多孔質構造が細胞の支持基盤へのアクセス、栄養の供給ルートとなることが示されている。
表面の微細加工法としては、各種の検討が行われており、表面微細構造が細胞の成長等に大きく影響を及ぼすことが知られている。しかし、これらのマイクロパターン技術を使った表面加工は、非常に高度な技術が必要であり、大量生産ができない、高コストになる、などの多くの問題を抱えているのが現状である。
そして、多孔質構造フィルムをベースに細胞を組織化すれば、その1つの利用方法として人工臓器が考えられる。しかし人工臓器等にしたときには体内に埋め込むことが必須となるため、この基材は長期的には生体内へ吸収されることが望ましい。細胞培養に要する時間は安定に構造を維持し、それ以上では分解するような生分解性材料から作られたものが好ましいと言える。
特許文献1には、乳酸−トリメチレンカーボネート共重合体の多孔質体からなる細胞培養基材が開示されている。この文献には、共重合体をジオキサン、ベンゼン等の適切な溶媒に溶解し、この溶液を凍結乾燥する方法によって多孔質体が得られることが記載されている。
また、特許文献2には、孔の孤立したハニカム構造体の製造方法が開示されている。そして、疎水性有機溶媒に高分子材料を溶解または分散させた材料溶液を、支持体上に積層することで当該材料溶液の液膜を形成し、水蒸気を含む気体を液膜の表面に吹き付けることにより、上記水滴を鋳型として複数の孔をハニカム状に形成できることが記載されている。
特許文献3には、生体内で適度な分解速度を有し、かつ細胞の接着性が良く細胞培養に適した細胞培養基材とその製造方法が開示されている。この文献には、静電紡糸法により平均繊維径が0.01〜1μmの繊維よりなる繊維構造体を製造する方法が記載されている。
特開2002−065247号公報 WO2006/090579 特開2004−290133号公報
しかしながら、特許文献1記載の多孔質体の場合、多孔質体の孔径が50〜700μmの範囲の空隙を有する多孔質体であることが示されている。細胞培養基材として適切な基材の孔径に関しては、培養する細胞の種類により異なり限定できないが、細胞とあまり大きさの変わらない孔径をもつことが好ましいと考えられている。例えば、人体細胞は6〜25μm程度と言われており(参考;http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0340/contents/f0/03/f03000.html)、大き過ぎるという問題があった。
また、特許文献2記載のハニカム構造体は、ハニカム構造を形成するにあたって液膜上に微小な水滴粒子を形成することが、好ましい実施形態として挙げられている。したがって、用いられる溶媒としては、水との親和性ができるだけ低い溶媒(非水溶性溶媒)であることが求められる。しかし、好ましい高分子材料を非水溶性溶媒に溶解するのは困難となる場合があった。そして、孔形成工程において、液膜上で結露した水滴が凝集して1つの塊に融合することを防止するためには、水滴と液膜の溶媒との間の表面張力を減少させることが必要である。そのため、水と非水溶性溶媒への双方の親和性を有する両親媒性化合物を併用することが必要であり、液の調製も複雑となる。そして、良好にハニカム構造を形成するために、湿度と流量の制御が求められ、困難であった。また、雰囲気中の塵は水蒸気の凝結核となって形成されるハニカム構造体に影響を及ぼすため、製造現場にも除塵設備等を設置する必要があるという問題があった。このように非常にシビアな製造が要求され、大きなサンプルの作成は困難で、また、高価なものとなるという問題があった。
特許文献3には、繊維構造体を静電紡糸法(エレクトロスピニング法)により製造することが可能であることが示されているが、静電紡糸法はまだ実用化はほとんどされておらず、主に研究開発で検討が進められている技術である。装置コストは高く、現時点では技術的難易度は高いと考えられている。さらに、このように微細な繊維(いわゆるナノファイバー)でシート状物を製造するのは非常に時間が掛かり、それによりコストの高いものとなるという問題があった。
そのため、空孔特性に優れ、生体親和性と柔軟性を有し、しかも取扱性及び成形加工性に優れた生体親和性多孔体及びその製造方法が求められている。
従って、本発明の目的は、空孔特性に優れ、生体親和性と柔軟性を有し、しかも取扱性及び成形加工性に優れた生体親和性多孔体と、その工業的に効率のよい製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記生体親和性多孔体を備えた細胞培養基材及び癒着防止材を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、生体親和性樹脂を原料とし、湿式相転換法を用いると、優れた空孔特性を有し、柔軟性を備え、しかも十分な強度を有するため、取扱性及び成形加工性に優れた生体親和性多孔体が得られることを見いだした。本発明は、これらの知見をもとにさらに研究を重ねた結果、完成されたものである。
すなわち、本発明は、基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層が湿式相転換法により前記基材と一体に形成された基材−多孔質層積層体により構成されている生体親和性多孔体を提供する。
前記生体親和性多孔体は、下記テープ剥離試験により、前記基材と前記多孔質層との間で界面剥離を起こさないことが好ましい。
(テープ剥離試験)
基材−多孔質層積層体の多孔質層表面にマスキングテープ[寺岡製作所社製、商品名「フィルムマスキングテープNo.603(#25)」、幅24mm]を貼り、直径30mm、200gf荷重のローラーで圧着した後、引張試験機を用いて剥離速度50mm/分でT型剥離を行う
前記多孔質層は、該多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液を前記基材の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導き、次いで乾燥に付すことにより、前記基材の少なくとも片面に該基材と一体に形成されていてもよい。
前記基材は、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、及びポリグリコール酸系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成されたフィルム基材、若しくは不織布基材、又はこれらの積層体であってもよい。
本発明は、また、湿式相転換法により形成された、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成され、該多孔質膜は多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径は0.01〜20μmである生体親和性多孔体を提供する。
この生体親和性多孔体において、前記多孔質膜は、該多孔質膜を構成すべき高分子を含む溶液を基板の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導いて多孔質フィルムを作製し、基板から剥離した該多孔質フィルムを、次いで乾燥に付すことにより形成されていてもよい。
前記の各生体親和性多孔体において、前記高分子を含む溶液は、高分子成分8〜50重量%、水溶性ポリマー0〜30重量%、水0〜10重量%、及び水溶性極性溶媒50〜92重量%からなる混合溶液であることが好ましい。
