JP2014201724A - 表面処理組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含まず、生体および環境への影響が少ない炭素数が6のパーフルオロアルキル基を含み、撥水撥油とともに滑り性を示す表面処理組成物、該表面処理組成物を含む各種処理剤、および該表面処理組成物や該処理剤によって撥水・撥油性とともに滑水性を付与した部材の提供。【解決手段】炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含有せず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基、およびオルガノポリシロキサン基を含有することを特徴とする表面処理組成物、該表面処理組成物を含む各種処理剤ならびに該表面処理組成物または該各種処理剤からなる皮膜を有する部材。【選択図】なし

Description

本発明は、各種基材に撥水撥油性及び滑り性を付与する表面処理組成物に関する。
現代の生活環境において、撥水性が望まれるか必要とされる設備、装置、機械器具は多数存在し、その種類も、自動車の窓ガラス、自動車の塗装表面、台所設備、台所用品、台所設備に付設される排気装置、入浴設備、洗面設備、医療用施設、医療用機械器具、鏡、眼鏡、インクジェットプリンター部品など、きわめて多岐に亘っている。従来、これらの物体に撥水性を付与しようとする際には、一般的に、濡れにくくする、つまり物体表面の水接触角を大きくする方法が適用されている。典型的には、たとえばシリコーン系化合物または樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などのいわゆる疎水性材料による表面被覆が行われている。
特に、上記フッ素系樹脂のうちでも、パーフルオロアルキル基を含有する重合体は濡れにくい材料として知られている。典型的に(メタ)アクリラート重合体であり、たとえば、CH=C(R)COO−Q−R(式中、R:水素原子またはメチル基、Q:2価連結基、R:C4〜14のパーフルオロアルキル基)で表される(メタ)アクリラートの重合体が半田用フラックス這い上がり防止剤として提案されている(特許文献1参照)。このような重合体において、パーフルオロアルキル基の炭素数が8以上であれば、特に撥水性だけでなく撥油性が強いことが知られている。
しかしながら、パーフルオロアルキル基による撥水撥油被膜は、滑り性を付与することはできない。滑り性の付与には、パーフルオロアルキル基よりもシリコーン系化合物の化合物が優れている。しかし、シリコーン系化合物による被膜は、撥油性を伴わない。
撥水撥油性と滑り性を両立することで、防汚剤、離型剤、固体潤滑材などに優れた性能を期待することができる。
また、米国環境保護庁(USEPA)が2003年3月に公開した、野生動物や人の血液を含め、種々の環境から検出されるパーフロオロオクタン酸(PFOA)の安全性に関する予備リスク調査報告書では、PFOAの発生の恐れのあるパーフルオロアルキル基の炭素数が8であるものについて、生体および環境への影響が指摘され、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、およびこれらの前駆体物質の環境中への排出削減と製品中の含有量削減計画への参加をフッ素樹脂メーカー等に提唱して以来、化合物中に含有されるパーフルオロアルキル基の炭素数は6以下の短いものが望まれている。
特開平10−303536号公報
本発明は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含まず、生体および環境への影響が少ない炭素数が6のパーフルオロアルキル基を含み、撥水撥油とともに滑り性を示す表面処理組成物、該表面処理組成物を含む各種処理剤、および該表面処理組成物や該処理剤によって撥水・撥油性とともに滑水性を付与した部材の提供を目的とする。
本発明者は上記のような知見に基づいて鋭意検討したところ、表面処理組成物に、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含ませず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基とオルガノポリシロキサン基とを含ませることにより、撥水性能、撥油性能、滑り性能の3つを同時に維持できることを見出した。したがって本発明は、以下の撥水撥油性及び滑り性を付与する表面処理組成物の提供を可能とした。
本発明は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含有せず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基とオルガノポリシロキサン基とを含有することを特徴とする表面処理組成物である。
前記表面処理組成物は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する構成単位を含有せず、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれの少なくとも1種を含有する重合体(1)を含むことが好ましい。
CH=C(Ra1)−C(O)X−Q−C13・・・(a)
式中、
a1:水素原子またはメチル基、
X:−O−または−NRa2−、
:単結合または2価の連結基。
ただし、Ra2:水素原子または炭素数1〜3のアルキル基。
CH=C(Rb1)−Q−Y ・・・(b)
