JP2014201681A - 制電性組成物、その製造方法、制電性被覆物、成形品、塗料および粘着剤 - Google Patents

制電性組成物、その製造方法、制電性被覆物、成形品、塗料および粘着剤 Download PDF

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義治 立上
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卓矢 吉田
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Abstract

【課題】ブリーディング、ブルーミング及び移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、優れた制電性が持続し、レベリング性を向上させた制電性組成物を提供することを主要な目的とする。【解決手段】本発明は、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が分散されてなる制電性組成物に係る。上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解された状態で分散されている。【選択図】図1

Description

本発明は、一般に帯電防止性に優れた制電性組成物に関するものであり、より特定的にはレベリング性を向上させた制電性組成物に関する。この発明は、また、そのような制電性組成物の製造方法に関する。この発明は、さらに、そのような制電性組成物の性質を利用した成形品およびおよび制電性被覆物に関する。この発明は、さらに、そのような制電性組成物を含む塗料、制電性被覆物及び粘着剤に関する。
近年、樹脂に制電性を付与することが重要になってきており、これを達成するために、従来より、界面活性剤等の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布したり、帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法が知られている。しかしながら、前者の方法では、長時間経過すると制電性が著しく低下するため、持続性を有する高制電性樹脂として、実用化には供し難い。一方、後者の方法では、帯電防止剤と樹脂との相溶性が悪く、帯電防止剤が成形品の表面にブリーディングやブルーミングしてしまい、制電効果が低下するという問題がある。
また、界面活性剤などの帯電防止剤は、湿度依存性があり、低湿度下では、制電効果が失活する、あるいは、樹脂を成形した後に、帯電防止効果が発現するまでに最低1〜3日掛かり、遅効性であるという問題がある。
また、カーボンブラックやカーボンファイバーなどを樹脂に練り込む方法が提案されている。この方法によると、帯電防止性にすぐれ、帯電防止性に持続性がある樹脂組成物が得られる。しかし、この方法では、透明な成形品が得られなかったり、成形品の色の選択が制限されるなどの問題がある。
本発明者らは、上記の課題を解決する方法として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンによって構成される金属塩類を溶解した溶液を、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸系樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴムに添加してなる制電性組成物を提案した(たとえば、特許文献1参照)。
国際公開WO01/79354 A1公報(特許請求の範囲)
しかしながら、この制電性組成物に添加する金属塩類の種類によっては、制電性能が十分でない場合があり、またレベリング性を向上させるために、塗布量を多くし、膜厚を厚くしなければならないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱安定性に優れ、ブリーディング、ブルーミングおよび移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、優れた制電性が持続し、かつレベリング性の優れた制電性組成物を提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、そのような制電性組成物の製造方法を提供することにある。
この発明のさらに他の目的は、そのような制電性組成物を用いた成形品、塗料、制電性被覆物及び粘着剤を提供することにある。
本発明は、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が分散されてなる制電性組成物に係る。そして、前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解された状態で分散されていることを特徴とする。
フッ素原子を含有する含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、優れたレベリング性を有する。この含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に、上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解した状態というのは、極性基であるエーテル基がLi+イオンに配位している状態であり、この状態で組成物中に分散し、制電性に大きく寄与する。
上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、パーフルオロアルケニル基を有するものが好ましい。
また、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基を有するものであってもよい。
上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、分子内に反応性の末端二重結合を有していてもよい。
この発明の好ましい実施態様によれば、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、ヘキサフルオロプロペントリマー又はその誘導体と、ヒドロキシル化合物のヒドロキシル基とを反応させてなる。
上記ポリエチレングリコール鎖を構成するオキシエチレン単位の合計数は、3以上50以下であるのが好ましい。
本明細書で、「分散」とは、上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含む含フッ素ポリエーテル系界面活性剤の溶液が、組成物中に微液滴状になって散在あるいは溶込んでいる状態をいう。
