JP2014201046A - 積層体の製造方法および積層体 - Google Patents
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Description
図5は、積層体10を示す断面図である。図5に示すように、積層体10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の側の面12a上に順に設けられた第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aと、第1低屈折率層15aの一方の側の面上に設けられた第1透明導電層16aと、第1透明導電層16aの一方の側の面上に設けられた第1金属層と、を含んでいる。以下、基材フィルム12、第1ハードコート層13a、第1高屈折率層14a、第1低屈折率層15a、第1透明導電層16aおよび第1金属層についてそれぞれ説明する。なお第1金属層とは、第1透明導電層16aに隣接して設けられ、金属材料から構成される層の総称である。第1金属層は、後述する第1遮光導電層17aや第1中間層18aを含んでいる。
基材フィルム12としては、十分な透光性を有するフィルムが用いられる。基材フィルム12を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが挙げられる。基材フィルム12の厚みは、例えば25〜200μmの範囲内となっている。
第1ハードコート層13aは、擦り傷を防止するという目的や、層間の界面に低分子重合体(オリゴマー)が析出して白く濁ってみえることを防ぐという目的のために設けられる層である。第1ハードコート層13aとしては、例えばアクリル樹脂などが用いられる。なお図3に示すように、第1ハードコート層13aと同一の材料から構成された第2ハードコート層13bが、基材フィルム12の他方の面12b上にさらに設けられていてもよい。ハードコート層13a,13bの厚みは、例えば0.1〜10μmの範囲内となっている。
第1高屈折率層14aは、基材フィルム12を構成する材料よりも高い屈折率を有する材料から構成される層であり、一方、第1低屈折率層15aは、基材フィルム12を構成する材料よりも低い屈折率を有する材料から構成される層である。このような第1高屈折率層14aおよび第1低屈折率層15aを基材フィルム12と第1透明導電層16aとの間に設けることにより、積層体10における光の透過率や反射率を調整することができる。
第1透明導電層16aを構成する材料としては、導電性を有しながら透光性を示す材料が用いられ、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの金属酸化物が用いられる。ここでITOとは、89〜99重量%のインジウムと、1〜11重量%の錫と、0.5重量%以下のその他の添加元素または不可避の不純物と、を含む金属酸化物を意味している。第1透明導電層16aの厚みは、例えば18〜50nmの範囲内となっている。
第1金属層は、タッチパネルなどの電子部品において、信号を外部に取り出すための取出パターンや電極を形成するために用いられる、金属材料から構成される層である。例えば第1金属層は、銀を主成分とするとともに銅およびパラジウムを含む、Ag−Pd−Cu系の銀合金、いわゆるAPC合金から構成された第1遮光導電層17aを含んでいる。また第1金属層は、第1遮光導電層17aと第1透明導電層16aとの間に配置された第1中間層18aをさらに含んでいてもよい。第1中間層18aは、第1透明導電層16aに対する第1遮光導電層17aの密着力を高めるために設けられる層である。第1中間層18aを構成する金属材料としては、例えばMoNb合金を挙げることができる。また第1中間層18aは、MoNb合金に加えて、上述のAPC合金をさらに含んでいてもよい。
図1に示すように、積層体製造装置1は、中間積層体11を巻き出す巻出装置20と、中間積層体11上に金属層17a,18aを設ける成膜装置30と、金属層17a,18aが設けられた中間積層体11を巻き取る巻取装置50と、を備えている。以下、各装置20,30,50について、図2乃至図4を参照してそれぞれ説明する。
図2は、巻出装置20を示す図である。図2に示すように、巻出装置20は、回転自在に設けられ、中間積層体11が巻き付けられたシャフト21と、中間積層体11に沿って設けられ、中間積層体11を加熱する加熱機構29と、中間積層体11の第1透明導電層16aの表面に対してイオンボンバードメント処理などの表面処理を施す表面処理装置23と、を備えている。
次に、巻出装置20の下流側に設けられた成膜装置30について説明する。成膜装置30による成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリングやイオンプレーティングなど様々な物理的気相成長法が採用され得るが、ここでは、成膜方法としてスパッタリングが用いられる例について図3を参照して説明する。
次に図4を参照して、巻取装置50について説明する。巻取装置50は、金属層17a,18aが形成された中間積層体11からなる積層体10を巻き取るシャフト51と、シャフト51に向けて搬送される積層体10を案内するガイドローラー59と、を備えている。また図5に示すように、巻取装置50の内部を真空状態に保つための排気手段52が設けられていてもよい。