式中、
b1:水素原子またはメチル基、
:単結合または2価の連結基、
Y:数平均分子量(Mn)が3000から30000のオルガノポリシロキサン基。
前記重合体(1)は、さらに下記式(c)で表される化合物から導かれる、カルボキシル基を有する構成単位を含有することが好ましい。
CH=C(Rc1)−Q−COOH・・・(c)
式中、
c1:水素原子またはメチル基、
:単結合または2価の連結基。
上記重合体(1)において、式(a)で表される化合物から導かれる構成単位の含有量が50質量%以上であるのが好ましい。
本発明は、前記表面処理組成物を含有する、撥水剤、撥油剤、防汚剤、離型剤、および低摩擦性付与剤を提供する。
本発明は、表面の少なくとも一部に、上記表面処理組成物または各種処理剤からなる被膜を形成し、撥水・撥油性および滑り性が付与された部材を提供する。
本発明は、前記で示した特定の基を含ませず、前記で示した特定の基を含ませることで、生体および環境への影響が少ない、撥水・撥油性および滑り性を付与する表面処理組成物の提供を可能とした。
本発明の表面処理組成物は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含まず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基とオルガノポリシロキサン基とを含むことを特徴とする。前記表面処理組成物は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有さず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基およびオルガノポリシロキサン基の両方を有する化合物を有効成分として用いてもよく、炭素数が6のパーフルオロアルキル基を有する化合物と、オルガノポリシロキサン基を有する化合物とを混合して有効成分として用いることもできる。有効成分は、非重合性の化合物でも、重合性化合物を共重合した重合体でもよく、両者を混合して用いることもできる。
パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子全部がフッ素原子に置換されたパーフルオロ置換アルキル基を意味する。
パーフルオロアルキル基は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよいが、直鎖構造のものが好ましい。
オルガノポリシロキサン基としては、−(SiO)−で表される繰り返し単位を有し、ケイ素原子に、水素原子、アルキル基、またはフェニル基等が結合したオルガノポリシロキサンから誘導される基が挙げられる。中でも、−(Si(CHO)−で表される繰返し単位を有するポリジメチルシロキサンから誘導されるポリジメチルシロキサン基が好ましい。
本発明の表面処理組成物は、前記重合性化合物を共重合した重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)を含むことが好ましい。前記重合体は、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位、および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれ少なくとも1種を含有する。
なお、本明細書において式(a)で表される化合物を化合物(a)、式(b)で表される化合物を化合物(b)とも記す。他の式で表される化合物も同様に表記することがある。
CH=C(Ra1)−C(O)X−Q−C13・・・(a)
式中、
a1:水素原子またはメチル基、
X:−O−または−NRa2−、
:単結合または2価の連結基。
ただし、Ra2:水素原子または炭素数1〜3のアルキル基。
CH=C(Rb1)−Q−Y ・・・(b)
式中、
b1:水素原子またはメチル基、
:単結合または2価の連結基、
Y:数平均分子量(Mn)が3000から30000のオルガノポリシロキサン基。
化合物(a)において、Qは単結合または2価の連結基である。前記2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐状の2価のアルキレン基もしくはアルケニレン基、2価のオキシアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、または下記式(q)で表される2価の連結基が挙げられる。これら2価の連結基は組み合わされていてもよく、環基は縮合していてもよい。
−W−Z− (q)
式中の記号は以下の意味を示す。
W:直鎖状もしくは分岐状の2価のアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、またはこれらの縮合した環基。
Z:−O−、−S−、−CO−、−COO−、−COS−、−N(R)−、−SO−、−PO−、−N(R)−COO−、−N(R)−CO−、−N(R)−SO−、または−N(R)−PO−。
ただし、R:水素原子または炭素数1〜3のアルキル基。