また、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解しやすく、濃度を濃くすることができ、これを分散させることにより、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、多量にかつ均一に、上記重合性化合物、プレポリマー、樹脂または粘着性樹脂中に取り込ませることができる。
上記揮発性有機溶媒とは、常温で液体が気化する有機溶媒をいい、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類からなる群から選ばれた揮発性有機溶媒を挙げることができる。揮発性の溶媒を選ぶのは、当該組成物を被塗布物に塗布した後、乾燥しやすくするためである。揮発性を有するものなら、上記のものに限定されず、いずれも使用できる。
上記重合性化合物は、重合する官能基を有する化合物をいい、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基などを有する重合性モノマーが挙げられる。態様としては、モノマー、オリゴマー、あるいは活性エネルギー線硬化性官能基を分子内に3つ以上有するものが挙げられる。
重合性化合物としては、例えば、単官能性のもの:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレンなど、二官能性のもの:ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンなど、多官能性のもの:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタンエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
さらに、活性化エネルギー線硬化性の(メタ)アクリレート系化合物として、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等を挙げることができる。
上記プレポリマー (prepolymer) は、モノマーの重合または縮合反応を適当な所で止めた中間生成物である。ポリマーとなる前段階にあり、硬化剤などを使用することにより容易に重合や架橋反応を起こす事ができ、その性質を利用して接着剤の成分などに利用される。主な種類には、ウレタン樹脂系プレポリマー、シリコン樹脂系プレポリマーがある。
上記樹脂は、ポリオレフィン系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリアミド系重合体、塩化ビニル系重合体、ポリアセタール系重合体、ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリカーボネート系重合体、アクリレート/メタクリレート系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体、熱可塑性エラストマー系重合体、不飽和ポリエステル系重合体、エポキシ系重合体、フェノール系重合体、ジアリール系重合体、メラミン系重合体、液晶ポリエステル系重合体、フッ素系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリイミド系重合体及びシリコーン系重合体から選択された1種であればよい。この中でも極性基を有するものは特に好ましく用いられる。
上記粘着性樹脂としては、粘着性を有する(メタ)アクリル系重合体を挙げることができる。炭素数が4〜12のアクリル系モノマーを共重合に供することが好ましい。さらに好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下の割合で、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解されているのが好ましい。
上記揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂100質量部に対して、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、0.01質量部以上30質量部以下含まれるのが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン及びフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群から選ばれた陰イオンであるのが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属のいずれかの陽イオンと、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩であるのが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、特にビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドのアルカリ金属塩及びトリフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれた塩であるのが好ましい。
この発明の他の局面に従う制電性組成物の製造方法は、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解させた含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を準備する第1工程と、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に分散させる第2工程と、を備える。
この方法によると、ブリーディング、ブルーミング及び移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、かつ優れた制電性が持続する制電性組成物が得られた。
この方法の好ましい実施態様によれば、上記第1工程は、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を揮発性有機溶剤に溶解した溶液をまず準備し、この溶液を上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤と混合することによって上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を形成する工程を含み、上記第2工程の後、揮発性有機溶剤の含有量を減らすために、上記組成物を常圧または減圧下で乾燥させる。