また、前記多孔質層又は多孔質膜は、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、及びポリグリコール酸系樹脂からなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記多孔質層又は多孔質膜の空孔率は、例えば30〜80%である。
前記多孔質層又は多孔質膜の厚みは、例えば1〜100μmである。
本発明は、さらに、前記の生体親和性多孔体を備えた細胞培養基材を提供する。
本発明は、さらにまた、前記の生体親和性多孔体を備えた癒着防止材を提供する。
本発明は、また、基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層を湿式相転換法により前記基材と一体に形成して基材−多孔質層積層体で構成される生体親和性多孔体を得ることを特徴とする生体親和性多孔体の製造方法を提供する。
この製造方法において、前記多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液を基材の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導き、次いで乾燥に付して前記基材の少なくとも片面に生体親和性樹脂多孔質層を前記基材と一体に形成する工程を含んでいてもよい。
本発明は、さらに、生体親和性樹脂を原料とし、湿式相転換法を用いることにより、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成される生体親和性多孔体を得ることを特徴とする生体親和性多孔体の製造方法を提供する。
この製造方法において、前記多孔質膜を構成すべき高分子を含む溶液を基板の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導いて多孔質フィルムを作製し、基板から剥離した該多孔質フィルムを、次いで乾燥に付すことにより基材を有しない生体親和性樹脂多孔膜で構成される生体親和性多孔体を得てもよい。
本発明の生体親和性多孔体は、空孔特性に優れ、生体親和性と柔軟性を有し、しかも取扱性及び成形加工性に優れている。このため、細胞培養基材、癒着防止材等として利用できる。
本発明の生体親和性多孔体の製造方法によれば、上記の優れた生体親和性多孔体を工業的に効率よく製造できる。
実施例1で得られた基材−多孔質層積層体における多孔質層表面の電子顕微鏡写真(SEM写真)である。 実施例2で得られた基材−多孔質層積層体における多孔質層表面の電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
本発明の第1の生体親和性多孔体は、基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層が湿式相転換法により前記基材と一体に形成された基材−多孔質層積層体(「多孔膜積層体」と称する場合がある)により構成されている。また、本発明の第2の生体親和性多孔体は、湿式相転換法により形成された、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成され、該多孔質膜は多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径は0.01〜20μmである。第1の生体親和性多孔体と第2の生体親和性多孔体とは、基材を有するか有しないかの点で異なる。
[多孔質層(多孔質膜)]
前記第1の生体親和性多孔体における多孔質層、第2の生体親和性多孔体における多孔質膜(以下、これらを「多孔質層(膜)」と称する場合がある)は、主成分が生体親和性の高分子成分で構成されている。なお、本明細書において「主成分」とは、全体の50重量%以上のことを意味する。前記高分子成分としては、生体親和性を有する樹脂であればよく、特に生分解性を有する樹脂が好ましく用いられる。生体親和性を有する樹脂としては、公知乃至慣用の生体親和性樹脂を使用することができ、例えば、ポリ乳酸系樹脂(乳酸に由来する構成単位を含む樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(カプロラクトンに由来する構成単位を含む樹脂)、ポリグリコール酸系樹脂(グリコール酸に由来する構成単位を含む樹脂)等のプラスチック等が挙げられる。これらの高分子成分は単独で又は2種以上混合して使用してもよい。上記の樹脂は単独重合体であっても、共重合体(グラフト重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等)であってもよい。上記樹脂の骨格(ポリマー鎖)を主鎖又は側鎖に含む重合物を用いることも可能である。このような重合物の具体例として、ポリ乳酸とポリグリコール酸の骨格を主鎖に含むポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体等が挙げられる。
前記多孔質層(膜)の厚みは、例えば1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μmである。厚みが薄くなりすぎると安定して製造するのが困難になり、一方厚すぎる場合には製造時に洗浄性が悪くなるという問題がある。
細胞培養基材として適切な基材の孔径に関しては、培養する細胞の種類により異なり限定できないが、細胞とあまり大きさの変わらない孔径をもつことが好ましいと考えられている。例えば、原核細胞の一般的な大きさは、1μmから10μmであり、真核細胞の一般的な大きさは、5μmから100μmと言われている(参考;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E)。また、人体細胞は6μm〜25μm程度と言われており(参考;http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0340/contents/f0/03/f03000.html)、これに近い大きさの孔径であると、細胞に余分な力がかることなく安定して多孔質膜上に接着し、細胞が膜上で伸展することなく立体的に培養できると考えられる。
よって、前記多孔質層(膜)は、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径(=フィルム内部の平均孔径)が0.01〜20μmであるが、好ましくは0.1〜10μmである。平均孔径が上記範囲外である場合には、細胞が安定して培養されにくい点で空孔特性に劣り、例えばサイズが小さすぎる場合や大きすぎる場合には、細胞の剥離等を引き起こす場合がある。
前記多孔質層(膜)の内部の平均開孔率(空孔率)は、例えば30〜80%、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは45〜80%である。空孔率が上記範囲外である場合には、用途に対応する所望の空孔特性が得られにくく、空孔率が低すぎると、細胞が多孔質体内部に浸透しにくくなり、細胞接着密度が低下し培養が阻害されるという問題を生じる場合があり、空孔率が高すぎると、強度や耐折性に劣る可能性がある。