はじめに基材フィルム12を準備する。次に、アクリル樹脂を含む塗布液を、コーターを用いて基材フィルム12の両側にコーティングする。これによって、基材フィルム12の両側にハードコート層13a,13bが形成される。次に、有機樹脂および有機樹脂内に分散された高屈折率材料の粒子、例えばジルコニウムの粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1ハードコート層13aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1ハードコート層13a上に第1高屈折率層14aが形成される。その後、有機樹脂および有機樹脂内に分散された低屈折率材料の粒子、例えば酸化珪素の粒子を含む塗布液を、コーターを用いて第1高屈折率層14aの一方の側の面上にコーティングする。これによって、第1高屈折率層14a上に第1低屈折率層15aが形成される。その後、スパッタリング法などの真空成膜法を用いて、第1低屈折率層15a上に第1透明導電層16aを形成する。このようにして、図6に示す中間積層体11を得ることができる。
積層体の製造方法
はじめに、巻出装置20において、中間積層体11が巻回されたシャフト21を準備する。次に、排気手段22によって巻出装置20内の気体を外部に排出する。このようにして、第1透明導電層16aが設けられた基材フィルム12を含む中間積層体11を真空環境下に置くことができる。なお本実施の形態において、真空環境下または真空状態とは、圧力が100Pa以下であることを意味している。
次に、シャフト21から中間積層体11を巻き出す。このとき、加熱機構29によって中間積層体11を50〜170℃で加熱する。これによって、中間積層体11に付着している水分や油分などの不純物を取り除くことができる。
その後、表面処理装置23を用いて、第1透明導電層16aの表面にガスイオンを照射する表面処理工程を実施する。はじめに、電極24に所定の電圧を印加する。また、不活性ガス供給手段25を用いて不活性ガスを電極24の周囲に供給する。これによって、中間積層体11と電極24との間にプラズマ雰囲気27を生成することができる。図7は、表面処理工程の際の中間積層体11を拡大して示す図である。図7に示すように、プラズマ雰囲気27には電子eやガスイオンiが存在している。電子eやガスイオンiは、中間積層体11の第1透明導電層16aの表面に照射される。これによって、第1透明導電層16aの表面に付着している不純物dを除去することができる。不純物としては、中間積層体11が搬送される際などに第1透明導電層16aの表面に付着した有機物、珪素、アルカリ金属、シロキサン成分などが考えられる。また、上述の脱ガス工程において除去しきれなかった水分が、この表面処理工程において除去されることも考えられる。
次に、成膜装置30によって、中間積層体11上に金属層17a,18aを形成する金属層形成工程を実施する。金属層形成工程においては、はじめに排気手段31bによって第1領域31の内部の気体を外部に排出し、これによって、第1領域31内を真空状態とする。この際、第2領域32、第3領域33、第4領域34および第5領域35も、排気手段32b〜35bを用いることによって真空状態とされる。次に、不活性ガス供給装置(図示せず)によって第1領域31内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、その後、電源によってターゲット31aに放電電力を印加する。これによって生じるスパッタリング現象によって、第1ターゲット31aを構成するMoNb合金からなる第1中間層18aを第1透明導電層16a上に形成することができる。
その後、巻取装置50において、中間積層体11と、中間積層体11上に形成された金属層17a,18aと、を含む積層体10が、シャフト51によって巻き取られる。これによって、積層体10の巻回体が得られる。
例えば、はじめに、基材フィルム12の両側にハードコート層13a,13b、高屈折率層14a,14b、低屈折率層15a,15bおよび透明導電層16a,16bが形成された中間積層体11を準備する。次に、中間積層体11を巻出装置20から成膜装置30を介して巻取装置50に搬送する間に、基材フィルム12の一方の側に上述の準備工程、脱ガス工程、表面処理工程および金属層形成工程を施し、これによって、基材フィルム12の一方の側に第1中間層18aおよび第1遮光導電層17aを形成する。次に、一方の側に第1中間層18aおよび第1遮光導電層17aが形成された中間積層体11を、巻出装置20に搬入する。その後、再び中間積層体11を巻出装置20から成膜装置30を介して巻取装置50に搬送する間に、中間積層体11の他方の側に上述の準備工程、脱ガス工程、表面処理工程および金属層形成工程を施し、これによって、中間積層体11の他方の側に第2中間層18bおよび第2遮光導電層17bを形成する。このようにして、図8に示す積層体10が得られる。
上述の積層体製造装置1を用いて、図5に示す上述の積層体10を作製した。具体的には、はじめに中間積層体11を準備し、次に、中間積層体11を巻出装置20内に搬入した。その後、排気手段22を用いて、巻出装置20を真空状態にした。このときの巻出装置20内の圧力は5Paであった。