本発明に係る、揮発性有機溶剤中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が分散されてなる制電性組成物において、上記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、パーフルオロアルケニル基に親水基であるポリエチレングリコール鎖が付加されてなる含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解された状態で分散されていることを特徴とする制電性組成物は、UV硬化型塗布液に微量添加することにより優れたレベリング性を有する硬化被膜を与える。さらに、この硬化被膜は均一な表面抵抗率を示す。電気・電子材料に用いられる耐熱フィルム(例えば2軸延伸ポリエチレン2,6−ナフトレート,PEN)の上に塗布することによって、帯電防止を効率よく図ることができる。
本発明は、また上記制電性組成物を含む材料を成形してなる種々の成形品に係る。また、本発明の制電性組成物を用いて、フィルム、塗料、液晶パネル用カラーレジスト組成物等を得ることができる。また、本発明の制電性組成物を成形表面で硬化させて、制電性の被覆物とすることもできる。上記成形品は、液晶パネルのカラーフィルタを含むものとする。
また、本発明の制電性粘着剤は、各種ディスプレイ、偏光板等の光学部材、貼り合わせ用の接着剤や表面保護粘着フィルム用の粘着剤として、好適な透明性にすぐれ、着色もほとんどなく、再剥離性にすぐれ、剥離時の剥離帯電が少ない帯電防止粘着剤を提供する。
本発明では、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤とともに、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に、均一に親和しているので、優れたレベリング性を与えながら、かつ制電性を大きく発現する。
本発明の作用機構を説明するための図である。
制電性が持続し、かつレベリング性の優れた制電性組成物を得るという目的を、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(ノニオン系界面活性剤)に溶解させた状態で、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に分散させることによって実現した。
本願発明で用いられる含フッ素ポリエーテル系界面活性剤として、フタージェント(登録商標、株式会社ネオス製)を挙げることができる。該フタージェントは化1に示す反応例のように、ヘキサフルオロプロペントリマー(HFPトリマー)又はその誘導体と、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とするヒドロキシル化合物のヒドロキシル基とを反応させて得られる、分子内に二重結合を有し、かつ複雑に分岐したパーフルオロノネニル基(Rf基)を備える(以下本件界面活性剤という)。ヒドロキシル基とヘキサフルオロプロペントリマー又はその誘導体との反応は、異性体である2種のパーフルオロノネニルエーテル構造を与える(例えば特開昭52−41182号公報、特開2007−84573号公報、特開2006−342087号公報参照)。この複雑な構造により、パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤に比べ、特異的な物性を示す。
Figure 2014201681
本件界面活性剤は、炭化水素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤に比べて優れたレベリング性を有する。本件界面活性剤は、少量添加で効果を示す。表面への配向スピードが速く、液の濡れ広がりが速い。有機溶剤中でも効果を発揮する。炭化水素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤に比べ、1/10〜1/20の量で効果を示す。最終製品に対する影響が少ない等優れた特性を有する。
オキシエチレン単位の数が3以上であると、図1に示すように、リチウムイオンが、エーテル酸素に取り囲まれて、4配位のキレートを形成し、ポリエーテル鎖の分子運動によりリチウムイオンが隣のエーテル酸素に次々と移って移動し、帯電防止性を強く発現する。
また、ポリエチレングリコール鎖を構成するオキシエチレン単位の合計数は、50以下であるのが好ましい。オキシエチレン単位の数が50を超えると、液状の性質が薄れ、ワックス状になり、取り扱いが困難となるからである。
ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする、分子内に反応性の末端二重結合を有する、ヒドロキシ化合物のヒドロキシル基にヘキサフルオロプロペントリマーを反応させて得られる含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、特開2011−57589号公報に記載の方法によって、次式に示すように、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール等を反応させて得られる、末端ヒドロキシル基を含有するポリエチレングリコール(メタ)アクリルレートとヘキサフルオロプロペントリマーを反応させて得られた。UV反応型となり、フッ素部分がコート剤の表面塗膜に強く固定される。
Figure 2014201681
また、上記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤として、パーフルオロアルキル基を有するノニオン系界面活性剤も使用できる。このような例として、メガファック(登録商標)F−444(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、DIC社製)が挙げられる。メガファック(登録商標)F−557(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、DIC社製)も使用できる。これらのUV反応型、例えばメガファック(登録商標)RS−75、RS−72−Kも好ましく使用できる。
以下、実施例に基づいて、本発明の内容を具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。なお、各実施例中の部は、質量部を意昧する。また、リチウムイミド、リチウムメチドおよびリチウムトリフレートは、それぞれ、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムおよびトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを意昧する。