前記多孔質層(膜)の表面の開孔率(表面開孔率)は、特に制限されないが、例えば48%以上(例えば48〜80%)であり、好ましくは60〜80%程度である。ただし、多孔質層(膜)の表面に極薄い薄膜が形成される場合があり、この場合は表面の開孔率がほとんど無くても構わない。1μm以下の薄膜層は、細胞培養時に容易に侵食され得るし、他の方法として、例えば、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、スクラッチ処理、コロナ放電処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、放射線照射処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、シランカップリング剤処理、減圧処理等の適宜な表面処理を施すことで薄膜層を侵食することができる。表面開孔率が低すぎると細胞が多孔質体内部に浸透しにくい場合が生じることがあり、高すぎると強度、耐折性が低下しやすくなる。
前記多孔質層(膜)は、前記基材の少なくとも片面に形成されていればよく、両面に形成されていてもよい。
[基材]
本発明の第1の生体親和性多孔体を構成する多孔膜積層体は、基材の少なくとも片面に前記多孔質層が積層されている構成を有している。前記基材は、フィルム及び不織布から選択された少なくとも1種を含むのが好ましい。その他の点では特に制限されない。
前記基材は単層であってもよく、同一又は異なる素材からなる複数の層からなってもよい。前記複数の層は、複数のフィルム及び/又は不織布を必要に応じて接着剤等を用いて積層した積層フィルムであってもよく、コーティング、蒸着、スパッタ等の処理が施されて得られるものでもよい。
前記基材は、多孔質層の形成に用いる高分子溶液(塗布液)を塗布した時に、フィルムが溶解したり激しく変形したりする等の膜質の変化が生じないか極めて少ないものが好ましい。
前記基材には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、スクラッチ処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等表面処理が施されていてもよい。
また、上記表面処理を複数組み合わせて行うことも可能である。例えば、前記基材に対し、まず、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理等の何れかの処理を施した後、シランカップリング剤処理を行う方法等を利用できる。前記基材の種類によっては、上記方法は、シランカップリング剤の単独処理と比較して処理が強化される場合がある。前記シランカップリング剤としては、信越化学工業社製やジャパンエナジー社製の製品を挙げることができる。
前記基材の厚みは、例えば、5〜500μm、好ましくは8〜400μm、さらに好ましくは10〜300μmである。厚みが薄くなりすぎると取り扱いが困難になる一方で、厚すぎる場合には柔軟性が低下する場合がある。
前記基材と前記多孔質層との密着性を向上させる観点から、前記基材における前記多孔質層を積層する側の表面には、例えば、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、スクラッチ処理、コロナ放電処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、シランカップリング剤処理等の適宜な表面処理を施すことができる。前記シランカップリング剤としては、上記に例示のものを用いることができる。前記表面処理は、複数を組み合わせて施されてもよく、基材によっては、前記シランカップリング剤処理と、その他の処理を組み合わせて施されることが好ましい。
(フィルム基材、不織布基材)
前記フィルム、不織布としては、市販品を利用できる。フィルムを構成する材料(樹脂)の種類は、生体親和性や生分解性等の必要の有無に応じて選択できる。
好ましい樹脂としては、ポリエステル系樹脂[PET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂]、ポリイミド系樹脂、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(PCL系樹脂)、及びポリグリコール酸系樹脂(PGA系樹脂)からなる群より選択された少なくとも一種を利用できる。
より好ましくは、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂)、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)からなる群より選択された少なくとも一種を利用できる。さらに好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)である。
前記ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(PCL系樹脂)、及びポリグリコール酸系樹脂(PGA系樹脂)のフィルムや不織布は生体親和性や生分解性を持つために、例えば体内に埋め込み使用できる可能性がある。
前記フィルムとしては、市販品を利用できる。例えば、三菱樹脂社製のポリ乳酸系フィルム(商品名「エコロージュ」)、東レ社製のポリ乳酸系フィルム(商品名「エコディア」)、帝人デュポン社製のPETフィルム等が入手可能である。フィルム基材を構成する樹脂の種類は、所望する生体親和性や生分解性等に応じて選択できる。
前記不織布としては、市販品を利用できる。例えば、ユニチカ社製のポリ乳酸系不織布(商品名「テラマック」)等が入手可能である。不織布の基材を構成する樹脂の種類は、所望する生体親和性や生分解性等に応じて選択できる。
前記不織布は、抄紙法、メルトブロー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、エレクトロスピニング法等の一般的に知られた方法で製造することができる。
前記基材として不織布を用いた場合、該基材表面に高分子溶液を塗布して多孔質層を積層することにより、優れた層間密着強度で積層することができるという利点がある。また、柔軟性と優れた空孔特性を備える一方、適度な剛性を有するため、取扱性を向上する効果を得ることができる。
[基材と多孔質層との組み合わせ]
前記基材と前記多孔質層との密着性の観点から、前記基材と前記多孔質層とを構成する成分として、良好な密着性(親和性)を発揮しうる素材を組み合わせて用いることが好ましい。具体的には、前記多孔質層が、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種を含み、前記基材が、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂)、ポリイミド系樹脂、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(PCL系樹脂)、及びポリグリコール酸系樹脂(PGA系樹脂)からなる群より選択された少なくとも一種を含むことが好ましい。
また、前記多孔質層が、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種を含み、前記基材が、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂)、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(PCL系樹脂)、及びポリグリコール酸系樹脂(PGA系樹脂)からなる群より選択された少なくとも一種を含むことがより好ましい。
また、前記多孔質層が、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種を含み、前記基材が、ポリ乳酸系樹脂(PLA系樹脂)、ポリカプロラクトン系樹脂(PCL系樹脂)、及びポリグリコール酸系樹脂(PGA系樹脂)からなる群より選択された少なくとも一種を含むことがさらに好ましい。
