JP2014201726A - セラミック蛍光体、その製造方法及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤色発光のセラミック蛍光体を提供する。【解決手段】一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≰x<0.4、0<y<0.5を満す数である。)で表されるカズン蛍光体と、アルミナ粒子とを所定の割合で混合し、一軸成形して成形体とした後、焼成しセラミック蛍光体を得る。このセラミック蛍光体は、カズン蛍光体と同様の発光特性を持ち、セラミックであるため熱に強く高輝度の発光が得られる。【選択図】なし
Description
LED素子と、当該LED素子が発する光を吸収し、異なる波長の光(蛍光)を発する蛍光体とを組み合わせた発光装置が広く用いられている。従来の発光装置では、蛍光体は樹脂中に粉末或いは粒子として分散させたものをLED素子を覆うように配置していたが、近年、蛍光体を所定の形状を持つセラミック板(蛍光体プレート)としてLD(半導体レーザー)やLED等の光源と対向して配置したものも開発されている。
光源と蛍光体の組み合わせは、発光装置に求められる色味によって種々の組み合わせがありえるが、最も広く用いられている組み合わせは、青色LEDとYAG等の黄色発光の蛍光体である。
しかしこのような青色LEDとYAGの組み合わせでは、発光スペクトルに赤色成分が少ないため、赤いものがくすんで見える等の問題がある。この問題に対し、半導体発光層を形成する基板として、赤色光を発するCrを含有させたアルミナ基板を用いる技術(特許文献1)や、クロムで付活されたアルミナ相を含む光変換用セラミック複合体を用いる技術(特許文献2)が提案されている。
クロムで付活されたアルミナは、690nm付近に発光波長ピークがあり、青色LEDとYAGを組み合わせた発光装置の赤色成分不足を補うものではあるが、半値幅が狭く、十分な色再現性が得られるとは言い難い。
一方、半値幅が広く色再現性に優れた赤色蛍光体として、CaAlSiN3:Eu蛍光体(カズン蛍光体と呼ばれている)が知られているが、カズン蛍光体は原料の一つである窒化カルシウムが大気中で不安定であるため、セラミック蛍光体を作製する場合の必須工程である原料の金型成形を大気中で行うことができない。またカズン蛍光体自体は大気中で安定であるが、粉末粒径が数十μmと粒成長を起こしているため、カズン蛍光体粉末を金型成型しようとしても内部に空孔が形成されるため強靭性が悪く成形体を得ることが難しい。以上のことから、これまでカズン蛍光体のセラミックを得ることはできていない。
本発明は、カズン蛍光体を含むセラミック蛍光体を提供することを課題とする。
本発明者は、カズン蛍光体の成形について鋭意研究した結果、カズン蛍光体よりも粒子径の小さいアルミナ粒子を混合して成形することにより、粒成長を起こしたカズン蛍光体粒子を用いても、空孔が形成されることなく緻密な成形体が得られること、この成形体を焼成することにより、カズン蛍光体を含むセラミック蛍光体が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明のセラミック蛍光体は、下記一般式で表されるカズン蛍光体とAl2O3とを含むものである。
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。)
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。)
また本発明のセラミック蛍光体の製造方法は、下記一般式で表されるカズン蛍光体粒子とAl2O3粒子とを混合し、成形するステップと、成型後の混合物を焼成するステップとを含むものである。
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。)
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。)
本発明によれば、従来、セラミック蛍光体とすることが困難であったカズン蛍光体を主成分とするセラミック蛍光体が提供される。本発明のセラミック蛍光体はすべて無機物で構成されているため熱に強く高輝度が得られる。本発明のセラミック蛍光体を用いることにより、セラミック蛍光体を利用した発光装置の演色性を向上することができる。