サンコノールMEK−50R(メチルエチルケトンにリチウムイミド50質量%溶解品、三光化学工業社製)95部に、含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(フタージェントG、エチレンオキサイド基40モル%付加物、ネオス社製)5部を添加、溶解した溶液を準備する。この溶液10部を、ウレタンアクリレート(NKポリマーUA−9125,新中村化学工業社製)87部とペンタエリスルトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE−3A、共栄化学社製)3部を含む重合性化合物に添加し、混合物を調製した。次いで、この混合物に光重合開始剤として、イルガキュアー907(チバ・ジャパン社製)3部を添加し液状組成物を得た。この液状組成物を2軸延伸ポリエチレン2,6−ナフトレート(PEN)フィルム(テオネックスQ65、100μm、帝人デュポンフィルム社製)上に、バーコーターを用いて、乾燥後の膜厚が3μmになるように塗布した。ついで、乾燥(100℃、3分)後、水銀ランプを用いて、積算光量400mJ/cm(照射時間、15秒)で紫外線を照射し、硬化被膜(厚さ3μm)の透明なPENフィルムを得た。この硬化被覆PENフィルムを膜厚計(デフェルスコ社製)で膜厚を計測した結果、3000±15nmで、レベリング性が良好であった。この硬化被覆PENフィルムの表面抵抗率は1.3×1010(1.3×E+10と略す、以下同じ)Ω/sqであった。
サンコノールA600−50R(ポリエチレングリコール#600ジアクリレートにリチウムイミド50質量%溶解品、三光化学工業社製)90部に対し、含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(フタージェントG、エチレンオキサイド基18モル%付加物、ネオス社製)10部を添加、溶解した重合性化合物を準備する。この重合性化合物10部を、ウレタンアクリレートプレポリマー(NKオリゴマーUA−53H、新中村化学工業社製)85部に添加、溶解し、さらに、光重合開始剤Luna100(日本シイベルヘグナー社製)5部を溶解したプレポリマーの液状組成物を得た。この液状組成物を、ベースフィルム(PET製、厚さ250μm)の上に設置したプリズム・アクリル系樹脂(ピッチ50.0μm、頂角88°)の表面に塗布した後、高圧水銀灯を用いて、空気中で紫外線を照射した。硬化被膜3μmの均一な厚さを有する硬度2Hの透明なプリズム板を得た。このプリズム板の表面抵抗率は、1×E+10Ω/sqであった。温度80℃の条件下に1時間放置した後、表面抵抗率を測定した結果、2×E+10Ω/sqであった。
ポリエチレングリコール#600ジアクリレートにリチウムトリフレート30質量%溶解したサンコノールA600−30T(三光化学工業社製)95部に、含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(メガファックRS−75、有効成分40%、DIC社製)5部を添加、溶解した溶液を準備する。この溶液10部をウレタンアクリレートプレポリマー(NKポリマーUK−53H,新中村化学工業社製)90部に混合し、ついで、ベンゾフェノンとメチルフェニルグリオキシレートとを、それぞれ4部添加し、液状組成物を得た。この液状組成物をポリカーボネート樹脂の射出成形板(50mm×50mm×3mm)にスプレー塗工により塗布した後、熱風乾燥機(60℃)で3分間乾燥した。この成形板に、高圧水銀灯を用いて積算光量3.5kJ/mで、空気中で紫外線を照射した。硬化被膜3μmの厚さを有するポリカーボネート樹脂板を得た。この樹脂板の表面抵抗率は、2×E+10Ω/sqであった。この樹脂板の表面にマジック(マッキー極細、ZEBRA社製)を付着させてから、ベンコットン(旭化成社製)で拭き取った結果、簡単にマジックが拭き取れた。また、樹脂板表面に指紋を付着させてから、それをベンコットンで拭き取った結果、簡単に指紋が拭き取れた。
エポキシアクリレート5部、トリメチロールプロパントリアクリレート25部、ネオペンチルグリコールジアクリレート20部、ポリエチレングリコール#600メタクリレート35部の混合物にリチウムメチド5部および含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(フタージェントG、エチレンオキサイド基8モル%付加物、ネオス社製)10部を溶解した後、さらに、2−メチル−2−ヒドロキシプロピルフエノン4部を添加したものを、ディスク基板上にスピナー塗工によって塗布した後、紫外線硬化させて、制電性塗料樹脂被覆体を得た。この被覆体に8kVの印加電圧のとき、帯電圧の減衰を測定した。帯電圧400Vで半減期は、0.3秒以下であった。
アクリル系共重合体(n−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート=88:10:2質量%)100部、イソシアネート系トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物0.6部、テトラエチレングリコールジベンゾネート7部、ポリエチレングリコールジ−2−エチルヘキソネート0.1部およびメチドリチウム1部と含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(フタージェントG,エチレンオキサイド基40モル%含有物、ネオス社製)0.2部をメチルエチルケトンに希釈した均一混合物を剥離紙に塗布、乾燥し、厚さ20μmの均一な粘着層を作成した。この粘着層を185μmの膜厚のヨード系偏光板に粘着加工した。作成した粘着シートの剥離帯電圧(剥離角度150°、剥離速度10m/min、春日電機社製KSD−0103使用)を測定した結果、0.0KVであった。180°剥離粘着力は、2.5N/25mmであった。
実施例1において、フタージェントGのエチレンオキサイド基の末端にアクリロイル基を有する含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(AC)10部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、硬化被膜(厚さ3μm)の透明なPENフィルムを得た。このフィルムの表面抵抗率は、3×E+9Ω/sqであった。温度80℃の条件下に2時間放置した後、表面抵抗率を測定した結果、4×E+9Ω/sqであった。なお、該含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(AC)は、特開2011−57589号の方法に準じて合成した。