2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシなど)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオなど)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、スルホニル基(メタンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシなど)、ホスホニル基(ジエチルホスホニルなど)、アミド基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど)、カルバモイル基(N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチルなど)、アリール基(フェニル、トルイルなど)、複素環基(ピリジル、イミダゾリル、フラニルなど)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニルなど)、アルコキシアシルオキシ基(アセチルオキシなど)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、および重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、シリル基、桂皮酸残基など)などが挙げられる。
は単結合または2価の連結基であれば適宜選択可能であるが、中でも単結合または直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が好ましく、直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
化合物(a)において、Xは−O−または−NRa2−である。Xとしては−O−または−NH−が好ましい。
化合物(a)の具体例を表1に示すが、化合物(a)はこれらに限定されるものではない。
上記のような化合物(a)から導かれる構成単位(以下「構成単位(A)」という場合がある。)は、次のように表すことができる。
ここで、RおよびQは、それぞれ、式(a)におけるRおよびQと同義である。
本発明の重合体は、上記構成単位(A)の1種からなる単独重合体であってもよく、構成単位(A)の2種以上からなる共重合体であってもよい。また、構成単位(A)以外の構成単位を1種または2種以上含有する共重合体であってもよい。この場合、本発明の重合体における、上記構成単位(A)の含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。本発明の重合体における構成単位(A)の質量比率が上記範囲内であると、本発明の表面処理組成物の撥水撥油性能がより良好だからである。なお本発明において、重合体における各構成単位の質量比率は、重合に使用した原料がすべて構成単位を構成するとみなした値である。したがって、たとえば構成単位(A)の質量比率(全構成単位質量に対する、そこに含まれる構成単位(A)の質量の百分率)は、実質的に、重合に使用した化合物(a)質量の重合原料化合物の全質量に対する割合として求められる。重合体における他の構成単位の質量比率も同様に求められる。
オルガノポリシロキサン基を有する重合性化合物としては、化合物(b)が好ましい。
化合物(b)において、Qは単結合または2価の連結基である。前記2価の連結基としては、炭素数が1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基もしくは炭素数が2〜10のアルケニレン基、オキシアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、または式−X−、−X−X−、−Z−X−、−X−Z−X−、−Z−X−X−もしくは−Z−X−Z−X−で表される2価の連結基が挙げられ、これら2価の連結基は組み合わされていても良く、複数の環基は縮合していても良い。
上記における記号X、X、ZおよびZは、それぞれ、以下の意味を示す。
、X:それぞれ独立して、炭素数が1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、オキシアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基またはこれらの縮合した環基。
、Z:それぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−COS−、−N(R)−、−CON(R)−、−SO−、−PO(OR)−、−N(R)−COO−、−N(R)−CO−、−N(R)−SO−または−N(R)−PO(OR)−。ただし、これら基の向きは逆向きでも構わない。ここでのRは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
上記連結基は、置換基を有していてもよく、置換基の例としては、前記化合物(a)のQと同様のものが挙げられる。
式(b)において、Qは単結合または2価の連結基であれば、適宜選択できるが、単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、−COO−、−N(R)−、−SO−、またはこれらを組合せて得られる2価の連結基であることが好ましい。中でも、前記式−Z−X−であり、Zが−COO−であり、Xが炭素数1〜6のアルキレン基であるものが好ましい。
式(b)において、Yは数平均分子量(Mn)が3000〜30000のオルガノポリシロキサン基である。オルガノポリシロキサン基としては、−(SiO)x−で表される繰り返し単位のケイ素原子に、水素原子、アルキル基、またはフェニル基等が置換した基が挙げられる。中でも、−(Si(CHO)−で表される、ポリジメチルシロキサン基が好ましい。