以下、本発明のセラミック蛍光体とその製造方法の実施形態を説明する。
本発明のセラミック蛍光体は、カズン蛍光体相とアルミナ相が含まれるセラミック複合体で、図1に模式的に示すように、カズン蛍光体相11とカズン蛍光体相11との間が、アルミナ相12で充填された構造を持つと推定される。
本発明のセラミック蛍光体は、カズン蛍光体相とアルミナ相が含まれるセラミック複合体で、図1に模式的に示すように、カズン蛍光体相11とカズン蛍光体相11との間が、アルミナ相12で充填された構造を持つと推定される。
カズン蛍光体相11を構成するカズン蛍光体10は、上記一般式で表される蛍光体であり、CaSiAlN3を骨格として、Ca元素の一部を付活元素であるEuまたはCeで置換した構造を持つ。またCaは一部Srで置換されていてもよい。励起波長は400〜490nmであり、Euの場合には、発光ピーク波長が650±10nmの赤色発光となり、Ceの場合には、発光ピーク波長が570〜603nm付近であり、橙色発光となる。
カズン蛍光体とアルミナの比率(カズン蛍光体:アルミナ)は、重量比で0:10を超え、7.5:2.5以下であることが好ましく、2:8〜7:3であることがより好ましい。
カズン蛍光体の量がセラミック蛍光体全体に対し75重量%以下であることにより、緻密な構造を得ることができる。またカズン蛍光体の量は、用途にもよるが25重量%より少ないと十分な発光が得られないので、25重量%以上であることが好ましい。
本発明のセラミック蛍光体は、上述したカズン蛍光体とアルミナの他に、YAG蛍光体や、540〜550nmに発光ピーク波長を持つβ−SiAlON蛍光体や585〜590nmに発光ピーク波長を持つα−SiAlON蛍光体などの蛍光体を1種以上含むことができる。これら蛍光体の含有割合を適宜調整することにより、セラミック蛍光体としての発光スペクトルを任意に調整することができる。
本発明のセラミック蛍光体が、実質的にカズン蛍光体とアルミナとの二成分系である場合には、セラミック蛍光体は、カズン蛍光体と同様の蛍光特性を持つ。すなわち、400〜490nmの青色で励起されて発光し、Eu付活の場合、発光ピーク波長は650±10nm、Ce付活の場合、発光ピーク波長は570〜603nmである。また発光ピークの半値幅は100nm以上であり、他の蛍光体からの光と混合したときに優れた演色性を示す。
本発明のセラミック蛍光体は、板状、円筒状、半円状など任意の形状とすることができ、励起光を発する光源例えばLED素子やLD素子と組み合わせて赤色や橙色を発する発光装置として利用できるほか、他のセラミック蛍光体(蛍光体プレート)と組み合わせて任意の色例えば白色を発する発光装置を組み立てることも可能である。
本発明の発光装置の実施形態を図6に示す。図6に示す発光装置100は、基本的な要素として、波長400〜490nmの光を発するLD光源31と、LD光源31に対し対向配置された発光体33と、LD光源31と発光体33との間に所定の角度をもって配置されたダイクロイックミラー35とから構成されている。これら要素は、図示しないケース等に収納されており、LD光源31から発せられる励起光の進行方向と交差する方向に光取り出し口37が設けられている。
発光体33は、基板331上に配置されたセラミック蛍光体333から成る。セラミック蛍光体333は、基板331に接着される面に金属膜や誘電体多層膜などの反射層が形成され、接合剤によって基板331に接着されている。セラミック蛍光体は、本発明のカズン蛍光体及びアルミナを含むセラミック蛍光体であり、さらにYAG等の蛍光体を含んでいてもよい。
ダイクロイックミラー35は透過する波長と反射する波長に対する設計が異なる光学部材であり、ここではLD光源31からの励起光を透過するが発光体33からの光は反射する。これにより、LD光源31からの励起光はダイクロイックミラー35を透過して、発光体33のセラミック蛍光体333を照射する。セラミック蛍光体333は励起光を吸収して、それを構成する蛍光体の種類と混合割合に応じた所定のピーク波長の光を発する。セラミック蛍光体333の光のうち基板331側に向かう光は反射層で反射され、殆どの光が発光体33の光出射面から出射される。発光体33からの光はダイクロイックミラー35で反射され、光取り出し口37から取り出される。