表面処理工程の際、電極24の周囲に、不活性ガス供給手段25を用いてアルゴンガスを1080sccmで供給したことに加えて酸素供給手段26を用いて酸素ガスを120sccmで供給した点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体10を作製した。
表面処理装置23を用いた表面処理工程を実施しなかった点を除いて、サンプル1の場合と同様にして積層体を作製した。
(評価方法1 剥離試験)
はじめに、サンプル1〜3に係る積層体をアルカリ性の溶液に10分間浸漬させた。アルカリ性の溶液としては、NaOH(15g/l)を用いた。次に、サンプル1〜3に係る積層体の表面に、消しゴムで擦るようにして粘着テープを貼り付け、その後、積層体と粘着テープとが60度の角度を成すようにして粘着テープを積層体から剥離させた。粘着テープを剥離させることにかけた時間は0.3sであった。粘着テープとしては、ニチバン製のNo405を用いた。その後、以下に説明するように、金属層17a,18aの剥離状態に基づいて、第1透明導電層16aと金属層17a,18aとの間の密着力を評価した。
サンプル1およびサンプル3に係る積層体の各層における組成を、ION TOF社製の飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用いて分析した。サンプル1に係る積層体の組成分析結果を図9に示し、サンプル3に係る積層体の組成分析結果を図10に示す。図9および図10において、横軸は、組成を分析するために実施されたスパッタリングの回数を示している。スパッタリングの回数は、積層体の表面からの距離に対応している。従って、図9および図10においては、左から右に向かって、第1遮光導電層17a、第1中間層18a、第1透明導電層16aおよび第1低屈折率層15aの組成分析結果が順次示されている。分析対象の元素は、C,Na,Si,Mo,InおよびAgである。なお、積層体の厚み方向における組成分析の分解能は5nmである。
また、界面にNa(Na+イオン)が存在することは、OH−によって界面がアルカリ状態になっていることを意味している。この場合、AgやMoとITOとの間で酸化還元反応が発生し、この結果、第1透明導電層16aのITOが腐食してしまうこと、いわゆるガルバニック反応が生じてしまうことが考えらえる。
なお、界面でのNaの検出強度がIn(113)の検出強度に対して相対的感度で7%以下になっていることは、飛行時間型二次イオン質量分析装置を用いた測定において、界面でのNaのカウント数がInのカウント数の7%以下になっていることを意味している。
10 積層体
11 中間積層体
12 基材フィルム
17a,17b 遮光導電層
18a,18b 中間層
19 積層体
20 巻出装置
23 表面処理装置
24 電極
25 不活性ガス供給手段
26 酸素供給手段
27 プラズマ雰囲気
30 成膜装置
50 巻取装置
Claims (8)
- 基材フィルムに設けられた透明導電層上に金属層を形成して積層体を製造する積層体製造方法であって、
前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムを真空環境下に置く準備工程と、
前記準備工程の後、前記透明導電層の表面にガスイオンを照射する表面処理工程と、
前記表面処理工程の後、前記透明導電層上に金属層を形成する金属層形成工程と、を備え、
前記表面処理工程が実施されてから前記金属層形成工程が実施されるまでの間、前記基材フィルムが真空環境下に置かれる、積層体製造方法。 - 前記表面処理工程は、前記透明導電層の表面に不活性ガスおよび酸素ガスのイオンを照射する工程を含む、請求項1に記載の積層体製造方法。
- 前記不活性ガスがアルゴンガスである、請求項2に記載の積層体製造方法。
- 前記準備工程において、前記透明導電層が設けられた前記基材フィルムが、10Pa以下の真空環境下に置かれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体製造方法。
- 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、APC合金を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体製造方法。
- 前記透明導電層上に形成される前記金属層が、MoNb合金を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体製造方法。
- 前記透明導電層が、ITOからなる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体製造方法。
- 基材フィルムと、
前記基材フィルムに設けられ、透光性および導電性を有する透明導電層と、
前記透明導電層上に設けられ、遮光性および導電性を有する金属層と、を備え、
前記透明導電層と前記金属層との間の界面における組成分析を実施した場合、Naの検出強度が、In(113)に対して相対的感度で7%以下である、積層体。
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