前記多孔質層が上記樹脂を含む場合、その含有率はトータルで前記多孔質層全体に対して、例えば、80〜100重量%であり、90〜100重量%であることが好ましく、95〜100重量%であることがより好ましい。
前記基材が上記樹脂又は繊維を含む場合、その含有率はトータルで前記基材全体に対して、例えば、60〜100重量%であり、80〜100重量%であることが好ましく、90〜100重量%であることがより好ましい。
[多孔膜積層体]
本発明の第1の生体親和性多孔体を構成する多孔膜積層体(「基材−多孔質層積層体」と称する場合がある)においては、前記不織布基材又はフィルム基材等の基材と前記多孔質層とが優れた密着性で一体化した構造を有する積層体であるため、高い機械的強度を備えている。そのため、該積層体の総厚みが、例えば100μm未満程度の薄い場合にも十分な強度を発揮できる点で有利である。
前記基材−多孔質層積層体の好ましい形態は、基材の片面又は両面が多孔質層により被覆されており、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである多孔質層を有する積層体であり、その多孔質層の厚みが1〜100μmであり、空孔率が30〜80%であって、基材の厚みが5〜500μmである。このような積層体は、多孔質層及び基材を構成する材料や厚み、製造条件等を適宜設定することにより製造できる。
本発明の第1の生体親和性多孔体においては、基材の少なくとも片面に多孔質層が積層されていればよく、基材の両面に多孔質層を有していてもよい。
前記基材−多孔質層積層体は、前記多孔質層が有する空孔特性をそのまま利用したりすることにより、細胞培養基材として、またはその一部として利用可能である。また、前記基材−多孔質層積層体には、所望の特性を付与するため、必要に応じて表面処理や被膜形成処理を施されていてもよい。
前記基材−多孔質層積層体は、上記構成を有するため、広範な分野において多様な用途に適用できる。特に細胞培養基材等の広範囲な基板材料として利用可能である。
本発明の第1の生体親和性多孔体においては、下記テープ剥離試験により、前記多孔質層と前記基材との間で界面剥離を起こさないことが好ましい。すなわち、多孔膜積層体を構成する各層が下記テープ剥離試験で界面剥離が起こらない程度の層間密着強度で積層されていることが好ましい。
(テープ剥離試験)
多孔膜積層体の多孔質層表面にマスキングテープ[寺岡製作所社製、商品名「フィルムマスキングテープNo.603(#25)」、幅24mm]を貼り、直径30mm、200gf荷重のローラーで圧着した後、引張試験機を用いて剥離速度50mm/分でT型剥離を行う
このような層間密着強度を有する生体親和性多孔体は後述する製造法により得ることができる。したがって、本発明の第1の生体親和性多孔体の場合には、その構成材料となる前記基材−多孔質層積層体が、上記と同様のテープ剥離試験(基材−多孔質層積層体の多孔質層表面にマスキングテープを貼って測定する)で界面剥離が起こらないのが好ましい。
本発明の生体親和性多孔体における多孔質層(膜)の透気度は、特に制限はない。透気度の値(秒数)が小さいと連通性が高いことをしめし、値(秒数)が大きいと連通性が低い(独立性が高い)ことを示す。多孔構造の連通性は用途によって違ってくると考えられる。
また、基材を有する本発明の第1の生体親和性多孔体は、基材により十分な強度を確保できる。多孔性フィルムは一般に空孔率が高いため、多孔性フィルム単体では強度が十分でなかった用途へも展開できる可能性がある。
[生体親和性多孔体の製造方法]
本発明の生体親和性多孔体は、多孔質層(膜)を湿式相転換法を用いて形成することにより製造できる。湿式相転換法とは、多孔質層(膜)を構成すべき高分子を含む溶液(高分子溶液)を表面が平らな物体(基材、基板等)上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に導き、多孔質層(膜)を得る方法である。
本発明の第1の生体親和性多孔体は、例えば、多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液(高分子溶液)を基材上へフィルム状に流延した後、凝固液に導き、次いで乾燥に付して前記基材の少なくとも片面に多孔質層を積層する工程(基材−多孔質層積層体の製造工程)により製造できる。
本発明の第1の生体親和性多孔体は、また、多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液(高分子溶液)を基板上へフィルム状に流延した後、凝固液に導き、形成されたフィルム状多孔質層を前記基板から剥離し、濡れている状態で積層すべき基材に転写した後に、乾燥に付して基材を有する多孔膜積層体を得る工程(基材−多孔質層積層体の製造工程)により製造することもできる。
また、本発明の第2の生体親和性多孔体は、例えば、高分子溶液を基板上へフィルム状に流延した後、凝固液に導き、形成されたフィルム状多孔質層を前記基板から剥離し乾燥に付して基材を有しない多孔質膜を得る工程(基材を有しない多孔質膜の製造工程)により製造できる。以下、これらの製造方法について説明する。
(基材−多孔質層積層体の製造工程)
前記基材−多孔質層積層体(本発明の第1の生体親和性多孔体の構成材料)は、例えば、多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液(高分子溶液)を基材上へフィルム状に流延し、凝固液に接触させて多孔化処理を施した後、そのまま乾燥に付して基板と多孔質層との積層体を得る方法;前記多孔化処理を施した後、他の基材の表面に転写して乾燥に付すことにより多孔性フィルムが基材上に積層した積層体を得る方法等により製造できるが、前者の方法が好ましく用いられる。湿式相転換法によりフィルムを得る方法として、例えば、特開2001−145826号公報等を参照できる。
前者の方法によれば、湿式相転換法を用いて基材上に多孔質層を形成した後、そのまま乾燥に付すため、多孔質層の形成と同時に基材表面に密着して積層することができ、製造効率を向上することができる。また、多数の微小孔を有する多孔質層は柔軟なため、多孔質層を構成するフィルム単体では取扱いにくく積層工程が困難であるが、製膜と同時に積層する製造方法によれば、このような問題を回避でき、優れた空孔特性を有する多孔質層と基材とが直接積層された基材−多孔質層積層体を容易に得ることができる。
前記基材−多孔質層積層体の製造工程において、前記基材が不織布(不織布基材)であれば、基材表面の構造が、平面がほとんどなく、繊維状に入り組んだ構成を有するため、高分子溶液はその空隙に入り込みやすく、多孔質層が基材を覆って一体化した状態になる場合が多い。前記不織布基材としては、凝固液に接触した場合に劣化しにくいものが好ましく用いられ、具体的な材料としては上記に例示のものが挙げられる。
流延に付す高分子溶液としては、例えば、多孔質層を構成する素材となる高分子成分、水溶性ポリマー、水溶性極性溶媒、必要に応じて水からなる混合溶液等を用いることができる。
前記多孔質層を構成する素材となる高分子成分としては、水溶性極性溶媒に溶解性を有し相転換法によりフィルムを形成しうるものが好ましく、上記に例示のものを一種又は二種以上混合して利用できる。また、前記多孔質層を構成する高分子成分の代わりに、該高分子成分の単量体成分(原料)や、そのオリゴマー等の前駆体等を用いてもよい。