なお図6は、本発明の発光装置の一例であり、本発明の発光装置は、波長400〜490nmの光を発する光源と、その光源からの光を受光する位置に配置されたセラミック蛍光体と、セラミック蛍光体からの光を取り出す手段とを備えるものであれば、種々の公知の発光装置に適用することが可能である。例えば、LED素子の上に間隔をおいて蛍光体プレートを配置した構造の発光装置や、上述した構造の発光装置に他の光学要素を組み合わせた発光装置などに適用することができる。
次に本発明のセラミック蛍光体の製造方法について説明する。
本発明のセラミック蛍光体の製造方法は、その原料として、カズン蛍光体粒子とアルミナ粒子を用いることが特徴である。一般に、セラミック蛍光体は、蛍光体の原料である金属化合物、主として酸化物や塩の粉末を金型で成形し、冷間静水圧成形して成形体とした後、焼成することによって焼結体として製造される。しかし、カズン蛍光体は、原料である窒化カルシウムが大気中で不安定なため、通常大気中で行われる金型成形を行うことができない。そこで本発明では、大気中で安定なカズン蛍光体粒子を、アルミナ粒子とともに成形することによって安定な構造の成形体を得る。
原料となるカズン蛍光体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化カルシウム、酸化ユーロピウムの各粉末を窒化ホウ素製のルツボに入れ、約10気圧の窒素雰囲気中で、約1800℃で反応させることにより合成することができる。合成後のカズン蛍光体は、粒成長した状態で得られる。本発明ではこの粒成長した平均粒子径数μm〜数十μmのカズン蛍光体を用いる。
アルミナ(Al2O3)は、結晶系によってα−アルミナ(六方晶系)、γ−アルミナ(立方晶系)などいくつかの種類があり、特に限定されないが、最も一般的なα―アルミナを用いることができる。アルミナの平均粒子径は、カズン蛍光体よりも平均粒子径が小さいことが好ましく、具体的には、1μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。粒子径の小さいアルミナ粒子を用いることにより、金型で一軸成形したときに、図2に示すように、アルミナ粒子がカズン蛍光体粒子の隙間を埋め尽くすように入り込み、成形体中に空孔(ポア)が形成されるのを防止でき、その後の焼成工程において緻密な構造の焼結体を得ることができる。
カズン蛍光体とアルミナの割合は、カズン蛍光体:アルミナの重量比で0:10〜7.5:2.5が好ましく、2:8〜7:3がより好ましい。本発明のセラミック蛍光体は、原料として、カズン蛍光体以外の蛍光体、例えばYAG蛍光体やSiAlON蛍光体を含むことができるが、その場合にも、カズン蛍光体の含有量は、原料全体の25〜75重量%の間であることが好ましい。これにより演色性を向上できるとともに、熱に強いものとすることができる。この際、強い励起光で発光させる場合には、温度消光を抑制するために熱伝導性の高いアルミナの量を増やした方が好ましく、弱い励起光で発光させる場合には、カズン蛍光体の量を増やすことが好ましい。
上述した原料粒子を混合し、金型を用いて所望の形状(たとえば板状)に成形する。金型成形の条件は10〜30Mpaとする。金型成形は一軸成形であるので、その後、冷間静水圧成形(CIP)を行うことが好ましい。冷間静水圧成形は圧力100〜180MPa程度で約5〜10分程度行う。これにより内部構造が図2に示したような構造の成形体が得られる。次に、この成形体をアルミナ等のるつぼで、窒素雰囲気中で焼成し焼結体としてセラミック蛍光体を得る。焼成の温度は1300℃〜1600℃とし、焼成時間は約3時間程度であることが好ましい。焼結後、発光装置に利用できる所望の形状に加工する。
このようにして製造される本発明のセラミック蛍光体は、内部に構造をもろくする原因となる空孔が含まれていないので堅牢で、温度特性に優れている。また有機物を含まないので耐熱性が高く、温度による特性変化も非常に小さい。
以下、本発明のセラミック蛍光体の実施例を説明する。以下の実施例において、特に断らない限り、「%」は重量%を意味する。
<実施例1>