リチウムイミドを98質量部を溶解した有機溶媒(イソプロパノール:酢酸エチル=3:1)1質量部と、ポリエチレングリコールジアクリレート(オキシエチレン単位14)99質量部と、含フッ素ポリエーテル系界面活性剤(メガファック(登録商標)F−444,DIC社製)0.2質量部を混合し、次いで、ベンゾフェノンとメチルフェニルグリオキシレートとをそれぞれ4質量部を添加した液状組成物を得た。この液状組成物をポリカーボネート樹脂の射出成形板(50mm×50mm×3mm)にスプレー塗工により塗布した後、熱風乾燥機(60℃)で3分間乾燥した。この成形板に、高圧水銀灯を用いて積算光量1500mJ/cm(照射時間10秒)で、空気中で紫外線を照射した。硬化被膜3μmの厚さを有する透明なポリカーボネート樹脂板を得た。この樹脂板の表面抵抗率は、2.1×E+10Ω/sqであった。この樹脂板を湿度70%、温度80℃の条件下に1時間放置した後、表面抵抗率を測定した結果、3.0×E+10Ω/sqであった。
なお、上記実施例では、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤を例示したが、この発明はこれに限られるものでなく、ポリエチレングリコール鎖とポリプロピレングリコール鎖を含むヒドロキシル化合物と、HFPトリマーを反応させて得られる含フッ素ポリエーテル系界面活性剤を用いてもよい。
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、熱安定性に優れ、ブリーディング、ブルーミングおよび移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、優れた制電性が持続し、かつレベリング性の向上した制電性組成物が得られる。

Claims (17)

  1. 揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が分散されてなる制電性組成物において、
    前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解された状態で分散されていることを特徴とする制電性組成物。
  2. 前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、パーフルオロアルケニル基を有する請求項1に記載の制電性組成物。
  3. 前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基を有する請求項1に記載の制電性組成物。
  4. 前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、分子内に反応性の末端二重結合を有する、請求項2又は3に記載の制電性組成物。
  5. 前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、ヘキサフルオロプロペントリマー又はその誘導体と、ヒドロキシ化合物のヒドロキシル基とを反応させてなる、請求項2に記載の制電性組成物。
  6. 前記ポリエチレングリコール鎖を構成するオキシエチレン単位の合計数は、3以上50以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の制電性組成物。
  7. 前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下の割合で、前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の制電性組成物。
  8. 前記揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂100質量部に対して、前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤は、0.01質量部以上30質量部以下含まれる請求項1〜7のいずれか1項に記載の制電性組成物。
  9. 前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオンおよびフルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群から選ばれた陰イオンである請求項1〜8のいずれか1項に記載の制電性組成物。
  10. 前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属のいずれかの陽イオンと、前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩である請求項1〜9のいずれか1項に記載の制電性組成物。
  11. 前記フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドのアルカリ金属塩およびトリフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれた塩である請求項10に記載の制電性組成物。
  12. フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を、ポリエチレングリコール鎖を必須構成成分とする含フッ素ポリエーテル系界面活性剤に溶解させた含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を準備する第1工程と、
    前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を、揮発性有機溶剤、重合性化合物、プレポリマー、樹脂又は粘着性樹脂を含む組成物中に分散させる第2工程と、を備えた制電性組成物の製造方法。
  13. 前記第1工程は、フルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を揮発性有機溶剤に溶解した溶液をまず準備し、この溶液を前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤と混合することによって前記含フッ素ポリエーテル系界面活性剤溶液を形成する工程を含み、
    前記第2工程の後、揮発性有機溶剤の含有量を減らすために、前記組成物を常圧または減圧下で乾燥させることを特徴とする、請求項12に記載の制電性組成物の製造方法。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制電性組成物を成形品表面で硬化させた制電性被覆物。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制電性組成物を含む材料を成形してなる成形品。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制電性組成物を含む塗料。
  17. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制電性組成物を含む粘着剤。
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