また、オルガノポリシロキサン基の末端は、重合性基を有しないのが好ましい。特に、アルキル基、アルコキシ基、ポリエーテル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。なお、アルキル基、アルコキシ基、ポリエーテル基は、置換基を有していてもよい。
式(b)で表される化合物のうちでも特に、下記式(b1)で表される化合物を用いるのが好ましい。中でも、ポリジメチルシロキサン基の数平均分子量が5000〜15000である構造の化合物が特に好適である。
CH=C(Rb11)−COO−(CH)n−(Si(CHO)m−Si(CH−Rb12 (b1)
式(b1)中、
b11:水素原子またはメチル基、
b12:炭素数1〜10のアルキル基、
m:10〜800、
n:1〜6の整数。
式(b1)において、Rb12はアルキル基である。該基は置換基を有していてもよいが、基中に重合性官能基は含まない。
式(b1)において、Rb12の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アリ−ロキシ基、アルキルチオ基、アシル基、カルボキシル基、スルホニル基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、ホスホニル基、アミノ基、アミド基、アルキル基、アリ−ル基、複素環基、アルコキシアシルオキシ基等が挙げられる。また、式(b1)において、Rb12の置換基から除外される重合性官能基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性不飽和基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。Rb12は炭素数が1〜5のアルキル基であるのが好ましい。
構成単位(B)の含有量は5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。本発明の重合体における重合単位(B)の質量比率が上記範囲内であると、本発明の滑水処理剤の滑水性がより良好である。
本発明の重合体は、上記のような構成単位(A)および構成単位(B)以外に、さらに下記式(c)で表される化合物(以下「化合物(c)」とも記す。)から導かれる構成単位(C)を含有していてもよい。
CH=C(Rc1)−Q−COOH・・・(c)
式中、
c1:水素原子またはメチル基、
:単結合または2価の連結基。
は単結合または2価の連結基である。Qは単結合または2価の連結基であれば適宜選択可能である。Qの2価の連結基としては、Qと同様のものが挙げられる。
好ましい化合物(c)の具体例を表2に示すが、化合物(c)はこれらに限定されるものではない。
本発明の重合体が、上記のような他の構成単位(C)を含有する場合、その種類によっても異なるが、重合体(1)におけるこれら他の構成単位全量での質量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の重合体は、他の構成単位(D)を含有していてもよい。
他の構成単位(D)は、上記化合物(a)、(b)および(c)と共重合しうる化合物(d)から導かれる構成単位であれば特に限定されない。この化合物(d)としては、具体的には、反応性の不飽和結合を複数有する多官能化合物(d1)、スチレン系化合物(d2)、(メタ)アクリラート系化合物(d3)、さらに他の重合性化合物(d4)が挙げられる。このような化合物(d)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
多官能化合物(d1)として、好ましい化合物の具体例を以下に示すが、化合物(d1)はこれらに限定されるものではない。
上記式中のRは、(メタ)アクリロイルオキシ基である。
スチレン系化合物(d2)としては、下記式で表わされるスチレン系化合物が挙げられる。
式中、R:−H、CH、−Cl、−CHO、−COOH、−CHCl、−CHNH、−CHN(CH、−CH(CHCl、−CHCl、−CHCN、−CHCOOH、−CHN(CHCOOH)、−CHSH、−CHSONaまたはCHOCOCHである。
上記化合物(d3)としては、α−クロロアクリル酸および下記式で表わされる(メタ)アクリラートが挙げられる。
CH=C(R)−COO−R
式中、R:HまたはCH、R:−CH、−CHCHN(CH、−(CHH(m=2〜20の整数)、−(CH(CF)F(m=2〜20の整数、n=1〜6の整数)、−CHCH(CH、−CH−C(CH−OCO−Ph(「Ph」はフェニル基を意味する。以下同様である。)、−CHPh、−CHCHOPh、−CH(CHCl、−(CHCHO)CH(m=2〜20の整数)、−(CH−NCO、または以下の基である。
化合物(d3)としては、下記式で表わされる(メタ)アクリルアミドも挙げられる。
CH=C(R)−CONH−R
式中、R:HまたはCH、R:−C2m+1(m=2〜20の整数)またはHである。
他の重合性化合物(d4)としては、上記(d1)、(d2)および(d3)以外のビニル化合物、例えば塩化ビニル(CH=CHCl)、アクリロニトリル(CH=CHCN)等が挙げられる。
本発明の重合体が、上記のような他の構成単位(D)を含有する場合、その種類によっても異なるが、重合体(1)におけるこれら他の構成単位全量での質量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明の重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)で1×10〜1×10であることが好ましく、1×10〜1×10であることが好ましい。分子量がこのような範囲であると、滑水性能を十分に発揮することができるからである。一方、分子量が大きすぎると本発明の重合体の溶媒への溶解性が悪くなる傾向がある。