流延に付す高分子溶液への水溶性ポリマーや水の添加は、膜構造をスポンジ状に多孔化するために効果的である。前記水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、多糖類等やその誘導体、及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでもポリビニルピロリドンは、フィルム内部におけるボイドの形成を抑制し、フィルムの機械的強度を向上しうる点で好ましい。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。多孔化の観点から、前記水溶性ポリマーの分子量は200以上が良く、好ましくは300以上、特に好ましくは400以上(例えば、400〜20万程度)であり、特に分子量1000以上であってもよい。水の添加によりボイド径を調整でき、例えばポリマー溶液への水の添加量を増やすとボイド径を大きくすることが可能となる。
前記水溶性ポリマーは、膜構造をスポンジ状にするのに非常に有効であり、前記水溶性ポリマーの種類と量を変更する事により多様な構造を得ることが可能である。このため、前記水溶性ポリマーは、所望の空孔特性を付与する目的で、多孔質層を形成する際の添加剤として極めて好適に用いられる。一方、前記水溶性ポリマーは、最終的には多孔質層を構成しない、除去すべき不要な成分である。湿式相転換法を利用する方法においては、前記水溶性ポリマーは水等の凝固液に浸漬して相転換する工程において容易に洗浄除去される。これに対し、乾式相転換法においては、多孔質層を構成しない成分(不要な成分)は加熱により除去され、水溶性ポリマーを加熱によって除去することは、湿式相転換法を利用した場合ほど容易ではない。このように、乾式層転換法を利用した場合よりも、湿式相転換法を利用する製造方法は、所望の空孔特性を有する基材−多孔質層積層体を容易に製造できる点で有利である。
前記水溶性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン及びこれらの混合物等が挙げられ、前記高分子成分として使用する樹脂の化学骨格に応じて溶解性を有するもの(高分子成分の良溶媒)を使用することができる。
流延に付すポリマー溶液としては、多孔性フィルムを構成する素材となる高分子成分8〜50重量%、水溶性ポリマー0〜30重量%、水0〜10重量%、水溶性極性溶媒50〜92重量%からなる混合溶液等が好ましい。この際に、高分子成分の濃度が低すぎると多孔質層の厚みが不十分となったり、所望の空孔特性が得られにくくなったりする。また、高分子成分の濃度が高すぎると空孔率が小さくなる傾向にある。水溶性ポリマーは、多孔構造の連通性の調整に用いることができ、添加量を増やすことで連通性を高くすることが可能となる。また水溶性ポリマーの濃度が高すぎると溶解性が悪くなる他、30重量%を超える場合には、フィルム強度が弱くなる等の不具合が生じやすい。水の添加量はボイド径の調整に用いることができ、添加量を増やすことで径を大きくすることが可能となる。
高分子溶液をフィルム状に流延する際に、該フィルムを相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、高分子成分の非溶剤からなる凝固液に導くのが望ましい。流延後のフィルム状物を上記条件におくことにより、多孔質層を均質性の高い状態にすることができる。この理由としては、加湿下に置くことにより水分がフィルム表面から内部へと侵入し、高分子溶液の相分離を効率的に促進するためと考えられる。特に好ましい条件は、相対湿度90〜100%、温度30〜80℃であり、相対湿度約100%(例えば、95〜100%)、温度40〜70℃である。空気中の水分量がこれよりも少ない場合は、表面に1μm以上の厚いスキン層が発生する場合がある。
前記基材−多孔質層積層体の製造工程によれば、例えば、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである多孔質層を容易に成形することができる。本発明における多孔膜積層体を構成する多孔質層の微小孔の径、空孔率、開孔率は、上記のように、高分子溶液の構成成分の種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間等を適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
相転換法に用いる凝固液としては、高分子成分を凝固させる溶剤であればよく、高分子成分として使用する高分子の種類によって適宜選択されるが、例えば、ポリアミドイミド系樹脂又はポリアミック酸を凝固させる溶剤であればよく、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価アルコール、グリセリン等の多価アルコール等のアルコール;ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;これらの混合物等の水溶性凝固液等が使用できる。
本発明の生体親和性多孔体は、細胞培養基材や癒着防止材等の用途で利用されるため、溶剤等の不要な物質の残留量はできるだけ少ないことが好ましい。そのため、乾燥前に十分な洗浄工程が追加される場合もある。凝固工程は洗浄も兼ねているため、凝固工程の速度を遅くしたり、凝固のラインを長くして洗浄時間を長くする他、別途、長い洗浄ラインを追加してもよい。また、他の方法として巻き取った基材−多孔質層積層体を洗浄槽に投入して洗浄を行うことも可能である。洗浄液の温度は洗浄効率を上げるため、多孔膜積層体が物理的・化学的影響を受けない範囲で加温してもよい。さらに、殺菌等のためにアルコール等での洗浄を追加することも可能である。
前記基材−多孔質層積層体の製造工程においては、凝固液に導いて不織布基材又はフィルム基材の表面に多孔質層を成形した後、そのまま乾燥に付すことにより、基材の表面に多孔質層が直接積層された構成を有する多孔膜積層体が製造される。乾燥は、凝固液等の溶剤成分を除去しうる方法であれば特に限定されず、加熱下でもよく、室温による自然乾燥であってもよい。加熱処理の方法は特に制限されず、熱風処理、熱ロール処理、あるいは、恒温槽やオーブン等に投入する方法でもよく、基材−多孔質層積層体を所定の温度にコントロールできるものであればよい。加熱温度は、例えば室温〜100℃程度の広範囲から選択することができる。加熱処理時の雰囲気は、空気、窒素、不活性ガスの何れでもよい。空気を使用する場合が最も安価であるが、酸化反応を伴う可能性がある。これを避ける場合は、窒素や不活性ガスを使用するのがよく、コスト面からは窒素が好適である。加熱条件は、生産性、多孔質層及び基材の物性等を考慮して適宜設定される。乾燥に付すことにより、基材表面に多孔質層が直接成形された基材−多孔質層積層体を得ることができる。
こうして得られた基材−多孔質層積層体には、さらに、熱、可視光線、紫外線、電子線、放射線等を用いて架橋処理を施してもよい。前記処理により、多孔質層を構成する前駆体の重合、架橋、硬化等が進行して高分子化合物を形成し、多孔質層が高分子化合物で構成されている場合には架橋や硬化等が進行し、剛性や耐薬品性等の特性が一層向上した多孔質層を有する基材−多孔質層積層体を得ることができる。なお、熱架橋は、凝固液に導いた後、乾燥に付すための加熱処理と同時に施すことも可能である。