平均粒子径0.17μm、純度99.99%のα‐アルミナの粉末200mgと、平均粒子径10μm、純度99.99%のカズン蛍光体粒子(CnAlSiN3:Eu)200mgを、ボールミルによって4時間混合し、十分に混合した混合物を得た。次に得られた混合粉末を30MPaで一軸金型成形を行った後、さらに150MPaで冷間静水圧成形(CIP)を行い成形体(サイズ:直径13mm×厚さ1mmの円柱状)とした。この成形体をアルミナるつぼ中で、窒素雰囲気1500℃で約3時間焼成し焼結体を得た。
平均粒子径0.17μm、純度99.99%のα‐アルミナの粉末200mgと、平均粒子径10μm、純度99.99%のカズン蛍光体粒子(CnAlSiN3:Eu)200mgを、ボールミルによって4時間混合し、十分に混合した混合物を得た。次に得られた混合粉末を30MPaで一軸金型成形を行った後、さらに150MPaで冷間静水圧成形(CIP)を行い成形体(サイズ:直径13mm×厚さ1mmの円柱状)とした。この成形体をアルミナるつぼ中で、窒素雰囲気1500℃で約3時間焼成し焼結体を得た。
得られた焼結体(セラミック蛍光体)について以下のように蛍光スペクトルを測定した。まず図3に示すように、直径200μmの円形の穴があいているアルミ製の板(厚み:0.5mm)20を用意し、このアルミ製板の上に、穴をふさぐように焼結体10を載せてシリコーン樹脂で接着した。次いで穴の反対側から、ピーク波長405nmの半導体レーザー30を焼結体に照射した。焼結体からの発光を積分球で集光した後、分光光度計(大塚電子株式会社製)を用いてスペクトルを測定した。また得られたスペクトルから発光ピーク波長で規格化した発光強度を算出した。結果を図4に示す。また比較例として、CrドープAl2O3の発光スペクトルを図5に示す。
図4に示すように、このセラミック蛍光体はピーク波長が653nmで、半幅値が105nmであった。図5に示すCrドープAl2O3の半幅値(約5nm)に比べ、大幅に半幅値が広がっており、他の蛍光体プレートと併用することで演色性の高い照明光を得られることがわかる。
本発明によれば、熱に強く、輝度が高く且つ演色性に優れた発光装置を実現できる。
10・・・焼結体(セラミック蛍光体)、11・・・カズン蛍光体相、12・・・アルミナ相、31・・・光源、33・・・発光体、331・・・セラミック蛍光体、100・・・発光装置。
Claims (8)
- 下記一般式で表されるカズン蛍光体とAl2O3とを含むセラミック蛍光体。
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。) - 下記一般式で表されるカズン蛍光体とAl2O3とを含み、400〜490nmの青色で励起されて発光し、発光ピーク波長が650±10nm、半値幅が100nm以上であるセラミック蛍光体。
一般式:(Ca1-x-ySrxEuy)SiAlN3
(式中、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。) - 前記カズン蛍光体とAl2O3の割合が重量比で0:10を超え、7.5:2.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック蛍光体。
- 下記一般式で表されるカズン蛍光体粒子とAl2O3粒子とを混合し、成形するステップと、
成形後の成形体を焼成するステップとを含む、カズン蛍光体含有セラミックの製造方法。
一般式:(Ca1-x-ySrxMy)SiAlN3
(式中、元素MはEu又はCeを表し、x及びyは0≦x<0.4、0<y<0.5を満す数である。) - 前記成形するステップは、金型を用いた一軸成形ステップと冷間静水圧成形ステップとを含むことを特徴とする請求項4に記載のセラミック蛍光体の製造方法。
- Al2O3粒子の粒子径が300nm以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載のセラミック蛍光体の製造方法。
- カズン蛍光体粒子に対するAl2O3粒子の割合が、重量比で3:1以上であることを特徴とする請求項4ないし6いずれか1項に記載のセラミック蛍光体の製造方法。
- 波長400〜490nmの光を発する光源と、前記光源からの光を受光する位置に配置されたセラミック蛍光体からなる発光体とを備えた発光装置であって、前記セラミック蛍光体が請求項1ないし3のいずれか一項に記載のセラミック蛍光体である発光装置。
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