本発明の重合体は、上記のような構成単位(A)および構成単位(B)と、任意で構成単位(C)および/または構成単位(D)を含んでよいこと以外は、重合形態など特に制限されない。共重合体である場合の重合形態は特に制限されず、ランダム、ブロック、グラフトなどのいずれでもよいがランダム重合体であることが好ましい。
重合体の製造方法も特に限定されず、各種の公知の方法を採用し得る。例えば、各化合物中の不飽和基に基づき付加重合させることができる。重合に際しては、公知の不飽和化合物の付加重合条件を適宜に採択して行うことができる。例えば重合開始源として有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の開始剤が利用できる。また、分子量の調整のために、重合反応時に分子量調整剤を利用することもできる。
本発明の表面処理組成物は、被膜成分として、好ましくは上記のような重合体を含み、該重合体を溶媒中に含む液状形態である。
本発明の表面処理組成物の製造方法も限定されない。例えば本発明の重合体を公知の溶媒に溶解させて得ることができる。また、例えば化合物(a)を溶媒に添加し、この溶媒を重合媒体とする溶液重合によって本発明の重合体を製造し、本発明の重合体を含む前記溶媒を得て、これを本発明の表面処理組成物とすることもできる。乳化重合させることで本発明の重合体を含む溶液を得て、これを本発明の滑水処理剤とすることもできる。ここで得られた本発明の重合体を分離し、他の溶媒に溶解させてもよい。また、重合原料の化合物が、ガス状である場合には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。
本発明の表面処理組成物を形成する溶媒は、本発明の重合体を溶解または分散できるものであればよく、特に限定されず、各種有機溶媒、水またはこれらの混合媒体などが挙げられる。例えば、アルコール以外の極性溶媒やフッ素系溶媒を用いることができる。アルコール以外の極性溶媒としては、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル系(酢酸エチルなど)、エーテル系(テトラヒドロフランなど)が挙げられる。フッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)またはハイドロフルオロエーテル(HFE)が挙げられる。中でもフッ素系溶媒が好ましい。使用可能なフッ素系溶媒の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
m−キシレンヘキサフルオリド(以下、m−XHFと記す。)
p−キシレンヘキサフルオリド(以下、p−XHFと記す。)
CFCHCFCH
CFCHCF
13OCH
13OC
OCH
OC
13
13CHCH
CFHCFCHOCFCF
CFCFHCFHCFCH
CF(OCFCF(OCFOCF
17OCH
15OCH
OCH
OC
CHCH
CFCHOCFCFCF
(上記例示中、m、nは各々1〜20の整数を表す。)
本発明の表面処理組成物は、本発明の重合体を0.1〜20質量%で含有することが好ましく、1〜10質量%で含有することがより好ましい。本発明の表面処理組成物における本発明の重合体の濃度がこの範囲内であると、滑水性能が十分に発揮できる。
本発明の表面処理組成物における本発明の重合体の濃度は最終的濃度であればよく、例えば本発明の表面処理組成物を重合組成物として直接調製する場合には、重合直後の重合組成物の重合体濃度(固形分濃度)が20質量%を超えていてもなんら差し支えない。高濃度の重合組成物は、最終的に上記好ましい濃度となるように適宜に希釈することができる。
本発明の表面処理組成物は、その組成物としての安定性、撥水撥油、滑り性または外観等に悪影響を与えない範囲であれば、前記した以外の他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、例えば被膜表面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤、組成物を希釈して使用する場合に液中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、染料の安定剤、難燃剤、消泡剤、または帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の表面処理組成物は、目的および用途に応じて、任意の濃度に希釈し、表面に処理することで重合体を被覆させ、性能を付与することができる。被覆方法としては一般的な被覆加工方法が採用できる。例えば浸漬塗布、スプレー塗布またはローラー等による塗布等の方法がある。
本発明の表面処理組成物の塗布後は、溶媒の沸点以上の温度で乾燥を行うことがより好ましい。無論、被処理部品の材質などにより加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。なお、熱処理の条件は、塗布する組成物の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