前記基材−多孔質層積層体の製造工程によれば、前記基材の片面、又は両面が前記多孔質層により被覆されており、前記多孔質層は多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmであり、空孔率が30〜80%であり、厚みが例えば1〜100μmである多孔質層を有する積層体を容易に得ることができる。多孔質層の微小孔の径、空孔率、開孔率は、上記のように、前記高分子溶液の構成成分の種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間などを適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
(基材を有しない多孔質膜の製造工程)
前記基材を有しない多孔質膜の製造工程では、多孔質膜を構成すべき高分子を含む高分子溶液を基板上へフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、相転換させ、形成されたフィルム状多孔質層を前記基板から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付して、基材を有しない多孔質膜を得る。
この工程で用いる基板としては、例えば、ガラス板;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂、塩化ビニル樹脂、その他の樹脂からなるプラスチックシート;ステンレス板、アルミニウム板等の金属板などが挙げられる。なお、表面素材と内部素材とを違うもので組み合わせた複合板でもよい。基板の表面には剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。
高分子溶液を基板上へフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を形成する方法は、前記基材−多孔質層積層積層体の製造工程における湿式相転換法と同様である。この基材を有しない多孔質膜の製造工程が前記基材−多孔質層積層積層体の製造工程と異なる点は、基材の代わりに前記基板を用いる点と、形成されたフィルム状多孔質層を基板から剥離する点である。流延に付す高分子溶液、流延の方法、凝固液等は前記と同じである。
フィルム状多孔質層の基板からの剥離方法としては、該フィルム状多孔質層を基板から強制的に剥離してもよいし、あるいは、多孔質膜を構成する高分子成分と基板材料との組合せを選択して、凝固液中に浸漬すると自然に該フィルム状多孔質層が基板から剥離するようにしてもよい。
強制的な剥離は、多孔質膜の厚みを均一にできる傾向があるが、強く引っ張ると多孔質膜を破損するおそれがあるので注意が必要となる。
自然と剥離するようにした方が、製造は容易であるが、多孔質膜の厚みに若干の厚みむらが生じる傾向がある。フィルム状多孔質層と基板が凝固液に導かれると自然と剥離するようにするためには、基板として撥水性の高いものを使用することが好ましい。例えば、フッ素系フィルム[例えば、テフロン(登録商標)フィルムなど]や、表面にフッ素系樹脂を貼り合わせたりコーティングしたフィルム等を用いることができる。
次に、剥離されたフィルム状多孔質層を乾燥する。乾燥処理の方法は、特に制限されず、熱風処理、熱ロール処理、あるいは、恒温槽やオーブン等に投入する方法でもよく、フィルム状多孔質層を所定の温度にコントロールできるものであればよい。乾燥処理時の雰囲気は空気でも窒素等の不活性ガスでもよい。空気を使用する場合は最も安価であるが、酸化反応を伴うおそれがある。これを避ける場合は、窒素等の不活性ガスを使用するのがよく、コスト面からは窒素が好適である。加熱条件は、生産性、多孔質膜の物性等を考慮して適宜設定できる。
上記方法によれば、多数の微小孔を有し、前記微小孔の平均孔径が0.01〜20μmであり、空孔率が30〜80%であり、厚みが例えば1〜100μmの多孔質膜を容易に成形することができる。多孔質膜の微小孔の径、空孔率、開孔率は、上記のように、前記高分子溶液の構成成分の種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間などを適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
前記背景技術の項において、本発明の生体親和性多孔体の主用途である細胞培養基材について説明した。本発明のその他の用途について以下に説明する。
[癒着防止材]
本発明の生体親和性多孔体(多孔膜積層体、多孔膜)の別の用途である癒着防止材について説明する。外科手術後に生じる生理作用である組織癒着は組織損傷に伴って生ずる繊維芽細胞によるコラーゲン線維産生から引き起こされる周囲の組織と臓器等との異常な結合と定義されている。このような癒着は術後90%の確率で起きているとされ、痛み、生体機能障害等を引き起こす場合は、患者にとって精神的、肉体的な苦痛を伴い問題となっている。その問題を解決するため、以前より数多くの研究がなされている。たとえば癒着形成を最小にするために、アルギン酸ナトリウム水溶液やヒアルロン酸ナトリウム水溶液といった水溶性の癒着防止材が使用された。しかし、これらはある程度の効果はあるものの、水溶性のため、癒着防止を必要とする部位以外にも流出し、必要な場所に留まらないだけでなく、正常な部位の癒着を引き起こす恐れさえ有していた。
そのため、損傷した組織を他の組織から分離するため、物理的バリヤーとしてシリコン、ワセリン、ポリテトラフルオロエチレンといった材料を癒着防止材として検討されている。これらの材料は非生体吸収性材料のため、障壁としての作用は充分持ち備えているが、体内に長期間残留することによる免疫反応のリスクや治癒後にこれらを取り出すための再手術の必要性など問題を抱えていた。
この問題を解決するために生体吸収性材料である天然高分子を使用した癒着防止材が開発された。具体的には酸化セルロースを用いた癒着防止材が知られているが、酸化セルロースでできたスポンジやニットを利用した場合、繊維素細胞が空隙を通って移動しやすいため、癒着を引き起こす問題点がある。これを防ぐため、ヒアルロン酸ナトリウムとカルボキシメチルセルロースからなる癒着防止材が開発されて使用されている。しかしながら、これらは吸水性が高いため、手術具や、患部以外の臓器の水分に接着してしまい、取扱性が難しいといった問題がある。
癒着防止材は、一組織から他の組織への繊維素細胞の流通が行われない形状が望ましく、かつ生分解性で操作性の高いものが望まれている。
このように生体組織へ利用する目的で微細構造を有するフィルムを使用する場合、生体適合性が大きな問題となる。現状では、適度な生分解性と生体適合性を有し、取扱性に優れ、所望の期間にわたり安定して良好な癒着防止効果を発揮する癒着防止材は存在せず、その出現が望まれている。
癒着防止の観点からすると、臓器間の繊維素の流通を抑えるためには、孔は貫通していないフィルムを用いるのが好ましい。また、多孔構造を有する面を患部に当てたほうが好ましく、その理由は、患部に生じる血液や組織液を多孔構造内に吸収でき、外部への進出を防ぐことが可能だからである。
本発明の生体親和性多孔体(多孔膜積層体、多孔膜)は、片面を平らな面とし、反対面を多孔構造面とすることができるため、優れた癒着防止材として用いることが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
テープ剥離試験、平均孔径の測定、空孔率の測定、透気度試験は以下の方法で行った。
(テープ剥離試験)
(i)基材−多孔質層積層体の多孔質層表面に下記のテープを貼り、下記のローラーで接着部分をなぞり、テープを圧着する。
(ii)下記の万能引張試験機を用いて50mm/分の条件でT型剥離を行う。
(iii)多孔質層と基材の界面剥離の有無を観察する。
・テープ:寺岡製作所製、(商品名「フィルムマスキングテープNo.603(#25)」、24mm幅)
・ローラー:直径30mm、200gf荷重
・万能引張試験機:(株)オリエンテック社製、(商品名「TENSILON RTA−500」)
実施例等で得られた基材−多孔質層積層体、多孔質膜の平均孔径及び空孔率は以下の方法で算出した。これらの平均孔径及び空孔率は、電子顕微鏡写真の最も手前に見えている微小孔のみを対象として求められており、写真奥に見えている微小孔は対象外とした。
(平均孔径の測定)
電子顕微鏡(SEM )写真から、基材−多孔質層積層体、多孔質膜の表面又は断面の任意の30点以上の孔についてその面積を測定し、その平均値を平均孔面積Saveとした。孔が真円であると仮定し、下記式を用いて平均孔面積から孔径に換算した値を平均孔径とした。ここでπは円周率を表す。
表面又は内部の平均孔径[μm]=2×(Save/π)1/2
(空孔率の測定)
多孔質層が基材と一体化しているものは、そのままでは多孔質層内部の空孔率の測定は困難である。よって、基材の代わりにPETフィルム(帝人・デュポン社製、製品名「HS74AS」、厚み100μm)の易接着面を用い、原液をPETフィルム上にキャスト後、水中に浸積して凝固させ、次いでPETフィルムから剥離して乾燥させて得た多孔性フィルムを用いて測定し、内部の空孔率を下記式より算出した。基材の無いものはそのまま下記式より算出した。
Vはフィルムの体積[cm3]、Wは多孔質層の重量[g]、ρは多孔質層素材の密度[g/cm3]を示す。ポリ乳酸の密度は1.26[g/cm3]、ポリカプロラクトンの密度は1.15[g/cm3]とした。
空孔率[%]=100−100×W/(ρ・V)
(透気度試験)
透気度は、テスター産業株式会社製のガーレー式デンソメーターB型を用い、JIS P8117に準じて測定した。秒数はデジタルオートカウンターで測定した。透気度(ガーレー値)の値が小さいほど空気の透過性が高いこと、つまり多孔質膜等における微小孔の連通性が高いことを意味する。なお、基材−多孔質層積層体は基材により透気しないので透気度の測定は行わなかった。
[実施例1]
ポリ乳酸系樹脂(東洋紡績社製の商品名「バイロエコールBE−400」;分子量Mn43×103、比重1.26/30℃、Tg50℃、水酸基価3mgKOH/g)30重量部に、溶剤としてNMP 70重量部を加えたものを製膜用の原液とした。ガラス板上に帝人デュポン社製のPETフィルム(Sタイプ、厚み100μm)を置き、該フィルム上に25℃に保持した原液をフィルムアプリケーターを使用してキャストした。キャスト時のフィルムアプリケーターとPETフィルムとのギャップは25μmで行った。キャスト後速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して約30分間、凝固・洗浄し、次いでPETフィルムから剥離させることなく水中から取り出し、ポリオレフィン製不織布に載せ、室温下で自然乾燥することによってPETフィルムと多孔質層とが一体化した積層体(基材−多孔質層積層体)を得た。多孔質層の厚みは約10μmであり、積層体の総厚みは約110μmであった。
得られた積層体についてテープ剥離試験を行ったところ、PETフィルムと多孔質層とが界面剥離を起こさなかった。この積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がPETフィルムに密着しており、多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約4μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約4μmの微小孔が存在していた。また、多孔質層内部の空孔率は78%であった。図1に、実施例1で得られた基材−多孔質層積層体における多孔質層表面の電子顕微鏡写真(SEM写真)を示す。
[実施例2]
実施例1において、原液として、ポリカプロラクトン系樹脂(パーストープ社製の商品名「Capa6800」;分子量80000、融解範囲58〜60℃、水酸基価1mgKOH/g)10重量部に、溶剤としてNMP 90重量部を加えたものを製膜用の原液とし、キャスト時のフィルムアプリケーターとPETフィルムとのギャップは25μmで行った点以外は実施例1と同様の操作を行って、PETフィルムと多孔質層が一体化した積層体(基材−多孔質層積層体)を得た。多孔質層の厚みは約9μmであり、積層体の総厚みは約109μmであった。
得られた積層体についてテープ剥離試験を行ったところ、PETフィルムと多孔質層とが界面剥離を起こさなかった。この積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がPETフィルムに密着しており、多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約3μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約3μmの微小孔が存在していた。また、多孔質層内部の空孔率は66%であった。図2に、実施例2で得られた基材−多孔質層積層体における多孔質層表面の電子顕微鏡写真(SEM写真)を示す。
[実施例3]
実施例1において、原液として、ポリ乳酸系樹脂(東洋紡績社製の商品名「バイロエコールBE−400」;分子量Mn43×103、比重1.26/30℃、Tg50℃、水酸基価3mgKOH/g)40重量部に、溶剤としてNMP 60重量部を加えたものを製膜用の原液とし、基材として、帝人・デュポン社製のPETフィルム(厚み100μm:商品名「HS74AS」)の易接着面を用い、キャスト時のフィルムアプリケーターとポリイミドフィルムとのギャップは102μmで行った点以外は実施例1と同様の操作を行った。水中に浸漬して凝固・洗浄していると、自然と基材から多孔質層が剥離したので3時間洗浄した。その後、室温下で自然乾燥することによって多孔質層だけからなるシート(多孔質膜)を得た。得られた多孔質層だけからなるシートの厚みは約76μmであった。
このシートを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質膜の表面には約0.1μm程の厚さのごく薄い皮膜が多くに部分に存在し、その下に存在する孔の平均孔径は約3μmであり、多孔質膜内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約3μmの微小孔が存在していた。また、多孔質膜内部の空孔率は77%であった。多孔質膜の透気度を測定したところ測定不可(1500秒以上)であった。
[実施例4]
実施例1において、原液として、ポリ乳酸系樹脂(東洋紡績社製の商品名「バイロエコールBE−400」;分子量Mn43×103、比重1.26/30℃、Tg50℃、水酸基価3mgKOH/g)40重量部に、溶剤としてNMP 60重量部、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5.5万)10重量部を加えたものを製膜用の原液とし、キャスト時のフィルムアプリケーターとPETフィルムとのギャップは102μmで行った点以外は実施例1と同様の操作を行って、PETフィルムと多孔質層が一体化した積層体(基材−多孔質層積層体)を得た。多孔質層の厚みは約60μmであり、積層体の総厚みは約160μmであった。