本発明の利用分野としては、撥水撥油、潤滑、防汚、離型、摩擦低減などが挙げられ、本発明の表面処理組成物を含む撥水剤、撥油剤、潤滑剤、防汚剤、離型剤、摩擦低減剤等として用いることができる。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断わりのない限り、以下の実施例の記載において「%」で表示されるものは「質量%」を表すものとする。
以下の実施例で使用する化合物を表4に示す。使用した化合物は、市場から試薬として入手することができるもの、または既知の合成法によって容易に合成できるものである。
なお、下記b1は信越化学工業社製「LSF−250」、b2はJNC社製「FM−0721」、b3はJNC社製「FM−0711」である。
〔実施重合体1〜9〕
密閉容器に、表5に記載の仕込み比(質量部)および濃度となるように各化合物、重合溶剤(m−XHF)、開始剤(和光純薬工業株式会社製、V−601)をそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行った。得られた重合物のm−XHF溶液を、多量のメタノールに添加して重合物を析出させた。析出した重合物をメタノールで数回洗浄したのち、60℃で減圧乾燥を行って実施重合体1〜9を得た。
得られた実施重合体をm−XHFに溶解させ2質量%濃度の溶液を調整し、実施例1〜9を調製した。
〔比較重合体1〜4〕
同様の操作にて、比較重合体1〜の合成及び比較例1〜4を調製した。
上記で得られた実施例1〜9および比較例1〜4について、以下の性能を評価した。評価結果を表5に示す。
[接触角の測定]
実施例1〜9および比較例1〜4を常温とし、各々にガラス板を浸漬した。そして1分後に取り出し、120℃で5分間乾燥させ、本発明の表面処理組成物または比較組成物の被膜を有する各ガラス板を得た。
次に各々の種類の被膜を形成した各ガラス板の被膜上にイオン交換水またはノルマルヘキサデカン(HD)を滴下し、接触角(単位:°)を測定した。接触角の測定には自動接触角計OCA−20[dataphysics社製]を用いた。
上記の結果から、本発明において、PFOAの発生の恐れのある化合物を使用せず、かつ十分な撥水撥油性能と滑り性能を両立する撥水撥油処理組成物が得られることが分かった。

Claims (10)

  1. 炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含有せず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基およびオルガノポリシロキサン基を含有することを特徴とする表面処理組成物。
  2. 炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する構成単位を含有せず、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位、および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれの少なくとも1種を含有する重合体(1)を含むことを特徴とする請求項1に記載の表面処理組成物。
    CH=C(Ra1)−C(O)X−Q−C13・・・(a)
    [式中、
    a1:水素原子またはメチル基、
    X:−O−または−NRa2−、
    :単結合または2価の連結基。
    ただし、Ra2:水素原子または炭素数1〜3のアルキル基。]
    CH=C(Rb1)−Q−Y ・・・(b)
    [式中、
    b1:水素原子またはメチル基、
    :単結合または2価の連結基、
    Y:数平均分子量(Mn)が3000から30000のオルガノポリシロキサン基。]
  3. 前記重合体(1)が、さらに、下記式(c)で表される化合物から導かれる構成単位の少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項2に記載の表面処理組成物。
    CH=C(Rc1)−Q−COOH・・・(c)
    [式中、
    c1:水素原子またはメチル基、
    :単結合または2価の連結基。]
  4. 前記重合体(1)中の、前記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位(A)の含有量が50質量%以上である、請求項2または3のいずれかに記載の表面処理組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする撥水剤。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする撥油剤。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする防汚剤。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする離型剤。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする低摩擦性付与剤。
  10. 表面の少なくとも一部に、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物または請求項5に記載の撥水剤、請求項6に記載の撥油剤、請求項7に記載の防汚剤、請求項8に記載の離型剤もしくは請求項9に記載の低摩擦性付与剤からなる被膜を有する部材。
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