得られた積層体についてテープ剥離試験を行ったところ、PETフィルムと多孔質層とが界面剥離を起こさなかった。この積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がPETフィルムに密着しており、多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約10μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約10μmの微小孔が存在していた。また、多孔質層内部の空孔率は75%であった。
[実施例5]
実施例1において、基材として、三菱樹脂社製のポリ乳酸系フィルム(厚み50μm:商品名「エコロージュSA101」)を用い、キャスト時のフィルムアプリケーターとポリイミドフィルムとのギャップは25μmで行った点以外は実施例1と同様の操作を行った。ポリ乳酸系フィルムから剥離させることなく水中から取り出し、ポリオレフィン製不織布に載せ、室温下で自然乾燥することによってポリ乳酸系フィルムと多孔質層とが一体化した積層体(基材−多孔質層積層体)を得た。多孔質層の厚みは約10μmであり、積層体の総厚みは約60μmであった。
このシートを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質膜の表面に存在する孔の平均孔径は約4μmであり、多孔質膜内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約4μmの微小孔が存在していた。また、多孔質膜内部の空孔率は78%であった。
[比較例1]
実施例1において、原液として、ポリ乳酸系樹脂(東洋紡績社製の商品名「バイロエコールBE−400」;分子量Mn43×103、比重1.26/30℃、Tg50℃、水酸基価3mgKOH/g)40重量部に、溶剤としてNMP 60重量部を加えたものを製膜用の原液とし、キャスト後、加湿することなく、速やかに、水中に浸漬して、凝固・洗浄した点以外は実施例1と同様の操作を行った。水中に浸漬して凝固・洗浄していると、自然と基材から多孔質層が剥離した。30分間洗浄した。その後、室温下で自然乾燥することによって多孔質層だけからなるシート(多孔質膜)を得た。得られた多孔質層だけからなるシートの厚みは約23μmであった。実施例1と違い、基材から剥離したのは、水中で急激な凝固収縮が起こったからであると考えられる。
このシートを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層の表面には約6μmの厚いスキン層が形成されており、厚いスキン層の下部に多孔構造は見られるものの不均質な巨大ボイドであった。多孔質膜の透気度を測定したところ測定不可(1500秒以上)であった。

Claims (16)

  1. 基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層が湿式相転換法により前記基材と一体に形成された基材−多孔質層積層体により構成されている生体親和性多孔体。
  2. 下記テープ剥離試験により、前記基材と前記多孔質層との間で界面剥離を起こさない請求項1記載の生体親和性多孔体。
    (テープ剥離試験)
    基材−多孔質層積層体の多孔質層表面にマスキングテープ[寺岡製作所社製、商品名「フィルムマスキングテープNo.603(#25)」、幅24mm]を貼り、直径30mm、200gf荷重のローラーで圧着した後、引張試験機を用いて剥離速度50mm/分でT型剥離を行う
  3. 前記多孔質層が、該多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液を前記基材の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導き、次いで乾燥に付すことにより、前記基材の少なくとも片面に該基材と一体に形成されている請求項1又は2記載の生体親和性多孔体。
  4. 前記基材が、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、及びポリグリコール酸系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成されたフィルム基材、若しくは不織布基材、又はこれらの積層体である請求項1〜3の何れか1項に記載の生体親和性多孔体。
  5. 湿式相転換法により形成された、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成され、該多孔質膜は多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径は0.01〜20μmである生体親和性多孔体。
  6. 前記多孔質膜が、該多孔質膜を構成すべき高分子を含む溶液を基板の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導いて多孔質フィルムを作製し、基板から剥離した該多孔質フィルムを、次いで乾燥に付すことにより形成されている請求項5記載の生体親和性多孔体。
  7. 前記高分子を含む溶液が、高分子成分8〜50重量%、水溶性ポリマー0〜30重量%、水0〜10重量%、及び水溶性極性溶媒50〜92重量%からなる混合溶液である請求項3又は6記載の生体親和性多孔体。
  8. 前記多孔質層又は多孔質膜が、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、及びポリグリコール酸系樹脂からなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項1〜7の何れか1項に記載の生体親和性多孔体。
  9. 前記多孔質層又は多孔質膜の空孔率が30〜80%である請求項1〜8の何れか1項に記載の生体親和性多孔体。
  10. 前記多孔質層又は多孔質膜の厚みが1〜100μmである請求項1〜9の何れか1項に記載の生体親和性多孔体。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の生体親和性多孔体を備えた細胞培養基材。
  12. 請求項1〜10の何れか1項に記載の生体親和性多孔体を備えた癒着防止材。
  13. 基材の少なくとも片面に、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである生体親和性樹脂多孔質層を湿式相転換法により前記基材と一体に形成して基材−多孔質層積層体で構成される生体親和性多孔体を得ることを特徴とする生体親和性多孔体の製造方法。
  14. 前記多孔質層を構成すべき高分子を含む溶液を基材の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導き、次いで乾燥に付して前記基材の少なくとも片面に生体親和性樹脂多孔質層を前記基材と一体に形成する工程を含む請求項13記載の生体親和性多孔体の製造方法。
  15. 生体親和性樹脂を原料とし、湿式相転換法を用いることにより、多数の微小孔を有し、該微小孔の平均孔径が0.01〜20μmである、基材を有しない生体親和性樹脂多孔質膜で構成される生体親和性多孔体を得ることを特徴とする生体親和性多孔体の製造方法。
  16. 前記多孔質膜を構成すべき高分子を含む溶液を基板の表面へフィルム状に流延した後、凝固液中に導いて多孔質フィルムを作製し、基板から剥離した該多孔質フィルムを、次いで乾燥に付すことにより基材を有しない生体親和性樹脂多孔膜で構成される生体親和性多孔体を得る請求項15記載の生体親和性多孔体の製造方法。
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